以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。以下においては、ハイブリッド車両について説明するが、一般的な内燃機関のみを有する車両に本発明が好適に適用されることを積極的に排除するものではない。なお、ハイブリッド車両は、内燃機関の始動と停止とをより頻度高く繰り返す点で本発明を適用したときの作用効果が高い。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を含む、ハイブリッド車両全体の制御ブロック図を説明する。なお、本発明は図1に示すハイブリッド車両に限定されない。本発明は、動力源としての、たとえばガソリンエンジン等の内燃機関(以下、エンジンとして説明する)が、車両を走行させる駆動源であって、かつ、ジェネレータの駆動源であればよい。さらに、駆動源がエンジンおよびモータジェネレータであって、モータジェネレータの動力により走行可能な車両であればよく(エンジンを停止させても停止させなくても)、走行用のバッテリを搭載した他の態様を有するハイブリッド車両であってもよい(いわゆるシリーズ型やパラレル型等のハイブリッド車両に限定されない)。このバッテリは、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などであって、その種類は特に限定されるものではない。また、バッテリの代わりにキャパシタでも構わない。
ハイブリッド車両は、エンジン120と、モータジェネレータ(MG)140とを含む。なお、以下においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140を、モータジェネレータ140A(またはMG(2)140A)と、モータジェネレータ140B(またはMG(1)140B)と表現するが、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、モータジェネレータ140Aがジェネレータとして機能したり、モータジェネレータ140Bがモータとして機能したりする。このモータジェネレータがジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて、車両が減速される。
ハイブリッド車両は、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする減速機180と、エンジン120の発生する動力を駆動輪160とモータジェネレータ140B(MG(1)140B)との2経路に分配する動力分割機構(たとえば、後述する遊星歯車機構)200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流とモータジェネレータ140A(MG(2)140A)およびモータジェネレータ140B(MG(1)140B)の交流とを変換しながら電流制御を行なうインバータ240と、走行用バッテリ220の充放電状態(たとえば、SOC(State Of Charge))を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECU(Electronic Control Unit)という)260と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140およびバッテリECU260、インバータ240等を制御するMG_ECU300と、バッテリECU260、エンジンECU280およびMG_ECU300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するHV_ECU320等を含む。
本実施の形態において、走行用バッテリ220とインバータ240との間には昇圧コンバータ242が設けられている。これは、走行用バッテリ220の定格電圧が、モータ140A(MG(2)140A)やモータジェネレータ140B(MG(1)140B)の定格電圧よりも低いので、走行用バッテリ220からモータジェネレータ140A(MG(2)140A)やモータジェネレータ140B(MG(1)140B)に電力を供給するときには、昇圧コンバータ242で電力を昇圧する。
なお、図1においては、各ECUを別構成としているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG_ECU300とHV_ECU320とを統合したECUとすることがその一例である)。
動力分割機構200は、エンジン120の動力を、駆動輪160とモータジェネレータ140B(MG(1)140B)との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。モータジェネレータ140B(MG(1)140B)の回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。エンジン120の回転力はキャリア(C)に入力され、それがサンギヤ(S)によってモータジェネレータ140B(MG(1)140B)に、リングギヤ(R)によってモータジェネレータ140A(MG(2)140A)および出力軸(駆動輪160側)に伝えられる。回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギをモータジェネレータ140B(MG(1)140B)で電気エネルギに変換して、エンジン120の回転数を低下させる。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、車両の状態について予め定められた条件が成立すると、HV_ECU320は、モータジェネレータ140のモータジェネレータ140A(MG(2)140A)のみによりハイブリッド車両の走行を行なうようにモータジェネレータ140A(MG(2)140A)およびエンジンECU280を介してエンジン120を制御する。たとえば、予め定められた条件とは、走行用バッテリ220のSOCが予め定められた値以上であるという条件等である。このようにすると、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合に、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)のみによりハイブリッド車両の走行を行なうことができる。この結果、走行用バッテリ220のSOCを低下させることができる(その後の車両停止時に走行用バッテリ220を充電することができる)。
