JP2008145569A - 感光性平版印刷版材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度で膜付きに優れ、潜像退行性が改善された感光性平版印刷版材料の提供。
【解決手段】支持体上に光重合開始剤、重合可能なエチレン性二重結合含有化合物、高分子結合材を含有する感光層の上層にオーバーコート層を有する感光性平版印刷版材料において、該オーバーコート層が複数層から成ることを特徴とする感光性平版印刷版材料。上記複数のオーバーコート層の最上層が鹸化度96%以上100%未満のポリビニルアルコールを、感光層に隣接する下層が鹸化度70%以上96%未満のポリビニルアルコールを、それぞれ含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は感光性平版印刷版材料に関し、詳しくは高感度で塗布性に優れ、高湿下での潜像退行が改善された感光性平版印刷版材料に関する。
フォトポリマー重合系においては高感度化が重要なファクターであり、高感度化に有利なラジカル重合を利用した感光系が数多く研究、開発されている。しかしながら、ラジカル重合系は酸素による重合阻害を受け易く、露光後、現像までの時間が長くなると潜像退行を生じるため、重合層(感光層)の上に保護層を設けるなどの工夫が行われている(例えば特許文献1,2参照)。又、保護層に使用される素材として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、酸性セルロース類などのような水溶性ポリマーが知られている。
ところが、このような水溶性ポリマーから成る親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生し易く、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。このため、これら2層間の接着力を十分にすることが重要となり、接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば、PVAから成る親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法は、保護層の接着性に対しては有効ではあるが、PVAに対する添加量が比較的多いため酸素遮断機能が低下し、潜像退行性が劣化したり、あるいは露光後、水又はアルカリ水溶液で現像処理をする際、適性現像条件においては水溶性ポリマーが完全に脱落しないことが原因で、インキ着肉不良が発生し易い等の問題があった。即ち、接着性と潜像退行性を同時に改善することは現時点では不可能とされていた。
米国特許第3,458,311号明細書 特開昭55−49729号公報 米国特許第3,717,000号明細書
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、目的とするところは塗布性に優れ、接着性と潜像退行性を同時に改善した感光性平版印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成によって達成される。
1.
支持体上に光重合開始剤、重合可能なエチレン性二重結合含有化合物、高分子結合材を含有する感光層の上層にオーバーコート層を有する感光性平版印刷版材料において、該オーバーコート層が複数層から成ることを特徴とする感光性平版印刷版材料。
2.
前記オーバーコート層の最上層が鹸化度96%以上100%未満のポリビニルアルコールを、感光層に隣接する下層が鹸化度70%以上96%未満のポリビニルアルコールを、それぞれ含有することを特徴とする前記1項記載の感光性平版印刷版材料。
本発明者は、オーバーコート層を形成する素材のPVAについて種々検討の結果、PVAの鹸化度が高いほど酸素を透過し難くなるが、塗布性が悪くなり(膜付き不良の原因)、鹸化度が低いほど塗布性は良くなるが酸素を透過し易くなることを確認し、その両方を満足させるにはオーバーコート層を複数層設ける以外ないとの結論に達し、種々検討の結果、本願を為すに至った。
本発明により、塗布性に優れ、接着性、潜像退行性が共に改善された感光性平版印刷版材料を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(オーバーコート層)
本発明に係る感光層の上側には、複数のオーバーコート層を設ける。3層以上のオーバーコート層を設けることも可能であるが、コストや装置の面から2層構成が好ましい。
オーバーコート層は、水又は水と水混和性有機溶剤との混合溶媒に可溶な水溶性高分子、詳しくは水溶性の有機高分子重合体であることが好ましく、このような有機高分子重合体の具体例としては、加水分解されたポリ酢酸ビニルやポリアクリル酸等;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル部分鹸化物等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;ポリビニルアルコール及びそれが上記のような溶剤可溶性であるために必要とされる未置換ビニルアルコール単位を含むポリビニルアルコールの部分エステル、エーテル及びアセタール;その他、澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミンポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独で或いは混合して用いられるが、これらの化合物の中でも、鹸化度70%以上のポリビニルアルコール(PVA)が好適に用いられる。
本発明における複数のオーバーコート層中、最上層(表面層)が鹸化度96%以上100%未満のPVAを、感光層に隣接する下層が鹸化度70%以上96%未満のPVAを、それぞれ含有することを特徴とする。
オーバーコート層を設ける場合、感光層とオーバーコート層間の剥離力が35mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mN/mm以上、更に好ましくは75mN/mm以上である。好ましいオーバーコート層の組成としては、特開平10−10742号に記載されるものが挙げられる。
上記剥離力は、オーバーコート層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを平版印刷版材料の平面に対して90度の角度でオーバーコート層と共に剥離する時の力を測定することにより求めることができる。
上記剥離力を得るために、水又は水と水混和性有機溶剤との混合溶媒に可溶な接着性付与剤を添加することも好ましく、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋分岐型化合物、i−ブチレン−無水マレイン酸共重合体、変性ポリエステル樹脂水分散物、飽和ポリエステル樹脂水分散物、変性ポリアミド及びポリビニルピロリドン等が挙げられる。
オーバーコート層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記オーバーコート層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥してオーバーコート層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、又はメタノール、エタノール、i−プロピルアルコール等のアルコール類であることが好ましい。
