JP2008116339A - センサ装置およびセンサ装置を備えた車両制御システム - Google Patents

センサ装置およびセンサ装置を備えた車両制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】検出した物理量を内部で診断することができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】ヨーレートセンサ11にて検出されたヨーレート値が、アナログ信号、デジタル信号としてそれぞれ異なる経路を経由して出力される。このうち、アナログ信号はAD変換部12aを介して比較判定部12fに入力され、デジタル信号はSPIインターフェース12bを介して比較判定部12fに入力される。また、推定ヨーレート計算部12dにて車速センサ20の信号に基づいてヨーレートの推定値が算出され、比較判定部12fに入力される。そして、比較判定部12fにて、AD変換部12aを介して入力されるデジタル信号が示すヨーレート値と、ヨーレートセンサ11から入力されるデジタル信号が示すヨーレート値と、推定ヨーレート計算部12dにて得られた推定値と、をそれぞれ比較して自己診断を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、自己診断機能を備えたセンサ装置およびセンサ装置を備えた車両制御システムに関する。
従来より、車両のブレーキ等の制御を行う車両制御システムが知られている。図7は、従来の車両制御システムのブロック構成図である。この図に示されるように、車両制御システムは、センサ装置70と、車両制御装置80と、制御ECU40と、車速センサ20と、を備えて構成されており、各々がバス50によって電気的に接続されている。
センサ装置70は車両が回転する角速度(以下、ヨーレートという)を検出するヨーレートセンサ71と、当該ヨーレートセンサ71で検出された検出信号をAD変換するAD変換部72と、を有している。また、車両制御装置80は、車速センサ20から車両の車速信号を入力して車両のヨーレートを推定する推定ヨーレート計算部81と、当該推定ヨーレート計算部81の値を用いてセンサ装置70の故障を判定するダイアグ判定部82と、を備えている。
このような車両制御システムにおいて、車両制御装置80がセンサ装置70で検出された車両のヨーレートに基づいて車両制御を行う際、車両制御装置80では、ダイアグ判定部82において、推定ヨーレート計算部81にて得られた車両のヨーレートの推定値と、センサ装置70から入力された実測値と、が比較される。これは、上述のように、ブレーキ等の車両の動作に関わる制御を行うため、誤った制御を行わないためにも用いるパラメータが正常であるか否かを厳しく判定するためである。
そして、実測値が推定値を基準とした範囲内にない場合、センサ装置70において故障が発生しているとダイアグ判定される。この場合、車両制御装置80では、例えばセンサ装置70から入力される実測値を用いない車両制御が行われる。
また、センサ装置70から出力されるヨーレートセンサ71の実測値は、例えばナビゲーション装置としての制御ECU40にも入力され、地図表示のための演算に用いられる。なお、このような場合では、車両制御に直接関わる制御ではないため、上記の車両制御装置80ほどヨーレートセンサ71の出力を厳しく判定する必要はない。
しかしながら、上記従来の技術では、センサ装置70の内部において、電子部品の故障や配線の断線、AD変換部72の故障等が起こることで、ヨーレートセンサ71の実測値として正常な値を出力できない場合や、実測値を示す検出信号そのものを出力できない場合が生じる。
近年では、上記車両制御システムのように、バス50を介してデータのやりとりを行うことで、車両制御装置80以外でもセンサ装置70の実測値を使用する場合が増加している。このため、センサ装置70の実測値を使用する装置にて、センサ装置70から出力される実測値が正常な値であるか否かを判定しなければならない。すなわち、各装置にセンサ装置70から出力されるデータを判定するための手段(推定ヨーレート計算部81やダイアグ判定部82)をそれぞれ設けなければならず、車両制御システムにおいて各装置の構成が増加してしまう。
本発明は、上記点に鑑み、検出した物理量を内部で診断することができるセンサ装置および当該センサ装置を備えた車両制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、車両の角速度を検出し、当該車両の角速度に応じた検出信号をアナログ信号およびデジタル信号でそれぞれ出力するヨーレートセンサ(11)と、ヨーレートセンサから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部(12a)と、ヨーレートセンサにて検出された車両の角速度のうちアナログ信号がAD変換部を介して入力されると共に、当該アナログ信号とは異なる経路を経由してデジタル信号が入力されるようになっており、AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、をそれぞれ比較することによりヨーレートセンサについて自己診断を行う比較判定部(12f)と、を備えたことが特徴となっている。
