JP2008138300A - 繊維シートおよびその製造方法、脱臭剤ならびにエアフィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】活性炭や添着活性炭を使用せず、アルデヒド類のみを選択的、かつ効率よく除去するエアフィルター濾材に適した繊維シートおよび脱臭剤を提供する。
【解決手段】
無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を少なくとも繊維の表面上に有することを特徴とする繊維シート。また、無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を混合分散させた液を繊維に保持させ、さらに乾燥させる工程を経て本発明の繊維シートを得ることを特徴とする繊維シートの製造方法。また、無機粒子に、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤が担持されてなる脱臭剤。また、本発明の繊維シートを用いてなることを特徴とするエアフィルター。
【選択図】 図1
【解決手段】
無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を少なくとも繊維の表面上に有することを特徴とする繊維シート。また、無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を混合分散させた液を繊維に保持させ、さらに乾燥させる工程を経て本発明の繊維シートを得ることを特徴とする繊維シートの製造方法。また、無機粒子に、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤が担持されてなる脱臭剤。また、本発明の繊維シートを用いてなることを特徴とするエアフィルター。
【選択図】 図1
Description
本発明は、エアフィルター用途に適した繊維シートおよび脱臭剤に関する。
空気中の汚染物質についてその種類が多岐に渡るが、その中でも特にアセトアルデヒド等のアルデヒド類が大きな問題となっている。アセトアルデヒドはタバコ煙や自動車の排気ガス中に含まれる代表的な悪臭成分であり、低濃度でも臭気を感じ易い。また空気中の汚染物質の除去には、大きな表面積と細孔容積を有する活性炭が一般に使用されているが、アセトアルデヒドの活性炭への平衡吸着量は他の悪臭成分に比べて著しく小さい。
そこで活性炭によるアセトアルデヒドの吸着除去性能を向上させる手段として、例えばアミン類を活性炭に添着してその性能を向上させる方法が開示されている(特許文献1参照。)。しかし、当該技術を用いたエアフィルターは、アセトアルデヒドに起因する以外の臭気が温湿度の変化等によって発生(二次発臭)するという問題があった。これは、活性炭が物理吸着能をベースとしているため、除去対象とするアセトアルデヒド以外の物質をも吸着濃縮してしまい、これらの臭気成分は化学結合によりトラップされているわけではないため、温湿度変化等の環境要因によって、濃縮されていた臭気成分が一気に放出されることにより、本来の存在濃度では問題とならなかった臭気成分が悪臭として認知されてしまうというものである。
また活性炭を用いないアセトアルデヒドの吸着除去手段として、ヒドラジド類と尿素およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分にとして含有する消臭剤組成物が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この消臭剤は、静的な条件下を想定した設計であり動的な状態ではアセトアルデヒドの除去に対して実用的な効果は無かった。
特開平5−317703号公報
特許第3797852号
本発明は、除去対象とする有害ガス成分のみを選択的、かつ効率よく除去するエアフィルター濾材に適した繊維シートおよび脱臭剤を提供し、特にアセトアルデヒド等のアルデヒド類の除去性能に極めて優れた繊維シートおよび脱臭剤を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を少なくとも繊維の表面上に有することを特徴とする繊維シートである。
また本発明は、無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を混合分散させた液を繊維に保持させ、さらに乾燥させる工程を経て本発明の繊維シートを得ることを特徴とする繊維シートの製造方法である。
また本発明は、無機粒子に、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤が担持されてなる脱臭剤である。
また本発明は、本発明の繊維シートを用いてなることを特徴とするエアフィルターである。
本発明に係る繊維シートおよび脱臭剤は、対象ガス成分(アルデヒド類)との反応速度と吸着容量が格段に向上したものであり、高風速下でも高除去効率と長寿命を実現するこれまでに無いアセトアルデヒド除去フィルターを得ることができる。さらに、本発明の繊維シートおよび脱臭剤は、物理吸着能に強く依存するものではないため、臭気成分を再放出すること(二次発臭)が無い。
本発明の繊維シートは、無機粒子を少なくとも繊維の表面上に担持してなる。無機粒子を採用することにより、処理エアと接触可能な表面積を得て、通過風速の早い使用条件においても良好な除去効率が得られる。また、後述する薬剤を十分な量で繊維表面上に間接的に添着させることができる。
また後述する薬剤の添着性の点で、無機系の粒子とすることが重要である。本発明で言う無機粒子には、活性炭は含まない。従来、当該技術分野において広く採用されている活性炭を敢えて用いないことにより、物理吸着能に強く依存しないので、二次発臭を抑えることができる。
本発明で採用する多孔性の無機粒子としては、多孔質二酸化ケイ素、ゼオライト、活性アルミナ、ケイ酸アルミニウム、活性白土、リン酸ジルコニウム、ポリトリリン酸アンモニウム、多孔性粘土鉱物の群が挙げられ、これらの中から目的に応じて選択することができる。中でも、多孔質二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト等が好ましい。多孔質二酸化ケイ素とケイ酸アルミニウムについては、後述するメソ孔を形成するため好ましい。ゼオライトについては、表面の化学的特性と結晶構造に基づく選択的な物理吸着効果を併せ持つ点で好ましい。
本発明で採用する無機粒子の表面化学特性としては、親水性であることが好ましい。後述する薬剤が水溶性であるため、これを粒子の表面上に均一添着するためである。前述に列挙した無機粒子はその殆どが親水性であり好ましく採用することができる。
また合成ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムとの比率により親水性の程度を制御することができ、最適な親水性を有する無機粒子を選択することができる。本発明における合成ゼオライトのケイ素とアルミニウムとの比率としては、SiO2/Al2O3のモル比20〜300が好ましく、より好ましくは30〜200である。前記比率を300以下とすることで、多孔質のゼオライトの細孔内部表面にまで薬品を添着させることができ、また物理吸着能が強く発現しすぎるのを抑えることができる。また前記比率を20以上とすることで、空気中でのエアフィルターとしての使用時においても、細孔内が完全に水で満たされることないため、対象ガス成分が細孔内に進入することができ、効率の良い処理エアとの接触が可能となる。
本発明で採用する無機粒子の平均粒径としては、0.01〜200μmが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmである。200μm以下とすることで、処理エアとの接触効率を上げることができるとともに、繊維表面に均一に担持させることができる。0.01μm以上とすることで、繊維表面への担持に使用するバインダー樹脂に無機粒子が埋没してしまうのを防ぐことができる。
また本発明で採用する無機粒子の構造としては、多孔質構造、層構造、鱗片構造などであることも、表面積を大きくすることができるため好ましく、その中でも最も大きな表面積が得られる多孔質構造が特に好ましい。
多孔質無機粒子の細孔直径としては、0.5〜100nmが好ましく、より好ましくは1.0〜50nmである。100nm以下とすることで、無機粒子の機械的強度の低下等の無理なく比表面積を大きくとることができる。また0.5nm以上とすることで、添着させる薬品や対象ガス成分が細孔内部に進入できなくなるのを防ぐことができる。また、直径2〜50nmの細孔はメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する粒子は添着薬品とアセトアルデヒドの反応を効率良く進める上で優れている。
また本発明で採用する無機粒子の比表面積としては、BET比表面積で50〜1000m2/gが好ましく、より好ましくは100〜700m2/gである。50m2/g以上とすることで、添加する薬品の反応場として実効的な面積が得られ、除去しようとするガス成分との実効的な反応速度が得られる。また1000m2/g以下とすることで、無機粒子の機械的強度の低下による取り扱い性の不便を防ぐことができる。
本発明の繊維シートへの無機粒子の担持量としては、基材の繊維シートに対して10〜100質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。10質量%以上とすることで、薬品の反応場として実効的な表面積を得て吸着性能を向上させることができる。100質量%以下とすることで、繊維シートのエアフィルターとしての通気特性を阻害するのを防ぐことができる。
本発明の繊維シートは、酸ヒドラジドを少なくとも繊維の表面上に有してなることが重要である。酸ヒドラジドの存在により、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類に対する化学吸着能が飛躍的に向上し、アルデヒド類を選択的に吸着することができる。尚、「繊維の表面上に」とは、前述の無機粒子を介して間接的に有するものであってもよい。
酸ヒドラジドは、カルボン酸とヒドラジンとから誘導される−CO−NHNH2で表される酸ヒドラジド基を有する化合物であり、ヒドラジド末端の窒素原子のα位に、更に非共有電子対を有する窒素原子が結合しており、これにより求核反応性が著しく向上している。この非共有電子対がアルデヒド類のカルボニル炭素原子を求核的に攻撃して反応し、アルデヒド類をヒドラジド誘導体として固定化することにより、アルデヒド類の除去性能を発現できたと考えられる。
アルデヒド類の中でもアセトアルデヒドは、カルボニル炭素のα位に電子供与性のアルキル基を有するために、カルボニル炭素の求電子性が低く化学吸着されにくいが、本発明のアルデヒド類除去剤、およびアルデヒド類除去シートにおいて採用する酸ヒドラジド類は前述のとおり求核反応性が高いため、アセトアルデヒドに対しても良好な化学吸着性能を発現する。
酸ヒドラジドとしては例えば、分子中に1個の酸ヒドラジド基を有する酸モノヒドラジドとしては、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド等、分子中に2個の酸ヒドラジド基を有する酸ジヒドラジドとしては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等、分子中に3個以上の酸ヒドラジド基を有する酸ポリヒドラジドとしては、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。なかでも、ジヒドラジド類が好ましく、とりわけアジピン酸ジヒドラジドがアルデヒド類の吸着性能の点で好ましい。
本発明の繊維シートへの酸ヒドラジドの担持量としては、無機粒子の担持量に対して10〜100質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。10質量%以上とすることで、アルデヒド類の除去効率および吸着容量の向上の実効を得ることができる。酸ヒドラジドの担持量の増加に伴い除去効率および吸着容量も向上するが、ある程度で飽和する。酸ヒドラジドの過剰な添加は、結晶化した酸ヒドラジドの崩落が繊維シートの空隙率を減少させ、通気特性を低下させるとともに、粉落ちの原因ともなるため、100質量%以下とすることが好ましい。
本発明の繊維シートは、アミノ基を有する吸湿剤も少なくとも繊維の表面上に担持してなることが重要である。アミノ基を有する吸湿剤を加えることにより、上記のような無機粒子および酸ヒドラジドの組み合わせによる脱臭性能を、これまでに無く長寿命化させることができる。その理由としては例えば、次のようなことが考えられる。
吸湿剤のアミノ基が酸ヒドラジド類から吸着したアルデヒド類を受け取ることで、酸ヒドラジド類の反応性を維持できる。
吸湿剤が無機粒子細孔内の反応場により多くの水分を存在させることでアルデヒド類との親和性が向上する。
吸湿剤が酸ヒドラジド類の結晶化による塊状化を抑制する。
吸湿剤のアミノ基が酸ヒドラジド類から吸着したアルデヒド類を受け取ることで、酸ヒドラジド類の反応性を維持できる。
吸湿剤が無機粒子細孔内の反応場により多くの水分を存在させることでアルデヒド類との親和性が向上する。
吸湿剤が酸ヒドラジド類の結晶化による塊状化を抑制する。
次に、本願発明において、アミノ基を有する吸湿剤としては、水溶性のものが好ましく、1atm(101325Pa)の気圧下で、25℃の水100gに対する溶解度が、5g以上であることが好ましく、より好ましくは10g以上、さらに好ましくは20g以上である。この水溶性を満足するアミノ基を有する吸湿剤としては、尿素および分子構造中に尿素結合を有する尿素誘導体、グアニジン塩類、アミノグアニジン塩類等が挙げられ、さらに具体的には尿素誘導体としてエチレン尿素、1,3−ジメチル尿素、ヒダントイン、リン酸グアニル尿素、グアニジン塩類としてリン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、硝酸グアニジン、塩酸グアニジン、アミノグアニジン塩類として塩酸アミノグアニジン、重炭酸アミノグアニジン等が例示される。
アミノ基を有する吸湿剤の吸湿性としては、温度20℃、相対湿度65%に調整された環境下における平衡水分率が1.5%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。
アミノ基を有する吸湿剤の酸ヒドラジドに対する量としては、10〜200質量%が好ましく、より好ましくは20〜100質量%である。10質量%以下ではアルデヒド類の吸着容量向上効果が不十分であり、200質量%以上では多孔質体の細孔を吸湿剤が閉塞し、処理エアとの接触効率が低下する。
また、アミノ基を有する吸湿剤が難燃剤としての効果を有しているとより好ましい。前述に列挙したもののなかで難燃剤としての効果が大きいものは、尿素および尿素誘導体ではリン酸グアニル尿素、グアニジン塩類ではスルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、塩酸グアニジン、アミノグアニジン塩類では塩酸アミノグアニジン等が好ましく挙げられる。本発明の繊維シートは、繊維表面をこれらの吸湿剤が被覆した状態となるため、難燃効果が得られやすく好ましい。
本発明の繊維シートは、酸触媒を有することも好ましい。アルデヒド類のカルボニル炭素の電子を酸触媒が共有することによって、アルデヒド類のカルボニル炭素の求電子性を高くし、アルデヒド類に対する化学吸着能を向上させることができる。
酸触媒の酸としては、プロトン供与体であるブレンステッド酸や、電子対受容体であるルイス酸を挙げることができる。
ルイス酸としては例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、スズ、鉄等の水酸化物もしくは酸化物、グラファイト、イオン交換樹脂等からなる担体に、硫酸銀、五フッ化アンチモン、五フッ化タンタル、三フッ化ホウ素等を付着或いは担持したもの、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化第二スズ(SnO2)、チタニア(TiO2)、酸化第二鉄(Fe3O3)、酸化タングステン(WO3)等を例示することができる。
