JP2008115039A - 炭化珪素単結晶基板の製造方法及び炭化珪素単結晶基板 - Google Patents

炭化珪素単結晶基板の製造方法及び炭化珪素単結晶基板 Download PDF

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Abstract

【課題】小傾角粒界や亜粒界密集帯の無い、高品質の炭化珪素単結晶インゴットを製造する方法を提供する。
【解決手段】炭化珪素単結晶基板の直径よりも小さく、かつ中心位置が基板の中心位置と異なる円形領域を加工によって、基板から種結晶基板として取り出す工程と、しかる後に取り出した円形種結晶基板の表面上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程、及び得られた炭化珪素単結晶インゴットを切断し、研磨して炭化珪素単結晶基板を作製する工程からなる製造工程を、少なくとも2回繰り返す。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素単結晶基板の製造方法及び炭化珪素単結晶基板に関するものである。本発明の炭化珪素単結晶基板は、主として各種電子デバイス等の製造用基板として用いられる。
炭化珪素(SiC)は、従来のシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)と比較して、優れた半導体特性、耐熱性及び機械的強度等を有している。これらの特長を利用して、各種の半導体パワーデバイスを製造するための基板材料として大きな注目を集めている。基板の直径が2インチ(約50mm)以上の大口径を有する単結晶インゴットは、改良レーリー法(昇華再結晶法)によって、製造されることが一般的になっている(非特許文献1)。近年では、SiC単結晶の高品質化、及び口径4インチ(約100mm)に及ぶSiC結晶の更なる大口径化が実現しつつある(非特許文献2)。デバイス実用化に関しても、窒化ガリウム(GaN)系青色発光ダイオードやショットキーバリアダイオード等が既に商品化されており、また他方で、GaN系高周波デバイス、及びJFETやMOSFETに代表される低損失パワーデバイス等々も試作されるに至っている。
SiC単結晶に特徴的な欠陥として、マイクロパイプ欠陥が知られている。マイクロパイプ欠陥とは、大型の螺旋転位の中心部分に微細な穴が貫通したものであり、このような欠陥が存在すると、高電圧印加下で電流リークの発生原因となるため、デバイスの耐圧特性が大きく劣化し、動作信頼性に深刻な問題を引き起こす。したがって、マイクロパイプ欠陥密度をできる限り低減化することが応用上重要である。
マイクロパイプ欠陥が発生する原因の一つとして、成長中に異種ポリタイプが発生することが挙げられる。マイクロパイプの新たな発生を抑えて高い結晶性を有するSiC単結晶を製造するためには、異種ポリタイプの発生が皆無な安定成長製造法の確立が必須である。近年、安定製造技術の進歩があり、最近では単位面積(1cm2)当たりのマイクロパイプ欠陥の数が数個以下の良質なSiC単結晶基板が報告されるに及んでいる(非特許文献3)。
他方、小傾角粒界あるいは亜粒界についても、それらを含む基板上にデバイスを構成すると、大きな電流リークが発生するため、デバイス動作の信頼性を大きく損ねる原因となる。このような小傾角粒界や亜粒界は、昇華再結晶法等々によるSiC単結晶成長においては、結晶の周辺端近傍の領域で発生し易い。この原因は、SiC単結晶成長に使用する種結晶に既に存在しているものが、成長時にgrown-in欠陥として成長結晶中に引き継がれることが一因となっている。また、結晶成長時に不慮発生した成長温度不均一化等々が原因となり、成長時に新たに結晶内に発生する場合もある。後者の場合、そのようなインゴットから種結晶を取り出し、その種結晶を用いてSiC単結晶成長を行うと、生成した小傾角粒界や亜粒界がgrown-in欠陥として成長結晶中に引き継がれ、結果としてSiC単結晶の結晶品質を劣化させてしまう。
このような、小傾角粒界あるいは亜粒界を排除、あるいは低減化することについては、特許文献1、特許文献2、又は特許文献3等に開示されている。しかしながら、これらの方法は、成長結晶面を変換する等の特殊な方法から構成されており、所望の基板口径を得るに十分な長さのSiC単結晶インゴットの安定成長技術を実現する必要がある等、工業的見地から、簡便かつ有効な手段であるとは必ずしも成り得ていないのが実情である。
特開平5-262599号公報 特開平8-143396号公報 特開2003-119097号公報 特許第2804860号公報 特開2006-124244号公報 Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146 C. H. Carter, et al., FEDジャーナル, vol.11 (2000) pp.7 A. H. Powell, et al., Material Science Forum, vol.457-460 (2004) pp.41 N. Ohtani, et al., Materials Science Forum, Vol.389-393 (2002) p.29 S. Wang, et al., Materials Science Forum, Vol.389-393 (2002) p.35 T. Fujimoto, et al., Materials Science Forum, Vol.457-460 (2004) p.79
