JP2008138293A - 建築用耐火鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.13%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、Mo:0.3〜1.3%、Ti:0.03〜0.1%、sol.Al:0.003〜0.07%、N:0.01%以下を含有し、さらに、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.03%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%からなる群より選択される1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
【選択図】 なし
Description
ここで、
Δ[CasTiC]=12/48×{(高温保持後のTi炭化物析出量)−(高温保持前のTi炭化物析出量)}
Δ[CasMoC]=12/96×{(高温保持後のMo炭化物析出量)−(高温保持前のMo炭化物析出量)}
Δ[CasVC]=12/51×{(高温保持後のV炭化物析出量)−(高温保持前のV炭化物析出量)}
但し、V無添加の場合は、Δ[CasVC]=0。
但し、V無添加の場合はΔ[CasVC]=0。
(1)C:0.01〜0.13%
Cは、常温強度と共に、600℃以上で、Ti等との微細複合炭化物を析出して高温降伏強度を向上させるため、0.01%以上添加する。一方、0.13%を超えて添加すると、構造用鋼としての延靭性や溶接性が劣化する。従って、C含有量は0.01〜0.13%の範囲とする。
Siは、脱酸および固溶強化に寄与するため、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えて添加すると延靭性が低下し、常温強度が過剰となる。従って、Si含有量は0.01〜0.5%の範囲とする。
Mnは、本発明において重要な元素である。高温強度/常温強度比を高くするために、常温強度にのみ寄与するMn量を低減する。
Mnは、JISで規定するSN材としての常温強度を確保するために、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えて添加すると、常温強度が高くなり高温強度/常温強度比が低下するとともに、SN材としての常温強度を超える場合がある。また、溶接性も劣化する。従って、Mn含有量は0.01〜0.5%の範囲とする。
Moは、焼入れ性の向上、析出強化に寄与して常温強度を向上させる。また、Ti,Vとの複合添加により後述するTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物を形成して高温強度を向上させるため、0.3%以上添加する。一方、1.3%を超える添加は、常温強度が高くなり過ぎてJISで規定するSN材の規格を超えるとともに、溶接性、靭性が劣化する。従って、Mo含有量は0.3〜1.3%の範囲とする。
Tiは、Mo,Vとの複合添加によりTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物を形成して高温強度を向上させるため、0.03%以上添加する。一方、0.1%を超えて添加すると、溶接性および靭性が劣化する。従って、Ti含有量は0.03〜0.1%の範囲とする。
高温強度/常温強度比を高くするため、常温強度にのみ寄与するMn量を低減して(Mo+Ti)/Mnを1以上とすることが好ましく、さらに、1.5以上とすることがより好ましい。但し、元素記号は鋼材中の各元素の含有量(質量%)を表す。この値が1未満では、目標とするYS比(650℃YS/常温YS≧0.5、700℃YS/常温YS≧0.4)が得られないか、あるいは常温強度が高くなり、SN材の規格強度を超えてJIS規格から外れる恐れがある。
P,Sは不可避的不純物であり、延靭性、加工性及び溶接性を低下させるため、その含有量は、夫々0.03%以下とする。下限は構造用鋼としての生産原価を満足する範囲で低減させることが望ましいが、特に限定しない。
Alは脱酸のため、また、sol.AlはAlNとして鋼中に析出し、結晶粒の微細化に有効なため、0.003%以上添加する。一方、0.07%を超えて過剰に添加すると介在物が多くなり、延靭性が低下する。従って、sol.Alの含有量は0.003〜0.07%の範囲とする。
Nは、AlNとして析出して結晶粒を微細化するが、0.01%を超えて添加すると溶接部靭性が低下し、Ti添加の効果が損なわれる。従って、N含有量は0.01%以下、好ましくは0.006%以下とする。
Vは、析出強化に寄与して常温強度、高温強度を上昇させるため、0.01%以上添加する。特に、Mo,Tiとの複合添加により、Ti−Mo−V系複合炭化物が微細析出し、顕著な効果が得られる。一方、0.1%を超えて添加すると硬化し、更に溶接性が劣化する。従って、Vを添加する場合、その含有量は0.01〜0.10%の範囲とする。
Nbは、析出強化に寄与して常温強度、高温強度を上昇させるため、0.005%以上添加する。特に、Mo,Ti,Vとの複合添加により、複合炭化物が微細に析出し、顕著な効果が得られる。一方、0.10%を超えて添加すると硬化し、更に溶接性が劣化する。従って、Nbを添加する場合、その含有量は0.005〜0.03%の範囲とする。
Crは、固溶強化に寄与して常温強度、高温強度を上昇させるため、0.03%以上添加する。特に、Mo,Ti,Nbとの複合添加により、複合炭化物が微細析出し、顕著な効果が得られる。一方、0.5%を超えて添加すると硬化し、更に溶接性が劣化する。従って、Crを添加する場合、その含有量は0.03〜0.5%の範囲とする。
Cuは、固溶強化に寄与して常温強度を上昇させるため、0.03%以上添加する。一方、0.5%を超えて添加すると硬化し、鋼板表面疵を生じる。従って、Cuを添加する場合、その含有量は0.003〜0.5%の範囲とする。
Niは、低温靭性、強度を向上させるため、0.03%以上添加する。一方、0.5%を超えて添加すると硬化し、生産原価を上昇させる。従って、Niを添加する場合、その含有量は0.03〜0.5%の範囲とする。
Ca,Mg,REMの元素は、介在物の形態制御やS等の不純物元素の固定により靭性を向上させる。添加する場合は、その含有量をCa:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%の範囲とする。
本発明鋼を600〜700℃の高温に加熱すると、微細なTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物が析出して高い高温強度を示す。これらの析出物は高温耐火時に多量に析出するため、結果的に、高い高温強度/常温強度比となる。
本発明の目的である650℃YS/常温YS≧0.5、700℃YS/常温YS≧0.4を満足するためには、高温加熱時に一定量以上のTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物を析出させる必要がある。
ここで、ビッカース硬度Hv10とは、圧子の荷重条件を10kgとして測定したときの硬さ指数をいう。なお、硬さの差は、同一鋼板の加熱前後にける板厚方向1/4tの位置における常温硬度の値の差とする。
Δ[CasTiC]+Δ[CasMoC]+Δ[CasVC]
高温加熱時に析出するTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物は下記の組成、析出量を有することが望ましい。
Δ[CasTiC]+Δ[CasMoC]…(1)’。
Δ[CasTiC]+Δ[CasMoC]+Δ[CasVC]…(1)。
Δ[CasTiC]=12/48×{(高温保持後のTi炭化物析出量)−(高温保持前のTi炭化物析出量)}
Δ[CasMoC]=12/96×{(高温保持後のMo炭化物析出量)−(高温保持前のMo炭化物析出量)}
Δ[CasVC]=12/51×{(高温保持後のV炭化物析出量)−(高温保持前のV炭化物析出量)}
但し、Δ[CasTiC]、Δ[CasMoC]、Δ[CasVC]は、高温保持した時に、それぞれTi炭化物、Mo炭化物、V炭化物が組織中に新たに析出する際に消費される炭素量を示す。なお、各金属元素の析出量は、10%アセチルアセトン−メタノール電解抽出により鋼中から抽出した残渣をICP発光分析法により求める。
Ti−Mo系複合炭化物またはTi−Mo−V系複合炭化物中の金属元素の比が下記式(2)を満足すると、析出物が非常に小さく且つ安定であり、他の析出物に比べて高温強度向上に非常に有効である。この下記(2)式の範囲外では、析出物サイズが大きくなり、高温強度への寄与が不十分となる恐れがある。
0.9≦Δ[CasMoC]/(Δ[CasTiC]+Δ[CasVC])≦2.0…(2)
但し、V無添加の場合は、Δ[CasVC]=0である。
(17)スラブ加熱温度:1000℃以上
スラブ加熱温度は、Ti,Nb,Vを固溶させ、Mo,Tiの複合添加による高温強度向上効果を得るため、JISに規定されているSN490材の規格強度を満足するためには1000℃以上とする。
圧延終了温度は、800℃未満では高温強度が低下し、1000℃を超えると結晶粒が粗大化して焼入れ性が向上し、常温強度が高くなりすぎるため、JISに規定されているSN490材の規格強度を満足するためには800〜1000℃の温度範囲とする。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.01〜0.13%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜0.5%、Mo:0.3〜1.3%、Ti:0.03〜0.1%、sol.Al:0.003〜0.07%、N:0.01%以下を含有し、さらに、V:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.03%、Cr:0.03〜0.5%、Cu:0.03〜0.5%、Ni:0.03〜0.5%、Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.02%からなる群より選択される1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高温耐火特性および溶接性に優れた建築用耐火鋼材。
- Mo、TiおよびMnの含有量が、質量%で、(Mo+Ti)/Mn≧1を満足することを特徴とする請求項1記載の高温耐火特性および溶接性に優れた建築用耐火鋼材。
- 650℃から700℃の温度範囲に10分から30分加熱保持した後に室温まで冷却したときの硬さが、ビッカース硬度Hv10で、加熱前よりも10以上高いことを特徴とする請求項1または2のいずれか一方に記載の高温耐火特性および溶接性に優れた建築用耐火鋼材。
- 650℃から700℃の温度範囲に10分から30分加熱保持したときに析出するTi−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物の析出量が、下記(1)式で定義される炭化物炭素当量値で50ppm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載の高温耐火特性および溶接性に優れた建築用耐火鋼材。
Δ[CasTiC]+Δ[CasMoC]+Δ[CasVC]…(1)
ここで、Δ[CasTiC]=12/48×{(高温保持後のTi炭化物析出量)−(高温保持前のTi炭化物析出量)}
Δ[CasMoC]=12/96×{(高温保持後のMo炭化物析出量)−(高温保持前のMo炭化物析出量)}
Δ[CasVC]=12/51×{(高温保持後のV炭化物析出量)−(高温保持前のV炭化物析出量)}
但し、V無添加の場合は、Δ[CasVC]=0 - 前記Ti−Mo系炭化物またはTi−Mo−V系炭化物の析出量が、さらに下記(2)式を満足することを特徴とする請求項4に記載の高温耐火特性および溶接性に優れた建築用耐火鋼材。
0.9≦Δ[CasMoC]/(Δ[CasTiC]+Δ[CasVC])≦2.0…(2)
但し、V無添加の場合は、Δ[CasVC]=0 - 請求項1または2のいずれか一方に記載の組成を有する鋼を1000℃以上に加熱した後、圧延終了温度を800℃から1000℃までの範囲とする熱間圧延を行うことを特徴とする高温耐火特性および溶接性に優れた490N/mm2級建築用耐火鋼材の製造方法。
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