JP2008115217A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、組成物としての貯蔵安定性に優れ、塗膜表面及び塗膜内部の乾燥性に共に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物を含むパテ組成物及びそれを用いた補修塗装方法に関する。
一般的に不飽和ポリエステル樹脂は、他の樹脂に比べ比較的安価であり、また常温でも短時間で乾燥するため作業性にすぐれ、さらに主原料の選択によって種々のすぐれた物理的及び化学的特性を有するため、例えば自動車等の車両用の補修用パテ塗料、木工用塗料、成形物、シーリング材など各種用途に広く使用されている。
これらの用途に使用されている不飽和ポリエステル樹脂組成物は、(1)常温で速やかに硬化し、塗膜の表面乾燥性にすぐれていること、(2)基材との付着性にすぐれていること等の性能が要求される。特に前記(1)常温での塗膜表面乾燥性は作業性の重要な要素となっている。
従来、このような不飽和ポリエステル樹脂組成物は反応性希釈剤として、表面乾燥性や物性の面から、スチレンモノマーが用いられていたが、近年、その臭気の点からスチレンモノマーの使用が規制されつつある。そこで、乾燥性や物性を低下させずにスチレンモノマーに替えてヒドロキシアルキルメタクリレートを反応性希釈剤として用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物が種々提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2など)。
しかしながら上記いずれの樹脂組成物においても、形成塗幕の耐水性が不十分であり、特にヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有モノマーを反応性希釈剤として用いた場合にはその傾向が顕著であった。
こうした問題点に対して特許文献3には、多価アルコールのアリルエーテル単位、テレフタル酸単位、及びエチレングリコール単位を樹脂骨格中に導入してなる不飽和ポリエステル樹脂、及び重合性不飽和化合物を含有することを特徴とする樹脂組成物が記載されている。かかる組成物によれば希釈剤としてヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有モノマーを用いた場合であっても、耐水性が低下することなく、乾燥性、密着性等に優れた塗膜を形成できるものであるが、組成物の貯蔵安定性を良好に保ちつつ、塗膜にした際における塗膜表面乾燥性及び塗膜内部乾燥性を向上させることが必要とされている。
本発明の目的は組成物としての貯蔵安定性に優れ、塗膜表面及び塗膜内部の乾燥性に共に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記した課題に鋭意検討した結果、特定の構成単位を有する不飽和ポリエステル樹脂が酸素捕獲能とラジカル重合性とを有し得ることを見出し、これを含む樹脂組成物により形成される塗膜が表面及び内部の乾燥性が共に良好であること、さらには組成物としての貯蔵安定性に優れていることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は
1. 下記式(1)で表される構成単位を樹脂骨格中に導入してなる不飽和ポリエステル樹脂(A)を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物、
1. 下記式(1)で表される構成単位を樹脂骨格中に導入してなる不飽和ポリエステル樹脂(A)を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物、
(式(1)中、R1、R2は、同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜10の有機基である。)
2. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)を原料とするものである1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
3. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコール、多塩基酸及びカルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を分子中に有するカルボン酸化合物(a1)を反応させることにより得られるものである1項または2項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
4. カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)の使用量が、不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーの合計モル数に基づいて0.5〜50モル%の範囲内にある2項または3項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
5. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、アリルエーテル基を有するものである1項ないし4項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
6. 重合性不飽和化合物(B)をさらに含む1項ないし5項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
7. 重合性不飽和化合物(B)が、その成分の少なくとも一部として、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有する1項ないし6項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
8. 1項ないし7項のいずれか1項記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を含むパテ組成物、
9. 8項記載のパテ組成物を用いた補修塗装方法、
に関する。
2. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)を原料とするものである1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
3. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコール、多塩基酸及びカルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を分子中に有するカルボン酸化合物(a1)を反応させることにより得られるものである1項または2項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
4. カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)の使用量が、不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーの合計モル数に基づいて0.5〜50モル%の範囲内にある2項または3項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
5. 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、アリルエーテル基を有するものである1項ないし4項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
6. 重合性不飽和化合物(B)をさらに含む1項ないし5項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
7. 重合性不飽和化合物(B)が、その成分の少なくとも一部として、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有する1項ないし6項のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物、
8. 1項ないし7項のいずれか1項記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を含むパテ組成物、
9. 8項記載のパテ組成物を用いた補修塗装方法、
に関する。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物によれば、組成物としての貯蔵安定性は良好であり、常温乾燥の条件でも塗膜の表面乾燥性及び内部乾燥性が共に優れている。
本発明において使用される不飽和ポリエステル樹脂(A)は、下記式(1)で表される構成単位を樹脂骨格中に導入してなるものであることを特徴とする。
式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって水素原子又は炭素数が1〜10の有機基であり、共に水素であることが望ましく、R1、R2が有機基である場合はメチル基であるのが好ましい。
本発明において、上記式(1)で表される構成単位を樹脂骨格中に導入する手法としては特に制限されるものではないが、不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造原料モノマーとしてカルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を分子中に有するカルボン酸化合物(a1)を使用するとよい。
そのような目的で使用しうるカルボン酸化合物(a1)の具体例としては、例えば、ソルビン酸、2,4−ペンタジエン酸、トリエニック酸、6−フェニル−2,4,6−ヘプタトリエン酸、レチノイン酸(ビタミンA)、5−フェニル−2,4−ペンタジエン酸、ムコン酸、ヘキサエンジカルボン酸等を例示することができ、なかでもソルビン酸が特に好適である。
上記不飽和ポリエステル樹脂(A)としては、例えば、多価アルコール、多塩基酸及び上記カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を分子中に有するカルボン酸化合物(a1)とを反応させることにより製造することができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
また、上記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の表面乾燥性の点から、アリルエーテル単位を有していてもよく、製造原料である多価アルコールとして、水酸基を有するアリル化合物を使用してもよい。
該水酸基を有するアリル化合物としては、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1、2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1、3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等を挙げることができる。
本発明では不飽和ポリエステル樹脂(A)として、塗膜内部硬化性、塗膜表面乾燥性の点から、上記水酸基を有するアリル化合物を使用する場合は、該化合物を不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーの合計モル数に基づいて50モル%以下、好ましくは10〜35モル%含有することが適している。
上記多価アルコールに反応せしめられる和多塩基酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸等の不飽和多塩基酸が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
上記不飽和多塩基酸には、飽和多塩基酸を併用してもよく、該飽和多塩基酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
上記ポリエステル樹脂(A)の製造において、上記多価アルコール、多塩基酸及び上記カルボン酸化合物(a1)は一度に反応させてもよいし、多段的に反応させる方法、例えば前記多価アルコール及び多塩基酸の縮合重合反応を行った後、得られる重縮合生成物中に含まれる水酸基と上記カルボン酸化合物(a1)中に含まれるカルボキシル基とをエステル化反応させる方法などによって製造してもよい。
縮合反応時の加熱温度は、通常140〜250℃、好ましくは160〜220℃の範囲内であることがゲル化防止の点から望ましい。
本発明において、上記カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)は、不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーの合計モル数に基づいて0.5〜50モル%、特に1〜35モル%の範囲内で使用することが本発明の組成物の貯蔵安定性と形成される塗膜の表面及び内部乾燥性の点から好適である。
また、上記不飽和ポリエステル樹脂(A)がアリルエーテル単位を有する場合、その場合は上記式(1)で表される構成単位とアリルエーテル単位のモル比は、前者/後者モル比で1/99〜99/1、特に20/80〜99/1の範囲内に調整されることが本発明の組成物の貯蔵安定性と形成される塗膜の内部及び表面乾燥性との点から適している。
