JP2008117782A - 導電性ガラスおよびこれを用いた光電変換素子 - Google Patents

導電性ガラスおよびこれを用いた光電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2008117782A
JP2008117782A JP2007304992A JP2007304992A JP2008117782A JP 2008117782 A JP2008117782 A JP 2008117782A JP 2007304992 A JP2007304992 A JP 2007304992A JP 2007304992 A JP2007304992 A JP 2007304992A JP 2008117782 A JP2008117782 A JP 2008117782A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grid
film
transparent conductive
glass
conductive glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007304992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4954855B2 (ja
Inventor
Kenichi Okada
顕一 岡田
Hiroshi Matsui
浩志 松井
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2007304992A priority Critical patent/JP4954855B2/ja
Publication of JP2008117782A publication Critical patent/JP2008117782A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4954855B2 publication Critical patent/JP4954855B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

【課題】ガラス上に透明導電膜を設け、この透明導電膜上に金属膜からなるグリッドを設けた導電性ガラスにおいて、この導電性ガラスを色素増感太陽電池などの光電変換素子に組み立てた際に、グリッドから電解液に流れる漏れ電流および透明導電膜から電解液に流れる漏れ電流の発生を防止するための手段を得ること。
【解決手段】本発明に係る導電性ガラスは、ガラス11表面に透明導電膜12が設けられ、この透明導電膜の上に不動態化金属の膜からなるグリッド13が設けられ、前記グリッドの表面に形成される酸化物被膜の厚さが10〜500nmであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、色素増感太陽電池などの光電変換素子に用いられる導電性ガラスに関し、導電性、透明性が高く、光電変換素子とした時に、その漏れ電流を低減できるようにしたものである。
このような導電性ガラスに関して、本発明者が先に特許出願した先願発明(特許文献1)がある。
図1は、この先願発明に開示された導電性ガラスを示すものである。
図1において、符号11はガラス板を示す。このガラス板11は、厚さ1〜5mm程度のソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどの板ガラスからなるものである。
このガラス板11の上には、このガラス板11の全面を被覆する透明導電膜12が設けられている。この透明導電膜12は、ITO(酸化スズドープ酸化インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの透明で導電性を有する薄膜からなるもので、厚さが0.2〜1μm程度のもので、スパッタ、CVDなどの薄膜形成方法により形成されたものである。
この透明導電膜12上には、金属膜からなるグリッド13がこれに密着して設けられている。このグリッド13は、この導電性ガラスを色素増感太陽電池に用いた際に酸化物半導体多孔質膜で発生した電子の通路として、上記透明導電膜12とともに働くものである。
このグリッド13は、その平面形状が、例えば図2に示すような格子状のものや、図3に示すような櫛歯状のものである。
図2に示す格子状のグリッド13では、縦450〜2000μm、横2000〜20000μmの長方形状の開口部14、14・・・が無数形成されており、格子をなす縦横の金属膜からなる線15はの線幅は、10〜1000μmとなっている。また、その一辺には集電用の幅広の集電極16が縦方向に伸びて形成されている。
図3に示す櫛歯状のグリッド13では、櫛歯をなす金属膜からなる幅10〜1000μmの線15、15・・・が無数に互いに平行に450〜2000μmの間隔をあけて形成されて、無数の開口部14、14・・・が形成されており、それらの一端には集電用の幅広の集電極16が形成されている。
このグリッド13は、例えばメッキ法などで形成されたものであり、金、銀、白金、クロム、ニッケルなどの金属の1種または2種以上の合金からなり、その線15の厚さは1〜20μm、好ましくは3〜10μmとなっている。
