JP2008123634A - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径と長波長のレーザ光のスポットの光強度とを両立することができる光ピックアップ装置及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
【解決手段】短波長の第1レーザ光及び長波長の第2レーザ光を出射する光源1と、中央領域31とその両側に隣接する第1、第2周辺領域32、33とを有し第1レーザ光を0次光及び±1次光に回折する第1回折格子2aと、第1、第2レーザ光を光ディスク20に集束する対物レンズ8と、を備え、中央領域31の回折格子位相は、第1、第2周辺領域32、33の回折格子位相に対してそれぞれほぼ+90度、−90度異なり、第1レーザ光の0次光の回折効率は、中央領域31の方が第1、第2周辺領域32、33よりも小さい光ピックアップ装置とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、パーソナルコンピュータ、ノートブック型コンピュータ等の電子機器に搭載される光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関するものである。
従来、光ピックアップ装置は光ディスクの高記録密度化に対応したり、光ディスク装置の小型、薄型化に伴って小型、薄型化に対応したり改善されてきた。
図15は従来の光ピックアップ装置の光学系を示す図である。光ディスク120は、DVDまたはCDとする。光源101はDVD用の第1の波長(約650nm)の第1レーザ光及びCD用の第2の波長(約780nm)の第2レーザ光を光ディスク120に向けて出射する。
回折素子102は第1レーザ光を回折して0次光と±1次光に分離し、第2レーザ光をそのまま通過させる回折格子102aと、第1レーザ光をそのまま通過させて第2レーザ光を回折して0次光と±1次光に分離する第2回折格子102bとを備える。回折格子102aはDVD用の回折格子、第2回折格子102bはCD用の回折格子である。第1レーザ光の0次光と±1次光及び第2レーザ光の0次光と±1次光はそれぞれ光ディスク120で反射されて受光器110に入射し、トラッキング制御に用いられる。
ビームスプリッタ103は内部に斜面103aを有し、斜面103aには偏光分離膜103bが形成されている。偏光分離膜103bは、光源101から出射されたレーザ光の大半を透過して光ディスク120に向かわせ、一部のみを反射させ第2受光器111に向かわせる。また、偏光分離膜103bは、光ディスク120で反射されたレーザ光を反射させて受光器110に向かわせる。
反射ミラー104は光路を折り曲げることで光学系が占有する面積を小さくして光ピックアップ装置の大きさを小さくする。
コリメートレンズ105は発散光であった光源101から出射されたレーザ光をほぼ平行光に変換するレンズである。
1/4波長板106は、直線偏光であった光源101から出射されたレーザ光を円偏光に変換する。また、1/4波長板106は、円偏光であった光ディスク120で反射されたレーザ光を光源101から出射されたレーザ光に対して90度ずれた直線偏光に変換する。
立ち上げプリズム107は、光ディスク120にほぼ平行であった光源101から出射されたレーザ光を光ディスク120に対してほぼ直角に立ち上げるためのプリズムである。
対物レンズ108は、コリメートレンズ105で平行光に変換されたレーザ光を光ディスク120の記録面に集束する光に変換するレンズである。対物レンズ108は、表面からの距離が異なるDVDとCDの記録面それぞれに集光するように構成されている。
検出レンズ109は、円筒レンズまたは円柱レンズである。検出レンズ109は、光ディスク120で反射されビームスプリッタ103で分離されたレーザ光を、光軸を含んで直交する2つの断面で焦点距離が異なる光に変換して、レーザ光に非点収差を与える。非点収差を与えられたレーザ光は受光器110に入射し、フォーカス制御に用いられる。
受光器110は光源101から出射され光ディスク120で反射されたレーザ光を受光する。受光器110は、複数の受光部を有し、それぞれの受光部で受光した光量に応じてトラッキング制御、フォーカス制御、光ディスク120に記録された情報の再生等に用いられる電気信号を出力する。
第2受光器111は、光源101から出射されたレーザ光の一部を受光する。第2受光器111は、その受光した光量に応じて光源101が出射するレーザ光の出力の制御に用いられる電気信号を出力する。
(特許文献1)、(特許文献2)には、回折格子102aの例が記されている。
特開2004−145915号公報 特開平8−87773号公報
一般にコリメートレンズの位置を光源から遠ざけると、光ディスクに集束するスポット径は小さくなり、光ディスクに対する記録や再生の特性が良くなる。しかし、逆に光源から取り込むことができる光量が少なくなり、光ディスクに集束するスポットの光強度が小さくなる。そのため、光ディスクに対して高倍速で情報を記録するために必要な光強度を確保するためには、光源から出射されるレーザ光の出力を上げる必要がある。短波長のレーザ光に対しては、光ディスクに集束するスポット径を小さくして光ディスクに対する記録や再生の特性を良くすることがより強く求められる。一方、長波長のレーザ光に対しては、光ディスクに集束するスポットの光強度を十分確保して高倍速で光ディスクに情報を記録することが求められる。
短波長のレーザ光を出射する光源と長波長のレーザ光を出射する光源とが別々に設けられる光ピックアップ装置の場合、短波長のレーザ光を出射する光源はコリメートレンズから遠ざけて配置される。また、長波長のレーザ光を出射する光源はコリメートレンズに近づけて配置される。このようにして、短波長のレーザ光に対する要求と長波長のレーザ光に対する要求とが両立される。
ところが、1つの光源で2つの波長のレーザ光を出射させる場合、光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さくするためにコリメートレンズを光源から遠ざける。ところが、光ディスクに集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を十分確保するために光源から出射されるレーザ光の出力を上げようとすると、光源は発熱量が大きくなり温度が上がって動作が不安定になることがある。そのため、光ディスクに集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を十分に上げられないという問題があった。
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径と長波長のレーザ光のスポットの光強度とを両立することができる光ピックアップ装置及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、第1の波長の第1レーザ光及び前記第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスクに向けて出射する光源と、中央領域と前記中央領域の一方の側に隣接する第1周辺領域と前記第1周辺領域とは反対側に隣接する第2周辺領域とを有し前記第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する回折格子と、前記回折格子を通過した前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を前記光ディスクに集束する対物レンズと、を備え、前記中央領域の回折格子位相は、前記第1周辺領域の回折格子位相に対してほぼ+90度、前記第2周辺領域の回折格子位相に対してほぼ−90度異なり、前記中央領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率は、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さいことを特徴とする光ピックアップ装置とした。
回折格子は位相をずらした中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域を有する構成であり、光ディスク上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように回折格子は第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、回折格子をそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域を通過した光強度が第1周辺領域及び第2周辺領域を通過した光強度よりも相対的に弱められている。このように回折格子を光強度分布を変換する素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスクで集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスクに集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができるため、光ディスクに集束する第2レーザ光のスポットの光強度を確保することができる。
また、中央領域と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで、回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
本発明の光ピックアップ装置は、光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスクに集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
本発明の請求項1の発明は、第1の波長の第1レーザ光及び第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスクに向けて出射する光源と、中央領域と中央領域の一方の側に隣接する第1周辺領域と第1周辺領域とは反対側に隣接する第2周辺領域とを有し第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する回折格子と、回折格子を通過した第1レーザ光及び第2レーザ光を光ディスクに集束する対物レンズと、を備え、中央領域の回折格子位相は、第1周辺領域の回折格子位相に対してほぼ+90度、第2周辺領域の回折格子位相に対してほぼ−90度異なり、中央領域を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率は、第1周辺領域及び第2周辺領域を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さい光ピックアップ装置である。
回折格子は位相をずらした中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域を有する構成であり、光ディスク上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように回折格子は第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、回折格子をそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域を通過した光強度が第1周辺領域及び第2周辺領域を通過した光強度よりも相対的に弱められている。このように回折格子を光強度分布を変換する素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスクで集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスクに集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができるため、光ディスクに集束する第2レーザ光のスポットの光強度を確保することができる。
