図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての潜像担持体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、転写ベルト11の移動方向であって図1において時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための画像形成ユニット画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成された像担持体としての中間転写体である転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体である転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置となっている。
転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部58を形成している。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11の下方において転写ベルト11に対向して配設された2次転写ローラ5と、画像形成ユニット60Y、60M、画像形成ユニット60C、60BKの上方にそれぞれ対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニットである露光装置たる光走査装置8、8とを有している。
画像形成装置100はまた、本体99の下側に位置し、本体99を載置した給紙テーブル31であって、その内部に、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間の2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙カセットとしてのシート給送装置61を多段に備えた給紙テーブル31と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、本体99の上部に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKと、図1における本体99の左方に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ17と、図1における本体99の右方に配設された手差しトレイ18とを有している。
画像形成装置100はまた、2次転写部57を通過した転写紙Sを定着装置6に搬送する搬送装置64と、定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sを反転させて再度レジストローラ対4に向けて給送するためのシート反転装置としての反転ユニット19と、定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sを排出ローラ7に搬送して排紙トレイ17に排紙するか反転ユニット19に搬送して再度画像形成に供するかを選択する切換爪としての切り換えガイド16と、定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sを切り換えガイド16に向けて搬送する搬送装置15とを有している。
画像形成装置100はまた、2次転写ローラ5に、2次転写部57において転写ベルト11上のトナー像を転写するための2次転写バイアスを印加する図示しない2次転写バイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを回転駆動する図示しない駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する図示しないCPU、メモリ等を含む図2に示す制御手段94とを有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74、75と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74、75とともに転写ベルト11を張架する支持ローラとしての張架ローラ33、65ないし69と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写体クリーニング装置であるベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに1次転写バイアスを印加する図示しない1次転写バイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段とを有している。
クリーニング対向ローラ74、75、張架ローラ33、65ないし69は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、張架ローラ65、69の間に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ65、69は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの作用により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
張架ローラ33は、転写ベルト11を介して2次転写ローラ5を当接されており、2次転写部57を形成している。
張架ローラ66は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、A1方向における張架ローラ33の下流側、かつ、図1におけるクリーニング対向ローラ74、75の左方の位置において、転写ベルト11に対向するように配設されている。
