JP2008120849A - プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子、その製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物 - Google Patents

プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子、その製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008120849A
JP2008120849A JP2006302901A JP2006302901A JP2008120849A JP 2008120849 A JP2008120849 A JP 2008120849A JP 2006302901 A JP2006302901 A JP 2006302901A JP 2006302901 A JP2006302901 A JP 2006302901A JP 2008120849 A JP2008120849 A JP 2008120849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic polymer
acrylic
plastisol
plastisol composition
polymer fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006302901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008120849A5 (ja
JP5097383B2 (ja
Inventor
Shinji Saeki
慎二 佐伯
Yoriko Arai
依里子 荒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2006302901A priority Critical patent/JP5097383B2/ja
Publication of JP2008120849A publication Critical patent/JP2008120849A/ja
Publication of JP2008120849A5 publication Critical patent/JP2008120849A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5097383B2 publication Critical patent/JP5097383B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】貯蔵時に安定してゾル状を維持する優れた貯蔵安定性を有し、加熱時に高速でゲル化する優れたゲル化性を有するプラスチゾル組成物を与え、強靭、且つ柔軟性を有する塗膜や成形体を与えるプラスチゾル組成物用アクリル系重合体微粒子や、その製造方法、を提供し、自動車、床材、壁紙、鋼板等の各種被覆材や、スラッシュ成形、ディップ成形、ローテーション成形等の各種成形用材料として広範囲に使用可能なアクリル系プラスチゾル組成物を提供することにある。
【解決手段】アクリル系重合体と、融点が50℃以上250℃以下の有機化合物とを含有し、該有機化合物の含有量が0.1質量%以上10質量%未満の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系重合体微粒子、その製造方法及びアクリル系プラスチゾル組成物に関する。より詳しくは、貯蔵安定性に優れ、柔軟性を有する成形体を与えるプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子、その製造方法及びアクリル系プラスチゾル組成物に関する。
重合体粒子を可塑剤に分散したプラスチゾル組成物は、一般にペーストレジンと称され、工業的に広く用いられている。具体的には、自動車、床材、壁紙、鋼板等の被覆材や、スラッシュ成形、ディップ成形、ローテーション成形等の成形用材料として用いられている。塩化ビニル重合体が焼却時に毒性が高いダイオキシンの発生源となることが知られて以来、成形性に優れ安価であるものの安全性に問題がある塩化化ビニル樹脂に替え、アクリル系樹脂を重合体として用いるアクリル系プラスチゾル組成物が使用されている。
近年、アクリル系プラスチゾル組成物は、高い安全性のため広範に使用されるようになり、要求される品質、性能は高くなっている。特に、得られる被膜や成形体が柔軟で低弾性率でありながら、貯蔵安定性に優れるアクリル系プラスチゾル組成物の要請が高い。
アクリル系プラスチゾル組成物の貯蔵安定性を向上する方法として、重合体微粒子の表層部に酸基を導入することが提案されている(特許文献1、2)。これらはそれぞれ、貯蔵安定性及び可塑剤保持性に優れたプラスチゾル組成物を得ること、また、貯蔵安定性及びゲル化性能に優れたプラスチゾル組成物を得ることを目的としているが、プラスチゾル組成物に酸基を持つ重合体微粒子を用いた場合、得られる塗膜の弾性率が高くなり柔軟性が低下する傾向にある。
ここで、プラスチゾル組成物中に含まれる重合体粒子は一定温度以上に加熱されると可塑剤を吸収し溶融し可塑剤中に均一に溶融され、その後、架橋結合が形成されることにより、強靭な塗膜が形成される。重合体粒子が可塑剤中に溶融する前に、架橋結合が進行すると、その後重合体粒子を加熱しても可塑剤を吸収し膨潤し溶融することはなく、高分子鎖が均一に絡み合った塗膜を形成することができない。一方において、架橋反応の進行が遅いと一定の加熱条件により充分な架橋結合が形成されず、強靭な塗膜が得られない。このように、加熱時に架橋反応を、重合体粒子の溶融より遅れて開始させ、開始後はその進行速度を一定以上に確保する必要がある。このため、コアシェル構造のアクリル系重合体粒子のコア部に官能基を有し、シェル部とは反応せずコア部の官能基と反応し得る官能基を2個以上有する有機化合物を可塑剤に含有させたアクリル系プラスチゾル組成物が提案されている(特許文献3)。このアクリル系プラスチゾル組成物に用いられるアクリル系重合体粒子は表面に酸基が存在しないところから、得られる塗膜は柔軟性を有するが、ここで使用される有機化合物は、アクリル系重合体の架橋反応速度を溶融速度より遅延させるため、コアに有する反応基と特定の組み合わせにおいて用いられており、貯蔵安定性の向上には寄与していない。
以上のように、優れた貯蔵安定性を有するプラスチゾル組成物を与え、強靭で柔軟性を有する塗膜や成形体を与えるプラスチゾル組成物用アクリル系重合体微粒子は得られていない。
WO00/01748号公報 特開平6−322225号公報 特開2000−273262号公報
本発明の課題は、貯蔵時に安定してゾル状を維持する優れた貯蔵安定性を有し、加熱時に高速でゲル化する優れたゲル化性を有するプラスチゾル組成物を与え、強靭、且つ柔軟性を有する塗膜や成形体を与えるプラスチゾル組成物用アクリル系重合体微粒子を提供することにある。また、このプラスチゾル組成物用アクリル系重合体微粒子を容易に製造することができる製造方法を提供することにある。また、貯蔵安定性に優れ、加熱時のゲル化性に優れ、強靭、且つ、柔軟性を有する塗膜や成形体を成形することができ、自動車、床材、壁紙、鋼板等の各種被覆材や、スラッシュ成形、ディップ成形、ローテーション成形等の各種成形用材料として広範囲に使用可能なアクリル系プラスチゾル組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究の結果、アクリル系重合体の分散液に、特定の含有割合となるように融点が50℃以上250℃以下の有機化合物とを添加し乾燥することにより得られるアクリル系重合体微粒子を含有するプラスチゾル組成物では、常温において、アクリル系重合体微粒子の表面を覆う有機化合物が、アクリル系重合体が可塑剤を吸収するのを阻止し架橋反応の進行を抑制する作用を有し、加熱時においてアクリル系重合体が可塑剤を吸収しゲル化させ得ることの知見を得た。かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明は、アクリル系重合体と、融点が50℃以上250℃以下の有機化合物とを含有し、該有機化合物の含有量が0.1質量%以上10質量%未満の範囲であるプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子に関する。
また、本発明は、上記プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法であって、アクリル系重合体分散液を作成し、該分散液に融点が50℃以上250℃以下の有機化合物を添加し乾燥することを特徴とするプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、上記プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子と、可塑剤とを含むアクリル系プラスチゾル組成物に関する。
本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子は、貯蔵時に安定してゾル状を維持する優れた貯蔵安定性を有し、加熱時に高速でゲル化する優れたゲル化性を有するプラスチゾル組成物を与え、強靭、且つ、柔軟性を有する塗膜や成形体を与えることができる。また、本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法は、上記プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子を容易に製造することができる。更に、本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、貯蔵安定性に優れ、加熱時のゲル化性に優れ、強靭、且つ、柔軟性を有する塗膜や成形体を成形することができ、自動車、床材、壁紙、鋼板等の各種被覆材や、スラッシュ成形、ディップ成形、ローテーション成形等の各種成形用材料として広範囲に使用することができる。
[プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子]
本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粉子は、アクリル系重合体と、融点が50℃以上250℃以下の有機化合物とを含有し、該有機化合物の含有量が0.1質量%以上10質量%未満の範囲であることを特徴とする。
本発明に用いるアクリル系重合体は、アクリル酸や、その誘導体、例えば、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸及びそのエステル等の重合体や共重合体であればいずれでもよいが、(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体であることが好ましい。かかる(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは容易に入手することができ、工業生産上好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を構成するコモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有単量体、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸アセトアセトキエチル等のカルボニル基含有単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の環状エーテル基含有単量体、(メタ)アクリル酸N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体、さらにアクリルアミド及びその誘導体として、例えば、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等、さらにはウレタン変性アクリレート類、エポキシ変性アクリレート類、シリコーン変性アクリレート類等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用途に応じて組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
上記アクリル系重合体は分子量が8万以上が好ましく、10万以上がより好ましい。一方、150万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。
本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子に用いる有機化合物は、融点が50℃以上250℃以下である。融点50℃以上の有機化合物を用いることで、プラスチゾル組成物の貯蔵安定性が向上し、また、融点250℃以下の有機化合物を用いることで、プラスチゾルにおいて、保存時はゾル状を維持し、加熱時に重合体微粒子が可塑剤を高速で吸収し膨潤して均一なゲル状とすることができる、いわゆるゲル化性を良くすることができる。この有機化合物の融点は、80℃以上200℃以下がより好ましい。このような融点を有する有機化合物は、アクリル系重合体と共に微粒子を構成することにより、常温のプラスチゾル組成物中ではアクリル系重合体が可塑剤を吸収するのを抑制し、加熱時、例えば、100〜250℃でアクリル系重合体が可塑剤を吸収しゲル化させ得る。このため、プラスチゾル組成物の保存中はゲル化が抑制されてゾル状態が安定して保持され、加熱によりアクリル系重合体が可塑剤を高速で吸収し膨潤し、プラスチゾル組成物がゲル化する。有機化合物は、水への溶解度が1g/100g以上であるものが、貯蔵安定性の向上効果が高いことから、好ましい。また、上記有機化合物は、保存中のプラスチゾル組成物をゾル状に保持する機能を有すると共に、加熱により可塑剤を吸収し膨潤したアクリル系重合体の架橋結合の形成を促進する機能を有するものがより、好ましい。
上記有機化合物の分子量は500以下が好ましい。この範囲の分子量を有する有機化合物を含有することにより、重合体粒子のゲル化性を良好にすることができる。有機化合物の分子量は、300以下がより好ましい。
上記有機化合物としては、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、安息香酸、トルイル酸等の有機酸類、トルイジン、トルイレンジアミン、アミノフェノール等の有機アミン類、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等の有機ヒドラジド類等を挙げることができる。これらの化合物は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような有機化合物の含有量としては、プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子中0.1質量%以上10質量%未満の範囲であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。アクリル系重合体微粒子に含有される有機化合物の含有量がこの範囲であれば、保存時においてプラスチゾル組成物中のアクリル系重合体が可塑剤を吸収することによりゲル化するのを抑制することができプラスチゾル組成物において貯蔵安定性に優れたものとなり、しかも、加熱時においてはアクリル系重合体が高速で可塑剤を吸収しプラスチゾル組成物のゲル化を促進することができる。
本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の粒子構造は、均一構造、多層構造、グラディエント構造等とすることができるが、中でも2層以上の多層構造を持つことが、加熱時のプラスチゾルのゲル化、その後の架橋結合の形成により強度の高い被覆、成形体を与えるため好ましい。
[アクリル系重合体微粒子の製造方法]
本発明のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法としては、アクリル系重合体分散液を作成し、該分散液に融点が50℃以上250℃以下の有機化合物を添加し乾燥することを特徴とする。
上記アクリル系重合体分散液の作成は、例えば、乳化重合によりアクリル系重合体エマルジョンを作成する方法を挙げることができる。乳化重合としては、分散媒中に単量体を重合開始剤と共に混合し重合体を分散したエマルジョンとして得るものであってもよいが、コアシェル構造等の多層構造や、グラディエント構造のアクリル系重合体微粒子を得る場合は、ソープフリー乳化重合により分散媒中で単量体を重合しシード粒子を作成した後、更に、単量体混合物を滴下重合する、シード乳化重合法が好ましい。分散媒としては、水の他、メタノール、エタノール等水溶性の媒体を含んでいてもよい。ソープフリー乳化重合としては、乳化剤を用いない、または乳化剤の濃度が臨界ミセル濃度以下である状態で水溶性開始剤を用いて行う重合を挙げることができる。
エマルション中に分散するアクリル系重合体の体積平均粒子径(体積平均一次粒子径)は、可塑剤中での分散性を考慮すると300nm以上が好ましく、350nm以上であると、プラスチゾル組成物の粘度及び貯蔵安定性の点からより好ましく、400nm以上が特に好ましい。また、体積平均粒子径は一次粒子が沈殿せずに安定に分散する点から3μm以下が好ましい。
上記乳化重合に用いる重合開始剤としては、水分散媒に可溶な重合開始剤が好ましい。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等を挙げることができ、一次粒子の凝集を抑制する点で過硫酸カリウムを使用することが好ましい。
重合開始剤の使用量は任意に設定することができる。分子量の大きいアクリル系重合体微粒子を用いると得られる被覆または成形体の強度が向上することから、作成する被膜または成形体の目的強度に応じて重合開始剤の使用量を適宜選択することができる。例えば、単量体100質量部に対して3質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。
上記乳化重合に用いる乳化剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系等一般的に使用されるものを使用することができるが、酸基含有単量体を用いた場合の重合安定性の点から、アニオン系乳化剤、若しくは、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を併用することが好ましい。また、単量体と反応性基を有する反応性乳化剤を用いることもできる。反応性乳化剤を用いることにより、噴霧乾燥して得られるアクリル系重合体微粒子を含有するプラスチゾル組成物を用いた被覆や成形体において、乳化剤がその表面に局在することを抑制することができ、乳化剤が全体に存在することにより、優れた耐温水白化性を有するものとなる。かかる反応性乳化剤としては、具体的には、スルホコハク酸アルキルアルケニルエステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンルアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアリルアルキルエーテルリン酸アンモニウム塩等を挙げることができる。
乳化剤の使用量としてはアクリル系単量体に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。反応性乳化剤の使用量がアクリル系単量体に対して0.1〜10質量%であれば、重合安定性を得ることができる。
アクリル系重合体分散液に上記有機化合物を添加する方法としては、アクリル系重合体との合計に対して、有機化合物が0.1質量%以上10質量%未満の範囲で添加し攪拌する方法等によることができる。
得られた有機化合物を含有するアクリル系重合体分散液の乾燥は、噴霧乾燥法、凝固後濾過乾燥する方法等、公知の方法によることができるが、噴霧乾燥機を用いる方法が生産性の点から好ましい。このようにして得られるプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子は、表面に有機化合物が付着したアクリル系重合体微粒子であり、その粒子径としては、20〜100μmの範囲であることが好ましい。
[アクリル系プラスチゾル組成物]
本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、上記プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子と、可塑剤とを含む。
上記可塑剤としては、例えば、ジアルキルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル系可塑剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を使用することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の配合量はアクリル系重合体微粒子100質量部に対して50〜300質量部が好ましい。
本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、上記含有物の機能を阻害しない範囲で他の添加物を含有していてもよい。具体的には、被覆を成形する基材に応じて接着剤を配合してもよい。基材が電着板や鋼板の場合、接着剤として、例えば、エポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂、ポリアミン等を用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
接着剤の配合量はアクリル系重合体微粒子100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.5〜50質量部がより好ましい。
また、必要に応じて接着剤の硬化剤を配合することもでき、例えば、接着剤がエポキシ樹脂の場合、酸無水物、イミダゾール化合物等、ブロックウレタン樹脂の場合は、ジヒドラジド化合物等を挙げることができる。
更に、本発明のアクリル系プラスチゾル組成物は、用途に応じて各種の添加剤を配合してもよい。具体例には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の無機フィラー類、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、減粘剤、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤等を挙げることができる。
以下に、本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中に述べる評価は、以下の方法により行ったものである。なお、例中の部は、質量部である。
[実施例1]
[アクリル系重合体微粉末の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、純水380gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、メタクリル酸メチル15g及びメタクリル酸n−ブチル15gを入れ、200rpmで攪拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点で、10gの純水に溶解した過硫酸カリウム0.25gを一度に添加し、重合を開始した。そのまま80℃にて攪拌を60分攪拌して重合を完了し、シード粒子のエマルジョンを得た。
次いで、メタクリル酸メチル125g、メタクリル酸n−ブチル125g、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(花王(株)製:ペレックスO−TP)5g及び純水125gを混合攪拌して2段目の単量体の混合物の乳化液を調製した。
上記シード粒子のエマルジョンに調製した2段目の単量体の乳化液を2時間かけて滴下して重合した。引き続き80℃で1時間攪拌して重合を完了し、アクリル系重合体のエマルション(1)を得た。
次いで、メタクリル酸メチル170g、メタクリル酸i−ブチル75g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、ペレックスO-TP5g及び純水125gを混合攪拌して3段目の単量体の混合物の乳化液を調製した。
上記アクリル系重合体のエマルジョン(1)に調製した3段目の単量体の乳化液を2時間かけて滴下しながら重合した。引き続き80℃にて1時間攪拌して重合を完全し、重合体エマルションを得た。
この重合体エマルションに、有機化合物として、アジピン酸ジヒドラジト(大塚化学(株)製:アジピン酸ジヒドラジド)7.5gを添加し、引き続き80℃で1時間攪拌して完全に溶解し、有機化合物含有アクリル系重合体のエマルションを得た。
この有機化合物含有アクリル系重合体のエマルションを室温まで冷却した後、300メッシュで濾過し、スプレードライヤー(大川原化工機(株)製:CL−8型)を用いて、入口温度150℃、出口温度65℃、アトマイザ回転数20000rpmで噴霧乾燥し、アクリル系重合体微粒子(P1)を得た。
[アクリル系プラスチゾル組成物の調製]
アクリル系重合体微粒子100部及び可塑剤としてジイソノニルフタレート100部を自転・公転方式スーパーミキサー((株)シンキー製:ARV−200)を用いて2000rpmで2分間混練し、アクリル系プラスチゾル組成物を得た。得られたプラスチゾル組成物の初期の粘度をBH型粘度計((株)東京計器製)、ローターNo.7、10rpm、25℃の条件で測定した。
[アクリル系プラスチゾル組成物の貯蔵安定性]
得られたアクリル系プラスチゾル組成物を40℃の恒温室中に保温し、5日後に取り出して貯蔵後の粘度を測定し、以下の式から増粘率(%)を求め、増粘率から貯蔵安定性を以下の基準で評価した。プラスチゾル組成物の貯蔵安定性は増粘率77%、弾性率は0.5MPaで、共に良好であった。
増粘率(%)={(貯蔵後の粘度/初期の粘度)−1}×100
[評価基準]
◎:100未満
○:100以上、300未満
×:300以上
[塗膜の柔軟性評価]
得られたアクリル系プラスチゾル組成物を、テフロンコーティングした鉄板上に2mm厚で塗布し、130℃のオーブン中2時間で加熱ゲル化させ塗膜を得た。得られた塗膜をダンベル2号形状に打ち抜き、試験片を得た。これを23℃環境下で引張試験を行い、せん断接着強度を測定した。測定には(株)島津製作所製の引張測定装置(AG−IS 5KN)を用い、試験速度を200mm/分とした。得られた初期弾性率を基に、柔軟性について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
○:1MPa未満
×:1MPa以上。
[実施例2、3]
有機化合物として、アジピン酸ヒドラジト7.5gに替えて、それぞれコハク酸(関東化学(株)製:試薬特級)10g、アジピン酸(関東化学(株)製:試薬特級)25gを使用した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P2)、(P3)を作製し、これを用いてアクリル系プラスチゾル組成物を調製し、実施例1と同様にして貯蔵安定性の評価を行った。また、実施例1と同様に塗膜を形成し柔軟性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
有機化合物を用いないこと以外は実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P4)を作製し、これを用いてアクリル系プラスチゾル組成物を調製し、実施例1と同様にして貯蔵安定性の評価を行った。また、実施例1と同様に塗膜を形成し柔軟性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
3段目の単量体の混合物の乳化液として、メタクリル酸メチル165g、メタクリル酸i−ブチル75g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、メタクリル酸5g、ペレックスO−TP5g及び純水125gを用いて調製した単量体の混合物の乳化液に替え、また、有機化合物を用いないことの他は、実施例1と同様にしてアクリル系重合体微粒子(P5)を作製し、これを用いてアクリル系プラスチゾル組成物を調製し、実施例1と同様にして貯蔵安定性の評価を行った。また、実施例1と同様に塗膜を形成し柔軟性の評価を行った。結果を表1に示す。アクリル系重合体微粒子を、その表面に酸基を有することによりプラスチゾル組成物の貯蔵安定性を向上させた場合は、得られる塗膜において柔軟性の低下が見られた。
[比較例3]
有機化合物を用いない他は実施例1と同様に調製したアクリル系重合体微粒子(P4)を用い、アクリル系プラスチゾル組成物中における含有量が、実施例1のアシピン酸ヒドラジドと同様になるようにアジピン酸ヒドラジドを用いた他は実施例1と同様にアクリル系プラスチゾル組成物を調製し、実施例1と同様にして貯蔵安定性の評価を行った。また、実施例1と同様に塗膜を形成し柔軟性の評価を行った。結果を表1に示す。有機化合物を、プラスチゾル組成物の調製時に配合した場合では、貯蔵安定性の向上効果は見られなかった。
Figure 2008120849

Claims (3)

  1. アクリル系重合体と、融点が50℃以上250℃以下の有機化合物とを含有し、該有機化合物の含有量が0.1質量%以上10質量%未満の範囲であるプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子。
  2. 請求項1に記載のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法であって、アクリル系重合体分散液を作成し、該分散液に融点が50℃以上250℃以下の有機化合物を添加し乾燥することを特徴とするプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法。
  3. 請求項1に記載のプラスチゾル用アクリル系重合体微粒子と、可塑剤とを含むアクリル系プラスチゾル組成物。
JP2006302901A 2006-11-08 2006-11-08 プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物 Expired - Fee Related JP5097383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006302901A JP5097383B2 (ja) 2006-11-08 2006-11-08 プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006302901A JP5097383B2 (ja) 2006-11-08 2006-11-08 プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008120849A true JP2008120849A (ja) 2008-05-29
JP2008120849A5 JP2008120849A5 (ja) 2009-12-24
JP5097383B2 JP5097383B2 (ja) 2012-12-12

Family

ID=39505954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006302901A Expired - Fee Related JP5097383B2 (ja) 2006-11-08 2006-11-08 プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5097383B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010024373A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチゾル組成物および物品

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329135A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Aisin Chem Co Ltd アクリルゾル
JP2004051792A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチゾル組成物、ゲル化膜、及び物品
JP2005239769A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル系重合体微粒子及びその製造方法、並びにプラスチゾル組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001329135A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Aisin Chem Co Ltd アクリルゾル
JP2004051792A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチゾル組成物、ゲル化膜、及び物品
JP2005239769A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル系重合体微粒子及びその製造方法、並びにプラスチゾル組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010024373A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチゾル組成物および物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP5097383B2 (ja) 2012-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3621885B2 (ja) アクリル系重合体微粒子及びそれを用いたプラスチゾル
JP6016907B2 (ja) 水再分散性エポキシポリマー粉体および同粉体を製造するための方法
JP5958499B2 (ja) (メタ)アクリル系重合体粒子及びその製造方法
JP3934108B2 (ja) プラスチゾル組成物、ゲル化膜、及び物品
WO2007097428A1 (ja) (メタ)アクリル系重合体粒子、その製造方法、プラスチゾル及び物品
JP3621918B2 (ja) アクリル系重合体微粒子の製造方法
JP5097383B2 (ja) プラスチゾル用アクリル系重合体微粒子の製造方法及びアクリル系ブラスチゾル組成物
JPWO2015174372A1 (ja) アクリル系重合体、その製造方法及びそのアクリル系重合体を含むプラスチゾル組成物
JP2006219559A (ja) アクリル系重合体微粒子及びそれを用いたプラスチゾル組成物
JP4951239B2 (ja) 2液系プラスチゾル組成物およびその使用方法
JP2008231377A (ja) アクリル系重合体微粒子及びアクリル系プラスチゾル組成物
JP2000273262A (ja) アクリル系プラスチゾル組成物
JP3946215B2 (ja) アクリル系重合体微粒子
JP4077323B2 (ja) プラスチゾル組成物及びそれを用いた成形品及び物品
JP2005232297A (ja) アクリル系重合体微粒子及びプラスチゾル組成物
JP3934796B2 (ja) 床材
JP4190954B2 (ja) アクリル系プラスチゾル組成物及びそれを用いて得られる物品
JP2006299195A (ja) プラスチゾル組成物
JP2005263846A (ja) アクリル系プラスチゾル組成物
JP2005232411A (ja) アクリル系プラスチゾル組成物
JP5288540B2 (ja) プラスチゾル組成物および物品
JP2010024372A (ja) アクリル系重合体微粒子及びプラスチゾル組成物
JP2008063369A (ja) アクリル系重合体微粒子、その製法及びプラスチゾル組成物
JP5063043B2 (ja) 軟質成形用アクリル系重合体微粒子及びこれを用いた軟質アクリル系樹脂組成物並びにアクリル系軟質シート
JP5349380B2 (ja) アクリル系重合体微粒子を含むプラスチゾル組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091106

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101007

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120924

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5097383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees