JP2008111408A - 回転機械における軸受け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸の振動を抑えることができ、第1回転体と第2回転体の振動による騒音を抑えることができる回転機械における軸受け構造を提供すること。
【解決手段】回転軸18にはスペーサ53が外嵌めされ、該スペーサ53によって回転軸18の周面に被押圧部53dが設けられる。また、フロントハウジング12内には被押圧部53dに対し回転軸18の軸方向に対向する座部54が設けられている。被押圧部53dと座部54との間には、被押圧部53dを押圧し、回転軸18の前端側を、該回転軸18の軸方向に沿って突出筒部12a外へ突出させる方向への荷重を回転軸18に付与する荷重付与手段50が設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】回転軸18にはスペーサ53が外嵌めされ、該スペーサ53によって回転軸18の周面に被押圧部53dが設けられる。また、フロントハウジング12内には被押圧部53dに対し回転軸18の軸方向に対向する座部54が設けられている。被押圧部53dと座部54との間には、被押圧部53dを押圧し、回転軸18の前端側を、該回転軸18の軸方向に沿って突出筒部12a外へ突出させる方向への荷重を回転軸18に付与する荷重付与手段50が設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、第1回転体と第2回転体とにより外部駆動源からの動力が回転軸へ伝達される回転機械における軸受け構造に関する。
例えば、車両空調装置の圧縮機(回転機械)においては、車両のエンジンからの動力は動力伝達機構を介して回転軸に伝達されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。図3(a)に示すように、特許文献1において、ハウジング100には駆動軸(回転軸)101がラジアル軸受け102を介して回転可能に支持されている。また、ハウジング100には、エンジン(図示せず)から動力が入力されるロータ103(第2回転体)が、玉軸受け104を介して回転可能に支持されている。
前記駆動軸101の先端部にはトルクリミッタ105(第1回転体)が固着されている。このトルクリミッタ105は外周部を以って前記ロータ103と作動連結され、トルクリミッタ105とロータ103は一体回転するようになっている。そして、エンジンからの動力が前記ロータ103及びトルクリミッタ105を介して駆動軸101に伝達されることで、駆動軸101が回転し、ハウジング100内で冷媒が圧縮されるようになっている。また、前記トルクリミッタ105は、エンジンから圧縮機への過大なトルクの伝達を遮断するために設けられている。
前記トルクリミッタ105はその筒状部105aを駆動軸101に螺着することで駆動軸101に締結固定されている。また、駆動軸101に対するトルクリミッタ105の締結構造を構成するために筒状部材106が用いられている。筒状部材106は、駆動軸101の周面に形成された座面101aとトルクリミッタ105の筒状部105aの端面との間に介在されるスペーサ部107と、該スペーサ部107よりも内周面が大径をなし駆動軸101の周面に圧入される圧入部108とが連接されてなる。そして、筒状部材106は、圧入部108が駆動軸101の周面に圧入係合されるとともに、該筒状部材106の当接面106aが駆動軸101の座面101aに当接するように押し込まれている。このように筒状部材106が駆動軸101に圧入された状態で、駆動軸101にトルクリミッタ105の筒状部105aが螺着されることにより、駆動軸101とトルクリミッタ105とが締結固定されている。
そして、トルクリミッタ105と筒状部材106との間での動力伝達は、トルクリミッタ105の筒状部105aの端面と、該端面に対向するスペーサ部107の端面との間で行われる。また、筒状部材106と駆動軸101との間での動力伝達は、当接面106aと座面101aとの間、及び筒状部材106と駆動軸101の圧入面同士の間で行われる。すなわち、駆動軸101において、トルクリミッタ105からのトルクの受承は、座面101aと圧入面とに分散されるようになっている。
また、特許文献2には、特許文献1の圧縮機と同様に回転軸(特許文献1においては駆動軸)の周面に筒状部材が装着された圧縮機が開示されている。なお、特許文献2における筒状部材は、エンジンから圧縮機への過大なトルクの伝達を遮断するトルクリミッタを機能させるために回転軸に設けられるものである。
