JP2008122771A - 像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体を構成する整磁材料が有するキュリー温度により紙幅外領域の過昇温を抑制する場合に、キュリー温度を定着温度の近傍に設定することでウォームアップタイムが長くなる不都合を回避する。
【解決手段】整磁材料からなる加熱ローラ22の内部に、整磁材料からなる磁束迂回部材51と導電体からなる磁気遮蔽部材52とを配置し、磁束迂回部材のキュリー温度が、ウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度より高く、且つ幅狭の記録紙の連続通紙時に紙幅外領域が異常温度に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度より低く設定され、ウォームアップ時に定着温度に到達するまで磁束迂回部材が磁性を保持して磁束迂回部材を通る新たな磁路が形成され、幅狭の記録紙の連続通紙時に紙幅外領域が異常温度に到達する前に磁束迂回部材が磁性を略消失して磁気遮蔽部材により磁路が遮断されるようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式のプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、及び複合機などの画像形成装置に用いられる像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特に、電磁誘導加熱方式によって未定着画像を記録材に加熱定着する定着装置に適した像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真方式あるいは静電記録方式により記録紙に画像を形成する画像形成装置(プリンタ、ファクシミリ装置、複写機、及び複合機など)では、記録紙上に形成された未定着のトナー像を熱と圧力により記録紙に定着させる定着装置が設けられている。この定着装置では、近年、加熱ローラなどの加熱媒体を電磁誘導作用により生じるジュール熱で加熱する電磁誘導加熱方式によるものが省エネルギーの観点から注目されている。
また、定着装置においてウォームアップ時間の短縮や省エネルギーを高度に達成するためには、効率的な発熱手段に加えて、定着装置の熱容量、特に記録紙上の未定着トナー像を加熱する加熱体や、その加熱体に所要の熱を供給する発熱体の熱容量を極力小さくすることが望ましく、このような定着装置の低熱容量化に関する種々の技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、定着装置の低熱容量化には新たな課題が発生する。すなわち、低熱容量化を図ることにより、発熱量や放熱量の変化に対して敏感に反応して温度変化が顕著になり、また内部の熱移動も抑制されるために温度分布が不均一になり、全体を均一に且つ安定した温度に制御することが困難になる。
図11は、画像形成装置に設けられる定着装置を示す模式図である。ここでは、加熱ベルト111が、励磁装置112により加熱される加熱ローラ113と定着ローラ114とに巻き掛けられ、定着ローラ114に対する加熱ベルト111の巻き掛け部分と加圧ローラ115とによるニップ部に記録紙Sが送り込まれ、熱及び圧力の作用で記録紙S上のトナーが定着される。
画像形成装置では各種の寸法の記録紙が用いられ、例えば記録紙の最大通紙幅をA3サイズの短辺の寸法とし、これより小寸な幅の記録紙、例えばA4サイズの記録紙は幅方向の中央部を通過する。一方、励磁装置112は、加熱ベルト111の最大通紙幅に対応する最大加熱幅内で加熱ベルト111を略均一に加熱する。
ここで、最大通紙幅より小さいサイズの記録紙が連続通紙されると、その記録紙が通過する紙幅領域の外側の紙幅外領域では記録紙との接触により熱が奪われないため、紙幅領域との間の温度差が徐々に拡大し、紙幅領域が温度制御により所定の定着温度に保持されるのに対して、紙幅外領域は定着温度を超えて上昇する過昇温が発生する。この現象は加熱ベルト111や加熱ローラ113の熱容量が小さいほど顕著な問題となる。
この紙幅外領域の過昇温は、軸受け、加熱ベルト、及び加圧ローラなどの部品の損傷や装置の寿命低下を招き、またホットオフセットなどの定着トラブルの問題も発生することから、避けることが望ましい。
そこで、このような紙幅外領域の過昇温の問題を解決するため、キュリー温度を超えると磁性が略消失する整磁材料の有する特性により自己温度制御を行う技術の利用が考えられる。例えば発熱体や磁性体コアを整磁材料で形成してそのキュリー温度により自己温度制御を行う技術が知られており(特許文献2・3参照)、この技術を利用し、過昇温の問題が生じる温度より低い温度に整磁材料のキュリー温度を設定することにより、過昇温になる前に発熱体の発熱を抑制して、紙幅外領域の過昇温を自動的に抑制することができる。
また、整磁材料からなる磁性体コアを加熱するヒーターにより発熱体に対する磁束の鎖交を積極的に制御して異常昇温を防止する技術も知られている(特許文献4参照)
特開2002−82549号公報 特開2000−35724号公報 特開2001−318545号公報 特開2006−119494号公報
しかるに、前記のように整磁材料が有するキュリー温度による自己温度制御を記録材幅外領域の過昇温抑制に利用するにあたっては、部品の損傷や定着トラブルなどの問題を確実に防止するため、整磁材料のキュリー温度を定着温度の近くまで低く設定することが望ましい。
図12は、整磁材料の比透磁率の温度特性を示している。整磁材料の磁性は、キュリー温度に到達するのに応じて急激に低下するわけではなく、キュリー温度に近づくにつれて徐々に低下していき、この磁性の低下に応じて漏れ磁束が徐々に増加する。
このため、前記のように整磁材料のキュリー温度を定着温度に近づけると、ウォームアップ初期では整磁材料が十分な磁性を有するために効率良く発熱するが、定着温度の近傍のキュリー温度に近づくウォームアップ後期では整磁材料の磁性が低下し、これに応じて漏れ磁束が増大して発熱量が減少するため、ウォームアップタイムが長くなるという問題が発生する。
