JP2008149672A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法および該ヘッドを用いた記録装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法および該ヘッドを用いた記録装置 Download PDF

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剛生 山▲崎▼
Katsuhiko Shinjo
克彦 新庄
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啓一 村井
Takayuki Yagi
隆行 八木
Tamayoshi Kurashima
玲伊 倉島
Hideyuki Sugioka
秀行 杉岡
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Abstract

【課題】 エネルギー変換効率が良い液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】 発熱体を流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持し、該発熱体の気泡が発生する面を液体の吐出方向と平行となるように配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流路内の液体を加熱して発泡させ、発生気泡を利用して液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出方法及び記録装置に関するものである。
従来から液体吐出装置は、微細加工、実験分析、画像形成等の様々な分野で応用されているが、ここではインクジェットによる記録方法を例にとって説明する。
インク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。
このようなインクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般にインクを飛翔インク滴として吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のインクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。例えば、特公昭61−59911号、特公昭61−59912号、特公昭61−59913号、特公昭61−59914号の各公報には、エネルギー発生手段として電気熱変換体を用い、電気パルス印加によってこれが発生する熱エネルギーをインクに作用させてインクを吐出させる方法が開示されている。
上記各公報に開示されている記録方法は、熱エネルギーの作用を受けたインクに気泡が発生し、この気泡の急激な膨張に基づく作用力によって、記録ヘッド部先端の吐出口よりインクを吐出し、この吐出インク滴が被記録媒体に付着して画像形成を行なうものである。この方法によれば記録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができるので、高解像度、高品質の画像を高速で記録することができ、この方法を用いた記録装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどにおける情報出力手段として用いることができる。
このインクジェット記録方式においては、上述のように電気熱変換体すなわち液体を加熱するための発熱体素子が必要であり、従来は薄膜抵抗体を流路内の壁面に設置し、該薄膜抵抗体の2辺に電気パルスを印加するための電極を接続したものが用いられていた。
しかしながら、上記したように薄膜抵抗体を壁面に設置した場合は、該薄膜抵抗体で発生した熱エネルギーが、かなりの割合で壁面に散逸してしまう場合があった。これにより、熱エネルギーを発泡のエネルギーに変換する効率が低下し、消費電力が大きくなってしまう場合があった。この問題点を解決するために、特開昭55−57477ならびに特開昭62−94347号公報には、発熱体素子を部分的に流路内の空間に空中に延在させて設け、これにより発熱体素子からプリントヘッド本体乃至は基板に熱が散逸されることを極力防止し、発熱体で発生した熱エネルギーを効率良く発泡のエネルギーに変換することにより、消費電力を低減させる装置が開示されている。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59913号公報 特公昭61−59914号公報 特開昭55−57477号公報 特開昭62−94347号公報
しかしながら、熱エネルギーを発泡エネルギーに変換する効率を改善した上記従来技術では、以下に説明する問題点があった。
図7に示すように、特開昭62−94347号では、発熱体素子701の主として発泡する面(最も面積が広い面)が液体の吐出方向に対して垂直に配置されている。この場合、発熱体素子701の液滴吐出口702側では、液体の慣性(動きにくさ)が小さいので、気泡703は液滴吐出口702に向かって膨張する。一方、発熱体素子701の液滴吐出口702と反対の側では液体の慣性が大きいので、気泡は704は、ほとんど膨張することができない。したがって、上記従来技術では、気泡703は液体の吐出に寄与するが、気泡704は液体の吐出にほとんど寄与しないので、発生した気泡のエネルギーを最終的な吐出する液滴705の運動エネルギーに変換する効率は改善できていない。また特開昭55−57477では、発熱体を支持する部分が、気泡と吐出口の間に立ちふさがる構成となっており、発生した気泡のエネルギーが有効に活用されていない。すなわち、従来技術においては、発熱体で発生した熱エネルギーを気泡のエネルギーに変換する効率に関しては考慮されているが、気泡のエネルギーを最終的な液体吐出のエネルギーに変換するための効率については考慮されていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、発熱体素子で発生した熱エネルギーを効率良く気泡のエネルギーに変換し、さらに該気泡のエネルギーを効率良く最終的な液体吐出のエネルギーに変換することが可能な液体吐出ヘッドを提供することであり、さらには消費電力が低い記録装置を提供することである。
本発明は上記課題を解決するため、流路内の液体を加熱して発泡させ、発生気泡を利用して液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出方法および記録装置を以下のように構成したことを特徴とするものである。
すなわち、本発明の液体吐出装置は、液体を加熱して発泡させ、発生気泡を利用して液体を吐出するヘッドにおいて、液滴吐出口と、該液滴吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持して前記流路内に配置した発熱体を備え、前記発熱体を、該発熱体の主として気泡が発生する面と液体が吐出する方向が略平行となるように配置したことを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体の形状が平板であることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体の両面で気泡が発生することを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体の両面で同時に気泡が発生することを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、発生した気泡が前記液滴吐出口近傍で外気と連通することを特徴としている。
本発明の液体吐出方法は、発熱体を流路の内壁面より浮かせた状態で、液体の吐出方向を塞がないように支持し、発熱体の主として気泡が発生する面を液体の吐出方向と略平行に配置し、前記発熱体で液体を加熱して、発生した気泡を利用して液体を吐出することを特徴としている。
また、本発明の液体吐出方法は、前記発熱体が平板形状であることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出方法は、前記発熱体の両面で気泡を発生させることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出方法は、前記発熱体の両面で気泡を同時に発生させることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出方法は、発生した気泡が前記液滴吐出口近傍で外気と連通することを特徴としている。
本発明の記録装置は、液体を加熱して発泡させ、発生した気泡を利用して液体を吐出するヘッドを有する記録装置において、液滴吐出口と、該液滴吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持して前記流路内に配置した発熱体を備え、前記発熱体を、該発熱体の主として気泡が発生する面と液体が吐出する方向が略平行となるように配置したことを特徴とする液体吐出ヘッドを有する記録装置である。
また、本発明の記録装置は、複数の液体吐出ヘッドを備え、各発熱体に電気信号を供給する手段を備えたことを特徴としている。
以上説明したように、本発明の液体吐出装置型吐出ヘッドでは、発熱体素子を流路内壁から浮かせた状態で支持することで、発熱体で発生した熱が基板に散逸するのを防ぎ、さらに、発熱体を液体の吐出方向を塞がないように支持し、液体の吐出方向に対して発熱体の発泡面を平行に配置することにより、気泡のエネルギーを効率良く液体の吐出エネルギーに変換することができる。これにより、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して消費電力が低い吐出装置を提供することが可能となった。
本発明の液体吐出ヘッドでは、液体が満たされた流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持して発熱体を設置することにより、ヘッド本体や基板への熱の散逸を防止することができ、発熱体で発生した熱エネルギーを効率良く発泡エネルギーに変換することができる。また、発熱体の主として気泡が発生する面(以下、発泡面と記述する。)を、液体の吐出方向に対して略平行に配置し、さらに吐出方向を塞がない支持構造にすることにより、発生した気泡のエネルギーを、効率良く液体吐出のエネルギーに変換することが可能となる。発熱体の支持構造は、液体の吐出口方向を塞がないようにするのであれば、両持ち梁状でも片持ち梁状でも良い。発熱体の形状は、平板形状とした場合に特に効率の損失が小さいが、これ以外の形状であっても良い。発泡面は、平板形状の発熱体の場合、最も面積が広い面であることが多い。発泡面が平板の他の面となる場合や平板形状以外の発熱体を用いる場合でも、発泡面を吐出方向と略平行にすれば良い。
