JP2008115826A - スクイーズポンプ - Google Patents

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Shizuo Yokobori
志津雄 横堀
Mitsuo Oshikata
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Kazuharu Uetsubo
一晴 上坪
Toshio Yokota
敏雄 横田
Kiyoshi Fukushima
清 福島
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Abstract

【課題】クリアランスの調整を省略しつつ、ポンピングチューブの肉厚を十分に増大させて、ポンピングチューブの長寿命化を図ることのできるスクイーズポンプの提供。
【解決手段】ポンプケース2にその内周面に沿ってポンピングチューブ3を内装する。ロータ4とこれに装着するローラ5との間にコントローラ6を圧縮状態で介在させる。ロータ4が回転することにより、ローラ5がポンピングチューブ3を押圧しながら転動する。ポンピングチューブ3の下端から吸入した流体が上端から吐出する。ポンピングチューブ3の摩耗の進行に伴って、コントローラ6がローラ5をポンプケース2の内周面に接近させる。ポンピングチューブ3の摩耗が進行した状態においても、ローラ5の押圧力の変化を抑えて所望のシール面圧を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ローラの押圧及び転動によってポンピングチューブの一端から吸入した生コンクリートなどの流体を他端から吐出して圧送するスクイーズポンプに関するものである。
一般に、スクイーズポンプは、円筒状のポンプケースにポンピングチューブを湾曲させて内装し、これを湾曲内側から押圧するローラをチューブ中心軸方向に転動させることにより、ポンピングチューブの一端から吸入した生コンクリートなどの流体を他端から吐出させて圧送するようになっている(例えば特許文献1)。
ポンピングチューブは、内面ゴムと外面ゴムとの間に補強コード層を介在させてなり、ローラで押圧して強く押し潰すことにより、内側をシールして流体の逆流を阻止している。また、内面ゴムは、流体の圧送によって5mm程度の厚さ分が摩耗した状態においても、生コンクリートの骨材などによる補強コード層の損傷を防止可能な5mm程度の厚さを確保するよう、初期の厚さを10mm程度に設定することが多い。
ローラは、チューブ中心軸方向に転動するよう、ポンプケース内で回転するロータに装着され、さらに、ポンピングチューブを所定の強さで押圧するよう、ポンプケースの内周面との間に所定のクリアランスをあける位置に取り付けられる。このクリアランスは、内面ゴムが摩耗した後においても所望のシール面圧が得られる大きさに設定されている。
特開平9−49490
ところが、ポンピングチューブの長寿命化を図るには、内面ゴムの厚さをより大きく設定することにより、その摩耗代を増大させることが求められる。この場合、内面ゴムの摩耗代が全て摩耗した後においても所望のシール面圧が得られるクリアランスに設定すると、初期の肉厚のポンピングチューブを押圧するにはクリアランスが小さく、初期のシール面圧が過大になりやすい。
これに対して、ローラのゴム厚やポンプケースの内周面に配置するパッドのゴム厚及び材質を調整することにより、ある程度は内面ゴムの摩耗によるシール面圧の変化を抑えることができるが、例えば、内面ゴムの初期厚さを15mm〜20mm程度に設定しつつ、5mm程度の厚みに至るまで使用するには、ローラやパッド、特にローラのゴムを極端に厚くする必要があり、ローラが蓄熱しやすく、かつ製造しにくくなる。さらに、初期の押圧力が大きくなる分、ローラやポンピングチューブを早期破損させやすく、ロータの駆動動力効率を低下させやすい。
また、内面ゴムの摩耗に応じて手動でローラの位置を調節してクリアランスを調整することにより、所望のシール圧を維持することが考えられるが、単にその作業が煩わしいだけでなく、クリアランス調整の時期や量を適切に設定するのが難しい。
