JP2008127608A - 分割コア用無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】モーターやトランスの分割コア用として最適な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.005%以下、Si:2〜4%、Mn:1%以下、Al:0.3〜2%、Sn:0.003〜0.2%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、再結晶焼鈍を施し、その後、スキンパス圧延、歪取焼鈍を施して製造した板厚:0.1〜0.3mmのセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、(i)歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織を有し、かつ、(ii)圧延方向(L方向)の磁束密度B50(L)と、圧延方向(L方向)と45°の方向(X方向)の磁束密度B50(X)が、下記式(1)を満たす磁気特性を有することを特徴とする分割コア用無方向性電磁鋼板。
50(L)−B50(X)≧0.07T ・・・(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、モーターやトランスのコア(鉄芯)材料として用いる無方向性電磁鋼板に関する。
近年、環境保全や、省エネルギーの観点から、電気自動車への関心が高まり、駆動用モーターには、高速回転と小型化とともに、周波数400〜数kHzで駆動できることが求められている。
このため、モーターのコア材料である無方向性電磁鋼板においては、渦電流損失を低減するため、板厚を薄くするとともに、固有抵抗を高め、さらに、鋼板強度(ローター剛性を上げる)を改善するため、Si量及びAl量を増加する必要がある。さらに、無方向性電磁鋼板には、モーターの初動トルクを改善するため、高い磁束密度も要求される。
モーターコアは、無方向性電磁鋼板を打ち抜いて製造されるが、最近は、打抜き歩留りを改善する観点や、巻き線を効率化して銅損を低減する観点から、モーターコアを、ティース部分で個々に分割した分割コアで構成する傾向にある。そして、分割コアのティース部分には、長さ方向及び幅方向に磁界が印加されるので、磁束密度が高いことが要求される。
通常、無方向性電磁鋼板から、一つのモーターコアを打ち抜く場合、無方向性電磁鋼板の磁気特性には、鋼板の圧延方向(コイル長手方向、以下「L方向」ということがある。)、L方向と直角の方向(コイル幅方向、以下「C方向」ということがある。)、L方向と45度の方向(以下「X方向」ということがる)において、差(異方性)が小さいことが望まれる(特許文献1〜6、参照)。
しかし、分割コアを打ち抜く場合、磁気特性の優れた方向に沿って、ティース部分を打ち抜けばよいから、無方向性電磁鋼板を分割コア専用として用いる場合、L方向、C方向、及び、X方向における磁気特性の異方性は、必ずしも、小さくなくてもよい。つまり、磁気特性の異方性が大きいほうが、即ち、X方向の磁気特性を犠牲にしても、L方向とC方向の磁気特性を改善したほうが、分割コアの設計において、分割コアのティース部分で所要の磁気特性を確保することができる点で、好ましい。
なお,特許文献1には、二回目の冷間圧延(以下、「冷延」ということがある。)をスキンパス圧延することが開示されているが、これは、スキンパス圧延の後に、製鉄所サイドで仕上焼鈍を行なう、いわゆる、フルプロセスを採用しており、コスト的な問題、また、打抜き歪みによる鉄損特性の劣化などの問題を抱えるものである。
特開2001−49402号公報 特開2001−164343号公報 特開2006−45613号公報 特開2006−45641号公報 特開2006−144036号公報 特開2006−199999号公報
本発明者は、無方向性電磁鋼板において、磁気特性を高めるため、鋼板の板厚を薄くし、かつ、Si量及び/又はAl量を増加すると、磁束密度の異方性が小さくなるという現象に気がついた。即ち、特定の方向、例えば、L方向やC方向の磁束密度が低下し、所望の磁束密度が得られず、結局、このような磁気特性を有する無方向性電磁鋼板は、分割コア用に適さないという問題に遭遇した。
そこで、本発明は、モーターやトランスの分割コア用として最適な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。
本発明者は、質量%で、Si:2〜4%、及び、Al:0.3〜2%を含有する板厚0.1〜0.3mmの無方向性電磁鋼板において、Snを0.003〜0.2%添加して、ゴス方位の結晶粒を増加し、L方向及びC方向の磁気特性(磁束密度)を改善することを基本思想とし、分割コア用として最適な磁気特性を確保する手法について、鋭意研究した。その結果、次の知見を得るに至った。
(x)L、C、及び、X方向の磁気特性の差(異方性)は、板厚(製品板厚)、冷間圧延での圧下率、該圧下率の配分、スキンパス圧延前後の結晶粒径に密接に関連するが、最終的に、これらを制御すれば、異方性の大きい所要の磁束密度B50(磁化力5000A/mで得られる磁束密度[T])を確保することができる。
(y)L方向とC方向も磁気特性を繋ぐ、X方向の磁束密度B50を低減すると、L方向及びC方向の磁束密度B50が改善される傾向にあるから、X方向の磁気特性は、分割コア用無方向性電磁鋼板の磁気特性を評価する上で重要な指標であり、L方向の磁気特性との関係で、所定の差の範囲に維持する必要がある。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.005%以下、Si:2〜4%、Mn:1%以下、Al:0.3〜2%、Sn:0.003〜0.2%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、再結晶焼鈍を施し、その後、スキンパス圧延、歪取焼鈍を施して製造した板厚:0.1〜0.3mmのセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、
(i)歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織を有し、かつ、
(ii)圧延方向(L方向)の磁束密度B50(L)と、圧延方向(L方向)と45°の方向(X方向)の磁束密度B50(X)が、下記式(1)を満たす磁気特性を有する
ことを特徴とする分割コア用無方向性電磁鋼板。
50(L)−B50(X)≧0.07T ・・・(1)
(2) 前記磁気特性において、鉄損W10/800が38W/kg以下であることを特徴とする前記(1)に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
(3) 前記熱延板の焼鈍温度が900℃超であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
(4) 前記スキンパス圧延前の平均結晶粒径が10〜60μmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
(5) 前記スキンパス圧延における圧下率が2〜15%であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
(6) 前記歪取焼鈍を、770〜850℃で施すことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
本発明によれば、モーターやトランスの分割コア用として最適な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を提供することができる。また、本発明によれば、分割コアの形状、及び/又は、分割コアのティース部分に求める磁気特性に応じて、分割コアを設計し、打ち抜くことができるので、無方向性電磁鋼板の利用度が増す。
本発明は、質量%で、C:0.005%以下、Si:2〜4%、Mn:1%以下、Al:0.3〜2%、Sn:0.003〜0.2%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、再結晶焼鈍を施し、その後、スキンパス圧延、歪取焼鈍を施した板厚0.1〜0.3mmのセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、
(i)歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織を有し、かつ、
(ii)圧延方向(L方向)の磁束密度B50(L)と、圧延方向(L方向)と45°の方向(X方向)の磁束密度B50(X)が、下記式(1)を満たす磁気特性を有する
ことを特徴とする。
50(L)−B50(X)≧0.07T ・・・(1)
50(L)は、L方向に5000A/mで磁化して測定したL方向の磁束密度(単位:T)であり、B50(X)は、鋼板面上で、X方向に5000A/mで磁化して測定したX方向の磁束密度である。なお、B50(C)は、鋼板面上で、C方向に5000A/mで磁化して測定したC方向の磁束密度である。
まず、熱延板の成分組成を限定する理由について説明する。なお、以下、%は、質量%を意味する。
Cは、鋼板を強化する元素であるが、磁気特性の点で有害な元素であり、極力低減するのが好ましいので、Cは、0.005%以下に限定した。好ましくは、0.003%以下である。
Siは、鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低減する元素であるので、2%以上を含有する。4%を超えて含有すると、鋼板が脆化し、また、所要の磁束密度B50が得られないので、Siの上限を4%とした。
Mnは、熱間圧延時に、MnSとしてSを固定し、熱間圧延時の鋼板耳割れを防止する元素である。固溶Mnは、鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低減するが、Mnが多すぎると結晶粒成長性が阻害されるので、Mnの上限を1%とした。
Alは、Siと同様に、鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低減する元素であるので、0.3%を超えて含有する。しかし、2%を超えて含有すると、飽和磁束密度が劣化するので、上限を2%とした。
