JP2006198831A - 液体吐出ヘッドおよび該ヘッドを用いた記録装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび該ヘッドを用いた記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出時のヘッドの昇温を低減させることにより、印字中の吐出待機時間を減少させ、印字スピードを向上させることを目的とする。
【解決手段】 吐出口と、前記吐出口と連通する液流路と、前記液流路内に発熱体を有し、前記発熱体を加熱することにより、気泡を発生させ、気泡による圧力を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記発熱体は面状でかつ支持部材で固定されており、前記発熱体の両面が液体で覆われていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【選択図】 図3

Description

本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐出ヘッド、及び記録装置に関する。
従来から液体吐出装置は、微細加工、実験分析、画像形成等の様々な分野で応用されているが、ここではインクジェットによる記録方法を例にとって説明する。
インク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。
このようなインクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般にインクを飛翔インク滴として吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のインクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。例えば、特公昭61−59911号、特公昭61−59912号、特公昭61−59913号、特公昭61−59914号の各公報には、エネルギー発生手段として電気熱変換体を用い、電気パルス印加によってこれが発生する熱エネルギーをインクに作用させてインクを吐出させる方法が開示されている。
上記各公報に開示されている記録方法は、熱エネルギーの作用を受けたインクに気泡が発生し、この気泡の急激な膨張に基づく作用力によって、記録ヘッド部先端の吐出口よりインクを吐出し、この吐出インク滴が被記録媒体に付着して画像形成を行なうものである。この方法によれば記録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができるので、高解像度、高品質の画像を高速で記録することができ、この方法を用いた記録装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどにおける情報出力手段として用いることができる。
このインクジェット記録方式においては、上述のように電気熱変換体すなわち液体を加熱するための発熱体が必要であり、従来は薄膜抵抗体を流路内の壁面に設置し、該薄膜抵抗体の2辺に電気パルスを印加するための電極を接続したものが用いられていた。
しかしながら、上記したように薄膜抵抗体を壁面に設置した場合は、該薄膜抵抗体で発生した熱エネルギーが、かなりの割合で壁面に散逸してしまう場合があった。これにより、熱エネルギーを発泡のエネルギーに変換する効率が低下し、消費電力が大きくなってしまう。この問題点を解決するために、特開昭55−57477号公報においては、発熱体を部分的に流路内の空間に空中に延在させて設け、これにより発熱体からプリントヘッド本体乃至は基板に熱が散逸されることを極力防止し、発熱体で発生した熱エネルギーを効率良く発泡のエネルギーに変換することにより、消費電力を低減させる装置が開示されている。
また特開昭62−94347号公報では、発熱体面上のヘッド形態についても開示している。更に、発熱体が梁形状の場合、発熱体又は発熱体支持部分を線膨張係数の違う材料による多層構造として、発熱時におけるバイモルフ効果から発熱部を振動屈曲させ、インクに運動量を付与してインク滴の形成に寄与させるものも開示している。
特開昭55−57477号公報 特開昭62−94347号公報
しかしながら、熱エネルギーを発泡エネルギーに変換する効率を改善するために、発熱体を部分的に流路内の空間に空中に延在させて設けた上記従来技術では以下に説明する問題点があった。
図1(特開昭55−57477)では、電極部101が気泡102と吐出口103の間に立ちふさがる構成となっている。この場合、電極部側の気泡102は液体の慣性(動きにくさ)が大きくなり、気泡102は反対側の気泡104に比べてあまり膨張することができない。また、発熱体保護膜の表面粗さ、膜厚の差などにより、主として発泡する面における気泡102と気泡104の発生タイミングがわずかに異なる場合もある。実際の気泡発生時には瞬間的に数10気圧程度の圧力が発生することを考慮すれば、気泡の膨張度合い、気泡の発生タイミングが異なると発熱体両面での圧力差は10気圧以上にも達し得る。そのため、発熱体が破壊してしまったり、繰り返し加わる応力により発熱体の耐久性が著しく劣化してしまうことがある。