本発明は、クリアランスの調整を省略しつつ、ポンピングチューブの肉厚を十分に増大させて、ポンピングチューブの長寿命化を図ることのできるスクイーズポンプの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るスクイーズポンプは、円筒状のポンプケースと、ポンプケースにその内周面に沿って湾曲して内装したポンピングチューブと、ポンプケースに回転自在に内装したロータと、ロータに装着してポンピングチューブを湾曲内側から押圧しながらチューブ中心軸方向に転動してポンピングチューブの一端から吸入した流体を他端から吐出させるローラとを備えたものである。さらに、ローラを付勢手段を介在させてロータに装着し、その付勢手段がローラをポンプケースの内周面に接近させる方向に付勢するようにしたものである。
上記構成によれば、付勢手段がローラをポンプケースの内周面に接近させる方向に付勢するので、ポンピングチューブの摩耗の進行に伴って、ローラとポンプケースの内周面とのクリアランスを狭めながら、ローラの押圧力の変化を抑えつつポンピングチューブを押圧することができる。これにより、長寿命化などの目的でポンピングチューブの肉厚を厚く設定する場合であっても、ポンピングチューブの摩耗が進行する前のローラの押圧力を抑えつつ、摩耗が進行した状態においても、十分な強さの押圧力でポンピングチューブを押し潰して所望のシール面圧を得ることができる。
付勢手段を、その付勢力がポンプケースの内周面及びローラの転動方向を向くよう、付勢力の向きをポンプケースの内周面の接線と直交する方向に対して傾斜させて設けて、ローラをポンプケースの内周面に接近させる方向及びローラの転動方向に付勢すれば、付勢力の向きをポンピングチューブから受ける反力の向きに合わせてローラをスムーズに付勢することができる。
つまり、ローラには、ポンピングチューブをポンプケースの内周面の接線と直交する方向に押圧する押圧力に加えて、ポンピングチューブ内の流体を搾り出しながら転動させるための推力と、これらの押圧力及び推力に対応する反力とが作用する。そのため、付勢力の向きを傾斜させることにより、付勢力を押圧力だけでなくローラ転動の推力とすることもできるので、付勢手段に無理な反力を作用させることなく、ローラをスムーズに押圧及び転動させることができる。
なお、ローラの押圧力及び推力の合成力は、その傾斜角度がポンプケースの内周面の接線と直交する方向に対して60°前後、すなわち、ローラの転動方向に対して30°前後になることが多く、付勢力の傾斜角度をローラの転動方向に対して15°〜45°程度の範囲に設定するのが好適である。
本発明の構成は、ポンピングチューブの肉厚をチューブ中心軸方向に沿って変化するよう設定する場合にも好適に採用することができる。特に、ポンピングチューブの肉厚の変化が大きく、ロータの回転中心をポンプケースの中心軸から偏心した位置に設定して肉厚の変化を吸収する場合、本発明の構成を採用することにより、付勢手段がロータの変位を吸収するので、ロータの偏心量を抑えることができる。
付勢手段としては、ばねなどの弾性体や磁石、油圧シリンダーなどを例示することができる。特に、ばねなどの弾性体を採用することにより、例えば油圧シリンダーが必要とする配管を不要にして、付勢手段の構造を簡単にすることができ、しかも、弾性体のクッション効果により、ポンピングチューブの長さ方向に沿った肉厚の変化や圧送する流体の急激な圧力変動のショックを吸収することができる。
この弾性体は、ポンピングチューブの摩耗代が全て摩耗した状態において所望のシール面圧を得るよう、ロータ及びローラ間に圧縮状態で介在させればよい。また、弾性体の圧縮量は、摩耗後において所望のシール面圧を得るのに必要なローラの押圧力に、ポンピングチューブの摩耗量と、ポンピングチューブ、ローラ、及びポンプケースの内周面に配置するパッドを構成するゴムの圧縮量とを加味して求めればよい。
