JP4336700B2 - 回転電機の巻線組立の製造方法 - Google Patents

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この発明は、例えば乗用車、トラックなどの車両に搭載される車両用交流発電機などに使用される回転電機の巻線組立の製造方法に関するものである。
この出願の出願人は、この種の回転電機の巻線組立の製造方法として、先に、特開2002−176752号公報(特許文献1)と、国際公開番号WO2005/074105A1(特許文献2)の国際出願に開示される方法を提案した。これらの特許文献1、2では、巻回工程と、変位工程を含む回転電機の巻線組立の製造方法が提案される。巻回工程では、複数の線材を連続的に折り曲げて複数の巻線部材が形成される。この巻回工程では、複数の巻線部材のそれぞれが、第1ターン部と、第2ターン部と、第1直線部と、第2直線部とを持つように巻回される。第1直線部は、第1ターン部から第2ターン部に向かって斜めに延びており、第1ターン部と第2ターン部を連結する。第2直線部は、第2ターン部から第1ターン部に向かって斜めに延びており、第2ターン部と第1ターン部を連結する。変位工程は、巻回工程の後で実行される。この変位工程では、各巻線部材の第1直線部が、その中間部分に第1平行直線部を持ち、各第2直線部が、その中間部分に第2平行直線部を持ち、これらの第1、第2平行直線部が互いにほぼ平行となるように、変位される。第1、第2平行直線部は、回転電機の鉄心の相異なるスロット内に挿入される。
特許文献1では、巻回工程において、一対の板状巻芯を用いて、複数の線材を同時に螺旋状に巻回する方法が提案された。この特許文献1の巻回工程では、複数の線材は、この一対の板状巻芯に螺旋状巻き付けられ、第1、第2ターン部と、第1、第2直線部を持った複数の巻線部材が同時に形成される。特許文献2では、巻回工程において、回転ブロックと、固定ブロックを有するターン機構と、線材送り機構が使用される。この特許文献2の巻回工程では、複数の線材が線材送り機構により、回転ブロック上に送給された状態で、回転ブロックと固定ブロックとの間に複数の線材を挟み付けるまで、回転ブロックを回転する動作を繰返すことにより、第1、第2ターン部と、第1、第2直線部を持った複数の巻線部材が同時に形成される。
特許文献1、2では、変位工程において、各巻線部材の第1、第2直線部の各中間部分の上端部が、ピンにより、互いに離れる方向に、しかも互いに逆方向に変位され、また、同時に、各巻線部材の第1、第2直線部の各中間部分の下端部も、ピンにより、互いに離れる方向に、しかも互いに逆方向に変位される。これらの第1、第2直線部の変位により、第1直線部の中間部分に第1平行直線部が、また、第2直線部の中間部分に第2平行直線部が、それぞれ形成される。
特開2002−176752号公報 国際公開番号WO2005/074105号の国際出願
しかし、特許文献1、2の変位工程では、各巻線部材の第1、第2直線部は、それぞれの中間部分の上端部と下端部がピンにより変位されるが、これらの上端部と下端部の間の中間部分は規制されないので、第1、第2平行直線部に不要な変形が生じることがあり、第1、第2平行直線部の直線性、およびそれらの平行性が確保できない事態も発生し、このため、変位工程を含むそれ以降の工程に支障が生じる不都合がある。
また、特許文献1、2の巻回工程および巻回工程の終了段階において、巻回工程で巻回した各巻線部材の形状が崩れ、例えば第1ターン部の相互間のピッチ、第2ターン部の相互間のピッチ、および第1、第2ターン部の間の寸法に不要な変化が生じ、変位工程を含むそれ以降の工程に支障が発生する不都合もある。
この発明は、変位工程において、第1、第2平行直線部に不要な変形が生じるのを防止できる改良された回転電機の巻線組立の製造方法を提案するものである。
また、この発明は、変位工程とともに、巻回工程およびこの巻回工程の終了後でも、巻線部材に不要な変形が生じるのを防止できる改良された回転電機の巻線組立の製造方法を提案するものである。
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、回転電機の巻線組立を構成する複数の巻線部材を巻回する巻回工程、およびこの巻回工程の後の変位工程を含み、前記巻回工程では、前記複数の各巻線部材のそれぞれが、第1ターン部と、第2ターン部と、前記第1ターン部から第2ターン部に向かって斜めに延びてそれらを連結する第1直線部と、前記第2ターンから第1ターン部に向かって斜めに延びてそれらを連結する第2直線部とを持つように巻回され、前記変工程では、前記各巻線部材の前記第1直線部が、その中間部分に第1平行直線部を持ち、また前記各巻線部材の前記第2直線部が、その中間部分に第2平行直線部を持ち、しかも前記第1平行直線部と第2平行直線部が、互いにほぼ平行となるように、前記第1、第2直線部を変位させる回転電機の巻線組立の製造方法であって、前記変位工程では、前記第1直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第1ブレードと、前記第2直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第2ブレードを使用し、これらの第1ブレードと第2ブレードを、互いに逆方向に回動し、前記第1、第2平行直線部を形成し、さらに、前記巻回工程では、保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持することを特徴とする。
また、この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、さらに、前記巻回工程では、保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持することを特徴とする。
また、この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、前記巻回工程の終了段階でも、前記保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持することを特徴とする。
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、変位工程では、前記第1直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第1ブレードと、前記第2直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第2ブレードを使用し、これらの第1ブレードと第2ブレードを、互いに逆方向に回動し、前記第1、第2平行直線部を形成するので、この変位工程において、第1、第2平行直線部に不要な変形が生じるのを防止することができ、第1、第2平行直線部の直線性、およびそれらの平行性が確保できない事態を解消して、変位工程を含むそれ以降の製造工程を効率化することができる。
また、巻回工程で保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持するものでは、巻回工程における各巻線部材の不要な変形も防止することができ、また巻回工程の終了段階でも、前記保持治具を使用して、各巻線部材を保持するものでは、巻回工程と変位工程との間の移行段階でも、前記保持治具により各巻線部材の不要な変形も防止することができる。
以下この発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して説明する。
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法について説明する前に、この発明により製造される巻線組立を使用する回転電機について説明する。図1は、この回転電機の一例を示す断面図、図2は、この回転電機の固定子組立を示す斜視図である。
図1に示す回転電機1は、乗用車、トラックなどの各種車両に搭載される車両用交流発電機であり、車両に搭載されるバッテリの充電、車両に搭載される各種電気負荷への給電に使用される。この回転電機1は、回転軸2と、一対のブラケット3A、3Bと、回転子組立4と、整流器組立7と、固定子組立8を有する。回転子組立4は、一対の回転子鉄心4A、4Bおよび界磁コイル5を有する。この界磁コイル5は、回転軸2上に配置された一対のスリップリング6A、6Bおよびそれに接触する一対のブラシ6C、6Dを通じて励磁される。回転軸2は、一対のブラケット3A、3Bにより、ベアリング3a、3bを介して回転可能に支持され、車両に搭載されるエンジンにより駆動される。
固定子組立8は、固定子鉄心9と、巻線組立10を有する。固定子鉄心9は、図2に示すように環状に構成され、内周には、互いに等しい間隔で、多数のスロット9sと多数のティース9tが形成される。各スロット9sは、隣接する2つのティース9tの間に形成され、回転軸2と平行な方向に延びる。固定子鉄心9には、巻線組立10が装着される。この巻線組立10は、複数の巻線部材15を有し、これらの巻線部材15は、各スロット9sに挿入される。巻線組立10は、回転電機1の電機子巻線組立である。回転子組立4がエンジンにより駆動されると、回転子組立4は回転磁界を発生し、この回転磁界に基づき巻線組立10に交流電圧が発生する。この交流電圧は、整流器組立7により直流電圧に変換され、バッテリおよび各種電気負荷に給電される。
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、例えば図1、図2に示す回転電機1における固定子組立8の巻線組立10の製造方法である。
実施の形態1.
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、巻回工程TN、変位工程FM、押圧工程PS、挿入工程ISを含み、これらの工程TN、FM、PS、ISをその順番に実行して、回転電機1の巻線組立10を製造する。この実施の形態1は、巻回工程TNに続く変位工程FMに特徴があるので、この変位工程FMを中心に説明する。
まず、巻回工程TNについて説明する。この巻回工程TNでは、複数本の線材を同時に巻回し、複数の巻線部材15TNを含む巻線組立10TNが形成される。複数の各巻線部材15TNは、複数本のそれぞれ線材を巻回して形成され、これらの複数の巻線部材15TNにより巻線組立10TNが形成される。この巻回工程TNでは、例えば図3に示す巻線組立10TNが形成される。図3は、巻回工程TNで形成された巻線組立10TNを示す正面図である。この図3に示す巻線組立10TNは、複数本、具体的には12本の巻線部材15TNで構成される。
なお、この図3に示す巻線組立10TNには、左右の両端部に、引出し端部18a〜18dが同時に形成される。引出し端部18a、18bは、巻線組立10TNの左端部に形成される。引出し端部18aは、12本の巻線部材15TNの中の6本の巻線部材の巻き始め端部であり、巻線組立10TNの上側へ延びており、引出し端部18bは残り6本の巻線部材の巻き始め端部であり、巻線組立10TNの下側へ延びている。引出し端部18c、18dは、巻線組立10TNの右端部に形成される。引出し端部18cは、12本の巻線部材15TNの中の6本の巻線部材の巻き終わり端部であり、巻線組立10TNの上側へ延びており、引出し端部18dは残り6本の巻線部材の巻き終わり端部であり、巻線組立10TNの下側へ延びている。
この巻線組立10TNは、例えば特許文献2の第5図〜第10図で説明した巻回工程で形成される。とくに、引出し端部18a〜18dを有する巻線組立10TNの製造方法は、特許文献2の第23図〜第25図と、それに対応する実施の形態4に説明されている。この巻線組立10TNは、12本の巻線部材15TNに引出し端部18a、18bを形成した後、12本の巻線部材15TNを同時に複数回繰返して巻回し、その後に引出し端部18c、18dを形成する。
さて、図4の点線は、図3に示す巻線組立10TNの中央部分における1つの巻線部材15TNを示す。この図4に点線で示す巻線部材15TNが、巻回工程TNで形成された1つの巻線部材である。
巻回工程TNでは、12本の巻線部材15TNは、それぞれ図4に点線で示すように形成される。巻回工程TNで形成された巻線組立10TNの各巻線部材15TNのそれぞれは、図4に点線で示すように、複数の第1ターン部15Dと、複数の第2ターン部15Cと、複数の第1直線部15Aと、複数の第2直線部15Bを有する。各第1ターン部15Dは、巻線部材15TNの下側に位置し、各第2ターン部15Cは、その上側に位置する。各第1直線部15Aは、第1ターン部15Dから第2ターン部15Cに向かって斜めに延びてそれらを連結する。各第2直線部15Bは、第2ターン部15Cから第1ターン部15Dに向かって斜めに延びてそれらを連結する。図4に点線で示す巻線部材15TNは、第1ターン部15Dから第1直線部15Aを経て第2ターン部15Cに至り、さらに第2ターン部15Cから第2直線部15Bを経て第1ターン部15Dに返る単位ループを繰返すように巻回されている。
図4には、単に1つの巻線部材15TNが示されるが、他の11本の巻線部材15TNも、それと同じ形状で、それに並列するように巻回される。点線で示す巻線部材15TNの隣接する2つの第1直線部15A、15Aの間には、他の11本の巻線部材15TNの各第1直線部15Aが並列し、また点線で示す巻線部材15TNの隣接する2つの第2直線部15B、15Bの間には、同様に他の11本の巻線部材15TNの各第2直線部15Bが並列する。同様に、点線で示す巻線部材15TNの隣接する2つの第1ターン部15Dの間には、他の11本の巻線部材15TNの第1ターン部15Dが並列し、また点線で示す巻線部材15TNの隣接する2つの第2ターン部15C、15Cの間には、他の11本の巻線部材15TNの各第2ターン部15Cが並列する。各巻線部材15TNの各第1直線部15Aは、第1平面に位置し、また各巻線部材15TNの各第2直線部15Bは、前記第1平面と平行な第2平面に位置する。
巻回工程TNの後で変位工程FMが実行される。この変位工程FMでは、巻回工程TNで巻回された巻線組立10TNにおける各巻線部材15TNの各第1直線部15Aと各第2直線部15Bを、図4に実線で示すように変位させる。図4に実線で示す巻線部材15FMが、変位工程FMで構成された巻線部材である。図4には、変位工程で変位された巻線部材15FMも1つだけを示しているが、他の11本の巻線部材15FMも同様に変位される。
図4に実線で示す巻線部材15FMでは、第1直線部15Aが第1平行直線部15a1と傾斜部15a2、15a3を持ち、また第2直線部15Bが第2並行直線部15b1と傾斜部15b2、15b3を持つように変位され、これに伴なって各第1ターン部15Dと各第2ターン部15Cとが少し接近する。各巻線部材15FMにおいて、各第1平行直線部15a1と各第2平行直線部15b1は、互いにほぼ平行する。これらの各第1平行直線部15a1と各第2並行直線部15b1は、後の挿入工程ISで固定子鉄心9の各スロット9sに、互いにほぼ平行に挿入される。
傾斜部15a2、15a3は、第1平行直線部15a1の上下に連続しており、傾斜部15a2は第1平行直線部15a1と第2ターン部15Cの間にあって、それらに連続し、また傾斜部15a3は第1平行直線部15a1と第1ターン部15Dとの間にあって、それらに連続する。傾斜部15b2、15b3は、第1平行直線部15b1の上下に連続しており、傾斜部15b2は第1平行直線部15b1と第2ターン部15Cの間にあって、それらに連続し、また傾斜部15b3は第1平行直線部15b1と第1ターン部15Dとの間にあって、それらに連続する。
この変位工程FMでは、図4に示す複数の第1ブレード101Aと、複数の第2ブレード101Bと、第1規制治具102Dと、第2規制治具102Cが使用される。複数の第1ブレード101Aのそれぞれは、巻回工程TNで形成された各巻線部材15TNにおける各第1直線部15Aの中間部分15aをそのほぼ全長に亘り保持するように配置され、また複数の第2ブレード16Bのそれぞれは、巻回工程TNで形成された各巻線部材15TNにおける各第2直線部15Bの中間部分15bをそのほぼ全長に亘り保持するように配置される。各第1直線部15Aの中間部分15aは、変位されて第1平行直線部15a1となる部分であり、また、各第2直線部15Bの中間部分15bは、変位されて第2平行直線部15b1となる部分である。
各第1ブレード101Aは、駆動バー103A1、103A2により、各第1直線部15Aの中間部分15aを保持した状態で、回動中心Paとして、半時計方向に回動され、この回動によって、第1直線部15Aの中間部分15aは、第1平行直線部15a1に変位される。回動中心Paは、各第1直線部15Aの中間部分15aの中間点である。各第2ブレード101Bは、駆動バー103B1、103B2により、各第2直線部15Bの中間部分15bを保持した状態で、回動中心Pbを中心として、時計方向に回動され、この回動によって、第2直線部15Bの中間部分15bは、第2平行直線部15b1に変位される。回動中心Pbは、各第2直線部15Bの中間部分15bの中間点である。これらの各第1、第2ブレード101A、101Bは、互いに同時に、互いに逆方向に回動される。
第1規制治具102Dは、巻回工程TNで形成された各巻線部材15TNの各第1ターン部15Dの外周に当接し、また第2規制治具102Cは、その各巻線部材15TNの各第2ターン部15Cの外周に当接するように配置される。これらの第1規制治具102Dと第2規制治具102Cは、各第1、第2ブレード101A、101Bの回動に伴ない、互いに接近する方向に移動し、各第1、第2ターン部15C、15Dを互いに少し接近させる。
各ブレード101A、101Bの回動および各規制治具102C、102Dの移動により、第1直線部15Aが第1平行直線部15a1と傾斜部15a2、15a3を持つように変位し、また第2直線部15Bが第2平行直線部15b1と傾斜部15b2、15b3を持つように変位する。この変位工程FMにおいて、第1ブレード101Aは、第1直線部15Aの中間部分15aをそのほぼ全長に亘り保持し、また第2ブレード101Bは、第2直線部15Bの中間部分15bをそのほぼ全長に亘り保持するので、この変位工程FMで形成される第1、第2平行直線部15a1、15b1には、不要な変形が生じることはない。したがって、この変位工程FMを含むそれ以降の工程を支障なく実行できる。
図5は、各ブレード101A、102Bと、駆動バー103A1、103A2、103B1、103B2との関係を示す。この図5では、巻線部材15TN、15FMは省略され、また各規制治具102C、102Dも省略されている。駆動バー103A1、103A2、103B1、103B2は、各ブレード101A、101Bの回動中心Pa、Pbを結ぶ直線A−Aと平行に延びるように、互いに平行に配置され、この直線A−Aと平行に移動するように駆動される。駆動バー103A1、103B1は直線A−Aの上側に配置され、駆動バー103A2、103B2はその下側に配置される。各ブレード101Aは、ピン101a1により駆動バー103A1に回動可能に連結され、またピン101a2により駆動バー103A2に回動可能に連結される。また、各ブレード101Bは、ピン101b1により駆動バー103B1に回動可能に連結され、またピン101b2により駆動バー103B2に回動可能に連結される。
図5において、駆動バー103A1は、左方向に移動するように駆動され、また、駆動バー103A2は、駆動バー103A1と同期して、右方向に移動するように駆動される。この駆動バー103A1、103A2の駆動に基づき、各ブレード101Aは、回動中心Paを中心として半時計方向に回動し、各第1直線部15A1を変位し、第1平行直線部15a1と傾斜部15a2、15a3を形成する。駆動バー103B1は、駆動バー103A1、103A2と同期して、右方向に移動するように駆動され、また、駆動バー103B2は、駆動バー103B1と同期して、左方向に移動するように駆動される。この駆動バー103B1、103B2の駆動に基づき、各ブレード101Bは、回動中心Pbを中心として時計方向に回動し、各第2直線部15B1を変位し、第1平行直線部15b1と傾斜部15b2、15b3を形成する。
図6は、各ブレード101A、101Bを示す。図6(a)は平面図、図6(b)は正面図、図6(c)は側面図である。各ブレード101A、101Bは、基本的に互いに同じに構成され、上部に相対向する一対の側壁104、105を有し、これらの側壁104、105の間に、保持溝106を形成し、この保持溝106に沿って2つのピン穴107a、107bが形成される。保持溝106は、各巻線部材15TNの直線部15A1、15B1の中間部分15a1、15b1をその全長に亘り保持する。
側壁104の側壁面104aは、ブレード中心線A−Aに対して僅かに傾斜して形成され、その右端部には円弧面104bが形成される。側壁105の側壁面105aは、側壁面104aと平行に形成され、その左端部には円弧面105bが形成される。保持溝106は、側壁面104aと側壁面105aとの間に形成され、この溝幅は各巻線部材15TNを構成する線材の直径とほぼ等しい寸法とされ、各巻線部材15TNの直線部15A1、15B1の中間部分15a、15bがぴったりと嵌り込み、その全長に亘り保持される。ピン穴107a、107bには、ピン101a1、102a2、またはピン101b1、101b2が嵌め込まれる。なお、円弧面104b、105bは、平行直線部15a1、15b1とそれに隣接する傾斜部15a2、15a3、15b2、15b3との間の曲げ部分をスムースに曲げる働きをする。
以上のように実施の形態1の製造方法は、変位工程FMにおいて、各巻線部材15TNの第1直線部15Aの中間部分15aをその全長に亘り保持する第1ブレード101Aと、各巻線部材15TNの第2直線部15Bの中間部分15bをその全長に亘り保持する第2ブレード101Bを使用し、これらの第1ブレード101Aと第2ブレード101Bを、互いに逆方向に回動し、第1、第2平行直線部15a1、15b1を形成するので、第1、第2平行直線部15a1、15b1の不要な変形を防止することができ、以後の工程も変形による支障を伴なうことなく、効率的に製造できる効果がある。
なお、押圧工程PSでは、変位工程FMの後で、各巻線部材15TNの各第1平行直線部15a1が存在する第1平面と、各第2並行直線部15b1が存在する第2平面とが、互いに接近するように、巻線組立10FMが押圧される。また、挿入工程ISでは、押圧工程PSで構成された巻線組立10が、回転電機1の固定子鉄心9の各スロット9s内に挿入される。
実施の形態2.
この実施の形態2によるこの発明の回転電機の巻線組立の製造方法は、巻回工程TNにおいて各巻線部材15TNの不要な変形を防止するように、巻回工程TNをさらに改良したものである。この実施の形態2では、変位工程FMは、実施の形態1と同じに実行され、変位工程FMにおける巻線部材15FMの不要な変形も併せて防止される。
この実施の形態2の製造方法では、巻回工程TNにおいて、例えば、図7に示す巻線機械20が使用される。この巻線機械20は、特許文献2の図4などに開示されている。図7(a)は巻線機械20の平面図、図7(b)はその側面図である。この巻線機械20は、ターン機構30と、線材の送給ラインSLを有し、巻線組立10を構成する12本のすべての線材を同時に螺旋状に巻回し、巻線組立10TNを形成する。この巻線組立10TNは、12本の巻線部材15TNから構成される。線材の送給ラインSLは、12本の線材を互いに平行に、ターン機構30に向かって送給する。
ターン機構30は、回転体31と、回転ブロック33と、固定ブロック40と、補助ブロック50を有する。ターン機構30は、回転体31を回転軸線L−Lの周りで回転駆動する回転駆動機構32と、回転体31を回転軸線L−Lに沿って運動させる軸線運動機構39を有する。回転駆動機構32は、回転体31を回転軸線L−Lの周りで、矢印A1、A2の方向に間欠的に回転駆動する。矢印A1方向の回転を正転、矢印A2方向の回転を反転という。回転体31の矢印A1方向の正転は、回転ブロック33を矢印A1方向に正転させて、巻線部材15TNに第1ターン部15Dおよび第2ターン部15Cを形成する。軸線運動機構39は、回転体31を回転軸線L−Lに沿って、この回転軸線L−Lと平行に、矢印B1、B2方向に間欠的に僅かな寸法で往復運動させる。この矢印B1、B2方向の僅かな寸法の往復運動は、第1ターン部15Dと第2ターン部15Cの形状を整える。
回転ブロック33は、回転体31の一側に連結体34とともに回転するように配置される。この回転ブロック33は、回転体31の一側で回転し、この回転体31の一側に回転空間35を形成する。回転ブロック33は、その上面に、回転空間35に面した回転表面36を有する。図7(a)(b)では、回転ブロック33はオリジナル位置に図示され、このオリジナル位置では、回転表面36は、回転軸線L−Lの僅か下の位置から右方向に水平に延びる第1基準面E−E上にある。
回転ブロック33の回転表面36には、線材の送給ラインSLから供給された12本の線材をガイドするガイド溝37が互いに平行に形成される。このガイド溝37は、線材の送給ラインSLと平行に形成される。回転軸線L−Lの近くに位置する回転表面36の内端部には、円弧面38が形成される。各ガイド溝37は、回転ブロック33がオリジナル位置にあるときに、上方に開口している。ガイド溝37の底面は、回転ブロック33がオリジナル位置にあるときに、線材の送給ラインSLを含む平面上に位置する。
巻線組立10を構成するための12本の線材は、12本の線材の送給ラインSL上を供給される。この12本の線材の送給ラインSLは、互いに平行で且つ互いに等間隔に設定される。これらの線材の送給ラインSLは、回転軸線L−Lに対して、所定角度α、例えば60度傾斜した方向に設定される。また、これらの送給ラインSLは、第1基準面E−Eの僅か下に、第1基準面E−Eと平行な平面上に設定される。
固定ブロック40は、回転空間35内に、図示しない固定台により固定される。この固定ブロック40は、相対向する互いに平行な第1表面41と第2表面42を有する。第1表面41は、回転軸線L−Lの僅か下から、線材の送給ラインSLを含む平面上を右方向に水平方向に延びている。第1表面41には、線材の送給ラインSLと平行に延びる12本のガイド溝43が形成され、このガイド溝43は下方に開口している。このガイド溝43の上方の底面は、第1基準面E−E上に位置する。固定ブロック40の第2表面42は、回転軸線L−Lの僅か上から水平に右方向に延びており、第1基準面E−Eと平行な第2基準面F−Fを構成する。
第1表面41と第2表面42の回転軸線L−L側の端部には、成形面44が形成される。この成形面44は、回転軸線L−Lを中心として、半円形状に形成され、この成形面44は回転表面36に向かってその半円形状面が膨らんでいる。成形面44は、第1表面41と第2表面42との間にあり、具体的には、第1基準面E−Eと第2基準面F−Fとの間に形成される。この成形面44は、回転軸線L−Lに沿って延長され、この延長方向のすべての部分で、回転ブロック33の内端部に形成された円弧面38と対向し、その間にギャップ45を形成している。
補助ブロック50は、固定ブロック40の第1表面41と対向して配置される。この補助ブロック50は、第1表面41と対向する補助表面51を有し、この補助表面51は、第1表面41に接触するか、またはそれに近い状態にある。この補助表面51は、第1表面41の各ガイド溝43に送給された線材が脱落するのを防止する。12本の線材は、送給ラインSLに沿って、間欠的に供給される。各線材は、固定ブロック40の第1表面41に形成されたガイド溝43に供給され、さらに、オリジナル位置にある回転ブロック33の回転表面36に形成されたガイド溝37に供給される。
巻回工程TNは、線材送り工程S1と、線材ターン工程S2を含む単位サイクルを複数回繰返すことにより、巻線組立10TNを形成する。各単位サイクルでは、線材送り工程S1と、線材ターン工程S2がその順番で実行される。
一つの単位サイクルでは、各巻線部材15TNの第1ターン部15Dが形成される。この単位サイクルでは、最初に線材送り工程S1が実行される。この線材送り工程S1では、回転ブロック33がオリジナル位置にある。この線材送り工程S1では、各線材は、図示しない線材送り機構により、所定長さだけ、送給ラインSLに沿って供給される。各線材は、固定ブロック40の第1表面41に形成されたガイド溝43に供給され、さらに、オリジナル位置にある回転ブロック33の回転表面36に形成されたガイド溝37に供給される。線材送り工程S1に続き、線材ターン工程S2が実行される。この線材ターン工程S2では、回転ブロック33は、線材が回転表面36のガイド溝37に供給された状態で回転駆動機構32により正転駆動され、各線材を成形面44に沿って折り曲げ、固定ブロック40の第2表面42に押付ける。この動作により、各巻線部材15TNの第1ターン部15Dを同時に形成する。この線材ターン工程S2の終期では、回転ブロック33が回転駆動機構32により反転駆動され、オリジナル位置に返る。回転ブロック33が正転駆動されるときには、軸線運動機構39により、回転ブロック33が矢印B1方向に僅かな寸法だけ駆動され、また回転ブロック33が反転駆動されるときには、回転ブロック33が矢印B2方向に僅かな寸法だけ駆動される。この回転ブロック33の矢印B1、B2方向の僅かな寸法の運動により、第1ターン部15Dの形状が整えられる。
次の単位サイクルでは、各巻線部材15TNの第2ターン部15Cが形成される。この単位サイクルでは、線材送り工程S1が再び実行される。この線材送り工程S1では、各線材は、図示しない線材送り機構により、再び所定長さだけ、送給ラインSLに沿って供給される。各線材は、固定ブロック40の第1表面41に形成されたガイド溝43に供給され、さらに、オリジナル位置にある回転ブロック33の回転表面36に形成されたガイド溝37に供給される。この線材送り工程S1に続き、再び線材ターン工程S2が実行される。この第2の線材ターン工程S2では、回転ブロック33は、線材が回転表面36のガイド溝37に供給された状態で正転駆動され、各線材を成形面44に沿って折り曲げ、固定ブロック40の第2表面42に押付ける。この動作により、各巻線部材15TNの第2ターン部15Cを同時に形成する。この第1の線材ターン工程S2の終期では、回転ブロック33が反転駆動され、オリジナル位置に返る。回転ブロック33が正転駆動されるときには、軸線運動機構39により、回転ブロック33が矢印B1方向に僅かな寸法だけ駆動され、また回転ブロック33が反転駆動されるときには、回転ブロック33が矢印B2方向に僅かな寸法だけ駆動される。この回転ブロック33の矢印B1、B2方向の僅かな寸法の運動により、第1ターン部15Cの形状が整えられる。このように単位サイクルを順次複数回繰返すことにより、巻線部材15TNは螺旋状に巻回される。
実施の形態2では、巻回工程TNにおいて、図8(a)(b)に示す保持治具110が使用される。この保持治具110は、中心バー111と、一対の保持バー112、113と、複数のリンク115を有する。一対の保持バー112、113は、中心バー111と平行それに沿ってその両側に配置され、互いに対向する。この一対の保持バー112、113は、複数のリンク115により中心バー111と連結され、中心バー111の両側で、中心バー111と平行な状態で、互いの間隔を変更することができる。
保持バー112、113は、互いに接近した第1状態と、この第1状態から互いに離れた第2状態を取ることができる。第1状態は、図8(a)に示される。この第1状態は、保持バー112、113が、図8(a)に示すように、互いに最も接近した幅狭状態であり、各リンク115は、図8(a)に示すように傾斜し、保持バー112、113を中心バー111に引き寄せた状態にある。第2状態は、図8(b)に示される。この第2状態は、保持バー112、113が、互いに最も離れた幅広状態であり、この第2状態では、各リンク115は、中心バー111と直交する位置まで回動し、保持バー112、113を中心バー111から離れた状態に移動させる。第1状態、すなわち幅狭状態では、保持治具110は順次巻回されている各巻線部材15TNの内部を移動可能な状態となる。第2状態、すなわち幅広状態では、保持治具110の保持バー112、113は、各巻線部材15TNの内部からその第1ターン部15Dおよび第2ターン部15Cを保持し、各巻線部材15TNの不要な変形を防止する。
保持バー112、113の外端面には、複数のピン状突起112a、113aが設けられている。各ピン状突起112a、113aは互いに等間隔で、保持バー112、113の外端面に沿って配置される。この各ピン状突起112a、113aの間隔は、巻回工程TNで形成されるすべての巻線部材15TNの各第1ターン部15Dおよび各第2ターン部15Cを挟んで保持できる間隔とされる。
図8(b)には、巻回工程TNの終了した巻線組立10TNが二点鎖線で示される。保持治具110は、巻回工程TNを終了した巻線組立10TNでも使用され、この巻回工程TNを終了した巻線組立10TNの不要な変形を防止するように、巻線部材10TNを保持する。この図8(b)に示す巻線組立10TNは、次に変位工程RMに移行されるが、この移行中にも保持治具110は、巻線部材15TNの不要な変形を防止する。この図8(b)に示す巻回工程の終了した巻線組立10TNでは、保持治具110の各リンク115が中心バー111と直交しており、保持バー112、113は第2状態、すなわち幅広状態にあって、各巻線部材15TNのすべての第1ターン部15Dおよび第2ターン部15Cの内周に当接し、各ターン部15D、15Cを保持している。
なお、図8(b)に示す巻線組立10TNは、左右の両端部に、引出し端部18a〜18dを有し、また、中央部に12本の引出し線17を有する。この引出し線17は、特許文献2の図21、22およびその説明で開示された方法により、巻線組立10TNと同時に形成される。
図8(b)では、保持治具110の右端部に、保持治具110の支持部材120が示される。この支持部材120は、支持バー121と、一対の支持ブロック122、123とガイドピン124を有する。支持バー121は、中心バー111の右端部に連結され、中心バー111の延長方向に延びる。支持ブロック122、123は、支持バー121の上下両側に配置される。支持ブロック122は、連結部材125を介して保持バー112の右端部に連結され、支持ブロック123は、連結部材126を介して保持バー113の右端部に連結される。ガイドピン124は、支持バー121に嵌り込むことなく、この支持バー121と直交する方向に配置され、その上下両端部が支持ブロック122、123に嵌り込む。支持ブロック122、123は、このガイドピン124に沿ってその移動がガイドされ、支持バー121と直交する方向に移動可能とされる。保持バー122、123が中心バー111と平行な状態で、第1状態、すなわち幅狭状態と、第2状態、すなわち幅広状態との間で移動するとき、この保持バー122、123の移動は、このガイドピン124によりガイドされ、保持バー122、123は、このガイドピン124により、互いに接近または離間する方向に移動する。
支持部材120は、第1、第2駆動機構130、131に連結される。第1駆動機構130は、支持ブロック122、123に連結され、保持治具110をその中心バー111と平行にその延長方向に沿って矢印Hの方向に、巻線組立10TNの内部に送り込む。第1駆動機構130は、保持治具110の保持バー112、113が、図8(a)に示す第1状態、すなわち幅狭状態にあるときに、支持ブロック122、123を矢印H方向に駆動する。この支持ブロック122、123の矢印H方向の駆動により、保持バー112、113が矢印H方向に駆動され、リンク125を通じて中心バー111も矢印H方向に駆動される。第2駆動機構131は、支持ブロック122、123には連結されずに支持バー121に連結され、支持バー121と中心バー111をその延長方向に沿って矢印h1、h2方向に駆動する。この第2駆動機構131は、保持バー122、123に対して中心バー111を相対的に矢印h1,h2方向に駆動し、保持バー122、123を第1状態、すなわち幅狭状態と、第2状態、すなわち幅広状態の間で変化させる。
巻線機械20の回転体31が矢印A1方向に正転駆動されるときには、保持治具110は巻線組立10TNの内部にあり、巻線組立10TNとともに、正転駆動される。巻線機械20の回転体31が矢印A2方向に反転駆動されるときには、巻線組立10TNとともに保持治具110は、固定ブロック20の第2表面42上に残される。中心バー111が、回転軸線L−Lに沿って矢印h1、またはh2方向に駆動されると、保持バー112、113と相対的に中心バー111だけが、矢印h1、またはh2方向に移動する。中心バー111の矢印h1またはh2方向の移動により、各リンク115が回転し、保持バー112、113が第1状態、すなわち幅狭状態と、第2状態、すなわち幅広状態との間で移動する。
さて、図9A〜図9Eは、巻回工程TNについて、保持治具110を用いた保持動作を示す説明図である。図9A〜図9Eにおいて、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。図9A〜図9Eは、ある単位サイクルの線材送り工程S1の終了段階からそれに続く線材送り工程S2と、さらに次の線材送り工程S1を、5つの第1工程A〜第5工程Eに分けて、巻回動作と保持治具110の動作を示す。第1工程A〜第5工程は、この順番に実行される。
まず図9Aの第1工程Aは、線材送り工程S1が終了した状態を示す。この第1工程Aでは、保持治具110の保持バー112、113は、第1状態、すなわち幅狭状態にあり、保持バー112、113は、巻線部材15TNの内部に存在するが、各巻線部材15TNには当接しない。図9Bの第2工程Bでは、保持治具110が、さらに巻線部材15TNの内部へ矢印H方向に挿入される。この保持治具110の挿入は、支持部材120を第1駆動機構130により、巻線部材15TNに向かって送り込むことによって行なわれる。支持部材120の送り込みにより、保持バー112、113および中心バー111が巻線部材15TNの内部へ挿入される。保持治具110は、第1工程Aに続き第1状態、すなわち幅狭状態にあるので、各巻線部材15TNに当接することなく、巻線部材15TNの内部へ挿入される。
図9Cの第3工程Cでは、中心バー111を第2駆動機構131により、矢印h1方向に駆動し、保持バー112、113を第1状態、すなわち幅狭状態から、第2状態、すなわち幅広状態に移行させる。この保持バー112、113が第2状態、すなわち幅広状態に移行することに基づき、保持バー112、113が各巻線部材15TNを保持する。この第3工程Cでは、中心バー111の矢印h1方向の移動により、各リンク115が、中心バー111と直交する位置まで回動し、保持バー112、113が第2状態、すなわち幅広状態となる。この状態では、保持バー112、113の外端面が、それぞれ各巻線部材15TNの各第1ターン部15Dおよび各第2ターン部15Cの内周に押付けられ、ピン状突起112a、113aにより、各第1ターン部15Dおよび第2ターン部15Cを保持する。
第3工程Cの終了後に、第4工程Dが実行される。この第4工程Dは、巻線ターン工程S2であり、この第4工程Dでは、回転ブロック33が、回転軸線L−Lの周りに矢印A1方向に正転駆動され、図9Dに示すように、巻線部材15TNを固定ブロック40の第2表面42に押圧する。この第4工程Dでは、回転ブロック33が正転駆動され、各巻線部材15TNが成形面44に沿って折り曲げられ、第1ターン部15Dまたは第2ターン部15Cが形成される。この第4工程Dは、巻線部材15TNが回転ブロック33により回転され、保持治具110も巻線部材15TNとともに回転する。巻線部材15TNの回転は、保持治具110の保持バー112、113により各ターン部15D、15Cを保持した状態で行なわれるので、巻線部材15TNに不要な変形が生じることはない。
この第4工程Dの終期には、回転ブロック33が矢印A2方向に反転駆動され、回転ブロック33が図9Dに示すように、オリジナル位置に返るが、巻線部材15TNは固定ブロック140の第2表面42に止まり、保持治具110も保持バー112、113が第2状態を保持した状態で、巻線部材15TNの内部に止まる。なお、この第4工程Dでは、回転ブロック33が正転駆動されるときには、軸線駆動機構39により、回転ブロック33が矢印B1方向に僅かな寸法だけ駆動され、また回転ブロック33が反転駆動されるときには、回転ブロック33が矢印B2方向に僅かな寸法だけ駆動される。この回転ブロック33の矢印B1、B2方向の僅かな寸法に駆動により、第1ターン部15Dまたは第2ターン部15Dの形状が整えられる。
図9Eに示す第5工程Eは、次の線材送り工程S1である。この第5工程Eでは、各線材が送給ラインSLに沿って矢印方向に、図示しない線材送り機構により、回転ブロック33の回転表面36へ供給される。この第5工程Eでも、保持バー112、113は、第2状態、すなわち幅広状態を保持したまま巻線部材15TNとともに移動する。この第5工程Eでも、保持バー112、113は、各巻線部材15TNの各ターン部15D、15Cの内周を押圧し、各巻線部材15TNを保持するので、各巻線部材15TNの不要な変形は生じない。
第5工程Eから第1工程Aに移行する。この第1工程Aでは、第2駆動機構131により、中心バー111が矢印h2方向に駆動され、保持バー112、113が第1状態、すなわち幅狭状態に復帰する。
以上のように、実施の形態2の製造方法では、実施の形態1と同じ効果が得られるのに加え、巻回工程TNにおいても、各巻線部材15TNが回転される第4工程D、および各巻線部材15TNが送られる第5工程Eにおいて、保持治具110により各巻線部材15TNの各ターン部15D、15Cを保持するので、各巻線部材15TNに不要な変形が生じるのを防止できる効果がある。また、巻回工程TNを終了した巻線組立10TNも、保持治具110により保持されるので、次の変位工程RMに移行する途中で、各巻線部材15TNに対する不要な変形を防止できる。
なお、実施の形態2では、第1工程Aと第2工程Bでは、保持バー112、113が、第2状態、すなわち幅狭状態にあり、各巻線部材15TNを保持できない。しかし、この第1状態Aと第2状態Bにおいて、各巻線部材15TNの各第1直線部15Aと各第2直線部15Bを互いに相手側に押圧する一対の補助具を用いることにより、各巻線部材15TNを保持し、その不要な変形を防止することもできる。
また、実施の形態2では、複数のリンク115を有し、第1状態と第2状態のどちらかを取り得る保持治具110を使用したが、リンク115を持たない一枚の保持板で構成された保持治具を使用することもできる。この保持板は、各巻線部材15TNの内部に、各ターン部15D、15Cの内周に僅かな間隔を介して対向する2つの外端面を持つように構成され、巻回工程TNにおいて、形成される巻線部材10TNの内部に常に配置することにより、各巻線部材15TNの不要な変形を防止することができる。
この発明による回転電機の巻線組立の製造方法は、車両用交流発電機などの各種の回転電機の巻線組立の製造に利用することだできる。
図1は、この発明により製造される回転電機の巻線組立を使用した自動車用交流発電機を示す断面図である。 図2は、図1の交流発電機の固定子組立を示す斜視図である。 図3は、この発明による巻回工程の終了段階における巻線組立の一例を示す平面図である。 図4は、この発明による回転電機の巻線組立の製造方法の実施の形態1における変位工程の説明図である。 図5は、図4の変位工程で使用されるブレードとその駆動バーを示す平面図である。 図6は、図4の変位工程で使用されるブレードを示し、図6(a)は平面図、図6(b)は正面図、図6(c)は側面図である。 図7は、この発明による回転電機の巻線組立の製造方法の実施の形態2における巻回工程で使用される巻線機械の平面図である。 図8は、実施の形態2の巻回工程で使用される保持治具を示し、図8(a)はその第1状態を示す平面図、図8(b)はその第2状態を示す平面図である。 図9Aは、実施の形態2の巻回工程の第1工程を示し、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。 図9Bは、実施の形態2の巻回工程の第2工程を示し、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。 図9Cは、実施の形態2の巻回工程の第3工程を示し、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。 図9Dは、実施の形態2の巻回工程の第4工程を示し、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。 図9Eは、実施の形態2の巻回工程の第5工程を示し、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。
符号の説明
10、10TN、:巻線組立、15、15TN、15FM:巻線部材、15A:第1直線部、15B:第2直線部、15D:第1ターン部、15C:第2ターン部、
15a、15b:中間部分、15a1:第1平行直線部、15b1:第2平行直線部、15a2、15a3、15b2、15b3:傾斜部、101A、101B:ブレード、102C、102D:規制治具、
103A1、103A2、103B1、103B2:駆動バー、
20:巻線機械、33:回転ブロック、40:固定ブロック、110:保持治具。
111:中心バー、112、113:保持バー。

Claims (7)

  1. 回転電機の巻線組立を構成する複数の巻線部材を巻回する巻回工程、およびこの巻回工程の後の変位工程を含み、
    前記巻回工程では、前記複数の各巻線部材のそれぞれが、第1ターン部と、第2ターン部と、前記第1ターン部から第2ターン部に向かって斜めに延びてそれらを連結する第1直線部と、前記第2ターンから第1ターン部に向かって斜めに延びてそれらを連結する第2直線部とを持つように巻回され、
    前記変工程では、前記各巻線部材の前記第1直線部が、その中間部分に第1平行直線部を持ち、また前記各巻線部材の前記第2直線部が、その中間部分に第2平行直線部を持ち、しかも前記第1平行直線部と第2平行直線部が、互いにほぼ平行となるように、前記第1、第2直線部を変位させる回転電機の巻線組立の製造方法であって、
    前記変位工程では、前記第1直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第1ブレードと、前記第2直線部の中間部分をそのほぼ全長に亘り保持する第2ブレードを使用し、これらの第1ブレードと第2ブレードを、互いに逆方向に回動し、前記第1、第2平行直線部を形成し、
    さらに、前記巻回工程では、保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持することを特徴とする回転電機の巻線組立の製造方法。
  2. 請求項1記載の回転電機の巻線組立の製造方法であって、前記第1ブレードは前記第1直線部の中間部分の中間点を中心にして、また、前記第2ブレードは前記第2直線部の中間部分の中間点を中心にして、それぞれ回動されることを特徴とする回転電機の巻線組立の製造方法。
  3. 請求項1記載の回転電機の巻線組立の製造方法あって、前記変位工程では、さらに、前記第1ターン部の外周と第2ターン部の外周に当接する規制治具が使用され、この規制治具は、前記第1、第2ブレードが互いに逆方向に回動されるときに、互いに接近するように移動し、各巻線部材の前記第1、第2ターン部を規制することを特徴とする回転電機の巻線組立の製造方法。
  4. 請求項記載の回転電機の巻線組立の製造方法であって、前記巻回工程の終了段階でも、前記保持治具を使用して、前記各巻線部材を保持することを特徴とする回転電機の巻線組立の製造方法。
  5. 請求項または記載の回転電機の巻線組立の製造方法であって、前記保持治具は、前記各巻線部材の各第1ターン部と第2ターン部を保持することを特徴とする回転電機の巻線部材の製造方法。
  6. 請求項記載の回転電機の巻線組立の製造方法であって、前記保持治具は、前記各巻線部材の前記第1ターン部に対向する第1保持バーと、前記各巻線部材の第2ターン部に対向する第2保持バーを有し、これらの第1、第2保持バーは、それらが近接した第1状態と、この第1状態から互いが離れた第2状態とを取り得るように構成され、前記第2状態において、前記各巻線部材の各第1ターン部と各第2ターン部を保持することを特徴とする回転電機の巻線部材の製造方法。
  7. 請求項記載の回転電機の巻線部材の製造方法であって、前記第1、第2保持バーは、複数のリンクを介して中心バーに連結されたことを特徴とする回転電機の巻線部材の製造方法。
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