JP2008129376A - 電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、液晶ライトバルブが有する画素電極における光透過率を高める。
【解決手段】赤色光(R)は、ITO膜の膜厚が100乃至140nmで透過率が高くなる傾向にある。緑色光(G)は、ITO膜の膜厚が120乃至160nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。青色光(B)は、ITO膜の膜厚が160乃至200nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。したがって、液晶ライトバルブの画素電極としてITO膜を採用した場合、上述した各膜厚範囲に各画素電極9R、9G及び9Bの膜厚を設定することによって、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光透過率を高めることができ、
【選択図】図5
【解決手段】赤色光(R)は、ITO膜の膜厚が100乃至140nmで透過率が高くなる傾向にある。緑色光(G)は、ITO膜の膜厚が120乃至160nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。青色光(B)は、ITO膜の膜厚が160乃至200nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。したがって、液晶ライトバルブの画素電極としてITO膜を採用した場合、上述した各膜厚範囲に各画素電極9R、9G及び9Bの膜厚を設定することによって、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光透過率を高めることができ、
【選択図】図5
Description
本発明は、例えば赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調する3枚の液晶ライトバルブが用いられてなる複板式カラー液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
この種の電子機器の一例である液晶プロジェクタに用いられる3枚の液晶ライトバルブでは、相対向するように配置された一対の基板間に液晶層を封止し、液晶層の駆動によって画像表示が行われる表示領域が形成される。より具体的には、液晶ライトバルブの画素には、ITO等の透明な画素電極が形成され、当該画素電極と対向電極との間に介在する液晶層を駆動することによって入射光が変調される。赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調する液晶ライトバルブから出射された変調光は、光合成光学系によって合成され、カラー画像が投写される。特許文献1は、透明な画素電極を含む光反射防止膜を形成することによって、各画素における光透過率を高めることが可能な液晶素子を提案している。
この種の液晶プロジェクタに用いられる液晶ライトバルブは、通常、変調すべき光に応じて相互に異なる設計がなされるのではなく、共通の構造を有している場合が多い。
しかしながら、共通の構造を有する液晶ライトバルブを用いて、相互に異なる波長を有する赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調した場合、各液晶ライトバルブの画素における光透過率を高めることができない問題点が生じる。より具体的には、透明な画素電極に入射する入射光の透過率は、入射光の波長に応じて相互に異なる。したがって、赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調する3枚の液晶ライトバルブの夫々における画素電極の膜厚が相互に共通である場合、各液晶ライトバルブの画素における光透過率を最も高くすることができなくなり、液晶プロジェクタの表示性能を高めることが困難となる。
よって、本発明は、上述した問題点等に鑑みなされたものであり、例えば、表示性能が高められた液晶プロジェクタ等の電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、第1画素電極を有し、第1色光を変調する第1電気光学パネルと、第2画素電極を有し、前記第1色光と異なる第2色光を変調する第2電気光学パネルとを備え、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の夫々の膜厚は、前記第1色光及び前記第2色光の夫々が前記第1画素電極及び前記第2画素電極の夫々を透過する透過率が最も高くなるように設定されている。
本発明に係る電子機器は、例えば、液晶プロジェクタ等の投写型表示装置であり、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルは、液晶プロジェクタ等の投写型表示装置に用いられる液晶ライトバルブである。第1電気光学パネルは、透明な第1画素電極を有しており、第1色光を変調する。第2電気光学パネルは、第2色光を変調し、該変調された第2色光を出射する。これら電気光学パネルから出射された変調光は、例えば、光合成系を介して合成されることによってスクリーン等の投写面に画像が投写される。
ここで、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルは、共通の工程によって形成された共通の構造を有する電気光学パネルから選択されることが多いため、第1画素電極及び第2画素電極の膜厚も同じである場合が多い。しかしながら、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルの夫々は、互いに異なる波長を有する第1色光及び第2色光の夫々を変調するため、これら光が第1画素電極及び第2画素電極の夫々を透過する際の光の透過率は、透過する光の波長に応じて相互に異なる。言い換えれば、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルの夫々における光利用効率、即ち、光透過率を最も高くする画素電極の膜厚は、各画素電極を透過する色光の波長毎に異なる。
そこで、本発明に係る電子機器によれば、第1画素電極及び第2画素電極の夫々の膜厚は、第1色光及び第2色光の夫々が第1画素電極及び第2画素電極の夫々を透過する透過率が最も高くなるように設定されている。
したがって、本発明に係る電子機器によれば、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルの夫々によって変調される第1色光及び第2色光の透過率を高めることができ、各画素部の駆動に応じて明るい画像を表示できる。尚、本発明に係る電子機器では、第1画素電極及び第2画素電極の夫々の膜厚は、各画素電極における透過率が最も高くなる最適な膜厚に限定されるものではなく、例えば、第1画素電極及び第2画素電極の夫々の膜厚を相互に等しく設定した場合に比べて、各画素電極における透過率が相対的に高くなる範囲に含まれていればよい。
このように本発明に係る電子機器によれば、第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルを製造する製造プロセスにおいて、第1画素電極及び第2画素電極を形成する成膜条件を変更するだけで透過率が高められた電気光学パネルを製造でき、且つこれら電気光学パネルを用いて高品位の画像を表示可能なプロジェクタ等の電子機器を提供できる。
尚、本発明に係る電子機器は、上述したプロジェクタ等の投写型表示装置に限定されるものではなく、高品位の表示が可能な、例えば、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
本発明に係る電子機器の一の態様では、前記第1色光は、赤色光、緑色光及び青色光から選択された一の色光であり、前記第2色光は、前記赤色光、前記緑色光及び前記青色光のうち前記一の色光を除いた2つの色光の一方であってもよい。
この態様によれば、カラー画像を表示する際に用いられる赤色光、緑色光及び青色光ののうち第1電気光学パネル及び第2電気光学パネルの夫々が変調すべき色光に応じて第1画素電極及び第2画素電極の夫々の膜厚を設定できる。
この態様では、第3画素電極を有し、第3色光を変調する第3電気光学パネルを備え、前記第3色光は、前記赤色光、前記緑色光及び前記青色光のうち前記一の色光及び前記一方を除いた他の色光であってもよい。
この態様によれば、第1電気光学パネル、第2電気光学パネル及び第2電気光学パネルの夫々によって、赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調できるため、これら3種の色光を合成することによって、カラー画像を表示できる。
この態様では、前記一の色光は赤色であり、前記一方は緑色であり、前記他の色光は青色であり、前記第1画素電極は、膜厚が100乃至140nmであるITO膜であり、前記第2画素電極は、膜厚が120乃至160nmであるITO膜であり、前記第3画素電極は、膜厚が160乃至200nmであるITO膜であってもよい。
この態様によれば、各画素電極としてITO(Indium Tin Oxide)膜を採用した場合、各色光の透過率が最も高くなるように、各色光に対応した画素電極の膜厚の範囲を具体的に設定できる。このような膜厚の範囲は、後述する実施形態における本願発明者のシミュレーションによって求められている。
本発明に係る電子機器の他の態様では、前記第1電気光学パネル、前記第2電気光学パネル、及び前記第3電気光学パネルの夫々は、前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の夫々の下層側に形成された第1光反射防止膜、第2光反射防止膜、及び第3光反射防止膜を夫々有していてもよい。
この態様によれば、第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極の夫々に入射する第1色光、第2色光及び第3色光の夫々が、各色光に対応する画素部において反射されることを低減でき、当該反射による光損失を低減できる。
この態様では、前記第1光反射膜防止膜、前記第2光反射膜防止膜、及び前記第3光反射膜防止膜の夫々の屈折率は1.7乃至1.8の範囲に設定されており、前記第1光反射膜防止膜の膜厚は、30乃至60nmの範囲に設定されており、前記第2光反射膜防止膜の膜厚は、50乃至90nmの範囲に設定されており、前記第3光反射膜防止膜の膜厚は、100乃至150nmの範囲に設定されていてもよい。
