JP2008143675A - 粉体供給装置、および内袋を備えた容器からの粉体供給方法 - Google Patents

粉体供給装置、および内袋を備えた容器からの粉体供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】周囲への粉体の飛散を防止しながら、内袋を備えた容器を上下反転させて粉体を反応容器等に計量投入するための装置およびその供給方法を提供する。
【解決手段】内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給するための粉体供給装置であって、グローブボックス本体10、グローブボックス本体10上部に設けられた粉体導入管21、グローブボックス本体10下部に設けられた粉体導出管22、各管口21a,22aを開閉する蓋板31,32、蓋板31,32を各管口21a,22aと密接又は離隔させるための蓋板垂直移動用駆動装置41,42、蓋板31,32と各管口21a,22aとが離隔した状態において蓋板31,32を水平に移動させるための蓋板水平移動用駆動装置51,52、及び粉体導入管21から装置100内に空気を導入するための、粉体導入管21の側部に設けられた空気導入部25を備える、粉体供給装置100。
【選択図】図1

Description

本発明は、精密化学品、食品、原薬中間体、製薬などの製造分野において、周囲への粉体の飛散を防止しながら、内袋を備えた容器から粉体を反応容器(反応釜等)に供給するための装置およびその供給方法に関する。詳しくは、本発明は、吸引装置を用いることなく、内袋を備えた容器を上下反転させて反応容器に粉体を計量投入するための装置およびその供給方法に関する。
従来、医学、薬学などの分野では、マウス等の実験動物を外界の微生物から隔離した状態で飼育するためにアイソレータと呼ばれる装置が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。この装置はグローブボックスの一種であり、外部から隔離された密閉空間をつくるチャンバと、該チャンバ内に無菌化した空気を供給するための空気供給機構とを有している。また、前記チャンバ壁面には、ゴム製の手袋が前記チャンバ内に突き出された状態で設けられており、作業者は該手袋に手を挿入して前記チャンバ内の操作を行う。
一方、精密化学品、製薬などの分野では粉体を取り扱うことがあるが、粉体の中には薬理活性の高い粉体を始めとして人体に有害なものもあり、作業者の安全を確保する必要がある。また、酸素や湿気によって溶解する粉体もあり、このような粉体が作業現場に飛散した場合には床が濡れてしまうなど作業環境が悪化してしまう。そのため、いわゆる封じ込め技術として前記アイソレータのような装置を用いて粉体の飛散を防止することが広く行われている(例えば、特許文献2を参照。)。これにより、作業空間のみを外界から隔離して粉体を取り扱うことができ、装置の外に粉体が飛散することを防止して安全に作業を行うことができる。
また、前記アイソレータには、RTP(Rapid Transfer Port)と称される特殊な接続部品(インターフェース)が設けられていることが多い。このRTPはαアセンブリとβアセンブリとから構成された二重扉型移送システムであり、前記アイソレータ等に設けられたαアセンブリとコンテナ(容器)の蓋として設けられたβアセンブリとを合体させることで前記のアイソレータと容器とを気密に接続し、外部から隔離し、汚染を封じ込めた状態のままで原料粉体や資材などを搬入出することができる。このRTPを持つアイソレータは、特に製薬の分野で多く用いられている。
前記アイソレータのような装置は大型で定置型のものが多い(例えば、特許文献1及び2を参照。)。このような定置型のアイソレータでは、作業者は前記アイソレータの前記チャンバ壁面に設けられたゴム製の手袋を用いて前記チャンバ内の操作を行うが、手のみを前記チャンバ内に入れた状態では力が入らず、大量の原料粉体を反応容器内に移すことは困難である。
そのため、粉体を大量に移送する際には、例えば特許文献3又は4等に記載された粉体移送用接続装置が用いられる。この装置は前記アイソレータに比べて小型であり、容器の接続には前記アイソレータと同様にRTPが使用されている。使用時には、粉体移送用接続装置の上部に設けられた貯蔵容器接続部を仕切り板で塞いだ状態で該貯蔵容器接続部に貯蔵容器を接続する一方、前記粉体移送用接続装置の下部に設けられた搬送容器接続部に搬送容器を接続する。RTPの二重扉を開くことで前記の装置と搬送容器とを気密に接続し、前記の貯蔵容器と搬送容器とを連通させた後、前記仕切り板を開くことで、前記貯蔵容器から前記搬送容器へ粉体が移送される。貯蔵容器と搬送容器とを連通させる手段としては、特許文献3に開示されているような伸縮自在なパイプや、特許文献4に開示されているような管が用いられる。
このようなRTPを用いた粉体移送用接続装置としては、ラ・カレーヌ(La Calhene)社製のパウダー・トランスファー・システムが代表的である。
しかしながら、RTPを用いた封じ込め技術は以下のような問題点を有している。
RTPは、アイソレータ等に設けられたαアセンブリとコンテナ(容器)の蓋として設けられたβアセンブリとを合体させることで前記のアイソレータと容器とを気密に接続させる必要があるが、蓋自体が特殊な形状をしており、蓋を開閉する作業が通常の蓋と異なりやや複雑である。この作業をアイソレータ内でグローブの装着操作により行う必要があるために操作性が非常に悪い。また、αアセンブリとβアセンブリとの合体に不具合があると、アイソレータ内部が汚染されてしまうため、気密性を担保するために慎重に接続作業を行う必要がある。
また、RTPは特殊な構造をした二重扉型の蓋であるため、前記のアイソレータや粉体移送用接続装置に接続する容器はこれに対応した特殊な形状の蓋のものを使用する必要があり、市場で汎用されている容器をそのまま用いることができない。すなわち、汎用容器から粉体をいったんRTPに対応した容器に移し替える必要がある。また、RTPは、気密性を担保するために精密に作られているため高価である。さらに、前記アイソレータ内でグローブの装着操作により人手で蓋を開閉する作業を行うため、蓋を軽量化する必要があり、蓋の大きさが制約される。
また、特許文献3又は4等に記載された粉体移送用接続装置では、貯蔵容器と搬送容器とを連通させるためにパイプを貯蔵容器接続部及び搬送容器接続部に精密に接続させる必要がある。さらに、特許文献3又は4等に記載された粉体移送用接続装置は操作の全自動化を目的としており、構造が複雑でコストが高い。
ところで、粉体は、ファイバードラム(硬質の紙材で構成された円筒状容器)に封入された状態で取引されることが多い。上述したように、RTPを用いた粉体移送用接続装置にはファイバードラムを接続することができない。そのため、粉体をいったんRTPに対応した容器に移し替えなければならず、ファイバードラムから直接粉体を移送させることができない。
また、ファイバードラムには、その再利用を図る目的で、粉体がファイバードラムに直接に接触するのを避けるために、その内側に例えばプラスチック製の内袋を装着することが広く行われている。しかしながら、内袋の端の処理(即ち、開放端の結束および結束解除、内袋の開閉など)は人手により行う必要があり、作業現場では各種の課題がある。特に、内袋を備えたファイバードラムを上下反転させて粉体を計量投入しようとする場合には、この内袋の取り扱いは難儀なものである。