なお、付勢手段として弾性体を採用することにより、初期の押圧力が多少大きくなるが、付勢手段を設けることなくローラ及びポンプケース内周面のクリアランスを一定にする場合と比較して、ポンピングチューブの摩耗による押圧力の変化を十分に抑えることができる。これにより、初期の押圧力をポンピングチューブなどが破損することのない強さに設定することができ、しかも、ポンピングチューブの摩耗に伴って押圧力が小さくなるので、押圧の繰り返しによるポンピングチューブやローラなどの損傷をも防止することができる。
また、付勢手段としての弾性体として、さらに皿ばねを例示することができる。この皿ばねは、わずかに圧縮するだけでローラの押圧力や推力に相当する大きな反力を得ることができるので、付勢手段をコンパクトにすることができ、しかも、容易かつ安価に入手することができる。なお、皿ばねは一枚だけであってもよいが、複数枚の皿ばねを重ねて用いることができ、その耐久性を左右する一枚当たりの圧縮量や、取り付け可能な長さなどを勘案してその枚数を適宜設定すればよい。
付勢手段として、複数の皿ばねを重ねると共に、少なくともその外周面をゴム被覆すれば、その被覆ゴムが皿ばねの横移動を防止することで、各皿ばねに均等に荷重を分散させることができる。つまり、単に皿ばねを重ねただけでは、皿ばねが横方向にずれることにより、荷重を受ける部位である皿ばねの縁同士が互いにずれて、皿ばね間で伝えられる荷重を不均一にするおそれがあるが、被覆ゴムで皿ばねを被覆することにより、皿ばね同士をその縁を合わせた状態で固定することができ、荷重を均等に分散させることができる。さらに、被覆ゴムは、内圧の変動などによる衝撃を吸収して耐久性を高め、しかも、生コンクリートなどの流体や、ポンプケース内を洗浄する際の水から皿ばねを保護すると共に、皿ばね間の目詰まりを防止する。
以上のとおり、本発明によると、付勢手段を介在させてローラを取り付けることにより、ポンピングチューブの摩耗の進行に伴うローラの押圧力の変化を抑えることができるので、所望のシール面圧を維持しつつポンピングチューブの肉厚を厚く設定することができる。これにより、ローラとポンプケースの内周面とのクリアランスの調整を省略しつつ、ポンピングチューブの長寿命化を図ることができ、特に、生コンクリートのような摩耗を生じさせやすい流体であっても長時間に渡って高圧で圧送することができる。
以下、本発明に係るスクイーズポンプを実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明に係るスクイーズポンプの全体断面図、図2はA−A断面図、図3はコントローラの断面図、図4は皿ばねの断面図である。
スクイーズポンプ1は、生コンクリートなどの流体を圧送するためのものであり、両端を塞がれた円筒状のポンプケース2と、ポンプケース2にその内周面に沿って湾曲して内装されたポンピングチューブ3と、ポンプケース2にその中心軸周りに回転自在に内装されたロータ4と、ロータ4に装着されてポンピングチューブ3を湾曲内側から押圧しながらチューブ中心軸方向に転動するローラ5と、ロータ4とローラ5との間に介在されてローラ5を付勢する付勢手段としてのコントローラ6とを備え、そのローラ5がほぼ一定に近い押圧力でポンピングチューブ3を押圧しながら転動することにより、ポンピングチューブ3の下端から吸入した流体を上端から吐出するようになっている。
ポンピングチューブ3は、内部を流体が流れる内面ゴム3aと、内面ゴム3aを外側から保護する補強コード層3b及び外面ゴム3cとからなる三層構造とされる。ポンピングチューブ3のチューブ中心軸方向の中央部は、ポンプケース2の内周面に配置されたゴム製のパッド7に内接して180°向きを変えるように一定の曲率で湾曲している。ポンピングチューブ3のチューブ中心軸方向の両端部は、直管状とされて、ポンプケース2の正面側に形成された上下一対のチューブ貫通孔8を貫通し、ポンプケース2の内部から外部に延設されて、他部材に連結されている。
ロータ4は、二枚の略長方形板を平行に組み立ててなるフレームとされ、その中央部がポンプケース2の内部中央に設けられた回転軸9に一体回転可能に連結されて、回転軸9が回転することにより、ロータ4の両先端部に装着された二個のローラ5がポンピングチューブ3を転動する。
