JP2008144614A - 揮発性有機化合物の廃液改質システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この改質システムは、予熱器2と改質反応器3とロータリーエンジン5とを、備えており、揮発性有機化合物VOCの廃液1が供給される。予熱器2は、VOC廃液1を加熱して気化し、もってVOCガスと水蒸気を改質反応器3に供給する。改質反応器3は、ロータリーエンジン5からの高温の排気ガス6を利用し、例えば800℃程度に維持されており、その熱の作用と、内部充填された触媒8の作用とに基づき、VOCガスと水蒸気を反応させ、もって水素,一酸化炭素,二酸化炭素等に、水蒸気改質する。ロータリーエンジン5は、改質ガス6中の水素や一酸化炭素を燃料として運転され、例えば発電機17が接続されている。なお予熱器2も、排気ガス6を利用して加熱を実施する。
【選択図】図1
Description
トルエン,キシレン,その他の揮発性有機化合物VOCは、例えば溶剤として使用され、グラビア印刷の乾燥工程、その他の印刷,塗布,塗装,接着工程や、その加熱,乾燥,洗浄工程等から排出される排ガスや排液中に、含有されている。
そして、大気汚染,環境破壊を引き起こす浮遊粒子状物質SPMやオキシダント等の原因物質として知られており、本年4月施行の改正大気汚染防止法において、その排出規制が強化されている。
そこで、このような揮発性有機化合物VOCの発生工程には、従来より、その回収装置が付設されていた。
すなわち、この種の排ガスや排液(予め加熱,気化される)は、回収装置に供給され、その揮発性有機化合物VOCは、まず、活性炭等に吸着せしめられた後、水蒸気等の吹き付けにより脱着され、廃液として回収されていた。回収された廃液は、例えば、揮発性有機化合物VOCが濃度20wt%程度(水80wt%程度)よりなり、タンク等に一旦貯留される。
それから廃液は、a.蒸留法や高分子膜法により脱水処理して、揮発性有機化合物VOCを精製化,純粋化,再利用化したり、又はb.そのまま、蒸気や助燃剤と共にボイラーやガスタービン等に供給して、燃料化したり、c.触媒を使用して燃焼処理したり、e.(多くの場合遠隔地へと搬送されて、)排水,廃棄処分されていた。
《第1の問題点》
第1に、設備が大型化,大規模化,複雑化,精緻化し、もって設備コスト等に、問題が指摘されていた。
すなわち、廃液から揮発性有機化合物VOCを精製,再利用する前記aの従来例については、蒸留設備,加熱設備,高分子膜,その他の付帯設備,関連設備等が必須的であり、この種設備が一般的に大型,大規模,複雑,精緻であることに鑑み、設備コスト,敷地コスト,精製コスト等が嵩む、という問題があった。
第2に、効率面やランニングコスト等にも、問題が指摘されていた。すなわち、前記aの従来例については、精製された揮発性有機化合物VOCが再利用に供されるものの、加熱その他の運転コスト,ランニングコストが嵩むと共に、精製に長時間を要する等、効率も悪かった。
又、ボイラーやガスタービン等に供給して燃料化する前記bの従来例や、燃焼処理する前記cの従来例についても、大量の助燃剤や触媒を必要とし、運転コスト,ランニングコストが嵩み過ぎる、という難点が指摘されていた。
排水,廃棄処分する前記dの従来例については、処分費用面や運搬時間面で、運転コスト,ランニングコスト,効率面に問題が指摘されると共に、環境汚染という問題も指摘されていた。
ところで、炭化水素系燃料を水素リッチガスに改質する技術に関しては、次の特許文献1に示されたものがあるが、この技術は、揮発性有機化合物VOCとローターリーエンジンとの組み合わせについて、具体的に論及,開示したものではない。
本発明の揮発性有機化合物の廃液改質システムは、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、設備コスト等に優れると共に、第2に、効率面やランニングコスト等にも優れた、揮発性有機化合物の廃液改質システムを提案することを、目的とする。