特許文献5には、RTPを用いずに反応容器へ粉体を投入する装置が開示されている。この装置を用いた方法によれば、まず上記アイソレータに似た投入口カバーを反応容器の投入口に設置し、次いで、粉体が充填され密閉された袋を投入口カバー内の作業空間に導入した後ふたをして作業空間を密閉し、投入口カバーに備え付けられたグローブを介して前記袋を開封して粉体を反応容器へ投入する。しかし、この装置では、ファイバードラムから内袋のみを投入口カバー内に移す必要があり、原料容器から直接粉体を投入することができず煩雑である。特に、大量の粉体を投入する場合には、投入口カバーの容量以上の粉体を一度に供給することができない。
ファイバードラムを上下反転させないで、例えば、ファイバードラムを計量装置の上に置いて、内袋を開けてから粉体を吸引して反応容器等に供給する方式が各種提案されている(例えば、特許文献6を参照。)。
しかしながら、吸引装置を必要とし、接粉部分を増やすことになるだけでなく、吸引ノズル先端部で内袋を吸い上げてしまわないようにノズル自体を特殊な形状としたり、作業者が目視で監視しながら作業したりする必要がある。また、ファイバードラムが搭載された計量装置で重量を測定しながら吸引ノズルからホースを通って粉体を反応容器等に供給するが、ホースが長い場合(空気搬送距離が長い場合)にはホース内部に粉体が付着してしまい、実際に反応容器等に供給される量が測定値と一致せず、正確な粉体供給ができないという問題があった。
したがって、正確な粉体供給のためには、ファイバードラムを上下反転させて粉体を計量投入することが望ましい。
特開平1−123613号公報 特開2001−327873号公報 特開平5−294373号公報 特開平8−040563号公報 特開2004−189467号公報 国際公開2005/092485号パンフレット
本発明は、周囲への粉体の飛散を防止しながら、内袋を備えた容器を上下反転させて粉体を反応容器等に計量投入するための装置およびその供給方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、全て自動化せずに必要な箇所のみを自動化してコストを抑える、いわゆるロー・コスト・オートメーション(LCA:Low Cost Automation)の観点から鋭意検討を重ねた結果、精密な接続が要求されるRTPを用いずにファイバードラムのような汎用の容器を接続できるグローブボックスを使用し、蓋板を自動的に開閉させて安全に内部の密閉性を担保でき、かつ、ファイバードラムの内袋の結束の処理は自動化せずにグローブの装着操作により人手で行う粉体供給装置を用いてファイバードラムを上下反転させて粉体を計量投入することで、周囲への粉体の飛散を防止しつつ低コストで正確な粉体供給を行うことができることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明は、
[1]内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給するための粉体供給装置であって、
(A)気密性を有し、外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能としたグローブボックス本体、
(B1)前記グローブボックス本体の上部に該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられた、前記原料容器に接続され前記内袋が挿通される粉体導入管、
(C1)前記グローブボックス本体内における前記粉体導入管の端部開口を開閉する第1蓋板、
(D1)前記第1蓋板を垂直方向に移動させて前記粉体導入管の端部開口と前記第1蓋板とを密接又は離隔させるための、前記第1蓋板に連結された第1蓋板垂直移動用駆動装置、
(E1)前記第1蓋板と前記粉体導入管の端部開口とが離隔した状態において前記第1蓋板を水平に移動させるための、前記第1蓋板に連結された第1蓋板水平移動用駆動装置、
(B2)前記グローブボックス本体の下部に前記粉体導入管に対向して該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられた、前記反応容器に接続される粉体導出管、
(C2)前記グローブボックス本体内における前記粉体導出管の端部開口を開閉する第2蓋板、
(D2)前記第2蓋板を垂直方向に移動させて前記粉体導出管の端部開口と前記第2蓋板とを密接又は離隔させるための、前記第2蓋板に連結された第2蓋板垂直移動用駆動装置、
(E2)前記第2蓋板と前記粉体導出管の端部開口とが離隔した状態において前記第2蓋板を水平に移動させるための、前記第2蓋板に連結された第2蓋板水平移動用駆動装置、および
(F)前記の粉体導入管に挿通された内袋の周りを通って装置内に空気を導入するための、前記粉体導入管の側部に設けられた空気導入部
を備えることを特徴とする粉体供給装置、
[2]前記グローブボックス本体の側面に、フィルタを備えた排気口を設けたことを特徴とする[1]項に記載の粉体供給装置、
[3]前記の粉体導入管にチョークバルブが設けられていることを特徴とする[1]又は[2]項に記載の粉体供給装置、
[4]外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能とした気密性を有するグローブボックス本体の上下の対向した位置に該グローボックス本体の壁体を貫通して粉体導入管及び粉体導出管が設けられ、前記のグローブボックス本体内部における粉体導入管及び粉体導出管の端部開口に第1及び第2蓋板がそれぞれ設けられ、前記粉体導入管の側部に空気導入部が設けられた粉体供給装置を用いて、内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給する粉体供給方法であって、
(a)前記の粉体供給装置の粉体導入管が下方となる状態で、該粉体導入管にチョークバルブを介して前記原料容器を接続するステップ、
(b)前記第1蓋板を、前記粉体導入管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導入管の端部開口を開いた後に、外部からのグローブ装着操作により前記原料容器に備えられた内袋の先端部を引き上げて前記チョークバルブで締めるステップ、
(c)前記の原料容器を接続した粉体供給装置を上下反転させて前記粉体導出管を下方とした後に、該粉体導出管を前記反応容器に接続するステップ、
(d)前記空気導入部から前記の粉体導入管に挿通された内袋の周りを通って装置内に空気を流すステップ、
(e)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋の結束を解くステップ、
(f)前記第2蓋板を、前記粉体導出管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導出管の端部開口を開くステップ、および
(g)前記チョークバルブを開いて、前記の原料容器に収納された粉体を前記反応容器へ供給するステップ
を備えることを特徴とする粉体供給方法、
[5]前記反応容器へ所定量の粉体を供給した後、
(i)前記チョークバルブを締めて粉体の供給を停止するステップ
(ii)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋に結束を設けるステップ、および