また、中央領域と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明の光ピックアップ装置は、光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスクに集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、中央領域の回折格子深さは、第1周辺領域及び第2周辺領域の回折格子深さとは異なる光ピックアップ装置である。
0次光の回折効率は、回折格子深さが0の場合、100%であり、回折格子深さが大きくなるにつれて回折効率は0%に向かって小さくなる。さらに回折格子深さが大きくなると0次光の回折効率は100%に向けて大きくなる。このように回折効率は回折格子深さに対して周期的に変化する。したがって、0次光の回折効率は、回折格子深さを変えることで変えることができる。よって、中央領域の回折格子深さと第1周辺領域及び第2周辺領域の回折格子深さを異ならせることで所定の回折効率を実現できる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、中央領域の回折格子深さは、第1周辺領域及び第2周辺領域の回折格子深さよりも大きい光ピックアップ装置である。
回折格子深さが0から大きくなり最初に0次光の回折効率が0%になるまでの範囲内にある場合、回折格子深さが大きくなるほど回折効率は100%から0%に向かって小さくなる。その範囲内において中央領域の回折格子深さを第1周辺領域及び第2周辺領域の回折格子深さよりも大きくすることで、中央領域の0次光の回折効率は第1周辺領域及び第2周辺領域の0次光の回折効率よりも小さくすることができる。この範囲内の回折格子深さの場合が、回折格子深さが最も小さい場合である。回折格子深さが小さいため、精度良く回折格子を製造することができる。そのため、光ピックアップ装置の記録や再生の特性を良くすることができる。また、製造に要する時間が短いので安価な回折格子とすることができるため、安価な光ピックアップ装置とすることができる。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、回折格子は、回折格子を通過する第1レーザ光の0次光の中央部分の光強度を周辺部分よりも減じる光強度分布変換素子を兼ねた光ピックアップ装置である。
光強度分布変換素子を別個に設ける必要がないので安価な光ピックアップ装置とすることができる。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、回折格子は、縞状にほぼ平行に配列される凹凸を形成する凹凸部材と凹凸部材が形成する凹凸を充填する充填部材とを備えて構成され、第1の波長において凹凸部材の屈折率と充填部材の屈折率には差があり、第2の波長において凹凸部材の屈折率と充填部材の屈折率とはほぼ等しい光ピックアップ装置である。
回折格子は、第1レーザ光を回折して0次光と±1次光に分離し、第2レーザ光をそのまま透過させる波長選択回折格子とすることができる。この波長選択回折格子は2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても第1レーザ光のみを回折することができるので、第1レーザ光に対して最適な性能を持たせることができる。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、凹凸部材または充填部材の少なくとも一方は、第1の波長及び第2の波長以外の所定の波長域に光吸収を持つ光ピックアップ装置である。
光吸収を持つ部材において所定の波長域に近い波長ほど波長に対する屈折率の変化が大きい。したがって、凹凸部材または充填部材の少なくとも一方を光吸収を持つ部材として回折格子を構成することで、凹凸部材と充填部材のうち一方を波長に対する屈折率の変化が大きい部材、他方をそれほど大きくない部材として組み合わせることができる。そのような組み合わせとすることにより、第1の波長において凹凸部材の屈折率と充填部材の屈折率には差があり、第2の波長において凹凸部材の屈折率と充填部材の屈折率とはほぼ等しい回折格子とすることができる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、光吸収を持つ凹凸部材または充填部材は、所定の波長域に光吸収を持つ有機物を含有する光ピックアップ装置である。
所定の波長域に光吸収を持つ有機物をベース材料に含有させることで、所定の波長域に光吸収を持つ部材を構成することができる。所定の波長域に光吸収を持つ有機物には多数の種類があり、ベース材料と組み合わせることで、さまざまな屈折率の凹凸部材または充填部材を作り出すことができ、設計が容易となる。
請求項8の発明は、請求項5の発明において、回折格子を形成する透明基板と、第2の凹凸を形成する第2凹凸部材と第2凹凸部材が形成する第2の凹凸を充填する第2充填部材とを有する第2回折格子と、第2回折格子を形成する第2透明基板と、を備え、透明基板と第2透明基板とで回折格子及び第2回折格子を挟んだ光ピックアップ装置である。
回折格子と第2回折格子とは透明基板と第2透明基板とに挟まれるため、傷が入りにくい。
請求項9の発明は、請求項8の発明において、第1の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率はほぼ等しく、第2の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率には差がある光ピックアップ装置である。
第2回折格子は、第1レーザ光をそのまま透過させ、第2レーザ光を回折して0次光と±1次光に分離する波長選択回折格子とすることができる。この波長選択回折格子は2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても第2レーザ光のみを回折することができるので、第2レーザ光に対して最適な性能を持たせることができる。したがって、回折格子と第2回折格子とを組み合わせることで、第1レーザ光に対しても第2レーザ光に対しても最適な性能を持たせることができる。
請求項10の発明は、請求項9の発明において、第2凹凸部材または第2充填部材の少なくとも一方は、第1の波長及び第2の波長以外の第2の波長域に光吸収を持つ光ピックアップ装置である。
第2凹凸部材または第2充填部材の少なくとも一方を光吸収を持つ部材として第2回折格子を構成することで、第2凹凸部材と第2充填部材のうち一方を波長に対する屈折率の変化が大きい部材、他方をそれほど大きくない部材として組み合わせることができる。そのような組み合わせとすることにより、第1の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率とはほぼ等しく、第2の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率には差がある第2回折格子とすることができる。
請求項11の発明は、請求項10の発明において、第2の波長域に光吸収を持つ第2凹凸部材または第2充填部材は、第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物を含有する光ピックアップ装置である。
第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物をベース材料に含有させることで、第2の波長域に光吸収を持つ部材を構成することができる。第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物には多数の種類があり、ベース材料と組み合わせることで、さまざまな屈折率の第2凹凸部材または第2充填部材を作り出すことができ、設計が容易となる。
請求項12の発明は、請求項1の発明において、中央領域を通過した0次光の回折効率は、ほぼ0%以上80%以下である光ピックアップ装置である。
第1レーザ光の0次光の回折効率が80%以下であれば、第1レーザ光の光ディスク上のスポット径と第2レーザ光の出力を両立できるコリメートレンズ位置を見出すことができる。
請求項13の発明は、請求項1の発明において、中央領域と第1周辺領域及び第2周辺領域との境界は、レーザ光が光ディスクに集束する位置における光ディスクの円周の接線方向に対応する方向に延びる光ピックアップ装置である。
光ディスク上の第1レーザ光のスポット径はトラック横断方向である光ディスクの半径方向で小さいことが望ましい。境界が光ディスクの円周の接線方向に対応する方向に延びるように中央領域と第1周辺領域及び第2周辺領域が配置されることで、スポット径は光ディスクの半径方向で小さくすることができる。
また、第1周辺領域、中央領域、第2周辺領域で回折された+1次光は、トラッキング制御をするためには、同一トラック上をトラック横断方向に配列されることが望ましい。−1次光も同じである。境界が光ディスクの円周の接線方向に対応する方向に延びるように中央領域と第1周辺領域及び第2周辺領域が配置されることで、±1次光が同一トラック上をトラック横断方向に配列される。
この ように、中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域の配置は、光強度分布を変換する素子として要求される配置と回折格子として要求される配置とが一致するために、回折格子は光強度分布を変換する素子を兼ねることができる。
請求項14の発明は、請求項1の発明において、中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域の回折格子延伸方向は、レーザ光が光ディスクに集束する位置における光ディスクの半径方向に対応する方向である光ピックアップ装置である。
0次光と±1次光とは、0次光を中心に+1次光と−1次光とが点対称な位置になるように配列する。また、0次光と±1次光は回折格子延伸方向と直角な方向に配列される。したがって、0次光と±1次光とは光ディスク上の同一トラックに配列される。
請求項15の発明は、請求項1の発明において、中央領域の幅は第1レーザ光が入射する幅に対し、光ディスクの半径方向に対応する方向で10%以上40%以下である光ピックアップ装置である。
中央領域の幅を10%以上とすることで、トラッキング制御に必要な中央領域の第1周辺領域及び第2周辺領域に対する必要最低限の補正量を確保することができる。また、40%以下とすることで過大にならない程度の補正量を確保することができる。
請求項16の発明は、請求項1の発明において、第1レーザ光はDVD用のレーザ光であり、第2レーザ光はCD用のレーザ光である光ピックアップ装置である。
DVD用のレーザ光とCD用のレーザ光を出射する光源を用いてもDVDに対する記録や再生の特性とCD用のレーザ光の出力とを両立することができる。
請求項17の発明は、請求項9の発明において、第1レーザ光は、回折格子で0次光及び±1次光に分離され且つ第2回折格子でほぼそのまま通過して光ディスクに向かい、第2レーザ光は、回折格子でほぼそのまま通過し且つ第2回折格子で0次光及び±1次光に分離されて光ディスクに向かう光ピックアップ装置である。
第1レーザ光は回折格子でのみ0次光と±1次光に分離されて光ディスクに向かう。そのため、第2回折格子の影響を受けない。一方、第2レーザ光は第2回折格子でのみ0次光と±1次光に分離されて光ディスクに向かう。そのため、回折格子の影響を受けない。
請求項18の発明は、請求項1の発明において、光源から出射された発散光の第1レーザ光及び第2レーザ光をほぼ平行光に変換するコリメートレンズを備え、光源とコリメートレンズとの間に回折格子を配置し、回折格子は第2レーザ光については透過させ、また、コリメートレンズは、光ディスクに集束する第2レーザ光のスポットの光強度が光ディスクに情報を記録するために必要な光強度以上となるように、光源に近づけて配置されている光ピックアップ装置である。