オーバーコート層の膜厚は、最上層、感光層に隣接する下層、共に0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3μmであり、両者が同じ膜厚でも異なってもよい。
以下、本発明の平版印刷版材料の感光層に含有される素材について説明する。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、画像露光により重合可能なエチレン性二重結合含有化合物の重合を開始し得るものであり、光重合開始剤としては、例えばチタノセン化合物、モノアルキルトリアリールボレート化合物、鉄アレーン錯体化合物、ポリハロゲン化合物、ビイミダゾール化合物が好ましく用いられるが、これらの内でも特に鉄アレーン錯体化合物が好ましく用いられる。
鉄アレーン錯体化合物は、重合可能な基を有する化合物に対して0.1〜20質量%の割合で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
鉄アレーン錯体化合物の具体例を以下に示す。
Fe−1:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−2:(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート
Fe−3:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−4:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート
Fe−5:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート
Fe−6:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−7:(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−8:(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−9:(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−10:(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−11:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Fe−12:(η6−ベンゼン)(η5−カルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−13:(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−14:(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−15:(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−16:(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−17:(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Fe−18:(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−19:(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
FE−20:(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−21:(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−22:(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Fe−23:(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
チタノセン化合物としては、特開昭63−41483号、特開平2−291号に記載される化合物等が挙げられるが、更に好ましい具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(IRUGACURE727L:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(IRUGACURE784:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
モノアルキルトリアリールボレート化合物としては、特開昭62−150242号、同昭62−143044号に記載される化合物等が挙げられるが、更に好ましい具体例としては、テトラブチルアンモニウム・ブチル−トリナフタレン−1−イル−ボレート、テトラブチルアンモニウム・ブチル−トリフェニル−ボレート、テトラブチルアンモニウム・ブチル−トリ−(4−t−ブチルフェニル)−ボレート、テトラブチルアンモニウム・ヘキシル−トリ−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−ボレート、テトラブチルアンモニウム・n−ヘキシルートリ−(3−フルオロフェニル)−ボレート等が挙げられる。
ポリハロゲン化合物としては、トリハロゲンメチル基、ジハロゲンメチル基又はジハロゲンメチレン基を有する化合物が好ましく用いられ、特に下記一般式(1)で表されるハロゲン化合物及び上記基がオキサジアゾール環に置換した化合物が好ましく用いられる。
この中でも、更に下記一般式(2)で表されるハロゲン化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(1) R1−C(Y)2−(C=O)−R2
式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノスルホニル基又はシアノ基を表す。R2は1価の置換基を表す。R1とR2が結合して環を形成しても構わない。Yはハロゲン原子を表す。
一般式(2) C(Y)3−(C=O)−X−R3
式中、R3は1価の置換基を表す。Xは−O−、−N(R4)−を表す。R4は水素原子又はアルキル基を表す。R3とR4が結合して環を形成しても構わない。Yはハロゲン原子を表す。これらの中でも、特にポリハロゲンアセチルアミド基を有するものが好ましく用いられる。
又、ポリハロゲンメチル基がオキサジアゾール環に置換した化合物も好ましく用いられる。更に、特開平5−34904号、同5−45875号、同8−240909号に記載のオキサジアゾール化合物も好ましく用いられる。
ビイミダゾール化合物は、ビイミダゾールの誘導体であり、例えば特開2003−295426号に記載される化合物等が挙げられる。