(iii)前記の第1蓋板及び第2蓋板を水平移動させてから前記の粉体導入管及び粉体導出管に密接させて、前記の粉体導入管及び粉体導出管の端部開口を閉じるステップ
を備えることを特徴とする[4]項に記載の粉体供給方法、ならびに
[6]前記の粉体導入管に接続された原料容器に重量計を設置して、粉体の供給量を測定することを特徴とする[4]又は[5]項に記載の粉体供給方法
を提供するものである。
本発明の粉体供給装置は、RTPのような特殊な接続部品を必要とせず、ファイバードラムのような汎用の容器を用いることができる。また、蓋板を自動的に開閉することができるため、蓋板の取り扱いが容易で、作業者の作業軽減を図ることができる。また、グローブを介して、ファイバードラムの内袋の結束や解束などの端部処理を人手で簡便に処理することができる。
本発明の粉体供給装置を用いることにより、周囲への粉体の飛散を防止しながら、内袋を備えた容器を上下反転させて粉体を反応容器に計量投入することができる。
以下、本発明の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。図1は、本発明の粉体供給装置の正面断面図である。図2は、図1のII−II線矢視部分平面断面図である。図3は、図1のIII−III線矢視部分底面断面図である。図2及び3は、いずれも図1中のグローブボックス本体10内部における第1蓋板31近傍部分を示す。なお、図2及び図3においては、本発明の粉体供給装置の全体は示されていないが、図2及び図3におけるI−I線矢視の粉体供給装置全体の正面断面図が図1に相当する。
本発明の粉体供給装置(粉体投入装置)は、内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給するための粉体供給装置である。
粉体供給装置100は、外部との気密性を有し、外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能としたグローブボックス本体10を備える。グローブボックス本体10の平面形状は、多角形であっても円形であってもよく、特に限定されない。本発明では、グローブボックス本体10内部に水平方向にスライドする蓋板(31、32)が内蔵されることやグローブ10aによる操作性を勘案して、矩形であることが好ましい。
グローブボックス本体10の構造は、天板、側板および底板で構成される。グローブボックス内における作業を目視できるように、天板は透明であることが好ましい。また、部分的に透明な部材で構成されても良い。
グローブボックス本体10の側面には、作業者が手を差し込むためのグローブ10aが取り付けられている。その材質は、柔らかく、かつ、作業の際に破損しないような適当な強度を持つものが好ましく、例えばゴム等が挙げられる。グローブが気密性を有することは通常のグローブボックスと同様である。従来のグローブボックスでは、2つのグローブが同一平面内に、差し込む角度を同じにしているので、やや使いづらい場合がある。本発明では、このような状況を改善して作業しやすくするために、例えば2つのグローブの軸が形成する角度が概ね120°になるように手を差し込む角度を斜めにして配置してもよい。
また、グローブボックス本体10の他の側面には、フィルタ12を備えた排気口11が設けられていることが好ましい。排気口11によりグローブボックス本体10内を排気することができ、また、フィルタ12により排気の際に粉体やほこりなどをグローブボックス本体10の外部にそのまま放出するのを防止することができる。排気口11の端部にはフランジ13が設けられ、フランジ13には、フィルタ12を経たガスをグローブボックス本体10の外部へ導出するための管台(図示せず)が取り付けられる。フィルタ12は交換しやすいように設置することが好ましく、例えば排気口11の端部に設けられたフランジ13等に取り付けることができる。
グローブボックス本体10の上部(天板)には、粉体導入管21が該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられている。また、グローブボックス本体10の下部(底板)には、粉体導出管22が、粉体導入管21に対向して該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられている。これらの粉体導入管21及び粉体導出管22は、原料容器から反応容器へ粉体が通過するための通路となる。特に、粉体導入管21には、原料容器に備えられた内袋が挿通される。粉体導入管21及び粉体導出管22の断面は円形でも矩形でもよく特に制限されず、粉体のハンドリング上好ましい形状を選択することができる。粉体導入管21及び粉体導出管22の内部にはガイドバー等を設置してもよい。後述するように、本発明では、粉体導入管21及び粉体導出管22の内部に内袋を挿通し、空気導入部25から空気を導入して粉体導入管21から粉体導出管22へと向かう空気の流れ(エアカーテン)を形成し、粉体の流れを空気の流れで取り囲むようにして粉体を投入することで、グローブボックス本体10内に粉体が散乱するのを防止しながら粉体供給を行う。しかし、投入量が多い場合には、粉体が充填された内袋を粉体導入管21及び粉体導出管22に挿通すると、管21及び22が塞がれて空気導入が妨げられたり、完全に管が塞がれなくても内袋が管の片側に寄ってしまって空気の流れが形成されない部分が生じたりするおそれがある。粉体導入管21及び粉体導出管22の内部にガイドバーを設置することで、内袋が管21及び22の壁に接近しないようにして、そのような問題が起こるのを避けることができる。
粉体導入管21及び粉体導出管22におけるグローブボックス外側の端部にはそれぞれ、容器や他の設備との接続が容易なようにフランジ23及び24が取り付けられている。使用時には、粉体導入管21はファイバードラム等の原料容器に接続され、粉体導出管22は反応釜等の反応容器に接続される。また、待機時や搬送時には、フランジ23及び24に養生用に別途蓋板をつけてもよい。
粉体導入管21及び粉体導出管22におけるグローブボックス内側の端部はそれぞれ開口している(21a及び22a)。粉体導入管21と粉体導出管22との間には、作業者がグローブ10aを介して内袋の結束を処理するための空間が設けられている。なお、粉体投入時には、粉体の入った内袋の先端部を粉体導入管21からできるだけ引き出しておき、内袋を粉体導出管22の内部に挿通できるようにしておくのが好ましい。引き出された内袋の先端部を締めるために、粉体導入管21にはチョークバルブが設けられていることが好ましい。または、粉体導入管21のグローブボックス外側の端部にチョークバルブを取り付けてもよい。
粉体導入管21におけるグローブボックス外側の側面には、空気導入部25が設けられている。空気導入部25によりグローブボックス本体10内に空気が導入される。後述するように、空気導入部25から空気を導入しながら粉体供給を行うことにより、粉体導入管21から粉体導出管22および反応容器300側へと向かう空気の流れ(エアカーテン)を形成し、粉体の流れを空気の流れで取り囲むようにして粉体を投入することができ、挿通された内袋と粉体導出管22との間からグローブボックス本体10内に逆流飛散・粉体が散乱するのを防止することができる。空気導入部25の形状や大きさは特に制限されない。
