JP2008140917A - 窒化物系半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光層の下地として良好な平坦性を有する窒化ガリウム系半導体層を提供可能な構造を有する窒化物系半導体発光素子を提供する。
【解決手段】n型窒化ガリウム系半導体層15は基板13上に設けられ、例えばクラッド層である。発光層17は、n型窒化ガリウム系半導体層15上に設けられ、また量子井戸構造23を有する。p型窒化ガリウム系半導体層19は、発光層17上に設けられている。平坦化層21は、n型窒化ガリウム系半導体層15と発光層との間に設けられ、また窒化ガリウム系半導体領域からなる。窒化ガリウム系半導体領域もn型窒化ガリウム系半導体層と発光層との間に位置する。で表され、発光層19の炭素濃度NC1の炭素を含む。平坦化層の窒化ガリウム系半導体領域の平均炭素濃度NC2は発光層19の平均炭素濃度NC1より大きい。平坦化層21は、優れた平坦性の下地を発光層17のために提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物系半導体発光素子に関する。
特許文献1には、窒化物半導体発光素子が記載されている。窒化物半導体発光素子は、GaN基板とn型クラッド層との間に設けられたp型迷光制御平坦化層を含む。この窒化物半導体発光素子は、n型AlGaNクラッド層と、p型AlGaN層と、In0.10Ga0.90N/In0.02Ga0.98N量子井戸構造とを含む。p型迷光制御平坦化層の厚さは5nm以上200nm以下である。膜厚が5nm以上であれば、GaN基板から漏れ出す光(自然放出光)を吸収する。また、p型迷光制御平坦化層は、GaN基板の表面のスクラッチ等の研磨キズに起因する凹凸を低減するために設けられる。迷光制御平坦化層がアンドープでなくMgドーピングされたp型であることによって、Mgの深いアクセプタレベルに起因する大きな吸収を示す。
特願平2005−354107号公報
特許文献1では、迷光制御平坦化層が、GaN基板の表面のスクラッチ等を平坦化できることが記載されている。しかしながら、この迷光抑制平坦化層と活性層の間には比較的厚いn型窒化物系半導体層が設けられているので、この厚いn型型層を成長した後には再び平坦性が損なわれる可能性がある。故に、この平坦化層が活性層の近くに配置されることは、活性層の平坦化には有効である。しかしながら、迷光抑制平坦化層は、GaN基板に漏れる自然放出光を吸収するために設けられおり、このために深いアクセプタレベルにより光吸収を利用している。この深いアクセプタレベルにより、レーザ光のノイズが低減される。ところが、高い光吸収率を有する層を活性層の近くに配置すると、光の吸収が増加して、発光素子の光パワー損失が増加する。この損失増加は、発光素子が例えば半導体レーザであるときは、レーザ特性を悪化されることになる。一方、良好な平坦性を有する窒化ガリウム系半導体層上に発光層を形成できれば、優れた発光特性の発光素子を提供できる。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、発光層の下地として良好な平坦性を有する窒化ガリウム系半導体層を提供可能な構造を有する窒化物系半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子は、(a)基板の主面上に設けられたn型窒化ガリウム系半導体層と、(b)前記n型窒化ガリウム系半導体層上に設けられており量子井戸構造を有する発光層と、(c)前記発光層上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層と、(d)前記n型窒化ガリウム系半導体層と前記発光層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体領域を含む平坦化層とを備え、前記平坦化層はフォトニック結晶構造を含み、前記発光層は、第1の炭素濃度の炭素を含み、前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、第2の炭素濃度の炭素を含み、前記第2の炭素濃度は前記第1の炭素濃度より大きい。
この窒化物系半導体発光素子によれば、平坦化層がフォトニック結晶構造を含むけれども、窒化ガリウム系半導体領域は比較的大きい第2の炭素濃度であるので、平坦化層は、優れた平坦性の下地を発光層のために提供できる。一方、発光層は、比較的小さい第1の炭素濃度であるので、優れた結晶品質を有する。この結果、優れた平坦性の窒化ガリウム系半導体領域上に、優れた結晶品質の量子井戸構造が形成される。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子は、(a)基板上に設けられたn型窒化ガリウム系半導体層と、(b)前記n型窒化ガリウム系半導体層上に設けられており量子井戸構造を有する発光層と、(c)前記発光層上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層と、(d)前記n型窒化ガリウム系半導体層と前記発光層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体領域を含む平坦化層とを備え、前記発光層は、第1の炭素濃度の炭素を含み、前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、第2の炭素濃度の炭素を含み、前記第2の炭素濃度は前記第1の炭素濃度より大きい。
