JP2008132595A - ロボット制御装置 - Google Patents

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清石 前川
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Abstract

【課題】直線補間や円弧補間の最高速度上限値を、モータあるいは伝達機構の許容値を考慮して動作毎に決定できるようにし動作の高速化を図る。
【解決手段】基準速度演算手段で、現在動作の各軸もしくは直交座標系における各方向の基準速度を算出する。加減速時間・速度上限パラメータ決定手段は、加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位に応答して、動作毎に各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の制約を満たす範囲で最短の加速時間、減速時間を算出する。動作パラメータ修正手段は、加速時間、減速時間を修正する。指令曲線生成手段は、修正されたデータに基づいて指令曲線を生成する。
【選択図】図4

Description

この発明は、ロボットの各軸を駆動するモータの動作速度を制御するロボット制御装置に関するものである。
ロボットを動作させる際には加速度が同一でもロボットの姿勢に応じて必要なトルクは変化するため、動作毎に加減速時間などのパラメータを最適化する方法がとられている。この方法を適用した従来のロボット制御装置(例えば、特許文献1参照)では、次のような構成で動作する。
ロボットの動作開始点(加速開始地点)と動作終了点(減速終了地点)の座標を教示点として記憶しておく教示点記憶手段を備え、また、各軸もしくは各方向の最高速度パラメータ値等を予め記憶させているパラメータ記憶手段を備えている。教示点記憶手段で移動命令を受信すると、その移動命令を解析してどの点からどの点までロボットを移動させるかの判断を行う。例えば、その移動命令がA点(加速開始地点)からB点(減速終了地点)への直線補間命令である場合、この教示点記憶手段は、A点およびB点の直交座標値および関節変位のデータを出力する。次に、最高速度演算手段により、この直交座標値とパラメータ記憶手段の最高速度パラメータ値に基づいて、その動作における各方向の最高速度を算出する。次に、教示点記憶手段から出力された直交座標値および関節変位と、パラメータ記憶手段に記憶されているトルクもしくは力の許容値等のパラメータと、最高速度演算手段で算出された最高速度に基づいて、加減速時間決定手段で、その動作における最適な加減速時間を決定する。最高速度と加減速時間が算出されると、これらの値に基づいて指令曲線生成手段で速度指令曲線を生成する。この場合、速度指令曲線が速度台形指令曲線になるように位置指令を生成し、その位置指令に対して移動平均フィルタおよび1次遅れフィルタなどによるスムージング処理が行われる。結果として、モータ制御手段は、生成された指令曲線にロボットが追従する動きをとるように各軸の駆動モータを制御する。
ここで、加減速時間決定手段が行う加減速時間決定の動作は、次のようにして行っている。
まず、加速時間と減速時間の初期値を算出する。次に、加速終了地点および減速開始地点での位置と速度を求め、加速開始地点および加速終了地点で加速時間を算出し直す。そして、加速開始地点で算出した加速時間と加速終了地点で算出した加速時間を比較し、大きい方を加速時間とする。減速時間に関しても同様に、減速開始地点および減速終了地点で減速時間を算出し直す。そして、減速開始地点で算出した減速時間と減速終了地点で算出した減速時間を比較し、大きい方を減速時間とする。上記一連の処理の繰り返し回数が、指定した回数に達したときは、現在の算出結果を加速時間および減速時間として出力する。繰り返し回数が指定した回数に達していなければ、上記一連の処理を繰り返し、現在の加速時間および減速時間に基づいて加速終了地点および減速開始地点の位置と速度を求めて、再度加減速時間の算出を行う。加速開始地点および加速終了地点では以下のようにして加速時間を算出する。
ロボットの運動方程式は、各関節の駆動トルクから構成される駆動トルクベクトルをτ、慣性行列をM、各関節の遠心・コリオリ力、重力、摩擦力の和から構成されるベクトルをh、各関節の加速度から構成されるベクトルをaとすると、
τ=Ma+h (1)
となる。ここで、各方向の速度指令が台形速度指令の場合、加速終了地点の各軸速度から構成されるベクトルをvk,加速時間をtkとすれば、加速区間におけるロボットの運動方程式は、
τ=Mvk/tk+h (2)
となる。式(2)のM、hを加速開始地点の位置と速度に基づいて算出した結果が、いずれの軸においてもそれぞれの軸の許容最大トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる加速時間tk1を算出するとともに、式(2)のM、hを加速終了地点の位置と速度に基づいて算出した結果が、いずれの軸においてもそれぞれの軸の許容最大トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる加速時間tk2を算出する。この算出したtk1とtk2を比較し、大きい方を加速時間tkとして用いる。一方、減速区間の運動方程式は、減速時間をtg、減速開始地点の各軸速度から構成されるベクトルをvgとすると、
τ=−Mvg/tg+h (3)
となるので、式(3)に基づいて減速開始地点および減速終了地点の位置と速度から、加速時間の算出と同様の方法で減速時間を算出する。
特開平7−200033号公報
従来のロボット制御装置は、以上のように構成されているので、ロボットの手先を直線に沿って動作させる直線補間や円弧に沿って動作させる円弧補間を行う場合、等速区間であっても関節レベルでは加減速を行うため、等速区間の速度が高すぎると、等速動作を継続するだけでモータあるいは伝達機構の許容値を超えてしまう場合があり、動作毎に自動的に手先速度の上限値を定めることができなかった。また、連続動作を行う際には、特定の軸のモータのみ温度上昇量が大きくなる場合があるが、これを防ぐために各軸毎の加速度補正割合、各軸毎の速度補正割合、各軸毎の待ち時間補正割合などの予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて自動的に加速時間、減速時間などの動作パラメータを修正することができないなどの課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、新規な方法により動作の高速化を図ることができるロボット制御装置を得るものである。