グローブボックス本体10の内壁上部には、粉体導入管21におけるグローブボックス内側の端部開口21aを開閉する第1蓋板31を駆動させるための第1蓋板垂直移動用駆動装置41および第1蓋板水平移動用駆動装置51が設けられている。また、グローブボックス本体10の内壁底部には、粉体導出管22におけるグローブボックス内側の端部開口22aを開閉する第2蓋板32を駆動させるための第2蓋板垂直移動用駆動装置42および第2蓋板水平移動用駆動装置52が設けられている。
なお、第1及び第2蓋板垂直移動用駆動装置41及び42ならびに第1及び第2蓋板水平移動用駆動装置51及び52は、図示した構造に特に限定されず、他の態様であってもよい。
グローブボックス本体10内部における各蓋板(31及び32)と各駆動装置(41及び51並びに42及び52)との関係は上下が逆になった対称的な構成であるため、以下、第1蓋板を例に説明するが、第2蓋板についても同様である。
第1蓋板垂直移動用駆動装置41は、第1蓋板31を垂直方向へ移動させる垂直移動手段41a、および垂直移動手段41aと第1蓋板31とを連結する連結部材41bを備える。
垂直移動手段41aとしては、連結した蓋板を垂直方向に移動させることができるものであれば特に限定されず、例えば空気シリンダや油圧ポンプ等を用いることができる。
垂直移動手段41aに接続された連結部材41bの先端には後述するガイド53が設けられており、当該ガイド53と第1蓋板31に設けられた被ガイド部材31aとが水平方向に移動可能に嵌合している。図3に示すように、2本のガイド53は粉体導入管21を挟むように平行に設けられており、各ガイド53に連結部材41bおよび垂直移動手段41aが接続されている。第1蓋板垂直移動用駆動装置41に接続され昇降するガイド53は、第1蓋板31と粉体導入管21との均等な密着を確保するために最低一対は必要である。垂直移動手段41aおよび連結部材41bの設置数は特に制限されず、例えば1本のガイド53に対して垂直移動手段41aを1つ又はそれ以上設置してもよく、また、1つの垂直移動手段41aに対し連結部材41bを1つ又はそれ以上接続してもよい。第1蓋板31を粉体導入管21の端部開口21aに密接させて均等な密着を確保すること及びガイド53の水平状態を保ちながら垂直方向に移動させることの観点から、1本のガイド53につき2ヵ所以上で連結部材41bと接続していることが好ましい。均等に密着させて気密性を確保する観点からは、連結部材41bは粉体導入管21の近傍に取り囲むように設置することが好ましい。また、垂直移動手段41aは、図3に示すように、1本のガイド53につき2つ設置されてもよい。
垂直移動手段41aにより、連結部材41bを介して連結した第1蓋板31が垂直方向に移動し、第1蓋板31を粉体導入管の端部開口21aと密接又は離隔させることができる。
第1蓋板水平移動用駆動装置51は、第1蓋板31を水平方向へ移動させる水平移動手段51a、スライドレール51b、水平移動手段51a及びスライドレール51bに接続された移動体51c、移動体51cに設けられた貫通孔(スライドブッシュ部)51d、および貫通孔51dに挿通され、第1蓋板31に垂直に接続された連結部材51eを備える。
水平移動手段51aとしては、連結した蓋板を水平方向に移動させることができるものであれば特に限定されず、例えば空気シリンダや油圧ポンプ等を用いることができる。この水平移動手段51aは、側面に移動体51cを有する構造のものがスペースを小さくする上で好ましい。
移動体51cは水平移動手段51aに接続されており、水平移動手段51aによって水平方向に移動する。
移動体51cに設けられた貫通孔(スライドブッシュ部)51dは、連結部材51eを挿通する軸受けの役割を果たす。連結部材51eは軸方向(垂直方向)に貫通孔51dを動くことができ、第1蓋板垂直移動用駆動装置41によって第1蓋板31が垂直方向に移動する際に、第1蓋板31に垂直に接続された連結部材51eが貫通孔51dを滑動する。貫通孔51dおよび連結部材51eは、第1蓋板31の垂直移動を案内する役割も果たす。
水平移動手段51aによって移動体51cを水平方向に移動させると共に、連結部材51eを介して移動体51cに連結した第1蓋板31が水平方向に移動させることができる。第1蓋板31の水平方向の移動は、摺り傷の発生を防ぎかつスライドを円滑に行うために、第1蓋板31と粉体導入管の端部開口21aとが離隔した状態、すなわち第1蓋板31と粉体導入管の端部開口21aとの間に若干の隙間を有する状態において行われる。
図1〜3中、前記の第1蓋板垂直移動用駆動装置41における連結部材41bの先端にガイド(水平ガイドレール)53が設けられている。なお、駆動装置41の作用によりガイド53が昇降する際の直線性(水平性)を確保維持するために、ガイド53の垂直方向の移動を案内する補助ガイド(ガイドブッシュ)を必要に応じて設けることが好ましい。ガイド53は水平方向に伸びており、第1蓋板31の水平方向の移動を案内する役割を果たす。ガイド53は、第1蓋板垂直移動用駆動装置41による動作に合わせて水平状態を維持したまま垂直移動する。ガイド53の断面形状は、先端部が幅広となった略逆T字型又は略エの字型である。
一方、図1及び図2に示すように、第1蓋板31の一面には、2つの被ガイド部材31aが平行に設けられている。被ガイド部材31aは、前記ガイド53を覆うような断面形状であり、当該被ガイド部材31aと前記ガイド53とが水平方向に移動可能に嵌合している。
このガイド53と被ガイド部材31aとの嵌合手段は自動機械にはよく用いられている直線案内機構(リニアガイド)であり、レールに相当するガイド53に被ガイド部材31aが嵌合して第1蓋板31が水平方向に移動する。
なお、本発明は図示した実施態様に限定されず、被ガイド部材31aとガイド53とが水平方向に移動可能に嵌合していればよく、ガイド53と被ガイド部材31aとの嵌合手段は異なってもよい。例えば、ガイド53と被ガイド部材31aとが入れ替わっていてもよく、ガイド53を覆うような断面形状の被ガイド部材31aが第1蓋板垂直移動用駆動装置41における連結部材41bの先端に設けられ、かつ先端部が幅広となった略T字型又は略エの字型の断面形状のガイド53が第1蓋板31に設けられていてもよい。また、図示した実施態様では、第1蓋板31に設けられた被ガイド部材31aはある程度の長さを有しているが、短い被ガイド部材を複数設けてもよい。
上述したように、各駆動装置(41及び51並びに42及び52)は上下が逆になった対称的な構成であり、第1蓋板垂直移動用駆動装置41は第2蓋板垂直移動用駆動装置42に対応し、第1蓋板水平移動用駆動装置51は第2蓋板水平移動用駆動装置52に対応する。具体的には、垂直移動手段41a及び連結部材41bはそれぞれ垂直移動手段42a及び連結部材42bに対応する。また、水平移動手段51a、スライドレール51b、移動体51c、貫通孔(スライドブッシュ部)51dおよび連結部材51eはそれぞれ水平移動手段52a、スライドレール52b、移動体52c、貫通孔(スライドブッシュ部)52dおよび連結部材52eに対応する。
本発明における蓋板垂直移動用駆動装置および蓋板水平移動用駆動装置を用いた蓋板の開閉手段は、新幹線などに用いられている気密扉の機構を参照することができ、また、特開2005−315338号公報などに記載されたスライド手段及び接離手段を参照することができる。
以下、本発明の粉体供給装置の作用について説明する。