発明者らは、4H-SiCあるいは6H-SiCを始めとするSiC単結晶について、種結晶よりも結晶口径が大きくなる、いわゆる口径拡大成長において、特に結晶周辺の口径拡大領域では、マイクロパイプ欠陥が大きく減少することを報告している(非特許文献4)。本結果は、口径拡大領域においては、種結晶よりgrown-in欠陥的に進展して本領域に侵入する一部のマイクロパイプ欠陥を除き、成長時に異種ポリタイプの発生等々による新たなマイクロパイプ欠陥の発生がなければ、基本的に口径拡大領域はマクロパイプ欠陥が原理的には皆無な結晶領域になることを示している。また、特許文献4では、SiC単結晶が[0001]方向に対して垂直方向(c面内方向)へ成長する場合、マイクロパイプ欠陥は成長結晶部分へ全く進展しないことが開示されているが、口径拡大領域においても、c面内方向への成長成分が併存している可能性があると考えられ、マイクロパイプ欠陥を消滅させる成長駆動が少なからず関与しているものと考えられる。同様なメカニズムは、微細な空洞を付随しない螺旋転位についても働いている可能性が高い(非特許文献5)。
一方、小傾角粒界あるいは亜粒界の場合であるが、口径拡大成長時の進展現象はマイクロパイプ欠陥の場合と異なっており、種結晶中に小傾角粒界あるいは亜粒界が存在する場合には、単純な口径拡大成長では、口径拡大領域内を結晶周辺端部へ向かって進展してしまう(非特許文献6)。即ち、種結晶の周辺端に小傾角粒界あるいは亜粒界が存在すると、これらの粒界を挟んで結晶方位が異なる結晶領域がそれぞれ口径拡大領域へ向かって成長するため、小傾角粒界あるいは亜粒界も結晶方位が異なる結晶領域の境界としてそのまま引き継がれるためである。したがって、小傾角粒界あるいは亜粒界の進展を口径拡大成長時に抑制するためには、種結晶に存在するそれら小傾角粒界あるいは亜粒界を取り除くことが必要である。
特許文献5では、結晶の周辺部分に形成される小傾角粒界を、部分的に切除するか、あるいは溝切り加工し、しかる後に該基板を種結晶として結晶成長させることで、成長結晶への小傾角粒界の進展を抑制する製造方法が提案されている。ここで、特許文献5における周辺領域とは、小傾角粒界の基板中心方向の終点と基板中心点を結ぶ線分の内の最短のものを半径とし、基板中心を中心とする仮想円の外側の領域であると定義されている。上述した観点から小傾角粒界を取り除くために、この周辺領域内に存在する小傾角粒界を含む結晶領域を、基板周辺端から切れ込みを入れて部分的に切除するか、あるいはその表面部分の一部を残して溝切り加工し、しかる後に該種結晶基板上にSiC単結晶を成長させることで小傾角粒界が除去された単結晶インゴットが得られるとしている。
しかしながら、発明者らの調査によれば、このような、結晶の一部を切除された種結晶上にSiC単結晶を成長させると、切除部分の直上部に結晶成長異常が発生する傾向が強くなり、このような場合には切除部分に沿ってマイクロパイプ列が発生してしまう。このため、切除部分を有する種結晶上にSiC単結晶を成長させる方法は、欠陥の少ない高品質単結晶を安定的に製造する方法としては工業上の問題点を有している。また、小傾角粒界が種結晶中心に向かって深く進展した場合には、基板周辺端から切れ込みを入れて小傾角粒界が存在する部分を切除すると、切除部分の無い円形領域の直径が著しく小さくなり、そのような種結晶を用いてSiC単結晶を成長すると、得られるSiC単結晶インゴットの口径が著しく小さくなってしまう問題が生じていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、小傾角粒界や亜粒界が大幅に低減されたSiC単結晶基板を安定的かつ簡便に製造する方法と、結晶性に優れた高品質SiC単結晶基板を提供するものである。
本発明は、上記の従来技術の問題を解決し、小傾角粒界あるいは亜粒界等々の転位欠陥が少ない炭化珪素単結晶基板を安定に製造する方法、及びその製造方法により得られる炭化珪素単結晶基板に関するものであって、
(1) 炭化珪素単結晶基板の直径よりも小さく、かつ中心位置が前記基板の中心位置と異なる円形領域を加工によって、前記基板から種結晶基板として取り出す工程と、しかる後に取り出した該円形種結晶基板の表面上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程と、該炭化珪素単結晶インゴットを切断し、研磨して炭化珪素単結晶基板を作製する工程とからなる製造工程を、少なくとも2回繰り返すことを特徴とする炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(2) 前記加工により除去される種結晶基板に、小傾角粒界あるいは亜粒界が存在する領域が含まれる (1)記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