ローラ5は、ローラ軸5aの周りにゴムを配置してなる円柱状とされ、そのローラ軸5aの両端が、ロータ4の両先端部にそれぞれ一対ずつ設けられた軸受け10に支持されている。
軸受け10は、これをロータ4に取り付けるためのロッド11と一体に形成され、このロッド11が、ロータ4を構成する二枚の長方形板のそれぞれの両先端部の外面側に突設されたブラケット12を貫通すると共に、ロッド11の先端に螺合されたナット13によってブラケット12からの抜け出しが阻止されている。
ブラケット12には、軸受け10と一体に形成された案内子14を案内するガイド15が設けられ、このガイド15が案内子14を介して軸受け10をブラケット12と直交する方向に案内する。さらに、ブラケット12は、これに直交する方向をロータ4の中心軸に対して傾斜させて設けられ、軸受け10及びこれが支持するローラ5をポンプケース2の内周面の接線と直交する方向に対して傾斜する方向に案内する。
コントローラ6は、複数の皿ばね16をその表裏を交互にして重ねると共に、その外周面を被覆ゴム17で被覆してなり、その中央穴にロッド11を貫通させることにより、ロッド11に形成された受け部18とブラケット12との間に圧縮状態で介在される。これにより、コントローラ6が軸受け10を介してローラ5を付勢すると共に、その付勢力の向きがガイド15の案内方向に設定される。
具体的には、付勢力の向きがローラ5の転動方向に対して例えば15°〜45°程度の傾斜角度(θ)で傾斜する方向に設定され、ローラ5がポンプケース2の内周面に接近させる方向及びローラ5の転動方向に付勢される。
次に、スクイーズポンプ1を運転したときの様子を説明する。ロータ4が図1における時計回りに回転することにより、ローラ5が時計の6時に相当する位置に至るまでに徐々にポンピングチューブ3の押圧を開始し、その後、時計の12時に相当する位置から徐々にポンピングチューブ3の押圧を解除する。この間、ローラ5がパッド7との間にポンピングチューブ3を挟んで押し潰すよう押圧しながら転動することにより、ポンピングチューブ3の内部の流体が上端に送られ、ローラ5が通過した後の押し潰されたポンピングチューブ3の復元により、ポンピングチューブ3の下端から新たな流体が吸入される。
また、ローラ5がポンピングチューブ3を押圧及び転動する際、ローラ5がポンピングチューブ3から受ける反力により、ローラ軸5aを支持する軸受け10と一体のロッド11がブラケット12に押し込まれ、その先端のナット13が突出するまで、ガイド15に沿ってコントローラ6が圧縮される。この圧縮されたコントローラ6の復元力が付勢力となってローラ5の押圧力及び転動推力となり、ポンピングチューブ3を所望のシール面圧でシールすると共に、所望の圧力で流体を圧送する。
さらに、スクイーズポンプ1の運転が長時間に渡ると、内部を流れる高圧の流体によって内面ゴム3aが摩耗してポンピングチューブ3の肉厚が薄くなるが、その肉厚の変化に対応してコントローラ6が伸びてローラ5を付勢するので、初期の押圧力及び転動推力とほぼ同程度の力が得られる。
ここで、コントローラ6の諸元を設定する手順を説明する。図5はローラ及びこれが押圧するポンピングチューブの断面図で、(a)はポンピングチューブの摩耗が進行した状態を示し、(b)はポンピングチューブの摩耗前の初期状態を示す。
まず、例えば生コンクリートの骨材による補強コード層3bの損傷を防止するのに必要な内面ゴム3aの厚さに基づいて、ポンピングチューブ3の最小肉厚(t)を設定すると共に、流体を圧送するのに必要な最小シール面圧(p)を設定する。また、最小肉厚(t)のポンピングチューブ3を最小シール面圧(p)が得られるまで押圧したときのローラ5の位置を求め、これをローラ5とポンピングチューブ3との接触部までの基準位置からの距離(H)で表す。さらに、最小シール面圧(p)にローラ5の転動推力を加味してローラ荷重(W)を求める。