このウォームアップタイムの長期化の問題は、前記の自己温度制御による従来技術では、発熱体及び磁性体コアのいずれでキュリー温度を設定しても同様に発生するものであり、有効な対策が望まれる。一方、前記のヒーター制御による従来技術では、ヒーターが別途必要となることから、自己温度制御に比較して構成が複雑化して製造コストが嵩む難点があり、望ましくない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、発熱体を構成する整磁材料が有するキュリー温度により記録材幅外領域の過昇温を抑制する場合に、キュリー温度を定着温度の近傍に設定することによりウォームアップタイムが長くなる不都合を回避することができるように構成された像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明の像加熱装置は、整磁材料を含む発熱体と、この発熱体を電磁誘導により発熱させる励磁手段と、前記発熱体に対して所要の空隙をおいて前記励磁手段と相反する側に設けられた、整磁材料を含む磁束迂回部材と、この磁束迂回部材を挟んで前記発熱体と相反する側に設けられた、導電体からなる磁気遮蔽部材とを有し、前記磁束迂回部材のキュリー温度が、ウォームアップ時において定着温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より高く、且つ幅狭の記録材に対する連続処理時において記録材幅外領域が異常温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より低く設定され、ウォームアップ時に、定着温度状態に到達するまで前記磁束迂回部材が磁性を保持して当該磁束迂回部材の内部を通過する新たな磁路が形成され、幅狭の記録材に対する連続処理時に、記録材幅外領域が異常温度状態に到達する前に前記磁束迂回部材が磁性を略消失して前記磁気遮蔽部材により磁路が遮断されるようにした構成とする。
本発明によれば、幅狭の記録材に対する像加熱処理が連続して継続された際に生じる記録材幅外領域の過昇温を確実に防止することができるため、過昇温による部品の損傷や定着トラブルの発生などの問題を回避する利点が得られ、しかもウォームアップタイムを短縮化することができるため、ユーザの利便性を高める上で大きな効果が得られる。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、像加熱装置において、整磁材料を含む発熱体と、この発熱体を電磁誘導により発熱させる励磁手段と、前記発熱体に対して所要の空隙をおいて前記励磁手段と相反する側に設けられた、整磁材料を含む磁束迂回部材と、この磁束迂回部材を挟んで前記発熱体と相反する側に設けられた、導電体からなる磁気遮蔽部材とを有し、前記磁束迂回部材のキュリー温度が、ウォームアップ時において定着温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より高く、且つ幅狭の記録材に対する連続処理時において記録材幅外領域が異常温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より低く設定され、ウォームアップ時に、定着温度状態に到達するまで前記磁束迂回部材が磁性を保持して当該磁束迂回部材の内部を通過する新たな磁路が形成され、幅狭の記録材に対する連続処理時に、記録材幅外領域が異常温度状態に到達する前に前記磁束迂回部材が磁性を略消失して前記磁気遮蔽部材により磁路が遮断されるようにした構成とする。
この構成によれば、ウォームアップ時に、発熱体が昇温して、所定の定着温度の近傍に設定されたキュリー温度に近づくのに応じて、発熱体の磁性が低下して発熱体からの漏れ磁束が増加した場合に、その漏れ磁束を磁束迂回部材が回収して新たな磁路を形成するため、全体として漏れ磁束が抑制され、これにより励磁手段での電力損失を小さく抑えることができるため、ウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
この場合、磁束迂回部材のキュリー温度がウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度より高く設定されているため、少なくともウォームアップの間は磁束迂回部材が自己のキュリー温度に到達することはなく、相応の磁性を有するため、磁束迂回部材を通る新たな磁路が形成される。
そして、発熱体が自己のキュリー温度に到達して磁性を略消失しても、磁束迂回部材が磁性を略消失しない限り、それにより形成される磁路により発熱体が発熱し続けるが、磁束迂回部材のキュリー温度が、異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度より低い値に設定されているため、幅狭の記録材に対する像加熱処理が連続して継続された場合に、発熱体の記録材幅外領域が昇温してキュリー温度に到達し、さらに異常温度状態に近づくと、発熱体及び磁束迂回部材が記録材幅外領域において共に磁性を略消失して磁気遮蔽部材により磁路が遮断され、これにより発熱体の発熱が抑制される。このため、記録材幅外領域が異常温度状態より低い温度状態に抑えられ、記録材幅外領域の過昇温を防止することができる。
ここで、磁束迂回部材のキュリー温度が、ウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度より低い値に設定されていると、ウォームアップが終了する前に磁束迂回部材の磁性が略消失して、発熱体で発生する漏れ磁束を磁束迂回部材により回収することができなくなり、ウォームアップタイムを短縮する効果を得ることができない。
さらに磁束迂回部材がキュリー温度より低い温度状態でもキュリー温度に近づくのに応じて磁性が低下して漏れ磁束が増加するため、磁束迂回部材のキュリー温度とウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度との間に十分な余裕があることが望ましい。両者に余裕がないと、ウォームアップが終了する前に磁束迂回部材の磁性が低下して、発熱体で発生する漏れ磁束を磁束迂回部材により十分に回収することができなくなり、ウォームアップタイムを短縮する効果を十分に得ることができない。
また、磁束迂回部材のキュリー温度が、異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度より高い値に設定されていると、幅狭の記録材に対する連続処理時に、記録材幅外領域が異常温度状態に到達しても、磁束迂回部材の磁性が略消失せず、磁束迂回部材により形成される磁路により発熱体が発熱し続けて、部品の損傷や定着トラブルの発生などの問題が生じる。
さらに過昇温による問題を確実に防止するため、磁束迂回部材のキュリー温度と、幅狭の記録材に対する連続処理時において記録材幅外領域が異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度との間に十分な余裕があることが望ましい。
なお、磁束迂回部材は、ウォームアップ時に発熱体からの輻射熱などにより、発熱体と同様に昇温するが、発熱体と磁束迂回部材との間に空隙があるため、発熱体より緩慢に昇温して発熱体よりも低い温度状態となる。このため、ウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度は、記録材幅外領域が異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度より低くなり、この間の温度に磁束迂回部材のキュリー温度を設定することで、磁束迂回部材による漏れ磁束回収の機能と磁気遮蔽部材による磁路遮断の機能とを両立させることができる。
また、磁束迂回部材のキュリー温度の上限を規定する記録材幅外領域の異常温度状態は、装置内の軸受け、加熱ベルト、及び加圧ローラなどの部品の損傷や、ホットオフセットなどの定着トラブルなどの問題が発生する温度状態であり、これらの過昇温による問題が発生する特定の部位の温度を基準に設定すれば良く、この他に、雰囲気温度を基準にしたり、あるいは各種の温度を総合的に判断して設定することも可能である。
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記磁束迂回部材のキュリー温度が、40℃から120℃までの範囲内で設定された構成とする。
これによると、ウォームアップ終了時点での磁束迂回部材の予測温度が通常30℃となることから10℃の余裕をもって磁束迂回部材のキュリー温度を高く設定することで、ウォームアップが終了する前に磁束迂回部材の磁性が大幅に低下することを避け、ウォームアップタイム短縮の効果を得ることができる。
特に整磁材料では通常キュリー温度より30℃〜40℃低い温度で磁性の低下による漏れ磁束の発生が現れるため、この温度差を考慮して磁束迂回部材のキュリー温度を60℃〜70℃以上に設定すると、ウォームアップの間の磁束迂回部材の磁性低下を確実に防止して、ウォームアップタイムを最大限に短縮することができる。
また、過昇温による問題が発生する異常温度が通常220℃となり、これにより低い200℃を限界温度とすると、幅狭の記録材に対する連続処理時における記録材幅外領域が限界温度に到達した時点での磁束迂回部材の予測温度が120℃となることから、これより低い温度に磁束迂回部材のキュリー温度を設定することで、記録材幅外領域の過昇温を防止することができる。
なお、この磁束迂回部材のキュリー温度の下限及び上限の値は、像加熱装置の構成、すなわち各部の形状や寸法や、採用した整磁材料の特性などに応じて変動するものであり、本発明は前記の温度範囲に限定されるものではない。
前記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1の発明において、前記磁束迂回部材が、複数の分割体からなり、この複数の分割体が、互いに電気的に絶縁された状態で前記発熱体の長手方向に配列された構成とする。
この構成によれば、磁束迂回部材が複数に分割されて電気的に絶縁されているため、漏れ磁束が磁束迂回部材の内部を通過しても、磁束迂回部材内での渦電流の発生を抑えることができ、これにより磁束迂回部材の発熱が抑制され、励磁手段に印加される電力の一部が磁束迂回部材の発熱により消費されることを避け、投入電力を発熱体の発熱に効率良く使用することができ、ウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第1の発明において、前記磁束迂回部材が、整磁フェライトで形成された構成とする。
この構成によれば、鉄、ニッケル、クロムなどからなる整磁合金のみで形成された磁束迂回部材に比較して、体積抵抗率が5ケタ以上高くなり、磁束迂回部材の電気抵抗を大幅に増大することができるため、渦電流の発生を抑えることができ、これにより磁束迂回部材の発熱が抑制され、励磁手段に印加される電力の一部が磁束迂回部材の発熱により消費されることを避け、投入電力を発熱体の発熱に効率良く使用することができ、ウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
前記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記第1の発明において、前記発熱体が、円筒状の加熱ローラであり、前記励磁手段が、前記加熱ローラの外部に配置され、前記磁束迂回部材が、前記励磁手段に対向して前記加熱ローラの内部に配置され、前記磁気遮蔽部材が、前記励磁手段に対して前記磁束迂回部材の背面側に位置するように前記加熱ローラの内部に配置された構成とする。
前記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記第5の発明において、前記磁束迂回部材が、前記励磁手段の周方向の略中心位置に配置された磁性体コアに対向する側が凸となるハット形の断面形状をなす構成とする。
この構成によれば、加熱ローラの内周面に対して所要の空隙を保持しつつ、磁束迂回部材を磁性体コアに近づけて磁気結合を高めることができるため、漏れ磁束を吸収する効率を向上させることができる。
前記課題を解決するためになされた第7の発明は、前記第1の発明において、前記発熱体が、円筒状の加熱ローラであり、前記励磁手段が、前記加熱ローラの内部に配置され、前記磁束迂回部材が、前記励磁手段に対向して前記加熱ローラの外部に配置され、前記磁気遮蔽部材が、前記励磁手段に対して前記磁束迂回部材の背面側に位置するように前記加熱ローラの外部に配置された構成とする。
