JP2008116019A - 圧縮ばね、及び圧縮ばねの製造方法 - Google Patents

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志津雄 横堀
Mitsuo Oshikata
満男 押方
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Abstract

【課題】複数の皿ばねを互いに位置決めすると共に、その外面を保護して所定の機能を維持することのできる圧縮ばねの提供。
【解決手段】皿ばね2の凹面同士及び凸面同士を交互に対向させて、複数の皿ばね2を重ね、筒状ばね本体3を構成する。筒状ばね本体3よりも外端側に押圧リング9を装着する。筒状ばね本体3の外面側に未加硫ゴムシート11を巻き付ける。一体化した筒状ばね本体3、押圧リング9及び未加硫ゴムシート11を金型12の成型穴13に挿入する。未加硫ゴムシート11を加熱する。押圧リング9を中心軸方向内向きに押圧する。筒状ばね本体3を中心軸方向に圧縮しながら未加硫ゴムシート11を加圧する。未加硫ゴムシート11が筒状ばね本体3のV溝6に侵入する。筒状ばね本体3の外面を被覆する被覆ゴム4に加硫成形されて圧縮ばね1を得る。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば流体を圧送するスクイーズポンプのロータとローラとの間に介装される圧縮ばね及びその製造方法に関するものである。
一般に、スクイーズポンプは、ポンプケースにポンピングチューブ及び回転自在なロータを内装してなり、そのロータに装着されたローラがポンピングチューブを押圧しながらチューブ中心軸方向に転動することにより、生コンクリートなどの流体を圧送するようになっている。
ローラは、ポンプケースの内周面との間に所定のクリアランスをあけるよう取り付けられる。このクリアランスの大きさは、ローラで押し潰したポンピングチューブの内面を所望のシール面圧でシールして流体の逆流を阻止するよう設定される。また、ポンピングチューブは、流体の圧送による摩耗を見込んだ初期厚さに設定され、この初期厚さを厚くすることにより、ポンピングチューブの長寿命化が図られる。
ただ、ポンプケースの内周面とローラとのクリアランスを一定の大きさに設定することにより、ポンピングチューブの摩耗の進行に伴ってシール面圧が低下するため、単にポンピングチューブを厚くしただけでは、その長寿命化を十分に図ることができない。
このような摩耗の進行に伴うシール面圧の低下に対し、ロータとローラとの間に圧縮ばねを介装して、ポンピングチューブをその摩耗量に関わらずほぼ一定の力で押圧することにより、ポンピングチューブの初期厚さを厚く設定しつつ、摩耗が進行した状態においても所望のシール面圧を維持することが求められる。
ポンピングチューブの押圧に要するような大きな荷重に耐え得る圧縮ばねとしては、皿ばねが好適であり、さらに、この皿ばねを複数重ねることにより、圧縮ばねを所望のばね定数に設定することがある(例えば特許文献1)。
図9に特許文献1が開示する圧縮ばねを示す。圧縮ばね101は、複数の皿ばね102の外周部又は内周部の複数箇所をシリコンゴム103で相互に固定し、皿ばね102同士の位置ずれによる圧縮ばね101の高さの変化などを防止している。
特開平5−202968(段落番号0017、0018、図3)
ところが、特許文献1の圧縮ばねは、複数の皿ばねを重ねてその外周部又は内周部のうちの複数箇所を固定しただけのものであるため、その固定が不十分になりやすく、さらに、皿ばねの外面が生コンクリートなどで汚染される場合には、生コンクリートなどが皿ばね間に目詰まりして圧縮ばねとしての機能を損なうおそれがある。
本発明は、複数の皿ばねを互いに位置決めすると共に、その外面を保護して所定の機能を維持することのできる圧縮ばねの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る圧縮ばねは、中央穴を有する複数の皿ばねをその凹面同士及び凸面同士が交互に対向するよう重ねて蛇腹状の筒状ばね本体を構成すると共に、この筒状ばね本体の外面を複数の皿ばねを一体化する被覆ゴムで被覆したものであり、さらに、被覆ゴムを蛇腹状の筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させて形成したものである。