クリーニング装置13は、クリーニング対向ローラ75に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設され転写ベルト11をクリーニングするクリーニング部材としての第1クリーニングブレードであるクリーニングブレード76と、A1方向でクリーニングブレード76より下流側において、クリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に対向して配設された潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置81と、潤滑剤塗布装置81の一部及びクリーニングブレード76等をその内部に収容したケース77等とを有している。
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブレード76で除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
クリーニング装置13の、潤滑剤塗布装置81等のその余の詳細については後述する。
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、給紙テーブル31内において上下2段で配設されている。シート給送装置61は、最上位の転写紙Sの上面に押圧される給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
シート給送装置61から送り出された転写紙Sは、給紙路32を経てレジストローラ対4に至り、レジストローラ対4のローラ間に挟まれる。なお、図1には、本体99内及び給紙テーブル31内に符号を付さない多数の搬送ローラ対を図示しているが、これら搬送ローラ対は転写紙Sの搬送を行うものであり、本体99内、給紙テーブル31内に破線で示す給紙路25を形成している。
手差しトレイ18は、これに転写紙Sが載置された場合に、載置された転写紙Sをレジストローラ対4に向けて本体99内に給送する給紙ローラ26と、給紙ローラ26に対向配置され給紙ローラ26によって送り出す転写紙Sを一枚ずつ分離する分離ローラ27とを有している。
2次転写ローラ5は、張架ローラ33に対向して配置されている。2次転写部57には、2次転写バイアスの作用により、転写ベルト11及び張架ローラ33と、2次転写ローラ5との間に2次転写電界が形成される。転写ベルト11上に形成されたトナー像は、この2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙S上に2次転写される。張架ローラ33は2次転写対向ローラを兼ねている。
定着装置6は、図1におけるクリーニング装置13の左方に配設されている。定着装置6は、無端状の定着ベルト21と、定着ベルト21を巻き掛けられ内部に熱源を有する加熱ローラ22と、加熱ローラ22とともに定着ベルト21を巻き掛けられた定着ローラ23と、定着ローラ23に圧接された加圧ローラ24とを有している。
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ23上に位置する定着ベルト21と加圧ローラ63との圧接部である定着部に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
トナーボトル9Y、9M、9C、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、後述する重合トナーであって、図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKに備えられた現像装置80Y、80M、80C、80BKに補給される。
画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKは互いに同様の構成となっている。画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKはそれぞれ、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの周囲に、図1中反時計回り方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、クリーニング手段としてのクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKと、AC帯電を行なう帯電手段としての帯電装置79Y、79M、79C、79BKと、2成分現像剤により現像を行う現像手段としての現像装置80Y、80M、80C、80BKとを有している。
なお張架ローラ65、66は、黒色画像形成時には、1次転写ローラ12Y、12M、12Cとともに下方に移動し、転写ベルト11を、感光体ドラム20Y、20M、20Cから離間するように構成されている。
搬送装置64は固定されたガイド板であっても良い。
このような構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、75、張架ローラ33、65ないし69が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKがB1方向に回転駆動される。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79BKにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光の露光走査によりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Y、80M、80C、80BKによりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにより現像され、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像によって構成された単色画像が形成される。
