JP2008142578A - マイクロチップ及びその製造方法 - Google Patents

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Takashi Matsumura
村 隆 松
Yasusuke Suzuki
木 庸 介 鈴
Yasuhiro Shinohara
原 尉 浩 篠
Seiki Tomita
田 正 機 富
Masakazu Hashimoto
本 雅 和 橋
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Abstract

【課題】 高品質で効率性及び経済性に優れた高機能化・多機能化のために任意な平面パターンの一層微細な溝からなる流路が緻密に高集積化され積層されるマイクロチップ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のマイクロチップは、複数の基板2が積層され相互に接合された積層体1と、積層体1の基板2に相互に連通するように形成され所定位置に配置された適宜数量の流入口3、4及び流出口5と、各基板2の接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成され、流入口3、4と流出口5とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路10a、10bが、各基板2の接合により突き合わされて構成された閉断面流路10とを備え、前記積層体1には、各基板2の接合時に対向する片面流路10a、10bの正確な位置合せを行なう位置決め機構が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微量の各種流体の混合、反応、加熱、冷却、分離精製、相合流、相分離及び検出などのプロセスが行われるマイクロチップ及びその製造方法に関し、特に微細な溝からなる流路を備えたマイクロチップ及びその製造方法に関する。
近年、化学反応を高速に行うことができ、微小量での反応が可能で、かつ、オンサイト分析等が実現できるという利点を持つマイクロチップ(マイクロTAS:Total Analysis System、マイクロ化学チップ又はマイクロリアクターなどともいう)は、その開発が進み、化学、製薬、医療などの現場で多用されるようになっている。マイクロチップは、幅10数μm〜数100μm、深さ数10μm〜数100μmの微細な流路を有し、その流路内で混合、反応、加熱、冷却、分離精製、相合流、相分離及び検出などのプロセスが行われる。
このような従来のマイクロチップの流路は、接合する一方の基板の接合面のみに断面略U字形又は半円形などの溝からなる流路が形成され、これに他方の基板の溝加工されていない平板面が接合されて閉断面流路が形成されているものがほとんどである。
但し、稀なケースとして、閉断面流路内に流体の攪拌作用を行なう旋回流形成部あるいは触媒機能を有する触媒担持部材などの特殊な部材を挿入するマイクロチップにおいて、接合する両方の基板の接合面にそれぞれ断面半円形又は四角形の溝からなる流路が形成され、この両者が突き合わされることによって閉断面円形又は四角形の流路が形成されたものが見受けられる(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1に記載されているマイクロチップは、2つの基板(板状部材)の接合体をもって構成されたチップ本体と、チップ本体に形成された流入口及び流出口並びに流入口と流出口とをつなぐ流路とを有し、流路の少なくとも一部に流入口から流路内に導入された流体の流れを層流から旋回流に変換する旋回流形成部が設けられている。この流路は、両方の基板の接合面に形成された半円形断面の流路が突き合わされた断面円形であり、又は一方の基板のみに形成された断面半円形の溝(流路)からなっている。旋回流形成部は、この流路の内壁面に形成された螺旋形の凹凸部により形成されている。
特許文献2に記載されているマイクロチップは、1組の基板が接合された接合体と、接合体の少なくとも一方の基板の接合面に形成された微細溝部で構成された流路と、流路内に配設された触媒担持部材とを備えている。この流路は、両方の基板の接合面に形成された断面半円形又は四角形の溝からなる流路が突き合わされた断面円形又は四角形である。触媒担持部材は、金属基体と、金属基体を被覆する金属酸化膜と、金属酸化膜に担持された触媒とを備えている。
一方、マイクロチップにおける反応性や検出感度の観点などから、流路の加工表面は鏡面状であることが必要とされ、ガラス質無機材料などの硬質薄板部材からなる基板に対して微細な溝等の切削加工を施す技術が重要となっている。
従来、マイクロチップの基板として用いられるガラスなどの基板の微細溝等は、エキシマレーザや、フッ酸等の化学薬品を使用したウェットエッチングなどにより加工されている例が多い。
しかし、ウェットエッチングなどの化学的な加工法には次のような問題点がある。フッ酸等は強酸の化学薬品であるので、有資格者を必要とし取り扱いに注意を要するとともに、環境保全ためには加工後の廃液処理が問題となる。このために、安全性対策を考慮する等のコストがかかる。