機密性を有するグローブボックス本体1により、粉体を封じ込めることができ、装置の外に粉体が飛散するのを防止して安全に作業を行うことができる。
グローブボックス本体10上部の粉体導入管21には、フランジ23を介して内袋を備えたファイバードラム等の原料容器が接続される。また、グローブボックス本体10下部の粉体導出管22には、フランジ24を介して反応釜等の反応容器が接続される。本発明の粉体投入装置と各容器との接続には、RTPのような特殊な接続部品を用いないため、ファイバードラムのような汎用の容器を用いることができ、低コスト化を実現することができる。また、内袋を備えた原料容器を上下反転させてグローブボックス本体10に接続することにより、吸引装置などを用いることなく粉体自体の重力による落下によって粉体を反応釜等の反応容器に投入することができ、原料容器内の粉体の重量を計量しながら正確に粉体供給を行うことができる。
グローブボックス本体10上部の粉体導入管21の側面に設けられた空気導入部25によりグローブボックス本体10内に空気が導入される。空気導入部25から空気を導入しながら粉体供給を行うことにより、粉体導入管21から粉体導出管22を経由して反応釜の排気口へと向かう空気の流れ(エアカーテン)を形成し、粉体の流れを空気の流れで取り囲むようにして粉体を投入することができ、粉体導出管22に挿通される内袋と粉体導出管22との間からグローブボックス本体10内に粉体が逆流飛散したり散乱するのを防止することができる。
グローブボックス本体10に備え付けられたグローブ10aにより、グローブボックス本体10の内部での作業を行うことができ、特に、第1蓋板31が粉体導入管の端部開口21aを塞いでいない状態であって、ファイバードラム内部の内袋先端部がグローブボックス本体10内部に露出しているとき、粉体導入管21から引き出された内袋先端部の結束を処理したり、内袋先端部を粉体導出管22に挿通することにより釜側に引き込んだりすることができる。
また、グローブボックス本体10の上部は透明な天板で構成されているため、作業者はグローブボックス本体10内部の状態を目視しながら、グローブ10aに差し込んだ手を使って、グローブボックス本体10の内部で複雑な作業を行うことができる。
第1蓋板31及び第2蓋板32の開閉は以下のようにして行われる。なお、上述したように、グローブボックス本体10内部における各蓋板(31及び32)と各駆動装置(41及び51並びに42及び52)との関係は上下が逆になった対称的な構成であるため、以下、第1蓋板を例に説明するが、第2蓋板についても同様である。
粉体導入管の端部開口21aを開放する場合、まず第1蓋板垂直移動用駆動装置41によって第1蓋板31を垂直方向に移動させて粉体導入管の端部開口21aから離隔させ、次いで第1蓋板水平移動用駆動装置51により第1蓋板31を水平方向に移動させて粉体導入管の端部開口21aを開放する。
一方、粉体導入管の端部開口21aを密閉する場合、まず第1蓋板水平移動用駆動装置51によって粉体導入管の端部開口21aに対応する位置に第1蓋板31を水平方向に移動させ、次いで第1蓋板垂直移動用駆動装置41により第1蓋板31を垂直方向に移動させて粉体導入管の端部開口21aを密閉する。
このように、第1蓋板31を垂直方向に移動させて粉体導入管の端部開口21aとの密接又は離隔を行う一方、第1蓋板31を粉体導入管の端部開口21aから離した状態で水平方向に移動させることにより、蓋板を管口に密接させてグローブボックス本体10内を気密にすることができるのと同時に、水平移動時における粉体の噛み込みや摺り傷の発生を防ぐことができ、蓋板の開閉を円滑に行うことができる。また、蓋板を自動的に開閉することができるため、蓋板の取り扱いが容易で、作業者の作業軽減を図ることができる。
第1蓋板31の開閉手段について、図1〜5を参照しながら説明する。図2及び3はそれぞれ、第1蓋板31が管口21aから離隔して管口21aと相対する位置に垂直移動した状態を示す平面断面図及び底面断面図である。図4及び5はそれぞれ、図2及び3において第1蓋板31が水平移動して管口21aが開いた状態を示す平面断面図及び底面断面図である。すなわち、図2〜5は、第1蓋板水平移動用駆動装置51により第1蓋板31を水平移動させる前後の状態を示す。
図2及び4においては、上部が粉体供給装置の背面側に相当し、下部が粉体供給装置の正面側に相当する。また、図3及び5においては、上部が粉体供給装置の正面側に相当し、下部が粉体供給装置の背面側に相当する。
また、図3及び5において破線で示された部分は、第1蓋板31、スライドレール51b、移動体51c、貫通孔51d、連結部材51eにそれぞれ対応する部分を表す。
粉体導入管の端部開口21aを開放する場合、まず、図1に示すように、第1蓋板31を第1蓋板垂直移動用駆動装置41によって垂直方向に移動させ、第1蓋板31を粉体導入管の開口21aから離隔させ、蓋板と管口との間に隙間を形成する。図1〜3に示すように、第1蓋板31は、蓋板に設けられた被ガイド部材31aに嵌合したガイド53を介して第1蓋板垂直移動用駆動装置41に連結している。空気シリンダ等の垂直移動手段41aの作用により、ガイド53及びこれに連結した第1蓋板31が垂直方向に移動し、粉体導入管の開口21aから離隔させられる。このとき、第1蓋板31は水平状態を維持したまま垂直方向に移動する。動作を容易にするために、ブッシュガイドなどの補助ガイドが設けられていることが好ましい。また、第1蓋板31には蓋板に対して垂直に連結部材51eが接続しており、第1蓋板31の垂直移動の際に連結部材51eは、移動体51cに設けられた貫通孔51dを滑動する。
次に、図2〜5に示すように、第1蓋板31を第1蓋板水平移動用駆動装置51によって水平方向に移動させ、粉体導入管の開口21aを開放する。空気シリンダ等の水平移動手段51aの作用により移動体51cがスライドレール51bを水平移動し、移動体51cに連結部材51eを介して連結された第1蓋板31が水平方向に移動する。このようにして、第1蓋板31が、図2及び3に示された状態から図4及び5に示された状態に移動する。
一方、粉体導入管の端部開口21aを密閉する場合は、上記と逆の手順で行う。
次に、内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給する本発明の粉体供給方法について説明する。本発明の粉体供給方法では、外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能とした気密性を有するグローブボックス本体の上下の対向した位置に該グローボックス本体の壁体を貫通して粉体導入管及び粉体導出管が設けられ、前記のグローブボックス本体内部における粉体導入管及び粉体導出管の端部開口に第1及び第2蓋板がそれぞれ設けられ、前記粉体導入管の側部に空気導入部が設けられた粉体供給装置を用いる。本発明の粉体供給方法では、上述した本発明の粉体供給装置を用いることが好ましい。
本発明の粉体供給方法は、以下のステップ(a)〜(g)を備える。
(a)前記の粉体供給装置の粉体導入管が下方となる状態で、該粉体導入管にチョークバルブを介して前記原料容器を接続するステップ。
(b)前記第1蓋板を、前記粉体導入管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導入管の端部開口を開いた後に、外部からのグローブ装着操作により前記原料容器に備えられた内袋の先端部を引き上げて前記チョークバルブで締めるステップ。
