(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図3はパチンコ機10を構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。なお、図2、図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
図1〜図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は横長状に形成され、その横幅は本体枠12の横幅とほぼ一致するように構成されている。前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成する奥壁パネル17とを備えている。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。奥壁パネル17には球排出口17aが設けられており、球排出口17aより排出された遊技球が下皿16内に貯留されるようになっている。
奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。従って、前面板14と前扉枠13とにより本体枠12の前面側全体が覆われている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には上方に開口した上皿23が設けられている。上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置側へ導くための球受皿である。
図3に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース25の窓孔26を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。
次に、遊技盤30の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。
作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。このセンターフレーム43は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。センターフレーム43の上部中央には、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48が横並びの状態で設けられている。また、これら両特定ランプ部47,48が配設された領域を挟むように、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41に対応した保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。センターフレーム43の下部には、第2特定ランプ部48に対応した保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、前記保留ランプ44と同様に、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。
図柄表示装置41は8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の図柄の組合せが停止表示された場合には、大当たり発生となると共にそれ以降の遊技状態が特別遊技状態としての大当たり状態に移行することとなる。
第1特定ランプ部47には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口33への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。そして、最終的に緑色又は青色が停止表示された場合には、大当たり発生となると共にそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行する。
一方、第2特定ランプ部48には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この第2特定ランプ部48は、スルーゲート34の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。そして、最終的に赤色が停止表示された場合には、作動口33に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり状態に移行すると遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。
遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
レールユニット50によって形成される球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路76(図3参照)に導く機能を有する。
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機10前面側に露出されるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース25において、窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース25に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後球案内通路を通じて遊技領域に案内される。
発射レール61と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路76が設けられている。従って、仮に遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路76を介して下皿16に排出される。
また、本体枠12の前面において発射レール61の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23又は下皿16の何れかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(図10参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
遊技球案内ユニット70は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した状態で本体枠12と前扉枠13との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。遊技球案内ユニット70には、前記排出口66,67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。従って、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機10にあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(図2参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。従って、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。なお、遊技球案内ユニット70の球排出通路71下流側には、下皿16に排出された遊技球が一杯(満タン)になったことを検知する下皿満タンスイッチが取り付けられている。
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、図4で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59及び小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(図2参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。従って、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。この場合、シリンダ錠91は、遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
次に、前扉枠13について図1,図5を参照しつつ説明する。なお、図5は、前扉枠13の背面図である。
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり状態下や所定のリーチ演出時等において点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態下で点灯や点滅を行うことにより大当たり状態に移行していることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。
図5の右側となる開閉軸線側にはその上端部及び下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。