さらに、安全性を考慮して薄い濃度のフッ酸溶液を使用することから、加工処理に時間がかかり、工程時間短縮の障害となる。また、所要の溝を形成するためのマスキングの手間もかかり、作業効率の低下となる。
また、エキシマレーザやウェットエッチングによる加工の場合、複雑な形状の加工が困難であること、多品種への対応が困難であること、設備投資が多大であること等々の問題がある
そこで、複雑な加工を行うことができ、また、多品種への対応が比較的容易である機械的手段による効率的な加工が検討され、その代表的な機械的加工方法の一例として、特殊な研削用砥石を用いた研削加工方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
特許文献3に記載の研削加工方法は、先端部が被加工物表面を異なる面粗さに加工することが可能な2種以上の砥粒層から形成された砥石を用いて、砥石を送り方向側へ傾斜させて研削加工する方法である。
特開2006−142210号公報 特開2005−246115号公報 特開2006−35362号公報
従来の接合する一方の基板の接合面のみに断面略U字形又は半円形などの流路(片面流路)を有するマイクロチップは、流路の幅をさらに微細化して緻密に高集積化した高精度マイクロチップの要求を満足するには限界があり、同一断面積とした場合、流路径を小さくできる閉断面円形を有するマイクロチップの方が高集積化・高精度化に有利となる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のマイクロチップの流路は、内部に旋回流形成部あるいは触媒担持部材などの特殊な部材を挿入するため、流路の太さを細くするには限界があり、さらに高機能化・多機能化のために一層微細な溝からなる流路が緻密に高集積化されて形成される高精度・高集積化マイクロチップには対応できないという問題点がある。
このような緻密・微細な溝の形成方法については、特許文献1では流路形成のための機械加工に言及してはいるものの具体的な機械加工方法については一切開示されておらず、通常の機械加工方法では後述するような問題点がある。さらに、複数の基板を積層する際に必要となる、各基板の接合時に対向する流路の正確な位置合せを行なう位置決め機構については、特許文献1及び2には何も開示されていない。
一方、特許文献3に記載の研削加工方法では、表面粗さが小さく高品質な加工面を高効率で得るための研削用砥石が、異なる面粗さに加工可能な2種以上の砥粒層から形成された特殊な構造であることから高価であり、特にガラス質無機材料などの硬脆性無機材料からなる基板の溝からなる流路の加工においては最も高価なダイヤ砥粒が必要となるという問題点がある。また、砥石を用いた研削加工方法は、高機能化・多機能化のために一層微細な溝が緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップの高精度微細加工には対応できないという問題点がある。
また、特許文献3(図9)に示された加工装置は、ワークテーブルが3段のテーブルから構成され、それぞれXY平面内で回転自在、X軸及びY軸方向に移動させ、研削砥石が取付けられたスピンドル軸がZ軸方向に移動するように構成されている。このため、ワークテーブルの互いに直交するX軸、Y軸の移動機構を重ねた上にさらにXY平面内で回転する機構を重ねた重畳機構方式ではマイクロチップ用ガラス等の硬脆性材からなる基板の複雑かつ微細な溝加工に必要な高精度を維持するための剛性確保が相当困難で加工対象物である基板の位置決め誤差が大きく、さらに高機能化・多機能化のために一層微細な溝が緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップの高精度微細加工には対応できないという問題点がある。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高品質で効率性及び経済性に優れた高機能化・多機能化のために任意な直線あるいは曲線からなる平面パターンの一層微細な溝からなる流路が緻密に高集積化され積層されるマイクロチップ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明のマイクロチップは、複数の基板が積層され相互に接合された積層体と、前記積層体の基板に相互に連通するように形成され所定位置に配置された適宜数量の流入口及び流出口と、前記各基板の接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成され、前記流入口と流出口とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路が、前記各基板の接合により突き合わされて構成された閉断面流路とを備え、前記積層体には、各基板の接合時に対向する片面流路の正確な位置合せを行なう位置決め機構が設けられていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のマイクロチップであって、前記位置決め機構は、前記各基板の対角線上に開設された少なくとも2つの位置決め用孔と該位置決め用孔に挿通される位置決めピンとからなることを特徴とする。