この発明に係るロボット制御装置は、ロボットの各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値を予め記憶しているロボットパラメータ記憶手段と、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位に応答して、加速開始地点から減速終了地点への移動が関節補間の場合には、ロボットの各軸の許容最高速度に基づいて現在動作の各軸の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出し、また、加速開始地点から減速終了地点への移動が直線補間の場合には、直交座標系における基準最高速度に基づいて現在動作の直交座標系の各方向の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出する基準速度演算手段と、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する加減速時間決定手段と、算出された最短の加速時間に基づいて各軸の加速区間のトルク使用率を算出し、最短となる減速時間に基づいて各軸の減速区間のトルク使用率を算出するトルク使用率演算手段と、ロボットの各軸の補正率を予め記憶する補正率記憶手段と、各軸のトルク使用率を各軸の補正率の設定値で除算して得られる各軸の補正候補値を算出し、算出した補正候補値の最大値が1より大きくなる場合に、加速時間及び減速時間を補正候補値の最大値を乗じた値に修正する動作パラメータ修正手段と、算出された基準速度、加速時間、減速時間と修正された加速時間、減速時間に基づいてロボットの各軸を駆動するモータを制御する指令曲線を生成する指令曲線生成手段とを備えたものである。
この発明は、予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて動作パラメータを修正できるため、指定されたモータの負荷を抑えながらロボットの高速化が実現できる効果がある。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるロボット制御装置の構成を示すブロック図である。図において、教示点記憶手段1は、ロボットの加速開始地点および減速終了地点の直交座標を記憶しており、例えばA点からB点に移動する移動命令を受信したときにA点およびB点の直交座標値および関節変位を出力する手段である。ロボットパラメータ記憶手段6は、ロボットの機種毎に定められている各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値等の制約条件と、質量、重心位置等のロボットの動力学特性を表現するためのパラメータ値を予め記憶している手段である。基準速度演算手段2は、ロボットパラメータ記憶手段6に記憶されているロボットの各軸毎の許容最高速度もしくは直交座標系における基準最高速度に基づいて、ロボットの現在動作についての各軸もしくは直交座標系における各方向の動作開始から加速時間だけ経過したときに達する基準速度を算出する手段である。
加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7は、動作毎にロボットパラメータ記憶手段6に記憶されているモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の制約を満たす範囲で最短の加速時間、最短の減速時間および最大の速度上限パラメータを算出する手段である。指令曲線生成手段3は、基準速度演算手段2で算出されたロボットの現在動作の基準速度、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7で算出された当該動作の加速時間、減速時間および速度上限パラメータに基づいて指令曲線を生成する手段である。モータ制御手段4は、指令曲線生成手段3で生成された指令曲線に従ってロボット5の各軸を駆動するモータを制御する。
次に動作について説明する。
教示点記憶手段1が、例えばA点(加速開始地点)からB点(減速終了地点)まで直線補間で移動する命令を受け取ると、教示点記憶手段1からは、A点およびB点の直交座標値および関節変位が読み出され、基準速度演算手段2と加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7に与えられる。基準速度演算手段2では、これらデータとロボットパラメータ記憶手段6に記憶されている直交座標系の各方向における基準最高速度に基づいて、当該動作における各方向の基準速度が算出され、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7と指令曲線生成手段3に与えられる。
加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7の内部では、図2に示される処理手順に従って、モータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の制約を満たす範囲で最短の加速時間、減速時間および最大の速度上限パラメータが決定される。
まず、当該動作の加速時間と減速時間の初期値と、基準速度に乗じる倍率許容値、すなわち速度上限パラメータの初期値を設定する(ステップST11)。次に、繰り返し回数nを初期値1に設定する(ステップST12)。教示点記憶手段1から与えられたA点およびB点の直交座標値と、基準速度演算手段2で算出された当該動作における各方向の基準速度と、現在動作における加減速時間および速度上限パラメータとから、加速終了地点および減速開始地点における直交座標値、関節変位、各方向での速度、各軸の速度を算出する(ステップST13)。
次に、加速開始地点でモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で最短の加速時間t1ai(i=1〜j、jはロボットの軸数)をそれぞれ算出し、得られたt1aiの最大値をt1aとする。同様に、加速終了地点でモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で最短の加速時間t1biをそれぞれ算出し、t1biの最大値をt1bとする(ステップST14)。これらの算出された最大値t1a、t1bの中で、大きい方の値を今回の加速時間t1として決定する(ステップST15)。
同様にして減速時間も求める。まず、減速開始地点でモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で最短の減速時間t2ai(i=1〜j、jはロボットの軸数)をそれぞれ算出し、得られたt2aiの最大値をt2aとする。同様に減速終了地点でモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で最短の減速時間t2biをそれぞれ算出し、得られたt2biの最大値をt2bとする(ステップST16)。これらの算出された最大値t2a、t2bの中で、大きい方の値を今回の減速時間t2として決定する(ステップST17)。
次に、加速終了地点の関節変位、各方向の速度から、各軸のモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で等速運動を続けることができる最大の速度上限パラメータvaを算出する。また、減速開始地点の関節変位、各方向の速度から、各軸のモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で等速運動を続けることができる最大の速度上限パラメータvbを算出する(ステップST18)。現在の速度上限パラメータvmax(n−1)、算出された最大の速度上限パラメータva、vbの中で最小のものを今回の繰り返しにおける速度上限パラメータvmax(n)として決定する(ステップST19)。
繰り返し回数nが規定値Kを超えていれば、今回の加速時間、減速時間、および速度上限パラメータを加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7で最終的に求めた加速時間kt、最終的に求めた減速時間gt、最終的に求めた速度上限パラメータvmaxとして指令曲線生成手段3に出力する(ステップST20)。繰り返し回数nが規定値Kを超えていない場合は、繰り返し回数nを1だけ増加させ(ステップST21)、ステップST13からステップST19の演算を再度行い、加速時間、減速時間および速度上限パラメータの算出を行う。