また、本発明において上記不飽和ポリエステル樹脂(A)は、必要に応じて脂肪酸により変性されていてもよい。該脂肪酸としては、乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸が好適であり、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン脂肪酸等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は重合性不飽和化合物(B)をさらに含むことができる。
本発明において重合性不飽和化合物(B)は、塗布時には組成物の粘度を低くせしめ塗布作業性を向上させつつ、且つ膜形成成分ともなりうる反応性希釈剤として貢献するものであり、その具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)プロパン、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの1価又は多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート等のジシクロペンテニル基を有する重合性不飽和化合物;エチレングリコールジマレート、プロピレングリコールジイタコネートなど;4−(メタ)アクリロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などの4−(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレ−ト、トリアリルフタレ−ト等のアリル化合物;エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシリコンジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
本発明において上記不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)の配合比としては、不飽和ポリエステル樹脂(A)及び重合性不飽和化合物(B)質量比で90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80の範囲内にあることが、塗膜の表面乾燥性の点から好適である。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらに硬化性の向上を目的として、必要に応じて硬化促進剤を配合することができる。硬化促進剤としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、特に乾燥性の観点から芳香族アミンが好ましく、中でも、ジメチルアミノ基を有する化合物が好適である。
上記したジメチルアミノ基を有する芳香族アミンの例としては、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−ジメチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ジメチルアミノ安息香酸、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、2−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。これらの中でも4−ジメチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸が特に適している。
上記芳香族アミンの使用量は、不飽和ポリエステル樹脂(A)の質量100質量部に対して0.01〜2.0質量部、好ましくは0.05〜1.5質量部の範囲内にあることが、形成塗膜の表面乾燥性などの観点から望ましい。
上記芳香族アミン以外の硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム、オクテン酸コバルト、オクテン酸マンガン、オクテン酸亜鉛、オクテン酸バナジウム等の有機金属化合物などを例示することができ、これらは必要に応じて1種又は2種以上併用して使用できる。その使用量は、不飽和ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲内が適している。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ラジカル硬化剤を使用直前に混合配合するとよい。該ラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の従来公知のものが使用され、これらは単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。ラジカル硬化剤の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜6質量部の範囲内となるように配合されることが適している。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらに必要に応じて、顔料、硬化助促進剤、重合禁止剤、有機溶剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、強化材、粘度調節剤、顔料分散剤、改質用樹脂、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を配合することが可能である。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、コーティング材、特に補修用パテとして用いることでき、その塗装は従来公知の方法で行うことができる。塗装されたパテ塗膜は、常温又は強制乾燥をすることにより塗膜内部まで硬化することができる。該補修用該パテは、自動車、鉄道車両、産業機器、木工類用などに有用であり、またこれに限らず建築物や家具類のひび割れの補修、目地止めやライニング材などにも使用できる。
また、上記パテ塗膜に対して上塗り塗装を行ってもよく、該上塗り塗料としてはアクリルラッカー、アクリルメラミン樹脂系塗料、ウレタン硬化型塗料、アクリルウレタン樹脂系塗料、酸−エポキシ硬化型塗料、フッ素樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、アルキド樹脂メラミン樹脂系塗料、ポリエステルメラミン樹脂系塗料などの通常使用されている有機溶剤系、水系、粉体等の塗料を特に制限なく使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
不飽和ポリエステル樹脂の製造
製造例1
攪拌機、ガス導入管、精留塔、温度計、減圧装置及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコにエチレングリコール272.6部、ジエチレングリコール200.0部、フマル酸416.8部、無水テトラヒドロフタル酸324.7部及びハイドロキノン0.6部を入れ、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱後、150℃から200℃まで4時間で昇温し、同温度で1.5時間反応を行う。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて4時間縮合反応を行う。さらにソルビン酸60.0部を仕込み、同温度で3時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて、重量平均分子量4,200の不飽和ポリエステル樹脂(E−1)を得た。