本発明の繊維シートで採用する繊維としては、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維や金属繊維等の無機繊維が使用でき、中でも溶融紡糸が可能な熱可塑性樹脂の合成繊維が好ましい。合成繊維を形成する熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル、ビニロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ乳酸等を挙げることができ、用途等に応じて選択できる。また、複数種を組み合わせて使用してもよい。
本発明の繊維シートで採用する繊維は、異型断面形状を有することや、繊維表面に多数の孔やスリットを有することも好ましい。そうすることにより、繊維の表面積を大きくし、無機粒子と薬品の担持性を向上させることができる。異型断面形状とは、円形以外の断面形状を指し、例えば扁平型、略多角形、楔型等を挙げることができる。異型断面形状の繊維は、異型孔を有する口金を用いて紡糸することにより得ることができる。また、繊維表面に多数の孔やスリットを有する繊維は、溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上のポリマーをアロイ化して紡糸し、溶解性の高い方のポリマーを溶剤で溶解除去することにより得ることができる。
本発明の繊維シートで採用する繊維の繊維径としては、繊維シートをエアフィルターとして使用する用途において目標とする通気性や集塵性能に応じて選択すればよいが、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは5〜100μmである。
本発明の繊維シートで採用する繊維が構成する基材繊維シートは、通気性を有する繊維構造体であり、綿状物、編織物、不織布、紙およびその他の三次元網状体(例えば多孔性ポリウレタン発泡体)等を挙げることができる。これらのような構造をとることにより、通気性を確保しつつ、表面積を大きくとることができる。
基材繊維シートの目付けとしては、10〜500g/m2が好ましく、より好ましくは30〜200g/m2である。基材繊維シートの目付けを10g/m2以上とすることで、アルデヒド除去剤を担持するために十分な強度が得られ、エアを通気させた際にフィルター構造を維持するのに必要な剛性が得られる。また目付けを200g/m2以下とすることで、プリーツ形状やハニカム形状に二次加工する際の取り扱い性の面でも好ましい。
本発明の繊維シートで採用する基材繊維シートは、熱接着性成分や樹脂バインダーを有することも、形状保持、強度向上、寸法安定性等の点で好ましい。
本発明の繊維シートは、上記のようなアルデヒド類除去剤を担持させた繊維シートにさらに異なる繊維構成のシートを積層することも好ましい。例えば直行流型フィルターとしての使用において、上流側に嵩高で目の粗い不織布シートを積層すれば、ダスト保持量が向上し長寿命化が可能となる。また下流側に極細繊維からなる不織布シートを積層すれば、高捕集効率化が可能となる。
さらにこの極細繊維からなる不織布シートがエレクトレット処理されていればなお好ましい。エレクトレット処理がされていることにより、通常では除去しにくいサブミクロンサイズやナノサイズの微細塵を静電気力により捕集する事が出来るようになる。
エレクトレット不織布を構成する材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成高分子材料等の、高い電気抵抗率を有する材料が好ましい。
次に、本発明の繊維シートの製造方法としては、無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を混合分散させた液を繊維に保持させ、さらに乾燥させる工程を経ることが好ましい。無機粒子に予め酸ヒドラジドやアミノ基を有する吸湿剤等の薬品を添着させたものをそのまま水溶液に混合して繊維シートに担持させると、無機粒子に添着していた薬品が液中に溶出して希釈されるため、乾燥処理後に繊維シート上に残存する薬品の量が不足し、十分な除去性能が得られない。一方、上記方法とすることにより、薬品の添着量を自由に調節することができ、好ましい。
また上記方法の他、例えば無機粒子と薬品を混合した水溶液を基材繊維シートにコーティング処理により塗布したり、スプレー処理により吹き付けたりしてもよい。
また、無機粒子を先に繊維シート表面に固定した後、薬品を混合した水溶液をディッピング処理やスプレー処理で付着させてもよい。無機粒子の繊維表面への付与方法としては、繊維表面に無機結晶を直接結晶化させ皮膜化させてもよい。具体的には例えば、合成繊維や無機繊維からなる繊維基材に、ゼオライトの前駆体のゾルを塗布し、乾燥してゲルの皮膜とし、次に有機アミン、アルコール、水から選択される1種以上の蒸気に曝露することによりゼオライトを膜状に結晶化させる、所謂ドライゲルコンバージョン法などにより、繊維表面に多孔質無機結晶を皮膜化させることができる。
また、無機粒子の繊維表面への付与方法として、製糸段階で無機粒子を繊維表面に配置させてもよい。具体的には例えば、合成繊維の芯鞘複合紡糸において、鞘成分中に多孔性の無機粒子を大量配合することにより、芯鞘複合の表面近傍に無機粒子を偏在させることができる。またこの方法において、無機粒子を表面に露出させるために、化学的あるいは物理的な処理により表面の樹脂成分を適量取り除くことも好ましい。
また、本発明の脱臭剤として、予め無機粒子に酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を担持させたものを、基材繊維シートに付与してもよい。
