JP2008127500A - ワックス組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間に亘って性質が安定したワックス組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ワックスを主体とし、高分子化合物を含むワックス組成物の製造方法である。前記ワックス、前記高分子化合物、並びに該ワックス及び該高分子化合物の合計質量に対して0.1質量%以上の酸化防止剤を、非酸化性ガスで空気の一部若しくは全部を置換した雰囲気下又は減圧下で前記ワックスの融解完了温度未満において混合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ワックス組成物及びその製造方法に関する。
防湿フィルム、防湿紙等の防湿剤や防湿性のコーティング剤等に使用できるワックス組成物に関し、出願人は、下記特許文献1に記載の技術を提案している。この技術は、ワックスを主体とし、イソプレンゴムや天然ゴム等の高分子化合物を含有するワックス組成物を製造する際に、構成成分であるワックスの融解完了温度未満の温度で混合を行うことで、構成成分の均一な分散性を高めたものである。
ところで、上述のワックス組成物は、ワックスと高分子化合物との混合に伴って高分子化合物の分子が切断されてその分子量が低下し、混合後もさらに分子量が低下することが分かった。そして、その分子量の低下に伴って、溶融粘度や接着性が低下する等、得られるワックス組成物の性質に影響を及ぼすことが判明した。
特開2004−162037号公報
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、混合時及び混合後の高分子化合物の分子量低下を抑え、安定的な性質を有するワックス組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、特定の雰囲気下で特定量の酸化防止剤を加えることにより、高分子化合物の分子量低下を抑えることができ、長期間に亘って性質が安定したワックス組成物が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、ワックスを主体とし、高分子化合物を含むワックス組成物の製造方法であって、前記ワックス、前記高分子化合物、並びに該ワックス及び該高分子化合物の合計質量に対して0.1質量%以上の酸化防止剤を、非酸化性ガスで空気の一部若しくは全部を置換した雰囲気下又は減圧下で前記ワックスの融解完了温度未満において混合するワックス組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、ワックスを主体とし、高分子化合物を含有するワックス組成物であって、メルトフローレートの上昇速度定数kが0.27以下であるワックス組成物を提供するものである。
本発明によれば、長期間に亘って性質が安定したワックス組成物が提供される。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
先ず、本発明のワックス組成物の実施形態について説明する。
本発明のワックス組成物は、ワックスを主体とし、高分子化合物を含むワックス組成物であって、メルトフローレート(以下、MFRともいう。)の上昇速度定数の値(k値)が0.27以下であり、0.2以下がより好ましい。MFRの上昇速度定数はワックス組成物の保管や使用に際しての劣化速度(ポリイソプレン分子量の低下)の大きさを示すものであるので低いほど好ましく、理想を言えばゼロであることが最も好ましい。したがって、その観点からその下限は、ゼロである。本発明のワックス組成物は、MFRの上昇速度定数が低く抑えられているので、長期間に亘って性質が安定である。MFRの上昇速度定数とは、JIS K−7210に準拠してメルトフローインデックスの値を100℃の恒温槽中に保存し、経時的に測定したときの測定値の自然対数(eを底とする対数)計算値を、測定時間(日)に対してプロットして得られる回帰直線の傾きをいう。
また、本発明のワックス組成物は、初期MFRが100以下であることが好ましい。ここで、初期MFRとは、ワックス組成物の製造直後においてJIS K−7210に準拠して125℃、1.2kgの条件下測定されるメルトフローインデックスの値をいう。初期MFRは、低いほど好ましく、押出成形、塗工、熱成形等の後工程での取扱いを考慮すると、MFRが低すぎる場合には加工しにくくなるため、その下限は、0.1である。
