JP2008120939A - カルボン酸系重合体の製造方法 - Google Patents

カルボン酸系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亜硫酸水素塩と酸素とのレドックス開始剤存在下でカルボン酸系重合体を重合して製造するに際し、気液二相流の反応流体が流通する配管の振動を抑制する。
【解決手段】カルボン酸系重合体の製造方法は、α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスからなる反応流体を重合反応器に導入してモノマーを重合させるものである。酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分22において、その配管部分22を流通する反応流体を加圧する。
【選択図】図1

Description

本発明は、カルボン酸系重合体の製造方法及びそれに用いる重合体製造装置に関する。
亜硫酸水素塩と酸素との反応によりフリーラジカルを発生させ、そのフリーラジカルのレドックス開始剤存在下で重合を行うカルボン酸系重合体の製造方法として、攪拌槽型反応器で滴下方式により重合を行う方法及び反応管内に薄膜流を形成させて重合を行う方法が知られている。
また、特許文献1には、(A)α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスを流通式混合器に導入してモノマーを重合させる第1重合反応工程と、(B)第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応生成物を配管により導入して更に重合させる、少なくとも気液混合機構及び温調機構を有する第2重合反応工程を有するカルボン酸系重合体の製造方法が開示されている。
特許第3730615号公報
ところで、気液二相流の反応流体が配管内を流通すると、配管に著しい振動が生じることがあるという問題がある。
本発明の目的は、亜硫酸水素塩と酸素とのレドックス開始剤存在下でカルボン酸系重合体を重合して製造するに際し、気液二相流の反応流体が流通する配管の振動を抑制することである。
本発明者らは、上記配管の振動が、気液二相流の反応流体がスラグ流状態で配管を流通することに起因することを見出し、本発明に想到した。
上記の目的を達成する本発明のカルボン酸系重合体の製造方法は、
α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスからなる反応流体を重合反応器に導入してモノマーを重合させるカルボン酸系重合体の製造方法であって、
酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分において、該配管部分を流通する反応流体を加圧するものである。
本発明のカルボン酸系重合体製造装置は、
α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液を供給するモノマー水溶液供給源と、
亜硫酸水素塩を含有する水溶液を供給する亜硫酸水素塩水溶液供給源と、
酸素を含有するガスを供給する酸素含有ガス供給源と、
上記モノマー水溶液供給源からのモノマー水溶液、上記亜硫酸水素塩水溶液供給源からの亜硫酸水素塩水溶液、及び上記酸素含有ガス供給源からの酸素含有ガスからなる反応流体が供給され、その反応流体を混合すると共にモノマーを重合させる重合反応器と、
を備え、
酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分において、該配管部分を流通する反応流体を加圧する加圧手段を更に備えたものである。
本発明によれば、酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じる配管部分において、その配管部分を流通する反応流体を加圧するので、反応流体がスラグ流状態よりも気泡流状態に近いものとなり、それによって当該配管部分の振動を抑制することができる。
以下、実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のカルボン酸系重合体の製造方法は、α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスからなる反応流体を重合反応器に導入してモノマーを重合させて製品回収し、その際、所定の配管部分を流通する反応流体を加圧するものである。
その具体的態様の一例として、(A)反応流体を第1反応器に導入してモノマーを重合させる第1重合反応工程と、(B)第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応流体を第2反応器に導入して未反応のモノマーを更に重合させる第2重合反応工程と、を備えたものについて説明する。なお、この態様では、上記重合反応器が第1及び第2反応器の2つの反応器で構成される。
<第1重合反応工程>
第1重合反応工程では、α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスからなる反応流体を第1反応器に導入してモノマーを重合させる。
モノマーの水溶液(以下、「モノマー水溶液」という。)におけるモノマーは、主には、α−不飽和カルボン酸又はその塩である。α−不飽和カルボン酸又はその塩の中では、単独重合又は共重合に適しているという観点から、アクリル酸又はその塩を必須成分とするモノマーが好ましい。アクリル酸の場合、無水アクリル酸又はアクリル酸を60質量%以上含有するアクリル酸水溶液とすればよい。また、このアクリル酸水溶液は、酸の一部乃至全部を中和した、例えば、アクリル酸ナトリウム水溶液やアクリル酸カリウム水溶液等のアクリル酸アルカリ金属塩水溶液であってもよい。
モノマー水溶液には、α−不飽和カルボン酸又はその塩の他に、それらと共重合可能な、例えば、マレイン酸、アクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の親水性モノマーを含有させてもよい。全モノマーにおける親水性モノマーの含有量は、重合反応速度を高めると共に分子量の制御を容易にするという観点から0〜30モル%とすることが好ましい。
