JP2008125354A - ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法 - Google Patents

ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008125354A
JP2008125354A JP2008039989A JP2008039989A JP2008125354A JP 2008125354 A JP2008125354 A JP 2008125354A JP 2008039989 A JP2008039989 A JP 2008039989A JP 2008039989 A JP2008039989 A JP 2008039989A JP 2008125354 A JP2008125354 A JP 2008125354A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arm
slot
winding
specific
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008039989A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Iga
清 伊賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008039989A priority Critical patent/JP2008125354A/ja
Publication of JP2008125354A publication Critical patent/JP2008125354A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)
  • Windings For Motors And Generators (AREA)

Abstract

【課題】 内歯形状のステータ鉄心に巻線を巻き付けてコイルを形成するステータ鉄心の巻線装置、その使用方法、合理的なステータの製造方法を提供する。
【解決手段】 ステータ鉄心の巻線装置100は、巻線を吐出する巻線吐出装置200と、これを移動させる移動機構300と、第1スロット51あるいは第2スロット52内に挿入された部位より外側に位置する巻線6に掛合してこの巻線6をたぐる第1〜第4アーム501〜504と、これらを進退させる第1〜第4アーム進退機構510〜540と、第1〜第4アームをセット位置611〜641と退避位置612〜642の間で往復移動させる第1〜第4アーム退避機構610〜640と、を備える。
【選択図】 図34

Description

本発明は、内歯形状のステータ鉄心の内歯に巻線を巻き付けてなるステータの製造方法、内歯形状のステータ鉄心に巻線を巻き付けてコイルを形成するステータ鉄心の巻線装置、および、その使用方法に関する。
電動のモータに用いるステータの形式として、内歯形状のステータ鉄心を用意し、内歯にステータ鉄心の径方向内側から巻線を巻き付けてコイルを形成したものがある。しかし、外歯形式のステータ鉄心に巻線を巻くのに比して、この内歯形式のステータ鉄心に巻線を巻くのは困難である。そこで、例えば、特許文献1には、回転電機の自動巻装装置が提案されている。即ち、固定子鉄心(ステータ鉄心)の鉄心溝(スロット)がスキュー角度を有する固定子鉄心について巻線を巻くのに、鉄心溝に沿ってワイヤノズルをスピンドルによって進退させると共に、固定子鉄心を揺動させることによって、ワイヤノズルと固定子鉄心との位置を相対的に変化させ、鉄心溝内に巻線を巻き付ける装置が示されている。
一方、特許文献2には、ヘッドを外周の対向する部分から突出した2つのノズルを有する形態とすることにより、それぞれの導線を2つのノズルから繰り出すようにして、各ノズルによってステータコアの対向する部分の極のコイルを同時に形成することができるものが記載されている。
特開昭61−173650号公報(第1〜2頁、第1図) 特開平2−214447号公報(第4頁、第6図)
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、1本の巻線を固定子鉄心に巻き付けるものであり、多数のペア素線を並行して固定子鉄心に巻き付ける場合について開示がない。
また、内歯形状のステータ鉄心では、リング状のステータ鉄心の径方向内側から内歯に巻線を巻き付けるので、巻き付けに当たり使用できるスペースが制限される。このため、多数のペア素線を並行してステータ鉄心の内歯に巻き付けたい場合や、三相モータ用など多相モータのステータを形成するに当たり、複数相の巻線を同時に巻き付けたい場合には、スペースの制限を受け易く、巻付けが困難となる場合がある。
これに対し、特許文献2に記載の装置では、2つのコイルを同時に形成することができるが、2つのノズルをヘッドの揺動によって同相で移動させているため、同時に出来上がる2つのコイルは同じ巻き方(正巻きあるいは逆巻き)となる。このため、ステータ鉄心にダブルスター形結線のコイルを形成する場合には、用いることができない。
また、小型高効率のモータとするため、スロット内に高密度で素線を挿入する必要があり、スロット内に挿入された素線の保持やステータ鉄心の内周側への素線のはみ出し防止、コイルエンド部の形状の考慮などが必要となるが、これらの特許文献1,2には、言及が無く、スロット内に高密度に素線を挿入してステータを製造することが困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、合理的に内歯形状のステータ鉄心に巻線を巻き付けてコイルを形成するステータ鉄心の巻線装置、その使用方法、合理的なステータの製造方法を提供することを目的とする。
そこで、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のU相,V相,W相の三相分布巻き用ステータ鉄心と、それぞれ1本または複数本の素線からなる2組のU相巻線と、それぞれ1本または複数本の素線からなる2組のV相巻線と、それぞれ1本または複数本の素線からなる2組のW相巻線と、を備え、上記2組のU相巻線は、いずれも上記ステータ鉄心の上記内歯に分布巻きにより巻かれて、複数のU相コイルが電気的に直列に接続された2列のU相コイル列を構成し、上記2組のV相巻線は、いずれも上記ステータ鉄心の上記内歯に分布巻きにより巻かれて、複数のV相コイルが電気的に直列に接続された2列のV相コイル列を構成し、上記2組のW相巻線は、いずれも上記ステータ鉄心の上記内歯に分布巻きにより巻かれて、複数のW相コイルが電気的に直列に接続された2列のW相コイル列を構成しており、上記2列のU相コイル列と上記2列のV相コイル列と上記2列のW相コイル列とは、ダブルスター型結線とされてなるステータであって、上記ステータ鉄心は互いに隣接する上記内歯で構成されるU相スロット,V相スロット,及びW相スロットを有し、上記U相スロット,V相スロット,及びW相スロットは、2つの上記U相スロット,2つの上記V相スロット,及び2つの上記W相スロットがこの順に周方向に繰り返し並ぶように配置されてなり、2列の上記U相コイル列においてそれぞれ直列に接続されたU相コイルは、いずれもその接続順に上記ステータの周方向に並んで形成され、2列の上記V相コイル列においてそれぞれ直列に接続されたV相コイルは、いずれもその接続順に上記ステータの周方向に並んで形成され、2列の上記W相コイル列においてそれぞれ直列に接続されたW相コイルは、いずれもその接続順に上記ステータの周方向に並んで形成され、上記U相コイル列をなす上記U相巻線のうち外部に接続する側の端をU相外部接続端としたとき、2組の上記U相巻線における2つの上記U相外部接続端は、互いに隣り合う2つの上記U相スロットから上記ステータ鉄心の表面及び裏面のいずれか特定面側にそれぞれ引き出され、上記V相コイル列をなす上記V相巻線のうち外部に接続する側の端をV相外部接続端としたとき、2組の上記V相巻線における2つの上記V相外部接続端は、互いに隣り合う2つの上記V相スロットから上記特定面側にそれぞれ引き出され、上記W相コイル列をなす上記W相巻線のうち外部に接続する側の端をW相外部接続端としたとき、2組の上記W相巻線における2つの上記W相外部接続端は、互いに隣り合う2つの上記W相スロットから上記特定面側にそれぞれ引き出されてなるステータとするのが好ましい。
このステータでは、U相巻線の2つのU相外部接続端,V相巻線の2つのV相外部接続端,W相巻線の2つのW相外部接続端は、いずれも隣り合うU相,V相,W相スロットから特定面側に引き出されている。このため、これらをそれぞれ接続して外部に接続するためのU相端子、V相端子、W相端子を形成するにあたり、後となり合うスロットから引き出されている回線同士を導通させればよいので、容易に外部端子(U相端子等)を形成できる。また、2組の巻線(U相巻線等)の外部接続端(U相外部接続端)同士を導通させるに当たっての引き回し配線が不要あるいはごく短くて済むので、ステータ全体、あるいはこれを用いたモータの大きさをコンパクトにすることができる。
なお、ダブルスター結線とは、ステータに形成する3相のコイルの結線構造を、2列のU相コイル列を並列に、2列のV相コイル列を並列に、2列のW相コイル列を並列にそれぞれ接続しつつ、各相のコイル列をスター結線とした結線構造をいう。
さらに、段落0008に記載のステータであって、前記U相スロットのうち、2つの前記U相外部接続端がそれぞれ引き出され互いに隣り合う2つのU相引出スロット、前記V相スロットのうち、2つの前記V相外部接続端がそれぞれ引き出され互いに隣り合う2つのV相引出スロット、及び、前記W相スロットのうち、2つの前記W相外部接続端がそれぞれ引き出され互いに隣り合う2つのW相引出スロットを、前記ステータ鉄心の周方向に位置する順に、第1引出スロット、第2引出スロット、第3引出スロットとしたとき、上記第1引出スロットと第2引出スロットとの間には、第3引出スロットと同じ相の2つの前記スロットのみが配置され、上記第2引出スロットと第3引出スロットとの間には、第1引出スロットと同じ相の2つの前記スロットのみが配置されてなるステータとすると良い。
一般に、2つのU相外部接続端を用いてU相端子を形成し、2つのV相外部接続端を用いてV相端子を形成し、2つのW相外部接続端を用いてW相端子を形成して、ステータ(モータ)の3相入力端子(外部入力端子)とするに当たり、U相端子、V相端子、及びW相端子は互いに接近した位置にあった方が、外部との接続が容易である。最も三者を近接させる場合には、U相,V相,W相引出スロットが隣接して並ぶように各相コイル列を形成することもできる。しかし、ダブルスター結線としたステータにおいてこのようにするには、3相の引出スロットのうち両側の引出スロットに対応する相と、中央の引出スロットに対応する相、例えばU相,V相,W相引出スロットがこの順に並んでいるとした場合、U相及びW相と、V相とで各コイル列におけるコイルの巻き方向(正巻きと逆巻き)が逆になる。このため、3相のコイル(コイル列)を同じ巻線パターンで巻くことができず、2相と1相(例えば、U相及びW相とV相)とで巻線パターンを変更する必要が生じ、製造が面倒になりがちである。
これに対し、このステータでは、U相引出スロットとV相引出スロットとW相引出スロットとは、第1引出スロットと第2引出スロットとの間には、第3引出スロットと同じ相の2つのスロットのみが配置され、第2引出スロットと第3引出スロットとの間には、第1引出スロットと同じ相の2つのスロットのみが配置されている。例えば、U相引出スロット、W相引出スロット、V相引出スロットをこの順に第1,第2,第3引出スロットとしたとき、U相引出スロットとW相引出スロットとの間にV相引出スロットと同じ相のV相スロットだけが、W相引出スロットとV相引出スロットとの間にU相引出スロットと同じ相のU相スロットだけが位置するように配置されている。このため、U相外部接続端等を用いて形成されるU相端子、V相端子、及びW相端子は互いに近接した位置に配置できる。
しかも、こうなるように各相のコイルを形成すると、U相、V相、W相の各コイル列におけるコイルの巻き方向が同じにできるので、いずれの相でも同じ巻線パターンでコイルを形成することができ、製造が容易で安価なステータとなすことができる。
さらに段落0008または段落0011に記載のステータと、ロータと、を備えるモータとすると良い。
このモータでは、用いるステータについて、2組の巻線(U相巻線等)の外部接続端(U相外部接続端)同士を導通させるに当たっての引き回し配線が不要あるいはごく短くて済むので、その大きさをコンパクトにすることができるから、これを用いたモータについても、その大きさをコンパクトにすることができ
さらに、段落0008または段落0011に記載のステータの製造方法であって、前記U相巻線を前記内歯に直巻きして前記U相コイルを形成するU相コイル形成工程を備え、上記U相巻線のうち、前記U相外部接続端とは逆側の端をU相中性接続端としたとき、上記U相コイル形成工程は、2組の上記U相巻線のうち、第1U相巻線を上記U相外部接続端側から巻き始めて、第1U相コイル列に属する上記U相コイルを形成すると共に、第2U相巻線を上記U相中性接続端側から巻き始めて、上記第1U相コイル列に属するU相コイルの形成と同期して、第2U相コイル列に属する上記U相コイルを形成するステータの製造方法とすると良い。
また、段落0008または段落0011に記載のステータの製造方法であって、前記V相巻線を前記内歯に直巻きして前記V相コイルを形成するV相コイル形成工程を備え、上記V相巻線のうち、前記V相外部接続端とは逆側の端をV相中性接続端としたとき、上記V相コイル形成工程は、2組の前記V相巻線のうち、第1V相巻線を上記V相外部接続端側から巻き始めて、第1V相コイル列に属する上記V相コイルを形成すると共に、第2V相巻線を上記V相中性接続端側から巻き始めて、上記第1V相コイル列に属するV相コイルの形成と同期して、第2V相コイル列に属する上記V相コイルを形成するステータの製造方法とすると良い。
また、段落0008または段落0011に記載のステータの製造方法であって、前記W相巻線を前記内歯に直巻きして前記W相コイルを形成するW相コイル形成工程を備え、上記W相巻線のうち、前記W相外部接続端とは逆側の端をW相中性接続端としたとき、上記W相コイル形成工程は、2組の前記W相巻線のうち、第1W相巻線を上記W相外部接続端側から巻き始めて、第1W相コイル列に属する上記W相コイルを形成すると共に、第2W相巻線を上記W相中性接続端側から巻き始めて、上記第1W相コイル列に属するW相コイルの形成と同期して、第2W相コイル列に属する上記W相コイルを形成するステータの製造方法とすると良い。
これらによって製造されるステータでは、各相の第1コイル列に属するコイルと、第2コイル列に属するコイルとが、ステータの軸線に対して線対称(横断面で見たとき、中心に対して点対称)に配置されている。
そこで、これらの製造方法では、例えば、U相コイル形成工程において、第1U相コイル列のU相コイルについては、U相外部接続端側から第1U相巻線を巻き始め、第2U相コイル列のU相コイルについては、U相中性接続端側から第2U相巻線を巻き始める。しかも、第1U相コイル列と第2U相コイル列でと同期してU相コイルを形成する。このようにすると、形成途中の各段階において形成している2つのU相コイルは、常にステータの軸線に対し線対称(横断面で軸心に対し点対称)の位置にあることになる。つまり、2つのU相コイルを形成するに当たり、ステータ鉄心(以下、単に鉄心ともいう)の内側空間において最も離れた2箇所で巻線作業を行うことができる。このため、第1,第2U相巻線をそれぞれU相スロット内に挿入して内歯にU相巻線を巻き付けるに当たって、2つの巻線を吐出する巻線吐出装置その他の治工具をステータ鉄心の内側空間内に容易に配置することができるため、U相コイル形成を容易にできる。
これらはV相コイル形成工程においても同様であり、第1,第2V相巻線をそれぞれV相スロット内に挿入して内歯にV相巻線を巻き付けるに当たって、2つの巻線を吐出する巻線吐出装置その他の治工具をステータ鉄心の内側空間内に容易に配置することができるため、V相コイル形成を容易にできる。
同様に、W相コイル形成工程においても、第1,第2W相巻線をそれぞれW相スロット内に挿入して内歯にW相巻線を巻き付けるに当たって、2つの巻線を吐出する巻線吐出装置その他の治工具をステータ鉄心の内側空間内に容易に配置することができるため、W相コイル形成を容易にできる。
さらに、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状の三相分布巻き用ステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に、1本または複数本の素線からなる第1巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記第1巻線を渡らせてコイルを形成すると共に、上記第1スロット及び第2スロットに対し上記ステータ鉄心の軸線について対称の位置にそれぞれ位置する第1対称スロット及び第2対称スロット内に、1本または複数本の素線からなる第2巻線を挿入し、上記第1対称スロットと第2対称スロットとの間に上記第2巻線を渡らせて対称コイルを形成し、これを上記ステータ鉄心の周方向に順にn回行って、上記ステータ鉄心の半周にわたり上記コイル及び対称コイルをnヶずつ形成するステータ鉄心の巻線装置であって、上記第1巻線を吐出する第1ノズルを有する第1巻線吐出部、及び、上記第2巻線を吐出する第2ノズルを有する第2巻線吐出部を備える巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを上記軸線方向
に往復移動させて、両者の相対的な位置関係を上記軸線方向について変化させる軸線方向移動機構と、上記巻線吐出装置のうち、上記第1巻線吐出部を、上記第1ノズルが上記第1スロットに対向する位置と第2スロットに対向する位置との間で、上記第1スロットと上記ステータ鉄心の軸線と上記第2スロットとが成す所定角度だけ上記軸線の周りに往復回動させると共に、上記第2巻線吐出部を、上記第2ノズルが上記第1対称スロットに対向する位置と第2対称スロットに対向する位置との間で、上記所定角度だけ上記軸線の周りに、かつ上記第1巻線吐出部とは逆相に、往復回動させる吐出部回動機構と、上記コイル及び対称コイルを形成する毎に、上記ステータ鉄心と上記巻線吐出装置の少なくともいずれかを上記軸線の周りに回動させて、両者の相対的な位置関係を上記軸線の周りに180/n(deg)ずつ変化させる回動装置と、を備えるステータ鉄心の巻線装置とするのが好ましい。
この巻線装置によれば、コイルを形成するために使用する第1巻線吐出部と、対称コイルを形成するために使用する第2巻線吐出部とを、互いに逆相に往復回動させてコイル及び対称コイルを形成する。このため、nヶのコイルとnヶの対称コイルをそれぞれステータ鉄心の半周に亘り形成し終えた状態では、nヶのコイルに用いた第1巻線の巻始め端が引き出されているスロットと、nヶの対称コイルに用いた第2巻線の巻終り端が引き出されているスロットとが、隣同士の関係になる。従って、近接して引き出された第1巻線の巻始め端と第2巻線の巻終り端の両者を導通して電力供給端子とすればよい。あるいはこれらを電力供給端子に接続すればよい。従って、第1巻線及び第2巻線に電力を供給するための引き回しを無くしあるいはごく短くすることができる。このため、ステータ全体あるいはこれを用いたモータの大きさをよりコンパクトにすることができる。なお、第1巻線の巻終り端と第2巻線の巻始め端とは互いに導通して中性点として用いる。
しかも、この巻線装置によれば、n回のコイル形成動作で2nヶのコイル(コイル及び対称コイル)を形成することができるため、効率よくコイルを形成することができる。
なお、巻線吐出装置は、第1素線吐出部と第2素線吐出部とが、所定角度だけそれぞれ逆相に往復回動可能に構成されていれば良い。従って、巻線吐出装置として、第1素線吐出部と第2素線吐出部とが、蝶番の如き機構を介して互いに連結している構成とすることができる。また、巻線吐出装置として、第1素線吐出部と第2素線吐出部とが、互いに分離して独立に往復回動可能に構成しても良い。
さらに、段落0019に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記巻線吐出装置は、少なくとも前記第1巻線吐出部と第2巻線吐出部とが、前記ステータ鉄心の軸線を含む所定の仮想対称平面について互いに面対称となる形状に構成されてなるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、巻線吐出装置のうち少なくとも第1巻線吐出部と第2巻線吐出部とが、仮想対称平面について互いに面対称となる形状に構成されている。このため、第1巻線吐出部と第2巻線吐出部とを逆相に回動させても、不要な振動、ねじれなどが生じ難く、安定して動作させることができる。また、左右対称形にすることで、巻線装置の設計が容易になり、安価にできる。
さらに、段落0019または段落0022に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記軸線方向移動機構は、前記巻線吐出装置の前記軸線方向への移動を案内する軸線方向案内機構と、上記巻線吐出装置を上記軸線方向に往復移動させる吐出装置移動機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
軸線方向移動機構としては、ステータ鉄心をその軸線方向に往復移動させる手法を取る場合と、巻線吐出装置をステータ鉄心の軸線方向に往復移動させる手法を取る場合と、両方を同時に行う手法を取る場合とが考えられる。ステータ鉄心は予め与えられた形状や重量を有する。これに対し、巻線吐出装置は、設計により小型化しあるいは軽量化することができる。一般的には、ステータ鉄心より軽量化することができる。このため、軸線方向移動機構として、これを軸線方向に往復移動させるものを用いると、装置を堅牢に構成する必要があるので、装置が大型化せざるを得ない。また、高速で巻線を行うのに不利である。また、第3番目の手法では、装置が複雑になりがちである。
これに対し、本巻線装置では、軸線方向移動機構として、軸線方向案内機構と吐出装置移動機構とを備え、巻線吐出装置を移動させるので、巻線吐出装置、さらには軸線方向案内機構と吐出装置移動機構の軽量化等により、装置全体の軽量、小型化、さらには高速化を図ることができる。
さらに、本装置では、軸線方向案内機構が巻線吐出装置の軸線方向の移動を案内するので、巻線吐出装置(第1ノズルおよび第2ノズル)を確実に軸線方向に沿って移動させることができる。
さらに、段落0022に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記軸線方向案内機構は、前記軸線方向に平行に延びる直線状レールと、前記巻線吐出装置を搭載し、上記直線状レールに沿ってスライドする直線走行ユニットと、を有し、前記吐出装置移動機構は、上記直線走行ユニット及び上記巻線吐出装置の少なくともいずれかに接続して、これらを上記直線状レールに沿って前記軸線方向に往復移動させるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、軸線方向案内機構を直線状レールと直線走行ユニットから構成し、吐出装置移動機構で、直線走行ユニットまたはこれに搭載した巻線吐出装置を移動させるため、簡易な構造で巻線吐出装置を案内することができる。
あるいは、段落0022に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記軸線方向案内機構は、前記軸線方向に延びる第1直線状レールと、上記軸線方向にかつ上記第1直線状レールに平行に延びる第2直線状レールと、前記巻線吐出装置のうち第1巻線吐出部を搭載し、上記第1直線状レールに沿ってスライドする第1直線走行ユニットと、前記巻線吐出装置のうち第2巻線吐出部を搭載し、上記第2直線状レールに沿ってスライドする第2直線走行ユニットと、を有し、前記吐出装置移動機構は、上記第1直線状ユニット及び上記第1巻線吐出部の少なくともいずれかに接続して、これらを上記第1直線状レールに沿って上記軸線方向に往復移動させると共に、上記第2直線状ユニット及び上記第2巻線吐出部の少なくともいずれかに接続して、これらを上記第2直線状レールに沿って上記軸線方向に往復移動させ、前記吐出部回動機構は、上記第1直線状レールを前記軸線の周りに往復回動させると共に、上記第2直線状レールを上記軸線の周りに上記第1直線状レールとは逆相に往復回動させるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
巻線吐出装置の第1巻線吐出部と第2巻線吐出部とは、いずれも軸線方向に移動可能であり、かつ、軸線周りに往復回動可能でなければならない。一方、これらは軸線方向に移動している場合など回動させない場合には、軸線周りに高い剛性を有することが望まれる。軸線方向に移動している場合などに、軸線周りにガタツキがあると、スロットに巻線を挿入している時に、ステータ鉄心と接触して、ノズルや巻線が傷つくなどの不具合が生じる可能性があるからである。
これに対して、本巻線装置では、第1,第2巻線吐出部を第1,第2走行ユニットを用いてそれぞれ第1,第2直線状レールをスライドさせるため、軸線周りのガタツキを高度に抑制することができる。
さらに、段落0024,段落0026,段落0028のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記吐出装置移動機構は、回転駆動力を発生する移動駆動軸と、上記移動駆動軸の回転を前記巻線吐出装置の前記軸線方向の往復移動に変換する第1変換機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、回転駆動力を発生する移動駆動軸を備え、この移動駆動軸の駆動力を第1変換機構によって巻線吐出装置の軸線方向の往復移動に変えるため、巻線吐出装置の軸線方向の往復移動を容易に行わせることができる。
なお、第1変換機構としては、移動駆動軸の回転を巻線吐出装置の軸線方向の往復移動に変換できれば良く、クランク機構、カム機構などを含む各種の機構を採用することができる。
またさらに、段落0019,段落0022,段落0024,段落0026,段落0028,段落0030のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記吐出部回動機構は、所定位置に前記ステータ鉄心をセットした場合におけるステータ鉄心の前記表面または前記裏面よりも前記軸線方向の外側に、前記第1巻線吐出部を上記ステータ鉄心の軸線を中心軸とする仮想円に沿って案内する第1円弧状案内機構と、前記第2巻線吐出部を上記仮想円に沿って案内する第2円弧状案内機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
第1,第2巻線吐出部をそれぞれ逆相に回動させるため、巻線吐出装置としては、例えば蝶番をヒンジを中心にして開閉するのと同様に、ステータ鉄心の軸線を中心として、第1,第2巻線吐出部が開閉するように構成することもできる。
しかし、巻線吐出装置をこのような形態にすると、巻線吐出装置が大きくなりがちであり、狭いステータ鉄心の内周面内の領域に巻線吐出装置を配置するのが困難となり易い。
これに対し、本巻線装置では、第1,第2円弧状案内機構を備えている。このため、第1,第2巻線吐出部はそれぞれ同じ仮想円に沿って案内されることによって、軸線を中心にしてこの周りに回動させたのと同じ動きをとる。つまり、第1,第2巻線吐出部が軸線の周りに回動する。
その上、第1,第2円弧状案内機構は、ステータ鉄心の表面または裏面より軸線方向外側に位置しているので、このような案内機構を設けても、巻線吐出装置自身が大きくならないため、狭いステータ鉄心の内周面内の領域に巻線吐出装置を容易に配置することができる。
なお、第1,第2円弧状案内機構は、第1,第2巻線吐出部を仮想円に沿って案内するように構成すればいずれの手法をも取ることができる。例えば具体的には、直接、第1,第2巻線吐出部を円に沿って案内する場合のほか、第1,第2巻線吐出部が搭載されている第1,第2直線状レールなど第1,第2巻線吐出部に結合する部材を、それぞれ円または円弧状のレールに沿って案内することで、間接的に第1,第2巻線吐出部を仮想円に沿って案内する場合も含む。
さらに、段落0032に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1円弧状案内機構は、前記仮想円に沿って延びる第1円弧状レールと、前記第1巻線吐出部に結合し、上記第1円弧状レールに沿ってスライドする第1弧状走行ユニットと、を有し、前記第2円弧状案内機構は、上記仮想円に沿って延びる第2円弧状レールと、前記第2巻線吐出部に結合し、上記第2円弧状レールに沿ってスライドする第2弧状走行ユニットと、を有するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、第1,第2円弧状案内機構は、それぞれ第1,第2円弧状レールと第1,第2巻線吐出部に結合し、これらのレールに沿ってスライドする第1,第2弧状走行ユニットから構成されている。このため、簡易な構造で巻線吐出装置の第1,第2巻線吐出部をそれぞれ案内し、回動させることができる。
さらに、段落0035に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記吐出部回動機構は、回転駆動力を発生する回動駆動軸と、上記回動駆動軸の回転運動を前記ステータ鉄心の軸線に直交する軸線直交方向の往復運動に変換し、前記第1弧状走行ユニットと第2弧状走行ユニットとを上記軸線直交方向について同相で往復移動させる第2変換機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、回動駆動軸の駆動力を軸線直交方向の往復移動に変え、第1,第2弧状走行ユニットを軸線直交方向に見て、同相で往復移動させる。これにより、第1,第2弧状走行ユニットは、軸線直交方向については同相で往復しつつ、それぞれ第1,第2弧状レールに沿って走行するので、第1,第2弧状走行ユニットに結合する第1,第2巻線吐出部は、それぞれ軸線の周りに回動する。しかも、第1,第2弧状走行ユニットを軸線直交方向について往復移動させるので、第1,第2巻線吐出部からすると、互いに逆相に回動されることとなる。このように第1,第2巻線吐出部を容易に逆相に回動できる。
なお、このような第2変換機構としては、回動駆動軸の回転を第1,第2弧状走行ユニットの軸線直交方向の往復移動に変換できれば良く、クランク機構、カム機構などを含む各種の機構を採用することができる。
あるいは、段落0019または段落0022に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、1つの駆動軸を有し、前記軸方向移動装置は、前記ステータ鉄心および前記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかについての前記軸線方向への前記往復移動の位相と上記駆動軸の回転角との間の対応関係を保ちつつ、上記駆動軸の回転により上記往復移動が生じるように構成されてなり、前記吐出部回動機構は、上記駆動軸の回転角と前記第1巻線吐出部及び第2巻線吐出部の往復回動の位相との間の対応関係を保ちつつ、上記駆動軸の回転により上記往復回動が生じるように構成されてなるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、回転駆動力を発生する1つの駆動軸によって、軸方向移動装置と吐出部回動機構とが動作する。しかも、駆動軸の回転角度と軸方向移動装置における往復移動の位相とが対応関係を保つ一方、駆動軸の回転角度と吐出部回動機構における往復回動の位相とも対応関係を保つ。従って、軸方向移動装置における往復移動の位相と吐出部回動機構における往復回動の位相との間にも対応関係が成り立つ。つまり軸方向移動装置における往復移動と吐出部回動機構における往復回動とが同期していることになる。従って、このように、本装置によれば、各種センサその他、複雑な制御機構を用いなくとも、往復移動と往復回動とを同期させることができ、簡易、安価な装置とすることができる。
なお、駆動軸の回転角と往復移動の位相との間の対応関係を保つ、あるいは、駆動軸の回転角と往復回動の位相との間の対応関係を保つには、軸方向移動装置や吐出部回動機構における動力伝達を互いに剛に結合して行うのが良く、例えば、カム、リンク、歯車、タイミングベルト等を用いることができる。
さらに、段落0039に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記軸方向移動装置は、前記駆動軸により駆動されるクランク機構を用いて、上記駆動軸の回転を前記往復移動に変換し、前記吐出部回動機構は、上記駆動軸に取り付けたカム機構を用いて、上記駆動軸の回転を前記往復回動に変換するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
この巻線装置では、1つの駆動軸の回転を用いて、軸方向移動装置でのクランク機構による往復移動への変換と、吐出部回動機構でのカム機構による往復回動への変換を同時に行う。このため、往復移動と往復回動とを同期させることができる上、クランク機構の位相とカム機構の位相との関係を容易に関連付けができるので、往復移動と往復回動との位相を容易に調整することができる。
なお、軸方向移動装置でのクランク機構による往復移動への変換としては、クランクシャフト(駆動軸)にリングを取り付け、このリングにリンクロッドが接続している形態がよい。このようにすると、リングを作業者が回すことで、クランク機構の位相を手動で調整できるようになる。しかも、これと同時に、吐出部回動機構のカム機構の位相も調整することができる。
さてその解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に、1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせてコイルを形成するステータ鉄心の巻線装置であって、上記巻線を吐出するノズルを有する巻線吐出部を備える巻線吐出装置と、回転駆動力を発生する移動駆動軸と、上記移動駆動軸の回転を上記巻線吐出装置の上記ステータ鉄心の軸線方向への往復移動に変換する変換機構と、を備え、上記変換機構は、上記巻線吐出装置の往復移動の振幅を変更する振幅調整機構、及び上記巻線吐出装置の往復移動の中心位置を変更する中心位置調整機構、を含むステータ鉄心の巻線装置である。
巻線装置を用いてステータ鉄心に巻線を巻き付ける場合、巻き付けるステータ鉄心の寸法が一定の専用機とする場合もあるが、寸法が異なる多種類のステータ鉄心に巻線を施す装置とする場合もある。例えば、軸線方向厚さが異なる数種類のステータ鉄心を1つの巻線装置で処理したい場合がある。
本発明の巻線装置では、振幅調整機構及び中心位置調整機構を有するので、巻線吐出装置の往復する振幅と往復の中心位置を調整することにより、軸線方向厚さが異なるステータ鉄心について1つの巻線装置で巻線処理を行うことができる。
なお、変換機構としては、移動駆動軸の回転を巻線吐出装置の軸線方向の往復移動に変換できれば良く、クランク機構、カム機構などを含む各種の機構を採用することができる。
また、振幅調整機構としては、採用する変換機構に応じて、巻線吐出装置の往復移動の振幅を変更できる機構を採用すれば良く、例えば変換機構としてクランク機構を用いた場合には、クランク節における軸間長さを変更する機構が挙げられる。変換機構としてカムを用いる場合には、軸からの最小径方向寸法と最大径方向寸法の少なくともいずれかを異ならせたカムに取り替え可能としておくと良い。
さらに、請求項42に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記変換機構は、クランク機構を含み、上記クランク機構は、前記移動駆動軸に結合されこの移動駆動軸の周りに回転するクランク節と、第1連結軸により上記クランク節に結合して、このクランク節と回り対偶を成す連結節と、第2連結軸により上記連結節に結合して、この連結節と回り対偶を成すヘッドと、上記ヘッドを前記ステータ鉄心の軸線方向に案内する案内部とを備え、前記振幅調整機構は、上記移動駆動軸と上記第1連結軸との間の第1軸間距離を変更可能とする第1軸間調整機構を含み、前記中心位置調整機構は、上記第1連結軸と上記第2連結軸との間の第2軸間距離を変更可能とする第2軸間調整機構を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、変換機構としてクランク機構を含んでおり、振幅調整機構には第1軸間調整機構を、中心位置調整機構には第2軸間調整機構を含んでいる。従って、簡単なクランク機構で出力駆動軸の回転を往復移動に変換できる。その上、第1軸間調整機構によって、その振幅を調整することができる。さらに、第2軸間調整機構によって振幅の中心位置を調整できる。このため、軸線方向厚さの異なるステータ鉄心について、各々の寸法に合わせて、巻線吐出装置の往復移動の振幅の大きさと中心位置を調整することで、いずれについてもこの巻線装置で巻線を巻くことができる。