前記課題を解決するためになされた第8の発明は、画像形成装置において、前記第1〜第7の発明に係る像加熱装置を備えた構成とする。
この構成によれば、幅狭の記録材に対する像加熱処理が連続して継続された際に生じる記録材幅外領域の過昇温を確実に防止することができるため、過昇温による部品の損傷や定着トラブルの発生を回避することができ、しかもウォームアップタイムを短縮化することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成または機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の全体構成を示す模式的な断面図である。この画像形成装置は、図示しない画像読取装置やPCなどのホスト装置から入力される画像データに基づいて所要の画像をトナーで記録紙(記録材)S上に形成する画像形成部1と、ここで記録紙S上に形成されたトナー像を熱及び圧力で定着させる定着装置(像加熱装置)2とを有し、給紙装置3の記録紙Sが給紙ローラ4からレジストローラ5を介して画像形成部1に供給されて画像形成処理が行われ、ついで記録紙ガイド6に沿って定着装置2に搬送されて定着処理が行われた後、排紙トレイ7上に排出される。
画像形成部1では、感光体ドラム11が図示しないモータにより矢印方向に所定の周速度で回転駆動され、帯電器12により一様に帯電された感光体ドラム11に対してレーザービームスキャナ13からレーザ光が照射されて感光体ドラム11の像形成面上に静電潜像が形成された後、現像器14内のトナーが現像ローラ15を介して感光体ドラム11に供給されることでその像形成面上の静電潜像が顕像化され、これにより形成されたトナー像が転写ローラ16により記録紙に転写される。またクリーニング装置17により感光体ドラム11の表面の残留物が除去される。
図2は、図1に示した定着装置2を詳細に示す断面図である。この定着装置2は、記録紙S上のトナー像を熱定着させる加熱ベルト21と、この加熱ベルト21が巻き掛けられる加熱ローラ(発熱体)22及び定着ローラ23と、この定着ローラ23に対する加熱ベルト21の巻き掛け部分に対向配置されて記録紙Sを加圧する加圧ローラ24と、加熱ローラ22に対する加熱ベルト21の巻き掛け部分に対向配置されて電磁誘導作用(IH方式)により加熱ローラ22を発熱させる励磁装置25とを有しており、定着ローラ23に対する加熱ベルト21の巻き掛け部分と加圧ローラ24とによるニップ部に記録紙Sが送り込まれ、熱及び圧力の作用で記録紙S上のトナーが記録紙Sに定着される。
加熱ローラ22及び加圧ローラ24は、図示しないフレーム材に回転自在に軸支されている。定着ローラ23は、図示しないフレーム材に設けられた支軸27により揺動自在に支持された揺動アーム28に回転自在に軸支されており、この揺動アーム28は、遊端部に係止されたばね29により下向きに付勢されている。これにより定着ローラ23が加熱ベルト21を介して加圧ローラ24に圧接し、また加熱ベルト21に所要の張力が付与される。
また加圧ローラ24は図示しない駆動源により矢印方向に回転駆動され、これに連動して加熱ベルト21が矢印方向に走行動作し、同時に加熱ローラ22及び定着ローラ23が矢印方向に回転動作する。
励磁装置25は、加熱ローラ22に鎖交する交番磁束を発生する励磁コイル(励磁手段)31と、交番磁束が加熱ローラ22に鎖交するように磁路を形成する磁性体コア32とを有している。励磁コイル31には、図示しない励磁回路から励磁電流が印加され、これにより磁性体コア32及び加熱ローラ22を通過する交流磁界が発生し、加熱ローラ22に渦電流が発生して加熱ローラ22が発熱する。
励磁コイル31は、細い導線を束ねたリッツ線を巻回して形成され、加熱ローラ22を中心にした略半円形の断面領域に渡って、加熱ローラ22に対する加熱ベルト21の巻き掛け部分の外周面を覆うようにコイルガイド33に保持されている。このコイルガイド33は、電磁誘導作用による発熱を防止するためにPEEKなどの耐熱性樹脂で形成されている。
磁性体コア32は、フェライトやパーマロイなどの高透磁率の材料で形成され、周方向の中心に位置し、加熱ローラ22の軸方向に延在するセンタコア35と、周方向の端部に位置し、加熱ローラ22の軸方向に延在するサイドコア36と、周方向に延在し、センタコア35及びサイドコア36を橋絡するアーチコア37とを有している。
コイルガイド33には、励磁コイル31及び磁性体コア32を覆うようにハウジング39が取り付けられており、このハウジング39は、励磁コイル31が発生する交番磁界を遮断可能なアルミニウム合金などの磁気遮蔽材料で形成されている。
加熱ローラ22は、Fe−Ni系などの整磁金属で形成されている。この整磁金属は、組成、すなわち各金属の配合割合を変更することで所要のキュリー温度に設定することができ、ここでは、加熱ローラ22がキュリー温度に近づくと発熱量が減少して紙幅外領域の過昇温を自動的に抑制する自己温度制御が行われるように、加熱ローラ22のキュリー温度が定着温度(180℃)の近傍(200℃)に設定されている。
加熱ベルト21は、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂からなるベルト材で構成され、非磁性として自ら発熱せず、加熱ローラ22からの熱伝導により昇温するものであり、熱容量を低減するために薄肉に形成されている。加熱ベルト21の表面には、離型性を付与するために、フッ素樹脂などの離型性の良好な高分子材料からなる離型層が被覆形成されている。
また、この加熱ベルト21は、磁性を付与することで励磁装置25による電磁誘導作用により自ら発熱する発熱体として構成することも可能であり、この場合、鉄やニッケルなどの磁性を有する金属またはそれらの合金を含む発熱層が設けられる。
定着ローラ23は、芯金41の周囲に、表面が低硬度で低熱伝導性の弾性に富むシリコーンゴムなどの耐熱性高分子材料の発泡体からなる弾性層42を設けてなっている。
加圧ローラ24は、芯金44の周囲に、シリコーンゴムなどの耐熱性高分子材料からなる弾性層45を設けてなるものであり、その表面には耐摩耗性や離型性を高めるためにPFAなどの耐熱性高分子材料が被覆されている。なお、この加圧ローラ24は、放熱による温度の低下を抑制するため、熱伝導性の小さい材料によって構成されることが望ましい。