具体的には、図3(b)に示すように、ハウジング200には、回転軸201がラジアル軸受け(図示せず)を介して回転可能に支持されている。回転軸201の先端にはハブ202が固着され、さらに、ハウジング200にはプーリ203が回転可能に支持されている。そして、ハブ202とプーリ203との間で動力が伝達されるようになっている。また、ハブ202のハブ座面202aに当接するように回転軸201に嵌合固定される筒状部材207を備えるとともに、ハウジング200には筒状部材207を受け入れる座部200aが形成されている。筒状部材207後端の当接面207aと前記座部200aとの間には隙間が設けられている。
そして、圧縮機の焼き付きによりトルクが上昇した場合、筒状部材207が塑性変形しながら隙間分だけ移動し、筒状部材207の当接面207aが座部200aに当接する。すると、エンジンから圧縮機への過大なトルクが回転軸に作用し、ハブ202が破断されて圧縮機への過大なトルクの伝達が遮断されるようになっている。
特開2003−35255号公報
特開2006−118586号公報
ところが、特許文献1において、駆動軸101は、ラジアル軸受け102による支持箇所より先端側が無支持状態となっている。そして、駆動軸101の先端側の周面と、該周面に対向するハウジングの内周面との間には間隙が存在しており、この間隙の存在によって駆動軸101が径方向へ撓み、振動してしまう。すると、駆動軸101に固着されたトルクリミッタ105も振動し、騒音が発生してしまう。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転軸の振動を抑えることができ、第1回転体と第2回転体の振動による騒音を抑えることができる回転機械における軸受け構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングには軸受けを介して回転軸が回転可能に支持されるとともに、該回転軸の先端に固着された第1回転体と、前記ハウジングの外周に回転可能に支持されるとともに、前記第1回転体の同軸位置に対向配置されて外部駆動源からの動力が入力される第2回転体とを備え、前記第1回転体と第2回転体とにより前記外部駆動源からの動力が回転軸へ伝達可能とされる回転機械における軸受け構造であって、前記回転軸には周面から突設された被押圧部が設けられるとともに、ハウジング内には前記被押圧部に対し回転軸の軸方向に対向する座部が設けられ、前記被押圧部と座部との間には、前記被押圧部を押圧し、回転軸の先端側を、該回転軸の軸方向に沿ってハウジング外へ突出させる方向への荷重を回転軸に付与する荷重付与手段が設けられている。
この構成によれば、荷重付与手段による回転軸に対する荷重付与により、回転軸はその軸方向に沿って先端側がハウジング外へ突出する方向へ押圧される。このため、回転軸は荷重付与手段が設けられた部位において、回転軸の軸方向に支持された状態となる。よって、例えば、荷重付与手段が設けられない場合に比して回転軸は撓みにくい構成となっている。さらに、回転軸は、その軸方向に沿って先端側がハウジング外へ突出する方向へ押圧される。このため、回転軸は、その先端側が挿通されたハウジングに向けて押し付けられ、ハウジングと回転軸とが一体化された状態に近づく。よって、回転軸は、該回転軸の周面と該周面に対向するハウジングの内周面に形成される間隙に起因して径方向へ移動すること、すなわち、回転軸の振動が抑えられる。その結果として、回転体の振動が抑えられ、その振動に起因した騒音が抑えられる。
また、前記荷重付与手段は、前記荷重を回転軸に付与する付勢部材と、該付勢部材と前記被押圧部との間に介在するレースとから構成されていてもよい。この構成によれば、レースは薄板状をなすため、荷重付与手段において回転軸の軸方向への長さが短く済む。よって、回転機械の体格を回転軸の軸方向へ大型化しなくても、騒音発生を抑えるための構成を設けることができる。
また、前記荷重付与手段は、前記荷重を回転軸に付与する付勢部材と、該付勢部材と前記被押圧部との間に介在するスラスト軸受けとから構成されていてもよい。
また、前記第1回転体は、回転軸の先端側に螺着されて回転軸と一体回転する筒状体と、該筒状体に一体化され回転軸の軸方向に対し直交する方向へ延びるハブ部とからなり、前記被押圧部は前記筒状体に当接するように回転軸に外嵌めされた筒状部材によって形成されていてもよい。この構成によれば、筒状部材は筒状体に当接することで第1回転体から回転軸への動力伝達を分散する。このため、第1回転体からの動力が筒状体に集中し、回転軸が筒状体との螺着部から切断されてしまうことを防止することができる。
