JP2008142738A - 超音波接合装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの接合品質を安定させることができ、接合チップ先端へのワーク母材の凝着を防止してワークの脱落や破損を防止することができる超音波接合装置を提供する。
【解決手段】超音波振動を与えるホーン20とアンビル10との間に2枚の板状ワーク41、42を挟んで加圧し、板状ワーク41、42の接触面に平行に超音波振動を加えることにより固相接合する超音波接合装置1であって、ホーン20にエアを流通させてホーン20を冷却するエア冷却手段31を内蔵した。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の板状ワークの接合面を重ね合わせ、加圧しながら超音波振動を与えることにより固相接合する超音波接合装置およびその制御方法に関する。
超音波接合装置は、支持部材としてのアンビルと、超音波振動を与えるホーンとの間に2枚の金属板を挟んで加圧し、2枚の金属板の接触面に平行に超音波振動を与え、振動による摩擦熱で界面間の酸化物等を破壊して新生面を出すことにより接合を行う装置である。この超音波接合装置による接合状態は固相接合となり、溶融による脆い金属間化合物の生成が少ないため、特に異種金属間の接合に適している。
例えば、特許文献1には、高周波振動の振幅を接合状態の代用特性として用いて、接合面の面性状等によらずに精度良く接合状態を検知しうる技術が開示されている。
特開平6−99289号公報
ところで、従来の超音波接合装置は、連続接合時にホーンの接合チップ先端が温度上昇し、ワークの接合品質が不安定になったり、接合チップ先端にワーク母材が凝着してワークの脱落や破損が生じたりするという問題があった。
本発明は、ワークの接合品質を安定させることができ、接合チップ先端へのワーク母材の凝着を防止してワークの脱落や破損を防止することができる超音波接合装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る超音波接合装置は、超音波振動を与えるホーンとアンビルとの間に複数の板状ワークを挟んで加圧し、前記複数の板状ワークの接触面に平行に超音波振動を加えることにより固相接合する超音波接合装置において、前記ホーンに、エアを流通させて該ホーンを冷却する冷却手段を内蔵したことを特徴とする。
以上のような本発明に係る超音波接合装置によれば、ホーンにエアを流通させて該ホーンを冷却する冷却手段を内蔵しているので、連続接合時におけるホーンの温度上昇を抑制することができる。したがって、ワークの接合品質を安定させることができ、接合チップ先端へのワーク母材の凝着を防止してワークの脱落や破損を防止することができる。
以下に、本発明に係る超音波接合装置およびその制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。図1において、(a)は超音波接合装置の第1例を示す模式図であり、(b)は接合チップ先端の拡大図である。図2は超音波接合装置の第2例における接合チップ先端の拡大図である。図3は超音波接合装置の第3例を示す模式図である。図4は超音波接合装置の第1例における冷却手段を示す説明図である。図5は超音波接合装置の第4例における冷却手段を示す説明図である。
図1に示すように、超音波接合装置1は2枚の板状部材(板状ワーク)41、42を挟持するアンビル10とホーン20と呼ばれる接合工具を備えている。たとえば、リチウムイオン二次電池の電極タブを接合する場合、負極タブの材質はアルミニウム(Al)、正極タブの材質は銅(Cu)であり、異種金属の接合となる。
アンビル10は、接合する2枚の板状ワーク(たとえば、負極タブと正極タブ)41、42を載置する台座(支持部材)であって、その挟持面11には複数の突起12が形成されている。
ホーン20は、アンビル10に対する相対的な位置を適宜調整可能であり、ホーン本体21の延出端側に接合チップ(ホーンチップ)22が突設されている。この接合チップ22は、たとえば、圧電振動子等の不図示の振動子により超音波振動を発振するようになっており、その挟持面23にも複数の突起24が形成されている。
また、ホーン20には、これを挟持方向の後方(上方)から押圧する不図示の加圧手段が備えられている。超音波接合時には、ホーン20がアンビル10に載置された板状ワーク41、42を一定の圧力で加圧しながら、超音波振動を発生する。さらに、ホーン20の節部25には、この節部25を上方から支持する補強部材(ノーダルサポート)30が備えられている(図5参照)。