本発明においては、ビイミダゾール化合物として、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI:トリアリール−イミダゾールの二量体)化合物を好ましく用いることができる。HABI類の製造工程はDE1,470,154号に記載されており、そして光重合可能な組成物中でのそれらの使用はEP24,629号、EP107,792号、米国特許4,410,621号、EP215,453号及びDE3,211,312号等に記述されている。
好ましい誘導体は、例えば2,4,5,2′,4′,5′−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,5,2′,5′−テトラキス(2−クロロフェニル)−4,4′−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ジ−o−トリル−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−エトキシフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールおよび2,2′−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾールである。
その他に任意の光重合開始剤の併用が可能である。例えばJ.コーサー(J.Kosar)著「ライト・センシテイブ・システムズ」第5章に記載されるようなカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。更に具体的な化合物は英国特許1,459,563号に開示されている。
光重合開始剤の含有量(光重合開始剤の総量)は重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物に対して、0.1〜20質量%が好ましく0.5〜15質量%が特に好ましい。
(重合可能なエチレン性二重結合含有化合物)
本発明の重合可能なエチレン性二重結合含有化合物は、画像露光された感光層中の光重合開始剤により重合し得るエチレン性二重結合を有する化合物である。
重合可能なエチレン性二重結合含有化合物としては、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。該化合物に限定は無いが、好ましいものとして、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、あるいは、これ等のアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、あるいは、これ等のアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、あるいは、これ等のアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
又、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等を挙げることができ、又、適当な分子量のオリゴマーに、アクリル酸又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述のモノマー及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、琥珀酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えばビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えばエチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えばポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
本発明に係る感光層には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
更に、本発明に併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する燐酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、燐酸のヒドロキシル基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定されない。
その他に、特開昭58−212994号、同61−6649号、同62−46688号、同62−48589号、同62−173295号、同62−187092号、同63−67189号、特開平1−244891号等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社,286〜294頁に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会,11〜65頁に記載の化合物なども好適に用いることができる。これらの中でも、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
又、本発明に係る感光層には、3級アミンモノマーである、分子内に3級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性二重結合含有化合物を使用することが好ましい。構造上の限定は特に無いが、ヒドロキシル基を有する3級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号、同1−203413号、同1−197213号に記載の重合可能な化合物が挙げられる。
更に、本発明では3級アミンモノマーである、分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
ここで言う、分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、これに限定されない。
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。
分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(MH−1)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(MH−2)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(MH−4)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(MH−7)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(MH−8)等が挙げられる。
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
又、これらの分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物。