また、本発明の液体吐出ヘッドでは、平板形状の発熱体を用いた場合に、発熱体の面積が最も広い面を発泡面とし、その両面に気泡を発生させることにより、従来技術の壁面に設置され発熱体と比較して、気泡の体積が約2倍となり液体の吐出エネルギーを向上させることができる。もしくは、従来技術と比較して少ない消費電力で同等の吐出エネルギーを得ることができる。
また、本発明の液体吐出ヘッドでは、平板形状の発熱体を用いた場合に、発熱体の面積が最も広い面を発泡面とし、その両面に同時に気泡を発生させることにより、吐出特性を安定させることができる。発熱体両面で、同時に気泡を発生させるためには、例えば、発熱体を膜沸騰が生じる温度まで急速に加熱すれば良い。これにより、発熱体の温度は短時間で一様に発泡温度以上に上昇するので、発熱体両面での発泡時間のばらつきが小さくなり、発熱体両面で同時に気泡を発生させることができる。
また、本発明の液体吐出ヘッドでは、発生した気泡を液滴吐出口近傍で外気と連通させることにより、吐出する液体の体積が一定となり、液体の吐出特性を安定させることができる。気泡と外気を連通させるためには、例えば、発熱体素子と液滴吐出口の距離を短くする、駆動電圧を大きくすることにより気泡の体積を大きくする等の方法が挙げられる。
また、本発明の記録装置は、上記した記録ヘッドを複数備えることにより高速な記録が可能となり、さらに記録ヘッドの各発熱体に膜沸騰を生じさせる電気信号を供給する手段を備えることにより安定した記録が可能となる。
また本発明の記録装置では、上記した液体吐出方法を用いて液体を吐出することにより、高解像度・高速印字が可能で高品位な記録を実現することが可能となる。
以下に具体的な実施例を示すが、基板、天板、流路、発熱体、液滴吐出口等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。
以下、実施例を用いて本発明を、より詳細に説明する。
(第1実施例)
図1に示したインクジェットヘッドを設計、作製した。本実施例の吐出ヘッドは、単結晶シリコン基板101上に流路102となる溝をエッチングにより形成し、不純物を導入して導電性を持たせたpoly−Siの両面にSi34よりなる保護層(不図示)を形成した平板形状の発熱体素子103を溝に対して両持ち梁状となるように配置し、該発熱体素子の両端に電極(不図示)を形成し、流路102となる溝を形成した単結晶シリコンよりなる天板104を前記基板に張合わせ、液体供給口105および先細形状の液滴吐出口106を形成したものである。前記発熱体素子103の各面のうち、最も面積が広い面において気泡は主として発生する。図1に示した通り、発熱体素子103の各面のうち最も面積が広い面、すなわち気泡が主として発生する面(以下、発泡面と記述する。)は、液体吐出方向に対して平行となるように配置されている。吐出ヘッドの各部の寸法は、図1に示した通りである。
次に、図2を用いて、本実施例の吐出ヘッドの液体吐出原理を説明する。流路201が液体202に満たされた状態(図2(a))で、発熱体素子203の両端に形成された電極(不図示)に、パルス電圧を印加することにより、発熱体の温度を、膜沸騰が生じる温度(300℃以上)まで急速に上昇させる。これにより、発熱体の気泡面の両面に、同時に気泡204が発生し、急激に膨張を始める(図2(b))。さらに気泡は膨張を続け、液滴を液滴吐出口205側に押し出す(図2(c))。さらに気泡が膨張すると、独立した液滴206が形成され、液滴吐出口から吐出する(図2(d))。その後、液滴に取り込まれずに流路内に残った液体は、液体供給口207側の液体と合体して初期状態に戻る(図2(e))。
この吐出ヘッドに、C.I.フードブラック23.0重量%、ジエチレングリコール15.0重量%、N−メチル−2−ピロリドン5.0重量%、イオン交換水77.0重量%よりなる各配合成分を容器中で撹拌し、均一に混合溶解させた後、孔径0.45μmのポリフッ化エチレン系繊維製フィルタで濾過して得た粘度2.0cps(20℃)のインクを流路に供給し吐出を試みた。
吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、電圧9.0V、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、発熱体を加熱するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、発泡状況および吐出したインクを観察した。吐出方向から発泡状況を観察したところ、パルス電圧を印加し始めてから2.2μsec後に、発熱体の両面で気泡が生じていることが確認できた。また、吐出されたインク液滴をインクの吐出方向に対して垂直な方向から観察したところ、インク液滴の投影形状から概算したインク液滴の体積は、約2.0×104(μm)3であり、インク液滴の平均速度は、約11.0m/sであった。
本実施例の吐出ヘッドでは、発熱体を流路の内壁面から浮かせた状態に支持してあるので、該発熱体で発生した熱は、基板(もしくは天板)に散逸せず、その殆どが気泡の発生に利用される。さらに、発熱体を液体の吐出方向を塞がないように支持し、発熱体の発泡面が液体の吐出方向に対して平行に配置されているので、図7に示した従来技術と異なり、発生した気泡のエネルギーは、効率良く液体の吐出エネルギーに変換される。
(第2実施例)