請求項3の発明のマイクロチップの製造方法は、積層し相互に接合して積層体を構成するための複数の各基板に相互に連通するように所定位置に配置された適宜数量の流入口及び流出口を形成する流入口及び流出口形成工程と、前記各基板の接合面に前記流入口と流出口とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路を相互に鏡面対称状に形成する片面流路形成工程と、前記各基板の接合面に相互に鏡面対称状の対角線上に少なくとも2つの位置決め用孔を開設する位置決め用孔開設工程と、を有し、少なくとも、前記片面流路形成工程と位置決め用孔開設工程とを前記基板毎に相前後し連続して施工した後で、前記対角線上の位置決め用孔に別途作成の位置決めピンを挿通し前記各基板を順次位置決めして積層し相互に接合することにより前記片面流路が突き合わされて各接合面間に閉断面流路が構成された積層体であるマイクロチップを形成することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載のマイクロチップの製造方法であって、前記基板は、硬質薄板状部材からなり、前記微細溝からなる片面流路は、切れ刃丸みとねじれ角を有する超硬合金ボールエンドミルの回転軸が前記基板の加工側表面となる接合面に対して常に超硬合金ボールエンドミルを所定の平面パターンの溝からなる片面流路に沿って相対的な加工送り方向側に所定の傾斜角を有するように前記基板の移動及び超硬合金ボールエンドミルの移動を同時協調制御し、少なくとも前記基板の移動を1軸方向として切削加工されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4記載のマイクロチップの製造方法であって、前記超硬合金ボールエンドミルの傾斜角は、超硬合金ボールエンドミルの切れ刃の外周面を所定の切込み深さに位置させたときに、超硬合金ボールエンドミルの曲率半径の終端円周線が前記基板の加工側表面となる接合面と交差する位置まで傾斜した傾斜角度以上、かつ90°以内の範囲にあることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、前記各基板の接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成された所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路が突き合わされた閉断面流路が構成されるので、同一断面積の流路径を小さくすることができ、一層高集積化・高精度マイクロチップに対応することができる。また、各基板の接合時に対向する片面流路の正確な位置合せを行なう位置決め機構が設けられているので、容易に正確な位置合せされて積層された高集積化・高精度マイクロチップを効率よく得ることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、位置決め機構が各基板の対角線上に開設された少なくとも2つの位置決め用孔と該位置決め用孔に挿通される位置決めピンとからなる簡潔な構造であるため、基板を積層する際に正確な位置合せが容易に可能で、歩留まりがよく経済性に優れた高集積化・高精度マイクロチップを得ることができる。
請求項3の発明によれば、片面流路形成工程と位置決め用孔開設工程とを基板毎に相前後し連続して施工した後で、基板の対角線上の位置決め用孔に別途作成の位置決めピンを挿通し各基板を順次位置決めして積層し相互に接合することにより片面流路が突き合わされて各接合面間に閉断面流路が構成された積層体を形成することから、請求項1及び2の発明と全く同様な効果を有する。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様な効果を有するのに加えて、硬質薄板状部材からなる基板に対して超硬合金ボールエンドミルを利用した片面流路の加工では、例えば、従来のダイヤモンドのエンドミルを用いた加工に対し生産性が約20倍向上できる。また、超硬合金ボールエンドミルはダイヤモンドのエンドミルの約10分の1の価格であることから、生産性と工具のコストの両面から従来のダイヤモンドのエンドミルを用いた加工方法の約200分の1のコストダウンが可能である。
また、被削材基板の加工側表面に対して常に超硬合金ボールエンドミルの相対的な加工送り方向側への所定の傾斜角を保持するように基板の1軸方向の移動と超硬合金ボールエンドミルの多軸移動を同時協調制御することにより、基板の任意な直線及び曲線からなる複雑な平面パターンの溝からなる片面流路を加工することができ、従来の被削材である基板を直交するX軸、Y軸の移動機構を重ねた重畳機構方式に比べて基板の位置決め等の高精度を維持するための剛性確保ができる。このように、基板の位置誤差を生じ易い基板側を最小限一つの単純な直線移動機構にとどめることにより、加工装置全体の剛性を確保して高機能化・多機能化のために一層微細な溝が緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップの高精度微細加工を実現することが可能である。