中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスクで集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスクに集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、コリメートレンズを光源に近づけることによって、第1レーザ光のスポット径を小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができる。そのため、光ディスクに集束する第2レーザ光のスポットの光強度を光ディスクに情報を記録するために必要な光強度以上とすることができる。したがって、光ディスクに集束する第1レーザ光のスポット径と第2スポットの光強度とを両立することができる。
また、コリメートレンズと光源との距離が小さくなるため、光路を折り曲げて光ピックアップ装置を小さくすることができる反射ミラーを配置しなくても、光ピックアップ装置を構成することができる。その場合、光路が短くなる分光ピックアップ装置をさらに小型にすることができる。また、反射ミラーを省くことができるため、安価な光ピックアップ装置とすることができる。
請求項19の発明は、請求項18の発明において、回折格子の中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域を通過した第2レーザ光の0次光の回折効率は、ほぼ100%である光ピックアップ装置である。
第2レーザ光は回折格子にて光強度を弱められることがほとんどなく、光ディスクで集束する。そのため、光ディスクに集束するスポットの光強度を確保することができる。また、光強度の分布がほとんど変わらないため、光ディスクに集束するスポット径もほとんど変わらない。
請求項20の発明は、第1の波長の第1レーザ光及び第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスクに向けて出射する光源と、中央領域と中央領域の一方の側に隣接する第1周辺領域と第1周辺領域とは反対側に隣接する第2周辺領域とを有し第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する回折格子と、回折格子から出射された第1レーザ光及び第2レーザ光をほぼ平行光に変換するコリメートレンズと、平行光を光ディスクに集束する光に変換する対物レンズと、を備え、中央領域の回折格子位相は、第1周辺領域の回折格子位相に対してほぼ+90度、第2周辺領域の回折格子位相に対してほぼ−90度異なり、中央領域を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率は、第1周辺領域及び第2周辺領域を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さい光ディスク装置である。
回折格子は位相をずらした中央領域、第1周辺領域及び第2周辺領域を有する構成であり、光ディスク上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように回折格子は第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、回折格子をそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域を通過した光強度が周辺領域を通過した光強度よりも相対的に弱められている。このように回折格子を光強度分布を変換する素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスクで集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスクに集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができるため、光ディスクに集束する第2レーザ光のスポットの光強度を確保することができる。
また、中央領域と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明の光ディスク装置は、光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスクに集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
(実施の形態1)
本実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は本実施の形態1の光ピックアップ装置の光学系の構成図、図1(b)は本実施の形態1の回折格子構成と第1レーザ光の光強度分布を示した図である。
図1(a)において、光源1は第1の波長の第1レーザ光及び第2の波長のレーザ光を光ディスク20に向けて出射する。本実施の形態1において、光ディスク20はDVD及びCDとする。第1レーザ光はDVDに対して記録または再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光で、第1の波長は約650nmである。また、第2レーザ光はCDに対して記録または再生の少なくとも一方を行うためのレーザ光で、第2の波長は約780nmである。
光ディスク20に情報を記録する場合と光ディスク20に記録された情報を再生する場合とでは、前者の方が光源1から出射されるレーザ光は大出力が要求される。また、高倍速の方が大出力が要求される。そして、光源1は大出力のレーザ光を出射すると発熱が多くなり、自身の温度が上昇する。光源1の温度が所定の温度を越えると光源1は動作が不安定になる。CDの方がDVDよりもより高倍率で記録することが要求されるため、一般に光源1はCDに高倍速で記録する場合が、温度が最も高くなる。
回折素子2は、第1回折格子2aと第2回折格子2bとを備える。第1レーザ光の発光点と第2レーザ光の発光点とは近接しているため、第1レーザ光も第2レーザ光も第1回折格子2a及び第2回折格子2bを通過する。第1回折格子2aは第1レーザ光を回折して、少なくとも0次光及び±1次光に分離して通過させる。分離された第1レーザ光の0次光及び±1次光は最終的に受光器10に入射し、DVDのトラッキング制御に用いられる。第1回折格子2aは図1(b)に示すように中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33の3つの領域に分割される。第1周辺領域32は中央領域31の一方の側に隣接し、第2周辺領域33は第1中央領域31の第1周辺領域32とは反対側に隣接する。中央領域31の回折格子位相は、第1周辺領域32の回折格子位相に対してほぼ+90度だけ異なり、第2周辺領域33の回折格子位相に対してほぼ−90度だけ異なる。すなわち、第1周辺領域32と第2周辺領域33の回折格子位相はお互いにほぼ180度異なっている。また、中央領域31と第1周辺領域32、第2周辺領域33とで回折効率を異ならせることができるように、中央領域31の回折格子深さと第1周辺領域32、第2周辺領域33の回折格子深さとは異ならせている。
中央領域31を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率が第1周辺領域32及び第2周辺領域33を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さくなるように、各領域の回折格子深さを設定した。第1周辺領域32における0次光の回折効率と第2周辺領域33における0次光の回折効率とは、回折格子深さがほぼ等しいため、ほぼ等しい。その結果、図1(b)の下に実線で示した中央領域31を通過した第1レーザ光の0次光の光強度は、破線で示した仮に中央領域31の0次光の回折効率が第1周辺領域32及び第2周辺領域33の0次光の回折効率と同じとした場合の光強度よりも小さい。このように中央部分の光強度が周辺部分の光強度に対して相対的に小さい場合、光ディスク20に集束するスポット径は、そうでない場合に対して小さくなる。この現象を超解像現象という。
一方、第1回折格子2aは第2レーザ光をそのまま通過させる。すなわち、第2レーザ光は0次光及び±1次光には分離されないし、中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を通過しても光強度分布に影響は受けない。第2レーザ光の0次光の回折効率は中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33のいずれにおいてもほぼ100%ともいえる。第2レーザ光は第1回折格子2aにて光強度を弱められることがほとんどなく、光ディスク20で集束する。そのため、光ディスク20に集束するスポットの光強度を確保することができる。また、光強度の分布がほとんど変わらないため、光ディスク20に集束するスポット径もほとんど変わらない。このように第1回折格子2aは波長選択回折格子である。
第2回折格子2bは第1レーザ光をそのまま透過させ、第2レーザ光を回折して少なくとも0次光及び±1次光に分離して通過させる。分離された0次光及び±1次光は最終的に受光器10に入射し、CDのトラッキング制御に用いられる。第2回折格子2bも波長選択回折格子である。
第1レーザ光は、第1回折格子2aで0次光及び±1次光に分離され且つ第2回折格子2bでほぼそのまま通過して光ディスク20に向かう。また、第2レーザ光は、第1回折格子2aでほぼそのまま通過し且つ第2回折格子2bで0次光及び±1次光に分離されて光ディスク20に向かう。そのため、第1レーザ光は第2回折格子の影響を受けない。一方、第2レーザ光は第1回折格子2aの影響を受けない。
ビームスプリッタ3は、内部に斜面3aを有し、斜面3aには偏光分離膜3bが形成されている。偏光分離膜3bは、誘電体多層膜で形成される。偏光分離膜3bは、往路光である光源1から出射された第1レーザ光及び第2レーザ光の大半を透過して光ディスク20に向かわせる。また、偏光分離膜3bは往路光の一部を反射して第2受光器11に向かわせる。一方、偏光分離膜3bは、復路光である光ディスク20で反射された第1レーザ光及び第2レーザ光を反射して受光器10に向かわせる。
反射ミラー4は、表面に全反射膜が形成された光学ガラスや光学プラスチックで構成される。反射ミラー4は第1レーザ光及び第2レーザ光の光路を折り曲げることによって、光ピックアップ装置が長くなるのを防いで、光ピックアップ装置を小型にする。
コリメートレンズ5は、光学ガラスや光学プラスチックで製造される。コリメートレンズ5は、発散光である光源1から出射された第1レーザ光及び第2レーザ光をほぼ平行光に変換する。本実施の形態1において、光源1とコリメートレンズ5との間に回折素子2を配置した。コリメートレンズ5に取り込まれる光量が多いほど光ディスク20で集束されるスポットの光強度が大きい。したがって、コリメートレンズ5が光源1に近いほど光源1から見込む角が大きく、コリメートレンズ5に取り込まれる光量が増えるため、光ディスク20に集束するスポットの光強度は大きくなる。一方、光源1から見込む角が大きくなると光束の周辺部も取り込まれるようになるため、光ディスク20に収束するスポットの径は大きくなる。本実施の形態1において、コリメートレンズ5は光ディスク20に集束する第2レーザ光のスポットの光強度が光ディスク20に情報を記録するために必要な光強度以上となるように、光源1に近づけて配置されている。
1/4波長板6は、光源1から出射された第1レーザ光及び第2レーザ光を直線偏光から円偏光に変換する。また、光ディスク20で反射された円偏光の第1レーザ光及び第2レーザ光を往路光とは90度ずれた直線偏光に変換する。往路光と復路光とで90度ずれた直線偏光とすることにより、ビームスプリッタ3の偏光分離膜3bで往路光と復路光とを分離することができる。