また、このグリッド13の開口率は、90〜99%とされる。ここでの開口率とは、単位面積中に占める線15の全面積の比で定義されるものである。
このような導電性ガラスの全表面における透明導電膜12とグリッド13とを加味した全体の表面抵抗(シート抵抗と言う。)は、1〜0.01Ω/□となり、ITO、FTOなどの透明導電膜を設けた透明導電ガラスに比べて、約10〜100分の1となっている。このため、極めて導電性の高い導電性ガラスと言うことができる。
さらに、このような導電性ガラスでは、全表面の平均した光線透過率が高いものである。すなわち、グリッド13の存在により導電性が格段に向上するので、透明導電膜12の厚さを薄くすることができ、しかもグリッド13の開口率が90〜99%であるので、グリッド13の存在による入射光の遮断もほとんどないためである。
このように、この先願発明における導電性ガラスにあっては、導電性、透明性が高いものとなり、これを用いた色素増感太陽電池では光電変換効率が高いものとなる可能性がある。
しかしながら、この導電性ガラスを用いて組み立てた色素増感太陽電池では、グリッド13と電解液との間で、グリッド13から電解液に電子が逆流し、漏れ電流が流れることがある。これは、グリッド13と電解液との間のエネルギーレベルを比較すると、電解液のエネルギーレベルが低いためである。
この漏れ電流を防止するため、グリッド13と電解液との界面に酸化チタン、酸化スズなどの半導体あるいは絶縁体からなるバリアー層を新たに設け、このバリアー層によりかかるグリッド13から電解液に向かって流れる漏れ電流を阻止できるようになることが予想される。
このバリアー層の形成は、スパッタ法、錯体焼結法、スプレー熱分解法、CVD法などにより行うことができる。
しかし、このような薄膜形成法によって得られたバリアー層では、どうしてもわずかながらピンホールが生じる恐れがあり、1カ所でもピンホールが生じると、そこから漏れ電流が流れてしまう。
また、このバリアー層は、グリッド13以外の透明導電膜12上にも形成されることから、色素増感太陽電池としたときに、その酸化物半導体多孔質膜において発生した電子が透明導電膜12に流れることが妨害されることになり、これに起因して発電電流量が減少したり、形状因子(Fill Factor.FF)が低下したりすることになる。
このような不都合を解決するためには、グリッド13上にのみバリアー層を形成すればよいことになるが、ピンホールの問題は依然として残り、その形成にはホトリソグラフなどの面倒な作業が必要になり、コスト的に降りとなるなどの欠点がある。このため、グリッド13上にバリアー層を新たに設けると言う手段は、実用的ではないものであった。
また、グリッド13をなす金属としては、その形成手段などの点からニッケルが主に用いられる。しかし、FTOなどからなる透明導電膜12上に直接ニッケルからなるグリッド13を設けた場合には、これを長時間放置したときや熱処理を加えたときに、グリッド13をなすニッケルが透明導電膜12内に侵入し、透明導電膜12が変質することがあった。このため、透明導電膜12から電解液に電子が逆流し、透明導電膜12と電解液との間に漏れ電流が流れ、色素増感太陽電池としたときの光電変換効率が大きく低下する問題もあった。
特願2001−400593号公報
よって、本発明における目的は、ガラス上に透明導電膜を設け、この透明導電膜上に金属膜からなるグリッドを設けた導電性ガラスにおいて、この導電性ガラスを色素増感太陽電池などの光電変換素子に組み立てた際に、グリッドから電解液に流れる漏れ電流および透明導電膜から電解液に流れる漏れ電流の発生を防止するための手段を得ることにある。
かかる目的を解決するために、本発明に係る第一の発明は、ガラス表面に透明導電膜が設けられ、この透明導電膜の上に不動態化金属の膜からなるグリッドが設けられ、前記グリッドの表面に形成される酸化物被膜の厚さが10〜500nmであることを特徴とする導電性ガラスである。
本発明に係る第二の発明は、不動態化金属が、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム、チタンのいずれかまたはこれらの2種以上の合金であることを特徴とする請求項1記載の導電性ガラスである。
本発明に係る第三の発明は、グリッドの表面のみが不動態化金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ガラスである。
本発明に係る第四の発明は、ガラス表面に透明導電膜を形成し、この透明導電膜上に不動態化金属の膜からなるグリッドを形成して導電性ガラスを得る際に、このグリッドを酸素雰囲気下、120〜550℃で加熱処理することを特徴とする導電性ガラスの製法である。
本発明に係る第五の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の導電性ガラスを用いてなる光電変換素子である。
本発明に係る第六の発明は、色素増感太陽電池である請求項5に記載の光電変換素子である。