この窒化物系半導体発光素子によれば、窒化ガリウム系半導体領域は比較的大きい第2の炭素濃度であるので、平坦化層は、優れた平坦性の下地を発光層のために提供できる。一方、発光層は、比較的小さい第1の炭素濃度であるので、優れた結晶品質を有する。この結果、優れた平坦性の窒化ガリウム系半導体領域上に、優れた結晶品質の量子井戸構造が形成される。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は20nm以上であることができる。膜厚が20nm以上であれば、比較的大きい第2の炭素濃度の窒化ガリウム系半導体領域が良好な平坦性を示す。また、本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は500nm以下であることができる。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記第2の炭素濃度は1×1017cm−3以上であることができる。この値であれば、炭素の作用により2次元成長が促進される。このため、窒化ガリウム系半導体領域の表面の平坦性は良好になる。また、本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記第2の炭素濃度は1×1019cm−3以下であることができる。この値であれば、炭素添加による結晶性の劣化が許容される。また、窒化ガリウム系半導体領域の導電性の制御が容易である。さらに、窒化ガリウム系半導体領域の炭素により光吸収の影響が許容される。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記発光層と前記平坦化層との間隔は150nm以下であることが好ましい。この範囲となるように別の層を設けることができ、平坦化層の表面の平坦性の利益を失うことなく、良好な結晶性の発光層が得られる。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記平坦化層は複数の埋設部を含み、前記複数の埋設部は、前記基板の前記主面に平行な基準面に沿って配列されると共に前記窒化ガリウム系半導体領域で覆われており、前記埋設部の屈折率は前記窒化ガリウム系半導体領域の屈折率と異なり、前記埋設部は空隙および絶縁体のいずれかであり、前記発光層の転位密度は前記n型窒化ガリウム系半導体層の転位密度以下であることができる。
この窒化物系半導体発光素子によれば、平坦化層により新たな転位が導入されることは無く、このため、発光層の転位密度がn型窒化ガリウム系半導体層の転位密度以下になる。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記平坦化層は複数の埋設部を含み、前記複数の埋設部は、前記基板の前記主面に平行な基準面に沿って配列されると共に前記窒化ガリウム系半導体領域で覆われており、前記埋設部の屈折率は前記窒化ガリウム系半導体領域の屈折率と異なり、前記埋設部は空隙および絶縁体のいずれかであり、前記発光層の転位密度は前記n型窒化ガリウム系半導体層の転位密度以下であり、前記埋設部の前記配列はフォトニック結晶を構成するように成されていることが好ましい。
窒化ガリウム系半導体領域で埋め込まれた埋設部の配列によって、フォトニック結晶構造が提供される。フォトニック結晶構造の埋設部の配列を有する窒化物系半導体発光素子でも、窒化ガリウム系半導体領域は発光層のために平坦な表面を提供できる。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、前記埋設部の側面を覆う第1の部分と、前記埋設部の上面および前記第1の部分を覆う第2の部分とを含むことができる。第1および第2の部分により、窒化ガリウム系半導体領域は、フォトニック結晶構造のための埋設部を埋め込んで、且つ平坦な表面を提供できる。
本発明に係る窒化物系半導体発光素子では、前記発光層は、前記平坦化層上にエピタキシャル成長されることが好ましい。この窒化物系半導体発光素子によれば、発光層は優れた平坦性の平坦化層上に直接に成長されるので、発光層は良好な発光特性を示す。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、発光層の下地として良好な平坦性を有する窒化ガリウム系半導体層を提供可能な構造を有する窒化物系半導体発光素子が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の窒化物系半導体発光素子に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。窒化物系半導体発光素子11は、基板13と、n型窒化ガリウム系半導体層15と、発光層17と、p型窒化ガリウム系半導体層19と、平坦化層21とを備える。n型窒化ガリウム系半導体層15は基板13上に設けられており、例えばクラッド層である。発光層17は、n型窒化ガリウム系半導体層15上に設けられており、また量子井戸構造23を有する。量子井戸構造23は、井戸層23aおよび障壁層23bを含んでおり、井戸層23aの間には障壁層23bが設けられている。p型窒化ガリウム系半導体層19は、発光層17上に設けられており、例えばクラッド層である。平坦化層21は、n型窒化ガリウム系半導体層15と発光層との間に設けられている。また、窒化ガリウム系半導体領域もn型窒化ガリウム系半導体層と発光層との間に設けられている。本実施例では、平坦化層21は窒化ガリウム系半導体領域からなる。発光層19の平均炭素濃度は第1の炭素濃度NC1で表され、発光層19は第1の炭素濃度NC1の炭素原子を含む。平坦化層においては、窒化ガリウム系半導体領域の平均炭素濃度は第2の炭素濃度NC2で表され、窒化ガリウム系半導体領域は第2の炭素濃度の炭素原子を含む。第2の炭素濃度NC2は第1の炭素濃度NC1より大きい。