(c)前記の原料容器を接続した粉体供給装置を上下反転させて前記粉体導出管を下方とした後に、該粉体導出管を前記反応容器に接続するステップ。
(d)前記空気導入部から前記の粉体導入管に挿通された内袋の周りを通って装置内に空気を流すステップ。
(e)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋の結束を解き、内袋を粉体導出管に挿通するステップ。
(f)前記第2蓋板を、前記粉体導出管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導出管の端部開口を開くステップ。
(g)前記チョークバルブを開いて、前記の原料容器に収納された粉体を前記反応容器へ供給するステップ。
さらに、本発明の粉体供給方法は、前記反応容器へ所定量の粉体を供給した後、
(i)前記チョークバルブを締めて粉体の供給を停止するステップ
(ii)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋に結束を設けるステップ、および
(iii)前記の第1蓋板及び第2蓋板を水平移動させてから前記の粉体導入管及び粉体導出管に密接させて、前記の粉体導入管及び粉体導出管の端部開口を閉じるステップ
を備えることが好ましい。
以下、図6〜8を参照しながら、本発明の粉体供給方法の手順の好ましい態様について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。図6〜8は、本発明の粉体供給方法の手順の好ましい態様を模式的に示す説明図であり、図6は、原料容器に粉体供給装置を取り付けた状態を示し、図7は、原料容器および粉体供給装置を上下反転させて反応容器に取り付ける状態を示し、図8は、粉体を供給する状態を示す。また、図6〜8中、粉体供給装置100及び原料容器200は、本発明を理解しやすくするため、その内部を透視としている。
[手順1:粉体供給装置とファイバードラムとの接続(ステップ(a))]
まず、本発明の粉体供給装置100における粉体導入管21及び粉体導出管22の端部開口(21a、22a)を前記第1及び第2蓋板にて密閉した状態としておく。また、粉体供給装置100の外側における粉体導入管の端部に蓋が設けられている場合は、これを外す。
図6に示すように、ファイバードラム(原料容器)200は内袋201を備えており、内袋201の中に粉体が封入されている。図6中、内袋201は点線で示している。内袋201の先端部202には結束203が設けられ、結束203を外して内袋201を開封することで粉体を出し入れすることができる。まず、ファイバードラム200の蓋を取り去り、その代わりに金属製のコーン210を取り付ける。その上部には、さらに締め切りを実現するための粉体用チョークバルブ220を取り付ける。金属製コーンなどを取り付ける前に、原料容器200内部の粉体が封入された内袋201の先端部202を引き上げて、次の作業がしやすいようにしておくことが好ましい。さらにその上部に、本発明の粉体供給装置100を設置する。このとき、本発明の粉体供給装置100の粉体導入管21が下方となる状態で、粉体導入管21にファイバードラム200を連結する。
また、あらかじめ粉体供給装置100の粉体導入管21に上記の粉体用チョークバルブ220及び金属製コーン210を取り付けておき、これをファイバードラム200上に接続してもよい。
また、粉体供給装置内の駆動装置として空気シリンダを用いる場合には、シャッター(蓋板)の動作のために空気ラインをつなげる。
この前後に、ドラムポータ230にてファイバードラム200を抱えて、重量計400にて当初のファイバードラム200の重量を測定する。このドラムポータ230は、重量を測定できるように計量器付きの形式を用いるのが便利であるが、計量の精度などを勘案して仕様を決めることが好ましい。重量計としては任意のものを使用することができ、例えば、ロードセルを用いることができる。重量計400は例えばドラムポータ230の腕部231の一端側に設置することができる。
[手順2:第1蓋板による粉体導入管開口の開放、および内袋の先端部の下処理(ステップ(b))]
図6に示すように、まず、チョークバルブ220を開け、次いで、粉体供給装置100内の第1蓋板31を、第1蓋板垂直移動用駆動装置41及び第1蓋板水平移動用駆動装置51によって、粉体導入管の端部開口21aから離隔させてから水平に移動させて、粉体導入管の開口21aを開く。その後、グローブ10aを用いて、ファイバードラム200内部の内袋201の先端部202および結束203を、粉体導入管21を通してグローブボックス本体10内に引き上げる。
その後チョークバルブ220を閉じて、引き上げた内袋201をいったんチョークバルブ220に挟み込んでおき、ファイバードラム200を上下反転させても内袋201から粉体がこぼれないようにしておく。内袋201は通常やわらかい材質の材料で形成されているので、チョークバルブ220で挟み込んでも粉体はこぼれることはない。
粉体投入時には、粉体導入管21と粉体導出管22との間から粉体が散乱しないように、内袋の先端部をできるだけ粉体導出管22の近くに、好ましくは粉体導出管22の中に配置することが好ましい。そのため、チョークバルブ220の外に出た内袋の先端部202の長さは、先端部202が粉体導出管22の中に配置できるように寸法を定めるのがよい。
上記の作業は、前記手順1において、ファイバードラム200に粉体供給装置100を組み付ける直前に行ってもよい。すなわち、金属製コーン210及びチョークバルブ220をファイバードラム200に取り付けた段階で、チョークバルブ220を開け、作業者がファイバードラム200内の内袋先端部202を引き上げてからチョークバルブ220を閉じて、内袋をいったんチョークバルブ220に挟み込むようにしておいてから、粉体供給装置100を取り付けてもよい。
[手順3:粉体供給装置と反応釜との接続(ステップ(c))]
まず、粉体供給装置100が取り付けられたファイバードラム200を、ドラムポータ230によって把持し、反応釜(反応容器)300付近まで搬送する。図7に示すように、反応釜300の上部には、投入口301、その先端部に仕切り弁302、その先には蓋板303が取り付けられていることが好ましい。仕切り弁302は、粉体供給装置100を取り付けることのできるフランジなどを有しているのが好ましい。また、反応釜には別途排気口が設けられている(図示せず)。
次いで、図7に示すように、前記のファイバードラム200を接続した粉体供給装置100を上下反転させて粉体導出管22を下方とし、粉体導出管22に反応釜300を接続する。なお、図7中、ドラムポータ230については腕部231以外を図示していない。図7中、内袋201は点線で示している。また、チョークバルブ220及び仕切り弁302に示された斜線は、バルブ又は弁が閉じた状態を表す。
このとき、粉体供給装置100の外側における粉体導出管22の端部に蓋が設けられている場合は、これを外しておく。また、反応釜300の蓋303を外しておく。粉体供給装置100と反応釜300との接続方法は、例えばドラムポータ230の昇降機能を用いて、粉体供給装置100の粉体導出管22が反応釜300の投入口301にドッキングするように位置調整してから、粉体供給装置100を下降させることにより行うことができる。ドッキング後、結合の作業を容易にして、固定を確実にするためにクランプさせる。締結方法は特に制限されず、例えばフランジやヘルールクランプを用いることが好ましい。