またこの定着装置2には、加熱ベルト21に接触してその温度を検出するサーミスタからなる温度センサ47が設けられている。この温度センサ47は、加熱ベルト21における加熱ローラ22より下流側で且つ定着ローラ23の上流側の温度、すなわち加熱ベルト21の最高温度を検出する。
また温度センサ47は、加熱ベルト21の幅方向の中心位置に配置され、加熱ベルト21の幅方向の中心部の温度を検出する。なお、この他に、温度センサを加熱ベルト21の幅方向の端部近傍に配置して、紙幅外領域(図11参照)の温度を検出するようにしても良い。
温度センサ47の出力信号は、図示しない制御装置に入力され、この制御装置では、温度センサ47による検出温度に基づいて、加熱ベルト21の温度が所定の定着温度域に保持されるように、励磁回路を介して励磁コイル31に供給する電力を調整して加熱ローラ22の発熱量を制御する。
この定着装置2の各部の側方から見た位置関係は、図11に示した例と略同様であり、励磁装置2が、加熱ベルト21の最大通紙幅に対応する最大加熱幅内で加熱ローラ22を略均一に加熱する。なお、より詳細に説明すると、軸方向の端部からの放熱を考慮して端部側で発熱量が僅かに大きくなるように設定されている。
図3は、図2に示した定着装置2の要部を詳細に示す模式的な断面図である。加熱ローラ22の内部には、ウォームアップ時に加熱ローラ22がキュリー温度に近づくことで発生する漏れ磁束を吸収して新たな磁路を形成する磁束迂回部材51と、幅狭の記録紙の連続通紙時に紙幅外領域で過昇温が発生する前に加熱ローラ22を通る磁路を遮断する磁気遮蔽部材52とが設けられている。この磁束迂回部材51及び磁気遮蔽部材52は、加熱ベルト21の最大加熱幅(図11参照)に対応する長さを有し、加熱ローラ22を軸支する固定軸53に支持されている。
磁束迂回部材51は、中板部55と、その両側縁部から直交する向きに延出された1対の側板部56とを有し、略コ字形の断面形状をなし、加熱ローラ22の内周面に対して所要の空隙をおき、中板部55を励磁コイル31の中心に配置された磁性体コア32のセンタコア35に対向させて配置されている。なお、磁束迂回部材51は、この他に、略U字形、あるいは円弧状の断面形状なども可能である。
この磁束迂回部材51は、キュリー温度以上になると磁性が略消失する、Fe−Ni系やFe−Ni−Cr系などの整磁合金で形成されており、そのキュリー温度は、ウォームアップ時において定着温度状態に到達した時点(ウォームアップ終了時点)での磁束迂回部材51の予測温度より高く、且つ幅狭の記録紙に対する連続通紙時において紙幅外領域が異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材51の予測温度より低く設定されている。これについては後に詳述する。
磁気遮蔽部材52は、コ字形の断面形状をなす基部57と、その両側縁部から斜めに延出された1対のフランジ部58とを有し、ハット形の断面形状をなしており、励磁コイル31から見て磁束迂回部材51の背面側に配置され、励磁コイル31側を磁束迂回部材51で覆われている。この磁気遮蔽部材52は、銅やアルミなどの低透磁率の電気導体で形成されている。
次に、ウォームアップ時の電力損失を抑制する作用について説明する。
本定着装置2では、励磁コイル31に印加される励磁電流(交流)により交番磁界が発生し、このとき、図3(A)に示すように、励磁コイル31の周囲にある磁性体コア32及び加熱ローラ22の内部を通過する磁路61が形成され、加熱ローラ22に鎖交する交番磁束により加熱ローラ22に渦電流が発生して加熱ローラ22が発熱する。
この図3(A)に示す状態は、ウォームアップを開始した後、加熱ローラ22の磁性が低下し始める温度(図12参照)に到達するまで維持されるが、その後、加熱ローラ22がキュリー温度の近傍に設定された定着温度に近づくのに応じて、加熱ローラ22の磁性が徐々に低下して漏れ磁束が増大する。
一方、磁束迂回部材51のキュリー温度が、ウォームアップ終了時点で磁束迂回部材51が到達するものと予測される温度より高い値に設定されているため、少なくともウォームアップの間は磁束迂回部材51が自己のキュリー温度に到達することはなく、相応の磁性を有している。
このため、図3(B)に示すように、加熱ローラ22からの漏れ磁束が磁束迂回部材51に吸収されて磁束迂回部材51の内部を通過する新たな磁路62が形成され、全体として漏れ磁束が抑制されるため、励磁コイル31で発生する電力損失を小さく抑えることができ、これによりウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
このとき、磁束迂回部材51は、加熱ローラ22との間に空隙があるため、加熱ローラ22からの輻射熱や、空気を介した熱伝導の影響を受け、また加熱ローラ22の温度上昇に伴って増大する加熱ローラ22からの漏れ磁束による発熱も僅かながら発生し、これらの影響で磁束迂回部材51が昇温するが、その加熱量はさほど大きいものではなく、磁束迂回部材51は、加熱ローラ22より緩慢に昇温し、加熱ローラ22よりも低い温度状態となる。このため、磁束迂回部材51のキュリー温度を定着温度より低く設定しても、ウォームアップの間に磁束迂回部材51が自己のキュリー温度に到達することはない。
図4は、図3に示した磁束迂回部材51のウォームアップタイムへの影響度を示している。ここでは、加熱ベルト21の幅方向中心位置の温度、及び励磁コイル31に供給される電力の経時変化を示している。磁束迂回部材51がない場合、加熱ベルト21が所定の定着温度(180℃)に近づくと、電力が降下して電力損失が発生している。これに対して磁束迂回部材51がある場合は、電力損失が小さく、磁束迂回部材51がない場合と比較して、早期に加熱ベルト21が定着温度に到着し、ウォームアップタイムが短縮される。
次に、幅狭の記録紙の連続通紙による紙幅外領域の過昇温を抑制する作用について説明する。
加熱ベルト21が所定の定着温度に到達すると通紙が開始され、このとき、紙幅領域は温度制御により所定の定着温度に保持されるのに対して、紙幅外領域は定着温度を超えて上昇し、加熱ローラ22がそのキュリー温度に到達すると、加熱ローラ22の磁性が略消失し、このとき、磁束迂回部材51がそのキュリー温度に到達していなければ、図3(C)に示すように、磁性を有する磁束迂回部材51の内部を通過する磁路62のみにより加熱ローラ22が発熱し続ける。
