JP2008140787A - 太陽電池用はんだめっき線およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平角状に形成された導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆された太陽電池用はんだめっき線において、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下であり、かつ前記導体の結晶粒径が20μm以上300μm以下である。
【選択図】 図1
Description
また、熱膨張の小さいインバーを用いて、銅−インバー−銅をクラッドした平角導体を製造すると、シリコンとの熱膨張整合が可能になるものの、Cuに比べて体積抵抗率が増大するため、導電率が低下して太陽電池としての発電効率が下落する。しかも、インバーにはニッケル(Ni)が36%程度も含まれているため、高価になってしまうという欠点があった。
更に、インバーを用いたリードフレームでは、回路形成時に打抜き加工を行うため、無駄になる材料が大量に発生してしまい、製造コストの上昇を招くという問題もあった。
導体材料としてCu系の材料を使用する場合、酸素含有量が少ない材料はコスト高であるため、酸素含有量がコントロールされていない材料を用いるのが経済的であるが、導体材料はコイル状にして熱処理が行われるため、酸素含有量が多い材料ではその熱処理の際に材料間の粘着が発生し、巻き出す際に導体が変形してしまうという問題があった。
好ましくは前記導体の体積抵抗率を50μΩ・mm以下とする。また、好ましくは前記はんだめっきが、Sn系はんだ、または第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだとする。また、好ましくは前記導体がAl、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種とする。また、好ましくは前記導体がタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、および高純度Cu(99.9999%以上)からなる群から選ばれた1種とする。
好ましくは、前記導体を、その体積抵抗率が50μΩ・mm以下とする。また、好ましくは前記熱処理の条件を、温度450〜750℃で、かつ時間30〜90分とする。また、好ましくは前記熱処理の条件を、温度200〜450℃、かつ時間60〜120分とする。また、好ましくは前記導体がCu、Al、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種とする。
一実施の形態の太陽電池用導体(以下、導体という)は、太陽電池モジュール(シリコン結晶ウェハ)のシリコンセル面ヘのはんだ接続が容易となるように、軟質材の導体の外形形状が断面平角状とされている。
上記導体は、太陽電池の発電ロスを軽減する観点から、体積抵抗率が比較的小さい導体材料、例えば、体積抵抗率が50μΩ・mm以下の材料を用いることが好ましい。
体積抵抗率が比較的小さい導体材料としては、図3に示すように、Cuの他にAu,Ag,Alなどがある。この中で体積抵抗率が最も低いのはAgであり、発電効率を最大限にすることが可能である。一方、低コスト化を優先するときにはCuが良く、軽量化を図りたいときにはAlを選択するのが望ましい。
特にCuの種類としてはタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、高純度Cu(純度99.9999%以上)のいずれを用いることも可能である。導体の引張り試験における0.2%耐力を最も小さくするためには純度が高いCuが有利であり、すなわち高純度Cu(純度99.9999%以上)を選択する。一方、不純物が入り0.2%耐力は大きくなるが低コスト化を図りたい時には、タフピッチCuもしくはリン脱酸Cuを選択する。
一般に熱膨張率の異なる異種金属を高温で接続した場合には、温度変化に熱膨張率、ヤング率を積算した値が反りを発生させる力となる。しかし、太陽電池のように接続する両部材の剛性が著しく異なり、また、はんだ接続温度も200℃以上と高温のものでは、断面積が小さい導体の方が降伏してしまい、上記熱膨張率、ヤング率による力がそのまま反り発生力とはならない。
また、上記0.2%耐力は導体の結晶粒径との相関が大きいことが知られており、一方で粒界が少ないほど、すなわち結晶粒径が大きいほど変形抵抗は小さい。他方で粒径が大きくなりすぎると材料の伸びは低下し、脆い材料となる。従って、結晶粒径および導体の伸びは一定条件範囲に入っている必要がある。ここでの結晶粒径とは、導体の結晶粒径を平均化したものである。
導体の結晶粒径が300μm以上であり、導体の伸びが10%未満であると、導体が脆くなるため耐クラック性が落ちる。そのため導体の結晶粒径が300μm以上だと太陽電池パネルなどへ組み込む成型加工の際、太陽電池用はんだめっき線、例えばはんだ被覆導体平角線に亀裂が発生したり、長期信頼性が不十分になるといった不具合の原因になる。また、結晶粒径が20μm以下だと、耐クラック性は問題はないが、導体の軟質性が失われるため、シリコンセルの反りが大きくなる。従って、導体の結晶粒径としては20〜300μmの範囲が好ましい。
上述したことから、導体の0.2%耐力は90MPa以下で、また、導体の結晶粒径としては20〜300μmの条件が好ましい。この範囲であれば、従来方式よりも大幅にシリコンセルの反りを低減出来、尚かつ結晶粒径粗大化による脆性を防止できるため、クラックや長期信頼性の低下を防止することができる。
導体の加工法としては圧延加工、スリット加工のいずれも適用可能である。丸線から圧延して平角化する方式は長尺で均一なものが製造できる。スリット方式では種々の幅の材料に対応できるメリットがある。
例えば、好適な太陽電池用平角導体は、導体をダイス伸線もしくはロール圧延、あるいはそれらの複合工程により平角状に成形した後、通電方式もしくはバッチ式の設備で熱処理して0.2%耐力を低減することで得られる。ここで、0.2%耐力を低減するための熱処理方式としては、通電加熱方式よりも熱エネルギーを十分に与えられるヒータによるバッチ式加熱方式が望ましい。あるいは酸化を防止する観点から水素還元雰囲気の炉を用いることもできる。
高温では比較的短時間で熱処理が完了する。低温では長時間を必要とするが、設備的には安価なものを用いることができる。
導体がCuの場合、温度が450〜750℃の時には加熱時間は30〜90分程度のときが適正であり、結晶粒径20〜300μmを得ることができる。
なお、導体としてCu以外のAg、Au、Alについても、Cuの場合と同様に熱処理条件で結晶粒径を制御できる。
本発明の一実施形態における太陽電池用はんだめっき線は、導体の表面全体に、はんだめっき膜を施したものである。はんだめっきは、環境面から、好ましくは鉛フリー品とし、導体の表面の外周の一部又は全部について実施する。
導体の被覆に用いるはんだは、Sn系はんだ、あるいは第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだであるが、第3成分として1000ppm以下の微量元素を含んでいるものを用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態の太陽電池用はんだめっき線は、太陽電池のシリコンセルとはんだ接続しても、従来方式よりもシリコンセルの反りが少なく、結晶粒粗大化による脆化を防止でき、かつ電気的特性にも優れる。
すなわち、導体の0.2%耐力値として90MPa以下のものを用いているので、はんだ接続後の導体の熱収縮によって、シリコンセルに発生する熱応力を低減できる。このため、シリコンセルとはんだ接続後の熱収縮の際に、シリコンセルの反りを減少させることができる。
また、導体の結晶粒径が20〜300μmの範囲に入るものを用いて、結晶粒径の最大値を規制しているので導体の脆化を防止することができ、結晶粒径の最小値を規制しているので結晶粒径の面からもシリコンセルの反りを防止することができる。
また、本実施形態の太陽電池用はんだめっき線は、体積抵抗率が50μΩ・mm以下の高導電性を有する導体を用いているので、太陽電池としての発電効率を良好に維持することができる。
幅2.0mm、厚さ0.16mmのCu材料を平角線状に圧延成形して導体とし、熱処理条件を850℃/40分、750℃/40分、650℃/60分、…300℃/90分、および200℃/120分、150℃/150分と変えて熱処理した。熱処理後導体の周囲をSn−3%Ag−0.5%Cu系の鉛フリーはんだで被覆してはんだめっき膜を設け、はんだ被覆Cu平角線を形成し、そのときのCuの結晶粒径、Cu及びはんだ被覆Cuの0.2%耐力を調べた。その結果を図1に示す。
σ=F/A
10 太陽電池用平角導体
13 はんだめっき膜
20 太陽電池用はんだめっき線
51 シリコンセル
53 接続用リード線
55 はんだめっき
61 平角導体
63 はんだめっき膜
71 銅材
73 インバー
75 はんだめっき膜
Claims (12)
- 平角状に形成された導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆された太陽電池用はんだめっき線において、
前記導体の引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下であり、かつ前記導体の結晶粒径が20μm以上300μm以下である太陽電池用はんだめっき線。 - 前記導体の引張り試験における伸びが10%以上である請求項1に記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 前記導体の体積抵抗率が50μΩ・mm以下である請求項1または2に記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 前記はんだめっきが、Sn系はんだ、または第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだである請求項1ないし3のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 前記導体がAl、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 前記導体がタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、および高純度Cu(99.9999%以上)からなる群から選ばれた1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 前記導体の酸素含有量が25ppm〜400ppmであることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池用はんだめっき線。
- 導体を圧延またはスリット加工によって平角状断面に成形し、
前記平角状断面に形成された導体に熱処理を施して、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値を90MPa以下とし、かつ前記導体の結晶粒径を20μm以上300μm以下とし、
さらに前記導体の表面の一部又は全部にはんだめっきを被覆した太陽電池用はんだめっき線の製造方法。 - 前記導体が、その体積抵抗率が50μΩ・mm以下である請求項8に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
- 前記熱処理の条件が、温度450〜750℃で、かつ時間30〜90分である請求項8又は9に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
- 前記熱処理の条件が、温度200〜450℃、かつ時間60〜120分である請求項8又は9に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
- 前記導体がCu、Al、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種である請求項8ないし11のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
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