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。請求項1の揮発性有機化合物の廃液改質システムは、エンジンからの高温の排気ガスを利用して、揮発性有機化合物VOCを改質する改質反応器と、該改質反応器にて生成された改質ガスを燃料とする該エンジンと、を有していることを特徴とする。
次に、請求項2については次のとおり。請求項2の揮発性有機化合物の廃液改質システムでは、請求項1において、該改質反応器は、該エンジンから導入された排気ガスによる高温下において、触媒のもとで揮発性有機化合物VOCと水蒸気とを反応させ、もって水素と一酸化炭素や二酸化炭素に水蒸気改質すること、を特徴とする。
請求項3については次のとおり。請求項3の揮発性有機化合物の廃液改質システムでは、請求項2において、予熱器が、揮発性有機化合物VOCの廃液を予め加熱して気化し、もって揮発性有機化合物VOCと水蒸気を該改質反応器に供給し、該改質反応器は、該エンジンからの排気ガスが導入され、もって内部が650℃以上例えば800℃程度に維持されており、該エンジンは、ロータリーエンジンよりなること、を特徴とする。
請求項4については次のとおり。請求項4の揮発性有機化合物の廃液改質システムでは、請求項3において、揮発性有機化合物VOCは、メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール,酢酸エチル,酢酸ブチル,トルエン,キシレン,ベンゼン,エタノール,その他の炭化水素系化合物であって、沸点が50℃以上〜260℃未満のものよりなり、その1種又は複数種が選択され、溶剤として使用されると共に廃液として回収,提供される。
水蒸気改質は、揮発性有機化合物VOCの炭素の結合を切断し又は組み換えて、分子量のより小さい水素と一酸化炭素や二酸化炭素に変換する、水蒸気をガス化剤とした吸熱反応よりなる。そして該ロータリーエンジンは、改質ガス中の水素や一酸化炭素を燃料として運転され、該予熱器は、該ロータリーエンジンからの高温の排気ガスが導入されて加熱を実施すること、を特徴とする。
本発明の揮発性有機化合物VOCの廃液改質システムは、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この改質システムは、予熱器と改質反応器とロータリーエンジンとを、備えており、低濃度の揮発性有機化合物VOCの廃液が、供給される。
(2)そしてVOC廃液は、まず予熱器にて加熱,気化されるが、この加熱は、ロータリーエンジンからの排気ガスを熱源とする。
(3)気化された水蒸気とVOCガスは、改質反応器に供給される。改質反応器は、ロータリーエンジンの排気ガスの熱量が導入され、650℃以上例えば800℃程度に維持されている。
(4)そこでVOCガスは、熱と触媒の作用に基づき、水蒸気と反応して改質される。
(5)すなわち例えば、メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール,酢酸エチル,酢酸ブチル,トルエン,キシレン,ベンゼン,エタノール等は、水蒸気と反応して、水素と一酸化炭素や二酸化炭素に、水蒸気改質される。
(6)生成された改質ガスは、燃料としてロータリーエンジンに供給される。
(7)ロータリーエンジンの排気ガスの熱量は、改質反応器そして予熱器へと導入される。
(8)さてこのように、改質反応器の改質ガスを、ロータリーエンジンの燃料として使用すると共に、ロータリーエンジンの排気ガスを、改質反応器や予熱器にて活用する。このシステムでは、このように、その構成がサイクル的,循環的に関連付けられており、その分、設備が簡単容易化される。
(9)このように、その構成設備である改質反応器,ロータリーエンジン,予熱器が関連した系をなしているので、システム運用に無駄がなく効率的である。すなわち、システムのランニング面において、その燃料や熱源が無駄なく生成,使用されており、改質処理時間も短い。
(10)そこで、本発明の揮発性有機化合物VOCの廃液改質システムは、次の効果を発揮する。
第1に、設備コスト等に優れている。すなわち、本発明の改質システムは、その改質ガスをロータリーエンジンの燃料とすると共に、ロータリーエンジンの排気ガスを、改質反応器や予熱器にて活用する。