この態様によれば、第1色光、第2色光及び第3色光の夫々に応じて、各画素部における光反射を低減できる。各光反射膜防止膜の膜厚は、後述する実施形態における本願発明者のシミュレーションによって求められている。加えて、この態様によれば、各光反射防止膜によって各色光の反射が低減される分、各画素電極の膜厚を薄くできる。言い換えれば、光透過率が最も高くなる膜厚より薄くなるように各画素電極の膜厚を設定した場合でも、膜厚を薄くすることによって低下する光透過率の低下分を各光反射防止膜によって補うことが可能である。したがって、例えば、ITO等の透明電極材料に含まれるインジウム等の金属材料の使用量を低減でき、電子機器の製造コストを抑制できる利点がある。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照しながら本発明に係る電子機器の一実施形態であるプロジェクタを説明する。
<1:液晶プロジェクタの構成>
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る液晶プロジェクタ1100の構成を説明する。ここでは、液晶プロジェクタ1100の光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。図1は、液晶プロジェクタ1100の図式的断面図である。本実施形態のプロジェクタ1100は、本発明に係る「第1電気光学パネル」、「第2電気光学パネル」及び「第3電気光学パネル」の夫々一例ある液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bが3枚一組で用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る液晶プロジェクタ1100の構成を説明する。ここでは、液晶プロジェクタ1100の光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。図1は、液晶プロジェクタ1100の図式的断面図である。本実施形態のプロジェクタ1100は、本発明に係る「第1電気光学パネル」、「第2電気光学パネル」及び「第3電気光学パネル」の夫々一例ある液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bが3枚一組で用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
図1において、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された3枚の液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bを備えている。これら液晶ライトバルブの夫々は、赤色光、緑色光及び青色光を変調する光変調装置である。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色光は、各々対応する液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bに導かれる。この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分(即ち、色光)は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーンにカラー画像として投射される。
本実施形態に係るプロジェクタでは、各液晶ライトバルブが有する画素電極の膜厚が、当該液晶ライトバルブによって変調すべき光の波長(即ち、各色光)に応じて、光透過率が最も高くなる膜厚に近い値、或いは最も透過率が高くなる膜厚に設定されている点に特徴を有している。
<2:電気光学パネルの具体的な構成>
次に、図2乃至図4を参照しながら、液晶ライトバルブ100の具体的な構成を説明する。各液晶ライトバルブの構造上の相違点は画素電極の膜厚のみであるため、以下では、赤色光を変調する液晶ライトバルブ100Rを例に挙げて液晶ライトバルブの具体的な構成を説明する。尚、以下では、液晶ライトバルブ100に含まれる偏光板等の光学補償系を省略している。
次に、図2乃至図4を参照しながら、液晶ライトバルブ100の具体的な構成を説明する。各液晶ライトバルブの構造上の相違点は画素電極の膜厚のみであるため、以下では、赤色光を変調する液晶ライトバルブ100Rを例に挙げて液晶ライトバルブの具体的な構成を説明する。尚、以下では、液晶ライトバルブ100に含まれる偏光板等の光学補償系を省略している。
先ず、図2及び図3を参照しながら、液晶ライトバルブ100Rの具体的構成を説明する。図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶ライトバルブの平面図である。図3は、図2のIII−III´断面図である。尚、液晶ライトバルブ100Rは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置である。
図2及び図3において、液晶ライトバルブ100Rでは、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素が配置された画素領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、液晶ライトバルブ100Rは、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画素領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
画素領域10aの周辺に広がる周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9R上に、図示しない配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に図示しない配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、画素電極9Rが、本発明に係る「第1画素電極」の典型例であり、液晶ライトバルブ100G及び100Bの夫々が備える画素電極9G及び9Bの夫々が、本発明に係る「第2画素電極」及び「第3画素電極」の夫々典型例である。
次に、図4を参照して、以上の如く構成された液晶ライトバルブにおける回路構成及び動作について説明する。図4は、液晶ライトバルブ100Rの画素領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図4において、液晶100Rの画素領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9Rと当該画素電極9Rに印加される電圧をスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9Rを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶ライトバルブ100Rからは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9Rと対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
ここで、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの夫々は、共通の工程によって形成された共通の構造を有する液晶パネルから選択されることが多いため、各液晶ライトバルブが有する画素電極9R、9G及び9Bの夫々の膜厚も相互に同じ膜厚である場合が多い。
しかしながら、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの夫々は、互いに異なる波長を有する赤色光、緑色光及び青色光の夫々を変調するため、これら光が各画素電極9R、9G及び9Bの夫々を透過する際の光透過率は、透過する光の波長に応じて相互に異なる。言い換えれば、各液晶ライトバルブにおける光利用効率、即ち、光透過率を最も高くする画素電極の膜厚は、各画素電極を透過する光の波長毎に異なる。
そこで、本実施形態では、画素電極9R、9G及び9Bの夫々の膜厚は、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々が画素電極9R、9G及び9Bの夫々を透過する際の光透過率が最も高くなるように設定されている。
したがって、本実施形態に係る液晶プロジェクタ1100によれば、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの夫々によって変調される赤色光、緑色光、及び青色光の透過率を高めることができ、各画素部の駆動に応じて明るい画像を表示できる。
<3:画素電極の具体的な膜厚>
次に、図5を参照しながら、画素電極の最適な膜厚の具体的な範囲について検討する。図5は、本願発明者が行ったシミュレーション結果を示したグラフであって、画素電極の膜厚に対する光透過率の変化を計算したシミュレーション結果を示したグラフである。ここでは、画素電極の一例として、液晶装置における透明な画素電極として汎用されているITO膜を例に挙げ、赤色光(R)、緑色光(G)及び青色光(B)の夫々に関する光透過率をシミュレーションした。
次に、図5を参照しながら、画素電極の最適な膜厚の具体的な範囲について検討する。図5は、本願発明者が行ったシミュレーション結果を示したグラフであって、画素電極の膜厚に対する光透過率の変化を計算したシミュレーション結果を示したグラフである。ここでは、画素電極の一例として、液晶装置における透明な画素電極として汎用されているITO膜を例に挙げ、赤色光(R)、緑色光(G)及び青色光(B)の夫々に関する光透過率をシミュレーションした。
図5に示すように、赤色光(R)、緑色光(G)及び青色光(B)の夫々がITO膜を透過する光透過率は、ITO膜の膜厚に関して一様ではなく、各波長の光について夫々最も高い透過率となる膜厚の範囲が相互に異なっている。より具体的には、赤色光(R)は、ITO膜の膜厚が100乃至140nmで透過率が高くなる傾向にある。緑色光(G)は、ITO膜の膜厚が120乃至160nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。青色光(B)は、ITO膜の膜厚が160乃至200nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。
したがって、液晶ライトバルブの画素電極としてITO膜を採用した場合、上述した各膜厚範囲に各画素電極9R、9G及び9Bの膜厚を設定することによって、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光透過率を高めることができ、各液晶ライトバルブが相互に一様な膜厚を有する画素電極を有している場合に比べて、液晶プロジェクタの表示性能を向上させることが可能である。
このように本実施形態に係るプロジェクタ1100によれば、各液晶ライトバルブを製造する製造プロセスにおいて、最適な膜厚を有するように画素電極の成膜条件を変更するだけで光透過率が高められた液晶ライトバルブを製造でき、且つこれら液晶ライトバルブを用いて高品位の画像を表示可能なプロジェクタを提供できる。
<4:変形例>
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施形態に係るプロジェクタの変形例を説明する。図6は、液晶ライトバルブ100Rの部分断面図である。図7は、本願発明者が行ったシミュレーション結果を示したグラフであって、光反射防止膜の膜厚に対する光透過率の変化を計算したシミュレーション結果である。尚、図7では、画素電極の一例としてITO膜を例に挙げ、当該ITO膜の膜厚を一定の膜厚としている。また、本例に係る液晶プロジェクタは、各液晶ライトバルブが画素電極の下層側に光反射防止膜を備えている点に特徴を有しており、その他の部分は上述した各液晶ライトバルブと同様の構成である。したがって、本例の液晶ライトバルブでは、上述した液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bと同様の部分について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略している。
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施形態に係るプロジェクタの変形例を説明する。図6は、液晶ライトバルブ100Rの部分断面図である。図7は、本願発明者が行ったシミュレーション結果を示したグラフであって、光反射防止膜の膜厚に対する光透過率の変化を計算したシミュレーション結果である。尚、図7では、画素電極の一例としてITO膜を例に挙げ、当該ITO膜の膜厚を一定の膜厚としている。また、本例に係る液晶プロジェクタは、各液晶ライトバルブが画素電極の下層側に光反射防止膜を備えている点に特徴を有しており、その他の部分は上述した各液晶ライトバルブと同様の構成である。したがって、本例の液晶ライトバルブでは、上述した液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bと同様の部分について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略している。
図6において、画素電極9Rは、本発明に係る「第1光反射防止膜」の一例である光反射防止膜10R上に形成されている。光反射防止膜19Rは、TFTアレイ基板10上に形成された絶縁膜43上に形成されている。したがって、画素電極9R及び光反射防止膜10Rは相互に積層されている。液晶ライトバルブ100Rには、画素電極9Rの上面側、即ち、TFTアレイ基板10から見て対向基板20側から入射光が入射する。また、液晶ライトバルブ100G及び100Bの夫々にも、本発明に係る「第2光反射防止膜」及び「第3光反射防止膜」の夫々一例である光反射防止膜19G及び19Bが形成されている。
このような光反射防止膜19R、19G及び19Bによれば、光反射防止膜を形成しない場合に比べて、画素電極9R、9G及び9Bの夫々の下面において反射される入射光を低減でき、光損失を低減できる。したがって、画素電極9R、9G及び9Bの夫々における光利用効率を高めることが可能である。
加えて、本例によれば、画素電極9R、9G及び9Bの夫々の膜厚と、これら画素電極の下層側に形成される光反射防止膜の膜厚とを、光透過率が高まるように組み合わせることによって、画素電極9R、9G及び9Bの膜厚を相互に一様に形成する場合に比べて、これら画素電極の膜厚を薄くすることが可能である。このような光反射防止膜によれば、後述するように、画素における光透過率を高めつつ、画素電極に使用される電極材料を低減できるため、液晶プロジェクタに要するコストを低減することが可能である。
次に、図7を参照しながら、光反射防止膜の最適な膜厚の具体的な範囲について検討する。ここでは、画素電極の一例として、液晶装置における透明な画素電極として汎用されているITO膜を挙げ、赤色光(R)、緑色光(G)及び青色光(B)の夫々に関する光透過率をシミュレーションした。尚、ITO膜の膜厚を一定とし、光反射防止膜は、屈折率が1.7の膜材料によって形成されている。
図7に示すように、赤色光、緑色光及び青色光の夫々がITO膜を透過する光透過率は、光反射防止膜の膜厚に関して一様ではなく、各波長の光について夫々最も高い透過率となる膜厚の範囲が相互に異なっている。より具体的には、赤色光(R)は、光反射防止膜の膜厚が30乃至60nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。緑色光(G)は、光反射間防止膜の膜厚が50乃至90nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。青色光(B)は、光反射防止膜の膜厚が100乃至150nmの範囲で透過率が高くなる傾向にある。
したがって、液晶ライトバルブの画素電極としてITO膜を採用した場合、上述した各膜厚範囲に各光反射防止膜19R、19G及び19Bの膜厚を設定することによって、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光透過率を高めることができ、光透過率を高めつつ、画素電極の膜厚を薄くできる。尚、光反射防止膜の屈折率は、1.7に限定されるものではなく、本願発明者の考察によれば、光反射防止膜の屈折率が1.7乃至1.8の範囲内で上述のシミュレーション結果と同様の結果が得られると推察されている。
上述した光反射防止膜によれば、光透過率が最も高くなる膜厚より薄くなるように各画素電極の膜厚を設定した場合でも、膜厚を薄くすることによって低下する光透過率の低下を各光反射防止膜によって補うことが可能である。したがって、例えば、ITO等の透明電極材料に含まれるインジウム等の金属材料の使用量を低減でき、液晶プロジェクタの製造コストを抑制でき、安価な液晶ライトバルブを提供できる利点がある。
9R,9G,9B・・・画素電極、19R,19G,19B・・・光反射防止膜、100R,100,100B・・液晶ライトバルブ、1100・・・液晶プロジェクタ
Claims (6)
- 第1画素電極を有し、第1色光を変調する第1電気光学パネルと、
第2画素電極を有し、前記第1色光と異なる第2色光を変調する第2電気光学パネルとを備え、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極の夫々の膜厚は、前記第1色光及び前記第2色光の夫々が前記第1画素電極及び前記第2画素電極の夫々を透過する透過率が最も高くなるように設定されていること
を特徴とする電子機器。 - 前記第1色光は、赤色光、緑色光及び青色光から選択された一の色光であり、
前記第2色光は、前記赤色光、前記緑色光及び前記青色光のうち前記一の色光を除いた2つの色光の一方であること
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。 - 第3画素電極を有し、第3色光を変調する第3電気光学パネルを備え、
前記第3色光は、前記赤色光、前記緑色光及び前記青色光のうち前記一の色光及び前記一方を除いた他の色光であること
を特徴とする請求項2に記載の電子機器。 - 前記一の色光は赤色であり、前記一方は緑色であり、前記他の色光は青色であり、
前記第1画素電極は、膜厚が100乃至140nmであるITO膜であり、
前記第2画素電極は、膜厚が120乃至160nmであるITO膜であり、
前記第3画素電極は、膜厚が160乃至200nmであるITO膜であること
を特徴とする請求項3に記載の電子機器。 - 前記第1電気光学パネル、前記第2電気光学パネル及び前記第3電気光学パネルの夫々は、前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の夫々の下層側に形成された第1光反射防止膜、第2光反射防止膜、及び第3光反射防止膜の夫々を有すること
を特徴とする請求項3又は4に記載の電子機器。 - 前記第1光反射膜防止膜、前記第2光反射膜防止膜、及び前記第3光反射膜防止膜の夫々の屈折率は1.7乃至1.8の範囲に設定されており、
前記第1光反射膜防止膜の膜厚は、30乃至60nmの範囲に設定されており、
前記第2光反射膜防止膜の膜厚は、50乃至90nmの範囲に設定されており、
前記第3光反射膜防止膜の膜厚は、100乃至150nmの範囲に設定されていること
を特徴とする請求項5に記載の電子機器。
Priority Applications (1)
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JP2006315187A JP2008129376A (ja) | 2006-11-22 | 2006-11-22 | 電子機器 |
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JP2006315187A Withdrawn JP2008129376A (ja) | 2006-11-22 | 2006-11-22 | 電子機器 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008129376A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115061298A (zh) * | 2022-08-05 | 2022-09-16 | 惠科股份有限公司 | 显示面板、显示面板的制备方法及显示器 |
-
2006
- 2006-11-22 JP JP2006315187A patent/JP2008129376A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115061298A (zh) * | 2022-08-05 | 2022-09-16 | 惠科股份有限公司 | 显示面板、显示面板的制备方法及显示器 |
CN115061298B (zh) * | 2022-08-05 | 2022-11-25 | 惠科股份有限公司 | 显示面板、显示面板的制备方法及显示器 |
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