JP2008140787A - 太陽電池用はんだめっき線およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池用はんだめっき線およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽電池を薄板化した場合でも接続用リード線の接合時に太陽電池の反りもしくは破損が生じにくい太陽電池用はんだめっき線を提供する。
【解決手段】平角状に形成された導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆された太陽電池用はんだめっき線において、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下であり、かつ前記導体の結晶粒径が20μm以上300μm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池用はんだめっき線およびその製造方法に係り、特に、太陽電池のシリコンセルとはんだ接続するのに好適な太陽電池用はんだめっき線およびその製造方法に関するものである。
基板上にシリコン結晶を成長させた太陽電池においては、図6に示すように、通常、シリコン結晶ウェハ(シリコンセル)51の所定の領域に接続用リード線53を接合し、これを通じて電力を伝送する構成としている。
上記接続用リード線53は、平角導体の表面に、シリコンセルとの接続のためのはんだめっき膜が形成される。例えば、図7に示すように、平角導体61としてタフピッチ銅や無酸素銅などの純銅を用い、その外側に形成されたはんだめっき膜63として、Sn−Pb共晶はんだを用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、近年、環境への配慮から、はんだめっき膜の構成材として、Pbを含まないはんだ(Pbフリーはんだ)への切り替えが検討されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、太陽電池を構成する部材のうち、シリコン結晶ウェハが材料コストの大半を占めていることから、製造コストの低減を図るべくシリコン結晶ウェハの薄板化が検討されている。しかし、シリコン結晶ウェハを薄板化すると、接続用リード線のはんだ接合時における加熱プロセスや、太陽電池使用時における温度変化により、図8に示すように、はんだ接続前(a)はフラットであったシリコンセル51及び接続用リード線53が、はんだ接続後(b)にはんだめっき55を介して接続したシリコンセル51と接続用リード線53が反ったり、破損したりするおそれがあった。このため、これに対処すべく、接続用リード線53として、熱膨張の小さい線材のニーズが高まっている。
熱膨張の小さい接続用リード線の従来例として、図9に示すように、インバー(Fe−36mass%Ni)73をCu材71でクラッドし、表面にはんだめっき膜75を形成したクラッド材が採用される場合もある。
図4に、このような銅−インバー−銅(Cu/Fe−36mass%Ni/Cu)のクラッド材特性を、Cu単独、インバー単独(Fe−36mass%Ni)、シリコン単独の材料特性と比較して示す。インバー単独ではなくクラッド材を採用するのは、同図からわかるように、インバーの体積抵抗率がCuに比べて50倍近く大きいため、接続用リード線全体の体積抵抗率をCu材で下げるためである。Cuよりも熱膨張係数の小さいクラッド材を用いると、Cuを用いた場合と比べて、シリコンとの熱膨張整合が可能になるので、シリコンセルと接続用リード線が反ったり、破損したりするおそれが低減する。
特開平11−21660号公報 特開2002−263880号公報
しかしながら、銅−インバー−銅の3層構造による接続用リード線では、インバーの両面に配置されている銅材料の結晶の配向、または結晶粒の不均一によって、なお太陽電池に反りなどの変形が生ずることがあった。これらは、太陽電池モジュールの生産性低下や、長期間使用した際の発電効率低下など信頼性を低下させる原因となっていた。加えて、側面の銅−インバー−銅接合部が水分にさらされることにより、局部電池化し腐食するおそれもあった。
また、熱膨張の小さいインバーを用いて、銅−インバー−銅をクラッドした平角導体を製造すると、シリコンとの熱膨張整合が可能になるものの、Cuに比べて体積抵抗率が増大するため、導電率が低下して太陽電池としての発電効率が下落する。しかも、インバーにはニッケル(Ni)が36%程度も含まれているため、高価になってしまうという欠点があった。
更に、インバーを用いたリードフレームでは、回路形成時に打抜き加工を行うため、無駄になる材料が大量に発生してしまい、製造コストの上昇を招くという問題もあった。
導体材料としてCu系の材料を使用する場合、酸素含有量が少ない材料はコスト高であるため、酸素含有量がコントロールされていない材料を用いるのが経済的であるが、導体材料はコイル状にして熱処理が行われるため、酸素含有量が多い材料ではその熱処理の際に材料間の粘着が発生し、巻き出す際に導体が変形してしまうという問題があった。