Snは、Si:2〜4%、及び、Al:0.3〜2%を含有する無方向性電磁鋼板の再結晶組織において、Goss方位粒を増加し、特に、L方向の磁気特性(磁束密度)を改善するために、0.003%以上含有する必要がある。一方、0.2%を超えて含有しても、上記改善効果は飽和するし、熱間脆性の問題で表面疵が増加するので、上限を0.2%とした。
本発明は、上記元素の他、不可避的不純物として、S、P、N、O、Cu、Ni、Cr、Ca、REM、Nb、Ti等を、本発明の機械特性及び磁気特性を損なわない範囲で含有してもよい。ただし、従来どおり、不純物としてのS、N、及び、Oは、少ないほうが好ましい。それら各成分は、それぞれ、0.003%以下、0.0025%以下、及び、0.003%以下が好ましい。
また,所望の異方性を阻害しないことを確認している範囲は、Cu<0.2%、Ni<0.1%、Cr<0.1%、Ca<0.01%、REM<0.01%、Nb<0.003%、Ti<0.003%であるので、これら元素は、それぞれ上記範囲内に抑制するのが好ましい。なお、Sbは、異方性を小さくするので、添加してはならない。Sbは、不可避的に含有する場合は、0.001%未満が好ましい。
上記成分組成の熱延板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、再結晶焼鈍を施し、その後、スキンパス圧延を施す。その後,顧客又は加工センターで、分割コアに打ち抜かれた後、歪取焼鈍が施され、平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織が形成される。
本発明においては、前述した知見(x)に基づいて、歪取焼鈍後の平均結晶粒径を80〜300μmに規定する。平均結晶粒径が大きいと、鉄損特性は改善されるが,磁束密度が劣化し、また、磁束密度の異方性(B50(L)−B50(X))は、若干ではあるが、小さくなる傾向にある。
歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80μm未満であると、鉄損特性が不満であり、また、300μmを超えると、磁束密度B50(L)の劣化が大きいので、歪取焼鈍後の平均結晶粒径は、80〜300μmに制限する。なお,平均結晶粒径は,鋼板断面を光学顕微鏡で観察した組織において、L方向の線分と交差する結晶粒界の個数を数え、平均化して求めた。
本発明は、歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織を有する板厚0.1〜0.3mmのセミプロセス無法工背電磁鋼板が、下記式(1)を満たす磁気特性を有することを特徴とする。
50(L)−B50(X)≧0.07T ・・・(1)
なお、B50(L)、及び、B50(X)については、前述したとおりである。
「B50(L)−B50(X)」は、L方向とX方向のB50の差そのものである。そして、この差を所定の範囲にすることは、下記の理由で、無方向性電磁鋼板の分割コア用としての適確性を判断する上で、極めて重要であり、分割コア用無法工背電磁鋼板の磁気特性を評価する指標として、「B50(L)−B50(X)」を導入した。
図1(a)及び(b)に、分割コアの打ち抜き態様を示す。図1(a)は、分割コアのティース部分をC方向(L方向と90°)に設定し、打抜き歩留りを最優先して打ち抜く態様(以下「打抜き態様A」ということがある。)を示し、図1(b)は、分割コアのティース部分をL方向に設定し、打抜き歩留りとともに、鉄心特性(ティース部の磁束密度)を重視して打ち抜く態様(以下「打抜き態様B」ということがある。)を示す。
直近、電動モーターの分野では、従来の一体コアに加え、打抜き歩留まりの向上や、巻き線の効率化による銅損向上の観点から、分割コアを用いるケースが増加している。分割コアは、圧延後コイル状に巻き取った電磁鋼板コイルの圧延方向(L方向)に対し、打抜き態様A又は打抜き態様Bで打ち抜かれる場合が多い。
一般に、工業的に製造される無方向性電磁鋼板は、C方向及びX方向の磁気特性(磁化特性、鉄損特性)が、L方向の磁気特性(磁化特性、鉄損特性)に比べ劣位であり、C方向又はX方向の磁気特性が、分割コア鉄心全体の磁気特性を左右することになる。
そして、分割コア鉄芯の磁束流には、打抜き態様A及び打抜き態様Bで打ち抜かれた分割コアのいずれの場合も、磁束がL方向からC方向に回転する途中に、遷移的なX方向の磁束流が存在するが、分割コアでは,このX方向の遷移的な磁束流領域は少なく、分割コア鉄心の磁気特性に及ぼす影響度は小さいと推測される。
つまり、本発明者は、L方向の磁気特性とX方向の磁気特性の差:B50(L)−B50(X)が所定値(0.07T)以上に大きくなるように材料設計すれば、分割コア鉄心全体の磁気特性を改善することができると発想した。
なお、L方向とC方向における適正な磁気特性のバランスは、分割コア一片の寸法、形状により決定される。
50(L)−B50(X)を所定の範囲に規定することは、無方向性電磁鋼板の磁気特性の異方性を所定の範囲に限定することであるから、分割コアを設計する際、分割コア鉄心全体の磁気特性の向上を考慮して、分割コアの形状、及び、打ち抜き態様を設計することができる。