次いで、内面ゴム3aの摩耗を考慮してポンピングチューブ3の最大肉厚(T)を設定し、最小肉厚(t)のポンピングチューブ3におけるのと同様の手順で、ローラ5の位置(h)を求める。ローラ5の位置は、内面ゴム3aの摩耗によって変化すると共に、摩耗前後の位置が(h<H)の関係を示し、その差(H−h)がコントローラ6の吸収するローラ5の変位量となる。
ポンピングチューブ3の摩耗によるローラ5の移動量(H−h)を吸収し、かつローラ荷重(W)に耐え得るよう、皿ばね16の大きさ及び枚数を設定する。この皿ばね16を交互に重ね、これを被覆ゴム17で被覆して、複数の皿ばね16のひずみ等分布化とショック吸収を図る。
なお、コントローラ6の付勢力がその圧縮量によって多少変化する分、初期シール面圧(P)が最小シール面圧(p)よりも大きくなるが(P>p)、ナット13で圧縮量を調節するなどして、コントローラ6を予め圧縮状態で装着することにより、その差を十分に小さく設定することができる。また、皿ばね16は、大小あるいは厚さなどを各種組み合わせることができる。
次に、本発明のスクイーズポンプと従来のスクイーズポンプとを具体的な値を用いて比較する。比較するスクイーズポンプは、いずれも、ポンプケース2の内径がφ1700mm、ローラ5の径がφ400mm、ローラ5の幅が300mm、ポンピングチューブ3の外径がφ180mm、ポンピングチューブ3の内径がφ130mm、ポンピングチューブ3の肉厚が25mmであり、一般的な生コンクリートを圧送するときの圧送可能量を比較した。
本発明品のスクイーズポンプ1は、ロータ4側のブラケット12とローラ5側の軸受け10との間にコントローラ6を介在させたものであり、その付勢力の方向、すなわちコントローラ6の中心軸をローラ5の転動方向に対して(θ=45°)の傾斜角度で傾斜させている。
コントローラ6は、10枚の皿ばね16をその表裏を交互にして重ね、さらに、圧力変動などのショックを吸収し、かつ皿ばね16のひずみを均一化して疲労を防止するよう、外周面に被覆ゴム17を加硫接着した構造とした。皿ばね16として、JIS規格の皿ばね1種、呼び30の皿ばねを使用した。この皿ばね16は、90kNの力の負荷によるたわみが1mmであり、これを10枚重ねた構造のコントローラ6の圧縮ばね定数は9kN/mmである。
ローラ5を付勢する付勢力は、ポンピングチューブ3が摩耗して肉厚が20mm(押し潰したときの厚さが40mm)となったときの状態で、49.0kN(5.0tf)に設定した。これにより、ローラ軸5aの両端に設けたコントローラ6に、一つ当たり24.5kN(2.5tf)の力を負荷することになり、圧縮ばね定数が9kN/mmのコントローラ6は、その圧縮量が2.7mmとなり、コントローラ6の長さが66mmから63.3mmに圧縮される。コントローラ6をこの圧縮状態になるようナット13を調節してセットした。
なお、肉厚が25mm(押し潰したときの厚さが50mm)の新品のポンピングチューブ3を取り付けたとき、コントローラ6は、63.3mmよりもさらに10mm圧縮されて53.3mmになる。このときのコントローラ6の付勢力は、肉厚が20mmのときの24.5kNよりも9kN/mm×10mm=90kN増加して114.5kNになるが、これは、ポンピングチューブ3、ローラ5及びパッド7の許容荷重よりも十分に小さいものである。
比較する従来品のスクイーズポンプは、コントローラ6を設けることなく、ポンプケース2の内周面に配置したパッド7とローラ5とのクリアランスを一定の大きさに設定したものであり、そのクリアランスを、内面ゴム3aが5mm摩耗してポンピングチューブ3の肉厚が20mmに至るまで所定のシール面圧を維持するよう設定した。
表1に生コンクリートの圧送可能量について、従来品と本発明品とを比較した結果を示す。
Figure 2008115826
表1は、1.0MPa〜2.5MPaの4ケースの吐出圧力で、従来品及び本発明品を運転したときの生コンクリートの圧送可能量を示す表であり、健全な状態のまま圧送可能な生コンクリート量、ローラの加圧不足が進行する生コンクリート量、及び圧送不能に至る生コンクリート量を示す。