すなわち、超音波接合装置1は、ホーン20による超音波振動で2枚の板状ワーク41、42に往復直線運動を生じさせ、板状ワーク41、42の接触面が擦り合わされることにより、ワーク表面の酸化皮膜等の不純物を除去して新生な金属面を露出させて接触させるとともに、その際に発生する摩擦熱により板状ワーク41、42を固相接合するものである。
図4に示すように、ホーン20には、エアを流通させて該ホーン20を冷却する冷却手段31が内蔵されている。この冷却手段31はエア流路によって構成され、該エア流路のエア供給口32はホーン本体11に開設され、そのエア吹き出し口33は上記接合チップ22の挟持面23に開設されている。図1(b)に示すように、冷却手段31のエア吹き出し口33は、接合チップ22の挟持面23に開設された複数の開口孔34によって形成されている。各開口孔34は、接合チップ22の挟持面23において、上記突起24の間の谷部にエア吹き出し口33を開口するように開設されている。
このようにホーン20に冷却手段31を内蔵することにより、連続接合時に過熱したホーン20を冷却することができる。したがって、ホーン20の温度上昇を抑制することができるので、板状ワークの接合品質を安定させることができ、接合チップ22の先端(挟持面23)へのワーク母材の凝着を防止して板状ワークの脱落や破損を防止することができる。さらに、冷却手段31のエア吹き出し口33を接合チップ22の挟持面23に複数開設しているので、エアの吹き出し力で板状ワークを離脱させ易くなる。
また、図2に示すように、接合チップ22の挟持面23の両側部26を拡幅させて形成し、拡幅形成した両側部26に冷却手段31のエア吹き出し口33を開設してもよい。このような構成に限るものではなく、接合チップ22の挟持面23と拡幅形成した両側部26との双方に、冷却手段31のエア吹き出し口33を開設してもよい。接合チップ22の挟持面23の両側部26にエア吹き出し口33を開設することにより、凝着し易い挟持面23の近傍からエアが吹き出すので、板状ワークをより離脱させ易くなる。
図1および図2では、接合チップ22の挟持面23または拡幅形成した両側部26に複数の開口孔34からなるエア吹き出し口33を開設したが、これに限るものではなく、図3に示すように、接合チップ22の先端に多孔質体35を配設し、この多孔質体35を介して冷却手段31のエアが吹き出すように構成してもよい。このように接合チップ22の先端に多孔質体35を配設することによっても、接合チップ22の挟持面23からエアを吹き出させることができ、その吹き出し力によって板状ワークを離脱させ易くなる。
図4に示すように、冷却手段31のエア供給口33は振幅が消失する無振動状態のホーン20の節部25に開設することが好ましく、該節部25に開設するエア供給口33にはエアホースを接続するための不図示のエア供給用ニップルを設けることが好ましい。ホーン20の節部25は振動によるエネルギを受けないので、エアホースの脱落やニップルの緩みによるエア漏れが起こり難い。
あるいは、図5に示すように、ホーン20の節部25を上方から支持する補強部材30にエア流路からなるエア供給手段36を備えて、このエア供給手段36を介してホーン20に内蔵した冷却手段31にエアを供給するように構成してもよい。このエア供給手段36は補強部材30に内蔵することが好ましい。すなわち、ホーン20に内蔵した冷却手段31のエア供給口32に対して、補強部材30に内蔵したエア供給手段36を、たとえば、パッキン等を介して密着させて連通し、補強部材30を経由してエアを供給するように構成すれば、取り回しが煩雑となる余計なエア配管を装備する必要がない。上述したように、ホーン20の節部25は振動エネルギを受けないので、ホーン20に内蔵した冷却手段31に、補強部材30に内蔵したエア供給手段36を連通させ易い。
次に、図6を参照して、本実施形態の超音波接合装置の制御方法を説明する。図6は超音波接合装置1のエア供給タイミングを示す説明図である。
本実施形態の超音波接合装置1の制御方法は、上記冷却手段31のエア供給(エア吹き出し)タイミングの制御に関するものである。
アンビル10上に2枚の板状ワーク41、42を載置すると、ホーン20が下降動作して、これらの挟持面間に板状ワーク41、42が挟持され、接合チップ22から板状ワーク41、42に超音波振動が印加されて、本実施形態の超音波接合装置1が接合作業を開始することになる。
この接合作業において、図6に示すように、超音波振動はホーン20が上昇状態から下降動作し、下降を完了した後にt1時間遅れて発振する。また、板状ワークの接合作業終了後に超音波振動を停止すると、t2時間遅れてホーン5が上昇を開始することになる。