現像により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、順次、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによって、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に転写され、転写ベルト11上には合成カラー画像が形成される。
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力に伴い、ペーパーバンク31に備えられたシート給送装置61のいずれかが選択され、選択されたシート給送装置61に備えられた給送ローラ3が回転して転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して給紙路25に送り込み、給紙路25に送り込まれた転写紙Sは搬送ローラ対で順次搬送されレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
または、手差しトレイ18に転写紙Sが載置されている場合に、給紙ローラ26を回転して手差しトレイ18上の転写紙Sを繰り出し、分離ローラ27で一枚ずつ分離して給紙路25に入れ、この転写紙Sは同じくレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、ニップ圧の作用によって転写紙Sに2次転写され、記録される。
転写紙Sは搬送装置64によって定着装置6に送り込まれ、定着装置6において定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像すなわち合成カラー画像を定着される。
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、搬送装置15を経た後、切り換えガイド16の姿勢に応じて、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、排紙トレイ17上にスタックされるか、反転ユニット19を経て再度の画像形成に供される。なお、一度反転ユニット19を経た転写紙Sは、両面に画像形成済みとなっているので、排紙トレイ17上にスタックされる。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、転写後に残留した転写残トナーをクリーニング装置71Y、71M、71C、71BKにより除去され、帯電装置79Y、79M、79C、79BKによる次の帯電に供される。
2次転写を終えた2次転写部57通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13によってその表面をクリーニングされ、次の転写に備える。
画像形成装置100もそうであるが、すでに述べたように、従来、クリーニング装置一般に用いられるクリーニング方式として、クリーニングブレードを用いたものが知られている。この方式では、像担持体表面とクリーニングブレードとの間の摩擦によるストレスが大きく、クリーニングブレード及び像担持体の磨耗が生じ、これらの寿命を短くするという問題や、クリーニングブレードの巻き込みが生じるといった問題がある。
そのため、像担持体の寿命を延ばし長期に渡って高画質を保持するには、摩擦による像担持体、クリーニングブレード等の部材の劣化を低減し、クリーニング性能を向上させる必要があり、また、クリーニングブレードの当接によってトナーが像担持体表面に固着して生じるフィルミングも画質の低下の要因であるため防止する必要があった。
そこで、近年の画像形成装置にあっては、潤滑剤を像担持体に塗布し、潤滑剤の皮膜を形成することでクリーニング性能を向上するとともにフィルミングを防止する技術が採用されており、画像形成装置100においても、クリーニング装置13が潤滑剤塗布装置81を備えた構成となっている。
図2に示すように、クリーニング装置13は、かかる潤滑剤塗布装置81、上述したクリーニングブレード76、ケース77の他に、クリーニングブレード76をクリーニング対向ローラ75上の転写ベルト11に弾性的に常に当接させるために、一端をクリーニングブレード76側に固定され、他端をケース77に備えられたフック41に固定された、引張バネ42を有している。
クリーニング装置13はまた、A1方向におけるクリーニングブレード76の上流側においてクリーニング対向ローラ75に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設され転写ベルト11への当接位置でA1方向と逆方向に回転するクリーニング部材としての第1ブラシローラであるブラシローラ43とを有している。
クリーニング装置13はまた、A1方向におけるブラシローラ43の上流側においてクリーニング対向ローラ75に対向する位置に配設されクリーニング装置13からのトナー飛散を防止するための入口シール44と、ブラシローラ43の、クリーニング対向ローラ75と反対側においてケース77内の空間の最下部に配設されクリーニングブレード76によって転写ベルト11から除去した残留トナー言い換えると廃トナー等の異物をクリーニング装置13外に排出するための廃トナー搬送コイル45とを有している。
潤滑剤塗布装置81は、柱状に固形化された潤滑剤としての潤滑性物質82を備えた、潤滑性物質82を転写ベルト11に塗布する塗布手段としての潤滑剤塗布ユニット96と、潤滑剤塗布ユニット96を転写ベルト11に対して接離する接離手段97とを有している。
潤滑剤塗布ユニット96は、潤滑性物質82の他に、A1方向におけるクリーニングブレード76の下流側においてクリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に対向するように配設され潤滑性物質82を転写ベルト11に供給し塗布するための塗布部材としての第2ブラシローラであるブラシローラ83と、潤滑性物質82及びブラシローラ83を保持する保持手段84とを有している。