また、前記第1回転体は、回転軸の先端側に螺着されて回転軸と一体回転する筒状体と、該筒状体に一体化され回転軸の軸方向に対し直交する方向へ延びるハブ部とからなり、前記被押圧部は前記筒状体に当接するように回転軸に外嵌めされた筒状部材によって形成されていてもよい。この構成によれば、筒状部材は筒状体に当接することで第1回転体から回転軸への動力伝達を分散する。このため、第1回転体からの動力が筒状体に集中し、回転軸が筒状体との螺着部から切断されてしまうことを防止することができる。
また、前記回転機械は、前記ハウジング内に、前記回転軸が前記外部駆動源からの動力により回転駆動されることで冷媒ガスを圧縮する圧縮機構が設けられた冷媒圧縮機であって、回転軸の軸方向に沿った前記圧縮機構と前記荷重付与手段との間となる位置には、回転軸の周面と該周面に対向するハウジングの内周面との間に前記回転軸に沿った圧縮機構からハウジング外への冷媒ガスの漏れを抑制するシール部材が設けられていてもよい。
この構成によれば、荷重付与手段を設けることで回転軸の振動が抑えられることから、回転軸の振動に伴うシール部材の振動も抑えられる。このため、回転軸の振動に伴うシール部材の弾性変形も抑えられ、該弾性変形に伴うシール部材の劣化や損傷を受けることを抑えることができる。
また、前記第1回転体と前記第2回転体とは別体に形成され、電磁クラッチ機構を構成してもよい。電磁クラッチ機構においては、第1回転体と第2回転体とが別体であることから互いの振動に起因した騒音が発生しやすいが、軸受け構造を設けることによりその騒音を抑えることができる。よって、軸受け構造は、電磁クラッチ機構を備えた回転機械に設けるのに特に適している。
また、軸受け構造において、前記第1回転体と前記第2回転体とは一体的に形成され、前記外部駆動源からの動力が常に回転軸に伝達されてもよい。
本発明によれば、回転軸の振動を抑えることができ、第1回転体と第2回転体の振動による騒音を抑えることができる。
以下、本発明の回転機械における軸受け構造を、車両空調装置の冷媒圧縮機における軸受け構造に具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。なお、以下の説明において冷媒圧縮機の「前」「後」は、図1に示す矢印Yの方向を前後方向とする。
図1に示すように、冷媒圧縮機10のハウジングは、シリンダブロック11と、該シリンダブロック11の前端に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に接合固定されたリヤハウジング13とから構成されている。また、前記シリンダブロック11とリヤハウジング13との間には弁・ポート形成体14が介在されている。
シリンダブロック11とフロントハウジング12との間には、制御圧室Cが区画形成されるとともに、シリンダブロック11とフロントハウジング12には前記制御圧室Cを貫通するように回転軸18が回転可能に支持されている。前記フロントハウジング12には突出筒部12aが外方へ向けて突設され、回転軸18の前端側(先端側)は突出筒部12a内に挿通されている。回転軸18は、動力伝達機構としての電磁クラッチ機構Vを介して外部駆動源としての車両エンジンEに作動連結されている。
回転軸18の前側は、前記突出筒部12a内に設けられた軸受け構造Tによって回転可能に支持されている。なお、軸受け構造Tについては後述する。また、前記回転軸18の前側は、さらに、フロントハウジング12に形成された軸孔12bに挿通されるとともに、該軸孔12b内に設けられた第1ラジアル軸受け19(針状ころ軸受け)によってフロントハウジング12に回転可能に支持されている。さらに、回転軸18の後側は、シリンダブロック11に形成された軸孔11b内に挿通されるとともに、該軸孔11b内に設けられた第2ラジアル軸受け20(針状ころ軸受け)によってシリンダブロック11に回転可能に支持されている。すなわち、回転軸18は、その軸方向における3箇所でハウジングに支持されている。
フロントハウジング12において、前記軸受け構造Tと第1ラジアル軸受け19との間となる位置には軸シール室Sが形成されている。そして、軸シール室S内には、回転軸18の周面と該周面に対向する軸シール室Sの周面との間をシールするシール部材としてのリップシール30が設けられている。このリップシール30はゴム材料よりなり、回転軸18の周面と軸シール室Sの周面に密接し、回転軸18に沿った冷媒ガスのハウジング外への漏れを抑制している。このリップシール30によって、ハウジングの内部空間が形成される。
前記制御圧室C内において、回転軸18には回転支持体21が固着されており、回転支持体21は回転軸18と一体回転可能に固定されている。この回転支持体21とフロントハウジング12の内壁面との間にはスラスト軸受け27が設けられている。また、制御圧室C内には斜板22が収容されている。斜板22の中央には、挿通孔22aが穿設されており、該挿通孔22aに回転軸18が挿通されている。回転支持体21と斜板22との間には、ヒンジ機構23が介在されている。そして、斜板22は、ヒンジ機構23を介した回転支持体21との間でのヒンジ連結、及び挿通孔22aを介した回転軸18の支持により、回転軸18及び回転支持体21と同期回転可能であるとともに、回転軸18の中心軸Lに沿った軸方向へのスライド移動を伴いながら回転軸18に対して傾角を変更可能とされている。