上記構成によれば、筒状ばね本体の外面を被覆ゴムで被覆するので、筒状ばね本体を構成する複数の皿ばねを互いに確実に位置決めして型くずれを防止し、大荷重及び大変位の繰り返しに耐えることができる。さらに、被覆ゴムで筒状ばね本体の外面を保護し、特に、被覆ゴムを筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させるので、皿ばね間の目詰まりを防止して、圧縮ばねの所定の機能を維持することができる。
ここで、皿ばねは、ばね定数が大きく、かつ大きな荷重を受けることができるので、圧縮ばねをコンパクトにすることができ、しかも、複数の皿ばねを重ねることにより、圧縮ばねを所望のばね定数に設定することができる。この皿ばねの枚数は、圧縮ばね全体のばね定数だけでなく、その耐久性を左右する一枚当たりの圧縮量や、取り付け可能な長さなどをも勘案して適宜設定すればよい。また、被覆ゴムは、各皿ばねに均等に荷重を分散させると共に、衝撃を吸収して圧縮ばねの耐久性を高めることができる。
被覆ゴムの外面に、筒状ばね本体の外面側のV溝と中心軸方向における位置を合わせて、曲面状の周溝を形成すれば、被覆ゴムを筒状ばね本体の変位に追随させて滑らかに伸縮させ、その耐久性を高めることができる。
つまり、被覆ゴムを侵入させるV溝の外側に周溝を形成するので、圧縮ばねを圧縮したときにV溝から押し出された被覆ゴムが部分的に膨出するのを防止することができ、しかも、周溝を曲面状に形成するので、被覆ゴムを滑らかに伸縮させることができる。これにより、被覆ゴムの膨出が圧縮ばねの変位を阻害するのを防止すると共に、膨出部分を起点とする被覆ゴムの損傷を防止することができ、変位の繰り返しに対する十分な耐久性を得ることができる。
被覆ゴムを筒状ばね本体の自由状態において中心軸方向への引張状態になるよう設定すれば、その分、圧縮ばねを圧縮したとき、すなわち圧縮ばねの使用時の被覆ゴムの歪みを小さくすることができ、被覆ゴムの耐久性を高めることができる。
この圧縮ばねの用途としては、スクイーズポンプに装備される回転自在なロータと、このロータに装着されてポンピングチューブを押圧しながら転動することにより流体を圧送するローラとの間に介装することを例示できる。
本発明の圧縮ばねは、わずかに圧縮するだけでローラの押圧力や推力に相当する大きな反力を得ることができ、しかも、皿ばねを重ねたコンパクトな構造であり、スクイーズポンプのロータとローラとの間に容易に介装することができる。ロータ及びローラ間に介装した圧縮ばねは、摩耗などによるポンピングチューブの肉厚の変化に関わらず、ローラをほぼ一定の力で押し付けると共に、そのクッション効果により、圧送する流体の急激な圧力変動のショックを吸収することができる。
また、本発明は、中央穴を有する複数の皿ばねを重ねてなる蛇腹状の筒状ばね本体の外面を被覆ゴムで被覆して、複数の皿ばねを一体化した構造の圧縮ばねの製造方法を提供する。
具体的には、複数の皿ばねをその凹面同士及び凸面同士を交互に対向させるよう重ねて蛇腹状の筒状ばね本体を構成しながら、皿ばねの中央穴にシャフトを挿入すると共に、筒状ばね本体よりも外端側でシャフトに押圧リングを装着し、かつ筒状ばね本体の外面側に未加硫ゴムを配置する。次いで、一体化したシャフト、筒状ばね本体、押圧リング及び未加硫ゴムを金型内部に配置する。さらに、未加硫ゴムを加熱すると共に、押圧リングを中心軸方向内向きに押圧して筒状ばね本体を中心軸方向に圧縮しながら未加硫ゴムを加圧することにより、未加硫ゴムを蛇腹状の筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させつつ加硫成形して被覆ゴムとする。
上記構成によれば、押圧リングを押圧して、筒状ばね本体を中心軸方向に圧縮しながら押圧リング間の容積を小さくしていくことにより、未加硫ゴムを十分に大きい力で加圧して加硫成形することができ、被覆ゴムの物性を高めることができる。しかも、筒状ばね本体の外面側のV溝に空洞を生じさせることなく、未加硫ゴムを十分に侵入させることができるので、加圧の変動を抑えて被覆ゴムの物性を安定させることができる。