なお、第1軸間調整機構としては、クランク節あるいは連結節の構造に応じて、移動駆動軸と第1連結軸との間の距離を調整できるように構成してあればいずれの機構でも良い。例えば、クランク節に対する第1連結軸の取付位置を変更できるように構成してある機構が挙げられる。あるいは、ロッド状のクランク節自身の長さを伸縮可能とする機構が挙げられる。
また、第2軸間調整機構としては、連結節あるいはヘッドの構造に応じて、第1連結軸と第2連結軸との間の距離を調整できるように構成してあればいずれの機構でも良い。例えば、連結節に対する第1連結軸あるいは第2連結軸の取付位置を変更できるように構成してある機構が挙げられる。あるいは、ロッド状の連結節自身の長さを伸縮可能とする機構が挙げられる。
さらに、クランク節としては、ロッド状のクランク節や、移動駆動軸を中心とする円板状あるいはホイール状のクランク節を用いることができる。特に、円板状あるいはホイール状のクランク節を用いると、クランク節の位相を手動で調整するのときに、クランク節を回転させやすいため都合がよい。
さらに、請求項43に記載のステータ鉄心の巻線装置の使用方法であって、前記軸線方向の厚さが基準厚さT0である基準ステータ鉄心について巻線を施すとき、前記巻線吐出装置の往復移動の中心位置が基準ステータ鉄心の厚さ方向中央に位置させ、前記クランク機構における前記第2軸間距離を基準第2軸間距離L0にする巻線装置を使用して、軸線方向の厚さTのステータ鉄心について巻線を施すときに、前記第2軸間調整機構により、上記第2軸間距離LをL=L0−(T0−T)/2またはL=L0+(T0−T)/2とするステータ鉄心の巻線装置の使用方法とすると良い。
前述の巻線装置でステータ鉄心に巻線を施す場合、ステータ鉄心を所定位置にセットして巻線を施す。その際、ステータ鉄心の表面または裏面が軸線方向の所定位置(鉄心基準位置)となるように、ステータ鉄心をセットするのが都合がよい。例えば、軸線を鉛直線に一致させ、ステータ鉄心を載置台の載置面上に載置する場合には、載置台の載置面と接するステータ鉄心の下方面の位置(高さ)を鉄心基準位置とするのが都合がよい。ステータ鉄心の厚さが変わっても、鉄心基準位置となる載置面の高さ(鉛直方向位置)が変わらないからである。そしてこの場合には、巻線吐出装置の往復移動の中心位置がステータ鉄心の厚さ方向(軸線方向)の中心に一致するように、巻線吐出装置の往復移動の中心位置をステータ鉄心の厚さに応じて調整するのが好ましい。
これに対して、まず、基準厚さT0である基準ステータ鉄心をこの巻線装置にセットしたときに、巻線吐出装置の往復移動の中心位置が基準ステータ鉄心の厚さ方向中央に位置するように調整し、その状態でのクランク機構の第2軸間距離をL0と仮定する。
その上で、本発明の使用方法では、この巻線装置に厚さTのステータ鉄心をセットした場合には、第2軸間調整機構により、第2軸間距離LをL=L0−(T0−T)/2とする、あるいは、L=L0+(T0−T)/2とする。このようにすると、厚さTのステータ鉄心を、所定の載置台の載置面にセットした場合など鉄心基準位置が変わらない状態でこの巻線装置にセットしても、巻線吐出装置の往復移動の中心位置がステータ鉄心の厚さ方向中央に位置することになる。かくして、ステータ鉄心の表面側と裏面側の両方に均等に巻線吐出装置が移動することから、表面側と裏面側で同様に均等に巻線を巻くことができる。
なお、L=L0−(T0−T)/2とL=L0+(T0−T)/2のいずれを用いるかは、クランク機構とステータ鉄心との位置関係から決定すればよい。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、上記第1アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第1退避軸線の周りに回動させて、上記第1アームセット位置と、上記ステータ鉄心の内周円筒面を上記軸線方向に延ばした仮想内周円筒面よりも径方向外側で、かつ、上記スロットにそれぞれ上記コイルを形成したと仮定したときの各コイルのうち上記ステータ鉄心の表面より第1軸線方向に位置する表面側コイルエンド部から離間する第1アーム退避位置と、の間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、上記第2アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第2退避軸線の周りに回動させて、上記第2アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側で、かつ、上記スロットにそれぞれ上記コイルを形成したと仮定したとき各コイルのうち上記ステータ鉄心の裏面より第2軸線方向に位置する裏面側コイルエンド部から離間する第2アーム退避位置と、の間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、上記第3アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第3退避軸線の周りに回動させて、上記第3アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側でかつ上記裏面側コイルエンド部から離間する第3アーム退避位置と、の間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、上記第4アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第4退避軸線の周りに回動させて、上記第4アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側でかつ上記表面側コイルエンド部から離間する第4アーム退避位置と、の間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置である。
本発明の巻線装置では、第1〜第4アーム、第1〜第4アーム進退機構を備えるほか、仮想内周円筒面よりも径方向外側に各アームを退避させる第1〜第4アーム退避機構を備える。このため、巻線吐出装置を移動させて第1スロットあるいは第2スロットに巻線を挿入し、また第1,第2スロット間に巻線を渡らせるにあたり、巻線吐出装置と第1〜第4アームとが衝突(干渉)しないように、予め第1〜第4アームを第1〜第4アーム退避位置に適時退避させておくことができる。
しかも、本発明の巻線装置では、第1〜第4アーム退避機構は、いずれも各アームを軸線方向に対して交差する方向に延びる第1〜第4退避軸線の周りに回動させて、コイルの表面側コイルエンドまたは裏面側コイルエンドから離間するアーム退避位置に退避させる。もし、各アームを軸線方向に平行な軸の周りに回動させて退避させる場合には、各アームが表面側または裏面側コイルエンドに衝突するのを避けるため、一旦アームを鉄心の表面(あるいは裏面)から離す方向に移動させた上で、軸線方向に平行な軸の周りに回動させてアームを退避させる必要があり、移動と回動の2動作が必要になる。このように、本発明の巻線装置では、各コイルエンドとも干渉せず、しかも退避動作ができる上、退避動作を回動の1動作だけで済ますことができるから、機構が簡単で設計が容易になる。また、退避動作を速くできるため、装置の処理速度(巻線速度)を速くすることができる。
なお、第1退避軸線〜第4退避軸線は、ステータ鉄心の軸線方向と交差する方向に延びる仮想的な軸線を指す。従って、ステータ鉄心の軸線と平行でなく、この軸線(またはこの軸線に平行な線)と角度を持って交わる軸線をいう。
また、第1アーム退避位置〜第4アーム退避位置は、ステータ鉄心の外周面を軸線方向に延ばした仮想外周筒面よりも径方向外側に位置するようにするのが好ましい。このようにすると、第1アーム退避位置等の各アームを位置させれば、ステータ鉄心を回動させても、あるいは、ステータ鉄心をこの巻線装置に着脱する際に、各アームに干渉しない。つまり、巻線時の各アームの退避位置と、鉄心回動時や鉄心取り外し時の各アームの退避位置とを同じ位置とすることができる。
さらに、請求項1に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1アーム退避機構は、前記第1アームを前記第4アームから離れる方向に回動退避させ、前記第2アーム退避機構は、前記第2アームを前記第3アームから離れる方向に回動退避させ、前記第3アーム退避機構は、上記第3アームを上記第2アームから離れる方向に回動退避させ、前記第4アーム退避機構は、上記第4アームを上記第1アームから離れる方向に回動退避させるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、第1,第4アーム退避機構は、第1,第4アームを互いに離れる方向に回動退避させる。同様に、第2,第3アーム退避機構は、第2,第3アームを互いに離れる方向に回動退避させる。このため、第1アームを回動させて退避させた際、第4アームと干渉する虞が無くすことができる。同じく、第4アームを回動させて退避させた際、第1アームと干渉する虞が無くすことができる。同様に、第2,第3アームをそれぞれ回動させて退避させた際に、第3,第2アームに干渉する虞が無くすことができる。
さらに、請求項1または請求項2に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、特定アーム駆動軸の回転を上記特定アームの進退に変換する機構からなり、前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、上記特定アーム駆動軸の回転を上記特定アームの特定退避軸線の周りの回動に変換する機構からなるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、第1アーム〜第4アームのうち特定アーム(例えば第1アーム)については、特定アーム進退機構(第1アーム進退機構)と特定アーム退避機構(第1アーム退避機構)とは共通の特定アーム駆動軸(第1アーム駆動軸)で駆動され、それぞれ特定アーム駆動軸の回転を特定アームの進退及び回動に変換している。このため、特定アームの進退に関する往復動作と特定アームのセットと退避に関する往復動作の2つの動作を、1つの特定アーム駆動軸で行わせることができる。このため、駆動軸の数を少なくし、構造を簡単にできるうえ、進退動作とセット・退避動作とを同期して動作させることができる。
なお、少なくともいずれかの特定アームについて、上述のようにすれば、駆動軸の数を少なく出来るなど上述の効果を得ることができる。但し、4つのアーム(第1〜第4アーム)のいずれについても、共通の駆動軸によってアーム進退機構とアーム退避機構が駆動されるようにすると、さらに好ましい。
その上、4つのアームのうち、比較的近くに位置する第1アームと第4アーム、第2アームと第3アームの駆動軸を共通化するとさらに好ましい。あるいは、第1アームと第2アーム、第3アームと第4アームの駆動軸を共通化しても良い。
さらに、請求項3に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アーム進退機構は、前記特定アーム駆動軸に固着された板状の特定進退カムを含み、前記特定アーム退避機構は、上記特定アーム駆動軸に固着された板状の特定退避カムを含み、上記特定進退カムと特定退避カムとは、単一の固着機構によって隣接して上記特定アーム駆動軸に固着されてなるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定アームについて、特定アーム進退機構を動作させる板状の特定進退カムと特定アーム退避機構を動作させる板状の特定退避カムとが単一の固着機構で特定アーム駆動軸に固着されている。従って、特定アームに関する特定アーム進退機構と特定アーム退避機構の構造が簡単になる。また、2つの板状カムを単一の固着機構で特定アーム駆動軸に固着すれば良いので、固着が容易である。また、特定アームの進退とセット・退避のタイミングを、カムの固定の際に2つのカムの間の位相を適度に調整することによって容易に調整できる。
あるいは、請求項4に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アームは、第1アームおよび第4アームであり、前記特定アーム駆動軸である第1アーム駆動軸と第4アーム駆動軸とは、共通の1−4駆動軸であるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、前述の第1駆動軸と第4アーム駆動軸とを同じ1−4駆動軸としている。つまり、1つの1−4駆動軸で、第1アームの進退及びセット・退避と、第4アームの進退及びセット・退避の合計4つの往復動作を行わせることができる。かくして、第1アームと第4アームとの動作間でも容易に同期をとることができる。またさらに駆動軸の数を減らすことができ、装置をより簡単に、また安価にできる。
さらに、請求項5に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定進退カムである第1進退カムと第4進退カムとは、共通の1−4進退カムであり、前記特定退避カムである第1退避カムと第4退避カムとは、共通の1−4退避カムであるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、さらに、第1進退カムと第4進退カムとを共通の1−4進退カムとし、また、第1退避カムと第4退避カムとを共通の1−4退避カムとしている。かくして、さらに進退カムや退避カムの数を減らすことができ、装置をより簡単に、また安価にできる。
請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アームは、第2アームおよび第3アームであり、前記特定アーム駆動軸である第2アーム駆動軸と第3アーム駆動軸とは、共通の2−3駆動軸であるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、前述の第2駆動軸と第3アーム駆動軸とを同じ2−3駆動軸としている。つまり、1つの3−4駆動軸で第3アームの進退及びセット・退避と、第4アームの進退及びセット・退避の合計4つの往復動作を行うことができる。かくして、第3アームと第4アームとの動作間でも容易に同期をとることができる。またさらに駆動軸の数を減らすことができ、装置をより簡単に、また安価にできる。
さらに、請求項7に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定進退カムである第2進退カムと第3進退カムとは、共通の2−3進退カムであり、前記特定退避カムである第2退避カムと第3退避カムとは、共通の2−3退避カムであるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、さらに、第2進退カムと第3進退カムとを共通の2−3進退カムとし、また、第2退避カムと第3退避カムとを共通の2−3退避カムとしている。かくして、さらに進退カムや退避カムの数を減らすことができ、装置をより簡単に、また安価にできる。
さらに、請求項3〜請求項8のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アーム進退機構は、前記特定アーム駆動軸に固着された特定進退カムとこの特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節とを含み、上記特定アーム駆動軸の軸心と上記特定進退カム接点との距離が大きくなる期間に、前記特定アームが径方向外側に移動するように構成してなるステータ鉄心の巻線装置とするのが好ましい。
本発明の巻線装置では、特定アーム進退機構は、特定進退カムと特定進退カム従動節を含み、軸心と特定進退カム接点との距離が大きくなる期間(リフト期間)に特定アームがそれぞれ径方向外側(具体的には第1スロット外方向あるいは第2スロット外方向)に移動するように構成してある。一般に、カムは戻り期間に比してリフト期間に、大きな力を伝えることができる。従って、このようにすることで、特定アームは径方向外側への移動時に巻線に掛合して大きな力で巻線を径方向外側にたぐることができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、上記第1アーム進退機構を駆動する第1アーム駆動軸と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、上記第2アーム進退機構を駆動する第2アーム駆動軸と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、上記第3アーム進退機構を駆動する第3アーム駆動軸と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、上記第4アーム進退機構を駆動する第4アーム駆動軸と、を備え、上記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、上記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、上記第1アーム駆動軸〜第4アーム駆動軸のうち上記特定アームに関する特定アーム駆動軸に固着された特定進退カム、及びこの特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節を含み、上記特定アーム駆動軸の軸心と上記特定進退カム接点との距離が大きくなる期間に、上記特定アームが上記第1スロット外方向および第2スロット外方向のうち上記特定アームに関する特定スロット外方向に移動するように構成されてなるステータ鉄心の巻線装置である。
本発明の巻線装置では、第1〜第4アーム進退機構を有する。しかもそのうち、特定アーム進退機構に関して言えば、特定進退カムと特定進退カム従動節を含み、これを駆動する特定アーム駆動軸の軸心と特定進退カム接点との距離が大きくなる期間(リフト期間)に特定アームがぞれぞれ径方向外側に移動するように構成してある。一般に、カムは戻り期間に比してリフト期間に、大きな力を伝えることができる。従って、このようにすることで、第1アーム等は径方向外側への移動時に巻線に掛合して大きな力で確実に巻線を径方向外側にたぐることができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、を備え、前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、上記特定アームの進退のタイミングを調整する特定進退調整機構を含むステータ鉄心の巻線装置である。
巻線装置において、異なる厚さのステータ鉄心に巻線を施す場合、各アームの進退のタイミングを変更したい場合がある。具体的には、アームを巻線に掛合させてたぐるために、アームを第1,第2スロット外方向に移動(たぐり動作)させるタイミングを調整したい場合がある。例えば、第1,2,3,4アームの順にたぐり動作をさせると考えると、ステータ鉄心の厚さが厚くなった場合には、厚さの薄いものに比して、第1アーム及び第3アームのたぐり動作タイミングを早める一方、第2,第4アームでたぐり動作タイミングを遅くしたい。ステータ鉄心が厚くなると巻線吐出装置が早いタイミングで鉄心内に位置し、遅いタイミングでステータ鉄心から抜けるようになるからである。
これに対し、本発明の巻線装置では、第1〜第4アーム進退機構を備え、さらに特定アームに関し、その進退のタイミングを調整する特定進退調整機構を含む。このため、特定アームの進退のタイミングを調整することができるから、厚さが異なるステータ鉄心に巻線を施す場合などにおいて、進退のタイミングを適切に調整して、巻線を施すことができる。
なお、特定進退調整機構(例えば第1進退調整機構)としては、特定アーム進退機構の構造に応じて適宜の機構とすることができる。例えば、駆動軸にカムを装着し回転運動を往復運動に変換する場合には、駆動軸に対するカムの固着位置を駆動軸の周方向に移動調整する機構や、カムに従動する従動節のカム接点の位置を駆動軸の周方向に移動調整する機構などを採用することができる。また、駆動軸の回転運動をクランク機構を用いて往復運動に変換する場合には、駆動軸に対するクランク節の固着位置をこの駆動軸の周方向に移動調整する機構が挙げられる。
さらに、第1アーム進退機構と第4アーム進退機構の組、および第2アーム進退機構と第3アーム進退機構の組の少なくともいずれかの組に属するアーム進退機構について、そのアームの進退のタイミングを調整する進退調整機構をそれぞれ含むようにするのが好ましい。厚さの異なる鉄心について巻線を施す場合には、少なくとも、第1アームと第4アーム、あるいは第2アームと第3アームのいずれかの組について、アームの進退の調整を行う必要となる場合が多い。したがって、少なくともいずれかの組に属するアーム進退機構について、進退調整機構を備えることで、厚さの異なる鉄心についても適切に巻線を施すことができる。
さらに、第1〜第4アーム進退機構のいずれについても、第1〜第4アームに関し、その進退のタイミングを調整する第1進退調整機構〜第4進退調整機構をそれぞれ含むようにするのが好ましい。4つのアームについて調整することができることで、適切で細かな調整が可能となる。
さらに、請求項10に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アーム進退機構は、特定アーム駆動軸に固着された特定進退カム、及びこの特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節を含み、前記特定進退調整機構は、上記特定進退カム従動節の上記特定進退カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定進退接点移動機構であるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定進退調整機構は特定進退カムと特定進退カム従動節を含んでおり、特定進退カム従動節の特定進退カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させるだけで特定アームの進退のタイミングを調整できる。従って、構造が簡単で、特定アームの動作タイミングを容易に調整できる。
なお、特定進退接点移動機構(例えば第1進退接点移動機構)は、特定進退カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させることができればいずれの構成をも採用できる。例えば、特定進退カム従動節の形態を変化させる場合、即ち、自身の変形によって特定進退カム接点の位置を変化させうる構造とした特定進退カム従動節を用い、特定進退カム接点の位置を移動させる場合が挙げられる。また、特定進退カム従動節自身を移動させて特定進退カム接点の位置を変化させる場合が挙げられる。
また、接点の移動には、手動のほか、数値制御したアクチュエータによることもできる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、上記第1アームセット位置と第1アーム退避位置との間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、上記第2アームセット位置と第2アーム退避位置との間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、上記第3アームセット位置と第3アーム退避位置との間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、上記第4アームセット位置と第4アーム退避位置との間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、を備え、上記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、上記特定アームのセット及び退避のタイミングを調整する特定退避調整機構を含むステータ鉄心の巻線装置である。
巻線装置において、異なる厚さのステータ鉄心に巻線を施す場合、第1〜第4アームの退避のタイミングを変更したい場合がある。例えば、第1,2,3,4アームの順に退避動作をすると考えると、ステータ鉄心の厚さが厚くなった場合には、厚さの薄いものに比して、第1アーム及び第3アームの退避動作タイミングを早める一方、第2,第4アームで退避動作タイミングを遅くしたい。ステータ鉄心が厚くなると巻線吐出装置が早いタイミングでステータ鉄心に近づく一方、遅いタイミングでステータ鉄心から離れるようになるからである。
これに対し、本発明の巻線装置では、第1〜第4アーム退避機構を備え、さらに特定アームに関し、その進退のタイミングを調整する特定退避調整機構を含む。このため、特定アームの退避のタイミングを調整することができるから、厚さが異なるステータ鉄心に巻線を施す場合などにおいて、巻線吐出装置とアームとの干渉を適切に回避することができる。
なお、特定退避調整機構(例えば第1退避調整機構)としては、特定アーム退避機構の構造に応じて適宜の機構とすることができる。例えば、駆動軸にカムを装着し回転運動を往復運動に変換する場合には、駆動軸に対するカムの固着位置を駆動軸の周方向に移動調整する機構や、カムに従動する従動節のカム接点の位置を駆動軸の周方向に移動調整する機構などを採用することができる。また、駆動軸の回転運動をクランク機構を用いて往復運動に変換する場合には、駆動軸に対するクランク節の固着位置をこの駆動軸の周方向に移動調整する機構が挙げられる。
また、本発明において、第1アーム退避位置とは、巻線吐出装置をステータ鉄心に対して相対移動させて巻線を第1スロットや第2スロットに挿入したり、第1,第2スロット間に巻線を渡らせたりする際に、第1アームが巻線吐出装置やステータ鉄心、成形されたコイル等と干渉することを防ぐために、予め第1アームを移動させて保持しておく位置を指す。第2〜第4アーム退避位置も同様である。
さらに、第1アームセット位置とは、第1アームを移動させて、巻線のうち第1スロット挿入部より第1軸線方向に位置する巻線に掛合させるに当たり、移動の最初に第1アームに位置させる位置を指す。
さらに、第1アーム退避機構と第4アーム退避機構の組、および第2アーム退避機構と第3アーム退避機構の組の少なくともいずれかの組に属するアーム退避機構について、そのアームの退避のタイミングを調整する退避調整機構をそれぞれ含むようにするのが好ましい。厚さの異なる鉄心について巻線を施す場合には、少なくとも、第1アームと第4アーム、あるいは第2アームと第3アームのいずれかの組について、アームの退避のタイミングの調整を行う必要となる場合が多い。したがって、少なくともいずれかの組に属するアーム退避機構について、退避調整機構を備えることで、厚さの異なる鉄心についても適切に巻線を施すことができる。
さらに、第1〜第4アーム退避機構のいずれについても、第1〜第4アームに関し、その退避のタイミングを調整する第1退避調整機構〜第4退避調整機構をそれぞれ含むようにするのが好ましい。4つのアームについて調整することができることで、適切で細かな調整が可能となる。
さらに、請求項12に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アーム退避機構は、特定アーム駆動軸に固着された特定退避カム、及びこの特定退避カムに特定退避カム接点で接して従動する特定退避カム従動節を含み、前記特定退避調整機構は、上記特定退避カム従動節の上記特定退避カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定退避接点移動機構であるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定退避調整機構は、特定退避カムと特定退避カム従動節を含んでおり、特定退避カム従動節の特定退避カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させるだけで特定アームの退避のタイミングを調整できる。従って、構造が簡単で、特定アームの退避タイミングを容易に調整できる。
なお、特定退避調整機構(例えば第1退避調整機構)は、特定退避カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させることができればいずれの構成をも採用できる。例えば、特定退避カム従動節の形態を変化させる場合、即ち、自身の変形によって特定退避カム接点の位置を変化させうる構造とした特定退避カム従動節を用い、特定退避カム接点の位置を移動させる場合が挙げられる。また、特定退避カム従動節自身を移動させて特定退避カム接点の位置を変化させる場合が挙げられる。
また、接点の移動には、手動のほか、数値制御したアクチュエータによることもできる。
さらに、請求項13に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち前記特定アームに関する特定アーム進退機構は、前記特定アーム駆動軸に固着された特定進退カムと、この特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節と、上記特定進退カム従動節の上記特定進退カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定進退接点移動機構と、を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定アーム進退機構が、特定進退カムと特定進退カム従動節と特定進退接点移動機構を含んでいる。従って、特定進退カム従動節の特定進退カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させるだけで、特定アームの進退のタイミングを調整できるので、構造が簡単で、特定アームの進退タイミングを容易に調整できる。
しかも、この巻線装置は、同じ特定アームに関して、特定アーム退避機構に特定退避調整機構を有しており、特定進退カムは、特定退避カムと同じく特定アーム駆動軸に固着されている。このため、特定アーム(例えば第1アーム)のセット・退避動作と進退動作とを同時に、しかも互いに同期して行わせることができる。
なお、特定進退接点移動機構は、特定進退カム接点の位置を特定アーム駆動軸の周方向に変化させることができればいずれの構成をも採用できる。例えば、特定進退カム従動節の形態を変化させる場合、即ち、自身の変形によって特定進退カム接点の位置を変化させうる構造とした特定進退カム従動節を用い、特定進退カム接点の位置を移動させる場合が挙げられる。また、特定進退カム従動節自身を移動させて特定進退カム接点の位置を変化させる場合が挙げられる。
また、接点の移動には、手動のほか、数値制御したアクチュエータによることもできる。
また、特定退避カムと特定進退カム(第1退避カムと第1進退カム)とは、単一の固着機構によって隣接して特定アーム駆動軸(第1アーム駆動軸)に固着されてなるのが好ましい。このように2つのカムが単一の固着機構で固着されていると、固着機構の構造が簡単になる。また、2つの板状カムを1つの固着機構で駆動軸に固着すれば良いので、固着が容易である。また、2つのカムの間の位相を、カムの固定の際に容易に調整できる。
さらに、請求項14に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定退避接点移動機構は、特定進退接点移動機構を兼ねるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定退避接点移動機構が特定進退接点移動機構を兼ねる。例えば第1退避接点移動機構が第1進退接点移動機構を兼ねる。このため、特定退避カム接点(第1退避カム接点)の位置と特定進退カム接点(第1進退カム接点)の位置とを同時に調整し、特定アーム(第1アーム)のセット・退避のタイミング調整するとともに、この特定アーム(第1アーム)の進退のタイミングも同時に調整することができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、上記第1アームセット位置と第1アーム退避位置との間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、解放状態では上記第1アーム退避機構による上記第1アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第1アームを上記第1アーム退避位置に保持する第1退避位置保持機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、上記第2アームセット位置と第2アーム退避位置との間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、解放状態では上記第2アーム退避機構による上記第2アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第2アームを上記第2アーム退避位置に保持する第2退避位置保持機構と、上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、上記第3アームセット位置と第3アーム退避位置との間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、解放状態では上記第3アーム退避機構による上記第3アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第3アームを上記第3アーム退避位置に保持する第3退避位置保持機構と、上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、上記第4アームセット位置と第4アーム退避位置との間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、解放状態では上記第4アーム退避機構による上記第4アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第4アームを上記第4アーム退避位置に保持する第4退避位置保持機構と、を備えるステータ鉄心の巻線装置である。
巻線装置で、内歯に巻線を巻きつけてコイルを形成している期間には、どの時点においても4つのアームのうちいずれか1つ又は複数のアームが巻線に掛合している状態となっている。しかしながら、コイルを巻き終わった後は、次のコイルを巻くため、一旦、4つのアームすべてが巻線に掛合しない状態としてから、ステータ鉄心を軸線周りに回動させるなど巻線吐出装置やアームとステータ鉄心の位置関係を変更する必要がある。また、すべてのコイルを形成し終え、巻線装置からステータ鉄心(ステータ)を脱着する場合や逆にこの巻線装置にステータ鉄心を装着する場合にも、4つのアームのいずれもが巻線に掛合しない状態としておく必要がある。
これに対して、本発明の巻線装置では、第1〜第4退避位置保持機構を備えており、第1〜第4退避位置保持機構を退避保持状態とすると、第1〜第4アームがそれぞれアーム退避位置に保持される。従って、これ以降に各アームが各アームセット位置に位置して進退動作をして巻線と掛合することが防止される。このため、4つのアームについていずれもアーム退避位置に保持された状態となった後では、次のコイルを巻くために、ステータ鉄心と巻線吐出装置や各アームとの位置関係を変更することが可能となる。また、ステータ鉄心をこの巻線装置に着脱することが可能となる。
なお、本発明において第1アーム退避位置とは、巻線吐出装置をステータ鉄心に対して相対移動させて巻線を第1スロットや第2スロットに挿入したり、第1,第2スロット間に巻線を渡らせたりする場合に、第1アームが巻線吐出装置やステータ鉄心、成形されたコイル等と干渉することを防ぐために、予め第1アームを移動させて保持しておく位置を指す。第2〜第4アーム退避位置も同様である。
さらに、請求項16に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、前記第1アームセット位置〜第4アームセット位置のうち、上記特定アームに関するセット位置を特定アームセット位置とし、前記第1アーム退避位置〜第4アーム退避位置のうち、上記特定アームに関する退避位置を特定アーム退避位置としたとき、前記第1退避位置保持機構〜第4退避位置保持機構のうち上記特定アームに関する特定退避位置保持機構は、前記退避保持状態では、上記特定アームが上記特定アームセット位置から上記特定アーム退避位置へ移動するのは許す一方、上記特定アームが上記特定アーム退避位置から上記特定アームセット位置へ移動するのは許さず、上記特定アームを上記特定アーム退避位置に保持する特定移動規制機構であるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、第1〜第4退避位置保持機構のうち、特定アームに関する特定退避位置保持機構は、特定移動規制機構である。このため、退避保持状態とされると、特定アーム退避機構によって特定アームが特定アームセット位置と特定アーム退避位置との間を往復移動する場合のうち、特定アームが特定アームセット位置から特定アーム退避位置へ移動するのは許されるが、この逆は許されない。結局、どのタイミングで特定移動規制機構を退避保持状態としても、特定アームの特定アームセット位置と特定アーム退避位置との間の1回分の往復移動期間内に、特定アームが特定アーム退避位置に保持されることになる。従って、この特定移動規制機構を用いれば、この特定規制移動機構を退避保持状態にするタイミングの選択が容易となる。