指令曲線生成手段3では、基準速度演算手段2から出力される基準速度と、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7から出力される加速時間、減速時間および速度上限パラメータに基づいた時々刻々の指令曲線を生成し、モータ制御手段4に出力する。モータ制御手段4は、指令曲線生成手段3で生成された時々刻々の指令曲線に従ってロボット5を駆動するモータを制御する。
次に、上記ステップST13における加速終了地点および減速開始地点での速度および変位の算出、ステップST14、ST16における加速時間、減速時間の算出と、ステップST18における速度上限パラメータの算出の詳細について説明する。
まず、ステップST13では、基準速度v0、速度上限パラメータvmaxから、この動作の直線速度vlを式(4)で算出する。
l=vmax*0 (4)
次に、直線速度vl、動作開始地点の直交座標値および動作終了地点の直交座標値、現在の加速時間、減速時間から、加速終了地点(C点)および減速開始地点(D点)での直交座標値を算出する。算出した直交座標値から加速終了地点の関節変位qcと減速開始地点での関節変位qdを算出する。加速終了地点から微小時間Δtだけ、直線速度vlで動作終了地点Bへ進んだ地点(C2点)の直交座標値と関節変位qc2を算出する。また、減速開始地点から微小時間Δtだけ直線速度vlで動作開始地点Aへ戻った地点(D2点)の直交座標値と関節変位qd2を算出する。
さらに、加速開始地点(A点)の関節変位をqa、加速開始地点から微小時間Δtだけ、直線速度vlで進んだ地点(A2)点の関節変位をqa2、減速終了地点(B点)の関節変位をqb、減速終了地点から微小時間Δtだけ直線速度vlで動作開始地点Aへ戻った地点(B2点)の関節変位をqb2とする。このとき、加速開始地点、加速終了地点、減速開始地点、減速終了地点での関節速度ベクトルv1a、v1b、v2a、v2bをそれぞれ式(5)〜式(8)によりそれぞれ算出する。
1a=(qa2−qa)/Δt (5)
1b=(qc2−qc)/Δt (6)
2a=(qd−qd2)/Δt (7)
2b=(qb−qb2)/Δt (8)
ステップST14では加速開始地点および加速終了地点から加速時間を算出する。まず、ロボットの運動方程式の慣性行列からモータの慣性を除いた行列をMl、遠心・コリオリ力および重力の和から構成されるベクトルをhlとする。このとき各関節の減速機に作用するトルクτlは式(9)となる。
τl=Mla+hl (9)
式(1)、(9)で計算されるモータおよび減速機のトルクが許容値以下となるように加速開始地点、加速終了地点で加速時間を算出する。速度vまで加速時間tkで加速する場合は、式(1)、(9)においてa=v/tkとすればよい。加速開始地点では、関節変位がqa、現在の速度を0とし、速度v1aまで等加速度で加速を行うとしたときの式(1)、(9)の算出結果がいずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる加速時間t1aを算出する。加速終了地点では、関節変位がqc、現在の速度をv1bとし、速度v1bまで等加速度で加速を行うとしたときの式(1)、(9)の算出結果がいずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる加速時間t1bを算出する。
ステップST16では、減速開始地点および減速終了地点で減速時間を算出する。速度vから減速時間tgで減速する場合は、式(1)、(9)においてa=−v/tgとすればよい。減速開始地点では、関節変位がqd、現在の速度をv2aとし、速度v2aから等加速度で減速を行うとしたときの式(1)、(9)の算出結果がいずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる減速時間t2aを算出する。減速終了地点では、関節変位がqb、現在の速度を0とし、速度v2bから等加速度で減速を行うとしたときの式(1)、(9)の算出結果がいずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最短となる減速時間t2bを算出する。
ステップST18では、まず、加速終了地点から微小時間Δtだけ、直線速度vlで動作開始点(加速開始地点)Aへ戻った地点(C3点)の直交座標値と関節変位qc3を算出する。また、減速開始地点から微小時間Δtだけ直線速度vlで動作終了点(減速終了地点)Bへ進んだ地点(D3点)の直交座標値と関節変位qd3を算出する。次に速度v1c、v2cをそれぞれ式(10)、(11)により算出する。
1c=(qc−qc3)/Δt (10)
2c=(qd3−qd)/Δt (11)
さらに加速終了地点および減速開始地点での加速度ac、adは、それぞれ式(12)、(13)により算出できる。
c=(v1b−v1c)/Δt (12)
d=(v2c−v2b)/Δt (13)
したがって、加速終了地点でのモータトルクτc、減速機トルクτlcはそれぞれ式(14)、(15)となる。
τc=Mcc+hc (14)
τlc=Mlcc+hlc (15)
ここでMc、hc、Mlc、hlcはそれぞれ加速終了地点の関節変位qcおよび関節速度v1bから算出した式(1)のM、h、式(9)のMl、hlである。
次に、加速終了地点での直線速度が、同じ場所で速度のみk倍されると、式(6)、(10)の速度および式(12)の加速度もk倍される。簡略化のため、速度が変化したことによる遠心・コリオリ力の変化は無視し、hcのうち、粘性摩擦力をfvc、残りをh2cとすると、加速終了地点での直線速度が、同じ場所で速度のみk倍されたときには上記式(14)、(15)はそれぞれ次式(16)、(17)のように変形される。
τc=k*(Mcc+fvc)+h2c (16)
τlc=k*lcc+hlc (17)
式(16)、(17)の算出結果がいずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最大のkであるkaを算出する。式(16)、(17)はkに関する1次式なのでkaは容易に算出できる。例えば、第i軸のモータトルクの制限τmmaxiを満たすkの最大値kmiは、(Mcc+fvc)、h2cの第i行要素をそれぞれmi、hiとすると、mi>0の場合は式(18)となる。
mi=(τmmaxi−hi)/mi (18)
また、mi<0の場合は(19)となる。
mi=(−τmmaxi−hi)/mi (19)
また、mi=0の場合は任意のkでモータトルクの制限τmmaxiを満たすので、予め定めた正の大きな値とする。全ての軸のモータトルク制限を満たすkの最大値と減速機のトルク制限を満たすkの最大値の中から最小値を速度倍率kaとして算出する。
減速開始地点でも減速開始地点での加速度、速度、関節変位から、加速開始地点での演算と全く同様にして、いずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最大のkである速度倍率kbを算出する。
次に、現在の速度上限パラメータvmaxと速度倍率kaから加速終了地点での速度上限パラメータvaを次式(20)により算出する。
a=vmax*a (20)
さらに現在の速度上限パラメータvmaxとkbから減速開始地点での速度上限パラメータを式(21)で算出する。
b=vmax*b (21)