これにより、センサ装置内でヨーレートセンサの出力について自己診断することができる。すなわち、1つのヨーレートセンサの出力を2つの異なる経路(系統)を介して入力することで、各値を比較することができ、ひいては自己診断を行うことができる。したがって、センサ装置から信頼性の高いヨーレートセンサの検出データを出力することができる。
また、上記のように、センサ装置の内部でヨーレートセンサについての自己診断が可能となる。これにより、当該センサ装置を用いた車両制御システムにおいて他の車両制御装置にセンサ装置から入力される信号を診断する機能を省くことができる。
さらに、上記比較判定部は、演算手段(100)にてヨーレートセンサからAD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す値と、ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値と、にそれぞれ一定値を加算することで各値に幅を持たせ、第1判定手段(110)にて幅を持たされた各値がオーバーラップするか否かを判定し、第1出力手段(120)にて上記第1判定手段で各値がオーバーラップすると判定された場合、ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号を優先して外部に出力することができる。
ヨーレートセンサから出力されるデジタル信号は、SPIインターフェース(12b)を介して比較判定部に入力されるようにすることもできる。
また、車両の角速度を推定する推定ヨーレート計算部(12d)をセンサ装置に備え、当該推定ヨーレート計算部に車両に備えられた車速センサ(20)にて検出された車速を入力すると共に当該車速の値に基づいて車両の角速度を推定させる。そして、比較判定部にて、AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、推定ヨーレート計算部にて得られた車両の角速度の推定値と、をそれぞれ比較させることにより自己診断を行うようにすることができる。
このように、推定ヨーレート計算部にて車両の角速度を推定することで、ヨーレートセンサにて得られた車両の角速度と比較することができ、自己診断の精度を上げることができる。
さらに、演算手段にて、推定ヨーレート計算部にて得られた車両の角速度の推定値に一定値を加算することで推定値に幅を持たせ、比較判定部に備えられた第2判定手段(130)にて、演算手段にて幅を持たされた、ヨーレートセンサからAD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す値と、演算手段にて幅を持たされた推定値とがオーバーラップするか否かを判定させ、第2判定手段にてオーバーラップすると判定された場合、出力手段にてヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値を優先して外部に出力させるようにすることもできる。
また、第3判定手段(140)によって、第2判定手段にてオーバーラップしないと判定した場合、演算手段にて幅を持たされた、ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値と、演算手段にて幅を持たされた推定値とがオーバーラップするか否かを判定する。当該第3判定手段にてオーバーラップすると判定された場合、第2出力手段(150)によって、ヨーレートセンサからAD変換部を介して入力されるデジタル信号を優先して外部に出力する。そして、第3判定手段によってオーバーラップしないと判定された場合、フェール情報出力手段(160)にてセンサ装置内で故障が生じていることを示す自己診断結果を出力することができる。
上記推定ヨーレート計算部は、舵角センサ(60)から車両の舵角に応じた信号を入力し、車速センサの信号と舵角センサの信号とに基づいて車両の角速度を推定することもできる。これにより、より高精度に車両の角速度を推定することができる。
さらに、車両の加速度を検出し、当該車両の加速度に応じた検出信号をアナログ信号およびデジタル信号でそれぞれ出力する加速度センサ(12g)をセンサ装置に備え、AD変換部にて、加速度センサから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、比較判定部は、加速度センサにて検出された車両の加速度を、アナログ信号、デジタル信号としてそれぞれ異なる経路を経由して入力すると共に、AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の加速度と、加速度センサから入力されるデジタル信号が示す車両の加速度と、をそれぞれ比較することにより加速度センサについて自己診断を行うこともできる。