本発明のワックス組成物は、上述のようにワックスを主体とするものであり、該ワックスが含有される全成分の中で体積分率で最も多くを占める場合に高い効果を得ることができる。該ワックスの組成比が好ましくは40質量%以上の場合に高い効果を得ることができ、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上でより高い効果を得ることができる。特に、混合成分が比重の高い無機粉体などの場合には、ワックスの体積分率が好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上でより高い効果を得ることができる。
前記ワックスには、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、合成ワックス等を用いることができる(例えば、府瀬川健蔵、「ワックスの性質と応用」、幸書房、1993年、改訂2版第1刷、2頁目、表1.0.1に記載されたワックスが使用可能である。)。
該植物系ワックスとしては、ライスワックス、カルナバワックス、木ろう、キャンデリラワックス等が、該動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ろう等が、該石油系ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が、該合成ワックスとしては、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が、該鉱物ワックスとしては、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。これらのワックスはいずれも好ましく使用することができるが、十分な冷却能力を持つ混合機を使用できない場合には、混合時の剪断発熱による温度上昇でワックス中の低融点成分が融解してワックスの粘度が低下し、混合成分に十分な剪断力が加わらなくなるおそれがあるので、低融点成分が少ないワックスを用いることが好ましい。同様の理由で、非晶成分が少ないワックスを用いることが好ましい。ただし、ワックス組成物の用途によっては、生活温度範囲である程度の粘着性を必要とする場合があるので、混合に大きな影響を与えない範囲で、適度な量の低融点成分や非晶成分を含有することが好ましい場合もある。かかる観点から、JISK2235−5.3.2に記載の方法で測定された融点が40℃以上であるものが好ましく、60℃以上であるものがより好ましい。
本発明のワックス組成物に含まれる前記高分子化合物は、ワックス組成物の固体状態若しくは溶融状態の物性改質や機能付加等を目的として用いられる。例えば、固体状態の力学強度(破断強度、衝撃強度、曲げ強度、柔軟性付与等)、他の材料への接着性向上や、溶融状態での溶融粘度向上等である。
前記高分子化合物は、前記ワックスの質量に対して5〜35質量%、特に15〜30質量%含まれていることが好ましい。該高分子化合物が斯かる範囲で含まれていると、前記ワックス組成物の物性改質や機能付加等を効果的行うことができる。
前記高分子化合物としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の結晶性高分子、未架橋のゴムやポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリ(メタ)アクリル系の共重合体等の非晶性高分子若しくは低結晶性高分子等が挙げられる。ただし、混合する高分子を微細に分散するためには、結晶性高分子の場合にはワックスの融解終了温度未満である所望の混合温度において溶融するものが好ましく、非晶性高分子化合物の場合にはワックスの融解終了温度未満である所望の混合温度以下にガラス転移温度を有するものが好ましい。
具体的には、前記結晶性高分子としては、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンテレフタレートアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート等の融点の低い高分子が挙げられる。また、前記非晶性高分子としては、イソプレンゴム、天然ゴム、ポリd,l−乳酸等が挙げられる。イソプレンゴム、天然ゴムは、未架橋のものが後工程での加工性を確保する点で好ましい。これらの結晶性高分子及び非結晶性高分子は、単独で若しくは複数種を選択して用いることができる。