一方、磁束迂回部材51のキュリー温度が、幅狭の記録紙の連続通紙時において紙幅外領域が異常温度状態に到達した時点での磁束迂回部材51の予測温度より低く設定されているため、幅狭の記録紙の連続通紙時に、紙幅外領域において加熱ローラ22が昇温してキュリー温度に到達し、さらに異常温度状態に近づくと、磁束迂回部材51も自己のキュリー温度を超えた温度状態となり、これにより加熱ローラ22及び磁束迂回部材51が紙幅外領域において共に磁性を略消失し、加熱ローラ22及び磁束迂回部材51を磁束が貫通する。
このとき、導電体からなる磁気遮蔽部材52、特に径方向に突出した1対のフランジ部58により磁路が遮断され、、図3(A)〜(C)に示すような加熱ローラ22及び磁束迂回部材51を通る磁路61・62は形成されないため、加熱ローラ22の発熱が抑制され、これにより紙幅外領域が異常温度状態より低い温度状態に維持され、紙幅外領域の過昇温を防止することができる。
なおここで、磁束迂回部材のキュリー温度の上限を規定する紙幅外領域の異常温度状態は、装置内の軸受け、加熱ベルト21、及び加圧ローラ24などの部品の損傷や、ホットオフセットなどの定着トラブルなどの問題が発生する温度状態であり、過昇温による問題が発生する特定の部位の温度状態、例えば加圧ローラ24のゴム製の弾性層に損傷を与える加熱ベルト21の温度状態(例えば220℃以上)に基づいて設定される。
図5・図6・図7は、図2に示した定着装置2において幅狭の記録紙を連続通紙した時の加熱ベルト21、加熱ローラ22、及び磁束迂回部材51の紙幅外領域の温度変化を示している。この図5・図6・図7は、磁束迂回部材51のキュリー温度をそれぞれ90℃、50℃、150℃に設定した場合を示している。なお、加熱ローラ22のキュリー温度は、いずれも200℃に設定されている。
図5に示すように、磁束迂回部材51のキュリー温度を90℃に設定した場合、加熱ベルト21の紙幅外領域が、過昇温による問題が発生する異常温度(220℃)より低く設定された限界温度(200℃)に到達した時、加熱ローラ22の紙幅外領域は既にキュリー温度(200℃)を超え、磁束迂回部材51の紙幅外領域もそのキュリー温度(90℃)を超えており、加熱ローラ22及び磁束迂回部材51が共に磁性を略消失して磁気遮蔽部材52が磁路を遮断するため、加熱ローラ22の発熱が抑制され、加熱ベルト21の紙幅外領域は、加圧ローラ24などの損傷を招くことのない安全域である200℃付近で推移する。
なおここで、磁束迂回部材51の温度がキュリー温度を超えて上昇するのは、主に磁路を遮断するために発熱する磁気遮蔽部材52からの熱伝導のためである。
また図6に示すように、磁束迂回部材51のキュリー温度を50℃に設定した場合、加熱ベルト21が定着温度(180℃)に到達するウォームアップ終了時点で、磁束迂回部材51の温度(約30℃)とそれ自体のキュリー温度(50℃)との間に十分な余裕があるため、加熱ローラ22で発生した漏れ磁束が磁束迂回部材51で確実に回収され、ウォームアップ時の電力損失を抑制することができる。
一方、磁束迂回部材51のキュリー温度を40℃未満に設定すると、ウォームアップ終了時点で磁束迂回部材51が到達する温度(約30℃)とキュリー温度との間に十分な余裕がないため、ウォームアップが終了する前に磁束迂回部材51の磁性が低下して、加熱ローラ22で発生した漏れ磁束を磁束迂回部材51で確実に回収できなくなり、ウォームアップ時の電力損失を十分に抑制することができない。
また図7に示すように、磁束迂回部材51のキュリー温度を150℃に設定した場合、加熱ベルト21の紙幅外領域が、過昇温による問題が発生する異常温度(220℃)より低く設定された限界温度(200℃)に到達した時、加熱ローラ22の紙幅外領域が既にキュリー温度(200℃)を超えているものの、磁束迂回部材51の紙幅外領域は未だキュリー温度(150℃)に到達していないため、磁束迂回部材51は依然として磁性を有し、磁束迂回部材51を通過する磁路が形成され、磁気遮蔽部材52が磁路を遮断できないため、加熱ローラ22が継続して発熱し、加熱ベルト21の紙幅外領域が昇温を続けて、やがて加圧ローラ24などの損傷を招く異常温度に加熱ベルト21が到達する。
一方、磁束迂回部材51のキュリー温度を120℃以下に設定すると、加熱ベルト21の紙幅外領域の温度が限界温度(200℃)に到達したところで、磁束迂回部材51の紙幅外領域がキュリー温度(120℃)に到達するため、加熱ローラ22及び磁束迂回部材51が共に磁性を略消失して磁気遮蔽部材52が磁路を遮断し、加圧ローラ24などの損傷を招く異常温度に加熱ベルト21が到達することを回避することができる。
このように磁束迂回部材51のキュリー温度は、低過ぎると磁束迂回部材51による漏れ磁束回収の機能が十分に働かず、逆に高過ぎると磁気遮蔽部材52による磁路遮断の機能が発揮されず、この2つの機能を両立させるために、磁束迂回部材51のキュリー温度は、40℃から120℃までの範囲内に設定されていることが望ましく、これにより磁束迂回部材51による漏れ磁束回収の機能が十分に働いてウォームアップ時の電力損失を確実に抑制して、ウオームアップタイムの短縮を図ることができ、同時に磁気遮蔽部材52による磁路遮断の機能が発揮されて幅狭の記録紙を連続通紙した際の紙幅外領域の異常昇温を確実に防止することができる。
なお、ウォームアップ終了後、直ちに通紙が開始されず、暫くスタンバイ状態にして定着温度に維持する制御が継続された後、幅狭の記録紙を連続通紙した場合、通紙開始時点で既に磁束迂回部材51がそのキュリー温度を超えた状態となっている場合があるが、その場合は、直ちに磁気遮蔽部材52が磁路を遮断するため、加熱ベルト21が異常昇温することはない。
また、加熱ローラ22は、加熱ベルト21からの熱伝導を始めとして周囲の空気や部品の有する熱の影響により、紙幅外領域の温度がそれ自体のキュリー温度を越えてしまうことがある。このため、加熱ローラ22の紙幅外領域の温度を予測して加熱ローラ22のキュリー温度を設定することが好ましい。