この他にも、特開平1−105238号、同2−127404号に記載の、アクリレート又はアルキルアクリレートが用いることが出来る。
(高分子結合材)
本発明に用いる高分子結合材は、感光層に含まれる成分を担持支持体上に担持し得るものであり、高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用できる。又、これらを2種以上併用しても構わない。
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体である。更に、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
更に、高分子結合材は、共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いることが出来る。
1)芳香族ヒドロキシル基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
2)脂肪族ヒドロキシル基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
7)ビニルエーテル類、例えばエチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
更にこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
高分子結合材は、側鎖にカルボキシル基及び重合性二重結合を有するビニル系重合体であることが好ましい。例えば、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させて得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。又、上記ビニル系重合体の分子内に存在するヒドロキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を付加反応させることによって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。分子内に不飽和結合とイソシアネート基を共に有する化合物としては、ビニルイソシアネート、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−又はp−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネートが好ましく、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
側鎖にカルボキシル基及び重合性二重結合を有するビニル系重合体は、高分子結合剤全量の50〜100質量%であることが好ましく、100質量%がより好ましい。
感光層中における高分子結合材の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量で使用するのが、感度の面から特に好ましい。
(増感色素)
本発明では、好ましくは感光層に増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素を増感色素として用いることが好ましい。
可視光から近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体、キサンテン染料、スチルベン誘導体、トリアリールオキサゾール誘導体等が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、特開昭63−260909号、特開平11−271969号、特開2001−125255号等に記載の化合物も用いられる。
本発明では、記録光源としてレーザーを使うことができる。好ましいレーザー光源については後述するが、390〜430nmの範囲に発光波長を有する半導体レーザー、所謂バイオレットレーザーを用いた記録を行う場合は、390〜430nmの間に吸収極大を有する色素を含有せしめることが望ましい。390〜430nmの間に吸収極大有する色素としては構造上特に制約はないが、上記で述べた各色素群において、吸収極大がその要件を充たす限り、何れも使用可能である。具体的には、特開2002−296764、同2002−268239、同2002−268238、同2002−268204、同2002−221790、同2002−202598、同2001−042524、同2000−309724、同2000−258910、同2000−206690、同2000−147763、同2000−098605、同2003−221517、WO2005/029187A1、同2004/049068A1、同2004/074929A2、同2004/074930A2等に記載のある色素を用いることが出来る。
又、光源のレーザー光として、470〜550nmの範囲に発光波長を有するレーザーを用いた記録を行う場合は、470〜550nmの間に吸収極大有する色素を含有せしめることが望ましい。470〜550nmの間に吸収極大有する色素としては、構造上特に制約はないが、上記で述べた各色素群において、吸収極大がその要件を充たす限り、何れも使用可能である。具体的には、特開昭63−260909号、特開平11−271969号、特開2001−125255号等に記載のある色素を用いることが出来る。
又、390〜430nmの間に吸収極大有する色素として好ましい化合物として、クマリン誘導体を挙げることができる。好ましいクマリンの構造は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2008145569
式中、R1〜R6は各々、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素アリール基、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されてもよい。又、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成してもよい。
この中で特に好ましいのは、R5としてアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基を有するクマリンである。この場合、アミノ基に置換したアルキル基が、R4、R6の置換基と環を形成しているものも好ましく用いることができる。
更に、R1,R2の何れか、あるいは両方が、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基であると更に好ましい。
好ましいクマリン系の色素具体例として、下記の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 2008145569
Figure 2008145569
Figure 2008145569
上記具体例の他に、特開平8−129258号のB−1〜B−22、特開2003−21901号のD−1〜D−32、同2002−363206号の1〜21、同2002−363207号の1〜40、同2002−363208号の1〜34、同2002−363209号の1〜56のクマリン誘導体等も好ましく使用可能である。