そこで、前述したこの種従来例に比し、構成設備が簡単容易化,簡略化,小型化,小規模化され、設備コスト等に優れている。
第2に、効率面やランニングコスト等にも優れている。すなわち、本発明の改質システムは、その改質ガスをロータリーエンジンの燃料として再使用,有効利用すると共に、その排気ガスが高温であることに着目して、改質反応器や予熱器の熱源として活用する。
そこで、前述したこの種従来例に比し無駄がなく効率的であり、その分、運転コスト,ランニングコストに優れると共に、改質処理時間も短い。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
以下、本発明の揮発性有機化合物の廃液改質システムを、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1および図2は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。そして図1は、構成フロー図であり、図2は、実施例の計測データのグラフである。
本発明は、揮発性有機化合物VOCの廃液1の改質システムに関する。そこで、まず揮発性有機化合物VOCについて述べておく。
揮発性有機化合物VOLATILE ORGANIC COMPOUNDS、略してVOC(以下この明細書では、単にVOCと言う)は、下記物質,その他の炭化水素系化合物であって、沸点が50℃以上〜260℃未満のものよりなり、主に人工合成され、大気中に飛散した場合に容易に揮発する物質、と定義されている。
・メチルエチルケトン(MEK) CH3COCH2CH3
・イソプロピルアルコール(IPA) CH3CH(CH3)OH
・酢酸エチル CH3COOCH2CH3
・酢酸ブチル CH3COO(CH2)3CH3
・トルエン CH5CH3
・キシレン CH4(CH3)2
・ベンゼン C6H6
・エタノール C2H5OH
・トリクロロエタン C2H5Cl3
・リモネン C10H16
VOCは、このようになっている。
次に、このようなVOC廃液1について述べる。VOCは、例えば上記各物質中の1種又は複数種(多くの場合は複数種)が選択され、もって溶剤,その他として使用されると共に、廃液1として回収,提供される。
これらについて、更に詳述する。例えば、印刷,塗布,塗装,接着工程や、その加熱,乾燥,洗浄工程、その他各種の化学処理工程から排出された排ガスや排液中には、例えば溶剤として使用されたVOCが、含有されている。
→そこで、このようなVOCの発生工程には、その回収装置が付設されており、→この種の排ガスや排液(排液の場合は、事前に予め加熱,気化される)は、回収装置に供給される。→回収装置においてVOCは、まず、活性炭等の吸着剤に吸着せしめられた後、→水蒸気や熱風等の吹き付けにより、脱着され、→必要に応じ凝縮用のコンデンサを経由した後、→VOC廃液1として回収される。なお排ガスは、このようにクリーン化されて大気放出される。
→回収されたVOC廃液1は、VOCの濃度が例えば20wt%程度(水80wt%程度)よりなる。水を溶媒溶液とし、VOCを低濃度の溶質成分として、水和状態の水溶液として回収,提供される。
VOC廃液1は、このようになっている。
次に、予熱器2について述べる。上述により回収,提供されたVOC廃液1(供給量例えば260kg/h程度)は、まず予熱器2で気化された後、次工程の改質反応器3に供給される。
この予熱器2について、更に詳述する。予熱器2は、提供されたVOC廃液1を加熱により気化し、もって水蒸気とVOCガスの混合ガス4を、改質反応器3へと供給する。そのVOC濃度は、例えば20wt%程度である。
又、図示の予熱器2は、改質反応器3から使用済として排出され、まだ高温を維持しているロータリーエンジン5の排気ガス6が、管路7を介して導入され、もって加熱用熱源として使用されている。加熱に使用される排気ガス6の温度、つまり予熱器2の内部温度は、例えば650℃程度であり、VOCガスを得るのに必要十分な温度よりなる。
予熱器2は、このようになっている。
次に、改質反応器3について述べる。改質反応器3は、予熱器2から供給された混合ガス4を水蒸気改質する。