したがって、「B50(C)−B50(X)」は、無方向性電磁鋼板の分割コア用としての適確性を判断する上で、極めて重要な指標である。
本発明において、「B50(L)−B50(X)」が、0.07T未満であれば、異方性が小さくなり、必要なL方向とC方向の磁気特性が得られないので、「B50(L)−B50(X)」は0.007T以上とする。
また、板厚(製品板厚)については,所望の高周波特性、即ち、W10/800≦38W/kgを得るために、0.3mm以下が必要である。しかし、0.1mm未満では、薄すぎて、再結晶焼鈍時における破断などが増え、工業的でない。
本発明は、熱延板に焼鈍を施した後、再結晶焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施し、次いで、歪取焼鈍を施すことを要件とするものであるので、次に、好ましい製造要件について、説明する。なお、この製造工程により製造される無方向性電磁鋼板は、スキンパス圧延の後、製鉄所から出荷されるので、セミプロセス無方向性電磁鋼板と称される。
熱延板の焼鈍は、磁束密度の異方性を大きくする利点がある。焼鈍条件としては、通常の800℃以上の温度でよいが,900℃以上がより好ましい。なお、焼鈍は、連続焼鈍でも箱焼鈍でもよい。焼鈍後の冷間圧延は、通常の、タンデム圧延又はレバース圧延を採用する。
続く、再結晶焼鈍では,結晶粒径を制御することが望ましい。結晶粒径は、小さすぎても大きすぎても、異方性が小さくなるので、適切な範囲の結晶粒径にする必要がある。所望の異方性を得るためには、10〜60μmが好ましい。この範囲の結晶粒径に制御するための焼鈍温度は,700〜850℃程度である。
通常の1回冷延法による高級無方向性電磁鋼板の製造においては、1000℃前後の高温で、再結晶焼鈍が実施されていることから、特に薄い鋼板の形状を、フラットにすることが難しかった。しかし、本発明プロセスでの再結晶焼鈍温度は低いので,工業的には、非常に有利である。
なお,結晶組織中に未再結晶を残すと、歪取焼鈍後の結晶粒径が不安定となって好ましくないので、結晶組織中に未再結晶を残すことは避けなければならない。絶縁皮膜の焼付けは、この段階(再結晶焼鈍後)で実施するのが、工業的である。
本発明においては、冷間圧延後の再結晶組織にスキンパス圧延を施して、L方向の磁束密度B50(L)と、X方向の磁束密度B50(X)の差、即ち、磁気特性の異方性を大きくすることが特徴である。
磁気特性の異方性を大きくした無方向性電磁鋼板において、分割コアを、ティース部分が、L方向に設定して打ち抜けば、磁束密度の高いティース部分を有する分割コアを得ることができる。
スキンパス圧延の圧下率を調整することにより、L方向とX方向の磁束密度B50の差(異方性)を調整することができるので、分割コアの要求される磁束密度に応じて、鋼板の磁気特性を設計して、無方向性電磁鋼板を製造することができる。
スキンパス圧延における圧下率は、2〜15%が好ましい。圧下率が2%未満であると、磁気特性の異方性を所望のレベルまで大きくすることが困難であり、また、15%を超えても、磁気特性の異方性が小さくなる。最も大きい異方性が得られる圧下率は、4〜7%である。
スキンパス圧延によるメタラジーは、一般に、歪み誘起粒成長という一種の異常粒成長機構であり、スキンパス後の数時間の長時間焼鈍(歪取焼鈍のこと)により、爆発的に、粒成長が起きるということである。このときの方位選択的粒成長機構は、基本的には、内部歪が少ない方位粒が爆発的に成長するというものである。しかし、介在物、成分系、結晶粒径、スキンパス圧延の圧下率などにより、この方位選択は微妙に変わることが知られているが、これらの複雑な現象を統一する理論は、まだ形成されていない。
歪取焼鈍は、通常の700〜850℃で、2時間、均熱する程度のものであるが、結晶組織を狙いの粗大粒とするために、焼鈍温度は高温側が好ましい。好ましい焼鈍温度は、770〜850℃である。焼鈍温度が850℃を超えると、絶縁皮膜の密着性が劣化することがある。
高周波鉄損W10/800は、38W/kg以下であることが好ましい。コンパクトなサイズのモーターコアにするための高速回転仕様に対応するためである。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
鋼を真空溶解炉で溶解しつつ、成分組成を調整し、表1に示す成分組成を有するインゴットを鋳造した。これを、1050℃に加熱して熱間圧延し、2.3mm厚の熱延板とした。次いで,N2雰囲気中、920℃で90秒均熱して焼鈍を行った。酸洗後、冷間圧延を施して、板厚0.315mm(圧下率86.3%)の冷延板とした。
再結晶焼鈍を、H2雰囲気中で、750℃、30秒均熱の条件で実施した。平均結晶粒径は、15〜20μmの範囲に入っていた。次いで、スキンパス圧延を施し、板厚を0.300mm(5%圧下)とした。55mm角に打抜いてから、H2雰囲気中、750℃、2時間の焼鈍を行い、SSTで、角度別に磁気特性を測定した。
平均結晶粒径は130〜150μmであった。得られた結果を表1に示す。W10/800は、磁束密度1.0T、周波数800Hzでの鉄損であり、L方向とC方向の測定値を平均化したものである。A値を、以下の式で定義した。