表1において、従来品は、そのクリアランスをポンピングチューブ3を押し潰した厚さよりも小さく設定し、ポンピングチューブ3を押し潰した状態からさらに圧縮してシール面圧を高めたものであり、そのクリアランス(C)がC=40mm及びC=36mmの二種類の場合について結果を示している。また、本発明品は、コントローラ6によってローラ5を付勢したものであり、ローラ5に作用する初期荷重(W)がW=5tf及びW=8tfの二種類の場合について結果を示している。
表1が示すように、全ての吐出圧力において、本発明品の方が従来品よりも生コンクリートの圧送可能量が多くなっている。
より詳しく説明すると、従来品は、摩耗が一定量に達するまでは問題なく圧送できるが、ポンピングチューブ3を圧縮できなくなった時点でシール面圧を失って圧送不能となった。この傾向は、特に高圧の圧送になるほど顕著である。なお、クリアランスをより小さくして初期圧縮量を大きく設定することにより、ポンピングチューブ3の内面ゴム3aの摩耗が進行した状態においても所定のシール面圧を維持することが考えられるが、この面圧がポンピングチューブ3、ローラ5及びパッド7の許容荷重を超過して、これらを早期に破損すると共に、動力のロスが大きくなる。
本発明品のうち、W=5tfに設定したものは、ポンピングチューブ3が摩耗して肉厚が20mmになった状態で49.0kNの付勢力でローラ5を付勢するものであり、摩耗後においても、コントローラ6が2.7mm圧縮され、圧送に必要なシール面圧を維持している。なお、摩耗の進行に伴って、ある程度シール面圧が低下するので、低圧圧送になるほど、長寿命化の効果を得やすい。
本発明品のうち、W=8tfに設定したものは、高圧圧送するために初期荷重(W)を大きく設定したものであり、ローラ5をパッド7に近づけると共に、コントローラ6の圧縮量を大きく設定している。低圧圧送にこれを用いると、付勢力が大きい分、各部品の寿命が若干低下するが、ある程度の圧力で圧送する場合、ポンピングチューブ3の長寿命化が図れる。
なお、コントローラ6は、上記の条件において、ばね定数を1kN/mm〜20kN/mmの範囲に設定し、初期荷重の範囲を29.4kN(3tf)〜98kN(10tf)の範囲に設定するのが好適である。
上記構成によれば、コントローラ6がローラ5を付勢することによってポンピングチューブ3を押圧するので、ポンピングチューブ3の摩耗が進行して肉厚が初期の厚さよりも薄くなることによるシール面圧の極端な低下を阻止することができる。これにより、ポンピングチューブ3の初期の肉厚を厚く設定しつつ、肉厚が十分に薄くなるまで流体を圧送することができるので、ポンピングチューブ3の長寿命化が図れる。
さらに、ポンピングチューブ3が使用限界まで摩耗した状態で所定のシール面圧が得られるようコントローラ6の圧縮量を設定するので、ポンピングチューブ3の摩耗代が全て摩耗するまで高圧圧送することができ、生コンクリートのような摩耗を生じさせやすい流体であっても長時間に渡って高圧で圧送することができる。
ポンピングチューブ3が摩耗するまでの肉厚の厚い状態においては、コントローラ6の圧縮量が大きい分、その付勢力も多少大きくなるが、各部品の許容荷重を超過するまでには至らず、しかも、ポンピングチューブ3の摩耗に伴って付勢力が緩和されるので、各部品の耐久性を低下させることもない。
コントローラ6は、市販の皿ばねと一般に使用される弾性ゴムから構成するので、容易かつ安価に得ることができる。また、コントローラ6は、従来のスクイーズポンプの一部の部品を交換するだけでロータ4に取り付けることができ、そのコストを従来と同程度にすることができる。しかも、コントローラ6は、ポンプケース2の内部の真空状態、高温、あるいは繰り返し荷重の作用などの過酷な条件で使用されるが、このコントローラ6が皿ばね16からなる小型のものであるため、摩耗などの損傷を生じたとしても、ホールカバーから容易に脱着して交換することができる。
コントローラ6は、皿ばね16を被覆ゴム17で被覆した構造であり、その圧縮変形を各皿ばね16に均等に分散することができ、しかも、作用する力の変化や圧力の急激な変動による衝撃を吸収することができ、高い耐久性を得ることができる。さらに、ポンプケース2の内部の生コンクリートや、水洗いの際の汚染を防止し、重ねた皿ばね16の間の目詰まりを防止することができる。