すなわち改質反応器3は、ロータリーエンジン5からの排気ガス6が、650℃以上例えば800℃〜900℃程度で導入されると共に、内部が650℃以上例えば800℃程度に維持される。そして、このように高温の排気ガス6を利用し、高温下において触媒8のもとで、VOCガスと水蒸気とを反応させ、もって、水素と一酸化炭素や二酸化炭素に水蒸気改質して、改質ガス9を生成する。
このような改質反応器3について、更に詳述する。改質反応器3には、予熱器2から管路10を介して混合ガス4が供給されると共に、ロータリーエンジン5から管路11を介して、排気ガス6が導入される。改質反応器3は、排気ガス6の経路が内部配設されており、供給された混合ガス4のVOCガスと水蒸気が、経路を通過する排気ガス6の顕熱にて、例えば800℃程度に維持される。
そこで改質反応器3内では、改質対象である混合ガス4中のVOCガスは、このような熱の作用と、内部充填された触媒8の作用とに基づき、混合ガス4中の水蒸気をガス化剤として反応して、水素,一酸化炭素,二酸化炭素等に変換され、水蒸気改質される。分子量の大きいVOCは、その炭素の結合が切断,組み換えられ、もって分子量のより小さい水素,一酸化炭素,二酸化炭素等に変換される。
反応促進用の改質触媒8としては、ニッケル系のものが代表的に使用され、例えば、ニッケル担持アルミナ粒状触媒(粒度60〜80mesh)が使用されるが、その他、シリカ系,白金系,ロジウム系,ゼオライト系のものも使用可能である。そして触媒8は、例えば粒子固定層として、改質反応器3内に充填される。
改質反応器3は、このようになっている。
次に、ロータリーエンジン5について述べる。エンジンとして代表的に使用されるロータリーエンジン5は、改質反応器3にて生成された改質ガス9の水素や一酸化炭素を燃料として、運転される。
このようなロータリーエンジン5について、更に詳述する。ロータリーエンジン5は、周知のごとく、燃焼室内でローターが偏心回転して、主軸に回転力を伝達する、間欠燃焼式・容積式の内燃機関である。そして、このロータリーエンジン5の燃料として、改質反応器3から管路10で供給された、改質ガス9中の水素,一酸化炭素,メタン等が使用される。
このロータリーエンジン5への管路10には、途中に、冷却水12による冷却部13と、改質ガス9の圧送兼流量調整用のポンプ14と、改質ガス9への空気15の導入量調整用の調節ユニット16とが、順に介装されている。冷却部13からは、改質ガス9中に残存していた剰余水蒸気が、凝縮水17となって排出,除去される。
ロータリーエンジン5の主軸は、隣接設置された発電機18に連結されており、その駆動が発電用に出力されているが、勿論、電力化以外の駆動エネルギー源として、各種用途に利用可能である。
ロータリーエンジン5の排気ガス6は、650℃以上例えば800℃〜900℃程度であり、煙道である管路11を介して、改質反応器3に導入される。図示の管路11には、燃焼部19が介装されている。すなわち、排気ガス6中には燃料の未燃分が残留しているので、燃焼部19が介装されており、燃焼部19は、例えば酸化触媒付のワイヤメッシュ構造よりなり、未燃分を捕集,再燃焼させ、もって改質反応器3へと向かう排気ガス6を一段と高温化し、例えば800℃〜900℃程度とする。
なお、このようにロータリーエンジン5が代表的に使用されるが、エンジンとして、その他のレシプロエンジン例えばディーゼルエンジンやガスエンジンも使用可能であり、更にガスタービン等も使用可能であるが、これらの場合、その排気ガス6は300℃〜600℃程度、例えば350℃〜450℃程度なので、800℃以上に高温加熱されて、改質反応器3へと導入される。
ロータリーエンジン5等は、このようになっている。
さて、改質反応器3に予熱器2を介して気化,供給されるVOC廃液1の構成成分パターンは、様々である。すなわち、VOC濃度20wt%(水80wt%)程度が代表的であるが、そのVOCの構成成分の具体的内訳パターンは、例えば次のとおり様々である。
・パターン1:トルエン40wt%,キシレン20wt%,イソプロピルアルコール20wt%,酢酸エチル20wt%
・パターン2:トルエン40wt%,キシレン10wt%,メチルエチルケトン20wt%,イソプロピルアルコール20wt%,酢酸ブチル10wt%
・パターン3:トルエン30wt%,キシレン10wt%,メチルエチルケトン30wt%,イソプロピルアルコール10wt%,酢酸エチル10wt%,酢酸ブチル10wt%
・パターン4:トルエン35wt%,キシレン7wt%,メチルエチルケトン22wt%,イソプロピルアルコール27wt%,酢酸エチル9wt%
VOC廃液1については、その他各種の比率や内容の構成成分パターンが考えられる。
これに対し化2の反応式では、ベンゼンC6H6は水蒸気H2Oと反応して、二酸化炭素CO2と水素H2の改質ガス9に、水蒸気改質される。これは、化1の反応式より多量の水蒸気が作用すると共に、化1の反応式の一酸化炭素も完全に改質された場合であり、吸熱反応により二酸化炭素と水素に完全ガス化され、生成水素量(水素収率)は最大となる。すなわち、この化2の反応式では、化1の反応式で生成された一酸化炭素COが、発熱反応である下記化3のシフト反応により水蒸気H2Oと反応して、二酸化炭素CO2と水素H2の混合気体である改質ガス9へと改質,変換される。
そして水蒸気改質に際し、ベンゼン1モル(78g)に対し理論上必要な水蒸気量は、化1と化2の反応式により6〜12モル(108g〜216g)であり、もってベンゼンの炭素1モルに対する重量13gに対する必要水蒸気量は、18〜36g(1.4〜2.8倍)として算出される。このような理論上の必要量に対し、実際上の必要量は、通常その1.3倍とされているので、実際上必要な水蒸気量は、その1.8〜3.6倍、最大約4倍程度となる。因に、ベンゼンの発熱量を100とすると、改質ガス9の発熱量は、130程度となる。
なお、上述した化1,化2の反応式の過程においては、次の化4,化5の中間反応も見られる。
ベンゼンの水蒸気改質反応は、このように行われる。
その他のVOCの水蒸気改質反応については、次のとおり。改質反応器3におけるその他の各VOC物質の水蒸気改質反応については、それぞれ、ベンゼンについて上述した所に準じるので、その概略を例示するに留める(なお、下記の各反応式中、上段は水素収率が最小の場合、下段は水素収率が最大の場合である)。
・メチルエチルケトンについて:次の化6の反応式により水蒸気改質が進行し、その1gを改質するのに必要な水蒸気量は、理論上、0.75〜2.00gと算出され、もって実際上は、1.0〜2.6g程度となる。
本発明のVOC廃液1の改質システムは、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)この改質システムは、予熱器2と改質反応器3とロータリーエンジン5とを備えている。そして例えば、VOC濃度20wt%程度と低濃度のVOC廃液1が、回収,供給される。
なお改質ガス9については、低カロリーの可能性やカロリー変動の可能性もあるが、ロータリーエンジン5は、レシプロエンジンとは異なり、これらに容易に対応可能である。
すなわちVOC廃液1は、前述したように様々な構成成分パターンが考えられ、その具体的内容次第では、低カロリーの改質ガス9や、カロリー変動の大きい改質ガス9も予測されるが、ロータリーエンジン5は、その一般的特性に基づき、空気燃料比13.1〜15.7程度でも、調整なしで回転数一定の安定運転が可能である。カロリーの補足調整や変動幅調整のための燃料補充は、不要である。
この改質システムでは、このように、改質反応器3とロータリーエンジン5と予熱器2との間が、有機的に関連付けられている。つまり、その各構成間が、サイクル的,相互補完的,循環的に関係しており、その分だけ設備が、簡単容易化,簡略化,小型化,小規模化される。
すなわち、VOC廃液1からVOC物質を精製したり、VOC廃液1を廃棄処分したりするのではなく、VOC廃液1をそのまま直に改質して、即燃料化,再使用,有効利用する。このように生成された燃料にて、ロータリーエンジン5を運転すると共に、そのロータリーエンジン5の排気ガス6を、改質用に活用,有効利用する。もって例えば、電力をコスト面に優れて供給可能となる。
・供給廃液1のVOC中のカーボンCと水H2Oとの比率(mol): 1
対 5.37
・触媒温度(℃) : 800
・ガス滞留時間(ms): 71
・触媒(粒子固定層) : ニッケルNi触媒,層高13mm,層断面積78.5mm2
,層空隙率0.4
・テスト時間(min): 70
・改質ガスの平均組成(vol%): H2 70%, CO 9%, CO2 21%
,CH4 0.05%
・VOC改質変換率(%) : 99.99(VOC残留は検出されず)
・炭素析出 : No coke deposition
・炭化水素(有機物) : No C2-hydrocarbons
実施例1のテスト結果によると、このようにVOCは、所期のごとく水蒸気H2Oと反応して、上記組成のように、水素H2,一酸化炭素CO,二酸化炭素CO2,極く僅かのメタンCH4等に、水蒸気改質された。
実施例1では、このような点がデータ的に確認された。
・供給廃液1中のVOCと水H2Oの比率(wt%): 20% 対 80%
・そのVOCの構成成分(wt%):トルエン8%,キシレン2%,メチルエチルケトン
4%,イソプロピルアルコール4%,酢酸エチル2%
このVOC廃液1の水蒸気改質について、まず、その化学反応式を求めた。すなわち、このスペックの構成成分量(wt%)から、個々それぞれのモル分率、そしてそのモル分率に含まれる原子数を計算し、もって全構成成分の平均,合計原子数を算出して、炭素1モル当たりに換算した結果、炭素1モル当たりの全成分の平均実験式は、CH1.606O0.132となった。(従って、炭素1モル当たりの全構成成分の平均,合計分子量は、12×1+1×1.606+16×0.132=15.71である。)
そこで、求める化学反応式は、次の化11となった(その上段は、水素収率が最小の場合、下段は、水素収率が最大の場合である)。
実施例2については、以上のとおり。
2 予熱器
3 改質反応器
4 混合ガス
5 ロータリーエンジン(エンジン)
6 排気ガス
7 管路
8 触媒
9 改質ガス
10 管路
11 管路
12 冷却水
13 冷却部
14 ポンプ
15 空気
16 調節ユニット
17 凝縮水
18 発電機
19 燃焼部
Claims (4)
- エンジンからの高温の排気ガスを利用して、揮発性有機化合物VOCを改質する改質反応器と、該改質反応器にて生成された改質ガスを燃料とする該エンジンと、を有していることを特徴とする、揮発性有機化合物の廃液改質システム。
- 請求項1に記載した揮発性有機化合物の廃液改質システムにおいて、該改質反応器は、該エンジンから導入された排気ガスによる高温下において、触媒のもとで揮発性有機化合物VOCと水蒸気とを反応させ、もって水素と一酸化炭素や二酸化炭素に水蒸気改質すること、を特徴とする、揮発性有機化合物の廃液改質システム。
- 請求項2に記載した揮発性有機化合物の廃液改質システムにおいて、予熱器が、揮発性有機化合物VOCの廃液を予め加熱して気化し、もって揮発性有機化合物VOCと水蒸気を該改質反応器に供給し、
該改質反応器は、該エンジンからの排気ガスが導入され、もって内部が650℃以上例えば800℃程度に維持されており、該エンジンは、ロータリーエンジンよりなること、を特徴とする、揮発性有機化合物の廃液改質システム。 - 請求項3に記載した揮発性有機化合物の廃液改質システムにおいて、揮発性有機化合物VOCは、メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール,酢酸エチル,酢酸ブチル,トルエン,キシレン,ベンゼン,エタノール,その他の炭化水素系化合物であって、沸点が50℃以上〜260℃未満のものよりなり、その1種又は複数種が選択され、溶剤として使用されると共に廃液として回収,提供され、
水蒸気改質は、揮発性有機化合物VOCの炭素の結合を切断し又は組み換えて、分子量のより小さい水素と一酸化炭素や二酸化炭素に変換する、水蒸気をガス化剤とした吸熱反応よりなり、
該ロータリーエンジンは、改質ガス中の水素や一酸化炭素を燃料として運転され、該予熱器は、該ロータリーエンジンからの高温の排気ガスが導入されて加熱を実施すること、を特徴とする、揮発性有機化合物の廃液改質システム。
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