JP2008139645A - 光学系及びそれを有する光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することができる、製造が容易で、耐環境性に優れた光学系を得ること。
【解決手段】
光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側又は縮小側の少なくとも一方に、光入射面と光出射面が共に屈折面で固体材料より成る第1、第2光学素子を有し、該第1、第2光学素子のg線とF線に関する異常部分分散性を各々ΔθgF1、ΔθgF2、該第1、第2光学素子の光入出射面が共に空気に接する面としたときの焦点距離を各々f1、f2とするとき、
ΔθgF1>0.0272
ΔθgF2<−0.0278
f1×f2<0
なる条件を満足することを特徴とすること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学系に関し、例えば、銀塩フィルム用カメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、プロジェクター、複写機等の光学機器に好適なものである。
デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器に用いられる光学系には、レンズ全長(光学全長、物体側の第1レンズ面から像面までの長さ)が短く、光学系全体が小型であることが求められている。一般に、光学系の小型化を図るほど該収差、特に軸上色収差及び倍率色収差などの色収差が多く発生し、光学性能が低下する傾向にある。特にレンズ全長の短縮化を図ったテレフォトタイプの光学系では、焦点距離を長くするほど色収差が多く発生する。
テレフォトタイプの光学系で異常部分分散材料を用いて色消し(色収差の補正)を行った光学系が知られている(特許文献1〜3)。
また、色収差の補正作用を持つ光学材料として、高分散で、かつ異常部分分散特性を示す液体材料が知られており、それを用いて色消しを行った光学系が知られている(特許文献4、5)。
又、異常部分分散特性を持つ固体材料として透明媒体にIndium−Tin Oxide(ITO)微粒子を分散させた混合体からなる固体材料を用いて、色消しを行った光学系が知られている(特許文献6)。
又、異常部分分散特性を持つ固体材料として、透明媒体にTiO微粒子を分散させた混合体や樹脂からなる固体材料を用いて色消しを行った光学系が知られている(特許文献7)。
特公昭60−49883号公報 特公昭60−55805号公報 特開平11−119092号公報 米国特許第4913535号明細書 米国特許第5731907号明細書 特開2005−181392号公報 特開2006−145823号公報
特許文献1〜3に開示されている、光学材料に蛍石等を使ったテレフォトタイプの光学系では、レンズ全長を比較的長めに設定した場合は色収差の補正が容易である。しかしながら、レンズ全長の短縮化を図ると色収差が多く発生し、これを良好に補正することが困難となる。この方法は、蛍石等の材料が持つ低分散と異常部分分散を利用して正の屈折力の前玉レンズ系で発生する色収差を単に低減するに留まるためである。レンズ全長の短縮に伴って悪化した色収差を補正しようとすると、例えば、蛍石のようなアッベ数の大きい低分散ガラスを使ったレンズでは、レンズ面の屈折力を大きく変化させないと色収差が大きく変化しない。このため、色収差の補正と、屈折力を大きくしたことによって発生する球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差の補正との両立が困難となる。また、蛍石等の異常部分分散特性を有するガラス材料は非常に加工が難しいという問題や、表面が傷つきやすいため光学系への使用箇所が制限されるということもある。
特許文献4、5に開示された材料は、液体であるために、それを封止する構造が必要と
なり、光学材料に用いる場合、製造が難しくなる。また、温度変化により屈折率、分散な
どの特性が大きく変化し、耐環境性が十分でない。更に空気との界面が得られないために
十分な色収差の補正作用が得られにくい。
特許文献6及び7に開示されている異常部分分散特性を有している固体材料は、一般の光学材料と比べて透過率が比較的低い。
光学系全系の透過率の低下を防ぐためには、この固体材料の光軸方向の厚さは薄い方が望ましい。一方、固体材料を用いて色収差を良好に補正するためには、一定の厚さが必要である。
しかし、光路中において、固体材料の厚みが増すほど、環境下での光学特性の変動が大きくなるため、耐環境性が悪化していく。また、厚い固体材料を成型することは難しいため、製造が容易ではない。 そのため、特許文献6、7に開示されている異常部分分散性を有する固体材料より成る光学素子を光学系中にレンズもしくは屈折力のある層として用いる場合には、光軸方向の厚さを薄くしつつ、色収差の補正をすることが重要である。
本発明は、色収差を始めとする諸収差を良好に補正することができる、製造が容易で、耐環境性に優れた光学系及びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
本発明の光学系は、
光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側又は縮小側の少なくとも一方に、光入射面と光出射面が共に屈折面で固体材料より成る第1、第2光学素子を有し、該第1、第2光学素子のg線とF線に関する異常部分分散性を各々ΔθgF1、ΔθgF2、該第1、第2光学素子の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
ΔθgF1>0.0272
ΔθgF2<−0.0278
f1×f2<0
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、製造が容易で、耐環境特性に優れた、高い光学性能を有するコンパクトな光学系が得られる。
以下、本発明の光学系及びそれを有する光学機器について説明する。
