JP2008143856A - 非ステロイド系抗炎症剤配合医薬 - Google Patents

非ステロイド系抗炎症剤配合医薬 Download PDF

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Abstract

【課題】ジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤を単独で使用するよりも消炎作用を早期に発現させるとともに、その消炎作用を増強させる消炎鎮痛薬の提供。
【解決手段】カルプロニウム塩(特に、塩化カルプロニウム)及び非ステロイド系抗炎症剤(特に、ジクロフェナック)を含有する消炎鎮痛薬。該消炎鎮痛薬は、経口投与が好ましく、消炎鎮痛の目的で慢性関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、頚肩腕症候群、腱鞘炎、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、神経痛、又は手術ならびに抜歯後の消炎・鎮痛に有用であり、特に環境ストレス等の精神的負荷により惹起される肩こりや腰痛等に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非ステロイド系抗炎症剤を単独で使用するよりも消炎作用を早期に発現させるとともにその消炎作用を増強させる医薬に関する。
ジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤は、消炎鎮痛の目的で慢性関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、頚肩腕症候群、腱鞘炎、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、神経痛、又は手術ならびに抜歯後の消炎・鎮痛に使用されている。その用法・用量は、ジクロフェナクの場合、経口剤で1日3回投与の1日量75〜100mgであり、坐剤で1回25〜50mg量の1日1〜2回投与である。また、急性上気道炎に対する解熱・鎮痛の目的でも使用されており、その場合は経口剤で1回25〜50mg量の投与で、1日最大量100mgを限度とする薬物療法が採用されている。
また、ジクロフェナクの配合処方ではリドカイン等の局所麻酔剤とを組み合わせた医薬が経皮吸収性および安定性を向上し、皮膚刺激性を低減することが報告されている(特許文献1)。さらにジクロフェナクとオルノプロスチルとを組み合わせた医薬がジクロフェナクの副作用を軽減すること(特許文献2)、ジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤と塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤とを組み合わせた医薬が非ステロイド系抗炎症剤の皮膚透過性を亢進させ、優れた薬理効果を発揮すること(特許文献3)等が報告されている。
一方、塩化カルプロニウム等のカルプロニウム塩の医薬としての利用については、内服薬として消化管機能低下の認められる慢性胃炎や弛緩性便秘症に対する効能(非特許文献1)が、また外用薬として円形脱毛症、悪性脱毛症、びまん性脱毛症、紕糠性脱毛症、壮年性脱毛症及び症候性脱毛症における脱毛防止や発毛促進、並びに乾性脂漏及び尋常性白斑に対する効能(非特許文献2及び特許文献4)が知られている。これらの作用は塩化カルプロニウムのアセチルコリンムスカリン受容体刺激作用による消化管運動促進作用、末梢血管拡張作用、皮脂腺や汗腺の機能促進作用に基づくものと考えられている。また、その他にストレス性脱毛、ストレス性肩こり、ストレス性の血色の悪さ等のストレス起因の微小循環不全改善剤(特許文献5)やストレスに起因する肌荒れの防止又は改善用としてのストレス対応剤(特許文献6)としての使用も報告されている。
しかし、上述した公知技術のいずれにおいても、カルプロニウム塩とジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤とを併用した例はなく、これら2種類の薬剤を組み合わせることにより非ステロイド系抗炎症剤の消炎作用に対してどのような併用効果を示すかは知られておらず、特にジクロフェナクの消炎作用に対してどのような効果を示すかは知られていない。
特開2003−335663号公報 特再表2004/017954号公報 特開2002−128698号公報 特公昭42−5680号公報 特開2002−265363号公報 特開2002−265361号公報 塩化カルプロニウム:日本医薬品集、(財)日本医薬情報センター編、第28版、(株)じほう、東京(2005) 塩化カルプロニウム:日本医薬品集、(財)日本医薬情報センター編、第28版、(株)じほう、東京(2005)
本発明は、ジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤を単独で使用するよりも消炎作用を早期に発現させるとともにその消炎作用を増強させる医薬を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、意外にも、カルプロニウム塩に抗炎症作用があることを見出し、しかもカルプロニウム塩をジクロフェナクナトリウムと併用することにより、ジクロフェナクナトリウムを単独で使用するよりも消炎作用を早期に発現させるとともに、その消炎作用が有意に増強することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、カルプロニウム塩及び非ステロイド系抗炎症剤を含有する消炎鎮痛薬を提供するものである。
本発明によれば、ジクロフェナク等の非ステロイド系抗炎症剤を単独で使用するよりも消炎作用を早期に発現させるとともにその消炎作用を増強させる医薬を提供できる。また、両薬剤の併用による相乗効果から、それぞれの薬剤の投与量を減らすことが可能となり、単独投与に比べ胃粘膜損傷等の副作用の低減効果も期待できる。
本発明に用いられるカルプロニウム塩としては、カルプロニウム((3−メトキシカルボニルプロピル)トリメチルアンモニウム)が、陽イオン性のアンモニウムイオンであることから、当該アンモニウムイオンの対イオンとしての陰イオンを有する化合物が挙げられる。このような陰イオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、燐酸イオン、炭酸イオンなどの無機陰イオン、クエン酸イオン、蓚酸イオン、乳酸イオン等の有機陰イオンなどが挙げられる。本発明のカルプロニウム塩の好ましい陰イオンとしては、塩素イオンなどのハロゲンイオン、クエン酸イオンのような有機酸から誘導される陰イオンが挙げられ、特に好ましい陰イオンとして、塩素イオン、即ち塩化カルプロニウムが挙げられる。
本発明において用いられる非ステロイド系抗炎症剤としては、例えばジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク等が挙げられる。これらのうち、消炎作用の発現性及び相乗効果の点から、特にジクロフェナクナトリウムが好ましい。
本発明において、カルプロニウム塩と非ステロイド系抗炎症剤の配合比率は特に限定されないが、例えばジクロフェナクナトリウムを用いる場合、その消炎作用の相乗効果の点から500:1〜1:100、好ましくは200:1〜1:30、さらに好ましくは50:1〜1:5である。
本発明の医薬の剤型としては、経口投与製剤、または非経口投与製剤が挙げられ、特に経口投与製剤が好ましい。また、坐剤として使用することも好適である。また、非経口投与製剤としては、外皮用剤、点眼剤、埋め込み剤等が挙げられ、外皮用剤が好ましい。
経口剤の製剤としては、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤、ゼリー剤等が挙げられる。また、非経口剤の製剤としては、例えばクリーム剤、ゲル剤、液剤、パップ剤、プラスター剤などの貼付剤等が挙げられる。
これらの製剤は、非ステロイド系抗炎症剤及びカルプロニウム塩に、さらに他の医薬用の有効成分や薬学的に許容される担体を配合し、当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。
経口投与製剤としては、通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢剤等を用いて調製してもよい。例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、セラック、リン酸カリウム等の結合剤;乾燥デンプン、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。
非経口投与製剤としては、外用剤や座剤などとして通常使用される増粘剤、乳化剤、中和剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、水、油脂類等の基剤成分等を用いて調製してもよい。例えばカルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム等の増粘剤;グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤;塩酸などの無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類等の中和剤;パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム等の保存剤;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸或いはその塩類等の安定化剤;グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の湿潤剤;ラノリン、カルナウバロウ、ミリスチン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、シリコン等の油脂類が挙げられる。
本発明の医薬の使用形態は特に限定されず、カルプロニウム塩と非ステロイド系抗炎症剤を同時に投与しても良いし、間隔を置いて別々に投与しても良いが、非ステロイド系抗炎症剤の消炎作用を早期に発現させる点から両薬剤を同時に投与するのが好ましい。カルプロニウム塩及び非ステロイド系抗炎症剤は、両薬剤を単位投与形態の医薬組成物とするか又は両薬剤を別々に製剤化してセット(キット)として使用してもよい。本発明においては、経口用の医薬組成物とするのが好ましい。また、両薬剤を別々に製剤化する場合には、両薬剤は同一の剤形としなくてもよい。各成分の投与回数は異なっても良い。
本発明において、両薬剤の投与量は、対象となる疾患、患者の症状、重症度、患者の年齢や合併症などにより、また投与経路などにより適宜選択されるが、カルプロニウム塩は成人1日あたり0.1mg〜500mgであり、好ましくは1mg〜200mgであり、さらに好ましくは10mg〜100mgであり、これを経口、静脈内、筋肉内、経直腸又は経皮投与することができる。また、非ステロイド系抗炎症剤として例えばジクロフェナクナトリウムを用いる場合は、成人1日あたり1mg〜1000mgであり、好ましくは5mg〜300mgであり、さらに好ましくは10mg〜150mgであり、これを経口、静脈内、筋肉内、経直腸又は経皮投与することができる。投与は1日1回でもよいが、2回以上に分けて投与してもよい。
本発明の医薬は、カルプロニウム塩と非ステロイド系抗炎症剤とを組み合わせて投与することにより、後記実施例に示すように、非ステロイド系抗炎症剤を単独で使用するよりも消炎効果を早期に発現させるとともに、その消炎作用を増強させる。従って、本発明の医薬は、消炎鎮痛の目的で慢性関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、頚肩腕症候群、腱鞘炎、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、神経痛、又は手術ならびに抜歯後の消炎・鎮痛に有用であり、特に環境ストレス等の精神的負荷により惹起される肩こりや腰痛等に有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
下記の方法に従ってカラゲニン足浮腫実験を行い本発明の医薬の有効性を確認した。
<試験方法>
実験前日より絶食したラット(Std:Wistar/ST、♂、8週齢)右後肢足容積を足容積測定装置にて測定(Pre値)した後、0.5%メチルセルロース水溶液(0.5%MC)、ジクロフェナクナトリウム60mg/kg、塩化カルプロニウム15mg/kg、ジクロフェナクナトリウム60mg/kg及び塩化カルプロニウム15mg/kgをそれぞれ強制経口投与した。その30分後に1%カラゲニン液を右後肢足蹠に0.1mL皮下投与し1時間後及び3時間後の足容積を測定した。なお、各測定時間における個体ごとの足容積の測定は連続して5回行い、上限及び下限を除いた3回の平均値を測定値とした。
<実験結果>
投与1時間後の0.5%MCの足容積を1とした時の薬剤投与群の足容積比を計算した結果、下記数1に示すように、ジクロフェナクナトリウムと塩化カルプロニウム併用投与群の足容積比(0.742)は、ジクロフェナクナトリウム単独(0.979)及び塩化カルプロニウム単独(0.905)の足容積比の積(0.885)に比べて小さく、バルジの方法により相乗効果ありと判定され、ジクロフェナクナトリウムの消炎作用を早期に発現させることがわかった。
Figure 2008143856
また、各群のカラゲニン足浮腫容積の3時間後の結果を図1に示す。ジクロフェナクナトリウム単独(ジクロフェナクと表記)、塩化カルプロニウム単独(カルプロと表記)に比べ、両者を配合したものは、Tukeyの多重比較により有意差が認められた(*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001)。
更に、3時間後の0.5%MCの足容積を1とした時の薬剤投与群の足容積比を計算した結果、下記数2に示すように、ジクロフェナクナトリウムと塩化カルプロニウム併用投与群の足容積比(0.405)は、ジクロフェナクナトリウム単独(0.626)及び塩化カルプロニウム単独(0.809)の足容積比の積(0.506)に比べて小さく、バルジの方法により相乗効果ありと判定された。
Figure 2008143856
以上より、ジクロフェナクナトリウムと塩化カルプロニウムの併用投与は、ジクロフェナクナトリウムの消炎作用を早期に発現させるとともに、相乗的な消炎作用を有することが明らかとなった。
図1は、カルプロニウム塩及び/又はジクロフェナクナトリウムの経口投与30分後にカラゲニンを投与したときの3時間後のラット足浮腫容積と、コントロールとして0.5%メチルセルロース水溶液(0.5%MC)を経口投与したときの足浮腫容積とを比較した結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. カルプロニウム塩及び非ステロイド系抗炎症剤を含有する消炎鎮痛薬。
  2. 非ステロイド系抗炎症剤がジクロフェナクナトリウムである請求項1記載の消炎鎮痛薬。
  3. カルプロニウム塩が塩化カルプロニウムである請求項1又は2記載の消炎鎮痛薬。
  4. 経口用医薬組成物の形態である請求項1〜3のいずれか1項記載の消炎鎮痛薬。
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