また、ヨーレートセンサを複数備えることができ、比較判定部は各ヨーレートセンサについて自己診断を行うようにすることもできる。
上記のセンサ装置と、センサ装置から入力される車両の角速度に基づいて車両制御を行う車両制御装置(30)と、を備えた車両制御システムとして構成することもできる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示されるセンサ装置は、例えば車両のABSシステム、ブレーキ制御等の車両制御に用いられるものである。なお、以下では、図7に示す構成要素と同一のものには、同一符号を記してある。
図1は、本発明に係るセンサ装置を備えた車両制御システムのブロック構成図である。この図に示されるように、車両制御システムは、センサ装置10と、車速センサ20と、車両制御装置30と、他の制御装置としての制御ECU40とにより構成されており、各々はバス50により電気的に接続されている。
センサ装置10は、車両に関する物理量を検出するものである。本実施形態では、車両が回転する角速度(車両の回転の速度、すなわちヨーレート)を検出し、そのヨーレートの値に応じた検出信号を出力する。
車速センサ20は、車両の速度を検出するものであり、検出した車速の信号をAD変換してデジタル信号として出力する。本実施形態では、車両の各車輪に備えられた各車速センサ20のうち左右後輪にそれぞれ設けられたものが車両制御システムに用いられる。
車両制御装置30は、センサ装置10の出力および車速センサ20の出力をバス50を介してそれぞれ入力し、車両のヨーレートや車速に基づいて車両のブレーキ制御等を行うものである。また、制御ECU40は例えばナビゲーション装置として機能するものであり、バス50を介してセンサ装置10の出力および車速センサ20の出力をそれぞれ入力して車両案内等の制御を行うものである。
なお、バス50には図示しない他の制御ECUが接続され、センサ装置10や車速センサ20からそれぞれ出力されたデータがバス50を介して他の制御ECUにて制御に用いられるようになっている。
このような車両制御システムにおいて、本実施形態に係るセンサ装置10の構成を図2に示す。図2は、図1に示されるセンサ装置10のブロック構成図である。この図に示されるように、センサ装置10は、ヨーレートセンサ11と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)12と、を備えて構成されている。
ヨーレートセンサ11は、物理量として角速度を検出するものである。本実施形態では、例えば、おもりの振動を検出することにより、ヨーレートセンサ11が受ける角速度を検出する振動式のものが採用される。このような振動式のヨーレートセンサ11では、ある一方向に振動(一次振動)するおもりに角速度が加わると、このおもりにいわゆるコリオリ力が発生するが、このコリオリ力によってそのおもりに直交する方向にも振動(二次振動)が発生する事を利用している。本実施形態では、圧電素子にて二次振動が検出されて電気信号に変換され、この電気信号が角速度(実測ヨーレート値)に応じた検出信号として出力される。
本実施形態では、上記ヨーレートセンサ11は、内部に演算回路を有しており、検出信号をアナログ信号として出力すると共に、SPIインターフェースに準拠したデジタル信号を出力する機能を有している。すなわち、ヨーレートセンサ11は実測値に相当する検出信号をアナログ信号およびデジタル信号の両信号で出力する。
マイコン12は、上記ヨーレートセンサ11、および車両に備えられた車速センサ20からそれぞれ検出信号を入力すると共に、センサ装置10における故障の診断を行う機能を有する制御手段である。センサ装置10における故障とは、例えばセンサ装置10内の電子部品の故障や配線の断線、後述するAD変換部12aの故障、当該マイコン12の故障等のことを指す。
このようなマイコン12は、AD変換部12aと、SPIインターフェース12bと、車内LANインターフェース12cと、推定ヨーレート計算部12dと、自己診断部12eと、を備えて構成されている。
AD変換部12aは、ヨーレートセンサ11から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。また、SPIインターフェース12bは、ヨーレートセンサ11から入力されるデジタル信号を自己診断部12eに入力するインターフェースである。
車内LANインターフェース12cは、車両に備えられた複数の車速センサ20からそれぞれ入力されるデジタル信号を推定ヨーレート計算部12dに入力するインターフェースである。なお、図2ではバス50を省略しており、各車速センサ20の各出力がセンサ装置10の車内LANインターフェース12cに直接入力される様子を示してある。