請求項5の発明によれば、請求項3の発明と同様な効果を有するのに加えて、基板の1軸方向の移動と超硬合金ボールエンドミルの2軸移動及び1軸旋回とを同時協調させてNC制御することにより、加工装置全体の剛性を確保して高機能化・多機能化のために一層微細な溝が緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップの高精度微細加工の信頼性を一層向上させることができる。
以下、本発明のマイクロチップ及びその製造方法を実施するための最良の形態の具体例を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態によるマイクロチップの基板の接合面の概念図、図2(a)は図1の基板が接合されたマイクロチップのA−A断面図、図2(b)は同じく図1のB−B断面図である。
本発明の一実施の形態のマイクロチップは、ほぼ同形同大に形成された複数(図1、2の例では2枚)の基板2a、2b(これらを総称して基板2という)が積層され相互に接合された積層体1と、基板2に相互に連通するように形成され所定位置に配置された適宜数量(図1、2の例では2つ)の流入口3、4及び流出口5と、各基板2a、2bの接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成され、流入口3、4と流出口5とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路10a、10bが各基板2a、2bの接合により突き合わされて構成された閉断面流路10とを備えている。また、積層体1には、各基板2a、2bの接合時に対向する片面流路10a、10bの正確な位置合せを行なう位置決め機構(後述する)が設けられている。
各基板2a、2bの接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成された片面流路10a、10bは、2つの流入口3、4のそれぞれから延びる2つの流体導入流路の片面流路6a、7aならびに6b、7bと、これら2つの流体導入流路の片面流路6a、7aと6b、7bとの合流部の片面流路8a、8bと、合流部の片面流路8a、8bと流出口5とをそれぞれつなぐ流体混合流路の片面流路9a、9bとからなっている。
また、各基板2a、2bの接合面には、相互に対向して鏡面対称状の対角線上にそれぞれ少なくとも2つの位置決め用孔11a、12aならびに11b、12bが開設されている。
前記位置決め機構は、各基板2a、2bの2つの位置決め用孔11a、12aならびに11b、12bとこれら各2つの位置決め用孔11a、12aならびに11b、12bにそれぞれ挿通される位置決めピン13、14とからなっている。
各基板2a、2bの接合面が合わされ、位置決め用孔11aと11bならびに12aと12bとにそれぞれ位置決めピン13、14が挿入され同一中心軸線上に突き合わされて連通する位置決め用孔11、12が形成されるとともに、各基板2a、2bの接合面が接合されることにより、流体導入流路の片面流路6aと6bならびに7aと7bとがそれぞれ突き合わされて閉断面の流体導入流路6、7が形成され(図2(a))、合流部の片面流路8a、8bが突き合わされて閉断面の合流部8が形成される(図1)とともに、流体混合流路の片面流路9a、9bが突き合わされて閉断面の流体混合流路9が形成される(図2(b))。すなわち、各基板2a、2bの接合面が接合されることにより形成される閉断面流路10は、流体導入流路6、7と合流部8と流体混合流路9とから構成される。
基板2は、ガラス、セラミックス、プラスチック、半導体、金属などの硬質薄板状部材からなり、適用される流体の性質や反応条件に応じて適宜選択される。例えば、光反応を必要とする場合にはガラスやプラスチック等の透光性材料が用いられ、反対に光遮断下での反応を必要とする場合には半導体、金属、セラミックス等の遮光性材料が用いられる。基板2の外形寸法は、例えば厚さが0.5mm、幅及び長さが各数10mm程度など必要に応じて任意に設定することができる。
基板2の流入口3、4、流出口5、及び閉断面流路10の直径は、例えば直径100〜200μm程度(片面流路10a、10bの深さすなわち半径はこの1/2の50〜100μm程度)など必要に応じて任意に設定することができる。
図3は、本発明の複数の基板2が積層された積層体1であるマイクロチップの断面概念図である。
基板2が複数積層された積層体1であるマイクロチップにおいては、上記と同様に、基板2に相互に連通するように形成され所定位置に配置された適宜数量の流入口及び流出口(いずれも図示しない)と、各基板2(2a、2i、・・・、2b)の接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成され、前記流入口と流出口とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路10a、10bが各基板2の接合により突き合わされて構成された閉断面流路10とを備えている。この場合、最上部の基板2a及び最下部の基板2bを除く中間の基板2i、・・・は、上下両接合面に片面流路10a、10bがそれぞれ形成される。また、最下部の基板2bのいずれも図示しない流入口及び流出口は貫通せず片面流路10bまで連通するようになっていればよい。