増感色素として使用する色素の感光層中への添加量は、記録光源波長における版面の反射濃度が0.1〜1.2の範囲となる量であることが好ましい。この範囲となる該色素の感光層中における質量比率は、各色素の分子吸光係数と、感光層中における結晶性の程度により大幅に異なるが、一般的には0.5〜10質量%の範囲であることが多い。
(各種添加剤)
感光層には、上記した成分の他に、平版印刷版材料の製造中あるいは保存中における重合可能なエチレン性二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。
適当な重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分の質量に対して、約0.01〜約5%が好ましい。又、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
又、着色剤も使用することができる。着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用でき、例えば改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられものが挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、並びに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーフアーストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
又、感光層は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することが出来る。その中でも好ましいのは弗素系界面活性剤である。
又、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10質量%以下が好ましい。
感光層塗布液を調製する際に使用する溶剤としては、例えばアルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、i−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、又、エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、又、ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、又、エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、蓚酸酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
以上、感光層塗布液について説明したが、本発明に係る感光層は、これを用いて支持体上に塗設することにより構成される。
感光層の支持体上の付量としては0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
(支持体)
本発明の平版印刷版材料の支持体は、感光層を担持可能な板状体又はフィルム体であり、感光層が設けられる側に親水性表面を有するのが好ましい。
本発明に係る支持体として、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、又、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネート又は蒸着したもの等が挙げられる。又、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム支持体が好ましく使用される。
アルミニウム支持体の場合、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。又、アルミニウム支持体は、保水性付与のため、表面を粗面化したものが用いられる。
アルミニウム支持体を用いる場合、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいは、それらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。
表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法は、それぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明に用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ナトリウム処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等、公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(硼酸亜鉛など)もしくは黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号に開示されるようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
(塗布)
上記の感光層塗布液を従来公知の方法で支持体上に塗布・乾燥し、平版印刷版材料を作製することが出来る。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押出しコータ法等を挙げることが出来る。
感光層の乾燥温度は60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは90〜120℃の範囲である。
(画像露光)
本発明の平版印刷版材料に画像記録する光源としては、発光波長が370〜440nmのレーザー光の使用が好ましい。この様な光源としては、例えば、固体レーザーとして、Cr:LiSAFとSHG結晶の組合せ(430nm)、半導体レーザー系として、KNbO3、リング共振器(430nm)、AlGaInN(350〜450nm)、AlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー:400〜410nm)等を挙げることができる。
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。又、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。
円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。
円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。
平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。
円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
尚、本発明においては、10mJ/cm2以上の版面エネルギー(版材上でのエネルギー)で画像露光されることが好ましく、その上限は500mJ/cm2である。より好ましくは10〜300mJ/cm2である。このエネルギー測定には、例えばOphir Optronics社製のレーザーパワーメーターPDGDO−3Wを用いることができる。
(現像液)
画像露光した感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ性現像液で現像処理することにより、未露光部を除去して画像形成することが好ましい。
この様な現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
又、モノ(又はジ、トリ)メチルアミン、モノ(又はジ、トリ)エチルアミン、モノ(又はジ、トリ)−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノ(又はジ、トリ)エタノールアミン、モノ(又はジ)−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
これらのアルカリ剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。又、この現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
アルカリ性現像液は、顆粒状、錠剤等の現像液濃縮物から調製することもできる。現像液濃縮物は、一旦、現像液にしてから蒸発乾固してもよいが、好ましくは複数の素材を混ぜ合わせる際に水を加えず、又は少量の水を加える方法で素材を混ぜ合わせることで濃縮状態とする方法が好ましい。又、この現像液濃縮物は、特開昭51−61837号、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号、同5−142786号、同6−266062号、同7−13341号等に記載される、従来よく知られた方法にて顆粒状、錠剤とすることができる。又、現像液の濃縮物は、素材種や素材配合比等の異なる複数のパートに分けてもよい。
アルカリ性現像液及びその補充液には、更に必要に応じて防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤及び硬水軟化剤などを含有させることもできる。
(自動現像機)
平版印刷版材料の現像には自動現像機を用いるのが有利である。自動現像機として好ましくは、現像浴に自動的に現像補充液を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは一定量を超える現像液は、排出する機構が付与されており、好ましくは現像浴に自動的に水を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは、通版を検知する機構が付与されており、好ましくは通版の検知を基に版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知及び/又は処理面積の推定を基に補充しようとする補充液及び/又は水の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは現像液のpH及び/又は電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは現像液のpH及び/又は電導度を基に補充しようとする補充液及び/又は水の補充量及び/又は補充タイミングを制御する機構が付与されている。又、現像液濃縮物を一旦、水で希釈・撹拌する機能を有することが好ましい。現像工程後に水洗工程がある場合、使用後の水洗水を現像濃縮物の濃縮液の希釈水として用いることができる。
自動現像機は、現像工程の前に前処理液に版を浸漬させる前処理部を有してもよい。この前処理部は、好ましくは版面に前処理液をスプレーする機構が付与されており、好ましくは前処理液の温度を25〜55℃の任意の温度に制御する機構が付与されており、好ましくは版面をローラー状のブラシにより擦る機構が付与されている。この前処理液としては水などが用いられる。
(後処理)
アルカリ性現像液で現像処理された平版印刷版材料は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。これらの処理を種々組み合わせて用いることができ、例えば現像→水洗→界面活性剤を含有するリンス液処理や、現像→水洗→フィニッシャー液による処理が、リンス液やフィニッシャー液の疲労が少なく好ましい。更にリンス液やフィニッシャー液を用いた向流多段処理も好ましい態様である。
これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とから成る自動現像機を用いて行われる。後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を浸漬搬送する方法が用いられる。又、現像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することができる。又、実質的に未使用の後処理液で処理する、所謂、使い捨て処理方式も適用できる。このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例における「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を表す。
実施例1
〈支持体の作製〉
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。このアルミニウム板を、0.3%硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。
デスマット処理済み粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸で75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。この時、支持体表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
〈平版印刷版材料の作製〉
上記支持体上に、下記組成の感光層塗工液1を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥し、続いて下記組成のオーバーコート層塗工液1、2を乾燥時2g/m2になるようダイコーターで同時重層塗布し、100℃で1.5分間乾燥し平版印刷版材料を得た。
(感光層塗工液1)
N−ブチルジエタノールアミン/1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1/2/2モル比)の反応生成物
42.0部
トリエチレングリコールジメタクリレート 6.0部
メタクリル酸/メチルメタクリレート(25/75質量比)の共重合体(分子量36,000) 35.0部
分光増感色素(例示D−1) 4部
重合開始剤(例示Fe−3) 3.0部
N−フェニルグリシンベンジルエステル 4.0部
フタロシアニン顔料(MHI#454:御国色素社製) 3.5部
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 1.0部
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート 0.1部
シロキサン系界面活性剤(BYK337;ビックケミー社製) 0.3部
メチルエチルケトン(MEK) 80部
プロピレングリコールメチルエーテル 820部
(感光層塗工液2)
N−ブチルジエタノールアミン/1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1/2/2モル比)の反応生成物の50%ダワノールPMA溶液 84.0部
トリエチレングリコールジメタクリレート 6.0部
メタクリル酸/メチルメタクリレート(25/75質量比)の共重合体(分子量36,000) 35.0部
分光増感色素(例示D−2) 4.0部
重合開始剤〔2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール〕 3.0部
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.3部
N−フェニルグリシンベンジルエステル 4.0部
フタロシアニン顔料(MHI#454:前出) 3.5部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:住友3M社製) 0.2部
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 1.0部
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート 0.1部
弗素系界面活性剤(F−178K;大日本インキ社製) 0.5部
シロキサン系界面活性剤(BYK337;前出) 0.9部
MEK 80部
プロピレングリコールメチルエーテル 820部
(オーバーコート層塗工液1)
PVA(表1記載の鹸化度のもの) 69.5部
PVP(ルビテックK−30:BASF社製) 30.0部
サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 0.5部
水 900部
(オーバーコート層塗工液2)
PVA(表1記載の鹸化度のもの) 94.5部
PVP(ルビテックK−30:前出) 5部
サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 0.5部
水 900部
〈平版印刷版の作製〉
得られた平版印刷版材料に、405nm、60mWの光源を備えたプレートセッター(NewsCTP:ECRM社製)を用いて、2400dpi(dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)で露光を行った。露光パターンは、100%画像部、及びTimes New Rohmanフォント、3〜10ポイントサイズ、アルファベット大文字と小文字の抜き文字の原稿画像データを使用した。
次いで、115℃に設定されたプレヒート部、オーバーコート層を除去するためのプレ水洗部、下記組成の現像液を充填し28℃に温度調節された現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(三菱化学社製GW−3を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(RaptorPolymer:Glunz&Jensen社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。
(現像液組成)
A珪酸カリウム 8.0部
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 3.0部
水 89.0部
水酸化カリウム pH=12.4となる添加量
〈性能評価〉
以下の基準に従って、感度、塗布性、膜付き及び潜像退行を評価した。
《感度》
平版印刷版の版面に記録された100%画像部において、膜減りが観察されない最低量の露光エネルギー量を記録エネルギーとし、感度の指標とした。記録エネルギーが小さいほど高感度であることを示す。
《塗布性》
塗布・乾燥された平版印刷版材料を目視観察し、塗布性を5段階評価した。3以上が実施可能レベルである。
1:塗布ムラが全く見られない
2:塗布ムラらしきものが僅かに見られるが問題なし
3:仔細に見ると塗布ムラが観察されるが実用上問題なし
4:塗布ムラが観察される
5:塗布ムラが可成り見られる
《膜付き》
感光層とオーバーコート層間の接着性を見るための剥離力測定は、Tensilon万能引張り試験機(東洋ホールドウイン社製)を使用した。測定に当たっては、未露光の平版印刷版材料の最外層の上に粘着テープ(幅20mm)を貼り付け、上記万能引張り試験機で40mm/minの速度でオーバーコート層をテープごと感光層から剥離し、その際に要する剥離力(g)を測定した。
《潜像退行》
2400dpi(前出)、175線の50%画像を50μJ/cm2で網点露光し、半裁し1片を直ちに現像処理し、もう1片を23℃・60%RH(相対湿度)の環境下に1時間放置した後、現像処理した。網点をX−Rite Dotで測定し、網点変動差を以て潜像退行の尺度とした。
結果を併せて表1に示す。
Figure 2008145569
オーバーコート層を2層有する本発明の平版印刷版材料は、比較の平版印刷版材料に比べ高感度で、塗布性に優れ、膜付き、潜像退行が共に改善されている。
実施例2
実施例1の平版印刷版材料試料4及び8において、オーバーコート上層とオーバーコート下層の間に、更に下記組成のオーバーコート層塗工液3によるオーバーコート中層を設けた(乾燥時2g/m2)以外は全く同様にして、試料14及び18を作製した。
(オーバーコート層塗工液3)
PVA(鹸化度96) 69.5部
PVP(ルビテックK−30:BASF社製) 30.0部
サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 0.5部
水 900部
試料14及び18を用いて、実施例1と同様に露光、現像して平版印刷版を得、これの感度、塗布性、膜付き及び潜像退行を評価したところ以下の結果を得た。
試料No. 感度 膜付き(g) 潜像退行(Δ%) 塗布性
14 120 4 4.5 4
18 135 4 4.5 5
オーバーコート層を3層有する本発明の平版印刷版材料においても、塗布性、膜付き、潜像退行が何れも改善されることが判る。

Claims (2)

  1. 支持体上に光重合開始剤、重合可能なエチレン性二重結合含有化合物、高分子結合材を含有する感光層の上層にオーバーコート層を有する感光性平版印刷版材料において、該オーバーコート層が複数層から成ることを特徴とする感光性平版印刷版材料。
  2. 前記オーバーコート層の最上層が鹸化度96%以上100%未満のポリビニルアルコールを、感光層に隣接する下層が鹸化度70%以上96%未満のポリビニルアルコールを、それぞれ含有することを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版材料。
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