推定ヨーレート計算部12dは、各車速センサ20から入力される各車速の値に基づいて車両の角速度を推定計算するものである。具体的には、推定ヨーレート計算部12dは、車両の左右後輪の車輪速差をそれぞれVL、VRとし、車輪のトレッド幅(左右輪の中心線の距離)をTb、K1を定数して、ヨーレートの推定値Ypを以下の数式1により算出し、車両の推定ヨーレート値を取得する。
(数式1)
Yp=|K1×(VR−VL)|/Tb
自己診断部12eは、センサ装置10における故障を自己診断する自己診断処理を行うものであり、比較判定部12fを備えている。この比較判定部12fは、AD変換部12aを介して入力されたヨーレートセンサ11の検出信号のデジタル信号、SPIインターフェース12bを介して入力されたヨーレートセンサ11の検出信号のデジタル信号、推定ヨーレート計算部12dから入力された推定ヨーレート値に相当するデジタル信号をそれぞれ入力し、各々を比較することで、センサ装置10の内部に故障が生じているか否かを判定する機能を有している。すなわち、比較判定部12fには、ヨーレートセンサ11にて検出されたヨーレート値が、アナログ信号、デジタル信号としてそれぞれ異なる経路を経由して入力されることとなる。
このようなマイコン12は、CPU、RAMや不揮発性メモリ、プログラム等が記憶されたROM等のメモリ等を備えて構成されたものであり、ROMに記憶された自己診断プログラムに従って、上記自己診断処理を実行する。以上が、本実施形態に係る車両制御システムおよびそれに用いられるセンサ装置10の全体構成である。
次に、上記センサ装置10における自己診断処理について説明する。図3は、マイコン12の自己診断部12eの比較判定部12fが実行する自己診断処理の内容を示したフローチャートである。このフローは、センサ装置10に電源が供給されるとスタートし、所定時間ごとに繰り返しスタートする。
本フローでは、SPIインターフェース12bを介して入力されたヨーレートセンサ11の検出信号のデジタル信号が示す実測ヨーレート値をa、AD変換部12aを介して入力されたヨーレートセンサ11の検出信号のデジタル信号が示す実測ヨーレート値をb、推定ヨーレート計算部12dから入力されたデジタル信号が示す推定ヨーレート値をcとし、これら各値を出力する優先順位をa>b>cとする。すなわち、実測ヨーレート値aを出力する優先順位がもっとも高く、次いで実測ヨーレート値b、推定ヨーレート値cとなっている。
ステップ100(本発明の演算手段に相当)では、付加処理が行われる。すなわち、上記各値a、b、cに幅を持たせるため、各値に一定値(例えば±α)が足される。この様子を図4に示す。図4は、各ヨーレート値a、b、cに一定値±αを加えたときの各値の幅の一例を示した図である。この図に示されるように、SPIインターフェース12bに係る実測ヨーレート値aはa−αからa+αの範囲の値を持つことになる。他も同様に±αの値が足され、各値が±αの範囲の値を持つ。
ステップ110(本発明の第1判定手段に相当)では、a±αの値とb±αの値とがオーバーラップするか否かが判定される。本実施形態では、3つの各ヨーレート値a、b、cが互いに一致することは稀なので、オーバーラップする値のうち、優先順位が高いヨーレート値を出力する、という手法が採用される。例えば、図4に示されるように、a±αの値とb±αの値とがオーバーラップする場合、本ステップにてa±αの値とb±αの値とがオーバーラップすると判定され、ステップ120に進む。
そして、ステップ120(本発明の第1出力手段に相当)では、実測ヨーレート値aが出力される。すなわち、上記ステップ110にてa±αの値とb±αの値とが比較された際、各値がオーバーラップしていると判定されたが、実測ヨーレート値aが実測ヨーレート値bよりも優先順位が高いので、実測ヨーレート値aがセンサ装置10の出力として出力される。そして、本フローは終了し、再びフローがスタートする。
また、ステップ110にて、a±αの値とb±αの値とがオーバーラップしないと判定されるとステップ130に進む。
ステップ130(本発明の第2判定手段に相当)では、a±αの値とc±αの値とがオーバーラップするか否かが判定される。本ステップにてオーバーラップすると判定されると、ステップ120に進み、上記と同様に、実測ヨーレート値aが出力されることとなる。一方、図4に示されるように、a±αの値とc±αの値とがオーバーラップしない場合には、本ステップにてa±αの値とc±αの値とがオーバーラップしないと判定され、ステップ140に進む。
ステップ140(本発明の第3判定手段に相当)では、b±αの値とc±αの値とがオーバーラップするか否かが判定される。本ステップでは、実測ヨーレート値bと推定ヨーレート値cとが比較されることとなる。そして、本ステップでb±αの値とc±αの値とがオーバーラップすると判定されると、ステップ150に進む。