また、被覆ゴムの外面に周溝を形成するには、この周溝に対応する突条を有する金型を用いることもできるが、被覆ゴムを加硫成形した後、筒状ばね本体の圧縮を解除するときのV溝に対応する部位の被覆ゴムの縮径によって周溝を形成するようにしてもよい。これにより、金型の突条を不要にしてその構造を簡単にすることができる。
すなわち、本発明は、上記の製造方法を前提として、以下の圧縮ばねの製造方法を提供する。
「前記未加硫ゴムを被覆ゴムに加硫成形した後、押圧リングの押圧を解除し、中心軸方向に圧縮した筒状ばね本体を復元させて被覆ゴムを中心軸方向に引っ張ることにより、筒状ばね本体の外面側のV溝と中心軸方向における位置を合わせて、被覆ゴムの外面に曲面状の周溝を形成することを特徴とする圧縮ばねの製造方法。」
金型は、割り型であってもよいが、加硫成形後の筒状ばね本体の圧縮解除に伴う被覆ゴムの縮径を利用して型抜きすることにより、成型穴を形成しただけの金型を使用するようにしてもよい。これにより、金型の構造を簡単にすると共に、金型の分解組立作業を不要にし、さらに、割り型を使用する場合のようなバリをなくして製品の外観を美しくすることができる。
すなわち、本発明は、上記の製造方法を前提として、以下の圧縮ばねの製造方法を提供する。
「一体化したシャフト、筒状ばね本体、押圧リング及び未加硫ゴムを金型の成型穴に中心軸方向に挿入することによって配置し、前記未加硫ゴムを被覆ゴムに加硫成形してシャフトの周りに圧縮ばねを形成した後、押圧リングの押圧を解除するときの筒状ばね本体の復元により、被覆ゴムを中心軸方向に伸ばしつつ縮径させて、シャフト及び圧縮ばねを金型の成型穴から中心軸方向に抜き出すことを特徴とする圧縮ばねの製造方法。」
押圧リングの押圧及びその解除により、未加硫ゴムの加減圧を複数回繰り返して、未加硫ゴムを筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させれば、いわゆるバンピング作用によって未加硫ゴムの流動性を高めてV溝に侵入させやすくすることができる。なお、筒状ばね本体の復元力を利用することができるので、バンピングも容易である。
以上のとおり、本発明によると、皿ばねを重ねて筒状ばね本体を構成すると共に、その外面を被覆ゴムで被覆するので、コンパクトな構造で、かつ型くずれすることのない圧縮ばねを得ることができる。しかも、被覆ゴムを筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させるので、皿ばね間の目詰まりを防止して圧縮ばねの所定の機能を維持することができる。
また、筒状ばね本体を中心軸方向に圧縮しながら未加硫ゴムを十分に強い力で加圧して加硫成形するので、未加硫ゴムを筒状ばね本体の外面側のV溝に十分に侵入させることができる。これにより、V溝に、加圧の変動を引き起こす空洞を生じさせることがなく、被覆ゴムの物性を高め、かつ安定させることができる。
以下、本発明に係るスクイーズポンプを実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明に係る圧縮ばねの全体断面図であり、図2は皿ばねの断面図である。
圧縮ばね1は、複数の皿ばね2を重ねてなる蛇腹状の筒状ばね本体3の外面を被覆ゴム4で被覆してなり、4によって複数の皿ばね2が一体化されている。
皿ばね2は、中央穴5を有する円板状で、一面が凹面かつ他面が凸面とされ、その凹面同士及び凸面同士を交互に対向させるよう重ねられて、蛇腹状の筒状ばね本体3を構成している。
被覆ゴム4は、蛇腹状の筒状ばね本体3の外面側のV溝6に侵入するよう形成され、このV溝6と中心軸方向における位置を合わせて、被覆ゴム4の外面に曲面状の周溝7が形成されている。また、被覆ゴム4は、筒状ばね本体3の自由状態において中心軸方向への引張状態になるよう設定されている。
次に、本発明の圧縮ばねの製造方法を説明する。図3は圧縮ばねを製造する手順を示す模式図である。図4は被覆ゴムの加硫成形用の金型の斜視図である。
