JP2008122545A - 感光性組成物、感光性フィルム、永久パターン形成方法、及びプリント基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダーが、多塩基酸無水物と、1分子中に1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物との反応物と、1分子中に2つのカルボキシル基を有する化合物と、2官能エポキシ化合物との重付加反応生成物であって、側鎖に不飽和基を有し、かつ水酸基を有すると共に、末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂の、末端エポキシ基に不飽和モノカルボン酸を反応させ、更に、分子中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる光硬化性樹脂を含み、光重合開始剤が、オキシム化合物を含む感光性組成物等である。
【選択図】なし
Description
そこで、デジタルイメージング(DI)露光を行なった場合の生産性を高めるため、高感度な光重合開始剤として、オキシム化合物を用い、波長405nm前後の青紫色レーザにおける膜硬化性に適した前記感光性組成物が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この提案では、感度の経時安定性に劣り、予め感光性組成物を調製しておき、適宜必要に応じて使用することが困難であるという問題があった。
<1> バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及び熱架橋剤を含み、
前記バインダーが、
多塩基酸無水物(a)と、1分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物(b)との反応物(I)と、
1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)と、
2官能エポキシ化合物(III)との重付加反応生成物であって、
側鎖に不飽和基を有し、かつ水酸基を有すると共に、末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂の、
末端エポキシ基に不飽和モノカルボン酸(c)を反応させ、
更に、分子中の水酸基に多塩基酸無水物(d)を反応させて得られる光硬化性樹脂を含み、
前記光重合開始剤が、オキシム化合物を含むことを特徴とする感光性組成物である。
<2> 1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)が、芳香族環を含まない1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、及びヘキサヒドロテレフタル酸から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の感光性組成物である。
<3> 2官能エポキシ化合物(III)が、水素添加された2官能エポキシ化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<4> オキシム化合物が、少なくとも芳香族基を有する化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<5> オキシム化合物が、下記一般式(I)及び一般式(II)のいずれかで表される部分構造を有するか、又は下記一般式(V)で表される化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<6> 一般式(I)及び一般式(II)におけるArが、フェニル基及びナフチル基のいずれかを有する前記<5>に記載の感光性組成物である。
<7> 一般式(I)及び一般式(II)におけるArが、ナフチル基のいずれかを有する前記<5>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<8> 一般式(I)が、更に下記一般式(IV)及び一般式(V)のいずれかで表される前記<5>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<9> 一般式(III)で表される化合物が、更に下記一般式(VI)で表される前記<5>に記載の感光性組成物である。
<10> 一般式(VI)で表される化合物が、更に下記一般式(VII)及び一般式(VIII)のいずれかで表される前記<9>に記載の感光性組成物である。
<12> 熱架橋剤を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<13> 熱架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、及びメラミン誘導体から選択される少なくとも1種である前記<12>に記載の感光性組成物である。
<14> 熱架橋剤がエポキシ化合物を含み、該エポキシ化合物がビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式基含有型エポキシ樹脂、及び難溶性エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載の感光性組成物である。
<15> 増感剤を含む前記<1>から<14>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<16> 増感剤がヘテロ縮環系化合物を含む前記<15>に記載の感光性組成物である。
<17> ヘテロ縮環系化合物がチオキサントン化合物である前記<16>に記載の感光性組成物である。
<18> フィラーを含む前記<1>から<17>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<19> 熱硬化促進剤を含む前記<1>から<18>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<21> 感光層の厚みが1〜100μmである前記<20>に記載の感光性フィルムである。
<22> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<20>から<21>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<23> 支持体が長尺状である前記<20>から<22>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<24> 長尺状でありロール状に巻かれてなる前記<20>から<23>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<25> 感光層上に保護フィルムを有する前記<20>から<24>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<27> 感光層が、前記<20>から<25>のいずれかに記載の感光性フィルムにより形成された前記<26>に記載の永久パターン形成方法である。
<28> 露光が、フォトマスクを用いずに行なわれる前記<26>から<27>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<29> 露光が、露光光と感光層とを相対的に移動させながら行われる前記<28>に記載の永久パターン形成方法である。