また、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でモータジェネレータ140B(MG(1)140B)を駆動して発電を行なう。この時、発生する電力でモータジェネレータ140A(MG(2)140A)を駆動して駆動輪160の駆動補助を行なう。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力をモータジェネレータ140A(MG(2)140A)に供給してモータジェネレータ140A(MG(2)140A)の出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータジェネレータ140A(MG(2)140A)がジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加してモータジェネレータ140B(MG(1)140B)による発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。
また、走行用バッテリ220の目標SOCはいつ回生が行なわれてもエネルギーが回収できるように、通常は60%程度に設定される。また、SOCの上限値と下限値とは、走行用バッテリ220のバッテリの劣化を抑制するために、たとえば、上限値を80%とし、下限値を30%として設定され、HV_ECU320は、MG_ECU300を介してSOCが上限値および下限値を越えないようにモータジェネレータ140による発電や回生、モータ出力を制御している。なお、ここで挙げた値は、一例であって特に限定される値ではない。
図2を参照して、動力分割機構200についてさらに説明する。動力分割機構200は、サンギヤ(S)202と(以下、単にサンギヤ202と記載する)、ピニオンギヤ204と、キャリア(C)206(以下、単にキャリア206と記載する)と、リングギヤ(R)208(以下、単にリングギヤ208と記載する)とを含む遊星歯車から構成される。
ピニオンギヤ204は、サンギヤ202およびリングギヤ208と係合する。キャリア206は、ピニオンギヤ204が自転可能であるように支持する。サンギヤ202はMG(1)140Bの回転軸に連結される。キャリア206はエンジン120のクランクシャフトに連結される。リングギヤ208はMG(2)140Aの回転軸および減速機180に連結される。
エンジン120、MG(1)140BおよびMG(2)140Aが、遊星歯車からなる動力分割機構200を介して連結されることで、エンジン120、MG(1)140BおよびMG(2)140Aの回転数は、共線図において直線で結ばれる関係になる。
図3を参照して、このハイブリッド車両に搭載されたエンジン120について説明する。図3に示すように、エンジン120には、吸気系1152と、三元触媒コンバータ1400を含む排気系1154とが、接続されている。なお、三元触媒コンバータ1400は、1個に限定されないで2個以上であっても構わない。
吸気系1152は、吸気通路1110と、エアクリーナ1118と、エアーフローメータ1104と、スロットルモータ1114Aと、スロットルバルブ1112と、スロットルポジションセンサ1114Bとを含む。
エアクリーナ1118から吸気された空気は、吸気通路1110を通り、エンジン120に流通する。吸気通路1110の途中には、スロットルバルブ1112が設けられる。スロットルバルブ1112は、エンジンECU280からの制御信号に基づいて動作するスロットルモータ1114Aにより所望の空気量がエンジン120に供給されるように開閉される。このとき、スロットルバルブ1112の開度は、スロットルポジションセンサ1114Bにより検出することが可能である。エアクリーナ1118とスロットルバルブ1112との間における吸気通路には、エアーフローメータ1104が設けられており、吸入された空気量を検出する。エアーフローメータ1104は、吸入吸気量信号としてエンジンECU280に送信する。
エンジン120は、冷却水通路1122と、シリンダブロック1124と、インジェクタ1126と、ピストン1128と、クランクシャフト1130と、水温センサ1106と、クランクポジションセンサ132とを含む。
シリンダブロック1124の気筒数に対応した数のシリンダ内には、それぞれピストン1128が設けられる。ピストン1128上部の燃焼室に吸気通路1110を通って、インジェクタ1126から噴射された燃料と吸気された空気との混合気が導入されて、点火時期が制御された点火プラグの点火により燃焼する。燃焼が生じると、ピストン1128が押し下げられる。このとき、ピストン1128の上下運動は、クランク機構を介して、クランクシャフト1130の回転運動に変換される。なお、エンジン120の回転数NEは、クランクポジションセンサ132により検出された信号に基づいてエンジンECU280が検出する。
シリンダブロック1124内には、冷却水通路1122が設けられており、ウォータポンプ(図示せず)の作動により、冷却水が循環する。この冷却水通路1122内の冷却水は、冷却水通路1122に接続されたラジエータ(図示せず)へと流通して冷却ファン(図示せず)により放熱される。冷却水通路1122の通路上には水温センサ1106が設けられており、冷却水通路1122内の冷却水の温度を検出する。水温センサ1106は、検出した水温を、エンジン冷却水温の検出信号としてエンジンECU280に送信する。
排気系1154は、排気通路1108と、三元触媒コンバータ1400とを含む。この三元触媒コンバータ1400の上流側および下流側にそれぞれ空燃比センサ(酸素センサであっても同じ機能を発現できるので酸素センサと記載する場合がある)が設けられる。さらに、三元触媒コンバータ1400の温度を検出する温度センサも設けられる。
エンジン120の排気側に接続された排気通路1108は、三元触媒コンバータ1400に接続される。すなわち、エンジン120において燃焼室内の混合気の燃焼により生じる排気は、三元触媒コンバータ1400に流入する。この三元触媒コンバータ1400に流入した排気中に含まれるHC、COは、三元触媒コンバータ1400において酸化される。また、三元触媒コンバータ1400に流入した排気中に含まれるNOxは、三元触媒コンバータ1400において、還元される。この三元触媒コンバータ1400は、エンジン120の冷間始動時においてもできる限り速やかに昇温されて触媒機能を発現することが好ましい。しかしながら、外気温や、エンジン120の温度(エンジン冷却水温)や、三元触媒コンバータ1400とエンジン120との距離等によっては、冷間始動後のしばらくの時間は、昇温されないで、触媒が活性温度に到達しないために、触媒機能(特に未燃HCの酸化機能)を発現できない場合もあり得る。
三元触媒コンバータ1400の上流側に設けられた酸素センサは、三元触媒コンバータ1400に到達した排気中に含まれる酸素の濃度を検出する。酸素の濃度を検出することにより、排気中に含まれる燃料と空気との比、いわゆる空燃比を検出することができる。検出された空燃比が目標空燃比になるように、エンジンECU280による空燃比制御が行なわれる。
さらに、このエンジン120の排気系1154には、HC吸着筒1300が設けられる。HC吸着筒1300は、排気通路1108から切換弁1310により分岐されたバイパス通路1320およびバイパス通路1340の間に設けられる。切換弁1310は、排気通路1108の排気を、HC吸着筒1300の方向へ流す場合と(切換弁1310Aの状態)、非バイパス通路1330の方向へ流す場合(切換弁1310Bの状態)とを切換える。