まず、図3(a)に示すように、皿ばね2の中央穴5にシャフト8を挿入しながら、複数の皿ばね2をその凹面同士及び凸面同士が交互に対向するよう重ねて蛇腹状の筒状ばね本体3を構成する。さらに、筒状ばね本体3よりも外端側に押圧リング9を装着して、シャフト8の両端にナット10を螺合して固定し、筒状ばね本体3の外面側に未加硫ゴムシート11を巻き付ける。このときの筒状ばね本体3は、全く圧縮されていない状態で、その高さはh1である。なお、未加硫ゴムシート11は、押圧リング9の外周面よりも突出しないよう厚さを設定する。
次いで、図3(b)に示すように、シャフト8を介して一体化した筒状ばね本体3、押圧リング9、ナット10及び未加硫ゴムシート11を、金型12に形成された円形の成型穴13に中心軸方向に挿入する。このときの筒状ばね本体3は、全く圧縮されていない状態で、その高さはh2(=h1)である。なお、図4に示すように、金型12は、上面及び下面から加硫伝熱を受けるよう角形とされる。
図3(c)に示すように、金型12を加熱して未加硫ゴムシート11を加熱すると共に、ナット10を徐々に締め付けて押圧リング9を中心軸方向内向きに押圧して、筒状ばね本体3を中心軸方向に圧縮しながら未加硫ゴムシート11を加圧する。これにより、未加硫ゴムシート11を筒状ばね本体3の外面側のV溝6に侵入させつつ加硫成形して被覆ゴム4とする。このときの筒状ばね本体3は、圧縮された状態で、その高さはh3(<h1、h2)である。なお、余った未加硫ゴムは、押圧リング9と成型穴13の周壁との隙間から排出される。
図3(d)に示すように、所定の加硫時間が経過して未加硫ゴムシート11が被覆ゴム4に加硫成形され、シャフト8の周りに圧縮ばね1が形成された後、ナット10を緩めて押圧リング9の押圧を解除する。これにより、中心軸方向に圧縮した筒状ばね本体3が復元して被覆ゴム4を中心軸方向に引っ張るので、筒状ばね本体3の外面側のV溝6と中心軸方向における位置を合わせて、被覆ゴム4の外面に滑らかな曲面状の周溝7が形成される。このときの筒状ばね本体3は、圧縮状態から復元した状態であり、その復元を被覆ゴム4が阻害するものの、その影響はわずかであり、その高さはh4(>h3、≒h1、h2)である。
ここで、被覆ゴム4は、加硫収縮による縮径に加え、中心軸方向に伸びることによっても縮径するので、熱膨張したままの被覆ゴム4の外径が成型穴13の径よりも小さくなり、シャフト8の周りの圧縮ばね1を金型12の成型穴13から中心軸方向に容易に抜き出すことができる。その後、図3(e)に示すように、ナット10、押圧リング9及びシャフト8を取り外すことにより、圧縮ばね1が得られる。このときの筒状ばね本体3の高さ、すなわち圧縮ばね1の高さは、h5(=h4、≒h1、h2)である。
次に、本発明の圧縮ばねを備えたスクイーズポンプについて説明する。図5はスクイーズポンプの全体断面図で、図6はA−A断面図である。図7はスクイーズポンプに装着した圧縮ばねの断面図である。
スクイーズポンプ14は、生コンクリートなどの流体を圧送するためのものであり、両端を塞がれた円筒状のポンプケース15と、ポンプケース15にその内周面に沿って湾曲して内装されたポンピングチューブ16と、ポンプケース15にその中心軸周りに回転自在に内装されたロータ17と、ロータ17に装着されてポンピングチューブ16を湾曲内側から押圧しながらチューブ中心軸方向に転動するローラ18とを備え、そのロータ17とローラ18との間に圧縮ばね1が介装される。
このスクイーズポンプ14は、ローラ18が圧縮ばね1の付勢力によってほぼ一定に近い押圧力でポンピングチューブ16を押圧し、さらにロータ17の回転に伴って転動することにより、ポンピングチューブ16の下端から吸入した流体を上端から吐出するようになっている。
ポンピングチューブ16のチューブ中心軸方向の中央部は、ポンプケース15の内周面に配置されたゴム製のパッド19に内接して180°向きを変えるように一定の曲率で湾曲している。ポンピングチューブ16のチューブ中心軸方向の両端部は、直管状とされて、ポンプケース15の正面側に形成された上下一対のチューブ貫通孔20を貫通し、ポンプケース15の内部から外部に延設されて、他部材に連結されている。
ロータ17は、その中央部がポンプケース15の内部中央に設けられた回転軸21に一体回転可能に連結されて、回転軸21が回転することにより、ロータ17の両先端部に装着された二個のローラ18がポンピングチューブ16を転動する。
ローラ18は、ローラ軸18aの周りにゴムを配置してなる円柱状とされ、そのローラ軸18aの両端が、ロータ17の両先端部にそれぞれ一対ずつ設けられた軸受け22に支持されている。
軸受け22は、これをロータ17に取り付けるためのロッド23と一体に形成され、このロッド23が、ロータ17を構成する二枚の長方形板のそれぞれの両先端部の外面側に突設されたブラケット24を貫通すると共に、ロッド23の先端に螺合されたナット25によってブラケット24からの抜け出しが阻止されている。
ブラケット24には、軸受け22と一体に形成された案内子26を案内するガイド27が設けられ、このガイド27が案内子26を介して軸受け22をブラケット24と直交する方向に案内する。さらに、ブラケット24は、これに直交する方向をロータ17の中心軸に対して傾斜させて設けられ、軸受け22及びこれが支持するローラ18をポンプケース15の内周面の接線と直交する方向に対して傾斜する方向に案内する。
圧縮ばね1は、その中央穴にロッド23を貫通させることにより、ロッド23に形成された受け部23aとブラケット24との間に圧縮状態で介在される。これにより、圧縮ばね1が軸受け22を介してローラ18を付勢すると共に、その付勢力の向きがガイド27の案内方向に設定される。
具体的には、付勢力の向きがローラ18の転動方向に対して例えば15°〜45°程度の傾斜角度(θ)で傾斜する方向に設定され、ローラ18がポンプケース15の内周面に接近させる方向及びローラ18の転動方向に付勢される。
次に、スクイーズポンプ14を運転したときの様子を説明する。ロータ17が図5における時計回りに回転することにより、ローラ18が時計の6時に相当する位置に至るまでに徐々にポンピングチューブ16の押圧を開始し、その後、時計の12時に相当する位置から徐々にポンピングチューブ16の押圧を解除する。この間、ローラ18がパッド19との間にポンピングチューブ16を挟んで押し潰すよう押圧しながら転動することにより、ポンピングチューブ16の内部の流体が上端に送られ、ローラ18が通過した後の押し潰されたポンピングチューブ16の復元により、ポンピングチューブ16の下端から新たな流体が吸入される。
また、ローラ18がポンピングチューブ16を押圧及び転動する際、ローラ18がポンピングチューブ16から受ける反力により、ローラ軸18aを支持する軸受け22と一体のロッド23がブラケット24に押し込まれ、その先端のナット25が突出するまで、ガイド27に沿ってコントローラ6が圧縮される。この圧縮された圧縮ばね1の復元力が付勢力となってローラ18の押圧力及び転動推力となり、ポンピングチューブ16を所望のシール面圧でシールすると共に、所望の圧力で流体を圧送する。
さらに、スクイーズポンプ14の運転が長時間に渡ると、内部を流れる高圧の流体によって摩耗してポンピングチューブ16の肉厚が薄くなるが、その肉厚の変化に対応して圧縮ばね1が復元してローラ18を付勢するので、初期の押圧力及び転動推力とほぼ同程度の力が得られる。
次に、本発明の圧縮ばね(本発明品)と他の圧縮ばね(比較品)とを比較する。図8は本発明の圧縮ばねと比較する比較品の圧縮ばねの断面図である。
本発明品及び比較品のいずれも、皿ばね2として、皿ばね座金1種呼び30(JIS B1251)を使用し、これの凹面及び凸面を交互にして10枚重ねて筒状ばね本体3を構成して、その外面を被覆ゴム4、28、29で被覆している。
皿ばね2は、その外径がφ56mm、内径がφ31mm、高さが6.6mm、厚さが5mmであり、皿ばね2を10枚重ねた筒状ばね本体3の高さが66mmである。この筒状ばね本体3は、高さが51mmまで、すなわち15mm圧縮した状態までの使用を想定している。
本発明品は、上記の製造方法で説明したとおり、円形の成型穴13の内部で筒状ばね本体3を圧縮しながら加硫成形した被覆ゴム4で、筒状ばね本体3の外面を被覆したものであり、成型穴13の内部での筒状ばね本体3の圧縮量を15mmに設定している。成型穴13から取り出したときの圧縮ばね1の最大径は端部でφ64.6mmであり、筒状ばね本体3の復元による被覆ゴム4の伸長が大きい中央部では、両端よりも縮径量が大きく、その径が端部のφ64.6mmをわずかに小さくなっている。
比較品1は、図8(a)に断面図を示すものであり、二つ割りの円筒金型を用いて加硫成形した被覆ゴム28で、筒状ばね本体3の外面を被覆したものである。被覆ゴム28は、その外面が等径であり、さらに、筒状ばね本体3の外面側のV溝6への侵入が不十分であり、V溝6の溝底に空洞30が生じている。
比較品2は、図8(b)に断面図を示すものであり、突条付きの二つ割りの円筒金型を用いて加硫成形した被覆ゴム29で、筒状ばね本体3の外面を被覆したものである。被覆ゴム29は、その外面に、金型の突条に対応する周溝31が形成され、さらに、比較品1と同様、筒状ばね本体3の外面側のV溝6への侵入が不十分であり、V溝6の溝底に空洞32が生じている。
表1に、本発明品と比較品とを「構造」、「被覆ゴムの強度」、「被覆ゴムの変形追随性」、「耐久性」、「皿ばねの位置決め性」、「金型」及び「製造コスト」の7項目について比較した結果を示す。
Figure 2008116019
表1に示すように、「構造」を除く6項目の全てにおいて、本発明品が比較品1及び比較品2よりも優れ、特に、本発明品は、耐久性に優れ、かつ製造コストも安価であることがわかる。
上記構成によれば、大きな荷重を受けるのに好適な皿ばね2を重ねて所望のばね定数に設定するので、大荷重及び大変位を受けることができる。さらに、皿ばね2を重ねた構造の筒状ばね本体3を被覆ゴム4で被覆するので、筒状ばね本体3の外面を保護すると共に、複数の皿ばね2同士を正確に位置決めして型くずれを防止することができる。しかも、被覆ゴム4を筒状ばね本体3の外面側のV溝6に侵入させるので、皿ばね2同士を強固に一体化すると共に、生コンクリートなどによるV溝6の目詰まりを防止して、圧縮ばね1の所定の機能を維持することができる。
被覆ゴム4は、圧縮ばね1の圧縮変形を各皿ばね2に均等に分散することができ、さらに、作用する力の変化や圧力の急激な変動による衝撃を吸収することができ、耐久性を高めることができる。
被覆ゴム4の外面に、V溝6と位置を合わせて滑らかな曲面状の周溝7を形成するので、圧縮ばね1の圧縮によってV溝6から押し出されたゴムが膨出することがなく、被覆ゴム4が筒状ばね本体3の変位に滑らかに追随する。しかも、筒状ばね本体3の自由状態において、被覆ゴム4を引張状態に設定するので、繰り返し変位に対する十分な耐久性を得ることができる。
筒状ばね本体3を圧縮しながら金型12内の容積を徐々に小さくすることによって未加硫ゴムを加圧するので、十分に大きい加圧力を得ることができ、被覆ゴム4の物性を高めることができる。さらに、筒状ばね本体3を復元して被覆ゴム4を縮径するので、金型12を割り型とすることなく、その成型穴13から容易に型抜きすることができる。これにより、金型12を安価にすると共に、金型12の分解組立作業を不要にし、さらに、金型12の割り面からのバリを生じることがなく、圧縮ばね1の外観を美しくすることができる。
なお、本発明は、上記の実施の形体に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、未加硫ゴムシート11を加圧する際、ナット10を徐々に締め付けて、未加硫ゴムをV溝6に侵入させるだけでなく、押圧リング9の押圧及びその解除により、未加硫ゴムシート11の加減圧を複数回繰り返し、いわゆるそのバンピング作用により、未加硫ゴムの流動性を高めて筒状ばね本体3の外面側のV溝6に侵入させるようにしてもよい。この場合、ナット10の締め付け及びその解除を繰り返してもよいが、押圧リング9の押圧及びその解除に油圧装置を用いることもできる。
これにより、ナット10を締め付けただけでは未加硫ゴムの流動性が不十分な場合であっても、例えば高圧インジェクションを用いて外部から未加硫ゴムを圧入する必要がない。また、被覆ゴム4は、皿ばね2を強固に一体化するものであればよく、皿ばね2の外面全面を完全に被覆する必要はない。なお、皿ばね2を圧縮する際にゴムの逃げ場がなくなる筒状ばね本体3の内面側は、ゴム被覆しない構造とするのが望ましい。
本発明に係る圧縮ばねの全体断面図 皿ばねの断面図 圧縮ばねを製造する手順を示す模式図 被覆ゴムの加硫成形用の金型の斜視図 スクイーズポンプの全体断面図 A−A断面図 スクイーズポンプに装着した圧縮ばねの断面図 比較品の圧縮ばねの断面図 従来の圧縮ばねの断面図
符号の説明
1 圧縮ばね
2 皿ばね
3 筒状ばね本体
4 被覆ゴム
5 中央穴
6 V溝
7 周溝
8 シャフト
9 押圧リング
11 未加硫ゴムシート
12 金型
13 成型穴
14 スクイーズポンプ
17 ロータ
18 ローラ

Claims (8)

  1. 中央穴を有する複数の皿ばねが、その凹面同士及び凸面同士が交互に対向するよう重ねられて蛇腹状の筒状ばね本体を構成すると共に、該筒状ばね本体の外面が前記複数の皿ばねを一体化する被覆ゴムで被覆されてなり、前記被覆ゴムは、蛇腹状の筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入して形成されたことを特徴とする圧縮ばね。
  2. 前記被覆ゴムの外面に、筒状ばね本体の外面側のV溝と中心軸方向における位置を合わせて、曲面状の周溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮ばね。
  3. 前記被覆ゴムは、筒状ばね本体の自由状態において中心軸方向への引張状態になるよう設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮ばね。
  4. スクイーズポンプに装備される回転自在なロータと、該ロータに装着されてポンピングチューブを押圧しながら転動することにより流体を圧送するローラとの間に介装されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の圧縮ばね。
  5. 中央穴を有する複数の皿ばねを重ねてなる蛇腹状の筒状ばね本体の外面を被覆ゴムで被覆して前記複数の皿ばねを一体化した構造の圧縮ばねの製造方法であって、
    複数の皿ばねをその凹面同士及び凸面同士を交互に対向させるよう重ねて蛇腹状の筒状ばね本体を構成しながら、前記皿ばねの中央穴にシャフトを挿入すると共に、筒状ばね本体よりも外端側でシャフトに押圧リングを装着し、かつ筒状ばね本体の外面側に未加硫ゴムを配置し、次いで、一体化したシャフト、筒状ばね本体、押圧リング及び未加硫ゴムを金型内部に配置し、さらに、前記未加硫ゴムを加熱すると共に、前記押圧リングを中心軸方向内向きに押圧して筒状ばね本体を中心軸方向に圧縮しながら未加硫ゴムを加圧することにより、前記未加硫ゴムを蛇腹状の筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させつつ加硫成形して前記被覆ゴムとすることを特徴とする圧縮ばねの製造方法。
  6. 前記未加硫ゴムを被覆ゴムに加硫成形した後、押圧リングの押圧を解除し、中心軸方向に圧縮した筒状ばね本体を復元させて被覆ゴムを中心軸方向に引っ張ることにより、筒状ばね本体の外面側のV溝と中心軸方向における位置を合わせて、被覆ゴムの外面に曲面状の周溝を形成することを特徴とする請求項5に記載の圧縮ばねの製造方法。
  7. 一体化したシャフト、筒状ばね本体、押圧リング及び未加硫ゴムを金型の成型穴に中心軸方向に挿入することによって配置し、前記未加硫ゴムを被覆ゴムに加硫成形してシャフトの周りに圧縮ばねを形成した後、押圧リングの押圧を解除するときの筒状ばね本体の復元により、被覆ゴムを中心軸方向に伸ばしつつ縮径させて、シャフト及び圧縮ばねを金型の成型穴から中心軸方向に抜き出すことを特徴とする請求項5又は6に記載の圧縮ばねの製造方法。
  8. 前記押圧リングの押圧及びその解除により、前記未加硫ゴムの加減圧を複数回繰り返して、未加硫ゴムを筒状ばね本体の外面側のV溝に侵入させることを特徴とする請求項5、6又は7に記載の圧縮ばねの製造方法。
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