前記ワックス組成物に生分解性が要求される場合には、物性改質に高い効果を有する生分解性の高分子化合物として、上記の中でも特に天然ゴム又は合成イソプレンゴムが好ましく用いられる。臭いや色、含まれるタンパクによるアレルギーなどの点を考慮すると、天然ゴムよりも合成イソプレンゴムが好ましい。前記ワックスと、天然ゴム又は合成イソプレンゴムとの混合において、本発明の製造方法は非常に高い効果を発現し、従来得られなかった物性改質効果を有する組成物を、溶剤等を用いることなしに得ることができる。前記ワックスと天然ゴム又は合成イソプレンゴムとを後述する本発明の製造方法により混合することで、天然ゴム又は合成イソプレンゴムを前記ワックス中に極めて均一に混合させることが可能となり、ワックス組成物の溶融粘度を非常に高くしたり、ワックス融点以下でのワックス組成物の脆さを大きく改善するなどの効果が得られる。
前記高分子化合物は、単独で使用することもでき、二種以上を併用することもできる。
前記有機粉体としては、コーンスターチ、デンプン、各種高分子粉体などの有機粉体が挙げられる。また、前記無機粉体としては、酸化チタン、タルク、雲母、スメクタイト、シリカ等の無機粉体が挙げられる。
本発明のワックス組成物は、上述のように溶剤を使用せずに混合できるので、残留溶剤を実質的に含まないものとすることができる。従って、残留溶剤の量は、検出可能な3ppm以下の濃度である。そのため、本発明のワックス組成物を用いた中間品や製品の製造工程においても、労働環境を汚染することがなく極めて安全性が高い。また、本発明のワックス組成物は、食品その他の包装材料をはじめとする多くの分野において安全に利用することができる。
本発明のワックス組成物には、その効果や製造工程に影響を与えない範囲で、酸化防止剤、着色剤、分散助剤、その他必要に応じて適宜添加剤等を含ませることができる。特に、本発明のワックス組成物を後述する本発明のワックス組成物の製造方法によって製造する場合には、その製造工程において後述の酸化防止剤を含めるので、該酸化防止剤が含まれる場合がある。
また、前記ワックス組成物に生分解性が要求される場合には、該組成物の構成成分として生分解度(JIS K6950に定められた)が50%以上のものを用いることが好ましく、60%以上のものを用いることがより好ましい。
本発明のワックス組成物は、前述のようにMFRの上昇速度定数kが0.27以下であり、長期に亘る溶融粘度の低下が低く抑えられたものである。
次に、本発明のワックス組成物の製造方法の実施形態を、上記本発明のワックス組成物の製造方法に適用した実施形態に基づいて説明する。
本発明のワックス組成物の製造方法は、前記ワックス及び前記高分子化合物を含み且つ該ワックス及び該高分子化合物の合計質量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上の酸化防止剤を含む原料組成物を、低酸素濃度下で前記ワックスの融解完了温度未満において混合する。酸化防止剤の添加量は多いほど好ましいが、コスト、有効性等の点から、その上限は5質量%であることが好ましく、特に生分解性を考慮した場合には1質量%であることが好ましい。
前記酸化防止剤は、ワックス組成物の構成成分である前記高分子化合物の分子量の低下を抑えるものであれば特に制限はない。該酸化防止剤としては、例えば、L−アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、亜硫酸アルカリ金属塩類、亜硫酸アルカリ土類金属塩類、カテキン、トコフェロール、フェノール、レゾルシン、アミノフェノール、キシレノール、フェノール系老化防止剤、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、アミン・ケトン系老化防止剤、硫黄系2次老化防止剤等が挙げられる。これらの中でも、上昇速度定数の値(k値)及び初期MFRをより低く抑えることが可能な点から、フェノール系の酸化防止剤が好ましい。フェノール系の酸化防止剤としては、ゴム用として一般的に使用されている2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのモノフェノール系、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのポリフェノール系、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどのハイドロキノン系等が挙げられる。酸化防止剤は、単独で使用することもできるし、二種以上を併用して使用することもできる。