なお、第1〜第4退避位置保持機構をそれぞれ、第1〜第4移動規制機構とするのが好ましい。
さらに、請求項17に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、前記特定アームを往復移動させるのための駆動力を伝え所定の往復運動をする特定伝達部材であって、上記特定アームが前記特定アームセット位置に位置するときと、上記特定アームが前記特定アーム退避位置に位置するときとで、特定保持端面が移動する特定伝達部材を含み、前記特定移動規制機構は、特定ロック部材とこの特定ロック部材をロック方向に付勢する特定弾性部材とを有する特定アンチバック機構であって、前記解放状態としたとき、上記特定ロック部材が上記特定伝達部材と離間し、前記退避保持状態としたときのうち、上記特定アームが特定アームセット位置から特定アーム退避位置までの間に位置しているときには、上記特定伝達部材を上記特定ロック部材で上記ロック方向に押圧し、上記特定アームが特定アーム退避位置に位置しているときには、上記特定ロック部材が上記ロック方向に移動して上記特定伝達部材の特定保持端面に掛合する特定アンチバック機構を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、特定伝達部材を簡単な機構の特定アンチバック機構を用いて、特定アームを解放状態及び退避保持状態にできるため、安価で操作容易である。
なお、第1〜第4移動規制機構が、それぞれ第1〜第4アンチバック機構を含むのが好ましい。
さらに、請求項17または請求項18に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記特定アームは前記第1アーム〜第4アームであり、前記特定アーム退避位置である第1アーム退避位置、第2アーム退避位置、第3アーム退避位置、第4アーム退避位置は、いずれも前記ステータ鉄心の外周面を軸線方向に延ばした仮想外周筒面よりも径方向外側に位置するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、各アームの退避位置を、ステータ鉄心の仮想外周筒面よりも径方向外側に位置させる。各アームをこのような位置に退避させれば、巻線を巻き付けている場合に、第1〜第4アームが巻線吐出装置と干渉しない上、ステータ鉄心をこの装置に取付け取外しするため、ステータ鉄心をその軸線方向に移動させても、第1〜第4アームとステータ鉄心とが干渉しないから、ステータ鉄心の取付け取外しが容易にできる。
つまり、各アームについて、巻線時の退避位置と、鉄心回動時の退避位置と、鉄心取付け取外し時の退避位置とを同じ位置とすることができるから、装置に機構を簡単にできる。
あるいは、請求項16〜請求項18のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、解放状態では前記第1アーム進退機構による前記第1アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第1アームを所定の第1アーム進退位置に保持する第1進退位置保持機構と、解放状態では前記第2アーム進退機構による前記第2アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第2アームを所定の第2アーム進退位置に保持する第2進退位置保持機構と、解放状態では前記第3アーム進退機構による前記第3アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第3アームを所定の第3アーム進退位置に保持する第3進退位置保持機構と、解放状態では前記第4アーム進退機構による前記第4アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第4アームを所定の第4アーム進退位置に保持する第4進退位置保持機構と、を備え、前記第1アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第1アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第1アームが位置する第1アーム退避位置でかつ第1アーム進退位置である第1アーム取出退避位置は、前記第2アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第2アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第2アームが位置する第2アーム退避位置でかつ第2アーム進退位置である第2アーム取出退避位置は、前記第3アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第3アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第3アームが位置する第3アーム退避位置でかつ第3アーム進退位置である第3アーム取出退避位置は、および前記第4アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第4アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第4アームが位置する第4アーム退避位置でかつ第4アーム進退位置である第4アーム取出退避位置は、いずれも、前記ステータ鉄心の外周面を軸線方向に延ばした仮想外周筒面よりも径方向外側に位置するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、各アームはアーム取出退避位置としたとき、ステータ鉄心の仮想外周筒面よりも径方向外側に位置する。各アームをこのような位置に退避させれば、ステータ鉄心をこの装置に取付け取外しするため、ステータ鉄心をその軸線方向に移動させても、第1〜第4アームとステータ鉄心とが干渉しないから、ステータ鉄心の取付け取外しが容易にできる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記コイルを成形した後に、上記ステータ鉄心を移動させることなく、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備えるステータ鉄心の巻線装置である。
スロット内に高密度に巻線を巻き付けてコイルを形成した場合には、巻線(素線)の一部がスロット内側開口部からステータ鉄心の内側にはみ出す虞があるため、ウェッジ部材をスロットに挿入して、巻線(素線)のスロット内側開口部からのはみ出しを防止するのが望ましい。ところで、スロット内に巻線を巻き付けた後に、ステータ鉄心の移動や移し替え作業などが介在すると、振動などによって巻線(素線)のはみ出しの危険性がより増える。一旦、巻線がスロット内側開口部からはみ出すと、機械的な自動処理でスロット内に巻線を戻すことは難しく、作業者が手指で戻す作業をした後に、ウェッジ部材を挿入することとなり、コストアップとなる。
これに対し、本発明の巻線装置では、コイルを成形した後に、ステータ鉄心の移動を経ることなくウェッジ部材を挿入することができる。このため、ウェッジ部材の挿入前に、巻線のはみ出しが生じ難くなり、効率よくコイル成形済スロットにウェッジ部材を挿入できる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、上記ウェッジ挿入機構は、上記ウェッジ部材の挿入に先立ち、上記コイルの裏面側コイルエンド部のうち、少なくとも上記コイル成形済スロットの上記裏面側に位置するスロット裏面側コイルエンド部を上記ステータ鉄心の径方向外側に向けて移動させるコイルエンド拡径機構を含むステータ鉄心の巻線装置である。
スロット内にコイルが成形されると、特にスロット内に高密度に多数の巻線(素線)が配置されていると、コイルをなす巻線のうち、ステータ鉄心の表面あるいは裏面から突出するコイルエンド部分は、径方向内側にも拡がり気味の形態となる。このため、ウェッジ部材を裏面側からスロット(コイル形成済スロット)内に挿入する際に、コイルエンド部分(スロット裏面側コイルエンド部)に当たるなどこの部分が障害となってウェッジ部材を挿入しにくい場合がある。あるいは、コイルエンド部の巻線に接触しながらウェッジ部材をスロット内に挿入するために、これらの間に生じる摩擦が抵抗となって、ウェッジ部材を挿入する際にウェッジ部材が座屈する場合がある。また、ウェッジ部材に摩擦されてコイルエンド部の巻線(素線)の表面(絶縁被覆)が傷つく虞もある。
これに対し、本発明の巻線装置では、コイルエンド拡径機構を有しているので、スロット裏面側コイルエンド部が径方向外側に移動させられており、このスロット裏面側コイルエンド部にウェッジ部材が当接して挿入困難となることを防止できる。あるいは、スロット裏面側コイルエンド部との接触による摩擦を減らす、あるいはスロット裏面側コイルエンド部とは非接触として摩擦を生じないようにできる。かくして、ウェッジ部材の挿入が容易になる。また、ウェッジ部材の座屈などの不具合をも防止できる。また、巻線の傷つきも防止できる。
ウェッジ部材としては、いわゆるウェッジ紙と呼ばれる絶縁紙や絶縁性樹脂シートを所定形状に成形したものや、絶縁性樹脂の成型体などが挙げられる。またウェッジ部材の形態は、スロット内側開口部付近の形状等を考慮し、スロット内に配置された巻線がスロット内側開口部からステータ鉄心の内周側にはみ出すのを防止できる形態であればいずれのものも採用できる。例えば断面略U字形やV字形としたものが挙げられる。
なお、上記では、コイルエンド拡径機構を有するウェッジ挿入機構を備えるステータ鉄心の巻線装置とした。しかし、別途ステータ鉄心にコイルを成形しておき、このステータ鉄心をセットしてウェッジを挿入するウェッジ挿入装置において、コイルエンド拡径機構を設けることもできる。但し、巻線装置と別にウェッジ挿入装置を設けるよりも、巻線装置にウェッジ挿入機構を設ける方が好ましい。巻線が巻かれた状態で、ウェッジ部材がスロットの挿入されていないコイルは、巻線の一部がスロット内側開口部からステータ鉄心の内側にはみ出す虞がある。鉄心の移し替え作業などが介在するとその危険性がより増える。一旦、巻線がはみ出すと、機械的な自動処理でスロット内に巻線を戻すことは難しく、作業者による作業の後に、ウェッジ部材を挿入することとなる。従って、コイルを成形した後に、移し替えなどの動作を経ることなくウェッジ部材を挿入するのが都合がよい。
さらに、請求項22に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記コイルエンド拡径機構は、前記裏面側でかつ前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置され、自身の当接面において、上記スロット裏面側コイルエンド部またはその近傍に径方向内側から当接する当接部材と、上記当接部材を径方向外側に向けて移動させて、上記当接部材を介して上記スロット裏面側コイルエンド部を径方向外側に向けて移動させる当接部材径方向移動機構と、を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、当接部材は当接面においてスロット裏面側コイルエンド部またはこの近傍に当接しており、当接部材移動機構によって当接部材が径方向外側に向けて移動することでコイルエンド部を径方向外側に向けて移動させる。このようにすれば、スロット裏面側コイルエンド部を容易に径方向外側に向けて移動させることができるから、ウェッジ部材を容易に挿入でき、また、ウェッジ部材の座屈等や巻線の傷つきも防止できる。
なお、当接部材移動機構としては、各種の機構を採用できるが、たとえば、当接部材に径方向内側から当接しつつ摺動する径方向位置決め面であって、径方向の位置が軸線方向に変化する径方向位置決め面を有するシャフトをステータ鉄心の軸線方向に移動させる機構を持つものが挙げられる。この機構によれば、シャフトを移動させると、径方向位置決め面のうち、当接部材と当接している部分の径方向位置が変わるので、これによって当接部材を径方向外側に移動させることができる。つまりシャフトを軸線方向に前後させるだけで、当接部材を径方向外側(あるいはこの逆)に移動させることができる。
さらに、請求項23に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、少なくとも、前記当接部材を前記裏面側から移動させて前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置するまでの間、上記当接部材は、その当接面が前記表面側に向かうほど径方向内側に位置する形態にされるステータ鉄心の巻線装置とするのが好ましい。
この巻線装置では、当接部材を裏面側からスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置するに当たって、当接部材の当接面の形態を裏面側に向かうほど径方向内側に位置するようにしてある。例えば具体的には、当接面が鉄心側に向かって先細のテーパ面となるようにしてある。このため、当接部材を裏面側に移動させてスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置する際に、当接部材にコイルエンド部の巻線が係合するなどの不具合を防止できる。
さらに請求項23に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記ステータ鉄心の軸線方向のうち、前記裏面から前記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、前記ウェッジ挿入機構は、前記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、前記当接部材が上記裏面側から移動して前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置されるまでの間、上記当接部材を上記ウェッジ部材よりも上記第1軸線方向に位置させつつ上記第1軸線方向に移動させ、上記当接部材が前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置された後は、上記ウェッジ部材の上記第1軸線方向への移動に拘わらず、このスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に上記当接部材を保持する当接部材移動保持機構と、を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、当接部材がスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置されるまでは、当接部材はウェッジ部材よりも第1軸線方向(つまり移動方向前方)に位置しつつ第1軸線方向に移動する。従って、当接部材がスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置されると、第1軸線方向に見て後ろ側にウェッジ部材が位置していることになる。
その後、当接部材はその位置で保持され、前述のように、当接部材径方向移動機構によりスロット裏面側コイルエンド部を径方向外側に移動させられる。一方、ウェッジ部材はさらに第1軸正方向に移動させられコイル成形済スロットに挿入される。
このため、ウェッジ部材がスロット裏面側コイルエンド部に当接等することを防止しつつ、当接部材を、ステータ鉄心の裏面側からスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置されるまで、確実に移動させることができる。そしてその後ウェッジ部材をスロットに挿入している間には、この位置に保持して、スロット裏面側コイルエンド部を径方向外側に移動させ、ウェッジ部材を容易に挿入することができる。
なお、当接部材をウェッジ部材よりも第1軸線方向に位置させつつ、第1軸線方向に移動させる際に、この当接部材をウェッジ部材と共に移動させることもできるし、当接部材を先に移動させ、その後ウェッジ部材を移動させても良い。
さらに、請求項22〜請求項24のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記ステータ鉄心の軸線方向のうち、前記裏面から前記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、前記ウェッジ挿入機構は、前記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、挿入路形成機構であって、挿入路形成部材を有し、この挿入路形成部材を、上記ウェッジ移動機構により移動される上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を前記スロット内側開口部を通して前記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された前記巻線を径方向外側に向けて移動させて、この挿入路形成部材に続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成する挿入路形成機構と、を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、上記ウェッジ挿入機構は、上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、挿入路形成機構であって、挿入路形成部材を有し、この挿入路形成部材を、上記ウェッジ移動機構により移動される上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を上記スロット内側開口部を通して上記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された上記巻線を径方向外側に向けて移動させて、続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成する挿入路形成機構と、を含むステータ鉄心の巻線装置である。
一般に、多数の巻線が高密度に配置されたコイル成形済スロット内にウェッジ部材を挿入しようとすると、ウェッジ部材のうち既に挿入された部分が巻線とスロットの内壁を構成するステータ鉄心との間に挟まれ、これらの間に摩擦が生じ挿入抵抗となる。この挿入抵抗は、ウェッジ部材の挿入が進むほど大きくなり、それ以上の挿入を難しくする。場合によっては、挿入抵抗が大きいためにウェッジ部材に座屈等の変形が生じて、挿入が困難となることもある。
上2つに記載の巻線装置では、ウェッジ部材をコイル成形済スロットに挿入するに先だって、挿入路形成機構によって、コイル成形済スロット内に配置された巻線が径方向外側に向けて移動させられ、ウェッジ部材の挿入路となる巻線とスロットの内壁との間の隙間が形成される。このため、ウェッジ部材の挿入抵抗が小さくなり、ウェッジ部材を座屈等を生じることなく容易にスロット内に挿入することができる。
さらに、請求項25または請求項26に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記挿入路形成部材は、第1軸線方向及び径方向に直交する回転軸を有し、この回転軸の周りに回転自在に保持された円板状のローラであって、その一部が前記スロット内側開口部を通って前記コイル成形済スロット内に挿入され、前記挿入路を形成するローラであるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、挿入路形成部材がローラであり、このローラで挿入路を形成する。このため、挿入路を形成するに当たって、ローラが回転しながらスロット内の巻線と当接して、これを径方向外側に向けて移動させる。従って、巻線が挿入路形成部材(ローラ)に擦られないため、巻線の絶縁被覆を傷付けにくい。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、その逆を第2軸線方向としたとき、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、上記ウェッジ挿入機構は、上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構を含み、上記ウェッジ移動機構は、上記ウェッジ部材と共に移動し、上記ステータ鉄心の上記軸線方向に延びて上記ウェッジ部材に径方向内側から当接するウェッジ当接面を有するウェッジサポート部と、上記ウェッジ当接面より上記第2軸線方向に位置し、上記ウェッジ部材の第2軸線方向端に当接して、上記ウェッジ部材の上記コイル成形済スロット内への挿入時に、このウェッジ部材を上記第1軸線方向に押圧するウェッジ押圧部と、を有するステータ鉄心の巻線装置である。
ウェッジ部材をコイル成形済スロットに挿入するに際し、その後端(第2軸線方向端)を前方(第1軸線方向)に押して、先端(第1軸線方向端)側からスロット内に挿入する場合がある。この場合には、巻線やスロットの内壁との間に生じる挿入抵抗が高くなると、ウェッジ部材自体に応力が掛かるため、ウェッジ部材が屈曲したり変形したり、さらには座屈したりする虞がある。
これに対し、本発明の巻線装置では、ウェッジサポート部のウェッジ当接面が径方向内側からウェッジ部材に当接し、このウェッジ当接面より第2軸線方向で、このウェッジ部材の第2軸線方向端(後端)を第1軸線方向に押圧して移動させる。このため、ウェッジ部材のスロット内への挿入の際、少なくとも、ウェッジ部材が径方向内側(ウェッジ当接面側)に膨らむような変形することを防止できる。従って、ウェッジ部材の変形が防止され、ウェッジ部材を確実にコイル成形済スロットに挿入することができる。
なお、ウェッジ部材として、断面U字状のウェッジ部材を、ステータ鉄心の径方向内側に凸となるようにしてスロットに配置して用いる場合がある。このような断面U字形のウェッジ部材は、長手方向に圧縮応力を受けると、この底部側に膨らむ形状となるように屈曲する場合、またはこの逆に開き側に膨らむ形状となるように屈曲する場合のほぼいずれかに限定される。
このようなウェッジ部材を用いた場合、本発明の巻線装置では、U字形状の底部をウェッジ当接面に当接させるようにウェッジ部材を配置することとなるため、特に、底部側に膨らむ形状となるように屈曲する屈曲パターンについて効果的にこれを防止することができる。
さらに、請求項28に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記ウェッジサポート部は、前記軸線方向及び径方向に延びる平板状で、前記ウェッジ当接面を径方向外側の端面とするブレード部であり、このブレード部の幅は、前記コイル成形済スロットのスロット内側開口部の幅よりも小さく、前記ウェッジ部材を上記コイル成形済スロット内に挿入する際に、上記ブレード部の少なくとも径方向外側の一部が、上記コイル成形済スロット内に位置するように移動させられるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、ウェッジ部材をコイル成形済スロット内へ挿入する際、ウェッジ部材に当接するウェッジ当接面を径方向外側に端面とするブレード部のうち、少なくとも径方向外側の一部がスロット内に位置するようにして、ウェッジ部材が挿入される。従って、ウェッジ部材をスロット内に挿入する際、このウェッジ部材がブレード部材によって径方向外側に押されるようにして挿入されるため、ウェッジ部材とスロット内壁面(ステータ鉄心)との間の摩擦を小さくすることができるから、より挿入抵抗を小さくしてウェッジ部材を容易に挿入することができる。
請求項28または請求項29に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記ウェッジ移動機構は、上記ステータ鉄心の裏面よりも第2軸線方向に位置し、前記コイル成形済スロット内への前記ウェッジ部材の挿入期間中に、前記ウェッジ当接面の一部と対向し、上記ウェッジ部材を介して上記ウェッジ部材に当接または近接するウェッジサポート面を有するサポート部材を備えるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、ウェッジ移動機構は、ウェッジ当接面を有するウェッジサポート部だけでなく、このウェッジ当接面に対向するウェッジサポート面をを有するサポート部材を備える。このウェッジサポート面は、ウェッジ部材に当接または近接するのでウェッジ部材の変形、特にウェッジ部材が径方向外側に膨らむように変形するのを防止する。従って、さらにウェッジ部材の変形や座屈を防止することができ、確実にウェッジ部材をコイル成形済スロット内に挿入することができる。
さらに、請求項30に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記サポート部材は、前記挿入期間のうち、少なくとも前記ウェッジ部材の挿入当初において、上記ウェッジ部材の前記軸線方向長さの半分以上の範囲に亘って、上記ウェッジ部材と当接または近接する前記ウェッジサポート面を備えるステータ鉄心の巻線装置とするのが好ましい。
一般に、挿入期間のうち挿入当初は、ウェッジ部材のうち先端(第1軸線方向端)がスロット内に挿入されているだけであるため、後端(第2軸線方向端)からウェッジ部材を第1軸線方向に押したときに、ウェッジ部材が最も変形や座屈しやすい時期である。
この巻線装置では、このような挿入期間のうち挿入当初に、ウェッジ部材の軸線方向長さの半分以上の範囲に亘って、ウェッジサポート面がウェッジ部材に当接あるいは近接している。このため、ウェッジ部材の変形や座屈を効果的に防止することができる。
さらに、請求項22〜請求項30のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記ウェッジ挿入機構は、前記コイル成形済スロットである前記第1スロット及び第2スロットの両者に、同時に前記ウェッジ部材を挿入するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、コイルが既に成形された第1スロット及び第2スロットの両者に同時にウェッジ部材を挿入する。このため、1回の挿入動作で、2つのスロットにウェッジ部材を挿入できるから、ウェッジ挿入にかかる時間を半分に短縮することができる。
あるいは、請求項22〜請求項30のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、上記巻線装置は、前記コイルを同時に複数成形する複数コイル同時巻線装置であり、前記ウェッジ挿入機構は、同時に成形された上記コイルの成形済スロットのいずれにも、同時に前記ウェッジ部材を挿入するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、複数のコイルを同時に成形し、既に成形されたコイルのコイル成形済スロットのいずれにもウェッジ部材を同時に挿入する。
このため、1回の挿入動作で、各コイルに対応する多数のスロットにウェッジ部材を同時挿入できるから、この巻線装置で複数のコイルを同時に成形できる上に、ウェッジ挿入も一度に済ますことができ、ウェッジ挿入にかかる時間を大幅に短縮できる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、上記ウェッジ挿入工程は、上記ウェッジ部材の挿入の前および挿入期間中に亘り、上記コイルの裏面側コイルエンドのうち、少なくとも上記コイル成形済スロットの上記裏面側に位置するスロット裏面側コイルエンド部を上記ステータ鉄心の径方向外側に向けて移動させるコイルエンド拡径工程を含むステータの製造方法である。
本発明のステータの製造方法では、巻線工程でコイルを成形した後に、ウェッジ挿入工程でステータ鉄心のコイル成形済スロットにウェッジ部材を挿入する。このため、ウェッジ部材の挿入前に、巻線のはみ出しが生じ難く、効率よくウェッジ部材を挿入できるから、ステータを効率よく安価に製造できる。
しかも、このウェッジ挿入工程には、ウェッジ部材の挿入の前および挿入期間中に亘り、少なくともスロット裏面側コイルエンド部を拡径するコイルエンド拡径工程を含む。このため、ウェッジ部材の挿入時には、スロット裏面側コイルエンド部が径方向外側に移動させられており、このコイルエンド部にウェッジ部材が当接して挿入困難となることを防止できる。あるいは、スロット裏面側コイルエンド部との接触による摩擦を減らす、あるいはスロット裏面側コイルエンド部とは非接触として摩擦を生じないようにできる。かくして、ウェッジ挿入工程におけるウェッジ部材の挿入を容易、確実に行うことができる。また、ウェッジ部材の座屈などの不具合をも防止できる。また、巻線の傷つきも防止できる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、上記ウェッジ挿入工程は、上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させると共に、挿入路形成部材を、上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を上記スロット内側開口部を通して上記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された上記巻線を径方向外側に向けて移動させて、この挿入路形成部材に続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成し、上記ウェッジ部材をこの挿入路に挿入する挿入路内挿入工程であるステータの製造方法である。
本発明のステータの製造方法では、巻線工程でコイルを成形した後に、ウェッジ挿入工程でステータ鉄心のコイル成形済スロットにウェッジ部材を挿入する。このため、ウェッジ部材の挿入前に、巻線のはみ出しが生じ難くなり、効率よくウェッジ部材を挿入できるから、ステータを効率よく安価に製造できる。
しかも、このウェッジ挿入工程は、ウェッジ部材の挿入に先立って、挿入路形成部材によってウェッジ部材の挿入路を形成し、この挿入路にウェッジ部材を挿入する。このため、ウェッジ部材の挿入抵抗が小さくなり、ウェッジ部材を座屈等を生じることなく容易、確実ににスロット内に挿入することができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、その逆を第2軸線方向としたとき、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、上記ウェッジ挿入工程では、上記ステータ鉄心の上記軸線方向に延びるウェッジ当接面に上記ウェッジ部材を径方向外側から当接させつつ、上記ウェッジ部材をその第2軸線方向端で上記第1軸線方向に押圧して移動させるステータの製造方法である。
本発明のステータの製造方法では、巻線工程でコイルを成形した後に、ウェッジ挿入工程でステータ鉄心のコイル成形済スロットにウェッジ部材を挿入する。このため、ウェッジ部材の挿入前に、巻線のはみ出しが生じ難くなり、効率よくウェッジ部材を挿入できるから、ステータを効率よく安価に製造できる。
しかも、このウェッジ挿入工程は、ウェッジ当接面にウェッジ部材を当接させつつ、このウェッジ部材をその第2軸線方向端(つまり、第1軸線方向に進むウェッジ部材の後端)で押して移動させる。従って、単にウェッジ部材を押しただけでは、ウェッジ部材が変形しして座屈する虞があるが、このウェッジ部材がウェッジ当接面に径方向外側から当接しつつ移動するので、少なくともウェッジ当接面側に膨らむように変形して座屈することが防止される。従って、ウェッジ部材の座屈を防止して、確実にウェッジ部材をスロットに挿入することができる。
さらに、請求項35に記載のステータの製造方法であって、前記ウェッジ挿入工程では、前記コイル成形済スロット内への前記ウェッジ部材の挿入期間中に、上記ステータ鉄心の裏面よりも第2軸線方向において、ウェッジ当接面の一部に対向するウェッジサポート面を前記ウェッジ部材に当接または近接させるステータの製造方法とすると良い。
本発明の製造方法では、ウェッジ挿入工程においてウェッジ部材の挿入期間中に、ウェッジ当接面にウェッジ部材を当接させるほか、このウェッジ当接面の一部に対向するウェッジサポート面をウェッジ部材に当接または近接させる。このため、ウェッジ当接面側に膨らむように変形して座屈する場合のほか、これとは逆にウェッジサポート面側に膨らむように変形して座屈ことも防止できる。かくして、ウェッジ部材の座屈を確実に防止して、ウェッジ部材を座屈無く、より確実にスロットに挿入することができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状を有し、その表面を上側とし、この表面及び上記裏面が水平となる姿勢で第1所定位置にセットされたステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記ステータ鉄心を第2所定位置から移動させて上記第1所定位置にセットし、および、上記第1所定位置から上記第2所定位置に取外す鉄心セット機構を備え、上記鉄心セット機構は、上記ステータ鉄心をその表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、上記第2所定位置と、上記第1所定位置または上記第1所定位置の上方の第3所定位置と、の間を水平に移動させる鉄心水平移動機構を含むステータ鉄心の巻線装置である。
本発明の巻線装置では、鉄心セット機構は、ステータ鉄心をその表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、第2所定位置と第1所定位置(または第1所定位置より上方の第3所定位置)との間を水平に移動させる鉄心水平移動機構を含んでいる。このため、鉄心を巻線装置の第1所定位置にセットし、あるいは第1所定位置から取り出すのが容易となる。
さらに、請求項37に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記鉄心セット機構は、前記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接し、このステータ鉄心の表面を上側としこの表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、上記ステータ鉄心を前記第3所定位置から鉛直方向下方の前記第1所定位置まで移動させ、および上記第1所定位置から鉛直方向上方の上記第3所定位置まで移動させる鉄心鉛直移動機構を含み、前記鉄心水平移動機構は、上記ステータ鉄心を、前記第2所定位置と上記第3所定位置との間を水平に移動させる鉄心水平移動機構であり、上記ステータ鉄心の裏面の外周縁部に当接して上記ステータ鉄心を載置する載置面を有し、水平に移動可能とされてなる載置具であって、この載置具のうちこの載置具を上記第2所定位置から上記第3所定位置まで移動させるときに前側となる部分を切り欠いて上記鉄心鉛直移動機構との干渉を防止した略U字形状とされてなる載置具を含むステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、鉄心セット機構は、鉄心鉛直移動機構を含み、鉄心水平移動機構は略U字形状とされてなる載置具を含む。この巻線装置でステータ鉄心をセットする場合、まず鉄心水平移動機構で第2所定位置からその表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で水平移動させて第3所定位置に位置させる。さらに、鉄心鉛直移動機構で、第3所定位置から、この姿勢のまま第1所定位置に位置させる。逆に、コイルが成形されたステータ鉄心を取り出す場合にはこの逆になる。従って、鉄心に第1所定位置で巻線を施す一方、作業者のセットや取り出しの容易さ、前工程や次工程との関連などを考慮し、第1所定位置よりも高い第2所定位置で、容易に鉄心を巻線装置にセットしあるいは巻線装置から鉄心を取り出すことができる。
しかも、このようにして鉄心をセットしあるいは取り出す際、鉄心水平移動機構の載置具は、略U字形状とされてなる。このため、鉄心をセットする際には、鉄心水平移動機構で第3所定位置に鉄心を位置させ、次いで鉄心を鉄心鉛直移動機構で第3所定位置よりも上方に持ち上げてこれに保持させた後に、鉄心鉛直移動機構や鉄心に干渉することなく載置具を復帰させることができる。あるいは、鉄心を取り出す際には、鉄心鉛直移動機構で鉄心を第3所定位置よりも上方に位置させた後、鉄心鉛直移動機構に干渉することなく載置具をセットし、その後鉄心鉛直移動機構により鉄心を第3所定位置に移動(下げる)ことで、鉄心を載置具に載せ替えることができる。