次に図2(特開昭62−94347号)では、発熱体201が発泡する気泡202の方向へ屈曲している。しかし、気泡発泡時における気泡のエネルギーを考慮した場合、発泡時の衝撃は気泡202の進行方向(この場合液滴吐出方向)とは逆方向へかかる。ということは、この場合のように発泡衝撃に対向するように屈曲すると、発泡衝撃は特開昭55−57477に比べて大きくなり、発熱体201が破壊してしまったり、もしくは繰り返し加わる応力により発熱体の耐久性が著しく劣化してしまうこととなる。
すなわち上記従来技術においては、発熱体で発生した熱エネルギーを気泡のエネルギーに変換する効率に関しては考慮されているが、気泡のエネルギーによる発泡衝撃を緩和、解消できる発熱体形状、構造についての考慮がなされていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、発熱体で発生した熱エネルギーを効率良く気泡のエネルギーに変換することが可能な液体吐出ヘッドを提供することであり、さらには消費電力が低くかつ長時間安定動作可能な記録装置を提供することである。
本発明は上記課題を解決するため、流路内の液体を加熱して発泡させ、発生気泡を利用して液体を吐出する液体吐出ヘッド、および記録装置を以下のように構成したことを特徴とするものである。
すなわち、本発明の液体吐出装置は、液体を加熱して気泡を発生させ、発生する気泡により生じる圧力を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出口と、該液体吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路内に配置した面状発熱体を備え、該面状発熱体の両面に気泡を発泡させることを特徴とし、該面状発熱体もしくは該発熱体支持部が、発泡衝撃を緩和するように弾性変形することを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体が平板形状であることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体が前記流路に片持ち梁構造であることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体が前記流路に両持ち梁構造であることを特徴としている。
また、本発明の液体吐出装置は、前記発熱体の両面で、気泡が同時に発生することを特徴としている。
本発明の記録装置は、液体を加熱して気泡を発生させ、発生する気泡により生じる圧力を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出口と、該液体吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路内に配置した面状発熱体を備え、該面状発熱体の両面に気泡を発泡させることを特徴とし、該面状発熱体もしくは該発熱体支持部が、発泡衝撃を緩和するように弾性変形する液体吐出ヘッドを有することを特徴としている。
また、本発明の記録装置は、複数の液体吐出ヘッドを備え、各発熱体面に膜沸騰を生じさせる電気信号を供給する手段を備えたことを特徴としている。
次に、気泡発生、気泡成長、気泡発泡に至るまでに発熱体にかかる応力の緩和、解消手段について説明する。
気泡発泡時に発熱体にかかる応力は、気泡発生する時の気泡のエネルギーによる発泡衝撃応力である。もし発熱体の発泡する面の周囲における液体の慣性(動きにくさ)の効果が、発熱体面を挟んで発熱体面垂直方向で大きく異なった場合、その衝撃方向は、最も吐出に寄与する気泡の発泡方向とは反対向きである。また発熱体保護膜の表面粗さ、膜厚の差などにより、主として気泡発泡に寄与するいくつかの発熱体面での気泡発泡タイミングのずれや、主として液滴吐出に寄与する気泡発泡が発熱体面の単一面側で生じた場合も、上記同様に発泡衝撃が生じる。
そのため、発熱体もしくは発熱体支持部(導伝部も含む)が、発熱体の主として吐出に寄与する気泡を発泡する面の反対側に弾性変形できる形状を具備することで、気泡発生時の発熱体表面の発泡エネルギーを運動(弾性変形)エネルギーに変換して消費し、発熱体の破損を回避することができる。その際の発熱体の支持構造は、流路に対して両持ち梁状でも片持ち梁状でも良いが、その支持構造の降伏応力が発生する応力以上になるように適宜設計されなければならない。
以上説明したように、本発明の液体吐出装置型ヘッドは、発熱体を流路の内壁に宙空に設置することで、発熱体で発生した熱が基板に散逸するのを防ぎ、また発熱体もしくは発熱体支持部分が、発熱体の最も大きな気泡が発生する面の反対面側に弾性的に変形できる構造を備えたことにより、気泡発生に伴う気泡のエネルギーの衝撃応力から発熱体の破壊、劣化を防ぐことができる。これにより、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して消費電力が低くかつ長時間安定動作可能な記録装置を提供することが可能となった。