本発明では、上述の原料組成物を低酸素濃度下で混合する。ここで、低酸素濃度下とは、非酸化性ガス(窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等)で空気の一部若しくは全部を置換した雰囲気下又は減圧下をいう。低酸素濃度下で酸化防止剤をワックス組成物に混合を行うための手段としては、非酸化性ガスで空気の一部又は全部を置換する方法や、減圧する方法等が挙げられる。低酸素濃度下での混合とは、酸化劣化の原因となる酸素のワックス組成物への供給を制限した状態で混合することを意味する。したがって本発明の効果は、混合装置の混合容器内のワックス組成物と酸素の量の割合、及び外部からの酸素の進入量で決まる。一般的な混合装置の場合、混合容器内に残存する酸素の好ましい濃度は5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、さらには1%以下であることが好ましい。ただし、混合容器内のヘッドスペース(容器内の原材料が満たされない空間)がワックス組成物の量に比べて十分に小さい場合には、混合容器内に残存しているガスが空気そのものであったとしても、容器内に残存している酸素の絶対量が少ないために、酸素はすぐに消費されてしまい、それ以降の混合を低酸素濃度下で行うことができる。したがって、ヘッドスペースを小さくする、非酸化性ガスで一部を置換する、減圧するといた複数の手段を組み合わせることも可能である。前記非酸化性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。また、減圧下で混合を行う場合は、50kPa以下が好ましく、10kPa以下がより好ましい。減圧下で混合を行う場合には、混合に伴って生じる気泡の混入を抑える効果も得られる。減圧下での混合はより低圧であることが好ましいが、設備コスト、生産性、効果を考慮するとその下限は0.1kPaである。
本発明のワックス組成物の製造方法は、前記各成分を前記配合で混合する前に、予め前記ワックスと前記酸化防止剤とを混合して混合組成物を調製することが酸化防止剤を均一に混合する点で好ましい。そして、該混合組成物と前記ワックス組成物とを前記配合で混合する。
本発明のワックス組成物の製造方法は、前記各成分を前記配合で前記ワックスの融解完了温度未満の温度、好ましくはDSC測定により得た融解曲線から求めた溶融ピーク温度以下の温度で各種の混合機の機械力によって混合してワックス組成物を得る。溶融ピークが複数ある場合は、融解熱量の最も大きなピークのピーク温度以下で混合することが好ましい。該ワックスの融点以上の温度で該ワックスと各成分とを混合すると、ワックスの融解によりワックスの粘度が急激に低下するため、混合成分に十分な剪断力が加わらないために、混合が不十分となり均一な組成物を得ることが困難となる。ワックスの融解完了温度未満の温度で混合することで、未溶融状態のワックスの結晶が残っているため、ワックスを見かけ上高粘度の流動体として扱うことができるので、一般的に行われているプラスチック材料のコンパウンドと同様の方法により、原料組成物の混合を行うことができる。
また、より好ましい混合温度の選定方法として以下の方法がある。DSC測定により得た融解曲線から、図1に示すように、融解ワックス成分の全吸熱量をΔHとした場合に、低温側からの吸熱量(融解開始温度から混合温度Tmixまでの吸熱量)の積算値ΔH’が好ましくはΔHの70%以下となる温度範囲、より好ましくは50%以下となる温度範囲、さらに好ましくは30%以下となる温度範囲で、良好な混合が可能となる。ワックスの融解開始温度よりも低い温度で混合を行うことに支障は無いが、結晶性の高い硬いワックスなどにおいて、混合温度で粘りを有することが好ましい場合には、下限温度として、前記積算値ΔH’が好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上となるよう選択する。
最適な混合温度は、各混合成分の物性に合わせて、上記の混合温度の中から適宜選択することができる。例えば、高分子化合物として非晶性高分子を混合する場合は、非晶性高分子のガラス転移温度以上で混合することが好ましい。高分子化合物として結晶性高分子を混合する場合は、結晶性高分子の融点以上の温度であることが好ましい。前記無機又は前記有機粉体を混合する場合は、粉体の均一分散を行いやすいよう、ワックスの融解完了温度よりも十分に低い温度(例えば、ワックスの融解開始温度よりも低い温度)で混合することが好ましい。ただし、ワックスのガラス転移温度よりも低い温度での混合は、ワックスが硬過ぎて、分散状態が悪化したり、混合装置に過度の負荷がかかるなどの悪影響がでる場合があるので、ワックスのガラス転移温度以上で混合することが好ましい。また、ワックスや他の混合成分の温度依存性を良く考慮し、上記の好ましい範囲の中でも、両者の物性が混合に最適な状態になるように混合温度を調整することが好ましい。