潤滑剤塗布ユニット96はまた、A1方向におけるブラシローラ83の下流側においてクリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に対向するように配設されブラシローラ83によって転写ベルト11に塗布された潤滑性物質82を転写ベルト11上で均して薄層化する均し部材としての第2のクリーニングブレードであるクリーニングブレード98と、クリーニングブレード98をクリーニング対向ローラ74上の転写ベルト11に弾性的に当接させるために、一端をクリーニングブレード98側に固定され、他端を保持手段84に備えられたフック46に固定された、引張バネ47とを有している。
潤滑剤塗布ユニット96はまた、ブラシローラ83を転写ベルト11への当接位置でA1方向と同方向に回転駆動する図示しない駆動手段を有している。駆動手段は、ブラシローラ83が後述するように転写ベルト11に当接した状態において、ブラシローラ83を回転駆動する。
保持手段84は、潤滑性物質82の、ブラシローラ83に対向する表面側とは反対側の底部側を支持した支持部材85と、支持部材85をブラシローラ83に接離する方向に案内する案内部材86と、潤滑性物質82をブラシローラ83に弾性的に当接させる弾性部材としての圧縮バネであるバネ87とを有している。
保持手段84は、潤滑性物質82、ブラシローラ83とともに、クリーニングブレード98、引張バネ47を保持している。案内部材86は、フック46を備えているとともに、その一部がケース77外部すなわちクリーニング装置13外部に露出している。
ブラシローラ83は、転写ベルト11の幅方向に延在するように配置され、同方向全体にわたって、転写ベルト11への当接時に、転写ベルト11の表面に摺接するように配設されている。
潤滑性物質82は、図2における紙面に垂直な方向であるブラシローラ83の回転中心軸方向に延在するように配置され、同方向全体にわたって、バネ87の付勢力によってその表面がブラシローラ83に適正圧で当接している。
潤滑性物質82は、転写ベルト11の表面とその表面に接触する各色のトナーやトナーとともに現像剤に含まれている磁性キャリアなどの物質あるいはクリーニングブレード76との間の摩擦係数を低下させるためのものである。
潤滑性物質82の成分は脂肪酸金属塩であって、脂肪酸金属塩の金属が、亜鉛、鉄、カルシウム、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、鉛、マンガン、の中から選択される金属であって、脂肪酸金属塩の脂肪酸が、ラウリル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミステリン酸、オレイン酸の中から選択される少なくとも一つ以上の脂肪酸である。特に、転写ベルト11の摩擦を低減する効果の大きいステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムが一層好ましい。
潤滑剤塗布ユニット96はクリーニング装置13においてサブユニット化されており、ケース77に対し、水平方向すなわち図2における左右方向に変位可能言い換えると移動可能となっている。
ここで、すでに述べたように、転写ベルト11に対する潤滑性物質82の塗布量が多い場合など、潤滑性物質82の塗布量に過不足があると、種々の不具合が発生することがある。
そこで、潤滑剤塗布装置81は、クリーニング装置13にサブユニットとして備えられている潤滑剤塗布ユニット96を変位可能に具備しているとともに、潤滑剤塗布ユニット96、具体的にはブラシローラ83及びクリーニングブレード98を転写ベルト11に対して接離する接離手段97を有している。
接離手段97は、保持手段84、具体的には、案内部材86の、ケース77外に露出した部分に当接した偏心カムとしてのカム51と、保持手段84、具体的には案内部材86をカム51に常に当接するように付勢した付勢部材としての引張バネ52とを有している。
接離手段97はまた、カム51を駆動するモータ95と、駆動ローラ72の駆動トルク言い換えると回転トルクを検出するトルク検出手段93と、トルク検出手段93によって検出した駆動ローラ72の回転トルクに基づいてモータ95を動作させて潤滑剤塗布ユニット96の変位を行なう制御手段94とを有している。カム51とモータ95とは、潤滑剤塗布ユニット96、具体的にはブラシローラ83及びクリーニングブレード98を転写ベルト11に対して接離する駆動手段を構成している。
カム51は回転中心を中心とする対称位置に小径部と大径部とを有しており、図2に示すように、カム51の小径部が案内部材86に当接しているときにはブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11から離間し、図3に示すように、カム51の大径部が案内部材86に当接しているときにはブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11に当接する。
モータ95は、制御手段94の制御によってカム51を回転駆動するようになっている。トルク検出手段93は、駆動ローラ72の駆動系に付与される、駆動ローラ72を回転駆動させるための電流値を回転トルクとして検出する。
制御手段94は、通常は、図2に示すように、カム51の小径部が案内部材86に当接するようにモータ95によってカム51を位置決めして、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11から離間するようにしている。
一方、制御手段94は、後述する所定の条件に応じ、モータ95を、カム51が半回転するように駆動し、カム51の大径部が案内部材86に当接する状態でカム51を位置決めし、潤滑剤塗布ユニット96を変位させ、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98を転写ベルト11に当接させる。