なお、本発明は、上記の実施に形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、摩耗しやすい吐出側の肉厚を厚くする目的で、ポンピングチューブ3の肉厚をチューブ中心軸方向に沿って変化するよう設定することもできる。特に、ロータ4の回転中心をポンプケース2の中心軸から偏心した位置に設定してポンピングチューブ3の肉厚の変化を吸収するような場合には、その肉厚の変化をコントローラ6がある程度吸収するので、ロータ4の偏心量を小さくすることができる。
コントローラ6は、外周面だけでなく内周面をもゴム被覆することができ、複数の皿ばね16に限らず、一枚の皿ばね16であってもよい。また、ローラ5は、円柱状に限らず、円筒状、鼓状、円錐台状その他のあらゆる形状のものを採用することができる。
また、従来のスクイーズポンプとの比較において、コントローラ6の好ましいばね定数及び初期荷重を示したが、ローラ6の形状などの他の要因により、コントローラ6のばね定数及び初期荷重を適宜変更してもよい。
本発明に係るスクイーズ式ポンプの全体断面図 A−A断面図 コントローラの断面図 皿ばねの断面図 ローラ及びこれが押圧するポンピングチューブの断面図で、(a)はポンピングチューブの摩耗が進行した状態を示し、(b)はポンピングチューブの摩耗前の初期状態を示す
符号の説明
1 スクイーズポンプ
2 ポンプケース
3 ポンピングチューブ
4 ロータ
5 ローラ
6 コントローラ
16 皿ばね
17 被覆ゴム

Claims (5)

  1. 円筒状のポンプケースと、該ポンプケースにその内周面に沿って湾曲して内装されたポンピングチューブと、前記ポンプケースに回転自在に内装されたロータと、該ロータに装着されてポンピングチューブを湾曲内側から押圧しながらチューブ中心軸方向に転動してポンピングチューブの一端から吸入した流体を他端から吐出させるローラとを備えたスクイーズポンプであって、
    前記ローラは、付勢手段を介在させてロータに装着され、前記付勢手段は、ローラをポンプケースの内周面に接近させる方向に付勢することを特徴とするスクイーズポンプ。
  2. 前記付勢手段は、その付勢力がポンプケースの内周面及びローラの転動方向を向くよう、付勢力の向きをポンプケースの内周面の接線と直交する方向に対して傾斜させて設けられ、ローラを、ポンプケースの内周面に接近させる方向及びローラの転動方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載のスクイーズポンプ。
  3. 前記ポンピングチューブの肉厚がチューブ中心軸方向に沿って変化するよう設定され、前記ロータの回転中心がポンプケースの中心軸から偏心した位置に設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクイーズポンプ。
  4. 前記付勢手段は、皿ばねとされたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスクイーズポンプ。
  5. 前記付勢手段は、複数の皿ばねを重ねてなり、少なくともその外周面がゴム被覆されたことを特徴とする請求項4に記載のスクイーズポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111412129A (zh) * 2020-03-23 2020-07-14 肯维捷斯(武汉)科技有限公司 一种蠕动泵
KR102157901B1 (ko) * 2020-02-05 2020-09-21 주식회사 컬리탑 호스펌프
CN114623071A (zh) * 2020-12-11 2022-06-14 广东博智林机器人有限公司 一种挤压泵及建筑设备

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