また、積層体1には、各基板2の接合時に対向する片面流路10a、10bの正確な位置合せを行なう位置決め用孔11、12及び位置決めピン13、14からなる位置決め機構が設けられている。
次に、本発明のマイクロチップの製造方法について説明する。
図4は本発明のマイクロチップの製造方法におけるマイクロチップ加工装置例の正面概念図、図5は本発明のマイクロチップの製造方法におけるボールエンドミルを用いた片面流路加工の説明図である。
本発明のマイクロチップの製造方法におけるマイクロチップ加工装置として、本願と同じ出願人及び発明人が先に出願した特願2006−54577に記載の「硬脆性無機材料加工装置」を適用することができる。これを適用したマイクロチップ加工装置は、ガラス、セラミックス、プラスチック、半導体、金属などの硬質薄板状部材からなる基板2を保持するワークテーブル40とワークテーブル40の上方に門型形状に立設されスピンドル20等を支持するコラム80とを備えている。
ワークテーブル40は、水平面内第1軸(Y軸)方向の直線移動を行う第1軸移動手段(Y軸移動手段)30を有する。
コラム80は、Y軸と平行な水平面内で直交する第2軸(X軸)方向の直線移動を行う第2軸移動手段(X軸移動手段)50、このX−Y水平面内に対して垂直な第3軸(Z軸)方向の直線移動を行う第3軸移動手段(Z軸移動手段)60及びZ軸と平行なC1軸回りの水平旋回を行う旋回手段(C1軸旋回手段)70を有する。
前記特許文献3等に記載のような従来の加工装置が被削材である基板を保持するワークテーブルを水平面内に直交するX軸及びY軸方向の直線移動機構あるいはさらに旋回機構を積み重ねた重畳機構方式であるのに対し、本発明のマイクロチップの製造方法に適用されるマイクロチップ加工装置は、基板2を保持するワークテーブル40の水平面内移動をY軸移動手段30によるY軸方向直線移動一つに限定し、スピンドル20側のX軸移動手段50による水平X軸方向直線移動及びZ軸移動手段60による垂直Z軸方向直線移動に分離した構成としている。このように、基板2の位置誤差を生じ易いワークテーブル40側を最小限一つの単純な直線移動機構(Y軸移動手段30)にとどめることにより、加工装置全体の剛性を確保して高機能化・多機能化のために一層微細な溝からなる片面流路10a、10bが緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップ1の高精度微細加工を実現することを可能にしている。
第1のスピンドル20は、例えば最高回転数80,000rpmのブラッシュレスモータにより駆動され、スピンドルヘッド71の下部にスピンドルアタッチメント72が取り付けられ、このスピンドルアタッチメント72に図示しないスピンドルクランプを介して超硬合金ボールエンドミル21がその回転軸(S軸)が水平面に対し任意に所定の傾斜角θを保持するよう設定可能に取付けられている。
このように、水平に固定された基板2の加工表面となる接合面2sに対し超硬合金ボールエンドミル21を加工方向に所定の傾斜角θに保持しての加工原理(図5)は、いずれも本願の同じ発明者らによる前記特願2006−54577及び特開2005−96399号公報に記載の「硬脆材料の微細切削加工方法」に基づいている。
この場合、超硬合金ボールエンドミル21は、先端の切れ刃23が鈍角で、かつ捩れ角(図示しない)を有しており、従来の高価なダイヤモンド製のものより略1/10程度安価なcBNなどの超硬合金製としても実用上十分な耐久性を有することが判明している。
旋回手段70は、例えば減速機付サーボモータなどの旋回アクチュエータ74により駆動され、第1のスピンドル20を前記傾斜角θに保持して取り付けた状態でC1軸回りを正逆両方向に旋回させる。
第1軸移動手段30は、図4に示すように、ベッド90上に設けられ、Y軸方向に延設された例えばリニアガイド機構32を介して移動可能に水平に設置されたワークテーブル40を例えば減速機付サーボモータなどの第1アクチュエータ(図示しない)によりY軸方向に往復移動させる。
ワークテーブル40は、ガラスなどの硬脆性無機材料からなる基板2に片面流路10aあるいは10bとなる溝加工する場合は内部に水を張ることができる貯水槽を備えた構造となっており、その貯水槽内に基板2を水平に保持する。これは、水中ではガラスなどの硬脆性無機材料からなる基板2の機械的強度が低下するので切削性の向上とともに加工部の局部的な温度上昇による基板2の温度不均一性を抑えて割れ防止を図ることができ、硬脆性無機材料のボールエンドミル加工を水中で行うのが好ましいためである。
ワークテーブル40の貯水槽内に基板2を固定する方法には次の二つの例がある。
一つの例は、ワークテーブル4の貯水槽内にいずれも図示しない穿設された複数のボルト穴を介して治具により被削材基板2を固定する一般的な方法である。