図5の左側となる開閉軸線とは反対側には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(図3参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
下側の部位には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機10後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。
前扉枠13にはガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。なお、図6はパチンコ機10の背面図、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
まず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置270(主制御基板271)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、発射制御装置312(発射制御基板)及び電源装置313(電源基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図8の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
各ユニット201〜203を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット201〜203をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット201については、締結部M2の締結及び係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット201を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203がない前提であれば、第1制御基板ユニット201を取り外すことができる。また、第2制御基板ユニット202については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット202を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット202を取り外すことができる。さらに、裏パックユニット203については、締結部M7の締結及び係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット203を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203を取り外すことができる。
ここで、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。この場合、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203に一部重複して設けられるため、裏パックユニット203を開かないことには第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能であり、さらに言うと、第1制御基板ユニット201及び裏パックユニット203が各々逆方向に展開する構成であるため、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能である。
次に、本体枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、図9は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203等を取り外した状態の構成を示す背面図である。
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。図9にはロック状態を示す。
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(図4参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂等の合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部の例えば遊技ホールの島設備等へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に集合板ユニット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複していない。従って、遊技盤30を本体枠12から取り外す際において、排出通路盤17が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置にカウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、カウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226及び大入賞口中継基板227が主制御装置270に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置270に接続されている。その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口の開閉扉を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域かその他の領域に振り分けるための振分板を駆動する入賞球振分板ソレノイドとが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置270に取り込まれ、該主制御装置270よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信される。そして、払出制御装置311の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。なお、図9に示すように、本体枠12裏側の左下部には、打球槌等を備えるセットハンドル228及び発射モータ229が設けられている。
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔が形成されている。また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233が設けられている。
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235が取り付けられている。この軸受け金具235は補強部材としても機能する。軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている。本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方及び右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。
上記の如く本体枠12の左右一側部(図9では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(図9では左側部)には施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。
次に、第1制御基板ユニット201の構成を図10〜図13に基づいて説明する。図10は第1制御基板ユニット201の正面図、図11は第1制御基板ユニット201の斜視図、図12は第1制御基板ユニット201の分解斜視図、図13は第1制御基板ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置270と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。主制御装置270は、遊技の主たる制御を司る機能を有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。主制御装置270には複数のコネクタが設けられており、各コネクタにハーネスや信号線が差し込まれることで、他の基板等(払出制御基板、盤面中継基板226等)との電気的な接続がなされるようになっている。なお、主制御装置270の詳細な構成については後に説明する。
音声ランプ制御装置272は、例えば主制御装置270又は表示制御装置214からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス274に収容されて構成されている。
取付台251は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製であり、例えば緑や青等に着色されて不透明とされている。但し、取付台251は無色透明又は半透明であってもよい。取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。基板搭載面252の上縁部及び下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置270が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置270は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置272は、複数箇所でネジ等により基板搭載面253に固定される。
ここで、図13に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。一方、主制御装置270の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具275が設けられている。主制御装置270を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具275が挿通されるように主制御装置270を載置し、その状態で固定具275を回動操作することで主制御装置270がロックされる。したがって、主制御装置270は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具275をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が得られる。
また、取付台251において、主制御基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。したがって、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することが抑制されている。また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機10背面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている。取付台251の上端部には前記係止爪片233が係止される長孔263が設けられている。したがって、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、軸受け金具231及び掛止ピン261が前記支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ262が前記締結部M2に、係止爪片233及び長孔263が前記係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、主制御装置270の構成を図14に基づいて説明する。図14は主制御装置270の分解斜視図である。
主制御装置270の基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベース280と当該ボックスベース280の開口部を覆うボックスカバー290とから構成されており、それらボックスベース280とボックスカバー290とから構成される内部空間に主制御基板271が収容されている。
主制御基板271は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生機、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ501に1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ507及びラッチ用ICチップ508が搭載されている。
主制御基板271は、ボックスカバー290に対してネジ固定されており、各種チップ501,507,508が搭載された部品搭載面271aはボックスカバー290側を向いている。
ボックスベース280及びボックスカバー290は、透明性を有するポリカーボネート樹脂により形成されている。なお、これらボックスベース280及びボックスカバー290を成型する材料は透明性を有する材料であれば、ポリカーボネート樹脂に限定されることはなく、例えば、アクリル樹脂などであってもよい。ここで、図6に示すように、主制御装置270はパチンコ機10の背面部を構成しており、さらに主制御装置270はボックスカバー290がボックスベース280に対して後側となるようにして配置されている。したがって、部品搭載面271aは、パチンコ機10の後側を向いていると言える。そして、上記のとおりボックスカバー290が透明性を有する材料により形成されている。よって、遊技ホール(遊技場)等への設置状態にあるパチンコ機10において外枠11に対して本体枠12を開きパチンコ機10の背面部を手前側に開放することで、主制御装置270を取り外さなくても部品搭載面271aを確認可能となっている。
ボックスベース280には、底板部281の長辺側に側板部282が形成されており、短辺側の一側には側板部282に連なるようにして段差部283が形成されている。側板部282の先端は内側に折り曲げて形成されている。側板部282における段差部283が形成された端部とは反対側の端部は、ボックスカバー290をスライド装着するための装着口284となっている。以上の構成において、主制御装置270の組み立てに際しては、主制御基板271がネジ止めされたボックスカバー290を装着口284から挿し込み、当該ボックスカバー290の挿し込み方向側が段差部283に当たるまでスライド移動させる。
ボックスカバー290には、ボックスベース280の段差部283と重なるようにして延出部291が一体形成されている。延出部291はボックスベース280の段差部283と共に封印手段としての封印ユニット274を構成しており、当該封印ユニット274によってボックスベース280とボックスカバー290とが連結され、基板ボックス273が封印されている。
封印ユニット274は、ボックスベース280とボックスカバー290とを連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図14に示すように、複数組(具体的には、5組)の封印部材285,292が形成された構成となっており、1組の封印部材285,292の長孔に係止爪を挿入することでボックスベース280とボックスカバー290とが連結されるようになっている。この場合、係止爪を封印部材285,292から抜くことが不可能な構成となっているため、基板ボックス273を開封するために封印部材285,292を破壊する必要が生じる。よって、基板ボックス273が不正に開封されたことの履歴を残すことができ、主制御基板271に対して不正が行われたことの発見が可能となっている。
ボックスベース280及びボックスカバー290には、封印ユニット274が設けられた側部とは反対側の側部に貼付板部286,293が一体形成されており、これら貼付板部286,293が締結具(連結具)としての金属製のネジ295によって締結されている(連結されている)。また、両貼付板部286,293を跨ぐようにして封印シール276が貼り付けられている。当該封印シール276は、貼付状態から剥がす際にその痕跡が残る構成となっている。詳細には、貼付状態から剥がす際には、封印シール276の着色された粘着層が貼付対象に残る構成となっている。したがって、ネジ295による締結状態を解除すべく封印シール276を貼付板部286,293から剥がすと、その痕跡を残すことができ、主制御基板271に対して不正が行われたことの発見が可能となっている。
上記のとおり封印ユニット274及び封印シール276が設けられていることにより、主制御基板271に対して不正が行われたことの発見が可能となっている。しかしながら、これら封印ユニット274及び封印シール276が設けられた構成であっても、それらの封印の解除を痕跡が残らないように巧妙に行う、又は主制御装置270をまるごと交換すること等により、主制御基板271を偽造基板に交換するといった不正行為が行われることが想定される。また、上記偽造基板を日本国内ではなく例えば製造コストの安い国で製造し、それを日本国内に輸入して上記不正行為を行うことが想定される。かかる行為が行われると、製造コストが安いことに起因して多量の偽造基板が製造され、上記不正行為が大規模に行われてしまうおそれがある。そうすると、その被害は甚大なものとなってしまう。これに対して、本パチンコ機10では、偽造基板を日本国外で製造し、それを日本国内に輸入しようとする行為を抑制可能な構成が設けられている。
そこで、当該抑制可能な構成について図15及び図16に基づいて以下に説明する。図15は主制御基板271の部品搭載面271aの一部を拡大して示す正面図、図16は図15におけるA―A線断面図である。なお、図16においては、理解を容易なものとするために、主制御基板271等の厚み寸法を実際よりも大きく示す。
主制御基板271の部品搭載面271aは、銅等の金属からなる配線Wによって回路パターンが形成されており、その回路パターンがソルダレジストSRによって覆われて構成されている。ソルダレジストSRは、緑色に着色された合成樹脂により、電子部品の接続箇所を除いて部品搭載面271aの略全面を覆うようにして形成されている。当該ソルダレジストSRは、部品搭載面271aに電子部品を半田付けする際にその半田が配線Wに付着するのを防止する機能と、配線Wの腐食を抑制する機能とを少なくとも有する。
ここで、ソルダレジストSRの膜厚は比較的薄膜(例えば、10μm)に形成されており、回路パターンの凹凸(配線Wの厚みは、例えば、40μm)に追従している。これにより、当該凹凸が平坦化されていない。また、主制御基板271はエポキシ樹脂などの絶縁板IBに銅等の金属箔が離脱不能に貼付(積層)されて構成されており、部品搭載面271aには凹凸部分に色のコントラストが生じる。したがって、部品搭載面271aにおいて回路パターンの形状が視認可能となっている。
部品搭載面271aには、上述したCPUチップ501やその他、抵抗などといった電子部品が搭載されている。これら電子部品は、そのリード線が主制御基板271を貫通するようにして取り付けられており、そのリード線が主制御基板271における部品搭載面271aとは反対側の板面271bに半田付けされている。当該構成から、主制御基板271における部品搭載面271aとは反対側の板面271bを、半田面271bと称することができる。
半田面271bは、部品搭載面271aと同様に、銅等の金属からなる配線Wによって回路パターンが形成されており、その回路パターンがソルダレジストSRによって覆われて構成されている。但し、当該半田面271b上には、電子部品は搭載されていない。なお、主制御基板271の構成は上記のものに限定されることはなく、半田面271bにも電子部品が搭載される構成であってもよい。すなわち、主制御基板271の両板面に電子部品が搭載される構成であってもよい。
上記構成において、部品搭載面271aにはその隅角側に、各種表示部277,278,279が形成されている。詳細には、当該主制御基板271の用途を表示する複数(具体的には、2個)の用途表示部277,278と、当該主制御基板271の製造地(又は製造国)を表示する製造地表示部(製造国表示部)とが形成されている。これら、各用途表示部277,278及び製造地表示部279は、主制御基板271における所定の一辺に沿って並設されている。すなわち、各用途表示部277,278及び製造地表示部279は、主制御基板271の部品搭載面271aにおいて表示部集約領域に集約させて設けられている。
用途表示部277,278は、カタカナで用途が表示された第1用途表示部277と、ローマ字で用途が表示された第2用途表示部278とからなる。具体的には、第1用途表示部277には、カタカナにより「パチンコ」と表示されており、第2用途表示部278には、ローマ字により「PACHINKO」と表示されている。第1用途表示部277が形成されていることにより日本語を理解できる者が当該主制御基板271の用途を明確に把握することができるとともに、第2用途表示部278が形成されていることにより日本語を理解できない者であっても当該主制御基板271の用途を把握することが可能となっている。なお、第1用途表示部277に表示される文字は、カタカナに限定されることはなく、平仮名や漢字であってもよい。また、第2用途表示部278に表示される文字は、ローマ字に限定されることはなく、簡体字、繁体字、又はハングル文字などであってもよい。さらには、ローマ字用や簡体字用に第2用途表示部278を複数備える構成であってもよい。
製造地表示部279は、英単語により製造地が表示されている。具体的には、「MADE IN JAPAN」と表示されている。正規の主制御基板271は、日本国内で製造されるからである。製造地表示部279が形成されていることにより当該主制御基板271の製造地を明確に把握することができる。特に、製造地は英単語で表示されており、この表示された英単語は英語圏の国でなくてもその意味が比較的容易に理解されるものと考えられる。なお、製造地表示部279に表示される文字は、少なくとも日本国内において容易に理解されるものであればよく、平仮名、カタカナ、漢字、又はローマ字であってもよい。
用途表示部277,278及び製造地表示部279は、その文字パターン(製造地表示部279については、文字パターン279a)が、回路パターンの配線Wと同様に銅等の金属によって形成されており、当該文字がソルダレジストSRにより覆われて構成されている。すなわち、用途表示部277,278及び製造地表示部279の形成は、主制御基板271の回路パターン等の形成工程において合わせて行われている。
そこで、以下に主制御基板271の回路パターン等の形成工程について図17を用いて説明する。図17は、回路パターン等の形成工程を説明するための説明図である。
当該形成工程においては、その準備工程として、図17(a)に示すように、絶縁板IBの両面全体に銅箔CF(回路形成用の金属箔)が貼付されて構成された両面銅貼積層板(金属箔貼付板)を用意する。また、当該準備工程では、さらに両面銅貼積層板に対して孔開け工程、及びスルーホールメッキ工程を行い、スルーホールTHを形成する。
その後、フォトレジスト形成工程を両面銅貼積層板の両面に対して行うことで、図17(b)に示すように、両面銅貼積層板の両面にフォトレジストFRを積層する。その後、フォトレジストFRに対して所定の回路パターンマスクを用いて回路転写工程を行うことで、図17(c)に示すように、フォトレジストFRにエッチング用の開口H1を形成する。ちなみに、この回路パターンマスクには、回路パターンだけでなく、各用途表示部パターン及び製造地表示部パターンが設けられている。
その後、銅箔CFのエッチング工程を行うことにより、図17(d)に示すように、銅箔CFに回路形成用の開口H2を形成する。当該開口H2において絶縁板IBの板面が露出している。その後、フォトレジスト除去工程を行うことで、図17(e)に示すように、フォトレジストFRが除去されて銅箔CFが露出した状態となる。これにより、配線Wの形成が完了し、回路パターンの形成が完了する。また、この回路パターンの形成が完了するのに合わせて、用途表示部277,278の文字パターン及び製造地表示部279の文字パターン279aの形成が完了する。
その後、ソルダレジスト形成工程を行うことにより、図17(f)に示すように、回路パターンがソルダレジストSRにより覆われ、回路パターン等の形成工程が完了する。また、これに合わせて、用途表示部277,278の文字パターン及び製造地表示部279の文字パターン279aがソルダレジストSRにより覆われ、各用途表示部277,278及び製造地表示部279の形成が完了する。
用途表示部277,278及び製造地表示部279が上記のように回路パターンと同様に形成されていることにより、用途表示部277,278の文字パターン及び製造地表示部279の文字パターン279aは、ソルダレジストSRに覆われた構成であっても部品搭載面271aにおいて確認可能となっている。
すなわち、ソルダレジストSRは、用途表示部277,278及び製造地表示部279の文字の凹凸に追従しており当該凹凸が平坦化されていない。さらに、主制御基板271は絶縁板IBに銅等の金属箔が離脱不能に貼付されて構成されており、部品搭載面271aには凹凸部分に色のコントラストが生じる。したがって、部品搭載面271aにおいて、用途表示部277,278の文字パターン及び製造地表示部279の文字パターン279aは確認可能となっている。
ちなみに、用途表示部277,278及び製造地表示部279が形成された部品搭載面271aは、上記のとおりボックスカバー290側を向いている。また、ボックスカバー290は透明性を有しており、主制御基板271が基板ボックス273に収容された状態において用途表示部277,278及び製造地表示部279の文字が確認可能となっている。さらには、上記のとおり部品搭載面271aは、遊技ホール等への設置状態にあるパチンコ機10において外枠11に対して本体枠12を開きパチンコ機10の背面部を手前側に開放することで、主制御装置270を取り外さなくても確認可能となっている。したがって、用途表示部277,278及び製造地表示部279の文字に関しても、上記のようにパチンコ機10の背面部を手前側に開放することで、主制御装置270を取り外さなくても確認可能となっている。
以上のように用途表示部277,278及び製造地表示部279が形成されていることにより、偽造基板を日本国外で製造し、それを日本国内に輸入しようとする行為を抑制することができる。つまり、正規の主制御基板271において用途表示部277,278及び製造地表示部279が形成されている場合、不正行為者にとってはその不正交換を容易に見破られないようにするために、偽造基板においても用途表示部277,278及び製造地表示部279を形成する必要が生じる。かかる事情において、日本国外で製造した偽造基板の製造地表示部279に日本製である旨が表示されていると、少なくともその偽造基板の日本国内への輸入に際して、税関にて製造地表示の誤認表示に該当するということで輸入停止措置がなされる。特に、用途表示部277,278が設けられておりその基板の用途が各種不正行為の対象となるものとして広く知られたパチンコ機10である旨が表示されている状態において、製造地表示の誤認表示がなされている場合、輸入停止措置がなされる可能性は高くなる。さらには、製造地表示部279において製造地の表示が英単語によってなされており、また第2用途表示部278において用途の表示がローマ字によってなされていることにより、日本国内への輸入時だけでなく、日本へ向けた輸出時において輸出停止装置がなされることも期待できる。
また、偽造基板の製造時においては製造地表示部279の表示を実際の製造地としておき、日本国内への輸入後に当該表示を製造地が日本である旨に変更する行為が想定される。これに対して、上記のとおり製造地表示部279の文字は回路パターンと同様に銅箔CFをエッチングすることにより形成されているため、その内容を変更するには銅箔CFの再形成、及び銅箔CFのエッチング等を要し、当該行為は手間となり、さらには電子部品が実装された状態において行う必要があるため実質的に不可能である。
また、仮に何らかの方法で内容変更が可能であったとしても、内容変更をする際にはソルダレジストSRを除去する必要がある。そして、ソルダレジストSRを除去するためには、部品搭載面271aに搭載された各種電子部品を取り外す必要が生じる。これは相当な手間となり、日本国外で偽造基板を製造するメリット(例えば、コスト面)が消失することとなる。また、製造地表示部279におけるソルダレジストSRのみを除去することも想定されるが、かかる場合、文字内容の変更後に新たに形成されたソルダレジストSRと元々形成されていたソルダレジストSRとの間で差異(例えば、新たに形成されたソルダレジストSRと元々形成されていたソルダレジストSRとの境界部分)が生じるものと考えられ、その痕跡が残ることとなる。また、それを解消しようとすると、相当な手間となり、上記のとおり日本国外で偽造基板を製造するメリットが消失する。以上より、偽造基板を日本国外で製造し、それを日本国内に輸入しようとする行為を抑制することができる。
次に、第2制御基板ユニット202の構成を図18〜図20に基づいて説明する。図18は第2制御基板ユニット202の正面図、図19は同ユニット202の斜視図、図20は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、及び電源装置313が搭載されている。払出制御装置311及び発射制御装置312は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われる。また、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、及び電源装置313は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、主制御装置270と同様、被包手段を構成する基板ボックス315がボックスベースとボックスカバーとを備え、それらが封印手段としての封印ユニット319によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。基板搭載面302には、発射制御装置312、及び電源装置313が横並びとなった状態で搭載され、ネジ等で固定されている。電源装置313の基板ボックス317上には略平板状の台座プレート303が載置されるとともに台座プレート303上に払出制御装置311が搭載され、ネジ等で固定されている。
取付台301には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン305が設けられており、掛止ピン305を前記軸受け部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台301の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を前記被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。なお、軸受け部237及び掛止ピン305が前記支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が前記締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を図21に基づいて説明する。図21は裏パックユニット203の正面図である。
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置272も併せて囲む構成となっている。
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出制御装置311の制御により払出モータ358aが駆動されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿23等に供給される。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
裏パック351には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。なお、軸受け部238及び掛止ピン385が前記支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が前記締結部M7に、固定具242及び係止孔387が前記係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が前記係止部M9に相当する。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図22のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置270(主制御基板271)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路やタイマ回路、割込回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込み処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
主制御装置270のCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。主制御装置270の入力側には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311や、その他図示しないスイッチ群や中継基板などが接続されている。一方、主制御装置270の出力側には、払出制御装置311や表示制御装置214が接続されている。また、第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプのスイッチや第2特定ランプ部48に配設されたLEDランプのスイッチも接続されている。
主制御装置270のCPU501では、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、及び作動口スイッチ224からの検出信号に基づいて一般入賞口31、可変入賞装置32、及び作動口33における入球判定を行い、その判定の結果、いずれかにおいて遊技球が入球したと判定した場合に、払出装置358から遊技球を払い出すよう払出制御装置311に対して賞球コマンドを出力する。また、主制御装置270のCPU501では、作動口スイッチ224からの検出信号に基づいて作動口33に遊技球が入球したと判定した場合に当否判定(当否抽選)を行い、その判定の結果が当選であった場合には遊技状態を通常遊技状態から特別遊技状態(大当たり状態)に移行させる。大当たり状態に移行することで、可変入賞装置32の開閉制御が行われ、それに基づいて遊技者に対して多量の遊技球が払い出される。ちなみに、上記当否判定の結果は、表示制御装置214を介して図柄表示装置41にて表示されるとともに、第1特定ランプ部47においても表示される。
払出制御装置311(払出制御基板)は、主制御装置270から入力する賞球コマンドに基づいて払出モータ358a(払出装置358)を動作させ賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置270のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込み処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置270のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により、NMI割込み処理が即座に実行されるようになっている。
払出制御装置311のCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置270、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
表示制御装置214は、図柄表示装置41における第1図柄(特別図柄)の変動表示を制御するものである。表示制御装置214は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御装置270の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力側には音声ランプ制御装置272が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力側には図柄表示装置41が接続されている。
表示制御装置214のCPU521は、主制御装置270から送信される図柄表示コマンドに基づいて図柄表示装置41の表示を制御する。ROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、図柄表示装置41に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き替えることにより、図柄表示装置41の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、図柄表示装置41に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置41に表示させるものである。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置270や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置270や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置270のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置270及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置270及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込み処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込み処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置270及び払出制御装置311は、NMI割込み処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置270及び払出制御装置311のバックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。RAM消去スイッチ323が押された際、RAM消去スイッチ回路543は、主制御装置270及び払出制御装置311に対してRAM消去信号SG2を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御装置270及び払出制御装置311においてそれぞれのバックアップエリア503a,513aのデータがクリアされる。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御基板271に製造地表示部279を形成した。このように正規の主制御基板271に製造地表示部279が設けられた構成においては、不正行為者にとってはその不正交換を容易に見破られないようにするために、偽造基板においても製造地表示部を形成する必要が生じる。かかる事情において、日本国外で製造した偽造基板の製造地表示部に日本国内である旨の製造地が表示されていると、少なくともその偽造基板の日本国内への輸入に際して、税関にて製造地表示の誤認表示に該当するということで輸入停止措置の対象となる。
また、偽造基板の製造時においては製造地表示部279の表示内容を当該偽造基板の実際の製造地としておき、日本国内への輸入後に当該表示内容を製造地が日本国内である旨に変更する行為が想定される。これに対して、製造地表示部279における製造地の表示を行う文字パターン279aを、主制御基板271の絶縁板IBに積層された銅箔CFをエッチングすることにより形成した。これにより、文字パターン279aの表示内容を変更するためには、文字パターン279aの除去、絶縁板IBへの銅箔CFの再積層、及び再積層した銅箔CFのエッチング等を要する。そして、主制御基板271の部品搭載面271aに各種電子部品が搭載された後にかかる作業を行うのは困難である。また、上記表示内容の変更作業が可能であったとしても、その変更作業が手間となり当該行為を抑制することができる。特に、製造コストの安い国で多量に製造した偽造基板を日本国内に輸入する不正行為者にとっては、日本国内に輸入した後に表示内容の変更に際して大変な労力を要すると、日本国外で偽造基板を製造するメリットが消失することとなる。よって、上記表示内容を変更する行為を抑制することができる。
主制御基板271の回路パターンを絶縁板IBに積層された銅箔CFをエッチングすることにより形成するようにした構成において、上記のとおり製造地表示部279における製造地の表示を行う文字パターン279aも銅箔CFをエッチングすることにより形成した。つまり、主制御基板271の製造時において回路パターンを形成するのに合わせて文字パターン279aを形成することができる。これにより、正規の主制御基板271に製造地表示部279を設ける構成としたとしても、従来の主制御基板に比して製造工程が大きく増加することはなく、また製造コストが大きく増大することもない。そして、これに伴って遊技機の製造コストが大きく増大することもない。よって、遊技機の製造コストの増大化を抑制しつつ、日本国外で製造した偽造基板を用いた主制御基板271の不正交換を抑制することができる。
文字パターン279aをソルダレジストSRにより被覆することで、製造地表示部279を形成した。これにより、文字パターン279aの表示内容を変更するためにはソルダレジストSRを除去する必要が生じる。よって、表示内容の変更作業が手間となる。特に、製造地表示部279は主制御基板271の部品搭載面271aに形成されている。この場合に、ソルダレジストSRを除去するためには、部品搭載面271aに搭載された各種電子部品を取り外す必要が生じる。これは相当な手間となる。また、製造地表示部279周辺のソルダレジストSRのみを除去することも想定されるが、かかる場合、表示内容の変更後に新たに作成されたソルダレジストSRと元々作成されていたソルダレジストSRとの間で差異が生じるものと考えられ、その痕跡が残ることとなる。また、それを解消しようとすると、相当な手間となる。よって、上記表示内容を変更する行為を好適に抑制することができる。また、本構成によれば、主制御基板271の回路パターンを保護するソルダレジストSRが製造地表示部279の被覆部として兼用されるため、構成の簡素化を図りつつ上記効果を奏することができる。
上記のとおり製造地表示部279を主制御基板271の部品搭載面271aに形成するようにした。これにより、遊技ホールなどにおける主制御基板271の点検作業において部品搭載面271aに搭載された電子部品の点検に合わせて製造地表示部279の確認を行うことで、偽造基板への不正交換が行われたか否かを確認することができる。
主制御基板271には、当該主制御基板271の用途がパチンコ機である旨を表示する用途表示部277,278を形成した。これにより、主制御基板271の用途が各種不正行為の対象となるものとして広く知られたパチンコ機である旨が表示されることとなる。かかる状態において、製造地表示部279の誤認表示がなされている場合、輸入停止措置がなされる可能性が高くなると考えられる。また、用途表示部277,278を製造地表示部279に対して並設させた。これにより、製造地表示部279に表示された製造地と用途表示部278,279に表示された用途とをまとめて視認することができる。よって、上記効果をより顕著なものとすることが可能となる。
製造地表示部279を主制御装置270の設置状態で確認できるようにした。これにより、例えば、製造地表示部279に正規ではない製造地が表示された偽造基板の不正交換が行われていたとしても、それを容易に発見することが可能となる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、主制御装置270の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、以下にかかる構成について図23〜図25を用いて詳細に説明する。図23は主制御装置270の正面図、図24は主制御装置270の分解斜視図、図25(a)は図23のA―A線断面図、図25(b)は図23のB―B線断面図である。なお、図23〜図25において上記第1の実施の形態と同様の構成については同一の番号を付すとともに、基本的にその説明を省略する。
主制御装置270は、図24に示すように、上記第1の実施の形態と同様に、ボックスベース280とボックスカバー290とからなる基板ボックス273を備えており、当該基板ボックス273の内部空間に主制御基板551が収容されている。主制御基板551は、ボックスカバー290にネジ止めされている。この場合に、主制御基板551におけるCPUチップ552などが搭載された部品搭載面551aはボックスカバー290側を向いている。
主制御基板551の部品搭載面551aには、上記第1の実施の形態と同様に、用途表示部555,556及び製造地表示部557が設けられている。これらの具体的な構造、表示内容、及び形成方法は上記第1の実施の形態における用途表示部277,278及び製造地表示部279と同一であるため、説明を省略する。但し、部品搭載面551aにおける、これら用途表示部555,556及び製造地表示部557が設けられた位置は上記第1の実施の形態と異なっている。具体的には、各種表示部277〜279は、部品搭載面551aにおけるボックスカバー290との当接領域に設けられている。そこで、かかる当接領域について詳細に説明する。
ボックスカバー290は、図25に示すように、主制御装置270の厚み方向に段差状となっており、主制御基板551の部品搭載面551a上に搭載されたCPUチップ552等の電子部品を収容するための収容部561を有するとともに、主制御基板551と重なるようにして平板状に延びる重なり部562を有する。収容部561は、主制御基板551との間の間隔が、部品搭載面551aに搭載された電子部品のうち最も背が高いものの高さ寸法よりも大きくなるように形成されており、重なり部562との連結部分を構成する段差部563によってその周壁が構成されている。
重なり部562は、収容部561を囲むように、ボックスカバー290においてその周縁側に形成されている。当該重なり部562のうち、ボックスカバー290の上縁側に形成された上縁側重なり部562aは、横長であって所定の幅を有する帯状に形成されている。ちなみに、上縁側重なり部562aの長手方向は、主制御装置270の長手方向となっている。
上縁側重なり部562aには、その長手方向に沿って複数の開口部564が形成されており、これら開口部564は主制御基板551の部品搭載面551aに搭載された各受けコネクタ565に対して1対1で対応している。ボックスカバー290に対して主制御基板551をネジ止めしている状態では、図25(a)に示すように、これら開口部564を通じて各受けコネクタ565が基板ボックス273外部に露出し、ハーネスHとの接続が可能となっている。なお、重なり部562のうち、ボックスカバー290の下縁側に形成された下縁側重なり部562bは、上縁側重なり部562aと同様に帯状に形成されており、さらには各受けコネクタ565を露出させるための各開口部564が形成されている。
上記の重なり部562に対して主制御基板551の部品搭載面551aが当接しており、この重なり部562に当接している領域が当接領域に該当する。この当接領域は、重なり部562と対応して、部品搭載面551aの周縁側に位置している。当該当接領域のうち、上縁側重なり部562aに当接する上縁側当接領域Sは、図24において一点鎖線で区画して示すように、横長であって所定の幅(受けコネクタ565を搭載可能な幅寸法)を有する帯状となっている。ちなみに、上縁側当接領域Sは、部品搭載面551aの縁を一端として部品搭載面551a内側に入り込んでおり、さらに上縁側当接領域Sの長手方向は主制御装置270の長手方向となっている。
上縁側当接領域Sには、図24に示すように、上述した受けコネクタ565が複数搭載されている。すなわち、上縁側当接領域Sは、コネクタ集約領域を含んでいる。これら受けコネクタ565は、所定の間隔を置いて、上縁側当接領域Sの長手方向に沿って配置されている。このように上縁側当接領域Sに受けコネクタ565を配置することにより、基板ボックス273の外部からボックスカバー290の開口部564を通じて部品搭載面551aにリード線などといった不正用冶具を接続しようとする不正行為を抑制することができる。すなわち、開口部564から不正用冶具を基板ボックス273内部に挿入しようとしても、図25(a)に示すように、上縁側当接領域Sにおいては主制御基板551の部品搭載面551aとボックスカバー290の上縁側重なり部562aとが当接しているため、その挿入が阻止される。なお、開口部564の周壁を、受けコネクタ565の周面に沿って外方(図25(a)の状態で見て上方)に起立させて起立壁を設ける構成としてもよい。
上記構成において、各種表示部555〜557は、図23等に示すように、上縁側当接領域Sに設けられている。詳細には、各種表示部555〜557は、上縁側当接領域Sの幅方向(短手方向)に、上から第1用途表示部555、第2用途表示部556、製造地表示部557の順に並設されている。かかる構成から、表示部集約領域が上縁側当接領域Sに設けられていると言える。
当該表示部集約領域は、複数の受けコネクタ565におけるコネクタ間にあるのではなく、複数の受けコネクタ565が設けられた領域に対して外側にある。これにより、各種表示部555〜557の視認性が受けコネクタ565によって阻害されてしまうことが抑制されている。ちなみに、上縁側当接領域Sに設けられた受けコネクタ565のうち、少なくとも表示部集約領域に最も近い位置にある受けコネクタ565は、主制御基板551や各種電子部品とは異なる色に着色されている。これにより、税関等においては、その受けコネクタ565に自ずと視線が向くことが期待され、それに伴って表示部集約領域に自ずと視線が向くことが期待される。
上縁側当接領域Sに各種表示部555〜557が設けられていることにより、図25(b)に示すように、各種表示部555〜557はボックスカバー290の上縁側重なり部562aと当接している。これにより、主制御基板551が基板ボックス273に収容された状態であっても、各種表示部555〜557の表示内容を極力近い位置で確認することができる。また、各種表示部555〜557は、受けコネクタ565に対して離間された位置にあり、開口部564と重なっていない。したがって、各種表示部555〜557は上縁側重なり部562aによって全体が覆われており、基板ボックス273外に露出していない。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態における効果に加え、以下の優れた効果を奏する。
主制御基板551の部品搭載面551aにおいてボックスカバー290の上縁側重なり部562aと当接する上縁側当接領域Sに製造地表示部557を形成した。これにより、製造地表示部557の表示内容を基板ボックス273を通して確認する場合において、当該表示内容を極力近い位置で確認することができる。よって、例えば国外で製造された偽造基板が同じく偽造された基板ボックスに収容されて日本国内に輸入された場合に、税関等において製造地表示部の視認性が低下してしまい製造地表示の誤認表示が見落とされてしまうといった不都合の発生を抑制することができる。
また、上記のように製造地表示部557の表示内容を基板ボックス273を通して確認する場合においてその視認性の向上が図られていることにより、遊技ホールなどにおける主制御基板551の点検作業において製造地表示部557の表示内容を容易に確認することができる。よって、製造地表示部557の表示内容が異なる偽造基板への不正交換や、製造地表示部557の表示内容の変更が行われた痕跡がある偽造基板への不正交換が行われたか否かの確認作業の作業性が向上する。なお、上記製造地表示部557に関する効果は、用途表示部555,556に関しても同様に奏する。
また、上縁側重なり部562aを、ボックスカバー290において収容部561の周縁に対して設けた。これにより、上縁側から製造地表示部557を視認することで、かかる視認性が収容部561によって阻害されることはない。よって、製造地表示部557の表示内容の視認性を向上させることができる。さらに、部品搭載面551aにおける電子部品の搭載位置に制約を生じさせることなく上記効果を奏することができる。つまり、収容部561に囲まれるようにして重なり部562を設ける構成においては、その重なり部562を形成した位置に背の高い電子部品などを搭載することができなくなるからである。
また、上縁側当接領域Sに受けコネクタ565を設けるとともに、上縁側重なり部562aに当該受けコネクタ565を基板ボックス273外に露出させる開口部564を形成した。このように、受けコネクタ565及び開口部564の位置を設定することにより、受けコネクタ565を露出させるための開口部564を通じてリード線などの不正用治具を基板ボックス273内に挿入しようとしても、それが上縁側重なり部562aと主制御基板551とによって阻止される。つまり、本構成によれば、上縁側重なり部562aが設けられていることにより、開口部564を通じた不正行為の抑制と製造地表示部557の表示内容の視認性の向上との両立が図られる。
(他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記第1の実施の形態では、製造地表示部279の文字パターン279aを絶縁板IBに積層された銅箔CFをエッチングすることにより形成したが、文字パターン279aの表示内容の変更が抑制できるのであれば、かかる構成を変更してもよい。例えば、絶縁板IBに対して金属や樹脂などのペーストを印刷することで文字パターン279aを形成する構成としてもよい。また、絶縁板IBの板面に凹凸を設けて文字パターン279aを形成する構成としてもよい。さらには、ソルダレジストSR上に文字パターン279aを印刷する構成としてもよい。但し、かかる構成においては、文字パターン279aを形成する材料はソルダレジストSRと同じ溶解性を示す材料であることが好ましい。文字パターン279aの除去に際してソルダレジストSRの除去をも生じさせることにより、不正行為者に対して文字パターン279aの表示内容の変更に際してソルダレジストSRの再形成を強いることができるからである。
なお、当該構成を上記第2の実施の形態における製造地表示部557や用途表示部555,556に対して適用してもよい。
(2)上記第1の実施の形態では、製造地表示部279の文字パターン279aをソルダレジストSRにより覆う構成としたが、これを変更してもよい。例えば、ソルダレジストSRとは別の被覆部により文字パターン279aを覆う構成としてもよい。また、文字パターン279aを覆わない構成としてもよい。かかる構成であっても、文字パターン279aの表示内容を変更するためには、文字パターン279aの除去、銅箔CFの再形成、及び銅箔CFのエッチング等を要するため、文字パターン279aの表示内容を変更しようとする行為を抑制することができる。