本発明の脱臭剤における無機粒子としては、基本的には本発明の繊維シートにおける無機粒子の特徴を援用できる
ただし本発明の脱臭剤における無機粒子の平均粒径としては、5〜5000μmが好ましく、より好ましくは10〜1000μmである。5000μm以下とすることで、薬品を当該粒子の内部にまで添着させることが可能となり、5μm以上とすることで、飛散が抑えられ脱臭剤としての取り扱いが容易となる。また、本発明の脱臭剤を複数枚の基材繊維シート間に挟持させて本発明の繊維シートとする場合、無機粒子の平均粒径としては、50〜1000μmが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。1000μm以下とすることにより、積層シートの折り曲げ加工等の後加工が可能となり、50μm以上とすることにより、繊維シートの空隙から脱臭剤が脱落しないようにすることができる。
ただし本発明の脱臭剤における無機粒子の平均粒径としては、5〜5000μmが好ましく、より好ましくは10〜1000μmである。5000μm以下とすることで、薬品を当該粒子の内部にまで添着させることが可能となり、5μm以上とすることで、飛散が抑えられ脱臭剤としての取り扱いが容易となる。また、本発明の脱臭剤を複数枚の基材繊維シート間に挟持させて本発明の繊維シートとする場合、無機粒子の平均粒径としては、50〜1000μmが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。1000μm以下とすることにより、積層シートの折り曲げ加工等の後加工が可能となり、50μm以上とすることにより、繊維シートの空隙から脱臭剤が脱落しないようにすることができる。
また本発明の脱臭剤における酸ヒドラジドも、基本的には本発明の繊維シートにおける酸ヒドラジドの特徴を援用できる。
ただし本発明の脱臭剤における酸ジヒドラジドの無機粒子に対する担持量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜40質量%である。1質量%以上とすることで、アルデヒド類の除去効率および吸着容量の向上の実効を得ることができ、50質量%以下とすることで、結晶化した酸ヒドラジドが無機粒子から脱落したり、無機粒子内部へのガスの拡散が阻害されるのを回避できる。
また本発明の脱臭剤におけるアミノ基を有する吸湿剤も、基本的には本発明の繊維シートにおけるアミノ基を有する吸湿剤の特徴を援用できる。
ただし本発明の脱臭剤におけるアミノ基を有する吸湿剤の酸ヒドラジドに対する量は、10〜200質量%が好ましく、より好ましくは20〜100質量%である。10質量%以下ではアルデヒド類の吸着容量向上効果が不十分であり、200質量%以上では多孔質体の細孔を吸湿剤が閉塞し、処理エアとの接触効率が低下する。
本発明の脱臭剤は、無機粒子に酸ヒドラジドおよびアミノ基を有する吸湿剤を溶解させた水溶液を含浸させ、その後乾燥させることにより得ることができる。
本発明の脱臭剤の使用態様としては、粒状のままカラムやユニットに充填させる他、複数枚の基材繊維シート間に当該脱臭剤を挟持させて本発明の繊維シートとすることも好ましい。
その本発明の繊維シートを製造する方法の例としては、まず基材繊維シート上に繊維状または粉状の熱接着体とともに本発明の脱臭剤を散布し、カバーシートを積層後、熱圧着することにより、一体化することができる。
本発明の繊維シートおよび脱臭剤は、エアフィルター用途に好適に用いることができる。物理吸着で目的外の臭気成分を蓄積することが無いため、特に自動車の起動時や温湿度変化時等に狭い室内に二次発臭することが抑えられる点で、自動車用キャビンフィルター用途に好適に用いることができる。
本発明のエアフィルターの形状としては、そのまま平面状で使用してもよいが、プリ−ツ型やハニカム型を採用することが好ましい。プリーツ型は直行流型フィルターとしての使用において、またハニカム型は平行流型フィルターとしての使用において、処理エアの接触面積を大きくして捕集効率を向上させるとともに、低圧損化を同時に図ることができる。
また本発明のエアフィルターは、例えば図2、図3に示されるように枠体3に納めて使用することが、エアの処理効率や取扱い性の点で好ましい。
[測定方法]
(1)BET比表面積
ユアサアイオニクス社製オートソーブ(登録商標)6を用い、JIS R 1626:1996に規定のBET多点法に従って測定した。試料は約5g採取し、加熱前処理を施し、N2を吸着質とし、定容法にて測定した。
(1)BET比表面積
ユアサアイオニクス社製オートソーブ(登録商標)6を用い、JIS R 1626:1996に規定のBET多点法に従って測定した。試料は約5g採取し、加熱前処理を施し、N2を吸着質とし、定容法にて測定した。
(2)細孔径
多孔質体の細孔径については、細孔の形状を円筒状と仮定し、BET比表面積(S)とBET比表面積測定の際に得られた細孔容積(V)から次式より平均細孔径(D)として算出した。
D=4V/S 。
多孔質体の細孔径については、細孔の形状を円筒状と仮定し、BET比表面積(S)とBET比表面積測定の際に得られた細孔容積(V)から次式より平均細孔径(D)として算出した。
D=4V/S 。
(3)平衡水分率
水分率は熱風乾燥機にて温度50℃で4時間予備乾燥した粉末状の試料5gをシャーレに薄く広げ、温度20℃、湿度65%に調整された実験室に24時間静置した後、水分率をケット社製水分計FD−600にて測定した。乾燥温度は80℃、乾燥時間は30分に設定し、乾燥前重量と乾燥後重量から次の式より求めた。
Mr=(W1−W2)/W2×100
ここに、Mr:水分率
W1:乾燥前重量(g)
W2:乾燥後重量(g)。
水分率は熱風乾燥機にて温度50℃で4時間予備乾燥した粉末状の試料5gをシャーレに薄く広げ、温度20℃、湿度65%に調整された実験室に24時間静置した後、水分率をケット社製水分計FD−600にて測定した。乾燥温度は80℃、乾燥時間は30分に設定し、乾燥前重量と乾燥後重量から次の式より求めた。
Mr=(W1−W2)/W2×100
ここに、Mr:水分率
W1:乾燥前重量(g)
W2:乾燥後重量(g)。
(4)アセトアルデヒドの除去能力
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。さらに上流側から、標準ガスボンベによりアセトアルデヒドを上流濃度20ppmとなるように添加し、繊維シートの上流側と下流側とにおいてエアをサンプリングし、赤外吸光式連続モニターを使用してそれぞれのアセトアルデヒド濃度を経時的に測定し、これから除去効率の推移を評価した。
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。さらに上流側から、標準ガスボンベによりアセトアルデヒドを上流濃度20ppmとなるように添加し、繊維シートの上流側と下流側とにおいてエアをサンプリングし、赤外吸光式連続モニターを使用してそれぞれのアセトアルデヒド濃度を経時的に測定し、これから除去効率の推移を評価した。
(5)圧力損失
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。その際の繊維シートの上流側と下流側との差圧をMODUS社製デジタルマノメータMA2−04Pにて測定した。
平板状の繊維シートを実験用のダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿度50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。その際の繊維シートの上流側と下流側との差圧をMODUS社製デジタルマノメータMA2−04Pにて測定した。
[実施例1]
(無機粒子)
無機粒子として、平均粒径5μm、比表面積300m2/g、細孔径13nmの多孔質シリカ(洞海化学工業社製サンスフェア(登録商標)L−51)を用いた。
(無機粒子)
無機粒子として、平均粒径5μm、比表面積300m2/g、細孔径13nmの多孔質シリカ(洞海化学工業社製サンスフェア(登録商標)L−51)を用いた。
(酸ヒドラジド)
酸ヒドラジドとして、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製)を用いた。平衡水分率は1.2%であった。
酸ヒドラジドとして、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製)を用いた。平衡水分率は1.2%であった。
(アミノ基を有する吸湿剤)
アミノ基を有する吸湿剤としてエチレン尿素(関東化学社製)を用いた。平衡水分率は3.4%であった。
アミノ基を有する吸湿剤としてエチレン尿素(関東化学社製)を用いた。平衡水分率は3.4%であった。
(基材繊維シート)
基材繊維シートとして、単繊維繊度1.5dtexのビニロン16.5質量%と単繊維繊度7.1dtexのビニロン22質量%と単繊維繊度2.0dtexのポリエチレンテレフタレート16.5質量%とリン系難燃剤含有アクリル樹脂バインダー45質量%とからなる目付け70g/m2の不織布を用いた。
基材繊維シートとして、単繊維繊度1.5dtexのビニロン16.5質量%と単繊維繊度7.1dtexのビニロン22質量%と単繊維繊度2.0dtexのポリエチレンテレフタレート16.5質量%とリン系難燃剤含有アクリル樹脂バインダー45質量%とからなる目付け70g/m2の不織布を用いた。
(繊維シート)
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド3質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け102g/m2の繊維シートを得た。得られた繊維シートの圧力損失は16Paであった。
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド3質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け102g/m2の繊維シートを得た。得られた繊維シートの圧力損失は16Paであった。
[実施例2]
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(酸ヒドラジド)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(アミノ基を有する吸湿剤)
アミノ基を有する吸湿剤としてスルファミン酸グアニジン(三和ケミカル社製)を用いた。平衡水分率は4.2%であった。
アミノ基を有する吸湿剤としてスルファミン酸グアニジン(三和ケミカル社製)を用いた。平衡水分率は4.2%であった。
(基材繊維シート)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(繊維シート)
