JP2008114931A - エレベータのドア制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】戸開時に乗客の引き込まれに対してトルクを上げずに対処する。
【解決手段】戸開動作に必要なトルクTcgを必要トルク記憶部14に記憶しておく。戸閉位置検出部15にてかごドアの全閉位置を検出し、係合位置検出部16にて戸開時にかごドアが乗りかごに係合する位置を検出する。そして、トルク制限値出力部13において、戸閉位置検出部15から出力される全閉信号CLと係合位置検出部16から出力される係合信号CPとに基づいて戸開時にかごドアのみが動作する領域を判定し、必要トルク記憶部14に記憶された必要トルクTcgに所定値を加えた値を当該領域内でのトルク指令に対する制限値として出力する。これにより、戸開時に余計な力を乗客に対して加えることなく、引き込まれ事故を防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エレベータのかごドアを開閉制御するドア制御装置に関する。
一般に、エレベータのドア制御装置には、戸開時における乗客の引き込まれ事故を防止するために、一定以上の負荷が加わったことを検出する過負荷検出機能が設けられている(例えば、特許文献1参照)。上記引き込まれ事故とは、戸開時にドアパネルと戸袋との間に乗客の手などが引き込まれる事故のことである。
図11は従来の過負荷検出機能を備えたエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
乗りかごに設けられたドア(かごドア)は、モータ5の駆動により開閉動作する。この場合、駆動源はかごドア側にあり、乗り場に設けられたドア(乗り場ドア)はかごドアに係合して開閉動作する。モータ5には、パルスエンコーダ6が設置されている。モータ速度演算器11は、このパルスエンコーダ6から出力されるパルス信号に基づいてモータ5の実速度Vmを算出して制御系へフィードバックする。
速度指令出力部7は、モータ5の速度指令値Vrefを出力する。速度制御器8は、速度演算器11から出力されるモータ実速度Vmと速度指令値Vrefとの偏差信号に基づいてトルク指令Trefを出力する。このトルク指令値Trefを制限するため、通常トルク制限部22が設けられる。電流制御器9および電力変換器10は、通常トルク制限部22から出力される電流指令Irefと電流検出器10aにて検出される電流Imとの偏差信号に基づいてモータトルクを制御する。
このような速度制御系において、トルク推定値演算部23と過負荷検出部24が設けられる。トルク推定値演算部23は、速度指令Vrefに基づいてトルク推定値Testを算出する。過負荷検出部24は、トルク推定値Testとトルク指令Trefとを比較し、その差分が所定レベル以上の場合に過負荷状態であると判定する。
図12にこのときの各部の動作波形を示す。図12(a)は速度指令値Vref、同図(b)はトルク推定値Test、同図(c)はトルク指令Trefの波形であり、過負荷検出時の波形を一点鎖線で示している。
ここで、戸開時に乗客の引き込まれなどにより、かごドアに異常な負荷が加わると、トルク指令Trefが点線のように増加する。このトルク指令Trefとトルク推定値Testとの差分が所定レベル以上となった場合に過負荷状態と判定され、モータ5のトルクを一時的に下げるか、あるいは、モータ5の駆動を停止するなどして、引き込まれ事故を防止する。
一方、このようなトルク制御による方法とは別に、戸袋の付近に光センサを設置しておき、その光センサが異物を感知した場合に、乗客に対して引き込まれ注意のアナウンスや戸開速度を低下させるといった方法もある(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−20482号公報 特開2005−8300号公報
しかしながら、上述したトルク制御による方法では、通常、過負荷検出の誤動作を回避するために、検出ディレーや検出値が高めに設定されている。このため、戸開時に乗客が引き込まれた際に、その検出ディレーや検出値の余裕の分だけトルクが一時的に上がって、乗客に強い力が加わってしまうといった問題があった。
また、かごドアにセンサを設置する方法では、部品点数が増加してコストアップするといった問題がある。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、戸開時に乗客の引き込まれに対してトルクを上げずに対処できる過負荷保護性能の高いエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
本発明のエレベータのドア制御装置は、モータの駆動により開閉動作するかごドアと、そのかごドアに係合して開閉動作する乗り場ドアとを有するエレベータのドア制御装置において、上記かごドアが全閉している位置を検出する戸閉位置検出手段と、戸開時に上記かごドアが上記乗り場ドアと係合する位置を検出する係合位置検出手段と、戸開動作に必要なトルクを記憶する必要トルク記憶手段と、上記戸閉位置検出手段の出力信号と上記係合位置検出手段の出力信号とに基づいて戸開時に上記かごドアのみが動作する領域を判定し、上記必要トルク記憶手段に記憶された必要トルクに所定値を加えた値を当該領域内でのトルク指令に対する制限値として出力するトルク制限値出力手段とを具備して構成される。
本発明によれば、かごドアのみが動作する領域内において、戸開動作に必要な最小限のトルクと略等しいトルク制限値を設定することで、引き込まれ時に出力するトルクを抑えることができる。これにより、余計な力を乗客に対して加えることなく、引き込まれ事故を防止することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、一般的なモータ制御に関わる部分(モータ5、パルスエンコーダ6、速度指令出力部7、速度制御器8、電流制御器9、電力変換器10、モータ速度演算器11)は図11と同様であり、同一符号を付して、その説明は省略するものとする。
図2は戸開時のかごドアと乗り場ドアの動きを示す図である。図中の1はかごドア、2は乗り場ドアであり、ここでは2枚パネルの中央開閉式の構成が示されている。かごドア1には係合板3a,3b、乗り場ドア2には係合ローラ4が設置されている。
戸開時において、図2(a)の全閉位置から戸開方向にかごドア1が所定距離だけ動くと、同図(b)のように係合板3aが係合ローラ4と接触し、かごドア1と乗り場ドア2が連動して動く。同図(c)は係合板3a,3bが係合ローラ4を挟み込んで完全に係合した状態を示している。なお、戸閉時には逆の動作となる。
ここで、第1の実施形態では、図1に示すように、ドア位置演算器12、トルク制限値出力部13、必要トルク記憶部14、戸閉位置検出部15、係合位置検出部16、必要トルク調整部17が備えられる。
ドア位置演算器12は、モータ速度演算器11から出力されるモータ実速度Vmに基づいて現在のドア位置Xdを求め、戸閉位置検出部15および係合位置検出部16に対して出力する。
戸閉位置検出部15は、かごドア1が全閉している状態を検出し、その旨の全閉信号CLをトルク制限値出力部13に対して出力する。具体的には、図示せぬ全閉位置検出スイッチがオンし、かつ、モータ実速度Vmを元にドア位置演算器12によって求められたドア位置Xdがゼロの場合にかごドア1が全閉状態にあるとして全閉信号CLをオン出力する。
係合位置検出部16は、戸開時にかごドア1が乗り場ドア2に係合したことを検出し、その旨の係合信号CPをトルク制限値出力部13に対して出力する。具体的には、上記ドア位置Xdが係合位置Xcpに達したときに係合信号CPをオン出力する。上記係合位置Xcpは、かごドア1が全閉位置から所定距離だけ動いた位置に予め設定されている。
必要トルク記憶部14には、かごドアの戸開動作に必要なトルクTcgが記憶されている。この必要トルクTcgは、エレベータの据付時などの初期時において、予めドアパネルの重量や摩擦抵抗などから求められる。
トルク制限値出力部13は、速度制御部8から出力されるトルク指令Trefをトルク制限値Tlimで制限する機能を持つ。また、このトルク制限値出力部13は、トルク指令Trefに対応した電流指令Irefを出力する。この電流指令Irefと電流検出器10aにて検出される電流Imとの偏差信号により、電流制御器9および電力変換器10を通じてモータ5が駆動される。
また、必要トルク調整部17は、モータ5の駆動に対するトルク指令Trefが適正であるか否かを判定し、適正でない場合に必要トルク記憶部14に記憶された必要トルクTcgを調整するための処理を行う。
次に、同実施形態の動作を説明する。
図3は戸開時の各部動作波形を示した図である。図3(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)はトルク指令値Trefの波形であり、それぞれに横軸は時間軸である。また、同図(c)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。一点鎖線がトルク制限値Tlimである。
戸開時において、かごドア1を所定の速度で戸開方向へ移動させるべく、速度指令出力部7から速度指令値Vrefが出力される。速度制御器8では、この速度指令値Vrefとかごドア1から出力されるモータ実速度Vmとの偏差信号に基づいてトルク指令Trefを生成する。
ここで、本実施形態では、かごドア1が全閉位置から乗り場ドア2に係合するまでの動作領域E1と、乗り場ドア2との係合位置から全開位置までの動作領域E2に分け、上記動作領域E1でのトルク指令Trefをトルク制限値Tlimで制限することを特徴としている。このトルク制限値Tlimは、下記の式(1)に示すように、必要トルク記憶部14に記憶された必要トルクTcgに、若干の余裕分として設定されたトルク値Tdを加算することで求められる。
Tlim=Tcg+Td …(1)
この場合、図4に示すように、トルク制限値出力部13では、戸閉位置検出部15から出力される全閉信号CLと係合位置検出部16から出力される係合信号CPに基づいて、かごドア1のみの動作領域E1を判定する。そして、トルク制限値出力部13は、動作領域E1の間、戸開動作に必要な最小限のトルクTcgとほぼ等しいトルク制限値Tlimを設定する。これにより、戸開時に乗客が引き込まれた際に、モータトルクを上げずに過負荷状態を的確に検出することが可能となり、そのときにモータ駆動を停止したり、逆転するなどして乗客の安全を確保できる。
また、必要トルクTcgの値は常に一定ではなく、ドア機構部の経年変化や異物の付着等によってドア機構部の摩擦力が増減に応じて変えなければならない。そこで、必要トルク調整部17では、トルク指令Trefが現在のモータ回転変動に適合しなくなった場合に必要トルクTcgの調整を行う。この様子を図5および図6に示す。
図5はモータ実速度Vmが低下した場合の動作波形図であり、図5(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。一点鎖線がトルク制限値Tlimである。
また、図6は必要トルクTcgの調整後の動作波形図であり、図6(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。一点鎖線が調整後のトルク制限値Tlimである。
例えば、ドア機構部の経年変化やゴミ等の異物の付着等によってドア機構部の摩擦力が増加すると、モータ5のトルクを上げる必要があるが、トルク制限値Tlimが設定されているためにトルクを上げられずに、図5(a)のようにモータ実速度Vmが低下することになる。
必要トルク調整部17では、このような状況を検出して必要トルクTcgを調整する。具体的には、速度指令値Vrefに対するモータ実速度Vmの差分量に基づいてトルク指令Trefが適性であるか否かを判定し、不適性である場合にその差分量を考慮して必要トルクTcgを調整する。図5の例であれば、速度指令値Vrefに対するモータ実速度Vmの低下分ΔVに比例した調整トルクTadjを求め、必要トルク記憶部14に記憶されている必要トルクTcgにその調整トルクTadjを加算することで調整することになる。
これにより、図6に示すように、上記調整トルクTadjの加算分だけトルク制限値Tlimが高く再設定されることになり、以後、その再設定後のトルク制限値Tlimの範囲内でトルク制御が適正に行われることになる。
逆にドア機構部の摩擦力が減少した場合には、必要トルク調整部17は必要トルクTcgから調整トルクTadjを減算する。これにより、この減算分だけトルク制限値Tlimが低く再設定されることになり、以後、その再設定後のトルク制限値Tlimの範囲内でトルク制御が適正に行われることになる。
このように、かごドア1のみが動作する領域E1を判定し、戸開動作に必要な最小限のトルクTcgと略等しいトルク制限値Tlimを設定することで、引き込まれ時に出力するトルクを抑えることができる。これにより、余計な力を乗客に対して加えることなく、引き込まれ事故を防止することができる。
また、必要トルクTcgを調整する機能を備えることで、ドア機構部の経年変化やゴミ等の異物の付着等によってドア機構部の摩擦力が変化した場合でも、トルク制限値Tlimを適正化して誤動作を低減することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、ドア機構部の経年変化やゴミ等の異物の付着等によってかごドアの全閉位置や係合位置がずれた場合に、これを調整する機能(以下、第1の機能と称す)を追加したものである。
また、第2の実施形態では、戸開時にモータ実速度が低下した場合に、トルクリミッタ(トルク制限値Tlim)を調整する機能(以下、第2の機能と称す)を追加したものである。
図7は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図7において、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略するものとする。図1の構成と異なる部分は、戸閉位置調整部18と係合位置調整部19、トルク制限値増加部20とトルク制限値切換部21が設けられていることである。
まず、戸閉位置調整部18と係合位置調整部19について説明する。
戸閉位置調整部18と係合位置調整部19は、上記第1の機能を実現するためのものである。
戸閉位置調整部18は、トルク指令Trefとモータ実速度Vmから求めたドア位置Xdとに基づいて全閉位置を調整する。係合位置調整部19は、トルク指令Trefとモータ実速度Vmから求めたドア位置Xdとに基づいて係合位置を調整する。
上述したように、戸閉位置検出部15は図示せぬ全閉位置検出スイッチがオンし、かつ、モータ実速度Vmから求めたドア位置Xdがゼロの場合に戸閉信号CLをオンする。しかし、例えばかごドア1の間にゴミ等の異物が詰まっている場合には、かごドア1が全閉してもドア位置Xdがゼロにならず、戸閉位置検出部15によって戸閉信号CLをオンできない。
そこで、このときのドア位置をX0とすると、戸閉位置調整部18では、次回戸閉動作時もX0でドア停止した場合に、そのX0を全閉位置として調整する。以後、戸閉位置検出部15では、このドア位置X0を検出したときに全閉信号CLをオン出力することになる。
一方、係合位置検出部16は、戸開時にドア位置Xdが係合位置Xcpに達した時点で係合信号CPをオンするが、据え付け状態や異物等によりドア位置Xdが係合位置Xcpに達するタイミングが初期設定時と変わってくることがある。
そこで、係合位置調整部19では、トルクの変動から係合位置を判断して、これを調整する。具体的には、係合位置近傍でトルク指令Trefが急変するドア位置Xdを記憶しておき、これが最小値となるドア位置Xdをかごドア1と乗り場ドア2との係合位置Xcpとして設定する。以後、係合位置検出部16では、この係合位置Xcpを検出したときに係合信号CPをオン出力することになる。
このようにして、戸閉位置と係合位置を調整しておくことにより、トルク制限値出力部13にてかごドア動作領域E1を正しく判定して、トルク制限値Tlimを設定することができる。
次に、トルク制限値増加部20とトルク制限値切換部21について説明する。
トルク制限値増加部20とトルク制限値切換部21は、上記第2の機能を実現するためのものである。
トルク制限値増加部20は、戸開中にモータ速度演算器11から出力されるモータ実速度Vmが低下またはゼロになった場合に、トルク制限値Tlimを所定値Tupだけ増加させる。トルク制限値切換部21は、トルク制限値増加部20によってトルク制限値Tlimを増加させたときのドア位置Xupと、その後でトルク指令Trefがトルク制限値Tlimを下回ったときのドア位置Xdownを記憶し、次回戸開時に上記ドア位置Xup,Xdownに基づいてトルク制限値Tlimの切換えを行う。
上述したように、かごドア1のみが動作する領域E1では、必要トルクTcgに基づいてトルク制限値Tlimが低くく設定されているために、ゴミ等の異物の付着が原因で負荷が少しかかった場合でも、トルク制限値Tlimに引っかかって停止してしまうことがある。
そこで、トルク制限値増加部20では、戸開中にモータ実速度Vmが低下あるいはゼロになった場合に、一定期間tだけトルク制限値Tlimを予め設定されたTupだけ増加させることで、その原因が異物の付着によるものか、乗客の引き込まれによるものかを判断している。この様子を図8に示す。
図8はトルク制限値増加部20の動作を説明するための図であり、図8(a)は速度指令値Vrefの波形、同図(b)はモータ実速度Vmの波形である。また、同図(c)はトルク指令Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図であり、一点鎖線がトルク制限値Tlimを示している。