この窒化物系半導体発光素子11によれば、窒化ガリウム系半導体領域の平均炭素濃度は、比較的大きい第2の炭素濃度NC2であるので、平坦化層21は、優れた平坦性の下地を発光層17のために提供できる。一方、発光層17の平均炭素濃度は、比較的小さい第1の炭素濃度NC1であるので、優れた結晶品質を有する。この結果、優れた平坦性の窒化ガリウム系半導体領域上に、優れた結晶品質の量子井戸構造23が形成される。
窒化物系半導体発光素子11は、p型窒化ガリウム系半導体層19上に設けられたコンタクト層25を含む。コンタクト層25は、p型窒化ガリウム系半導体からなる。コンタクト層25上には、アノード電極27が設けられている。また、基板13は、サファイア基板、SiC基板といった異種基板であることができる。しかしながら、基板13として、GaN、AlGaNといった窒化ガリウム系半導体基板を用いることができる。基板13の主面13a上にn型窒化ガリウム系半導体層15が成長される。n型窒化ガリウム系半導体層15の第1の領域15a上には、平坦化層21、発光層17、p型窒化ガリウム系半導体層19、コンタクト層25およびアノード電極27が順に設けられている。n型窒化ガリウム系半導体層15の第2の領域15b上には、カソード電極29が設けられている。
窒化物系半導体発光素子11の一例として発光ダイオード(LED)は、
基板13:サファイア基板
n型窒化ガリウム系半導体層15:n型GaN(Siドープ)、5μm
平坦化層21:アンドープGaN、400nm、炭素濃度NC2=1×1018cm−3
発光層17(量子井戸構造23)平均炭素濃度NC1=5×1016cm−3以下
井戸層23a:In0.07Ga0.93N、
障壁層23b:In0.01Ga0.99
p型窒化ガリウム系半導体層19:Al0.18Ga0.82N(Mgドープ)、20nm
コンタクト層25:p型GaN(Mgドープ)、50nm
アノード電極27:Ni/Au(オーミック)
カソード電極29:Ti/Al(オーミック)
である。
(実験例1)
サファイア基板上にLEDを以下のように作製した。結晶成長は、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いることができる。サファイア基板をMOVPE炉に導入する。サファイア基板を摂氏1100度の水素(H)雰囲気中で10分間熱処理した。この熱処理は、基板表面のクリーニングのために行われる。引き続き、摂氏475度で低温バッファ層を成長する。この厚みは25nmである。この後に、摂氏1150度でn型GaN層を成長する。この厚みは5μmである。n型GaN上に、平坦化層のためのアンドープGaN層を成長する。このアンドープGaN層の炭素濃度は、約1×1018cm−3である。摂氏800度で、発光層のために井戸層および障壁層を交互に成長した。発光層の平均炭素濃度は、5×1016cm−3以下であった。その後、摂氏1100度の成長温度で電子ブロック層のためにp型Al0.18Ga0.82Nを成長し、次いで、コンタクト層のためにp型GaN層を成長する。炭素濃度の評価は、例えば2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry : SIMS)を用いて行った。このエピタキシャル基板を成長炉から取り出した後に、コンタクト層、電子ブロック層、発光層、アンドープGaN層およびn型GaN層を順にドライエッチングして、n型GaN層の一部に露出面を形成する。p側電極としてNi/Auをコンタクト層上に蒸着すると共に、n側電極としてTi/Alを露出面上に蒸着して、LED1を作製した。
参考のために、n型GaN上の炭素濃度1×1018cm−3のアンドープGaN層(平坦化層)に替えて、炭素濃度7×1016cm−3のアンドープGaN層を成長して、別のエピタキシャル基板を準備した。この別のエピタキシャル基板を成長炉から取り出した後に、同様にn型GaN層の一部に露出面を形成すると共にp側電極およびn側電極を形成して、LED2を作製した。
LED1およびLED2の特性を評価した。LED1およびLED2の発光波長は、共に、400nm程度であり、LED1の発光出力は、LED2の発光出力の1.3倍である。これは、LED1の発光層の平坦性や界面急峻性に優れるためと考えられる。
様々な実験によれば、平坦化層の窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は20nm以上であることができる。膜厚が20nm以上であれば、比較的大きい第2の炭素濃度の窒化ガリウム系半導体領域が良好な平坦性を示す。また、平坦化層の窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は500nm以下であることができる。膜厚が500nm以下であれば、平坦化層が、p型およびn型導電性を制御するための不純物源(例えばSi、Mg等)を意図的に供給することなく成長されたアンドープ半導体である場合でも、素子抵抗の悪化を招くことはない。また、平坦化層の膜厚を500nmより厚くしても、平坦化層の上記効果の向上は望めない。
また、発光層と平坦化層の間隔は150nm以下であることが好ましい。この範囲となるように別の層を設けることができ、平坦化層の表面の平坦性の利益を失うことなく、良好な結晶性の発光層が得られる。平坦化層上に直接に発光層を成長することが好ましい。
(実験例2)
サファイア基板を摂氏1100度のH雰囲気中で10分間クリーニングした。次いで、摂氏475度で低温GaN層を成長した。摂氏1150度で厚み1μmのアンドープGaN層を成長した。この後に、摂氏1150度の成長温度、10kPaの圧力で厚み500nmのアンドープGaN層(平坦化層)を成長して、エピタキシャル基板E1を作製した。この結果、図2(a)に示されるように、このエピタキシャル基板E1では、低温GaNバッファ層33、アンドープGaN層35および平坦化層37aがサファイア基板31上に順に成長される。この平坦化層37(アンドープGaN層)の炭素濃度は約1×1018cm−3であった。図2(b)は、エピタキシャル基板E1の平坦化層表面のノマルスキー顕微鏡写真を示す図面である。