<30> 露光が、光照射手段、及び光変調手段を少なくとも備えた露光ヘッドと、前記感光層との少なくとも何れかを移動させつつ、前記感光層に対して、前記光照射手段から出射された光を前記光変調手段によりパターン情報に応じて変調しながら前記露光ヘッドから照射して行なわれる前記<28>から<29>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<31> 光変調手段が、n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部をパターン情報に応じて制御可能である前記<30>に記載の永久パターン形成方法である。
<32> 光変調手段が空間光変調素子である前記<30>から<31>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<33> 空間光変調素子がデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<32>に記載の永久パターン形成方法である。
<34> 露光が、アパーチャアレイを通して行われる前記<30>から<33>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<35> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<30>から<34>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<36> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを備える前記<30>から<35>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<37> 露光が、350〜420nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<26>から<36>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<39> 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う前記<38>に記載の永久パターン形成方法である。
<41> 保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかである前記<40>に記載の永久パターンである。
本発明の感光性組成物は、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及び熱架橋剤を含み、好ましくは、増感剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタアクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
前記バインダーは、所定の光硬化性樹脂を含む。該光硬化性樹脂は、下記合成反応を経て製造される。
(1) 多塩基酸無水物(a)と、1分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物(b)との反応物(I)との合成反応。
(2) 1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)と、2官能エポキシ化合物(III)との重付加反応生成物であって、側鎖に不飽和基を有し、かつ水酸基を有すると共に、末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂の合成反応。なお、前記1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)及び前記2官能エポキシ化合物(III)の少なくともいずれかは芳香族を有さない化合物である。
(3) 前記側鎖に不飽和基を有し、かつ水酸基を有すると共に、末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂の、末端エポキシ基に、不飽和モノカルボン酸(c)を反応させることによる多官能アクリレート樹脂の合成反応。
(4) 前記多官能アクリレート樹脂の水酸基に多塩基酸無水物(d)を反応させることによる光硬化性樹脂の合成反応。
前記反応物(I)としては、前記(1)の合成反応により得られるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記一般式(A−1)により表される化合物などが挙げられる。
一般式(A−1)
前記二塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、などが挙げられる。前記三塩基酸無水物としては、例えば、無水トリメリット酸などが挙げられる。
前記脂肪族あるいは芳香族四塩基酸二無水物としては、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、などが挙げられる。
一般式(A−2)
一般式(A−3)
前記無水トリメリット酸無水物(a−1)の市販品としては、例えば、TMEG−100、TMEG−200、TMEG−300、TMEG−500、TMTA−C(いずれも新日本理化社製)などが挙げられる。
なお、前記多塩基酸無水物(a)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前記水酸基に、ε−カプロラクトン等の環状エステル類を付加した化合物も挙げられる。前記ε−カプロラクトンの付加率は、例えば、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の1molに対して1〜2molの割合が好ましい。
なお、前記1分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記反応促進剤の使用量は、例えば、前記多塩基酸無水物(a)に対し、0.1〜25mol%が好ましく、0.5〜20mol%がより好ましい。
前記(2)の合成反応で得られるエポキシ樹脂は、前記(2)の合成反応により得られるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記一般式(A−4)により表される化合物などが挙げられる。
一般式(A−4)
i)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エピコートYL6663、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055(以上、大日本インキ化学工業社製)、エポトートST−2004、エポトートST−2007、エポトートST−3000、エポトートYD−011、エポトートYD−013、エポトートYD−127、エポトートYD−128(以上、東都化成社製)、D.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664(以上、ダウケミカル社製)、アラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、スミーエポキシESA−011、スミーエポキシESA−014、スミーエポキシELA−115、スミーエポキシELA−128(以上、住友化学工業社製)、A.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664(以上、旭化成工業社製)、など