以上のように、この実施の形態1によれば、ロボットパラメータ記憶手段6に、ロボットの各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値を予め記憶しておき、基準速度演算手段2により、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位、および各軸の許容最高速度もしくは直交座標系における基準最高速度に基づいて、ロボットの現在動作についての各軸もしくは直交座標系における各方向の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出し、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7において、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値、各軸の許容最高速度の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間、減速時間および最大の速度上限パラメータを算出し、指令曲線生成手段3により、算出された当該現在動作の基準速度、加速時間、減速時間および最大の速度上限パラメータに基づいてロボットの各軸を駆動するモータを制御する指令曲線を生成するようにしている。したがって、動作毎に最適な速度上限値および加減速パラメータを設定できるため、ロボットの高速化が図れる効果が得られる。
また、そのための具体性として、この実施の形態1では、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7は、規定の繰り返し回数で演算を行い、与えられた加速開始地点および減速終了地点の直交座標値と、基準速度演算手段2で演算された当該動作における各方向の基準速度と、現在の加速時間、減速時間および速度上限パラメータとに基づいて加速終了地点および減速開始地点における直交座標値、関節変位、各方向での速度、各軸の速度を算出し、加速開始地点と加速終了地点のそれぞれにおいて、モータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で各軸の最短の加速時間をそれぞれ算出し、得られた各地点での最短の加速時間の最大値t1a、t1bをそれぞれ抽出し、抽出されたこれらの最大値t1a、t1bの中で、大きい方の値を今回の加速時間として決定し、また、減速開始地点と減速終了地点のそれぞれにおいて、モータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で各軸の最短の減速時間をそれぞれ算出し、得られた各地点での最短の減速時間の最大値t2a、t2bをそれぞれ抽出し、抽出されたこれらの最大値t2a、t2bの中で、大きい方の値を今回の減速時間として決定し、加速終了地点と減速開始地点のそれぞれの関節変位、各方向の速度から、各軸のモータおよび伝達機構の許容トルクの制約を満たす範囲で等速運動を続けることができる各地点の最大の速度上限パラメータva、vbをそれぞれ算出し、算出されたこれら最大の速度上限パラメータva、vbおよび現在の速度上限パラメータの中で、最小の値を今回の速度上限パラメータとして決定するようにしたことを特徴としている。
実施の形態2.
実施の形態2によるロボット制御装置の構成も図1で表され、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7の内部における加速時間、減速時間および速度上限パラメータ決定までの処理の流れも図2のフローチャートで表される。実施の形態1とは、ステップST18における速度上限パラメータの算出方法のみが異なるので、ステップST18の動作について説明する。
ステップST18の内部でも加速終了地点での加速度ac、減速開始地点での加速度adの算出までは実施の形態1と同一である。実施の形態1では速度がk倍されたときに遠心・コリオリ力が変化する影響は無視していたが、実施の形態2の場合は、遠心・コリオリ力の変化も考慮してモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率を算出するようにしたものである。
まず、加速終了地点での関節変位qc、関節速度v1bから算出した遠心・コリオリ力をcc、重力をgc、クーロン摩擦力をfccとすると、上記式(14)、(15)は、それぞれ次式(22)、(23)のように変形できる。
τc=k2*c+k*(Mcc+fvc)+(gc+fcc) (22)
τlc=k2*c+k*lcc+gc (23)
式(22)、(23)は速度倍率kの2次式なので、k2およびkの係数の符号毎に場合わけを行い、各軸のモータのトルク許容値を満たす範囲で最大の速度倍率kと、各軸の減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率kを算出し、その中の最小値をkaとすれば、いずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最大の速度倍率kaが算出される。
同様に減速開始地点での関節変位qd、関節速度v2aから算出した遠心・コリオリ力をcd、重力をgd、クーロン摩擦力をfcdとし、減速開始地点での関節変位qd、関節速度v2aから算出した式(1)のM、h、式(9)のMl、hlをそれぞれMd、hd、Mld、hldとすれば、減速開始地点でのモータトルクおよび減速機トルクはそれぞれ次式(24)、(25)のようになる。
τd=k2*d+k*(Mdd+fvd)+(gd+fcd) (24)
τld=k2*d+k*ldd+gd (25)
式(24)、(25)は速度倍率kの2次式なので、k2およびkの係数の符号毎に場合わけを行い、各軸のモータトルク許容値を満たす範囲で最大の速度倍率kと、各軸の減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率kを算出し、その中の最小値を速度倍率kaとすれば、いずれの軸においてもモータおよび減速機の許容トルク以下となる制約を満たす範囲で最大の速度倍率kbが算出される。
以上のようにして算出された速度倍率ka、kbからは、実施の形態1と同様に式(20)、(21)を用いて加速終了地点での速度上限パラメータvaと減速開始地点での速度上限パラメータvbが算出される。
以上のように、この実施の形態2によれば、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7は、上記実施の形態1の速度上限パラメータを求める部分に代わって、加速終了地点と減速開始地点のそれぞれの関節変位、関節速度から算出した遠心・コリオリ力、重力、クーロン摩擦力に基づいて、各地点(加速終了地点と減速開始地点)で各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率と各軸の減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率をそれぞれ算出し、算出された各地点での両速度倍率の中で、最小の速度倍率ka、kbをそれぞれ抽出し、抽出された各地点での最小値の速度倍率ka、kbに基づいて、加速終了地点での最大の速度上限パラメータvaと減速開始地点での速度上限パラメータvbを算出し、算出されたこれら最大の速度上限パラメータva、vbおよび現在の速度上限パラメータの中で、最小の値を今回の速度上限パラメータとして決定するようにしたことを特徴としている。したがって、遠心・コリオリ力の変化も考慮してモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率を算出できるため、実施の形態1と同様に、動作毎に最適な速度上限パラメータを設定できる効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態3によるロボット制御装置の構成も図1で表される。加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7の内部における加速時間、減速時間および速度上限パラメータ決定までの処理の流れは図3のフローチャートで表される。図3において、この実施の形態3は、実施の形態1および実施の形態2の場合とはステップST18における速度上限パラメータの算出方法が異なり、また、ステップST22およびステップST23が新たに追加されている点で異なっている。したがって、異なる点を中心にして説明する。
まず、ステップST18では、加速終了地点で全てのモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率kaを算出し、減速開始地点で全てのモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率kbを算出する。これら速度倍率kaおよびkbの算出方法は、実施の形態2と全く同様とする。
次に、加速終了地点の速度v1bからモータ速度の制限を満たす範囲で最大となる倍率ka2を算出する。v1bの第i要素をv1bi、第i軸のモータ許容最高速度をveli、とすると第i軸の速度の最高速度に対する比率vriは式(26)により算出できる。
vri=abs(v1bi)/veli (26)
ここで、abs( )は絶対値を意味する。加速開始地点でのvriの最大値をvrmaxaとすれば、モータ速度の制限を満たす範囲で最大となる倍率ka2は次式(27)により算出できる。
a2=1/vrmaxa (27)
同様に、減速開始地点の速度v2aからモータ速度の制限を満たす範囲で最大となる倍率kb2を算出する。
aとka2の小さい方をka3、またkbとkb2の小さい方をkb3とし、加速終了地点での速度上限パラメータva、vbをそれぞれ現在の速度上限パラメータvmaxから次式(28)、(29)で算出する。
a=vmax*a3 (28)
b=vmax*b3 (29)
次にステップST22およびST23について説明する。
まず、ステップST20までで算出した加速時間、減速時間および速度上限値を用いた場合に、等速区間があるかどうかの判別を行う(ステップST22)。この等速区間の有無の判別では、加速区間と減速区間の移動距離の和がその動作の移動距離よりも短い場合は等速区間が有り、一方、長い場合は等速区間が無いと判別できる。
ステップST22の判定で、「等速区間が有り」の場合、等速区間の中点で速度上限パラメータを修正する(ステップST23)。この場合、等速区間の中点、すなわち加速終了地点と減速開始地点の中点(M1点)を求め、中点の関節変位qmを算出する。次に等速区間の中点(M1点)から等速区間の速度で微小時間Δtだけ動作終了地点B点へ進んだ地点(M2点)の関節変位qm2と、等速区間の中点(M1点)から等速区間の速度で微小時間Δtだけ動作開始地点A点へ戻った地点(M3点)の関節変位qm3を算出する。さらに中点(M1点)での速度vmおよび加速度amを式(30)、(31)、(32)により算出する。
m=(qm2−qm)/Δt (30)
m2=(qm−qm3)/Δt (31)
m=(vm−vm2)/Δt (32)
中点(M1点)で、全ての軸のモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大の速度倍率kmaを、ステップST18における加速終了地点で全ての軸のモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大の速度倍率kaの算出と全く同様にて求める。さらに中点でのモータ最高速度の制限を満たす範囲で最大の速度倍率kmvを、ステップST18における加速終了地点でのモータ最高速度の制限を満たす範囲で最大の速度倍率ka2の算出と全く同様にして求める。次に、算出された速度倍率kmaおよびkmvの小さい方をkmとし、km<1の場合は速度上限パラメータをkm *vmaxに書き換える。また、km≧1の場合には速度上限パラメータは書き換えない。
なお、ステップST22で「等速区間は無し」との判定がなされた場合には、パラメータの修正は必要なく動作を終了する。
以上のように、この実施の形態3によれば、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7は、上記実施の形態1および実施の形態2の速度上限パラメータを求める部分に代わって、加速終了地点と減速開始地点のそれぞれの関節変位、関節速度から算出した遠心・コリオリ力、重力、クーロン摩擦力に基づいて、各地点で各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率と各軸の減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大となる速度倍率をそれぞれ算出し、算出された各地点での両速度倍率の中で、最小の速度倍率ka、kbをそれぞれ抽出し、加速終了地点および減速開始地点におけるそれぞれの速度v1b、v2aからモータ速度の制限を満たす範囲で最大となる速度倍率ka2、kb2をそれぞれ算出し、最小の速度倍率ka、kbと最大となる速度倍率ka2、kb2の中で小さい方の値ka3、kb3に基づいて、加速終了地点と減速開始地点での速度上限パラメータva、vbをそれぞれ算出している。また、加速時間、減速時間および速度上限パラメータを用いた場合に、等速区間があるかどうかの判別を行い、等速区間が有りの場合、等速区間の中点で速度上限パラメータを修正し、中点の関節変位qmを算出し、次に、等速区間の中点から等速区間の速度で微小時間Δtだけ動作終了地点側へ進んだ地点の関節変位qm2と、等速区間の中点から等速区間の速度で微小時間Δtだけ動作開始地点側へ戻った地点の関節変位qm3を算出し、さらに中点での速度vmおよび加速度amを算出し、中点で、全ての軸のモータおよび減速機の許容トルクの制約を満たす範囲で最大の速度倍率kmaを算出し、さらに中点でのモータ最高速度の制限を満たす範囲で最大の速度倍率kmvを算出し、算出された速度倍率kmaおよびkmvの中で小さい方の値kmが、1より小さい場合のみ、その小さい方の値(速度倍率km)に基づいて、速度上限パラメータをkm *vmaxにそれぞれ書き換えるようにしたことを特徴としている。したがって、等速区間が存在する場合にも、実施の形態1と同様に、動作毎に最適な速度上限パラメータを設定できる効果が得られる。
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4によるロボット制御装置の構成を示すブロック図である。図において、図1と同一または相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明を省略する。
この実施の形態4における基準速度演算手段20は、図1の基準速度演算手段2と同様に、ロボットの現在動作についての各軸もしくは直交座標系における各方向の基準速度を演算する手段であるが、A点からB点に移動する移動命令が各関節を同期して動作させる関節補間の場合には、ロボットの各軸毎の許容最高速度に基づいて当該動作についての各軸における基準速度を演算する。また、A点からB点に移動する移動命令が直線上を動作する直線補間の場合には、直交座標系における基準最高速度に基づいて当該動作についての直交座標系における各方向の基準速度を算出する。指令曲線生成手段30は、図1の指令曲線生成手段3と同様に指令曲線を生成する手段であるが、この場合には基準速度演算手段20で算出された当該動作の最高速度と、動作パラメータ補正手段12で補正された動作パラメータに基づいて指令曲線の生成を行う。
加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70は、A点からB点に移動する移動命令が関節補間の場合には、動作毎にロボットパラメータ記憶手段6に記憶されているモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する。また、A点からB点に移動する移動命令が直線補間の場合は、モータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の制約を満たす範囲で最短の加速時間、減速時間および最大の速度上限パラメータを算出する。関節補間の場合の加速時間および減速時間の算出方法は、上記特許文献1の加減速時間決定手段による方法と同じである。また、直線補間の場合の加速時間、減速時間および速度上限パラメータの算出方法は、上記実施の形態1の加減速時間・速度上限パラメータ決定手段7による方法と同じである。
トルク使用率演算手段10は、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70の内部で計算した各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最短となる加速時間ktmiおよび加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で最終的に求めた加速時間ktから各軸の加速区間のトルク使用率tratekiを次式(33)で算出する。
trateki=ktmi/kt (33)
同様に、各軸のモータトルク制限を満たす範囲で最短となる減速時間gtmi、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で最終的に求めた減速時間gtから各軸の減速区間のトルク使用率trategiを次式(34)で算出する。
trategi=gtmi/gt (34)
補正率記憶手段11には、ロボット動作命令が記載されておりロボット制御装置で処理されるプログラム中に記載された各軸毎の補正率の設定値hoseiが記憶されている。動作パラメータ補正手段12は、トルク使用率演算手段10で演算したトルク使用率と補正率記憶手段11に記憶された各軸の補正率を用いて、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出された加速時間および減速時間を次のようにして補正し、指令曲線生成手段30に出力する。
動作パラメータ補正手段12において、まず、トルク使用率演算手段10で求めた各軸の加速区間のトルク使用率と補正率記憶手段11に記憶されている各軸の補正率の設定値から補正候補値aratekiを次式(35)で算出する。
arateki=trateki *100/hosei (35)
算出された補正候補値aratekiの中から最大値aratekmaxを求める。ここで、aratekmax≦1の場合は加速時間を補正せず、aratekmax>1の場合は加速時間ktをkt*aratekmaxに書き換える。
同様に、減速区間の各軸のトルク使用率と補正率の設定値から補正候補値arategiを次式(36)で算出する。
arategi=trategi *100/hosei (36)
算出された補正候補値arategiの中から最大値arategmaxを求める。arategmax≦1の場合、減速時間は補正しない。arategmax>1の場合は減速時間gtをgt*arategmaxに書き換える。なお、直線補間の場合に加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70が算出する速度上限パラメータは補正せずそのまま指令曲線生成手段に出力する。
以上のように、この実施の形態4によれば、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、関節補間の場合には、動作毎にロボットパラメータ記憶手段6に記憶されている各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出し、また、直線補間の場合には、モータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間、減速時間および最大の速度上限パラメータを算出し、トルク使用率演算手段10で、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70により算出された最短の加速時間および最短の減速時間に基づいて各軸の加速区間のトルク使用率および各軸の減速区間のトルク使用率を算出し、算出された各軸の加速区間および減速区間の各トルク使用率および補正率記憶手段11に記憶された各軸毎の補正率に基づいて、動作パラメータ補正手段12により、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出された加速時間および減速時間を補正するようにしたので、予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて自動的に動作パラメータを修正できる効果が得られる。なお、ここで動作パラメータの修正については加速時間および減速時間に限定される必要はない。また、加減速時間・速度上限パラメータの決定については、速度上限パラメータの算出も行う場合に限定される必要はない。速度上限パラメータの算出を行わない場合は、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70は、入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する加減速決定手段に置き換えればよい。
また、具体的処理としてこの実施の形態4では、トルク使用率演算手段10は、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出した各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最短となる加速時間ktmi、減速時間gtmiおよび最終的に求めた加速時間kt、減速時間gtに基づいて各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率を算出し、動作パラメータ補正手段12により、トルク使用率演算手段10で求めた各軸の加速区間および減速区間の各トルク使用率と補正率記憶手段11に記憶されている各軸の補正率の設定値に基づいてそれぞれの区間の補正候補値を算出し、算出された補正候補値の中から最大値をそれぞれ求め、求めた最大値が1より大きい場合のみ、最終的に求めた加速時間ktおよび減速時間gtをその1より大きい補正候補値の最大値に基づいてそれぞれkt*aratekmaxおよびgt*arategmaxに置き換えるようにしたことを特徴としている。
実施の形態5.
実施の形態5によるロボット制御装置の構成も図4で表される。実施の形態4とは動作パラメータ補正手段12と指令曲線生成手段30の動作が異なるので、その異なる部分についてのみ説明する。
まず、動作パラメータ補正手段12では、加速区間のトルク使用率と補正率の設定値から補正候補値vratekiを次式(37)で算出する。
vrateki=trateki *100/hosei (37)
算出された補正候補値vratekiの中から最大値vratekmaxを求める。
同様に減速区間のトルク使用率と補正率の設定値から補正候補値vrategiを次式(38)で算出する。
vrategi=trategi *100/hosei (38)
算出された補正候補値vrategiの中から最大値vrategmaxを求める。
次に、2つの補正候補値の最大値vratekmaxとvrategmaxの中で大きい方を最終補正候補値vratemaxとする。vratemax>1の時に、基準速度修正率ovrdを次式(39)で算出する。
ovrd=1/vratemax (39)
また、vratemax≦1のときはovrd=1とする。指令曲線生成手段30へは、基準速度修正率ovrdと加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出した加速時間、減速時間および速度上限パラメータを出力する。
指令曲線生成手段30では、基準速度演算手段20で演算した基準速度に動作パラメータ補正手段12で算出した基準速度修正率ovrdを乗じた値を基準速度として指令曲線を生成する。
以上のように、この実施の形態5によれば、トルク使用率演算手段10では、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出された各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最短となる加速時間ktmi、減速時間gtmiおよび最終的に求めた加速時間kt、減速時間gtに基づいて各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率をそれぞれ算出し、動作パラメータ補正手段12により、算出された各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率と補正率の設定値に基づいて補正候補値をそれぞれ算出し、算出された補正候補値の中からそれぞれ各区間での補正候補値の最大値を抽出し、抽出された各区間での最大値の中で、大きい方の値に基づいて基準速度修正率を算出し、指令曲線生成手段では、基準速度演算手段20で算出した基準速度に算出された基準速度修正率を乗じて修正した基準速度とし、指令曲線を生成するようにしたことを特徴としている。したがって、実施の形態4と同様にして、予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて自動的に動作パラメータを修正できる効果が得られる。
実施の形態6.
実施の形態6によるロボット制御装置の構成も図4で表される。実施の形態4とは動作パラメータ補正手段12および指令曲線生成手段30の動作が異なるので、その異なる部分についてのみ説明する。
まず、動作パラメータ補正手段12では、加速区間のトルク使用率と補正率の設定値から補正候補値dratekiを次式(40)から算出する。
drateki=trateki *100/hosei (40)
算出された補正候補値dratekiの最大値dratekmaxを求める。同様に減速区間のトルク使用率と補正率の設定値から次式(41)から補正候補値drategiを算出する。
drategi=trategi *100/hosei (41)
算出された補正候補値drategiの最大値drategmaxを求める。
次に、dratekmax、drategmaxの中で大きい方をdratemaxとする。dratemax>1の時に、待ち時間修正率rdelayを
rdelay=dratemax (42)
で算出する。また、dratemax≦1のときはrdelay=1とする。
動作パラメータ補正手段12は、待ち時間修正率rdelayを算出すると、その値を加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出した加速時間、減速時間および速度上限パラメータと共に指令曲線生成手段30へ出力する。指令曲線生成手段30では、ロボット動作命令が記載されておりロボット制御装置で処理されるプログラム上に動作と動作の間で待ち時間が指定されているとき、その指定された待ち時間に待ち時間修正率rdelayを乗じて修正し、修正された待ち時間だけ停止してから次の動作に移行する。
以上のように、この実施の形態6によれば、トルク使用率演算手段10では、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で算出された各軸のモータの許容トルクの制約を満たす範囲で最短となる加速時間ktmi、減速時間gtmiおよび最終的に求めた加速時間kt、減速時間gtに基づいて各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率をそれぞれ算出し、動作パラメータ補正手段12により、算出された各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率と補正率の設定値に基づいて補正候補値をそれぞれ算出し、算出された補正候補値の中からそれぞれ各区間での補正候補値の最大値を抽出し、抽出された各区間での補正候補値の最大値の中で、大きい方の値に基づいて待ち時間修正率を算出し、指令曲線生成手段30では、動作と動作の間で待ち時間が指定されているとき、ロボット動作命令が記載されておりロボット制御装置で処理されるプログラム上に記載された待ち時間に算出された待ち時間修正率を乗じて修正し、修正された待ち時間に応じた動作停止を行ってから次の動作に移行する指令曲線を生成するようにしたことを特徴としている。したがって、実施の形態4と同様に、予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて自動的に動作パラメータを修正できる効果が得られる。
実施の形態7.
実施の形態7によるロボット制御装置の構成も図4で表わされる。実施の形態4とはトルク使用率演算手段10での動作が異なるので、その異なる部分についてのみ説明する。
トルク使用率演算手段10は、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70内部で計算した加速終了地点における慣性行列Mc、関節速度v1b、遠心・コリオリ力、重力、摩擦力の和hcと加速時間ktから、加速終了地点でのモータトルクτmkを次式(43)で算出する。
τmk=Mc1b/kt+hc (43)
加速終了地点でのモータトルクτmkの第i軸要素をτmkiとし、各軸の加速区間のトルク使用率tratekiを次式(44)から算出する。
trateki=abs(τmki)/τmaxmi (44)
ここで、τmaxmiは各軸モータの許容最大トルクである。同様に、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70内部で計算した減速開始地点における慣性行列Md、関節速度v2a、遠心・コリオリ力、重力、摩擦力の和hdと減速時間gtから、減速開始地点でのモータトルクτmgを次式(45)で算出する。
τmg=−Md2a/gt+hd (45)
減速開始地点でのモータトルクτmgの第i軸要素をτmgiとし、各軸の減速区間のトルク使用率trategiを次式(46)から算出する。
trategi=abs(τmgi)/τmaxmi (46)
算出された各軸の加速区間のトルク使用率および減速区間のトルク使用率は、動作パラメータ補正手段12に出力され、動作パラメータ補正手段12において実施の形態4のように加速時間および減速時間の修正に用いられる。
以上のように、この実施の形態7によれば、トルク使用率演算手段10では、加減速時間・速度上限パラメータ決定手段70で計算した加速終了地点および減速開始地点における慣性行列、関節速度、遠心・コリオリ力、重力、摩擦力の和と加速時間kt、減速時間gtに基づいて各地点でのモータトルクτmk、τmgを算出し、これらのモータトルクτmk、τmgと各軸のモータの許容最大トルクに基づいて各軸の加速区間および減速区間のトルク使用率を算出し、動作パラメータ補正手段12では、算出された各軸の加速区間および減速区間の各トルク使用率と補正率記憶手段に記憶されている各軸の補正率の設定値に基づいてそれぞれの区間の補正候補値を算出し、加速時間および減速時間の修正に用いられることを特徴としている。したがって、予め指定した割合と各軸のモータの負荷に応じて自動的に動作パラメータを修正できる効果が得られる。
この発明の実施の形態1乃至実施の形態3によるロボット制御装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1および実施の形態2に係る加減速時間・速度上限パラメータ決定手段の処理手順を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る加減速時間・速度上限パラメータ決定手段の処理手順を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4乃至実施の形態7によるロボット制御装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 教示点記憶手段、2,20 基準速度演算手段、3,30 指令曲線生成手段、4 モータ制御手段、5 ロボット、6 ロボットパラメータ記憶手段、7,70 加減速時間・速度上限パラメータ決定手段、10 トルク使用率演算手段、11 補正率記憶手段、12 動作パラメータ補正手段。

Claims (3)

  1. ロボットの各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値を予め記憶しているロボットパラメータ記憶手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位に応答して、加速開始地点から減速終了地点への移動が関節補間の場合には、前記ロボットの各軸の許容最高速度に基づいて現在動作の各軸の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出し、また、加速開始地点から減速終了地点への移動が直線補間の場合には、前記直交座標系における基準最高速度に基づいて現在動作の直交座標系の各方向の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出する基準速度演算手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に前記各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、前記各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する加減速時間決定手段と、
    算出された前記最短の加速時間に基づいて各軸の加速区間のトルク使用率を算出し、前記最短となる減速時間に基づいて各軸の減速区間のトルク使用率を算出するトルク使用率演算手段と、
    ロボットの各軸の補正率を予め記憶する補正率記憶手段と、
    各軸のトルク使用率を各軸の補正率の設定値で除算して得られる各軸の補正候補値を算出し、算出した補正候補値の最大値が1より大きくなる場合に、加速時間及び減速時間を補正候補値の最大値を乗じた値に修正する動作パラメータ修正手段と、
    算出された基準速度、加速時間、減速時間と修正された加速時間、減速時間に基づいてロボットの各軸を駆動するモータを制御する指令曲線を生成する指令曲線生成手段とを備えたロボット制御装置。
  2. ロボットの各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値を予め記憶しているロボットパラメータ記憶手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位に応答して、加速開始地点から減速終了地点への移動が関節補間の場合には、前記ロボットの各軸の許容最高速度に基づいて現在動作の各軸の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出し、また、加速開始地点から減速終了地点への移動が直線補間の場合には、前記直交座標系における基準最高速度に基づいて現在動作の直交座標系の各方向の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出する基準速度演算手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に前記各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、前記各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する加減速時間決定手段と、
    算出された前記最短の加速時間に基づいて各軸の加速区間のトルク使用率を算出し、前記最短となる減速時間に基づいて各軸の減速区間のトルク使用率を算出するトルク使用率演算手段と、
    ロボットの各軸の補正率を予め記憶する補正率記憶手段と、
    各軸のトルク使用率を各軸の補正率の設定値で除算して得られる各軸の補正候補値を算出し、算出した補正候補値の最大値が1より大きくなる場合に、基準速度に乗じる基準速度修正率を補正候補値の最大値で除算した値に修正する動作パラメータ修正手段と、
    算出された基準速度、加速時間、減速時間と修正された基準速度修正率に基づいてロボットの各軸を駆動するモータを制御する指令曲線を生成する指令曲線生成手段とを備えたロボット制御装置。
  3. ロボットの各軸の許容最高速度、直交座標系における基準最高速度、各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値を予め記憶しているロボットパラメータ記憶手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位に応答して、加速開始地点から減速終了地点への移動が関節補間の場合には、前記ロボットの各軸の許容最高速度に基づいて現在動作の各軸の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出し、また、加速開始地点から減速終了地点への移動が直線補間の場合には、前記直交座標系における基準最高速度に基づいて現在動作の直交座標系の各方向の動作開始から加速時間経過したときに達する基準速度を算出する基準速度演算手段と、
    入力される加速開始地点と減速終了地点の直交座標値と関節変位の少なくとも一方に応答して、動作毎に前記各軸を駆動するモータの駆動トルクの許容最大値、前記各軸の伝達機構の作用トルクおよびモーメントの許容最大値の少なくとも1つの制約を満たす範囲で最短の加速時間および減速時間を算出する加減速時間決定手段と、
    算出された前記最短の加速時間に基づいて各軸の加速区間のトルク使用率を算出し、前記最短となる減速時間に基づいて各軸の減速区間のトルク使用率を算出するトルク使用率演算手段と、
    ロボットの各軸の補正率を予め記憶する補正率記憶手段と、
    各軸のトルク使用率を各軸の補正率の設定値で除算して得られる各軸の補正候補値を算出し、算出した補正候補値の最大値が1より大きくなる場合に、待ち時間修正率を補正候補値の最大値に修正する動作パラメータ修正手段と、
    算出された基準速度、加速時間、減速時間と修正された待ち時間修正率に基づいてロボットの各軸を駆動するモータを制御する指令曲線を生成する指令曲線生成手段とを備えたロボット制御装置。
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