シリンダブロック11には、回転軸18の周りに複数のシリンダボア11a(図1では1つのシリンダボア11aのみ図示)が等角度間隔で前後方向に貫通形成されている。シリンダボア11aには、片頭型のピストン24が前後方向へ移動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁・ポート形成体14及びピストン24によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン24の前後方向への移動に応じて容積変化する圧縮室26が区画されている。ピストン24は、一対のシュー25を介して斜板22の外周部に係留されている。
リヤハウジング13には、前記弁・ポート形成体14に面して吸入室13aと吐出室13bが区画形成されている。また、前記弁・ポート形成体14には、前記吸入室13aに対応して吸入ポート14a及び吸入弁15aが形成され、吐出室13bに対応して吐出ポート14b及び吐出弁15bが形成されている。また、リヤハウジング13には、電磁弁からなる容量制御弁CVが組み付けられている。
そして、回転軸18の回転に伴うピストン24の移動に伴い、冷媒ガスは吸入ポート14aを通過し、吸入室13aから前記圧縮室26へ吸入される。圧縮室26へ吸入された冷媒ガスは、ピストン24の移動により圧縮室26で圧縮される。さらに、ピストン24の移動に伴い、冷媒ガスは圧縮室26から吐出ポート14bを通過し、吐出室13bへ吐出され、外部冷媒回路28へと導出される。そして、外部冷媒回路28へ導出された冷媒ガスは、凝縮器28aから膨張弁28bを介して蒸発器28cに供給され、吸入室13aへ戻るように構成されている。すなわち、冷媒圧縮機10は、外部冷媒回路28とで冷媒循環回路を構成している。そして、シリンダブロック11(シリンダボア11a)、回転軸18、回転支持体21、斜板22、ヒンジ機構23、ピストン24及びシュー25によって、冷媒圧縮機10における圧縮機構が構成され、該圧縮機構は回転軸18の回転に基づいて駆動される。
冷媒圧縮機10には、吐出室13bと、前記制御圧室Cとを連通させ、吐出室13bの冷媒ガスを、制御ガスとして制御圧室Cへ供給するための供給通路29が設けられている。この供給通路29上には前記容量制御弁CVが設けられている。また、冷媒圧縮機10には、制御圧室Cと吸入室13aとを連通させ、制御圧室Cの冷媒ガスを制御ガスとしての吸入室13aへ排出させる排出通路17が設けられている。そして、吐出室13bへ吐出された冷媒ガスは、前記供給通路29を通過して制御圧室Cへ供給されるようになっている。また、前記容量制御弁CVにより、供給通路29を通過し、制御圧室Cへ供給される冷媒ガス量が調節されるようになっている。
そして、供給通路29を介した制御圧室Cへの冷媒ガスの供給量と、排出通路17を介した制御圧室Cからの冷媒ガスの排出量とのバランスが制御されて制御圧室Cの圧力が決定される(制御圧室Cが調圧される)。制御圧室Cの圧力が変更されると、ピストン24を介した制御圧室C内とシリンダボア11a内との差圧が変更され、斜板22の傾角が変化する。この結果、ピストン24のストローク(冷媒圧縮機10の吐出容量)が調節される。したがって、本実施形態の冷媒圧縮機10は、可変容量型の圧縮機となっている。
次に、前記電磁クラッチ機構Vについて詳細に説明する。図1に示すように、前記フロントハウジング12における突出筒部12aの外周側には、ラジアル軸受け40を介して第2回転体としてのロータ41が回転可能に支持されている。ロータ41は磁性材より筒状に形成され、車両エンジンEの出力軸からのベルト(図示せず)が掛けられる筒状のベルト掛け部41aを一体に有している。
ロータ41内には、磁性材よりなる電磁コイル42が収容され、該電磁コイル42は、正逆両方向に通電の切換が可能に構成されている。回転軸18の前端部(先端部)には雄ねじ18bが螺刻され、該雄ねじ18bには、有蓋円筒状をなす筒状体46が螺着されている。この筒状体46の先端側は、突出筒部12a外へ突出し、この筒状体46の先端側には円板状をなすハブ部45が一体回転可能に固着されている。ハブ部45は、筒状体46から回転軸18の軸方向に対し、直交する方向へ延びるように形成されている。そして、筒状体46とハブ部45とから第1回転体としてのハブ47が構成され、該ハブ47は回転軸18と一体回転可能になっている。
前記ハブ部45の外周側には、前記ロータ41と対向するようにアーマチャ48が固定され、アーマチャ48は磁性材よりなる。そして、ハブ47(ハブ部45)はロータ41の同軸位置に対向配置されている。アーマチャ48において、ロータ41に対向する面によりアーマチャ側摩擦面48fが形成され、ロータ41において前記アーマチャ側摩擦面48fに対向する面にロータ側摩擦面41fが形成されている。電磁クラッチ機構Vの非連結状態では、アーマチャ側摩擦面48fとロータ側摩擦面41fとの間には一定の空隙Gが形成されている。
そして、別体に形成された前記ロータ41とハブ47とから電磁クラッチ機構Vが構成されている。電磁クラッチ機構Vにおいて、電磁コイル42が正方向への通電によって励磁され、その電磁力に基づく吸引力がアーマチャ48に作用すると、該アーマチャ48はロータ41側へ移動するようになっている。一方、アーマチャ48は、電磁コイル42が逆方向への通電によって励磁されると、前記正方向へ通電した場合とは逆方向への磁束が生じ、前記正方向への磁束が打ち消されることとなり、アーマチャ48はロータ41から離反する方向へ移動するようになっている。
そして、上記構成の電磁クラッチ機構Vにおいては、電磁コイル42が正方向への通電によって励磁されると、その電磁力に基づく吸引力がアーマチャ48に作用される。すると、アーマチャ48はロータ41側へ吸引される(移動する)。すなわち、アーマチャ48は、回転軸18の軸方向に沿って前記空隙G分だけロータ41側へ移動する。そして、アーマチャ側摩擦面48fがロータ側摩擦面41fに吸引され、アーマチャ側摩擦面48fがロータ側摩擦面41fに吸着する。すると、ロータ41とアーマチャ48とが吸着(連結)され、結果として、ロータ41とハブ47(ハブ部45)とが連結され、電磁クラッチ機構Vによって、車両エンジンEから回転軸18への動力伝達が可能となる。
一方、電磁コイル42が逆方向への通電によって励磁されると、前記正方向へ通電した場合とは逆方向への磁束が生じ、前記正方向への磁束が打ち消されることとなり、アーマチャ48は、回転軸18の軸方向に沿ってロータ41のロータ側摩擦面41fから離反する方向へ移動する。その結果、電磁クラッチ機構Vは非連結状態となり、ロータ41及びアーマチャ48間の連結、すなわち、ロータ41とハブ47(ハブ部45)との連結が解除され、車両エンジンEから回転軸18への動力伝達は不可能となる。
次に、回転軸18の前端部の軸受け構造Tについて説明する。
図2に示すように、回転軸18において、前記突出筒部12a内に位置する部位には、該回転軸18の周面が軸方向に沿って前側から後側に向かうに従い拡径する座面18aが形成されている。そして、回転軸18において、前記座面18aより前端側には前記雄ねじ18bが螺刻されている。また、回転軸18には、金属材料により円筒状に形成された筒状部材としてのスペーサ53が外嵌めされている。スペーサ53の内周面には、回転軸18に対する外嵌め状態で、前記座面18aに当接する当接面53aが形成されている。そして、スペーサ53は、回転軸18に対する外嵌めと、座面18aに対する当接面53aの当接とによって、回転軸18の軸方向への移動が規制されるとともに、回転軸18と一体回転可能になっている。
図2に示すように、回転軸18において、前記突出筒部12a内に位置する部位には、該回転軸18の周面が軸方向に沿って前側から後側に向かうに従い拡径する座面18aが形成されている。そして、回転軸18において、前記座面18aより前端側には前記雄ねじ18bが螺刻されている。また、回転軸18には、金属材料により円筒状に形成された筒状部材としてのスペーサ53が外嵌めされている。スペーサ53の内周面には、回転軸18に対する外嵌め状態で、前記座面18aに当接する当接面53aが形成されている。そして、スペーサ53は、回転軸18に対する外嵌めと、座面18aに対する当接面53aの当接とによって、回転軸18の軸方向への移動が規制されるとともに、回転軸18と一体回転可能になっている。
さらに、スペーサ53が回転軸18に外嵌め(圧入)され、座面18aにスペーサ53の当接面53aが当接した状態で、前記筒状体46が回転軸18に螺着されている。この螺着状態では、筒状体46におけるスペーサ53側の端面46bが、スペーサ53における筒状体46側の端面53cに当接している。
そして、ハブ部45が一体化された筒状体46、すなわちハブ47とスペーサ53との間での動力伝達は、筒状体46の端面46bとスペーサ53の端面53cとの間で行われる。また、スペーサ53と回転軸18との間での動力伝達は、当接面53aと座面18aの間、及びスペーサ53と回転軸18の圧入面同士の間で行われる。すなわち、回転軸18において、ハブ47(筒状体46)からの動力(トルク)の受承は、座面18aと圧入面とに分散されるようになっている。
スペーサ53において、前記ハブ部45(筒状体46)に面する側の端面53cとは反対側の端面により被押圧部53dが形成されている。一方、ハウジング(フロントハウジング12)内において、前記被押圧部53dに対し、回転軸18の軸方向に対向する部位に座部54が形成されている。そして、前記被押圧部53dと座部54との間には、回転軸18の前端側(先端側)を、該回転軸18の軸方向に沿って突出筒部12a(ハウジング)外へ突出させる方向への荷重を回転軸18に付与する荷重付与手段50が設けられている。
前記荷重付与手段50は、円板状をなし、回転軸18の外周に装着されるレース55と、該レース55と前記座部54との間に介在する付勢部材としての皿ばね56とからなる。前記レース55は、金属材料製の基板55aの一面に樹脂層55bが設けられてなるものである。また、レース55の外径は、前記突出筒部12aの内径と同径に設定されるとともに、レース55の内径は、回転軸18の直径より僅かに大きく設定されている。そして、このレース55は、前記樹脂層55bがスペーサ53の被押圧部53dとの間に合わせ面を形成するように、被押圧部53dと座部54の間に配設されている。このため、回転軸18が回転すると、回転する被押圧部53dが樹脂層55bに対し摺接するようになっている。
一方、前記皿ばね56は、回転軸18の軸方向に弾性変形可能とするように収縮(弾性変形)させた状態でレース55と前記座部54との間に配設されている。このため、収縮した皿ばね56の原形状への復帰力により、皿ばね56は前記座部54及びレース55(基板55a)に圧接し、回転軸18の軸方向へ、レース55を介して被押圧部53dを押圧している。このため、被押圧部53dには、スペーサ53を回転軸18の軸方向に沿って前方へ向けて押圧する荷重が付与されている。したがって、スペーサ53が一体化された回転軸18は、回転軸18の前端側を突出筒部12a外へ突出させる方向への荷重が付与されている。このため、回転軸18は、皿ばね56及びレース55によって軸方向に沿って支持されている。
また、このとき、回転軸18に固着された回転支持体21(図1参照)は回転軸18への荷重の付与により、回転軸18と共にフロントハウジング12に向けて付勢される。このため、回転支持体21は、回転軸18の軸方向に沿ってスラスト軸受け27に押し付けられ、回転支持体21とスラスト軸受け27との間には、回転軸18の軸方向に広がる間隙(クリアランス)が生じない状態となっている。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)回転軸18は、ハウジング内において第1ラジアル軸受け19及び第2ラジアル軸受け20によって回転可能に支持され、さらに、第1ラジアル軸受け19による支持箇所より前端側が軸受け構造Tによって軸方向に支持される。このため、軸受け構造Tが存在しない場合に比して、回転軸18の片持ち支持長さが短くなり、回転軸18の前端側が撓みにくくなっている。さらに、軸受け構造Tによって、回転軸18はフロントハウジング12に押し付けられ、具体的にはスラスト軸受け27と回転支持体21との間の間隙が無い状態となっている。このため、回転軸18はフロントハウジング12に対し固定された状態に近くなり、回転軸18が径方向へ移動すること、すなわち、回転軸18の振動が抑えられ、回転軸18の振動に伴うハブ部45(ハブ47)の振動が抑えられる。すると、ハブ47の振幅も小さくなり、ハブ47のロータ41に対する衝突が抑えられ、該衝突に伴う騒音を抑えることができる。
(1)回転軸18は、ハウジング内において第1ラジアル軸受け19及び第2ラジアル軸受け20によって回転可能に支持され、さらに、第1ラジアル軸受け19による支持箇所より前端側が軸受け構造Tによって軸方向に支持される。このため、軸受け構造Tが存在しない場合に比して、回転軸18の片持ち支持長さが短くなり、回転軸18の前端側が撓みにくくなっている。さらに、軸受け構造Tによって、回転軸18はフロントハウジング12に押し付けられ、具体的にはスラスト軸受け27と回転支持体21との間の間隙が無い状態となっている。このため、回転軸18はフロントハウジング12に対し固定された状態に近くなり、回転軸18が径方向へ移動すること、すなわち、回転軸18の振動が抑えられ、回転軸18の振動に伴うハブ部45(ハブ47)の振動が抑えられる。すると、ハブ47の振幅も小さくなり、ハブ47のロータ41に対する衝突が抑えられ、該衝突に伴う騒音を抑えることができる。
(2)回転軸18にはスペーサ53が外嵌めされ、該スペーサ53はハブ47(筒状体46)に当接することでハブ47から回転軸18への動力伝達を分散するために設けられている。そして、このスペーサ53によって回転軸18への動力伝達を分散することにより、回転軸18の雄ねじ18bからのねじ切れを防止することができる。さらに、軸受け構造Tはスペーサ53、さらに、スペーサ53を回転軸18に外嵌めすることで形成される間隙を用いて構成されている。したがって、冷媒圧縮機10における既存の構成を用いることでハブ47の振動に起因した騒音を抑えることができる。よって、ハブ47の振動に起因した騒音を抑えるための構成を全て新規に設ける場合に比して、冷媒圧縮機10の製造コストを抑えることができる。
(3)軸受け構造Tは、レース55及び皿ばね56(荷重付与手段50)と、回転軸18に外嵌めされたスペーサ53(被押圧部53d)とからなる。レース55は基板55aに樹脂層55bを設けただけの構成であるため、例えば、スラスト軸受けを代用する場合に比して薄く済む。よって、冷媒圧縮機10の体格を回転軸18の軸方向へ大型化しなくても、ハブ47の振動に起因した騒音発生を抑えるための構成を設けることができる。
(4)回転軸18において、第1ラジアル軸受け19による支持箇所より前端側は軸受け構造Tによって軸方向に支持されている。このため、回転軸18の前端側が振動することが抑えられ、回転軸18の振動により、軸受け構造Tと第1ラジアル軸受け19の間に位置するリップシール30が大きく弾性変形されることが抑制される。その結果として、リップシール30の弾性変形に伴う劣化や損傷を受けることを抑制することができる。
(5)冷媒圧縮機10は、通常、ピストン24が上死点に位置したときに弁・ポート形成体14に衝突すること(所謂、トップ当たり)を防止するために、回転軸18をフロントハウジング12側へ向けて付勢する付勢手段(例えば、予荷重ばね)が設けられている。本実施形態では、軸受け構造Tを設けることで、回転軸18をフロントハウジング12に押し付けることができるため、冷媒圧縮機10から前記付勢手段を省略することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ スペーサ53を回転軸18から削除するとともに、筒状体46を座部54に向けて延ばし、さらに筒状体46の座部54側の端部を径方向へ延ばして筒状体46に被押圧部を一体形成してもよい。
○ スペーサ53を回転軸18から削除するとともに、筒状体46を座部54に向けて延ばし、さらに筒状体46の座部54側の端部を径方向へ延ばして筒状体46に被押圧部を一体形成してもよい。
○ スペーサ53を回転軸18から削除するとともに、回転軸18の周面に被押圧部を一体形成してもよい。
○ 軸受け構造Tにおいて、レース55の代わりにスラスト軸受けを設けてもよい。
○ 軸受け構造Tにおいて、レース55の代わりにスラスト軸受けを設けてもよい。
○ 軸受け構造Tにおいて、皿ばね56の代わりに、弾性変形可能な合成樹脂よりなる筒状部材を付勢部材として設け、該筒状部材によってレース55を被押圧部53dに押し当てる構成としてもよい。
○ 冷媒圧縮機10を、片頭型のピストン24に圧縮動作を行なわせる片側式の圧縮機ではなく、制御圧室Cを挟んで前後両側に設けられたシリンダボア11aにおいて両頭型のピストンに圧縮動作を行なわせる両側式の圧縮機としてもよい。
○ 冷媒圧縮機10を、斜板22が回転軸18と一体回転する構成に代えて、回転支持体21が回転軸18に対して相対回転可能に支持されて揺動するタイプ、例えば、揺動(ワッブル)式圧縮機としてもよい。
○ 冷媒圧縮機10は、ピストン24のストロークを変更不可能な固定容量タイプであってもよい。
○ 回転機械として、ピストン24が往復動を行うピストン式の冷媒圧縮機10に具体化したが、電磁クラッチ機構Vによって外部駆動源から動力が伝達される回転機械であれば、どのようなものに適用してもよい。
○ 回転機械として、ピストン24が往復動を行うピストン式の冷媒圧縮機10に具体化したが、電磁クラッチ機構Vによって外部駆動源から動力が伝達される回転機械であれば、どのようなものに適用してもよい。
○ 第2回転体として、ロータ41以外にも、スプロケットやギヤ等を適用してもよい。
○ ロータ41とハブ47とを一体的に形成することにより、車両エンジンEから回転軸18に常に動力が伝達されるクラッチレス方式を採用してもよい。
○ ロータ41とハブ47とを一体的に形成することにより、車両エンジンEから回転軸18に常に動力が伝達されるクラッチレス方式を採用してもよい。