本発明の光学系は、後述する条件を満足する固体材料に屈折作用を持たせた屈折光学素子(以下単に「光学素子」ともいう。)を用いている。
本発明の光学系に用いる屈折光学素子の固体材料とは、光学系を使用する状態で固体の材料を指し、製造時などの光学系を使用する前での状態は、どのような状態であっても良い。例えば、製造時には液体材料であっても、それを硬化させて固体材料としたものも、ここでいう固体材料に該当する。
本実施例の光学系OLの特徴は、次のとおりである。
近軸軸上光線とは、光学系全系の焦点距離を1に正規化し、光学系の光軸と平行に、光軸からの高さ1の光を入射させたときの近軸光線のことである。以下物体は光学系の左側にあるものとし、物体側から光学系に入射する光線は左から右へ進むものとして扱う。また瞳近軸光線とは光学系全系の焦点距離を1に正規化し、光軸に対して−45°で入射する光線の内、光学系の入射瞳と光軸との交点を通過する近軸光線である。以下光学系への入射角度は、光軸から測って時計回りを正、反時計回りを負とする。 光軸Laと瞳近軸光線Rの交わる点をPとする。
点Pよりも拡大側又は縮小側の少なくとも一方に、光入射面と光出射面が共に屈折面で固体材料より成る第1、第2光学素子GNL1、GL1を有している。第1、第2光学素子GNL1、GL1のg線とF線に関する異常部分分散性を各々ΔθgF1、ΔθgF2とする。
第1、第2光学素子GNL1、GL1の光入出射面が共に空気に接する面としたときの焦点距離を各々f1、f2とする。
第1、第2光学素子GNL1、GL1のg線とd線に関する異常部分分散性を各々Δθgd1、Δθgd2とする。
第1、第2光学素子GNL1、GL1の固体材料のアッベ数をそれぞれνd1、νd2とする。
このとき次の条件のうち1以上を満足している。
ΔθgF1 > 0.0272 ・・・・・・(1)
ΔθgF2 < −0.0278 ・・・・・・(2)
Δθgd1 > 0.038 ・・・・・・(3)
Δθgd2 < −0.037 ・・・・・・(4)
νd1 < 60 ・・・・・・(5)
νd2 < 60 ・・・・・・(6)
f1×f2 < 0 ・・・・・・(7)
本実施例の光学系に用いる光学素子の固体材料の異常部分分散性とアッベ数は次のとおりである。
フラウンフォーファ線のg線(435.8nm)、F線(486.1nm)、d線(587.6nm)、C線(656.3nm)に対する屈折率をそれぞれNg、NF、Nd、NCとする。アッベ数νd、g線とd線に関する部分分散比θgd、g線とF線に関する部分分散比θgFは次のとおりである。
νd =(Nd−1)/(NF−NC)
θgd =(Ng−Nd)/(NF−NC)
θgF =(Ng−NF)/(NF−NC)
g線とd線に関する異常部分分散性Δθgdと、g線とF線に関する異常部分分散性ΔθgFは次のとおりである。一般的にレンズ系に使用される固体材料の部分分散比θgd、θgFを
θgd=−1.687×10−7νd+5.702×10−5νd
−6.603×10−3νd+1.462
θgF=−1.665×10−7νd+5.213×10−5νd
−5.656×10−3νd+0.7278
として近似する。
このとき異常部分分散性Δθgd、ΔθgFは、
Δθgd=θgd−(−1.687×10−7νd+5.702×10−5νd
−6.603×10−3νd+1.462)
ΔθgF=θgF−(−1.665×10−7νd+5.213×10−5νd
−5.656×10−3νd+0.7278)
である。
本実施例の光学系OLは、屈折力を有する屈折光学素子として、高分散で部分分散比が大きい固体材料で形成した第1光学素子GNL1と、高分散で部分分散比が小さい固体材料で形成した第2光学素子GL1とを、少なくともそれぞれ1枚ずつ用いている。
尚、ここでいう屈折光学素子とは、屈折作用でパワー(屈折力)を生じる、例えば屈折レンズ等を意味し、回折作用でパワーが生じる回折光学素子を含まない。
条件式(1)を満足する固体材料で形成される屈折光学素子GNL1と、条件式(2)を満足する固体材料で形成される屈折光学素子GL1とを少なくとも1つずつ光学系中に用いることで、可視域の波長域全体にわたって、良好に色収差を補正している。
条件式(3)と条件式(4)を満足することで短波長から中間波長までの間の色収差の補正を良好に行うことを容易にしている。これより、短波長から長波長までの広い波長域において、より良好に色収差を補正することができる。
条件式(5)、(6)を満足する固体材料を用いることによって、色収差の補正を容易にしている。
条件式(7)を満足するように第1、第2光学素子GNL1、GL1を構成することによって広い波長域にわたり色収差を良好に補正している。
本実施例において、第1、第2光学素子GNL1、GL1を光学系中に設けるときは、双方を同一のレンズ群内に設けるのが良い。この時、第1、第2光学素子GNL1、GL1は互いに接合されていても良い。
そして、第1、第2光学素子GNL1、GL1の少なくとも1面は、非球面形状とするのが収差補正上好ましい。
そして、第1、第2光学素子GNL1、GL1の少なくとも1面は、空気に接していることが収差補正上好ましい。
条件式(1)を満足する固体材料(以下、「光学材料」ともいう。)の具体例としては、例えば樹脂がある。さまざまな樹脂の中でも特にUV硬化樹脂(Nd=1.635,νd=22.7,θgF=0.69)やN−ポリビニルカルバゾール(Nd=1.696,νd=17.7,θgF=0.69)は条件式(1)を満足する光学材料である。尚、条件式(1)を満足する固体材料であれば、これらに限定するものではない。
また、一般の硝材とは異なる特性を持つ光学材料として、下記の無機酸化物ナノ微粒子を合成樹脂中に分散させた混合体がある。すなわち、TiO(Nd=2.304,νd=13.8)、Nb(Nd=2.367,νd=14.0)、ITO(Nd=1.8571,νd=5.69)、CrO(Nd=2.2178,νd=13.4)、BaTiO(Nd=2.4362,νd=11.3)等が挙げられる。