本発明の液体吐出ヘッドでは、液体が満たされた流路に対して宙空に発熱体を設置する(流路内の空間に空中に配置する)ことにより、ヘッド本体や基板への熱の散逸を防止することができ、発熱体で発生した熱エネルギーを効率良く発泡エネルギーに変換することができる。また発熱体もしくは発熱体支持部が、吐出に主として寄与する気泡が発泡する面の反対面側に弾性的に変形できる構造を備えたことにより、気泡発生に伴う気泡のエネルギーによる発泡衝撃を運動(弾性変形)エネルギーに変換、消費し、衝撃応力を緩和、解消することができる。その際の発熱体の支持構造は、流路に対して両持ち梁状でも片持ち梁状でも良いが、その支持構造の降伏応力が発生する応力以上になるように適宜設計されなければならない。その際、発熱体全域で一様なる気泡発泡ができるように、発熱体と導伝部との接合形状を形成する必要がある。
発熱体の形状は、平板形状とした場合に特に効率の損失が小さいが、これ以外の形状であっても良い。発泡面は、平板形状の発熱体の場合、最も面積が広い面であることが多い。
また、本発明の液体吐出ヘッドでは、平板形状の発熱体を用いた場合に、発熱体の面積が最も広い面を発泡面とし、その両面に同時に気泡を発生させることにより、吐出特性を安定させることができる。というのも、発熱体にかかる発泡衝撃を緩和・解消するために発熱体が弾性変形しようとしたときに、別の発熱面からその弾性変形を遮る向きに気泡発生することがなく、発熱体が発泡衝撃に挟まれることがなくなるからである。
実際、発熱体両面で、同時に気泡を発生させるためには、例えば、発熱体を膜沸騰が生じる温度まで急速に加熱すれば良い。これにより、発熱体の温度は短時間で一様に発泡温度以上に上昇するので、発熱体両面での発泡時間のばらつきが小さくなり、発熱体両面でほぼ同時に気泡を発生させることができる。もちろん両面で気泡発泡することで、従来技術の壁面に設置された発熱体と比較して、気泡の体積が約2倍となり液体の吐出エネルギーを向上させることができる。もしくは、従来技術と比較して少ない消費電力で同等の吐出エネルギーを得ることができる。
また、本発明の記録装置は、上記した記録ヘッドを複数備えることにより高速な記録が可能となり、さらに記録ヘッドの各発熱体に膜沸騰を生じさせる電気信号を供給する手段を備えることにより安定した記録が可能となる。
以下に具体的な実施例を示すが、基板、天板、流路、発熱体、液滴吐出口等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。
以下実施例を用いて本発明を、より詳細に説明する。
(第1実施例)
図3に示したインクジェット記録ヘッドを設計、作製した。本実施例の吐出ヘッドは、単結晶シリコン基板301に、流路302となる溝を有するエポキシ系樹脂で形成したスペーサー303を形成し、スペーサーの溝に架かる片持ち梁状の導伝部304を有する発熱体305を形成し、さらに流路302となる溝を有するスペーサー306を形成し、円形の液体吐出口307を有する天板308を張合わせたものである。前記発熱体の各面のうち、最も面積の広い面(以下、発泡面と記述する)において気泡は主として発生する。
ここで発熱体は、不純物を導入して導電性を持たせたpoly−Siの両面にSi34よりなる保護層(不図示)を形成した平板形状であり、発泡面は液体吐出方向に対して垂直となるように配置されている。また導伝部は、多量の不純物を導入して金属的導電性を持たせたpoly−Si電極を用い、発熱体に生じる電流密度が略一定になるように導伝部と発熱体の接合を形成してある。吐出ヘッドの各部の寸法は、図3に示した通りである。
次に、図4を用いて、本実施例の吐出ヘッドの液体吐出原理を説明する。流路が液体に満たされた状態(図4(a))で、発熱体の両端に形成された電極に、パルス電圧を印加することにより、発熱体の温度を、膜沸騰が生じる温度(300℃以上)まで急速に上昇させる。これにより、発熱体の発泡面の両面に、同時に気泡が発生し、急激に膨張を始める(図4(b))。その際、液滴吐出口に近い気泡401は、もう一方に比べて液体の慣性が小さいため速やかに気泡成長し、と同時に気泡の進行方向とは反対方向に気泡のエネルギーによる衝撃応力が生じる。そのため、発熱体支持部である導伝部402が液滴吐出口とは反対側に弾性的に歪み始め、発熱体にかかる応力を緩和する。さらに気泡は膨張を続け、液滴403を液滴吐出口404側に押し出す(図4(c))。さらに気泡が膨張すると、独立した液滴が形成され、液滴吐出口から吐出する(図4(d))。液滴が吐出すると発熱体支持部である導伝部が定常位置に戻り、その後、液滴に取り込まれずに流路内に残った液体は、液体供給口405側の液体と合体して初期状態に戻る(図4(e))。
この吐出ヘッドに、C.I.フードブラック23.0重量%、ジエチレングリコール15.0重量%、N−メチル−2−ピロリドン5.0重量%、イオン交換水77.0重量%よりなる各配合成分を容器中で撹拌し、均一に混合溶解させた後、孔径0.45μmのポリフッ化エチレン系繊維製フィルタで濾過して得た粘度2.0cps(20℃)のインクを流路に供給し吐出を試みた。
吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、発熱体を加熱するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、発泡状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。その結果、液滴吐出時において発熱体支持部である導伝部分が、吐出口と反対側へ弾性変形していることが確認された。
本実施例の吐出ヘッドでは、発熱体を流路の内壁面から浮かせた状態に支持してあるので、該発熱体で発生した熱は、基板(もしくは天板)に散逸せず、その殆どが気泡の発生に利用される。更に、該発熱体の導伝部分が弾性変形可能な形状を備えたため、発熱体の破壊及び劣化を防ぐことができた。
(第2実施例)
図5に示したインクジェット記録ヘッドを設計、作製した。本実施例の吐出ヘッドは、単結晶シリコン基板501に、流路502となる溝を有するスペーサー503を形成し、スペーサーの溝に架かる両持ち梁状の導伝部504を有する発熱体505を形成し、さらに流路502となる溝を有するスペーサー506を形成し、円形の液体吐出口507を有する天板508を張合わせたものである。前記発熱体の各面のうち、最も面積の広い面(以下、発泡面と記述する)において気泡は主として発生する。
ここで発熱体は、第1実施例の発熱体の抵抗値に相当するように不純物を導入して導電性を持たせたpoly−Siの両面にSi34よりなる保護層(不図示)を形成した平板形状であり、発泡面は液体吐出方向に対して垂直となるように配置されている。また導伝部は、多量の不純物を導入して金属的導電性を持たせたpoly−Si電極を用い、発熱体に生じる電流密度が略一定になるように導伝部と発熱体の接合を形成してある。吐出ヘッドの各部の寸法は、図5に示した通りである。
次に、本実施例の吐出ヘッドの液体吐出原理を説明する。基本的には図4の吐出原理と同じであるが、この場合の発熱体形状は、発熱体と導伝部両方が弾性的に歪むことができるようになっている。
流路が液体に満たされた状態で、発熱体の両端に形成された電極に、パルス電圧を印加することにより、発熱体の温度を、膜沸騰が生じる温度(300℃以上)まで急速に上昇させる。これにより、発熱体の発泡面の両面に、同時に気泡が発生し、急激に膨張を始める。その際、液滴吐出口に近い気泡は、もう一方に比べて液体の慣性が小さいため速やかに気泡成長し、と同時に気泡の進行方向とは反対方向に気泡のエネルギーによる衝撃応力が生じる。そのため、導伝部と発熱体の前方部の凸型部が液滴吐出口とは反対側に弾性的に歪み始め、発熱体にかかる応力を緩和する。さらに気泡は膨張を続け、液滴を液滴吐出口側に押し出す。さらに気泡が膨張すると、独立した液滴が形成され、液滴吐出口から吐出する。液滴が吐出すると導伝部と発熱体の前方の凸型部が定常位置に戻り、その後、液滴に取り込まれずに流路内に残った液体は、液体供給口側の液体と合体して初期状態に戻る。
本実施例の吐出ヘッドを用いて、第1実施例と同様のインクを吐出した。吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、発熱体を加熱するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、発泡状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。その結果、液滴吐出時において発熱体支持部である導伝部分が、吐出口と反対側へ弾性変形していることが確認された。
(第3実施例)
図6に示したインクジェットヘッドを設計、作製した。本実施例の吐出ヘッドは、単結晶シリコン基板601に、流路602となる溝をエッチングにより形成し、発熱体603の導伝部604を溝に対して片持ち梁状となるように配置し、流路602となる溝を形成した単結晶シリコンによりなる天板605を前記基板に張合わせ、液体供給口606および先細形状の液滴吐出口607を形成したものである。前記発熱体の各面のうち、最も面積の広い面(以下、発泡面と記述する)において気泡は主として発生する。
ここで発熱体は、不純物を導入して導電性を持たせたpoly−Siの両面にSi34よりなる保護層(不図示)を形成した平板形状であり、発泡面は液体吐出方向に対して平行となるように配置されている。また導伝部は、多量の不純物を導入して金属的導電性を持たせたpoly−Si電極を用い、発熱体に生じる電流密度が略一定になるように導伝部と発熱体の接合を形成してある。吐出ヘッドの各部の寸法は、図6に示した通りである。
ただしこの実施例では実際の液滴吐出において、発泡タイミングのずれ、片面発泡に相当する状況を想定して、流路に対し発熱体を強制的に非対称に配置し、液滴吐出を試みている。こうすると、慣性の比が両発泡面において大きく異なるためほぼ片面側で気泡発生、気泡成長し、気泡発泡もほぼ片側でのみの気泡が寄与することになる。そうなると発熱体は実質片側において発泡している状況と等しく、常に気泡のエネルギーの衝撃応力にさらされていることになる。更に本実施例の材料強度は、もしこの構造において弾性変形しない発熱体であった場合、確実に降伏するように設定されている。
次に、本実施例の吐出ヘッドの液体吐出原理は、基本的に図4の吐出原理と同じである。ただし発泡面が液体吐出方向に対して平行となるように配置されている点が異なっている。
