JP2008149216A - フェライト皮膜形成後における溶液の処理方法 - Google Patents

フェライト皮膜形成後における溶液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フェライト皮膜の形成に使用した溶液の廃棄のために要する処理時間を短縮する。
【解決手段】皮膜形成装置を皮膜形成対象の配管系に接続する(S1)。その配管系の配管内面への化学除染を実施する(S2)。除染終了後、フェライト皮膜形成に用いる皮膜形成水溶液(鉄(II)イオンを含む有機酸溶液、酸化剤及びpH調整剤を含む)の温度調整を行い(S3)、配管内面にフェライト皮膜を形成する(S4)。フェライト皮膜形成後における廃液の処理方法は以下の工程を有する。廃液のpHが6.5以上になるように、pH調整剤(ヒドラジン)を廃液に注入する(S6)。廃液に酸化剤(H)を注入する(S7)。廃液中の鉄(II)イオンがマグネタイトの固形粒子として析出する。この固形粒子をフィルタで除去する(S8)。その後、酸化剤及び触媒を用いて廃液中の有機酸(ギ酸)及びpH調整剤を分解する(S10)。
【選択図】図1

Description

本発明は、フェライト皮膜形成後における溶液の処理方法に係り、特に、原子力発電プラントの構成部材にフィライト皮膜を形成する際に用いた溶液を処理するのに好適なフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法に関する。
例えば、沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWRプラントと略記する。)は、原子炉圧力容器(RPVと称する)内に炉心を内蔵した原子炉を有する。再循環ポンプ(またはインターナルポンプ)によって炉心に供給された冷却水は、炉心内に装荷された燃料集合体内の各燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉からタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮され、水になる。この水は、給水として原子炉に供給される。給水は、原子炉内での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、給水配管に設けられたろ過脱塩装置で主として金属不純物が除去される。
また、放射性腐食生成物の元となる腐食生成物は、RPV及び再循環系配管等の接水部からも発生することから、主要な一次系の構成部材には腐食の少ないステンレス鋼、ニッケル基合金などの不銹鋼が使用されている。また、低合金鋼製のRPVは内面にステンレス鋼の肉盛りが施され、低合金鋼が、直接、炉水と接触することを防いでいる。炉水とは、原子炉内に存在する冷却水である。さらには、炉水の一部を原子炉浄化系のろ過脱塩装置によって浄化し、炉水中に僅かに存在する金属不純物を積極的に除去している。
しかし、上述のような腐食対策を講じても、炉水中における極僅かな金属不純物の存在は避けられないため、一部の金属不純物が、金属酸化物として、燃料集合体に含まれる燃料棒の表面に付着する。燃料棒表面に付着した金属不純物(例えば、金属元素)は、燃料棒内の核燃料から放出される中性子の照射により原子核反応を起こし、コバルト60、コバルト58、クロム51、マンガン54等の放射性核種になる。これらの放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままであるが、一部の放射性核種は、取り込まれている酸化物の溶解度に応じて炉水中に溶出し、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出される。炉水中の放射性物質は、原子炉浄化系によって取り除かれる。しかしながら、除去されなかった放射性物質は炉水とともに再循環系などを循環している間に、構成部材の炉水と接触する表面に蓄積される。その結果、構成部材表面から放射線が放射され、定検作業時の従事者の放射線被曝の原因となる。その従業者の被曝線量は、各人毎に規定値を超えないように管理されている。近年この規定値が引き下げられ、各人の被曝線量を経済的に可能な限り低くする必要が生じている。
そこで、配管への放射性核種の付着を低減する方法、及び炉水中の放射性核種の濃度を低減する方法が様々検討されている。例えば、亜鉛などの金属イオンを炉水に注入して、炉水と接触する再循環系配管内面に亜鉛を含む緻密な酸化皮膜を形成させることにより、酸化皮膜中へのコバルト60及びコバルト58等の放射性核種の取り込みを抑制する方法が提案されている(特許文献1)。
また、冷却水中に放射性核種が溶出ないし放出される状態になる前に、再循環系配管及び原子炉浄化系の浄化系配管の内面に、予め定められた条件で酸化皮膜を形成させることが提案されている(特許文献2)。
しかし、特許文献1における亜鉛などの金属イオンを炉水に注入する方法は、亜鉛自体の放射化を避けるため、高価な同位体分離した亜鉛イオンを運転中に連続注入する必要がある。特許文献2における酸化皮膜を形成させる方法では、例えばBWRの運転温度域(250〜300℃)において酸化皮膜を形成させる必要がある。このような高温雰囲気で酸化皮膜を、例えば、ステンレス鋼の構成部材の表面に形成したとする。形成されたその酸化皮膜は、クロム成分が多い内層、及び内層の外側に位置する、鉄成分の多い外層を含んでいる。外層は結晶の膜構造が必ずしも緻密でないため、炉水中のコバルトなどの放射性核種が外層を通過して内層に取り込まれ易くなるので、構成部材への放射性核種の付着抑制効果が小さくなる。
そこで、より効果的に放射性核種の付着を抑制できる方法として、100℃以下の低温で構成部材の表面にフェライトの緻密な皮膜を形成させる方法が提案されている(特許文献3)。この方法によれば、構成部材の表面に放射性核種の取り込みが少ないフェライト皮膜を成膜できるため、放射性核種の付着を抑制することができる。
特開昭58−79196号公報 特開昭62−95498号公報 特開2006−38483号公報
ところで、特許文献3に記載の方法を用いて、原子力発電プラントの配管等の構成部材の、炉水と接触する表面にフェライト皮膜を形成した後、このフェライト皮膜の形成に用いられた溶液(以下、廃液という。)を浄化して排水する必要がある。すなわち、廃液中には、フェライト皮膜の形成時に生成された粒状物(例えば、鉄酸化物)などに加えて、皮膜の原料となる鉄(II)イオンなどが含まれている。このため、廃液に薬剤を添加して鉄(II)イオンを析出させた後、この析出物を除去する必要がある。しかし、鉄(II)イオンを析出させた廃液をフィルタに通してろ過すると、析出物の大きさによってはフィルタの目詰まりなどを起こして処理時間が長くなるという問題がある。
本発明の目的は、フェライト皮膜の形成に使用した溶液の処理に要する時間を短縮することができるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、鉄(II)イオンを含む第1の薬剤、前記鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化する第2の薬剤、及びpHを調整する第3の薬剤を含み、プラントを構成する金属部材の表面にフェライト皮膜を形成する際に用いた溶液を処理する方法であって、前記溶液を処理する際に、pH調整剤を用いて前記溶液のpHを6.5以上に調整し、その後、前記溶液に酸化剤を供給し、供給された酸化剤と鉄(II)イオンの反応によって生成された固形物を溶液から除去することにある。