これらの無機酸化物の中では、TiO(Nd=2.304,νd=13.8,θgF=0.87)微粒子を合成樹脂中に適切なる体積比で分散させた場合、上記条件式(1)を満足する光学材料が得られる。また、ITO(Indium−Tin−Oxide)(Nd=1.8571,νd=5.69,θgF=0.873)微粒子を合成樹脂中に適切なる体積比で分散させた場合、上記条件式(2)を満足する光学材料が得られる。尚、条件式(2)を満足する固体材料であれば、これらに限定するものではない。
各実施例では、一般的な光学材料に比べて、部分分散比の大きい光学材料と、部分分散比の小さい光学材料とを用いて、良好な色収差補正を行っている。
光学材料の屈折率の波長依存特性(分散特性)において、アッベ数は分散特性曲線の傾きを表し、部分分散比は分散特性曲線の曲がり具合を表すものである。
一般的に光学材料は、短波長側の屈折率が長波長側の屈折率よりも高く、アッベ数、部分分散比は正の値をとる。このため、分散特性曲線は下に凸を描き、短波長側になるほど波長の変化に対する屈折率の変化は大きくなる。例えばOHARA社のS−TIH53なる硝材の屈折率の波長特性は図16のようになる。
そして、アッベ数の小さい高分散な光学材料ほど部分分散比が大きくなる傾向がある。一般の光学材料においては、部分分散比はアッベ数に対してほぼ直線的な変化をする。この直線的な変化から外れたものが異常部分分散を有する光学材料であり、一般的には蛍石等が挙げられる。
一般の光学材料と比較して、部分分散比が大きい光学材料とは、色収差係数の波長依存特性曲線が、短波長側で大きく曲がっているという特性を持つ。
色収差をコントロールするように、部分分散比の大きな光学材料のレンズ面のパワーを変化させると、色収差係数の波長依存特性曲線は設計基準波長の位置を回転中心として全体に傾きが変化する。この変化は、部分分散比が大きい材料では特に短波長側での変化が大きくなる。結果として、短波長側で大きく曲がり量を変化させながら全体の傾きが変化することになる。
これを利用することで、色収差係数の波長依存特性曲線の短波長側での曲がりをキャンセルすることができる。しかし、残存する色収差係数の波長依存特性曲線の傾きを同時に補正することは難しい。さらに、短波長側の曲がりを補正したことによって、長波長側の色収差は比較的悪化してしまう。この長波長側の補正を行うには、光学系中の適切なガラス面のパワーを変化させる必要があるが、色収差以外の諸収差の補正をするためには好ましくない。
一方、部分分散比が小さい光学材料では、色収差係数の波長依存特性曲線における短波長側での曲がりが小さい。このため、一般の光学材料と比較して、波長の変化に対して色収差係数がより直線的に変化するという特性を持つ。色収差をコントロールするように、部分分散比の小さな光学材料でレンズ面のパワーを変化させると、色収差係数の波長依存特性曲線は、設計基準波長の位置を回転中心として、波長に対して比較的直線性を保ちつつ傾きが変化する。このことから、色収差係数の波長依存特性曲線の傾きを補正することができる。
そこで部分分散比の大きな光学材料に加えて、部分分散比の小さな光学材料を用いることで、色収差係数の波長依存特性曲線の短波長側の曲がりと全体的な傾きを同時に補正することが可能となる。つまり、光学系全体としての色収差を、g線からC線までの広い波長領域において、良好に補正することができる。
これを、部分分散比が大きな光学材料を用いた屈折光学系部分GNLと、部分分散比が小さな光学材料を用いた屈折光学系部分GLと、部分分散比が一般的な値である一般の光学材料を用いた屈折光学系部分Gより構成される光学系の色収差補正を説明する。
まず、屈折光学系部分Gが部分系としてある程度色収差が補正された状態から、屈折光学系部分Gを構成する負レンズに比較的、高分散な光学材料を選択する。屈折光学系部分Gの色収差係数の波長依存特性曲線は、短波長側で元の状態よりも大きく曲がりながら全体の傾きが変化する。
この状態で、屈折光学系部分GNLに適当なパワーを与えると同時に、屈折光学系部分Gを構成する正レンズも比較的分散の大きな材料を選択する。ところが、屈折光学系部分GNLをアッベ数に対して一様な部分分散比を持つ一般の光学材料で構成している場合、屈折光学系部分GNLは、屈折光学系部分Gの色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分と傾き成分と同時に一定の割合で寄与する。このため、これら曲がり成分と傾き成分とを同時にキャンセルすることができないため、良好な色収差の補正は困難となる。
これに対し、屈折光学系部分GNLを一般の光学材料に比べて部分分散比の大きい材料で構成している場合には、屈折光学系部分GNLは主屈折光学系部分Gの色収差係数の波長依存特性曲線全体の曲がり成分に比較的大きく寄与する。このため、主に曲がり成分をキャンセルさせることができる。これより、元の状態よりも直線性を増しながら、色収差係数波長の依存特性曲線の全体の傾きを変化させることができる。
この状態でさらに、屈折光学系部分GLに、屈折光学系部分GNLとは符号の異なる適当なパワーを与えることで、屈折光学系部分Gの色収差係数の波長依存特性曲線の全体の傾きを補正することができる。ところが、屈折光学系部分GLを一般の光学材料で構成している場合、屈折光学系部分GLは、屈折光学系部分Gの色収差の波長依存特性曲線の曲がりよりも逆方向に比較的大きな曲がりを持つ。そのため、光学系全体として色収差係数の波長依存特性曲線の傾き成分はキャンセルできるが、色収差を悪化させるような曲がり成分が発生してしまうことになる。
これに対し、屈折光学系部分GLを部分分散比の小さな光学材料で構成している場合、屈折光学系部分GLの色収差係数の波長依存特性曲線が比較的線形性を示す。つまり、色収差をコントロールするために屈折光学系部分GLのパワーを変化させると、比較的直線性を維持したまま、設計基準波長を回転中心として傾きを変化させることができる。
このように、屈折光学系部分GNL、屈折光学系部分GL、屈折光学系部分Gとを用いることで、比較的容易に色収差係数の波長依存特性曲線の傾き成分と曲がり成分を同時に補正することができる。
屈折光学系部分GNL、屈折光学系部分GLのどちらか一方のみを用いて色消しを行う場合には、GNLもしくはGLと、屈折光学系部分Gのどちらもレンズ面のパワーを比較的大きく変化させないと十分な効果を得がたい。つまり、屈折光学系部分GNLと屈折光学系部分GLの両者を用いることで個々の屈折力が比較的小さくてすむために、結果的に固体材料の光軸方向の厚みを薄くすることができる。さらに、屈折光学系部分GNLと屈折光学系部分GLの両者を用いることで屈折光学系部分Gも比較的大きくパワーを変化させずに色消し効果を得ることができるため、色収差以外の諸収差も大きく変化しないで済むことになる。
このとき、色収差を独立に補正するという観点から、屈折光学系部分GNL、屈折光学系部分GLは共にアッベ数が小さい、すなわち高分散材料から形成されていることが好ましい。さらに、屈折光学系部分GNL、GLは瞳近軸光線が光軸と交わる点Pよりも拡大側、もしくは縮小側に、少なくとも1枚ずつあることが好ましい。このことをレンズ面での軸上色収差係数及び倍率色収差係数を用いて説明する。
屈折レンズの面におけるパワー変化をΔψ、アッベ数をν、近軸軸上光線及び瞳近軸光線がレンズ面を通過する光軸からの高さをそれぞれh、Hとする。このとき、レンズ面での軸上色収差係数の変化ΔLと倍率色収差係数の変化ΔTは、以下のように表すことができる。
ΔL = h・Δψ/ν …(a)
ΔT = h・H・Δψ/ν …(b)
式(a)及び式(b)から明らかなとおり、レンズ面のパワー変化に対する各収差係数の変化は、アッベ数の絶対値が小さい(すなわち分散が大きい)ほど大きくなる。したがって、アッベ数の絶対値が小さい高分散材料を用いれば、必要な色収差を得るためのパワー変化量は小さくて済む。
このことは収差論上、球面収差、コマ収差、非点収差などに大きな影響を及ぼすことなく色収差をコントロールできるため、色収差補正の独立性が高まることを意味する。
逆に、低分散材料を用いると、必要な色収差を得るためのパワー変化量は大きくなり、それに伴って球面収差などの諸収差が大きく変化し、色収差補正の独立性が弱まることになる。したがって、光学系を構成するレンズの内、少なくとも1つのレンズ面は、高分散材料で形成された屈折レンズ面であることが収差補正上重要である。
また、式(a)及び式(b)から、軸上色収差係数、倍率色収差係数の変化量はh及びHの値によって決まることが分かる。このことから、屈折光学系部分GNL,GLを光学系のどのような位置に配置させるのが適しているのかを説明する。
色収差を良好に補正するためには、これらの傾き成分と曲がり成分を同時に補正する必要がある。しかし、パワー変化Δψを小さくすると十分な色収差補正効果を得ることはできない。逆に、パワー変化Δψを大きくすると、レンズとしての光学素子の厚さが厚くなってしまう。
屈折光学系部分GNL及びGLを構成する異常部分分散特性を有する光学材料では一般的に透過率が低いため、レンズとして用いる場合には厚みを比較的薄くする必要がある。
つまり、十分な色収差の補正効果を得つつ、屈折光学系部分GNL及びGLの厚みを薄くするためには、色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分と傾き成分に与える影響を同程度とすることが好ましい。このためには、屈折光学系部分GNL及びGLにおける光軸からの高さhとHの値が、近い値をとることが望ましい。
点Pの拡大側と縮小側では高さHの値の符号が異なる。つまり、屈折光学系部分GNLとGLとを前記点Pの拡大側と縮小側にそれぞれ配置させると、高さh、Hのとり得る値は大きく異なる。これより、屈折光学系部分GNLとGLとは、点Pの拡大側もしくは縮小側に少なくとも1枚ずつ配置させるのが色収差補正上好ましい。この時、色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分と傾き成分をキャンセルさせるには、屈折光学系部分GNLの焦点距離(f1)と、GLの焦点距離(f2)との積が条件式(7)の如く負となればよい。
光軸と瞳近軸光線の交点Pより拡大側で近軸軸上光線がレンズ面を通過するときの光軸からの高さの最大値が、交点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過するときの光軸からの高さの最大値よりも大きい光学系をテレフォトタイプの光学系とする。テレフォトタイプの光学系では、GNL及びGLはPより拡大側に配置すれば、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。
一方、交点Pより拡大側で近軸軸上光線がレンズ面を通過するときの光軸からの高さの最大値が、交点Pより縮小側で近軸軸上光線がレンズ面を通過するときの光軸からの高さの最大値よりも小さい光学系をレトロフォーカスタイプの光学系とする。レトロフォーカスタイプの光学系では、GNL及びGLはPより縮小側に配置すれば、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。
屈折光学系部分GNLとGLとを光軸方向に比較的離して配置させると、それぞれのレンズ面における高さh及びHの値は大きく異なることとなる。このとき、それぞれのレンズ面における収差係数ΔL、ΔTの値は大きく異なり、そのために光学系全体の色収差係数の波長依存特性曲線の傾き成分と曲がり成分に及ぼす影響も大きく異なる。
逆に、屈折光学系部分GNLとGLを光学系中近接配置させると、高さh及びHの値がそれぞれのレンズ面で比較的近い値をとる。この時、光学系全体の色収差係数の波長依存特性曲線の曲がり成分及び傾き成分に与える影響がほぼ同程度となり、良好に色収差補正ができる。
これより、屈折光学系部分GNLとGLとは近接配置させること、例えば接合させることが好ましい。また、光学系中の同一レンズ群内では高さh及びHが同程度大きく変化しないため、屈折光学系部分GNL及びGLを同一レンズ群内に配置させることがより好ましい。
一般的に、ズーミングやフォーカシングや像位置の補正に際し、レンズ群の移動によって、各レンズ群に入射する光線の状態が変化し、それに伴い各レンズ群で発生する収差が変化する。したがって、すべての使用状態で光学系全体の収差を良好に補正するには、各レンズ群個々で、すべての使用状態で連立するような収差係数を与える必要がある。屈折光学素子GNL及びGLを同一のレンズ群内に配置させれば、所望の収差が得やすいことになる。
また、屈折光学素子GNL及びGLの厚みが薄くなると、環境下での変動が小さくなり、さらに条件(7)を満足することで環境下での変動はキャンセルするため、耐環境性がよくなる。
屈折光学系部分GNL、GLは一般の光学材料と組み合わせて色収差をはじめとする諸収差を補正する。そのため、それらの部分分散比は一般の光学材料とは異なる特性と持つことが収差補正上必要ではあるが、異常部分分散性が強すぎると良くない。
一般の光学材料とかけ離れた特性を持つ材料から成るレンズを用いた場合、そのレンズ面での色収差係数の波長依存特性の曲がりは特に大きくなる。その大きな曲がり成分を補正するためには、他のレンズのパワーも強くしなければならない。このとき、球面収差やコマ収差や非点収差などに大きな影響を及ぼすため、収差補正が困難となる。
つまり、屈折光学系部分GNLの材料としては、一般の光学材料に比べて部分分散比が大きな光学材料であり、かつ一般の光学材料と比べて部分分散比がかけ離れすぎないことも重要である。
なお、条件式(1)の異常部分分散性ΔθgF1の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差の補正効果が期待できる。
0.0272 < ΔθgF1 < 0.2832 …(1a)
また収差補正上の観点から、更に望ましくは、(1a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.0342 < ΔθgF1 < 0.2832 …(1b)
条件式(2)の異常部分分散性ΔθgF2の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差補正効果が期待できる。
−0.4278 < ΔθgF2 < −0.0528 …(2a)
更に望ましくは、(2a)式の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
−0.4278 < ΔθgF2 < −0.0778 …(2b)
条件式(3)の異常部分分散性Δθgd1の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差補正効果が期待できる。
0.038 < Δθgd1 < 0.347 …(3a)
更に望ましくは、(3a)式の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
0.051 < Δθgd1 < 0.347 …(3b)
条件式(4)の異常部分分散性Δθgd2の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差補正効果が期待できる。
−0.5620 < Δθgd2 < −0.062 …(4a)
更に望ましくは、(4a)式の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
−0.5620 < Δθgd2 < −0.112 …(4b)
条件式(5)、(6)のアッベ数νd1、νd2の数値範囲は、以下の範囲とすることで更に良好な色収差補正効果が期待できる。
νd1 < 50 …(5a)
νd2 < 50 …(6a)
更に望ましくは、(5a)、(6a)の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
νd1 < 45 …(5b)
νd2 < 45 …(6b)
更に望ましくは、(5b)、(6b)条件式の数値範囲を以下に示す範囲とするのが良い。
νd1 < 40 …(5c)
νd2 < 40 …(6c)
各実施例では、条件式(1)及び(2)を満足する光学材料より成る光学素子GNL1、GL1を光学系中のレンズやレンズ表面に設けられた屈折力のある層に適用している。そして、この光学材料で構成された屈折面を非球面形状とすれば、色の球面収差などの色収差フレアを補正することができる。また、これらの光学素子と空気などの雰囲気とで界面を形成したり、比較的、屈折率の低い光学材料とで界面を形成したりすれば、界面の僅かな曲率変化で色収差を比較的大きく変化させることができるため好ましい。
次に、前述した条件式(1)〜(7)を満足する光学材料から形成された光学素子を、具体的な光学系に応用した実施例について説明する。ここでは、条件式(1)、(3)、(5)を満足する光学材料としてUV硬化樹脂1やN‐ポリビニルカルバゾール、UV硬化樹脂2にTiO微粒子を分散させた混合体を用いている。条件式(2)、(4)、(6)を満足する光学材料としては、UV硬化樹脂2及びN−ポリビニルカルバゾールにITO微粒子を分散させた混合体を用いている。
図1は実施例1の光学系としてのズームレンズを用いたときの広角端(短焦点距離)における断面図である。
図2(A)、(B)、(C)はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端(長焦点距離)における無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図3は本発明の光学系の実施例2のレンズ断面図、図4は本発明の光学系の実施例2の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図5は本発明の光学系の実施例3のレンズ断面図、図6は本発明の光学系の実施例3の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図7は本発明の光学系の実施例4のレンズ断面図、図8は本発明の光学系の実施例4の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図9は本発明の光学系の実施例5のレンズ断面図、図10は本発明の光学系の実施例5の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図11は本発明の光学系の実施例6のレンズ断面図、図12は本発明の光学系の実施例6の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図13は本発明の光学系の実施例7のレンズ断面図、図14は本発明の光学系の実施例7の無限遠物体に合焦したときの収差図である。
図15は本発明の光学系を備えるカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
各実施例の光学系はビデオカメラやデジタルカメラそして銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。レンズ断面図において、左方が被写体側(前方)で、右方が像側(後方)である。
尚、各実施例の光学系をプロジェクター等の投射レンズとして用いるときは、左方がスクリーン、右方が被投射画像となる。
レンズ断面図において、iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。
SPは開口絞りである。Gは光学フィルター、フェースプレート、水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当する光学ブロックである。
IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影レンズとして使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
収差図においてd、gは各々d線及びg線、ΔM、ΔSはメリディオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。ωは半画角、FnoはFナンバーである。
図1の実施例1の光学系は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4からなるズーム比12程度の4群構成のズームレンズである。
矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際して各レンズ群の移動軌跡を示している。
ズーミングに際して、各レンズ群間隔が変化するように各レンズ群が移動している。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂及びITO微粒子の混合体よりなるレンズを用いている。図1中、GNL1は、UV硬化樹脂1で形成したレンズ(層)である。GL1は、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で14.2%分散させた混合体で形成したレンズ(層)である。
実施例1では、ズームレンズを構成する各レンズ群のうち、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側の第1レンズ群L1にUV硬化樹脂1からなるレンズGNL1とITO微粒子の混合体からなるレンズGL1とを導入している。また、レンズGNL1とレンズGL1は密着しており、レンズ間に接合されている。
UV硬化樹脂1で形成されたレンズ(層)GNL1は、正の屈折力、ITO微粒子の混合体で形成されたレンズ(層)GL1は負の屈折力を有している。これによって、広角端から望遠端までのズーミングにおいて、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、かつ光学系全体のコンパクト化を達成している。
図3、図5、図7、図9、図11の実施例2〜6の光学系は、望遠型(テレフォトタイプ)の撮影レンズである。ここで望遠型の撮影レンズとはレンズ全長が焦点距離よりも短いレンズ系をいう。
図3の実施例2の光学系は、正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのため光軸方向に移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離300mmの超望遠レンズである。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂1より成るレンズGNL1と、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で14.2%分散させた混合体より成るレンズGL1とを用いた例である。図3中GNL1は、UV硬化樹脂1で形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合物で形成したレンズ(層)である。
実施例2の光学系では、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側に、UV硬化樹脂1からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。また、これらのレンズGNL1、GL1を密着させて用い、その密着面を非球面形状にしている。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、望遠比0.681と非常にコンパクトな超望遠レンズを得ている。
図5の実施例3の光学系は、正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのために光軸方向に移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離300mmの超望遠レンズである。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂2にTiO微粒子を体積比で20%分散させた混合体より成るレンズGNL1と、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で20%分散させた混合体より成るレンズGL1とを用いた例である。図5中、GNL1はTiOの混合体で形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合体で形成したレンズ(層)である
実施例3の光学系では、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側に、TiO微粒子の混合体からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、望遠比0.680とコンパクトな超望遠レンズを得ている。
図7の実施例4の光学系は、正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのための光軸方向に移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離300mmの超望遠レンズである。
本実施例では、光学系の一部にN‐ポリビニルカルバゾールより成るレンズGNL1と、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で5%分散させた混合体より成るGL1とを用いた例である。図7中GNL1は、N‐ポリビニルカルバゾールで形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合体で形成したレンズ(層)である。
実施例4の光学系では、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側に、TiO微粒子の混合体からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、望遠比0.731とコンパクトな超望遠レンズを得ている。
図9の実施例5の光学系は、正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのため光軸方向に移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離300mmの超望遠レンズである。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂2にTiO微粒子を体積比で3%分散させた混合体より成るレンズGNL1と、N−ポリビニルカルバゾールにITO微粒子を体積比で10%分散させた混合体より成るGL1とを用いた例である。図9中、GNL1はTiOの混合体で形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合体で形成したレンズ(層)である。
実施例5の光学系では、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側に、TiO微粒子の混合体からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、望遠比0.748とコンパクトな超望遠レンズを得ている。
図11の実施例6の光学系は、正の屈折力の第1レンズ群L1、フォーカスのため光軸方向に移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離300mmの超望遠レンズである。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂1より成るレンズGNL1と、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で5%分散させた混合体より成るGL1とを用いた例である。図11中、GNL1はUV硬貨樹脂1で形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合体で形成したレンズ(層)である。
実施例6の光学系では、近軸軸上光線の光軸からの通過位置が比較的高くなる物体側に、UV硬化樹脂からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正し、望遠比0.737とコンパクトな超望遠レンズを得ている。
図13の実施例7の光学系は、広角型(レトロフォーカスタイプ)の撮影レンズである。ここで広角型の撮影レンズとは焦点距離がレンズ全長よりも短いレンズ系のことを意味している。
図13の実施例7の光学系は、フォーカスのため光軸方向に移動する負の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3からなる焦点距離24.5mmの広角レンズである。
本実施例では、光学系の一部にUV硬化樹脂1より成るレンズGNL1と、UV硬化樹脂2にITO微粒子を体積比で5%分散させた混合体より成るGL1とを用いた例である。図11中、GNL1はUV硬貨樹脂1で形成したレンズ(層)である。GL1は、ITOの混合体で形成したレンズ(層)である。
実施例7の光学系では、光軸と瞳近軸光線の交わる点Pよりも像側にUV硬化樹脂からなる正のパワーを持つレンズ(層)GNL1と、ITO微粒子の混合体からなる負のパワーを持つレンズ(層)GL1とを導入している。これにより軸上色収差と倍率色収差を良好に補正した広角レンズを得ている。
以下、実施例1〜7に対応する数値実施例1から7について具体的な数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。Diは第i面と第(i+1)面との間の軸上間隔、Ni、νiはそれぞれd線に対する第i番目(樹脂やTiO微粒子分散材料やITO微粒子分散材料で形成されたレンズ(層)は除く)の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を表す。樹脂やTiO微粒子分散材料で形成されたレンズGNLjのd線に対する屈折率、アッベ数は別途NGNLj、νGNLj(j=1,2,…)で示す。また、樹脂やITO微粒子分散材料で形成されたレンズGLjのd線に対する屈折率、アッベ数は別途NGLj、νGLj(j=1,2,…)で示す。fは光学系の焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角である。
また、非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、kを円錐定数、B,C,D,E…を各次数の非球面係数とするとき、
で表す。