製造例1
攪拌機、ガス導入管、精留塔、温度計、減圧装置及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコにエチレングリコール272.6部、ジエチレングリコール200.0部、フマル酸416.8部、無水テトラヒドロフタル酸324.7部及びハイドロキノン0.6部を入れ、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱後、150℃から200℃まで4時間で昇温し、同温度で1.5時間反応を行う。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて4時間縮合反応を行う。さらにソルビン酸60.0部を仕込み、同温度で3時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて、重量平均分子量4,200の不飽和ポリエステル樹脂(E−1)を得た。
製造例2
製造例1と同じ装置を用いて、ジエチレングリコール174.8部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル541.2部、トリメチロールプロパン184.2部、フマル酸388.6部及びハイドロキノン0.6部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で150℃に加熱後、180℃まで4時間で昇温する。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて4時間縮合反応を行う。さらにソルビン酸89.7部を仕込み、同温度で3時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて、重量平均分子量3,100の不飽和ポリエステル樹脂(E−2)を得た。
製造例1と同じ装置を用いて、ジエチレングリコール174.8部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル541.2部、トリメチロールプロパン184.2部、フマル酸388.6部及びハイドロキノン0.6部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で150℃に加熱後、180℃まで4時間で昇温する。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて4時間縮合反応を行う。さらにソルビン酸89.7部を仕込み、同温度で3時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて、重量平均分子量3,100の不飽和ポリエステル樹脂(E−2)を得た。
比較製造例1
製造例1と同じ装置を用いて、エチレングリコール 272.6部、ジエチレングリコール200.0部、フマル酸430.3部、無水テトラヒドロフタル酸342.9部及びハイドロキノン0.6部を入れ、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱後、150℃から200℃まで4時間で昇温し、同温度で1.5時間反応を行う。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて6時間縮合反応を行い、重量平均分子量5100の不飽和ポリエステル樹脂(E−3)を得た。
製造例1と同じ装置を用いて、エチレングリコール 272.6部、ジエチレングリコール200.0部、フマル酸430.3部、無水テトラヒドロフタル酸342.9部及びハイドロキノン0.6部を入れ、窒素ガスを吹き込みながら150℃に加熱後、150℃から200℃まで4時間で昇温し、同温度で1.5時間反応を行う。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて6時間縮合反応を行い、重量平均分子量5100の不飽和ポリエステル樹脂(E−3)を得た。
比較製造例2
製造例1と同じ装置を用いて、ジエチレングリコール174.8部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル541.2部、トリメチロールプロパン184.2部、フマル酸434.8部及びハイドロキノン0.6部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で150℃に加熱後、180℃まで4時間で昇温する。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて4時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて重量平均分子量2900の不飽和ポリエステル樹脂(E−4)を得た。
製造例1と同じ装置を用いて、ジエチレングリコール174.8部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル541.2部、トリメチロールプロパン184.2部、フマル酸434.8部及びハイドロキノン0.6部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で150℃に加熱後、180℃まで4時間で昇温する。つづいて同温度で精留塔を水分離器に換え、トルエンを還流させて4時間縮合反応を行い、反応終了時にはトルエンを減圧下で除いて重量平均分子量2900の不飽和ポリエステル樹脂(E−4)を得た。
不飽和ポリエステル樹脂組成物ベースの製造
実施例1〜2及び比較例1〜2
上記製造例1〜2及び比較製造例1〜2で製造した各不飽和ポリエステル樹脂(E−1)〜(E−4)を2−ヒドロキシエチルメタクリレートに溶解し、固形分濃度50%になるように調整して得た各不飽和ポリエステル樹脂溶液100部に対して4−ジメチルアミノ安息香酸を0.5部添加した後、60℃のウォーターバス中で一時間保温して均一に分散、溶解した後、「5%ナフテックスコバルト」(商品名、日本化学産業社製、ナフテン酸コバルト)2部を配合し、各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース(T−1)〜(T−4)を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜2
