JP2008143051A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクと反応させて画質を向上する液体を用いて縁無し記録を行う記録装置で、記録装置および記録媒体の汚れが少なく、自然な仕上がりの記録結果を得られるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】標準の縁無し記録においては、標準の端部領域内で反応液の付与量を一定の割合で減少させながら付与を行う。またユーザによって端部領域が最大に指定される場合には、端部領域開始位置は標準の位置で、端部領域終了位置は、端部領域を最大に設定した位置として、その端部領域内で反応液の付与量を一定の割合で減少させながら付与を行う。
【選択図】図8

Description

本発明は、インクおよびそのインクと反応する反応液を用いて縁無しの記録を行うインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、紙等の記録媒体に対して記録ヘッドからインク滴を吐出して付着させることで画像等を形成して記録を行う記録方法である。一般的に利用されているインクジェット記録方法には、インク滴を吐出するために用いられる吐出エネルギ発生素子として、ヒータ等の電気熱変換素子を用いる方法がある。この方法は電気信号によってインク滴の吐出を制御することができる。その原理は、記録ヘッドのノズル内に設けられた電気熱変換素子に電圧を印加することで、電気熱変換素子近傍のインクを瞬時に沸騰させて、沸騰時のインクの相変化により生じる急激な発泡圧によってインク滴を高速に吐出させるというものである。
ところで、このインクジェット記録方法に用いるインクは、水を主成分としており、これにノズル内でのインクの乾燥防止およびノズルの目詰まり防止等の目的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有させるのが一般的である。したがって、吐出されたインク滴は乾燥しにくいことから記録媒体上で定着するのに時間がかかり、インクの十分な定着前に記録部が何かに触れた場合、その記録部には記録画像の乱れが生じて記録品位が低下することがある。
一方で近年インクジェット記録装置による記録には、銀塩写真と同等の高画質が求められており、色再現領域を広げることや、記録結果の色の均一性を向上させるなどの要求が高まっている。
そこで、上記の記録品位が低下するような不具合を改善すべく、特許文献1には、記録媒体に対してインクと、そのインクと反応する反応液と、を吐出して記録媒体上で混合させる方法が開示されている。これによって、耐水性に優れ、色再現性に優れる等の、比較的高記録品位の記録を実現することが可能である。また、同様の目的で、特許文献2には、相互に反応する複数のインクを記録媒体上に付与して、それらを反応させる方法が開示されており、これによっても、比較的高記録品位の記録を実現することが可能である。
また、銀塩写真では記録画像の周囲に余白の無い記録である所謂縁無し記録は、一般的に行われており、インクジェット記録によっても銀塩写真同様の縁無し記録が行われている。インクジェット記録装置で縁無し記録を行う場合、記録媒体の端部にまでインクを吐出する必要があり、その結果、記録媒体の外にまでインクが吐出される。この場合、記録媒体の外に吐出されたインクによって、記録媒体が汚されることがある。そこで、特許文献3には、記録媒体の始端、終端、更には幅方向の両端を縁なしで記録する場合に、記録媒体の外に打たれたインクによって記録媒体が汚されることがない工夫を施したインクジェット記録装置および記録方法が開示されている。
図18は、縁無し記録を行っても、記録媒体が汚れない工夫が施された記録装置の記録部を示した図である。記録中の記録媒体1810を平坦に保持するプラテン1811の一部に穴部Hを設けて、記録媒体の外へ吐出されたインク滴を、その穴部Hで受ける。これによって、プラテン1811の、記録媒体1810と接触する部分にインクが付着することを防ぎ、記録媒体1810の搬送面がインクによって汚れることを防止している。
そして、前述したインクの反応を用いて高記録品位の記録を行う方法と、縁無し記録を実現させる方法とを組み合わせて記録を行う方法が、特許文献4に開示されている。一般的にインクジェット記録によって記録を行う場合、インク滴の吐出時や着弾時にミストが発生することが知られており、この現象は、インクと反応させるために用いる反応液を吐出する際も同様に発生することが知られている。
記録媒体に縁のある記録を行う場合には、発生したミストは、吐出したインクや反応液の液滴(以下、主滴ともいう)の着弾位置付近に着弾することから、ミストによる記録媒体の汚れが目立つことは無い。しかし、縁無し記録を行う場合、記録媒体の外に打たれるインク滴や反応液があるため、記録媒体に着弾しないミストが発生する。この記録媒体に着弾しないインクのミストおよび反応液のミストが、記録媒体の記録面以外の部分で反応し反応物を形成することから、その反応物のよる記録装置および記録媒体への汚染は著しいものとなる。
また、図18のプラテン1811に設けられた穴部Hに吸収体を設置し、記録媒体の外に打たれたインクや反応液をその吸収体で受けるようにして縁なし記録を行うと、その吸収体に反応物が生成され、それに起因して吸収体の吸収能力が低下する。また、吸収体の液体吸収能力が低下するだけでなく、記録回数の増加に伴い、吸収体に付着した反応物が累積し、記録媒体搬送面を汚染し、さらに反応物が増加するに伴って、記録媒体の搬送を妨げてしまう。
そこで、このような不具合を改善するために特許文献4では、記録媒体の端部に記録を行う際の反応液の付与量を、端部以外の部分に付与する反応液の量に比べて少なくしている。これによって、反応物による記録装置への汚染や、吸収体の液体吸収能力低下および記録媒体への汚染を軽減している。
特開昭63−60783号公報 特開平6−100811号公報 特開2000−351205号公報 特開2003−025563号公報