ところで、磁束迂回部材51は、整磁合金のみからなるものの他、整磁合金を基材としての高分子材料中に分散させた高分子系複合材料からなるもの、整磁合金の粉末を高温成型処理した焼結体からなるもの、並びに整磁合金の粉末をセラミックス材料(無機材料)の粉末に混合して焼成した無機系複合材料からなるものが好適である。これらの材料では、含まれる整磁合金の組成、すなわち各金属の配合割合を変更することで所要のキュリー温度に設定することができる。
特に整磁合金の高分子系複合材料、整磁合金の焼結体、並びに整磁合金の無機系複合材料では、体積抵抗率が0.01Ω・m以上となるようにすると良い。これによれば、整磁合金のみで構成される場合(体積抵抗率:80〜90×10−8Ω・m)に比較して、体積抵抗率が5ケタ以上高くなり、磁束迂回部材51の電気抵抗を大幅に増大することができる。
また磁束迂回部材51は、整磁フェライトで形成することができ、特にMn−Zn系が好適である。これによると、体積抵抗率が0.01〜20Ω・mの範囲内にあり、前記のものと同様に、整磁合金のみで構成される場合に比較して、体積抵抗率が5ケタ以上高くなり、磁束迂回部材51の電気抵抗を大幅に増大することができる。
このように磁束迂回部材51を大きな電気抵抗を有する材料で形成すると、加熱ローラ22で発生した漏れ磁束が磁束迂回部材51を鎖交しても、磁束迂回部材51の電気抵抗が高いため、磁束迂回部材51内での渦電流の発生を抑えることができる。このため、励磁コイル31に印加される電力の一部が磁束迂回部材51の発熱に消費されず、加熱ローラ22が効率良く加熱されるため、ウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
図8は、図3に示した磁束迂回部材の変形例を示す斜視図である。ここでは、磁束迂回部材81が、加熱ローラ22の軸線方向に分割された複数の分割体82で構成されている。各分割体82は、互いに電気的に絶縁された状態で軸線方向に並べて配置され、例えばエポキシ系、シリコーン系、アクリル系などの耐熱性樹脂の接着剤などで相互に接合して固定される。
この構成では、図3(B)・(C)の例と同様に、磁束迂回部材81が加熱ローラ22からの漏れ磁束を集めて新たな磁路を形成する際に、磁束迂回部材81が複数に分割されて各分割体82が互いに電気的に絶縁されているため、漏れ磁束が磁束迂回部材81の内部を通過しても、磁束迂回部材81内での渦電流の発生を抑えることができ、これにより磁束迂回部材81の発熱が抑制され、励磁コイル31に印加される電力の一部が磁束迂回部材81の発熱により消費されることを避け、投入電力を加熱ローラ22の加熱に効率良く使用することができ、ウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
なお、磁束迂回部材81の分割数は、組立などの都合に応じて適宜に設定すれば良いが、渦電流の発生を抑える効果を高める上では、分割体82の寸法を小さく設定することが望ましい。
また、磁束迂回部材81の分割体82は、整磁合金のみで構成されるものの他、前記のように整磁合金の高分子系複合材料、整磁合金の焼結体、整磁合金の無機系複合材料、並びに整磁フェライトからなるものも可能であり、この場合、特に分割せずとも電気抵抗が高いので渦電流の発生を抑えることができるが、製造上の便宜などから磁束迂回部材81を分割することに特に支障はない。
図9は、図3に示した定着装置の変形例を示す模式的な断面図である。ここでは、前記の例と同様に、磁束迂回部材91及び磁気遮蔽部材92が加熱ローラ22の内部に収容されているが、前記の例とは異なり、磁束迂回部材91が、コ字形の断面形状をなす基部95と、その両側縁部から互いに相反する向きに延出された1対のフランジ部96とを有し、磁性体コア32のセンタコア35に対向する側が凸となるハット形の断面形状をなしている。
また磁気遮蔽部材92も、コ字形の断面形状をなす基部97と、その両側縁部から互いに相反する向きに延出された1対のフランジ部98とを有し、加熱ローラ22の固定軸53を覆うように、磁束迂回部材91と相反する側に凸となるハット形の断面形状をなしている。
この構成では、ウォームアップ初期で加熱ローラ22が十分な磁性を有するときは、図3(A)の例と同様に、加熱ローラ22の内部を通過する磁路が形成され、他方、ウォームアップ後期で加熱ローラ22の磁性が低下すると、磁束迂回部材91の内部を通過する新たな磁路99が形成され、励磁コイル31での電力損失を抑制してウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
特にこの構成では、加熱ローラ22の内周面に対して所要の空隙を保持しつつ、磁束迂回部材91を磁性体コア32のセンタコア35に近づけることができるため、磁気結合が強くなり、漏れ磁束を吸収する効率を高めることができる。
図10は、本発明による定着装置の別の例を示す模式的な断面図である。これは、記録紙S上のトナーを熱定着させる加熱ローラ101が直接、加圧ローラ102との間に記録紙Sを挟み込むニップ部を形成する、いわゆる1軸式の定着装置であり、さらに励磁装置103を構成する励磁コイル104及び磁性体コア105が加熱ローラ101の内部に収容されている。
また、ウォームアップ時に加熱ローラ101がキュリー温度に近づくことで発生する漏れ磁束を吸収して新たな磁路を形成する磁束迂回部材106と、幅狭の記録紙の連続通紙時に紙幅外領域で過昇温が発生する前に加熱ローラ22を通る磁路を遮断する磁気遮蔽部材107とが、加熱ローラ101の外側の励磁装置103に対向する位置に配置されている。
磁束迂回部材106は、加熱ローラ101の外周面に沿って周方向に延在し、ウォームアップ初期で加熱ローラ101が十分な磁性を有するときは、磁性体コア105及び加熱ローラ101を通る磁路が形成され、他方、ウォームアップ後期で加熱ローラ101の磁性が低下すると、磁性体コア105及び磁束迂回部材106を通る新たな磁路108が形成され、励磁コイル104での電力損失を抑制してウォームアップタイムの短縮化を図ることができる。
また磁気遮蔽部材107は、励磁コイル104から見て磁束迂回部材106の背面側に配置され、励磁コイル104側を磁束迂回部材106で覆われた状態となっており、幅狭の記録紙の連続通紙時に、紙幅外領域において加熱ローラ101及び磁束迂回部材106がキュリー温度に到達して磁束が貫通すると、磁気遮蔽部材107が磁路を遮断するため、加熱ローラ101の発熱が抑制され、加熱ローラ101の紙幅外領域の異常昇温を防止することができる。