制御手段94は、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11に当接した状態において、駆動手段は、ブラシローラ83の駆動手段を作動させて、ブラシローラ83を回転駆動する。
このような構成の潤滑剤塗布装置81においては、ブラシローラ83が転写ベルト11に当接し回転する状態において、ブラシローラ83が潤滑性物質82を掻き取り、掻き取った潤滑性物質82を転写ベルト11の表面に塗布するようになっている。
具体的には、ブラシローラ83は、かかる固形の潤滑性物質82を摺擦により削る。これにより、微粉末状となった潤滑性物質82がブラシローラ83に付着する。そして、この付着した微粉末状の潤滑性物質82は、ブラシローラ83の回転に伴って転写ベルト11の表面との対向領域に搬送され、転写ベルト11の表面に供給され塗布される。
転写ベルト11の表面に潤滑性物質82を付着させることで、上述した画像形成工程中に、転写ベルト11、クリーニングブレード76に加わる機械的ストレスが大幅に軽減され、AC帯電によって受ける放電からも転写ベルト11が保護され、転写ベルト11、クリーニングブレード76の長寿命化がなされる。これにより、経時にわたってクリーニング性能が良好であるとともに、フィルミングが防止ないし抑制される。
転写ベルト11に塗布された潤滑性物質82は、クリーニングブレード98によって転写ベルト11上において引き伸ばされ、これによって転写ベルト11上に潤滑剤の皮膜を形成する作用を生ずる。これにより、潤滑性物質82のかかる作用が経時にわたって良好に発揮される。
ここで、クリーニングブレード76が当接していることによって生じている摩擦等に左右される駆動ローラ72の回転トルクは、転写ベルト11に潤滑性物質82を塗布すると摩擦が減少することから低下し、転写ベルト11上の潤滑性物質82が転写紙Sに転移すること等によって減少すると摩擦が増加するから上昇する。
よって、転写ベルト11上の潤滑性物質82の量を適正に保つには、回転トルクがある程度低下すると、潤滑性物質82の塗布を停止する必要があり、回転トルクがある程度上昇すると、潤滑性物質82を転写ベルト11に塗布する必要がある。
そこで、潤滑剤塗布装置81においては、制御手段94が、潤滑性物質82の塗布の要否に応じて、接離手段97を駆動し、潤滑剤塗布ユニット96を転写ベルト11に対して接離するようになっている。
かかる回転トルクの下限を、トルク検出手段93によって検出する電流値に置き換えた規定値をBとし、回転トルクの上限を、同電流値に置き換えた規定値をAとすると、トルク検出手段93によって検出する電流値をCとしたとき、潤滑性物質82の塗布を行なっていないときにはC≦Aという条件を満たし、潤滑性物質82の塗布を行なっているときにはB≦Cという条件を満たす必要がある。
なお、潤滑性物質82の塗布を行なっているときには、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11に当接しているため回転トルクは変化する。そのため、規定値Bは、かかる変化も考慮した値となっている。
図4に示すように、制御手段94は、上述の条件を満たすように、電流値Cが規定値Aを超えたか否かの判断(S1)、電流値Cが規定値Bを下回ったか否かの判断(S4)等の判断を行い、判断結果に基づいて潤滑剤塗布ユニット96を変位させ、転写ベルト11に当接した状態又は転写ベルト11から離間した状態とする。
具体的には、すでに述べたように、画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動されるが、このとき、制御手段94による、転写ベルト11上の潤滑性物質82を適量に保つための判断、制御、及び、トルク検出手段93による駆動ローラ72の回転トルクの検出を開始し、制御手段94は、トルク検出手段93が検出した駆動ローラ72の回転トルクに等価の電流値Cが、規定値Aを超えたか否かを判断する(S1)。
ステップS1において電流値Cが規定値Aを超えたときには、制御手段94は、モータ95を、カム51が半回転するまで駆動し、潤滑剤塗布ユニット96を、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11に当接するように変位させるとともに、ブラシローラ83の駆動手段を駆動して、転写ベルト11に対する潤滑性物質82の塗布を開始する(S2)。
この状態において、制御手段94は、電流値Cが規定値Bを下回ったか否かを判断する(S3)。
ステップS3において電流値Cが規定値Bを下回ったときは、制御手段94は、モータ95を、カム51が半回転するまで駆動し、潤滑剤塗布ユニット96を、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11から離間するように変位させるとともに、ブラシローラ83の駆動手段を停止して、転写ベルト11に対する潤滑性物質82の塗布を停止する(S4)。
そして、制御手段94は、プリントすなわち画像形成が終了したか否かを判断し(S5)、プリントが終了していないときにはステップS1に戻り、プリントが終了しているときには制御手段94による判断を終了する。
ステップS1において電流値Cが規定値Aを超えていないときも同様に、制御手段94は、プリントが終了したか否かを判断し(S5)、プリントが終了していないときにはステップS1に戻り、プリントが終了しているときには制御手段94による判断を終了する。
ステップS3において電流値Cが規定値Bを下回っていないときは、制御手段94はプリントすなわち画像形成が終了したか否かを判断する(S6)。
ステップS6においてプリントが終了していないときにはステップS3に戻り、プリントが終了しているときにはステップS4と同様に潤滑剤塗布ユニット96を転写ベルト11から離間して転写ベルト11に対する潤滑性物質82の塗布を終了し(S7)、さらに制御手段94による判断を終了する。