本発明におけるワックスの融解完了温度、融解ピーク温度、ΔHとΔH’の比は、例えば、以下の方法で求めることができる。
測定機:セイコー電子工業(株)の型式DSC220
試料容器:品番PN/50−020(アルミ製オープン型試料容器、容量15μl)及び品番PN/50−021(アルミ製オープン型試料容器クリンプ用カバー)
試料重量:約10mg
昇温速度、降温速度:5℃/分
測定温度範囲:用いるワックスに応じて、最適な範囲を選択する。融解完了温度及び融解ピーク温度は、一度融解させた後に5℃/分の速度で結晶化させた後、再度5℃/分の速度で昇温させたときのデータを使用して求める。
具体例を挙げると、[第1昇温過程]30℃から130℃まで、[降温過程]130℃(5分間保持)から−30℃まで、[第2昇温過程]30℃から130℃までと連続して測定を行い、第2昇温過程のデータを使用する。
融解完了温度:図2に示すように、融解ピークの高温側のベースラインの接線と、ピークの高温側傾斜ラインの1/5ピーク高さに位置する点の接線とが交差する点の温度を融解完了温度とする。複数のピークが存在する場合は、最も高温側に位置するピークを選択して、融解完了温度を求める。
主ピーク温度:融解曲線のピークの温度を上記データから求める。複数のピークを持つ場合は、融解熱量の最も大きなピークを選択し、それを融解ピーク温度とする。
前記各成分の混合は、ワックスの結晶が残っている状態での混合になるため、粘度の高い材料の混合に用いられる混合装置を用いることが好ましく、また均一な混合状態を得るためにはワックス融解完了温度未満の最適な温度に制御する必要があるので、混合容器が低温に制御できる仕様となっていることが好ましく、さらにはローターやスクリューなどの可動部も冷却できる仕様が好ましい。かかる観点から、加圧ニーダー、オープンニーダー、ロール混合機を用いて混合することが好ましい。
本発明の製造方法を用いると、前記有機粉体や前記無機粉体もワックス中に均一に分散させることができる。特に、疎水性の高いワックス中に、親水性の比較的高い粉体を分散させる場合、ワックスの融点以上では粉体が凝集してしまい、細かな分散が不可能であったが、本発明の製造方法を用いることで高い分散性を得ることが可能となった。
上記の方法で得た組成物は、混合の工程中に気泡を含むことがあるので、その気泡を抜くための脱泡を行うこともある。脱泡には一般的な方法を用いることができる。例えば、減圧下にある恒温槽中でワックスの融解温度以上に保持する方法、減圧手段を持つニーダーなどの混合装置を用いて減圧下でワックスの融解温度以上で混合する方法などが用いられる。
また、前記高分子化合物として天然ゴムやイソプレンゴムなどを用いる場合は、各成分の分散状態をより均一にするために、得られた前記組成物を前記ワックスの融解温度以上に加熱することが好ましい。
本発明の製造方法によれば、前記本発明のワックス組成物を短時間で収率よく製造することができ、前記各成文を均一に分散させることができる。特に、ワックスと天然ゴム若しくはイソプレンゴムとの混合を行った場合には、ワックスが未溶融の状態であっても極めて均一な分散が可能となる。
本発明のワックス組成物は、ワックスを主体とする防湿性組成物や接着用組成物として特に好ましく用いられる。また、本発明のワックス組成物は、有機溶剤などを一切用いずに製造できるため、食品その他の包装材料をはじめとして様々な分野において極めて安全に適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は本実施例に何等制限されるものではない。
表1に示す混合成分を使用し、表2に示す配合及び雰囲気で、下記実施例1〜3及び比較例1のようにしてワックス組成物を作製した。そして、得られたワックス組成物について、下記のようにMFRを測定するとともに、その測定結果から前記MRFの上昇速度定数を求めてワックス組成物の長期安定性を評価した。それらの結果を表3に示す。
Figure 2008127500
Figure 2008127500
〔実施例1〕