従って、本発明の目的は、太陽電池を薄板化した場合でも接続用リード線の接合時に太陽電池の反りもしくは破損が生じにくい太陽電池用はんだめっき線を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、導電率が良好な太陽電池用はんだめっき線を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、製造コストの上昇を抑えることが可能な太陽電池用はんだめっき線の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、平角状に形成された導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆された太陽電池用はんだめっき線において、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下であり、かつ前記導体の結晶粒径が20μm以上300μm以下である太陽電池用はんだめっき線が提供される。
好ましくは前記導体の体積抵抗率を50μΩ・mm以下とする。また、好ましくは前記はんだめっきが、Sn系はんだ、または第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだとする。また、好ましくは前記導体がAl、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種とする。また、好ましくは前記導体がタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、および高純度Cu(99.9999%以上)からなる群から選ばれた1種とする。
本発明の他の態様によれば、導体を圧延またはスリット加工によって平角状断面に成形し、前記平角状断面に形成された導体に熱処理を施して、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値を90MPa以下とし、かつ前記導体の結晶粒径を20μm以上300μm以下とし、さらに前記導体の表面の一部又は全部にはんだめっきを被覆した太陽電池用はんだめっき線の製造方法が提供される。
好ましくは、前記導体を、その体積抵抗率が50μΩ・mm以下とする。また、好ましくは前記熱処理の条件を、温度450〜750℃で、かつ時間30〜90分とする。また、好ましくは前記熱処理の条件を、温度200〜450℃、かつ時間60〜120分とする。また、好ましくは前記導体がCu、Al、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種とする。
本発明によれば、太陽電池を薄板化した場合でも接続用リード線の接合時に太陽電池の反りもしくは破損が生じにくい太陽電池用はんだめっき線を提供することができる。
また、本発明によれば、導電率が良好な太陽電池用はんだめっき線を提供することができる。
更に、本発明によれば、熱処理の際に材料間に粘着が発生せず、かつ製造コストの上昇を抑えることができる太陽電池用はんだめっき線の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。ここでは、太陽電池用はんだめっき線は、太陽電池用導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆されたものをいう。
(太陽電池用導体)
一実施の形態の太陽電池用導体(以下、導体という)は、太陽電池モジュール(シリコン結晶ウェハ)のシリコンセル面ヘのはんだ接続が容易となるように、軟質材の導体の外形形状が断面平角状とされている。
(導体の体積抵抗率)
上記導体は、太陽電池の発電ロスを軽減する観点から、体積抵抗率が比較的小さい導体材料、例えば、体積抵抗率が50μΩ・mm以下の材料を用いることが好ましい。
体積抵抗率が比較的小さい導体材料としては、図3に示すように、Cuの他にAu,Ag,Alなどがある。この中で体積抵抗率が最も低いのはAgであり、発電効率を最大限にすることが可能である。一方、低コスト化を優先するときにはCuが良く、軽量化を図りたいときにはAlを選択するのが望ましい。
特にCuの種類としてはタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、高純度Cu(純度99.9999%以上)のいずれを用いることも可能である。導体の引張り試験における0.2%耐力を最も小さくするためには純度が高いCuが有利であり、すなわち高純度Cu(純度99.9999%以上)を選択する。一方、不純物が入り0.2%耐力は大きくなるが低コスト化を図りたい時には、タフピッチCuもしくはリン脱酸Cuを選択する。
(導体の0.2%耐力値)
一般に熱膨張率の異なる異種金属を高温で接続した場合には、温度変化に熱膨張率、ヤング率を積算した値が反りを発生させる力となる。しかし、太陽電池のように接続する両部材の剛性が著しく異なり、また、はんだ接続温度も200℃以上と高温のものでは、断面積が小さい導体の方が降伏してしまい、上記熱膨張率、ヤング率による力がそのまま反り発生力とはならない。
導体の場合、降伏応力が小さいと少ない力で塑性変形してしまい、それ以上の変形抵抗とならない。即ち、低強度および低耐力であるほど、接合時のシリコン結晶ウェハへの負荷が軽減する。このため、塑性変形の指標として引張り試験における0.2%耐力値を用い、導体の0.2%耐力を90MPa以下とする。このような0.2%耐力値の低い軟質の導体を選択することにより、シリコン結晶ウェハヘ導体接合の際の熱応力(シリコンセルを反らせる力)を低減することができる。特に、0.2%耐力を80MPa以下にすることにより銅−インバー−銅のクラッド材よりもシリコンの反りを低減することが可能となり、実用上大きな効果が得られる。
(導体の結晶粒径)
また、上記0.2%耐力は導体の結晶粒径との相関が大きいことが知られており、一方で粒界が少ないほど、すなわち結晶粒径が大きいほど変形抵抗は小さい。他方で粒径が大きくなりすぎると材料の伸びは低下し、脆い材料となる。従って、結晶粒径および導体の伸びは一定条件範囲に入っている必要がある。ここでの結晶粒径とは、導体の結晶粒径を平均化したものである。
導体の結晶粒径が300μm以上であり、導体の伸びが10%未満であると、導体が脆くなるため耐クラック性が落ちる。そのため導体の結晶粒径が300μm以上だと太陽電池パネルなどへ組み込む成型加工の際、太陽電池用はんだめっき線、例えばはんだ被覆導体平角線に亀裂が発生したり、長期信頼性が不十分になるといった不具合の原因になる。また、結晶粒径が20μm以下だと、耐クラック性は問題はないが、導体の軟質性が失われるため、シリコンセルの反りが大きくなる。従って、導体の結晶粒径としては20〜300μmの範囲が好ましい。
(好適な導体の0.2%耐力値、および結晶粒径)
上述したことから、導体の0.2%耐力は90MPa以下で、また、導体の結晶粒径としては20〜300μmの条件が好ましい。この範囲であれば、従来方式よりも大幅にシリコンセルの反りを低減出来、尚かつ結晶粒径粗大化による脆性を防止できるため、クラックや長期信頼性の低下を防止することができる。
(太陽電池用平角導体の製造方法)
導体の加工法としては圧延加工、スリット加工のいずれも適用可能である。丸線から圧延して平角化する方式は長尺で均一なものが製造できる。スリット方式では種々の幅の材料に対応できるメリットがある。
例えば、好適な太陽電池用平角導体は、導体をダイス伸線もしくはロール圧延、あるいはそれらの複合工程により平角状に成形した後、通電方式もしくはバッチ式の設備で熱処理して0.2%耐力を低減することで得られる。ここで、0.2%耐力を低減するための熱処理方式としては、通電加熱方式よりも熱エネルギーを十分に与えられるヒータによるバッチ式加熱方式が望ましい。あるいは酸化を防止する観点から水素還元雰囲気の炉を用いることもできる。
熱処理する場合、所望の結晶粒径を得るためには、時間と温度を規定する必要がある。
高温では比較的短時間で熱処理が完了する。低温では長時間を必要とするが、設備的には安価なものを用いることができる。
導体がCuの場合、温度が450〜750℃の時には加熱時間は30〜90分程度のときが適正であり、結晶粒径20〜300μmを得ることができる。
熱処理条件は上記の場合に限定されず温度と時間の組み合わせで、結晶粒径を制御できる。例えば、温度が200〜450℃の時には加熱時間は60〜120分程度のときが適正であり、結晶粒径20〜300μmを得ることができる。
なお、導体としてCu以外のAg、Au、Alについても、Cuの場合と同様に熱処理条件で結晶粒径を制御できる。
(太陽電池用はんだめっき線)
本発明の一実施形態における太陽電池用はんだめっき線は、導体の表面全体に、はんだめっき膜を施したものである。はんだめっきは、環境面から、好ましくは鉛フリー品とし、導体の表面の外周の一部又は全部について実施する。
また、はんだ組成については、これまで導体にCuを用いたものではシリコンセルとの熱膨張整合を考慮して低温接続が可能なものが求められていたが、本実施形態の導体を用いることで、シリコンセルの反りが小さいことから、接続温度が高いSn−Ag−Cu系の組成のはんだを用いることが可能となる。
導体の被覆に用いるはんだは、Sn系はんだ、あるいは第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだであるが、第3成分として1000ppm以下の微量元素を含んでいるものを用いてもよい。
この太陽電池用はんだめっき線を、シリコン結晶ウェハ(太陽電池モジュール)におけるシリコンセル面の所定の接点領域(例えば、Agメッキ領域)に接続することで、太陽電池アセンブリが得られる。
(太陽電池用はんだめっき線の効果)
以上説明したように、本実施形態の太陽電池用はんだめっき線は、太陽電池のシリコンセルとはんだ接続しても、従来方式よりもシリコンセルの反りが少なく、結晶粒粗大化による脆化を防止でき、かつ電気的特性にも優れる。
すなわち、導体の0.2%耐力値として90MPa以下のものを用いているので、はんだ接続後の導体の熱収縮によって、シリコンセルに発生する熱応力を低減できる。このため、シリコンセルとはんだ接続後の熱収縮の際に、シリコンセルの反りを減少させることができる。
また、導体の結晶粒径が20〜300μmの範囲に入るものを用いて、結晶粒径の最大値を規制しているので導体の脆化を防止することができ、結晶粒径の最小値を規制しているので結晶粒径の面からもシリコンセルの反りを防止することができる。
また、Cuの結晶粒径が300μm以上だと太陽電池パネルなどへ組み込む成型加工の際、平角線に亀裂が発生したり、長期信頼性が不十分になるといった不具合の原因になるが、本実施の形態のCuの結晶粒径は20〜300μmであるため、太陽電池用はんだめっき線の好適な伸び量を十分に得ることができ、成型加工、長期にわたる信頼性に優れる。
また、本実施形態の太陽電池用はんだめっき線は、体積抵抗率が50μΩ・mm以下の高導電性を有する導体を用いているので、太陽電池としての発電効率を良好に維持することができる。
更に、本実施形態の製造方法によれば、熱処理条件により、導体の0.2%耐力値を所定値以下となるようにし、かつ導体の結晶粒径が所定の範囲に入るようにしているので、コストがかからず簡易な方法で太陽電池用はんだめっき線を提供することができる。
(実施例)
幅2.0mm、厚さ0.16mmのCu材料を平角線状に圧延成形して導体とし、熱処理条件を850℃/40分、750℃/40分、650℃/60分、…300℃/90分、および200℃/120分、150℃/150分と変えて熱処理した。熱処理後導体の周囲をSn−3%Ag−0.5%Cu系の鉛フリーはんだで被覆してはんだめっき膜を設け、はんだ被覆Cu平角線を形成し、そのときのCuの結晶粒径、Cu及びはんだ被覆Cuの0.2%耐力を調べた。その結果を図1に示す。
ここでの結晶粒径とは、はんだめっき平角線の断面において、結晶粒の大きい方から例えば10個選び、その径を平均化したものである。また、はんだ被覆品Cuの0.2%耐力σは、はんだを除く導体の断面積Aで、導体に0.2%の歪を与える引張試験における荷重(外力)Fを除算して求めている。式で示せば、次の通りである。
σ=F/A
熱処理条件を750℃/40分…200℃/120分と変えて処理した場合、平角Cuの結晶粒径は300〜20μmであった。また、平角Cuの0.2%耐力は20〜90MPaであり、すべて90MPa以下であった。熱処理条件を850℃/40分と150℃/150分と変えて処理した場合は、平角Cuの結晶粒径はそれぞれ400μm、15μmであった。また、Cuの0.2%耐力はそれぞれ20MPa、120MPaであり、熱処理条件が150℃/150分のときの0.2%耐力は90MPaを超えていた。
上述したはんだ被覆Cu平角線を縦150mm×横150mm、厚さ200μmのシリコンセルにはんだ接続したものの耐クラックとシリコンセルの反りを調べた。その結果を同じく図1に示す。同図において、耐クラック、シリコンセルの反りの欄における評価印の○、△、×はそれぞれ良、やや良、不良を意味する。
結晶粒径の大径化に伴ってCuの伸びが増加し、Cuの0.2%耐力は減少する。Cuの結晶粒径が250μmを超えると逆にCuの伸びが低下し始める。Cuの0.2%耐力が80MPaや90MPaを示す結晶粒径が40μmや20μmのとき、シリコンセルの反りは減少傾向にあるため、やや良であった。Cuの0.2%耐力が50MPaを示す結晶粒径が60μmを超えると、シリコンセルの反りは減少させることができ、良であった。Cuの結晶粒径が300μmになると、250μmまでは良であった耐クラック性がやや良に落ちた。
Cuの結晶粒径が400μmのときは耐クラック性は不良であった。また、Cuの0.2%耐力が120MPaを示す結晶粒径が15μmのとき、シリコンセルの反りが大きく、不良であった。
特に、図1の中からはんだ被覆Cuの0.2%耐力が60、70、100MPaのものについて、具体的な反りの量(mm)を調べた結果を図2に示す。図2の結果より、0.2%耐力の低下とともに反りも低減し、はんだ被覆Cuの0.2%耐力が70MPaのものでは、従来の160MPaを用いたものよりも1/2程度に反りが低減できることが分かった。この範囲であれば太陽電池用はんだめっき線として使用可能である。比較例としてCu−インバー−Cu(比率2:1:2)を接続したものと、0.2%耐力が60MPaのCu導体を接続したもののシリコンセルの反りを調べたところ、前者では3.0mmあったものが、後者では1.5mmと半分となることを確認できた。