フェライト皮膜を形成する際に用いた溶液のpHを6.5以上にして、この溶液に酸化剤を供給するので、溶液に含まれている鉄(II)イオンを固形物として析出させることができる。このため、析出した固形物が溶液から容易に除去できるため、フェライト皮膜形成後における溶液の処理時間を短縮することができる。
好ましくは、固形物を除去する工程の後で、第1の薬剤に含まれている有機酸を分解することが望ましい。固形物を除去した後に有機酸を分解するので、有機酸の分解効率を向上させることができる。これによって、フェライト皮膜形成後における溶液の処理時間をさらに短縮することができる。
本発明によれば、フェライト皮膜の成膜後の廃液処理時間を短縮することができる。
本発明の発明者らは、フェライト皮膜の成膜処理後の廃液中に溶解して存在する鉄(II)イオンを析出させるため、種々の検討を行った。この結果、発明者らは、単に酸化剤を廃液に添加して鉄(II)イオンを酸化させるだけでは、マグネタイト(Fe)及び水酸化第二鉄(Fe(OH))の微細な粒子が析出し、廃液のろ過時間が長くなるという新たな知見を見出した。
この原因について検討してみると、まず、過酸化水素と鉄(II)イオンは、(1)式のフェントン反応により鉄(II)イオンとヒドロキシラジカル及び水酸化物イオンを生じる。ここで、ヒドロキシラジカルは、鉄(II)イオン、ギ酸、ヒドラジン等を酸化して水酸化物イオンになる。さらに、鉄(III)イオンは、(2)式のように未反応の鉄(II)イオンと加水分解を起こして鉄酸化物のマグネタイト(Fe)を生じるか、もしくは、(3)式のように自身で加水分解を起こして水酸化第二鉄を生じる。
Fe2++H → Fe3++OH・+OH ……(1)
2Fe3++Fe2++4HO → Fe+8H ……(2)
Fe3++3HO → Fe(OH)+3H ……(3)
(2)式と(3)式のどちらの反応が優勢になるかは、廃液に含まれる鉄(II)イオンの濃度及び廃液のpHに依存する。どちらの反応が起こっても水素イオンが放出されることから廃液のpHは低下する。フェントン反応とその後のヒドロキシラジカルの還元で生じた水酸化物イオンを合わせて考えると、1モルの鉄(II)イオンから1乃至2モル相当の水素イオンが生じる。
図2に示すように、過酸化水素を廃液に添加すると水素イオンの発生に伴ってpHが約4.5まで低下する。また、鉄−水系における鉄化合物の形態を電位とpHの関係で表した図3に基づけば、廃液のpHが6.5から低pH側へ移行すると、マグネタイトが溶解する領域に入ることが分かる。過酸化水素を添加した廃液(pH4.5)について評価したところ、廃液に含まれる鉄(II)イオンは、マグネタイトではなく、Fe(OH)として析出されていることが分かった。この廃液を目開きが1μmのフィルタでろ過したところ、約20時間を要した。
一方、過酸化水素が添加されるときの廃液のpHが6.5以上となるように予め塩基性のヒドラジンを廃液に加える。このヒドラジンを加えた状態で、当初の鉄(II)イオン濃度の2/3が鉄(III)イオンとなるように過酸化水素を添加したところ、マグネタイトのみが生成されることを見出した。この廃液を上記と同様の方法でろ過したところ、ろ過は約3時間で終了した。
廃液に過酸化水素のみを添加した場合、及び廃液に過酸化水素を添加する前にヒドラジン(N)を添加してpH6.5以上を維持する場合のそれぞれにおける析出鉄濃度の時間変化を、図4に示している。また、その析出粒子の粒径の時間変化を図5に示している。すなわち、廃液のpHを6.5以上とした状態で、鉄(II)イオンと酸化剤を所定の比率で反応させることにより、析出粒子の粒径が水酸化第二鉄よりも大きい鉄酸化物、つまりマグネタイトを析出させることができ、さらにその粒径を短い時間で大きく成長させることができることが分かった。これらの作用により、廃液の除去時間が著しく短縮される。
以上の検討結果から、発明者らは、金属部材の表面にフェライト皮膜を形成する際に用いられた溶液(廃液)を処理にあたって、廃液のpHが6.5を下回らないようにpH調整剤を廃液内に供給し、このpH調整剤が供給された廃液内に酸化剤を供給して廃液内の鉄イオンを固形物として析出させた後、廃液をろ過すればよいという新たな発想に至った。水酸化物イオンの廃液への供給量は、廃液に含まれる鉄(II)イオン濃度の測定値に基づいて調節してもよい。これによれば、例えば、廃液中の鉄(II)イオン濃度の変化に応じてpH調整剤の供給量を調整することができる。また、酸化剤の供給量についても、廃液中の鉄(II)イオン濃度の測定値に基づいて調節してもよい。これによれば、例えば、鉄(II)イオンと鉄(III)イオンを、(2)式に基づいて最適な比率で反応させることができるため、マグネタイトを効率よく生成させることができる。
また、水酸化物イオンと酸化剤の供給量は、廃液のpHを測定し、この測定値に基づいて調節してもよい。これによれば、廃液のpHを容易に管理することができる。
廃液の処理には、pH調整剤として第3の薬剤を使用し、酸化剤として第2の薬剤を使用するとよい。これにより、フェライト皮膜形成に用いる薬剤と廃液処理に用いる薬剤を共通化できるため、薬剤の供給設備をコンパクト化することができる。ここで、第2の薬剤は、例えば、過酸化水素、酸素、オゾンのうち少なくとも一つを含んでいる。第3の薬剤としては、ヒドラジンを用いることができる。つまり、ヒドラジンは、水と反応して水酸化物イオンを生じさせる。
また、金属部材の表面に付着している酸化皮膜を含む汚染物を、過マンガン酸イオンを用いる酸化溶解と有機酸(例えば、シュウ酸)を用いる還元溶解とを繰り返して化学的に除去した後、その金属部材の炉水と接する表面にフェライト皮膜を形成してもよい。ろ過した廃液に含まれる薬剤成分を分解処理し、この分解処理された廃液をイオン交換樹脂に通して排水するようにしてもよい。また、廃液のろ過に用いるフィルタは、目開きが1μm乃至10μmのものを用いることにより、ろ過の処理時間を短縮することができる。
本発明の実施例を、以下に説明する。
本発明の好適な一実施例であるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法を、図を用いて以下に説明する。この処理方法は、BWRプラントに適用したフェライト皮膜の形成に用いた溶液を廃棄処理する一例である。本実施例における、フェライト皮膜形成後における溶液の処理、すなわち、廃液の処理を説明する前に、上記のBWRプラントの概略構成を図6に基づいて、上記の廃液の処理に使用される皮膜形成装置の概略構成を図7に基づいて、それぞれ説明する。図7に示す皮膜形成装置は、フェライト皮膜の形成時にも使用される。