しかし、記録媒体の端部領域で反応液の付与量を急減に変化させると、端部領域以外の画像部と端部領域の画像部とで色味が変わってしまい、不自然な画像が形成される。 よって本発明は、インクと反応させて画質を向上する液体を用いて縁無し記録を行う記録装置で、記録装置および記録媒体の汚れが少なく、自然な仕上がりの記録結果を得られるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
そのため本発明は、記録媒体の内から外に亘る端部領域に対して、インクおよび当該インクと反応する反応液を吐出して縁無し記録を行うインクジェット記録装置において、前記反応液の付与量を、前記端部領域において前記記録媒体の内から外に向かうに従って、連続的に減少させることを特徴とする。
また、本発明は、記録媒体の内から外に亘る端部領域に対して、インクおよび当該インクと反応する反応液を吐出して縁無し記録を行うインクジェット記録方法において、前記反応液の付与量を、前記端部領域において前記記録媒体の内から外に向かうに従って、連続的に減少させることを特徴とする。
本発明によれば、反応するインクを用いて縁無し記録を行う際に、端部領域において反応液の付与量を徐々減少させる。これによって、記録装置および記録媒体の汚れが少なく、自然な仕上がりの記録結果を得ることができる。
(基本的構成)
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容したインク収容部(インクタンク部)と、そのインクを吐出させるためのインク吐出部(以下、記録ヘッドともいう)とを有する第1の記録ユニット(以下、記録用カートリッジともいう)を備えている。さらにインクジェット記録装置は、インクと反応する反応液を収容した液体収容部(反応液タンク部)と、反応液を吐出させる液体吐出部(反応液吐出用ヘッド)とを有する第2の記録ユニット(反応液用カートリッジ)を備えており、これらを用いて記録を行う。このように本実施形態の記録装置では、インクと、そのインクと反応する液体とを用いて記録することによって高画質記録を実現するものである。
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式的斜視図である。図1において、インクを吐出して記録を行うための記録用カートリッジ1と、反応液を吐出するための反応液用カートリッジ2の2種類のカートリッジ(構造は同じ)がキャリッジ3に搭載されている。図示の例では、それぞれ異なる色のインクを吐出する4個の記録用カートリッジ(1Y、1M、1C、1B)と1個の反応液用カートリッジ2とが使用されている。
記録用カートリッジ1の各々は、上部のインクタンク部(インク収容部)と下部のインク吐出部(インク吐出用ヘッド部)とから構成されている。反応液用カートリッジ2は、上部の反応液タンク部(液体収容部)と下部の反応液吐出部(液体吐出部)とから構成されている。さらに、これら記録用カートリッジ1および反応液用カートリッジ2には、駆動信号などを受信するためのコネクタが設けられている。
キャリッジ3には各記録用カートリッジ1の各インク吐出部および反応液用カートリッジ2の液体吐出部を駆動する信号などを伝達するためのコネクタホルダ(不図示)が設けられている。このコネクタホルダを介してキャリッジ3と記録用カートリッジ1および反応液用カートリッジ2とは電気的に接続される。
各記録用カートリッジ1のインク吐出部は、それぞれ異なった色のインク、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のインクを吐出する。図1では、図示左から、イエロー、マゼンタ、シアン,ブラックの各インクの記録用カートリッジ1Y、1M、1C、1Bが搭載され、そしてそれら記録用カートリッジ1の隣に反応液を吐出するための反応液用カートリッジ2が搭載されている。
図1においてキャリッジ3は、走査レール4によって主走査方向に摺動自在に支持されており、駆動ベルト5によって駆動力が伝達されることで往復走査が可能になっている。搬送ローラ対6、7および同8、9は、記録用カートリッジのインク吐出部によって吐出が行われる位置の前後に配置されており、記録媒体10を挟持して、キャリッジ3による走査に連動して記録媒体10を搬送する。紙などの記録媒体10は、記録が行われる位置で、記録面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)に圧接状態で案内支持されている。この時、キャリッジ3に搭載された各カートリッジ1、2の吐出口形成面は、キャリッジ3から下方へ突出して搬送用ローラ7、9間に位置し、プラテンの案内面に圧接された記録媒体10に平行に対向するようになっている。
図1のインクジェット記録装置の記録領域を外れた部分に設定されたホームポジションHPの近傍には、回復ユニット11が配設されている。回復ユニット11には、4個の記録用カートリッジ(インク吐出部)1Y、1M、1C、1Bに対応する4個のキャップ12と1個の反応液用カートリッジ(液体吐出部)2に対応する1個のキャップ13が上下方向に昇降可能に設けられている。そして、キャリッジ3がホームポジションHPにあるときに、記録用カートリッジ1および反応液用カートリッジ2の吐出口形成面に対応するキャップ12、13が圧接接合されることで記録用カートリッジ1および反応液用カートリッジ2の吐出口が密封される。この密封(以下、キャッピングともいう)することにより、吐出口内のインク溶剤の蒸発によるインクの増粘および固着が防止され、吐出不良の発生が防止される。
また、回復ユニット11は、各キャップ12に連通した吸引ポンプ14とキャップ13に連通した吸引ポンプ15を備えている。これらのポンプ14、15は、インク吐出部や液体吐出部に吐出不良が生じた場合に、それらの吐出口形成面をキャップ12、13でキャッピングして吸引回復処理を実行するのに使用される。さらに、回復ユニット11には、ゴムなどの弾性部材から成る2個のワイピング部材(以下、ブレードともいう)16、17が設けられている。ブレード16はブレードホルダ18によって保持され、ブレード17はブレードホルダ19によって保持されている。
図1においてブレードホルダ18、19は、駆動されるブレード昇降機構(不図示)により昇降される。それによって、ブレード16、17も、各カートリッジ1、2の吐出口形成面に付着したインクや異物をワイピングすべく上昇した位置(ワイピング位置)と、吐出口形成面に接触しない下降位置(待機位置)との間で昇降する。この場合、記録用カートリッジ1の吐出口形成面をワイピングするためのブレード16と、反応液用カ−トリッジ2の吐出口形成面をワイピングするためのブレード17は、互いに独立して、個別に昇降できるように構成されている。