A値(単位はT)=B50(L)−B50(X)
なお、実施例2以下も、これらの記号に準じるものとする。
Figure 2008127608
Sn量が本発明の範囲で、優れたB50(L)と、所望の異方性を得ることができた。
(実施例2)
表1に示す実験No.4の板厚0.315mmの冷延板を用い、再結晶焼鈍条件の均熱時間を15秒に固定し、焼鈍温度を変更して結晶粒径を変化させた。焼鈍雰囲気は、10%H2+90%N2とした。次いで、スキンパス圧延を施し、板厚を0.28mm(11.1%圧下)とした。55mm角に打抜いてから、N2雰囲気中で、780℃、2時間の焼鈍を行い、SSTで、角度別に磁気特性を測定し、また、結晶粒径も測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2008127608
再結晶焼鈍後の平均結晶粒径が、本発明の範囲に入っているものは、分割コア用として優れた異方性を有する磁気特性を示している。また,再結晶焼鈍後の平均結晶粒径は、歪取焼鈍後の平均結晶粒径と関係が強く、再結晶焼鈍で粗大粒であれば、歪取焼鈍後も粗大粒であることが分かる。
(実施例3)
質量%で、C:0.001%、Si:3.0%、Mn:0.7%、Al:0.3%、Sn:0.01%、その他、不可避的成分として、Cu:0.1%、Ni:0.05%、Ni:0.01%、Ti:0.002%、Mo:0.002%、P:0.01%を含むスラブを、1100℃に加熱し、仕上圧延温度870℃で、板厚2.8mmの熱延板を得た。
2雰囲気中で、1000℃、120秒、焼鈍した後、酸洗し、冷間圧延を施した。再結晶焼鈍を、770℃で10秒、H2雰囲気中で実施した。
結晶粒径は、13〜15μmの範囲内であった。次いで、表3に示す圧下率のスキンパス圧延を行って、板厚を0.12mmとした。エプスタイン試料を切り出してから、820℃で2時間、H2雰囲気中で歪取焼鈍を行い、角度別に磁気特性及び結晶粒径を計測した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2008127608
スキンパス圧延の圧下率が本発明の範囲のものは,分割コアに適した異方性が発現し、また、適正な結晶粒径を歪取焼鈍で得ることができ、高周波鉄損も満足するものが得られた。
前述したように、本発明によれば、モーターやトランスの分割コア用として最適な磁気特性を有し、かつ、利用度の高い無方向性電磁鋼板を提供することができる。したがって、本発明は、無方向性電磁鋼板を素材として用いる電気機器製造産業において利用可能性が大きいものである。
分割コアの打ち抜き態様を示す図である。(a)は、分割コアのティース部分をC方向(L方向に90℃の方向)に設定して打ち抜く態様を示し、(b)は、分割コアのティース部分をL方向に設定して打ち抜く態様を示す。
符号の説明
1 分割コア
2 ティース部分

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.005%以下、Si:2〜4%、Mn:1%以下、Al:0.3〜2%、Sn:0.003〜0.2%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱延板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、再結晶焼鈍を施し、その後、スキンパス圧延、歪取焼鈍を施して製造した板厚:0.1〜0.3mmのセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、
    (i)歪取焼鈍後の平均結晶粒径が80〜300μmの再結晶組織を有し、かつ、
    (ii)圧延方向(L方向)の磁束密度B50(L)と、圧延方向(L方向)と45°の方向(X方向)の磁束密度B50(X)が、下記式(1)を満たす磁気特性を有する
    ことを特徴とする分割コア用無方向性電磁鋼板。
    50(L)−B50(X)≧0.07T ・・・(1)
  2. 前記磁気特性において、鉄損W10/800が38W/kg以下であることを特徴とする請求項1に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
  3. 前記熱延板の焼鈍温度が900℃超であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
  4. 前記スキンパス圧延前の平均結晶粒径が10〜60μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
  5. 前記スキンパス圧延における圧下率が2〜15%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
  6. 前記歪取焼鈍を、770〜850℃で施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の分割コア用無方向性電磁鋼板。
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