摂氏1150度で厚み1μmのアンドープGaN層を成長した後に、摂氏1150度の成長温度、90kPaの圧力で厚み500nmのアンドープGaN層を成長して、エピタキシャル基板E2を作製した。この結果、図3(a)に示されるように、このエピタキシャル基板E2では、低温GaNバッファ層33、アンドープGaN層35およびアンドープGaN層37bがサファイア基板31上に順に成長される。最上層のアンドープGaN層の炭素濃度は約7×1016cm−3であった。図3(b)は、エピタキシャル基板E2の最上層表面のノマルスキー顕微鏡写真を示す図面である。
図2(b)に示された平坦化層表面(GaN表面)のモフォロジーを図3(b)に示されたGaN表面のモフォロジーと比較すると、平坦化層37の表面が非常に平坦であるが理解される。膜中の炭素濃度を増加させることによって、表面モフォロジーが優れたものになる。成長雰囲気中の炭素分圧の増加によって、二次元成長が促進されたためと考えられる。このような平坦な下地半導体領域上に発光層を成長することで、発光層の平坦性や界面急峻性が向上し、発光効率を高めることができる。
様々な実験によれば、平坦化層37aの炭素濃度は、1×1017cm−3以上であることができる。この値であれば、炭素の作用により2次元成長が促進される。このため、平坦化層37aの表面の平坦性は良好になる。また、平坦化層37aの炭素濃度は1×1019cm−3以下であることができる。この値であれば、炭素による結晶性の劣化が許容される。また、平坦化層37aの窒化ガリウム系半導体領域の導電性の制御が容易である。さらに、平坦化層37aの窒化ガリウム系半導体領域の炭素により光吸収の影響が許容される。
この実験例2では、圧力によって炭素(C)濃度を変化させたが、CHCHCH等の炭化水素などの添加物源を成長中に加えることによって膜中のC濃度を制御することもできる。
(第2の実施の形態)
図4は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。窒化物系半導体発光素子11aは、基板13と、n型窒化ガリウム系半導体層15と、発光層41と、p型窒化ガリウム系半導体層17と、平坦化層43とを備える。発光層41は、n型窒化ガリウム系半導体層15上に設けられており、量子井戸構造45を有する。量子井戸構造45は、井戸層45aおよび障壁層45bを含んでおり、井戸層45aの間には障壁層45bが設けられている。発光層上41には、p型窒化ガリウム系半導体層17が設けられている。平坦化層43は、n型窒化ガリウム系半導体層15と発光層41との間に設けられており、また窒化ガリウム系半導体領域47を含む。窒化ガリウム系半導体領域47も、n型窒化ガリウム系半導体層15と発光層41との間に設けられている。平坦化層43はフォトニック結晶構造を含む。フォトニック結晶構造は一次元または二次元の周期的な屈折率分布を有する回折格子を含み、その構造に起因したフォトニックバンドギャップによって一次元方向あるいは二次元面内に渡って対応するエネルギーの光の伝播を禁止することができる微細構造である。発光層41の平均炭素濃度は第1の炭素濃度NC3で表され、発光層41は第1の炭素濃度NC3の炭素を含む。平坦化層43においては、窒化ガリウム系半導体領域47の平均炭素濃度は第2の炭素濃度NC4で表され、窒化ガリウム系半導体領域47は第2の炭素濃度の炭素を含む。第2の炭素濃度NC4は第1の炭素濃度NC3より大きい。
この窒化物系半導体発光素子11aによれば、平坦化層43がフォトニック結晶構造を含むけれども、窒化ガリウム系半導体領域47は比較的大きい第2の炭素濃度NC4であるので、平坦化層43は、優れた平坦性の下地を発光層41のために提供できる。一方、発光層41は、比較的小さい第1の炭素濃度NC3であるので、優れた結晶品質を有する。この結果、優れた平坦性の窒化ガリウム系半導体領域47上に、優れた結晶品質の量子井戸構造45が形成される。
なお、本実施例では、平坦化層43は、窒化ガリウム系半導体領域47と、埋設物49aの二次元配列49とを含む。埋設物49aの屈折率は、窒化ガリウム系半導体領域47の屈折率と異なり、また二次元配列49は、複数の埋設物49aが二次元回折格子を形成するように配置されてなる。埋設物49aとしては、窒化ガリウム系半導体領域47内に設けられた空隙であることができる。空隙は、例えばドライエッチングに作製される。或いは、埋設物49aとしては、窒化ガリウム系半導体領域47内に設けられた絶縁物であることができる。絶縁物の材料としては、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、アルミニウム酸化物等を用いることができる。平坦化層43がフォトニック結晶を構成するように、埋設物49aが二次元に配列されている。
窒化物系半導体発光素子11aの一例として発光ダイオード(LED)は、
基板13:サファイア基板
n型窒化ガリウム系半導体層15:n型GaN(Siドープ)、5μm
平坦化層41
窒化ガリウム系半導体領域47:アンドープGaN、400nm、炭素濃度NC4=1×1018cm−3
埋設物49a:SiO
発光層43(量子井戸構造45)平均炭素濃度NC3=5×1016cm−3以下
井戸層45a:In0.07Ga0.93N、
障壁層45b:In0.01Ga0.99
p型窒化ガリウム系半導体層19:Al0.18Ga0.82N(Mgドープ)、20nm
コンタクト層25:p型GaN(Mgドープ)、50nm
アノード電極27:Ni/Au(オーミック)
カソード電極29:Ti/Al(オーミック)