立ち上げプリズム7は、それまで光ディスク20に対してほぼ平行であった第1レーザ光及び第2レーザ光を光ディスク20に対してほぼ直角に立ち上げるプリズムである。立ち上げプリズム7は立ち上げミラーとしても良い。
対物レンズ8は、光ディスク20に第1レーザ光及び第2レーザ光を集束させる集光レンズである。対物レンズ8は光学ガラスや光学プラスチックで構成される。光ディスク20はDVDとCDとで表面から記録面までの距離が異なる。種類に応じて光ディスク20の記録面に焦点を結ぶように、対物レンズ8は集光レンズおよびフレネルレンズまたはホログラムレンズの組み合わせ、DVD用集光レンズにCD再生時に開口制限手段を設ける組み合わせ等が用いられる。また、光ディスク20の厚みおよび開口数の違いを吸収するものも使用することができる。
検出レンズ9は円筒レンズや円柱レンズ等である。検出レンズ9は、ビームスプリッタ3で往路光から分離された第1レーザ光及び第2レーザ光を、光軸を含んで直交する2つの断面で焦点距離が異なる光に変換して、レーザ光に非点収差を与えるレンズである。検出レンズ9を出た第1レーザ光及び第2レーザ光は受光器10に入射し、フォーカス制御に用いられる。検出レンズ9の円筒や円柱の軸方向の光束と軸方向と直角な方向の光束とでは焦点位置が異なる。その2方向の焦点位置の中間に受光器10が配置される。
受光器10は、光源1から出射され光ディスク20で反射された第1レーザ光及び第2レーザ光を受光部で受光する。受光部は複数あり、それぞれの受光部が受光した光をその光量に応じた電気信号に変換して出力する。出力された電気信号は、トラッキング制御、フォーカス制御、光ディスク20に記録された情報の再生等に用いられる。
第2受光器11は、光源1から出射されビームスプリッタ3で分離された第1レーザ光及び第2レーザ光を受光部で受光する。受光部は受光した光をその光量に応じた電気信号に変換して出力する。出力された電気信号は、光源か1から出射される第1レーザ光及び第2レーザ光の出力の制御に用いられる。
光ディスク20は前述の通り、本実施の形態1においてDVDとCDとした。しかし、それに限るものではなく、一方をBlu−ray DiscやHD−DVDとしても構わない。Blu−ray DiscやHD−DVD用に用いられるレーザ光の波長は約405nmである。
第1回折格子2aは回折格子位相をずらした中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を有する構成であり、後述するように光ディスク20上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように第1回折格子2aは第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、第1回折格子2aをそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域31を通過した光強度が第1周辺領域32及び第2周辺領域を通過した光強度よりも相対的に弱められている。本発明ではこのように第1回折格子2aを光強度分布を変換する光強度分布変換素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスク20で集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスク20に集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分をコリメートレンズ5を光源1に近づけることに振り分けることができる。コリメートレンズ5を光源1に近づけると光源1から見込む角が大きくなるため第2レーザ光をコリメートレンズに多く取り込むことができ、光ディスク20に集束するスポットの光強度を大きくすることができる。そのため、光ディスク20に集束する第2レーザ光のスポットの光強度が光ディスク20に情報を記録するために必要な光強度以上となるようにしても、光源1の発熱量は光源1の温度を所定の温度以上には上げないようにすることができる。したがって、CDである光ディスク20に高倍速で記録するのに必要な光強度とすることができる光源1から出射される第2レーザ光の出力を確保することができる。
また、中央領域31と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明の光ピックアップ装置は、光ディスク20に集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスク20に集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源1を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。すなわち、DVD用のレーザ光とCD用のレーザ光を出射する光源1を用いても、DVDに対する記録や再生の特性とCD用のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
また、第1回折格子2aは、第1回折格子2aを通過する第1レーザ光の0次光の中央部分の光強度を周辺部分よりも減じる光強度分布変換素子を兼ねている。光強度分布変換素子を別個に設ける必要がないので安価な光ピックアップ装置とすることができる。
次に回折素子2について、さらに詳細に説明する。図2は本実施の形態1の回折素子の構成図である。回折素子2は透明基板2c上に形成した第1回折格子2aと第2透明基板2d上に形成した第2回折格子2bとを貼り合わせた構成である。透明基板2c及び第2透明基板2dは透明な光学基板または光学プラスチックで作製される。第1回折格子2aと第2回折格子2bとは透明基板2cと第2透明基板2dとの間に挟まれる。したがって、第1回折格子2aや第2回折格子2bは傷が入りにくい。第1回折格子2aを透明基板2cと第3の透明基板で挟み、第2回折格子2bを第2透明基板と第4の透明基板で挟み、それらを貼り合わせたような構成としても良い。第1回折格子2aと第2回折格子2bとは、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等で接着される。本実施の形態1において、光源1から出射されて回折素子2に入射したレーザ光は、第1レーザ光、第2レーザ光とも透明基板2c、第1回折格子2a、第2回折格子2b、第2透明基板2dを経て、光ディスク20に向けて出射される。
図3(a)は本実施の形態1の第1回折格子の構成図、図3(b)は第1回折格子の上面図、図3(c)は第1回折格子のX−X断面図である。第1回折格子2aは透明基板2c上に縞状にほぼ平行に配列されて形成される凹凸を構成する凹凸部材2eと凹凸を充填する充填部材2fで構成される。この凹凸部材2eと充填部材2fとで形づくられる凹凸の深さが回折格子深さdとなる。また、前述のように第1周辺領域32の回折格子位相と第2周辺領域33の回折格子位相とはほぼ180度異なっている。そして中央領域31の回折格子位相は、第1周辺領域32の回折格子位相に対してほぼ90度、第2周辺領域33の回折格子位相に対してほぼ−90度異なっている。
凹凸部材2eまたは充填部材2fの少なくとも一方は、第1の波長及び第2の波長以外の所定の波長域に光吸収を持つ材料で構成される。図4は回折格子に入射する光の波長と光吸収率及び屈折率との関係を示す図である。一般に透明樹脂材料等は、光吸収がない場合、光吸収率がほぼ0%に近い値を有し、長波長になるに従い屈折率がわずかに小さくなる傾向を示す。ところが、所定の波長域に光吸収を持つ場合、所定の波長域に近い波長域では屈折率が所定の波長域に向かって急激に大きくなる傾向を示す。この現象を異常分散現象という。
図5は波長と本実施の形態1の第1回折格子を構成する部材の屈折率との関係を示す図である。凹凸部材2eと充填部材2fのうち、波長に対して屈折率の変化が大きい方が光吸収を持つ部材、屈折率の変化が小さい方が光吸収を持たない部材である。このように異常分散現象を用いて、凹凸部材2eに用いる材料と充填部材2fに用いる材料を組み合わせることで、第1の波長では凹凸部材2eの屈折率と充填部材2fの屈折率に差を設け、第2の波長では凹凸部材2eの屈折率と充填部材2fの屈折率をほぼ等しくすることができる。この光吸収を示す波長域は、第1の波長及び第2の波長以外の所定の波長域である。凹凸部材2eの屈折率と充填部材2fの屈折率とで差があるために、第1の波長の第1レーザ光は回折されて0次光及び少なくとも±1次光に分離される。第2の波長の第2レーザ光は第1回折格子2aをそのまま通過する。すなわち、第2レーザ光は、±1次光以上の回折効率が0%で、0次光の回折効率が100%であるといえる。第1回折格子2aは2つの波長のレーザ光を出射する光源1を用いても第1レーザ光のみを回折することができるので、第1レーザ光に対して最適な性能を持たせることができる。
図6は本実施の形態1の第1回折格子の回折格子深さと回折効率との関係を示す図である。凹凸部材2eと充填部材2fとで構成されるような、一般に屈折率差Δn(λ)を有する2種類の部材で構成される格子深さdの回折格子において、波長λの光の位相差φはφ=Δn(λ)×d/λの関係式が成り立つ。0次光の回折効率は位相差φによって決まる。理論的にはφ=0、1、2、3・・・の場合は、0次光の回折効率100%(回折0%)となる。また、φ=0.5、1.5、2.5・・・の場合は、0次光の回折効率0%(2階のバイナリーであれば、回折41%、4階の場合81%、8階の場合95%、16階の場合99%)となる。+1次光、−1次光の回折効率は、±2次光以上を無視すれば、(100−0次光の回折効率)/2%で求めることができる。±2次光以上を無視することができなければ、それよりも小さい値となる。
回折格子を使用する波長と屈折率差を決める材料を決めると、位相差φは、回折格子深さdによって変化する。すなわち、図6に示すように、0次光の回折効率は、回折格子深さdが0の場合、100%であり、回折格子深さdが大きくなるにつれて回折効率は0%に向かって小さくなる。さらに回折格子深さdが大きくなると0次光の回折効率は100%に向けて大きくなる。このように回折効率は回折格子深さdに対して周期的に変化する。したがって、0次光の回折効率は、回折格子深さdを変えることで変えることができる。よって、中央領域31の回折格子深さdと第1周辺領域32及び第2周辺領域33の回折格子深さdを異ならせることで所定の回折効率を実現できる。
回折格子深さdが0から大きくなり最初に0次光の回折効率が0%になるまでの範囲内にある場合、回折格子深さdが大きくなるほど回折効率は100%から0%に向かって小さくなる。その範囲内において中央領域31の回折格子深さdを第1周辺領域32及び第2周辺領域33の回折格子深さdよりも大きくすることで、中央領域31の0次光の回折効率は第1周辺領域32及び第2周辺領域33の0次光の回折効率よりも小さくすることができる。この範囲内の回折格子深さdの場合が、回折格子深さdが最も小さい場合である。回折格子深さdが小さいため、精度良く回折格子を製造することができる。そのため、光ピックアップ装置の記録や再生の特性を良くすることができる。また、製造に要する時間が短いので安価な回折格子とすることができるため、安価な光ピックアップ装置とすることができる。
ところで、凹凸部材2eや充填部材2fに所定の波長域に光吸収を持たせるようにする方法には大きく分けて2つの種類がある。1つは、凹凸部材2eや充填部材2fを構成する材料自体を所定の波長域に光吸収を持つ材料とする方法である。そのような材料として共役二重結合を有する材料が挙げられ、芳香族ポリイミドやポリアセン等がある。
もう1つは、所定の波長域に光吸収を持たない透明なベース材料に所定の波長域に光吸収を持つ有機物を含有させる方法である。凹凸部材2eや充填部材2fのベース材料にはEpo−Tek310、320、330等のエポキシ系の熱硬化型接着剤、OG114等のアクリル系紫外線硬化型接着剤、PIMEL7640、7621等の感光性ポリイミド、AZ6130、AZ4620等のレジスト等が使われる。