第一の発明に係る導電性ガラスは、ガラス表面に透明導電膜を設け、この透明導電膜上に不動態化金属の膜からなるグリッドを設けたものであるので、導電性ガラスとしての電気伝導度が極めて高いものとなり、かつ透明導電膜の厚さを薄くすることができ、グリッドでの光の遮断がほとんどないため、光透過率が高いものとなる。
また、不動態化金属からグリッドを構成したので、このグリッドの表面に絶縁性の緻密な酸化物被膜が形成され、この酸化物被膜がバリアー層として機能し、このガラスを色素増感太陽電池に組み込んだ際に、グリッドから電解液に向けて流れる漏れ電流が阻止されることになる。よって、色素増感太陽電池としたときの光電変換効率が高いものとなる。
特に、グリッドの表面に形成される酸化物被膜の厚さを10〜500nmとしたことにより、漏れ電流防止効果が得られるとともに、酸化物被膜の形成に要する加熱処理時間を実用的な範囲とすることができる。
第四の発明に係る導電性ガラスの製法によれば、酸素雰囲気中で加熱処理を施して積極的に、グリッドの表面に酸化物被膜を形成できる。120〜550℃で加熱処理することにより、ガラス基板自体が溶融することなく、十分な厚さの酸化物被膜が得られる。
第六の発明によれば、上述した導電性ガラスを色素増感太陽電池などの光電変換素子に用いたことにより、光電変換効率が高いものとなる。
(実施形態)
本発明の導電性ガラスの実施形態である第1の例は、例えば図1ないし図3に示した構造の導電性ガラスにおいて、そのグリッド13をなす金属膜が不動態化金属からなるものである。
本発明における不動態化金属とは、大気中などの酸化性雰囲気中においてその表面に緻密な酸化物被膜を形成しうる金属またはこの不動態化金属同士の合金またはこの不動態化金属と他の金属との合金を言う。具体的には、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、マンガン、モリブデン、タングステン、亜鉛、スズや、ニッケル−クロム合金、鉄−ニッケル−クロム合金、アルミニウム−タングステン合金、ニッケル−亜鉛合金、銀−亜鉛合金などの合金が挙げられる。
これらの金属のなかでも、グリッド13の形成方法としてメッキによるアディティブ法が主に採用されることから、メッキが可能な金属であって、かつグリッド13自体の電気抵抗が低いことが好ましいことから、体積抵抗率が低い金属、例えばニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム、チタンあるいはこれらの金属の合金が最も望ましい。
また、グリッド13は、その内層が金、銀、白金などの不動態化金属以外の金属からなり、その表面が上述の不動態化金属からなる構造のものであってもよい。この表面のみが不動態化金属からなるグリッド13の形成は、例えば、初めに金、銀、白金などの不動態化金属以外の金属からなるグリッドプリカーサをメッキ法などにより透明導電膜12上に作製し、ついでこのグリッドプリカーサに対して無電解メッキを施して、ニッケル、クロム、スズなどの不動態化金属を被覆する方法などで可能になる。
この不動態化金属からなるグリッド13の形成は、上述のようにメッキによるアディティブ法が好ましいが、スパッタ法、蒸着法などの各種の薄膜形成方法によっても可能である。
このような不動態化金属からなるグリッド13では、グリッド13の製膜直後からその表面に自然に電気絶縁性の酸化物被膜が形成され、この絶縁性の酸化物被膜がバリアー層となって、漏れ電流防止層として機能することになる。また、この導電性ガラスを用いて色素増感太陽電池を組み立てるときには、この導電性ガラス上に酸化チタンなどからなる酸化物半導体多孔質膜を焼成する際に、必然的に高温に曝されるため、グリッド13表面には十分な厚さの酸化物被膜が形成されることになり、高いバリアー性を発揮する。
このグリッド13の表面に酸化物被膜を形成するには、上述のように自然酸化を待っても良いが、好ましくは酸素雰囲気中で加熱処理を施して積極的に酸化物被膜を形成するようにしても良い。この加熱処理は、不動態化金属の種類によっても異なるが、温度120〜550℃、好ましくは150〜450℃で、時間5〜120分、好ましくは10〜90分の条件で行われる。温度が120℃未満で、時間が5分未満では十分な厚さの酸化物被膜が得られず、温度が550℃を越えるとガラス板11自体が溶融する。時間が120分を超えると熱処理はもはや過剰であり不経済でもある。
この加熱処理は、上述のように、酸化チタンなどからなる酸化物半導体多孔質膜を焼成して形成する際に、同様の温度、時間条件で焼成することでも行うことができる。
このように形成される酸化物被膜の厚さは、ほぼ10〜500nmとなる。この厚さが10nm未満では漏れ電流防止効果が得られず、500nmを越えてもかかる効果が頭打ちになり、酸化物被膜の形成のための加熱処理時間が長くなって実用的ではない。
図4は、このような導電性ガラスを用いた光電変換素子としての色素増感太陽電池の例を示すものである。
図4において、符号21は、図1ないし図3に示した導電性ガラスである。この導電性ガラス21の不動態化金属膜からなるグリッド13上には酸化物半導体多孔質膜22が設けられている。
この酸化物半導体多孔質膜22は、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブなどの半導性を示す金属酸化物微粒子が結合されて構成され、内部に無数の微細な空孔を有し、表面に微細な凹凸を有する多孔質体であって、その厚みが5〜50μmのものである。