図8に示すように、戸開時にモータ実速度Vmが速度指令Vrefの方向に上昇すれば、予め設定されたトルク制限値Tlimがそのまま維持される。ここで、モータ実速度Vmが途中で低下またはゼロになった場合に、トルク制限値増加部20は、一定時間tの間だけ、トルク制限値Tlimを+Tupだけ増加させることで、モータ5のトルクを引き上げる。これにより、モータ実速度Vmが再び上昇したならば、異物の付着が原因であったと判断して、そのまま戸開動作を継続することになる。
一方、トルク制限値Tlimを増加させても、モータ実速度Vmに変化がない場合には、乗客の引き込まれが原因であったと判断して、直ちに戸開動作を停止するものとする。
また、トルク制限値Tlimの増加によってかごドア1が再び戸開方向へ動き出した場合に、トルク制限値切換部21では、トルク制限値Tlimを増加させたときのドア位置Xupと、その後でトルク指令Trefがトルク制限値Tlimを下回ったときのドア位置Xdownを記憶しておく。この時の様子を図9に示す。
図9はトルク制限値切換部21の動作を説明するための図であり、図9(a)は速度指令値Vrefの波形、同図(b)はモータ実速度Vmの波形である。また、同図(c)はトルク指令Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図であり、一点鎖線がトルク制限値Tlimを示している。同図(d)はドア位置Xdの波形であり、Xupがトルク制限値Tlimトルクを増加させた位置、Xdownがトルク指令Trefがトルク制限値Tlimを下回った位置を示している。
このドア位置Xup,Xdownを記憶しておくことで、次回の戸開動作時に再び同一位置でモータ実速度Vmが低下またはゼロになった際に、上記のように一定期間tを設けずに、ドア位置Xupの時点でトルク制限値TlimをTup分だけ増加させ、ドア位置Xdownの時点でトルク制限値Tlimを元に戻すことができる。この時の様子を図10に示す。
図10はトルク制限値切換部21の別の動作を説明するための図であり、図9に対応している。異なる点は一定期間tを設けずに、前回と同じドア位置Xup,Xdownでトルク制限値Tlimを切り替えていることである。
このように、戸開中にモータ実速度Vmが低下した際に、トルク制限値Tlimを一時的に上げることで、異物が原因であった場合に戸開動作を正常通りに再開することが可能となる。
また、トルク制限値Tlimを増加させたときのドア位置Xupと、その後でトルク指令Trefがトルク制限値Tlimを下回ったときのドア位置Xdownを記憶しておくで、一定期間tを設けずに、前回と同じドア位置でトルク制限値Tlimを切り替えていることができる。これにより、異物が原因であった場合に戸開動作を遅らせることはなく、一時的にトルクを上げて戸開することができる。
なお、次回の戸開時にモータ実速度Vmが低下しなかった場合には異物が除去されたものとして、ドア位置Xupとドア位置Xdownをクリアしておくものとする。
また、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は同実施形態における戸開時のかごドアと乗り場ドアの動きを示す図である。 図3は同実施形態における戸開時の各部動作波形を示した図であり、図3(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)はトルク指令値Trefの波形、同図(c)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。 図4は同実施形態における動作領域E1の判定動作を説明するための図である。 図5は同実施形態におけるモータ実速度Vmが低下した場合の動作波形図であり、図5(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。 図6は同実施形態における必要トルクTcgの調整後の動作波形図であり、図6(a)は速度指令値Vrefとモータ実速度Vmの波形、同図(b)は戸開開始付近でのトルク指令値Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。 図7は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。 図8は同実施形態におけるトルク制限値増加部の動作を説明するための図であり、図8(a)は速度指令値Vrefの波形、同図(b)はモータ実速度Vmの波形、同図(c)はトルク指令Trefとトルク制限値Tlimとの関係を示す図である。 図9は同実施形態におけるトルク制限値切換部の動作を説明するための図であり、図9(a)は速度指令値Vrefの波形、同図(b)はモータ実速度Vmの波形、同図(c)はトルク指令Trefとトルク制限値Tlimとの関係、同図(d)はドア位置Xdの波形を示す図である。 図10はトルク制限値切換部21の別の動作を説明するための図であり、図10(a)は速度指令値Vrefの波形、同図(b)はモータ実速度Vmの波形、同図(c)はトルク指令Trefとトルク制限値Tlimとの関係、同図(d)はドア位置Xdの波形を示す図である。 図11は従来の過負荷検出機能を備えたエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。 図12は従来の各部の動作波形を示す図であり、図12(a)は速度指令値Vref、同図(b)はトルク推定値Test、同図(c)はトルク指令Trefの波形を示す図である。
符号の説明
1…かごドア、2…乗り場ドア、3a,3b…係合板、4…係合ローラ、5…ドア駆動用モータ、6…パルスエンコーダ、7…速度指令出力部、8…速度制御器、9…電流制御器、10…電力変換器、10a…電流検出器、11…モータ速度演算器、12…ドア位置演算器、13…トルク制限値出力部、14…必要トルク記憶部、15…戸閉位置検出部、16…係合位置検出部、17…必要トルク調整部、18…戸閉位置調整部、19…係合位置調整部、20…トルク制限値増加部、21…トルク制限値切換部、22…通常トルク制限部、23…トルク推定値演算部、24…過負荷検出部、Vref…速度指令値、Vm…モータ実速度、Tref…トルク指令、Iref…電流指令、Im…検出電流、Xd…ドア位置、Tcg…必要トルク、CL…全閉信号、CP…係合信号、Tlim…トルク制限値。

Claims (6)

  1. モータの駆動により開閉動作するかごドアと、そのかごドアに係合して開閉動作する乗り場ドアとを有するエレベータのドア制御装置において、
    上記かごドアが全閉している位置を検出する戸閉位置検出手段と、
    戸開時に上記かごドアが上記乗り場ドアと係合する位置を検出する係合位置検出手段と、
    戸開動作に必要なトルクを記憶する必要トルク記憶手段と、
    上記戸閉位置検出手段の出力信号と上記係合位置検出手段の出力信号とに基づいて戸開時に上記かごドアのみが動作する領域を判定し、上記必要トルク記憶手段に記憶された必要トルクに所定値を加えた値を当該領域内でのトルク指令に対する制限値として出力するトルク制限値出力手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
  2. 上記モータの駆動に対するトルク指令が適正であるか否かを判定し、不適正の場合に上記必要トルク記憶手段に記憶された必要トルクを調整する必要トルク調整手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  3. トルク指令とモータ実速度から求めたドア位置とに基づいて全閉位置を調整する戸閉位置調整手段を備え、
    上記戸閉位置検出手段は、上記戸閉位置調整手段による調整後の全閉位置を検出することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  4. トルク指令とモータ実速度から求めたドア位置とに基づいて係合位置を調整する係合位置調整手段を備え、
    上記係合位置検出手段は、上記係合位置調整手段による調整後の係合位置を検出することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  5. 戸開中にモータ実速度が低下した場合に、上記トルク制限値出力手段によって出力されるトルク制限値を所定値だけ増加させるトルク制限値増加手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  6. 上記トルク制限値増加手段によってトルク制限値を増加させたときの第1のドア位置と、その後でトルク指令がトルク制限値を下回ったときの第2のドア位置を記憶し、次回戸開時に上記第1および第2のドア位置に基づいてトルク制限値の切換えを行うトルク制限値切換手段を具備したことを特徴とする請求項5記載のエレベータのドア制御装置。
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