所定の波長域に光吸収を持つ有機物のうち、可視光領域に光吸収を持ち、分子レベルでベース材料に溶解するものを染料、可視光領域に光吸収を持ち、粒子状態でベース材料内に分散しているものを顔料という。有機物として、第1の波長より短い所定の波長域に光吸収を持つ有本化学工業製のOil Scarlet 5206、赤色102号や赤色2号等を用いることができる。また、Blu−ray DiscやHD−DVDとして用いられるレーザ光の波長405nmより短い所定の波長域に光吸収を持つ場合として銅クロロフィリンナトリウム等でも良い。また、逆に第2の波長より長い所定の波長域に光吸収を持たせても良く、株式会社林原生物化学研究所製のNK−4432、NK−4489、NK−2911等としても良い。以上は分子レベルでベース材料に溶解するものであるが、ピグメントレッド254やピグメントレッド177等の顔料としても良い。なお、有機物は、所定の波長域に光吸収を持たせるために、複数種類の有機物を混ぜたものとしても構わない。凹凸部材2eや充填部材2fは染料や顔料を含有した場合、着色して見えるが、第1の波長の光及び第2の波長の光は透過するので透明である。また、銅クロロフィリンナトリウムはほとんど薄い青色であるし、NK−4432、NK−4489、NK−2911はほとんど無色であり、染料と呼べるほどの色はない。
このように所定の波長域に光吸収を持つ有機物をベース材料に含有させることで、所定の波長域に光吸収を持つ凹凸部材2eや充填部材2fを構成することができる。所定の波長域に光吸収を持つ有機物には多数の種類があり、ベース材料と組み合わせることで、さまざまな屈折率の凹凸部材2eまたは充填部材2fを作り出すことができ、設計が容易となる。
中央領域31を通過した0次光の回折効率は、ほぼ0%以上80%以下であることが望ましい。第1レーザ光の0次光の回折効率が80%以下であれば、第1レーザ光の光ディスク20上のスポット径と第2レーザ光の出力を両立できるコリメートレンズ5の位置を見出すことができる。また、第1レーザ光の0次光の回折効率がほぼ0%であっても、第1レーザ光の光ディスク20上のスポット径と第2レーザ光の出力を両立できるコリメートレンズ5の位置を見出すことができる。
第2回折格子2bは、第2透明基板2d上に形成される凹凸を構成する第2凹凸部材(図示せず)と凹凸を充填する第2充填部材(図示せず)で構成される。第2凹凸部材は凹凸部材2eに対応し、第2充填部材は充填部材2fに対応し、第2透明基板2dは透明基板2cに対応する。第1の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率はほぼ等しく、第2の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率には差があるようにした。第2回折格子2bは、第1レーザ光をそのまま透過させ、第2レーザ光を回折して0次光と±1次光に分離する波長選択回折格子とすることができる。この波長選択回折格子は2つの波長のレーザ光を出射する光源1を用いても第2レーザ光のみを回折することができるので、第2レーザ光に対して最適な性能を持たせることができる。したがって、第1回折格子2aと第2回折格子2bとを組み合わせることで、第1レーザ光に対しても第2レーザ光に対しても最適な性能を持たせることができる。
また、第2凹凸部材または第2充填部材の少なくとも一方は、第1の波長及び第2の波長以外の第2の波長域に光吸収を持つようにした。第2凹凸部材または第2充填部材の少なくとも一方を光吸収を持つ部材として第2回折格子を構成することで、第2凹凸部材と第2充填部材のうち一方を波長に対する屈折率の変化が大きい部材、他方をそれほど大きくない部材として組み合わせることができる。そのような組み合わせとすることにより、第1の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率とはほぼ等しく、第2の波長において第2凹凸部材の屈折率と第2充填部材の屈折率には差がある第2回折格子2bとすることができる。
そして、第2の波長域に光吸収を持つ第2凹凸部材または第2充填部材は、第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物を含有するものとした。第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物をベース材料に含有させることで、第2の波長域に光吸収を持つ第2凹凸部材や第2充填部材を構成することができる。第2凹凸部材、第2充填部材は凹凸部材2e、充填部材2fの説明で紹介した材料と同じ材料を用いることができる。また、第1の波長域に光吸収を持つ第2有機物は所定の波長域に光吸収を持つ有機物と同じ材料を用いることができる。したがって、第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物には多数の種類があり、ベース材料と組み合わせることで、さまざまな屈折率の第2凹凸部材または第2充填部材を作り出すことができ、設計が容易となる。
なお、第2凹凸部材や第2充填部材を構成する材料自体を所定の波長域に光吸収を持つ材料としても良い。そのような材料として共役二重結合を有する材料が挙げられ、芳香族ポリイミドやポリアセン等がある。
第2回折格子2bは、第1回折格子2aのように3つの領域に分割する必要はなく、1つの領域だけで構成される。したがって、CDのトラッキング制御に適する所定の回折格子深さd、所定の回折格子ピッチ、所定の回折格子方向で形成される。
回折素子2は以下のようにして作製される。まず凹凸部材2eをスピンコート法等で透明基板2cに所定の均一な厚さで塗布する。次に加熱保持して、硬化する。次に凹凸部材2eに所定の凸形状パターンを形成する。凸形状パターンの作製方法として、例えば、凹凸部材2eの上にレジストを塗布し、所定のパターンとなるようにグレースケールのマスクパターンを介して紫外線を照射し、現像後、ドライエッチングを行う方法がある。あるいは、凹凸部材2eとして感光性材料を使い、所定の均一な厚さに塗布し、所定のパターンとなるようにグレースケールのマスクパターンを介して紫外線を照射し、現像を行っても良い。この凹凸部材2eによる凸形状の高さが第1回折格子2aの回折格子深さdとなる。グレースケールマスクパターンは照射する紫外線の透過率が位置により変化しているマスクパターンで、凹凸部材2eの凸形状の高さを自由に変えることができる。このグレースケールマスクパターンを使って、中央領域31の回折格子深さdと第1周辺領域32及び第2周辺領域33の回折格子深さdを変える。
次にスピンコート法やスクリーン印刷法等で充填部材2fを凹凸部材2eによる凸形状と凸形状の間に充填するように塗布して、平坦化する。平坦化する方法として、前述のように第3の透明基板をその上に重ね合わせる方法もある。なお、有機物を凹凸部材2eや充填部材2fに含有させる場合はあらかじめベース材料に含有させておく。次に全体を加熱保持する。同様にして第2回折格子2bも第2透明基板2d上に形成する。第2回折格子2bの場合はグレースケールマスクパターンを使う必要はなく、通常のマスクパターンで良い。
次に第1回折格子2aと第2回折格子2bとを貼り合わせる。その際、第1回折格子2aと第2回折格子2bとが透明基板2cと第2透明基板2dとの間に挟み込まれるようにする。第1回折格子2aと第2回折格子2bとの接着には前述の通り紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気性接着剤等が用いられる。最後に所定の寸法に切断し、完成とする。
なお、一般的に染料を始めとする分子レベルでベース材料に溶解する有機物は紫外線により構造が一部破壊されて所定の光吸収の性質を失いやすい場合がある。そのため、紫外線照射、現像した際、紫外線が当たらない部分が残るような材料を用いることで、所定の光吸収の性質を残した有機物を含む凹凸部材2eを形成することができる。また、充填部材2fにのみ有機物を含有させても良い。さらに、そのような有機物を使用する際には、第1回折格子2aと第2回折格子2bとの接着には紫外線硬化型接着剤以外の接着剤を使用することが望ましい。
また、充填部材2fと第2充填部材とを同じ材料とすることができる場合、次のような構成及び作製方法とすることもできる。まず透明基板2c上に凹凸部材2eを形成し、また、第2透明基板2d上に第2凹凸部材を形成する。次に充填部材2fを凹凸部材2eを形成した透明基板2cまたは第2凹凸部材を形成した第2透明基板2dの少なくとも一方に塗布する。次に透明基板2cと第2透明基板2dを外側にして貼り合わせて加熱保持する。最後に所定の寸法に切断し、完成とする。すなわち、第1回折格子2aと第2回折格子2bを接着する接着剤がなくなり、充填部材2fと第2充填部材とが共用されて構成が単純になる。また、工程数が少なくなるため安価な回折素子2を作製することができる。
なお、ガラス基板等の表面に凹凸を形成して回折格子とするような一般的な構成の回折格子を本実施の形態1の第1回折格子2aと置き換えることは困難である。一般的な構成の回折格子の回折格子深さdを中央領域31と第1周辺領域32及び第2周辺領域33とで異ならせることができた場合を考える。その際、第1レーザ光に関しては、確かに中央領域31における0次光の回折効率を第1周辺領域32及び第2周辺領域33における回折効率よりも小さくすることができる。ところが、そのような回折格子深さdの分布を有した第1回折格子2aに第2レーザ光が入射した場合、中央領域31でも第1周辺領域32及び第2周辺領域33でも入射した第2レーザ光はそのまま通過するわけではない。第2レーザ光はその回折格子深さdによって回折されて、0次光及び±1次光に分離される。
第2レーザ光が第1回折格子2aでそのまま通過するには、中央領域31において第1レーザ光が所定の0次光の回折効率で回折され、第2レーザ光がそのまま通過するような回折格子深さdを設定する必要がある。さらに、第1周辺領域32及び第2周辺領域33において第1レーザ光が中央領域31よりも大きい0次光の回折効率で回折され、第2レーザ光がそのまま通過するような中央領域31とは異なる回折格子深さdを設定しなければならない。中央領域31または第1周辺領域32及び第2周辺領域のどちらかを満たすような回折格子深さdの設定は可能である。しかし、両方の条件を満たす回折格子深さdを設定することは困難なことである。
次に、第1回折格子2aとトラッキング制御について説明する。図7は本実施の形態1の第1回折格子と光ディスク上のスポットと受光器の受光部の関係を示す図である。中央領域31と第1周辺領域32及び第2周辺領域33との境界は、レーザ光が光ディスク20に集束する位置における光ディスク20の円周の接線方向に対応する方向に延びる。光ディスク20上の第1レーザ光のスポット径はトラック横断方向である光ディスク20の半径方向で小さいことが望ましい。境界が光ディスク20の円周の接線方向に対応する方向に延びるように中央領域31と第1周辺領域32及び第2周辺領域33が配置されることで、スポット径は光ディスク20の半径方向で小さくすることができる。
また、トラッキング制御をするためには、第1周辺領域32、中央領域31、第2周辺領域33で回折された+1次光は、同一トラック上をトラック横断方向に配列されることが望ましい。−1次光も同じである。境界が光ディスク20の円周の接線方向に対応する方向に延びるように中央領域31と第1周辺領域32及び第2周辺領域33が配置されることで、±1次光が同一トラック上をトラック横断方向に配列される。
このように、中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33の配置は、光強度分布を変換する素子として要求される配置と回折格子として要求される配置とが一致するために、第1回折格子2aは光強度分布変換素子を兼ねることができる。
