JP2008126496A - インクジェット記録システムおよび記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧室壁面の一部が圧電素子で構成されたインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムにおいて、インクの充填性を改善し、信頼性の高いインクジェット記録システムを提供することにある。
【解決手段】インクジェット記録システムは、圧電素子の表面粗さRaが0.05〜2μmであり、かつ前記インクは界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の濃度がビヒクル中での臨界ミセル濃度の0.01〜1.0倍の範囲内にあり、さらに下記式(1)を満たすことを特徴とするインクジェット記録システム。
Figure 2008126496

[式中、Raは加圧室壁面を構成する圧電素子表面の中心線平均粗さRa(μm)、Cは界面活性剤濃度(質量%)、CMCはビヒクル中の臨界ミセル濃度(質量%)である。]
【選択図】図2

Description

本発明は、優れたインク充填性を有するインクジェット記録システムおよびそれを用いた記録装置に関する。
近年、インクジェット記録技術は目覚しく進歩しており、高精細な極めて写真に近似した画像が得られるようになった。これによってインクジェットの記録は多くの分野で使用されるようになった。それに伴い、高精細画像を得られることに加えて、印画速度の向上が望まれるようになってきた。印画速度を向上させるには、ノズルの数を増やし、さらに1ヘッドの単位時間当たりのインク液滴を多く吐出させる方法がある。この方法では駆動周波数としては15kHz以上が望まれ、1ヘッドの単位時間当たりに使用されるインクを、インクカートリッジから過不足なく供給しなければならない。
しかし、インクジェットヘッドにおいて、そのヘッドに設けられたインク流路の濡れ性が悪いと、インクを充填する際に、インク流路内に気泡を生じさせてしまう危険がある。さらに、この気泡は、流路の壁面に強固に付着していて、インク吸引による排出操作を行っても、容易に排出することができない。インク流路内に気泡が残留すると、具体的には、噴射不能のほか、ドット抜けや印字の乱れ等のトラブルが発生し、印字品質を低下させるといった問題がある。
上記問題を解決するために、従来、樹脂材料を用いたヘッド構成部材の濡れ性を改良するために、酸処理やプラズマ処理で親水性を付与する、あるいは酸処理で親水性を付与した充填材を含有させる手法等が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。また、一方では、圧電素子の靭性強度を高めるために積層型の圧電素子において各層を焼成して形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献1に示されているような、インクと圧電素子が直接接する構成ではこれら親水処理をすることにより、圧電素子が腐食・劣化してしまう。また、特許文献2に示される圧電素子はセラミック等の焼成部材であるため、表面は微細な凹凸構造となっており、インクが充填されにくい。圧力を発生させる圧電素子表面にインクが充填されず気泡が残ると、発生した圧力はインクに十分伝わらず、インク飛翔曲がり、吐出速度の低下、あるいは不吐出といった吐出不良の原因となる。
特許第3454514号公報 特開2004−114308号公報
本発明の課題は、加圧室壁面の一部が圧電素子で構成されたインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムにおいて、インクの充填性を改善し、信頼性の高いインクジェット記録システムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、圧電素子の表面粗さとインク中の界面活性剤濃度が所定の範囲にあり、前記圧電素子の表面粗さとインク中の界面活性剤濃度との関係式が所定の範囲内にあることにより、インクジェット記録ヘッドにインクを充填する速度が改善され、吐出不良ノズルを生じることのない信頼性の高いインクジェット記録システムを実現できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインクジェット記録システムおよびそれを用いた記録装置は、以下の構成を有する。
(1)ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記圧電素子の表面粗さRaが0.05〜2μmであり、かつ前記インクは界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の濃度がビヒクル中での臨界ミセル濃度の0.01〜1.0倍の範囲内にあり、さらに下記式(1)を満たすことを特徴とするインクジェット記録システム。
Figure 2008126496

[式中、Raは加圧室壁面を構成する圧電素子表面の中心線平均粗さRa(μm)、Cは界面活性剤濃度(質量%)、CMCはビヒクル中の臨界ミセル濃度(質量%)である。]
(2)前記インクジェット記録ヘッドは、複数のドット形成部からなり、該ドット形成部は前記加圧室とそれに連通する前記ノズルを有し、前記加圧室は基板と内部に共通電極が形成された前記圧電素子とから構成されており、前記圧電素子に駆動電圧を印加するための個別電極が前記圧電素子の前記加圧室に対向する位置に配設されていることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録システム。