原子力発電プラントであるBWRプラントは、原子炉1、タービン3、復水器4、再循環系、原子炉浄化系及び給水系等を備えている。原子炉1は、炉心13を内蔵する原子炉圧力容器(以下、RPVという)12を有し、RPV12内にジェットポンプ14を設置している。炉心13には多数の燃料集合体(図示せず)が装荷されている。燃料集合体は、核燃料で製造された複数の燃料ペレットが充填された複数の燃料棒を含んでいる。再循環系は再循環系配管22に再循環ポンプ21を設置している。給水系は、復水器4とRPV12を連絡する給水配管10に、復水ポンプ5、復水浄化装置6、給水ポンプ7、低圧給水加熱器8及び高圧給水加熱器9を設置している。原子炉浄化系は、再循環系配管22と給水配管10を連絡する浄化系配管20に、浄化系ポンプ24、再生熱交換器25、非再生熱交換器26及び炉水浄化装置27を設置している。浄化系配管20は、再循環ポンプ21より上流で再循環系配管22に接続される。
RPV12内の冷却水は、再循環ポンプ21で昇圧され、再循環系配管22を通ってジェットポンプ14内に噴出される。周囲に存在する冷却水も、ジェットポンプ14内に吸引され、炉心13に供給される。炉心13に供給された冷却水は、燃料棒内の各燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV12から主蒸気配管2を通ってタービン3に導かれ、タービン3を回転させる。タービン3に連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生ずる。タービン3から排出された蒸気は、復水器4で凝縮され、水になる。この水は、給水として、給水配管10を通りRPV12内に供給される。給水配管10を流れる給水は、復水ポンプ5で昇圧され、復水浄化装置6で不純物が除去され、給水ポンプ7でさらに昇圧され、低圧給水加熱器8及び高圧給水加熱器9で加熱される。抽気配管15で主蒸気配管2、タービン3から抽気された抽気蒸気が、低圧給水加熱器8及び高圧給水加熱器9にそれぞれ供給され、給水の加熱源となる。
再循環系配管22内を流れる冷却水の一部は、浄化系ポンプ24の駆動によって浄化系配管20内に流入し、炉水浄化装置27で浄化される。浄化された冷却水は、浄化系配管20及び給水配管10を経てRPV12内に戻される。
BWRプラントの運転が停止された後、皮膜形成装置30の循環配管35が、再循環系配管22及び浄化系配管20に接続される。皮膜形成装置30は、仮設の設備であり、フェライト皮膜の形成に使用した溶液の処理が終了した後、再循環系配管22及び浄化系配管20から取り外される。皮膜形成装置30は、再循環系配管22の内面へのフェライト皮膜の形成、及びこの皮膜の形成に使用した溶液の処理の両方に用いられる。さらに、皮膜形成装置30は、再循環系配管22内の化学除染を行う際にも用いられる。
皮膜形成装置30の詳細な構成を、図7により説明する。皮膜形成装置30は、サージタンク31、循環配管35、薬液タンク40,45,46、フィルタ51、分解装置64及びカチオン交換樹脂塔60を備えている。上流より、開閉弁47、循環ポンプ48、加熱器53、弁55,56,57、サージタンク31、循環ポンプ32、弁49,33及び開閉弁34が、上流よりこの順に循環配管35に設けられている。加熱器53及び弁55をバイパスする配管66が循環配管35に接続される。冷却器58及び弁59が配管66に設置される。両端が循環配管35に接続され、弁56をバイパスする配管67に、カチオン交換樹脂塔60及び弁61が設置される。両端が循環配管35に接続され、弁56をバイパスする配管68に、混床樹脂塔62及び弁63が設置される。弁57をバイパスし、弁65及び分解装置64が設置される配管69が循環配管35に接続される。分解装置64は、内部に、例えば、ルテニウムを活性炭の表面に添着した活性炭触媒を充填している。弁49をバイパスし、フィルタ51及び弁50が設置される配管71が循環配管35に接続される。弁36及びエゼクタ37が設けられる配管70が、弁33と弁49の間で循環配管35に接続され、さらに、サージタンク31に接続される。化学除染の対象となる配管(例えば、再循環系配管22)の内面の汚染物を酸化溶解するための過マンガン酸、さらには配管内の汚染物を還元溶解するためのシュウ酸をサージタンク31内に供給するためのホッパ(図示せず)がエゼクタ37に設けられている。
鉄(II)イオン注入装置が、薬液タンク45、注入ポンプ43及び注入配管72を有する。薬液タンク45は、注入ポンプ43及び弁41を有する注入配管72によって循環配管35に接続される。薬液タンク45は、鉄をギ酸で溶解して調製した2価の鉄(II)イオンを含む薬剤が充填されている。この薬剤はギ酸を含んでいる。なお、鉄を溶解させる薬剤としては、ギ酸に限らず、鉄(II)イオンの対アニオンとなる有機酸又は炭酸を用いることができる。酸化剤注入装置が、薬液タンク46、注入ポンプ44及び注入配管73を有する。薬液タンク46は、注入ポンプ44及び弁42を有する注入配管73によって循環配管35に接続される。薬液タンク46は、酸化剤である過酸化水素が充填されている。pH調整剤注入装置が、薬液タンク40、注入ポンプ39及び注入配管74を有する。薬液タンク40は、注入ポンプ39及び弁38を有する注入配管74によって循環配管35に接続される。薬液タンク40はpH調整剤であるヒドラジンを充填する。酸化剤注入装置の循環配管35への第1接続点は、鉄(II)イオン注入装置の循環配管35への第2接続点よりも下流であって、pH調整剤注入装置の循環配管35への第3接続点よりも上流に位置している。第3接続点の位置は、循環配管35において、化学除染及びフェライト皮膜形成の対象部位にできるだけ近くにすることが好ましい。弁54を設けた配管75が配管73と配管69を連絡する。サージタンク31は、処理に用いられる水が充填されている。薬液タンク45及びサージタンク31内に、水溶液に含まれる酸素を除去するために、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスをバブリングすることが好ましい。
分解装置64は、鉄(II)イオンの対アニオンとして使用する有機酸(例えば、ギ酸)、及びpH調整剤のヒドラジンを分解できるようになっている。つまり、鉄(II)イオンの対アニオンとしては、廃棄物量の低減化を考慮して水や二酸化炭素に分解できる有機酸、又は気体として放出可能で廃棄物を増やさない炭酸を用いている。
本実施例におけるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法を、図1を用いて詳細に説明する。図1に示す手順は、溶液の処理方法だけでなく、化学除染及びフェライト皮膜の形成も含んでいる。まず、皮膜形成装置30を皮膜形成対象の配管系に接続する(ステップS1)。すなわち、BWRプラントの運転がBWRプラントの定期検査のために停止された後、前述したように、循環配管35が再循環系配管22及び浄化系配管20に接続される。皮膜形成対象の配管系は、例えば、再循環系配管22である。浄化系配管20には弁23が設けられている。この弁23のボンネットを開放して浄化系配管20の炉水浄化装置26側を閉鎖する。弁23のフランジに循環配管35の一端を接続する。循環配管35の他端は、再循環ポンプ21よりも下流で再循環系配管22、例えば、再循環系配管22に接続された枝管(ドレン配管または計装配管などを切り離した枝管)に接続する。このようにして、皮膜形成装置30が再循環系配管22に接続される。なお、再循環系配管22内に供給された除染液及び皮膜形成水溶液がRPV12内に流入しないように、再循環系配管22の両端は、図8に示すように、プラグでそれぞれ封鎖される。