この酸化物半導体多孔質膜22は、図4に示すように、グリッド13の開口部14、14・・・を埋め、かつグリッド13の表面全体を覆うようにして、グリッド13と一体的に結合されている。
この酸化物半導体多孔質膜22の形成は、上記金属酸化物の平均粒径5〜50nmの微粒子を分散したコロイド液や分散液等をグリッド13の表面に、スクリーンプリント、インクジェットプリント、ロールコート、ドクターコート、スプレーコートなどの塗布手段により塗布し、300〜800℃で焼結する方法などで行われる。
また、この酸化物半導体多孔質膜22には、光増感色素が坦持されている。この光増感色素には、ビピリジン構造、ターピリジン構造などの配位子を含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などが用いられ、用途、金属酸化物半導体の種類等に応じて適宜選択することができる。
また、符号23は、対極である。この例での対極23は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルムの一方の面に銅箔、ニッケル箔などの金属箔を積層した金属箔積層フィルム23aの金属箔の表面に、白金、金などの導電薄膜23bを蒸着、スパッタなどにより形成したものが用いられ、これの導電薄膜23bがこの太陽電池の内面側になるように配置されて、この例の色素増感太陽電池となっている。
また、対極23としては、これ以外に、金属板などの導電性基板あるいはガラス板などの非伝導性基板23a上に白金、金、炭素などの導電膜23bを形成したものを用いてもよい。また、p型半導体をホール輸送層とする場合には、p型半導体が固体であるため、この上に直接白金などの導電薄膜を蒸着、スパッタなどにより形成してこの導電薄膜を対極23とすることもできる。
この対極23と導電性ガラス21の酸化物半導体多孔質膜22との間には電解液が充填されて電解質層24となっている。
この電解液としては、レドックス対を含む非水系電解液であれば、特に限定されるものではない。溶媒としては、例えばアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトンなどが用いられる。
レドックス対としては、例えばヨウ素/ヨウ素イオン、臭素/臭素イオンなどの組み合わせを選ぶことができ、これを塩として添加する場合の対イオンとしては、上記レドックス対にリチウムイオン、テトラアルキルイオン、イミダゾリウムイオンなどを用いることができる。また、必要に応じてヨウ素などを添加してもよい。
また、このような電解液を適当なゲル化剤によりゲル化させた固体状のものを用いてもよい。
また、電解質層24に代えて、p型半導体からなるホール輸送層を用いてもよい。このp型半導体には、例えばヨウ化銅、チオシアン銅などの1価銅化合物やポリピロールなどの導電性高分子を用いることができ、なかでもヨウ化銅が好ましい。このp型半導体からなる固体のホール輸送層やゲル化した電解質を用いたものでは、電解液の漏液の恐れがない。
このような導電性ガラスにあっては、その透明導電膜12上に不動態化金属の膜からなるグリッド13が設けられているので、導電性が高く、しかも透明性も高いものとなる。また、グリッド13が不動態化金属からなるので、その表面には緻密な絶縁性の酸化物被膜が形成され、この酸化物被膜がバリアー層として機能し、漏れ電流が生じることを防止する。さらに、グリッド13が電解液に侵食されることも、この酸化物被膜により防止できる。
また、この酸化物被膜は極めて緻密であるので、この被膜にピンホールが発生することはほとんどなく、ピンホールに起因する漏れ電流の恐れもない。さらに、特別のバリアー層をグリッド13上に形成する必要がなくなり、作業性が高いものとなり、コスト的にも有利となる。
以下、具体例を示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
(例1)
この例1は、上述の実施形態に対応するものである。
厚さ2mmのガラス板上に厚さ0.5μmのFTOからなる透明導電膜が設けられた透明導電ガラスを準備した。
この透明導電ガラスの上記FTO上に、図2に示すような格子状のグリッドを設けた。グリッドをなす金属の種類とその形成方法は以下の通りであるが、一部の金属については、比較のため、酸化チタンまたはFTOからなるバリアー層を形成した。
金属種 形成方法
1. アルミニウム 蒸着法
2. チタン スパッタ法
3. クロム メッキ法
4. コバルト メッキ法
5. ニッケル メッキ法
6. 金 メッキ法
7. 白金 メッキ法
8. 銀 メッキ法
9. 白金 メッキ法 酸化チタンからなるバリアー層形成
10.金 メッキ法 酸化チタンからなるバリアー層形成
11.銀 メッキ法 酸化チタンからなるバリアー層形成
12.金 メッキ法 FTOからなるバリアー層形成
13.銀 メッキ法 FTOからなるバリアー層形成
グリッドの線の厚さは、5μm、線の幅は、40μm、開口部の大きさは、縦860μm、横5000μmの長方形で、開口率は95%とした。