そして、キャリッジ3が図1中ホームポジションHPの反対側からホームポジションHP側へ移動するとき、あるいはホームポジションHP側からホームポジションHPの反対側へ移動するときにブレード16が各記録用カートリッジ1の吐出口形成面と当接する。当接することによって、ブレード17が反応液用カートリッジ2の吐出口形成面と当接して、相対移動によってそれらの吐出口形成面の拭き取り(ワイピング)動作が行われる。
図2は、インク吐出部とインクタンクとを一体化した構造の記録用カートリッジ1を示す模式的斜視図である。なお、反応液用カートリッジ2は、内部に貯蔵しているものがインクではなく反応液である点を除き、記録用カートリッジ1と実質上同じ構成をしている。図2において、記録用カートリッジ1は、上部にインクタンク部21を、下部にインク吐出部(インク吐出用ヘッド部)22を有している。さらに、記録用カートリッジ1は、インク吐出部22を駆動するための信号などを受信するとともにインク残量検知信号を出力するためのヘッド側コネクタ23を有している。このコネクタ23はインクタンク部21と隣接する位置に設けられている。
図2においてインク吐出部22は、吐出口形成面81を有し、その吐出口形成面81には複数の吐出口(不図示)が形成されている。インクタンク部21から各吐出口に通じる液路部分には、インクを吐出するのに必要なエネルギを発生するための吐出エネルギ発生素子が配置されている。本実施形態ではエネルギ発生素子として、電気熱変換体を用いている。
記録用カートリッジ1は、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段であり、インクタンク部21内のインクが無くなった場合等に交換可能な構成となっている。またインク吐出部22は、熱エネルギを利用してインクを吐出するためのインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギを発生するための電気熱変換体を備えたものである。このインク吐出部22は、電気熱変換体に電圧が印加され、発生する熱エネルギにより膜沸騰を生じさせ、膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行なうものである。
図3は、インク吐出部22の構造を模式的に示す部分斜視図である。図3において、記録媒体10と所定の隙間(例えば、約0.5〜2.0mm程度)をあけて対面する吐出口形成面81には、所定のピッチで複数の吐出口82が形成されている。そして、共通液室83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギを発生するための電気熱変換体85が配設されている。複数の吐出口82は、記録用カートリッジ1の移動方向(主走査方向)と交差する方向に並ぶ位置関係で配列されている。このように構成されるインク吐出部22では、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体85を駆動して、液路84内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82からインクを吐出させる。反応液吐出部は、インク吐出部と同様に構成されているため説明を省略する。
なお、上記ではインクおよび反応液に熱エネルギを作用させて吐出動作を行う方式のインクジェット記録装置を例に挙げたが、本発明はこの方式に限定されるものではなく、例えば、圧電素子を使用するピエゾ方式のインクジェット記録装置も適用可能である。
また、インクと反応液は必ずしも1対1、つまりインク1ドットに対して反応液1ドットが吐出されるわけではなく、インクと反応液との比率は、適宜変更可能である。以下の説明では、インクと反応液との吐出の割合に関係なく、共に予め設定された付与量を基準として説明を行う。
ここで、記録媒体端部(縁あり記録での縁となる部分)にて反応液の付与量を低減させた場合の記録状態を確認した結果について説明する。
図4は、確認に用いた原画像を表わした図であり、図5は、記録媒体の外への反応液の付与を防止すべく、端部領域内の所定位置を堺に反応液を付与しないようにして記録を行った結果を表わした図である。ここで言う「端部領域」とは、縁あり記録が行われる場合の記録媒体の縁に相当する部分と、縁無し記録を行うために記録媒体の外でインクが吐出される部分とを合わせた領域であり、以後の説明において同様の意味で用いる。図5の記録を行う際には、図4の原画像が記録媒体の外端51よりも大きくなるように拡大して、標準的な縁無し記録モードで記録を行った。
また図6は、図5の記録を行った場合の、端部領域Qaと反応液の付与量の関係がわかるように示した図である。端部領域開始位置221(縁あり記録が行われる場合の記録媒体内の縁と画像の境界)までは所定量の反応液を付与しているが、端部領域開始位置221から端部領域終了位置222までは反応液を付与しないようにしている。
図5からわかるように、反応液の付与量を急激に低減させた記録媒体の端部(縁あり記録での縁となる部分)は、端部以外の部分と端部とで色味が変わっている。
この色味の異なる部分を極力無くすために、できるだけ反応液の付与量の低減を開始する位置を記録媒体の外端51に近づけることが考えられる。
図7(a)および(b)は、反応液の付与量の低減を開始する位置を、できるだけ記録媒体の外端51に近づけて記録を行ったものである。このような場合、記録装置に対して記録媒体をセットする位置がずれると図7(a)のように記録媒体の外端の一部に色味の異なる部分52が現れることになる。この場合、記録媒体の色味の異なる部分ではない部分53で記録媒体の外に多くの反応液が吐出されることにもなる。また、図7(b)のように標準サイズの記録媒体51よりも若干大きなサイズの記録媒体54に記録を行うような場合には、記録媒体周囲外端に色味の異なる部分55ができてしまう。
このように、反応液の付与量を急減に変化させて記録を行うと、記録結果にインクの発色が十分でない色味の違う領域ができてしまうこともある。