ii)ビスフェノールF型エポキシ樹脂
エピクロン830(大日本インキ化学工業社製)、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175、エポトートYDF−2004(以上、東都化成社製)、アラルダイドXPY306(チバスペシャリティケミカルズ社製)、など
iii)ビキリレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物
YL−6056、YX−4000、YL−6121(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、など
iv)ビスフェノールS型エポキシ樹脂
EBPS−200(日本化薬社製)、EPX−30(旭電化工業社製)、EXA−1514(大日本インキ化学工業社製)、など
一般式(A−9)
これら以外の触媒を使用すると、エポキシ基とカルボキシル基との反応で生成するアルコール性の水酸基にモノマー成分が反応し、ゲル化することがある。
前記アルカリ金属化合物としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、等のアルカリ金属の水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、アミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミン類としては、例えば、脂肪族又は芳香族の第一級アミン類、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アミン類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミン類の具体例としては、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイド、などが挙げられる。
前記(2)の合成反応の反応時間は、特に制限はなく、原料の反応性、前記反応温度に応じて適宜選択することができるが、例えば、約5〜72時間が好ましい。
前記(3)の合成反応で得られる多官能アクリレート樹脂は、例えば、上述のようにして得られた線状構造のエポキシ樹脂に、前記不飽和モノカルボン酸(c)を、有機溶剤の存在下で、ハイドロキノン、酸素、などの重合禁止剤と、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、等の四級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、などの反応触媒との共存下で、通常、約80〜130℃反応させることにより得ることができる。
前記多官能アクリレート樹脂としては、例えば、前記一般式(A−4)で表される化合物に、例えば、前記不飽和モノカルボン酸(c)として、アクリル酸と反応させれば、下記一般式(A−10)で表される多官能アクリレート樹脂を得ることができる。
一般式(A−10)
前記エステル化触媒としては、三級アミン、及びその塩酸塩又は臭素酸塩、四級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスフィン類、金属ハロゲン化物、などが挙げられる。
前記三級アミン、及びその塩酸塩又は臭素酸塩としては、例えば、N,N―ジメチルアニリン、ピリジン、トリエチルアミン、などが挙げられる。前記四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、などが挙げられる。前記スルホニウム塩としては、例えば、ジメチルスルホキシオド、メチルスルホキシオド、などが挙げられる。前記ホスフィン類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、などが挙げられる。前記金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化第一錫、塩化亜鉛、などが挙げられる。
また、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸カプロラクトン付加物、等の水酸基含有(メタ)アクリレート、なども挙げられる。
これら不飽和カルボン酸(c)の中でも、アクリル酸、メタアクリル酸が特に好ましい。前記不飽和カルボン酸(c)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(4)の合成反応における、前記多塩基酸無水物(d)の使用量は、例えば、前記多官能アクリレート樹脂中のアルコール性水酸基1molに対し、無水物基が0.1〜1molの割合が好ましい。すなわち、前記光硬化性樹脂の酸価が、通常、50〜200mgKOH/gとなるように付加し、50〜120mgKOH/gとなるように付加することが好ましい。前記酸価が、50mgKOH/g未満では、アルカリ水溶液に対する溶解性が悪くなり、形成した塗膜の現像が困難になることがあり、200mgKOH/gを超えると、露光条件によらず、露光部の表面まで現像されてしまうことがある。
前記脂環式二塩基酸無水物としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、などが挙げられる。
前記脂肪族又は芳香族の二塩基酸無水物又は三塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、などが挙げられる。
前記脂肪族四塩基酸二無水物又は芳香族四塩基酸二無水物としては、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、オキシム化合物が用いられる。また、必要に応じて、その他の光重合開始剤を含んでもよい。
前記オキシム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(I)及び一般式(II)のいずれかで表される部分構造を有する化合物であることがより好ましい。前記オキシム化合物は、2種以上を併用してもよい。
前記Y2としては、脂肪族基、−CO−(脂肪族基)、−CO−(芳香族基)、−CO−(複素環基)、−CO2−(脂肪族基)、−CO2−(芳香族基)、及び−CO2−(複素環基)のいずれかであることが好ましい。
前記Y3及びY4としては、脂肪族基及び芳香族基のいずれかであることが好ましい。
また、これらの芳香族基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。前記水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基としては、例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものなどが挙げられる。
また、これらの複素環基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団からなる基が挙げられる。前記水素原子を除く1価の非金属原子団からなる基としては、例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものが挙げられる。
前記置換基におけるヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ピペリジニル基、などが挙げられる。
前記置換基におけるシリル基としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。
前記置換基にはアシル基(R01CO−)を含んでいてもよく、該アシル基としては、該R01が、例えば、水素原子、上記のアルキル基、アリール基のものなどが挙げられる。
前記置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものが挙げられる。
R02、R03、R04、R05としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基が好ましく、これらの具体例としては、前述の例として示したものが挙げられる。これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基がより好ましい。
具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基等が挙げられる。
前記脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、アリル基などが挙げられる。
前記Y12としては、−CO−(脂肪族基)が特に好ましい。前記Y12中の脂肪族基としては、炭素原子数1から10の脂肪族基が好ましい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などが好ましい。
前記脂肪族のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、デカノイル基、フェノキシアセチル基、クロロアセチル基、などが挙げられる。前記芳香族のアシル基としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、などが挙げられる。前記複素環のアシル基としては、例えば、フラノイル基、チオフェノイル基、などが挙げられる。前記置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びハロゲン原子のいずれかが好ましい。
前記アシル基としては、総炭素原子数2〜30のものが好ましく、総炭素原子数2〜20のものがより好ましく、総炭素原子数2〜16のものが特に好ましい。このようなアシル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、フラノイル基、チオフェノイル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、などが挙げられる。
前記その他の光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、波長約300〜800nmの範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。前記波長は330〜500nmがより好ましい。
前記感光性組成物には、更に、増感剤を含むことが好ましい。前記増感剤は、前記感光層を露光し現像する場合において、該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記光の最小エネルギー(感度)を向上させる観点から併用することが特に好ましい。
前記増感剤としては、前記光照射手段(例えば、可視光線や紫外光及び可視光レーザ等)に合わせて適宜選択することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例えば、ラジカル発生剤、酸発生剤等)と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルや酸等の有用基を発生することが可能である。
前記増感剤としては、縮環系化合物、アミノフェニルケトン系化合物、多核芳香族類、酸性核を有するもの、塩基性核を有するもの、蛍光増白剤核を有するものから選択される少なくとも1種を含み、必要に応じて、その他の増感剤を含んでもよい。増感剤としては、感度向上の点でさらにヘテロ縮環系化合物、アミノベンゾフェノン系化合物が好ましく、特にヘテロ縮環系化合物が好ましい。
前記例示化合物の中で、芳香族環や複素環が縮環した化合物(縮環系化合物)としては、ヘテロ縮環系化合物が好ましい。前記ヘテロ縮環系化合物とは、環の中にヘテロ元素を有する多環式化合物を意味し、前記環の中に、窒素原子を含むのが好ましい。前記ヘテロ縮環系化合物としては、例えば、ヘテロ縮環系ケトン化合物が挙げられる。前記ヘテロ縮環系ケトン化合物の中でも、アクリドン化合物及びチオキサントン化合物が更に好ましく、これらの中でもチオキサントン化合物が特に好ましい。
前記ヘテロ縮環系ケトン化合物としては、具体的には、例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン(例えば、10−n−ブチル−2−クロロアクリドン)、等のアクリドン化合物;チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン、QuantacureQTX、等のチオキサントン化合物;3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、また、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号公報等に記載のクマリン化合物、等のクマリン類;などが挙げられる。
また公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、などが挙げられる。
前記含有量が、0.01質量%未満となると、感度が低下することがあり、4質量%を超えると、パターンの形状が悪化することがある。
前記増感剤の含有量と、前記光重合開始剤の含有量との質量比が、上記の範囲外であると、感度が低下し、かつ感度の経時変化が悪化することがある。
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子中に少なくとも1個の付加重合可能な基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、例えば、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。なお、本発明において「重合性化合物」とは、バインダーに含まれ得る重合性化合物は包含しないものとする。
前記感光性組成物は、更に、熱架橋剤を含むことが好ましい。前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムを用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができる。
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば、低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
前記β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記感光性組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
これらの中でも、下記一般式(D−1)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロヒドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記一般式(D−2)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