(3)前記インクは、少なくとも、水、着色剤、水溶性有機溶剤および界面活性剤からなることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録システム。
(4)前記着色剤は、顔料からなることを特徴とする前記(3)に記載のインクジェット記録システム。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドはノズルを500個以上有し、前記記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなるインクジェット記録システムを用いたことを特徴とする記録装置。
本発明によれば、圧電素子の中心線平均粗さRaとインク中の界面活性剤濃度が所定の範囲にあり、前記圧電素子の表面粗さとインク中の界面活性剤濃度との関係式が所定の範囲内にあるので、インクジェット記録ヘッドにインクが速やかに充填され、吐出不良ノズルを生じることのない信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
以下に、本発明に係るインクジェット記録システムについて詳細に説明をする。
本発明のインクジェット記録システムは、ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、この圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記圧電素子の表面粗さRaが0.05〜2μmであり、かつ前記インクは界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の濃度がビヒクル中での臨界ミセル濃度の0.01〜1.0倍の範囲内にあり、さらに上記式(1)を満たす。
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドに対するインクの充填性は、インクに直接接し、圧力波を発生させる圧電素子表面の表面粗さと関連のあることがわかった。すなわち、前記圧電素子の表面粗さRaが0.05μmより小さい場合、インクが圧電素子表面の微細な深い構造の中にインクが入り込めず、圧電素子表面に空気が微細な泡となって残るため充填率が低下すると推察される。また中心線平均粗さRaが2μmを超える場合、インクが所望の充填率に達するまでにかかる時間が長くなる。これは表面粗さが大きいと、圧電素子表面の凹凸構造の中にインクが入り込むのに時間がかかるためと考えられる。本発明の範囲内であれば、所望の充填率に到達するまでの時間は短くなる。ここで、充填率は、前記インクジェット記録ヘッドが有する全ノズル数に対して印字のできたノズル数の割合をいう。
また、インクの充填性は、インクにおける界面活性剤の濃度とも関連のあることがわかった。すなわち、前記界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度(CMC)の0.01倍を下回ると、圧電素子表面に対する濡れ性が小さくなり、充填率が下がる。また、前記界面活性剤の濃度がCMCを超えると、ノズルの詰まり等が発生し、実使用上問題となる。これは前記界面活性剤の濃度がCMCを超えると、ミセル自体が大きくなり、またその存在量も多くなるためであると推察される。ここで、臨界ミセル濃度とは、25℃において色材を除いたビヒクルに対して、界面活性剤を添加していった際に曇点の生じる時点での界面活性剤の濃度である。
また、インクの充填性は、前記圧電素子の表面粗さRaと前記界面活性剤の濃度とが上記式(1)を満たすことにより、充填率が迅速に高くなる。上記式(1)の範囲外であると、充填率を高めるのに時間を要する。これは、Raがインクの濡れる面積に関連し、界面活性剤の濃度が圧電素子表面に対するインクの濡れ性に関連するので、上記式(1)は圧電素子表面をインクが充填することに関する実験式といえる。
(インク)
本発明におけるインクは、少なくとも、水、着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤からなり、その他に必要に応じてpH調整剤、防腐防カビ剤等を添加することができる。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料等の染料および顔料のいずれも用いることができる。本発明においては、光学濃度が高く、耐水性および耐光性等の点から好ましくは顔料を用いるのがよい。
顔料の成分としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン、ジオキサジンバイオレット、ベリノン・ベタリンのような有機顔料、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料といった着色剤顔料成分や、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、シリカ、カオリン、水酸化アルミニウムのような体質顔料等が挙げられる。
具体的な有機顔料としては、以下に例示する。マゼンタの顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
顔料の全液媒体に対する含有量としては、1〜10wt(質量)%が好ましく、さらに好ましくは、3〜7wt%である。
また顔料をインク溶媒中に分散させるために水溶性樹脂を使用し、好ましくはスチレン−アクリル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
水溶性樹脂の全液媒体に対する含有量としては、0.1〜10wt%が好ましく、さらに好ましくは、1〜5wt%である。これらの水溶性樹脂は、二種類以上併用することも可能である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アジテータ、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
本発明の顔料分散体は、分散時での異物やゴミ、粗大粒子等を除去するために遠心分離装置を使用したり、フィルターをして濾過することも好ましく行われる。
本発明における顔料粒子の平均粒径は、30〜300nmが好ましく、さらに好ましくは50〜150nmである。前記平均粒径は、例えば動的光散乱式粒径分布測定装置(HORIBA社製、LB−550)を用いて計測することができる。
本発明においてインクに使用される界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
本発明における水溶性有機溶剤は、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、へキシレングリコール、オクタンジオール、チオジグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールトリメチロールプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等が挙げられる。
(インクジェット記録ヘッド)
本発明のインクジェット記録ヘッドの一例において、図1に積層圧電素子8と個別電極9とを含む圧電アクチュエータを取り付ける前の状態を示す。
図の例におけるインクジェット記録ヘッドは、1枚の基板1上に、加圧室2とそれに連通するノズル3とを含むドット形成部を複数個、配列したものである。
また図2(a)は、上記例のインクジェット記録ヘッドにおいて、圧電アクチュエータを取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す断面図、図2(b)は1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。図3は図2(a)のノズル3付近の拡大図である。
ドット形成部のノズル3は、図1に白矢印で示す主走査方向(記録媒体の搬送方向)に複数列並んでいる。図の例では4列に並んでおり、同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiであって、インクジェット記録ヘッドの全体として600dpiを実現している。
各ドット形成部は、基板1の、図2(a)において上面側に形成した、矩形部の幅方向の中央部に中心を有し、径が幅長さと等しく、かつ水平断面形状が半円形である端部を前記矩形部の長手方向の両端に備えた、平板形状を有する加圧室2と、上記基板1の下面側の、加圧室2の一端側の端部の半円と中心が同じで円錐台形のノズル3とを、前記端部の半円と中心が同じで同径の円柱形のノズル流路4を介して連通させると共に、上記加圧室2の他端側の端部の半円と中心が同じである円柱形の供給口5を介して、加圧室2を、基板1内に、各ドット形成部と連通させるように形成した共通流路6(図1に破線で示す)に繋ぐ構成となっている。
上記各部は、図の例では、加圧室2を形成した第1基板1aと、ノズル流路4の上部4aと供給口5とを形成した第2基板1bと、ノズル流路4の下部4bと共通流路6とを形成した第3基板1cと、ノズルプレートとしての、ノズル3を形成した第4基板1dとを、この順に積層し、一体化することで形成してある。
またノズル3は、図3に示すように、インク滴吐出側の先端の開口30を、基板1の下面側である第4基板1dの下側の表面1eに円形に形成してある。それと共にノズル3は、この先端側の開口30が、加圧室2側の開口31よりも小さくなるように、テーパー状(円錐状)に形成してある。
第1基板1aと第2基板1bには、図1に示すように、第3基板1cに形成した共通流路6を、基板1の上面側で、インクカートリッジ(図示しない)からの配管と接続するためのジョイント部11を構成するための通孔11aを形成してある。さらに各基板1a〜1dは、例えば樹脂や金属などからなり、フォトリソグラフ法を利用したエッチングなどによって上記各部となる通孔を設けた、所定の厚みを有する板状体にて形成してある。
基板1の上面側には、該基板1とほぼ同じ大きさであり、共通電極7をその内部に有する、平面形状かつ横振動モードの薄板状の積層圧電素子8と、各ドット形成部の加圧室2の中央部と重なる位置に個別に設けた、略矩形状の同じ平面形状を有する個別電極9とを、この順に積層することで圧電アクチュエータACを構成してある。
共通電極7、個別電極9は、共に金、銀、白金、銅、アルミニウムなどの導電性に優れた金属の箔や、これらの金属からなるめっき被膜、真空蒸着被膜などで形成してある。
圧電素子8を形成する圧電材料としては、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、当該PZTにランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの酸化物の1種または2種以上を添加したもの、例えばPLZTなどの、PZT系の圧電材料を挙げることができる。また、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウムなどを主要成分とするものを挙げることもできる。
圧電素子8は、例えば上記の圧電材料を焼結して形成した焼結体を薄板状に研磨した所定の平面形状を有するチップを、所定の位置に接着、固定したり、いわゆるゾル−ゲル法(またはMOD法)によって、圧電材料のもとになる有機金属化合物から形成したペーストを所定の平面形状に印刷し、乾燥、仮焼成、焼成の工程を経て形成したり、あるいは反応性スパッタリング法、反応性真空蒸着法、反応性イオンプレーティング法などの気相成長法によって、圧電材料の薄膜を所定の平面形状に形成したりすることによって、形成することができる。