(特徴的構成)
そこで本実施形態では、色味が不自然な部分の発生を軽減し、かつ記録媒体の外への反応液の付与量を少なくするために、端部領域で反応液の付与量を徐々に低減させて記録を行う。以下にその方法について説明する。
図8は、本実施形態の記録装置で記録を行った場合の端部領域Qbと反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。端部領域Qbの幅201や端部領域開始位置および端部領域終了位置は、図6における端部領域Qaと同じである。しかし、端部領域開始位置221から反応液の付与量低減を開始し、端部領域終了位置222まで付与量を徐々に低減させて記録を行う点が図6の記録方法とは異なる。また、図9は、図8に示した記録方法で記録を行った結果を示した図である。
図9からもわかるように、端部領域開始位置221から反応液の付与量低減を開始し、端部領域終了位置222まで付与量を徐々に低減させて記録を行った場合、端部で不自然に色味の違う部分が発生することは抑制され、色味の変化も目立たなくなる。また、図8の外部付与量231に示すように、このような記録方法でも記録媒体の外部へ反応液が付与されるが、その量はわずかであり端部領域終了位置222まで反応液の付与量を低減させずに一定量で付与する従来技術と比較して、その量は大幅に低減される。したがって、端部領域開始位置221から反応液の付与量低減を開始し、端部領域終了位置222まで付与量を連続的に低減させて記録を行うことで、記録装置および記録媒体の汚れが少なく、自然な仕上がりの記録結果を得ることができた。
なお、本実施形態の場合、端部領域開始位置221は、縁あり記録が行われる場合の縁の開始位置であり、一般的に記録媒体がはがきサイズからA4サイズでは、端部領域開始位置221から記録媒体の外端51までは3〜5mmである。この場合、図8における端部領域の幅Qbは、4〜7mm程度となる。また、デザインプリンタ、プロッタプリンタなどの大判用記録装置で記録を行う場合、端部領域の幅は、20mm以上に設定することが好ましい。
ここまでは標準的なサイズの記録媒体に記録を行う場合について説明したが、以下は、標準的なサイズの記録媒体よりも若干大きなサイズの記録媒体に記録を行う場合について説明する。
標準的なサイズの記録媒体よりも若干大きなサイズの記録媒体に記録を行う場合、本実施形態のインクジェット記録装置では、ユーザによって端部領域を最大に指定して記録を行う。
図10は、ユーザが標準的なサイズの記録媒体よりも若干大きなサイズの記録媒体に記録を行うために、端部領域の幅を単純に拡大し、最大にして記録を行った結果を示した図である。図10において記録媒体の外端101は、図5の記録媒体の外端51よりも大きくなっている。
図10に示した記録も上記の記録方法、つまり端部領域開始位置から反応液の付与量低減を開始し、端部領域終了位置まで付与量を徐々に低減させて記録を行ったものである。しかし、端部領域の幅を最大に設定していることから、色味が不自然な部分102が記録媒体上に現れている。
図11は、図10の記録を行った場合の端部領域Qcと反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。端部領域の幅を単純に拡大したことにより、端部領域開始位置220は、図8の端部領域開始位置221よりもさらに画像の内側に位置しており、端部領域終了位置225は、図8の端部領域終了位置222よりも外側に位置している。記録媒体が標準的なサイズではないため、図11のように端部領域Qcを最大に設定しており記録媒体上にも端部領域Qcの一部(端部領域開始位置220から外端101まで)が大きく入り込んでいる。このように記録媒体に大きく入り込んだ端部領域Qcの一部が色味の不自然な部分102になる。そこで、端部領域終了位置225の位置はそのままで、端部領域開始位置220を端部領域終了位置225側へ移動して、端部領域開始位置224として端部領域Qdの幅を図6の端部領域Qaと同じにして記録を行った。
図12は、その記録結果であり、端部領域の幅を図6における端部領域Qaの幅と同じにしている。その結果、記録媒体上に色味が不自然な部分は発生していないが、記録媒体の外への反応液の付与量が多くなり、記録装置や記録媒体の汚れが発生してしまう。
図13は、図12で示される記録を行った場合の端部領域Qdと反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。記録媒体の外端101まで反応液が十分に付与されているため、記録媒体上に色味の不自然な部分は現れない。しかし、記録媒体の外に吐出される反応液の外部吐出量123は多くなっており、ユーザによって端部領域を最大に指定する場合、この記録方法では、記録装置および記録媒体の汚れの発生は改善されない。
そこで、ユーザによって端部領域を最大に指定する場合には、本実施形態のインクジェット記録装置では、端部領域開始位置には標準位置、つまり縁あり記録を行う場合の縁開始位置(図8における端部領域開始位置221と同じ位置)を設定する。そして、端部領域終了位置は、端部領域を最大に設定した位置、つまり図11における端部領域終了位置225に設定する。
図14は、本実施形態のインクジェット記録装置で、ユーザによって端部領域を最大に指定して、標準サイズよりも大きな記録媒体に記録を行った結果を表わした図である。また、図15は、図14の記録を行う場合の端部領域Qeと反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。図14からもわかるように、記録媒体上に色味の不自然な部分は発生していない。そして、この記録方法では、記録媒体の外部への反応液の付与量が少ないため、従来に比べて、記録装置や記録媒体の汚染を軽減している。
なお図15で端部領域開始位置221は、標準サイズの記録媒体に記録を行う場合の端部領域開始位置、つまり図8における端部領域開始位置221と同じ位置であり図6の端部領域Qbと比較した場合、端部領域Qeは端部領域Qbの外周部を広げた領域となる。この端部領域開始位置221から端部領域終了位置225までの寸法(端部領域Qeの幅寸法)は、10〜20mm程度が好ましい。また、デザインプリンタ、プロッタプリンタなどの大判用記録装置で記録を行う場合、端部領域Qeの幅寸法は、20mm以上、例えば50mm程度に設定することが好ましい。