このように、必要なときのみ潤滑性物質82の塗布が行なわれるので、潤滑性物質82が転写ベルトに過不足なく供給され、転写ベルト11、クリーニングブレード76の磨耗が抑制されて高寿命化され、経時的に良好なクリーニング、転写及び画像形成並びにフィルミングの防止が行われる。また、必要な量の潤滑性物質82のみが消費されるので、潤滑性物質92の高寿命化がなされ、経済性も向上する。
さらに、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98は、潤滑性物質82を転写ベルト11に塗布する必要があるときのみ転写ベルト11に当接するので、ブラシローラ83の毛倒れが抑制されるとともに、転写ベルト11及びクリーニングブレード98の磨耗が抑制される。
なお、制御手段94は、このような、駆動ローラ72の回転トルクに基づく制御に代えて、またはこのような制御とともに、一定枚数の転写紙Sに画像形成を行うたびに、所定時間、潤滑剤塗布ユニット96を、ブラシローラ83及びクリーニングブレード98が転写ベルト11に当接するように変位させるとともに、ブラシローラ83の駆動手段を駆動して転写ベルト11に対する潤滑性物質82の塗布を行なうようにしても良い。
画像形成装置100に使用するトナーについて説明する。
・体積平均粒径、及び、体積平均粒径と個数平均粒径との比
画像形成装置100に使用するトナーは、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.05〜1.30の範囲にある。Dv/Dnは、トナーの粒度分布を表すパラメータの1つである。
トナーの体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.05〜1.30、好ましくは1.10〜1.25である乾式トナーによると、トナーの粒度分布が狭くなるため、以下のメリットが発生する。
トナー粒径面での選択現像、すなわち、画像パターンに応じた、言い換えると画像パターンに適したトナー粒径を持つトナー粒子が選択的に現像される現象が発生しにくいため、常時、安定した画像を形成することができる。
画像形成装置100においても適用可能であるが、トナーリサイクルシステムを塔載している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされることになるが、もともとトナーの粒度分布が狭いため、上述した作用を受けにくく、このことからも常時、安定した画像を形成することができる。
画像形成装置100にも用いているが、2成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
1成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、攪拌を伴う現像装置の長期の使用においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。
上述の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、2成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させ、また、1成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
これらの現象は微粉の含有率が上述の範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が上述の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.30よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.05より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、細線部分を小サイズ粒子で現像、一方、ベタ画像を大サイズ粒子を中心に現像するといった トナー粒径による機能分離ができにくくなるため、かえって好ましくない。
ただし、画像形成装置100では上述のように潤滑性物質82の塗布によりクリーニング性能が向上していることなどから、かかる問題は緩和される。
(トナー粒径に関わる測定方法)
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールター社製のコールターカウンターTA−IIや、コールター社製のコールターマルチサイザーIIが挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばコールター社製のISOTON−IIが使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
・形状係数
画像形成装置100に使用するトナーは、形状係数SF−1が120〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が120〜190の範囲にある。
形状係数SF−1、SF−2とは、トナーの形状を表すパラメータの1つであり、粉体工学の分野では馴染みのパラメータである。
形状係数SF−1は、図5に示すように、球形物質の形状の丸さの割合を示す値であり、球形物質を2次元平面上に投影して出来る楕円状図形の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表される。
つまり、形状係数SF−1は、次式、
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)
で定義されるものである。
このSF−1の値が100の場合には、物質の形状が真球状となり、SF−1の値が大きくなるほど、物質の形状は不定形となる。