(株)モリヤマ製の加圧ニーダー(DS0.3−3型)を用い、加圧ニーダーの混練容器に上記記載のマイクロクリスタリンワックス(以下単に「ワックス」ともいう;日本精蝋(株)製、Hi−Mic−1070)とポリイソプレン(日本ゼオン(株)製、Nipol−IR2200N)及び酸化防止剤A(IRGANOX1010)を投入し、以下の製造工程(1)〜(10)からなる製造方法に従って、ポリイソプレンにワックスを分割投入し混練して、ワックス含有組成物を得た。
各成分の最終仕込み量は、ワックスが189g、ポリイソプレンが81g、酸化防止剤が1.62gであった。
混練は、回転数30rpmで合計8.5分間の加圧混練とし、全工程にわたって、ジャケット温調により、混練中のワックス含有組成物の温度を25℃に制御して行なった。
(製造工程)
(1) 加圧ニーダーの混練容器にポリイソプレン81gを入れ、0.5分間加圧混練した。
(2) ワックス11.8gと酸化防止剤A1.62gを同時に投入し、1分間加圧混練した。
(3) ワックス11.8gを投入し、1分間加圧混練した。
(4) ワックス23.8gを投入し、1分間加圧混練した。
(5) ワックス47.5gを投入し、1分間加圧混練した。
(6) 上記(5)をさらに1回行なった。
(7) ワックス46.6gを投入し、1分間加圧混練した。
(8) 天地返しを行った後さらに2分間加圧混練した。
〔実施例2〕
混合中の雰囲気を窒素100%雰囲気に代えた以外は、実施例1と同様にして、ワックス組成物を製造した。
〔実施例3〕
混合中の雰囲気を窒素100%雰囲気に代え、酸化防止剤をB(SumilizserGS(F))に代えた以外は、実施例1と同様にして、ワックス組成物を製造した。
〔比較例1〕
酸化防止剤を含ませなかった以外は、実施例1と同様にして、ワックス組成物を製造した。
〔MFRの測定、MFR上昇速度定数の算出〕
得られたワックス組成物について、製造直後(0日)、3、7、10日間100℃で恒温槽で保存し、JIS K−7210に準拠してMFRを測定した。そして、得られた測定値の自然対数値と測定日とをプロットして得られた傾きを求めてMFR上昇速度定数とした。
Figure 2008127500
表3に示したように、酸化防止剤を添加することにより空気中の混練雰囲気下でもk値は若しくは初期MFRの少なくとも一方を低く抑えることができ、さらに窒素中で混練を行うことによりk値及び初期MFRの両方を同時に低く抑えることができる。
本発明のワックス組成物は、食品その他の包装材料をはじめとして様々な分野に利用することができる。具体的には、紙樹脂フィルムに防湿性を付与するための防湿材、紙に耐水性を付与するためのコーティング剤、フィルムや紙などを貼り合わせるための接着剤、ラベルやシールの接着剤として利用することができる。
DSC測定結果におけるΔH、ΔH’及び混合温度の関係を示す図である。 DSC測定結果から融解完了温度、融解ピーク温度を求める手法の説明図である。

Claims (8)

  1. ワックスを主体とし、高分子化合物を含むワックス組成物の製造方法であって、
    前記ワックス、前記高分子化合物、並びに該ワックス及び該高分子化合物の合計質量に対して0.1質量%以上の酸化防止剤を、非酸化性ガスで空気の一部若しくは全部を置換した雰囲気下又は減圧下で前記ワックスの融解完了温度未満において混合するワックス組成物の製造方法。
  2. 前記酸化防止剤がフェノール系の酸化防止剤である請求項1に記載のワックス組成物の製造方法。
  3. 前記高分子化合物がイソプレンゴム又は天然ゴムである請求項1又は2に記載のワックス組成物の製造方法。
  4. ワックスを主体とし、高分子化合物を含有するワックス組成物であって、
    メルトフローレートの上昇速度定数kが0.27以下であるワックス組成物。
  5. 初期メルトフローレートが100以下である請求項4に記載のワックス組成物。
  6. 酸化防止剤を含有する請求項4又は5に記載のワックス組成物。
  7. 前記酸化防止剤がフェノール系の酸化防止剤である請求項4〜6の何れかに記載のワックス組成物。
  8. 高分子化合物がイソプレンゴム又は天然ゴムである請求項4〜7の何れかに記載のワックス組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110361280A (zh) * 2019-06-11 2019-10-22 河海大学 一种潮沟边壁冲刷速率测量物理实验系统及方法

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