このようにして得られた導電性ガラスのシート抵抗は、0.1〜0.8Ω/□、波長550nmでの光線透過率は75〜80%であった。
ついで、この導電性ガラスのグリッド上に酸化物半導体多孔質膜を形成した。この酸化物半導体多孔質膜の形成は、粒径約20nmの酸化チタン微粒子をアセチルニトリルに分散してペーストとし、これを上記グリッド上にバーコード法により厚さ15μmに塗布し、乾燥後400℃で1時間加熱焼成しておこなった。焼成後の酸化物半導体多孔質膜にルテニウム色素を担持した。
対極として、厚さ2mmのガラス板に厚さ5μmのFTOを設けた透明導電ガラスを用意し、上記導電性ガラスと対極とを貼り合わせ、その間隙にヨウ素/ヨウ化物の電解液を充填して電解質層とし色素増感太陽電池を作製した。
得られた太陽電池の平面寸法は、10mm×10mmとした。
これらの太陽電池について、グリッドから電解液に流れる漏れ電流の測定を行った。測定は、セルにバイポーラ電源を接続し、電圧0〜1Vの範囲でスイープしながら、電流量を測定する方法で実施した。
結果を表1に示す。
表1における耐乾触性とは、金属を高温に加熱して酸化させたときの表面状態を評価するもので、その表面が少し荒れているときは△で表し、荒れがほとんどないものを○で、荒れが全くないものを◎で表した。また、耐ヨウ素性は、レドックス対がヨウ素/ヨウ素イオンである電解液に対する耐薬品性を示し、1ヶ月の電解液との接触によってもグリッドの表面に形成された厚さ50nmの金属膜が消失しないものを○とし、消失したものを×とした。
また、漏れ電流は、スイープ電圧が500mVである時の漏れ電流が0.01mA/cm未満のものを◎とし、0.01〜0.05mA/cmのものを○とし、0.05mA/cmを越え、0.5mA/cm以下のものを△とし、0.5mA/cmを越えるものを×とした。
表1の結果から、グリッドをなす不動態化金属としては、ニッケルが最も好ましく、次にアルミニウムが好ましいことがわかる。
Figure 2008117782
(例2)
この例2は、上述の実施形態に対応するもので、グリッドをなす不動態化金属の表面の酸化物被膜の厚さや形成条件などを検討したものある。
まず、2種のサンプルセルを作製した。
サンプルセルA
厚さ2.0mmのガラス板の表面に厚さ500nmのFTOからなる透明導電膜を形成した作用極側の基板を用意し、厚さ0.05mmの白金箔を貼付した厚さ2.0mmのガラス板を対極側の基板とし、これら2枚の基板を封止し、基板間の間隙にヨウ素/ヨウ化物の電解液を充填してサンプルセルAとした。
サンプルセルB
作用極側の基板として、厚さ2.0mmのガラス板の表面に厚さ500nmのFTOからなる透明導電膜を形成し、この透明導電膜上に、各種不動態化金属(ニッケル、クロム、アルミニウム、コバルト、チタン)からなる厚さ1μmのグリッドとなる膜をメッキ法で形成し、作用極側の基板とした。この基板を温度120〜450℃、時間5〜120分の条件で大気中で加熱処理した。この作用極側の基板を用いた以外は、サンプルセルAと同様にしてサンプルセルBを作製した。
サンプルセルAについて、透明導電膜から電解液に流れる漏れ電流を、サンプルセルBについては、グリッドから電解液に流れる漏れ電流をそれぞれ測定した。漏れ電流の測定は、いずれも透明導電膜と白金箔との間に、バイポーラ電源を接続し、印加電圧を−1〜+1Vの範囲でスイープしながら電流量を計測する方法で行った。
漏れ電流量は、スイープ電圧+0.5Vの時の電流量で評価した。
サンプルセルAでの漏れ電流値を基準値とし、この基準値に対してサンプルセルBでの漏れ電流値が大きいものを×とし、ほぼ同じ程度のものを△とし、基準値よりも小さいものを○とし、基準値の10分の1以下のものを◎として評価した。
この評価と、不動態化金属の種類と、熱処理条件との関係を表2ないし表6に示した。
Figure 2008117782
Figure 2008117782
Figure 2008117782
Figure 2008117782
Figure 2008117782
これらの表に示した結果から、不動態化金属の種類によらず、温度120〜450℃、時間5〜120分の熱処理で、漏れ電流が低下しており、グリッドをなす不動態化金属の表面に漏れ電流を防止するに十分な厚さの酸化物被膜が形成されていることがわかる。さらに、熱処理後のグリッド表面を電界効果型走査電子顕微鏡で観察したところ、表2〜6において△と評価されたものでは酸化物被膜の厚さが約10nm、○と評価されたものでは約50nm、◎と評価されたものでは約100nmであることが判明した。
なお、実際の色素増感太陽電池に適用するには、△と評価された以上のものが必要である。
この発明の導電性ガラスは、色素増感太陽電池などの光電変換素子の作用極に用いることができ、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池を製造できる。
本発明における導電性ガラスの実施形態の一例を示す概略断面図。 グリッドの平面形状の一例を示す平面図。 グリッドの平面形状の他の一例を示す平面図。 本発明の導電性ガラスを用いた色素増感太陽電池の一例を示す概略断面図。
符号の説明
11 ガラス(ガラス板)、12 透明導電膜、13 グリッド。