また、第1回折格子2aの中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33の回折格子延伸方向は、レーザ光が光ディスク20に集束する位置における光ディスク20の半径方向に対応する方向である。第1回折格子2aへの第1レーザ光の入射光21は第1回折格子2aにて回折されて0次光22を中心に+1次光23と−1次光24とが点対称な位置になるように分離される。+1次光23と0次光22と−1次光24とが作る面は回折格子延伸方向とは直角な方向である。したがって、0次光22と+1次光23と−1次光24とはそれぞれスポット25、スポット26、スポット27として光ディスク20上の同一トラック20aに集束する。
光ディスク20で反射された第1レーザ光の0次光22は受光器10の受光部10aに、+1次光23は受光器10の受光部10bに、−1次光24は受光器10の受光部10cに入射する。受光部10a、受光部10b、受光部10cはそれぞれ少なくとも光ディスク20の半径方向に対応する境界線で2分割される。通常、トラッキング制御に用いられる光が入射する受光部は少なくとも光ディスク20の円周の接線方向に対応する境界線で2分割される。しかし、本実施の形態1において非点収差を与える検出レンズ9を用いているため、90度回転している。また、受光部10aは、光ディスク20の円周の接線方向に対応する境界線でも2分割される。受光部10aの出力信号によりフォーカス制御用の信号も得るためである。
受光部10aの出力信号をA、B、C、D、受光部10bの出力信号をE、F、受光部10cの出力信号をG、Hとする。トラッキング制御用の信号であるトラッキングエラー信号TESは、TES={(A+B)−(C+D)}−K・{(E−F)+(G−H)}で演算される。ここでKは定数である。
通常の回折格子によるディファレンシャルプッシュプル法によるトラッキング制御において、0次光によるスポット25がトラック上に配置された場合、±1次光によるスポット26、27は隣接するトラックとの中間に配置される。そのために、0次光と±1次光とはトラッキングのずれに対して逆の挙動を示すことができる。ところが、トラック間のピッチが異なるような複数種類の光ディスク20に対して、±1次光によるスポット26、27をトラックとトラックとの中間に配置することは困難である。
その改良として、中央領域31のない、回折格子位相が180度異なる第1周辺領域32と第2周辺領域33で構成された2分割の回折格子を用いたディファレンシャルプッシュプル法がある。この方法をインラインDPP法という。インラインDPP法において、±1次光によるスポット26、27を0次光によるスポット25と同一トラック上に配置することができる。この回折格子位相が180度異なる第1周辺領域32と第2周辺領域33を通過した±1次光が、通常のディファレンシャルプッシュプル法による±1次光と同様の挙動を示す。ところが、対物レンズ8の光ディスク20の半径方向の変位、すなわちトラック横断方向の変位がある場合、第1周辺領域32を通過した光と第2周辺領域33を通過した光が干渉して打ち消しあうために、トラッキングエラー信号TESは急激に小さくなる。
本実施の形態1の第1回折格子2aは、中央領域31と中央領域31の一方の側に隣接する第1周辺領域32と第1周辺領域32とは反対側に隣接する第2周辺領域33とを有するようにした。中央領域31の回折格子位相は、第1周辺領域32の回折格子位相に対してほぼ+90度、第2周辺領域33の回折格子位相に対してほぼ−90度異なるようにした。
この回折格子位相が180度異なる第1周辺領域32と第2周辺領域33を通過した±1次光が、インラインDPP法による±1次光と同様の挙動を示す。そのため、±1次光によるスポット26、27を0次光によるスポット25と同一トラック上に配置することができる。
また、対物レンズ8のトラック横断方向の変位がある場合、第1周辺領域32を通過した光と第2周辺領域33を通過した光との干渉の一部が、中央領域31を通過した光と第1周辺領域32を通過した光との干渉または中央領域31を通過した光と第2周辺領域33を通過した光との干渉に置き換えられる。そのため、第1周辺領域32を通過した光と第2周辺領域33を通過した光との干渉の影響を少なくすることができ、対物レンズ8のトラック横断方向の変位によるトラッキングエラー信号TESの急激な低下を抑えることができる。
中央領域31の幅が狭ければ、対物レンズ8のトラック横断方向の変位によるトラッキングエラー信号の低下が大きくなる。また、逆に広ければ、第1周辺領域32及び第2周辺領域33の回折格子位相が180度異なることによる効果が小さくなり、対物レンズ8のトラック横断方向の変位がなくても、トラッキングエラー信号TESが小さくなる。中央領域31が100%を占めれば、通常の回折格子と同じになる。
中央領域31の幅は、0次光の回折効率が適切な値になる幅とトラッキングエラー信号TESの特性が適切になる幅とを考慮し決定する必要がある。中央領域31の幅は第1レーザ光が入射する幅に対し、光ディスク20の半径方向に対応する方向で10%以上40%以下とすることが望ましい。10%以上であれば、第1レーザ光の光ディスク20におけるスポット径を小さくできるとともに、対物レンズ8のトラック横断方向の変位によるトラッキングエラー信号TESの低下を抑えることができる。トラッキング制御に必要な中央領域31の第1周辺領域32及び第2周辺領域33に対する必要最低限の補正量を確保することができる。40%以下であれば、第1レーザ光の光ディスク20におけるスポット径を十分に小さくできるとともに、トラッキングエラー信号TESの大きさを確保することができる。すなわち、過大にならない程度の補正量を確保することができる。20%から30%の範囲であれば、第1レーザ光の光ディスク20におけるスポット径を十分小さくできるとともに、対物レンズ8のトラック横断方向の変位によるトラッキングエラー信号TESの低下を十分に抑えることができる。さらに、トラッキングエラー信号TESの大きさも十分に確保することができる。
図8は本実施の形態1の光ピックアップ装置の外観図である。光ピックアップ装置40は基台41に各種部品を配置して構成される。基台41は光ピックアップ装置40の骨組みである。基台41は、Zn合金、Mg合金等の合金材料あるいは硬質樹脂材料で形成されるが、剛性を確保しやすい合金材料が望ましい。基台41には各種部品を配置するための取り付け部が所定の箇所に設けられている。
レーザモジュール42は、結合部材43に光源1、回折素子2、ビームスプリッタ3、検出レンズ9、受光器10が固定されて構成される。結合部材43が基台41に固定される。基台41より小型の結合部材43に上記部品が固定されることで、基台41に固定される場合よりも温度変化や経年変化による位置ずれ等が発生しにくく、安定した記録や再生の特性が得られる。
反射ミラー4、コリメートレンズ5、1/4波長板6、立ち上げプリズム7、第2受光器11は直接または取り付け用の部材を介して基台41に固定される。
対物レンズ駆動装置44は、対物レンズ8を光ディスク20に対してフォーカス方向、トラッキング方向に移動可能に支持する。対物レンズ駆動装置44が基台41に固定される。対物レンズ8を固定したレンズホルダが、その両端をワイヤ状や板状の弾性支持部材によって装置本体に支持される。また、レンズホルダにはコイル、装置本体側には磁石が配置され、対物レンズ8は、その電磁力による駆動力で光ディスク20に対してフォーカス方向、トラッキング方向に移動できる。
カバー45、46は、光ピックアップ装置40の内部を保護すると同時に、外観品質を高める。図8において、カバー46は、カバー46によって隠れる部分が見えるように、外された状態であり、破線で取り付け位置を示す。カバー45は、開口を有し、対物レンズ8が露出する。
以上のように、本実施の形態1の光ピックアップ装置40において、第1回折格子2aは位相をずらした中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を有する構成であり、光ディスク20上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように第1回折格子2aは第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、第1回折格子をそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域31を通過した光強度が第1周辺領域32及び第2周辺領域33を通過した光強度よりも相対的に弱められている。このように第1回折格子2aを光強度分布変換素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスク20で集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスク20に集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができるため、光ディスク20に集束する第2レーザ光のスポットの光強度を確保することができる。
また、中央領域31と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明の光ピックアップ装置40は、光ディスク20に集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスク20に集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源1を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。図9は本実施の形態2の光ピックアップ装置の光学系の例の構成図、図10は本実施の形態2の光ピックアップ装置の光学系の別の例の構成図である。本実施の形態2の光ピックアップ装置は、実施の形態1の光ピックアップ装置の構成から反射ミラー4を除き、反射ミラー4で折り曲げられた光路を真っ直ぐに伸ばした構成を持つ。実施の形態1で説明したように、光強度分布変換素子を光路に挿入して超解像現象により光ディスク20に集束するスポット径を小さくできる余裕をコリメートレンズ5を光源1に近づけることに用いることができる。そのため、光源1とコリメートレンズ5との間の距離は、従来よりも短く、反射ミラー4により光路を折り曲げる必要がなくなる。
図9に示すように反射ミラー4をなくすことにより、反射ミラー4の分の部品代、組み立て工数の削減だけにとどまらず、光路を折り曲げることで逆に必要となった面積を削減することができる。そのため、光ディスク装置に対して光ピックアップ装置が占める面積をさらに小さくすることができる。なお、図9において、反射ミラー4以外は実施の形態1で説明した内容と同一であり、実施の形態1と同じ符号を付与し、その説明を援用する。
図10は図9よりもさらに小型化を図った場合である。実施の形態1で説明したものと同じものについては実施の形態1と同じ符号を付与しており、その説明を援用する。
ビームスプリッタ3と検出レンズ9とを合わせたものと同様の機能を1つの集積プリズム51に集約した。集積プリズム51は、光学ガラス等で形成され、内部に斜面51a、51bを有する。斜面51aには偏光分離膜51cが形成されている。偏光分離膜51cは誘電体多層膜等で構成される。偏光分離膜51cは、往路光の第1レーザ光及び第2レーザ光を透過して光ディスク20に向かわせる。また、復路光の第1レーザ光及び第2レーザ光を反射して受光器10に向かわせる。
集積プリズム51の斜面51bには、非点収差生成素子51dが形成される。非点収差生成素子51dは、フレネルレンズ状の平面型の反射ミラーであり、円筒型、円柱型またはそれらの複合型のミラーとして検出レンズ9と同様に、第1レーザ光及び第2レーザ光を、光軸を含んで直交する2つの断面で焦点距離が異なる光に変換する働きをする。