圧電素子8の表面粗さは、焼成条件での粒子成長促進や、機械研磨、エッチング等を用いて表面加工をすることにより所望の表面粗さを得ることができる。前記圧電素子8の表面粗さは、例えば光干渉型表面粗さ測定装置(Veeco社製Wyko NT1100)を用いて測定を行い、平均表面粗さRaとして評価できる。
圧電素子8を、例えば横振動モードとして駆動するためには、圧電材料の分極方向を、前記圧電素子8の厚み方向、より詳しくは個別電極9から共通電極7に向かう方向に配向させる。そのためには、例えば高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法などの従来公知の分極法を採用することができる。また、分極後の圧電素子8をエージング処理してもよい。
圧電材料の分極方向を上記の方向に配向させた圧電素子8は、共通電極7を接地した状態で、個別電極9から正の駆動電圧を印加することによって、分極方向と直交する面内で収縮する。このため、撓みが発生する際の力が加圧室2内のインクに圧力波として伝えられ、この圧力波によって、供給口5、加圧室2、ノズル流路4、およびノズル3内のインクが振動を起こす。そして振動の速度が、結果的にノズル3の外に向かうことによって、ノズル3内のインクメニスカスが、インク滴吐出側の先端の開口30から外部へと押し出されて、インク柱が形成される。振動の速度は、やがてノズル内方向に向かうが、インク柱はそのまま外方向に運動を続けるため、インクメニスカスから切り離されて1〜2滴程度のインク滴にまとまり、それが紙面の方向に飛翔して、紙面にドットを形成する。
インク滴が飛翔して減少した分のインクは、ノズル3内のインクメニスカスの表面張力によって、インクカートリッジから、当該インクカートリッジの配管、ジョイント部11、共通流路6、供給口5、加圧室2、およびノズル流路4を介してノズル3に再充填される。
基板1の下面側である第4基板1dの下側の表面1eには、前記のように、所定の平面形状を有する撥水処理されない領域A1を、ノズル3のインク滴吐出側の先端の、円形の開口30と重ねて設けてある。すなわち、この領域A1を除くそれ以外の表面1eに撥水層12を積層して撥水処理すると共に、領域A1内は撥水層12を形成せずに、第4基板1dの表面を露出させて、撥水処理されていない状態としてある。
撥水層12の厚みは、特に限定されないが、0.5〜2μmであるのが好ましい。撥水層12の厚みがこの範囲未満では、撥水性が低下して、インクの付着によるインク滴の吐出不良を生じるおそれがある。また、膜厚が2μmを超える撥水層12は膜形成が容易でない上、形成できたとしても、それ以上の効果が得られないおそれがある。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、ドット形成の直前に加圧室2の容量を拡大させる方向に圧電素子8を変形させることで、ノズル内のインクメニスカスを引き込み、その後、加圧室2の容量を縮小させる方向に圧電素子8を変形させることで、インク滴をインクメニスカスから分離させて吐出させる引き打ち式、およびドット形成時に、加圧室2の容量を縮小させる方向に圧電素子8を変形させることで、ノズル3内のインクメニスカスを押し出し、次いで、加圧室2の容量を拡大させる方向に圧電素子を変形させることで、インクメニスカスを引き込んで、インク滴をインクメニスカスから分離させて吐出させる押し打ち式のいずれの駆動方法によって駆動しても良い。
本発明の記録装置は、高速プリントを達成するため、前記記録ヘッドがノズル数を500個以上、好ましくは1000〜3000個有し、またその駆動周波数が15kHz以上であり、かつ前記記録ヘッドが記録媒体の搬送方向に対して垂直でかつ水平方向に2個以上、好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個繋げてなるのがよい。また記録媒体の幅以上に複数個繋げることによって、ラインヘッドとしても使用することができる。
インクジェット記録ヘッドへのインクの初期充填においては、図1に示すように、インクは、インクカートリッジ(図示しない)からの配管とこの配管を接続するためのジョイント部11との間に、ポンプ(図示しない)を配置しジョイント部11を介して、前記記録ヘッドに供給が行われる。ポンプは、チューブポンプやギヤポンプ、電磁ポンプなど目的に合わせて使用することができる。
カラープリントをする場合には、インクは記録ヘッドと組み合わせて、多色セットを形成し、通常はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を含むインクセットを形成し、これらをセットとして、本発明のインク及び記録ヘッドを組み合わせた記録装置とすることが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明のインクジェット記録システムおよび記録装置をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(ビヒクルの作製)
本発明にかかるビヒクルは下記処方にて作製した。
グリセリン 10部
2−ピロドリン 5部
水 残部
得られたビヒクルに対して、界面活性剤として下記式に示す2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物を添加していき、曇点を求めたところ1.50質量%になった時点で曇点を示した。すなわち、前記ビヒクルの臨界ミセル濃度は1.50質量%であった。
Figure 2008126496
(インクの作製)