バイパス通路1340と非バイパス通路1330との合流点よりも下流側に三元触媒コンバータ1400が設けられる。なお、バイパス通路1320と非バイパス通路1330との分岐点よりも上流側に三元触媒コンバータをさらに設けてもよい。
三元触媒コンバータ1400からの排気は、排気管1410を通って車外に排出される。
このHC吸着筒1300は、たとえば、ハニカム構造の担体に保持される基材(ウオッシュコート)に活性炭を分散させたものや、ゼオライトに金属をイオン交換した材料等からなる。このHC吸着筒1300は、低温時に高いHC吸着能力を示し、高温(たとえば、200℃以上)になると、低温時に吸着したHCを脱離するものであれば、限定されるものではない。
切換弁1310は、三元触媒コンバータ1400によるHCの浄化が不完全な時に(主としてエンジン120の冷間始動時に)、HC吸着筒1300側に排気を流すようにエンジンECU280により制御される(図3の切換弁1310Aの状態)。また、この切換弁1310は、HC吸着筒1300に吸着されたHCをパージするときに、HC吸着筒1300側に排気を流すようにエンジンECU280により制御される(図3の切換弁1310Aの状態)。これら以外の場合には、この切換弁1310は、非バイパス通路1330側に排気を流すようにエンジンECU280により制御される(図3の切換弁1310Bの状態)。
インジェクタ1126への燃料供給は、燃料タンク1220から吸い上げた燃料をフィードポンプ1240により昇圧して供給される。このフィードポンプ1240は電動ポンプである。このエンジン120の吸気系1152にも、キャニスターパージ機構を有する。
燃料タンク1220に発生する燃料蒸発ガスを捕集する捕集容器であるキャニスター1230が、ベーパ通路1260を介して燃料タンク1220に接続されており、さらにキャニスター1230はそこに捕集された燃料蒸発ガスをエンジン120の吸気通路1110に供給するためのパージ通路1280に接続されている。そして、パージ通路1280は、吸気通路1110のスロットルバルブ1112の下流に開口されたパージポート1290に連通されている。
キャニスター1230の内部には、周知のように、燃料蒸発ガスを吸着する吸着剤(活性炭)が充填されている。たとえば、キャニスター1230は、気密性のない仕切壁によって上下三層に区画されており、その中層には表面に燃料蒸発ガスを吸着する活性炭が配置されている。
また、パージ中にキャニスター1230内に逆止弁を介して大気を導入するための大気通路1270が設けられている。さらに、パージ通路1280には、パージ量を制御するパージ制御弁(以下、VSV(Vacuum Switching Valve)と記載する場合がある)1250が設けられており、このパージ制御弁1250の開度がエンジンECU280によりデューティ制御されることで、キャニスター1230内でパージ処理される燃料蒸発ガス量、ひいてはエンジン120に導入される燃料量が制御されるように構成されている。
本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU280は、燃焼されなかったHC(未燃HC)が多く排気に含まれる場合において、三元触媒コンバータ1400のHC浄化機能が発現していない低温時において、切換弁1310をHC吸着筒1300側(切換弁1310Aの状態)に切換えて、排気をHC吸着筒1300に流して、一旦HC吸着筒1300に未燃HCを吸着させる。その後、三元触媒コンバータ1400のHC浄化機能が発現すると、キャニスターパージ処理およびアクティブOBD処理に重ならないように、HC吸着筒1300に吸着されたHCをパージして、排出されたHCを三元触媒コンバータ1400により浄化する。
本実施の形態に係る制御装置は、デジタル回路やアナログ回路の構成を主体としたハードウェアでも、ECUに含まれるCPU(Central Processing Unit)およびメモリとメモリから読み出されてCPUで実行されるプログラムとを主体としたソフトウェアでも実現することが可能である。一般的に、ハードウェアで実現した場合には動作速度の点で有利で、ソフトウェアで実現した場合には設計変更の点で有利であると言われている。以下においては、ソフトウェアとして制御装置を実現した場合を説明する。なお、このようなプログラムを記録した記録媒体についても本発明の一態様である。
図4および図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置を実現するために、ECU280が実行する、プログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、サブルーチンであって、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)1000にて、エンジンECU280は、エンジン120が作動を開始したか(スタートしたか)否かを判断する。一般的には、イグニッションスイッチがスタート位置に切換えられたり、HV_ECU320からのエンジン120の作動指令に基づいて、エンジン120がスタータモータによりクランキングされて、空気が吸入されて燃料が噴射され混合気が継続的に着火するとエンジン120がスタートする。エンジン120がスタートすると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、処理はS1000へ戻され、エンジン120がスタートするまで待つ。なお、S1000にてNOの場合には、この処理を終了(処理を図5のリターンに移す)させても構わない。
S1010にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)を検出する。なお、本実施の形態においては、上述の通り、三元触媒コンバータ1400の触媒温度を計測できる温度センサを備えている。
S1020にて、エンジンECU280は、未燃HCが多く、かつ、触媒温度TH(CA)が活性温度未満であるか否かを判断する。エンジンECU280は、未燃HCが多いか否かは、排気の空燃比等により判断する。未燃HCが多く、かつ、触媒温度TH(CA)が活性温度未満(三元触媒コンバータ1400が浄化作用を発現していない状態)であると(S1020にてYES)、処理はS1030へ移される。もしそうでないと、すなわち、未燃HCが少ないかまたは触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1020にてNO)、処理はS1100へ移される。
S1030にて、エンジンECU280は、HC吸着フラグをセット(オン)する。S1040にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300側へ排気が流れるように、切換弁1310Aの状態になる指示信号を切換弁1310へ、出力する。
S1050にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されている時間である吸着時間T(HC)を積算する。なお、積算値の初期値は、HC吸着筒1300からの強制パージ処理が正常終了した時点で0にリセットされている。
S1060にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)を検出する。
S1070にて、エンジンECU280は、未燃HCが少ない、または、触媒温度TH(CA)が活性温度以上であるか否かを判断する。HC吸着筒1300側へ排気が流れるように制御されているので、排気が、三元触媒コンバータ1400に直接到達しないで、HC吸着筒1300を経由して三元触媒コンバータ1400に到達するので、触媒温度TH(CA)が上昇しにくい。しかしながら、エンジン120の作動後は、エンジン120自体も排気の温度も次第に高くなり、三元触媒コンバータ1400の温度TH(CA)も上昇する。未燃HCが少なくなるか、または、触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1070にてYES)、処理はS1080へ移される。もしそうでないと、すなわち、未燃HCが多くかつ触媒温度TH(CA)が活性温度未満であると(S1070にてNO)、処理はS1050へ戻されて、未燃HCをHC吸着筒1300に吸着させる。このS1070の処理においては、HC吸着筒1300への未燃HCの吸着完了を判断している。この未燃HCの量および触媒温度TH(CA)についての条件に加えて、HC吸着筒1300が飽和したことをHC吸着筒1300への未燃HCの吸着完了の条件として加えるようにしても構わない。
S1080にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されている時間である吸着時間T(HC)を確定する。後述するように、HC吸着筒1300に未燃HCの量は、この吸着時間T(HC)に相関するので、この時間に基づいて、HC吸着筒1300からの未燃HCの強制パージ時間が設定される。
S1090にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300側へ排気が流れないように、切換弁1310Bの状態になる指示信号を切換弁1310へ出力する。このとき、HC吸着筒1300には未燃HCは吸着されている。その後、処理は図5のS1120へ移される、
S1100にて、エンジンECU280は、HC吸着フラグをリセット(オフ)する。S1110にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300側へ排気が流れないように、切換弁1310Bの状態になる指示信号を切換弁1310へ出力する。なお、切換弁1300が切換弁1310Bの状態であるときには、このような指示信号を受けた切換弁1310はその状態を保持することになる。このとき、HC吸着筒1300には未燃HCは吸着されていない。その後、処理は図5のS1120へ移される、
図5のS1120にて、エンジンECU280は、HC吸着フラグがセット(オン)されているか否かを判断する。HC吸着フラグがセット(オン)されていると(S1120にてYES)、処理はS1130へ移される。もしそうでないと(S1120にてNO)、この処理は終了する。
S1130にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300からの強制パージ条件が成立したか否かを判断する。この条件には、少なくとも三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が活性温度に到達していることが含まれる。HC吸着筒1300からの強制パージ条件が成立すると(S1130にてYES)、処理はS1140へ移される。もしそうでないと(S1130にてNO)、この処理は終了する。
S1140にて、エンジンECU280は、キャニスター1230からのパージを実行中であるかまたはアクティブOBD実行中であるか否かを判断する。キャニスター1230からのパージを実行中であるかまたはアクティブOBD実行中であると(S1140にてYES)、この処理は終了する。もしそうでなく、キャニスター1230からのパージが実行中でなくかつアクティブOBDが実行中でないと(S1140にてNO)、処理はS1150へ移される。
S1150にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300側へ排気が流れるように、切換弁1310Aの状態になる指示信号を切換弁1310へ、出力する。S1160にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)を検出する。
S1170にて、エンジンECU280は、触媒温度TH(CA)が活性温度以上であるか否かを判断する。触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1170にてYES)、処理はS1180へ移される。もしそうでないと、すなわち、触媒温度TH(CA)が活性温度未満であると(S1170にてNO)、処理はS1190へ移される。
S1180にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されていた時間である吸着時間T(HC)に対応する強制パージ時間が経過したか否かを判断する。吸着時間T(HC)が長いほど吸着HCの量が多くなるので、強制パージ時間が長くなる。吸着時間T(HC)に対応する強制パージ時間が経過すると(S1180にてYES)、処理はS1200へ移される。もしそうでないと(S1180にてNO)、処理はS1160へ戻される。
S1190にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージを中断する(三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が何らかの原因で活性温度未満になったためである)。その後、処理はS1210へ移される。
S1200にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージを正常終了する(強制パージ時間内に三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が活性温度未満にならなかったためである)。
S1210にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300側へ排気が流れないように、切換弁1310Bの状態になる指示信号を切換弁1310へ出力する。これにより、排気はHC吸着筒1300を経由しないで、三元触媒コンバータ1400に直接到達するので、三元触媒コンバータ1400の温度TH(CA)は上昇し易くなる。
S1220にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)を検出する。
S1230にて、エンジンECU280は、触媒温度TH(CA)が活性温度以上であるか否かを判断する。触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1230にてYES)、処理はS1240へ移される。もしそうでないと、すなわち、触媒温度TH(CA)が活性温度未満であると(S1230にてNO)、処理はS1220に戻される。
S1240にて、エンジンECU280は、キャニスター1230からのパージ処理(VSV1250を開く)またはアクティブOBDの実行を許可する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU280により制御されるエンジン120の動作について説明する。
[エンジン始動後の触媒温度が低くかつ未燃HCが多い場合]
エンジン120がスタートして(S1000にてYES)、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が検出されて(S1010)、未燃HCが多くかつ触媒温度TH(CA)が活性温度未満であると(S1020にてYES)、未燃HCを三元触媒コンバータ1400で浄化できない。このため、HC吸着フラグがセットされて(S1030)、切換弁1310Aの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れるように切換弁1310が制御される(S1040)。
HC吸着筒1300により未燃HCが吸着されている時間T(HC)が積算される(S1050)。また、HC吸着筒1300により未燃HCが吸着されているときには、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が検出されており(S1060)、未燃HCが少なくなるかまたは触媒温度TH(CA)が活性温度以上になると(S1070にてYES)、HC吸着筒1300による未燃HCの吸着が終了する。
HC吸着筒1300により未燃HCが吸着されている時間T(HC)が確定されて(S1080)、切換弁1310Bの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れないように切換弁1310が制御される(S1090)。
以上のように、三元触媒コンバータ1400はHC浄化機能を発現しない冷間時においては、排気をHC吸着筒1300に流して、未燃HCを吸着させて、車外に未燃HCを放出することを回避できる。
[エンジン始動後の触媒温度が高いまたは未燃HCが少ない場合]
エンジン120がスタートして(S1000にてYES)、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が検出されて(S1010)、未燃HCが少ないか、または、触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1020にてNO)、そもそも未燃HCが少なくて三元触媒コンバータ1400の浄化機能が発現できなくても問題を生じないか、未燃HCを三元触媒コンバータ1400により浄化できる。このため、HC吸着フラグがリセットされて(S1100)、切換弁1310Bの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れないように切換弁1310が制御される(S1110)。
このときには、HC吸着フラグがセットされていないので(S1120にてNO)、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理は実行されない。
[HC吸着筒に吸着されたHCの強制パージ処理]
HCフラグがセットされており(S1120にてYES)、強制パージ条件が成立すると(S1130)、キャニスター1230からパージされておらず(VSV1250が開いていない、かつ、アクティブOBDも実行されていないときに(S1140にてNO)、HC吸着筒1300に吸着されたHCが強制パージされる。このため、切換弁1310Aの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れるように切換弁1310が制御される(S1150)。これにより、HC吸着筒1300側へ排気が流れ、HC吸着筒1300から吸着したHCがパージされて、このHCは、三元触媒コンバータ1400で浄化される。なお、このときの排気温度はHC吸着筒1300からHCを脱離できるほどに十分に高いものとする。
このような強制パージ処理は、触媒温度TH(CA)が活性温度以上である限り(S1170にてYES)、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されている時間である吸着時間T(HC)に対応する強制パージ時間の間(S1180にてYESになるまでの間)、継続して行なわれる。
一方、このような強制パージ処理は、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されている時間である吸着時間T(HC)に対応する強制パージ時間の間(S1180にてYESになるまでの間)に、万一、触媒温度TH(CA)が活性温度未満になると(S1170にてNO)、HC吸着筒1300から強制パージされたHCが三元触媒コンバータ1400で浄化できなくなるので、強制パージ処理を中断する(S1190)。
強制パージ処理が終了すると(S1190、S1200)、切換弁1310Bの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れないように切換弁1310が制御される(S1210)。
[HC吸着筒に吸着されたHCの強制パージ処理後の判断]
強制パージ処理が終了すると(S1190、S1200)、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が検出される(S1220)。ここで、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中においては、HC吸着筒1300側へ排気が流れるように制御されているので、排気が、三元触媒コンバータ1400に直接到達しないで、HC吸着筒1300を経由して三元触媒コンバータ1400に到達するので、触媒温度TH(CA)が低下する。しかしながら、エンジン120の作動後は、エンジン120自体も排気の温度も次第に高くなり、三元触媒コンバータ1400の温度TH(CA)も上昇する。これらの観点から、三元触媒コンバータ1400の触媒温度TH(CA)が活性温度以上であると(S1230にてYES)、キャニスター1230からのパージ処理(VSV1250を開く)や、または、アクティブOBDの処理の実行が許可される(S1240)。なお、後述する優先順位に従い、HC吸着筒に吸着されたHCの強制パージ処理およびキャニスター1230からのパージ処理が同時に実行されることはない。さらに、これらのいずれかとアクティブOBD処理とが同時に実行されることもない。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUによると、三元触媒コンバータで浄化できないHCを一旦HC吸着筒に吸着させて、その後、強制パージ条件のみならず、キャニスターパージ処理やアクティブOBD処理に重ならないように、HC吸着筒に吸着させたHCをパージして、三元触媒コンバータで浄化することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態において説明した図5のS1150以降の「HC吸着筒に吸着されたHCの強制パージ処理後の判断処理」が、本実施の形態では異なる判断処理を実行する。
詳しくは、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400に設けられた温度センサからの触媒温度TH(CA)を用いることなく、S1240の「キャニスター1230からのパージ処理(VSV1250を開く)またはアクティブOBDの実行を許可する判断処理」を実行する。
それ以外のハードウェア構成は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。なお、エンジンECU280については、後述するプログラムのみが異なり、ハードウェア構成は同じであるため、本実施の形態においても上述した第1の実施の形態と同じ参照符号を付してある。
図6を参照して、本実施の形態に係る制御装置を実現するために、ECU280が実行する、プログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、サブルーチンであって、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図6のフローチャートにおいて、図5のフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらの処理は同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S2000にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中において、強制パージ実行時間T(P)を積算する。なお、積算値の初期値は、HC吸着筒1300からの強制パージ処理が開始された時点を起点(0)としている。
S2010にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中において、強制パージ流量FL(P)を積算する。なお、積算値の初期値は、HC吸着筒1300からの強制パージ処理が開始された時点を起点(0)としている。また、この流量は、たとえば、エアーフローメータ1104からの吸入吸気量信号に基づいて検出されて、積算される。
S2020にて、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理が終了すると、通常流量FL(N)の積算を開始する。なお、積算値の初期値は、HC吸着筒1300からの強制パージ処理が終了された時点を起点(0)としている。また、この流量は、たとえば、エアーフローメータ1104からの吸入吸気量信号に基づいて検出されて、積算される。
S2030にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中の、強制パージ実行時間T(P)を確定する。S2040にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中の、強制パージ流量FL(P)を確定する。
S2050にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の温度低下TH(DN)(<0)を、HC吸着筒1300からの強制パージ処理中の強制パージ実行時間T(P)および/または強制パージ流量FL(P)に基づいて、推定する。なお、これらのHC吸着筒1300からの強制パージ実行時間T(P)および強制パージ流量FL(P)以外の因子を用いて三元触媒コンバータ1400の温度低下TH(DN)を推定しても構わない。
S2060にて、エンジンECU280は、通常流量FL(N)の積算値、エンジン120の点火時期(遅角側に制御されていると排気の温度が上昇する傾向)、空燃比を検出する。
S2070にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の温度上昇TH(UP)(>0)を、通常流量FL(N)の積算値、エンジン120の点火時期、空燃比に基づいて、推定する。なお、これらの通常流量FL(N)の積算値、エンジン120の点火時期、空燃比以外の因子を用いて三元触媒コンバータ1400の温度上昇TH(UP)を推定しても構わない。
S2080にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の推定触媒温度TH(EST)を、基準温度+TH(DN)+TH(UP)により算出する。S2090にて、エンジンECU280は、三元触媒コンバータ1400の推定触媒温度TH(EST)が活性温度以上であるか否かを判断する。推定触媒温度TH(EST)が活性温度以上であると(S2090にてYES)、処理はS1240へ移される。もしそうでないと、すなわち、推定触媒温度TH(EST)が活性温度未満であると(S2090にてNO)、処理はS2060に戻される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU280により制御されるエンジン120の動作について、図7を参照して、説明する。なお、第1の実施の形態と同じ動作についての説明はここでは繰り返さない。
図7の時刻T(1)において、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理が開始される。このため、切換弁1310Aの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れるように切換弁1310が制御される(S1150)。これにより、HC吸着筒1300側へ排気が流れ、HC吸着筒1300に吸着されたHCがパージされて、このHCは、三元触媒コンバータ1400で浄化される。
このような強制パージ処理は、触媒温度TH(CA)が活性温度以上である限り(S1170にてYES)、HC吸着筒1300に未燃HCが吸着されている時間である吸着時間T(HC)に対応する強制パージ時間の間(S1180にてYESになるまでの間)、継続して行なわれる。
図7の時刻T(2)において、強制パージ処理が終了すると(S1200)、切換弁1310Bの状態になりHC吸着筒1300側へ排気が流れないように切換弁1310が制御される(S1210)。これにより、排気は、HC吸着筒1300側ではなく、非バイパス通路1330側に流れる。
ここで、HC吸着筒1300に吸着されたHCの強制パージ処理中である、図7の時刻T(1)〜時刻T(2)においては、HC吸着筒1300側へ排気が流れるように制御されているので、排気が、三元触媒コンバータ1400に直接到達しないで、HC吸着筒1300を経由して三元触媒コンバータ1400に到達するので、触媒温度TH(CA)が低下する。この触媒温度の低下を以下のように推定する。強制パージ処理中に積算して(S2000)強制パージ処理が終了すると確定させた強制パージ実行時間T(P)(S2030)および/または強制パージ処理中に積算して(S2010)強制パージ処理が終了すると確定させた強制パージ流量FL(P)(S2040)を用いて、三元触媒コンバータ1400の触媒の温度低下TH(DN)が推定される。なお、この温度低下TH(DN)は、負値であるとする。
しかしながら、強制パージ処理の終了後である、図7の時刻T(2)〜時刻T(3)においては、エンジン120の排気は、非バイパス通路1330を通って三元触媒コンバータ1400に直接流れ込むので、触媒温度TH(CA)が低下から上昇に転じる。この触媒温度の上昇を以下のように推定する。強制パージ処理後から積算した通常流量積算値、エンジン120の点火時期、空燃比等の排気および排気温度に関係がある因子を用いて、三元触媒コンバータ1400の触媒の温度上昇TH(UP)が推定される。なお、この温度上昇TH(UP)は、正値であるとする。
基準温度に温度低下TH(DN)および温度上昇TH(UP)を加算(温度低下TH(DN)は負値であるので減算)して、推定触媒温度TH(EST)が算出される(S2080)。図7の時刻T(3)において、この三元触媒コンバータ1400の推定触媒温度TH(EST)が活性温度以上になり(S2090にてYES)、キャニスター1230からのパージ処理(VSV1250を開く)や、または、アクティブOBDの処理の実行が許可される(S1240)。なお、第1の実施の形態と同様に、後述する優先順位に従い、HC吸着筒に吸着されたHCの強制パージ処理およびキャニスター1230からのパージ処理が同時に実行されることはない。さらに、これらのいずれかとアクティブOBD処理とが同時に実行されることもない。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUによると、三元触媒コンバータで浄化できないHCを一旦HC吸着筒に吸着させた後のパージ処理後に、推定された触媒温度を用いて、キャニスターパージ処理やアクティブOBD処理の実行可否を判断できる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、HC吸着筒1300からのHC強制パージ処理およびキャニスター1230からのパージ処理のいずれを優先させるのかを判断する点が特徴である。
それ以外のハードウェア構成は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。なお、エンジンECU280については、後述するプログラムのみが異なり、ハードウェア構成は同じであるため、本実施の形態においても上述した第1の実施の形態と同じ参照符号を付してある。
図8を参照して、本実施の形態に係る制御装置を実現するために、ECU280に備えたれたメモリに記憶される優先比較マップについて説明する。
図8に示す優先比較マップは、その上段には、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)(%)が、下段には、上段のP(CA)(%)に対応する、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)のしきい値P(HCTH)(%)が記憶されている。パージ率とは、どの程度パージが進んでいるかの度合いを示す指標である。そのため、パージ率が小さい値であるとパージが進んでおらず、吸着HCが多い状態である。逆にパージ率が大きい値であるとパージが進んでおり、吸着HCが少ない状態である。
図8に示すように、上段の現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)に基づいて、下段のしきい値P(HCTH)が算出できる。たとえば、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)が40%であると、しきい値P(HCTH)は60%と算出できる。
図8を大略的に説明すると以下のようになる。キャニスター1230のパージ率P(CA)が40%しか進んでいない場合であっても、HC吸着筒1300のパージ率が60%がしきい値となる。HC吸着筒1300のパージ率が60%を越えるまでは、HC吸着筒1300のパージが優先される。すなわち、HC吸着筒1300のパージがキャニスター1230のパージより進むまでは、HC吸着筒1300のパージ処理が優先されることを示す。なお、この図8に示すマップは一例であって、本発明がこのマップに限定されるものではない。
図9を参照して、本実施の形態に係る制御装置を実現するために、ECU280が実行する、プログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、サブルーチンであって、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図9のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらの処理は同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S3000にて、エンジンECU280は、VSV1250が開いていた時間等に基づいて、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)を算出する。確認的に記載するが、VSV1250が開いていた時間が長いほど、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)は小さく算出される。
S3010にて、エンジンECU280は、強制パージ実行時間T(P)等に基づいて、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)を算出する。確認的に記載するが、強制パージ実行時間T(P)が長いほど、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)は小さく算出される。
S3020にて、エンジンECU280は、パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Yであるか否かを判断する。なお、しきい値Xおよびしきい値Yは、適宜設定される。パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Yであると(S3020にてYES)、処理はS3060へ移される。もしそうでないと(S3020にてNO)、処理はS3030へ移される。
S3030にて、エンジンECU280は、図8にその一例を示した優先比較マップに基づいて、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)に基づいて、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)のしきい値P(HCTH)を算出する。
S3040にて、エンジンECU280は、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)がしきい値P(HCTH)以上であるか(HC吸着筒1300のパージが進んでいるか)否か(HC吸着筒1300のパージが進んでいないか)を判断する。パージ率P(HC)がしきい値P(HCTH)以上であると(S3040にてYES)、処理はS3050へ移される。もしそうでないと(S3040にてNO)、処理はS3060へ移される。
S3050にて、エンジンECU280は、キャニスター1230のパージ処理を優先する。
S3060にて、エンジンECU280は、HC吸着筒1300のパージ処理を優先する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU280により制御されるエンジン120の動作について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ動作についての説明はここでは繰り返さない。
[パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Y]
現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)を算出され(S3000)、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)を算出される(S3010)。
パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Yであると(S3020にてYES)、キャニスター1230のパージ処理も、HC吸着筒1300のパージ処理も、進んでいない。この場合には、HC吸着筒1300のパージ処理が優先される(S3060)。
[パージ率P(HC)<しきい値P(HCTH)]
パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Yでないと(S3020にてNO)、キャニスター1230のパージ処理およびHC吸着筒1300のパージ処理の少なくともいずれかは進んでいる。この場合には、キャニスター1230のパージ処理およびHC吸着筒1300のパージ処理の優先順位が判断される。
このような場合においては、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)に基づいて、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)のしきい値P(HCTH)を算出される(S3030)。たとえば、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)が40%であると、しきい値P(HCTH)は60%と算出される。
たとえば、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)が55%であると(S3040にてNO)、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)が60%に到達するまでは、HC吸着筒1300のパージ処理が優先される(S3060)。すなわち、キャニスター1230のパージ率P(CA)が40%とパージ処理が進んでいなくて吸着しているHCが多くても、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)が60%に到達する(パージ処理が進んでいる)までは、HC吸着筒1300のパージ処理が優先される。
[パージ率P(HC)<しきい値P(HCTH)]
パージ率P(CA)<Xかつパージ率P(HC)<Yでないと(S3020にてNO)、キャニスター1230のパージ処理およびHC吸着筒1300のパージ処理の少なくともいずれかは進んでいる。この場合には、キャニスター1230のパージ処理およびHC吸着筒1300のパージ処理の優先順位が判断される。
このような場合においては、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)に基づいて、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)のしきい値P(HCTH)を算出される(S3030)。たとえば、現在のキャニスター1230のパージ率P(CA)が40%であると、しきい値P(HCTH)は60%と算出される。
たとえば、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)が70%であると(S3040にてYES)、現在のHC吸着筒1300のパージ率P(HC)が60%に到達するしている(十分にHC吸着筒1300は進んでいる)。このため、キャニスター1230のパージ処理が優先される(S3050)。すなわち、キャニスター1230のパージ率P(CA)が40%とパージ処理が進んでいなくて吸着しているHCが多いが、HC吸着筒1300のパージ率P(HC)もしきい値である60%に到達している(パージ処理が進んでいる)ので、キャニスター1230のパージ処理が優先される。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUによると、HC吸着筒のパージ処理と、キャニスターのパージ処理との優先順位を決定して、パージ処理が重ならないように処理することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
120 エンジン、140 モータジェネレータ、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 昇圧コンバータ、260 バッテリECU、280 エンジンECU、300 MG_ECU、320 HV_ECU、1104 エアーフローメータ、1106 水温センサ、1108 排気通路、1110 吸気通路、1112 スロットルバルブ、1114A スロットルモータ、1114B スロットルポジションセンサ、1118 エアクリーナ、1122 冷却水通路、1124 シリンダブロック、1126 インジェクタ、1128 ピストン、1130 クランクシャフト、1132 クランクポジションセンサ、1152 吸気系、1154 排気系、1230 キャニスター、1300 HC吸着筒、1310 切換弁、1400 三元触媒コンバータ。