立ち上げミラー52は、立ち上げプリズム7と同様にそれまで光ディスク20に対してほぼ平行であった光路を光ディスク20に対してほぼ直角になるように立ち上げるためのミラーである。立ち上げミラー52は往路光の第1レーザ光及び第2レーザ光をわずかに透過し、透過した光を第2受光器11に向かわせる。第2受光器は11は、立ち上げミラー52の先に配置される。
図11は本実施の形態2の光ピックアップ装置の構成図であり、図10の光学系を収めている。光ピックアップ装置53は、基台54に各種部品を配置して構成される。基台54は光ピックアップ装置53の骨組みである。基台54は基台41と形状は異なるが、基本機能は同じである。
レーザモジュール55は結合部材56に光源1、回折素子2、集積プリズム51、受光器10を固定したものである。レーザモジュール55は、基台54に結合部材56で固定される。コリメートレンズ5、1/4波長板6、立ち上げミラー52が、基台54に直接または他の取り付け用の部材を介して固定される。対物レンズ8は対物レンズ駆動装置57に取り付けられて、基台54に固定される。対物レンズ駆動装置57の装置本体には第2受光器11が固定される。また、対物レンズ駆動装置57には、第2受光器11が配置される。
光ピックアップ装置53は、光源1とコリメートレンズ5との距離が小さいため、光源1から立ち上げミラー52まで光路がほぼ一直線で構成される。そのため、折り曲げるために必要だった面積が不要となり、より小型の光ピックアップ装置53とすることができる。また、反射ミラー4を廃止できる分、安価な光ピックアップ装置53とすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3について図面を参照しながら説明する。図12は本実施の形態3の光ピックアップモジュールの構成図、図13は本実施の形態3の光ディスク装置の構成図である。光ピックアップ装置は実施の形態1で説明した光ピックアップ装置40としたが、実施の形態2で説明した光ピックアップモジュール60でも構わない。
図12において、光ディスク20を回転駆動する回転駆動部及び光ピックアップ装置40を回転駆動部に対して近づけたり離したりする移動部を備える光ディスク装置70の駆動機構を光ピックアップモジュール60という。ベース61は光ピックアップモジュール60の骨組みを成すもので、光ピックアップモジュール60はベース61に直接または間接に各構成部品が配置されて構成される。
回転駆動部は光ディスク20を載置するターンテーブル62aを有するスピンドルモータ62を備えている。スピンドルモータ62はベース61に固定される。スピンドルモータ62は光ディスク20を回転させる回転駆動力を生成する。
移動部はフィードモータ63、スクリューシャフト64、ガイド軸65、66を備えている。フィードモータ63はベース61に固定される。フィードモータ63は光ピックアップ装置40が光ディスク20の内周と外周の間を移動するために必要な回転駆動力を生成する。フィードモータ63としてステッピングモータ、DCモータなどが使用される。スクリューシャフト64はらせん状に溝が掘られており、直接または数段のギアを介してフィードモータ63に接続される。本実施の形態3ではギアを介してフィードモータ63と接続される。ガイド軸65、66はそれぞれ両端で保持部材を介してベース61に固定される。ガイド軸65、66は光ピックアップ装置40を移動自在に支持する。光ピックアップ装置40はスクリューシャフト64の溝と噛み合うガイド歯を有するラック67を備える。ラック67がスクリューシャフト64に伝達されたフィードモータ63の回転駆動力を直線駆動力に変換するために光ピックアップ装置40は光ディスク20の内周と外周の間を移動することができる。
なお、回転駆動部は光ディスク20を所定の回転数で回転させることができる構成であれば、本実施の形態3で説明した構成に限るものではない。また移動部は光ピックアップ装置40を光ディスク20の内周と外周の間の所定の位置に移動させることができる構成であれば、本実施の形態3で説明した構成に限るものではない。
光ピックアップ装置40は図8の構成にカバー46を取り付けたものである。光ピックアップ装置40は、光源1と、第1回折格子2aと、対物レンズ8とを備える。光源1は、第1の波長の第1レーザ光及び第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスク20に向けて出射する。第1回折格子2aは、中央領域31と中央領域31の一方の側に隣接する第1周辺領域32と第1周辺領域32とは反対側に隣接する第2周辺領域33とを有し、第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する。対物レンズ8は、第1回折格子2aを通過した第1レーザ光及び第2レーザ光を光ディスク20に集束する。中央領域31の回折格子位相は、第1周辺領域32の回折格子位相に対してほぼ+90度、第2周辺領域33の回折格子位相に対してほぼ−90度異ならせている。そして、中央領域31を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率は、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を通過した第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さくなるようにした。
第1回折格子2aは位相をずらした中央領域31、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を有する構成であり、光ディスク20上の第1レーザ光のスポットがトラックからずれても安定したトラッキング制御用の信号出力を得ることができる。このように第1回折格子2aは第1レーザ光を回折してトラッキング制御用の光束を生成するのに適した構成である。そして、第1回折格子2aをそのまま通過する0次光の第1レーザ光の光量は中央領域31を通過した光強度が周辺領域を通過した光強度よりも相対的に弱められている。このように第1回折格子2aを光強度分布変換素子としても用いている。このような中央部分の光強度が弱められた光強度分布を持つ光束が光ディスク20で集束すると、弱められていない光強度分布を持つ光束よりも、光ディスク20に集束するスポット径をより小さくすることができる。したがって、その小さくできる分を第2レーザ光の光強度に振り分けることができるため、光ディスク20に集束する第2レーザ光のスポットの光強度を確保することができる。
また、中央領域31と0次光の光強度を弱める部分とを一致させたことで回折された第1レーザ光の位相分布と光強度分布とが一致し、全体の系が複雑となって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明の光ピックアップ装置40は、光ディスク20に集束する短波長のレーザ光のスポット径を小さく保ったまま、光ディスク20に集束する長波長のレーザ光のスポットの光強度を確保することができる。そのため、2つの波長のレーザ光を出射する光源1を用いても短波長のレーザ光での記録や再生の特性と長波長のレーザ光での高倍速での記録とを両立することができる。
光ピックアップ装置40の対物レンズ8から出射されるレーザ光が光ディスク20に対し直角に入射するように、保持部材を構成する調整機構でガイド軸65、66の傾きを調整する。
FPC68は光ピックアップ装置40と光ディスク装置70の本体とを電気的に接続する。FPC68は光ディスク装置70の本体側から光ピックアップ装置40に対し、電力を供給し、電気信号を送るための導電線であるとともに、光ピックアップ装置40から光ディスク装置70の本体側へ電気信号を送るための導電線でもある。
カバー69は開口を有し、光ピックアップ装置40の対物レンズ8及びスピンドルモータ62のターンテーブル62aを露出させる。さらに本実施の形態3の場合、フィードモータ63、ガイド軸66の部分も露出させて、カバー69の厚さの分だけ光ピックアップモジュール60の厚さが薄くなるようにしている。
図13において、筐体71は上部筐体71aと下部筐体71bを組み合わせてネジなどを用いて互いに固定して構成されている。トレイ72は筐体71に出没自在に設けられている。トレイ72は光ピックアップモジュール60を下面側から配置する。トレイ72は開口を有し、対物レンズ8及びスピンドルモータ62のターンテーブル62a、カバー69の少なくとも一部を露出させる。ベゼル73はトレイ72の前端面に設けられて、トレイ72が筐体71内に収納された時にトレイ72の出没口を塞ぐように構成されている。ベゼル73にはイジェクトスイッチ74が設けられ、イジェクトスイッチ74を押すことで、筐体71とトレイ72との係合が解除され、トレイ72は筐体71に対し出没が可能な状態となる。レール75はそれぞれトレイ72の両側部及び筐体71の双方に摺動自在に取り付けられる。筐体71内部やトレイ72内部には図示していない回路基板があり、信号処理系のICや電源回路などが搭載されている。外部コネクタ76はコンピュータ等の電子機器に設けられた電源/信号ラインと接続される。そして、外部コネクタ76を介して光ディスク装置70内に電力を供給したり、あるいは外部からの電気信号を光ディスク装置70内に導いたり、あるいは光ディスク装置70で生成された電気信号を電子機器などに送出する。
光ピックアップ装置40の制御の流れを説明する。図14は本実施の形態3の光ディスク装置における光ピックアップ装置の制御の流れを示す図である。光源1から出射された第1の波長の第1レーザ光は回折素子2の第1回折格子2aでトラッキング制御に用いられる0次光及び±1次光に分離される。第2の波長の第2レーザ光は、第2回折格子2bでトラッキング制御に用いられる0次光及び±1次光に分離される。第1レーザ光及び第2レーザ光は、ビームスプリッタ3、反射ミラー4、コリメートレンズ5、1/4波長板6、立ち上げプリズム7、対物レンズ8を経由して光ディスク20に入射する。また、一部は、ビームスプリッタ3を経由して第2受光器11に入射する。光ディスク20で反射された第1レーザ光及び第2レーザ光は、対物レンズ8、立ち上げプリズム7、1/4波長板6、コリメートレンズ5、反射ミラー4、ビームスプリッタ3、検出レンズ9を経由して受光器10に入射する。第1レーザ光及び第2レーザ光は、検出レンズ9でフォーカス制御に用いられる光軸を含んで直交する2つの断面で焦点距離が異なる光に変換される。受光器10に入射した第1レーザ光は、DVD用フォーカス制御用、DVD用トラッキング制御用の電気信号に変換される。また、第2レーザ光は、CD用フォーカス制御用、CD用トラッキング制御用の電気信号に変換される。電気信号は、光ディスク装置本体70aの図示していない回路基板にあるアナログ信号処理部70bに送られる。
アナログ信号処理部70bは入力された信号に演算・帯域処理を行い、サーボ処理部70cに出力する。サーボ処理部70cはアナログ信号処理部70bからの信号を基にフォーカス制御に用いられるフォーカスエラー信号FES及びトラッキング制御に用いられるトラッキングエラー信号TESを生成してモータ駆動部70dに出力する。モータ駆動部70dは入力されたフォーカスエラー信号FES及びトラッキングエラー信号TESを基に対物レンズ8を搭載する対物レンズ駆動装置44を駆動する電流を生成する。これにより光ディスク20に集光した光束の焦点のずれ及びトラックに対するずれが極小になるように制御される。
また、コントローラ70eにはアナログ信号処理部70b、サーボ処理部70c、モータ駆動部70d、ディジタル信号処理部70fの各部から送られる信号が入力される。コントローラ70eはこれらの信号の演算処理等を行い、この演算処理の結果(信号)を各部に送出し、各部にて駆動、処理を実行させることで各部の制御を行う。
