JPH0595222A

JPH0595222A - スロツト導波管アンテナ

Info

Publication number: JPH0595222A
Application number: JP3253592A
Authority: JP
Inventors: Motoi Matsunaga; 基松永; Yasuo Saura; 康夫佐浦
Original assignee: Tokimec Inc
Current assignee: Tokimec Inc
Priority date: 1991-10-01
Filing date: 1991-10-01
Publication date: 1993-04-16
Anticipated expiration: 2015-11-27
Also published as: JP3113331B2

Abstract

(57)【要約】【目的】構造を簡単にし、上昇不要偏波成分である垂直
偏波を抑圧し、偽造を防止するスロット導波管アンテナ
を提供する。【構成】長手方向にスロットを有する導波管と、後方か
ら該導波管を保持するチャネル状の基部および電波反射
面から構成するフレアとを備えるスロット導波管アンテ
ナにおいて、上記フレア基部は、底面の一部に導波管を
保持する導波管保持部を有し、フレア基部の底面の導波
管保持部以外の面とスロット面との長さｄは、【数１】とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、船舶または航空機に使
用されるレーダー用スロット導波管アンテナに係り、特
にその放射電波中に不要交差偏波成分を有するスロット
導波管アンテナに関する。

【０００２】

【従来の技術】レーダーアンテナ用として使用されるス
ロット導波管アンテナの中で導波管狭面部にスロットを
有する、いわゆる Narrow edge shunt slotタイプの導
波管アンテナは、舶用航海レーダーの放射素子として広
く用いられている。

【０００３】この種の導波管アンテナは、その構造上水
平偏波主ビームに対して約４５度方向に垂直偏波成分を
放射し、これがレーダー偽像の原因となる。

【０００４】この不都合をなくすため従来は、図２に示
すようなグリッドＣをスロット導波管Ａの前面に設置す
る構造を採っていた。このグリッドＣは、垂直方向にス
リットが穿たれており、垂直偏波成分は殆ど全反射を起
こす。よってグリッドＣは不要偏波成分である垂直偏波
を抑圧し、偽造を防止する作用を持っている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の垂直偏波抑圧構造は、不要偏波抑圧用スリッ
ト格子を設置するため、構造の複雑化、加工工程の増加
および製造コストの上昇といういろいろな問題点があ
る。

【０００６】本発明は、このような従来の欠点に着目し
てなされたもので、構造を簡単にし、不要偏波成分であ
る垂直偏波を抑圧し、偽造を防止するスロット導波管ア
ンテナを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、長手方向にス
ロットを有する導波管と、後方から該導波管を保持する
チャネル状の基部および電波反射面から構成するフレア
とを備えるスロット導波管アンテナにおいて、上記フレ
ア基部は、底面の一部に導波管を保持する導波管保持部
を有し、フレア基部の底面の導波管保持部以外の面とス
ロット面との長さｄは、

【０００８】

【数１】

【０００９】とする。

【００１０】また、スロット面に直交する導波管面とフ
レア基部の平行辺面との長さＷ_bを使用電波の１／２波
長以下としてもよい。

【００１１】さらに、導波管保持部は、導波管を保持す
るためのチャネル状の導波管保持部でもよい。

【００１２】また、スロット面に直交する導波管面とフ
レアとで構成している溝部分を以下では偏波抑圧溝Ｄと
いい、深さｄと幅Ｗ_bとの長さを持つ。

【００１３】

【作用】作用の説明を図を用いて説明する。

【００１４】図３は本発明を説明するための等価回路図
である。

【００１５】本発明においては、スロット導波管アンテ
ナのスロットから放射される電波が、フレアを構成して
いる反射板および偏波抑圧溝によって反射され前方の空
間に伝播される。

【００１６】図３において、導波管からの電波は、垂直
偏波成分回路の理想変成器ＶＴにより垂直偏波成分に分
離され、また、水平偏波成分回路の理想変成器ＨＴによ
って水平偏波成分に分離され、各々特性の異なる伝送線
路Ｈ、Ｖを介して空間へ放射される。ＺｈおよびＺｖは
それぞれ負荷抵抗を表している。

【００１７】垂直偏波成分回路においては、偏波抑圧溝
Ｄは長さＬｓを持つ２つのショートスタブＳとなり、シ
ョートスタブＳはそれぞれ伝送線路Ｖに対し直列に入
る。

【００１８】水平偏波成分回路においては、溝幅Ｗ_bが
１／２波長以下であり、カットオフ現象を引き起こすた
め回路的には無視して良い。

【００１９】このショートスタブＳの長さＬｓを１／４
波長に調整すると、そのインピーダンスは無限大とな
る。従って垂直偏波回路には導波管からの給電が行なわ
れないため垂直偏波成分は抑圧される。

【００２０】偏波抑圧溝Ｄの深さｄはスタブＳの長さＬ
ｓを決める重要なパラメーターであるが、不連続部分に
発生するフリンジング容量のため長さＬｓの目標とする
周波数の１／４波長より短い長さでショートスタブのイ
ンピーダンスは無限大となる。

【００２１】現在のところこの種のフリンジング容量を
解析的に求めることは困難であるため深さｄは垂直偏波
成分の抑圧効果を実験しながら決める必要がある。

【００２２】抑圧特性の実験については、後述の実施例
の中で説明する。

【００２３】実験結果から長さｄは、

【００２４】

【数１】

【００２５】とすることができる。

【００２６】また、溝幅Ｗ_bに関しては、水平偏波成分
がカットオフとなれば良いから使用周波数の波長の１／
２以下の範囲で任意に決めることができる。その際、フ
リンジング容量が溝幅Ｗ_bと共に変化するため溝Ｄの深
さｄも多少の調整を必要とする。これに関する実験につ
いても後述する。

【００２７】

【実施例】以下、本発明を図面を用いて説明する。

【００２８】図１は、本発明の一実施例を示す図であ
り、（ａ）は本発明による実施例の断面図、（ｂ）は本
発明による実施例の全体図である。

【００２９】図１において、Ａはスロット導波管であ
り、長手方向にスロットを有しており、スロットから電
波を放射する。Ｂはフレアであり、金属、もしくは、重
量を軽くするために内部をガラス繊維などを織り込み樹
脂などで硬化して表面に導体の反射層を構成した反射板
などから構成しており、電波反射面と、後方からスロッ
ト導波管Ａを保持するチャネル状の基部とを有してい
る。

【００３０】また、フレア基部は、底面の一部に導波管
を保持する凹型の導波管保持部Ｂ’と、フレア基部の底
面の導波管保持部以外の面と、底面につながる平行辺面
とを有している。

【００３１】また、スロット面に直交する導波管面とフ
レアとで構成している溝部分を偏波抑圧溝Ｄといい、深
さｄと幅Ｗ_bとの長さを持つ。すなわち、深さｄはフレ
ア基部の底面の導波管保持部以外の面とスロット面との
距離であり、幅Ｗｂはスロット面に直交する導波管面と
フレア基部の平行辺面との距離である。

【００３２】上記深さｄが使用電波の約１／８波長とな
り、幅Ｗｂが１／２波長以下となるように長さを設定す
る。

【００３３】本発明によるスロット導波管はマリーンレ
ーダーアンテナを主なる用途としているから、例えば、
使用電波の周波数が９４１０［ＭＨｚ］の時、偏波抑圧
溝の幅Ｗｂを５［ｍｍ］とした場合、その深さｄは約４
［ｍｍ］（１／８波長）となる。この場合、幅Ｗｂは、
１／２波長以下で任意に設定できるが、実験により適正
な値を求めることにより、垂直偏波成分をより抑圧する
ことができる。

【００３４】垂直偏波成分の抑圧特性の実験の結果を図
８に示す。図８は、周波数を９４１０ＭＨｚ（波長３
１．８ｍｍ）にしたときの溝の深さｄに対する垂直偏波
成分の抑圧特性を示している（チャネルの底辺面の幅Ｗ
は２５ｍｍとする）。

【００３５】また、実験に用いたスロット導波管アンテ
ナの諸条件の一例を図７に示す。図７はレ−ダアンテナ
の断面図である。以下の実験においてもこのスロット導
波管を用い、溝の深さｄと溝幅Ｗ_bとをそれぞれ変化さ
せたスロット導波管アンテナを複数用意して実験を行っ
ている。図７において、スロット導波管の全長６４４．
２ｍｍ、スロット数１８、スロット間隔２２．２ｍｍ、
外寸２５．４ｍｍ＊１２．７ｍｍ、内寸２２．９ｍｍ＊
１０．２ｍｍとなっている。

【００３６】図８に示す抑圧特性については、ｄの長さ
が約１／８波長（４．１０ｍｍ）であるときに垂直偏波
成分が一番抑圧されるている（約−３０ｄＢ）。また、
ｄの長さが約１／８波長前後のところでも垂直偏波成分
が抑圧されているといえる。

【００３７】また、周波数を１１ＧＨｚ（波長２７．３
ｍｍ）にしたときの溝の深さｄに対する垂直偏波成分の
抑圧特性を図５に示す（チャネルの底辺面の幅Ｗは２５
ｍｍとする）。この場合は、導波管とフレア基部の形状
は図７に示すものを利用しているが、フレアの電波反射
面の部分は取り除いて実験をしている。

【００３８】図５から明らかなように、ｄの長さが約１
／８波長（３．１７ｍｍ）であるときに垂直偏波成分が
一番抑圧されるている（約−１９．８ｄＢ）。また、１
／８波長に１／２波長を加えた、５／８波長（１５．８
５ｍｍ）、９／８（３０．４７）波長のときにも垂直偏
波成分が抑圧されている。

【００３９】また、溝幅Ｗ_bに対する抑圧特性の実験の
結果を図６に示す。図６は、周波数を１０ＧＨｚ（１／
２波長は１５ｍｍ）および８ＧＨｚ（１／２波長は１
８．７５ｍｍ）としたときのチャネル底辺面の全体の幅
Ｗに対する垂直偏波成分の抑圧特性を示している（深さ
ｄは５．４ｍｍとする）。チャネル底辺面の幅Ｗと、溝
幅Ｗ_b、スロット面の幅ｂとの関係は、Ｗ＝２Ｗ_b＋ｂが
成り立っている。図６において、チャネル底辺面の幅Ｗ
を２３、２５、３０ｍｍにしている。この場合スロット
面の幅ｂを１２．７ｍｍとしているので、溝幅Ｗ_bは、
それぞれ５．１５、６．１５、８．６５ｍｍとなってい
る。

【００４０】また、導波管とフレア基部の形状は図７に
示すものを利用しているが、フレアの電波反射面の部分
は取り除いて実験をしている。

【００４１】図６の実験結果によれば、幅Ｗの長さに対
しては、垂直偏波成分の抑圧効果に顕著な変化はみられ
ないといえ、水平偏波成分がカットオフとなる使用周波
数の波長の１／２以下の範囲で任意に決めることができ
る。

【００４２】つぎに、使用電波の周波数が９４１０［Ｍ
Ｈｚ］の時、偏波抑圧溝の幅Ｗｂを５［ｍｍ］とした場
合、その深さｄは約４［ｍｍ］（１／８波長）とする時
のスロット導波管の水平面指向性図を図４（ａ）および
（ｂ）に示す。

【００４３】図４において、ａが水平偏波成分指向性
図、ｂが垂直偏波成分指向性図であり、各部の寸法は図
７に示したものと同様である。

【００４４】参考のため従来の導波管アンテナ（図２に
示す従来の導波管アンテナの偏波抑圧用スリット格子Ｃ
およびフレアＢがないスロット導波管）が本来有してい
る垂直偏波成分の指向性を図４（ｃ）に示す。

【００４５】図４−ｂおよび図４−ｃを比較すると、図
４−ｂにおいては、垂直偏波成分のピークが水平偏波成
分の主ビームレベルに比べ３０ｄＢ以下になっているこ
とがわかる。

【００４６】上記実施例では、偏波抑圧溝Ｄの深さｄを
使用する電波の波長の１／８としたが、１／２波長の整
数倍を加えた５／８、９／８波長のようにすることも可
能である。

【００４７】

【発明の効果】従来の偏波抑圧格子の代わりに偏波抑圧
溝を用いるという簡単な構造で、不要偏波成分を抑圧で
き、部品点数の削減、組み立て時間の短縮等の効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明による実施例の断面図。（ｂ）本発明による実施例の全体図。

【図２】（ａ）従来の偏波抑圧構造の断面図。（ｂ）従来の偏波抑圧構造の全体図。

【図３】本発明による実施例のスロット導波管等価回路
図。

【図４】（ａ）本発明による実施例の水平偏波成分指向
性図。（ｂ）本発明による実施例の垂直偏波成分指向性図。（ｃ）従来の導波管アンテナの垂直偏波成分指向性図。

【図５】本発明による実施例の溝の深さｄに対する垂直
偏波成分の抑圧特性の説明図。

【図６】本発明による実施例の溝の幅Ｗｂに対する垂直
偏波成分の抑圧特性の説明図。

【図７】各実験に使用したスロット導波管アンテナの断
面図。

【図８】本発明による実施例の溝の深さｄに対する垂直
偏波成分の抑圧特性の説明図。

【符号の説明】

Ａ…スロット導波管、Ｂ…導波管固定部、Ｃ…偏波抑圧
格子、Ｄ…偏波抑圧溝、Ｅ…電波伝送部。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】長手方向にスロットを有する導波管と、後
方から該導波管を保持するチャネル状の基部および電波
反射面から構成するフレアとを備えるスロット導波管ア
ンテナにおいて、上記フレア基部は、底面の一部に導波管を保持する導波
管保持部を有し、フレア基部の底面の導波管保持部以外の面とスロット面
との長さｄは、【数１】とすることを特徴とするスロット導波管アンテナ。
【請求項２】請求項１において、スロット面に直交する
導波管面とフレア基部の平行辺面との長さＷ_bを使用電
波の１／２波長以下とすることを特徴とするスロット導
波管。