本実施例の吐出ヘッドを用いて、第1実施例と同様のインクを吐出した。吐出ヘッドの発熱体の加熱条件を、パルス幅2.5μsec、周波数3kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。すなわち、発熱体を加熱するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、発泡状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。その結果、長時間にわたり安定した吐出が可能であったことから、該発熱体もしくはその支持部分が弾性変形可能な形状を備えることは、発熱体の破壊及び劣化を防ぐことに有効であることが確認された。
本実施例の吐出ヘッドでは、発熱体を流路の内壁面から浮かせた状態に支持してあるので、該発熱体で発生した熱は、基板(もしくは天板)に散逸せず、その殆どが気泡の発生に利用される。更に、発熱体を液体の吐出方向を塞がないように支持し、発熱体の発泡面が液体の吐出方向に対して平行に配置されているので、発生した気泡のエネルギーは効率良く液体の吐出エネルギーに変換される。また、該発熱体の導伝部分が弾性変形可能な形状を備えたため、発熱体の破壊及び劣化を防ぐことができた。
(第4実施例)
第4実施例のインクジェット吐出ヘッドを複数装備し、発熱体駆動用回路を備え、該吐出ヘッドと被記録媒体とを所望の間隔で対向させるための支持体と、入力された情報に応じて、該吐出ヘッドと被記録媒体との相対位置を変化させるための機構を有する記録装置を作製した。本実施例の記録装置は、高解像度・高速印字が可能で、従来と比較して消費電力が低かった。
従来技術のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 従来技術のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本実施例の第1実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本実施例の第1実施例のインクジェット吐出ヘッドの吐出原理を示す図。 本実施例の第2実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。 本実施例の第3実施例のインクジェット吐出ヘッドを示す図。
符号の説明
101 電極部
102 気泡
103 吐出口
104 気泡
201 発熱体
202 気泡
301,501,601 単結晶シリコン基板
302,502,602 流路
303,306,503,506 スペーサー
304,402,504,604 導伝部
305,505,603 発熱体
307,507 液体吐出口
308,508,605 天板
401 発泡面
403 液滴
404,607 液滴吐出口
405 液体供給口
606 液体供給口

Claims (7)

  1. 液体を加熱して気泡を発生させ、発生する気泡により生じる圧力を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出口と、該液体吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路内に配置した面状発熱体を備え、該面状発熱体の両面に気泡を発泡させることを特徴とし、該面状発熱体もしくは該発熱体支持部が、発泡衝撃を緩和するように弾性変形することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記発熱体が平板形状であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記発熱体が前記流路に片持ち梁構造であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記発熱体が前記流路に両持ち梁構造であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記発熱体の両面で、気泡が同時に発生することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 液体を加熱して気泡を発生させ、発生する気泡により生じる圧力を用いて液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出口と、該液体吐出口に連通して配置された液体を満たすための流路と、前記流路内に配置した面状発熱体を備え、該面状発熱体の両面に気泡を発泡させることを特徴とし、該面状発熱体もしくは該発熱体支持部が、発泡衝撃を緩和するように弾性変形する液体吐出ヘッドを有することを特徴とする記録装置。
  7. 更に、複数の液体吐出ヘッドを備え、各発熱体面に膜沸騰を生じさせる電気信号を供給する手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012086574A (ja) * 2011-12-28 2012-05-10 Canon Inc インクジェット記録ヘッド
JP2012206523A (ja) * 2012-08-03 2012-10-25 Canon Inc インクジェット記録ヘッド

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