(3) 前記種結晶基板の直径が、炭化珪素単結晶基板の直径の70%以上である (1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(4) 前記種結晶基板の直径が、炭化珪素単結晶基板の直径の85%以上である (1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(5) 前記円形領域の加工を、ワイヤー放電切断、ダイシングソー、又は外周研削加工により、切断又は研削除去することによって行う (1)〜(4)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(6) 前記炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程が、昇華再結晶法によって行われる (1)〜(5)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法で得られる炭化珪素単結晶基板であって、小傾角粒界あるいは亜粒界が15本以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶基板、
(8) 前記炭化珪素単結晶基板の口径が50mm以上である (7)記載の炭化珪素単結晶基板、
(9) 前記炭化珪素単結晶基板の口径が100mm以上である (7)記載の炭化珪素単結晶基板、
である。
本発明によれば、小傾角粒界あるいは亜粒界が少ない、結晶品質に優れたSiC単結晶基板が製造可能になる。本発明のSiC単結晶基板を用いれば、動作信頼性に優れるデバイスが作製可能になる。
小傾角粒界あるいは亜粒界を含む種結晶基板から、SiC単結晶成長によって小傾角粒界あるいは亜粒界が著しく低減化されたSiC単結晶を製造する本発明の詳細について以下に述べる。
周辺端近傍に存在する小傾角粒界あるいは亜粒界を含むSiC単結晶基板を種結晶とする場合に、まずSiC単結晶基板の直径よりも小さい直径を有する円形領域を決定する。この円形領域の位置であるが、種結晶中に存在する幾つかの小傾角粒界あるいは亜粒界の中から1本、あるいはそれらが密集する領域を形成している場合には、それら領域の中の一つを任意に選択し、選択した1本あるいは1領域ができるだけ円形領域の外側になるように円形領域の位置を決定する。図1に円形領域の位置を決定する一例を示した。
次に、このようにして決定した円形領域を残すように、加工によって円形領域以外の種結晶部分を除去する。除去のための加工方法のとしては、ワイヤー放電加工が挙げられる。この方法によれば、任意の位置からの円形切断を簡便に行うことが可能である。また、通常行われている外周研削機によっても、円形領域の中心を研削盤の試料固定台回転中心となるように設置して、偏心加工することにより可能である。また、更には、ダイシングソーにより、数回に亘って円形領域の外側結晶領域を切断除去してもよい。この場合、切断後の種結晶の外形は多角形になるが、外周研削機等により円形になるように外周研削を更に実施すれば良い。この場合のメリットとしては、小傾角粒界や亜粒界は加工時にクラック発生の起点となり易く、これらを予めダイシングソーにより取り除くことにより、外周研削機等による偏心加工時のクラック発生確率を低減することが挙げられる。
このようにして得られた円形結晶板を改めて種結晶とし、該種結晶上にSiC単結晶を成長させると、予め選択した小傾角粒界あるいは亜粒界の中の1本、あるいはそれらの密集領域は、加工により種結晶から除去されているため、成長結晶中には引き継がれることはなく、結果としてこの部分に相当する成長結晶部分には、小傾角粒界あるいは亜粒界、あるいはそれらの密集領域は完全に抑制される。
得られたSiC単結晶インゴットより、切断及び研磨により種結晶を作製し、得られた種結晶について、上記と同様な手順を更に繰り返すことにより、最終的に全ての成長結晶部分について、小傾角粒界あるいは亜粒界、あるいはそれらの密集領域が除去された高品質なSiC単結晶インゴットが得られる。
なお、円形領域の直径であるが、種結晶の直径の70%以上、より望ましくは85%以上であることが好ましい。円形領域の直径が70%未満になると、加工により取り出される円形結晶板の直径が著しく小さくなり、この結晶板を種結晶としてSiC単結晶成長する場合に、得られるSiC単結晶インゴットの直径が小さくなってしまうか、あるいは加工前の種結晶の直径へ拡大する過度な口径拡大を行うと、成長結晶の周辺領域に多結晶粒が生成する等の異常が発生し、結果としてインゴットの結晶性が劣化してしまう。