さらに、請求項38に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記コイルが既に成形された前記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち前記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を前記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、前記鉄心鉛直移動機構は、前記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接するリフト部材、および上記リフト部材を、このリフト部材を上昇させたときに、上記第1所定位置に配置された前記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する上昇適合位置と、他部材との干渉を防ぐ退避位置と、の間で、移動させるリフト部材退避機構、を備え、上記ウェッジ挿入機構は、上記上昇適合位置に位置する上記リフト部材を鉛直方向に上下動させ、このリフト部材を介して上記ステータ鉄心を上下動させるリフト部材鉛直移動機構を兼ねるステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、鉄心鉛直移動機構は、リフト部材の他にリフト部材退避機構とを有している。また、リフト部材鉛直移動機構を兼ねるウェッジ挿入機構を有している。
このため、まず、鉄心にコイルを成形したりウェッジ部材をスロットに挿入したりする間は、リフト部材を退避位置に位置させて、他部材との干渉を防止できる。
一方、コイルの成形およびウェッジ部材の挿入が終了して鉄心を取り出す場合には、リフト部材退避機構でリフト部材を上昇適合位置に位置させる。その後、リフト部材鉛直移動機構を兼ねるウェッジ挿入機構でリフト部材を上昇させれば、リフト部材が鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルのうち裏面側コイルエンド部に当接し、さらに鉄心を上方に持ち上げ、これを第3所定位置に位置させることができる。
また逆に、鉄心をセットする場合には、載置具で第3所定位置に位置させた鉄心を、リフト部材を上部に位置させたウェッジ挿入機構に移し替えた(リフト部材が鉄心に当接した状態でウェッジ挿入機構をさらに上昇させて、鉄心を第3所定位置より上昇させ、載置具を復帰させた)後に、ウェッジ挿入機構を下降させ、鉄心を第1所定位置に位置させる。その後、さらに下降させて、リフト部材を鉄心から離し、上昇適合位置に位置させる。リフト部材はリフト部材退避機構によって退避位置に位置させる。これによって、鉄心についてコイルの成形やウェッジ部材の挿入が可能となる。
このように、本発明の巻線装置では、リフト部材を用いることで、ウェッジ挿入機構をリフト部材移動機構と兼用することができる。このため、両者を兼用しない場合に比して、巻線装置の機構を簡単にすることができ、安価にできる。
なお、退避位置としては、コイルの成形やウェッジ挿入機構によるウェッジ部材の挿入などにおいて、リフト部材が他の機構などに含まれる他部材に干渉しない位置を選択すればよい。従って、リフト部材退避機構によって、リフト部材を上昇適合位置と退避位置との間を移動させる場合の移動経路としては、これら2つの位置を考慮し、適宜の経路を選択することができる。例えば、リフト部材を鉛直方向に延びる所定の回動軸回りに水平方向に回動させるほか、水平方向に延びる所定の回動軸回りに上方向または下方向に回動させる場合、捻り、螺旋回動など種々の移動経路を選択することができる。
さらに他の解決手段は、表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状を有し、その表面を上側とし、この表面及び上記裏面が水平となる姿勢で第1所定位置にセットされたステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構と、上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接し、このステータ鉄心の表面を上側としこの表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、上記ステータ鉄心を上記第1所定位置と、この第1所定位置より鉛直方向上方の第3所定位置と、の間を移動させる鉄心鉛直移動機構であって、上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接するリフト部材、および、上記リフト部材を、このリフト部材を上昇させたときに、上記第1所定位置に配置された上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する上昇適合位置と、他部材との干渉を防ぐ退避位置と、の間で移動させるリフト部材退避機構、を含む鉄心鉛直移動機構と、を備え、上記ウェッジ挿入機構は、上記上昇適合位置に位置する上記リフト部材を鉛直方向に上下動させ、このリフト部材を介して上記ステータ鉄心を上下動させるリフト部材鉛直移動機構を兼ねるステータ鉄心の巻線装置である。
鉄心のセット・取り出しとスロットへのウェッジ部材の挿入とを同時に行うことは無い。
本発明の巻線装置では、ウェッジ挿入機構と鉄心鉛直移動機構とを備え、リフト部材を用いることで、ウェッジ挿入機構をリフト部材移動機構と兼用ウェッジ挿入機構はリフト部材移動機構を兼用している。このため、両者を兼用しない場合に比して、巻線装置の機構を簡単にすることができ、安価にできる。
また、鉄心鉛直移動機構は、リフト部材とリフト部材退避機構とを有しているので、鉄心にコイルを成形したりウェッジ部材をスロットに挿入したりする間は、リフト部材を退避位置に位置させて、他部材との干渉を防止できる。
さらに、請求項39または請求項40に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、前記リフト部材は、少なくともその先端部が前記ステータ鉄心の内周面に緩挿可能な円筒面をなす頭部と、上記頭部の基端側に位置し、上記円筒面よりも径方向外側に突出し、上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する鍔部と、を有するステータ鉄心の巻線装置とすると良い。
本発明の巻線装置では、当接部材は、頭部と鍔部を有する。
そのうち、頭部はステータ鉄心の内周面内にこの頭部の先端部を緩挿できる。従って、リフト部材の頭部を鉄心の内周面内に緩挿すると、頭部の先端部がステータ鉄心の内周面に倣って緩挿されるから、鉄心の軸線に直交する方向に関するリフト部材の相対位置、従って、鍔部の相対位置を適切に定めることができる。
さらに、鍔部は円筒面よりも径方向外側に突出しているので、頭部を鉄心の内周面内に緩挿すると、ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形されたコイルのうち裏面側コイルエンド部に、裏面側からこの鍔部が当接する。
従って、このようなリフト部材を用いることで、リフト部材を鉄心あるいは裏面側コイルエンド部に当接させる際に、リフト部材を適切に位置決めして当接させることができる。
次いで、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態にかかるモータ1について、図1を参照して説明する。このモータ1は、ロータ9とステータ2とからなる三相モータである。このうち、ロータ9は、回転軸91を中心とする円筒形のロータ本体92と、永久磁石94とからなる8極の永久磁石ロータである。永久磁石94は、ロータ本体92に、平面視花びらのように、外周面近傍に沿ってジグザグに形成したスリット93Sにそれぞれ挿入固着されてなる。一方、ステータ2はこのロータ9を包囲するように配置されている。
図2、図3および図47に示すこのステータ2は、3相8極の分布巻きステータである。このステータ2は、図5に示すように、平面視リング状で、48ヶのティース(内歯)4、及び隣り合うティース4で構成される48ヶのスロット5を有するステータ鉄心3を備える。
また、それぞれ8ヶのU相コイル7u(71u〜78u),V相コイル7v(71v〜78v),W相コイル7w(71w〜78w)を備える。これらのコイルは、U相,V相,W相の各相毎に、素線(ペア素線)6pを複数本1組とした巻線6を用い、U相巻線6u,V相巻線6v,W相巻線6wを所定のスロット5(U,V,W相スロット5u,5v,5w)に挿入し、各ティース4に分布巻きによって巻き付けて形成してなる。
具体的には、図2及び図6〜図8に示すように、U相コイル7uは、スロット5のうちU相スロット5uに挿入されて、その間のティース4に巻回される。同様に、V相コイル7vは、V相スロット5vに挿入されてその間のティース4に、W相コイル7wは、W相スロット5wに挿入されてその間のティース4にそれぞれ巻回される。従って、U相,V相,W相スロット5u,5v,5wは、2つのU相スロット5u、2つのV相スロット5v、及び2つのW相スロット5wが、この順にステータ2(鉄心3)の周方向(図2において時計回り)に繰り返し並ぶように配置される。
さらに、このモータ1(ステータ2)では、各相の巻線は、図4に示すように、いわゆるダブルスター結線とされている。このため、U相巻線6uのうち、一方のU相巻線6Auにより、一方のU相コイル列7Auをなす4つのU相コイル71u〜74uが、この順にステータ2(鉄心3)の周方向(図2において時計回り)に並んで形成されている。また、他方のU相巻線6Buにより、他方のU相コイル列7Buをなす4つのU相コイル75u〜78uが、この順にステータ2の周方向(図2において時計回り)に並んで形成されている。同様に、V相巻線6vのうち、一方のV相巻線6Avにより、V相コイル列7AvをなすV相コイル71v〜74vがこの順にステータ2の周方向(図2において時計回り)に並んで形成され、他方のV相巻線6Bvにより、V相コイル列7BvをなすV相コイル75v〜78vがこの順にステータ2の周方向に並んで形成されている。さらに、W相巻線6wも、このうち一方のW相巻線6Awにより、W相コイル列7AwをなすW相コイル71w〜74wがこの順にステータ2の周方向(図2において時計回り)に並んで形成され、他方のW相巻線6Bwにより、W相コイル列7BwをなすW相コイル75w〜78wがこの順にステータ2の周方向に並んで形成されている。
U相巻線6Au,6Buの一端であるU相外部接続端61Au,61Buは互いに接続されて、U相外部接続端子65uとされている。同様に、V相巻線6Av,6Bvの一端であるV相外部接続端61Av,61Bvは互いに接続されて、V相外部接続端子65vとされている。さらに、W相巻線6Aw,6Bwの一端であるW相外部接続端61Aw,61Bwは互いに接続されて、W相外部接続端子65wとされている。
一方、U相巻線6Au,6Buの他端であるU相中性接続端62Au,62Bu、V相巻線6Av,6Bvの他端であるV相中性接続端62Av,62Bv、およびW相巻線6Aw,6Bwの他端であるW相中性接続端62Aw,62Bwは、結線66で互いに接続されて、中性点Nとされている。
このように、各相コイルの結線をダブルスター結線とすることで、このモータ1を駆動する際の印加電圧を低くできる利点がある。
また、図2,図3は、U相コイル7u(71u〜78u),V相コイル7v(71v〜78v),W相コイル7w(71w〜78w)のうち、ステータ鉄心3の表面3Aよりも外側に位置する表面側U相コイルエンド部7Hu,表面側V相コイルエンド部7Hv,表面側W相コイルエンド部7Hwを、それぞれステータ鉄心の表面3A側から見たときの、相互の位置関係をも示している。具体的には、図6〜図8に示すように、U相コイル7u(図6参照)、V相コイル7v(図7参照)、及びW相コイル7w(図8参照)の順に鉄心3に巻かれる。しかも、U相コイル7uの表面側U相コイルエンド部7Hu(裏面側も同様)がV相スロット5v及びW相スロット5wよりも径方向外側に位置するように、各U相コイル7uが成形される。また、V相コイル7vの表面側V相コイルエンド部7Hv(裏面側も同様)がU相コイル7uの表面側U相コイルエンド部7Huよりも径方向内側に配置されるように、各V相コイル7vが成形される。さらに、W相コイル7wの表面側W相コイルエンド部7Hw(裏面側も同様)がV相コイル7vの表面側V相コイルエンド部7Hvよりも径方向内側に配置されるように、各W相コイル7wが成形される。かくして、表面側U相コイルエンド部7Hu,表面側V相コイルエンド部7Hv,表面側W相コイルエンド部7Hwは、ステータ鉄心3の径方向外側から径方向内側に向かってこの順に配置されている。
なお、図1及び図2では、U相コイル7u,V相コイル7v,W相コイル7wにおける各相の巻線6u,6v,6wの巻き方(時計回りと反時計回り、正巻きと逆巻き)の違いを示すため、各相のコイル7u等の側部に「ドット(・印)」及び「クロス(×印)」を示した。各相のコイル7u等のうち、「クロス」で示される側は、各相の外部接続端子65u,65v,65wに近く、「ドット」で示される側は中性点Nに近いことを示している。これにより理解できるように、各相の8ヶのコイル7u,7v,7wは、それぞれ巻き付け方が交互に逆向きになっており、隣り合うコイルで発生する磁界が互いに逆極性となることが判る。
さらに、図3に示すように、U相巻線6uのうち、外部接続端子65u側の端部であるU相外部接続端61Au,61Buは、U相スロット5uのうち互いに隣り合うU相引出スロット5upから引き出されている。同様に、V相外部接続端61Av,61Bvは、互いに隣り合うV相引出スロット5vpから引き出されている。また、W相外部接続端61Aw,61Bwも、互いに隣り合うW相引出スロット5wpから引き出されている。
しかも、こららのU相外部接続端61Au,61Bu、V相外部接続端61Av,61Bv、及びW相外部接続端61Aw,61Bwは、いずれも各相の引出スロット5up,5vp,5wpから、同じ鉄心3の特定面側(本実施形態では表面3A側)に引き出されている。
このため、例えば、U相外部接続端子65uを形成するに当たって、隣り合うU相引出スロット5upから同じ表面3A側に引き出された2つのU相外部接続端61Au,61Buを導通すれば足りるので、U相外部接続端子65uを容易に形成することができる。V相,W相についても同様である。また、このため、このステータ2(あるいはモータ1)と外部配線(図示しない)との接続が容易である。
その上、本実施形態のステータ2について、U相外部接続端61Au,61Bu、V相外部接続端61Av,61Bv、及びW相外部接続端61Aw,61Bwの関係を見ると、これらが互いに近い位置に配置されている。具体的には、U相外部接続端61Au,61Buが引き出されているU相引出スロット5upと、W相外部接続端61Aw,61Bwが引き出されているW相引出スロット5wpとの間には、残るV相引出スロット5vpと同じV相のスロット5vのみが介在する。また、W相外部接続端61Aw,61Bwが引き出されているW相引出スロット5wpと、V相外部接続端61Av,61Bvが引き出されているV相引出スロット5vpとの間には、残るU相引出スロット5upと同じU相のスロット5uのみが介在するという関係になっている。
このように、本実施形態のステータ2では、各相の外部接続端61Au,61Bu,61Av,61Bv,61Aw,61Bwが、互いに近い位置に引き出されているため、これらで形成される外部接続端子65u,65v,65wの近接した位置に配置できる。このため、外部配線(図示しない)との接続が特に容易である。
また、本実施形態のステータ2では、上述のようにして各相の巻線6u,6v,6wを巻回して各相のコイル7u,7v,7wを形成したので、U相、V相、W相の一方のコイル列7Au,7Av,7Aw、及び他方のコイル列7Bu,7Bv,7Bwにおけるコイルの巻き方向がいずれも同じになっている。例えば、U相コイル列7Auについて見ると、U相コイル71u、72u、…の順に、正巻き、逆巻き、正巻き、逆巻きの順になっている。V相コイル列7AvやW相コイル列7Awについても同様である。また、コイル列7Bu,7Bv,7Bwについても同様である。なお、鉄心の内側から各コイルを見たときに、反時計回りに巻回する巻き方を正巻き、時計回りに巻回する巻き方を逆巻きとしている。
従って、各相のコイルを同じパターンで形成することができるから、製造が容易で安価なステータとなすことができる。
このステータ2では、各相の第1コイル列7Au,7Av,7Awに属するコイルと、第2コイル列7Bu,7Bv,7Bwに属するコイルとが、ステータ2の軸線3Xに対して線対称(図2において、中心に対して点対称)に配置されている。
そこでこのステータ2の製造方法、具体的には、U相コイル形成工程、V相コイル形成工程、W相コイル形成工程において、以下のようにして各コイルを形成する。例えばU相コイル形成工程では、U相巻線6Au,6Buをそれぞれティース4に直巻きしてU相コイル7uを形成するのであるが、2組のU相巻線6Au,6Buのうち、第1U相巻線6AuをU相外部接続端61Au側から巻き始めて、第1U相コイル列7Auに属するU相コイル71u〜74uを形成する。これと共に、第2U相巻線6BuをU相中性接続端62Au側から巻き始めて、第1U相コイル列7Auに属するU相コイル71u〜74uの形成と同期して、第2U相コイル列7Buに属するU相コイル75u〜78uを形成する。
このようにすると、形成途中の各段階において形成している2つのU相コイル(例えばU相コイル71uと75u)は、常にステータ2の軸線3Xに対し線対称(図2において、中心に対して点対称)の位置にあることになる。つまり、2つのU相コイルを形成するに当たり、鉄心3の内側空間において、互いに最も離れた部位で巻線作業を行うことができる。このため、第1,第2U相巻線6Au,6BuをU相スロット5u内に挿入してティース4に、2組のU相巻線6Au,6Buを巻き付けるに当たって、後述するように、巻線装置100において、2組の巻線6を吐出する巻線吐出装置200その他の治工具を鉄心3の内側空間内に容易に配置することができるため、U相コイル7uの形成が容易になる。
これらはその後のV相コイル形成工程においても同様であり、第1,第2V相巻線6Av,6BvをV相スロット5v内に挿入して、ティース4にV相巻線6Av,6Bvを巻き付けるに当たって、2組の巻線6を吐出する巻線吐出装置200等を鉄心3の内側空間内に容易に配置することができるため、V相コイル7v形成を容易にできる。
同様に、さらにその後のW相コイル形成工程においても、第1,第2W相巻線6Aw,6BwをそれぞれW相スロット5w内に挿入してティース4にW相巻線6Aw,6Bwを巻き付けるに当たって、巻線吐出装置200等を鉄心3の内側空間内に容易に配置することができるため、W相コイル7w形成を容易にできる。
さて、図5に示すステータ鉄心3は、既に説明したように、平面視リング状で、径方向内側に向かって延びる48ヶのティース4、及びこれらのティース4同士の間に位置する同じく48ヶのスロット5を有している。このステータ鉄心3は、例えば方向性珪素鋼板をプレス打ち抜きして形成した鋼板39を積み重ね互いに固着して構成されている。
なお、本実施形態では、図3に矢印で示すように、鉄心3の軸線(中心軸)3Xに沿う方向(軸線方向3XP)のうち、鉄心3の裏面3Bから表面3Aに向かう方向を第1軸線方向3X1とする。この逆に、鉄心3の表面3Aから裏面3Bに向かう方向を第2軸線方向3X2とする。
このステータ鉄心3のティース4に、U相巻線7u,V相巻線7v,W相巻線7wをそれぞれ巻き付けるのであるが、本実施形態では、図10〜図12にその概要を示すステータ鉄心の巻線装置100を用いて、ステータ鉄心3に巻線を施す。なお、図10〜図12は、巻線装置100の概要を示す図であり、適宜、各部分を消去して示してあるので、互いに一致しない部分がある。例えば、図10および図12では、鉄心3およびステータ2を記載したが、図11においては、記載していない。
この巻線装置100では、正面から見て(図10)、略中央のセット位置に鉄心3(ステータ2)が位置するようにセットされる。具体的には、この鉄心3は、その表面3Aが上方を、裏面3Bが下方を向き、軸線3Xが鉛直線にほぼ一致するように配置される。
鉄心3の上方(正面視中央上方)には、巻線6を吐出する第1,第2吐出部210,220(図13参照)を有する巻線吐出装置200を上下動させる軸線方向移動機構300と、第1,第2吐出部210,220を水平方向に回動(揺動)させる吐出部回動機構400とが配置されている。これらは、具体的には図23〜図26に示すように動作する。
また、鉄心3の正面視右側には、第1〜第4アーム501〜504(図34参照)のうち、第1,第4アーム501,504を駆動する1−4アーム駆動機構560、および第2,第3アーム502,503を駆動する2−3アーム駆動機構570が配置されている。
一方、鉄心3の正面視左側には、これらとは対称に、対称第1〜第4アーム1501〜1504(図34参照)のうち、対称第1,第4アーム1501,1504を駆動する対称1−4アーム駆動機構1560、および第2対称,第3アーム1502,1503を駆動する対称2−3アーム駆動機構1570が配置されている。
さらに、1−4アーム駆動機構560、および対称1−4アーム駆動機構1560は、それぞれ、1−4アーム高さ調整機構580及び対称1−4アーム高さ調整機構1580によって、上下方向の位置を変えることができるようにされている。
第1〜第4アーム501〜504、及び対称第1〜第4アーム1501〜1504は、これらの駆動機構によって動作すると共に、第1,第2吐出部210,220が上下動及び回動する。このため、具体的には、図34〜図40に示すような一連の動きが得られ、鉄心3に巻線6が巻回される。
また、図12を参照すると理解できるように、鉄心3(ステータ4)は、鉄心保持機構900(図59参照)によって保持されると共に、鉄心回動機構960によって、軸線3Xの周りに回動させることができる。
鉄心3の下方には、後述するように(図47参照)、スロット内にウェッジ部材8を挿入するためのウェッジ挿入機構700が配置されている。
またその前方(図12中左方)には、リフト部材821(図61参照)をウェッジ挿入機構700の上方に配置したり、退避させたりするためのリフト部材退避機構830が配置されている。
この鉄心3(ステータ2)は、略正面中央に位置する鉄心水平移動機構810(図11,図12参照)によって、鉄心保持機構900の上方と外部(作業者の手前)との間を回動させ、鉄心3(ステータ2)外部に取り出し、あるいはこの巻線装置100にセットすることができる。
以下において、この巻線装置100の各部の詳細について説明する。まず、鉄心3に巻回する巻線6を吐出する巻線吐出装置200について説明する。本実施形態の巻線装置100では、巻線吐出装置200は、複数の素線からなる巻線6を、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220の2つの部位から吐出させることができる(図13〜図16参照)。このため、同時に2つのコイルを鉄心3に巻回することができる。
このうち、第1巻線吐出部210は、図13に示すように、紙面に垂直な軸線3Xに平行(図中紙面に垂直)な回転軸を持つ2つのノズルローラ212の間隙を各素線6の直径より僅かに大きくして、この間隙を第1ノズル211としてある。従って、複数の素線6が、この第1ノズル211から、軸線方向3XP(図中紙面に垂直方向)に一列に並んだ状態で吐出される。この第1巻線吐出部210では、ノズルローラ212によって形成される第1ノズルから素線6が吐出されるので、素線6の吐出の際に、素線6が摩擦されることが防止され、素線6の絶縁被覆にキズが付くのが防止されている。
さらに、この第1ノズル211の上下端には、図15及び図16に示すように、軸線方向3XPに直交する回転軸を持つ端部ローラ214,215が設けられている。このため、この第1素線吐出部210を上下動させたときに、吐出された素線6、特に最も外側の素線が強く屈曲されるのを防止するとともに、最も外側の素線6が第1巻線吐出部210と摩擦して、この素線6の絶縁被覆のキズ付くのを防止している。
第2巻線吐出部220についても同様であり、2つのノズルローラ222の間隙を第2ノズル221としてあるため、複数の素線6が、この第2ノズル221から、軸線方向3XPに一列に並んだ状態で吐出される。さらに、この第2ノズル221の上下端にも、図示しない端部ローラが設けられている。
第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220は、図13及び図14に示すように、後述する吐出部回動機構400によって、軸線3Xの周りを水平方向(図中紙面沿う方向)に所定角度(本実施形態では、37.5度)だけ互いに逆相に回動(揺動)する。即ち、第1巻線吐出部210が時計回りに回動(図13から図14の状態に変化)した場合、第2巻線吐出部220は反時計回りに回動する。
このため、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220とは、仮想対称平面ASについて、常に対称の位置に配置される。これにより、第1巻線吐出部210の第1ノズル211は、第1スロット51(第1U相スロット51u)に正対する場合(図13の場合)と、この第1スロット51から5つ分離れた(間に4つのスロット5が介在する)第2スロット52(第2U相スロット52u)に正対する場合(図14の場合)との間を揺動することとなる。また、第2巻線吐出部220の第2ノズル221は、対称第1スロット151(対称第1U相スロット151u)に正対する場合(図13の場合)と、対称第2スロット152(対称第2U相スロット152u)に正対する場合(図14の場合)との間を揺動することとなる。
この揺動と、後述する上下方向の往復移動により、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220によって、同時に2つのコイル(図13,図14の場合には、U相コイル71uと75u)を形成できる。
上述のように、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220とを、仮想対称平面ASについて、常に対称の位置に配置したことにより、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220とを回動させても、不要な振動、ねじれなどが生じ難く、安定して動作させることができる。また、左右対称形にすることで、巻線装置100(巻線吐出装200)の設計が容易になる。
さらに、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220は、第1,第2直線走行ユニット312,322に各々固着されている。この直線走行ユニット312,322と、第1,第2直線状レール311,321とは、それぞれ軸線方向案内機構310,320を成している。従って、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220は、軸線方向3XPにスムーズに移動可能とされている。第1,第2直線状レール311,321は、それぞれ第1,第2レールサポート部材313,323に固着されている。
なお、図15及び図16に示すように、第1巻線吐出部210の左右には、軸線方向3XPに直交する回転軸を持つサポートローラ235,236をそれぞれ有する吐出部サポータ231,232が配置されている。サポートローラ235,236は、第1巻線吐出部210を上下動させる際に、巻線6を挿入するスロット5から所定角度離れた位置にあるスロット内をそれぞれ通って、第1巻線吐出部210の周方向の位置決めを補助する。第2巻線吐出部220の左右にも、同様に、サポートローラをそれぞれ有する吐出部サポータが配置され、第2巻線吐出部220の周方向の位置決めを補助している。
また、第1,第2巻線吐出部210,220の上方には、上方から供給される巻線6を整列させつつ案内する巻線案内部241,242が形成されている。
但し、各図において記載を簡略化し、第1,第2巻線吐出部210,220の動き等を明確に示すなどのため、吐出部サポータ231,232等については、記載を省略することがある。
次いで、この巻線吐出装置200(第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220)に所望の動作をさせる、具体的には第1,第2巻線吐出部210,220に上下動を行わせる軸線方向移動機構300と、揺動(回動)を行わせる吐出部回動機構400の構造及びその動きを、図17〜図26を参照して説明する。
まず、図17〜図21を参照して、軸線方向移動機構300と吐出部回動機構400の構造を説明する。なお、図17〜図21の各図は、理解容易のため、適宜各部分を除いて示しているので、相互に一致しない部分がある。
本実施形態では、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220を上下動させるために、移動駆動軸340の回転運動を、クランク機構350を用いて、往復直線運動(上下運動)に変換する。
具体的にこのクランク機構350は、クランク節として、移動駆動軸340を中心軸とする円板状のタイミングプレート351を有する。また、連結節として、一端部でこのタイミングプレート351の周囲に位置するクランク連結軸352に回動可能に結合し、他端部でヘッド連結軸354に回動可能に結合した連結ロッド353を有する。また、それぞれ鉛直方向(軸線方向3XP)に延びる直線レール357とこれに沿って走行する走行ユニット358からなる二対の案内部356によって、軸線方向3XP(図中上下方向)に案内され、往復直線運動をするヘッド355を有する。
ヘッド355の正面部355Sには、第1,第2吐出部結合ロッド361,362が、下方に延びて配置され、第1,第2巻線案内部241,242にそれぞれ接続している。
このため、ヘッド355の上下動に同期して、第1,第2吐出部結合ロッド361,362が上下動すると、第1,第2巻線案内部241,242及び第1,第2巻線吐出部210,220が、第1,第2直線状レール311,321に沿って、軸線方向3XPに上下動する。
なお、本実施形態においては、第1,第2吐出部結合ロッド361,362が、いずれもヘッド355の正面部355Sに接続されているから、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220とは、同期しかつ同相で同振幅だけ上下動する。しかも、容易に理解できるように、移動駆動軸340が一回転することによって、第1,第2巻線吐出部210,220が、第1,第2直線状レール311,321に沿って、軸線方向3XPに1回上下に往復運動する。
また、本実施形態では、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220を揺動(図11,図12参照)させるために、回動駆動軸430の回転運動を、図20,図21に示すカム機構450を含む回動変換機構440を用いて、往復揺動(往復回動)に変換する。
回動駆動軸430には、カム451が固着されている。まず、リフタ441の固着された接点ローラ452によって、回動駆動軸430の回転運動は、リフタ441にの往復直線運動、具体的には、軸線方向3XPに直交する、この巻線装置100の正面視前後方向(図21中左右方向)についてのリフタ441の往復直線運動に変換される。
なお、このリフタ441は、四隅にそれぞれ固着された4本の摺動ロッド442がそれぞれ案内筒443で案内されることによって、その運動方向が規制されている。
リフタ441の両側面441A,441Bには、それぞれ第1,第2連結アーム444,445が水平面(軸線方向3XPに直交する面)内を回動自在となるように結合されている。また、この第1,第2連結アーム444,445は、それぞれ第1,第2保持プレート446,447に対して、水平面内を回動自在となるように結合されている。
この第1保持プレート446には、第1レールサポート部材313が固着されている。従って、第1保持プレート446は、第1レールサポート部材313を介して、第1直線状レール311、第1直線走行ユニット312、及び第1巻線吐出部210と接続している。同様に、第2保持プレート447には、第2レールサポート部材323が固着されている。また、第2保持プレート447は、第2レールサポート部材323を介して、第2直線状レール321、第2直線走行ユニット322、及び第2巻線吐出部220と接続している。
さらに、この第1,第2保持プレート446,447は、それぞれその上下端部にブラケット448,449を備えている。このうち、ブラケット448には、第1円弧状走行ユニット413,414が、また、ブラケット449には、第2円弧状走行ユニット423,424がそれぞれ結合されている。
そして、第1円弧状走行ユニット413とで第1上側円弧状案内機構410Uを構成する第1円弧状レール411と、第2円弧状走行ユニット423とで第2上側円弧状案内機構420Uを構成する第2円弧状レール421は、水平面内に位置する同じ第1仮想円AC1に沿って配置されている。
また、第1円弧状走行ユニット414とで第1下側円弧状案内機構410Dを構成する第1円弧状レール412と、第2円弧状走行ユニット424とで第2下側円弧状案内機構420Dを構成する第2円弧状レール422は、第1仮想円AC1より下方でこれと同軸で、水平面内に位置する同じ第2仮想円AC2に沿って配置されている。
なお、第1,第2仮想円AC1,AC2は、いずれも、この回線装置100のセット位置に鉄心3をセットした状態における鉄心3の軸線3Xと同軸にされている。
従って、上述のように、リフタ441が、巻線装置100の正面視前後方向について往復直線運動をすると、連結アーム444,445を通じて、第1,第2保持プレート446,447がそれぞれ第1,第2円弧状案内機構410,420(410U,410D,420U,420D)によって円弧を往復して描く往復円弧運動を行うことになる。かくして、この第1,第2保持プレート446,447にそれぞれ接続された第1,第2巻線吐出部210,220を、第1,第2仮想円AC1,AC2の軸線、従って、鉄心3の軸線3Xの周りを回動(揺動)させることができる。また、容易に理解できるように、回動駆動軸430を一回転させると、第1,第2巻線吐出部210,220が、鉄心3の軸線3Xの周りを1回往復回動(揺動)する。
しかも、この巻線装置100では、移動駆動軸340と回動駆動軸430とは同一である。従って、1つの移動駆動軸340(430)によって、第1,第2巻線吐出部210,220の上下動と回動(揺動)とを行わせる。このため、移動駆動軸340(430)を一回転させると、第1,第2巻線吐出部210,220が1往復上下運動をすると共に、1往復回動(揺動)するというように、巻線吐出部210,220の上下運動と回動とは同期する。
なお、移動駆動軸340(430)の駆動力は、図19,図20に示すように、回転軸341の回転をタイミングベルト342,ギアボックス343を通じて得ている。
また、第1,第2巻線吐出部210,220の上下動と回動(揺動)の位相は、移動駆動軸340(回動駆動軸430)にカム451を固着する際の、タイミングプレート355に対する位置関係(角度関係)から、容易に決定することができる。
かくして、本実施形態の巻線装置100では、軸線方向移動機構300及び吐出部回動機構400によって、図23〜図26に示すような、第1,第2巻線吐出部210,220の上下動と回動(揺動)の動作を得ることできる。
このうち、図23は、ヘッド355及び第1,第2巻線吐出部210,220が上死点に位置するときの様子を示している。このとき、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221が、互いに逆側を向いた状態(正面視、左右に向く状態)となるように、移動駆動軸340(430)へのカム451の取付角度が設定されている。
その後、移動駆動軸340を回転させ、タイミングプレート351を図中時計方向に回転させると、図24に示すように、ヘッド355及び第1,第2巻線吐出部210,220が、図23に示す場合よりも下方に移動する。これと共に、カム451の回転によって、第1,第2保持プレート446,447及び第1,第2巻線吐出部210,220が回動して、図13に示す状態となる。
さらに移動駆動軸340を回転させ、タイミングプレート351を図中時計方向に回転させると、図25に示すように、ヘッド355及び第1,第2巻線吐出部210,220が下死点に位置するようになる。これと共に、カム451の回転によって、第1,第2保持プレート446,447が逆方向に回動して、再び、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221が、互いに逆側を向いた状態(正面視、左右に向く状態)となる。
その後、さらに移動駆動軸340を回転させ、タイミングプレート351を図中時計方向に回転させると、図26に示すように、ヘッド355及び第1,第2巻線吐出部210,220が、図25に示す場合よりも上方に移動する。これと共に、カム451の回転によって、第1,第2保持プレート446,447が回動して、図14に示す状態となる。
そして、さらに移動駆動軸340を回転させ、タイミングプレート351を図中時計方向に回転させると、図23に示す状態に戻り、再びヘッド355及び第1,第2巻線吐出部210,220が上死点に位置する。これと共に、再び、第1,第2ノズル211,221が、互いに逆側を向いた状態(正面視、左右に向く状態)となる。
この巻線装置100の軸線方向移動機構300及び吐出部回動機構400によって、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221について、このような上下動と回動(揺動)を繰り返しさせることにより、第1ノズル211については、軸線3Xから外向きに見た場合、巻線6を鉄心3のティース4に反時計回り(正巻き)に巻回することができる。また、第2ノズル221については、巻線6をティース4に時計回り(逆巻き)に巻回することができる。
なお、移動駆動軸340(430)を逆方向に回転させれば、上述とは逆に、第1ノズル211について巻線6を鉄心3のティース4に時計回り(逆巻き)に巻回し、第2ノズル221については、巻線6をティース4に反時計回り(正巻き)に巻回することができる。
また、本実施形態の巻線装置100では、軸線方向移動機構300において、振幅調整機構370(第1軸間調整機構371)を有している。具体的には、連結ロッド353(図17,図18参照)の一端部に位置するクランク連結軸352は、その位置をタイミングプレート351の径方向について変化させることができるようになっている。具体的には、クランク連結軸352は、軸受け具373の周りに回動可能にされており、この軸受け具373は、スライダ372に固着されている。このスライダ372は、タイミングプレート351にスライド可能に取り付けられている。このため、このスライダ372の位置を止めネジ374で調整することによって、クランク連結軸352の径方向位置を調整することができる。かくして、移動駆動軸340とクランク連結軸352との間の軸間距離(第1軸間距離)を変えることができる、ヘッド355や第1,第2巻線吐出部210,220の上下動の中心位置を変えることなく、上下動の範囲、即ち振幅を変化させることができる。
さらに、本実施形態の巻線装置100では、軸線方向移動機構300において、中心位置調整機構380(第2軸間調整機構381)を有している。具体的には、連結ロッド353は、右ネジが螺刻された第1ネジ付きロッド382と、左ネジが螺刻された第2ネジ付きロッド383と、これらにそれぞれ螺合する調整バー384とを有している。このため、連結ロッド353は、調整バー384を軸線周りに回転させることによって、その長さを伸縮することができる。これにより、クランク連結軸352とヘッド連結軸354との間の軸間距離(第2軸間距離)を変えることができるから、ヘッド355や第1,第2巻線吐出部210,220の上下動の振幅を変えることなく、上下動の範囲を上方あるいは下方にシフトさせる、つまり、上下動の中心位置を上方あるいは下方に移動・調整することができる。
このように、本実施形態の巻線装置100では、振幅調整機構370及び中心位置調整機構380を有している。このため、この巻線装置100で、異なる厚さの鉄心3に巻線を施す際に、第1,第2巻線吐出部210,220の上下動の振幅や中心位置の調整を行うことにより、適切に巻線を施すことができる。具体的には、本実施形態の巻線装置100では、鉄心3の裏面(下面)3Bの高さを、その厚さに拘わらず一定位置をワーク基準位置(鉄心3の裏面3Bの高さ方向の位置)BPに一致させるので、図22に示すようにして調整すると良い。
図22(a)に示すように、鉄心3が基準厚さT0であり、形成されるコイルのコイルエンド高さを共にHC0、ノズルの上死点及び下死点におけるコイルエンドからノズルまでの高さをHN、クランク連結軸352とヘッド連結軸354との間の軸間距離(第2軸間距離)をL0とする。すると、移動駆動軸340とクランク連結軸352との間の軸間距離(第1軸間距離)R0は、R0=T0/2+HC0+HNとなる。
一方、厚さがTの鉄心を用い、コイルエンドの高さをHCとしたステータ2を形成する場合には、上記の状態を基準として、ワーク基準位置BPを変えないとすると、以下のようにする。即ち、図22(b)に示すように、第1軸間距離Rを、R=T/2+HC+HNとすればよい。但し、ノズルの上死点及び下死点におけるコイルエンドからノズルまでの高さHNはいずれも変更しないとした。また、第2軸間距離Lは、L=L0−(T0−T)/2とすればよい。
このように調整することにより、鉄心3の厚さ(T0→T)やコイルエンド高さ(HCO→HC)を変えても、ノズルの上死点及び下死点におけるコイルエンドからノズルまでの高さHNを確保できる適切な振幅とすることができる。また、上下動の中心位置を鉄心3の厚さ方向中心に定めることができるので、第1,第2巻線吐出部210,220を、鉄心3の表面3A側及び裏面3B側に均等に移動させることができる。このため、表面3A側及び裏面3B側で均等に巻線6を巻くことができる。
次いで、第1〜第4アーム501〜504及び対称第1〜対称第4アーム1501〜1504を動作させる機構及びこれらのアームの動作について説明する。まず、1−4アーム駆動機構560、2−3アーム駆動機構570、対称1−4アーム駆動機構1560、及び対称2−3アーム駆動機構1570(図10参照)について説明する。なお、1−4アーム駆動機構560に対して、他の駆動機構は、上下対称、あるいは左右対称など対称形状の機構としてあるので、代表して、1−4アーム駆動機構560について、図27〜図33を参照して説明することとする。
この1−4アーム駆動機構560は、第1アーム501に関し、この第1アーム501を第1スロット方向51R(図33参照)に沿って往復進退させる第1アーム進退機構510と、この第1アーム501を第1アームセット位置611と第1アーム退避位置612との間で往復移動させる第1アーム退避機構610と、を有する。また、第4アーム504に関し、この第4アーム504を第2スロット方向52Rに沿って往復進退させる第4アーム進退機構540と、この第4アーム504を第4アームセット位置641と第1アーム退避位置642との間で往復移動させる第4アーム退避機構640と、を有する。
なお、図27〜図30はいずれも、第1アーム進退機構510と第1アーム退避機構610に関しては、第1アーム501が第1アーム退避位置612に位置する場合の形態を示している。また、第4アーム進退機構540と第4アーム退避機構640に関しては、第4アーム504が第4アームセット位置641からさらに第2スロット外方向52Sに進行した引き位置598(後述する)に位置する場合の形態を示している。
以下に説明するように、第1アーム進退機構510と第4アーム進退機構540とは、共通の駆動軸506を挟んで、略対称で同様な構造を用いて、第1,第4アーム501,504をそれぞれ進退させる。また、第1アーム退避機構610と第4アーム退避機構640も、共通の駆動軸506を挟んで、略対称で同様な構造を用いて、第1,第4アーム501,504をそれぞれ移動させる。そこで、以下の説明においては、図27〜図30において良く構造が現れている第4アーム進退機構540と第4アーム退避機構640を中心に説明する。
まず、アームの進退機構に関し、第4アーム進退機構540について説明する。第4アーム進退機構540は、軸線506X(509X)を有し、第1アーム進退機構510と共通の1−4アーム駆動軸506(第1アーム駆動軸506,第4アーム駆動軸509)で駆動される。具体的には、この1−4アーム駆動軸506には第4進退カム541が固定されている。なお、第4進退カム541は、第1アーム進退機構510において、第1進退カム511としても用いられている。
この第4進退カム541の回転により、その外周面で接するローラからなる第4進退カム接点542Tがカム541の径方向に往復運動をする(図29参照)。この第4進退カム接点542Tを有する第4進退カム従動節542は、そのうちの第4従動節固定端542Fが固定軸材944に回動自在に固定されている。このため、第4従動節固定端542Fを支点として、第4従動節移動端542Mが円弧状に往復運動する。第4進退移動プレート543には、第4進退案内ユニット544の走行ユニット544Aが固着されており、円弧レール544Bに沿う方向への移動のみが許されている(図28参照)。一方、この第4進退移動プレート543の開口543P内に、第4従動節移動端542Mを保持しているため、第4進退移動プレート543は、円弧レール544Bに沿って移動する。
この第4進退移動プレート543は、図28に示すように、連結バー545に接続しており、この連結バー545の移動により、連結軸546が回動する。すると、この連結軸546の回動により、2つのリンク部材547A,547Bからなるリンク547により、固定ピン548Fでこの回りに回動自在に固定されたレバー部材548が回動させられる。このレバー部材548に結合したブロック581は、リニアブッシュ549及び軸部材582により、これらの軸方向のみに移動方向が規制されているから、レバー部材548の回動によって、軸部材582の軸方向に移動する。すると、この軸部材582に回動自在に取り付けられた回動ブロック583を通じて、進退ロッド584が軸部材582の軸方向に進退する。
この進退ロッド584は、アームベースプレート587に搭載された直線レール585Bとで直線案内ユニット585を構成する走行ユニット585Aに固着されている(図27参照)。このため、走行ユニット585Aは、直線レール585Bが延びる進退案内軸線585Xに沿って進退することとなる。しかも、走行ユニット585Aには、第4アーム504が固着されている。従って、このような第4アーム進退機構540を用いることによって、1−4駆動軸506(第4アーム駆動軸509)の回転により、第4アーム504を進退案内軸線585Xに平行に進退させることができる。この第4アーム504の進退移動方向は、第4アーム504が、第4アームセット位置641に位置する場合には、この第4アーム504でたぐる巻線6が挿入された第2スロット52に沿う第2スロット方向52Rに一致する(図33参照)。
なお、軸部材582が挿通された圧縮バネ586は、ブロック581や進退ロッド584を軸部材582の軸方向に付勢して、第4アーム504を前方(鉄心3の径方向内側)に移動するのを補助している。
しかも、第4アーム進退機構540では、第4進退カム541によって、第4進退カム接点542Tがリフトされるとき、即ち、第4進退カム541の中心から外周面までの距離が大きくなって、第4進退カム接点542Tが図27において図中右下方向に移動するときに、第4アーム504が径方向外側に移動進行する引き動作をする(以下では、各アームが径方向外側に進行移動する動作を、「引き動作」と表現する)。即ち、第4アーム504が同じく図27において図中右上方向に移動するように構成されている。一般に、カムは、接点をリフトするときに大きな力を発することができる。一方、第4アーム504は、巻線6を引き動作によってたぐり寄せるときに、これとは逆の戻り動作をする場合より大きな力を要することが多い。従って、この第4アーム進退機構540によれば、第4アーム504に引き動作をさせるときに大きな力を発生させ、確実に巻線6をたぐり寄せることができる。
上記においては、第4アーム504を進退させる第4アーム進退機構540について説明をしたが、第1アーム501を進退させる第1アーム進退機構510についても、同様の構造を有している。そこで、各図において、第1アームに関する各部材にも対応する番号を付しておく。
かくして、第1アーム501についても、1−4駆動軸506(第1アーム駆動軸506)の回転により、第1アーム501を進退させることができる。また、この第1アーム501の移動する方向は、第1アーム501が、第1アームセット位置611に位置する場合には、この第1アーム501でたぐる巻線6が挿入された第1スロット51に沿う第1スロット方向51Rに一致する(図33参照)。
しかも、容易に理解できるように、第4アーム進退機構540と第1アーム進退機構510とは、共通の1−4駆動軸506の回転によって動作させるから、駆動軸を少なくすることができ、これらの構造を簡単にすることができる。また、共通の1−4駆動軸506の回転を用いるので、第4アーム504の進退と第1アーム501の進退とを、互いに同期して動作させることができる。
さらに、第4アーム進退機構540と第1アーム進退機構510とは、共通の1−4進退カム511を第1進退カム511及び第4進退カム541として用いている。このため、これらの構造をさらに簡易にすることができる上、第4アーム504の進退に対する第1アーム501の進退の位相を、容易に調整することができる。
なお、図27〜図30では、第1アーム進退機構510のうち、第4アーム進退機構540における第4進退カム従動節542に対応する第1進退カム従動節512を省略して記載している。
次いで、アームの退避動作に関し、第4アーム退避機構640について説明する。第4アーム退避機構640は、第1,第4アーム進退機構510,540と同じく、また、第1アーム退避機構610と共通の1−4アーム駆動軸506(第1アーム駆動軸506,第4アーム駆動軸509)で駆動される。具体的には、この1−4アーム駆動軸506には第4退避カム643が固定されている(図30参照)。なお、第4退避カム643は、第1アーム退避機構610において、第1退避カム613としても用いられている。
この第4退避カム643の回転により、その外周面で接するローラからなる第4退避カム接点644Tがカム643の径方向に往復運動をする(図30参照)。この第4退避カム接点644Tを有する第4退避カム従動節644は、そのうちの第4従動節固定端644Fが、第4アーム進退機構540における第4進退カム従動節542と同じく、固定軸材944に回動自在に固定されている。このため、第4従動節固定端644Fを支点として、第4従動節移動端644Mが円弧状に往復運動する。第4退避移動プレート645には、第4退避案内ユニット646の走行ユニット646Aが固着されており、円弧レール646Bに沿う方向への移動のみが許されている。一方、この第4退避移動プレート645の開口645P内に、第4従動節移動端644Mを保持しているため、第4退避移動プレート645は、円弧レール646Bに沿って移動する。
この第4退避移動プレート645は、係合ピン645Cによって、レバー部材647に接続しており、このレバー部材645が固定ピン647Fの周りに回動することにより、その先端に回動自在に結合されているシャフト648が移動する。このシャフト648は、略L字形の連結アーム649を介して、アームベースプレート587に設けられた連結ポスト588に結合している。さらに、アームベースプレート587は、軸部材589を介して、この軸部材589の軸線周りに回動自在にベース部材590に接続されている。このため、シャフト648が移動(図30において左右方向に移動)すると、アームベースプレート587及びこれに搭載されている直線案内ユニット585(走行ユニット585A及び直線レール585B)及び第4アーム504が、軸部材589の第4退避軸線640Xの周りに回動する。このため、第4アーム504は、第4アームセット位置641(図33参照)と第4アーム退避位置642(図34参照)との間を軸部材589の第4退避軸線640Xの周りに円弧状に往復移動することができる。
なお、第4アーム進退機構540における第4進退カム541(1−4進退カム511)と、第4アーム退避機構640における第4退避カム643(1−4退避カム613)とは、隣同士に配置されて、第4アーム駆動軸509(1−4駆動軸506)に、共通の固着機構594によって固着されている。このように、第4進退カム541と第4退避カム643を隣同士に配置することで、第4アーム504について、第4アーム進退機構540による進退動作と第4アーム退避機構640によるセット・退避動作の位相の調整を、2つのカムの相対配置調整、具体的には、一方のカムに対する他方のカムの回転角の調整によって行うことができる。しかも、共通の固着機構594によって、第4アーム駆動軸509に固着されているので、調整も容易である。
上記においては、第4アーム504を第4アームセット位置641と第4アーム退避位置642との間で往復移動させる第4アーム退避機構640について説明をした。しかし、第1アーム501を第1アームセット位置611(図33参照)と第1アーム退避位置612(図30,図33参照)との間で往復移動させる第1アーム退避機構610についても、同様の構造を有している。従って、第1アーム501についても、1−4駆動軸506(第1アーム駆動軸506)の回転により、第1アーム501についてもセット・退避位置間で第1退避軸線610Xの周りに円弧状に往復移動させることができる。
しかも、容易に理解できるように、第4アーム退避機構640と第1アーム退避機構610とは、共通の1−4駆動軸506の回転によって動作させるから、駆動軸を少なくすることができ、これらの構造を簡単にすることができる。また、共通の1−4駆動軸506の回転を用いるので、第4アーム504の移動と第1アーム501の移動とを、互いに同期して動作させることができる。
さらに、第4アーム退避機構640と第1アーム退避機構610とは、共通の1−4退避カム613を第1退避カム613及び第4退避カム643として用いている。このため、これらの構造をさらに簡易にすることができる上、第4アーム504の進退動作のタイミングに対する第1アーム501のセット・退避動作のタイミングを、容易に調整することができる。
また、第4アーム504について見ると、第4アーム進退機構540及び第4アーム退避機構640を1つの駆動軸(1−4駆動軸506,第4アーム駆動軸509)によって駆動しているため、第4アーム504の進退と、そのセット位置641と退避位置642と間の移動とを、互いに同期して動作させることができる。
同様に、第1アーム501についても、第1アーム進退機構510及び第1アーム退避機構610を共通の1−4駆動軸506(第1アーム駆動軸)によって駆動しているため、第1アーム504の進退と、そのセット位置641と退避位置642と間の移動とを、互いに同期して動作させることができる。
さらに、本実施形態の巻線装置100では、1−4アーム駆動機構560において、上述のように1つの1−4駆動軸506によって、第1アーム進退機構510、第4アーム進退機構540、第1アーム退避機構610、及び第4アーム退避機構640の4つを駆動しているため、及び駆動軸を少なくすることができ、これらの構造を簡単にすることができる。
なお、以上では、第1,第4アーム501,504に関する1−4アーム駆動機構560について説明したが、第2,第3アーム502,503に関して共通の2−3駆動軸507で駆動する2−3アーム駆動機構570、対称第1,対称第4アーム1501,1504に関する対称1−4アーム駆動機構1560、及び対称第2,対称第3アーム1502,1503に関する対称2−3アーム駆動機構1570についても、同様な構造を有している。従って、これらにおいても、1つのアームにおける進退動作とセット・退避動作を同期させることができる上、2つのアーム間(例えば第2,第3アーム間)の動作についても、容易に同期を取ることができ、また、駆動軸の数を減らすことができる。具体的には、巻線装置100では、4つの駆動軸506,507等によって、8ヶのアーム501等の進退動作及びセット・退避動作を行わせることができ、駆動軸が少なく、構造が簡単である。
また、本実施形態の巻線装置100では、さらに、1−4アーム駆動機構560等をそれぞれ駆動する1−4駆動軸506等は、互いに同期して駆動される。従って、第1〜第4アーム501〜504及び対称第1〜対称第4アーム1501〜1504は、互いに同期してそれぞれが進退動作及びセット・退避動作を行うことができる。
さらに、本実施形態の巻線装置100では、1−4アーム駆動機構560等を駆動する1−4駆動軸506等と、前述した軸線方向移動機構300及び吐出部回動機構400を駆動する移動駆動軸340(430)とも同期して駆動される。
このため、結局、1−4アーム駆動機構560等のほか、軸線方向移動機構300及び吐出部回動機構400も互いに同期して駆動され、第1,第2巻線吐出部210,220の上下動及び回動(揺動)と、第1〜第4アーム501〜504及び対称第1〜対称第4アーム1501〜1504の進退動作及びセット・退避動作とも、同期して動作させることができ、これによって、鉄心3のティース4に巻線6を適切に巻回して、各相のコイル7u等を成形することができる。
次いで、第1,第2巻線吐出部210,220、及び第1〜第4アーム501〜504と対称第1〜対称第4アーム1501〜1504についての一連の動作を、図34〜図40を参照して説明する。なお、これらの図では、軸線方向移動機構300及び吐出部回動機構400に関して、巻線吐出装置200(第1,第2巻線吐出部210,220の動作及びレールサポート部材313,323や直線状レール311,321の回動の様子のみを示す。
まず、図34は、第1,第2巻線吐出部210,220が鉄心3上方の上死点に位置する時点(図23参照)の状態を示す説明図である。この時点では、第1,第2巻線吐出部210,220は鉛直方向に最も高い位置に引き上げられると共に、第1巻線吐出部210と第2巻線吐出部220とは、互いに逆側を向いた状態(正面視、左右に向く状態)となる。
また、鉄心3の表面3Aより上方に位置する第1アーム501及び第4アーム504は、それぞれ第1,第4アーム退避位置612,642に位置している。一方、裏面3Bより下方に位置する第2,第3アーム502,503は、それぞれ巻線6をたぐって径方向外側(第1,第2スロット外方向51S,52S、図33参照)に移動進行した状態となっている。さらに詳細には、第2,第3アーム502,503は、巻線6のうち、第1,第2スロット51,52に挿入された第1,第2スロット挿入部63,64(図3参照)よりも第2軸線方向3X2側(つまり鉄心3の裏面側)に位置する巻線6に掛合し、これをたぐり寄せた状態となっている。以下では、各アームが引き動作により径方向外側に進行移動し終えた位置を、「引き位置」と表現する。従って、この時点では、第2,第3アーム502,503は、巻線6を掛合しつつ、引き位置596,597に配置されている。
なお、対称の位置に配置される対称第1〜対称第4アーム1501〜1504は、各々対応する第1〜第4アーム501〜504と同期して同じ動作(進退動作、及びセット・退避動作)を行うので、これらの説明は省略する。
次いで、図35に示すように、第1,第2巻線吐出部210,220が、下方に移動すると共に、第1,第2巻線吐出部210,220が回動して、平面視、図13に示す状態となる。この状態では、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221が、第1スロット51及び対称第1スロット151に対応した位置に配置される。
この際には、第1アーム501は第1アーム退避位置612に配置されている。さらに、第1巻線吐出部210を下降させたときに、これが第1アーム501に干渉しないようにするためである。また、第2,第3アーム502,503は、引き位置596,597を維持している。さらに、第4アーム504も、図34に示す第4アーム退避位置642から、第4アームセット位置を経由して、引き位置598に配置されている。これにより、図示しない巻線が第4アーム504に係合してたぐられた状態で保持される。即ち、第4アーム504は、巻線6のうち、第2スロット52に挿入された第2スロット挿入部64(図3参照)よりも第1軸線方向3X1側(つまり鉄心3の表面側)に位置する巻線6に掛合し、これをたぐり寄せた状態となっている。
その後、図36に示すように、第1,第2巻線吐出部210,220が、上方から鉄心3内に挿入される。この状態では、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221から吐出された巻線6が、第1スロット51及び対称第1スロット151に挿入される。
この時点でも、第1アーム501は第1アーム退避位置612に配置されている。このため、上述のように、第1巻線吐出部210は第1アーム501に干渉しないで降下することができる。一方、図35に示す状態では、引き位置に配置されていた第2アーム502は、保持していた巻線6を放し、第2アームセット位置を経由して、第2アーム退避位置622に移動する。第1巻線吐出部210との干渉を避けるためである。第3,第4アーム503,504は、引き位置597,598を維持している。
その後、さらに第1,第2巻線吐出部210,220が下方に移動し、下死点に達すると、図37に示す状態となる。この時点では、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221が、互いに逆側を向いた状態(正面視、左右に向く状態)となる。
この時点では、第4,第1アーム504,501は引き位置598,595に配置されて、巻線が第1アーム501に係合してたぐられた状態で保持される。即ち、第4,第1アーム504,501は、巻線6のうち、第1,第2スロット51,52に挿入された第1,第2スロット挿入部63,64よりも第1軸線方向3X1側(つまり鉄心3の表面側)に位置する巻線6に掛合し、これをたぐり寄せた状態となっている。また、第2アーム502も、図36に示す第2アーム退避位置622から、第2アームセット位置を経由
して、引き位置596に配置されている。これにより、巻線が第2アーム504に係合してたぐられた状態で保持される。一方、第3アーム50は、保持していた巻線を放して、第3アームセット位置631に配置される。その後、退避位置に移動するためである。
次いで、図38に示すように、第1,第2巻線吐出部210,220が、上方に移動すると共に、第1,第2巻線吐出部210,220が回動して、平面視、図14に示す状態となる。この状態では、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221が、第2スロット52及び対称第2スロット152に対応した位置に配置される。
この時点でも、第4,第1,第2アーム504,501,502は、引き位置598,595,596に配置されている。一方、第3アーム503は、第3アーム退避位置632に配置されている。さらに、第1巻線吐出部210を上昇させたときに、これが第3アーム503に干渉しないようにするためである。
その後、図39に示すように、第1,第2巻線吐出部210,220が、下方から鉄心3内に挿入される。この状態では、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221から吐出された巻線6が、第2スロット52及び対称第2スロット152に挿入される。
この時点でも、第4,第1,第2アーム504,501,502は、引き位置598,595,596に配置されている。一方、第3アーム503は、第3アーム退避位置632に配置されている。
その後、図40に示すように、第1,第2巻線吐出部210,220が、さらに上方に移動する
この時点では、第1,第2,第3アーム501,502,503は、それぞれ引き位置595,596,597に配置されている。一方、第4アーム504は、保持していた巻線を放し、第4アームセット位置を経由して、第4アーム退避位置642に移動する。これによって、第1巻線吐出部210は第4アーム504に干渉しないで上昇することができる。
その後、第1,第2巻線吐出部210,220が上昇すると、図34に示した状態に戻る。
かくして、第1,第2巻線吐出部210,220の1サイクル分の下降及び上昇と回動の間に、各アーム501等が、セット位置を経由して退避位置と引き位置との間を往復移動することで、第1,第2巻線吐出部210,220の第1,第2ノズル211,221から吐出される巻線6を鉄心3のティース4に巻回することができる。なお、上記の例では、第1ノズル211により、鉄心3の中心から径方向外側に向かって見て、反時計回りに巻線6が巻回された。また、第2ノズル221により、上記とは逆に、時計回りに巻線6が巻回された。
なお、容易に理解できるように、軸線方向移動機構300、吐出部回動機構400、1−4アーム駆動機構560等を、上述とは逆に動作させることによって、それぞれ逆巻きに巻線6を巻回することもできる。
さらに、本実施形態の巻線装置100では、各アーム501等の進退動作やセット・退避動作のタイミングを、各アーム毎に調整することができる。以下に、第4アーム504について、具体的に説明する。1−4アーム駆動機構560は、第4接点移動機構940を備えている。この第4接点移動機構940は、第4アームについての進退のタイミングを調整する第4進退調整機構(図27〜図29参照)と、同じく第4アームについてのセット・退避のタイミングを調整する第4退避調整機構(図27,図28及び図30参照)とを兼用している。この第4接点移動機構940は、台座941と、この台座941上をスリット944Sに沿ってスライドしてその位置を調整して固定されるスライダ942と、このスライダ942に位置を調整する調整具945とを有する。またスライダ942には、固定軸線944Xを有する固定軸材944を保持する軸ポスト943が固着されており、固定軸材944には、既に説明したように、第4進退カム従動節542の第4従動節固定端542F(図29参照)、及び第4退避カム従動節644の第4従動節固定端644F(図30参照)が回動自在に軸支されている。
このため、第4接点移動機構940において、調整具945を用いてスライダ942をスリット944Sに沿って移動させると、固定軸材944及びこれに軸支されている第4進退カム従動節542が移動する。この際、第4従動節移動端542Mは、進退移動プレート543の開口543Pに沿って移動する。
また、第4進退カム従動節542の第4進退カム接点542Tは第4進退カム541との接触を維持する。従って、第4接点移動機構940によって、第4進退カム541に対する第4進退カム接点542Tの接触位置を変更できることになる。これにより、第4進退カム541の回動に対して、これに従動する第4進退カム従動節542の運動のタイミングを変化させることができる。従って、第4接点移動機構940を用いることによって、第4アーム504の進退のタイミングを調整することができる。
また、同じく、第4接点移動機構940において、調整具945を用いてスライダ942をスリット944Sに沿って移動させると、固定軸材944及びこれに軸支されている第4退避カム従動節644が移動する。この際、第4従動節移動端644Mは、退避移動プレート645の開口645Pに沿って移動する。
また、第4退避カム従動節644の第4退避カム接点644Tは第4退避カム643との接触を維持する。従って、第4接点移動機構940によって、第4退避カム643に対する第4退避カム接点644Tの接触位置を変更できることになる。これにより、第4退避カム643の回動に対して、これに従動する第4退避カム従動節644の運動のタイミングを変化させることができる。従って、第4接点移動機構940を用いることによって、第4アーム504のセット・退避のタイミングを調整することができる。
第4アーム504のタイミング調整は、例えば、巻線を施す鉄心3の厚さを変更した場合などに必要となる。このため、第4アームの進退のタイミングとセット・退避のタイミングとを別々に調整する必要はなく、同時に遅らせたり進ませたりすることで足りる場合が多い。これに対し、本実施形態の巻線装置100では、第4進退調整機構と第4退避調整機構とを兼用する第4接点移動機構940を設けた。従って、調整具945によるスライダ942の位置調整で、第4アームの進退とセット・退避のタイミングを同時にかつ容易に調整することができる。また、調整機構を1つにできるので、構造が簡単で製造が容易である。
但し、第4進退調整機構と第4退避調整機構とを別々に設けることも可能であり、この場合には、第4アームの進退のタイミングとセット・退避のタイミングとを独立して調整することができる(図27〜図30参照)。
なお、上記では、第4アーム504のタイミング調整をする第4接点移動機構940について説明した。しかし、第1アーム501の進退のタイミングとセット・退避のタイミングとを調整する第1接点移動機構910(第1進退調整機構,第1退避調整機構)についても同様である。そこで、各図において、第4接点移動機構940の各部材に対応する第1接点移動機構910の部材についても対応する番号を付してある。また、図示しないが第2,第3アーム502,503についても、同様である。
次いで、この第1,第4アーム501,504についてのセット位置と退避位置間の往復移動(以下、セット・退避動作ともいう)と、鉄心3及び各相コイル7u,7v,7wとの関係について、図31〜図33を参照して説明する。
図31〜図33は、いずれも第1アーム501について、セット・退避動作の各時点における位置を連続的に示した図である。これらの図を見れば容易に理解できるように、第1アーム501が、第1アームセット位置611に位置する場合には、そのヘッド501Hが、鉄心3の内周円筒面3Iをその軸線方向3XP(図31において上下方向)に延ばした仮想内周円筒面3SIの内側に位置する。一方、第1アーム501が、第1アーム退避位置612に位置する場合には、そのヘッド501Hが、仮想内周円筒面3SIの外側に位置する。
このため、第1巻線吐出部210及び第2巻線吐出部220(図31及び図33では図示を省略した)を、前述した軸線方向移動機構300によって軸線方向3XPに移動させる場合に、第1アーム501を第1アーム退避位置612に位置させておけば、第1アーム501が第1巻線吐出部210と干渉(衝突)することを防止できる。
また、鉄心3には、各相のコイル7u,7v,7wが順次形成され、その表面3A上には、各コイルの表面側コイルエンド部7Hu,7Hv,7Hwが存在する。一方、第1アーム501が第1アームセット位置611に位置する場合、図32に破線で示すように、そのヘッド501Hは、鉄心3の表面3Aから僅かに離れた位置に配置され、ヘッド501Hの一部は、各コイルの表面側コイルエンド部7Hu,’Hv,7Hwの上面より低位に位置する。このため、第1アーム501を仮想内周円筒面3SIの外側に退避させる際に、第1アームセット位置611から水平に移動させて、仮想内周円筒面3SIの外側に位置させようとすると、このヘッド501Hが、各コイルの表面側コイルエンド部7Hu,7Hv,7Hwと干渉してしまう。このため、第1アーム501を、一旦鉄心3の表面3Aから離れる方向(図32中上方)に移動させてから、水平移動させる2段階の移動によって、第1アーム501を仮想内周円筒面3SIの外側に退避させることが考えあられる。
これに対して、本実施形態の巻線装置100では、第1アーム501を第1アームセット位置611から第1アーム退避位置622まで移動させる、あるいはこの逆にするのに、第1アーム退避機構610を用いて、第1アーム501を第1退避軸線610Xの周りに円弧状に回動させる(図32参照)という単一の動作で済ますことができる。このため、第1アーム501のセット・退避動作を他の機構を用いて複数の動作で行わせる場合に比して、簡単な機構で、速く動作させることができる。
なお、第1アーム501が第1アームセット位置611に位置する場合、そのヘッド501Hは、鉄心3の表面3Aからよりも僅かに離れた位置に配置している。これは、前述したように(図9参照)、各スロット5内には、絶縁フィルム95が挿入されており、その一部が表面側突出部95Aとして鉄心3の表面3Aから突出しているから、この表面側突出部95Aとの干渉を避けるためである。裏面側も同様である。
ところで、巻線6を第1〜第4アーム501〜504でたぐって、所望の形状のコイルを成形するに当たり、U相コイル7uを形成する場合には、表面側U相コイルエンド部7Huを各スロット5よりも径方向外側に位置させる(図6参照)。このため、U相コイル7u形成の際、絶縁フィルム95の表面側突出部95Aが外側に屈曲させられて、この部分に亀裂が生じる虞がある。
これを防止するため、本実施形態の巻線装置100では、図41に示すように、隣り合う2つのU相スロット5uに挿入された絶縁フィルム95の表面側突出部95Aのうち、径方向外側部分をカフササポート950で保持し、表面側突出部95Aの径方向外側への屈曲およびそれに伴う亀裂を防止している。なお、鉄心3の裏面3B側も同様に、絶縁フィルム95の裏面側突出部95Bの保護のため、カフササポート950を用いている。