なお、下降中および発振中は超音波接合品質に悪影響を与える可能性があるため、エアは吹き出させない。母材がしっかりとホーン5に食い込むようにしたいからである。また、発振が終わると、今度は材料がホーン5からスムーズに離れるようにするとともに、過熱した工具を冷却したいので、エアを吹き出させる。
このようなホーン20の動作に対して、上記冷却手段31によるエア供給タイミングは、ホーン20が下降動作を開始する前から上記エア吹き出し口33からのエア吹き出し(エア供給)を開始し、接合チップ22が超音波振動を停止すると同時にエア吹き出し(エア供給)を停止する。そして、次工程の接合作業に移行するに際して、再びエア吹き出し(エア供給)を開始するように制御される。
このようにホーン20の下降動作前からエア吹き出し(エア供給)を開始し、接合チップ22が超音波振動を停止すると同時にエア吹き出し(エア供給)を停止するので、超音波接合装置の接合作業中にホーン20を冷却することができ、特に連続接合時等に過熱したホーン20を冷却することができる。したがって、ホーン20の温度上昇を抑制することができるので、板状ワークの接合品質を安定させることができる。また、ホーン20が上昇動作を開始する直前まで、エア吹き出し口33からエアが吹き出しているので、接合チップ22の先端(挟持面23)から板状ワークが離脱し易くなる。
本発明は、凝着の生じ易い異種金属間の接合において、超音波接合装置単独で板状ワークを離脱させ易いので、たとえば、自動車用のリチウムイオン二次電池の製造における電極タブの接合など、種々の異種金属間の超音波接合に適用することができる。
(a)は超音波接合装置の第1例を示す模式図であり、(b)は接合チップ先端の拡大図である。 超音波接合装置の第2例における接合チップ先端の拡大図である。 超音波接合装置の第3例を示す模式図である。 超音波接合装置の第1例における冷却手段を示す説明図である。 超音波接合装置の第4例における冷却手段を示す説明図である。 超音波接合装置のエア供給タイミングを示す説明図である。
符号の説明
1 超音波接合装置、
10 アンビル、
20 ホーン、
22 接合チップ、
23 挟持面、
25 節部、
30 補強部材、
31 冷却手段、
32 エア吹き出し口、
33 エア供給口、
35 多孔質体、
36 エア供給手段、
41、42 板状ワーク。

Claims (7)

  1. 超音波振動を与えるホーンとアンビルとの間に複数の板状ワークを挟んで加圧し、前記複数の板状ワークの接触面に平行に超音波振動を加えることにより固相接合する超音波接合装置において、
    前記ホーンに、エアを流通させて該ホーンを冷却させる冷却手段を内蔵したことを特徴とする超音波接合装置。
  2. 前記ホーンの接合チップの挟持面に、前記冷却手段のエア吹き出し口を開設したことを特徴とする請求項1に記載の超音波接合装置。
  3. 前記接合チップの挟持面の両側部に、前記冷却手段のエア吹き出し口を開設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波接合装置。
  4. 前記接合チップに多孔質体を配設し、該多孔質体を介して前記冷却手段のエアが吹き出されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波接合装置。
  5. 前記ホーンの節部に、前記冷却手段へのエア供給用ニップルを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超音波接合装置。
  6. 前記ホーンの節部を支持する補強部材にエア供給手段を備え、該補強部材のエア供給手段を介して前記ホーンに内蔵した冷却手段にエアを供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超音波接合装置。
  7. 超音波振動を与えるホーンとアンビルとの間に2枚の板状ワークを挟んで加圧し、これらの板状ワークの接触面に平行に超音波振動を加えることにより固相接合する装置であって、前記ホーンに冷却手段を内蔵した超音波接合装置の制御方法において、
    前記ホーンの接合作業時における下降動作前から前記冷却手段のエア供給を開始し、超音波振動を停止すると同時にエア供給を停止することを特徴とする超音波接合装置の制御方法。
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