本発明にかかるインクは、インクNo.A〜Eについて表1に示す処方にて作製した。作製方法は次の通りである。表1に示す各材料を総量が200gに成るようにビーカーに入れ、スターラーにて800rpmで30分攪拌後、10μmメンブランフィルターで濾過した。なお、界面活性剤として2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物を使用した。
Figure 2008126496
(インクジェット記録ヘッドの作製)
図1および図2(a)、(b)に示す構造を有し、その各寸法は、加圧室2の面積が0.2mm2、幅が2200μm、深さが100μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が30μm、長さが40μm、ノズル3の長さが30μm、インク吐出側の開口30および加圧室2側の開口31の形状がそれぞれ半径10μmおよび20μmの円形であると共に、この各部位から構成されるドット形成部が1列あたり166個、全体(4列)で664個のドット形成部が基板1上に配列されたインクジェット記録ヘッドを用いた。
同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiとし、また隣り合う各列を1/2ピッチずつずらすことで、全体として600dpiとした。
用いた圧電素子の表面粗さ、インク、ビヒクル中の臨界ミセル濃度に対する界面活性剤濃度(C/CMC)は、表2に示す通りであった。
(評価方法)
前記で得られたインクおよびインジェット記録ヘッド、そしてこれらを搭載した記録装置を用いて、インク液滴を連続的に吐出させ、吐出状態を調べた。評価は、以下のようにして行った。すなわち、表1に示すインクNo.A〜Eのいずれかを表2に示す表面粗さRaのいずれかの圧電素子が組み込まれたインクジェット記録ヘッドに、インクタンクからギヤポンプを使用し圧力200kPaで加圧充填し、25℃、50%RHの環境下で、駆動電圧20V、駆動周波数20kHzで連続で2×108発吐出した後、チェックパターンを印画し、不吐出ノズルを測定して評価した。
評価基準は、不吐出ノズルの全ノズルに対する割合が8%以下であるものを良好であるとした。
Figure 2008126496
なお、本実施例における圧電素子表面の中心線平均粗さRaは、光干渉型表面粗さ測定装置(Veeco社製Wyko NT1100)を用いて測定した。
(評価結果)
表2に示すように、臨界ミセル濃度に対する界面活性剤の濃度比(C/CMC)が本発明の範囲外である場合、不吐出ノズルの割合は11〜12%と高い(比較例1,2)。また表面粗さが本発明の範囲外にある場合、不吐出ノズルの割合は12〜15%と高い(比較例3〜6)。表面粗さ、及び臨界ミセル濃度に対する界面活性剤の濃度比が本発明の範囲内であっても上記式(1)の値が本発明の範囲外である場合、不吐出ノズルの割合は9%とやや高い(比較例7)。
これに対して、表面粗さ、臨界ミセル濃度に対する界面活性剤の濃度比(C/CMC)および上記式(1)が本発明の範囲内にある場合、不吐出ノズルの割合は2〜8%と良好な結果を示した(実施例1〜4)。
本発明に係る圧電インクジェット記録ヘッドの実施の形態を示す平面図である。 (a)は本発明に係る圧電インクジェット記録ヘッドの一部拡大縦断面図、(b)は(a)の底面図ある。 図2(a)のノズル部分の拡大図である。
符号の説明
1 基板
2 加圧室
3 ノズル
4 インク流路
5 供給口
6 共通流路
7 共通電極
8 圧電素子
9 個別電極
11 ジョイント部
12 撥水層
30 開口
A1 領域
AC 圧電アクチュエータ

Claims (5)

  1. ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記圧電素子の中心線平均粗さRaが0.05〜2μmであり、かつ前記インクは界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の濃度がビヒクル中での臨界ミセル濃度の0.01〜1.0倍の範囲内にあり、さらに下記式(1)を満たすことを特徴とするインクジェット記録システム。
    Figure 2008126496

    [式中、Raは加圧室壁面を構成する圧電素子表面の中心線平均粗さRa(μm)、Cは界面活性剤濃度(質量%)、CMCはビヒクル中の臨界ミセル濃度(質量%)である。]
  2. 前記インクジェット記録ヘッドは、複数のドット形成部からなり、該ドット形成部は前記加圧室とそれに連通する前記ノズルを有し、前記加圧室は基板と内部に共通電極が形成された前記圧電素子とから構成されており、前記圧電素子に駆動電圧を印加するための個別電極が前記圧電素子の前記加圧室に対向する位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録システム。
  3. 前記インクは、少なくとも、水、着色剤、水溶性有機溶剤および界面活性剤からなることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録システム。
  4. 前記着色剤は、顔料からなることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録システム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドはノズルを500個以上有し、前記記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなるインクジェット記録システムを用いたことを特徴とする記録装置。
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