皮膜形成対象箇所に対する化学除染を実施する(ステップS2)。冷却水と接触する、再循環系配管22の内面は、放射性核種を取り込んだ酸化皮膜(汚染物)が形成されている。ステップS2の一例は、化学的な処理により放射性核種を取り込んだ酸化皮膜を、皮膜形成対象箇所である再循環系配管22の内面から取り除く処理である。皮膜形成対象の配管系へのフェライト皮膜の形成は、その配管系への放射性核種の付着抑制を目的とするものであるが、その形成に際してはその配管系の内面に対して予め化学除染を実施しておくことが好ましい。フェライト皮膜を形成する前に皮膜形成対象の金属部材の表面が露出されていればよいので、化学除染の替りに機械的な除染処理を適用することも可能である。
ステップS2で適用する化学除染は、公知の方法(特開2000−105295号公報参照)であるが、簡単に説明する。まず、弁33、34、47、49、55、56、57を開き、他の弁を閉じた状態で、循環ポンプ32、循環ポンプ48を起動して、除染対象となる再循環系配管22内にサージタンク31内の水を循環させる。そして、加熱器53により循環する水の温度を約90℃まで昇温する。所定温度になった後、弁36を開く。配管70内を流れる水により、エゼクタ37につながっているホッパから配管70内に導かれる必要量の過マンガン酸カリウムをサージタンク31が、サージタンク31内に供給される。過マンガン酸カリウムはサージタンク31内で水に溶解し、酸化除染液が生成される。この酸化除染液は、循環ポンプ32の駆動によって循環配管35を通り、浄化系配管20を経て再循環系配管22内に供給される。酸化除染液は、再循環系配管22の内面に形成されている酸化皮膜などの汚染物を酸化して溶解する。
酸化除染液による除染が終了した後、酸化除染液に残留する過マンガン酸イオンを分解するため、上記のホッパからシュウ酸をサージタンク31に注入する。過マンガン酸カリウムが分解した後、還元除染液を用いて、再循環系配管22内面に形成されている酸化皮膜等の汚染物の還元溶解を行う。還元除染液は、シュウ酸を上記のようにサージタンク31内に供給することによって生成される。還元除染液は、循環ポンプ32の駆動によって循環配管35内を流れる。還元除染液のpHを調整するために、弁38を開いて注入ポンプ39を駆動し、薬液タンク40からヒドラジンを循環配管35内に供給する。ヒドラジンを含む還元除染液が、再循環系配管22内に供給され、再循環系配管22の内面を還元除染する。還元除染液を再循環系配管22に供給した後、弁61を開くと共に、弁56の開度を調整して、還元除染液の一部をカチオン交換樹脂塔60に導く。還元除染によって還元除染液に溶出してきた金属陽イオンが、カチオン交換樹脂塔60内のカチオン交換樹脂に吸着され、還元除染液から除去される。
還元除染の終了後、除染液に残存するシュウ酸を分解するため、弁65を開いて弁57の開度を調整し、循環配管35内を流れる還元除染液の一部を分解装置64に供給する。このとき、弁54を開けて注入ポンプ44を駆動し、薬液タンク46内の過酸化水素を、配管75を通して分解装置64に導く。分解装置64は、過酸化水素及び活性炭触媒の作用によって還元除染液に含まれるシュウ酸及びヒドラジンを分解する。シュウ酸及びヒドラジンの分解後、弁55を閉じて加熱器53による加熱を停止させ、同時に、弁59を開けて除染液を冷却器58に供給する。除染液の温度が混床樹脂塔62に通水できる温度(例えば、60℃)まで低下した後、弁61を閉じて弁63を開き、除染液を混床樹脂塔62に供給する。混床樹脂塔62は除染液に含まれる不純物を除去する。
これら一連の昇温から酸化溶解、酸化剤分解、還元溶解、還元剤分解、浄化運転を、例えば2〜3回程度繰り返すことにより、除染対象箇所における金属部材の表面に形成されていた酸化皮膜を含む汚染物を溶解して除去することができる。
このようにして、金属部材の酸化皮膜を含む汚染物を除去した後、フェライト皮膜の形成処理に切り換える。フェライト皮膜の形成方法は、公知であるが(特許文献3参照)、ここでは簡単に説明する。
皮膜形成対象箇所の除染が終了した後、皮膜形成水溶液の温度調整を行う(ステップS3)。皮膜形成対象箇所の除染終了後において、皮膜形成装置30による最後の浄化運転が終了した後、以下の弁操作が行われる。弁50を開いて弁49を閉じ、フィルタ51への通水を開始する。弁56を開いて弁63を閉じることにより、混床樹脂塔62への通水を停止する。さらに、弁55を開いて加熱器53によって循環配管35内の水を所定温度まで加熱する。弁47,57,33,34は開いており、弁36,59,61,65,38,41,42,54は閉じている。フィルタ51への通水は水中に残留している微細な固形物を除去するためである。この固形物が残留していると、皮膜形成対象箇所でのフェライト皮膜の形成の際に、その固形物の表面にもフェライト皮膜が形成され、薬剤が無駄に使用されることになる。上記の固形物の除去によって、皮膜形成水溶液に含まれる薬剤を有効に使用できる。フィルタ51への通水を除染中に実施した場合には、溶解した高い放射能の放射性核種を含む固形物によってフィルタ51の線量率が高くなりすぎる恐れがある。このため、フィルタ51への通水は除染終了後に行う。上記固形物の除去が終了した時点で、弁49を開いて弁50を閉じる。
上記の所定温度は、100℃程度が好ましいが、これに限られない。要は原子炉の運転時に冷却水に含まれる放射性核種が、皮膜形成対象箇所に生成されるフェライト皮膜に取り込まれない程度に、その皮膜の結晶等の膜構造が緻密に形成できればよいのである。したがって、皮膜形成水溶液の温度は少なくとも200℃以下が好ましく、下限は常温でもよいが、皮膜の生成速度が実用範囲になる60℃以上が好ましい。100℃以上では皮膜形成水溶液の沸騰を抑制するため、加圧しなければならず仮設設備の耐圧性が要求されるようになり設備が大型化するため好ましくない。
皮膜形成対象箇所にフェライト皮膜を形成する(ステップS4)。フェライト皮膜を形成させるためには、鉄(II)イオンが皮膜形成対象箇所の金属部材の表面に吸着される必要がある。しかし、皮膜形成水溶液中の鉄(II)イオンは、溶存酸素によって(4)式に従って鉄(III)イオンに酸化される。鉄(III)イオンは、鉄(II)イオンに比べて溶解度が低いため、(5)式に従って水酸化鉄として析出してしまい、フェライト皮膜の形成に寄与しなくなってしまう。そこで、皮膜形成水溶液中の溶存酸素を除去するため、上記したように、不活性ガスのバブリング又は真空脱気を行うことが好ましい。
4Fe2++O+2HO → 4Fe3++4OH ……(4)
Fe3++3OH → Fe(OH) ……(5)