なお、本発明による定着装置(像加熱装置)は、この他、前記の図2の例と同様に、加熱ローラ及び定着ローラに加熱ベルトが巻き掛けられた、いわゆる2軸式の定着装置で、前記の図10の例と同様に、加熱ローラの内部に励磁装置が収容された構成も可能である。また前記の図10の例と同様に、1軸式の定着装置で、前記の図2の例と同様に、加熱ローラの外部に励磁装置が配置された構成も可能である。
本発明にかかる像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置は、発熱体を構成する整磁材料が有するキュリー温度により記録材幅外領域の過昇温を抑制する場合に、キュリー温度を定着温度の近傍に設定することによりウォームアップタイムが長くなる不都合を回避することができる効果を有し、電子写真方式あるいは静電記録方式のプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、及び複合機などの画像形成装置に用いられる像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置などとして有用である。
本発明が適用される画像形成装置の全体構成を示す模式的な断面図 図1に示した定着装置を詳細に示す断面図 図2に示した定着装置の要部を詳細に示す模式的な断面図 図3に示した磁束迂回部材のウォームアップタイムへの影響度を示す図 図2に示した定着装置において幅狭の記録紙を連続通紙した時の加熱ベルト、加熱ローラ、及び磁束迂回部材の紙幅外領域の温度変化を示す図 図2に示した定着装置において幅狭の記録紙を連続通紙した時の加熱ベルト、加熱ローラ、及び磁束迂回部材の紙幅外領域の温度変化を示す図 図2に示した定着装置において幅狭の記録紙を連続通紙した時の加熱ベルト、加熱ローラ、及び磁束迂回部材の紙幅外領域の温度変化を示す図 図3に示した磁束迂回部材の変形例を示す斜視図 図3に示した定着装置の変形例を示す模式的な断面図 本発明による定着装置の別の例を示す模式的な断面図 画像形成装置に設けられる定着装置を示す模式図 整磁材料の比透磁率の温度特性を示す図
符号の説明
2 定着装置(像加熱装置)
21 加熱ベルト
22 加熱ローラ(発熱体)
23 定着ローラ
24 加圧ローラ
25 励磁装置
31 励磁コイル(励磁手段)
32 磁性体コア
35 センタコア
36 サイドコア
37 アーチコア
51 磁束迂回部材
52 磁気遮蔽部材
61・62 磁路
81 磁束迂回部材
82 分割体
91 磁束迂回部材
92 磁気遮蔽部材
99 磁路
101 加熱ローラ(発熱体)
102 加圧ローラ
103 励磁装置
104 励磁コイル(励磁手段)
105 磁性体コア
106 磁束迂回部材
107 磁気遮蔽部材
108 磁路

Claims (8)

  1. 整磁材料を含む発熱体と、
    この発熱体を電磁誘導により発熱させる励磁手段と、
    前記発熱体に対して所要の空隙をおいて前記励磁手段と相反する側に設けられた、整磁材料を含む磁束迂回部材と、
    この磁束迂回部材を挟んで前記発熱体と相反する側に設けられた、導電体からなる磁気遮蔽部材とを有し、
    前記磁束迂回部材のキュリー温度が、ウォームアップ時において定着温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より高く、且つ幅狭の記録材に対する連続処理時において記録材幅外領域が異常温度状態に到達した時点での前記磁束迂回部材の予測温度より低く設定され、
    ウォームアップ時に、定着温度状態に到達するまで前記磁束迂回部材が磁性を保持して当該磁束迂回部材の内部を通過する新たな磁路が形成され、幅狭の記録材に対する連続処理時に、記録材幅外領域が異常温度状態に到達する前に前記磁束迂回部材が磁性を略消失して前記磁気遮蔽部材により磁路が遮断されるようにしたことを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記磁束迂回部材のキュリー温度が、40℃から120℃までの範囲内で設定されたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記磁束迂回部材が、複数の分割体からなり、この複数の分割体が、互いに電気的に絶縁された状態で前記発熱体の長手方向に配列されたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  4. 前記磁束迂回部材が、整磁フェライトで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  5. 前記発熱体が、円筒状の加熱ローラであり、
    前記励磁手段が、前記加熱ローラの外部に配置され、
    前記磁束迂回部材が、前記励磁手段に対向して前記加熱ローラの内部に配置され、
    前記磁気遮蔽部材が、前記励磁手段に対して前記磁束迂回部材の背面側に位置するように前記加熱ローラの内部に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  6. 前記磁束迂回部材が、前記励磁手段の周方向の略中心位置に配置された磁性体コアに対向する側が凸となるハット形の断面形状をなすことを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
  7. 前記発熱体が、円筒状の加熱ローラであり、
    前記励磁手段が、前記加熱ローラの内部に配置され、
    前記磁束迂回部材が、前記励磁手段に対向して前記加熱ローラの外部に配置され、
    前記磁気遮蔽部材が、前記励磁手段に対して前記磁束迂回部材の背面側に位置するように前記加熱ローラの外部に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の像加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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