図3に示したインクジェット吐出ヘッドを設計作製した。本実施例の吐出ヘッドは、単結晶シリコン基板301上に、両端に電極(不図示)を備え不純物を導入して導電性を持たせたpoly−Siの両面にSi34よりなる保護層(不図示)を形成した平板状の発熱体素子302を、基板301に対して発熱体302の発泡面が垂直になるように形成し、さらに基板301上にエポキシ系樹脂で形成したスペーサー303を張合わせ、円形の液体吐出口304を形成したガラスよりなる天板305をスペーサー303に張合わせ、流路306を形成したものである。前記発熱体素子は、図3に示した通り、その発泡面が液体吐出方向に対して、平行となるように配置されている。吐出ヘッドの各部の寸法は、図3に示した通りである。
本実施例の液滴吐出原理は、流路と液滴吐出口の相対位置が異なることを除いて、第1実施例と同じである。
本実施例の吐出ヘッドを用いて、第1実施例と同様のインクを吐出した。吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、電圧9.0V、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況を、実施例1と同様にパルス光源と顕微鏡を用い観察したところ、パルスをかけ始めてから2.2μsec後に、発熱体の両面で気泡が生じていることが確認できた。また吐出されたインク液滴の投影形状から概算したインク液滴の体積は、約2.0×104(μm)3であり、インク液滴の平均速度は、約11.0m/sであった。
本実施例の吐出ヘッドでは、発熱体は流路内に直立した状態で配置しているため、該発熱体で発生した熱は、基板(もしくは天板)に散逸せず、その殆どが気泡の発生に利用される。さらに、発熱体を液体の吐出方向を塞がないように支持し、発熱体の発泡面が液体の吐出方向に対して平行に配置されているので、図7に示した従来技術と異なり、発生した気泡のエネルギーは、効率良く液体の吐出エネルギーに変換される。
(比較例)
比較のため、図4に示したインクジェット吐出ヘッドを設計、作製した。本実施例の吐出ヘッドは、基板401上に、流路407となる溝を有するスペーサー402を形成し、スペーサー402の溝に架かる両持ち梁状の発熱体素子403を形成し、さらに流路407となる溝を有するスペーサー404を形成し、円形の液体吐出口405を有する天板406を張合わせたものである。吐出ヘッドの各部の寸法は、図3に示した通りである。流路、液滴吐出口の材質、形状および寸法、発熱体素子の発泡面の面積は、第2実施例の吐出ヘッドと同じである。
本比較例の吐出ヘッドと第2実施例の吐出ヘッドの大きく異なる点は、第2実施例の吐出ヘッドは、液滴の吐出方向に対して発熱体の発泡面が平行に配置されているのに対して、本比較例では従来技術と同様に、発熱体の発泡面が液滴の吐出方向に対して垂直に配置されている点である。
この吐出ヘッドを用いて、第2実施例と同じインクの吐出を試みた。吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、第2実施例と同様に電圧9.0V、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。その結果、吐出されたインク液滴の投影形状から概算したインク液滴の体積は、約1.7×104(μm)3であり、インク液滴の平均速度は、約9.6m/sであった。
本比較例では、従来技術の項で説明した様に、発熱体の液滴吐出口側で発生した気泡のエネルギーは、液滴の吐出に寄与するが、発熱体の液滴吐出口と逆側で発生した気泡は、ほとんど液滴の吐出に寄与しない。したがって、最終的なインク液滴の運動エネルギーは、第2実施例と比較して約6割に減少した。
(第3実施例)
本実施例では、図5に示したインクジェット吐出ヘッドを設計、作製した。本実施例のインクジェット吐出ヘッドは、発熱体素子503の吐出口側端面から吐出口506までの距離Lを、第1実施例では60μmであったのに対して、20μmと短くしたことを特徴とする。それ以外の発熱体の材質および寸法、流路の形状については、第1実施例のインクジェット吐出ヘッドと同様である。
次に、図6を用いて、本実施例の吐出原理について説明する。流路601が液体602に満たされた状態(図6(a))で、発熱体素子603の両端に形成された電極(不図示)に、パルス電圧を印加することにより、発熱体の温度を、膜沸騰が生じる温度(300℃以上)まで急速に上昇させる。これにより、発熱体の発泡面の両面に、同時に気泡604が発生し、急激に膨張を始める(図6(b))。さらに気泡は膨張を続け、液滴を吐出口605側に押し出す(図6(c))。さらに気泡が膨張すると、気泡は吐出口近傍で大気と連通し、安定に独立した液滴606が形成され、吐出口から吐出する(図6(d))。その後、吐出口側に形成された空隙には、液体供給口607側の液体の表面張力と流路を形成する部材との濡れによって、液体が吐出口側に供給され初期状態に戻る(図6(e))。
この吐出ヘッドを用い、第1実施例と同様のインクを液室に供給し吐出を試みた。
吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、電圧9V、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、発熱体を加熱するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら吐出したインクを観察した。その結果、液滴の体積のばらつき、速度のばらつきが小さくなり、第1実施例と比較して安定した吐出が可能であることが判明した。
本実施例の吐出ヘッドでは、気泡が大気と連通することにより、吐出される液滴の体積が常に一定となり、安定した吐出を行うことが可能となる。
