JP2008153575A - 磁石及び磁石の着磁方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各磁束密度のピーク値を揃え、各磁束密度のピークとなる位置と磁束密度が0となる位置との距離を一定の値に揃えた磁石及び磁石の着磁方法を提供することである。
【解決手段】片面に3極以上の着磁部を有する磁石であって、前記磁石の両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さい構成とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁石及び磁石の着磁方法に関する。
近年、コンピュータの外部記憶装置としてのハードディスク装置には、磁気ヘッドを機械的に駆動するためにインクリメンタルな位置センサが使用され、永久磁石として片面に2極以上の複数極着磁したものが要望されている。
従来の着磁方法として特許文献1の方法が提案されている。この従来の方法により片面4極着磁を行った場合について図9及び図10を用いて説明する。これらの図において、第1の着磁コイル1Aは、珪素鋼板を積層したヨーク2Aの周囲に導線による巻線3Aを数ターン巻回したものであり、同様に第2の着磁コイル1Bは、珪素鋼板を積層したヨーク2Bの周囲に導線による巻線3Bを数ターン巻回したものである。また、第3及び第4の着磁コイル1C、1Dも同様に珪素鋼板を積層したヨーク2C、2Dの周囲に導線による巻線3C、3Dを数ターン巻回したものである。そして、第1、第2、第3及び第4の着磁コイル1A,1B、1C、1D上に厚みの均一な平板状金属磁石材4を載置し、必要に応じて該平板状金属磁石材4の上方にも同様の着磁コイルを設け、各着磁コイルに通電して平板状金属磁石材4を着磁する。この場合、図10の矢印J,Kのように第1、第2、第3及び第4の着磁コイル1A、1B、1C、1Dを巻回する電流の向きを順次、逆向きとすることで(例えば図9の矢印L,Mの向きの磁束を発生させて)平板状金属磁石材4の片面に交互に逆極性の磁極を形成することができる。
図11は、従来の着磁方法で、第1、第2、第3及び第4の着磁コイル1A,1B、1C、1Dに珪素鋼板のヨーク付きの着磁コイルを使用し、巻数、電流値、形状などの条件を同一にし、λ/2の間隔で着磁を行った場合の平板状金属磁石材4である。
また、図12は、この時の平板状金属磁石材4の着磁波形である。第1及び第3の着磁コイル1A、1Cに対向した領域の磁束密度は正の極性で、第2及び第4の着磁コイル1B、1Dに対向した領域の磁束密度は負の極性であり、各ピーク値はλ/2の距離で着磁されている。しかし、磁束密度が0となる点、P1、P2、P3、P4、P5の各点間の距離は、λ/2の距離にそろっていない。このような不揃いは、着磁コイル1B、ICに対応する着磁領域の磁束密度のピーク値が、着磁コイル1A、1Dに対応する着磁領域の磁束密度のピーク値よりΔだけ小さく、0.8〜0.9倍程度になっているためであることが分かっている。
特開平5−258948号公報
ところで、インクリメンタルな位置センサに使用され、永久磁石として片面に3極以上の複数極着磁した金属磁石には、磁束密度のピークとなる位置と磁束密度が0となる位置との距離が一定の値(λ/4)であることが必要である。この値λ/4が不揃いになると、位置センサにより位置を正確に割り出すことが困難となる。しかし、図9及び図10で説明した従来の着磁方法であると、図11、図12に示すように中央の2極(S1、N2)と両端の2極(N1、S2)とでの磁束密度のピーク値が異なり、磁束密度のピークとなる位置と磁束密度が0となる点との距離がλ/2の半分の距離にならない問題がある。
従って、本発明が解決しようとする技術課題は、各磁束密度のピーク値を揃え、各磁束密度のピーク値となる位置と磁束密度が0となる位置との距離を一定の値に揃えた磁石及び磁石の着磁方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.
片面に3極以上の着磁部を有する磁石であって、前記磁石の両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さいことを特徴とする磁石。
2.
前記両端の着磁部の厚さが他の着磁部の厚さよりも薄いことを特徴とする1に記載の磁石。
3.
両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さい磁石素材の一方の面に、各着磁部に対応した着磁コイルを配設し、互いに隣り合う前記着磁コイルに、逆向きに巻回する電流をそれぞれ通電することを特徴とする磁石の着磁方法。
4.
前記磁石素材の両端の着磁部の厚さが他の着磁部の厚さよりも薄いことを特徴とする3に記載の磁石の着磁方法。
本発明によれば、片面に3極以上の着磁部を有する磁石であって、前記磁石の両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さい構成としたので、各磁束密度のピーク値を揃え、各磁束密度のピークとなる位置と磁束密度が0となる位置との距離が一定の値に揃った磁石及び磁石の着磁方法を提供できる。
以下、本発明に係る磁石及び該磁石の着磁方法並びに装置の実施例を図面に従って説明する。本実施例では、4極の着磁部を有する金属磁石及び該金属磁石の着磁方法を例に取り説明する。本実施例では、磁石素材として金属磁石材を用いているが、金属磁石材に限定するものではない。
図1に本発明の第1の実施例にて用いる金属磁石材5を示す。金属磁石材5は、両端の着磁部51、54と両端以外の他の着磁部としての52、53を有し、両端の着磁部51と54の厚さは、他の着磁部52、53の厚さよりも薄い。また、金属磁石材5は、厚み方向において上下対称の形状をしている。すなわち、両端の着磁部51と54の体積は、他の着磁部52、53の体積よりも小さい値となっている。
この金属磁石材5に4極の着磁を行う着磁装置について、図2を用いて説明する。第1の着磁コイル1Aは、珪素鋼板を積層したヨーク2Aの周囲に導線による巻線3Aを数ターン巻回したものであり、同様に第2の着磁コイル1Bは、珪素鋼板を積層したヨーク2Bの周囲に導線による巻線3Bを数ターン巻回したものである。また、第3及び第4の着磁コイル1C、1Dも同様に珪素鋼板を積層したヨーク2C、2Dの周囲に導線による巻線3C、3Dを数ターン巻回したものであり、着磁コイル1A,1B、1C、1Dは、同じ性能のものを用いた。そして、第1、第2、第3及び第4の着磁コイル1A,1B、1C、1D上に金属磁石材5の中心線6と各着磁コイル1A,1B、1C、1Dと対向する表面との距離が一定となるように金属磁石材5を載置した。
各着磁コイルに流す電流の向きは、図10の様に第1の着磁コイル1Aの巻線3A及び第3の着磁コイル1Cの巻線3Cには矢印Jの向き、第2の着磁コイル1Bの巻線3B及び第4の着磁コイル1Dの巻線3Dには矢印Jと反対周りである矢印Kの向きの電流を流す。
この結果、図2の様に着磁コイル1A、1Cで矢印L、着磁コイル1B、1Dで矢印Mの向きの磁束を発生させて金属磁石材5の片面に、交互に逆極性の磁極を形成することができる。例えば金属磁石材5の着磁コイル1A、1C側はS極、着磁コイル1B、1D側はN極に着磁されることになる。
この時、図3に示すように、各着磁コイルは、1Aから1Dをx方向にλ/2毎に配置し、金属磁石材5の両端λ/2の幅の着磁部51,54の厚さを、他のλ/2の幅を持つ着磁部52、53の厚さより、所定量薄くし、所定体積を小さくする。このように金属磁石材5の両端の着磁部51,54の体積を他の着磁部52、53の体積より所定量小さくすることで、金属磁石材5の中心線6から一定の距離のところで測定した磁界強度がx方向に周期λで変化する金属磁石材5となる。
このようにして着磁した金属磁石材5の磁束密度分布を図4に示す方法で測定する。金属磁石5の中心線6から一定距離にある位置の磁束密度センサー7により磁束密度を測定した。測定結果を図5に示す。着磁部51、52、53及び54の各磁束密度のピーク値は、図5に示すように各々λ/2となり、また、各ピーク値の値も等しい値になっており、よって各磁束密度のピーク値となる点と磁束密度が0となる点との距離がλ/4となる金属磁石5を得ることができる。
なお金属磁石材5を着磁する際には、図2の示すように金属磁石材5の上面に、着磁用の磁束のとおりを良くするために磁性体10を配置しても良い。
また、金属磁石材5の両端の着磁部51、54の厚さは、他の着磁部52、53の厚さの0.4〜0.9倍が好ましい。0.4倍未満になると両端の着磁部の磁束密度のピーク値が極端に低下し、他の着磁部の磁束密度と同じ値にするのが困難となる。また、0.9倍を超えると他の着磁部の磁束密度のピーク値に下げることが困難である。
図6に第2の実施例を示す。第2の実施例としては、第1の実施例の磁性体10の代わりに着磁コイル1E、1F、1G及び1Hを配置した構成の着磁装置を用いている他は実施例1と同様の条件である。
着磁コイル1Eの巻線3E及び着磁コイル1Gの巻線3Gには図7のごとく矢印Jの向き、着磁コイル1Fの巻線3F及び着磁コイル1Hの巻線3Hには反対周りに矢印Kの向きの電流を流す。ここで着磁コイル1A、1C、1E及び1Gは同一の方向に電流を流す必要があり、同様に着磁コイル1B、1D、1F及び1Hは逆方向に同一の電流を流す必要がある。このような構造の着磁装置及び実施例1で用いた金属磁石材5を用いて着磁を行ったところ、実施例1と同様に図5に示すように一定の周期の磁束密度分布を示す金属磁石を得ることができた。
次に、図8に第3の実施例を説明する。第3の実施例は、第2の実施例における着磁コイルを横向きにしたものである。図8(b)にA−Aの断面図を示す。図8(a)に示すように着磁コイル1Aから1Jとヨーク8を組み合わせて、OまたはPに示す方向に電流を流し、着磁コイル1Aから1Jで発する磁力線(図中破線)を用いて金属磁石材5の着磁を行う。この着磁装置及び実施例1で用いた金属磁石材5を用いて着磁を行ったところ、実施例1と同様に図5に示すように安定した磁束密度分布を示す金属磁石を得ることができた。
以上のように、金属磁石材5の両端の着磁部の体積を、その他の着磁部の体積よりも小さくすることで、金属磁石の中心線から一定の距離において、着磁後の各着磁部の磁束密度のピークとなる位置と磁束密度が0となる位置との距離を一定の値に揃えることができる。その結果、磁束密度の変化が精度よく周期的に行われる片面に3極以上の着磁部を有する金属磁石を提供することができる。
本発明に係る金属磁石材を示す模式図である。 本発明に係る第1の実施例の金属磁石及び金属磁石の着磁装置を示す模式図である。 着磁コイルの配置を示す模式図である。 本発明に係る金属磁石の磁束密度分布を測定する方法を示す模式図である。 本発明に係る金属磁石の磁束密度分布を示す模式図である。 本発明に係る第2の実施例を示す模式図である。 本発明の第2の実施例に用いる着磁コイルの電流の向きを示す模式図である。 本発明に係る第2の実施例を示す模式図である。 従来の金属磁石及び金属磁石の着磁方法を示す模式図である。 着磁コイルに流す電流の方向を示す模式図である。 金属磁石の着磁パターンを示す模式図である。 従来の着磁方法により着磁した金属磁石の磁束密度分布を示す模式図である。
符号の説明
1A、1B、1C、1D、1E,1F、1G、1H 着磁コイル
2A、2B、2C、2D、2E,2F、2G、2H、8 ヨーク
3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3H 巻線
4 平板状金属磁石
5 金属磁石材(金属磁石)
6 中心線
7 磁束密度センサー
10 磁性体

Claims (4)

  1. 片面に3極以上の着磁部を有する磁石であって、前記磁石の両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さいことを特徴とする磁石。
  2. 前記両端の着磁部の厚さが他の着磁部の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の磁石。
  3. 両端の着磁部の体積が他の着磁部の体積よりも小さい磁石素材の一方の面に、各着磁部に対応した着磁コイルを配設し、互いに隣り合う前記着磁コイルに、逆向きに巻回する電流をそれぞれ通電することを特徴とする磁石の着磁方法。
  4. 前記磁石素材の両端の着磁部の厚さが他の着磁部の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項3に記載の磁石の着磁方法。
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