一方、第2受光器11は光源1から出射された第1レーザ光及び第2レーザ光の一部を受け、光量を電気信号に変換し出力する。図14に示すように、この電気信号は光ディスク装置本体70aのアナログ信号処理部70bに入る。アナログ信号処理部70bは入力された信号に演算・帯域処理を行い、ディジタル信号処理部70fに出力する。ディジタル信号処理部70fはアナログ信号処理部70bからの信号とホスト80から送られたデータを基にレーザ変調信号を生成してレーザ駆動部70gに送る。光ピックアップ装置40本体の光源1の近傍に配置された光源駆動電源1aはレーザ駆動部70gからの信号を受けて光源1に駆動電流を供給する。これにより光ディスク20に集束したスポットの光強度が一定になるように制御される。
以上のように、本発明の光ピックアップ装置及び光ディスク装置は、2つの波長のレーザ光を出射する光源を用いても光ディスクに集束する短波長のレーザ光のスポット径と長波長のレーザ光のスポットの光強度とを両立することができる。そのため、パーソナルコンピュータ、ノートブック型コンピュータ等の電子機器に好ましく搭載される。
(a)本実施の形態1の光ピックアップ装置の光学系の構成図、(b)本実施の形態1の回折格子構成と第1レーザ光の光強度分布を示した図 本実施の形態1の回折素子の構成図 (a)本実施の形態1の第1回折格子の構成図、(b)第1回折格子の上面図、(c)第1回折格子のX−X断面図 回折格子に入射する光の波長と光吸収率及び屈折率との関係を示す図 波長と本実施の形態1の第1回折格子を構成する部材の屈折率との関係を示す図 本実施の形態1の第1回折格子の回折格子深さと回折効率との関係を示す図 本実施の形態1の第1回折格子と光ディスク上のスポットと受光器の受光部の関係を示す図 本実施の形態1の光ピックアップ装置の外観図 本実施の形態2の光ピックアップ装置の光学系の例の構成図 本実施の形態2の光ピックアップ装置の光学系の別の例の構成図 本実施の形態2の光ピックアップ装置の構成図 本実施の形態3の光ピックアップモジュールの構成図 本実施の形態3の光ディスク装置の構成図 本実施の形態3の光ディスク装置における光ピックアップ装置の制御の流れを示す図 従来の光ピックアップ装置の光学系を示す図
符号の説明
1 光源
1a 光源駆動電源
2 回折素子
2a 第1回折格子
2b 第2回折格子
2c 透明基板
2d 第2透明基板
2e 凹凸部材
2f 充填部材
3 ビームスプリッタ
3a 斜面
3b 偏光分離膜
4 反射ミラー
5 コリメートレンズ
6 1/4波長板
7 立ち上げプリズム
8 対物レンズ
9 検出レンズ
10 受光器
10a、10b、10c 受光部
11 第2受光器
20 光ディスク
20a トラック
21 入射光
22 0次光
23 +1次光
24 −1次光
25、26、27 スポット
31 中央領域
32 第1周辺領域
33 第2周辺領域
40 光ピックアップ装置
41 基台
42 レーザモジュール
43 結合部材
44 対物レンズ駆動装置
45、46 カバー
51 集積プリズム
51a、51b 斜面
51c 偏光分離膜
51d 非点収差生成素子
52 立ち上げミラー
53 光ピックアップ装置
54 基台
55 レーザモジュール
56 結合部材
57 対物レンズ駆動装置
60 光ピックアップモジュール
61 ベース
62 スピンドルモータ
62a ターンテーブル
63 フィードモータ
64 スクリューシャフト
65、66 ガイド軸
67 ラック
68 FPC
69 カバー
70 光ディスク装置
70a 光ディスク装置本体
70b アナログ信号処理部
70c サーボ処理部
70d モータ駆動部
70e コントローラ
70f ディジタル信号処理部
70g レーザ駆動部
71 筐体
71a 上部筐体
71b 下部筐体
72 トレイ
73 ベゼル
74 イジュクトスイッチ
75 レール
76 外部コネクタ
80 ホスト

Claims (20)

  1. 第1の波長の第1レーザ光及び前記第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスクに向けて出射する光源と、
    中央領域と前記中央領域の一方の側に隣接する第1周辺領域と前記第1周辺領域とは反対側に隣接する第2周辺領域とを有し前記第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する回折格子と、
    前記回折格子を通過した前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光を前記光ディスクに集束する対物レンズと、を備え、
    前記中央領域の回折格子位相は、前記第1周辺領域の回折格子位相に対してほぼ+90度、前記第2周辺領域の回折格子位相に対してほぼ−90度異なり、
    前記中央領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率は、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さいことを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記中央領域の回折格子深さは、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の回折格子深さとは異なることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記中央領域の回折格子深さは、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の回折格子深さよりも大きいことを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記回折格子は、前記回折格子を通過する前記第1レーザ光の0次光の中央部分の光強度を周辺部分よりも減じる光強度分布変換素子を兼ねたことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記回折格子は、縞状にほぼ平行に配列される凹凸を形成する凹凸部材と前記凹凸部材が形成する凹凸を充填する充填部材とを備えて構成され、前記第1の波長において前記凹凸部材の屈折率と前記充填部材の屈折率には差があり、前記第2の波長において前記凹凸部材の屈折率と前記充填部材の屈折率とはほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  6. 前記凹凸部材または前記充填部材の少なくとも一方は、前記第1の波長及び第2の波長以外の所定の波長域に光吸収を持つことを特徴とする請求項5記載の光ピックアップ装置。
  7. 前記光吸収を持つ前記凹凸部材または前記充填部材は、前記所定の波長域に光吸収を持つ有機物を含有することを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ装置。
  8. 前記回折格子を形成する透明基板と、第2の凹凸を形成する第2凹凸部材と前記第2凹凸部材が形成する第2の凹凸を充填する第2充填部材とを有する第2回折格子と、前記第2回折格子を形成する第2透明基板と、を備え、前記透明基板と前記第2透明基板とで前記回折格子及び前記第2回折格子を挟んだことを特徴とする請求項5記載の光ピックアップ装置。
  9. 前記第1の波長において前記第2凹凸部材の屈折率と前記第2充填部材の屈折率はほぼ等しく、前記第2の波長において前記第2凹凸部材の屈折率と前記第2充填部材の屈折率には差があることを特徴とする請求項8記載の光ピックアップ装置。
  10. 前記第2凹凸部材または前記第2充填部材の少なくとも一方は、前記第1の波長及び第2の波長以外の第2の波長域に光吸収を持つことを特徴とする請求項9記載の光ピックアップ装置。
  11. 前記第2の波長域に光吸収を持つ前記第2凹凸部材または前記第2充填部材は、前記第2の波長域に光吸収を持つ第2有機物を含有することを特徴とする請求項10記載の光ピックアップ装置。
  12. 前記中央領域を通過した0次光の回折効率は、ほぼ0%以上80%以下であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  13. 前記中央領域と前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域との境界は、前記レーザ光が前記光ディスクに集束する位置における前記光ディスクの円周の接線方向に対応する方向に延びることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  14. 前記中央領域、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の回折格子延伸方向は、前記レーザ光が前記光ディスクに集束する位置における前記光ディスクの半径方向に対応する方向であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  15. 前記中央領域の幅は前記第1レーザ光が入射する幅に対し、前記光ディスクの半径方向に対応する方向で10%以上40%以下であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  16. 前記第1レーザ光はDVD用のレーザ光であり、前記第2レーザ光はCD用のレーザ光であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  17. 前記第1レーザ光は、前記回折格子で0次光及び±1次光に分離され且つ前記第2回折格子でほぼそのまま通過して前記光ディスクに向かい、前記第2レーザ光は、前記回折格子でほぼそのまま通過し且つ前記第2回折格子で0次光及び±1次光に分離されて前記光ディスクに向かうことを特徴とする請求項9記載の光ピックアップ装置。
  18. 前記光源から出射された発散光の前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光をほぼ平行光に変換するコリメートレンズを備え、前記光源と前記コリメートレンズとの間に前記回折格子を配置し、前記回折格子は前記第2レーザ光については透過させ、また、前記コリメートレンズは、前記光ディスクに集束する前記第2レーザ光のスポットの光強度が前記光ディスクに情報を記録するために必要な光強度以上となるように、前記光源に近づけて配置されていることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  19. 前記回折格子の前記中央領域、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域を通過した前記第2レーザ光の0次光の回折効率は、ほぼ100%であることを特徴とする請求項18記載の光ピックアップ装置。
  20. 第1の波長の第1レーザ光及び前記第1の波長よりも長い第2の波長の第2レーザ光を光ディスクに向けて出射する光源と、
    中央領域と前記中央領域の一方の側に隣接する第1周辺領域と前記第1周辺領域とは反対側に隣接する第2周辺領域とを有し前記第1レーザ光を回折して0次光及び±1次光に分離する回折格子と、
    前記回折格子から出射された前記第1レーザ光及び前記第2レーザ光をほぼ平行光に変換するコリメートレンズと、
    前記平行光を前記光ディスクに集束する光に変換する対物レンズと、を備え、
    前記中央領域の回折格子位相は、前記第1周辺領域の回折格子位相に対してほぼ+90度、前記第2周辺領域の回折格子位相に対してほぼ−90度異なり、
    前記中央領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率は、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域を通過した前記第1レーザ光の0次光の回折効率よりも小さいことを特徴とする光ディスク装置。
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