このように、標準の縁無し記録においては、標準の端部領域内で反応液の付与量を一定の割合で減少させながら付与を行う。またユーザによって端部領域を最大に指定する場合には、端部領域開始(反応液付与を減少開始する)位置は標準の位置で、端部領域終了位置は、端部領域を最大に設定した位置として、その端部領域内で反応液の付与量を一定の割合で減少させながら付与を行う。この記録方法にしたがって記録を行うことで、インクと反応させて画質を向上する液体を用いて縁無し記録を行う記録装置で、記録装置および記録媒体の汚れが少なく、自然な仕上がりの記録結果を得ることができる。
このように付与量を少なくするにあたって、反応液の付与量を低減させる方法としては、下記に挙げる方法を用いることが好ましい。そして、これらの方法を単独で用いても、併用してもどちらでもよい。
(i) 間引き記録方法
間引き記録とは、吐出する液滴を間引いて記録を行うことである。例えば、反応液吐出データをある割合で間引き、インク吐出データは間引かないようにして、インクが吐出される全箇所の一部分に対して反応液を吐出するような構成である。この構成によれば、反応液を間引いて吐出するため、反応液ミストの発生および記録媒体における反応液とインクとの接触によるインクミストの発生を、完全には防止できないまでも、低減することができ、その結果、反応物による汚染を低減できる。さらに、反応液だけを間引くのではなく、インクもある割合で間引くように構成してもよい。この構成によれば、反応液のみを間引く場合に比べ、反応液ミストおよびインクミストが低減されるため、インクミストと反応液ミストとによる反応物の発生量を少なくすることができる。
また、反応系としてカチオン性のインクとアニオン性のインクとの組合せを用いる場合、例えば、アニオン性のカラーインクは間引かずに、ブラックインク吐出データをある割合で間引いてカチオン性のブラックインクの付与量を減らすように構成してもよい。さらに、カチオン性のブラックインクとアニオン性のカラーインク(Y、M、C)の両方をある割合で間引くように構成してもよい。
以上のように、インクおよび反応液の少なくとも一方を間引いて記録を行う間引き記録方法によれば、付与されるインクおよび反応液の量が少なくなるため、その分、インクミストの量や反応液ミストの量も低減する。それに伴ってインクミストと反応液ミストとによる余計な反応物の発生も防止あるいは抑制され、反応物がプラテン上や記録媒体裏面に付着することも少なくなる。
(ii)吐出口からの1滴あたりの吐出量低減記録方法
(i)の間引き記録方法では、インクまたは反応液のうち少なくとも一方を間引くことでインクミストや反応液ミストの発生を低減させているが、ここでは、吐出口からの1滴あたりの吐出量を減らすことでインクミストや反応液ミストの発生を低減させている。吐出口からの1滴あたりの吐出量を低減させる方法としては、ノズル毎に設けられた電気熱変換素子に与えるプレパルスの幅を調整する方法や、プレヒートパルスとメインパルスとの間のインターバルタイムの長さを調整する方法、駆動電圧を調整する方法等がある。なお、プレパルスは主に液路内のインク温度を制御するためのパルスであり、吐出量制御の重要な役割を荷っている。このプレパルス幅は、その印加によって電気熱変換体が発生する熱エネルギによって液体中に発泡現象が生じないような値に設定するのが好ましい。インターバルタイムは、液路内の液体へのプレパルスのエネルギ伝達のための時間を確保するものである。メインパルスは、液路内の液体中に発泡を生ぜしめ、吐出口より液体を吐出させるものである。
ここでは、インクまたは反応液の両者のうち少なくとも一方に関し、吐出口からの1滴あたりの吐出量を減らすこととしている。具体的には、余白なし記録モードの場合、通常記録モードに比して反応液の1滴あたりの吐出量を減らすように構成する。また、反応液およびインクの双方の1滴あたりの吐出量を減らすように構成してもよい。この構成によれば、付与されるインクおよび反応液の量が少なくなるため、その分、着弾時やすでに着弾しているインクおよび反応液に接触した際に発生するインクミスト量や反応液ミスト量が低減する。それに伴ってインクミストと反応液ミストとによる余計な反応物の発生も防止あるいは抑制され、反応物がプラテン上や記録媒体裏面に付着することも少なくなる。
なお、間引いたり、吐出口からの1滴あたり吐出量を低減させたりするのは、インクと反応液の両方を対象としてもよいし、反応液のみを対象としてもよい。
以上のように、端部領域以外の領域に比して端部領域において、間引き率や吐出量低減率を大きくする構成によれば、記録媒体の端部に打ち込まれるインクや反応液が少なくなるため、プラテンに着弾するインクや反応液の量も減る。その結果、プラテンや記録媒体の汚染を低減できる。また、記録媒体の端部や記録媒体の外側への反応液の吐出を極力減少させことで、記録媒体の搬送経路に設けられた吸収体の吸収能力を低下させないと共に、インクと反応液による反応物の生成が低減されるので記録媒体の搬送が妨げられることを抑制できる。
ユーザによって記録媒体の端部に対して打ち込まれる反応液の付与条件の指定について説明を行う。
図17は、インクジェット記録装置2201と外部装置であるパーソナルコンピュータ(PC)2202、モニタ2203、キーボード2204およびマウス2205とがケーブル2206〜2209により接続された形態を示している。PC2202が記憶しているインクジェット記録装置2201のプリンタドライバのUI(ユーザインターフェース)がモニタ2203上に表示されている。ユーザはキーボード2204およびマウス2205を使ってUIを操作し、種々の設定ができる。UIには余白なし記録モードを設定するためのボタンがあり、ユーザがその設定ボタンを選択し、さらにPC2202が記憶しているアプリケーションのUIを操作し記録開始の指示を行う。その後、アプリケーションはプリンタドライバに記録指示を行い、これを受けてプリンタドライバはインクジェット記録装置2201に対し、余白なし記録の指示を伝達する。