上記製造例1〜2及び比較製造例1〜2で製造した各不飽和ポリエステル樹脂(E−1)〜(E−4)を2−ヒドロキシエチルメタクリレートに溶解し、固形分濃度50%になるように調整して得た各不飽和ポリエステル樹脂溶液100部に対して4−ジメチルアミノ安息香酸を0.5部添加した後、60℃のウォーターバス中で一時間保温して均一に分散、溶解した後、「5%ナフテックスコバルト」(商品名、日本化学産業社製、ナフテン酸コバルト)2部を配合し、各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース(T−1)〜(T−4)を得た。
試験塗板の作成
実施例3〜4及び比較例3〜4
「SPCC−SB」(日本テストパネル(株)製、鉄板)の表面を耐水ペーパー#150で軽く研磨し、これを基材面とした。上記で得られた各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース(T−1)〜(T−4)に、「LUC共通硬化剤」(商品名、主成分:シクロヘキサノンパーオキサイド、有効成分約35%、関西ペイント社製)を2%各々添加し、均一に混合したものを各基材面上にヘラで塗布し、ならして2mm厚に塗布し、試験塗板とした。
実施例3〜4及び比較例3〜4
「SPCC−SB」(日本テストパネル(株)製、鉄板)の表面を耐水ペーパー#150で軽く研磨し、これを基材面とした。上記で得られた各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース(T−1)〜(T−4)に、「LUC共通硬化剤」(商品名、主成分:シクロヘキサノンパーオキサイド、有効成分約35%、関西ペイント社製)を2%各々添加し、均一に混合したものを各基材面上にヘラで塗布し、ならして2mm厚に塗布し、試験塗板とした。
評価試験
上記で得た各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース、不飽和ポリエステル樹脂組成物及び試験塗板について下記評価方法、基準にて試験を行った。その結果を表1に示した。
上記で得た各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース、不飽和ポリエステル樹脂組成物及び試験塗板について下記評価方法、基準にて試験を行った。その結果を表1に示した。
(*1)皮張り性
各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース20gをアルミ製の直径5cm程の皿にとり、40℃の雰囲気に10日間放置後(開放系)、表面の皮張りの程度を調べた(○:皮張りなく良好、△:皮張り若干あり、やや不良、×:皮張りあり不良)。
(*2)ポットライフ
硬化剤を配合後の組成物の常温(20℃)放置でのゲル化時間。
(*3)乾燥性
各試験塗板を常温(20℃)で40分間放置後、各試験板の表面のタックおよび内部の硬化度合を指触にて調べた(○:良好、△:表面に若干タックあり、内部も若干硬化不良、×:表面にタックあり、内部も硬化不良)。
各不飽和ポリエステル樹脂組成物ベース20gをアルミ製の直径5cm程の皿にとり、40℃の雰囲気に10日間放置後(開放系)、表面の皮張りの程度を調べた(○:皮張りなく良好、△:皮張り若干あり、やや不良、×:皮張りあり不良)。
(*2)ポットライフ
硬化剤を配合後の組成物の常温(20℃)放置でのゲル化時間。
(*3)乾燥性
各試験塗板を常温(20℃)で40分間放置後、各試験板の表面のタックおよび内部の硬化度合を指触にて調べた(○:良好、△:表面に若干タックあり、内部も若干硬化不良、×:表面にタックあり、内部も硬化不良)。
Claims (9)
- 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)を原料とするものである請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコール、多塩基酸及びカルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を分子中に有するカルボン酸化合物(a1)を反応させることにより得られるものである請求項1または2に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- カルボキシル基のカルボニル部分に共役した共役二重結合を有するカルボン酸化合物(a1)の使用量が、不飽和ポリエステル樹脂(A)の製造に使用される全モノマーの合計モル数に基づいて0.5〜50モル%の範囲内にある請求項2または3に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 不飽和ポリエステル樹脂(A)が、アリルエーテル基を有するものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 重合性不飽和化合物(B)をさらに含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 重合性不飽和化合物(B)が、その成分の少なくとも一部として、ヒドロキシエチルメタクリレートを含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を含むパテ組成物。
- 請求項8記載のパテ組成物を用いた補修塗装方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006297542A JP2008115217A (ja) | 2006-11-01 | 2006-11-01 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006297542A JP2008115217A (ja) | 2006-11-01 | 2006-11-01 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 |
Publications (1)
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JP2008115217A true JP2008115217A (ja) | 2008-05-22 |
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ID=39501438
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006297542A Pending JP2008115217A (ja) | 2006-11-01 | 2006-11-01 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008115217A (ja) |
-
2006
- 2006-11-01 JP JP2006297542A patent/JP2008115217A/ja active Pending
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