ステップ150(本発明の第2出力手段に相当)では、実測ヨーレート値bが出力される。すなわち、上記ステップ140にてb±αの値とc±αの値とが比較され、各値がオーバーラップしていると判定されたが、上述のように、実測ヨーレート値bが推定ヨーレート値cよりも優先順位が高いので、実測ヨーレート値cがセンサ装置10の出力として出力される。そして、本フローは終了し、再びフローがスタートする。
また、ステップ140にて、図4に示されるように、b±αの値とc±αの値とがオーバーラップしないと判定されるとステップ160に進む。
ステップ160(本発明のフェール情報出力手段に相当)では、フェール情報出力処理が行われる。上記各ステップにおいて、a±αの値、b±αの値、c±αの値のいずれもがオーバーラップしないと判定されたため、自己診断部12eの比較判定部12fに入力された各ヨーレート値a、b、cが入力される各経路においていずれかの系統のどこかで故障が起こっていると考えられる。このため、本ステップにて、センサ装置10が故障していることを示すフェール情報が外部に出力される。
なお、フェール情報がセンサ装置10の外部に出力される場合、フェール情報と共に実測ヨーレート値aが出力されるようにしても構わない。ただし、実測ヨーレート値aは無効であることを示すデータがフェール情報に付加されるようにすることが望ましい。
本ステップにてフェール情報が出力されると、本フローは終了し、再びフローがスタートする。
以上説明したように、本実施形態では、ヨーレートセンサ11から実測ヨーレート値のアナログ信号とSPIインターフェースによるデジタル信号とを出力することで、ヨーレートセンサ11における実測ヨーレート値の出力系統を二重系としている。また、バス50を介してセンサ装置10に車速センサ20の信号を入力することで、車両の推定ヨーレート値を取得している。
これにより、自己診断部12eの比較判定部12fにおいて、各系統における各実測ヨーレート値と車速センサ20の出力に基づく推定ヨーレート値との3つのヨーレート値を比較することで、自己診断を行うことができる。したがって、センサ装置10から信頼性の高いデータを出力することができ、センサ装置10単独で高信頼性を実現することができる。
このようにして、センサ装置10の内部で当該センサ装置10が出力するヨーレートセンサ11の実測ヨーレート値の診断が可能となるため、車両制御システムにおいて車両制御装置30内にセンサ装置10から入力される実測ヨーレート値を診断する機能を省くことができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、図2に示されるセンサ装置10に加速度センサを付加したことが特徴となっている。図5は、本実施形態に係るセンサ装置のブロック構成図である。この図に示されるように、センサ装置10内に加速度センサ12gが備えられている。
加速度センサ12gは、車両の加速度を検出するものである。当該加速度センサ12gには、例えばシリコン基板等に対して一般に知られている櫛歯構造を有する梁構造体が形成されており、印加された加速度に応じた可動電極と固定電極間の静電容量変化(電気信号)が検出されるようになっている。そして、その電気信号が加速度に応じた検出信号として出力される。
上記加速度センサ12gは、上記ヨーレートセンサ11と同様に、内部に演算回路を有しており、実測した加速度に相当する検出信号をアナログ信号およびデジタル信号の両信号で出力する。そして、アナログ信号はAD変換部12aにてAD変換され、自己診断部12eに入力される。また、デジタル信号はSPIインターフェース12bを介して自己診断部12eに入力される。
本実施形態では、自己診断部12eの比較判定部12fは、加速度センサ12gから出力された2系統の信号を比較することで、加速度センサ12gの出力を自己診断する機能を有している。したがって、加速度センサ12gの出力を自己診断することができ、診断済みの加速度センサ12gの出力を車両制御システムで用いるようにすることができる。
以上のように、センサ装置10の内部に加速度センサ12gを備え、車両の加速度を検出するようにすることもできる。その際、加速度センサ12gからアナログ信号およびデジタル信号を2系統で出力することで、自己診断部12eにて各信号を比較して自己診断を行うことができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図6は、本実施形態に係る車両制御システムのブロック構成図である。この図に示されるように、車両制御システムに舵角センサ60を備えることもできる。
舵角センサ60は、ドライバがステアリングを操作したときの回転角度を検出するものである。当該舵角センサ60で検出されたステアリング舵角に応じた信号は、車内LANインターフェース12cに入力される。
そして、センサ装置10の推定ヨーレート計算部12dでは、車速センサ20から入力される車速と、舵角センサ60から入力される舵角と、により推定ヨーレート値を算出することとなる。
このような場合、車速と舵角という2つのパラメータを用いて車両の推定ヨーレート値を取得するようにしているため、得られる推定ヨーレート値は上記各実施形態で得られる値よりも精度が高いと言える。これにより、自己診断部12eにおいて高精度の自己診断を行うようにすることができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、センサ装置10にはヨーレートセンサ11が1つだけ備えられているが、ヨーレートセンサ11を複数(例えば2つ)備え、各ヨーレートセンサ11について図3に示される自己診断処理を行うようにしても構わない。第2実施形態において加速度センサ12gを複数備える場合も同様である。
図3に示されるステップ100では、各ヨーレート値にそれぞれ共通の一定値(±α)を足し合わせて各値に幅を持たせているが、各ヨーレート値に足す一定値は、各ヨーレート値でそれぞれ異なる値であっても構わない。どの系統のヨーレート値にどれくらいの幅を持たせるかは、系統の重要度や信頼性等から設定することができる。
上記各実施形態では、ヨーレートセンサ11から出力されるアナログ信号に基づく実測ヨーレート値、デジタル信号に基づく実測ヨーレート値、および推定ヨーレート計算部12dにて取得された推定ヨーレート値の3つの各値を比較することで自己診断を行っているが、ヨーレートセンサ11から出力されるアナログ信号に基づく実測ヨーレート値、デジタル信号に基づく実測ヨーレート値の2つの値を比較することで自己診断を行っても良い。この場合、図3に示される各ステップのうちステップ100、110、120、160で構成されるフローにより自己診断を行うことができる。
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
本発明に係るセンサ装置を備えた車両制御システムのブロック構成図である。 図1に示されるセンサ装置のブロック構成図である。 マイコンの自己診断部の比較判定部が実行する自己診断処理の内容を示したフローチャートである。 各ヨーレート値a、b、cに一定値±αを加えたときの各値の幅の一例を示した図である。 本発明の第2実施形態に係るセンサ装置のブロック構成図である。 本発明の第3実施形態に係る車両制御システムのブロック構成図である。 従来の車両制御システムのブロック構成図である。
符号の説明
10…センサ装置、11…ヨーレートセンサ、12a…AD変換部、12b…SPIインターフェース、12d…推定ヨーレート計算部、12f…比較判定部、12g…加速度センサ、20…車速センサ、30…車両制御装置、60…舵角センサ、100…演算手段、110…第1判定手段、120…第1出力手段、130…第2判定手段、140…第3判定手段、150…第2出力手段、160…フェール情報出力手段。

Claims (10)

  1. 車両の角速度を検出し、当該車両の角速度に応じた検出信号をアナログ信号およびデジタル信号でそれぞれ出力するヨーレートセンサ(11)と、
    前記ヨーレートセンサから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部(12a)と、
    前記ヨーレートセンサにて検出された前記車両の角速度のうち前記アナログ信号が前記AD変換部を介してデジタル信号として入力されると共に、当該アナログ信号とは異なる経路を経由して前記ヨーレートセンサから出力されたデジタル信号が入力されるようになっており、前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、をそれぞれ比較することにより前記ヨーレートセンサについて自己診断を行う比較判定部(12f)と、を備えることを特徴とするセンサ装置。
  2. 前記比較判定部は、
    前記ヨーレートセンサから前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す値と、前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値と、にそれぞれ一定値を加算することで各値に幅を持たせる演算手段(100)と、
    前記演算手段にて幅を持たされた各値がオーバーラップするか否かを判定する第1判定手段(110)と、