Claims (6)

  1. ガラス表面に透明導電膜が設けられ、この透明導電膜の上に不動態化金属の膜からなるグリッドが設けられ、前記グリッドの表面に形成される酸化物被膜の厚さが10〜500nmであることを特徴とする導電性ガラス。
  2. 不動態化金属が、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム、チタンのいずれか、またはこれらの2種以上の合金であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ガラス。
  3. グリッドの表面のみが不動態化金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ガラス。
  4. ガラス表面に透明導電膜を形成し、この透明導電膜上に不動態化金属の膜からなるグリッドを形成して導電性ガラスを得る際に、このグリッドを酸素雰囲気下、120〜550℃で加熱処理することを特徴とする導電性ガラスの製法。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の導電性ガラスを用いてなる光電変換素子。
  6. 色素増感太陽電池である請求項5に記載の光電変換素子。
JP2007304992A 2002-03-26 2007-11-26 色素増感太陽電池の製法 Expired - Fee Related JP4954855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007304992A JP4954855B2 (ja) 2002-03-26 2007-11-26 色素増感太陽電池の製法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002086859 2002-03-26
JP2002086859 2002-03-26
JP2002333598 2002-11-18
JP2002333598 2002-11-18
JP2007304992A JP4954855B2 (ja) 2002-03-26 2007-11-26 色素増感太陽電池の製法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003579235A Division JP4071719B2 (ja) 2002-03-26 2003-03-25 導電性ガラスおよびこれを用いた光電変換素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008117782A true JP2008117782A (ja) 2008-05-22
JP4954855B2 JP4954855B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=39503520

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007304992A Expired - Fee Related JP4954855B2 (ja) 2002-03-26 2007-11-26 色素増感太陽電池の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4954855B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011142259A (ja) * 2010-01-08 2011-07-21 Ulvac Japan Ltd 非晶質Si太陽電池基板の製造方法
JP2012023023A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Samsung Sdi Co Ltd 染料感応太陽電池
CN104952517A (zh) * 2014-03-26 2015-09-30 南昌欧菲光科技有限公司 导电膜及包含有该导电膜的触摸屏

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6012604A (ja) * 1983-06-30 1985-01-23 日東電工株式会社 透明導電性膜付き複合体
JPS60262304A (ja) * 1984-06-07 1985-12-25 旭硝子株式会社 液晶表示装置
JPS61116883A (ja) * 1984-11-13 1986-06-04 Toa Nenryo Kogyo Kk 金属配線付き透明電極
JPS62127586U (ja) * 1986-02-03 1987-08-13
JPH01140676A (ja) * 1987-11-26 1989-06-01 Nippon Denso Co Ltd 半透光性太陽電池
JPH0388223U (ja) * 1989-12-26 1991-09-10

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6012604A (ja) * 1983-06-30 1985-01-23 日東電工株式会社 透明導電性膜付き複合体
JPS60262304A (ja) * 1984-06-07 1985-12-25 旭硝子株式会社 液晶表示装置
JPS61116883A (ja) * 1984-11-13 1986-06-04 Toa Nenryo Kogyo Kk 金属配線付き透明電極
JPS62127586U (ja) * 1986-02-03 1987-08-13
JPH01140676A (ja) * 1987-11-26 1989-06-01 Nippon Denso Co Ltd 半透光性太陽電池
JPH0388223U (ja) * 1989-12-26 1991-09-10

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011142259A (ja) * 2010-01-08 2011-07-21 Ulvac Japan Ltd 非晶質Si太陽電池基板の製造方法
JP2012023023A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Samsung Sdi Co Ltd 染料感応太陽電池
CN104952517A (zh) * 2014-03-26 2015-09-30 南昌欧菲光科技有限公司 导电膜及包含有该导电膜的触摸屏

Also Published As

Publication number Publication date
JP4954855B2 (ja) 2012-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4071719B2 (ja) 導電性ガラスおよびこれを用いた光電変換素子
Meng et al. Efficient CdS quantum dot sensitized solar cells made using novel Cu2S counter electrode
JP5101038B2 (ja) 電極基板の製造方法、電極基板の評価方法
JP4503226B2 (ja) 電極基板、光電変換素子、並びに色素増感太陽電池
JP5150818B2 (ja) 色素増感太陽電池およびその製造方法
JP2008021651A (ja) 触媒が担持されたカーボンナノチューブを用いた太陽電池及びその製造方法
EP2451005A1 (en) Wet type solar battery module
JP2007042366A (ja) 電極基板および光電変換素子
JP2004128267A (ja) 光電変換素子用の導電性ガラス基板並びにその製造方法
Kim et al. Nickel doped cobalt sulfide as a high performance counter electrode for dye-sensitized solar cells
JP4578786B2 (ja) 色素増感太陽電池の製造方法
JP2003203683A (ja) 光電変換素子用導電性ガラス
JP4071428B2 (ja) 色素増感型太陽電池及びその製造方法
JP4416997B2 (ja) 色素増感太陽電池用電極基板、光電変換素子、並びに色素増感太陽電池
JP2004039471A (ja) 色素増感型太陽電池
JP4954855B2 (ja) 色素増感太陽電池の製法
JP2010277854A (ja) 色素増感型太陽電池、及び、色素増感型太陽電池用の有機溶媒非含有電解質
Noh et al. Iridium catalyst based counter electrodes for dye-sensitized solar cells
JP4892186B2 (ja) 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール
JP4799852B2 (ja) 光電変換素子用電極、光電変換素子および色素増感太陽電池
JP2013122875A (ja) 光電変換素子およびその製造方法ならびに光電変換素子用対極ならびに電子機器ならびに建築物
Kakroo et al. Counter Electrode in Polymer‐Electrolyte‐Based DSSC: Platinum Versus Electrodeposited MnO2
JP2005243498A (ja) 酸化物半導体電極の製造方法および色素増感型太陽電池の製造方法
JP2003123855A (ja) 光電変換素子用光電極
KR20130104048A (ko) 금속 기판을 이용한 염료감응 태양전지의 반도체 전극 형성 방법 및 그에 의해 제조된 염료감응 태양전지

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101227

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120201

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20120215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120314

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4954855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees