JP2008128127A - 熱発電用タービンユニットおよび熱発電システム - Google Patents

熱発電用タービンユニットおよび熱発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】 タービン動翼の転向角を大きくしても、エネルギー損失が少なくてタービン効率が高く、太陽熱発電システム等の熱エネルギーの小さい熱発電システムにも適した熱発電用タービンユニットを提供する。
【解決手段】 熱発電用タービンユニット2は、周方向に列状に並ぶ複数のタービン動翼5dにノズル8から蒸気を噴射させて、タービン翼車5Aに回転力を与え、発電機ロータ6Aを回転させる半径流タービン5を備える。前記ノズル8は、前記タービン動翼5Aの配列の内側に設けられ、蒸気を外側に向けて噴射する。前記タービン動翼5d間に形成される蒸気の通路25を、タービン翼車5Aの回転で生じる遠心力により蒸気の速度を増加させる形状とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、太陽熱等の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電用タービンユニットおよび熱発電システムに関する。
熱発電システムの1つとして、太陽熱発電システムが種々提案されている(例えば特許文献1〜3)。この太陽熱発電システムは、コレクタ部において作動媒体を太陽熱で加熱し、その作動媒体の高圧蒸気をタービン動翼の外周側に設けられた1個または複数個のノズルからタービン動翼に噴出させてタービンを回転駆動し、その後、作動媒体の蒸気を復水器により再び液体に戻してコレクタ部に循環させるという熱サイクルを行い、タービンの回転で発電機を発電させるものである。
このような太陽熱発電システムでは、得られる熱エネルギーが小さいため、蒸気でタービン動翼に回転力を効率良く伝えることが求められる。特許文献4には、タービン効率の向上を目的とする、翼の転向角が大きいタービン動翼における翼の形状に関する技術が開示されている。それは、動翼間の作動媒体(同文献では燃焼ガス)の通路を、入口から出口へ向かうにしたがい幅が徐々に狭くなる形状とすることにより、作動媒体が通路を通過中に増速するようにして、減速によって生じるエネルギー損失を回避するというものである。
特開2002−242693号公報 特開2000−110515号公報 特開2003−227315号公報 特開2002−213202号公報
しかし、上記特許文献4の構成であると、通路幅が徐々に狭くなるが増速通路であるため、通路の出口付近での流路抵抗が大きく、通路内の作動媒体の圧力が高くなる。通路内の作動媒体の圧力が高いと、通路以外を通る作動媒体の量が増え、その分が損失となる可能性がある。
また、上記の理由から、通路幅の変化が大きな増速通路とすることができず、入口部と出口部の通路幅の差が小さい増速通路とする必要がある。このような通路の加工は、精度を要求されるため難しい。
特許文献1〜3のような太陽熱発電システムでは、前述したように得られる熱エネルギーが小さいため、タービン動翼の転向角によるエネルギー損失が少なくても、入力エネルギーに対する損失量の割合が高くなり、システム効率が大きく低下する。したがって、通路内の作動媒体の圧力を低く抑えて、タービン効率の良い熱発電用タービンユニットとすることで、太陽熱発電システムの効率を向上させることが望まれる。
この発明の目的は、タービン動翼の転向角を大きくしても、エネルギー損失が少なくてタービン効率が高く、太陽熱発電システム等の熱エネルギーの小さい熱発電システムにも適した熱発電用タービンユニットを提供することである。
この発明の熱発電用タービンユニットは、周方向に列状に並ぶ複数のタービン動翼にノズルから蒸気を噴射させて、タービン翼車に回転力を与え、発電機ロータを回転させる半径流タービンを備えた熱発電用タービンユニットであって、前記ノズルは、前記タービン動翼の配列の内側に設けられ、蒸気を外側に向けて噴射するものであり、前記タービン動翼間に形成される蒸気の通路を、タービン翼車の回転で生じる遠心力により蒸気の速度を増加させる形状としたことを特徴とする。
タービン動翼の配列の内側に設けたノズルから蒸気を外側に向けて噴射させる半径流タービンでは、蒸気が通路を通って外側に移動する際に、タービン翼車の回転に伴う遠心力を受け、移動方向に加速される。そのため、簡略な通路の形状、例えば通路の幅が入口から出口まで一定である形状としても、蒸気を増速させることができる。蒸気が増速すると、通路内の蒸気の圧力を低く抑えられるため、通路以外を通る蒸気の量が少なくなり、タービン効率が高くなる。なお、ここでは、通路は幅方向と直交する方向の寸法が一定であることを前提としており、幅が一定であることは断面積が一定であることを意味している。
前記通路の入口から出口までの周方向の幅を一定とすることができる。その場合、通路の流路抵抗が一定となり、蒸気の圧力増加がなくなる。また、通路の設計および加工が容易である。
この発明の熱発電システムは、コレクタ部で太陽熱を集熱した熱エネルギーにより、液体の作動媒体を直接または間接的に加熱して気化させ、こうして得られた作動媒体の蒸気を、請求項1〜請求項2のいずれかに記載の熱発電用タービンユニットに、前記ノズルから噴射させる蒸気として供給し、この熱発電用タービンユニットから出た蒸気を復水器により液体に戻すことを特徴とする。
太陽熱で得られる熱エネルギーは小さいが、タービン効率の良いこの発明の熱発電用タービンユニットを用いることにより、十分にタービンを回転させて発電することができる。
この発明の熱発電用タービンユニットは、周方向に列状に並ぶ複数のタービン動翼にノズルから蒸気を噴射させて、タービン翼車に回転力を与え、発電機ロータを回転させる半径流タービンを備えた熱発電用タービンユニットであって、前記ノズルは、前記タービン動翼の配列の内側に設けられ、蒸気を外側に向けて噴射するものであり、前記タービン動翼間に形成される蒸気の通路を、タービン翼車の回転で生じる遠心力により蒸気の速度を増加させる形状としたことにより、タービン動翼の転向角を大きくしても、エネルギー損失が少なくてタービン効率が高く、太陽熱発電システム等の熱エネルギーの小さい熱発電システムにも適したものとなった。
この発明の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。この熱発電用タービンユニット2は、発電機6とタービン5とが上下に配置される。発電機6は、回転部分である一対の発電機ロータ6A,6Aと、静止部分である発電機ステータ部6Bとでなる。具体的には、発電機6はアキシアルギャップ型発電機であり、ユニットハウジング12の内周側に設けられた発電機ステータ部6Bに対して、垂直方向に向く姿勢とした主軸7に設けられた一対の発電機ロータ6A,6Aが上下に所定のギャップを介して対向配置されている。
発電機ステータ部6Bは、そのステータ基体13が非磁性体からなるコアレス構造とされており、ステータ基体13の周方向に1個ないし複数個のコイル部14が集中巻きで配置されている。なお、発電機ステータ部6Bのステータ基体13を磁性体とした場合、始動トルクの増大、低速回転域での鉄損増大やコギングトルクによる騒音、振動等が生じるが、コアレス構造としたこの実施形態では、そのような問題を回避できる。ただし、発電機6は上記したコアレス構造のものに限らず、他の構造のものを採用しても良い。前記コイル部14は、その表面の絶縁被膜を保護するために樹脂等でモールドされている。これにより、発電機ステータ部6Bにおけるコイル部14の表面の絶縁被膜が、作動媒体3である有機溶媒等により侵されて安定した発電が行えなくなるのを回避できる。
各発電機ロータ6Aは、主軸7に一体に形成したフランジ状のロータ基体15における前記発電機ステータ部6Bに対向する側面の円周上に、1個ないし複数個の磁石16を配置して構成されている。この場合の磁石16の磁極は、その磁束が発電機ステータ部6Bのコイル部14に鎖交するように配置される。例えば、上ロータ磁石がN極、下ロータ磁石がS極とされる。
タービン5は半径流タービンであり、前記主軸7と一体に回転するタービン翼車5Aを有する。タービン翼車5Aは、主軸7の下端部に嵌合する円板状の動翼取付部材5aと、複数の動翼5dが形成された動翼部材5bと、この動翼部材5bの下側に配置された動翼カバー部材5cとでなる。動翼取付部材5aは、主軸7と一体で回転するように主軸7の下端の雄ねじ部に螺合させたナット17で固定されている。動翼部材5bと動翼カバー部材5cは、動翼取付部材5aに対して軸方向からボルト等(ボルト穴の図示なし)で固定され、動翼取付部材5aと一体となって回転する。動翼部材5bは、樹脂成形品や金属製品からなり、機械加工等で動翼5dが形成されている。
図3に示すように、各動翼5dは三日月状の断面形状をしており、隣合う動翼5d間に作動媒体の蒸気が通る転向角αの通路25が形成されている。この通路25は、上下のどの位置でも周方向の幅が一定、かつ内周側の入口から外周側の出口までの周方向の幅が一定とされている。ここで、周方向の幅が一定とは、通路25のどの部分でも内接円Cの径が同じであることを言う。通路25が上記形状であるため、通路25の断面積も入口から出口に至るまで一定である。
タービン5の内周には円筒状のノズル部材18が設けられ、このノズル部材18にノズル8が周方向に複数分配して設けられている。ノズル8は、内周空間26と動翼5d側の外周空間27とを連通するものであり、図2のように、径方向を向いた導入部8aと、この導入部8aに対して縮径され先端開口部が動翼5dの翼列に向けられた噴射部8bとからなる。
ユニットハウジング12の底壁の中央部には、蒸気となった作動媒体3を外部から内周空間26に流入させる吸気口19が設けられている。また、ユニットハウジング12の側壁には、動翼5dの翼列を通過した作動媒体3を外周空間27から外部に排出させる排気口23が設けられている。
主軸7は磁気軸受やフォイル軸受等の非接触軸受22A〜22Cを介してユニットハウジング12に回転自在に支持される。なお、主軸7の支持は、非接触軸受22A〜22Cによらず、転がり軸受等の接触式の軸受であっても良い。
この熱発電用タービンユニット2は、図4の熱発電システムに組み込まれる。熱発電システムは、熱エネルギーである太陽熱を電気エネルギーに変換して出力する太陽熱発電システムであって、太陽熱を集光して太陽熱を吸収するコレクタ部1と、上記熱発電タービンユニット2と、コレクタ部1とタービン5との間で作動媒体3を循環させるクローズド経路の作動媒体経路4とを備える。
作動媒体経路4は、前記コレクタ部1で加熱された作動媒体3の蒸気を高圧蒸気としてタービン5に噴出させてタービン5を回転駆動する前記ノズル8と、このノズル8から噴出してタービン5の回転に使用された作動媒体3の蒸気を液体に戻す復水器9と、液体に戻した作動媒体3をコレクタ部1に循環供給するポンプ10とを有する。
上記構成による熱発電システムの動作を説明する。作動媒体経路4内の作動媒体3は、循環ポンプ10によってコレクタ部1に送られる。コレクタ部1では太陽熱を吸収し、吸収した熱エネルギーを作動媒体3に与えることにより高圧蒸気とする。作動媒体3の高圧蒸気は、ユニットハウジング12の吸気口19からノズル8を介してタービン翼車5Aの動翼5dに噴射され、これによりタービン翼車5Aが回転駆動される。タービン翼車5Aの回転によって発電機ロータ6Aが回転し、発電機ロータ6Aと対向して設けられた発電機ステータ部6Bで発電される。この発電の制御はコントロータ11によって行われる。タービン翼車5Aに回転エネルギーを与えた作動媒体3の蒸気は、動翼5d間の通路25を通り抜けて、排気口23から熱発電用タービンユニット2の外に出る。その後、作動媒体3の蒸気は、復水器7によって液化され、循環ポンプ9によって再度コレクタ部1まで送られる。
この熱発電用タービンユニット2は、タービン動翼5dの配列の内側に設置したノズル8から作動媒体3の蒸気を外側に向けて噴射するため、蒸気が通路25を通って外側に移動する際に、タービン翼車5Aの回転に伴う遠心力を受けて増速される。通路25は断面積が一定の形状であるため、通路25の流路抵抗が一定となり、流路抵抗による蒸気の圧力増加は無い。そのため、増速した分だけ通路25内の蒸気の圧力が低く抑えられ、通路以外を通る蒸気の量が少なくなり、タービン効率が高くなる。
また、通路25は、上下のどの位置でも周方向の幅が一定、かつ内周側の入口から外周側の出口までの周方向の幅が一定であるため、通路25の設計および加工が容易である。
上記実施形態の熱発電用タービンユニット2は、発電機6をアキシアル型コアレス発電機としているが、ラジアル型等の他の構造でも構わない。動翼取付部材5aが主軸7と別部材で構成されているが、動翼取付部材5aを主軸7と一体に形成してもよい。また、発電機ロータ6Aは主軸7に形成するのではなく、主軸7と別部材に構成してもよい。
この発明の実施形態にかかる熱発電用タービンユニットの断面図である。 図1のII−II断面図である。 (A)は図2の一部を拡大した図、(B)はそのIIIB−IIIB断面図である。 熱発電システムの概略図である。
符号の説明
1…コレクタ部
2…熱発電用タービンユニット
3…作動媒体(蒸気)
5…タービン
5A…タービン翼車
5d…動翼
6…発電機
6A…発電機ロータ
8…ノズル
25…通路

Claims (3)

  1. 周方向に列状に並ぶ複数のタービン動翼にノズルから蒸気を噴射させて、タービン翼車に回転力を与え、発電機ロータを回転させる半径流タービンを備えた熱発電用タービンユニットであって、
    前記ノズルは、前記タービン動翼の配列の内側に設けられ、蒸気を外側に向けて噴射するものであり、前記タービン動翼間に形成される蒸気の通路を、タービン翼車の回転で生じる遠心力により蒸気の速度を増加させる形状としたことを特徴とする熱発電用タービンユニット。
  2. 請求項1において、前記通路の入口から出口までの周方向の幅を一定とした熱発電用タービンユニット。
  3. コレクタ部で太陽熱を集熱した熱エネルギーにより、液体の作動媒体を直接または間接的に加熱して気化させ、こうして得られた作動媒体の蒸気を、請求項1〜請求項2のいずれかに記載の熱発電用タービンユニットに、前記ノズルから噴射させる蒸気として供給し、この熱発電用タービンユニットから出た蒸気を復水器により液体に戻すことを特徴とする熱発電システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013065807A1 (ja) * 2011-11-02 2013-05-10 有限会社サンワールド 蒸気タービン発電装置
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