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド3質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け103g/m2の繊維シートを得た。
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド3質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け103g/m2の繊維シートを得た。
得られた繊維シートの圧力損失は17Paであった。
[比較例1]
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(酸ヒドラジド)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(アミノ基を有する吸湿剤)
アミノ基を有する吸湿剤は用いなかった。
アミノ基を有する吸湿剤は用いなかった。
(基材繊維シート)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(繊維シート)
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け102g/m2の繊維シートを得た。
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジド6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け102g/m2の繊維シートを得た。
得られた繊維シートの圧力損失は19Paであった。
[比較例2]
(無機粒子)
無機粒子は用いなかった。
(無機粒子)
無機粒子は用いなかった。
(酸ヒドラジド)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(アミノ基を有する吸湿剤)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(基材繊維シート)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(繊維シート)
前記酸ヒドラジド6質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、乾燥させて目付け95g/m2の繊維シートを得た。
前記酸ヒドラジド6質量%、前記アミノ基を有する吸湿剤6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、乾燥させて目付け95g/m2の繊維シートを得た。
得られた繊維シートの圧力損失は9Paであった。また、得られた繊維シートは、その表面に添着薬剤の結晶が大量に析出し、品位は不良であった。
[比較例3]
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(無機粒子)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(酸ヒドラジド)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(アミノ基を有する吸湿剤)
アミノ基を有する吸湿剤の代わりに尿素誘導体であるバルビツール酸(ナカライテスク社製)を用いた。平衡水分率は0.9%であり、吸湿性に乏しいものであった。
アミノ基を有する吸湿剤の代わりに尿素誘導体であるバルビツール酸(ナカライテスク社製)を用いた。平衡水分率は0.9%であり、吸湿性に乏しいものであった。
(基材繊維シート)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(繊維シート)
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジドを3質量%、前記尿素誘導体3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け101g/m2の繊維シートを得た。
前記無機粒子10質量%、前記酸ヒドラジドを3質量%、前記尿素誘導体3質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液中に前記基材繊維シートを含浸させた後ロールで絞り、前記水溶液を前記基材繊維シートに付着させた後、100℃で20分間乾燥させて、目付け101g/m2の繊維シートを得た。
得られた繊維シートの圧力損失は17Paであった。
[実施例3]
(無機粒子)
無機粒子として、平均粒径250μm、比表面積450m2/g、細孔径6nmの多孔質シリカ(富士シリシア社製キャリアクト(登録商標)Q−6)を用いた。
(無機粒子)
無機粒子として、平均粒径250μm、比表面積450m2/g、細孔径6nmの多孔質シリカ(富士シリシア社製キャリアクト(登録商標)Q−6)を用いた。
(酸ヒドラジド)
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
実施例1で用いたのと同様のものを用いた。
(アミノ基を有する吸湿剤)
アミノ基を有する吸湿剤としてスルファミン酸グアニジン(三和ケミカル社製)を用いた。水分率は4.2%であった。
アミノ基を有する吸湿剤としてスルファミン酸グアニジン(三和ケミカル社製)を用いた。水分率は4.2%であった。
(基材繊維シート)
基材繊維シートとして、単繊維繊度1.5dtexのビニロン16.5質量%と単繊維繊度7.1dtexのビニロン22質量%と単繊維繊度2.0dtexのポリエチレンテレフタレート16.5質量%とリン系難燃剤含有アクリル樹脂バインダー45質量%とからなる目付け40g/m2の不織布を用いた。
基材繊維シートとして、単繊維繊度1.5dtexのビニロン16.5質量%と単繊維繊度7.1dtexのビニロン22質量%と単繊維繊度2.0dtexのポリエチレンテレフタレート16.5質量%とリン系難燃剤含有アクリル樹脂バインダー45質量%とからなる目付け40g/m2の不織布を用いた。
(熱接着パウダー)
熱接着パウダーとしてEVAパウダー樹脂(東京インキ社製)を用いた。
熱接着パウダーとしてEVAパウダー樹脂(東京インキ社製)を用いた。
(脱臭剤)
前記無機粒子500gに、前記酸ヒドラジド質量6%、前記アミノ基を有する吸湿剤6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液1000gを満遍なく振り掛け、含浸させた後、100℃の乾燥機で20分間乾燥させ、粒子状の脱臭剤を得た。
前記無機粒子500gに、前記酸ヒドラジド質量6%、前記アミノ基を有する吸湿剤6質量%、およびウレタンバインダーを均一分散させた水溶液1000gを満遍なく振り掛け、含浸させた後、100℃の乾燥機で20分間乾燥させ、粒子状の脱臭剤を得た。
(積層シート)
前記脱臭剤と前記熱接着性パウダーとを7:3の配合比で混合した後、前記基材繊維シートの上に100g/m2となるように散布し、さらにもう一枚の前記基材繊維シートを積層した後、140℃の乾燥機を30秒間通過させ加熱した積層シートをクリアランス0.3mmの二本ロールでプレスし、一体化させた。得られた積層シートの目付けは180g/m2であった。得られた繊維シートの圧力損失は19Paであった。
前記脱臭剤と前記熱接着性パウダーとを7:3の配合比で混合した後、前記基材繊維シートの上に100g/m2となるように散布し、さらにもう一枚の前記基材繊維シートを積層した後、140℃の乾燥機を30秒間通過させ加熱した積層シートをクリアランス0.3mmの二本ロールでプレスし、一体化させた。得られた積層シートの目付けは180g/m2であった。得られた繊維シートの圧力損失は19Paであった。
各実施例・比較例のアセトアルデヒド除去効率の経時推移を図4に示す。実施例1,2,3は、初期捕集効率がそれぞれ52%、45%、43%と高く、経時的な捕集効率の低下も緩やかであった。それに対し、比較例1,3は初期捕集効率が42%、41%と実施例と同等であったが、経時的な捕集効率の低下が早く、吸着容量が実施例対比小さくなっていた。比較例2は初期捕集効率が15%と低く、更に経時的にも急激に捕集効率が低下した。
比較例1で性能が低い理由としては、アミノ基を有する吸湿剤を含まないため、多孔質シリカ細孔内部のアジピン酸ジヒドラジドが十分に機能できていないためと考えられる。
また比較例2は、アジピン酸ジヒドラジドとアミノ基を有する吸湿剤であるエチレン尿素の両方を添着しているにも関わらず、実施例と比べて初期捕集効率、吸着容量とも不十分であり、さらに品位も不良であった。これは無機粒子を用いずに薬品のみを過剰に添着しても、アルデヒド除去性能が向上しないばかりか逆に他のフィルター性能に悪影響を与えることを示しており、酸ヒドラジドとアミノ基を有する吸湿剤の相乗効果を得るためには、無機粒子が必須であることがわかる。
また比較例3は、アジピン酸ジヒドラジドと実施例1で使用したエチレン尿素と同様に尿素結合を有するバルビツール酸を添着しているにも関わらず、実施例と比べて初期捕集効率、吸着容量とも不十分であった。すなわち、これはバルビツール酸の吸湿性が実施例のエチレン尿素やスルファミン酸グアニジンに比べ低いため、酸ヒドラジドとの相乗効果が得られなかったと考えられる。
本発明による繊維シートは自動車や鉄道車両等の車室内の空気を清浄化するためのエアフィルター、健康住宅、ペット対応マンション、高齢者入所施設、病院、オフィス等で使用される空気清浄機用フィルター、エアコン用フィルター、OA機器の吸気・排気フィルター、ビル空調用フィルター、産業用クリーンルーム用フィルター等のエアフィルター濾材として好ましく使用される。
1 エアフィルター濾材(プリーツ型)
2 エアフィルター濾材(ハニカム型)
3 枠体
2 エアフィルター濾材(ハニカム型)
3 枠体
Claims (6)
- 無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を少なくとも繊維の表面上に有することを特徴とする繊維シート。
- アミノ基を有する吸湿剤が、尿素及び尿素誘導体、グアニジン塩、アミノグアニジン塩の中の少なくとも一種である、請求項1記載の繊維シート。
- アミノ基を有する吸湿剤の吸湿性が、温度20℃、相対湿度65%に調整された環境下における平衡水分率で1.5%以上である、請求項1〜2のいずれか記載の繊維シート。
- 無機粒子、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤を混合分散させた液を繊維に保持させ、さらに乾燥させる工程を経て請求項1〜3のいずれか記載の繊維シートを得ることを特徴とする繊維シートの製造方法。
- 無機粒子に、酸ヒドラジド、およびアミノ基を有する吸湿剤が担持されてなる脱臭剤。
- 請求項1〜3のいずれか記載のアルデヒド類除去シートを用いてなることを特徴とするエアフィルター。
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