なお、当該構成を上記第2の実施の形態における製造地表示部557や用途表示部555,556に対して適用してもよい。
(3)上記第1の実施の形態において、製造地表示部279を形成する位置は、部品搭載面271aに限定されることはなく、製造地表示部279の表示内容を確認することができるのであれば任意である。
(4)上記第1の実施の形態では、製造地表示部279を一箇所のみに設けたが、当該製造地表示部279を主制御基板271の複数箇所に設ける構成としてもよい。これにより、偽造基板の製造時においては製造地表示部279の表示内容を当該偽造基板の実際の製造地としておき日本国内への輸入後に当該表示内容を製造地が日本国内である旨に変更しようとする行為者にとっては、それら全ての製造地表示部279の表示内容を変更する必要が生じ、かかる行為を抑制することができる。特に、複数の製造地表示部279を、主制御基板271の板面上で見て電子部品を間に挟むようにして配置することにより、それら製造地表示部279の表示内容の変更を一括して行うことが困難となり、上記表示内容を変更しようとする行為を抑制することができる。上記構成の技術的思想は、「製造地表示部を制御基板に複数設ける」、「複数の製造地表示部を、制御基板に搭載された少なくとも1個の電子部品を挟むように、制御基板の板面上において離間させて設けた」といったものが挙げられる。
なお、当該構成を上記第2の実施の形態における製造地表示部557に対して適用してもよい。
(5)上記第1の実施の形態では、主制御基板271に用途表示部277,278を設けたが、これら用途表示部277,278がなくてもよい。また、用途表示部277,278を複数設けるのではなく、1個のみ設ける構成としてもよい。
なお、当該構成を上記第2の実施の形態における用途表示部555,556に対して適用してもよい。
(6)用途表示部277,278,555,556に表示する内容は上記各実施の形態におけるものに限定されることはなく、例えば、「遊技機」又はそのローマ字表記などであってもよい。また、いわゆるスロットマシンに対して本発明を適用する場合には、用途表示部277,278,555,556に表示する内容は、「スロット」、「スロットマシン」、「スロットマシーン」、「パチスロ」、又はそのローマ字表記などであってもよい。
(7)払出制御装置311の払出制御基板への不正対策、表示制御装置214の表示制御基板への不正対策、又は音声ランプ制御装置272の音声ランプ制御基板への不正対策として、上記各実施の形態における製造地表示部279,557の構成及びそれに関連した構成を適用してもよい。
(8)上記各実施の形態では、主制御装置270を製造地表示部279,557の表示された部品搭載面271a,551aがパチンコ機10後方を向くように配設したが、当該主制御装置270を部品搭載面271a,551aがパチンコ機10側方を向くように配設してもよい。また、主制御装置270を部品搭載面271a,551aがパチンコ機10前方を向くように配設してもよい。
(9)主制御基板271,551に製造地表示部279,557や用途表示部277,278,555,556だけでなく、主制御基板271,551の製造メーカを表示する基板製造メーカ表示部や、パチンコ機10の製造メーカを表示するパチンコ機製造メーカ表示部(遊技機製造メーカ表示部)や、パチンコ機10の販売メーカを表示する販売メーカ表示部を設けてもよい。
(10)停電監視回路542としての機能がさらに付加された主制御基板271,551に対して、製造地表示部279,557の構成及びそれに関連した構成を適用してもよい。
(11)上記第2の実施の形態では、用途表示部555,556及び製造地表示部557を、主制御基板551の部品搭載面551aにおけるボックスカバー290の上縁側重なり部562aと当接する上縁側当接領域Sに設けたが、これを変更してもよい。例えば、ボックスカバー290が収容部561よりも部品搭載面551aに近い位置であって当該部品搭載面551aから離間された位置にて当該部品搭載面551aに沿って平板状に延びる対峙部を備えた構成においては、当該対峙部と対峙する部品搭載面551aの領域に製造地表示部557等を設けてもよい。かかる構成とすることにより、収容部561に収容された領域に製造地表示部557等を設ける構成に比べ、製造地表示部557の表示内容の視認性を向上させることができる。
また、上記対峙部を製造地表示部557に近接させる構成としてもよい。但し、この近接させる構成においては、その近接させる距離をリード線などの不正用冶具の挿入を阻止する程度とする必要がある。ちなみに、ボックスカバー290に主制御基板551を取り付けるのではなくボックスベース280に主制御基板551を取り付けた構成においては、主制御基板551の部品搭載面551aをボックスカバー290の重なり部562に当接させるのは困難であるため、本構成のように近接させる構成とすることが好ましい。
(12)上記第2の実施の形態では、主制御基板551の部品搭載面551aにおける上縁側に当接領域Sを設け、当該上縁側当接領域Sに製造地表示部557等を設けたが、これを変更してもよい。例えば、下縁側の当接領域に製造地表示部557等を設ける構成としてもよい。また、左右の横縁側に当接領域を設け、当該当接領域に製造地表示部557等を設ける構成としてもよい。
また、ボックスカバー290において収容部561の周縁ではなく内側の領域に、当該収容部561よりも部品搭載面561aに近い位置にて部品搭載面551aに沿って平板状に延びる対峙部を設け、当該対峙部と対峙する部品搭載面551aの領域に製造地表示部557等を設けてもよい。
(13)上記第2の実施の形態では、所定の幅寸法(受けコネクタ565を設置可能な幅寸法)を有する帯状の当接領域を主制御基板551の部品搭載面551aにおける複数箇所に設けたが、当該帯状の当接領域を部品搭載面551aにおける一箇所にのみ設ける構成としてもよい。そして、この一箇所にのみ設けられた当接領域に製造地表示部557等を設ける。この場合、上記第2の実施の形態に比して、基板ボックス273の外観上、製造地表示部557が設けられた位置が目立つこととなる。
(14)上記第2の実施の形態において、製造地表示部557を上縁側当接領域S(対峙部との対峙領域)に設け、用途表示部555,556を収容部561に収容された領域に設ける構成としてもよい。かかる構成においては、製造地表示部557における文字パターンのサイズを上記第2の実施の形態よりも大きくすることができ、その視認性のさらなる向上を図ることができる。
(15)上記第2の実施の形態では、コネクタ集約領域が含まれる上縁側当接領域Sに対して製造地表示部557等を設けたが、これに代えて、コネクタ集約領域が含まれていない、すなわち、表示部専用の当接領域(表示部専用の対峙領域)に製造地表示部557等を設ける構成としてもよい。
(16)上記第2の実施の形態では、用途表示部555,556及び製造地表示部557を上縁側当接領域Sの幅方向(短手方向)に並設したが、これに代えて、上縁側当接領域Sの長手方向に並設してもよい。また、上縁側当接領域Sにおいて長手方向に並ぶ受けコネクタ565間に製造地表示部557等を設けてもよい。
(17)上記各実施の形態では、用途表示部277,278,555,556及び製造地表示部279,557において、各文字パターンの回りに個別の縁部を有する構成としたが、これに代えて、各表示部に共通の縁部を有する構成としてもよい。
(18)上記各実施の形態では、第1図柄の変動表示を行う図柄表示装置41と別に第1特定ランプ部47を設ける構成としたが、第1特定ランプ部47を設けずともよい。
(19)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始して表示窓から視認できる領域にて図柄の可変表示を行い、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止し図柄の可変表示が終了するスロットマシンにも適用できる。当該スロットマシンの主制御基板では、所定枚数のメダルが投入され、且つスタートレバーが操作されることに基づいて抽選役の当否判定(抽選処理)を行う。そして、その判定において当選となった当選役に対応した特定図柄又は特定図柄の組合せが有効ライン上に成立した場合に、メダルの払い出し等といった特典が遊技者に付与される。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも適用できる。
10…遊技機としてのパチンコ機、271…主制御基板、271a…部品搭載面、273…基板ボックス、277,278…用途表示部、279…製造地表示部、279a…文字パターン、551…主制御基板、551a…部品搭載面、555,556…用途表示部、557…製造地表示部、561…収容部、562a…対峙部としての上縁側重なり部、564…開口部、565…受けコネクタ、CF…金属層としての銅箔、IB…ベース板としての絶縁板、S…上縁側当接領域、SR…被覆部としてのソルダレジスト、W…配線。