である。
(実験例3)
発光ダイオードを作製する。この発光ダイオードは平坦化層を有しており、平坦化層は、アンドープGaN層で埋め込まれた複数の絶縁物柱を含む。これらの絶縁物柱は、アレイ状に配置されている。絶縁物柱は、例えば、窒化ガリウムの屈折率と大きく異なる屈折率のシリコン酸化物からなる。
まず、サファイア基板を摂氏1100度のH雰囲気中で10分間クリーニングした。摂氏475度で低温GaN層を成長した。低温GaN層の厚さは、例えば25nmである。次いで、厚み5μmのn型GaN層を摂氏1150度で成長した。
この成長の後に、結晶成長炉からエピタキシャル基板を取り出し、n型GaN層上に絶縁物柱のアレイを形成する。このために、まず、このエピタキシャル基板のn型GaN層の主面上にシリコン酸化膜を堆積する。電子ビーム露光によるフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて行って、複数の方向に同一の周期で配列されたシリコン酸化物柱を作製する。一例のアレイは、高さ40nmのSiO柱を含み、またこれらのSiO柱は、一辺500nmの正三角形格子を形成するように配置されている。これらのSiO柱の底面の総面積は、n型GaN層の主面全体の50%の割合であることが好ましい。
このアレイの形成後に、アレイを埋め込んで平坦な表面を有する窒化ガリウム系半導体層をMOVPE炉を用いて成長する。絶縁物柱のアレイは、摂氏1150度の成長温度、10kPaの圧力で厚み500nmのアンドープGaN層(平坦化層)を成長してエピタキシャル基板E2を作製した。このアンドープGaN層の炭素濃度は、1×1018cm−3であった。
引き続き、発光層を形成する。発光層は、井戸層(例えばIn0.07Ga0.93N)および障壁層(例えばIn0.01Ga0.99N)を含む3周期の量子井戸構造を有し、これらの平均炭素濃度はNC1=5×1016cm−3以下である。発光層の成長温度は、例えば、摂氏800度である。
次いで、成長温度を摂氏1100度に上昇させて電子ブロック層およびp型コンタクト層を成長する。電子ブロック層は例えばp型Al0.18Ga0.82Nであり、コンタクト層は例えばp型GaNである。
成長炉からエピタキシャル基板を取り出した後に、p電極のためにNi/Auをp型コンタクト層上に蒸着すると共に、n電極のためにTi/Alを蒸着する。n電極を形成するに先立って、このエピタキシャル基板の一部をエッチングしてn型GaN層の一部を露出させる。この露出面上にn電極を形成する。これらの工程を経て作製されたLED(以下、LED3として参照する)の特性の評価を行った。LED3の発光波長は、約400nm程度であり、LED3の発光出力は、LED1の発光出力の1.3倍である。これは、絶縁体柱を所望の炭素濃度範囲の窒化ガリウムで埋め込んで平坦化層を形成することによって、発光層の転位密度が低減したためにと考えられる。また、平坦化層の窒化ガリウム中の炭素濃度を増加させることによって、その表面モフォロジーが優れたものになる。この理由として、成長雰囲気中の炭素分圧の増加によって二次元成長が促進されたからと考えられる。このような平坦な下地半導体領域上に発光層を成長することで、発光層の平坦性や界面急峻性が向上し、発光効率を高めることができる。
(第3の実施の形態)
図5は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。窒化物系半導体発光素子11bでは、発光層51は、n型窒化ガリウム系半導体層55上に設けられており、量子井戸構造61を有する。量子井戸構造61は、井戸層61aおよび障壁層61bを含んでいる。発光層上51には、p型窒化ガリウム系半導体層59が設けられている。p型窒化ガリウム系半導体層59は、例えば電子ブロック層として働く。平坦化層59は、n型窒化ガリウム系半導体層55と発光層51との間に設けられており、また窒化ガリウム系半導体領域63を含む。窒化ガリウム系半導体領域63も、n型窒化ガリウム系半導体層55と発光層51との間に設けられている。平坦化層57はフォトニック結晶構造を含む。フォトニック結晶構造は二次元回折格子を含む。発光層51の平均炭素濃度は第1の炭素濃度NC3で表され、発光層51は第1の炭素濃度NC3の炭素原子を含む。平坦化層57においては、窒化ガリウム系半導体領域63の平均炭素濃度は第2の炭素濃度NC4で表され、窒化ガリウム系半導体領域63は第2の炭素濃度の炭素原子を含む。第2の炭素濃度NC4は第1の炭素濃度NC3より大きい。III族窒化物系基板53上には、n型窒化ガリウム系半導体層55、平坦化層57、発光層51、およびp型窒化ガリウム系半導体層59が順に設けられている。
この窒化物系半導体発光素子11bによれば、平坦化層57がフォトニック結晶構造を含むけれども、窒化ガリウム系半導体領域63は比較的大きい第2の炭素濃度NC4であるので、平坦化層57は、優れた平坦性の下地を発光層51のために提供できる。一方、発光層51は、比較的小さい第1の炭素濃度NC3であるので、優れた結晶品質を有する。この結果、優れた平坦性の窒化ガリウム系半導体領域63上に、優れた結晶品質の量子井戸構造61が形成される。
本実施例では、平坦化層57は、窒化ガリウム系半導体領域63と、埋設物49aの二次元配列49とを含む。平坦化層57がフォトニック結晶を構成するように、埋設物49aが二次元に配列されている。
窒化物系半導体発光素子11bは、基板53の主面53aとn型窒化ガリウム系半導体層55との間に設けられたバッファ層65を含む。p型窒化ガリウム系半導体層59上には光ガイド層67が設けられており、また光ガイド層67上にはp型クラッド層69が設けられており、さらにp型クラッド層69上にはp型コンタクト層71が設けられている。n型窒化ガリウム系半導体層55はn型クラッド層として働く。基板53の裏面53bには、カソード電極73が設けられ、p型コンタクト層71上には、アノード電極75が設けられている。
窒化物系半導体発光素子11bの一例として半導体レーザ(LD)は、
基板53:GaN基板
n型窒化ガリウム系半導体層65(n型バッファ層):n型GaN(Siドープ)、2μm
n型窒化ガリウム系半導体層55(n型クラッド層):n型Al0.07Ga0.93N(Siドープ)、600nm
平坦化層57
窒化ガリウム系半導体領域63:アンドープGaN、200nm、炭素濃度NC4=1×1018cm−3
埋設物49a:SiO
発光層51(量子井戸構造61)平均炭素濃度NC3=5×1016cm−3以下
井戸層61a:In0.07Ga0.93N、
障壁層61b:In0.01Ga0.99
p型窒化ガリウム系半導体層59(電子ブロック層):Al0.18Ga0.82N(Mgドープ)、20nm
p型窒化ガリウム系半導体層67(光ガイド層):p型GaN(Mgドープ)、100nm
p型窒化ガリウム系半導体層69(p型クラッド層):Al0.07Ga0.93N(Mgドープ)、400nm
コンタクト層71:p型GaN(Mgドープ)、50nm
カソード電極73:Ti/Al(オーミック)
アノード電極75:Ni/Au(オーミック)
である。
(実験例4)
埋設物柱(例えばSiO柱)がフォトニック結晶として働くように作製されると、GaN基板を用いた面発光レーザが得られる。窒化ガリウム系半導体面発光レーザは平坦化層を有しており、平坦化層は、アンドープGaN層で埋め込まれた複数の絶縁物柱を含む。これらの絶縁物柱は、アレイ状に配置されている。絶縁物柱は、窒化ガリウムの屈折率と大きく異なる屈折率の材料、例えば、シリコン酸化物からなる。
まず、MOVPE炉において、GaN基板(貫通転位密度:1×10cm−2以下)をアンモニアおよび水素(NH+H)を含む雰囲気中で、摂氏1050度、10分間の熱処理を行う。この前処理(サーマルクリーニング)の後に、摂氏1150度でSiドープn型GaN膜を成長する。GaN膜の厚さは、例えば2マイクロメートルである。次いで、摂氏1150度でSiドープn型Al0.07Ga0.93N膜を成長する。AlGaN膜の厚さは、例えば600nmである。この後に、成長炉から取り出し、電子ビーム露光を用いたフォトリソグラフィおよびエッチングにより、上記の実験例と同じようにn型クラッド層上に絶縁物柱のアレイを形成する。アレイの絶縁物柱は、複数の方向に同一の周期で配列されたシリコン酸化物柱である。一例のアレイは、高さ40nmのSiO柱を含み、またこれらのSiO柱は、一辺159nmの正三角形格子を形成するように配置されている。このアレイSiO柱の占める面積は、n型GaN層の主面全体の20%である。この実施例では、三角格子が用いられるが、三角格子の替えて例えば正方格子および六角格子を用いることができる。また、SiO柱に替えて、SiN柱やAl柱を用いることができる。
アレイを形成した後に、GaNウエハを成長炉に戻し、摂氏1150度でアンドープGaNを成長してSiO柱を埋め込む。ここで成長圧力として、活性層の成長圧力より小さい、例えば10kPaを用いることによって、アンドープGaNの炭素濃度は1×1018cm−3に制御された。次いで、摂氏800度の成長温度でInGaN/InGaN多重量子井戸(MQW)構造からなる発光層を成長した。井戸層は3nm厚のIn0.07Ga0.93Nからなり、また障壁層は15nm厚のIn0.01Ga0.99Nからなる。井戸層の数は3である。発光層の平均炭素濃度はNC1=5×1016cm−3以下である。
次いで、摂氏1100度の成長温度で、電子ブロックAl0.18Ga0.82N層、p型光ガイドGaN層、p型クラッドAl0.07Ga0.93N層およびp型コンタクトGaN層を成長する。成長炉からエピタキシャル基板を取り出した後に、p電極のためにNi/Auをp型コンタクト層上に蒸着すると共に、n電極のためにTi/Alを蒸着する。
これらの工程を経て作製された、面発光レーザダイオード(以下、LD1として参照する)の特性の評価を行った。LD1のレーザ発振波長は、402nmであった。レーザ発振が得られたのは、絶縁物柱を所望の炭素濃度範囲の窒化ガリウムで埋め込んで平坦化層を形成することによって、炭素不純物による光損失増大を抑制しながらフォトニック結晶として作用するアレイSiO柱と発光層の距離を短くできたためと考えられる。
(実験例5)
図6(a)に示されるように、実験例4と同じように、MOVPE炉において2枚のGaN基板81をアンモニアおよび水素(NH+H)を含む雰囲気中で、摂氏1050度、10分間のサーマルクリーニングを行う。摂氏1150度でSiドープn型GaN膜83を成長する。GaN膜83の厚さは、例えば2マイクロメートルである。次いで、成長炉から取り出すと共に絶縁膜を成長した後に、電子ビーム露光を用いたフォトリソグラフィおよびエッチングにより、上記の実験例と同じように、各n型GaN膜83上に絶縁物柱のアレイ85を形成する。アレイの絶縁物柱85aは、複数の方向に同一の周期で配列されたシリコン酸化物柱である。一例のアレイは、高さ40nmのSiO柱を含み、またこれらのSiO柱は、一辺352nmの正三角形格子を形成するように配置されている。
アレイ85を形成した後に、一方のGaNウエハを成長炉に戻し、摂氏1150度でアンドープGaNを成長してSiO柱を埋め込む。ここで成長圧力として10kPaを用いることによって、アンドープGaN89の炭素濃度は1×1018cm−3に制御された。また、参考のために、他方のGaNウエハを成長炉に戻し、1×1016cm−3の炭素濃度に制御されたアンドープGaN91を成長してSiO柱を埋め込む。
引き続き、炭素濃度1×1018cm−3に制御されたアンドープGaN89上、および1×1016cm−3の炭素濃度に制御されたアンドープGaN91上に、それぞれ、量子井戸構造を成長する。摂氏800度の成長温度でInGaN/InGaN多重量子井戸(MQW)構造からなる発光層93、95を成長した。井戸層は3nm厚のIn0.07Ga0.93Nからなり、また障壁層は15nm厚のIn0.01Ga0.99Nからなる。井戸層の数は3である。発光層93、95の平均炭素濃度はNC1=5×1016cm−3以下である。図6(d)および図6(e)に示されるように、エピタキシャル基板E5、E6を形成する。
図7は、図6(c)に示されるようにアレイのSiO柱がちょうど埋め込まれる厚さのアンドープGaN87を成長したサンプルの原子間力顕微鏡(AFM)により像を示す図面である。図面において、黒く見える部分には、GaN87に穴が空いており、この部分にSiO柱が存在する。図7を参照すると、SiO柱のアレイが三角形格子に配列している様子が分かる。三角形格子に配列されたSiO柱のいくつかが見えないが、SiO柱の上にGaN膜87が成長されているので、SiO柱の先端がGaN膜87で覆われている。
GaN膜87が所望の範囲内の炭素濃度を有するので、SiO柱に起因して欠陥発生なく埋め込みできる。しかしながら、所望の範囲外の炭素濃度のGaN膜でSiO柱のアレイを埋め込むとGaN膜が合体する箇所で新たな欠陥が発生する。
図8は、エピタキシャル基板E5の表面をAFM顕微鏡の像を示す。この像は、新たな欠陥の発生がないことを示している。したがって、発光層93(InGaN−MQW)中の転位密度はn−GaNの転位密度以下となる。それに加えて、n−GaN中に存在する転位の一部が、絶縁物によって伝播を阻止されていることができる。
転位伝播を阻止するためには、絶縁柱が全体に占める割合は、GaN膜83の表面の10%以上が望ましい。上記割合が10%以下であると、転位の存在する箇所を絶縁柱が覆う割合が小さく、十分な転位低減効果が得られないと考えられる。また、良好な再成長を行うためには、この割合は60%以下が望ましい。上記割合が60%以上であると、再成長する面積が小さく原料ガスが十分に行き届かないため、正常な成長が難しくなるからである。
このように埋め込み成長によって欠陥が発生しないメカニズムを以下のように推測される。
図9(a)を参照すると、窒化ガリウム系半導体領域97上に絶縁物99aが設けられており、窒化ガリウム系半導体結晶101aの堆積により絶縁物99aがその周回から埋め込まれつつある。絶縁物99aのサイズS1は、数マイクロメートル程度である。このようなサイズの絶縁物99aを用いて埋め込み成長を行うと、図9(b)に示されるように、絶縁物99aの周囲から結晶101aが成長するにつれて、結晶101aが合体するまでに結晶方位が若干ずれると推測される。このため、結晶101bが合体した後に新たな転位DISが発生する。
図9(c)を参照すると、窒化ガリウム系半導体領域97上に絶縁物99bが設けられており、窒化ガリウム系半導体結晶103aの堆積により絶縁物99bがその周回から埋め込まれつつある。絶縁物99bのサイズS2は、数マイクロメートルよりも小さい。このようなサイズの絶縁物99bを用いて埋め込み成長を行うと、図9(d)に示されるように、絶縁物99bが非常に微細であるために、絶縁物99aの周囲から結晶101aが成長しても、合体前の結晶方位がずれることない。このため、欠陥の発生なく埋め込み成長が進行して、低転位の結晶103bが得られる。欠陥の発生なく埋め込みを行うためには絶縁物のピッチは1マイクロメートル以下が望ましい。また、良好な再成長を行うためには、絶縁物のピッチは140nm以上が望ましい。例えば、絶縁物99bのサイズは300nm以下であることが好ましく、また絶縁物99bのサイズは80nm以上であることが好ましい。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。例えば、平坦化層のための窒化ガリウム系半導体領域は、必要に応じて、アンドープ半導体、p型ドーパントを添加した半導体、n型ドーパントを添加した半導体を用いることができる。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
図1は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。 図2(a)は、炭素濃度1×1018cm−3である平坦化層(アンドープGaN層)がサファイア基板上に成長されたエピタキシャル基板を示す図面である。図2(b)は、エピタキシャル基板E1の平坦化層表面のノマルスキー顕微鏡写真を示す図面である。 図3(a)は、炭素濃度7×1016cm−3である平坦化層(アンドープGaN層)がサファイア基板上に成長されたエピタキシャル基板を示す図面である。図3(b)は、エピタキシャル基板E2の平坦化層表面のノマルスキー顕微鏡写真を示す図面である。 図4は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。 図5は、本実施の形態に係る窒化物系半導体発光素子を示す図面である。 図6(a)〜図6(e)は、絶縁物柱のアレイを埋め込むための一連の工程を示す図面である。 図7は、図6(c)に示されるようにアレイのSiO柱がちょうど埋め込まれる厚さのアンドープGaNを成長したサンプルの原子間力顕微鏡により像を示す図面である。 図8は、エピタキシャル基板E5の表面をAFM顕微鏡の像を示す図面である。 図9(a)および図9(b)は、窒化ガリウム系半導体領域上に設けられた大きな絶縁物を窒化ガリウム系半導体結晶で埋め込む際の結晶成長を模式的に示す図面である。図9(c)および図9(d)は、窒化ガリウム系半導体領域上に設けられた小さな絶縁物を窒化ガリウム系半導体結晶で埋め込む際の結晶成長を模式的に示す図面である。
符号の説明
11、11a、11b…窒化物系半導体発光素子、13…基板、15…n型窒化ガリウム系半導体層、21…平坦化層、17…発光層、19…p型窒化ガリウム系半導体層、23…量子井戸構造、23a…井戸層、23b…障壁層、NC1〜NC4…平均炭素濃度、25…コンタクト層、27…アノード電極、29…カソード電極、41…平坦化層、47…窒化ガリウム系半導体領域、49a…埋設物、43…発光層、45…量子井戸構造、45a…井戸層、45b…障壁層、51…発光層、53…基板、55…n型窒化ガリウム系半導体層、57…平坦化層、59…p型窒化ガリウム系半導体層、61…量子井戸構造、61a…井戸層、61b…障壁層、63…窒化ガリウム系半導体領域、65…n型窒化ガリウム系半導体層、67…p型窒化ガリウム系半導体層、69…p型窒化ガリウム系半導体層、71…コンタクト層、73…カソード電極、75…アノード電極

Claims (10)

  1. 基板の主面上に設けられたn型窒化ガリウム系半導体層と、
    前記n型窒化ガリウム系半導体層上に設けられており量子井戸構造を有する発光層と、
    前記発光層上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層と、
    前記n型窒化ガリウム系半導体層と前記発光層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体領域を含む平坦化層と
    を備え、
    前記平坦化層はフォトニック結晶構造を含み、
    前記発光層は、第1の炭素濃度の炭素を含み、
    前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、第2の炭素濃度の炭素を含み、
    前記第2の炭素濃度は前記第1の炭素濃度より大きい、ことを特徴とする窒化物系半導体発光素子。
  2. 基板上に設けられたn型窒化ガリウム系半導体層と、
    前記n型窒化ガリウム系半導体層上に設けられており量子井戸構造を有する発光層と、
    前記発光層上に設けられたp型窒化ガリウム系半導体層と、
    前記n型窒化ガリウム系半導体層と前記発光層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体領域を含む平坦化層と
    を備え、
    前記発光層は、第1の炭素濃度の炭素を含み、
    前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、第2の炭素濃度の炭素を含み、
    前記第2の炭素濃度は前記第1の炭素濃度より大きい、ことを特徴とする窒化物系半導体発光素子。
  3. 前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は20nm以上であり、
    前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域の膜厚は500nm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載された窒化物系半導体発光素子。
  4. 前記第2の炭素濃度は1×1017cm−3以上である、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された窒化物系半導体発光素子。
  5. 前記第2の炭素濃度は1×1019cm−3以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された窒化物系半導体発光素子。
  6. 前記発光層と前記平坦化層との間隔は150nm以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された窒化物系半導体発光素子。
  7. 前記平坦化層は複数の埋設部を含み、
    前記複数の埋設部は、前記基板の前記主面に平行な基準面に沿って配列されると共に前記窒化ガリウム系半導体領域で覆われており、
    前記埋設部の屈折率は前記窒化ガリウム系半導体領域の屈折率と異なり、
    前記埋設部は空隙および絶縁体のいずれかであり、
    前記発光層の転位密度は前記n型窒化ガリウム系半導体層の転位密度以下である、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された窒化物系半導体発光素子。
  8. 前記平坦化層は複数の埋設部を含み、
    前記埋設部の前記配列はフォトニック結晶を構成し、
    前記複数の埋設部は、前記基板の前記主面に平行な基準面に沿って配列されると共に前記窒化ガリウム系半導体領域で覆われており、
    前記埋設部の前記配列はフォトニック結晶を構成し、
    前記埋設部の屈折率は前記窒化ガリウム系半導体領域の屈折率と異なり、
    前記埋設部は空隙および絶縁体のいずれかであり、
    前記発光層の転位密度は前記n型窒化ガリウム系半導体層の転位密度以下である、ことを特徴とする請求項1に記載された窒化物系半導体発光素子。
  9. 前記平坦化層の前記窒化ガリウム系半導体領域は、前記埋設部の側面を覆う第1の部分と、前記埋設部の上面および前記第1の部分の表面を覆う第2の部分とを含む、ことを特徴とする請求項8に記載された窒化物系半導体発光素子。
  10. 前記発光層は、前記平坦化層上にエピタキシャル成長される、ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された窒化物系半導体発光素子。
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