また、図5にCu系材料の酸素含有量を変えた際の実施例を示す。コストの欄における評価印の◎、○、△、×は、それぞれ優良、良好、やや良、不良を意味する。粘着性の欄における評価印の○、△、×は、それぞれ良好、やや良、不良を意味する。Cu系の材料を用いる場合、酸素の含有量が20ppmを下まわる領域では材料が高価となる。そのため酸素をある程度含んだ材料の選択が必要となる。しかし、その量が400ppmを超えると熱処理時に密着しているところが粘着し、巻き出し時に導体が変形するため、酸素含有量は25〜400ppmの範囲が望ましいことが確認できた。したがって、本発明によれば、酸素含有量が適正な材料を用いることにより、材料の低コスト化を図りながら熱処理(バッチ式熱処理)時の材料同士の粘着を防止できる。
本発明の一実施の形態における熱処理条件および結晶粒径と、0.2%耐力、耐クラック、およびセルのそりの関係を示す図である。 本発明の一実施の形態における種々の0.2%耐力のはんだ被覆Cu平角線を接続した際のセルの反り量を示す説明図である。 本発明の一実施の形態における各種導体材料の熱膨張係数、ヤング率、体積抵抗率を示す図である。 本発明の一実施の形態における銅−インバー−銅の材料特性を、Cu単独、インバー単独、シリコン単独の材料特性と比較した図である。 本発明の実施の形態におけるCu系材料の酸素含有量を変化させた場合の、コスト及び粘着性を比較した図である。 一般的な太陽電池セルヘの接続用リード線の接続状態を示す斜視図である。 従来例の太陽電池用はんだめっき線を示す断面図である。 従来例のシリコンセルと接続用リード線とをはんだ接続する際に発生する反りを示す説明図である。 従来例の別な太陽電池用はんだめっき線を示す断面図である。
符号の説明
1 導体
10 太陽電池用平角導体
13 はんだめっき膜
20 太陽電池用はんだめっき線
51 シリコンセル
53 接続用リード線
55 はんだめっき
61 平角導体
63 はんだめっき膜
71 銅材
73 インバー
75 はんだめっき膜

Claims (12)

  1. 平角状に形成された導体の表面の一部又は全部にはんだめっきが被覆された太陽電池用はんだめっき線において、
    前記導体の引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下であり、かつ前記導体の結晶粒径が20μm以上300μm以下である太陽電池用はんだめっき線。
  2. 前記導体の引張り試験における伸びが10%以上である請求項1に記載の太陽電池用はんだめっき線。
  3. 前記導体の体積抵抗率が50μΩ・mm以下である請求項1または2に記載の太陽電池用はんだめっき線。
  4. 前記はんだめっきが、Sn系はんだ、または第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1種の元素を0.1wt%以上含むSn系合金はんだである請求項1ないし3のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
  5. 前記導体がAl、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
  6. 前記導体がタフピッチCu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、および高純度Cu(99.9999%以上)からなる群から選ばれた1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線。
  7. 前記導体の酸素含有量が25ppm〜400ppmであることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池用はんだめっき線。
  8. 導体を圧延またはスリット加工によって平角状断面に成形し、
    前記平角状断面に形成された導体に熱処理を施して、前記導体の引張り試験における0.2%耐力値を90MPa以下とし、かつ前記導体の結晶粒径を20μm以上300μm以下とし、
    さらに前記導体の表面の一部又は全部にはんだめっきを被覆した太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
  9. 前記導体が、その体積抵抗率が50μΩ・mm以下である請求項8に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
  10. 前記熱処理の条件が、温度450〜750℃で、かつ時間30〜90分である請求項8又は9に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
  11. 前記熱処理の条件が、温度200〜450℃、かつ時間60〜120分である請求項8又は9に記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
  12. 前記導体がCu、Al、Ag、およびAuからなる群から選ばれた1種である請求項8ないし11のいずれかに記載の太陽電池用はんだめっき線の製造方法。
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