ここで前記したように、円形領域の直径について下限値を設定すると、円形領域を決定する際に、種結晶中に存在する幾つかの小傾角粒界あるいは亜粒界の中から選択された1本、あるいはそれらが密集する領域を形成している場合にはそれら領域の中の一つについて、それらが完全に円形領域の外側に含まれるように円形領域の位置を決定することができない場合が生じる。図2(a)にそのような一例を示した。このような場合には、まず、その小傾角粒界あるいは亜粒界あるいはそれらが密集する領域の種結晶中心方向の終端の一部が円形領域に含まれたまま残した状態で、前記した加工方法により結晶板を取り出し、しかる後に、この結晶板を種結晶としてSiC単結晶成長を行う。得られたSiC単結晶インゴットより、切断及び研磨により種結晶を作製すると、予め選択した小傾角粒界あるいは亜粒界の中の1本、あるいはそれらの密集領域は、完全には除去されずに種結晶中に残存しているが、その種結晶中心方向の終端部の位置は、図2(b)に示すように種結晶周辺端方向へ移動している。したがって、同様な手順を更に繰り返すことにより、この小傾角粒界あるいは亜粒界の中の1本、あるいはそれらの密集領域をほぼ除去することができる(図2(c))。引き続いて、残存している他の小傾角粒界あるいは亜粒界についても、同様に行うことにより、最終的に除去されたSiC単結晶インゴットを得ることができる。
そのようにして得られたSiC単結晶インゴットについて、通例のウェハ化加工、即ちワイヤーソー等々によるスライス切断後、研磨加工を実施することにより、小傾角粒界あるいは亜粒界が低減された高品質単結晶基板が作製できる。作製されたSiC単結晶基板は、小傾角粒界あるいは亜粒界が大幅に低減化され、その本数については15本以下である。ここで、小傾角粒界あるいは亜粒界とは、基板表面に終端を有する転位の中で、終端の転位の位置の間隔が5μm以下であり、かつ基板の周辺端より中心方向へ長さ2mm以上のものを指す。デバイス作製時に基板をハンドリングする必要がある等々の事情を考慮し、基板の周辺端から約2mmの周辺端近傍領域はedge exclusion領域と称されて、デバイスプロセッシングには使用しないことが通例となっているため、上記のような小傾角粒界あるいは亜粒界であればデバイスへ与える影響は寡少である。なお、本数が15本を越えると、これらの微小な小傾角粒界あるいは亜粒界がクラックの発生起点となって、デバイスプロセス中に基板が破損する確率が激増するため、本数は15本以下、望ましくは5本以下であることが好ましい。
小傾角粒界あるいは亜粒界が成長時に新たに成長結晶内に生成される原因の一つである成長時の不慮の温度不均一化は、成長結晶の直径が50mm以上の場合に起こり易く、特に100mmの場合にはこの傾向が更に強くなる。したがって、直径が50mm以上の良質単結晶、より望ましくは100mm以上のSiC単結晶インゴット成長を行う場合に、小傾角粒界あるいは亜粒界の低減化施策として、本発明は特に有効である。SiC単結晶インゴットの直径の上限については、特に制限は無いものの、安定製造のためには300mm程度が目安となる。
また、本発明の製造方法により作製されたSiC単結晶インゴットを、通例のウェハ化加工、即ち、ワイヤーソー等々によるスライス切断後、研磨加工を実施することにより、傾角粒界あるいは亜粒界が低減された高品質単結晶基板が作製できる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
直径が76mmの4H-SiC単結晶インゴットから、ワイヤーソーによる切断及び研磨加工により、(0001)面を有する、直径が76mmの円形状の種結晶基板を準備した。厚さは1mmである。この種結晶を透過偏光観察によって亜粒界の分布を同定した。図1にその分布の概略図を示す。直径が60.5mmの円形領域を図1に示すように取り、このように決定された円形領域を残すように、ワイヤー放電加工を用いて切断加工を行った。切断後に得られた結晶板の直径を実測したところ、約60.3mmであった。この結晶板を種結晶として用い、図3に示す単結晶成長装置によって、SiC単結晶インゴットを成長した。即ち、黒鉛からなる坩堝3内にアチソン法等々により作製したSiC結晶原料粉末2を充填し、その対向位置に、上記にて予め作製した直径60.3mmの種結晶1を設置した。黒鉛坩堝3は、二重石英管4の内部に、黒鉛の支持棒上に静置され、坩堝3周囲は、熱シールドのための断熱材5によって覆われている。石英管4の内部を真空排気した後、ワークコイル7に電流を流し、坩堝上部の表面温度を1700℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、温度を目標温度である2250℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後、約30時間成長を継続した。この成長中に、雰囲気ガス中に窒素ガスを体積比で約7%混合することで、結晶中に窒素原子をドープした。成長終了後、坩堝内より成長結晶と取り出したところ、結晶の口径は77.5mmで、成長結晶の高さから計算される成長速度は約0.85mm/hであった。