また、粉体供給装置100にファイバードラム200及び反応釜300を接続させた後、粉体供給装置の空気導入部25にブロー空気ラインを接続し、粉体供給装置の排気口11に排気ラインを接続する。
[手順4:粉体供給装置内の清浄化(ステップ(d))]
その後、空気導入部25から前記の粉体導入管21に挿通された内袋201の周りを通ってグローブボックス本体10内にブロー用空気を供給する一方、排気口11から排気することで、グローブボックス本体10内のほこりやゴミなどを排除して、粉体供給装置100のグローブボックス本体10内を清浄にする。このとき、ほこりやゴミは、直接外部に放出しないようにフィルタ12で除去される。
[手順5:内袋の結束の解除(ステップ(e))]
グローブボックス本体10内を清浄にした後、グローブ10aを用いて内袋先端部の結束203を外す。このときも、結束部のほこりなどをグローブボックス本体10から排除する観点から、ブロー用空気を空気導入部25からグローブボックス本体10内に供給するのが好ましい。このとき、上記手順2にて内袋はチョークバルブに挟み込まれているため、結束203を外しても粉体がこぼれ落ちることはない。また、取り外した結束203が反応釜300内に落下することのないように、グローブボックス本体10内には結束203の収納場所を設けておき、ここに保管しておくことが好ましい。
[手順6:第2蓋板による粉体導出管開口の開放(ステップ(f))]
粉体供給装置100内の第2蓋板32を、第2蓋板垂直移動用駆動装置42及び第2蓋板水平移動用駆動装置52によって、粉体導出管の端部開口22aから離隔させてから水平に移動させて、粉体導出管の開口22aを開く。粉体導入管21と粉体導出管22との間から粉体が散乱しないように、内袋の先端部をできるだけ粉体導出管22の近くに、好ましくは粉体導出管22の中に挿通し、配置する。反応釜300の投入口に設けられた仕切り弁302を開く。
[手順7:粉体の反応釜への投入(ステップ(g))]
図8に示すように、チョークバルブ220を少しずつ開いて、ファイバードラム200から反応釜300へ粉体を流す。反応釜300には内部の空気を吸引できるように設計された別途排気口が備えられており(図示せず)、粉体を反応釜300内に投入する際に当該排気口から反応釜300内の空気を吸引することが好ましい。図8中、内袋201は点線で示している。また、実線矢印はファイバードラムから反応釜への粉体の流れを模式的に表している。
図8に示すように、空気導入部25から空気を導入しながら粉体供給を行う(ステップ(g))。これにより、粉体導入管21から粉体導出管22を経由し反応釜側の排気口へと向かう空気の流れ(エアカーテン)を形成し、粉体の流れを空気の流れで取り囲むようにして粉体を投入することで、挿通された内袋と粉体導出管22との間からグローブボックス本体10内に粉体が逆流飛散・散乱するのを防止することができる。空気の流れは、投入する粉体がグローブボックス本体10内に散乱しないように粉体の流れの周囲を囲むように、粉体導入管21の管壁に沿って形成される。このとき、粉体導入管21から反応釜側の排気口へと向かう空気の流れを阻害しないように、グローブボックス本体10に設けられた排気口11は閉じておくことが好ましい。
ただし、空気導入量が大きすぎると、粉体が反応釜の排気口から出てしまい原料のロスになるので、空気導入量を適宜調整したり、断続的に又は間欠的に空気を流したりすることが好ましい。粉体が万が一に反応釜300からグローブボックス本体10内に舞い上がってくるような場合には、排気口11に備えられたフィルタ12により除去する。
また、粉体投入時にグローブ10aにて内袋を揺さぶって粉体の落下量を制御することで、効率的に粉体投入を行うことができる。特に、流動性の悪い粉体の場合には有効である。
粉体投入量の計量は、例えば、ファイバードラム200を支持しているドラムポータ230に付属したロードセル400によって行うことができる。これは、ファイバードラム側で測定しているので、ロスインウェイト方式である。ドラムポータ230は、ファイバードラム200が反応釜300上に設置された状態においても、腕部231に設置されたロードセル400に負荷がかかるようにファイバードラム200を支持している。これにより、投入作業をしながらファイバードラム200の重さを測定することができ、投入量の管理が可能である。ロードセル400とチョークバルブ220とを連動させて、所定量が投入されたときに自動的にチョークバルブ220を閉じるようにすることが好ましい。ロードセルの選定は、投入精度に応じて決定される。
なお、前述のように空気導入量が大きすぎると、反応釜の排気口から排出されてしまい原料のロスになるので、正味の投入量が不正確になることも考えられる。しかし、反応釜側にロードセルを設置して測定するには、重量の測定範囲や精度などの点から十分に対応できない場合が多い。そのため、ファイバードラム側にロードセルを設置して測定するほうが、精度よく投入を行うことができる。
[手順8:粉体投入の停止(ステップ(i)〜(iii))]
まず、所定量の粉体を投入した後にチョークバルブ220を閉じ、反応釜300への粉体の供給を停止する。その後に、グローブ10aを用いて粉体導出管22内に差し込んでいる内袋先端部202を引き上げる。このとき、空気導入部25からパージ空気を流しながらグローブ10aで内袋先端部202をはたいて内袋201に付着している粉体を反応釜300内に落としてから、内袋先端部202を結束する。
その後、反応釜300の投入口に設けられた仕切り弁302を閉じる。この間も、パージ空気を流して気流がある状態を維持しておくのが良い。不測の箇所から粉体が散乱しても、この気流により排気口11からパージ空気が排出されるとともに、フィルタ12により粉体が除去される。
次いで、粉体供給装置100内の第2蓋板32を、第2蓋板垂直移動用駆動装置42及び第2蓋板水平移動用駆動装置52によって、水平移動させてから粉体導出管22に密接させて、粉体導出管の端部開口22aを閉じる。
粉体供給装置と反応釜とを連結しているクランプを開放し、ドラムポータに付属した昇降装置によって粉体供給装置を上方へ移動させて、粉体供給装置と反応釜とを切り離す。粉体供給装置100の粉体導出管22の端部に蓋板を取り付け、反応釜の投入口301に蓋板303を取り付ける。
ファイバードラムが取り付けられた粉体供給装置は、ファイバードラムが下方となるように、ドラムポータに付属した反転装置によって上下反転させる。チョークバルブ220を開いて、内袋先端の結束部202をファイバードラム200内に収納した後、粉体供給装置100内の第1蓋板31を、第1蓋板垂直移動用駆動装置41及び第1蓋板水平移動用駆動装置51によって、水平移動させてから粉体導入管21に密接させて、粉体導入管の端部開口21aを閉じる。
その後、ファイバードラム200に取り付けられたコーン210、チョークバルブ220、および粉体供給装置100をそれぞれ取り外し、ファイバードラム200に蓋を取り付けて、ファイバードラムを保管する。
必要に応じて、コーン210、チョークバルブ220、および粉体供給装置100は、洗浄室に持ち込んで、洗浄を行うことができる。