ただし、前記一般式(D−2)中、Rは水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R”は水素原子、及びCH3のいずれかを表し、nは0〜20の整数を表す。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
前記エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、通常0.01〜15質量%である。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、アルコール類(例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール等)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等)、複素環式ヒドロキシル化合物(例えば、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン等)、活性メチレン化合物(例えば、ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
前記その他の成分としては、例えば、フィラー、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)、などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらを適宜含有させることにより、目的とする感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記感光性組成物には、必要に応じ、永久パターンの表面硬度の向上、あるいは線膨張係数を低く抑えること、あるいは、硬化膜自体の誘電率や誘電正接を低く抑えることを目的として、フィラーを添加することができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機微粒子、などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、などが挙げられる。前記硫酸バリウムの市販品としては、例えば、B‐30(堺化学工業社製)などが挙げられる。
前記無機充填剤の平均粒径は、10μm未満が好ましく、3μm以下がより好ましい。該平均粒径が10μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記有機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、平均粒径0.01〜5μm、吸油量100〜200m2/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
前記熱重合禁止剤は、前記感光層における前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート、などが挙げられる。
前記含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、C.I.ピグメント・エロー55、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。
各層間の密着性、又は感光層と基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
前記感光性組成物により形成された感光層は、これを露光し現像する場合において、該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記露光に用いる光の最小エネルギーは、0.1〜200mJ/cm2であることが好ましく、0.2〜100mJ/cm2であることがより好ましく、0.5〜50mJ/cm2であることが特に好ましい。
前記最小エネルギーが、0.1mJ/cm2未満であると、処理工程にてカブリが発生することがあり、200mJ/cm2を超えると、露光に必要な時間が長くなり、処理スピードが遅くなることがある。
前記硬化層の厚みは、前記露光量が増えるに従い増加していき、その後、前記露光前の前記感光層の厚みと略同一かつ略一定となる。前記現像感度は、前記硬化層の厚みが略一定となったときの最小露光量を読み取ることにより求められる値である。
ここで、前記硬化層の厚みと前記露光前の前記感光層の厚みとの差が±1μm以内であるとき、前記硬化層の厚みが露光及び現像により変化していないとみなす。
前記硬化層及び前記露光前の前記感光層の厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚測定装置、表面粗さ測定機(例えば、サーフコム1400D(東京精密社製))などを用いて測定する方法が挙げられる。
ここで、前記変動率は、例えば、波長400nmの光における前記光の最小エネルギーを測定した後、波長を1nmずつずらして、波長410nmの光までの前記光の最小エネルギーを順次測定し、これら光の最小エネルギーの最大値(Emax)と最小値(Emin)との差から以下の式により求めることができる。
〔式〕
(Emax−Emin)/Emax
本発明の感光性フィルムとしては、支持体と、該支持体上に形成された前記本発明の感光性組成物からなる感光層とを少なくとも有し、必要に応じて適宜熱可塑性樹脂層等のその他の層を有することが好ましい。なお、感光層については既に述べた通りである。
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
前記感光性フィルムは、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、層間接着力を調整することができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記感光性フィルムにおけるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、前記感光層上に保護フィルムを有していてもよい。
前記クッション層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、該有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
前記エチレンの共重合比が、60質量%未満になると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、該クッション層と該感光層との界面で剥離することが困難となることがあり、90質量%を超えると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎるため、該クッション層と該感光層との間で非常に剥離しやすく、前記クッション層を含む感光性フィルムの製造が困難となることがある。
前記厚みが、5μm未満になると、基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が低下し、高精細な永久パターンを形成できないことがあり、50μmを超えると、製造上の乾燥負荷増大等の不具合が生じることがある。
前記酸素遮断層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成されることが好ましく、厚みが0.5〜5μm程度の被膜であることが好ましい。
前記感光性フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性フィルム用の感光性組成物溶液を調製する。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。
前記感光性積層体は、基体上に、前記感光層を少なくとも有し、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15〜180℃が好ましく、60〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0MPaが好ましく、0.2〜0.8MPaがより好ましい。
本発明のパターン形成装置は、前記感光層を備えており、光照射手段と光変調手段とを少なくとも有する。
なお、本発明の前記パターン形成装置は、本発明の前記永久パターン形成方法の説明を通じて明らかにする。
前記露光工程は、本発明の感光層に対し、露光を行う工程である。本発明の前記感光層、及び基体の材料については上述の通りである。
前記レーザ光の励起媒質としては、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザ、液体レーザ、気体レーザ、半導体レーザなどの公知のレーザを用いることができる。
具体的には、ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm)、Krイオンレーザ(356nm、351nm)、He−Cdレーザ(325nm)が挙げられ、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ(1,064nm)、YAGレーザ又はYVO4レーザの、2倍波(532nm)、3倍波(355nm)、4倍波(266nm)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体との組み合わせ(380nm〜400nm)、導波型波長変換素子とAlGaInP又はAlGaAs半導体tの組み合わせ(300nm〜350nm)、AlGaInN(350nm〜470nm)などが挙げられる。これらの中で好適なレーザ光としては、コストの面でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ375nmまたは405nm)が、生産性の面で高出力な355nmレーザが挙げられる。
前記光変調手段としては、n個の描素部を有し、前記パターン情報に応じて前記描素部を制御する方法が、代表的な方法として挙げられる。具体的には、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Spatial Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)などが挙げられ、これらの中でもDMDが好適に挙げられる。
前記DMDでは、前記光点の輝度は、ONかOFFの2階調しかないが、ミラー階調型空間変調素子を用いると、256階調の露光を行なうことができる。
前記制御信号としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル信号が好適に挙げられる。
前記光照射手段、すなわち光の照射方法としては、特に制限はなく、前述の露光光源を目的に応じて適宜選択することができるが、これらの光源からの光を2以上合成して照射することが好適であり、2以上の光を合成したレーザ光(合波レーザ光)を照射することが特に好適に挙げられる。
本発明では、レーザ光を画像データに応じて空間光変調することが好ましい。したがって、この目的のため空間光変調素子である前記DMDを用いることが好ましい。
前記現像としては、前記感光層の未露光部分を除去することにより行われる。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液の温度は、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25〜40℃が好ましい。
前記パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターン等の永久パターンや、カラーフィルタの形成を行う永久パターン形成方法である場合には、前記現像工程後に、感光層に対して硬化処理を行う硬化処理工程を備えることが好ましい。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機、キセノンランプ使用の露光機、レーザ露光機などが好適に挙げられる。露光量は、通常10〜2,000mJ/cm2である。
前記全面加熱における加熱温度は、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間は、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
−バインダー1の合成−
ガス導入管、攪拌装置、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、前記多塩基酸無水物(a)としてのトリメリット酸192質量部と、前記1分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物(b)としてのヒドロキシエチルアクリレート116質量部と、熱重合禁止剤としてのメチルハイドロキノン(HQ)とを仕込み、95℃の温度で12時間反応させ、前記反応物(I)としてのベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸1−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル(Benzene-1,2,4-tricarboxylic acid 1-(2−acryloyloxy-ethyl)ester)(分子式C14H12O8、質量平均分子量308.24)を得た。
次に、ガス導入管、攪拌装置、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、得られたベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸1−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル(1)154質量部と、1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)としてのヘキサヒドロフタル酸172質量部と、2官能エポキシ化合物(III)としてのエポキシ当量250g/当量の水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、YL−6633)1,000質量部とを仕込み、窒素雰囲気下にて100℃で攪拌した。その後、トリフェニルホスフィン5.2質量部を添加し、前記フラスコ内の温度を150℃まで昇温し、この温度を保持しながら、約90分間反応させ、エポキシ当量1,326g/当量のエポキシ樹脂を得た。
更に、得られたエポキシ樹脂663質量部を、攪拌装置、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート370質量部を加え、加熱溶解し、メチルハイドロキノン0.46質量部を加え、95〜105℃に加熱し、不飽和モノカルボン酸(c)としてのアクリル酸36質量部を徐々に滴下し、20時間反応させて多官能アクリレート樹脂を得た。この多官能アクリレート樹脂を、80〜90℃まで冷却し、多塩基酸無水物(d)としてのテトラヒドロフタル酸無水物152質量部を加え、8時間反応させた。前記反応は、電位差滴定による反応液の酸化、及び全酸化測定を行い、得られる付加率にて追跡し、反応率95%以上を終点とした。
このようにして得られたカルボキシル基含有光硬化性樹脂は、固形物の酸価65.9mgKOH/gであった。以下、このカルボキシル基含有光硬化性樹脂を「バインダー1」と称す。
−バインダー2の合成−
ガス導入管、撹拝装置、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、前記合成例1と同様にして得られた前記反応物(I)としてのベンゼンー1,2,4−トリカルボン酸1−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル154質量部と、1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)としてのヘキサヒドロフタル酸172質量部と、2官能エポキシ化合物(III)としてのエポキシ当量189g/当量の水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン社製、「YL−6663」)756質量部とを仕込み、窒素雰囲気下にて100℃で撹拝した。その後、トリフェニルホスフィン5.2質量部を添加し、前記フラスコ内の温度を150℃まで昇温し、温度を150℃で保持しながら、約90分間反応させ、エポキシ当量1,082g/当量のエポキシ樹脂を得た。
更に、得られたエポキシ樹脂541質量部を、摸拝装置、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート370質量部を加え、加熱溶解し、メチルハイドロキノン0.46質量部を加え、95〜105℃に加熱し、不飽和カルボン酸(c)としてのアクリル酸36質量部を徐々に滴下し、20時間反応させて多官能アクリレート樹脂を得た。この多官能アクリレート樹脂を、80〜90℃まで冷却し、多塩基酸無水物(d)としてのテトラヒドロフタル酸無水物152質量部を加え、8時間反応させた。前記反応は、電位差滴定による反応液の酸化、全酸化測定を行い、得られる付加率にて追跡し、反応率95%以上を終点とした。
このようにして得られたカルポキシル基含有活性カルボキシル基含有光硬化性樹脂は、固形物の酸価77.0mgKOH/gであった。以下、カルポキシル基含有活性カルボキシル基含有光硬化性樹脂を「バインダー2」と称す。
−感光性組成物の調製−
各成分を下記の量で配合して、感光性組成物溶液を調製した。
〔感光性組成物溶液の各成分量〕
前記バインダー1・・・122質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、重合性化合物)(日本化薬社製)・・・15質量部
下記式I−1で表されるオキシム化合物(光重合開始剤)・・・5.0質量部
10−n−ブチル−2−クロロアクリドン(NBCA、増感剤)(黒金化成社製)・・・1.0質量部
エポキシ化合物(熱架橋剤)(日本化薬社製、ZX1059)・・・30質量部
メラミン(熱硬化促進剤)(日本触媒社製、エポスターS)・・・1.6質量部
硫酸バリウム(フィラー、一次平均粒径0.3μm)(堺化学工業社製、B‐30)・・・60質量部
C.I.ピグメント・ブルー15:3(ノンハロゲンの青色顔料)(BASF社製、銅フタロシアニンブルー)・・・0.2質量部
C.I.ピグメント・エロー55(ノンハロゲンの黄色顔料)(大日精化工業社製、ジスアゾイエローAAPT)・・・0.2質量部
なお、前記硫酸バリウムの一次平均粒径は、得られた感光性組成物より、任意の一部を溶剤で希釈させ、動的光散乱式粒径分布測定装置(LB−500、堀場製作所製)で測定した。
得られた感光性組成物溶液を、前記支持体としての厚み16μm、幅300mm、長さ200mのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ社製、16FB50)上に、バーコーターで塗布し、80℃熱風循環式乾燥機中で乾燥して、厚み30μmの感光層を形成した。次いで、該感光層の上に、保護フィルムとして、膜厚20μm、幅310mm、長さ210mのポリプロピレンフィルム(王子製紙社製、E−200)をラミネーションにより積層し、感光性フィルムを製造した。
次に、前記基材、すなわちプリント基板としての配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネーター(ニチゴーモートン(株)社製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、真空引きの時間40秒、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
前記感光性積層体について、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
前記調製した感光性積層体における感光性フィルムの感光層に対し、前記支持体側から、INPREX IP−3000(富士写真フイルム社製、ピクセルピッチ=1.0μm)を用いて、5mJ/cm2から21/2倍間隔で500mJ/cm2までの光エネルギー量の異なる光を照射して2重露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて60秒間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。該感度曲線から、硬化領域の厚みが30μmとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。
前記感度の評価により得られた感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量を、感光性積層体調製直後から24℃で30分間遮光して保存した後における光の最小エネルギー(E0)とし、前記感光性積層体を24℃60%RH下で、防湿袋(黒色ポリエチレン製の筒状袋、膜厚:80μm、水蒸気透過率:25g/m2・24hr以下)に密閉してから、40℃で3日間保存した後において、前記感度の評価におけるのと同様な方法により前記感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量(E1)を測定し、前記E1の前記E0に対する変動率を、E1/E0により求めた。得られた値が小さい程、前記保存後においても高感度を維持できており、生保存性に優れることを意味する。
前記感光性積層体を室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅10〜100μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行った。
この際の露光量は、前記感度の評価における前記感光性フィルムの感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて60秒間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
この様にして得られた永久パターンとしての硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常が無く、かつスペース形成可能な最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。
前記硬化樹脂パターンにロジン系フラックス(MH−820V、タムラ化研性、商品名)を塗布し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、塗膜外観を目視観察した。
○・・・塗膜外観に異常(剥離、フクレ)が無く、はんだのもぐりの無いもの
×・・・塗膜外観に異常(剥離、フクレ)が有るか、あるいははんだのもぐりの有るもの
前記硬化樹脂パターンを、40℃の酸性脱脂液(荏原ユージライト(株)製、PB242D 10%希釈液)に3分間浸漬した後、水洗した。
次いで、30℃のソフトエッチ液(メルテックス(株)製、AD485 10%希釈液)に30秒、25℃の10%硫酸水溶液中に30秒、25℃のアクチベーター液(奥野製薬工業(株)、ICPアクセラ 15%希釈液)に30秒浸漬させた。なお、この間に適宜水洗を行った。この後、80℃で40分間、無電解Niめっき(日本カニゼン(株)製、S-810 20%希釈液)を行い、水洗後、85℃で5分間、置換金めっき(小島化学薬品(株)製、オーエル2000 20%希釈液)を行った。めっき後の硬化樹脂パターンを用いて表面観察を行った。また、前記表面観察により問題がない評価基板については、更にJIS K 5600−5−6を参考にしてピール試験を行い、以下の基準で評価した。
○・・・ピール試験後も全く異常が無いもの。
△・・・表面観察では問題が無かったが、ピール試験時に剥がれが観られたもの。
×・・・表面観察で、パターン部への液もぐり又はパターンの剥がれが観られたもの。
前記硬化樹脂パターンについて、JIS K 5400に基づいて、鉛筆硬度を測定した。
評価に用いる基材を、18μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント配線板用基板(ニッカン工業社製、商品名「F30VC1」)に変えた以外は、前記硬化樹脂パターンの形成方法と同様の方法により、カバーレイを形成した評価用FPCを得た。
得られた評価用FPCを、ハゼ折りにより180°折り曲げ、その際のカバーレイにおけるクラック発生状況を目視により観察し、次の基準で評価した。
○・・・カバーレイにクラックが認められないもの
×・・・クラックが認められるもの
実施例1において、表1に示すように、バインダーを、前記合成例2で合成したバインダー2を121質量部に代え、かつ重合性化合物をDPHA20質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、熱架橋剤を、エピクロンN−695(大日本インキ化学工業社製)30質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、光重合開始剤を、1.2‐オクタンジオン,1‐[4‐(フェニルチオ)−,2−(O‐ベンゾイルオキシム)](チバスぺシャリティケミカルズ社製、イルガキュアOXE01)5.0質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、光重合開始剤を、下記式I−2で表される化合物5.0質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、光重合開始剤を、チバスペシャリティケミカルズ社製、CGI−325)5.0質量部に代え、かつ増感剤を用いなかった以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、光重合開始剤を、2−ベンジル‐2−ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)−ブタノン-1(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア369)5.0質量部に代え、かつ熱架橋剤を、エピクロンN−695(大日本インキ化学工業社製)30質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、バインダーを、濃度67質量%のリポキシPR−300(昭和高分子化学社製)112質量部に代え、かつ重合性化合物を、DPHA25質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、表1に示すように、バインダーを濃度67質量%のリポキシPR−300(昭和高分子化学社製)112質量部に代え、重合性化合物を、DPHA25質量部に代え、かつ光重合開始剤を2−ベンジル‐2−ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)−ブタノン-1(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア369)を5.0質量部に代えた以外は同様に、感度、生保存性、解像度、はんだ耐熱性、めっき性、鉛筆硬度、及び可撓性の評価を行った。結果を表2に示す。
本発明の永久パターン形成方法は、本発明の前記感光性組成物を用いるため、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン、などの各種パターン形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などの液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造などに好適に用いることができ、特にプリント基板の永久パターン形成に好適に用いることができる。
Claims (7)
- バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及び熱架橋剤を含み、
前記バインダーが、
多塩基酸無水物(a)と、1分子中に少なくとも1個の不飽和二重結合及び1個のアルコール性水酸基を有する化合物(b)との反応物(I)と、
1分子中に少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物(II)と、
2官能エポキシ化合物(III)との重付加反応生成物であって、
側鎖に不飽和基を有し、かつ水酸基を有すると共に、末端にエポキシ基を有するエポキシ樹脂の、
末端エポキシ基に不飽和モノカルボン酸(c)を反応させ、
更に、分子中の水酸基に多塩基酸無水物(d)を反応させて得られる光硬化性樹脂を含み、
前記光重合開始剤が、オキシム化合物を含むことを特徴とする感光性組成物。 - オキシム化合物が、少なくとも芳香族基を有する化合物である請求項1に記載の感光性組成物。
- オキシム化合物が、下記一般式(I)及び一般式(II)のいずれかで表される部分構造を有するか、又は下記一般式(III)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の感光性組成物。
- 増感剤を含む請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
- 請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層を支持体上に有してなることを特徴とする感光性フィルム。
- 請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法。
- 請求項6に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されることを特徴とするプリント基板。
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