なお、表3及び各非球面係数における「E±XX」は「×10±XX」を意味している。
数値実施例1の最も像側の5つの平面(曲率半径∞の面)は、差込フィルターや、光学的ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当するものである。
各数値実施例に用いた屈折光学系部分GNL1及びGL1のd線、g線、C線、及びF線に対する屈折率、及びアッベ数、部分分散比を表1に示す。また、表2にUV効果樹脂2及びITO及びTiOのd線、g線、C線、及びF線に対する屈折率、及びアッベ数、部分分散比を示す。表3には各数値実施例における屈折光学素子GNLjおよびGLjのそれぞれの焦点距離fGNLj、fGLjの値を示す。
次に各実施例に示した光学系を撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラの実施形態を図15を用いて説明する。
図15において、20はカメラ本体である。21は実施例1〜7で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。
このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラに適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器が実現できる。
数値実施例1の光学系の広角端における光学系断面図である。 数値実施例1の収差図である。 数値実施例1の収差図である。 数値実施例1の収差図である。 数値実施例2の光学系の光学系断面図である。 数値実施例2の収差図である。 数値実施例3の光学系の光学系断面図である。 数値実施例3の収差図である。 数値実施例4の光学系の光学系断面図である。 数値実施例4の光学系の収差図である。 数値実施例5の光学系の光学系断面図である。 数値実施例5の収差図である。 数値実施例6の光学系の光学系断面図である。 数値実施例6の光学系の収差図である。 数値実施例7の光学系の光学系断面図である。 数値実施例7の光学系の収差図である。 本発明の撮像装置の要部概略図である。 一般的な光学素子の屈折率波長特性の図である。
符号の説明
OL 光学系
GNL1 光学素子
GL1 光学素子
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
SP 開口絞り
IP 像面
d d線
g g線
G CCDのフォースプレートやローパスフィルター等のガラスブロック
ΔM メリディオナル像面
ΔS サジタル像面

Claims (10)

  1. 光軸と瞳近軸光線の交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側又は縮小側の少なくとも一方に、光入射面と光出射面が共に屈折面で固体材料より成る第1、第2光学素子を有し、該第1、第2光学素子のg線とF線に関する異常部分分散性を各々ΔθgF1、ΔθgF2、該第1、第2光学素子の光入出射面が共に空気に接する面としたときの焦点距離を各々f1、f2とするとき、
    ΔθgF1>0.0272
    ΔθgF2<−0.0278
    f1×f2<0
    なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
  2. 前記第1、第2光学素子のg線とd線に関する異常部分分散性を各々Δθgd1、Δθgd2とするとき、
    Δθgd1>0.038
    Δθgd2<−0.037
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記第1、第2光学素子の固体材料のアッベ数をそれぞれνd1、νd2とするとき、
    νd1<60
    νd2<60
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
  4. 前記第1、第2光学素子は同一のレンズ群内に配置されていることを特徴とする請求項1、2又は3の光学系。
  5. 前記第1、第2光学素子の少なくとも1面は、非球面形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の光学系。
  6. 前記第1、第2光学素子の少なくとも1面は、空気に接していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項の光学系。
  7. 前記光学系は、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、開口絞り、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、各レンズ群間隔が変化するズームレンズであり、前記第1、第2光学素子は、該第1レンズ群中に含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項の光学系。
  8. 前記光学系は、物体側より像側へ順にフォーカスの際に不動の正の屈折力の第1レンズ群、開口絞り、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群より構成され、前記第1、第2光学素子は、該第1レンズ群中に含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項の光学系。
  9. 前記光学系は、物体側より像面へ順にフォーカスの際に不動の負の屈折力の第1レンズ群、フォーカスのために光軸方向へ移動する負の屈折力の第2レンズ群、開口絞り、フォーカスの際に不動の正の屈折力の第3レンズ群より構成され、前記第1、第2光学素子は、該第3レンズ群中に含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項の光学系。
  10. 請求項1から9のいずれか1項の光学系を備えていることを特徴とする光学機器。
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