本発明の粉体供給装置は、全てを自動化するのではなく自動操作と手動操作とを適宜組み合わせたいわゆるロー・コスト・オートメーションの観点からなされるに至ったものである。すなわち、粉体供給装置内の蓋板の開閉については自動化することで、蓋板の取り扱いを容易にし、作業者の安全性および作業軽減を図ることができる。その一方、ファイバードラムの内袋の結束の処理は自動化せずにグローブの装着操作により人手で行うことで、簡便に処理することができ低コスト化を図ることができる。
図1は、本発明の粉体供給装置の正面断面図である。 図2は、図1のII−II線矢視部分平面断面図である。 図3は、図1のIII−III線矢視部分底面断面図である。 図4は、図2における蓋板の水平移動により管口が開いた状態を示す平面断面図である。 図5は、図3における蓋板の水平移動により管口が開いた状態を示す底面断面図である。 図6は、本発明の粉体供給方法の手順の好ましい態様の説明図であり、原料容器に粉体供給装置を取り付けた状態を示す。 図7は、本発明の粉体供給方法の手順の好ましい態様の説明図であり、原料容器および粉体供給装置を上下反転させて反応容器に取り付ける状態を示す。 図8は、本発明の粉体供給方法の手順の好ましい態様の説明図であり、粉体を供給する状態を示す。
符号の説明
10 グローブボックス本体
10a グローブ
11 排気口
12 フィルタ
13 フランジ
21 粉体導入管
21a 粉体導入管の端部開口
22 粉体導出管
22a 粉体導出管の端部開口
23、24 フランジ
25 空気導入部
31 第1蓋板
32 第2蓋板
31a、32a 被ガイド部材
41 第1蓋板垂直移動用駆動装置
42 第2蓋板垂直移動用駆動装置
41a、42a 垂直移動手段
41b、42b 連結部材
51 第1蓋板水平移動用駆動装置
52 第2蓋板水平移動用駆動装置
51a、52a 水平移動手段
51b、52b スライドレール
51c、52c 移動体
51d、52d 貫通孔(スライドブッシュ部)
51e、52e 連結部材
53、54 ガイド
100 粉体供給装置
200 ファイバードラム(原料容器)
201 内袋
202 内袋の先端部
203 結束
210 コーン
220 チョークバルブ
230 ドラムポータ
231 ドラムポータの腕部
300 反応釜(反応容器)
301 投入口
302 仕切り弁
303 反応釜の蓋板
400 重量計(ロードセル)

Claims (6)

  1. 内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給するための粉体供給装置であって、
    (A)気密性を有し、外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能としたグローブボックス本体、
    (B1)前記グローブボックス本体の上部に該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられた、前記原料容器に接続され前記内袋が挿通される粉体導入管、
    (C1)前記グローブボックス本体内における前記粉体導入管の端部開口を開閉する第1蓋板、
    (D1)前記第1蓋板を垂直方向に移動させて前記粉体導入管の端部開口と前記第1蓋板とを密接又は離隔させるための、前記第1蓋板に連結された第1蓋板垂直移動用駆動装置、
    (E1)前記第1蓋板と前記粉体導入管の端部開口とが離隔した状態において前記第1蓋板を水平に移動させるための、前記第1蓋板に連結された第1蓋板水平移動用駆動装置、
    (B2)前記グローブボックス本体の下部に前記粉体導入管に対向して該グローボックス本体の壁体を貫通して設けられた、前記反応容器に接続される粉体導出管、
    (C2)前記グローブボックス本体内における前記粉体導出管の端部開口を開閉する第2蓋板、
    (D2)前記第2蓋板を垂直方向に移動させて前記粉体導出管の端部開口と前記第2蓋板とを密接又は離隔させるための、前記第2蓋板に連結された第2蓋板垂直移動用駆動装置、
    (E2)前記第2蓋板と前記粉体導出管の端部開口とが離隔した状態において前記第2蓋板を水平に移動させるための、前記第2蓋板に連結された第2蓋板水平移動用駆動装置、および
    (F)前記の粉体導入管に挿通された内袋の周りを通って装置内に空気を導入するための、前記粉体導入管の側部に設けられた空気導入部
    を備えることを特徴とする粉体供給装置。
  2. 前記グローブボックス本体の側面に、フィルタを備えた排気口を設けたことを特徴とする請求項1記載の粉体供給装置。
  3. 前記の粉体導入管にチョークバルブが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体供給装置。
  4. 外部から手を差し入れてグローブ装着操作を可能とした気密性を有するグローブボックス本体の上下の対向した位置に該グローボックス本体の壁体を貫通して粉体導入管及び粉体導出管が設けられ、前記のグローブボックス本体内部における粉体導入管及び粉体導出管の端部開口に第1及び第2蓋板がそれぞれ設けられ、前記粉体導入管の側部に空気導入部が設けられた粉体供給装置を用いて、内袋を備えた原料容器に収納された粉体を反応容器へ供給する粉体供給方法であって、
    (a)前記の粉体供給装置の粉体導入管が下方となる状態で、該粉体導入管にチョークバルブを介して前記原料容器を接続するステップ、
    (b)前記第1蓋板を、前記粉体導入管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導入管の端部開口を開いた後に、外部からのグローブ装着操作により前記原料容器に備えられた内袋の先端部を引き上げて前記チョークバルブで締めるステップ、
    (c)前記の原料容器を接続した粉体供給装置を上下反転させて前記粉体導出管を下方とした後に、該粉体導出管を前記反応容器に接続するステップ、
    (d)前記空気導入部から前記の粉体導入管に挿通された内袋の周りを通って装置内に空気を流すステップ、
    (e)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋の結束を解くステップ、
    (f)前記第2蓋板を、前記粉体導出管の端部開口から離隔させてから水平に移動させて、前記粉体導出管の端部開口を開くステップ、および
    (g)前記チョークバルブを開いて、前記の原料容器に収納された粉体を前記反応容器へ供給するステップ
    を備えることを特徴とする粉体供給方法。
  5. 前記反応容器へ所定量の粉体を供給した後、
    (i)前記チョークバルブを締めて粉体の供給を停止するステップ
    (ii)前記グローブボックス本体に備え付けられたグローブの装着操作により、前記原料容器の内袋に結束を設けるステップ、および
    (iii)前記の第1蓋板及び第2蓋板を水平移動させてから前記の粉体導入管及び粉体導出管に密接させて、前記の粉体導入管及び粉体導出管の端部開口を閉じるステップ
    を備えることを特徴とする請求項4記載の粉体供給方法。
  6. 前記の粉体導入管に接続された原料容器に重量計を設置して、粉体の供給量を測定することを特徴とする請求項4又は5に記載の粉体供給方法。
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