通常、これによってプリンタドライバは記録画像データの伝達とあわせて、反応液付与の条件をインクジェット記録装置2201に対し指示するか、反応液付与の条件に応じた反応液の吐出画像データを作成しインクジェット記録装置2201に伝達する。これによって、記録媒体端部の近傍領域に対し適切な反応液の付与を、あらかじめ設定された条件に基づき行う。
なお、上記ではUIを操作においてボタンと説明したが、これはアイコンでもよく、チェックボックスでもよい。
ユーザがキーボード2204およびマウス2205でUIを操作し、余白なし記録モードを選択して、さらにはみ出し量を変更するようにUIに表示されたスライドバーを用いて操作されたとき、記録媒体の端部に打ち込まれる反応液の付与は減少条件となる。しかし、場合によってユーザは端部のわずかな画像の変化も受け入れられない場合もある。その場合、このUIを操作し、ユーザは反応液の減少付与をキャンセルし画像の記録部には規定量の反応液を付与することを選択する。UIには反応液減少付与のキャンセルを設定するためのボタンがあり、ユーザが設定ボタンを選択し、さらにPC2202が記憶しているアプリケーションのUIを操作し記録開始の指示を行うと、アプリケーションはプリンタドライバに記録指示を行う。これを受けてプリンタドライバは、インクジェット記録装置2201に対し、記録の指示を伝達する。
これによってPC2202が記憶しているインクジェット記録装置2201のプリンタドライバ、またはコントローラは、記録画像データの伝達とあわせて、変更された反応液付与の条件をインクジェット記録装置2201に対し指示する。もしくは、プリンタドライバ、またはコントローラは、変更された反応液付与の条件に応じた反応液の吐出画像データを作成しインクジェット記録装置2201に伝達する。あるいは、プリンタドライバ、またはコントローラは、インクジェット記録装置2201内において変更された反応液付与の条件の応じた反応液の吐出画像データを作成することによって、記録媒体端部の近傍領域に対し規定量の反応液の付与を行う。
この場合、ミスト等の反応物による汚染の問題は避けられない。そこでドライバのUIではこのキャンセル指定は非推奨を表示し、また多用されることを制限するため、キャンセル操作の履歴をとり記録装置に問題のある頻度の場合には警告を発するなどの多用防止手段をもうけた。
なお、上記ではUIを操作においてボタン、スライドバーと説明したが、これはアイコンでもよく、チェックボックスや、ラジオボタンでもよい。
以下では本発明で使用したインクおよび反応液等の反応系1、反応系2および反応系3について説明する。なお、文中、部および%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。反応系1は相互に反応するインクと反応液の組み合わせである。また反応系2は、相互に反応するインク(ブラックインク)とインク(カラーインク)の組み合わせである。また、反応系3は相互に反応し、かつ相互に逆極性を有するインクと微粒子含有反応液の組み合わせである。
〔反応系1〕
(インクサブセット1の作製)下記成分を混合し、更にポアサイズが0.22μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、ブラックインクBk1、イエローインクY1、マゼンタインクM1およびシアンインクC1を得た。Bk1、Y1、M1およびC1の組み合わせをインクサブセット1と呼ぶ。
<Bk1の組成>
・C.I.フードブラック24.0部
・チオジグリコール10部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製)0.05部
・イオン交換水85.95部
<Y1の組成>
・C.I.ダイレクトイエロー142 2部
・チオジグリコール 10部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製)0.05部
・イオン交換水87.95部
<M1の組成>
・C.I.アシッド922.5部
・チオジグリコール10部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製)0.05部
・イオン交換水87.45部
<C1の組成>
・C.I.ダイレクトブルー1992.5部
・チオジグリコール 10部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製)0.05部
・イオン交換水87.45部
(液体組成物1の作製)下記成分を混合し、更にポアサイズが0.22μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、液体組成物1を得た。
<液体組成物1の組成>
・ポリアリルアミン(自社合成)5部
・ポリアリルアミン塩酸塩(自社合成)3部
・チオジグリコール10部
・イオン交換水82部
〔反応系2〕
(インクサブセット2の作製)下記成分を混合し、更にポアサイズが1μmのテフロン(登録商標)(R)フィルターにて加圧濾過し、ブラックインクBk2、イエローインクY2、マゼンタインクM2およびシアンインクC2を得た。Y2、M2およびC2の組み合わせをインクサブセット2と呼ぶ。尚、Bk2の色材はインク中でカチオン性を示し、Y2とM2およびC2の色材はアニオン性を示す。
<Bk2の組成>
・DiacrylSupra BlackESL(三菱製)3部
・エチレングリコール10部
・スルホラン5部
・シクロヘキサノール2部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)0.05部
・イオン交換水80部
<Y2の組成>
・C.I.ダイレクトイエロー293部
・エチレングリコール10部
・スルホラン5部
・シクロヘキサノール2部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)1部
・イオン交換水79部
<M2の組成>
・C.I.アシッドレッド2893部
・エチレングリコール10部
・スルホラン5部
・シクロヘキサノール2部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)1部
・イオン交換水79部
<Y2の組成>
・C.I.ダイレクトブルー1993部
・エチレングリコール10部
・スルホラン5部
・シクロヘキサノール2部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)1部
・イオン交換水79部
〔反応系3〕
(インクサブセット3の作製)下記成分を混合し、更にポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルターにて加圧濾過し、ブラックインクBk3、イエローインクY3、マゼンタインクM3およびシアンインクC3を得た。Bk3、Y3、M3およびC3の組み合わせをインクサブセット3と呼ぶ。尚、Bk3、Y3、M3およびC3の色材はインク中でアニオン性を示す。
<Bk3の組成>
・C.I.ダイレクトブラック1952.5部
・2−ピロリドン10部
・グリセリン5部
・イソプロピルアルコール4部
・水酸化ナトリウム0.4部
・イオン交換水78.1部
<Y3の組成>
・Projet Fast Yellow 2(Zeneca社製)2部
・C.I.ダイレクトイエロー861部
・チオジグリコール8部
・エチレングリコール8部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)0.2部
・イソプロピルアルコール4部
・イオン交換水76.8部
<M3の組成>
・ProjetFastMagenta2(Zeneca社製)3部
・グリセリン7部
・尿素7部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)0.2部
・イソプロピルアルコール4部
・イオン交換水78.8部
<C3の組成>
・C.I.ダイレクトブルー1993部
・エチレングリコール7部
・ジエチレングリコール10部
・アセチレノールEH(川研ケミカルス製)0.3部
・イオン交換水79.7部(微粒子含有液体組成物3の作製)以下に示す各成分を混合溶解した後、ポアサイズが1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロロポアフィルター、住友電工(株)製)にて加圧濾過し、本発明の微粒子含有液体組成物を得た。
(アルミナ水和物の合成)米国特許明細書第4,242,271号に記載の方法でアルミニウムドデキシドを製造した。次に、米国特許明細書第4,202,870号に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が8.2%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.7であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHを5.3に調整し、オートクレーブにて120℃8時間熟成させてコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを硝酸でpH=4.0に調整し、固形分濃度20%に濃縮してアルミナ水和物スラリーを作製した。これらのスラリー中のアルミナ水和物は水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性を示す。また、これらのアルミナ水和物スラリーをイオン交換水に希釈し分散させてコロジオン膜上に滴下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察したところすべて平板形状の微粒子であった。
<微粒子含有液体組成物3の組成>
・1.5−ペンタンジオール10.0質量部
・エチレングリコール7.5質量部
・アルミナ水和物スラリー50.0質量部
・水32.5質量部上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業株式会社製)にて3000rpmで30分間混合した後、遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行い、粗大粒子を除去して微粒子含有液体組成物3とした。
上記で得られた微粒子含有液体組成物3のpHは3.9であり、微粒子の平均粒子径は80nm、ゼータ電位は+41mVであった。また、インクタンクに微粒子含有液体組成物3を充填し、60℃/Dry・1ヶ月の保存試験を行った後もインクタンク内に沈降物は見られず、記録ヘッドからの吐出安定性も良好であった。また、微粒子含有液体組成物3から得られた微粒子凝集物は細孔半径が3nm〜30nmの範囲における細孔容積は0.90ml/gであり、30nmを越える範囲での細孔容積は0.001ml/gであった。また、3nm〜20nmの範囲での細孔容積は0.89ml/gであり、20nmを越える範囲での細孔容積は0.01ml/gであった。
上記微粒子液体組成物3の物性評価方法は以下に従って行った。
1)微粒子の平均粒子径微粒子の固形分濃度を0.1%になるよう微粒子含有液体組成物3をイオン交換水で希釈した後、超音波洗浄機にて5分間分散させて、電気泳動光散乱光度計(大塚電子株式会社社製、ELS−8000、液温25℃、石英セル使用)を用いて散乱強度を測定した。平均粒子径は付属のソフトウェアを用い、散乱強度からキュムラント解析法により求めた。
2)pH微粒子含有液体組成物3に対し、液温25℃でpHメーター計(堀場製作所(株)製、カスタニーpHメーターD−14)を用いて測定した。
3)ゼータ電位微粒子の固形分濃度が0.1%になるよう微粒子液体組成物3をイオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位測定機(ブルックヘブン社製、BI-ZETA plus、液温20℃、アクリルセル使用)で測定した。
4)細孔半径および細孔容積下記手順に従って前処理した後、試料をセルに入れ、120℃で8時間真空脱気してカンタクローム社製のオムニソーブ1を用いて窒素吸着脱離法により測定した。細孔半径および細孔容積はBarrettらの方法(J.am.Dhem.Soc.,Vol73,373,1951)により計算から求めた。
(1)上記微粒子含有液体組成物3を大気雰囲気下120℃で10時間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。
(2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で昇温させた後700℃で3時間焼成する。
(3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物をメノウ乳鉢で摺り潰して粉体化する。
(その他の実施形態)
本発明のその他の実施形態について説明する。
図16は、本発明のその他の実施形態における、ユーザによって端部領域を最大に指定して記録を行う場合の端部領域Qfと反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。前記の実施形態では、反応液を端部領域で減少させる割合を一定にしたが、本実施形態では図16のように非線形に減少させている。その他の構成は、前記の実施形態と同様である。
図16のように、付与量減少開始時は少ない変化量で、その後、変化量を大きくして、端部領域終了位置に近付くにつれて再度少ない変化量にするという、曲線的な変化量で反応液の付与量を変化させる。このように端部領域内での反応液の付与量を、非線形的に低減させることで、更に自然な記録結果を得ることができる。
なお、本実施形態では曲線的な変化としているが、これに限定するものではなく、端部領域内で何段階かの直線的な変化でもよい。その場合、3段以上より好ましくは8段以上に変化させる。
図17は、上記各実施形態におけるシステムの構成を示した図である。
なお、本発明の目的は、上記各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、コンピュータ(またはCPUやMPU)がそのプログラムコードを実行することでも達成され得る。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することで、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)が実際の処理を行ってもよい。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後に実行されてもよい。つまり、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
本発明を適用可能なインクジェット記録装置を示す模式的斜視図である。 インク吐出部とインクタンクとを一体化したカートリッジを示す模式的斜視図である。 インク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。 確認に用いた原画像を表わした図である。 反応液の付与量を少なくして記録を行った結果を表わした図である。 図5の記録を行った場合の、端部領域と反応液の付与量の関係がわかるように示した図である。 (a)および(b)は、反応液の付与量を低減開始する位置を記録媒体の外端に合わせて記録を行った場合を示した図である。 本実施形態の記録装置で記録を行った場合の端部領域と反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。 図8に示した記録方法で記録を行った結果を示した図である。 ユーザによって端部領域を最大に指定して記録を行った場合であり、その時の記録結果を示した図である。 図10の記録を行った場合の端部領域と反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。 端部領域の幅を図6における端部領域の幅と同じにして記録を行った結果を表わしている。 図12記録を行った場合の端部領域と反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。 ユーザによって端部領域を最大に指定して、標準サイズよりも大きな記録媒体に記録を行った結果を表わした図である。 図14の記録を行う場合の端部領域と反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。 その他の実施形態における、ユーザによって端部領域を最大に指定して記録を行う場合の端部領域と反応液の付与量との関係がわかるように示した図である。 上記各実施形態におけるシステムの構成を示した図である。 縁無し記録を行っても、記録媒体が汚れない工夫が施された記録装置の記録部を示した図である。
符号の説明
1 記録用カートリッジ
2 反応液用カートリッジ
21 インクタンク部
51 外端
82 吐出口
85 電気熱変換体
101 外端
102 色味の不自然な部分
123 外部吐出量
201 端部領域の幅
221 端部領域開始位置
222 端部領域終了位置
231 外部吐出量
1811 プラテン
2201 インクジェット記録装置

Claims (5)

  1. 記録媒体の内から外に亘る端部領域に対して、インクおよび当該インクと反応する反応液を吐出して縁無し記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記反応液の付与量を、前記端部領域において前記記録媒体の内から外に向かうに従って、連続的に減少させることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記端部領域における前記記録媒体の内の端は、縁あり記録が行われる場合の縁部分の端に相当することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記端部領域に対する反応液の付与量を、一定の割合で減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記端部領域に対する反応液の付与量を、非線形に減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 記録媒体の内から外に亘る端部領域に対して、インクおよび当該インクと反応する反応液を吐出して縁無し記録を行うインクジェット記録方法において、
    前記反応液の付与量を、前記端部領域において前記記録媒体の内から外に向かうに従って、連続的に減少させることを特徴とするインクジェット記録方法。
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