他の例は、図示しない特殊な両面接着テープを用いてワークテーブル40の貯水槽内に基板2を固定する方法である。この特殊な両面接着テープには2種類あって、ここでは詳細な説明は省略するが、いずれも常温では強力な粘着力を保持し、一方のものは例えばおよそ0℃近辺まで冷却すると粘着力を失い、他方のものは例えばおよそ50〜60℃近辺まで加熱すると粘着力を失って容易に基板2をワークテーブル40から切り離すことが可能な特性を有するアクリル系粘着剤をそれぞれ例えばPETテープの両面に塗膜したものである。
このような、特殊な両面接着テープを用いてワークテーブル40上に基板2を固定する方法は、基板2のワークテーブル40の貯水槽内への取り付け及び取り外しがボルト止め治具による一般的な固定方法に比べて作業が簡素化され、作業効率が著しく向上する。
第2軸移動手段50は、図4に示すように、ベッド90上に立設された門型形状のコラム80の上部にX軸方向に延設された例えばリニアガイド機構52を介して移動可能に垂直方向に設置されたX軸架台51を例えば減速機付サーボモータなどの第2アクチュエータ53によりX軸方向に往復移動させる。
X軸架台51の側面上には、第3軸移動手段60が設けられている。第3軸移動手段60は、図4に示すように、X軸架台51の側面上にZ軸方向に延設された例えばリニアガイド機構62を介して移動可能に垂直方向に設置されたZ軸架台61を例えば減速機付サーボモータなどの第3アクチュエータ63によりZ軸方向に上下移動させる。
Z軸架台61の側面上には、第1のスピンドル20を支持するスピンドルヘッド71をZ軸に平行なC1軸回りに旋回する前記の旋回手段70がC1軸に沿って垂直方向に設けられている。
さらに、Z軸架台61の側面上には、Z軸に対してC1軸と反対側平行なC2軸に沿って例えばスクエアエンドミルなどのカッター101を先端部に把持した第2のスピンドル100が垂直方向に第1のスピンドル20と併設されている。第2のスピンドル100は、例えば最高回転数80000rpmのブラッシュレスモータにより駆動され、カッター101により基板2の所定の位置に例えば図1に示すような流入口3、4、流出口5及び位置決め用孔11、12あるいは座ぐり(図示しない)などを加工するのに用いられる。
このように、同一のマイクロチップ加工装置で、第1のスピンドル20で溝からなる片面流路10aあるいは10bの加工を行うのと前後自在に第2のスピンドル100でマイクロチップに必要な流入口3、4、流出口5や及び位置決め用孔11、12などを連続的に加工することにより、マイクロチップの加工工程を短縮化し生産性を向上させることができる。
また、いずれも図示しないが、スピンドルアタッチメント72のC1軸上の下端部には、レーザーなどの光センサーあるいはCCDカメラなどの視覚認識手段を設けることができる。光センサーあるいは視覚認識手段は、基板2の位置決め用孔11、12(又はこれらに変えて図示しない位置決めマーカー)あるいは溝からなる片面流路10aあるいは10bそのものなどの位置検出及び図示しない画像処理手段による画像処理等を行い、前記X、Y、Z軸方向の移動制御及びC1軸周りの旋回制御におけるフィードバック制御や前記各種加工部形状測定等の加工後の検証などを行うことができる。これにより、高機能化・多機能化のために一層微細な溝からなる片面流路10a、10bが緻密に高集積化されて形成されるマイクロチップの高精度微細加工に信頼性を向上させて対応することができる。
以上のような構成により、超硬合金ボールエンドミル21の回転S軸が基板2の加工側表面である接合面2sに対して常に超硬合金ボールエンドミル21を基板2の任意な直線あるいは曲線からなる平面パターンの溝からなる片面流路10aあるいは10bに沿って加工送り方向側に相対的な所定の傾斜角θを常に維持するようにX軸移動手段30、Y軸移動手段50及びZ軸移動手段60ならびにC1軸旋回手段70が同時協調制御される。図4中の符号110は操作盤を示し、図示しない制御盤及び各種モータコントローラ等と共にベッド90内外に付属しマイクロチップ加工装置として床面上任意な場所に走行及び固定可能なように一体的にユニット化された構成とすることができる。
この前記同時協調制御は、言い換えれば、水平面内に配置された基板2の水平面内Y軸方向の直線移動と、基板2の上方に配置された第1スピンドル20のY軸と平行水平面内で直交するX軸方向及び垂直面内Z軸方向の直線移動と、第1スピンドル20のZ軸と平行なC1軸回りの水平旋回とを協調させて、超硬合金ボールエンドミル21の回転S軸が基板2の任意な直線あるいは曲線からなる複雑な平面パターの溝からなる片面流路10aあるいは10bに沿って加工送り方向に対して常に前記傾斜角θを維持するようにNC制御により行われる。
従来のようにエンドミルの回転軸が被削材の加工側表面に対してほぼ直交するように切込まれる場合は、回転軸の中心付近は切れ刃の回転半径が小さいために切削速度も小さくなって切削加工性が低下することから切れ刃が仕上げ面を加工する際の材料を削る溝深さが例えばガラス製基板の場合は割れない限界の1μm以下である。これに対して本発明においては、図5に示すように、超硬合金ボールエンドミル21の切れ刃23の外周面を所定の切込み深さTに設定したときに、超硬合金ボールエンドミル21の曲率半径Rの終端円周線22が基板2の加工側表面である接合面2sと交差する位置まで超硬合金ボールエンドミル21を傾斜したときの傾斜角度θはθ=θ1となる。この状態において、基板2の加工側表面である接合面2sでは切れ刃23の回転半径=曲率半径Rによる最も大きな切削速度となり、さらに加工溝の片面流路10aあるいは10bの底部では切れ刃23の回転半径rによる切削速度が最も大きくなる。
これに対して、超硬合金ボールエンドミル21の傾斜角θを大きくすると、基板2の加工側表面である接合面2sでは切れ刃23の回転半径による切削速度が小さくなり、加工溝の片面流路10aあるいは10bの底部では切れ刃23の回転半径rによる切削速度が小さくなる。
このようなことから、超硬合金ボールエンドミル21の回転S軸の傾斜角θの適用範囲としては、前記傾斜角θ1以上の角度θ≧θ1で送り方向に傾斜させることが望ましい。例えば、図5において、超硬合金ボールエンドミル21の曲率半径R=200μm、切込み深さT=20μmであるとき、最小の傾斜角θは、cosθ=(200−20)/200であることから傾斜角θ≒26°となる。すなわち、この場合の傾斜角θの適用範囲は、26°≦θ<90°となる。ただし、最適な傾斜角θは、超硬合金ボールエンドミル21の回転数、送り速度、切込み深さT、曲率半径R、操作性あるいは加工効率やその他の種々の加工条件との兼ね合いで設定される。
超硬合金ボールエンドミル21を用いたガラスなどの硬脆性無機材料の基礎的な加工方法の詳細については、前記特開2005−96399号公報において具体的に述べられているので省略するが、超硬合金ボールエンドミル21の傾斜角θ=45°で、曲率半径R=0.2mmと0.25mmの超硬合金ボールエンドミル21による切削加工試験の結果、超硬合金ボールエンドミル21の回転数20000rpmにおける加工溝面が最も良好であって、超硬合金ボールエンドミル21の回転数20000rpmにおいては、送り速度1〜8μm/secの範囲で良好な結果が得られている。
なお、上記の切削加工試験では超硬合金ボールエンドミル21の曲率半径R=0.2mmと0.25mmのものをそれぞれ用いて行っているが、実際にはその他の任意の曲率半径Rの超硬合金ボールエンドミル21を使用しても同様の作用効果が得られる。
このようなマイクロチップ加工装置を用いて、本発明のマイクロチップの製造方法を具体的に整理すると次のようになる。
まず、前記第2のスピンドル100に取り付けられたカッター101を用い、積層し相互に接合して積層体1を構成するための複数の各基板2(2a、2i、・・・、2b)に相互に連通するように所定位置に配置された適宜数量の流入口3、4及び流出口5を加工・形成する(流入口及び流出口形成工程)。
次いで、同じカッター101を用い、前記各基板2の接合面2sに相互に鏡面対称状の対角線上に少なくとも2つの位置決め用孔11a、12aあるいは11b、12bを開設する(位置決め用孔開設工程)。
さらに、前記第1のスピンドル20に取り付けられた超硬合金ボールエンドミル21を用い、前記各基板2の接合面2s(図5)に流入口3、4と流出口5とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路10aあるいは10bを相互に鏡面対称状に切削・形成する(片面流路形成工程)。
この片面流路形成工程は、前記流入口及び流出口形成工程に引き続いて施工し、その後に位置決め用孔開設工程を施工するようにしてもよい。
そして、前記各基板2例えば2a、2bの接合面を合わせ、対角線上の位置決め用孔11aと11bならびに12aと12bとにそれぞれ別途作成の位置決めピン13、14を挿入して同一中心軸線上に突き合わされて連通する位置決め用孔11、12を形成するとともに、各基板2a、2bの接合面を接合することにより、片面流路10aと10bとが突き合わされて閉断面流路10を形成する。このように位置決めピン13、14を用い、前記各基板2(2a、2i、・・・、2b)を順次位置決めして積層し相互に接合することにより片面流路10a、10bが突き合わされて各接合面間に閉断面流路10が構成された積層体1であるマイクロチップを形成する(積層体形成工程)。
以上のような本発明のマイクロチップの製造方法では、cBNなどの超硬合金ボールエンドミル21を利用して、例えばガラス製の基板2に深さ15〜20μm、幅100〜200μm程度の微細溝を一度に効率よく切削加工できることから、生産性は従来の回転軸が被削材の加工側表面に対してほぼ直交するように切込まれるエンドミルによる加工方法に比べて約20倍向上できる。また本発明の超硬合金ボールエンドミル21の場合、従来のダイヤモンドのエンドミルの約10分の1の価格で済むことから、生産性と工具のコストの両面で従来のダイヤモンドのエンドミルによる加工方法に比べて約200分の1のコストダウンが可能である。
このように、硬質薄板状部材からなる基板2に対して超硬合金ボールエンドミル21を利用した片面流路10aあるいは10bの加工と位置決め用孔11、12及び位置決めピン13、14とからなる位置決め機構とにより、一層微細な溝からなる閉断面流路10が緻密に高集積化されて形成される高品質で効率性及び経済性に優れた高機能化・多機能化のため高精度・高集積化マイクロチップを提供することができる。
なお、前記実施の形態においては、流体の流入口を2つのみ形成したが、3つ以上の流入口を形成することももちろん可能である。また、前記実施の形態においては、閉断面流路10の断面形状を円形としたが、長円形、矩形や多角形などのその他の形状とすることももちろん可能である。
また、各基板2の接合面の接合は、例えば、拡散接合、ロウ付け、レーザー溶接、抵抗溶接、陽極接合(基板2がシリコン半導体の場合)等の公知の方法により行うことができる。
本発明の一実施の形態によるマイクロチップの基板の接合面の概念図である。 (a)は図1の基板が接合されたマイクロチップのA−A断面図、(b)は同じく図1のB−B断面図である。 複数の基板が積層された積層体であるマイクロチップの断面概念図である。 本発明のマイクロチップの製造方法におけるマイクロチップ加工装置例の正面概念図である。 本発明のマイクロチップの製造方法におけるボールエンドミルを用いた片面流路加工部の説明図である。
符号の説明
1 積層体
2、2a、2b 基板
3、4 流入口
5 流出口
6、7 流体導入流路
6a、6b、7a、7b (流体導入流路の)片面流路
8 合流部
8a、8b (合流部の)片面流路
9 流体混合流路
9a、9b (流体混合流路の)片面流路
10 閉断面流路
10a、10b 片面流路
11、12 位置決め用孔
13、14 位置決めピン
20 第1のスピンドル
21 (超硬合金)ボールエンドミル
30 第1軸(Y軸)移動手段
53、63 第2、第3アクチュエータ
32、52、62 リニアガイド機構
40 ワークテーブル
50 第2軸(X軸)移動手段
60 第3軸(Z軸)移動手段
70 旋回手段
71 スピンドルヘッド
72 スピンドルアタッチメント
74 旋回アクチュエータ
80 コラム
90 ベッド
100 第2のスピンドル
101 カッター
110 操作盤

Claims (5)

  1. 複数の基板が積層され相互に接合された積層体と、
    前記積層体の基板に相互に連通するように形成され所定位置に配置された適宜数量の流入口及び流出口と、
    前記各基板の接合面に相互に対向して鏡面対称状に形成され、前記流入口と流出口とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路が、前記各基板の接合により突き合わされて構成された閉断面流路とを備え、
    前記積層体には、各基板の接合時に対向する片面流路の正確な位置合せを行なう位置決め機構が設けられていることを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記位置決め機構は、前記各基板の対角線上に開設された少なくとも2つの位置決め用孔と該位置決め用孔に挿通される位置決めピンとからなることを特徴とする請求項1記載のマイクロチップ。
  3. 積層し相互に接合して積層体を構成するための複数の各基板に相互に連通するように所定位置に配置された適宜数量の流入口及び流出口を形成する流入口及び流出口形成工程と、
    前記各基板の接合面に前記流入口と流出口とを繋ぐ所定の平面パターンの微細溝からなる片面流路を相互に鏡面対称状に形成する片面流路形成工程と、
    前記各基板の接合面に相互に鏡面対称状の対角線上に少なくとも2つの位置決め用孔を開設する位置決め用孔開設工程と、を有し、
    少なくとも、前記片面流路形成工程と位置決め用孔開設工程とを前記基板毎に相前後し連続して施工した後で、前記対角線上の位置決め用孔に別途作成の位置決めピンを挿通し前記各基板を順次位置決めして積層し相互に接合することにより前記片面流路が突き合わされて各接合面間に閉断面流路が構成された積層体であるマイクロチップを形成することを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  4. 前記基板は、硬質薄板状部材からなり、
    前記微細溝からなる片面流路は、切れ刃丸みとねじれ角を有する超硬合金ボールエンドミルの回転軸が前記基板の加工側表面となる接合面に対して常に超硬合金ボールエンドミルを所定の平面パターンの溝からなる片面流路に沿って相対的な加工送り方向側に所定の傾斜角を有するように前記基板の移動及び超硬合金ボールエンドミルの移動を同時協調制御し、少なくとも前記基板の移動を1軸方向として切削加工されることを特徴とする請求項3記載のマイクロチップの製造方法。
  5. 前記超硬合金ボールエンドミルの傾斜角は、超硬合金ボールエンドミルの切れ刃の外周面を所定の切込み深さに位置させたときに、超硬合金ボールエンドミルの曲率半径の終端円周線が前記基板の加工側表面となる接合面と交差する位置まで傾斜した傾斜角度以上、かつ90°以内の範囲にあることを特徴とする請求項4記載のマイクロチップの製造方法。
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