JP2008112483A - 位相誤差検出回路、位相同期ループ回路および情報再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 位相誤差検出回路において、読み出し信号の振幅レベルが変動しても位相誤差を精度良く検出し、よって位相同期ループ回路の位相同期特性を安定させること。
【解決手段】 位相誤差検出回路7は、入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)における信号レベルXn、Xn−1について、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)を演算する演算器を備える。そして、信号レベルXn、Xn−1の極性が変化するサンプリング位置における演算結果Cnを位相誤差信号Tnとして出力する。さらに、演算したAnの値を、入力信号のDC誤差信号Snとして出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】 位相誤差検出回路7は、入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)における信号レベルXn、Xn−1について、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)を演算する演算器を備える。そして、信号レベルXn、Xn−1の極性が変化するサンプリング位置における演算結果Cnを位相誤差信号Tnとして出力する。さらに、演算したAnの値を、入力信号のDC誤差信号Snとして出力する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、パーシャルレスポンス最尤復号(PRML)方式を用いる情報再生装置に係り、特にかかる装置において安定な同期信号を生成するための位相誤差検出回路とこれを用いた位相同期ループ(PLL)回路に関する。
従来、ハードディスク装置や光ディスク装置に代表される情報再生装置では、記録媒体上にデジタル化されて記録された情報を再生する際、アナログ信号として読み出される信号を所定のクロックでサンプリングし、A/D変換することにより情報信号を得る。その際、例えば特許文献1により知られるように、サンプリングした信号の位相誤差をFDTS(Fixed Delay Tree Search)アルゴリズムに従って検出し、その位相誤差信号に基づいて電圧制御発振器(VCO)の発振周波数を制御することにより、クロックの位相を読み出しデータと同期させるように補正している。ここに位相誤差の検出器は、読み出し信号をサンプリングしたタイミングと、本来、期待される正しいサンプリングタイミングとの位相誤差を検出するものである。
上記した従来技術では、上記VCOの発振を制御する位相誤差検出器は、サンプリングタイミングの位相誤差を検出するため、基準クロック位置においてサンプリングした読み出し信号レベルの絶対値から位相誤差を演算するアルゴリズムを使用している。すなわち、サンプリングした信号レベル(位相誤差がなければ信号レベルはゼロとなる)を、読み出し信号の振幅レベル(エンベロープの最大値)と比較して位相誤差を算出する。このように、読み出し信号の振幅レベルを基準とする方法だと、位相誤差の検出感度は読み出し信号の振幅レベルに依存する。しかし従来は、読み出し信号の振幅レベルは一定であることが前提とされ、振幅レベルの変動に対しては配慮されていなかった。よって、振幅レベルが変動すると位相誤差の算出値が変動し、位相同期制御が悪化するという問題があった。
例えば、光ディスク装置では、光ディスクから情報を読み出す際、LED等の発光源から出射された光を光ディスクの表面に照射し、その反射光を、フォトトランジスタなどの受光素子で構成されるピックアップで検出する。その際、光学系の経時変化やそれを駆動する電源レベルの変動などによって、ピックアップにより検出される信号の振幅レベル(最大値)が変動することがある。その結果、位相誤差検出の精度が悪化し、VCOの発振周波数の制御特性や、PLL回路での位相同期特性が悪化することになる。
そこで本発明は、上記した従来技術における問題点に鑑み、読み出し信号の振幅レベルが変動しても位相誤差を精度良く検出し、よって安定な位相同期特性を実現することが可能な位相誤差検出回路、位相同期ループ回路および情報再生装置を提供することを目的とする。
本発明の位相誤差検出回路は、入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルからクロックの位相誤差を検出するものであって、入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)における信号レベルXn、Xn−1について、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)を演算する演算器を備え、信号レベルXn、Xn−1の極性が変化するサンプリング位置における演算器の演算結果Cnを位相誤差信号として出力する。
さらに位相誤差検出回路は、信号レベルXn、Xn−1の極性が変化するサンプリング位置における演算器の演算したAnの値を、入力信号のDC誤差信号として出力する。
また本発明の位相誤差検出回路は、入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルからクロックの位相誤差を検出する位相誤差検出回路であって、2つの信号レベルXn、Xn−1の各組合せに対する、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)の演算値を予め記憶するメモリを備え、入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)において信号レベルXn、Xn−1の極性が変化する場合、メモリに記憶する信号レベルXn、Xn−1の組合せに対するCnの演算値を位相誤差信号として出力する。
本発明の位相同期ループ回路は、入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力信号を受け、クロックの位相誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、クロックを出力する発振器とを備える。
また本発明の位相同期ループ回路は、入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力信号のDCレベルを除去するDC帰還回路と、DC帰還回路の出力信号を受け、位相誤差とDC誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、クロックを出力する発振器とを備え、DC帰還回路は、位相誤差検出回路からのDC誤差信号によりDCレベルを除去する。
本発明の情報再生装置は、記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す読み出し部と、読み出し部の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力信号を等化する等化器と、等化器の出力信号を最尤復号する復号器と、A/D変換器または等化器の出力信号を受け、クロックの位相誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、クロックを出力する発振器とを備える。
また本発明の情報再生装置は、記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す読み出し部と、読み出し部の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力信号のDCレベルを除去するDC帰還回路と、DC帰還回路の出力信号を等化する等化器と、等化器の出力信号を最尤復号する復号器と、DC帰還回路または等化器の出力信号を受け、位相誤差とDC誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、クロックを出力する発振器とを備え、DC帰還回路は、位相誤差検出回路からのDC誤差信号によりDCレベルを除去する。
本発明によれば、再生時のレベル変動に対して位相同期特性が安定し、再生品質を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明による情報再生装置の一実施例を示す構成図である。この図1において、符号1は光ディスク媒体、2は光ピックアップ回路、3はA/D変換器、4はパーシャルレスポンス(PR)等化回路、5は最尤復号回路(ビタビ復号回路)、7は位相誤差検出回路、8はループフィルタ、9はD/A変換器、10は電圧制御発振器(VCO)、11は前置等化回路、20はサーボ回路、30はシステム制御回路、40はジッタ評価回路をそれぞれ示している。
光ピックアップ回路2は、光ディスク媒体1に記録された情報を、レーザー光を集光して媒体上に照射し、その反射光量あるいは偏向量を検出して再生する。このときサーボ回路20は、レーザー光のスポットをフォーカス方向とトラック方向に正確に追従させる。光ピックアップ回路2により読み出された再生信号は、前置等化回路11で等化された後、A/D変換器3によりアナログ/デジタル変換される。次に、PR等化回路4で所定のPR信号に等化され、最尤復号回路5により復号される。システム制御回路30はこれら一連の動作を制御する。なお、上述したA/D変換器3、PR等化回路4、最尤復号回路5は、それぞれ、以下に示す電圧制御発振器(VCO)10により発生される再生クロックの位相に同期させてデータを処理する。
次に位相同期ループ回路の構成を説明する。位相誤差検出回路7は、A/D変換器3からの出力信号を受け、時間軸上の正確な位相誤差を示す正規化位相誤差信号Tn(クロック周期Tで正規化)を出力する。この正規化位相誤差信号Tnは、ループフィルタ8、D/A変換器9を介して、VCO10に入力され、その出力である発振周波数を制御する。その結果、再生クロックの位相は光ピックアップ回路2からの再生信号に同期させることができる。
また、ジッタ評価回路40は、位相誤差検出回路7からの正規化位相誤差信号Tnを受け、統計処理により、位相誤差の平均値や分散を求める。求めた分散値は、光ディスク媒体1のジッタ評価に用いることができる。さらに、求めた各トランジェント毎(例えば、3Tスペースから3Tマークへ、4Tマークから4Tスペースへのトランジェント等)の平均値は、記録シフトを表すので、これを記録ストラテジの調整に利用することもできる。このように、本実施例では、正規化位相誤差信号を単に再生クロックの位相調整だけでなく、再生品質の評価や記録ストラテジの設定にも適用することで、装置全体の構成を簡略化することができる。
図2は、図1における位相誤差検出回路7の一実施例を示す回路構成図である。ここに、符号720はレジスタ、711,721は2値化回路、712は加算器、713はモデュロ2の加算器、714はスイッチ回路、722は減算器、724は正規化回路(除算器)をそれぞれ示している。
入力信号をXn(τ)で表し、τはその位相ずれ(位相オフセット)を示す。レジスタ720は入力信号Xn(τ)を1サンプリング期間(1クロック期間T)だけ遅延させ、連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)における信号Xn(τ)、Xn−1(τ)を出力する。2値化回路711,721は、それぞれ、入力信号Xn(τ)および遅延信号Xn−1(τ)を極性符号「0(+)」と「1(−)」の2値化信号Yn,Yn−1に変換する。なお実際の2値化回路711,721では、入力信号Xn(τ)および遅延信号Xn−1(τ)が2’sコンプリメンタリ形式の場合には、その最上位ビット(MSB)がそのまま2値化信号Yn,Yn−1となるため、回路構成の簡略化を図ることができる。
続いて、加算器712は入力信号Xn(τ)と遅延信号Xn−1(τ)とを加算し、和
信号An(τ)を出力する。一方、減算器722は入力信号Xn(τ)から遅延信号Xn−1(τ)を減算し、差信号Bn(τ)を出力する。そして、正規化回路724は、この和信号An(τ)と差信号Bn(τ)を受け、以下の(1)式で表される商信号Cn(τ)を出力する。
信号An(τ)を出力する。一方、減算器722は入力信号Xn(τ)から遅延信号Xn−1(τ)を減算し、差信号Bn(τ)を出力する。そして、正規化回路724は、この和信号An(τ)と差信号Bn(τ)を受け、以下の(1)式で表される商信号Cn(τ)を出力する。
An(τ)=Xn(τ)+Xn−1(τ)
Bn(τ)=Xn(τ)−Xn−1(τ)
Cn(τ)=An(τ)/2/Bn(τ)
={Xn(τ)+Xn−1(τ)}/2/{Xn(τ)−Xn−1(τ)} ・・・(1)
一方、モデュロ2の加算器713は、2値化信号YnとYn−1とを、2を法として加算し、もって、選択制御信号Znを出力する。即ち、入力信号Xn(τ)と遅延信号Xn−1(τ)の極性変化(2値化信号YnとYn−1の符号変化)を検出し、変化点では符号「1」を出力し、それ以外では符号「0」を出力する。なお、実際のモデュロ2の加算器713は、2値化信号Ynが符号「0」、「1」に対応しているので、排他的論理和(Ex−OR)回路で構成される。
Bn(τ)=Xn(τ)−Xn−1(τ)
Cn(τ)=An(τ)/2/Bn(τ)
={Xn(τ)+Xn−1(τ)}/2/{Xn(τ)−Xn−1(τ)} ・・・(1)
一方、モデュロ2の加算器713は、2値化信号YnとYn−1とを、2を法として加算し、もって、選択制御信号Znを出力する。即ち、入力信号Xn(τ)と遅延信号Xn−1(τ)の極性変化(2値化信号YnとYn−1の符号変化)を検出し、変化点では符号「1」を出力し、それ以外では符号「0」を出力する。なお、実際のモデュロ2の加算器713は、2値化信号Ynが符号「0」、「1」に対応しているので、排他的論理和(Ex−OR)回路で構成される。
そして、スイッチ回路714は、上記の選択制御信号Znを受け、次の(2)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を切り替えて出力する。
Tn(τ)=Cn(τ) (Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(2)
このように、サンプリング位置が極性変化点(選択制御信号Zn=1)である場合には上記(1)式の演算結果を出力するが、それ以外の位置(Zn=0)での演算結果は位相誤差を示さないので出力しない。
=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(2)
このように、サンプリング位置が極性変化点(選択制御信号Zn=1)である場合には上記(1)式の演算結果を出力するが、それ以外の位置(Zn=0)での演算結果は位相誤差を示さないので出力しない。
なお、図2の演算回路の構成は一例であり、(1),(2)式の演算を実行できる演算回路であればこれに限らず全て有効である。
図3は、上記した正規化位相誤差信号Tn(τ)の演算方法を信号波形を用いて幾何学的に説明する図である。縦軸は信号レベル、横軸は時間であり、入力波形Xnに対し、クロックTから決まるタイミング位置t/T=−5/2,−3/2,−1/2,・・・にてサンプリングする。そのうち、信号レベルの極性が変化する隣接位置はt/T=−1/2,1/2であり、それらの信号レベルXn,Xn−1を記号(●)で示す。2つの値XnとXn−1のレベル差は前記差信号Bnで表される。XnとXn−1の間の波形を直線(1次関数)で近似し、2つの値XnとXn−1のレベル平均を記号(○)で示し、そのレベルは前記和信号An/2で表される。記号(◇)は近似直線と横軸との交差位置(レベルがゼロとなる位置)で、その原点からの距離は、位相オフセットτそのものを示している。そしてこの位相オフセットτは、前記An/2とBnの比から次の(3)式にて求められることが幾何学的に理解できる。
τ/T=−An/2/Bn
=−1/2*(Xn+Xn−1)/(Xn−Xn−1) ・・・(3)
ここで、入力信号の振幅レベル(エンベロープの最大値)Hが変動した場合を考える。振幅レベルHの変動に伴い、信号レベルXn、Xn−1や演算値An、Bnは同じ割合で変動する。しかし、本実施例では、位相オフセットτを(3)式のようにそれらの比から求めているので、変動分はキャンセルされる。よって、振幅レベルHが変動しても、位相オフセットτの算出値が変動することはない。
=−1/2*(Xn+Xn−1)/(Xn−Xn−1) ・・・(3)
ここで、入力信号の振幅レベル(エンベロープの最大値)Hが変動した場合を考える。振幅レベルHの変動に伴い、信号レベルXn、Xn−1や演算値An、Bnは同じ割合で変動する。しかし、本実施例では、位相オフセットτを(3)式のようにそれらの比から求めているので、変動分はキャンセルされる。よって、振幅レベルHが変動しても、位相オフセットτの算出値が変動することはない。
上記に説明した位相誤差検出回路7により得られた正規化位相誤差信号Tn(τ)と位相オフセットτの関係は(4)式で示される。
Tn(τ)=−τ/T ・・・(4)
図4は、(4)式に示される位相誤差検出回路7の位相誤差検出特性を示す図である。横軸は位相オフセットτ、縦軸は正規化位相誤差信号Tn(τ)であり、両者の関係を示す。τ>0はクロック位相が進んでいること、τ<0はクロック位相が遅れている場合である。また位相オフセットが周期Tを超える場合、正規化位相誤差信号Tn(τ)は1/2と−1/2の間で周期的に繰り返す。このように、本実施例による位相誤差検出回路7では、入力信号の振幅レベルが変動してもその影響を受けず、時間軸上の位相誤差を精度良く検出することができる。
図4は、(4)式に示される位相誤差検出回路7の位相誤差検出特性を示す図である。横軸は位相オフセットτ、縦軸は正規化位相誤差信号Tn(τ)であり、両者の関係を示す。τ>0はクロック位相が進んでいること、τ<0はクロック位相が遅れている場合である。また位相オフセットが周期Tを超える場合、正規化位相誤差信号Tn(τ)は1/2と−1/2の間で周期的に繰り返す。このように、本実施例による位相誤差検出回路7では、入力信号の振幅レベルが変動してもその影響を受けず、時間軸上の位相誤差を精度良く検出することができる。
図5は、本発明による位相誤差検出回路7の他の実施例を示す回路構成図である。ここに、レジスタ720は、入力信号Xn(τ)を1サンプリング期間(1クロック期間T)だけ遅延させる。符号750は、読出し専用メモリ(ROM)である。この実施例では、前記実施例1で実行する(1)式および(2)式の演算結果を予め求めておいて、それをROM750に記憶させている。すなわち、入力レベルXn、Xn−1の各種組合せとそれに対するTnの値をテーブルとして格納している。そして、入力信号のレベルXn、Xn−1に対して、対応するTnの値を読み出して出力すればよい。本実施例では、除算処理など時間の掛かる演算処理が不要となるので、処理速度が速くなる利点がある。
図6は、本発明による位相誤差検出回路7のさらに他の実施例を示す回路構成図である。ここに、符号719はレジスタを示し、その他前記図2と共通の要素には同一に符号を付しその説明を省略する。レジスタ719には、1クロック直前の演算結果Tn−1(τ)を保持している。そして、スイッチ回路714は、選択制御信号Znを受け、次の(5)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を切り替えて出力する。
Tn(τ)=Cn(τ) (Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
=Tn−1(τ) (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(5)
前記実施例1では(2)式で示したように、極性変化点以外の位置(選択制御信号Zn=0)での出力はゼロとしたのに対し、本実施例では、極性変化点以外の位置において1クロック直前の演算結果Tn−1(τ)を出力する。その結果、極性変化点で得たCn(τ)の値を、次の極性変化点に至るまで繰り返して出力することになる。前記実施例1では、クロック位相の補正動作を極性変化点に集中させて行うが、本実施例では補正を分散させて行うため、より安定な位相同期制御が期待できる。
=Tn−1(τ) (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(5)
前記実施例1では(2)式で示したように、極性変化点以外の位置(選択制御信号Zn=0)での出力はゼロとしたのに対し、本実施例では、極性変化点以外の位置において1クロック直前の演算結果Tn−1(τ)を出力する。その結果、極性変化点で得たCn(τ)の値を、次の極性変化点に至るまで繰り返して出力することになる。前記実施例1では、クロック位相の補正動作を極性変化点に集中させて行うが、本実施例では補正を分散させて行うため、より安定な位相同期制御が期待できる。
次に、上記した光ピックアップ回路2からの入力信号は、振幅レベルだけでなく、DC(直流)レベルについても変動することがある。以下、このDCレベル変動に対応した本発明の実施例について述べる。
図7は本発明による情報再生装置の他の実施例を示す構成図である。ここに、符号6はDC帰還回路を示し、その他前記図1と共通の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
光ディスク媒体1から読み出された信号は、A/D変換器3によりデジタル化された後、DC帰還回路6によりDC成分を除去する機能を付加している。位相誤差検出回路7は、DC帰還回路6からの出力信号を受け、正規化位相誤差信号TnとDC誤差信号Snとを出力する。正規化位相誤差信号TnはVCO10に対し、再生クロックの位相を再生信号に同期させるよう制御する。一方DC誤差信号Snは、DC帰還回路6に対し、DC成分を除去して信号を出力させるよう制御する。
図8は、図7におけるDC帰還回路6の回路構成の一例を示す図である。ここに、符号601は減算器、602,608はレジスタ、603は振幅制限器、604,605は減衰器、606,607は加算器をそれぞれ示している。ここに、加算器607とレジスタ608は積分回路を構成している。
このDC帰還回路6は、帰還ループを2つ備えている。第1のループは、DC帰還回路6自身の出力信号を受け、振幅制限器603で振幅制限した後、さらに、減衰器604、加算器606,607、レジスタ608を介して、DCレベルとして帰還させるループである。また、第2のループは、前記図7の位相誤差検出回路7からのDC誤差信号Snを受け、減衰器605、加算器606,607、レジスタ608を介して、DCレベルとして帰還させるループである。なお、これら第1のループおよび第2のループからの出力は、加算器606にて加算され、加算器607とレジスタ608にて積分された後、減算器601において、入力される入力信号からDC成分を減算する。
なお、ここでは図示しないが、DC帰還回路6を構成する減衰器604,605の係数「ND」,「NJ」や、振幅制限器603の振幅制限値は、前記図7のシステム制御回路30からのDC帰還制御信号により設定される。
また、加算器607とレジスタ608からなる積分回路の動作を制御すれば、DC帰還ループを開閉することが可能である。例えば、サーボ動作の途中やサーボが外れた場合、あるいはトラックジャンプした場合には、DC帰還回路6は、システム制御回路30からのDC帰還制御信号を受け、DC帰還ループを開放する。これにより、異常信号入力での内部DCレベルの暴れを防止することができる。
なお、本実施例では、DC帰還用メイン信号としてDC帰還回路6自身の出力信号、即ちPR等化回路4の入力信号を用いたが、その出力信号を用いても良い。また、本実施例では、前置等化回路11を、A/D変換器3の前段に配する例を示したが、この構成に限定されることなく、例えば、この前置等化回路11を、A/D変換器3の後段に配置しても良い。
図9は、図7における位相誤差検出回路7の一実施例を示す回路構成図である。ここに、前記図2と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
入力信号をXn(σ,τ)で表し、σはDC成分(DCオフセット)、τはその位相ずれ(位相オフセット)を示す。加算器712は入力信号Xn(σ,τ)と遅延信号Xn−1(σ,τ)とを加算して、和信号An(σ,τ)を出力する。そしてスイッチ回路714は、選択制御信号Znを受け、以下の(6)式で表されるDC誤差信号Sn(σ)を出力する。
Sn(σ)=An(σ,τ)
=Xn(σ,τ)+Xn−1(σ,τ) (Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(6)
なお、DC誤差信号の正確な値はAn(σ,τ)/2であるが、(6)式においては「2」の除算を省略している。その場合、DC帰還ループの利得係数に1/2倍の補正をすれば基本動作は変わらない。
=Xn(σ,τ)+Xn−1(σ,τ) (Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(6)
なお、DC誤差信号の正確な値はAn(σ,τ)/2であるが、(6)式においては「2」の除算を省略している。その場合、DC帰還ループの利得係数に1/2倍の補正をすれば基本動作は変わらない。
一方、減算器722は入力信号Xn(σ,τ)から遅延信号Xn−1(σ,τ)を減算し、差信号Bn(τ)を出力する。正規化回路724は、上記(6)式のDC誤差信号Sn(σ)を受け、以下の(7)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
Tn(τ)=Sn(σ)/2/Bn(τ)
={Xn(σ,τ)+Xn−1(σ,τ)}/2/{Xn(σ,τ)−Xn−1(σ,τ)}
(Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
Tn(τ)=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(7)
続いて図10、図11、図12および図13は、上記したDC誤差信号Sn(σ)と正規化位相誤差信号Tn(τ)の演算方法を、信号波形を用いて幾何学的に説明する図である。光ディスク媒体からの信号読み出し時、光学系の径時変化や電源の変動などの原因で、入力信号Xn(σ,τ)は、その振幅やDCレベルが変動することがある。その結果、DCオフセットσや位相オフセットτが生じる。各図において、記号(●)はクロックで決まるサンプリング点Xn(σ,τ)を示す。そして記号(○)は、サンプリング点XnとXn−1(またはXn’とXn−1’)の平均レベルであり、DCオフセットσを示し、上記(6)式の演算により得られるDC誤差信号Sn(σ)/2に対応する。また記号(◇)は、サンプリング点XnとXn−1(またはXn’とXn−1’)の間を直線近似したときに、横軸(信号レベル=0)と交差する点で、位相オフセットτを示し、上記(7)式の演算により得られる正規化位相誤差信号Tn(τ)に対応する。
={Xn(σ,τ)+Xn−1(σ,τ)}/2/{Xn(σ,τ)−Xn−1(σ,τ)}
(Zn=1、Yn≠Yn−1の場合)
Tn(τ)=0 (Zn=0、Yn=Yn−1の場合) ・・・(7)
続いて図10、図11、図12および図13は、上記したDC誤差信号Sn(σ)と正規化位相誤差信号Tn(τ)の演算方法を、信号波形を用いて幾何学的に説明する図である。光ディスク媒体からの信号読み出し時、光学系の径時変化や電源の変動などの原因で、入力信号Xn(σ,τ)は、その振幅やDCレベルが変動することがある。その結果、DCオフセットσや位相オフセットτが生じる。各図において、記号(●)はクロックで決まるサンプリング点Xn(σ,τ)を示す。そして記号(○)は、サンプリング点XnとXn−1(またはXn’とXn−1’)の平均レベルであり、DCオフセットσを示し、上記(6)式の演算により得られるDC誤差信号Sn(σ)/2に対応する。また記号(◇)は、サンプリング点XnとXn−1(またはXn’とXn−1’)の間を直線近似したときに、横軸(信号レベル=0)と交差する点で、位相オフセットτを示し、上記(7)式の演算により得られる正規化位相誤差信号Tn(τ)に対応する。
図10は、DCオフセットσ=0、位相オフセットτ=0の場合を示している。この場合、XnとXn−1の位置は原点(X=0、t=0)に関して対称位置にあり、平均レベルDC誤差信号Sn(σ)、正規化位相誤差信号Tn(τ)共に0となる。
図11は、DCオフセットσ≠0、位相オフセットτ=0の場合を示している。この場合、DC誤差信号Sn(σ)は、XnとXn−1(またはXn’とXn−1’)の平均レベルに対応し、DCオフセットσに対しSn(σ)=2σとなる。上記の位相誤差検出回路7からは、このDCオフセットσに比例した誤差信号Sn(σ)が出力される。一方、正規化位相誤差信号Tn(τ)に関しては、XnとXn−1、およびXn’とXn−1’の2つの傾きに応じた交差点に対応し、その交差位置は原点(t=0)に関し対称の位置±εにある。すなわち正規化位相誤差信号Tn(τ)は、入力信号Xnの傾きに応じて極性が交互に反転する±ε/Tの信号として出力されるが、その時間平均値はTn(τ)=0となり、位相オフセットτ=0に対応する。
図12は、DCオフセットσ=0、位相オフセットτ≠0の場合を示している。この場合、DC誤差信号Sn(σ)は、XnとXn−1、およびXn’とXn−1’に対し2つの平均レベルに対応し、それらのレベルは横軸(X=0)に関し対称の位置±δにある。
すなわちDC誤差信号Sn(σ)は、入力信号Xnの傾きに応じて極性が交互に反転する±2δの信号として出力されるが、その時間平均値はSn(σ)=0となり、DCオフセットσ=0に対応する。一方、正規化位相誤差信号Tn(τ)は、入力信号Xnの傾きに関係なく横軸との交差点が決まり、位相オフセットτに対応するTn(τ)=−τ/Tが出力される。
すなわちDC誤差信号Sn(σ)は、入力信号Xnの傾きに応じて極性が交互に反転する±2δの信号として出力されるが、その時間平均値はSn(σ)=0となり、DCオフセットσ=0に対応する。一方、正規化位相誤差信号Tn(τ)は、入力信号Xnの傾きに関係なく横軸との交差点が決まり、位相オフセットτに対応するTn(τ)=−τ/Tが出力される。
さらに、図13は、DCオフセットσ≠0、位相オフセットτ≠0の場合を示している。この場合DC誤差信号Sn(σ)は、入力信号Xnの傾きに応じた2つの平均レベルに対応し、DCオフセットσを中心としてδの幅で交互に極性が反転する信号Sn(σ)=2(σ±δ)が出力される。その時間平均値はSn(σ)=2σとなりDCオフセットσに対応する。一方正規化位相誤差信号Tn(τ)は、入力信号Xnの傾きに応じた2つの交差点に対応し、位相オフセット−τを中心としてεの幅で交互に極性が反転する信号Tn(τ)=(−τ±ε)/Tが出力される。その時間平均値はTn(τ)=−τ/Tとなり、位相オフセットτに対応する。
以上に詳細に述べたように、本実施例になる位相誤差検出回路7によれば、DCオフセットσと位相オフセットτとが混在する入力信号Xn(σ,τ)から、それぞれ独立に、DC誤差信号Sn(σ)と正規化位相誤差信号Tn(τ)を生成することができる。その結果、位相同期ループ回路では、その中に独立したDC帰還ループを形成することにより、位相オフセットτを補正するだけでなく、DCオフセットσを除去することができ、より安定な位相同期制御を行うことができる。
また、上述した位相誤差検出回路では、極性変化前後のサンプル値のみからDC誤差および正規化位相誤差を検出するので、これを利用した位相同期ループ回路では、入力信号の上下(正負)が非対称であっても、DCオフセット、位相オフセットを低く抑えることができる。
図14は、本発明による位相誤差検出回路7のさらに他の実施例を示す回路構成図である。ここに、ROM750は、図5と同様、上述した(1)および(2)式の演算結果を記憶しており、これから正規化位相誤差信号Tn(τ)を読み出して出力する。また、加算器712、モデュロ2加算器713、スイッチ回路714は、図9と同様、DC誤差信号Sn(σ)を生成し出力する。この実施例では、図5と同様、時間の掛かる演算処理が不要となるので、処理速度が速くなる利点がある。
図15は、本発明による位相誤差検出回路7のさらに他の実施例を示す回路構成図である。ここに、符号715は極性反転回路、716はスイッチ回路、723は絶対値回路を示している。その他、前記図9と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
まず、加算器712、モデュロ2加算器713、スイッチ回路714は、図9、図14と同様、和信号An(σ,τ)からDC誤差信号Sn(σ)を生成して出力する。極性反転回路715は、DC誤差信号Sn(σ)を符号反転させる。スイッチ回路716は、これらの信号と2値化信号Ynを受け、(8)式に示す位相誤差信号En(τ)を出力する。すなわち、この位相誤差信号En(τ)は、入力信号の振幅で正規化する前の信号であり、演算処理時間が短い。
En(τ)=Sn(σ) (Yn=0の場合)
=−Sn(σ) (Yn=1の場合) ・・・(8)
一方、絶対値回路723は、差信号Bn(τ)の絶対値を検出し、正規化回路724は、(9)式に示すような正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
=−Sn(σ) (Yn=1の場合) ・・・(8)
一方、絶対値回路723は、差信号Bn(τ)の絶対値を検出し、正規化回路724は、(9)式に示すような正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
Tn(τ)=En(τ)/2/|Bn(τ)| ・・・(9)
図16は、上記図15の位相誤差検出回路7を用いた情報再生装置の一実施例を示す構成図である。ここに、符号12はスイッチ回路を、その他、前記図7と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。本実施例の特徴は、システム制御回路30の制御により、スイッチ回路12は、位相誤差検出回路7から(8)式、(9)式に示す2種類の位相誤差信号En(τ)、Tn(τ)を切り替えてループフィルタ8へ供給するようにした点にある。
図16は、上記図15の位相誤差検出回路7を用いた情報再生装置の一実施例を示す構成図である。ここに、符号12はスイッチ回路を、その他、前記図7と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。本実施例の特徴は、システム制御回路30の制御により、スイッチ回路12は、位相誤差検出回路7から(8)式、(9)式に示す2種類の位相誤差信号En(τ)、Tn(τ)を切り替えてループフィルタ8へ供給するようにした点にある。
この構成により、例えば、初期の引込み動作時、或いはサーボが外れた場合、トラックジャンプした場合などの再引込み動作時においては、位相誤差信号En(τ)に切り替え、同期確立や同期回復までの時間を短縮する。その後、正規化位相誤差信号Tn(τ)に切換え、高精度の制御により位相同期性能の安定化を図る。このように、ループフィルタ8への位相誤差信号を適宜切換えることにより、同期時間の短縮と同期性能の安定化を図ることができる。
以上、連続する2つの入力サンプリング信号から1次補間法を用いてそのサンプリング位相誤差を演算する実施例について述べた。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、連続する4つの入力サンプリング信号から3次補間法を用いてそのサンプリング位相誤差を演算するものにも適用可能である。以下、この実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図17は、図1における位相誤差検出回路7のさらに他の実施例を示す回路構成図である。ここに、符号710,730はレジスタ、731は加算器、734,761,764は減算器、732,733,762,763は係数回路(乗算器)、741,751は2値化回路、743,753はモデュロ2の加算器、744,754はNOT回路、745はAND回路をそれぞれ示している。その他、前記図2と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
入力信号をXn+1(τ)で表すと、レジスタ710,720,730は入力信号Xn+1(τ)を順次遅延させ、連続する4つのサンプリング位置(n+1),(n),(n−1),(n−2)における信号Xn+1(τ)、Xn(τ)、Xn−1(τ)、Xn−2(τ)を出力する。続いて、加算器712,731は、それぞれ、入力信号Xn(τ)とXn−1(τ)、および、Xn+1(τ)とXn−2(τ)を加算し、係数回路732,733、減算器734を介して、以下の(10)式で表される和信号An(τ)を出力する。一方、減算器722,761は、それぞれ、入力信号Xn(τ)からXn−1(τ)を、および、Xn+1(τ)からXn−2(τ)を減算し、係数回路762,763、減算器764を介して、以下の(11)式で表される差信号Bn(τ)を出力する。そして、正規化回路724は、この和信号An(τ)と差信号Bn(τ)を受け、以下の(12)式で表される商信号Cn(τ)を出力する。
An(τ)={Xn(τ)+Xn−1(τ)}*(9/8)
−{Xn+1(τ)+Xn−2(τ)}*(1/8) ・・・(10)
Bn(τ)={Xn(τ)−Xn−1(τ)}*(9/8)
−{Xn+1(τ)−Xn−2(τ)}*(1/24) ・・・(11)
Cn(τ)=An(τ)/2/Bn(τ) ・・・(12)
一方、2値化回路741,711,721,751は、それぞれ、入力信号Xn+1(τ)、Xn(τ)、Xn−1(τ)、Xn−2(τ)を極性符号「0(+)」と「1(−)」の2値化信号Yn+1,Yn,Yn−1,Yn−2に変換する。モデュロ2の加算器743,713,753は、それぞれ、2値化信号Yn+1とYn、YnとYn−1、および、Yn−1とYn−2を、2を法として加算し、NOT回路744,754、およびAND回路745を介して選択制御信号Znを出力する。即ち、入力信号Xn(τ)とXn−1(τ)の極性変化(2値化信号YnとYn−1の符号変化)を検出し、かつ、連続する4つの2値化信号Yn+1、Yn、Yn−1、Yn−2が「0011」または「1100」の場合のみ符号「1」を出力し、それ以外では符号「0」を出力する。
−{Xn+1(τ)+Xn−2(τ)}*(1/8) ・・・(10)
Bn(τ)={Xn(τ)−Xn−1(τ)}*(9/8)
−{Xn+1(τ)−Xn−2(τ)}*(1/24) ・・・(11)
Cn(τ)=An(τ)/2/Bn(τ) ・・・(12)
一方、2値化回路741,711,721,751は、それぞれ、入力信号Xn+1(τ)、Xn(τ)、Xn−1(τ)、Xn−2(τ)を極性符号「0(+)」と「1(−)」の2値化信号Yn+1,Yn,Yn−1,Yn−2に変換する。モデュロ2の加算器743,713,753は、それぞれ、2値化信号Yn+1とYn、YnとYn−1、および、Yn−1とYn−2を、2を法として加算し、NOT回路744,754、およびAND回路745を介して選択制御信号Znを出力する。即ち、入力信号Xn(τ)とXn−1(τ)の極性変化(2値化信号YnとYn−1の符号変化)を検出し、かつ、連続する4つの2値化信号Yn+1、Yn、Yn−1、Yn−2が「0011」または「1100」の場合のみ符号「1」を出力し、それ以外では符号「0」を出力する。
そして、スイッチ回路714は、上記の選択制御信号Znを受け、以下の(13)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を切り替えて出力する。
Tn(τ)=Cn(τ) (Zn=1の場合)
=0 (Zn=0の場合) ・・・(13)
このように、本実施例の特徴は、連続する4つの入力サンプリング信号から3次補間法を用いてそのサンプリング位相誤差を演算することに加えて、その連続する4つの入力サンプリング信号の2値化信号Yn+1、Yn、Yn−1、Yn−2が「0011」または「1100」の場合のみ、正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力するようにした点にある。即ち、2T−2Tのランレングス制限をかけている。
=0 (Zn=0の場合) ・・・(13)
このように、本実施例の特徴は、連続する4つの入力サンプリング信号から3次補間法を用いてそのサンプリング位相誤差を演算することに加えて、その連続する4つの入力サンプリング信号の2値化信号Yn+1、Yn、Yn−1、Yn−2が「0011」または「1100」の場合のみ、正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力するようにした点にある。即ち、2T−2Tのランレングス制限をかけている。
従来、ノイズなどによって符号誤りが発生した場合には、誤った位相誤差信号を出力してしまい、同期特性の劣化をまねいていたが、本実施例のランレングス制限により、誤った位相誤差信号を出力しないようにできるため、同期特性の安定化を図ることができる。
図18は、上記した3次補間法を用いる正規化位相誤差信号Tn(τ)の演算方法を信号波形を用いて幾何学的に説明する図である。縦軸は信号レベル、横軸は時間であり、入力波形Xnに対し、クロックTから決まるタイミング位置t/T=−5/2,−3/2,−1/2,・・・にてサンプリングする。そのうち、信号レベルの極性が変化する隣接位置はt/T=−3/2,−1/2,1/2,3/2であり、それらの信号レベルXn+1,Xn,Xn−1,Xn−2を記号(●)で示す。そして、この4点を通る信号(太線で示す)を3次関数で近似する。
すると、時刻t=0におけるレベルを記号(○)で示し、そのレベルを和信号An/2で表すと、和信号Anは前記(10)式で示される。さらに、前記(11)式で示される差信号Bnを導入すると、記号(◇)で示した位相オフセットτ/Tは以下の(14)式にて求められる。
τ/T=−An/2/Bn ・・・(14)
図19は、図7における位相誤差検出回路7のさらに他の実施例を示す回路構成図である。ここに、前記図17と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図17と同様に、加算器712,731は、それぞれ、入力信号Xn(σ,τ)とXn−1(σ,τ)、および、Xn+1(σ,τ)とXn−2(σ,τ)を加算し、係数回路732,733、減算器734を介して、以下の(15)式で表される和信号An(σ,τ)を出力する。モデュロ2の加算器743,713,753は、それぞれ、2値化信号Yn+1とYn、YnとYn−1、および、Yn−1とYn−2を、2を法として加算し、NOT回路744,754、およびAND回路745を介して選択制御信号Znを出力する。そしてスイッチ回路714は、選択制御信号Znを受け、以下の(16)式で表されるDC誤差信号Sn(σ)を出力する。
An(σ,τ)={Xn(σ,τ)+Xn−1(σ,τ)}*(9/8)
−{Xn+1(σ,τ)+Xn−2(σ,τ)}*(1/8) ・・・(15)
Sn(σ)=An(σ,τ) (Zn=1の場合)
=0 (Zn=0の場合) ・・・(16)
一方、図17と同様に、減算器722,761は、それぞれ、入力信号Xn(σ,τ)からXn−1(σ,τ)を、および、Xn+1(σ,τ)からXn−2(σ,τ)を減算し、係数回路762,763、減算器764を介して、以下の(17)式で表される差信号Bn(τ)を出力する。そして、正規化回路724は、上記(16)式のDC誤差信号Sn(σ)と差信号Bn(τ)を受け、以下の(18)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
−{Xn+1(σ,τ)+Xn−2(σ,τ)}*(1/8) ・・・(15)
Sn(σ)=An(σ,τ) (Zn=1の場合)
=0 (Zn=0の場合) ・・・(16)
一方、図17と同様に、減算器722,761は、それぞれ、入力信号Xn(σ,τ)からXn−1(σ,τ)を、および、Xn+1(σ,τ)からXn−2(σ,τ)を減算し、係数回路762,763、減算器764を介して、以下の(17)式で表される差信号Bn(τ)を出力する。そして、正規化回路724は、上記(16)式のDC誤差信号Sn(σ)と差信号Bn(τ)を受け、以下の(18)式で表される正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
Bn(τ)={Xn(σ,τ)−Xn−1(σ,τ)}*(9/8)
−{Xn+1(σ,τ)−Xn−2(σ,τ)}*(1/24) ・・・(17)
Tn(τ)=Sn(σ)/2/Bn(τ)) ・・・(18)
=An(σ,τ)/2/Bn(τ) (Zn=1の場合)
=0 (Zn=0の場合
−{Xn+1(σ,τ)−Xn−2(σ,τ)}*(1/24) ・・・(17)
Tn(τ)=Sn(σ)/2/Bn(τ)) ・・・(18)
=An(σ,τ)/2/Bn(τ) (Zn=1の場合)
=0 (Zn=0の場合
図20は、図16における位相誤差検出回路7の他の実施例を示す回路構成図である。ここに、前記図15および図19と共通の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
まず、DC誤差信号Sn(σ)の生成過程は図19と同様である。そして、図15と同様に、極性反転回路715は、DC誤差信号Sn(σ)を符号反転させ、スイッチ回路716は、これらの信号と2値化信号Ynを受け、前記(8)式に示す位相誤差信号En(τ)を出力する。
一方、図15と同様に、絶対値回路723は差信号Bn(τ)の絶対値を検出し、正規化回路724は前記(9)式に示す正規化位相誤差信号Tn(τ)を出力する。
このように、連続する4つの入力サンプリング信号から3次補間法を用いてそのサンプリング位相誤差を演算することにより、その精度が大きく向上し、その結果として、位相同期ループ特性の性能のさらなる向上を図ることができる。
以上に詳述したように、本実施例の位相誤差検出回路と位相同期ループ回路、さらにはそれを用いた情報再生装置によれば、入力信号の振幅レベル変動、DCレベル変動や非対称性による影響を受けることなく、安定した位相同期特性が得られ、光ディスク再生装置等の再生品質を向上させることができる。
なお、上述した各実施の形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。特に演算回路の回路構成は一例であり、所望の演算結果を取得できる構成であればこれに限らず全て有効である。また、当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施できる。
1…光ディスク媒体、2…光ピックアップ回路、3…A/D変換器、4…PR等化回路、5…最尤復号回路、6…DC帰還回路、7…位相誤差検出回路、8…ループフィルタ、9…D/A変換器、10…電圧制御発振器(VCO)、11…前置等化回路、12…スイッチ回路、20…サーボ回路、30…システム制御回路、601…減算器、602,608…レジスタ、603…振幅制限器、604,605…減衰器、606,607…加算器、710,719,720,730…レジスタ、711,721,741,751…2値化回路、712,731…加算器、713,743,753…モデュロ2の加算器、714,716…スイッチ回路、715…極性反転回路、722,734,761,764…減算器、723…絶対値回路、724…正規化回路、732,733,762,763…係数回路、750…ROM。
Claims (9)
- 入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルから該クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出回路において、
該入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)における信号レベルXn、Xn−1について、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)を演算する演算器を備え、
該信号レベルXn、Xn−1の極性が変化するサンプリング位置における該演算器の演算結果Cnを位相誤差信号として出力することを特徴とする位相誤差検出回路。 - 入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルから該クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出回路において、
2つの信号レベルXn、Xn−1の各組合せに対する、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)の演算値を予め記憶するメモリを備え、
上記入力信号の連続する2つのサンプリング位置n,(n−1)において信号レベルXn、Xn−1の極性が変化する場合、上記メモリに記憶する該信号レベルXn、Xn−1の組合せに対する上記Cnの演算値を位相誤差信号として出力することを特徴とする位相誤差検出回路。 - 入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルから該クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出回路において、
該入力信号の連続する4つのサンプリング位置(n+1),n,(n−1),(n−2)における信号レベルXn+1、Xn、Xn−1、Xn−2について、それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)を演算する演算器を備え、
該連続する4サンプル信号の符号が特定のパターンの場合にのみ、該演算器の演算結果Cnを位相誤差信号として出力することを特徴とする位相誤差検出回路。 - 入力信号を所定のクロックでサンプリングし、サンプリングした信号レベルから該クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出回路において、
該入力信号の連続する4つのサンプリング位置(n+1),n,(n−1),(n−2)における信号レベルXn+1、Xn、Xn−1、Xn−2について、それらの和Anと差Bnを演算する演算器と、
それらの和Anと差Bnの比Cn(=An/2/Bn)の演算値を予め記憶するメモリを備え、
該連続する4サンプル信号の符号が特定のパターンの場合にのみ、上記メモリに記憶する該Cnの演算値を位相誤差信号として出力することを特徴とする位相誤差検出回路。 - 請求項1または3記載の位相誤差検出回路において、
前記連続する4サンプル信号の符号が特定のパターンとなるサンプリング位置における前記演算器の演算したAnの値を、前記入力信号のDC誤差信号として出力することを特徴とする位相誤差検出回路。 - 請求項1または2または3または4記載の位相誤差検出回路を用いた位相同期ループ回路であって、
入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、
該A/D変換器の出力信号を受け、上記クロックの位相誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、
該位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、上記クロックを出力する発振器とを備えたことを特徴とする位相同期ループ回路。 - 請求項5記載の位相誤差検出回路を用いた位相同期ループ回路であって、
入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、
該A/D変換器の出力信号のDCレベルを除去するDC帰還回路と、
該DC帰還回路の出力信号を受け、位相誤差とDC誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、
該位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、上記クロックを出力する発振器とを備え、
上記DC帰還回路は、上記位相誤差検出回路からのDC誤差信号によりDCレベルを除去することを特徴とする位相同期ループ回路。 - 請求項1または2または3または4記載の位相誤差検出回路を用いた情報再生装置であって、
記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す読み出し部と、
該読み出し部の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、
該A/D変換器の出力信号を等化する等化器と、
該等化器の出力信号を最尤復号する復号器と、
上記A/D変換器または上記等化器の出力信号を受け、上記クロックの位相誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、
該位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、上記クロックを出力する発振器とを備えたことを特徴とする情報再生装置。 - 請求項5記載の位相誤差検出回路を用いた情報再生装置であって、
記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す読み出し部と、
該読み出し部の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換するA/D変換器と、
該A/D変換器の出力信号のDCレベルを除去するDC帰還回路と、
該DC帰還回路の出力信号を等化する等化器と、
該等化器の出力信号を最尤復号する復号器と、
上記DC帰還回路または上記等化器の出力信号を受け、位相誤差とDC誤差を検出する上記位相誤差検出回路と、
該位相誤差検出回路からの位相誤差信号により制御され、上記クロックを出力する発振器とを備え、
上記DC帰還回路は、上記位相誤差検出回路からのDC誤差信号によりDCレベルを除去することを特徴とする情報再生装置。
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