JP2008113307A - スロットアンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】アンテナの質量や製造コストを抑えつつ、垂直偏波成分の発生を抑制すること。
【解決手段】スロットアンテナ100のうち、支持部26の平行部分とその平行部分と向かい合った導波管12のH面部分の一方の面との間の底面部分に沿った距離は、スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように調節する。支持部26の底面部分とスロットが設けられたE面との間のH面部分に沿った距離は、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、調節されている。支持部26は、導波管12との間に空隙が存在しないように、導波管12を支持する。支持部26と導波管12の間には、導電性の物質が挿入されていてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、アンテナ技術に関し、特に導波管のE面の一方に電波を放射するスロットが設けられたスロットアンテナに関する。
従来、レーダ機器に使用される導波管アンテナとして、電波の放射面にスロットを設けたスロットアンテナが知られている。ここで、スロットアンテナにおける導波管の狭壁面に切られたスロットから放射される電波には、水平偏波成分だけでなく、垂直偏波成分も含まれている。一般的に、港湾監視レーダ等では、探知波として水平偏波成分が用いられるため、垂直偏波成分は余分な雑音成分となり、この成分を除去する必要があった。垂直偏波成分を除去する技術として、垂直偏波成分を抑圧する格子をスロットの前面に配置することが提案されていた(たとえば、特許文献1参照)。また、スロット導波管の放射面の側面に位置する管壁に接続したスタブの調整を行なうことが提案されていた(たとえば、特許文献2参照)。
特開2004−320583号公報 特開平05−095222号公報
一般的に、アンテナの質量や製造コストを抑えつつ、垂直偏波成分の発生を抑制することが望ましい。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、垂直偏波成分の発生を抑制できるスロットアンテナを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のスロットアンテナは、電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と導波管を支持する支持部とを備えるスロットアンテナであって、支持部は、導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が平行部分に接し、他端が導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、導波管のE面部分の他方を支持するように、導波管の一部を囲む囲込部分とを有する。平行部分とその平行部分と向かい合った導波管のH面部分の一方の面との間の底面部分に沿った距離は、スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように調節され、底面部分とスロットが設けられたE面との間のH面部分に沿った距離は、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、調節されており、支持部は、囲込部分と導波管との間に空隙が存在しないように、導波管を支持する。
ここで、「支持部は、導波管との間に空隙が存在しないように、導波管を支持する」とは、導波管と支持部とが付着もしくは密着されている状態を含み、また、導波管と支持部との間が埋められている状態を含む。この態様によると、支持部と導波管との間に空隙が存在しないため、導波管と支持部との間のインピーダンスの整合状態を保てる。そのため、容易に垂直偏波成分を抑制するための調整ができ、チョーク溝から発生する電波に含まれる垂直偏波成分を低減できる。
囲込部分と導波管の間には、導電性の物質が挿入されていてもよい。この場合、隙間に導電性の物質を埋めることによって、導波管と支持部とが一体となって構成されるため、それらの間に電流が入りこまず、容易に垂直偏波成分を抑制するための調整ができる。
本発明の別の態様もまた、スロットアンテナである。このスロットアンテナは、電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と導波管を支持する支持部とを備えるスロットアンテナであって、支持部は、導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が平行部分に接し、他端が導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、導波管のE面部分の他方を支持するように、導波管の一部を囲む囲込部分とを有する。囲込部分と導波管の間には、導電性の物質が挿入されている。平行部分のうちの底面部分と接していない他端に接し、導波管から放射される電波の放射方向に向けて拡開するフレア部をさらに含んでもよい。
この態様によると、隙間に導電性の物質を埋めることによって、支持部と導波管との間に空隙が存在しないため、それらの間に電流が入りこまず、容易に垂直偏波成分を抑制するための調整ができる。
本発明のさらに別の態様は、スロットアンテナの製造方法である。この方法は、電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と、導波管を支持する支持部を備え、支持部は、導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が平行部分に接し、他端が導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、導波管のE面部分の他方を支持するように、導波管の一部を囲む囲込部分とを有するスロットアンテナの製造方法であって、導波管と支持部とが一体となるように製造された型枠に金属性の流体物を流し込むステップと、流し込まれた流体物を冷却して、スロットアンテナを成型するステップと、成型されたスロットアンテナを型枠から取り出すステップと、を含む。
この態様によると、導波管と支持部とが一体となるような型枠を用いてスロットアンテナを成型することによって、導波管と支持部とが一体となって構成されるため、それらの間に電流が入りこまず、容易に垂直偏波成分を抑制するための調整ができる。
取り出すステップによって取り出されたスロットアンテナに対して、スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように、平行部分とその平行部分と向かい合った導波管のH面部分の一方の面との間の底面部分に沿った距離を調節し、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、底面部分とスロットが設けられたE面との間のH面部分に沿った距離を調節するステップとをさらに含んでもよい。当該製造方法によって製造されるスロットアンテナは、前記平行部分のうちの底面部分と接していない他端に接するフレア部であって、導波管から放射される電波の放射方向に向けて拡開するフレア部を含んでもよい。ここで、「距離を調節」とは、距離が調節されるように加工処理を施すことを含む。この場合、型枠を用いて成型されたスロットアンテナに対して、加工処理を施すことによって、垂直偏波成分を抑制できる。
本発明のさらに別の態様は、スロットアンテナである。このスロットアンテナは、電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と導波管を支持する支持部とを備えるスロットアンテナであって、支持部は、導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が平行部分に接し、他端が導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、導波管のE面部分の他方を支持するように、導波管の一部を囲む囲込部分と、平行部分の一方に接し、導波管から放射される電波の放射方向に向けて拡開するフレア部と、を有する。底面部分から導波管におけるスロットが設けられた面までの平行部分に沿った第1部分の長さと、底面部分と接していない第1部分の一端からフレア部との接点までの平行部分に沿った第2部分の長さとは、当該スロットアンテナから放射される電波に含まれる垂直偏波成分が低減されるように、調節されている。この態様によると、第1部分の長さと第2部分の長さとを調節することによって、垂直偏波成分が抑制されたスロットアンテナを容易に設計できる。
スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように、平行部分とその平行部分と向かい合った導波管のH面部分の一方の面との間の底面部分に沿った距離が調節され、さらに、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、底面部分とスロットが設けられたE面との間のH面部分に沿った距離が調節されていてもよい。この場合、距離を調節することによって、垂直偏波成分をより抑制できる。
第1部分の長さは、第2部分の長さよりも短い。この態様によると、第1部分の長さと第2部分の長さとを調節することによって、垂直偏波成分が抑制されたスロットアンテナを容易に設計できる。第1部分の長さは、第2部分の長さよりも短くてもよい。この場合、距離を調節することによって、垂直偏波成分をより抑制できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、装置の製造方法などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、垂直偏波成分の発生を抑制できる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施形態1は、電波を放射すべきスロットが設けられた導波管を備えたスロットアンテナに関する。スロットアンテナは、港湾監視レーダ等に用いられ、目的物に対して電波を放射し、反射された電波を受信することによって、目的物までの距離などを測定する。測定には、目的物から反射された電波のうち、水平偏波成分についての電波が用いられる。
ここで、スロットが設けられた導波管について説明する。図1(a)は、導波管12の斜視図である。導波管12は、導波路の周囲のいずれかの面に、電波を放射すべきスロット18が設けられる。一般的に、スロット18が設けられた面とその面に対向する面とをE面という。また、E面の側面であって、導波管12を構成する面のうち、導波路が横切る面(以下、「導波面22」と表記する)以外の面をH面という。以下においては、E面のうち、スロット18が設けられた面を「スロット面20」と表記し、スロット面20でないE面を「対向面」と表記する。
スロットアンテナは、その構造上、水平偏波成分だけでなく、垂直偏波成分も含まれる電波を放射する。放射される電波に含まれた垂直偏波成分は、前述のごとく、目的物に反射された電波を受信する際には、水平偏波成分に対し余分な雑音成分となり、また、水平偏波成分の利得を低減させることとなるため、この成分を除去する必要がある。
図1(b)は、図1(a)の導波管12のスロット面20の一部を示す正面図である。導波管12に設けられたスロット18においては、図示するごとく電界が発生する。スロット面20において発生した電界のベクトルは、垂直成分と水平成分とに分解できる。いいかえると、スロット面20上において、垂直成分としての電流I1と、水平成分としての電流I2とが発生する。ここで、垂直成分としての電流I1は、導波管12のE面とH面を周回する電流となり、これに起因して、スロット18から放射される電波は、垂直偏波成分を含むこととなる。図1(c)は、図1(a)の導波管12の導波面22を示す断面図である。ここでは、導波面22において、図中左側をスロット面20としている。図示するごとく、導波管12の周囲を周回するように電流I1が発生し、垂直偏波を誘因することとなる。
一般的に、スロット18が設けられた導波管を用いたアンテナ(以下、「スロットアンテナ」と表記する。)においては、垂直偏波成分抑圧格子をスロットアンテナからの電波の放射面に設置することによって、垂直偏波成分を抑圧していた。垂直偏波成分抑圧格子は、スロット放射面の前面に設置され、除去したい偏波方向と同方向に配置された金属製の格子を含む。それぞれの格子は、電波伝搬波長の1/2の長さ以下の間隔で並列に配置される。これにより、スロットから放射された電波のうち、除去したい偏波成分の放射を抑圧する。しかしながら、垂直偏波抑圧格子を使用するとアンテナ全体の質量が大きくなる。また、垂直偏波抑圧格子の寸法等がアンテナ特性に大きく影響するため、製造時に高い寸法精度が求められ、コスト増大の要因となっていた。
そこで、本実施形態に係るスロットアンテナにおいては、支持部の一部に導波管を埋設することによって溝を作り、その溝に対し、導波管の周囲に発生しうる電流I1であって、垂直偏波成分の波源となる電流I1を逃がすことによって、スロットから放射される電波に含まれる垂直偏波成分の発生を抑制する。さらに、溝のサイズを調整することによって、溝の開口面から放射される電波とスロットから放射される電波のうちの垂直偏波成分とが互いに打ち消し合うようにする。このような態様をとることによって、アンテナの質量や製造コストを抑えつつ、垂直偏波成分の発生を効率的に抑制できる。
図2(a)は、本発明の実施形態1にかかるスロットアンテナ100の構成例を示す斜視図である。スロットアンテナ100は、アンテナ外板10と、導波管12と、フレア板14と、レドーム板16と、支持部26を含む。導波管12は、導波路が形成された直方体状の形状を有する。また、導波管12は、スロット面20に、電波を放射すべきスロット18が設けられる。
支持部26は、導波管12を埋設しながら支持する部材であって、フレア板14と接続される。フレア板14は、スロット18から放射される電波の方向に向かって拡開し、アンテナ外板10に接続される。拡開の程度が調節されることにより、スロット18から放射される電波の指向性が調整される。レドーム板16は、フレア板14の開口部に設けられ、アンテナ外板10に接続される。アンテナ外板10は、導波管12と、フレア板14と、レドーム板16と、支持部26とを覆う外枠である。レドーム板16の反射特性を調節することによっても、スロットアンテナ100の指向性を調整できる。なお、レドーム板16は、説明の便宜上、導波管12、フレア板14などを視認できるように図示したが、スロット面20の正面から見て、導波管12、フレア板14が覆われるように構成されていてもよい。
図2(b)は、図1のスロットアンテナ100の導波面22の正面図である。図示するごとく、支持部26は、破線で示すように、導波管12の導波面22に平行した凹状の断面を有する。また、支持部26には、その凹状の断面の窪み内の底辺を含む底面の一部に、対向面から導波管12の一部が埋設される。ここで、「底面」とは、スロット面20と平行した面であって、支持部26の凹状の断面における窪み内の面をいう。
支持部26と導波管12との間には、2つの溝24が形成される。この溝24は、支持部26の底面と、その底面と直角に接した導波管12の2つの面、すなわち、H面と、その2つのH面のそれぞれに向かい合った当該支持部26の両壁面とで形成される。このように、導波管12のH面に接するように、溝24を設けることによって、図3に図示するように、導波管12の周囲に流れる電流を逃がすことができる。そうすると、垂直偏波成分の波源となる導波管12の周囲に流れる電流が低減され、スロット面20から放射される電波に含まれる垂直偏波成分を抑制できる。
図3は、図2(a)のスロットアンテナ100における導波管12の導波面22を示す第1の正面図である。図示するように、導波管12は、支持部26との間に2つの溝24が形成されるように、支持部26の凹状の断面に埋設される。このような態様をとることにより、図1(c)に図示するような導波管12の周囲に流れる電流I1は、H面と支持部26とが接する個所において方向を変え、溝24を伝わるように流れる。
ここで、底面とスロット面20との間の距離、すなわち、溝24の断面のうちのH面の部分の奥行き寸法をdとする。この奥行き寸法dを波長に比べて狭く、たとえば、1/6〜1/4波長程度とすることによって、水平偏波成分に対してはカットオフ効果が働くこととなる。そのため、水平偏波成分に対しては、この溝24により、影響が与えられることはない。水平偏波に関しては図中に示すように溝24に流れ込む電流により電波が励振され溝24自体がホーンアンテナとして働く。よってアンテナの垂直方向の指向性はホーンアンテナから放射される電波とスロット開口面より放射される電波が重畳されたものとなる。この2つの電波が同振幅、逆位相となるように、溝24の幅wと奥行き寸法dを調節することで、垂直偏波成分を抑圧することが可能となる。具体的には、溝24からの放射振幅の調節を行うには、溝24の幅wを調節することで可能となり、位相の調節を行うには溝24の奥行き寸法dを調節することで可能となる。ここで、溝24の幅wとは、導波管12の2つのH面と、それぞれのH面と向かいあった支持部26の壁面との間の距離をいう。また、溝24の奥行き寸法dとは、支持部26の底面とスロット面20との間の距離をいう。
図4は、図2(a)のスロットアンテナ100における導波管12の導波面22を示す第2の正面図である。
図4においては、スロット面20から垂直偏波成分Eが放射される。また、支持部26の底面、すなわち、2つの溝24の開口面のそれぞれから垂直偏波成分E2AとE2Bが放射されることとなる。ここで、前述したように、導波管12から放射される電波の垂直偏波成分を打ち消し合うように、溝24の奥行き寸法dと幅wとを調節することによって、垂直偏波成分を抑制できる。いいかえると、図4において、EとE2AとE2Bを次式の関係とし、互いに打ち消し合わせることによって、垂直偏波成分を抑制できることとなる。なお、Am{X}とは、Xの振幅成分を出力する関数を示す。また、Ph{Y}とは、Yの位相成分を出力する関数を示す。
Am{E} = Am{E2A} + Am{E2B} ・・・式(1)
Ph{E} = −Ph{E2A} = −Ph{E2B} ・・・式(2)
ここで、式(1)、式(2)の左辺におけるEのそれぞれの成分は、導波管12が放射する電波の特性によって決定される。そのため、式(1)、式(2)は、右辺のE2A、E2Bのそれぞれを調整することによって、満足させればよい。ここで、E2A、E2Bの振幅は、支持部26の底面に流れる電流の量に依存する。電流の量は、溝24の幅wA、wBに依存する。したがって、幅wA、wBを調整することによって、式(1)を満足させればよい。また、E2A、E2Bの位相は、溝24の奥行き寸法dに依存する。したがって、奥行き寸法dを調整することによって、式(2)を満足させればよい。
式(1)、式(2)を満たす幅wA、wBおよび奥行き寸法dの調整方法を解析的に導出することは困難であるため、幅wA、wBおよび奥行き寸法dは、図1に示すスロットアンテナ100における垂直偏波成分の抑圧効果を実験しながら、決める必要がある。
図5(a)、図5(b)は、図2(a)のスロットアンテナ100における垂直偏波成分の抑圧効果の実験結果を示すグラフである。横軸は、溝24の奥行き寸法dを示す。また、縦軸は、垂直偏波成分の減衰量を示す。図5(a)は、溝24の幅wを4mm〜6mmに設定した場合の垂直偏波成分の減衰特性を示すグラフである。また、図5(b)は、幅wを6.5mm〜8.5mmに設定した場合における垂直偏波成分の減衰特性を示すグラフである。ここで、使用される電波の周波数は、おおむね9GHzとした。ここでは、設計条件を簡易にするため、幅wは、前述したwAとwBとの間で、以下の関係となるようにした。
w = wA = wB ・・・式(3)
この実験は、図5(a)、(b)に示す実験結果から、垂直偏波成分の減衰量が30dB以上となる幅wと奥行き寸法dの組み合わせを求めることを目的としている。そうすると、図示するように、垂直偏波成分の減衰量が30dB以上減衰させるためには、概ね、幅wと奥行き寸法dを以下のような組み合わせとなるように、互いに調節することが望ましい。
(d、w)=(5.5mm、7mm) ・・・式(4)
(d、w)=(5.7mm、6.5mm) ・・・式(5)
(d、w)=(5.75mm、6mm) ・・・式(6)
(d、w)=(6mm、5.5mm) ・・・式(7)
(d、w)=(6.25mm、5mm) ・・・式(8)
(d、w)=(6.5mm、4.5mm) ・・・式(9)
(d、w)=(6.75mm、4mm) ・・・式(10)
本実施形態によれば、導波管12と支持部26の間に溝24を形成し、溝24のサイズを調整することによって、アンテナの質量や製造コストを抑えつつ、垂直偏波成分の発生を効率的に抑制できる。溝24を設けることによって、導波管の周囲に発生する電流をその溝に逃がすことができる。垂直偏波成分の波源となる電流成分を逃がすことができるため、スロットから放射される電波に含まれる垂直偏波成分を低減できる。また、2つの溝から放射されるそれぞれの第2電波の電波特性のうちの振幅特性は、両壁面とそれぞれの壁面に向かい合った導波管の面との間の距離に依存するため、この距離を調節することによって、第2電波の振幅特性を調整できる。また、第2電波の電波特性のうちの位相特性は、底面とスロットが設けられた面との間の距離に依存するため、この距離を調節することによって、第2電波の位相特性を調整できる。また、第2電波の振幅と位相を第1電波のうちの垂直偏波成分を打ち消すような特性に調整することによって、第1電波のうちの垂直偏波成分を抑制できる。
また、支持部26の両壁面とそれぞれの壁面に向かい合った導波管の面との間の幅を同一の幅wに調節することによって、設計を容易にできる。また、溝24の幅wと、チョーク溝24の奥行き寸法dとの互いの関係を調節することによって、垂直偏波成分を効率的に抑制できる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2は、実施形態1と同様にスロットアンテナに関する。なお、前述した実施形態1と共通する構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。本実施形態2のスロットアンテナは、図2(a)、(b)と同様の構成をとる。
図2(b)に図示するように、実施形態2のスロットアンテナにおいては、支持部26と導波管12との間に、2つの溝24が形成される。この溝24は、支持部26の底面と、その底面と直角に接した導波管12の2つの面、すなわち、H面と、その2つのH面のそれぞれに向かい合った当該支持部26の両壁面とで形成される。このように、導波管12のH面に接するように、溝24を設けることによって、図3に図示するように、導波管12の周囲に流れる電流を逃がすことができる。そうすると、垂直偏波成分の波源となる導波管12の周囲に流れる電流が低減され、スロット面20から放射される電波に含まれる垂直偏波成分を抑制できる。
本実施形態2においては、低減された垂直偏波成分の波源となる導波管12の周囲に流れる電流のうち、溝24の支持部26の底面のうちの両壁面とそれぞれの壁面に向かい合った導波管12のH面との間の距離を調整することによって、溝24の内部において電流を流れないようにする。そのため、導波管12から放射される電波に含まれる垂直偏波成分をさらに抑制できる。
図6は、本発明の実施形態2にかかるスロットアンテナにおける導波管の導波面を示す正面図である。
ここで、底面とスロット面20との間の距離、すなわち、溝24の断面のうちのH面の部分の奥行き寸法をdとする。この奥行き寸法dを電波の波長の1/4にすることによって、溝の開口面におけるインピーダンスは、無限大となる。そうすると、スロット面20上を流れ、垂直偏波成分の波源となりうる電流は、溝の内側へは流れ込まず、また、溝の外側へも電流が流れない構造となる。いいかえると、奥行き寸法dを電波の波長λの1/4にすることによって、この溝24は、チョークとしての機能を有するといえる。すなわち、垂直偏波成分の波源となりうる電流は、スロット面20にのみ存在する状態となり、導波管12から放射される電波に含まれる垂直偏波成分をさらに抑制できることとなる。
以下に、第1の実施形態、第2の実施形態に示したスロットアンテナの変形例を説明する。なお、以下の変形例においても、これまで説明したスロットアンテナの特徴が含まれている。すなわち、導波管12と支持部26の間にチョークとしての溝24を形成し、溝24のサイズを調整することによって、アンテナの質量や製造コストを抑えつつ、垂直偏波成分の発生を効率的に抑制できる。そのため、以下においては、以上の特徴に関する説明は省略し、それらの特徴以外の特徴について説明を行う。
(第1の変形例)
図7は、第1の変形例にかかるスロットアンテナ100の構成例を模式的に示す図である。スロットアンテナ100は、導波管12と、フレア板14と、支持部26とを含む。支持部26は、フレア板14と接続された平行部分と、平行部分に接続された底面部分と底面部分に接続された囲込部分を含む。平行部分は、導波管12の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向している。底面部分は、2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が平行部分に接し、他端が導波管12のH面部分に接する。囲込部分は、2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、導波管12のE面部分の他方を支持するように、導波管12の一部を囲んでいる。スロットアンテナ100は、導波管12を支持部26にはめ込むことによって、導波管12を固定している。ここで、導波管12と支持部26の囲込部分との間には、破線30で図示するごとく、隙間が存在する。この隙間に、導波管12から漏れる電流が流れ込むことによって、導波管12から放射される電波やチョークの溝24から発生する電波に影響を及ぼす場合がある。このような場合、導波管12と支持部26との間のインピーダンスの整合状態が崩れるため、導波管12やチョークにより発生する電波に含まれる垂直偏波成分が増加する。そこで、第1の変形例においては、破線30で示す隙間が存在しないように、導波管12と支持部26とを設計することによって、垂直偏波成分の発生を抑制することととした。導波管12と支持部26とは、互いに付着されていてもよい。ここで、「付着」とは、2つの表面が界面に働く力でつなぎあわされている状態を含む。これにより、隙間の存在による性能劣化を抑制することができる。
本変形例においては、破線30で示す隙間を存在しないようにするために、たとえば、以下の態様をとる。
(1)隙間に、導電性の物質を埋める。
(2)隙間ができないように、支持部26の外側から圧迫する。
(3)隙間ができないように、導波管12と支持部26とを一体化して成型する。
以下、(1)〜(3)の順に説明する。
(1)隙間に導電性の物質を埋めることによって、破線30に示す隙間を存在しないようにすれば、前述の性能劣化を抑制することができる。導電性の物質は、導波管12もしくは支持部26と同種の物質であれば特に限定されない。この場合、導波管12や支持部26と一体となって構成されるため、電流が入りこむことはない。なお、導電性のない物質、もしくは導電性の低い物質、たとえば、ゴムやプラスチックなどを隙間に挿入した場合、スロット面20に発生した漏洩電流は、導波管12を沿うように流れてしまうため、埋める物質としては好ましくない。
(2)支持部26の外側から圧迫し、導波管12と支持部26とを密着させることによって、前述の性能劣化を防止することができる。図8は、図7のスロットアンテナ100に押圧部32を接続する態様を概念的に示す図である。押圧部32は、図示するごとく、支持部26に接続される。ここで、押圧部32は、伸縮部分34を含み、伸縮部分34が伸縮することによって、支持部26を圧迫することができる。これにより、導波管12と支持部26とを密着させられるため、隙間が生じず、前述の性能劣化を抑制することができる。1つの押圧部32で支持部26を圧迫する場合、支持部26の長さと同一の長さを有する押圧部32を用いればよい。ここで、支持部26の長さとは、導波管12における導波路と平行した方向における支持部26の長さをいう。また、複数の押圧部32によって、支持部26を圧迫してもよい。圧迫する押圧部32の個数は、支持部26の長さに応じて増加すればよい。
上述の態様は、以下の項目により表現されてもよい。
項目1:
電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と、
前記導波管を支持する支持部と、
前記導波管と前記支持部とが密着されるように、前記支持部を圧迫する圧迫部と、
を備え、
前記支持部は、
前記導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、
前記2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が前記平行部分に接し、他端が前記導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、
前記2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、前記導波管のE面部分の他方を支持するように、前記導波管の一部を囲む囲込部分と、
を有することを特徴とするスロットアンテナ。
項目2:
前記スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と前記底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように、前記平行部分とその平行部分と向かい合った前記導波管のH面部分の一方の面との間の前記底面部分に沿った距離が調節され、さらに、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、前記底面部分と前記スロットが設けられたE面との間の前記H面部分に沿った距離が調節されていることを特徴とする項目1に記載のスロットアンテナ。
(3)導波管12と支持部26とを一体化して成型することによって、前述の性能劣化を防止することができる。導波管12と支持部26とを一体化して成型するためには、例えば、以下の手順により、製造すればよい。
(i) 導波管12と支持部26の間に隙間が存在しないようなスロットアンテナ100を成型するための型枠を製造する。なお、すでに型枠が製造されている場合、設計変更が生じないかぎり、(i)を省略できる。
(ii) 製造された型枠に流体物を流し込む。
(iii)流体物を冷却するなどして、スロットアンテナ100を成型する。
(iv) 成型されたスロットアンテナ100を型枠から取り出す。
図9は、図7のスロットアンテナ100を製造するための型枠36の断面図を示す。型枠36のうち、空洞38は空洞部分であり、(ii)の工程において、この部分に、液化された銅やアルミニウムなどの流体物が流し込まれる。空洞38は、導波管部分42と支持部分44とを含む。導波管部分42と支持部分44は、成型されるべきスロットアンテナ100における導波管12と支持部26とにそれぞれ対応する。図示するごとく、導波管部分42と支持部分44の間には、図7に図示するような隙間が存在せず、スロット面20上で発生した電流が流れ込むことはないため、前述の性能劣化を防止することができる。なお、(ii)において流し込まれる流体物は、導電性を有するものでもよく、また、導電性を有しないものであってもよい。
ここで、(ii)において、導電性を有しない流体物、たとえば、樹脂などを型枠36に流し込む場合、前述した(i)〜(iv)の製造工程の後に、以下の手順を追加すればよい。
(v) 取り出されたスロットアンテナ100において、導波管12のE面部分に、電波を放射すべきスロット孔を形成する。スロット孔の形成は、取り出されたスロットアンテナ100からスロット部分を切り取ればよい。なお、(i)の工程において、スロット孔がすでに形成された型枠を製造する場合、この工程を簡略化できる。
(vi) シミュレーション等で奥行き寸法dと幅wとを導出し、スロットアンテナ100に対し、微細加工を実施する。なお、(i)の工程において、奥行き寸法dと幅wとがすでに考慮された型を製造する場合、この工程を省略できる。
(vii)スロット孔が形成されたスロットアンテナ100に対して、金属性の物質を用いてメッキ処理を実施する。メッキ処理は、スロットアンテナ100のうち、導波管の内部にも実施する。ここで、メッキ処理とは、蒸着や吹付けあるいは塗布などを含む。
上述の態様は、以下の項目により表現されてもよい。
項目1:
電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と、前記導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と前記2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ一端が前記平行部分に接し他端が前記導波管のH面部分に接する2つの底面部分と前記2つの底面部分のそれぞれの他端に接し前記導波管のE面部分の他方を支持するように前記導波管の一部を囲む囲込部分とを有する支持部とを備えるスロットアンテナの製造方法であって、
前記導波管と前記支持部とが一体となるように製造された型枠に流体状の樹脂を流し込むステップと、
流し込まれた樹脂を冷却して、前記スロットアンテナを成型するステップと、
成型されたスロットアンテナを取り出すステップと、
前記取り出されたステップによって取り出されたスロットアンテナのうち、導波管のE面に対応する部分に、電波を放射すべきスロット孔を成型するステップと、
前記スロット孔が成型されたスロットアンテナに対し、金属性の物質でメッキ処理を実施するステップと、
を含むことを特徴とするスロットアンテナの製造方法。
項目2:
前記取り出すステップによって取り出されたスロットアンテナに対して、前記平行部分とその平行部分と向かい合った前記導波管のH面部分の一方の面との間の前記底面部分に沿った距離を、前記スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と前記底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように、調節し、前記底面部分と前記スロットが設けられたE面との間の前記H面部分に沿った距離を、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、調節するステップとをさらに含むことを特徴とする項目1に記載のスロットアンテナの製造方法。
このように、樹脂などを用いてスロットアンテナ100を製造することによって、軽量化できる。また、(vi)における加工を容易に実現でき、設計コストを低減できる。また、加工が容易であるため、加工の精度を高めることができ、良好な特性を実現できる。
図10は、第1の変形例の効果を示す図である。縦軸は正規化ゲイン、横軸は導波管12から放射される電波の位相分布を示す。また、図10においては、隙間がない場合、すなわち、第1の変形例の場合を実線で示し、また、隙間がある場合を破線で示した。
一般的に、スロットアンテナ100の設計において、放射電波に求められる位相特性は、±2degreeの範囲のメインローブとそれ以外の位相におけるゲイン差は25〜30dB以上程度求められる。しかしながら、隙間がある場合、25〜30dB前後の個所に、破線で示すショルダー46が生じることとなる。ところが、第1の変形例に示すスロットアンテナ100を用いることによって、図示するごとく、ショルダー46が低減されることとなる。なお、第1の変形例に示すスロットアンテナ100を用いた場合でも、多少の歪みが存在するものの、その歪みは、−30dB以下において発生しているため、問題となることはない。
図11は、第1の変形例の製造工程の例を示す図である。本工程に用いられる型枠は、あらかじめ製造されているものとする。まず、型枠36に対し、流体物を流し込む(S10)。つぎに、流体物が流し込まれた型枠を冷却する(S12)。つぎに、冷却された型枠から、固形化されたスロットアンテナを取り出す(S14)。ここで、S10の流し込み処理において流し込まれた流体物が導電性を有する物質であった場合(S16のY)、処理を終了する。一方、S10の流し込み処理において流し込まれた流体物が導電性を有しない物質であった場合(S16のN)、S14の工程にて取り出されたスロットアンテナに対し、メッキ処理を実施し(S18)、処理を終了する。なお、本工程に用いられた型枠がスロット孔を有さないものであった場合、S14の処理の後に、スロット孔を形成する工程を追加してもよい。
(第2の変形例)
一般的に、導波管12にスロットを設ける場合、スロット孔が開いてない状態の導波管を製作し、その後、導波管12のE面上にスロット孔を形成する。このような場合、導波管がたわむ場合がある。図12は、第2の変形例にかかる導波管12のH面の断面図を示す図である。図示するごとく、導波管12は、スロット18が設けられた面にそって、導波管12の長手方向に対して1%程度たわむこととなる。
上記の課題に対して、導波管12のスロット面20を支持部26に押さえつけることによって、たわみを矯正する。図13(a)は、第2の変形例にかかるスロットアンテナ100の構成例を示す図である。スロットアンテナ100は、導波管12とフレア板14とスロット18と押圧部40とを含む。図示するごとく、4点において、押圧部40により、導波管12を支持部26に押しあてることによって、たわみを矯正している。図13(b)は、第2の変形例にかかるスロット18が設けられた面の拡大図である。また、図13(c)は、図13(b)のスロットアンテナ100の断面図を示す図である。図示するように、導波管12は、押圧部40によって支持部26に押しつけられている。
しかしながら、押圧部40を用いることによって、導波管12の特性が変化する場合がある。また、スロットアンテナ100全体の重量が増加し、また、押圧部40に要するコストが更に必要となる。また、前述した実施形態によって調節されたチョーク溝24の幅より大きな幅を有する押圧部40は、用いることができない。
したがって、本変形例においては、導波管12と支持部26とを一体化して成型することにより、たわみを発生させないこととした。具体的には、以下の手順により、成型すればよい。
(i) 導波管12と支持部26の間に隙間が存在しないようなスロットアンテナ100を成型するための型枠を製造する。ここで、この型枠は、スロットアンテナ100の導波管部分に設けられ、電波を放射するためのスロット孔が成型されるように製造されるものとする。
(ii) 製造された型枠に流体物を流し込む。
(iii)流体物を冷却するなどして、固形物を生成する。
(iv) 生成された固形物を型枠から取り出す。
上述の態様は、以下の項目により表現されてもよい。
項目1:
電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と、前記導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と前記2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ一端が前記平行部分に接し他端が前記導波管のH面部分に接する2つの底面部分と前記2つの底面部分のそれぞれの他端に接し前記導波管のE面部分の他方を支持するように前記導波管の一部を囲む囲込部分とを有する支持部とを備えるスロットアンテナの製造方法であって、
前記導波管と前記支持部とが一体となるように製造された型枠に金属性の流体物を流し込むステップと、
流し込まれた流体物を冷却して、前記スロットアンテナを成型するステップと、
成型されたスロットアンテナを前記型枠から取り出すステップと、
を含み、
当該スロットアンテナの成型用の型枠は、前記導波管のスロット孔を含むように、製造されていることを特徴とするスロットアンテナの製造方法。
項目2:
前記取り出すステップによって取り出されたスロットアンテナに対して、前記平行部分とその平行部分と向かい合った前記導波管のH面部分の一方の面との間の前記底面部分に沿った距離は、前記スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と前記底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように調節し、前記底面部分と前記スロットが設けられたE面との間の前記H面部分に沿った距離は、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように調節するステップとをさらに含むことを特徴とする項目1に記載のスロットアンテナの製造方法。
このような態様を用いることにより、押さえ金具が不要となるため、少ない製造コストで、たわみのない導波管を製造することができる。また、あらかじめスロット孔が形成された型枠を用いて成型することによって、導波管12にたわみが生じることを防ぐことができる。
(第3の変形例)
第3の変形例は、実施形態1もしくは2において説明した奥行き寸法dと幅wの調整の他に、新たな設計パラメータを追加することによって、垂直偏波成分を抑制しつつ、設計の柔軟性を向上できることを示す。
図14は、第3の変形例にかかるスロットアンテナ100の構成例を示す図である。スロットアンテナ100は、導波管12と、支持部26と、平行部分48で代表される第1平行部分48aと第2平行部分48bと、フレア板14とを含む。ここで、第1平行部分48aと第2平行部分48bのそれぞれは、図示するごとく、(d1+d2)の長さを有する。d1は、支持部26の底面部分から導波管12のスロット面20までのH面に沿った距離を示し、d2は、d1の終端からフレア板14までのH面に平行した距離を示す。
d1は、前述の実施形態にしたがって、ミリメートルオーダーで設計される。しかしながら、スロットアンテナ100を製造する際に、設計誤差が生じる場合がある。したがって、d1とwとを調整したとしても、設計誤差によっては、垂直偏波成分が抑制しきれない場合が発生する。一般的に、精度良く成型したとしても、設計誤差は、目標値に対して±0.4mm前後は存在してしまう。
ここで、d2の長さを有する部分は、対向する部分との間で平行平板を構成するため、一方から他方に向けて、導波路(Parallel Plate Waveguide)が形成される。そうすると、スロットアンテナ100から放射される電波が導波路により整形され、d2の長さに応じて垂直偏波成分が変化する。いいかえると、d2を調整することによって、垂直偏波成分を調整できることとなる。したがって、第3の変形例においては、前述の実施形態において調整対象としたd1とwだけでなく、d2の長さも調節することとした。これにより、垂直偏波成分を低減したスロットアンテナ100を容易に製造できる。
図15は、第3の変形例にかかるスロットアンテナ100の垂直偏波成分の抑制効果例を示す図である。縦軸は垂直偏波成分である交差偏波成分の振幅強度(Cross−Polarization Level)を示す。横軸は、d1の長さを示す。また、d2を0mmとした場合の交差偏波成分の振幅強度を実線で示す。また、d2=12mmとした場合の交差偏波成分の振幅強度を破線で示す。
図示する例においては、d2が0mmの場合と12mmの場合とで比較した場合、双方の交差偏波成分の振幅強度の最小値は、ほとんど同じとなる。しかしながら、振幅強度が−35dBを満たすd1の幅に着目すると、d2が0mmの場合、振幅の最小値に対しておおむね±0.1mm程度であるのに対し、d2が12mmの場合、おおむね±0.4mmとなっている。なお、図示するごとく、この幅は、振幅強度が大きくなるほど広がっていく。
上述の幅は、設計における許容誤差の量を示している。具体的に説明する。ここで、交差偏波成分の所要抑制量を−35dBと仮定する。一般的に、設計は、交差偏波成分が最小となるように設計されるため、d2を0mmとした場合、d1が6.25mmとなるように設計される。また、d2を12mmとした場合は、d1が5.25mmとなるように設計される。しかしながら、前述したように、設計には誤差を伴う場合が多く、d2を0mmとした場合における許容誤差±0.1mmという値は、設計に際して、当業者において、極めて大きな困難を伴うことが予想される。ところが、d2を12mmとした場合、±0.4mm程度の誤差が許容されるため、所望の抑制量を容易に得ることができる。いいかえると、d2の長さを調節することによって、d1に対する許容設計誤差量を増加することができるため、放射される電波に含まれる交差偏波成分を抑制できるスロットアンテナ100を容易に設計できることとなる。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
第1、第2の変形例において、導波管12と支持部26とを一体となるように、型枠を用いて成型するとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、たとえば、導波管12と支持部26とフレア板14とが一体となるような型枠を用いて成型してもよい。また、導波管12と支持部26とフレア板14とレドームとが一体となるような型枠を用いて成型してもよい。これらの場合、設計期間を短縮できる。
なお、上述した実施形態1と2、さらには、第1〜第3の変形例は、互いに組み合わせることができることは当業者にとって理解されるところである。たとえば、実施形態1と2とを組み合わせる場合、奥行き寸法dを波長の1/4に設定し、その奥行き寸法dと組み合わせるべき幅wを実験等によって求めればよい。この態様により、さらに、垂直偏波成分を抑制できる。また、第1の変形例または第2の変形例と、第3の変形例とを組合わせる場合、導波管12と支持部26の間に隙間を作らないようにスロットアンテナ100を設計するとともに、図14に示す第1平行部分48aと第2平行部分48bの長さを調節することによって、垂直偏波成分を低減したスロットアンテナ100を容易に設計できることとなる。
なお、上述以外の組合わせも可能であり、それぞれの態様を組み合わせられること、それぞれの効果が重畳されることは、言うまでもない。
図1(a)は、導波管の構成例を示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)の導波管のスロット面の一部を示す断面図である。図1(c)は、図1(a)の導波管の導波面を示す断面図である。 図2(a)は、本発明の実施形態1にかかるスロットアンテナの構成例を示す斜視図である。図2(b)は、図1のスロットアンテナの導波面の正面図である。 図2(a)のスロットアンテナにおける導波管の導波面を示す第1の正面図である。 図2(a)のスロットアンテナにおける導波管の導波面を示す第2の正面図である。 図5(a)、図5(b)は、図2(a)のスロットアンテナにおける垂直偏波成分の抑圧効果の実験結果を示すグラフである。 本発明の実施形態2にかかるスロットアンテナにおける導波管の導波面を示す正面図である。 第1の変形例にかかるスロットアンテナの構成例を模式的に示す図である。 図7のスロットアンテナに押圧部を接続する態様を概念的に示す図である。 図7のスロットアンテナを製造するための型枠の断面図を示す。 第1の変形例の効果を示す図である。 第1の変形例の製造工程の例を示す図である。 第2の変形例にかかる導波管のH面の断面図を示す図である。 図13(a)は、第2の変形例にかかるスロットアンテナの構成例を示す図である。図13(b)は、第2の変形例にかかるスロットが設けられた面の拡大図である。また、図13(c)は、図13(b)のスロットアンテナの断面図を示す図である。 第3の変形例にかかるスロットアンテナの構成例を示す図である。 第3の変形例にかかるスロットアンテナの垂直偏波成分の抑制効果例を示す図である。
符号の説明
10 アンテナ外板、 12 導波管、 14 フレア板、 16 レドーム板、 18 スロット、 20 スロット面、 22 導波面、 24 溝、 26 支持部、 30 破線、 32 押圧部、 34 伸縮部分、 36 型枠、 38 空洞、 40 押圧部、 42 導波管部分、 44 支持部分、 46 ショルダー、 48 平行部分、 48a 第1平行部分、 48b 第2平行部分、 100 スロットアンテナ。

Claims (3)

  1. 電波を放射するスロットをE面部分の一方に有する導波管と前記導波管を支持する支持部とを備えるスロットアンテナであって、
    前記支持部は、
    前記導波管の2つのH面部分にそれぞれ一定間隔で対向して配置される2つの平行部分と、
    前記2つの平行部分のそれぞれと垂直に設けられ、一端が前記平行部分に接し、他端が前記導波管のH面部分に接する2つの底面部分と、
    前記2つの底面部分のそれぞれの他端に接し、前記導波管のE面部分の他方を支持するように、前記導波管の一部を囲む囲込部分と、
    前記平行部分の一方に接し、前記導波管から放射される電波の放射方向に向けて拡開するフレア部と、を有し、
    前記底面部分から前記導波管におけるスロットが設けられた面までの前記平行部分に沿った第1部分の長さと、前記底面部分と接していない前記第1部分の一端から前記フレア部との接点までの前記平行部分に沿った第2部分の長さとは、当該スロットアンテナから放射される電波に含まれる垂直偏波成分が低減されるように、調節されていることを特徴とするスロットアンテナ。
  2. 前記スロットから放射される第1電波のうちの垂直偏波成分の振幅と前記底面部分から放射される第2電波の振幅の合計とが等しくなるように、前記平行部分とその平行部分と向かい合った前記導波管のH面部分の一方の面との間の前記底面部分に沿った距離が調節され、さらに、第1電波のうちの垂直偏波成分と第2電波との位相が互いに反転した関係を有しながら、第2電波同士の位相が等しくなるように、前記底面部分と前記スロットが設けられたE面との前記H面部分に沿った間の距離が調節されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットアンテナ。
  3. 前記第1部分の長さは、前記第2部分の長さよりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載のスロットアンテナ。
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