また、形状係数SF−2は、図6に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を2次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じたときの値で表される。
つまり、形状係数SF−2は、次式、
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)
で定義されるものである。
SF−2の値が100の場合には、物質の表面に凹凸が存在しないことになり、SF−2の値が大きくなるほど、物質の表面の凹凸は顕著となる。
測定及び算出の方法は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、ニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行い、上式より算出したものである。
トナーの形状が球形に限りなく近づくとすなわち形状係数SF−1、SF−2ともに100に近づくと、転写効率が高くなることが本発明者らの検討により明らかになった。これは、形状効果によりトナー粒子と該トナー粒子と接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体等)との間では点接触しかしないために、トナー流動性が高まったり、像担持体等に対する吸着力(鏡映力)が弱まって、転写電界の影響を受けやすくなるためと考えられる。
一方、トナーの形状が球形に近づくと、画像形成装置100においても用いている、メカ的なクリーニング(ブレードクリーニング等)に対して不利に働く。このことは上述したように、トナー流動性が高まったり、像担持体等に対する吸着力(鏡映力)が弱まって、クリーニング部材と像担持体との僅かな間隙を容易にトナーが通過してしまう。
よってクリーニング性の面からは、トナーの形状としては、ある程度異形化した形状すなわちSF−1の値が100より大きくなる方向となる形状となっていたり、ある程度凸凹がある形状すなわちSF−2の値が100より大きくなる方向となる形状となっている方が好ましい。
ただし、画像形成装置100では上述のように潤滑性物質82の塗布によりクリーニング性能が向上していることなどから、かかる問題は緩和される。
・平均円形度及び円形度分布
画像形成装置100に使用するトナーは、平均円形度が0.90〜0.99の範囲にある。
円形度とは、トナーの形状を表すパラメータの1つである。
トナーは特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度が0.90未満で、球形からあまりに離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。
なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。
この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.90〜0.99のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効である事が判明した。より好ましくは、平均円形度が0.93〜0.97で円形度が0.94未満の粒子が10%以下である。
また、平均円形度が0.99を越えた場合、画像形成装置100もそうであるが、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。
例えば、画像面積率の低い画像を出力する場合、転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高い画像を出力する場合、さらには、給紙不良等で未転写の状態の画像が感光体上に残ってしまった場合、クリーニング不良が発生しやすい。上述したクリーニング不良を頻発するようになると、更には、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
ただし、画像形成装置100では上述のように潤滑性物質82の塗布によりクリーニング性能が向上していることなどから、かかる問題は緩和される。
(円形度の測定方法)
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。
試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、接離手段は、制御手段を用いた自動制御により塗布手段を像担持体に対して接離するものでなく、レバー等の部材を用いて手動により塗布手段を像担持体に対して接離するものであっても良い。
クリーニングブレード98は、潤滑剤塗布ユニット96と別個に不動で配置し、転写ベルト11に常に当接するようにしても良い。
潤滑剤は、固形状のものでなく、粉末状のものであっても良い。この場合には、塗布部材は、アジテータやパドル状のものとすることができる。
ブラシローラ83は常に回転していても良いが、すなわち、塗布部材は常に動作していても良いが、上述の形態のように、像担持体への当接時のみ動作するようにすると、消費電力の低減という利点がある。
潤滑剤を供給、塗布する像担持体は、本形態における転写ベルト11のような中間転写体でなく、本形態における感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのような感光体であっても良い。
潤滑剤塗布装置は、像担持体が中間転写体、感光体等の何れであるかを問わず、クリーニング装置の一部として備えられるのでなく、クリーニング装置外に独立した構成として備えられていても良い。
また、以上述べた形態においては、2成分現像剤を用いているが、現像剤は、1成分現像剤であってもよい。また、本発明は、画像形成装置100のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができ、また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。