    前記判定手段にて前記各値がオーバーラップすると判定された場合、前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号を優先して外部に出力する第1出力手段(120)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記ヨーレートセンサから出力される前記デジタル信号はSPIインターフェース(12b)を介して前記比較判定部に入力されるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
  4. 前記車両の角速度を推定する推定ヨーレート計算部(12d)が備えられており、当該推定ヨーレート計算部は、前記車両に備えられた車速センサ(20)にて検出された車速を入力すると共に当該車速の値に基づいて車両の角速度を推定するようになっており、
    前記比較判定部は、前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す車両の角速度と、前記推定ヨーレート計算部にて取得された車両の角速度の推定値と、をそれぞれ比較することにより自己診断を行うようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のセンサ装置。
  5. 前記演算手段は、前記推定ヨーレート計算部にて取得された前記車両の角速度の推定値に一定値を加算することで前記推定値に幅を持たせるようになっており、
    前記比較判定部は、前記演算手段にて幅を持たされた、前記ヨーレートセンサから前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す値と、前記演算手段にて幅を持たされた前記推定値とがオーバーラップするか否かを判定する第2判定手段(130)を備え、当該第2判定手段にてオーバーラップすると判定された場合、前記出力手段にて前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値を優先して外部に出力するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ装置。
  6. 前記比較判定部は、
    前記第2判定手段にてオーバーラップしないと判定された場合、前記演算手段にて幅を持たされた、前記ヨーレートセンサから入力されるデジタル信号が示す値と、前記演算手段にて幅を持たされた前記推定値とがオーバーラップするか否かを判定する第3判定手段(140)と、
    前記第3判定手段にてオーバーラップすると判定された場合、前記ヨーレートセンサから前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号を優先して外部に出力する第2出力手段(150)と、
    前記第3判定手段にてオーバーラップしないと判定された場合、故障であることを示す自己診断結果を出力するフェール情報出力手段(160)と、を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載のセンサ装置。
  7. 前記推定ヨーレート計算部は、舵角センサ(60)から前記車両の舵角に応じた信号を入力するようになっており、前記車速センサの信号と前記舵角センサの信号とに基づいて前記車両の角速度を推定するようになっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のセンサ装置。
  8. 前記車両の加速度を検出し、当該車両の加速度に応じた検出信号をアナログ信号およびデジタル信号でそれぞれ出力する加速度センサ(12g)が備えられ、前記AD変換部は、前記加速度センサから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するようになっており、
    前記比較判定部は、前記加速度センサにて検出された車両の加速度が、前記アナログ信号、前記デジタル信号としてそれぞれ異なる経路を経由して入力されると共に、前記AD変換部を介して入力されるデジタル信号が示す車両の加速度と、前記加速度センサから入力されるデジタル信号が示す車両の加速度と、をそれぞれ比較することにより前記加速度センサについて自己診断を行うようになっていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のセンサ装置。
  9. 前記ヨーレートセンサは複数備えられており、前記比較判定部は、各ヨーレートセンサについて自己診断を行うようになっていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のセンサ装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1つに記載のセンサ装置と、
    前記センサ装置から入力される前記車両の角速度に基づいて車両制御を行う車両制御装置(30)と、を備えたことを特徴とする車両制御システム。
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