JP2008129211A - 光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性及び耐久性に富み、高信頼性を有し、構造がシンプルでコスト的に安価にかつ生産性よく作製し得る光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び偏光板を用いた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】(A)アイオノマー80〜97質量%、及び(B)ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物3〜20質量%を含有する電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルム、該光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板、及び該偏光板を用いてなる画像表示装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子線の照射により架橋硬化してなる光学フィルム、及び該フィルムを偏光子の片面又は両面に保護膜として利用した偏光板、並びに該偏光板を用いた画像表示装置に関する。
従来より、液晶表示素子、有機EL表示素子、眼鏡等をはじめとする光学素子には、偏光板が用いられているが、このような用途に用いられている偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂(以下「PVA」という。)の一軸延伸フィルムをヨウ素で染色した偏光子の両面に、その強度及び耐水性や耐湿性等を向上させるために、保護膜を接着剤で貼り合わせたものが一般的である。
このような偏光板における保護膜としては、光学的透明性に優れたトリアセチルセルロース系フィルム(TACフィルム)が用いられており、また接着剤としては、偏光子及び保護膜が共に親水性であることを考慮して、親水性のものが用いられている。
ところで、上述したような偏光子では、発色しているポリヨウ素イオン(I3-、I5-等)が、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸の結果として偏光能を発揮しているため、偏光子に湿気(水蒸気)が供給されるとポリヨウ素が分解してヨウ素イオン(I-)となり、ポリヨウ素イオンにより発色は減じる。この現象は、高温環境下では更に顕著となる。その結果、偏光子の光透過率が増大し、偏光子の偏光能は失われて行くと考えられている。従って、偏光板の保護膜に対しては、外部の湿気等の影響から偏光子を保護することが求められている。
上記保護膜としては、これまで複屈折がなく光学的に等方性であること、光線透過率が高いこと、耐湿性、耐熱性に優れていること、機械的性質に優れていること、平面性が良好なこと、偏光子との接着性が良好であることなどの好適な物性を有することからセルロース系フィルムが用いられていた(特許文献1参照)。より具体的には、セルロース系フィルムとして、上述のようにTACが一般的に使用されている。
しかしながら、TACフィルムは、偏光子との接着性は良好であるが、水蒸気透過度が大きく、貼合後の外部からの水蒸気の透過を抑制できないため、偏光板の長期における耐久性の低下を招くという問題があった。
また、偏光子保護膜としては偏光子との接着性も重要であり、偏光子と保護膜とをエチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで結合させたアイオノマー樹脂を主成分とする光硬化性接着剤により接着することが提案されている(特許文献2及び3参照)。
しかしながら、紫外線照射による光硬化を行った場合には、紫外線の影響により偏光子が劣化するという問題があった。
さらに、偏光子と保護膜とをエチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで結合させたアイオノマー樹脂を主成分とする熱硬化性接着剤により接着することが提案されている(特許文献4及び5参照)。
しかしながら、熱硬化を行った場合も120℃程度の熱が加わるため、偏光子が熱劣化するという問題があった。
特開平7−120617号公報 特開平8−216324号公報 特開平9−159829号公報 特開平8−216323号公報 特開平9−159824号公報
本発明は上記問題点に鑑み、接着性及び耐久性に富み、高信頼性を有し、構造がシンプルでコスト的に安価にかつ生産性よく作製し得る光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び偏光板を用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アイオノマー及びラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を含有する電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルムを用いることで上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1](A)アイオノマー80〜97質量%、及び(B)ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物3〜20質量%を含有する電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルム、
[2]上記[1]に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板、及び
[3]上記[2]に記載の偏光板を用いてなる画像表示装置、
を提供するものである。
本発明の光学フィルムは、耐熱性、耐湿熱性、耐冷熱サイクル等の各種耐久性に優れ、また偏光板の光学的機能に何ら影響を与えることなく、偏光板の偏光度を向上させることができ、しかも、柔軟でかつ弾性に富む。なお、電子線硬化性成分である(B)成分が各種性能向上に寄与している。また、本発明の光学フィルムは、外部からの衝撃や変形に対し抵抗力を有するため、偏光子に貼り合わせることで、液晶表示素子としての強度や信頼性を顕著に向上させた偏光板が得られる。
さらに、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較した場合、これと同等以上の保護機能を有する。特にTACフィルムは親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。従って、本発明の光学フィルムは、偏光板の一面に積層されて液晶セル表面基板と接着される保護膜として好適に使用でき、偏光板の他面側の保護膜に使用することもできる。
本発明の光学フィルムは、(A)アイオノマー80〜97質量%、及び(B)ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物3〜20質量%を含有する電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる。
[(A)アイオノマー]
本発明における(A)成分であるアイオノマーとは、エチレンと(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの炭素数3〜8の不飽和カルボン酸との2元共重合体、またはこれに更にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ジメチルフマレートなどの炭素数4〜8のα,β−不飽和カルボン酸エステルを第3成分として含有する3元共重合体であって、該共重合体中のカルボン酸基の一部または全部を、金属イオンで架橋させたものである。
該共重合体中の不飽和カルボン酸の含有量は、一般に約0.5〜15モル%であり、好ましくは約1〜8モル%である。また、上記3元共重合体において、第3成分として共重合される不飽和カルボン酸エステルの含有量は、一般に約0.2〜10モル%、好ましくは約1〜6モル%である
上記金属イオン架橋に使用される金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどの1価金属イオン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、亜鉛などの2価金属イオン、又はアルミニウム、鉄などの3価金属イオンが挙げられる。金属化合物の形で用いられる金属イオンは、共重合体中の酸の含有量、メルトインデックス、イオンの種類およびその用途などによってその添加量を適宜決定することができるが、一般には、約10モル%以上、好ましくは約15〜80モル%のカルボン酸基を中和する量を用いることが好ましい
上記(A)アイオノマーの電子線硬化性樹脂組成物中での含有量は80〜97質量%の範囲である。該含有量が80質量%未満であると、面内位相差が大きくなり、偏光板の保護膜として本発明の光学フィルムを用いた場合には、偏光板としての性能が低下する。一方、97質量%を超えると、光学フィルムを形成する際に製膜性が低く、光学フィルムとして用いることは困難である。以上の観点から、アイオノマーの電子線硬化性樹脂組成物中でのアイオノマーの含有量は80〜95質量%の範囲がより好ましい。
[(B)ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物]
次に、本発明における(B)成分であるラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、電子線によって架橋・硬化する化合物であり、具体的には、重合性モノマー、官能オリゴマー、官能ポリマーなどが挙げられ、電子線で架橋・硬化する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基等が挙げられる。
上記重合成モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ多官能(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましく、より具体的には多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、電子線硬化性樹脂を用いた本発明の組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点から好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られる。
上記重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本発明で「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、官能オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)としては、分子量(重量平均)が約300〜5,000程度で、分子内中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性二重結合を有するポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系が適用でき、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、官能オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
次に、官能ポリマーとしては、分子量(重量平均)が約1,000〜30万程度で、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性二重結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル‐ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが適用できる。
本発明においては、上記(A)成分と(B)成分を含有する樹脂組成物が、電子線により架橋・硬化することが重要であり、そのためには、(B)成分中に多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物中の上記(B)成分の含有量は3〜20質量%の範囲である。(B)成分の含有量が3質量%より少ない場合は、電子線による硬化の効果が小さく、作製した光学素子が柔らかく、光学フィルムとして用いることは困難である。一方、(B)成分の含有量が20質量%を超えると(A)成分と(B)成分が分離して製膜不可能となる。以上の観点から、(B)成分の含有量は5〜20質量%の範囲がより好ましい。
また、上記(A)成分及び(B)成分の相溶性を向上させる目的で、第3成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル基コンテントが15モル%〜30モル%のものが好ましい)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の変成オレフィンを混合してもよい。
[その他の成分]
また、本発明の電子線硬化性樹脂組成物には、反応性希釈剤と呼ばれるモノマーを含ませても良い。該モノマーは、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などを有する単官能反応性希釈剤である。通常、電子線硬化性樹脂組成物は粘度が高く、有機溶剤で粘度を下げるように調整しないと、塗布することができない。しかし、該モノマーを電子線硬化性樹脂組成物に含有させると粘度が下がり、溶剤を用いる必要がなくなるため、ノンソルベント(無溶剤)で使用することができる。また、上記官能オリゴマーも同様の効果がある。
また本発明の電子線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、透明性に影響しない範囲で、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常光学フィルムの膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
[光学フィルムの製造方法]
以下、本発明の光学フィルムの製造方法について、図1及び図2を参照しつつ、詳述する。
上述の(A)成分、(B)成分、第三成分及び各種添加剤を、通常、加熱下にてそれぞれ所定の割合で均質に混練し、電子線硬化性樹脂組成物を調製する。次いで、該電子線硬化性樹脂組成物を用いて、押出し成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法によって、未硬化フィルムを作製し、次いで、電子線を照射して該フィルムを硬化させる。
本発明の光学フィルムを偏光板の保護膜として使用する場合には、上述の各種成形法によって、直接、偏光子3の上に未硬化フィルム1を作製し、これに電子線2を照射して硬化し、光学フィルム4を作製する方法がある(図1参照)。また、上述の各種成形法によって、未硬化フィルム1を作製し、これに電子線2を照射してあらかじめ光学フィルム4を作製しておき、その後、接着剤層5を介して偏光子3に貼り合わせても良い。
本発明の光学フィルムの厚さについては10〜200μmの範囲が好ましい。該厚さが10μm以上であると、偏光子の保護膜としての強度が十分に確保され、200μm以下であると十分な可撓性が得られ、また軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。以上の観点から、該光学フィルムの厚さは30〜150μmがより好ましい。
電子線照射に際しての、電子線の加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常100〜1000keV、好ましくは加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。なお、硬化の際の雰囲気は、酸素濃度500ppm以下で行うことが好ましく、さらに200ppm以下であることがより好ましい。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などを用いて、エクレトロンカーテン方式、ビームスキャニング方式などで、電子線を照射する。好ましくは、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロカーテン」(商品名)[岩崎電気(株)]である。
このようにして、形成された光学フィルムには、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の光学フィルムは、画像表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。画像表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては上記光学フィルムを用いる点を除いて、画像表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板又は光学フィルムを配置した画像表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な画像表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。尚、画像表示装置を構成するに際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
[偏光板]
本発明に係る偏光板は、例えば、一軸延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された偏光子の片面又は両面に、上記本発明の光学フィルムを貼合したものである。ここで、該光学フィルムは偏光子と接着されて、保護膜としての機能を果たす。
光学フィルムと偏光子との貼合の方法としては、上述のように、直接偏光子に電子線硬化性樹脂組成物からなる未硬化フィルムを成形して、架橋・硬化させて接着する方法と、光学フィルムを成形した後に、偏光子と接着剤層を介して接着させる方法がある。
接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは該グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。
PVA系接着剤は、PVA系樹脂と架橋剤を含有するものであり、PVA系樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVA及びその誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物、PVAをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化等した変性PVAなどが挙げられる。これらPVA系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
エポキシ系接着剤としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などがある。エポキシ樹脂には、さらにオキタセン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
アクリル系接着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは該グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィンを接着剤として使用することもできる。グラフトに用いられるポリオレフィンとしては、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレンープロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、これらの混合物などである。ポリオレフィンのグラフトに用いる不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。こうして得た変性ポリオレフィンはそのまま用いてもよいが、ポリオレフィンに配合して用いることもできる。
上記接着剤層は、光学フィルム、偏光子のいずれかの側または両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、上記光学フィルムを偏光子と接着させるに際し、光学フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、該接着剤層を介して、本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せる。この貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
偏光子を構成する樹脂として一般に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
偏光板は上述のようなPVA系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系樹脂フィルムに保護膜を貼合する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、また、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、PVA系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素又は二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のPVA系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。乾燥処理における処理時間は、通常120〜600秒程度である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系樹脂フィルムからなる偏光子が得られる。
[画像表示装置]
本発明の偏光板は、例えば液晶セルなどに貼り合わせて使用される。図3に、本発明の偏光板を有する液晶セルの構成例を示す。図3において、6は液晶セルを示す。この液晶セル6は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型等や、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず)を介して、位相差板8が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、本発明の偏光板9が積層されている。偏光板9は、中心に偏光子3を有し、その両側の表面に、接着剤層5を介して、本発明の光学フィルムで構成される保護膜4が積層されている。本発明の偏光板9と位相差板8、位相差板8と液晶セル6の積層に際しては、予め偏光板9、位相差板8及び液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。
本発明の偏光板と液晶セルを積層する粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。
該粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。現在、これらの要求性状を考慮して、アクリル系粘着剤が最も好ましい。
粘着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層であってもよい。
本発明の偏光板への上記粘着剤の塗工は、特に限定されず、適宜な方法で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で本発明の偏光板上に直接塗工する方法、或いはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを本発明の偏光板に移着する方法などが挙げられる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として本発明の偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また、両面に設ける場合、本発明の偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型性フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来公知なものを用いることができる。
なお、本発明において、上記偏光子、保護膜層、粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
[有機EL表示装置への適用]
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に本発明の偏光板を設け且つ該透明電極と偏光板との間に複屈折層(位相差板)を設けることができる。
本発明の偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、複屈折層をλ/4板で構成し、かつ偏光板と該複屈折層との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には複屈折層によって楕円偏光となるが、複屈折層がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、複屈折層で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
1.製膜性
Tダイ押出し成形にて、フィルムとして正常に巻き取れた場合は「○」、フィルムにしわが発生したり、穴が空いたり、樹脂から何らかのブリードがあった場合は「×」とした。
2.面内位相差の評価
面内位相差を、波長589.3nm、入射角0度で位相差測定機(王子計測機器(株)製「KOBRA−WR」)を用いて測定した。
3.耐熱性及び耐湿性
実施例4及び比較例3で得られた光学フィルムを、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVAを接着剤として、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の両面に接着し、偏光板を得た。
該偏光板から150mm角の試験片を切り出し、耐熱性の評価として、90℃で1,000時間保持後の偏光板の外観を観察した。黄変が起きなかった場合を「○」、黄変が起きた場合を「×」とした。
また、耐湿性の評価として、70℃、相対湿度95%で1,000時間保持後の偏光板の外観を観察した。偏光板の周辺部から2mm程度内側の部分に接着剥離が起きなかった場合を「○」、接着剥離が起きた場合を「×」とした。
実施例1
アイオノマー(三井・デュポン・ポリケミカル(株)製「ハイミラン1707」)90質量%にアクリルオリゴマーモノマーであるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(以下、「A−DCP」という。)(新中村化学工業(株)製「NKエステル A−DCP」)を10質量%液添加し、加工温度185℃でコンパウンド化した。上記コンパウンド化にて作製したペレットを加工温度170℃・引取りロール温度50℃で100μmの厚さで単層押し出し成型し、未硬化フィルムを得た。次いで、これに、電子線を出力50kGyの強度で照射し、該オリゴマーモノマーを電子線硬化させることにより、光学フィルムを得た。
当該光学フィルムについて、上記評価方法にて評価した。結果を第1表に示す。
実施例2
アイオノマー(三井・デュポン・ポリケミカル(株)製「ハイミラン1707」)80質量%に(新中村化学工業(株)製「NKエステル A−DCP」)を5質量%液添加し、さらに第3成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井・デュポン ポリケミカル(株)製「EV430RC」、酢酸ビニル基コンテント19%)を15質量%加えて、実施例1と同様の方法で光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例3
アイオノマーの含有量を95質量%、A−DCPの含有量を5質量%としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例4
A−DCPに代えて、3官能アクリレートのトリメチロールプロパントリアクリレート(以下「A−TMPT」という。)(新中村化学(株)製「NKエステル A−TMPT」)としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例5
A−DCPに代えて、6官能アクリレートのジペンタエリストールヘキサアクリレート(以下「A−DPH」という。)(新中村化学(株)製「NKエステル A−DPH」)としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例1
アイオノマーの含有量を99質量%、A−DCPの含有量を1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例2
アイオノマーの含有量を70質量%、A−DCPの含有量を30質量%としたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例3
アイオノマーのみを用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
Figure 2008129211
*1 成膜ができなかったために測定不可。
本発明によれば、耐熱性、耐湿熱性、耐冷熱サイクル等の各種耐久性に優れ、また偏光板の光学的機能に何ら影響を与えることなく、偏光板の偏光度を向上させることができ、しかも、柔軟でかつ弾性に富む光学フィルムを提供することができる。
また、本発明の光学フィルムは外部からの衝撃や変形に対し抵抗力を有するため、この光学フィルムを偏光子に貼り合わせて用いることで、液晶表示素子としての強度や信頼性を顕著に向上させた偏光板を提供することができる。
さらに、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較すると、TACフィルムが親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。従って、本発明の光学フィルムは、偏光板の少なくとも一面に積層されて液晶セル表面基板と接着される保護膜として好適に使用でき、さらには偏光板の他面側の保護膜に使用することもできる。
本発明の偏光板の製造工程を示す模式図である。 本発明の偏光板の製造工程を示す模式図である。 本発明の偏光板を有する液晶セルの構成例を示す模式図である。
符号の説明
1.未硬化樹脂層
2.電子線
3.偏光子
4.光学フィルム
5.接着剤層
6.液晶セル
7.光学素子
8.位相差板(複屈折板)
9.偏光板

Claims (3)

  1. (A)アイオノマー80〜97質量%、及び(B)ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物3〜20質量%を含有する電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルム。
  2. 請求項1に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板。
  3. 請求項2に記載の偏光板を用いてなる画像表示装置。
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