得られたSiC単結晶インゴットから、ワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して厚さ約1mmの単結晶基板を取り出した。しかる後に、透過偏光観察によって亜粒界の分布を調べ、残存している他の亜粒界についても、結晶中から排除するように上記と同様な方法を総計7回繰り返した。
最終的に得られた直径77.4mmSiC単結晶インゴットより、ワイヤーソーを用いた切断及び研磨加工により厚さ約1mmの結晶板を取り出し、得られた結晶板について透過偏光観察を行ったところ、亜粒界の存在は認められず、本発明の製造方法が、亜粒界の低減化に有効であることを確認した。
(比較例)
実施例1において、最初の種結晶を取り出した4H-SiC単結晶インゴットと同一のインゴットから準備した(0001)面を有する直径76mmの円形状の種結晶基板について、透過偏光観察によって亜粒界の分布状況を調べた。準備した種結晶基板は、実施例1で使用した種結晶とほぼ隣接する位置からスライス切断された種結晶であり、このため亜粒界の分布状況は、ほぼ図1と同等であることが確認できた。
亜粒界の種結晶中心方向の終点と種結晶基板の中心点を結ぶ線分の内の最短のものを半径とする円形領域を計算すると、円形領域の直径は約45mmであった。この円形領域を残すように、円筒加工機を用いて研削加工により取り出した。最終的に得られた結晶板の直径は、実測したところ約44.7mmであった。この種結晶を用いて、実施例1とほぼ同様の方法により、種結晶上にSiC単結晶インゴットを成長した。成長の結果、口径77mmのインゴットが得られたが、インゴットの周辺部に多結晶粒が多数発生しており、これを起点とする新たなマイクロパイプ欠陥や亜粒界の密集領域が生成しているため、結果としてSiC単結晶インゴットの結晶性が大きく劣化していることが判明した。
本発明の円形領域の決定方法の一例を説明する図。 選択した亜粒界密集領域が円形領域から完全に排除されず、種結晶の中心側の終端付近の一部が円形領域内に残存する場合を説明する図。(a)最初の種結晶と選定した円形領域、(b) (a)の円形領域を種結晶として用いたSiC単結晶インゴットから作製された種結晶と新たに選定した円形領域、(c) (b)の円形領域を種結晶として用いたSiC単結晶インゴットから作製されたSiC単結晶基板。 実施例で使用したSiC単結晶成長装置の概略図。
符号の説明
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝
4 二重石英管(水冷)
5 断熱材
6 真空排気装置
7 ワークコイル
8 測温用窓
9 二色温度計(放射温度計)

Claims (9)

  1. 炭化珪素単結晶基板の直径よりも小さく、かつ中心位置が前記基板の中心位置と異なる円形領域を加工によって、前記基板から種結晶基板として取り出す工程と、しかる後に取り出した該円形種結晶基板の表面上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程と、該炭化珪素単結晶インゴットを切断し、研磨して炭化珪素単結晶基板を作製する工程とからなる製造工程を、少なくとも2回繰り返すことを特徴とする炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  2. 前記加工により除去される種結晶基板に、小傾角粒界あるいは亜粒界が存在する領域が含まれる請求項1記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  3. 前記種結晶基板の直径が、炭化珪素単結晶基板の直径の70%以上である請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  4. 前記種結晶基板の直径が、炭化珪素単結晶基板の直径の85%以上である請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  5. 前記円形領域の加工を、ワイヤー放電切断、ダイシングソー、又は外周研削加工により、切断又は研削除去することによって行う請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  6. 前記炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程が、昇華再結晶法によって行われる請求項1〜5のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られる炭化珪素単結晶基板であって、小傾角粒界あるいは亜粒界が15本以下であることを特徴とする炭化珪素単結晶基板。
  8. 前記炭化珪素単結晶基板の口径が50mm以上である請求項7記載の炭化珪素単結晶基板。
  9. 前記該炭化珪素単結晶基板の口径が100mm以上である請求項7記載の炭化珪素単結晶基板。
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