また、本実施形態の巻線装置100では、第1アーム510の第1アーム退避位置612は、仮想内周円筒面3SIよりも径方向外側であるが、その一部(例えばヘッド部501H)は、鉄心3の外周筒面3Tをその軸線方向3XPに延ばした仮想外周筒面3STよりも径方向内側に位置している(図31,図32参照)。このため、この巻線装置100の正面視略中央のセット位置に鉄心3をセットする際や、鉄心3にコイルを成形したステータ4を外部へ取り出す際に、鉄心3を軸線方向3XPに移動させると、鉄心3と各アーム501等とが干渉する。
そこで、本実施形態の巻線装置100では、1−4アーム高さ調整機構580を用いて第1アーム501等を含む1−4アーム駆動機構560を鉛直方向に上下させることによって、第1アーム501等を上方に移動させる(図6参照)。また同様に、対称1−4アーム高さ調整機構1580を用いて対称第1アーム1501等を含む対称1−4アーム駆動機構1560を鉛直方向に上下させることによって、対称第1アーム1501等を上方に移動させる。このようにして、鉄心3との干渉を防いだ後、鉄心3のセットあるいは取り出しを行う。
このように、通常の巻線作業時には、第1アーム501の第1アーム退避位置612を第1アームセット位置612から余り離さない位置に選択しておき、鉄心3のセットや取り出し時には、他の機構によって鉄心3と各アーム501等との干渉を防ぐと、第1アーム501の第1アーム退避位置612と第1アームセット位置612との間の移動距離が小さくなるので、より高速に動作させることができ、ステータ4の製造をより速く行うことができる。
なお、鉄心3のセットと取り出しは、鉄心3にコイルを形成する最初と最後に行うのみであるため、1−4アーム高さ調整機構580等を用いても、全体の作業時間に対する影響は少ない。但し、以下の変形形態1,2のようにしても良い。
(変形形態1)
上述の実施形態では、第1アーム501を第1アーム退避位置612に配置しても、ヘッド501Hなどその一部が、仮想外周筒面3STよりも径方向内側に位置している。これに対し、この変形形態1では、図42に示すように、第1アーム501の円弧状の移動の中心となる第1退避軸線610Xを、前述の実施形態の場合より外側に位置させる。これによって、第1アーム501を第1アーム退避位置612Aに配置した場合に、鉄心3の外周筒面3Tをその軸線方向3XPに延ばした仮想外周筒面3STよりも径方向外側に、第1アーム501全体が位置するようにしている。他の7つのアームについても同様にする。
このようにすると、第1アームセット位置611と第1アーム退避位置612Aとの間の移動距離が、実施形態における第1アームセット位置611と第1アーム退避位置612との間の移動距離よりも大きくなるため、第1アーム501の高速移動に不利である。しかし、1−4アーム高さ調整機構580等によって、各アーム501等を上方に移動させなくても、各アーム501等に干渉することなく、鉄心3のセットや取り出しが可能となる利点がある。
(変形形態2)
あるいは、図43に示すように、前述の実施形態と同じく、コイル形成時には、第1アーム501を第1アーム退避位置612に退避させる。一方、鉄心のセット時あるいは取出し時には、さらに、第1アーム進退機構510によって、第1アーム退避位置612に位置する第1アーム501に、さらに引き動作を起こさせて、第1アーム501を鉄心3の外周筒面3T及び仮想外周筒面3STよりも外側の第1アーム取出退避位置612Bに位置させるようにしても良い。具体的には、後述する1−4アンチバック機構690(図45参照)と同様の引き位置保持機構(図示しない)を用いて、進退移動プレート513,543の移動を制限可能とし、解放状態では第1アーム進退機構510による第1アーム501の往復進退移動を許す。一方、進退保持状態では、第1アーム501をアーム退避位置612からさらに引き動作を行った第1アーム取出退避位置612Bに保持する。他の7つのアームについても同様にする。
このようにすると、コイル形成時の第1アーム501の移動は、実施形態と同様に行うことができる上、1−4アーム高さ調整機構580等によって、各アーム501等を上方に移動させなくても、鉄心3のセットや取り出しが可能となる利点も得ることができる。
なお、鉄心3を上方に取り出す場合を考慮すると、第1,第4アーム501,504及び対称第1,対称第4アーム1501,1504のついてのみ、上述の2形態のいずれかとすることもできる。
さて、実施形態にかかる巻線装置100に戻る。この巻線装置100で鉄心3のティース4に巻線6を巻回するにあたり、一対のコイルを形成し終えると、鉄心3を軸線3Xの周りに所定角度(本実施形態では45度)だけ回転させてから、再び隣接するコイルを巻き始める必要がある。この際、各アーム501等が巻線6をたぐって第1スロット外方向51Sまたは第2スロット外方向52Sに進行した状態、即ち、各アーム510等が引き動作を行って引き位置595等に位置する場合には、各アーム501等に巻線6が係合しているため、鉄心3を回動させることができない。
そこで、コイルを形成し終え、鉄心3を軸線3Xの周りに回動させる段階では、各アーム501等を、いずれも巻線6をたぐらない状態で、かつ、鉄心3の回動によって鉄心3や各相の形成済コイル7u等と干渉しない位置に保持しておく必要がある。このような位置としては、各アーム501等の退避位置612等がある。
これに対し、本実施形態の巻線装置100では、このような場合など必要に応じて、各アーム501等を第1アーム退避位置612等に強制的に保持するための第1アンチバック機構650等を有している。
図44〜図46を参照して、第1アンチバック機構650及び第4アンチバック機構680を例にして、各アンチバック機構を説明する。
前述したように、第1アーム退避機構610及び第4アーム退避機構640にそれぞれ含まれる退避移動プレート615,645は、退避案内ユニット616,646(図28,図30参照)の円弧レール616B,646Bによって、円弧状に移動する。このため、退避移動プレート615,645のロック面615L,645Lは、第1,第4アーム501,504がそれぞれ、退避位置612,642にある場合と、セット位置611,641にある場合とで、異なる場所に位置する。しかも、この退避移動プレート615,645の移動を止め、これらを第1,第4アーム501,504がそれぞれ退避位置612,642にある時の位置に保持すると、第1,第4アーム501,504も退避位置に保持され続ける。そこで、上述したように、コイルを形成し終えた場合などでは、このようにして各アーム501等のいずれをも、第1アーム退避位置612等に保持すればよい。
そこで、図44及びその部分拡大図である図45に示すように、本実施形態の巻線装置100では、第1アンチバック機構650及び第4アンチバック機構680を、共通の部材を用いて、第1,第4アーム501,504について、それぞれ第1,第4アーム退避位置612,642とする1−4アンチバック機構690によって実現している。この1−4アンチバック機構690は、ロック機構651,681を有している。このロック機構651,681は、図46(a)にその構造の概要を示すように、ロック部材652,682が、保持部材654,684の保持軸654X,584Xに軸支されると共に、弾性部材653,683によって保持部材654,684から離れる方向(図中下方)に付勢されている。
このため、この図46(a)に示すように、ロック部材651,681が、退避移動プレート615,645から離れている場合には、この退避移動プレート615,645は自由に移動することができる。
しかし、図46(b)に示すように、ロック機構651,681を移動させて、退避移動プレート615,645の上面615A,645Aにロック部材652,682を押しつけると、弾性部材653,683が圧縮される。
一方、退避移動プレート615,645のロック面615L,645Lとして、第1,第4アーム501,504が、第1,第4セット位置611,641から、第1,第4アーム退避位置612,642となる場合に、図中左方に移動する面を選択しておく。すると、第1,第4アーム501,504が、第1,第4アーム退避位置612,642となった際に、弾性部材653,683が伸長して、図46(c)に示すように、ロック部材652,682がロック面615L,645Lに係合する位置を選択することができる。そして、この図のように、ロック部材652,682がロック面615L,645Lに係合している状態では、1−4退避カム613が回転し、第1,第4退避カム従動節614,644が移動しても、第1,第4退避移動プレート615,645は固定され、このために、第1,第4アーム501,504も第1,第4アーム退避位置612,642に位置したままとなる。
かくして、このような1−4アンチバック機構690によれば、第1,第4アーム501,504が現在、どの位置に位置していても、各アームが、退避位置、セット位置、引き位置、セット位置、退避位置というように、退避位置にもどるまでの1サイクル分の時間内に、必ず退避位置に位置させることができ、しかもこの状態では、各アーム501等は巻線6をたぐっていない状態とすることができる。
なお、ロック機構651,681を持ち上げて、図46(a)に示す状態に戻せば、第1,第4アームは、再び、セット・退避動作及び進退動作が可能となる。
さて、この1−4アンチバック機構690では、ロック機構651,681を図44及び図45に示すようにして移動させる。即ち、1−4アンチバック機構690は、ロック機構651,681の他に、シャフト693と、このシャフトを回転させるハンドル694と、移動バー691と、シャフト693の回転によって、接続している移動バー691を図中上下方向に移動させる偏心カム機構692と、移動バー691とロック機構651,681との間に介在して、ロック機構651等を移動バー691に固着する固定ブラケット655,685と、を有している。
なお、移動バー691の可動範囲は、以下となるようにその範囲を選択する。即ち、移動バー691を図44及び図45において上方に持ち上げた場合には、ロック機構651,681が、第1,第4退避移動プレート615,645から十分離れた上方に位置する。一方、移動バー691を下方に引き下げた場合には、ロック機構651,681のロック部材652,682が、第1,第4退避移動プレート615,645の上面615A,645Aに押しつけられ、あるいは、ロック面615L,645Lに係合する。
かくして、この1−4アンチバック機構690では、ハンドル694を作業者が回動させて、シャフト693をその軸線周りに回動させることによって、第1,第4アーム501,504が、進退動作及びセット・退避動作する状態と、退避位置612等に保持された状態とを選択することができる。
上述のようにして、コイル7を鉄心3のティース4に巻回して、図48に示すように、第1,第2スロット51,52及び対称第1,対称第2スロット151,152内に巻線6(素線6p)を挿入する。しかし、このままでは、その後に、一旦コイル成形済スロット55内に挿入された巻線6が、鉄心3の内周円筒面3Iよりも内側にはみ出る虞がある。そこで、この図48に示すように、コイル成形済スロット55のうちスロット内側開口部55Aに、絶縁体からなる断面略U字状のウェッジ部材8を配置して、コイル成形済スロット55内からスロット内側開口部55Aを閉塞し、巻線6がコイル成形済スロット55からはみ出るのを防止する。
なお、スロット内側開口部55Aにおけるスロット幅をWSとする。
また、鉄心3とコイル成形済スロット55内の巻線6との間には、前述したように、絶縁フィルム95が介在して、巻線6と鉄心3との間の絶縁を保持している。
具体的には、図47に示すように、鉄心3(ステータ2)の裏面3B側から、コイル7が形成されたコイル成形済スロット55、つまり巻線6が挿入されたスロット51,52,151,152にそれぞれウェッジ部材8を挿入する。
また、ウェッジ部材8の挿入は、コイル7の形成の後であれば、いずれの時でも可能である。しかし、一旦巻線6がコイル成形済スロット55からはみ出ると、はみ出た巻線6をコイル成形済スロット55内に戻すのを自動化するのは困難であり、作業者の手作業となり易いことを考慮すると、各コイル7を巻回した直後にウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に挿入し、次いで、次のコイルの巻回作業を行うようにするのが好ましい。
ウェッジ部材8は、絶縁性の樹脂成型体であり、図49(a)に示すように、基部83とその両端辺から延びる側壁部84とからなり、断面略U字状で、鉄心3の厚さに対応した長さを有している。なお、本実施形態では、ウェッジ部材8のうち、コイル成形済スロット55内に先に挿入される先端81では、側壁部84がテーパ状に切り欠いた形状とされている。一方、後端82は、側壁部84が先端83とは逆にテーパ状に延びた形状とされている。
さて、このウェッジ部材8を巻線6が挿入されたコイル成形済スロット55内に挿入する。しかしながら、コイル成形済スロット55内に多数の巻線6(素線6p)が挿入されて、コイル成形済スロット55内の空間が少ない場合、即ち、コイル成形済スロット55における巻線6(素線6p)の占積率が大きい場合には、ウェッジ部材8の挿入の際に、ウェッジ部材8と巻線6および鉄心3(ティース4)との間に生じる摩擦が生じ挿入抵抗となる。この挿入抵抗が大きいと、ウェッジ部材8のコイル成形済スロット55内への挿入が困難となる。甚だしい場合には、図49(b)に示すように、後端82を図中矢印方向に押圧しても、ウェッジ部材8がコイル成形済スロット55内を進行しないために、基部83が反り、ついには、図49(c)に示すように、側壁部84が左右に開いて変形する座屈現象が生じる。このようになると、もやはウェッジ部材8のコイル成形済スロット55への挿入は極めて困難となる。
この現象は、モータ1をより高効率とするために、コイル成形済スロット55内おける素線6pの占積率を大きくすると顕著に現れる。
そこで、本実施形態の巻線装置100では、占積率が大き場合でもウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に挿入可能なウェッジ挿入機構700を備えている。このウェッジ挿入機構700は、図50に示すように、ウェッジ部材8を移動、具体的には第1軸線方向3X1(図中上方向)に移動させるウェッジ移動機構710を含んでいる。
ウェッジ移動機構710は、貫通孔711Bを備えた筒状の昇降ロッド711と、この貫通孔711B内に挿通される軸状のガイドポール712とを有する。これらは、巻線装置100のセット位置SPにセットされた鉄心3の軸線3Xと同軸で鉛直に延びて配置されている。
ウェッジ移動機構710は、さらに、昇降ロッド711をガイドポール712及び軸線3Xに沿って昇降させるために、軸線3Xと平行で鉛直方向に延びて配置された直線レール714B及びこれに沿って走行する走行ユニット714Aからなるリニアガイド714(図64参照)と、昇降ロッド711をリニアガイド714(走行ユニット714A)に結合する連結部材713とを有する。
さらに、走行ユニット714Aには、巻線装置100の下方に位置するシャフト715、複数のギアからなる減速器716、タイミングベルト717、回転方向変換のためのギアボックス718、及びハンドル719が順に接続されている。
従って、作業者が、ハンドル719を回転させると、ギアボックス718、タイミングベルト717、減速器716を通じてシャフト715が回転され、図示しないギヤ及びチェーンでこのシャフト715に結合された走行ユニット714Aが、直線レール714Bに沿って軸線3Xと平行に昇降するから、これと共に、連結部材713及び昇降ロッド711を昇降させることができる。
なお、昇降ロッド711の昇降を、作業者の手動によらず、モータその他の機械的駆動手段を用い行っても良いことは言うまでもない。
かくして、図51に示すように鉄心3に同軸に配置された昇降ロッド711を、ガイドポール712に沿って、軸線方向3XP(鉛直方向)に昇降させることができる。
次いで、この昇降ロッド711に形成され、ウェッジ部材8をコイル成形済スロット55に挿入するための各機構について説明する。図52は、昇降ロッド711の要部を示す斜視説明図であり、後述するカバー部材744の1つを透視した状態としている。また、図53は、図52におけるカバー部材744及び圧縮バネ745を除去した状態とし、ブレード部材751及びローラ761とウェッジ部材8との関係を示す斜視説明図である。また、図55〜図58は、ステータ鉄心にウェッジ部材を挿入する動作を示す説明図である。
昇降ロッド711は、鉄心3と同軸の貫通孔711Bを有する筒形状であり、その側面には軸線方向3XP(図中上下方向)に延びるガイド部材731が固着されている。図53に示すように、このガイド部材731には、溝部732が凹設されており、軸線方向3XPに延びる板状で、ウェッジ部材8を搭載するブレード部材751がこの溝部732に装着されている。このブレード部材751は、図54に示すように、スロット内側開口部5Aのスロット幅WS(図48参照)よりも薄い厚さWBの板材(WB<WS)からなり、その長手方向(図54(a)中左右方向)に延び、ウェッジ部材8の基部83に当接するウェッジ当接面752を有する。さらに、このウェッジ当接面752より軸線3Xの径方向外側(図54(a)中上方)に突出し、後述するようにウェッジ部材8の後端82を押すウェッジ押圧部753を有している。
また、このガイド部材731には、リニア案内ユニット741が装着されている。具体的には、直線レール743がガイド部材731に軸線方向3XPに延びて固着されており、この直線レール743に沿って、走行ユニット742が軸線方向3XPに移動可能とされている(図53参照)。
またこのガイド部材731の溝部732のうち、第1軸線方向3X1上端側の内部には、ローラ761が、ガイド部材731に固着された軸部材764の周りに回動自在に設置されている。なお、このローラ761は、径大のローラ部762と、これと同軸でこれより径小の当接部係合部763とを備えている。このローラ761は、さらに詳細にはローラ部762は、コイル成形済スロット55の内側開口部55Aにおけるスロット幅WS(図48参照)よりも狭い幅を有しており、挿入路形成機構760をなす。つまり、ローラ部762は、後述するように、コイル成形済スロット55内にその一部が挿入されると、これに遅れてコイル成形済スロット55内を進むウェッジ部材8の挿入路SRを形成する挿入路形成部材として機能する。
さらに、このガイド部材731は、当接部材径方向移動機構730をなし、ブレード部材751の両側に拡径保持面735と拡径面736とからなるスライド面734を有している。次述するように、当接部材721がこのスライド面734をスライド移動する。このスライド面734のうち、拡径面736は、鉄心3の軸線3Xからの距離が第2軸線方向(図53での下方)3X2に進むに従って大きくなる斜面をなしている。また、拡径保持面735は、拡径面736に続く面であり、軸線3Xに平行な面をなしている。
ガイド部材731(当接部材径方向移動機構730)と共にコイルエンド拡径機構720をなす当接部材721は、側面視略L字形を有し、基端部721の断面は略U字状、先端部721Bの断面は=字状となる溝部724を備えている。この当接部材721は、その基端部721Aをカバー部材744で覆われている。またカバー部材744と当接部材721とは、ピン726で回動自在に結合されている。さらに、カバー部材744は走行ユニット742に固着されている。このため、カバー部材744及び当接部材721は、走行ユニット742と共に、軸線方向3XPに移動可能となる。カバー部材744と当接部材721との間には、図52に示すように、圧縮バネ745が介在して、しかも、図55を参照すると判るように、圧縮バネ745は、ピン726よりも第1軸線方向(図中上方)3X1に位置しているから、当接部材721は、スライド面734に押しつけられつつ移動することになる。
このため、当接部材721が昇降ロッド711の上端付近に位置している場合には、この当接部材721は、その内側面725で斜面である拡径面736に当接してこれに倣う。従って、当接部材721の先端部721Bのうち径方向外側に位置するコイルエンド押圧面722が、第2軸線方向3X2に進むほど、径方向外側に向かうテーパ面をなす(図55,図56参照)。
一方、当接部材721が昇降ロッド711の上端付近から第2軸線方向3X2(図中下方)に移動した場合には、この当接部材721は、ピン726の回りに回動し、その内側面725が軸線3Xに平行な拡径保持面735に当接してこれに倣う。従って、当接部材721のコイルエンド押圧面722は、拡径保持面735と平行で、軸線3Xに平行な面となる(図57,図58参照)。
さらに、この当接部材721の内側面725には、係合凹部723が形成されている。この係合凹部723は、前述したローラ761の当接部材係合部763の外周面に適合する凹形状とされている。このため、当接部材721が昇降ロッド711の上端付近に位置するときには、図55及び図56に示すように、当接部材係合部763に係合凹部723が係合することによって、当接部材721が昇降ロッド711の上端部付近に保持され、下方に滑り落ちることが防止されている。
また、ガイド部材731のうち、第1軸線方向3X1側の端面であり、昇降ロッド711の上端面711Aの一部をなす上端面731Aは、後述するように、昇降ロッド711を上昇させると、鉄心3の内周円筒面3I内に挿入できる寸法とされている。一方、当接部材721の先端面721Cは、昇降ロッド711を上昇させると、鉄心3の裏面3Bに当接するように配置されている。
また、図52に示すように、カバー部材744には、ブレード部材751のウェッジ当接面752と対向して、ウェッジ部材8の径方向外側への移動及び変形防止するウェッジサポート面755を備えるサポート部材754が固着されている。
これにより、ウェッジ部材8は、落下することなく、ブレード部材751のウェッジ当接面752とサポート部材754のウェッジサポート面755との間に保持される。
また、次述するように、ウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に挿入するにあたり、巻線6との摩擦などにより、ウェッジ部材8に変形が生じほどの挿入抵抗が生じた場合でも、ブレード部材751のウェッジ当接面752が、ウェッジ部材8の変形を抑制する。さらには、このウェッジ当接面752と対向するサポート部材754のウェッジサポート面755が、ウェッジ部材8の変形を抑制するため、前述した変形や座屈(図49(b),(c)参照)を防止し、ウェッジ部材8を確実にコイル成形済スロット55内に挿入することができるようになる。
特に、本実施形態の巻線装置100では、図55に示すように、このサポート部材754のウェッジサポート面755の軸線方向3XPの寸法であるサポート長さLSは、ウェッジ部材8の長さLWの半分以上とされている(LS≧LW/2)。このため、ウェッジ部材8の変形をウェッジサポート面755で確実に抑制してコイル成形済スロット55内に挿入できるようになっている。
しかも、本巻線装置100では、ウェッジサポート面755をカバー部材744及び当接部材721の第2軸線方向3X2側に隣接して配置している、つまり、ウェッジサポート面755をウェッジ部材8の進行方向前側に偏って位置させているので、ウェッジ部材8の挿入当初においてその長さLWの半分以上を覆う上、ウェッジ部材8が挿入されると、未挿入の部分のうちさらに多くの割合を覆うことができるから、ウェッジ部材8の変形を確実に抑制できる。
さらに、本実施形態の巻線装置100では、ウェッジ部材8の側壁部82の拡がり変形(図49(b),(c)参照)を防止すべく、サポート部材754に、ウェッジサポート面755に直交して軸線方向3XPにそって側壁部82を両側から挟む拡がり防止部756をも備えている。このため、さらにウェッジ部材8の変形を抑制できる。
次いで、図55〜図58を参照して、この昇降ロッド711を用いて、ウェッジ部材8を鉄心3のコイル成形済スロット55内に挿入する様子を説明する。
図55は、当接部材721の先端面721Cが鉄心3の裏面3Bに当接するよりも前の状態を示している。昇降ロッド711のブレード部材751とサポート部材754との間にウェッジ部材8を保持し、かつ、係合凹部723がローラ761の当接部材係合部763に係合することによって、当接部材721が昇降ロッド711(ガイド部材731)の上端部に保持された状態から、ウェッジ部材8の挿入を開始する。
前述したように、作業者が、ハンドル719を回転させることにより、ギアボックス718、タイミングベルト717、減速器716、シャフト715、リニアガイド714がそれぞれ所定の動作をして、連結部材713と共に、ガイドポール712に沿って、軸線方向3X上方(第1軸線方向3X1、図中上方)に昇降ロッド711が持ち上げられる。
このため、当接部材721は、ウェッジ部材8よりも第1軸線方向3X1に位置した状態、つまり上方に位置した状態で持ち上げられる。当接部材721の先端面721Cが鉄心3の裏面3Cに当接するに先だって、鉄心3に巻回されたコイル7の裏面側コイルエンド部7Rのうちコイル成形済スロット55の裏面側に位置するスロット裏面側コイルエンド部7RSよりも径方向内側に、当接部材721の先端部721Bを挿入される。この時点では、前述したように、当接部材721のコイルエンド押圧面722が、第2軸線方向3X2に進むほど径方向外側に向かうテーパ面をなすように、当接部材721に姿勢が保たれている。このため、スロット裏面側コイルエンド部7RSよりも径方向内側に、当接部材721の先端部721Bをスムーズに挿入することができる。
そして、スロット裏面側コイルエンド部7RSの径方向内側に、当接部材721の先端部721Bが配置され、当接部材721の先端面721Cが鉄心3の裏面3Cに当接すると(図56参照)、当接部材721はこれよりも上方に進めなくなるが、ガイド部材731を含む昇降ロッド711はさらに上昇させることができる。
このため、図57に示すように、当接部材721の係合凹部723とローラ761の当接部係合部763との係合が解除され、ガイド部材731の進行(上昇)する一方、当接部材721は先端面721Cが鉄心3の裏面3Bに当接した状態で取り残される。つまり、相対的に見て、当接部材721がスライド面734をスライド移動することとなる。具体的には、当初、当接部材721の内側面725は、拡径面736に当接し、これに倣っていた。しかし、ガイド部材731の進行と共に、当接部材721の内側面725は、拡径保持面735に当接するようになる。すると、当接部材721が拡径保持面735に倣って、ピン726の周りに回動するから、コイルエンド押圧面722でスロット裏面側コイルエンド部7RS及びその近傍を拡径し、径方向外側に移動させることができる。逆に、当接部材721は、拡径保持面735によって、裏面側コイルエンド部7Rに押しつけられることとなるため、これらとの摩擦によって、下方に落下することなく、裏面側コイルエンド部7Rの径方向内側に保持される。
一方、ウェッジ部材8は、昇降ロッド711の進行(上昇)に従って、ブレード部材751のウェッジ押圧部753に押されて、進行(上昇)する。先行する当接部材721がスロット裏面側コイルエンド部7RSを拡径するので、その後に、当接部材721の溝部724を通って、スロット裏面側コイルエンド部7RSの径方向内側を移動するウェッジ部材8が、このスロット裏面側コイルエンド部7RSと接触するのを防止でき、あるいは、接触してもこれとの間で大きな摩擦力を生じさせないようにできる。また、スロット裏面側コイルエンド部7RSを拡径することによって、コイル成形済スロット55内の巻線6(素線6p)も径方向外側に移動するから、挿入されたウェッジ部材8が、巻線6と接触する場合の摩擦力を低減することもできる。
さらに、図58に示すように、ローラ761のローラ部762の一部が、ブレード部材751及びウェッジ部材8に先行してコイル成形済スロット55内を進むから、コイル成形済スロット55内の巻線6をこのローラ部762で径方向外側に移動させることとなる。これにより、ローラ部762の後方には、空間(挿入路SR)が形成される。この挿入路SR内をブレード部材751と共に、ウェッジ部材8が進行することとなるので、ウェッジ部材8がコイル成形済スロット55内の巻線6と接触して生じる摩擦力を低減することができ、ウェッジ部材8の挿入が容易になる。
さらに、前述したように、ウェッジ部材8は、ブレード部材751のウェッジ当接面752と、サポート部材754のウェッジサポート面755との間に挟まれて保持されている。このため、コイル成形済スロット55内に挿入される際に、巻線6や鉄心3(絶縁フィル部9)との間で摩擦が生じることによって挿入抵抗が発生しても、ウェッジ部材8が変形し座屈することが防止され、ウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に確実に挿入することができる。
その後、ウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に挿入完了したら、ハンドル719(図50参照)を逆回転させて、昇降ロッド711を後退(下降)させる。これにより、ウェッジ部材8をコイル成形済スロット55内に保持させた状態で、ブレード部材751、ローラ761などが後退する。この時点では、当接部材721は、まだスロット裏面側コイルエンド部7RSを拡径している。そして、当接部材721がガイド部材731の上端部に位置するまで昇降ロッド711が下降すると、スロット裏面側コイルエンド部7RSは縮径し、当接部材721の係合凹部723が、ローラ761の当接部材係合部763と係合する。これ以降、当接部材721も、ブレード部材751、ローラ
761などと共に後退(下降)する。かくして、ウェッジ移動機構710等を含むウェッジ挿入機構700によって、鉄心3のコイル成形済スロット55内にウェッジ部材8を挿入することができた。
なお、本実施形態の巻線装置100では、4ヶのウェッジ部材8を、それぞれ巻線6を挿入した4つのコイル成形済スロット55、具体的には、第1,第2スロット51,
52、対称第1,対称第2スロット151,152に、同時に挿入することができるように構成されている。
上述のようにして、本実施形態の巻線装置100では、鉄心3のティース4に巻線6を施し、コイル成形済スロット55内にウェッジ部材8を挿入した後に、鉄心3を所定角度(本実施形態では45度)だけ軸線3Xの回りに回動させる。この鉄心3は、図12、及び図59に示すように、鉄心保持機構900によって、所定位置(鉄心3のセット位置SP)に保持されている。具体的には、4つの保持アーム901によって、円環状の固定リングテーブル902が保持されている。このテーブル902の内側には、鉄心3を内側に保持する回動リングテーブル903が、固定リングテーブル902に対して回動可能に保持されている。固定リングテーブル902の内周面及び回動リングテーブル903の外周面には、それぞれ等角度ゴト(本実施形態では7.5度毎)に、それぞれ48ヶのU字形の内周凹溝902A及び外周凹溝903Aが形成されて、固定リングテーブル902に対して回動リングテーブル903が正しい角度に配置されたとき、内周凹溝902Aと外周凹溝903Aおりとが正対するように配置されている。
回動リングテーブル903及びこの内側の保持された鉄心3は、鉄心回動機構960によって回動させる。具体的には、作業者がハンドル961を回すと、ギアボックス962によってベルト963が回り、回転ギア機構964によって、固定リングテーブル902に対して回動リングテーブル903が、所定角度(本実施形態では7.5度)毎に回動する。従って、本実施形態では、コイル7をティース4に巻回した後には、鉄心3をこの鉄心回動機構960によって45度回動させる。
その後、再びティース4に巻線6を施し、コイル成形済スロット55内にウェッジ部材8を挿入する。これをU相巻線6uについて4回繰り返すことで、鉄心3に8ヶのU相コイル7uを形成する。次いで、V相巻線6vについても、ティース4へのV相巻線6vの巻回とウェッジ部材8の挿入とを4回繰り返すことで、鉄心3に8ヶのV相コイル7vを形成する。さらに、W相巻線6wについても、ティース4へのW相巻線6wの巻回とウェッジ部材8の挿入とを4回繰り返すことで、鉄心3に8ヶのW相コイル7wを形成する。かくして、8ヶずつU相,V相,W相コイル7u,7v,7wが形成され、各スロット5(コイル成形済スロット55)にはウェッジ部材8が挿入されたステータ2が完成する。
なお、各相のコイルの形成位置及び巻線の方向(正巻き、逆巻き)については、図2等を参照して説明したとおりであるので、説明を省略する。
また、第1アーム501等は、形成するコイル(U相,V相,W相の別)に応じて、適宜その形態を異なるものに付け替えて、各相のコイルを形成すると良い。
次いで、本実施形態の巻線装置100において、巻線が未だ施されていない鉄心3、あるいはU相コイル7uのみ、あるいはU相コイル7uとV相コイル7vのみが形成された鉄心3を、この巻線装置100の所定位置にセットし、鉄心3を回動させ、また、巻線が施された鉄心3(ステータ2)を外部に取り出すための鉄心セット機構800について、図50及び図60〜図65を参照して説明する。
本実施形態の巻線装置100において、図50に示すように、鉄心セット機構800は、鉄心水平移動機構810と鉄心鉛直移動機構820とを含む。鉄心水平移動機構810は、作業者の手前の外部セット位置OPに置かれた鉄心3を水平方向(図中左右方向)に移動させてガイドポール712及び昇降ロッド711と同軸の中間セット位置MPに移動させ、あるいは、この逆に移動させる。また、鉄心鉛直移動機構820は、中間セット位置MPにある鉄心3を鉄心水平移動機構810から載せ替え、下方に移動させて、回動リングテーブル903内のセット位置SPに位置させる。あるいはこの逆に、セット位置SPから鉄心3を上昇させて、中間セット位置MPで鉄心3を鉄心水平移動機構810に載せ替える。
まず、鉄心鉛直移動機構820について説明する。鉄心3を上下方向に移動させる鉄心鉛直移動機構820は、リフト部材821とこれを鉛直方向に移動させるリフト部材鉛直移動機構840とを有している。このうち、リフト部材821は、鉄心3に当接して、リフト部材鉛直移動機構840によって鉄心3と共に上下動させられる。一方、リフト部材鉛直移動機構840は、本実施形態の巻線装置100では、前述したウェッジ移動機構710を兼用して用いる。
リフト部材821は、図60(a)、(b)に示すように、鉄心3の内周円筒面3Iよりも僅かに小さな円筒面823を有する頭部822と、鉄心3の内周円筒面3Iよりも大きな外径を有する鍔部824と、この鍔部824に続く基部826、及び、この基部から径方向外側(図60(a)中左右方向)に突出し、後述するリフト部材退避機構830のリフト部材保持アーム831に保持される保持部827とを有している。上記したよう
に、頭部822は鉄心3の内周円筒面3Iよりも僅かに小さな円筒面823を有する一
方、鍔部824は鉄心3の内周円筒面3Iよりも大きな外径を有するため、このリフト部材821の頭部822を鉄心3の内周円筒面3I内に挿入すると、鍔部824の当接面824Aが鉄心3の裏面3Bに当接する(図60(a)参照)。従って、この状態で、リフト部材821を上昇させれば、鉄心3をも上昇させることができる。
なお、リフト部材821の頭部822には、中心軸に沿って貫通孔821Aが穿孔されている。また、頭部822には、切り欠き部822Aが形成されている。また、貫通孔
821Aと外周とを結ぶスリット822Cの両側に、突出ブレード825を締付具822Dで締め付けて保持するブレード保持部822Bが形成されている。突出ブレード825の厚さは、鉄心3のスロット5のうち、スロット内側開口部55Aのスロット幅WSよりも薄くされており、頭部822の円筒面823よりも径方向外側に突出した状態に保持されている。
このため、図60(a)に示すように、頭部822を鉄心3内に挿入した際、突出ブレード825の一部が、スロット5内に位置するから、この突出ブレード825によって、頭部822と鉄心3との周方向(軸線3X周り)の位置関係を規制することができる。
また、本実施形態では、リフト部材821の当接面824Aを鉄心3の裏面3Bの内周縁近傍に当接させたが、鉄心3をリフト部材821で上下動させることが出来ればよいので、裏面3Bの他の部分やコイル7の裏面側コイルエンド部7Rにリフト部材を当接させることもできる。
図61〜図63は、鉄心3をリフト部材821を介して、ウェッジ挿入機構700
(ウェッジ移動機構710、さらに具体的には昇降ロッド711)で持ち上げる動作を示す説明図である。まず、図61に示すように、鉄心3と、これと同軸に配置されたウェッジ移動機構710(昇降ロッド711)との間のリフト部材セット位置LSPに、リフト部材821を位置させる。その後、前述したように(図50参照)、作業者がハンドル719を操作することによって、ウェッジ移動機構710を作動させ、昇降ロッド711を図中上方に移動させる。
すると、昇降ロッド711の上端面711Aが、リフト部材821の基部826の下面826Bに当接し(図60(a)参照)、さらに図62に示すように、リフト部材821を持ち上げる。
そして、昇降ロッド711をさらに上昇させると、図63に示すように、これと共に上昇しているリフト部材821の頭部822が、鉄心3の内周円筒面3I内に挿入され、鍔部824が鉄心3の裏面3Bに当接して、鉄心3をも上昇させる(図60(a)参照)。かくして、鉄心3を、図50に示す鉄心水平移動機構810に載せ替えができる高さ、具体的には、中間セット位置MPよりも若干上方まで、持ち上げる。
なお、後述する鉄心水平移動機構810に鉄心3(ステータ4)を載せ替えるには、後述する載置アーム811を鉄心3の下方に移動させた後、昇降ロッド711を下降させ
る。これによって、鉄心3が載置アーム811に載置され、リフト部材821の頭部822が鉄心3から抜ける。
あるいはこの逆に、鉄心水平移動機構810から、鉄心3を鉄心鉛直移動機構820
に、具体的にはリフト部材821に載せ替えるには、載置アーム811に載せて鉄心3を中間セット位置MPに位置させた後、リフト部材821及び昇降ロッド711を上昇さ
せ、リフト部材821の頭部822を鉄心3に挿入し、鉄心3を中間セット位置MPよりも上方に持ち上げればよい。その後は、載置アーム811を復帰させてから、鉄心3、リフト部材821及び昇降ロッド711を下降させ、鉄心3を回動リングテーブル903内のセット位置SPに保持させる。
ところで、前述したように、ウェッジ移動機構710を、ウェッジ部材8をスロット5に挿入するのに用いる場合には、リフト部材821は不要であるからこれを退避させておく必要がある。一方、ウェッジ移動機構710を、リフト部材821を上下させ、鉄心3を上下させるのに用いる場合には、リフト部材821をウェッジ移動機構710(具体的には、昇降ロッド711)の上方に配置する必要がある。そこで、鉄心鉛直移動機構
820はさらに、リフト部材821を所定位置にセットしあるいは退避させるリフト部材退避機構830を含む。
このリフト部材退避機構830を、図50及び図64を参照して説明する。このリフト部材退避機構830は、リフト部材821をその保持部827で保持するリフト部材保持アーム831と、アーム831を鉛直方向(図中上下方向)に延びる旋回軸832Xの回りに旋回可能に保持するアーム旋回軸部材832とを有する。さらに、アーム旋回軸部材832に連結され、リフト部材保持アーム831の旋回を操作するハンドル833とを備えている。リフト部材保持アーム831は、平面視(図64参照)略U字状をなし、基部831Aと、この基部831Aから延びる2本のアーム形状のアーム部831B,831Cとからなり、このアーム部831B,831Cの先端部は、リフト部材821の保持部827を係合保持する係合部831D,831Eとなっている。
図64に示すように、このリフト部材退避機構830では、リフト部材821を、旋回軸832Xの回りに90度旋回させて、リフト部材退避位置LTPとリフト部材セット位置LSPとの間で移動できるようにしてある。なお、リフト部材セット位置LSPは、リフト部材821が、鉄心3及び昇降ロッド711と同軸となり、かつこれらの間に配置される位置である。
かくして、ウェッジ移動機構710を用いて、ウェッジ部材8をスロット5に挿入する場合には、作業者がハンドル833を操作して、リフト部材821をリフト部材退避位置LTPに位置させればよい。一方、ウェッジ移動機構710を用いて、リフト部材821を上下させ、鉄心3を上下させる場合には、作業者がハンドル833を操作して、リフト部材821をリフト部材セット位置LSPに位置させればよい(図61参照)。なお、本実施形態の巻線装置100では、ハンドル833を作業者が手動で操作する形態とした
が、モータその他のアクチュエータを用いて、自動的にリフト部材を移動させるリフト部材退避機構を構成しても良いことは言うまでもない。
次いで、鉄心水平移動機構810について説明する。外部セット位置OPに置かれた鉄心3を水平方向に移動させ、中間セット位置MPに位置させる鉄心水平移動機構810
は、図65に示すように、旋回軸811Xの周りに約180度旋回可能に構成された載置アーム811を有している。この載置アーム811の先端部分は、切り欠き部814に
よって、旋回軸811Xを中心とした周方向の一方側(本実施形態では、平面視反時計周り側)が開口する略コ字形状で、鉄心3が載置されるコ字状載置部812とされている。このコ字状載置部812のうち、載置部内周縁813は略3/4円周形状とされ、この載置部内周縁813近傍の上面と鉄心3の裏面3Bの外周縁近傍とが当接することによって、鉄心3がコ字状載置部812に載置される。
この鉄心水平移動機構810を用いることで、外部セット位置OPに置かれた鉄心3を、作業者が旋回軸811Xの周りに水平に旋回させ、中間セット位置MPに位置させる、あるいはこの逆に移動させることが可能となる。
なお、本実施形態の巻線装置100では、載置アーム811を作業者が手動で操作する形態としたが、モータその他のアクチュエータを用いて、載置アーム811を旋回させる鉄心水平移動機構を構成しても良いことは言うまでもない。
そして、前述したように、このような鉄心水平移動機構810及び鉄心鉛直移動機構820を用いることによって、外部セット位置OPに置かれた鉄心3を、中間セット位置MPを経由して、セット位置SPにセットすることができる。又この逆に、セット位置SPにセットされている鉄心3あるいはこれにコイル7及びウェッジ部材8が取り付けられたステータ2や半完成の鉄心3を、外部セット位置OPまで排出することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、巻線装置100を用いて、巻線6が巻回されていない鉄心3を用い、U相,V相,W相コイル7u,7v,7wをそれぞれ形成して、ステータ2を形成した。しかし、巻線装置100を各相のコイルを巻くための専用巻線装置とすることもできる。即ち、巻線6が巻回されていない鉄心3にU相コイル7uを巻回する巻線装置、既にU相コイル7uが巻回された鉄心3に、V相コイル7vを巻回する巻線装置、あるいは、既にU相,V相コイル7u,7vが巻回された鉄心3に、W相コイル7wを巻回する巻線装置とすることもできる。各相のコイルを形成するには、それぞれの相に適合した形状の第1〜第4アームを用いるのが好ましく、そのため、連続して複数の相のコイルを巻回する場合には、形成するコイルの相の違いによって、第1アーム等を交換する必要がある。これに対して、各相専用の巻線装置とすることで、第1アーム等の交換が不要となり、工数低減を図ることができる。
実施形態にかかるモータの模式図である。 実施形態にかかるステータの模式図である。 実施形態にかかるステータの斜視図である。 各相コイルの結線を示す結線図である。 (a)はステータ鉄心の平面図、(b)はステータ鉄心の縦断面図である。 ステータ鉄心にU相巻線を巻き付けた状態を示す部分拡大斜視図である。 ステータ鉄心にU相巻線及びV相巻線を巻き付けた状態を示す部分拡大斜視図である。 ステータ鉄心にU相巻線、V相巻線及びW相巻線を巻き付けた状態を示す部分拡大斜視図である。 ステータ鉄心のスロット内に絶縁フィルムを挿入する様子を示す説明図であり、(a)は絶縁フィルムをスロットの挿入する様子を、(b)は絶縁フィルムがスロットに挿入された状態を示す。 実施形態にかかるステータ鉄心の巻線装置の概要を示す正面説明図である。 実施形態にかかるステータ鉄心の巻線装置の概要を示す左側面説明図である。 実施形態にかかるステータ鉄心の巻線装置の概要を示す右側面説明図である。 巻線吐出装置のうち素線を吐出する第1,第2巻線吐出部の構造、およびこれらとステータとの位置関係を示す模式図である。 第1,第2巻線吐出部を図13とは逆相に配置した状態とステータとの関係を示す模式図である。 巻線吐出装置の第1,第2巻線吐出部と、アームの進退およびセット・退避の様子を示す説明図であり、第1,第2巻線吐出部が上死点より前に位置するときの様子を示す説明図である。 巻線吐出装置の第1,第2巻線吐出部と、アームの進退およびセット・退避の様子を示す説明図であり、第1,第2巻線吐出部が上死点を越えて下方に位置するときの様子を示す説明図である。 巻線吐出装置のうち、第1,第2巻線吐出部に上下動させる軸線方向移動機構および揺動させる吐出部回動機構を示す説明図である。 巻線吐出装置のうち、吐出部回動機構の要部を示す説明図である。 巻線吐出装置のうち、軸線方向移動機構および吐出部回動機構の要部を示す説明図である。 巻線吐出装置のうち、吐出部回動機構の要部を示す説明図である。 巻線吐出装置の吐出部回動機構のうち、回動駆動軸とカム機構との関係を示す説明図である。 巻線吐出装置のうち、軸線方向移動機構の振幅調整機構とステータ鉄心の厚さとの関係を説明する説明図であり、(a)は基準厚さの鉄心を用いた場合、(b)は異なる厚さの鉄心を用いた場合である。 この図23〜図26は、巻線吐出装置の動き、具体的には第1,第2巻線吐出部に上下動を行わせる軸線方向移動機構と、揺動を行わせる吐出部回動機構の動きを示す説明図であり、このうち本図は、第1,第2巻線吐出部が上死点に位置するときの状態を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部が上死点より下方に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部が下死点に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部がさらに上方に位置するときの様子を示す説明図である。 第1アームおよび第4アームを動作させる第1,第4アーム進退機構および第1,第4退避機構の構造を示す斜視説明図である。 第1アームおよび第4アームを動作させる第1,第4アーム進退機構および第1,第4退避機構の構造を下方から見た斜視説明図である。 第1アームおよび第4アームを動作させる第1,第4アーム進退機構および第1,第4退避機構のうち一部の部品を除去して示す斜視説明図である。 第1アームおよび第4アームを動作させる第1,第4アーム進退機構および第1,第4退避機構のうち、さらに一部の部品を除去して示す斜視説明図である。 第1アーム退避機構による第1アームの退避動作時の連続動作を示す斜視説明図である。 第1アーム退避機構による第1アームの退避動作時の連続動作を回動軸の正面から見た示す説明図である。 第1アーム退避機構による第1アームの退避動作時の連続動作を平面視した説明図である。 この図34〜図40は、巻線吐出装置の第1,第2巻線吐出部の上下動と、2組8ヶのアームの進退動作およびセット・退避動作の様子を示す説明図であり、このうち本図は、第1,第2巻線吐出部が鉄心上方の上死点に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部が鉄心上方の上死点より下方に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部の一部が鉄心内に挿入されたときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部が鉄心下方の下死点に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部がそれぞれ逆相に揺動し、鉄心下方の下死点より上方に位置するときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部の一部が鉄心内に挿入されたときの様子を示す説明図である。 第1,第2巻線吐出部が図39よりもさらに上昇させた時点で上方から見た状態を示す説明図である。 押圧具でスロット2つ分の絶縁フィルムの突出部を同時に押圧して絶縁フィルムの屈曲を防ぎつつスロット内に通したU相巻線を曲げる様子を示す説明図である。 変形形態1にかかり、第1アーム退避機構により第1アームを大きく退避させた場合のアームと鉄心との関係を示す説明図である。 変形形態2にかかり、第1アーム退避機構により第1アームを大きく退避させ、且つ第1アーム進退機構によってアームを外側に進ませた場合のアームと鉄心との関係を示す説明図である。 第1アームおよび第4アームを動作させる第1、第4アーム進退機構および第1,第4退避機構の構造と、第1,第4アンチバック機構との関係を示す斜視説明図である。 第1,第4アンチバック機構と退避移動プレートの関係を示す斜視説明図である。 アンチバック機構の構造を示す説明図であり、(a)はアンチバック機構が機能していない状態、(b)はプレートにロック部材が押しつけられた状態、(c)はロック部材でプレートをロックした状態を示す。 ステータとそのスロットに挿入されるウェッジ部材との関係を示す説明図である。 ステータ鉄心のスロットと、巻線、絶縁フィルム、およびウェッジ部材との関係を示す説明図である。 (a)はウェッジ部材を示し、(b)、(c)はウェッジ部材の変形を示す説明図である。 巻線装置におけるステータ鉄心とウェッジ挿入機構との位置関係、および鉄心セット機構の動作を示す説明図である。 ステータとウェッジ挿入機構との位置関係を示す説明図である。 ウェッジ挿入機構のうち昇降ロッドの要部を示す斜視説明図である。 図52に示すウェッジ挿入機構の要部において、ブレード部材、ローラとウェッジ部材との関係を示す斜視説明図である。 ブレード部材およびこれとウェッジ部材との関係を示す説明図である。 図55〜図58は、ステータ鉄心にウェッジ部材を挿入する動作を示す説明図であり、本図は、当接部材が鉄心に当接する前の状態を示す説明図である。 当接部材が鉄心に当接したときの様子を示す説明図である。 当接部材によってコイルエンドが拡径され、ローラがスロット内に挿入された状態を示す説明図である。 ローラによって形成された挿入路にウェッジ部材が挿入されている状態を示す説明図である。 ステータ鉄心を保持する鉄心保持機構を示す説明図である。 (a)はステータ(ステータ鉄心)とリフト部材との関係を示す説明図であり、(b)はリフト部材の平面図である。 図61〜図63は、ステータ鉄心をリフト部材を介して、ウェッジ挿入機構で持ち上げる動作を示す説明図であり、本図は、ウェッジ挿入機構がリフト部材に当接する前の状態を示す説明図である。 ウェッジ挿入機構がリフト部材に当接し、リフト部材が鉄心に当接した状態を示す説明図である。 ウェッジ挿入機構でリフト部材を介して鉄心を持ち上げた状態を示す説明図である。 リフト部材をセットおよび退避させるリフト部材退避機構およびその動作を示す説明図である。 鉄心セット機構のうち、鉄心水平移動機構およびその動作を示す説明図である。
符号の説明
1 モータ
9 ロータ
91 回転軸
92 ロータ本体
93S スリット
94 永久磁石
2 ステータ
3 ステータ鉄心
3X (ステータ鉄心の)軸線
3XP 軸線方向
3X1 第1軸線方向
3X2 第2軸線方向
3A (ステータ鉄心の)表面
3B (ステータ鉄心の)裏面
3I 内周円筒面
3SI 仮想内周円筒面
3T 外周筒面
3ST 仮想外周筒面
39 鋼板
BP ワーク基準位置
SP 鉄心のセット位置(第1所定位置)
MP 鉄心の中間セット位置(第3所定位置)
OP 鉄心の外部セット位置(第2所定位置)
4 (ステータ鉄心の)ティース(内歯)
5 (ステータ鉄心の)スロット
5A スロット内側開口部
5u,5v,5w スロット
5up,5vp,5wp 引出スロット
51 第1スロット
52 第2スロット
51R 第1スロット方向
52R 第2スロット方向
51S 第1スロット外方向
52S 第2スロット外方向
51u 第1U相スロット
52u 第2U相スロット
55 コイル成形済スロット
55A (コイル成形済スロットの)スロット内側開口部
WS スロット内側開口部のスロット幅
6 巻線
6p 素線
6u,6Au,6Bu U相巻線
61Au,61Bu U相外部接続端
62Au,62Bu U相中性接続端
6v,6Av,6Bv V相巻線
61Av,61Bv V相外部接続端
62Av,62Bv V相中性接続端
6w,6Aw,6Bw W相巻線
61Aw,61Bw W相外部接続端
62Aw,62Bw W相中性接続端
63 第1スロット挿入部
64 第2スロット挿入部
65u,65v,65w 外部接続端子
7 コイル
7R 裏面側コイルエンド部
7RS スロット裏面側コイルエンド部
7u,71u〜78u U相コイル
7Au,7Bu U相コイル列
7Hu 表面側U相コイルエンド部(表面側コイルエンド部)
7Ru 裏面側U相コイルエンド部(裏面側コイルエンド部)
7v,71v〜78v V相コイル
7Av,7Bv V相コイル列
7Hv 表面側V相コイルエンド部(表面側コイルエンド部)
7Rv 裏面側V相コイルエンド部(裏面側コイルエンド部)
7w,71w〜78w W相コイル
7Aw,7Bw W相コイル列
7Hw 表面側W相コイルエンド部(表面側コイルエンド部)
7Rw 裏面側W相コイルエンド部(裏面側コイルエンド部)
8 ウェッジ部材
81 先端(第1軸線方向端)
82 後端(第2軸線方向端)
LW (ウェッジ部材の)長さ
95 絶縁フィルム
95A 表面側突出部
95B 裏面側突出部
100 巻線装置(ステータ鉄心の巻線装置)
200 巻線吐出装置
210 第1巻線吐出部
211 第1ノズル
220 第2巻線吐出部
221 第2ノズル
AS 仮想対称平面
300 軸線方向移動機構(移動装置)
310,320 軸線方向案内機構
311,321 直線状レール
312,322 直線走行ユニット
330 吐出装置移動機構
340 移動駆動軸(駆動軸)
350 クランク機構(第1変換機構、変換機構)
351 タイミングプレート(クランク節)
352 クランク連結軸(第1連結軸)
353 連結ロッド(連結節)
354 ヘッド連結軸(第2連結軸)
355 ヘッド
356 案内部
370 振幅調整機構
371 第1軸間調整機構
380 中心位置調整機構
381 第2軸間調整機構
T0 基準ステータ鉄心の軸線方向の基準厚さ
T ステータ鉄心の軸線方向の厚さ
L 第2軸間距離
L0 基準第2軸間距離
400 吐出部回動機構(移動装置)
410,410U,410D,420,420U,420D 円弧状案内機構
AC,AC1,AC2 仮想円
411,412,421,422 円弧状レール
413,414,423,424 円弧状走行ユニット
430 回動駆動軸(駆動軸)
440 回動変換機構(第2変換機構)
450 カム機構
451 カム
452 接点ローラ
501,502,503,504 アーム
506 第1アーム駆動軸,1−4アーム駆動軸
507 第2アーム駆動軸,2−3アーム駆動軸
508,509 アーム駆動軸
506X,507X,508X,509X (駆動軸の)軸心
510,520,530,540 アーム進退機構
511 第1進退カム,1−4進退カム
521,531,541 進退カム
512,522,532,542 進退カム従動節
512T,522T,532T,542T 進退カム接点
591,592,593,594 (進退カムと退避カムの)固着機構
595,596,597,598 (アームの)引き位置
610,620,630,640 アーム退避機構
610X,620X,630X,640X 退避軸線
611,621,631,641 アームセット位置
612,612A 第1アーム退避位置
622,632,642 アーム退避位置
613 第1退避カム,1−4退避カム
623,633,643 退避カム
614T,624T,634T,644T 進退カム接点
615L,645L ロック面(保持端面)
615A,645A 上面(保持端面)
650,660,670,680 アンチバック機構(移動規制機構,退避位置保持機構)
690 1−4アンチバック機構(第1移動規制機構,第1退避位置保持機構,第4移動規制機構,第4退避位置保持機構)
652,662,672,682 ロック部材
653,663,673,783 弾性部材
700 ウェッジ挿入機構
710 ウェッジ移動機構(リフト部材鉛直移動機構)
720 コイルエンド拡径機構
721 当接部材
723 係合凹部(当接部材移動保持機構)
730 当接部材径方向移動機構
751 ブレード部材(ウェッジサポート部,ブレード部)
752 ウェッジ当接面
WB (ブレード部材の)幅
753 ウェッジ押圧部
754 サポート部材
755 ウェッジサポート面
LS サポート長さ
760 挿入路形成機構
761 ローラ(挿入路形成部材)
762 ローラ部(挿入路形成部材)
763 当接部材係合部(当接部材移動保持機構)
764 軸部材
SR 挿入路
800 鉄心セット機構
810 鉄心水平移動機構
811 載置アーム(載置具)
820 鉄心鉛直移動機構
821 リフト部材
821A 貫通孔
822 頭部
823 円筒面
824 鍔部
830 リフト部材退避機構(退避位置)
840 リフト部材鉛直移動機構
950 カフササポート
960 鉄心回動機構(回動機構)
910,920,030,940 接点移動機構(進退調整機構,進退接点移動機構,退避調整機構,退避接点移動機構)

Claims (44)

  1. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、
    上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、
    上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、
    上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、
    上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、
    上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、
    上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、
    上記第1アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第1退避軸線の周りに回動させて、上記第1アームセット位置と、上記ステータ鉄心の内周円筒面を上記軸線方向に延ばした仮想内周円筒面よりも径方向外側で、かつ、上記スロットにそれぞれ上記コイルを形成したと仮定したときの各コイルのうち上記ステータ鉄心の表面より第1軸線方向に位置する表面側コイルエンド部から離間する第1アーム退避位置と、の間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、
    上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、
    上記第2アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第2退避軸線の周りに回動させて、上記第2アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側で、かつ、上記スロットにそれぞれ上記コイルを形成したと仮定したとき各コイルのうち上記ステータ鉄心の裏面より第2軸線方向に位置する裏面側コイルエンド部から離間する第2アーム退避位置と、の間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、
    上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、
    上記第3アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第3退避軸線の周りに回動させて、上記第3アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側でかつ上記裏面側コイルエンド部から離間する第3アーム退避位置と、の間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、
    上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、
    上記第4アームを上記軸線方向と交差する方向に延びる第4退避軸線の周りに回動させて、上記第4アームセット位置と、上記仮想内周円筒面よりも径方向外側でかつ上記表面側コイルエンド部から離間する第4アーム退避位置と、の間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、を備える
    ステータ鉄心の巻線装置。
  2. 請求項1に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記第1アーム退避機構は、前記第1アームを前記第4アームから離れる方向に回動退避させ、
    前記第2アーム退避機構は、前記第2アームを前記第3アームから離れる方向に回動退避させ、
    前記第3アーム退避機構は、上記第3アームを上記第2アームから離れる方向に回動退避させ、
    前記第4アーム退避機構は、上記第4アームを上記第1アームから離れる方向に回動退避させる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、
    前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、特定アーム駆動軸の回転を上記特定アームの進退に変換する機構からなり、
    前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、上記特定アーム駆動軸の回転を上記特定アームの特定退避軸線の周りの回動に変換する機構からなる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  4. 請求項3に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アーム進退機構は、前記特定アーム駆動軸に固着された板状の特定進退カムを含み、
    前記特定アーム退避機構は、上記特定アーム駆動軸に固着された板状の特定退避カムを含み、
    上記特定進退カムと特定退避カムとは、単一の固着機構によって隣接して上記特定アーム駆動軸に固着されてなる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  5. 請求項4に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アームは、第1アームおよび第4アームであり、
    前記特定アーム駆動軸である第1アーム駆動軸と第4アーム駆動軸とは、共通の1−4駆動軸である
    ステータ鉄心の巻線装置。
  6. 請求項5に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定進退カムである第1進退カムと第4進退カムとは、共通の1−4進退カムであり、
    前記特定退避カムである第1退避カムと第4退避カムとは、共通の1−4退避カムである
    ステータ鉄心の巻線装置。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アームは、第2アームおよび第3アームであり、
    前記特定アーム駆動軸である第2アーム駆動軸と第3アーム駆動軸とは、共通の2−3駆動軸である
    ステータ鉄心の巻線装置。
  8. 請求項7に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定進退カムである第2進退カムと第3進退カムとは、共通の2−3進退カムであり、
    前記特定退避カムである第2退避カムと第3退避カムとは、共通の2−3退避カムである
    ステータ鉄心の巻線装置。
  9. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、
    上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、
    上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、
    上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、
    上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、
    上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、
    上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、
    上記第1アーム進退機構を駆動する第1アーム駆動軸と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、
    上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、
    上記第2アーム進退機構を駆動する第2アーム駆動軸と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、
    上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、
    上記第3アーム進退機構を駆動する第3アーム駆動軸と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、
    上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、
    上記第4アーム進退機構を駆動する第4アーム駆動軸と、
    を備え、
    上記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、
    上記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、
    上記第1アーム駆動軸〜第4アーム駆動軸のうち上記特定アームに関する特定アーム駆動軸に固着された特定進退カム、及び
    この特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節を含み、
    上記特定アーム駆動軸の軸心と上記特定進退カム接点との距離が大きくなる期間に、上記特定アームが上記第1スロット外方向および第2スロット外方向のうち上記特定アームに関する特定スロット外方向に移動するように構成されてなる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  10. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、
    上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、
    上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、
    上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、
    上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、
    上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、
    上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、
    上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、
    上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、
    上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、を備え、
    前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、
    前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち上記特定アームに関する特定アーム進退機構は、
    上記特定アームの進退のタイミングを調整する特定進退調整機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  11. 請求項10に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アーム進退機構は、
    特定アーム駆動軸に固着された特定進退カム、及び
    この特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節を含み、
    前記特定進退調整機構は、
    上記特定進退カム従動節の上記特定進退カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定進退接点移動機構である
    ステータ鉄心の巻線装置。
  12. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、
    上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、
    上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、
    上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、
    上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、
    上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、
    上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、
    上記第1アームセット位置と第1アーム退避位置との間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、
    上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、
    上記第2アームセット位置と第2アーム退避位置との間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、
    上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、
    上記第3アームセット位置と第3アーム退避位置との間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、
    上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、
    上記第4アームセット位置と第4アーム退避位置との間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、を備え、
    上記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、
    前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、
    上記特定アームのセット及び退避のタイミングを調整する特定退避調整機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  13. 請求項12に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アーム退避機構は、
    特定アーム駆動軸に固着された特定退避カム、及び
    この特定退避カムに特定退避カム接点で接して従動する特定退避カム従動節を含み、
    前記特定退避調整機構は、
    上記特定退避カム従動節の上記特定退避カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定退避接点移動機構である
    ステータ鉄心の巻線装置。
  14. 請求項13に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記第1アーム進退機構〜第4アーム進退機構のうち前記特定アームに関する特定アーム進退機構は、
    前記特定アーム駆動軸に固着された特定進退カムと、
    この特定進退カムに特定進退カム接点で接して従動する特定進退カム従動節と、
    上記特定進退カム従動節の上記特定進退カム接点の位置を上記特定アーム駆動軸の周方向に変化させる特定進退接点移動機構と、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  15. 請求項14に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定退避接点移動機構は、特定進退接点移動機構を兼ねる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  16. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、この逆を第2軸線方向とし、
    上記ステータ鉄心の径方向のうち、上記第1スロットに沿う方向を第1スロット方向とし、上記第2スロットに沿う方向を第2スロット方向とし、
    上記第1スロット方向のうち、外側方向を第1スロット外方向とし、
    上記第2スロット方向のうち、外側方向を第2スロット外方向としたとき、
    上記巻線を吐出する巻線吐出装置と、
    上記ステータ鉄心および上記巻線吐出装置のうち少なくともいずれかを移動させて、両者の相対的な位置関係を変化させる移動装置と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第1アームであって、第1アームセット位置に位置する上記第1アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット内に挿入された第1スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第1アームと、
    上記第1アームを上記第1スロット方向に進退させる第1アーム進退機構と、
    上記第1アームセット位置と第1アーム退避位置との間で上記第1アームを往復移動させる第1アーム退避機構と、
    解放状態では上記第1アーム退避機構による上記第1アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第1アームを上記第1アーム退避位置に保持する第1退避位置保持機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第2アームであって、第2アームセット位置に位置する上記第2アームを上記第1スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第1スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第2アームと、
    上記第2アームを上記第1スロット方向に進退させる第2アーム進退機構と、
    上記第2アームセット位置と第2アーム退避位置との間で上記第2アームを往復移動させる第2アーム退避機構と、
    解放状態では上記第2アーム退避機構による上記第2アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第2アームを上記第2アーム退避位置に保持する第2退避位置保持機構と、
    上記ステータ鉄心の上記裏面より上記第2軸線方向に位置する第3アームであって、第3アームセット位置に位置する上記第3アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット内に挿入された第2スロット挿入部より上記第2軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第3アームと、
    上記第3アームを上記第2スロット方向に進退させる第3アーム進退機構と、
    上記第3アームセット位置と第3アーム退避位置との間で上記第3アームを往復移動させる第3アーム退避機構と、
    解放状態では上記第3アーム退避機構による上記第3アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第3アームを上記第3アーム退避位置に保持する第3退避位置保持機構と、
    上記ステータ鉄心の上記表面より上記第1軸線方向に位置する第4アームであって、第4アームセット位置に位置する上記第4アームを上記第2スロット外方向に向けて移動させたときに、上記巻線のうち上記第2スロット挿入部より上記第1軸線方向に位置する上記巻線に掛合してこの巻線をたぐる第4アームと、
    上記第4アームを上記第2スロット方向に進退させる第4アーム進退機構と、
    上記第4アームセット位置と第4アーム退避位置との間で上記第4アームを往復移動させる第4アーム退避機構と、
    解放状態では上記第4アーム退避機構による上記第4アームの往復移動を許し、退避保持状態では上記第4アームを上記第4アーム退避位置に保持する第4退避位置保持機構と、を備える
    ステータ鉄心の巻線装置。
  17. 請求項16に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記第1アーム〜第4アームから選択した少なくともいずれかの特定アームに関し、
    前記第1アームセット位置〜第4アームセット位置のうち、上記特定アームに関するセット位置を特定アームセット位置とし、
    前記第1アーム退避位置〜第4アーム退避位置のうち、上記特定アームに関する退避位置を特定アーム退避位置としたとき、
    前記第1退避位置保持機構〜第4退避位置保持機構のうち上記特定アームに関する特定退避位置保持機構は、
    前記退避保持状態では、上記特定アームが上記特定アームセット位置から上記特定アーム退避位置へ移動するのは許す一方、上記特定アームが上記特定アーム退避位置から上記特定アームセット位置へ移動するのは許さず、上記特定アームを上記特定アーム退避位置に保持する特定移動規制機構である
    ステータ鉄心の巻線装置。
  18. 請求項17に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記第1アーム退避機構〜第4アーム退避機構のうち上記特定アームに関する特定アーム退避機構は、
    前記特定アームを往復移動させるのための駆動力を伝え所定の往復運動をする特定伝達部材であって、上記特定アームが前記特定アームセット位置に位置するときと、上記特定アームが前記特定アーム退避位置に位置するときとで、特定保持端面が移動する特定伝達部材を含み、
    前記特定移動規制機構は、
    特定ロック部材とこの特定ロック部材をロック方向に付勢する特定弾性部材とを有する特定アンチバック機構であって、
    前記解放状態としたとき、上記特定ロック部材が上記特定伝達部材と離間し、
    前記退避保持状態としたときのうち、
    上記特定アームが特定アームセット位置から特定アーム退避位置までの間に位置しているときには、上記特定伝達部材を上記特定ロック部材で上記ロック方向に押圧し、
    上記特定アームが特定アーム退避位置に位置しているときには、上記特定ロック部材が上記ロック方向に移動して上記特定伝達部材の特定保持端面に掛合する
    特定アンチバック機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  19. 請求項17または請求項18に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記特定アームは前記第1アーム〜第4アームであり、
    前記特定アーム退避位置である第1アーム退避位置、第2アーム退避位置、第3アーム退避位置、第4アーム退避位置は、いずれも前記ステータ鉄心の外周面を軸線方向に延ばした仮想外周筒面よりも径方向外側に位置する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  20. 請求項16〜請求項18のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    解放状態では前記第1アーム進退機構による前記第1アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第1アームを所定の第1アーム進退位置に保持する第1進退位置保持機構と、
    解放状態では前記第2アーム進退機構による前記第2アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第2アームを所定の第2アーム進退位置に保持する第2進退位置保持機構と、
    解放状態では前記第3アーム進退機構による前記第3アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第3アームを所定の第3アーム進退位置に保持する第3進退位置保持機構と、
    解放状態では前記第4アーム進退機構による前記第4アームの往復進退移動を許し、進退保持状態では上記第4アームを所定の第4アーム進退位置に保持する第4進退位置保持機構と、
    を備え、
    前記第1アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第1アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第1アームが位置する第1アーム退避位置でかつ第1アーム進退位置である第1アーム取出退避位置は、
    前記第2アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第2アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第2アームが位置する第2アーム退避位置でかつ第2アーム進退位置である第2アーム取出退避位置は、
    前記第3アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第3アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第3アームが位置する第3アーム退避位置でかつ第3アーム進退位置である第3アーム取出退避位置は、および
    前記第4アーム退避機構を退避保持状態とし、かつ上記第4アーム進退機構を進退保持状態としたときに、上記第4アームが位置する第4アーム退避位置でかつ第4アーム進退位置である第4アーム取出退避位置は、
    いずれも、前記ステータ鉄心の外周面を軸線方向に延ばした仮想外周筒面よりも径方向外側に位置する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  21. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記コイルを成形した後に、上記ステータ鉄心を移動させることなく、上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備える
    ステータ鉄心の巻線装置。
  22. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、
    上記ウェッジ挿入機構は、
    上記ウェッジ部材の挿入に先立ち、上記コイルの裏面側コイルエンド部のうち、少なくとも上記コイル成形済スロットの上記裏面側に位置するスロット裏面側コイルエンド部を上記ステータ鉄心の径方向外側に向けて移動させるコイルエンド拡径機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  23. 請求項22に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記コイルエンド拡径機構は、
    前記裏面側でかつ前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置され、自身の当接面において、上記スロット裏面側コイルエンド部またはその近傍に径方向内側から当接する当接部材と、
    上記当接部材を径方向外側に向けて移動させて、上記当接部材を介して上記スロット裏面側コイルエンド部を径方向外側に向けて移動させる当接部材径方向移動機構と、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  24. 請求項23に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記ステータ鉄心の軸線方向のうち、前記裏面から前記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、
    前記ウェッジ挿入機構は、
    前記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、
    前記当接部材が上記裏面側から移動して前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置されるまでの間、上記当接部材を上記ウェッジ部材よりも上記第1軸線方向に位置させつつ上記第1軸線方向に移動させ、上記当接部材が前記スロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に配置された後は、上記ウェッジ部材の上記第1軸線方向への移動に拘わらず、このスロット裏面側コイルエンド部の径方向内側に上記当接部材を保持する当接部材移動保持機構と、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  25. 請求項22〜請求項24のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記ステータ鉄心の軸線方向のうち、前記裏面から前記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、
    前記ウェッジ挿入機構は、
    前記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、
    挿入路形成機構であって、
    挿入路形成部材を有し、
    この挿入路形成部材を、上記ウェッジ移動機構により移動される上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を前記スロット内側開口部を通して前記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された前記巻線を径方向外側に向けて移動させて、この挿入路形成部材に続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成する挿入路形成機構と、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  26. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、
    上記ウェッジ挿入機構は、
    上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構と、
    挿入路形成機構であって、
    挿入路形成部材を有し、
    この挿入路形成部材を、上記ウェッジ移動機構により移動される上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を上記スロット内側開口部を通して上記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された上記巻線を径方向外側に向けて移動させて、続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成する挿入路形成機構と、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  27. 請求項25または請求項26に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記挿入路形成部材は、
    第1軸線方向及び径方向に直交する回転軸を有し、この回転軸の周りに回転自在に保持された円板状のローラであって、その一部が前記スロット内側開口部を通って前記コイル成形済スロット内に挿入され、前記挿入路を形成するローラである
    ステータ鉄心の巻線装置。
  28. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、その逆を第2軸線方向としたとき、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、
    上記ウェッジ挿入機構は、上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させるウェッジ移動機構を含み、
    上記ウェッジ移動機構は、
    上記ウェッジ部材と共に移動し、上記ステータ鉄心の上記軸線方向に延びて上記ウェッジ部材に径方向内側から当接するウェッジ当接面を有するウェッジサポート部と、
    上記ウェッジ当接面より上記第2軸線方向に位置し、上記ウェッジ部材の第2軸線方向端に当接して、上記ウェッジ部材の上記コイル成形済スロット内への挿入時に、このウェッジ部材を上記第1軸線方向に押圧するウェッジ押圧部と、を有する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  29. 請求項28に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記ウェッジサポート部は、
    前記軸線方向及び径方向に延びる平板状で、前記ウェッジ当接面を径方向外側の端面とするブレード部であり、
    このブレード部の幅は、前記コイル成形済スロットのスロット内側開口部の幅よりも小さく、
    前記ウェッジ部材を上記コイル成形済スロット内に挿入する際に、上記ブレード部の少なくとも径方向外側の一部が、上記コイル成形済スロット内に位置するように移動させられる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  30. 請求項28または請求項29に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記ウェッジ移動機構は、
    上記ステータ鉄心の裏面よりも第2軸線方向に位置し、前記コイル成形済スロット内への前記ウェッジ部材の挿入期間中に、前記ウェッジ当接面の一部と対向し、上記ウェッジ部材を介して上記ウェッジ部材に当接または近接するウェッジサポート面を有するサポート部材を備える
    ステータ鉄心の巻線装置。
  31. 請求項22〜請求項30のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記ウェッジ挿入機構は、
    前記コイル成形済スロットである前記第1スロット及び第2スロットの両者に、同時に前記ウェッジ部材を挿入する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  32. 請求項22〜請求項30のいずれか1項に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記巻線装置は、前記コイルを同時に複数成形する複数コイル同時巻線装置であり、
    前記ウェッジ挿入機構は、
    同時に成形された上記コイルの成形済スロットのいずれにも、同時に前記ウェッジ部材を挿入する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  33. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から表面に向かう方向を第1軸線方向としたとき、
    互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、
    上記ウェッジ挿入工程は、
    上記ウェッジ部材の挿入の前および挿入期間中に亘り、上記コイルの裏面側コイルエンドのうち、少なくとも上記コイル成形済スロットの上記裏面側に位置するスロット裏面側コイルエンド部を上記ステータ鉄心の径方向外側に向けて移動させるコイルエンド拡径工程を含む
    ステータの製造方法。
  34. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、
    互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、
    上記ウェッジ挿入工程は、
    上記ウェッジ部材を前記ステータ鉄心の前記裏面側から上記第1軸線方向に移動させると共に、
    挿入路形成部材を、上記ウェッジ部材の第1軸線方向端よりも上記第1軸線方向に位置させつつ、上記第1軸線方向に移動させて、この挿入路形成部材の少なくとも一部を上記スロット内側開口部を通して上記コイル成形済スロット内に挿入し、このコイル成形済スロット内に配置された上記巻線を径方向外側に向けて移動させて、この挿入路形成部材に続いてこのコイル成形済スロット内に挿入される上記ウェッジ部材の挿入路を形成し、
    上記ウェッジ部材をこの挿入路に挿入する挿入路内挿入工程である
    ステータの製造方法。
  35. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心に複数のコイルを成形してなるステータの製造方法であって、
    上記ステータ鉄心の軸線方向のうち、上記裏面から上記表面に向かう方向を第1軸線方向とし、その逆を第2軸線方向としたとき、
    互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、上記コイルを形成する巻線工程と、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入工程と、を備え、
    上記ウェッジ挿入工程では、
    上記ステータ鉄心の上記軸線方向に延びるウェッジ当接面に上記ウェッジ部材を径方向外側から当接させつつ、
    上記ウェッジ部材をその第2軸線方向端で上記第1軸線方向に押圧して移動させる
    ステータの製造方法。
  36. 請求項35に記載のステータの製造方法であって、
    前記ウェッジ挿入工程では、
    前記コイル成形済スロット内への前記ウェッジ部材の挿入期間中に、上記ステータ鉄心の裏面よりも第2軸線方向において、ウェッジ当接面の一部に対向するウェッジサポート面を前記ウェッジ部材に当接または近接させる
    ステータの製造方法。
  37. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状を有し、その表面を上側とし、この表面及び上記裏面が水平となる姿勢で第1所定位置にセットされたステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記ステータ鉄心を第2所定位置から移動させて上記第1所定位置にセットし、および、上記第1所定位置から上記第2所定位置に取外す鉄心セット機構を備え、
    上記鉄心セット機構は、
    上記ステータ鉄心をその表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、
    上記第2所定位置と、
    上記第1所定位置または上記第1所定位置の上方の第3所定位置と、
    の間を水平に移動させる鉄心水平移動機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  38. 請求項37に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記鉄心セット機構は、
    前記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接し、このステータ鉄心の表面を上側としこの表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、上記ステータ鉄心を前記第3所定位置から鉛直方向下方の前記第1所定位置まで移動させ、および上記第1所定位置から鉛直方向上方の上記第3所定位置まで移動させる鉄心鉛直移動機構を含み、
    前記鉄心水平移動機構は、
    上記ステータ鉄心を、前記第2所定位置と上記第3所定位置との間を水平に移動させる鉄心水平移動機構であり、
    上記ステータ鉄心の裏面の外周縁部に当接して上記ステータ鉄心を載置する載置面を有し、水平に移動可能とされてなる載置具であって、
    この載置具のうちこの載置具を上記第2所定位置から上記第3所定位置まで移動させるときに前側となる部分を切り欠いて上記鉄心鉛直移動機構との干渉を防止した略U字形状とされてなる載置具を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  39. 請求項38に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記コイルが既に成形された前記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち前記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を前記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構を備え、
    前記鉄心鉛直移動機構は、
    前記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接するリフト部材、および
    上記リフト部材を、
    このリフト部材を上昇させたときに、前記第1所定位置に配置された上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する上昇適合位置と、
    他部材との干渉を防ぐ退避位置と、の間で、
    移動させるリフト部材退避機構、を備え、
    上記ウェッジ挿入機構は、上記上昇適合位置に位置する上記リフト部材を鉛直方向に上下動させ、このリフト部材を介して上記ステータ鉄心を上下動させるリフト部材鉛直移動機構を兼ねる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  40. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状を有し、その表面を上側とし、この表面及び上記裏面が水平となる姿勢で第1所定位置にセットされたステータ鉄心について、互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせて、コイルを成形するステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記コイルが既に成形された上記第1スロット及び第2スロットのうち少なくともいずれかのコイル成形済スロット内に、このコイル成形済スロットのうち上記ステータ鉄心の内側に開口するスロット内側開口部を上記コイル成形済スロット内から閉塞するウェッジ部材を上記裏面側から挿入するウェッジ挿入機構と、
    上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接し、このステータ鉄心の表面を上側としこの表面及び裏面が水平となる姿勢に保持した状態で、上記ステータ鉄心を上記第1所定位置と、この第1所定位置より鉛直方向上方の第3所定位置と、の間を移動させる鉄心鉛直移動機構であって、
    上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接するリフト部材、および、
    上記リフト部材を、このリフト部材を上昇させたときに、上記第1所定位置に配置された上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された上記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する上昇適合位置と、他部材との干渉を防ぐ退避位置と、の間で移動させるリフト部材退避機構、を含む
    鉄心鉛直移動機構と、を備え、
    上記ウェッジ挿入機構は、上記上昇適合位置に位置する上記リフト部材を鉛直方向に上下動させ、この当接部材を介して上記ステータ鉄心を上下動させるリフト部材鉛直移動機構を兼ねる
    ステータ鉄心の巻線装置。
  41. 請求項39または請求項40に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記リフト部材は、
    少なくともその先端部が前記ステータ鉄心の内周面に緩挿可能な円筒面をなす頭部と、
    上記頭部の基端側に位置し、上記円筒面よりも径方向外側に突出し、上記ステータ鉄心の裏面の内周縁近傍にまたは成形された前記コイルの裏面側コイルエンド部に上記裏面側から当接する鍔部と、を有する
    ステータ鉄心の巻線装置。
  42. 表面とこれに平行な裏面とを有するリング状で内歯形状のステータ鉄心について、
    互いに隣接する上記内歯で構成されるスロットのうち、第1スロット内及び第2スロット内に、1本または複数本の素線からなる巻線を挿入し、上記第1スロットと第2スロットとの間に上記巻線を渡らせてコイルを形成する
    ステータ鉄心の巻線装置であって、
    上記巻線を吐出するノズルを有する巻線吐出部を備える巻線吐出装置と、
    回転駆動力を発生する移動駆動軸と、
    上記移動駆動軸の回転を上記巻線吐出装置の上記ステータ鉄心の軸線方向への往復移動に変換する変換機構と、を備え、
    上記変換機構は、
    上記巻線吐出装置の往復移動の振幅を変更する振幅調整機構、及び
    上記巻線吐出装置の往復移動の中心位置を変更する中心位置調整機構、を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  43. 請求項42に記載のステータ鉄心の巻線装置であって、
    前記変換機構は、クランク機構を含み、
    上記クランク機構は、
    上記移動駆動軸に結合されこの移動駆動軸の周りに回転するクランク節と、
    第1連結軸により上記クランク節に結合して、このクランク節と回り対偶を成す連結節と、
    第2連結軸により上記連結節に結合して、この連結節と回り対偶を成すヘッドと、
    上記ヘッドを前記ステータ鉄心の軸線方向に案内する案内部とを備え、
    前記振幅調整機構は、
    前記移動駆動軸と上記第1連結軸との間の第1軸間距離を変更可能とする第1軸間調整機構を含み、
    前記中心位置調整機構は、
    上記第1連結軸と上記第2連結軸との間の第2軸間距離を変更可能とする第2軸間調整機構を含む
    ステータ鉄心の巻線装置。
  44. 請求項43に記載のステータ鉄心の巻線装置の使用方法であって、
    前記軸線方向の厚さが基準厚さT0である基準ステータ鉄心について巻線を施すとき、前記巻線吐出装置の往復移動の中心位置が基準ステータ鉄心の厚さ方向中央に位置させ、前記クランク機構における前記第2軸間距離を基準第2軸間距離L0にする巻線装置を使用して、
    軸線方向の厚さTのステータ鉄心について巻線を施すときに、前記第2軸間調整機構により、上記第2軸間距離LをL=L0−(T0−T)/2またはL=L0+(T0−T)/2とする
    ステータ鉄心の巻線装置の使用方法。
JP2008039989A 2008-02-21 2008-02-21 ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法 Withdrawn JP2008125354A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008039989A JP2008125354A (ja) 2008-02-21 2008-02-21 ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008039989A JP2008125354A (ja) 2008-02-21 2008-02-21 ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003177139A Division JP4123069B2 (ja) 2003-06-20 2003-06-20 ステータ、モータ、ステータの製造方法、および、ステータ鉄心の巻線装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008125354A true JP2008125354A (ja) 2008-05-29

Family

ID=39509526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008039989A Withdrawn JP2008125354A (ja) 2008-02-21 2008-02-21 ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008125354A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011234465A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Nittoku Eng Co Ltd 線材の巻線装置
CN104300748A (zh) * 2014-07-18 2015-01-21 常州金康精工机械股份有限公司 电机定子铁芯的拉模嵌线机
CN111835164A (zh) * 2019-04-19 2020-10-27 日本电产株式会社 线圈绕线方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011234465A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Nittoku Eng Co Ltd 線材の巻線装置
CN104300748A (zh) * 2014-07-18 2015-01-21 常州金康精工机械股份有限公司 电机定子铁芯的拉模嵌线机
CN104300748B (zh) * 2014-07-18 2016-08-10 常州金康精工机械股份有限公司 电机定子铁芯的拉模嵌线机
CN111835164A (zh) * 2019-04-19 2020-10-27 日本电产株式会社 线圈绕线方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4123069B2 (ja) ステータ、モータ、ステータの製造方法、および、ステータ鉄心の巻線装置
JP4403801B2 (ja) モータの製造方法及びコイル挿入装置
WO2019093515A1 (ja) コイルセグメント加工方法、コイルセグメント加工装置及びコイルセグメントの接続構造
US7011266B2 (en) Coil forming device and coil forming method
US8146238B2 (en) Winding method
JP3960313B2 (ja) コイル成形装置およびコイル成形方法
JP4435739B2 (ja) 回転電機の巻線組立の製造方法およびその巻線組立の製造装置
US8193676B2 (en) Coil manufacturing method and coil manufacturing apparatus
JP2012533269A (ja) 回転電気機器の巻線
US7275299B2 (en) Motor manufacturing process
EP1526630B1 (en) Motor manufacturing method
EP3322072B1 (en) Coil unit arrangement device
JP5699054B2 (ja) コイル挿入方法及びコイル挿入装置
JP2015033146A (ja) コイル装着方法及びコイル装着治具
JP2008125354A (ja) ステータの製造方法、ステータ鉄心の巻線装置、およびその使用方法
JP6385102B2 (ja) コイル巻線・セット方法及び装置
JP4192727B2 (ja) コイル巻線機
JP2010172108A (ja) コイル挿入方法及びコイル反転装置
JP4336700B2 (ja) 回転電機の巻線組立の製造方法
JP2005151619A (ja) ステータの製造装置、ステータの製造方法
JP2005237167A (ja) ステータ鉄心の巻線装置
JP7058531B2 (ja) 曲げ装置及び方法
JP2011125143A (ja) 分割コアの巻線装置
JP2005318694A (ja) ステータ鉄心の巻線装置、及びステータの製造方法
JP2005080488A (ja) 回転電機ステータコイルエンドの拡張成形方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080221

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20081224