モノマー水溶液には、その他に重合禁止剤、架橋剤等を含有させてもよい。
モノマー水溶液のモノマー濃度は、生産性を高めるという観点、並びに、反応及び温度の制御を容易にするという観点から、10〜60質量%とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。
モノマー水溶液のpHは、反応性の観点から5〜9とすることが好ましく、更に開始剤効率の高い開始反応を行うという観点から6〜7とすることがより好ましい。
モノマー水溶液の温度は、水溶液として取り扱う観点から5℃以上とすることが好ましく、反応開始前のモノマーの重合を抑制するという観点から30℃以下とすることが好ましい。これらの観点から、モノマー水溶液の温度は、5〜30℃とすることが好ましい。なお、マレイン酸を共重合させる場合には、マレイン酸塩を水溶液として用いるときに、そのマレイン酸塩水溶液の温度を50〜90℃とすることが好ましい。
亜硫酸水素塩を含有する水溶液(以下、「亜硫酸水素塩水溶液」という。)は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素マグネシウム等の亜硫酸水素塩の水溶液である。これらの亜硫酸水素塩の中では、還元作用の強い亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
亜硫酸水素塩水溶液には、その他に重合禁止剤、架橋剤等を含有させてもよい。
亜硫酸水素塩水溶液の濃度は、生産性の観点から1〜40質量%とすることが好ましく、20〜40質量%とすることがより好ましい。
亜硫酸水素塩の量は、使用用途に適した分子量の制御を容易にすると共に開始剤とモノマー又はその塩との反応付加物(以下、単に「反応付加物」という。)の生成を抑制する観点から、モノマー1モルに対して0.008 〜0.1モルとなるように制御することが好ましい。
酸素を含有するガス(以下、「酸素含有ガス」という。)としては、一般的には、空気が挙げられるが、純酸素ガスや純酸素を不活性ガスで希釈したガスであってもよい。
酸素含有ガスには、その他にガス状の原料モノマー等を含有させてもよい。
酸素含有ガスの酸素濃度は、亜硫酸水素塩との反応性の観点から10体積%以上とすることが好ましく、20体積%以上とすることがより好ましい。
酸素含有ガス供給機器としては、コンプレッサーやブロアー設備等が挙げられる。酸素含有ガスの供給は、反応を安定化させる観点から、ガス圧力を定圧に維持すると共に単位時間当たりのガス供給量も定体積に維持して行うことが好ましい。
第1反応器は、特に限定されるものではないが、モノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液と酸素含有ガスとを気液混合する観点から、流通式混合器を用いることが好ましい。かかる流通式混合器としては、例えば、スタティックミキサー、オリフィスミキサーなどの静止型混合器;エジェクターなどの噴流ノズル;ラインミキサーなどの管路攪拌機等が挙げられる。これらの流通式混合器の中では、少ないガス量においても高い混合性能を発揮させることができるという観点、並びに、設備の耐久性及びメンテナンス性等の観点から、静止型混合器を用いることが好ましい。
第1反応器に、モノマー水溶液、亜硫酸水素塩水溶液及び酸素含有ガスからなる反応流体を導入する方法としては、例えば、モノマー水溶液を第1反応器に導入するモノマー水溶液供給配管に、そのモノマー水溶液供給配管に接続された亜硫酸水素塩水溶液供給配管から亜硫酸水素塩水溶液を供給すると共に、同じくモノマー水溶液供給配管に接続された酸素含有ガス供給配管から酸素含有ガスを供給する方法、モノマー水溶液、亜硫酸水素塩水溶液、及び酸素含有ガスのそれぞれを個別に第1反応器に直接導入する方法等が挙げられる。これらの方法の中では、気液の分散性を高めることができるという観点から、前者の方法、つまり、第1反応器の前段で水溶液とガスの予備混合を行う方法が好ましい。なお、2種類以上のモノマー水溶液を用いる場合には、モノマー水溶液を混合して第1反応器に導入しても、また、各モノマー水溶液を個別に第1反応器に導入してもいずれでもよい。
ところで、第1反応器における気液混合状態は第1重合反応の反応性を決める重要な要素である。亜硫酸水素塩と酸素との反応により安定してフリーラジカルを発生させるためには、液中に微細気泡が分散した分散流状態を作り出し、気液の接触効率を高めることが好ましい。
第1反応器として静止型混合器を用いる場合、静止型混合器内におけるモノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液の混合液の流速は、脈動するような不安定な流動状態にならない範囲内で分散流状態を形成させる観点から0.5m/s以上とすることが好ましく、1.0m/s以上とすることがより好ましい。静止型混合器内における酸素含有ガスの流速は、同様の観点から1.0m/s以上とすることが好ましく、3.0m/s以上とすることがより好ましい。これらの流速は、例えば、静止型混合器内で反応流体が通過する部分の最小断面積によって調節することができる。
第1反応器として噴流ノズルを用いる場合、噴流ノズル内におけるモノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液の混合液の流速は、分散流状態を形成させる観点から1.0m/s以上とすることが好ましく、3.0m/s以上とすることがより好ましい。噴流ノズル内における酸素含有ガスの流速は、同様の観点から5m/s以上とすることが好ましく、10m/s以上とすることがより好ましい。これらの流速は、例えば、噴流ノズル内で反応流体が通過する部分の最小断面積によって調節することができる。
第1反応器として管路攪拌機を用いる場合、気泡径が1000μm以下となるように攪拌翼の回転数及びその駆動力を制御することが好ましい。
第1反応器に導入するモノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液の合計体積に対する酸素含有ガスの標準状態(273K,101.3kPa)における体積の比(酸素含有ガスの体積を混合液の体積で除した値。以下、「液ガス比」という。)は、第1反応器の種類にも依存するが、通常、分散流状態を作り出し、また、モノマー水溶液及び亜硫酸水素塩水溶液に対する酸素含有ガスの溶解度を高め、さらに、開始剤効率の高い重合反応を行うという観点から1以上になるように制御することが好ましく、4以上になるように制御することがより好ましい。一方、液ガス比は、第1反応器における圧力損失を低減すると共に流動状態を安定化させ、得られる重合体の分子量を一定化させる観点から300以下になるように制御することが好ましく、200以下になるように制御することがより好ましい。これらの観点から、液ガス比は1〜300になるように制御することが好ましく、4〜200になるように制御することがより好ましい。
第1反応器における反応流体の滞留時間は、開始効率の高い開始反応を行う観点から0.05秒以上とすることが好ましく、0.1秒以上とすることがより好ましい。一方、非常に速いレドックス開始反応の場合であっても、重合熱による温度の上昇や第1反応器の圧力損失を抑制するという観点から、30秒以下とすることが好ましく、10秒以下とすることがより好ましい。これらの観点から、滞留時間は、0.05〜30秒が好ましく、0.1〜10秒がより好ましい。
この第1重合反応工程における反応温度は、重合体の分子鎖の分岐や色相劣化を抑制すると共に反応付加物の生成を抑制するという観点から、80℃以下とすることが好ましく、60℃以下とすることがより好ましい。一方、反応温度は、得られる反応流体を重合体水溶液として取扱うという観点から、5℃以上とすることが好ましい。これらの観点から、反応温度は、5〜80℃とすることが好ましく、5〜60℃とすることがより好ましい。反応温度を制御をする方法としては、例えば、第1反応器における重合反応条件を選定し、重合速度を制御する方法や温調機構などにより重合熱を除去する方法等が挙げられる。
温調機構としては、例えば、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、スパイラル型熱交換器などの一般的な熱交換器等が挙げられる。
第1重合反応工程における重合率は、開始効率の高い開始反応を行うと共に反応付加物の生成量を抑制するという観点から、30%以上となるように制御することが好ましく、35%以上となるように制御することがより好ましい。一方、重合率は、装置コストの低減及び酸素含有ガスの使用量の低減を図ると共に品質が一定した重合体を得るという観点から90%以下となるように制御することが好ましく、80%以下となるように制御することがより好ましい。これらの観点から、重合率は、30〜90%となるように制御することが好ましく、35〜80%となるように制御することが好ましい。重合率を制御する因子としては、例えば、第1反応器への滞留時間、反応温度、液ガス比、亜硫酸水素塩の量等が挙げられる。
第1重合反応工程で得られる反応流体の粘度は、亜硫酸水素塩と酸素との反応により安定してフリーラジカルを発生させるために、液中に微細気泡が分散した分散流状態を作り出し、気液の接触効率を高めるという観点から20℃において700mPa・s以下となるように制御することが好ましく、400mPa・s以下となるように制御することがより好ましい。このような粘度範囲であれば、混合液への酸素含有ガスの吸収効率が高くなり、少ない開始剤量でも分子量の制御を行うことができ、また反応付加物の生成を抑制することもできる。第1重合反応工程で得られる反応流体の粘度の制御は重合率の制御であり、従って、それを制御する因子としては、例えば、第1反応器への滞留時間、反応温度、液ガス比、亜硫酸水素塩の量等が挙げられる。
第1反応器からのモノマーが重合した反応流体は、未反応のモノマーを含有する気液混合流体であり、配管を介して第2重合反応工程に送られる。なお、第2重合反応工程に送られる前に、反応流体に熱交換器や貯槽や気液分離装置等を経由させてもよい。
<第2重合反応工程>
第2重合反応工程では、第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応流体を第2反応器に導入して未反応のモノマーを更に重合させる。
第2反応器としては、例えば、配管に介設された流通式混合器、攪拌槽型反応器、ループ状配管に介設された流通式混合器、気液を接触混合させる気泡塔、その他の気液混合操作可能な気液反応装置等が挙げられる。
流通式混合器としては、例えば、スタティックミキサー、オリフィスミキサーなどの静止型混合器;エジェクターなどの噴流ノズル;ラインミキサーなどの管路攪拌機等が挙げられる。
攪拌槽型反応器としては、例えば、インペラー、ノズル噴流、通気操作などにより気液混合を行う攪拌槽等が挙げられる。
第2重合反応工程では、設備の圧力損失が許される範囲内で、第2反応器に導入する前の反応流体に対して新たに酸素含有ガスを供給することが好ましい。これにより反応流体の粘度上昇による酸素含有ガスの吸収速度の低下を抑制して重合率を高めることができる。
酸素含有ガスには、その他にガス状の原料モノマー等を含有させてもよい。
酸素含有ガスの酸素濃度は、反応性の観点から10体積%以上とすることが好ましく、15体積%以上とすることがより好ましい。
第2反応器に導入される前の反応流体に対して酸素含有ガスを供給する方法としては、例えば、反応流体が流通する配管に、その配管に接続された酸素含有ガス供給配管から酸素含有ガスを供給する方法等が挙げられる。
酸素含有ガス供給機器としては、コンプレッサーやブロアー設備等が挙げられる。酸素含有ガスの供給は、反応を安定化させる観点から、ガス圧力を定圧に維持すると共に単位時間当たりのガス供給量も定体積に維持して行うことが好ましい。
この第2重合反応工程における反応温度は、重合体の分子鎖の分岐や色相劣化を抑制すると共に反応付加物の生成を抑制するという観点から、80℃以下とすることが好ましく、60℃以下とすることがより好ましい。一方、反応温度は、得られる反応流体を重合体水溶液として取扱うという観点から、5℃以上とすることが好ましい。これらの観点から、反応温度は、5〜80℃とすることが好ましく、5〜60度とすることがより好ましい。反応温度を制御をする方法としては、例えば、第2反応器における重合反応条件を選定し、重合速度を制御する方法や温調機構などにより重合熱を除去する方法等が挙げられる。
温調機構としては、例えば、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、スパイラル型熱交換器などの一般的な熱交換器;攪拌槽に付設されたジャケットやコイル等が挙げられる。
第2反応器からのモノマーが更に重合した反応流体は、気液混合流体であり、配管を介して気液分離機構に送られる。
気液分離機構としては、例えば、サイクロン、流下膜式気液分離塔、排気弁を有するガス分離タンク等が挙げられる。気液分離機構のガス放出部には、必要に応じて放出ガス中の水蒸気を凝縮するための熱交換器が設置されていてもよい。ガス分離タンクの場合、冷却を行ったり、局所的にモノマー濃度が高くならないようにするために、攪拌機が付設されていることが好ましい。
第2重合反応工程では、製造する重合体の品質を向上させる観点から、重合率が95%以上となるまで反応を継続することが好ましい。
<製品回収>
第1及び第2重合反応工程を経た水溶液の反応流体を回収する。
製品としてカルボン酸系重合体を含む回収した反応流体には、重合率をより一層高める観点から、製品受槽等で未反応モノマーの低減を行う熟成操作を行うことがより好ましい。なお、反応流体中の未反応モノマーの含有量は、品質及び収率を高める観点から、重合体の40質量%水溶液において、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。また、反応付加物の含有量は、品質及び収率を高める観点から、重合体の40質量%水溶液において、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
回収される反応流体中のカルボン酸系重合体の重量平均分子量は、分散性及び吸着性を高める観点から1000〜100000であることが好ましく、重合体を洗剤用ビルダー、分散剤、スケール防止剤等に用いる場合には、2000〜30000であることが好ましい。また、重量平均分子量を数平均分子量で除した分散指数(Mw/Mn)は、7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
回収される反応流体の固形分量は、生産性を向上させる観点から20質量%以上であることが好ましい。
回収される反応流体には、例えば、固形分調整、pH調整、脱臭処理、脱色処理等の後処理を行ってもよい。
<反応流体の加圧>
本実施形態のカルボン酸系重合体の製造方法では、第1及び第2重合反応工程において、所定の配管部分を流通する酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体を加圧する。このようにすれば、所定の配管部分を流通する反応流体を加圧するので、反応流体がスラグ流状態よりも気泡流状態に近いものとなり、それによって当該配管部分の振動を抑制することができる。
反応流体を加圧する配管部分は、酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分である。この「開放された管端に通じた配管部分」とは、開放された管端に通じると共に他の管端が混合器や熱交換器等の部材に結合した配管部分である。なお、この反応流体の加圧は、上記配管部分のみならず、それ以外の配管においても行うことが好ましく、酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体が流通する全ての配管において行うことがより好ましい。特に、第2重合反応工程の前段で反応流体を加圧すると、反応流体の酸素の溶存濃度が高まり、それによって第2重合反応工程での重合反応促進を図ることができる。
反応流体を加圧する方法(加圧手段)としては、例えば、当該配管部分の管端部にコントロールバルブを設けて反応流体の流量を調節する方法等が挙げられる。
反応流体の加圧圧力は、0.05MPa以上とすることが好ましく、0.1MPa以上とすることがより好ましい。
配管の振動は流通する反応流体の液ガス比が0.1〜100である場合に著しいため、かかる液ガス比の範囲において振動抑制効果が特に顕著となる。
次に、本実施形態のカルボン酸系重合体の製造方法を実施するための装置構成1〜3のそれぞれについて説明する。
(装置構成1)
図1は、装置構成1に係る重合反応装置Aを示す。
この重合反応装置Aは、第1重合部10と第2重合部20とを備えている。
第1重合部10は、モノマー水溶液供給源から延びて第1流通式混合器(第1反応器)11が介設された第1本体配管12を備えている。第1本体配管12のモノマー水溶液供給源近傍には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における第1流通式混合器11の上流側には重亜供給源(亜硫酸水素塩水溶液供給源)から延びた重亜供給配管13が接続されている。また、重亜供給配管13には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における重亜供給配管13の接続部の上流側にはコンプレッサ(酸素含有ガス供給源)から延びた第1エア供給配管14が接続されている。
第2重合部20は、第1本体配管12に続いて接続されて第2流通式混合器(第2反応器)21及び熱交換器23が順に介設された第2本体配管22を備えている。なお、第2流通式混合器21は、重合率を高めるという観点から複数が直列に多段に設けられた構成であってもよい。
第2本体配管22における第2流通式混合器21の上流側にはコンプレッサから延びた第2エア供給配管24が接続されている。
第2本体配管22の管端部にはコントロールバルブ30(加圧手段)が設けられており、管端下方には製品受槽40が設けられている。また、第2本体配管22におけるコントロールバルブ30の上流側の直近には圧力計Pが設けられている。
コントロールバルブ30及び圧力計Pは図示しない制御部に接続されており、第2本体配管22における熱交換器23の下流側の配管部分を流通する反応流体の圧力が所定圧力となるように加圧制御を行う構成となっている。
この重合反応装置Aは、第1重合部10において、モノマー水溶液を供給する第1本体配管12に対し、重亜供給配管13から亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び第1エア供給配管14から空気をそれぞれ供給し、それらの反応流体を第1流通式混合器11に流通させることによりモノマーの重合反応を進行させ(第1重合反応工程)、未反応モノマーを含む反応流体を第2重合部20に連続的に供給し、第2重合部20において、第2本体配管22を流通する未反応モノマーを含む反応流体に対し、第2エア供給配管24から空気を供給し、それらの反応流体を第2流通式混合器21に流通させることにより未反応モノマーの重合反応を進行させ(第2重合反応工程)、第2流通式混合器21を流通した反応流体を熱交換器23により重合熱を除去した後に製品受槽40に連続的に回収する。
このとき、第1本体配管12の第1流通式混合器11よりも上流側の配管部分及び下流側の配管部分、並びに、第2本体配管22の第2流通式混合器21よりも上流側の配管部分、第2流通式混合器21と熱交換器23との間の配管部分、及び熱交換器23よりも下流側の配管部分の配管全体において、酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体が流通する。
この重合反応装置Aでは、酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体が流通する全配管において、反応流体が加圧される構成となっている。
(装置構成2)
図2は、装置構成2に係る重合反応装置Aを示す。なお、図1と同一名称の部分は図1と同一符号で示す。
この重合反応装置Aは、第1重合部10と第2重合部20とを備えている。
第1重合部10は、モノマー水溶液供給源から延びて第1流通式混合器(第1反応器)11が介設された第1本体配管12を備えている。第1本体配管12のモノマー水溶液供給源近傍には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における第1流通式混合器11の上流側には重亜供給源(亜硫酸水素塩水溶液供給源)から延びた重亜供給配管13が接続されている。また、重亜供給配管13には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における重亜供給配管13の接続部の上流側にはコンプレッサ(酸素含有ガス供給源)から延びた第1エア供給配管14が接続されている。エア供給部には、気泡径を1000μm以下に微細化して気液の接触効率を高めるために、例えば、シンタードグラスや多孔板等を設けることが好ましい。
第1本体配管12の管端部にはコントロールバルブ30(加圧手段)が設けられている。また、第1本体配管12におけるコントロールバルブ30の上流側の直近には圧力計Pが設けられている。
コントロールバルブ30及び圧力計Pは図示しない制御部に接続されており、第1本体配管12における第1流通式混合器11の下流側の配管部分を流通する反応流体の圧力が所定圧力となるように加圧制御を行う構成となっている。
第2重合部20は、第1本体配管12が接続された攪拌槽型反応器(第2反応器)25を備えている。攪拌槽型反応器25は、攪拌機25a及び温調用ジャケット25bを有すると共に排気口25cが形成されている。
攪拌槽型反応器25の底部にはコンプレッサから延びた第2エア供給配管24が接続されている。
この重合反応装置Aは、第1重合部10において、モノマー水溶液を供給する第1本体配管12に対し、重亜供給配管13から亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び第1エア供給配管14から空気をそれぞれ供給し、それらの反応流体を第1流通式混合器11に流通させることによりモノマーの重合反応を進行させ(第1重合反応工程)、未反応モノマーを含む反応流体を第2重合部20の攪拌槽型反応器25に回収し、第2重合部20において、攪拌槽型反応器25に回収した未反応モノマーを含む反応流体に対し、第2エア供給配管24から空気を供給すると共に温調用ジャケット25bで温調し且つ攪拌機25aで攪拌することにより未反応モノマーの重合反応を進行させる(第2重合反応工程)。
このとき、第1本体配管12の第1流通式混合器11よりも上流側の配管部分及び下流側の配管部分において、酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体が流通する。
第1本体配管12の第1流通式混合器11よりも下流側の配管部分では、当該配管部分が開放された管端に通じているが、反応流体は、コントロールバルブ30が設けられていることにより流量制限されて加圧される。
(装置構成3)
図3は、装置構成3に係る重合反応装置Aを示す。なお、図1と同一名称の部分は図1と同一符号で示す。
この重合反応装置Aは、第1重合部10と第2重合部20とを備えている。
第1重合部10は、モノマー水溶液供給源から延びて第1流通式混合器(第1反応器)11が介設された第1本体配管12を備えている。第1本体配管12のモノマー水溶液供給源近傍には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における第1流通式混合器11の上流側には重亜供給源(亜硫酸水素塩水溶液供給源)から延びた重亜供給配管13が接続されている。また、重亜供給配管13には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における重亜供給配管13の接続部の上流側にはコンプレッサ(酸素含有ガス供給源)から延びた第1エア供給配管14が接続されている。
第2重合部20は、第2流通式混合器(第2反応器)21、熱交換器23、気液分離器27、循環ポンプ28が順に介設されたループ状配管26を備えており、このループ状配管26の第2流通式混合器21と循環ポンプ28との間に第1本体配管12が接続されている。
ループ状配管26における第1本体配管12の接続部と第2流通式混合器21との間にはコンプレッサから延びた第2エア供給配管24が接続されている。
ループ状配管26における循環ポンプ28と第1本体配管12の接続部との間からは回収管29が延びている。回収管29の管端下方には製品受槽40が設けられている。
ループ状配管26における気液分離器27の上流側の直近にはコントロールバルブ30(加圧手段)が設けられている。また、ループ状配管26におけるコントロールバルブ30の上流側の直近には圧力計Pが設けられている。
コントロールバルブ30及び圧力計Pは図示しない制御部に接続されており、ループ状配管26における熱交換器23と気液分離器27との間の配管部分を流通する反応流体の圧力が所定圧力となるように加圧制御を行う構成となっている。
この重合反応装置Aは、第1重合部10において、モノマー水溶液を供給する第1本体配管12に対し、重亜供給配管13から亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び第1エア供給配管14から空気をそれぞれ供給し、それらの反応流体を第1流通式混合器11に流通させることによりモノマーの重合反応を進行させ(第1重合反応工程)、未反応モノマーを含む反応流体を第2重合部20に連続的に供給し、第2重合部20において、循環ポンプ28によりその反応流体にループ状配管26を循環させながら、反応流体に対し、第2エア供給配管24から空気を新たに供給し、それらの反応流体を第2流通式混合器21に流通させることにより未反応モノマーの重合反応を進行させ(第2重合反応工程)、第2流通式混合器21を流通した反応流体を熱交換器23により冷却し、次いで、気液分離器27により気液分離し、循環ポンプ28を経て、第1本体配管12からの反応流体の供給量と同量の反応流体を回収管29から連続的に流出させ、それを製品受槽40に回収するように構成されている。
第1重合部10から第2重合部20への反応流体の供給量、従って、第2重合部20からの製品回収量は、生産性の観点から、ループ状配管26を循環する反応流体の流量の3.3質量%以上とすることが好ましく、一方、分子量の制御や重合率を高める観点から50質量%以下とすることが好ましい。これらの観点からループ状配管26への反応流体の供給量及びループ状配管26からの反応流体の回収量は3.3〜50質量%とすることが好ましい。また、ループ状配管26での反応流体の平均滞留時間は、重合率を高める観点から1分以上とすることが好ましく、一方、生産性や設備を小型化する観点から120分以下とすることが好ましい。これらの観点からループ状配管26での反応流体の平均滞留時間は1〜120分とすることが好ましい。
このとき、第1本体配管12の第1流通式混合器11よりも上流側の配管部分及び下流側の配管部分、並びに、ループ状配管26の第2流通式混合器21よりも上流側における第1本体配管12の接続部から第2流通式混合器21までの配管部分、第2流通式混合器21と熱交換器23との間の配管部分、及び熱交換器23と気液分離器27との間の配管部分において、酸素含有ガスを含む気液二相流の反応流体が流通する。
ループ状配管26の熱交換器23と気液分離器27との間の配管部分では、当該配管部分が気液分離器27において開放された管端に通じているが、反応流体は、コントロールバルブ30が設けられていることにより流量制限されて加圧される。
なお、ループ状配管26における気液分離器27の下流側から第2エア供給配管24の接続部までの配管部分では、気液分離器27により酸素含有ガスが分離されて液体のみの反応流体とされるので、配管を振動させる大きな要因とはならない。
(試験評価用装置)
図4は、試験評価に使用した重合反応装置Aを示す。なお、図1と同一名称の部分は図1と同一符号で示す。
この重合反応装置Aは、第1重合部10と第2重合部20とを備えている。
第1重合部10は、モノマー水溶液供給源から延びて第1流通式混合器11((株)フジキン社製のオリフィスプレート型静止混合器 商品名:分散君、型式:125D、プレート枚数:5 組−10枚))が介設された第1本体配管12を備えている。第1本体配管12のモノマー水溶液供給源近傍には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における第1流通式混合器11の上流側には重亜供給源(亜硫酸水素塩水溶液供給源)から延びた重亜供給配管13が接続されている。また、重亜供給配管13には図示しない定量ポンプが介設されている。
第1本体配管12における重亜供給配管13の接続部の上流側にはコンプレッサ(酸素含有ガス供給源)から延びた第1エア供給配管14が接続されている。
第1本体配管12における第1流通式混合器11の下流側には圧力計Pが介設されている。
第2重合部20は、攪拌機25a及び加熱ジャケットを有する容量3mの攪拌槽25’と、その底部と上部とを接続するように設けられたループ状配管26と、を備えている。攪拌槽25’からは回収管29が延びている。
ループ状配管26には、攪拌槽25’の底部側から順に、循環ポンプ28、第2流通式混合器21((株)フジキン社製の格子プレート型静止混合器 商品名:混合君、型式:100M型、プレート枚数:5 組−10枚))、及び伝熱面積145mのスパイラル型熱交換器23が介設されていると共に、攪拌槽25’の上部への接続部にコントロールバルブ30が設けられている。また、ループ状配管26のコントロールバルブ30の上流側の直近には圧力計Pが設けられている。
ループ状配管26の循環ポンプ28と第2流通式混合器21との間にはコンプレッサから延びた第2エア供給配管24が接続されている。
ループ状配管26における熱交換器23の下流側の近傍には図示しない温度センサが設けられている。
圧力計P及びコントロールバルブ30は図示しない制御部にそれぞれ接続されており、ループ状配管26における熱交換器23と攪拌槽25’との間の配管部分を流通する反応流体の圧力が所定圧力となるようにコントロールバルブ30を制御する構成となっている。また、温度センサも制御部に接続されており、ループ状配管26を流通する反応流体の温度が設定温度となるように熱交換器23を制御する構成となっている。
第1重合部10の第1本体配管12は第2重合部20のループ状配管26における循環ポンプ28と第2エア供給配管24の接続部との間に接続されている。
この重合反応装置Aは、第1重合部10において、モノマー水溶液を供給する第1本体配管12に対し、重亜供給配管13から亜硫酸水素ナトリウム水溶液及び第1エア供給配管14から空気をそれぞれ供給し、それらの反応流体を第1流通式混合器11に流通させることによりモノマーの重合反応を進行させ(第1重合反応工程)、未反応モノマーを含む反応流体を第2重合部20に連続的に供給し、第2重合部20において、循環ポンプ28によりその反応流体にループ状配管26を循環させながら、反応流体に対し、必要に応じて第2エア供給配管24から空気を新たに供給し、その反応流体を第2流通式混合器21に流通させることにより未反応モノマーの重合反応を進行させ(第2重合反応工程)、第2流通式混合器21を流通した反応流体を熱交換器23により冷却し、攪拌槽25’に回収するように構成されている。
このとき、第1本体配管12の第1流通式混合器11よりも上流側の配管部分及び下流側の配管部分、並びに、ループ状配管26の第2流通式混合器21よりも上流側における第1本体配管12の接続部から第2流通式混合器21までの配管部分、第2流通式混合器21と熱交換器23との間の配管部分、及び熱交換器23よりも下流側の配管部分の配管全体において、空気を含む気液二相流の反応流体が流通する。
ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分では、当該配管部分が攪拌槽25’において開放された管端に通じているが、反応流体は、コントロールバルブ30が設けられていることにより流量制限されて加圧される。
この重合反応装置Aでは、空気を含む気液二相流の反応流体が流通する全配管において、反応流体が加圧される構成となっている。
(ポリマー重合)
以下の実施例1及び2並びに比較例に従ってポリマーを重合した。詳細条件は表1にも示す。
<実施例1>
第1重合部10において、第1流通式混合器11に対し、第1本体配管12から38質量%アクリル酸ナトリウム水溶液(20℃、pH=6.3、中和度:95mol%)を3684L/hrの流量で供給し、重亜供給配管13から35質量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(対アクリル酸3.0mol%)を125L/hrの流量で供給し、第1エア供給配管14から空気を38Nm/hr(液ガス比G/L=10)の流量で供給して、それらの反応流体を第1流通式混合器11に流通させた。第1流通式混合器11から出た反応流体の圧力は0.4MPaであった。
第2重合部20においては、第1重合部10から供給された反応流体を攪拌槽25’内で攪拌すると共に、循環ポンプ28を稼働させて反応流体にループ状配管26を循環させ、反応流体を第2流通式混合器21に繰り返し流通させた。このとき、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分を流通する反応流体の圧力が0.15MPaとなるようにコントロールバルブ30を制御した(バルブ開度9%)。また、ループ状配管26内の反応流体に対し、第2エア供給配管24から空気を25Nm/hr(ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分を流通する反応流体の液ガス比G/L=1.6)の流量で供給した。さらに、反応流体の温度が30℃となるように熱交換器23を制御した。なお、ループ状配管26での反応流体の流量は40m/hr、ループ重合部での反応流体の滞留時間は40分であった。
<実施例2>
第2重合部20において、第2エア供給配管24からの空気の供給を行わなかったことを除いて実施例1と同様にしてポリマーを重合した。なお、第1流通式混合器11から出た反応流体の圧力は0.4MPa、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分を流通する反応流体の液ガス比G/Lは0.5であった。また、バルブ開度は10%、ループ状配管26での反応流体の流量は56m/hrであった。
<比較例>
コントロールバルブ30の制御を行わずに第2流通式混合器21より下流側を開放系としたことを除いて実施例1と同様にしてポリマーを重合した。なお、第1流通式混合器11から出た反応流体の圧力は0.3MPa、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分を流通する反応流体の液ガス比G/Lは1.1であった。また、バルブ開度は100%、ループ状配管26での反応流体の流量は56m/hrであった。
Figure 2008120939
(試験評価方法)
実施例1及び2並びに比較例のそれぞれで、第1本体配管12のループ状配管26との接続部近傍及びループ状配管26の熱交換器23近傍のそれぞれの振動を測定した。また、第1重合部10の出口及び第2重合部20の出口のそれぞれでサンプリングした反応流体について残存モノマー量及び重合率を求めた。
<配管の振動>
第1本体配管12のループ状配管26との接続部近傍及びループ状配管26の熱交換器23近傍のそれぞれの一点についてx方向、y方向及びz方向を決め、実施例1及び2並びに比較例のそれぞれで、各方向の振動の振幅値を測定した。
<残存モノマー量>
各反応流体について、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用い、既知濃度の未反応モノマーの検量線により、反応流体中の残存モノマー量の濃度を求めた。
HPLCの測定条件は以下の通りとした。
カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK−GEL ODS−80TS
移動相:0.02mol/Lリン二水素カリウムにリン酸を加えてpHを2.5に調整した水溶液
検出器:紫外線検出器(波長:210nm)
カラム温度:30℃
流速:1.0mL/min
試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製したものから10μLをカラムに分取した。
<重合率>
各反応流体について、反応前後の未反応モノマー量及び反応付加物に転化したモノマー量から重合率を下式に基づいて算出した。なお、反応付加物に転化したモノマー量はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により求めた。
〔重合率〕
=〔(反応前の未反応モノマー量)−(反応後の未反応モノマー量)−(反応付加物に転化したモノマー量)〕÷〔反応前の未反応モノマー量〕×100
(試験評価結果)
試験結果を表2に示す。
Figure 2008120939
<配管の振動>
表2によれば、第1本体配管12のループ状配管26との接続部近傍では、反応流体の圧力が0.3MPaである比較例よりも、反応流体の圧力がそれよりも高い0.4MPaである実施例1及び2の方が、x方向、y方向及びz方向のいずれの方向も振動の振幅値が小さいことが分かる。
また、ループ状配管26の熱交換器23近傍では、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分の管端を開放系として、そこを流通する反応流体に加圧を行わなかった比較例よりも、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分の管端部にコントロールバルブ30を設け、そこを流通する反応流体に0.15MPaの圧力を加圧する制御を行った実施例1及び2の方が、x方向、y方向及びz方向のいずれの方向も振動の振幅値が小さいことが分かる。
<残存モノマー量及び重合率>
ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分の管端を開放系として、そこを流通する反応流体に加圧を行わなかった比較例よりも、ループ状配管26の熱交換器23よりも下流側の配管部分の管端部にコントロールバルブ30を設け、そこを流通する反応流体に0.15MPaの圧力を加圧する制御を行った実施例1及び2の方が、第2重合部20で最終的に得られた反応流体中に含まれる残存モノマー量が少なく、また、重合率が高いことが分かる。
また、第2重合部20において空気を供給しなかった実施例2よりも、第2重合部20においてさらに空気を供給した実施例1の方が、第2重合部20で最終的に得られた反応流体中に含まれる残存モノマー量が少なく、また、重合率が高いことが分かる。
本発明は、カルボン酸系重合体の製造方法及びそれに用いる重合体製造装置について有用である。
装置構成1の重合反応装置を示す概略図である。 装置構成2の重合反応装置を示す概略図である。 装置構成3の重合反応装置を示す概略図である。 実施例で用いた重合反応装置を示す概略図である。
符号の説明
A 重合反応装置
10 第1重合部
11 第1流通式混合器
20 第2重合部
21 第2流通式混合器
25 攪拌槽型反応器
26 ループ状配管
30 コントロールバルブ(加圧手段)

Claims (6)

  1. α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液、亜硫酸水素塩を含有する水溶液、及び酸素を含有するガスからなる反応流体を重合反応器に導入してモノマーを重合させるカルボン酸系重合体の製造方法であって、
    酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分において、該配管部分を流通する反応流体を加圧するカルボン酸系重合体の製造方法。
  2. (A)反応流体を第1反応器に導入してモノマーを重合させる第1重合反応工程と、
    (B)上記第1重合反応工程で得られた、未反応のモノマーを含有する反応流体を第2反応器に導入して未反応のモノマーを更に重合させる第2重合反応工程と、
    を備えた請求項1に記載されたカルボン酸系重合体の製造方法。
  3. 上記配管部分を流通する反応流体を0.05MPa以上に加圧する請求項1に記載されたカルボン酸系重合体の製造方法。
  4. 上記第2重合反応工程において、上記第2反応器に導入する前の反応流体に対して新たに酸素を含有するガスを供給する請求項2に記載されたカルボン酸系重合体の製造方法。
  5. 上記第2重合反応工程の上記第2反応器は、配管に介設された他の流通式混合器、攪拌槽型反応器、又は、ループ状配管に介設された他の流通式混合器で構成されている請求項2に記載されたカルボン酸系重合体の製造方法。
  6. α−不飽和カルボン酸又はその塩を含有するモノマーの水溶液を供給するモノマー水溶液供給源と、
    亜硫酸水素塩を含有する水溶液を供給する亜硫酸水素塩水溶液供給源と、
    酸素を含有するガスを供給する酸素含有ガス供給源と、
    上記モノマー水溶液供給源からのモノマー水溶液、上記亜硫酸水素塩水溶液供給源からの亜硫酸水素塩水溶液、及び上記酸素含有ガス供給源からの酸素含有ガスからなる反応流体が供給され、その反応流体を混合すると共にモノマーを重合させる重合反応器と、
    を備え、
    酸素を含有するガスを含む気液二相流の反応流体が流通する、少なくとも開放された管端に通じた配管部分において、該配管部分を流通する反応流体を加圧する加圧手段を更に備えたカルボン酸系重合体製造装置。
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