循環配管35内を循環する水の温度が所定温度に達した後、弁41を開いて注入ポンプ43を駆動し、鉄をギ酸で溶解して調製した鉄(II)イオンを含む薬剤を、薬液タンク45から循環配管35内に注入する。続いて、弁42を開いて注入ポンプ44を駆動し、酸化剤の過酸化水素を薬液タンク46から循環配管35内に注入する。過酸化水素は、皮膜形成対象箇所の金属部材の表面に吸着された鉄(II)イオンをフェライト化させる。最後に、弁38を開いて注入ポンプ39を駆動し、ヒドラジンを薬液タンク40から循環配管35内に注入する。鉄(II)イオンを含む薬剤、過酸化水素及びヒドラジンの注入により、循環配管35内の水と共に、循環配管35内で皮膜形成水溶液が生成される。この皮膜形成水溶液が循環配管35を通って再循環系配管22に供給される。皮膜形成水溶液と接触する再循環系配管22の内面でフェライト皮膜の生成反応が生じる。ヒドラジンは、皮膜形成水溶液のpHを反応開始条件となる5.5乃至9.0に調整するために用いられる。皮膜形成水溶液のpHはpH計66によって計測される。制御装置(図示せず)は、pH計測値に基づいて注入ポンプ39の回転速度を制御し、循環配管22内に注入するヒドラジンの注入速度を調整する。これにより、再循環系配管22の内面に、マグネタイトを主成分とするフェライト皮膜(以下、マグネタイト皮膜という。)が形成される。
皮膜形成水溶液内の酸化剤はその水溶液に含まれている鉄(II)イオンの酸化反応を生じさせる。このため、皮膜形成水溶液内での、鉄(II)イオンと鉄(III)イオンの存在比率がフェライト皮膜の生成反応に適した条件となる。ただし、皮膜形成水溶液が酸性である場合には、フェライト皮膜が形成されない。このため、pH調整剤(例えば、ヒドラジン)を添加して皮膜形成水溶液のpHを5.5乃至9.0に調整することによって、フェライト皮膜の生成反応が開始される。したがって、循環配管35の内面への無駄なフェライト皮膜の形成を防止するため、pH調整剤の注入ポイントは皮膜形成対象箇所の近くにするとよい。
薬液の注入を、酸化剤、鉄イオン及びpH調整剤の順番に行った場合には、過酸化水素は温度が高い金属表面で分解し易いので、先に注入される酸化剤の一部が無駄に消費されてしまう。鉄イオン、pH調整剤及び酸化剤の順に注入した場合には、皮膜形成対象箇所でのフェライト皮膜の形成は認められるものの、フェライト皮膜を形成するマグネタイトの粒子が大きくなる。薬剤を有効活用し、より緻密なフェライト皮膜を形成する観点からも、薬液の注入は鉄(II)イオン、酸化剤及びpH調整剤の順に行うことが望ましい。
再循環系配管22内面でのフェライト皮膜の形成が完了した後、使用された皮膜形成水溶液(以下、廃液という)の処理(図1に示すステップS5〜S10の処理)が、皮膜形成装置30内で実行される。廃液の処理を実行している期間において、廃液は、循環ポンプ32の駆動によって循環配管35の一端から再循環系配管22の一端に供給され、再循環系配管22内を通って循環配管35の他端に戻される。弁47を介して循環配管35に戻された廃液は、循環ポンプ48の駆動により、加熱器53、弁55,56,57を通ってサージタンク31に戻される。
その廃液処理工程において、まず、廃液中に残存する鉄(II)イオン濃度を測定する(ステップS5)。再循環系配管22及び皮膜形成装置30内に残存する皮膜形成水溶液中には、例えば、フェライト皮膜の形成に伴い生成されたマグネタイトなどの粒状物、フェライト皮膜の形成に寄与しなかった鉄(II)イオンなどが残留している。マグネタイトなどの粒状物は、ろ過することにより容易に分離して除去できるが、鉄(II)イオンなどは、薬剤を添加して析出させてから分離する必要がある。そこで、廃液中に存在する鉄(II)イオン濃度を測定する。鉄(II)イオン濃度は、サンプリングバルブ76(図7参照)を開いて採取した廃液を例えばo−フェナントロリンを用いた吸光光度法によって測定することができる。
次に、pH調整剤を注入する(ステップS6)。廃液中に存在する鉄(II)イオンは、酸化させ、(1)式及び(2)式に従って生成されるマグネタイト(Fe)として析出させる。鉄(II)イオンが酸化する際には、(3)式の反応も同時に進行し、水酸化第二鉄(Fe(OH))も生成される。しかしながら、本実施例は、鉄(II)イオンを鉄酸化物であるマグネタイトとして高い比率で析出させるようにしている。
すなわち、(1)式〜(3)式によると、鉄(II)イオン1mol当たり1〜2molの水素イオンを生じる。この水素イオンを中和して廃液のpHを低下させないように、鉄(II)イオン濃度の計測値に基づいて所定量の塩基性物質を注入する。ここでは、化学除染及びフェライト皮膜の形成時に用いたヒドラジンを用いる。
このヒドラジンは水中で(6)式の平衡反応を示し、解離定数Kaは、Ka=[N][H+]/[N +]=1.07×10−7となる。そして、ヒドラジンの全濃度[N]は、[N]=[N]+[N +]であるから、ヒドラジンがHを消費した形態となる[N ]の全濃度[N]に占める割合は、[N +]/[N]=[H]/([H]+Ka)となる。
+ = N+H+ ……(6)
過酸化水素を添加後の廃液を例えばpH7に維持しようとすると、添加されたヒドラジンのうち、水素イオンを消費できるのは約半分である。そこで、過酸化水素添加時に生成される水素イオンの量は鉄(II)イオン1mol当たり最大で2molであるので、循環配管35内に注入するヒドラジンは鉄(II)イオン濃度の4倍以上の量となる。ステップS6でのヒドラジンの注入は、廃液を処理する際、具体的には廃液の処理を行っている間、弁38を開けて注入ポンプ39を駆動することにより行われる。ヒドラジンは薬液タンク40から循環配管35内に注入される。ヒドラジンは、廃液のpHが6.5以上になるように注入される。好ましくは、廃液のpHが6.5以上でpH9以下になるようにヒドラジンを注入することが望ましい。
酸化剤を注入する(ステップS7)。(2)式に示すように、鉄(II)イオンと鉄(III)イオンを反応させてマグネタイトを生成し、これを析出させるため、弁42の開度を調整して所定量の過酸化水素を薬液タンク46から循環配管35内に添加する。過酸化水素の添加する所定量は(1)式より、鉄(II)イオン濃度の1倍から2倍となる。ただし、(1)式によって生成されるヒドロキシラジカルが未反応の鉄(II)イオンと反応すれば1倍で良いが、ヒドラジン及び有機酸と反応すると、鉄(III)イオンの生成量が不足してマグネタイトの生成率が低下する。反対に過酸化水素を2倍加えた場合は、鉄(III)イオンの生成量が過剰となり、水酸化第二鉄が多く生成されてしまう。したがって、水酸化第二鉄の生成を抑えて、マグネタイトを生成させるためには、例えば、以下の方法を用いるようにする。
まず、廃液中に、鉄(II)イオン濃度の測定値に基づいて弁42の開度を制御し、その測定値と等量の過酸化水素を添加する。その後、鉄(II)イオン濃度を再度測定し、廃液中に残存している鉄(II)イオン濃度の計測値と等量の過酸化水素を、弁42の開度を制御して循環配管35内を流れる廃液中に加える。このように、過酸化水素を廃液に徐々に添加することによって、マグネタイト生成に対して過不足なく過酸化水素を添加することができる。
ステップS6のヒドラジン注入及びステップS7の過酸化水素注入は、pH計66の計測値を用いて制御装置(図示せず)により弁39,42の開度を制御し、それぞれの注入量を調節してもよい。ステップS7で過酸化水素を注入し始めると、(2)式及び(3)式によってHが生じることにより廃液のpHは低下し始める。このpHの計測値が、例えば、鉄(II)イオンの安定領域が生じるpH6.5以下になった場合には、酸化剤の注入を中断してヒドラジンを例えばpH7になるまで添加し、その後、過酸化水素の注入を再開するようにしてもよい。
廃液中の析出粒子をフィルタで除去する(ステップS8)。ステップS7において、廃液中に溶解していた鉄(II)イオンは、(1)式及び(2)式による反応により、マグネタイトとして析出する。同時に、(3)式の反応によって水酸化第二鉄が僅かに析出することもある。マグネタイト及び水酸化第二鉄の各析出粒子(固形物)はフィルタ51で除去される。すなわち、これらの析出粒子の除去は、過酸化水素の排水への添加と同時に弁50を開けて弁49を閉じ、フィルタ51に廃液を流すことによって行われる。フィルタ51への廃液の供給により、廃液中に析出した析出粒子の濃度は徐々に低下する。
弁49、50及びフィルタ51の皮膜形成装置30内での設置位置は廃液中に生成する析出粒子を除去できれば何処でもかまわない。しかしながら、それらの設置位置は、図7に示すようにサージタンク31の出口側がより好ましい。これは、サージタンク31内における廃液の滞留期間内で析出粒子が成長するため、この析出粒子がフィルタ51で除去され易くなるからである。除去される析出粒子が多くなる分、放射能付着抑制対象部、すなわち、再循環系配管22内に搬送される析出粒子の量が著しく低減される。
目開きが0.05μm以下のフィルタ51を使用することによって、図5に示す結果から、廃液中の析出粒子を完全に除去できることは明らかである。この場合は、フィルタ51がすぐに目詰まりを起こして差圧が上昇するので、フィルタ51の交換頻度が増加し、放射性固体廃棄物となるフィルタ51の量が増加する。図4に示す特性は、目開き1μmのフィルタを使うことにより、確認したものである。目開き1μmのフィルタ51でも、析出粒子を廃液から効果的に除去することができる。すなわち、細かい析出粒子は透過させて、析出粒子が成長して粒径が大きくなってからこの析出粒子をフィルタ51で除去する。これにより、差圧上昇によるフィルタ51の交換頻度を著しく抑制できるので、フィルタ廃棄物の発生量を抑制することができる。但し、目開きがあまり大きすぎると析出粒子の除去効率が悪くなる。目開き10μmのフィルタは析出粒子の除去に20時間程度必要であったことから、フィルタの目開きは1μm乃至10μmであることが望ましい。
廃液に含まれる析出鉄濃度が設定濃度以下であるかを判定する(ステップS9)。廃液に含まれる析出鉄濃度(析出粒子の濃度)が設定濃度(例えば、1ppm)以上であれば、フィルタ51への廃液の供給を継続する。析出鉄濃度は、サンプリングバルブ76を開いて採取した廃液を、例えば原子吸光光度法を用いて測定することができる。その析出鉄濃度が設定濃度よりも小さくなったときには、後述のステップS10で、廃液に含まれる薬剤の分解処理が実行される。
ステップS9の判定が「Yes」のとき、薬剤の分解が実行される(ステップS10)。廃液にはヒドラジン及び有機酸であるギ酸が残存している。ヒドラジン及びギ酸は、ステップS8による析出粒子の除去が終了した後、皮膜形成装置30で分解される。これらの分解は、化学除染でのシュウ酸の分解と同様に、分解装置64を用いて行われる。弁57,65の開度を調整し、廃液の一部を分解装置64に供給する。弁54を開いて、薬液タンク46から配管75を通して過酸化水素が分解装置64に供給される。ヒドラジン及びギ酸は、分解装置64内で過酸化水素及び活性炭触媒の作用により分解される。ヒドラジンは窒素と水に、ギ酸は二酸化炭素と水にそれぞれ分解する。触媒を用いた分解処理装置64の替りに紫外線照射装置を用いることも可能である。紫外線照射装置も、酸化剤の存在下でヒドラジン、ギ酸及びシュウ酸を分解することができる。
ヒドラジン及びギ酸を分解装置64において上記のように気体及び水に分解することによって、カチオン交換樹脂塔60によるヒドラジン及び混床樹脂塔62によるギ酸の除去を回避できるので、これらのイオン交換樹脂の廃棄物量を著しく低減できる。本実施例は、薬剤の分解工程の前のステップS8で廃液から析出粒子を除去しているので、ギ酸及びヒドラジンの分解効率が向上し、これらの分解に要する時間を著しく短縮することができる。本実施例は、イオン交換樹脂及びフィルタ51等の放射性固体廃棄物の発生量を抑制することができ、しかも、フェライト皮膜形成後に発生する皮膜形成水溶液の廃液の処理時間を著しく短縮することができる。
本実施例は、フェライト皮膜の形成後に発生する廃液を処理するにあたって、廃液に含まれた鉄(II)イオンからろ過し易い鉄酸化物である粒子状のマグネタイトを生成して析出させているので、上記したように、廃液の処理時間を短縮することができる。
また、本実施例によれば、皮膜形成対象である構成部材(例えば、再循環系配管22)の冷却水と接触する面に付着している酸化皮膜を含む汚染物を除去した後に、その面にフェライト皮膜を形成しているため、その面にフェライト皮膜を、直接、形成することができる。したがって、その面への放射性核種の付着を効果的に抑制することができる。また、フィルタ51を通した廃液に含まれる薬剤成分を分解処理した後、この廃液をカチオン交換樹脂塔60及び混床樹脂塔62のイオン交換樹脂に通して排水している。このため、使用済のイオン交換樹脂の廃棄物量を低減することができる。
本実施例は、還元除染で使用するシュウ酸の分解、フェライト皮膜の形成及び皮膜形成水溶液の廃液の処理において酸化剤を用い、還元除染、フェライト皮膜の形成及び皮膜形成水溶液の廃液の処理においてpH調整剤を用い、還元除染で使用するシュウ酸の分解及び皮膜形成水溶液の廃液の処理において分解装置64を用いている。このため、酸化剤タンク、pH調整剤タンク及び分解装置64を、化学除染及びフェライト皮膜形成(廃液の処理を含む)で共用することができ、装置構成を単純化することができる。
薬液タンク45内に、鉄を炭酸で溶解して調製した2価の鉄(II)イオンを含む薬剤が充填されている場合には、鉄(II)イオン及び炭酸を含む薬剤がその薬品タンク45から循環配管35内に供給される。このため、皮膜形成水溶液は炭酸を含んでいる。この炭酸を含む皮膜形成水溶液を皮膜形成装置30で処理する場合も、前述したステップS5〜S10の処理を実行することによって、その皮膜形成水溶液をより短時間に処理することができる。
BWRプラントに適用した、本発明の他の実施例であるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法を、図8を用いて以下に説明する。本実施例に用いる図8に示す皮膜形成装置30の構成は、実施例1で用いられる皮膜形成装置30(図7参照)と同じ構成を有している。図8は、皮膜形成装置30の構成の一部が省略されている。本実施例の溶液の処理方法も、実施例1と同様に図1に示すステップS1〜S10の各手順を実行する。
本実施例は、皮膜形成装置30の循環配管35の接続先が、実施例1における皮膜形成装置30の循環配管35の接続先と異なっている。本実施例では、循環配管35の一端が再循環系配管22に接続される枝管80に弁12を介して接続される。循環配管35の他端が再循環系配管22に接続される枝管81に弁13を介して接続される。本実施例も、再循環系配管22が皮膜形成対象箇所である。再循環系配管22の両端は、プラグ28,29によって封鎖される。以上に述べた循環配管35の再循環系配管22への接続、及びプラグ28,29による再循環系配管22の両端の封鎖は、ステップS1で行われる。ヒドラジンを注入する配管74は、格納容器11の内部で皮膜形成対象箇所の近で循環配管35に接続される。ステップS1の終了後、ステップS2〜S10の各手順が実行される。
本実施例において、皮膜形成装置30を再循環系配管22に接続した場合には、再循環系配管22内に2つの自由液面が生じる。皮膜形成水溶液(または除染液)の、再循環系配管22内における液面の高さは、皮膜形成水溶液がRPV12内に入らないように制御する必要がある。しかし、RPV12外のドライウェルでの線量率を低く抑えるためには、その皮膜形成水溶液の水位はできるだけ高くすることが望ましい。これらの自由液面の高さは、循環ポンプ32、48の各吐出流量のバランスを、弁33、47を用いて微妙に調整することにより制御することができる。弁33は、図8に示されていないが、本実施例でも図7に示す位置に設けられている。皮膜形成水溶液の液面近傍ではフェライト皮膜が生成し易いこともあるため、その液面を変動させることにより滞留水となり易い再循環系配管22の上部に位置するライザー管内面にも効率的にフェライト皮膜を形成することができる。本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。
本発明の他の実施例であるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法に用いる皮膜形成装置を、図9を用いて以下に説明する。この皮膜形成装置30Aは、実施例1で用いる皮膜形成装置30に窒素バブリング装置86,89を付加した構成を有する。窒素バブリング装置86はサージタンク31に対して設けられ、窒素バブリング装置89は薬液タンク45に対して設けられている。窒素バブリング装置86は、窒素貯蔵容器82A、酸素貯蔵容器84、供給管87及びガス噴出装置88を有する。ガス噴出装置88は、サージタンク31内に配置され、供給管87に接続される。窒素貯蔵容器82Aは弁83を介して、酸素貯蔵容器84は弁85を介して供給管87にそれぞれ接続される。窒素バブリング装置89は、窒素貯蔵容器82B、供給管90及びガス噴出装置91を有する。ガス噴出装置91は、薬液タンク45内に配置され、供給管90に接続される。窒素貯蔵容器82Bは弁(図示せず)を介して供給管90に接続される。
本実施例における溶液の処理方法も、実施例1と同様に、ステップS1〜S10の各手順が実行される。窒素バブリング装置86,89は、スッテプS4のフェライト皮膜の形成時において、サージタンク31及び薬液タンク45内で、鉄(II)イオンが余分に酸化されるのを防ぐために、弁83等を開いて、窒素貯蔵容器82A,82B内の窒素をガス噴出装置88,91からそれぞれのタンク内の溶液中にパージする。酸素貯蔵容器84からの酸素は、ステップS7において、弁85を開くことによって、酸化剤としてサージタンク31内の溶液中に噴出される。この酸素のバブリングは廃液に含まれている鉄(II)イオンがなくなるまで継続して行われる。その酸素をオゾン含有酸素に替えることも可能である。
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
BWRプラントに適用した、本発明の他の実施例であるフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法を、図10を用いて以下に説明する。本実施例における溶液の処理方法は、実施例1で用いられる図1に示す皮膜形成装置30を用いて行われる。本実施例における溶液の処理方法は、実施例3で用いられる図9に示す皮膜形成装置30Aを用いて行うことも可能である。図10に示された手順は、皮膜形成装置30を用いて行われる本実施例における溶液の処理方法で実施される。この手順は、図1に示す手順、すなわち、ステップS1〜S10にステップS11及びS12を追加したものである。これらのステップS11及びS12はステップS9とステップS10の間で実施される。
ステップS11及びS12を具体的に説明する。ステップS9の判定が「Yes」の場合に、廃液の鉄(II)イオン濃度を判定する(ステップS11)。すなわち、ステップS9の判定が「Yes」になったとき、廃液の鉄(II)イオン濃度を測定する。鉄(II)イオン濃度は、サンプリングバルブ76(図7参照)を開いて採取した廃液を例えばo−フェナントロリンを用いた吸光光度法によって測定することができる。鉄(II)イオン濃度の測定値がカチオン樹脂塔60のイオン交換容量の残量よりも小さいと判定された場合には、カチオン交換樹脂塔60に廃液を供給する(ステップS12)。イオン交換容量の残量は、充填されているカチオン樹脂のイオン交換容量から、カチオン樹脂塔通水時のカチオン濃度から求められるイオン交換当量を差し引いて求めることができる。弁49を開いて弁50を閉じ、フィルタ51への廃液の供給を停止する。併せて、弁61を開いて弁56,61の開度を調節し、廃液をカチオン交換樹脂塔60に供給する。廃液に含まれている鉄(II)イオンはカチオン交換樹脂塔60内のカチオン交換樹脂に吸着されて除去される。廃液から鉄(II)イオンが除去された後に、実施例1で行われる、廃液に含まれた薬剤の分解(ステップS10)が実行される。ステップS11で鉄(II)イオン濃度の測定値がカチオン樹脂塔60のイオン交換容量の残量よりも大きいと判定された場合には、その測定値がイオン交換容量の残量よりも小さくなるまで、ステップS6〜S9の処理が繰り返される。
実施例1は、廃液に含まれる鉄(II)イオンをFe及びFe(OH)の固形粒子として析出させ、フィルタ51で除去してしまうことを目指している。これに対して、本実施例は、鉄(II)イオンをFe及びFe(OH)の固形粒子として析出させてフィルタ51で除去した後、まだ、残存している鉄(II)イオンを、カチオン樹脂塔60を用いて除去する。実施例1は、カチオン樹脂塔60への負荷を出来るだけ減らし、使用済のイオン交換樹脂の発生量、すなわち、放射性固体廃棄物の発生量が減少するという効果を得ている。このため、実施例1は、Fe及びFe(OH)の固形粒子の粒子径が、フィルタ51で捕集できるまで成長するのを待つ必要があるので、廃液の処理に要する時間がその分だけ長くなる。しかしながら、実施例1における廃液の処理に要する時間は、従来よりも著しく短縮されることには変わりがない。本実施例は、フィルタ51でそれらの固形粒子を除去し、その後、廃液に残留する鉄(II)イオンをカチオン交換樹脂塔60で除去している。このため、本実施例は、その残留する鉄(II)イオンがフィルタ51で捕集できる粒子径にそれらの固形粒子が成長を待つ必要がない。本実施例は、実施例1よりも、その分だけ、廃液に残留する鉄分を除去する工程を短くすることができ、廃液の処理に要する時間をさらに短縮することができる。
本実施例は、カチオン交換樹脂塔60を使用するので、その分、実施例1よりも放射性固体廃棄物の量が増加する。しかしながら、除染工程で使用したカチオン樹脂塔60を使えばこの問題を実質的に解消できる。つまり、除染工程で使用するカチオン樹脂塔60では、酸化皮膜の溶解によって発生するカチオン成分数百ppmに対応できるように裕度を持ったカチオン交換容量のカチオン交換樹脂が使用されている。一方、フェライト皮膜の形成において使用する鉄(II)イオン濃度は数百ppm程度である。使用した鉄(II)イオンが全てイオンとして残留している場合には、除染で使用したカチオン樹脂塔60を使用することはできない。本実施例は、ステップS7において酸化剤を用いて廃液に含まれる大部分の鉄(II)イオンをFe及びFe(OH)の固形粒子として析出させてフィルタ51で除去するので、その後の廃液に残留している鉄(II)イオンの濃度が極めて少なくなる。たとえば、その濃度は数十ppmになる。数十ppmの鉄(II)イオンであれば、除染で使用したカチオン樹脂塔60の残りのカチオン交換容量を使って除去することができる。したがって、本実施例では、カチオン交換樹脂の廃棄物量は実質的には増えない。
以上に述べたフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法の各実施例は、金属部材の、冷却水に接する表面へのフェライト皮膜の形成も含めて、BWRプラントのみならず、加圧水型原子力発電プラントにも適用することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法の手順を示すフローチャートである。 フィライト皮膜の形成後に生じる廃液に過酸化水素を添加したときのpHの時間変化を表した特性図である。 鉄−水系における鉄化合物の形態を電位とpHの関係で表した説明図である。 フェライト皮膜の形成後に生じる廃液に過酸化水素のみを添加した場合と、その廃液に、過酸化水素を添加する前にヒドラジン(N)を添加してpH6.5以上を維持する場合のそれぞれにおいて、析出鉄濃度の時間変化を示した特性図である。 フェライト皮膜の形成後に生じる廃液に過酸化水素のみを添加した場合と、その廃液に、過酸化水素を添加する前にヒドラジン(N)を添加してpH6.5以上を維持する場合のそれぞれにおいて、析出粒子の粒径の時間変化を示した特性図である。 図1に示す溶液の処理方法に用いられる皮膜形成装置を接続したBWRプラントの構成図である。 図6に示す皮膜形成装置の詳細な構成図である。 本発明の他の実施例である実施例2のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法における皮膜形成装置と再循環系配管の接続状態を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例3のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法に用いる皮膜形成装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例3のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…原子炉、12…原子炉圧力容器、20…浄化系配管、21…再循環ポンプ、22…再循環系配管、30…皮膜形成装置、31…サージタンク、32、48…循環ポンプ、35…循環配管、39、43、44…注入ポンプ、40、45、46…薬液タンク、51…フィルタ、53…加熱器、60…カチオン交換樹脂塔、62…混床樹脂塔、64…分解装置、66…pH計、86,89…窒素バブリング装置。

Claims (13)

  1. 鉄(II)イオンを含む第1の薬剤、前記鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化する第2の薬剤、及びpHを調整する第3の薬剤を含み、プラントを構成する金属部材の表面にフェライト皮膜を形成する際に用いた溶液を処理する方法であって、
    前記溶液を処理する際に、pH調整剤を用いて前記溶液のpHを6.5以上に調整し、その後、前記溶液に酸化剤を供給し、供給された前記酸化剤と前記鉄(II)イオンの反応によって生成された固形物を前記溶液から除去することを特徴とするフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  2. 前記固形物を除去する工程が、前記固形物の除去の後に行われる、前記溶液からの前記鉄(II)イオンの除去を含んでいる請求項1に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  3. 前記鉄(II)イオンの除去はイオン交換樹脂を用いて行われる請求項1または請求項2に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  4. 前記固形物の除去はフィルタ装置を用いて行われる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  5. 前記固形物を除去する工程の後で、前記第1の薬剤に含まれている有機酸、及び前記第3の薬剤を分解する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  6. 前記有機酸及び前記第3の薬剤の前記分解は、前記酸化剤が供給される分解装置によって行われる請求項5に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  7. 前記分解は、前記分解装置内の触媒の作用により行われる請求項6に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  8. 前記フェライト皮膜の形成前における前記金属部材の前記表面の化学除染に使用された除染液内の有機酸の分解に用いられた分解装置を、前記分解装置として用いる請求項6または請求項7に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  9. 前記酸化剤として前記第2の薬剤を使用し、前記pH調整剤として前記第3の薬剤を使用する請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  10. 処理する前記溶液の鉄(II)イオン濃度を測定し、この鉄(II)イオン濃度の測定値に基づいて、前記pH調整剤及び前記酸化剤の少なくとも一方の、前記溶液への供給量を調節する請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  11. 前記第2の薬剤は過酸化水素、酸素及びオゾンのいずれか一つである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  12. 前記第3の薬剤はヒドラジンである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
  13. 前記フィルタ装置は目開きが1μm乃至10μmである請求項4に記載のフェライト皮膜形成後における溶液の処理方法。
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