また、第2実施例の吐出ヘッドの発熱体素子と液滴吐出口の距離を短くすることにより、気泡と大気を連通させた場合でも、本実施例と同様の効果が得られることは明らかである。
また、本実施例においては、発熱体素子と液滴吐出口の距離を短くすることにより、気泡と大気を連通させたが、これ以外の方法、例えば駆動電圧を大きくすることにより気泡の体積を大きくする等の方法によって、気泡と外気を連通させても本実施例と同様の効果を得ることが可能である。
(第4実施例)
第3実施例のインクジェット吐出ヘッドを複数装備し、発熱体駆動用回路を備え、該吐出ヘッドと被記録媒体とを所望の間隔で対向させるための支持体と、入力された情報に応じて、該吐出ヘッドと被記録媒体との相対位置を変化させるための機構を有する記録装置を作製した。本実施例の記録装置は、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して消費電力が低かった。
本発明の第1実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本発明の第1実施例のインクジェット吐出ヘッドの吐出原理を示す図。 本発明の第2実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 比較例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本発明の第3実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本発明の第3実施例のインクジェット吐出ヘッドの吐出原理を示す図。 従来技術のインクジェット吐出ヘッドを示す図。
符号の説明
101 基板
102 流路
103 発熱体素子
104 天板
105 液体供給口
106 液滴吐出口
201 流路
202 液体
203 発熱体素子
204 気泡
205 液滴吐出口
206 液滴
207 液体供給口
301 基板
302 発熱体素子
303 スペーサー
304 液滴吐出口
305 天板
306 流路
401 基板
402 スペーサー
403 発熱体素子
404 スペーサー
405 液滴吐出口
406 天板
407 流路
503 発熱体素子
506 液滴吐出口
601 流路
602 液体
603 発熱体素子
604 気泡
605 液滴吐出口
606 液滴
607 液体供給口
701 発熱体素子
702 液滴吐出口
703 気泡
704 気泡
705 液滴

Claims (12)

  1. 液体を加熱して発泡させ、発生気泡を利用して液体を吐出するヘッドにおいて、液滴吐出口と、該液滴吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持して前記流路内に配置した発熱体を備え、前記発熱体を、該発熱体の主として気泡が発生する面と液体が吐出する方向が平行となるように配置したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記発熱体の形状が平板であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記発熱体の両面で気泡が発生することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記発熱体の両面で同時に気泡が発生することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 発生した気泡が前記液滴吐出口近傍で外気と連通することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 発熱体を流路の内壁面より浮かせた状態で、液体の吐出方向を塞がないように支持し、発熱体の主として気泡が発生する面を液体の吐出方向と平行に配置し、前記発熱体で液体を加熱して、発生した気泡を利用して液体を吐出することを特徴とする液体吐出方法。
  7. 前記発熱体が平板形状であることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出方法。
  8. 前記発熱体の両面で気泡を発生させることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出方法。
  9. 前記発熱体の両面で気泡を同時に発生させることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出方法。
  10. 発生した気泡が前記液滴吐出口近傍で外気と連通することを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の液体吐出方法。
  11. 液体を加熱して発泡させ、発生した気泡を利用して液体を吐出するヘッドを有する記録装置において、液滴吐出口と、該液滴吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路の内壁面より浮かせた状態で液体の吐出方向を塞がないように支持して前記流路内に配置した発熱体を備え、前記発熱体を、該発熱体の主として気泡が発生する面と液体が吐出する方向が平行となるように配置したことを特徴とする液体吐出ヘッドを有する記録装置。
  12. 複数の液体吐出ヘッドを備え、各発熱体に電気信号を供給する手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
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