E…外部駆動源としての車両エンジン、T…軸受け構造、V…電磁クラッチ機構、10…回転機械としての冷媒圧縮機、11…ハウジングを構成するシリンダブロック、11a…圧縮機構を構成するシリンダボア、12…ハウジングを構成するフロントハウジング、13…ハウジングを構成するリヤハウジング、18…圧縮機構を構成する回転軸、19…軸受けとしての第1ラジアル軸受け、20…軸受けとしての第2ラジアル軸受け、21…圧縮機構を構成する回転支持体、22…圧縮機構を構成する斜板、23…圧縮機構を構成するヒンジ機構、24…圧縮機構を構成するピストン、25…圧縮機構を構成するシュー、27…軸受けとしてのスラスト軸受け、30…シール部材としてのリップシール、41…第2回転体としてのロータ、45…ハブ部、46…筒状体、47…第1回転体としてのハブ、50…荷重付与手段、53…筒状部材としてのスペーサ、53d…被押圧部、54…座部、55…荷重付与手段を構成するレース、56…荷重付与手段を構成する付勢部材としての皿ばね。
Claims (7)
- ハウジングには軸受けを介して回転軸が回転可能に支持されるとともに、該回転軸の先端に固着された第1回転体と、前記ハウジングの外周に回転可能に支持されるとともに、前記第1回転体の同軸位置に対向配置されて外部駆動源からの動力が入力される第2回転体とを備え、前記第1回転体と第2回転体とにより前記外部駆動源からの動力が回転軸へ伝達可能とされる回転機械における軸受け構造であって、
前記回転軸には周面から突設された被押圧部が設けられるとともに、ハウジング内には前記被押圧部に対し回転軸の軸方向に対向する座部が設けられ、前記被押圧部と座部との間には、前記被押圧部を押圧し、回転軸の先端側を、該回転軸の軸方向に沿ってハウジング外へ突出させる方向への荷重を回転軸に付与する荷重付与手段が設けられている回転機械における軸受け構造。 - 前記荷重付与手段は、前記荷重を回転軸に付与する付勢部材と、該付勢部材と前記被押圧部との間に介在するレースとから構成されている請求項1に記載の回転機械における軸受け構造。
- 前記荷重付与手段は、前記荷重を回転軸に付与する付勢部材と、該付勢部材と前記被押圧部との間に介在するスラスト軸受けとから構成されている請求項1に記載の回転機械における軸受け構造。
- 前記第1回転体は、回転軸の先端側に螺着されて回転軸と一体回転する筒状体と、該筒状体と一体回転し、かつ回転軸の軸方向に対し直交する方向へ延びるハブ部とからなり、前記被押圧部は前記筒状体に当接するように回転軸に外嵌めされた筒状部材によって形成されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の回転機械における軸受け構造。
- 前記回転機械は、前記ハウジング内に、前記回転軸が前記外部駆動源からの動力により回転駆動されることで冷媒ガスを圧縮する圧縮機構が設けられた冷媒圧縮機であって、回転軸の軸方向に沿った前記圧縮機構と前記荷重付与手段との間となる位置には、前記回転軸に沿った圧縮機構からハウジング外への冷媒ガスの漏れを抑制するシール部材が設けられている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の回転機械における軸受け構造。
- 前記第1回転体と前記第2回転体とは別体に形成され、電磁クラッチ機構を構成する請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の回転機械における軸受け構造。
- 前記第1回転体と前記第2回転体とは一体的に形成され、前記外部駆動源からの動力が常に回転軸に伝達される請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の回転機械における軸受け構造。
Priority Applications (1)
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JP2006296129A JP2008111408A (ja) | 2006-10-31 | 2006-10-31 | 回転機械における軸受け構造 |
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JP2008111408A true JP2008111408A (ja) | 2008-05-15 |
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JP (1) | JP2008111408A (ja) |
Cited By (1)
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CN110945653A (zh) * | 2017-08-14 | 2020-03-31 | Tdk电子股份有限公司 | Led模块 |
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2006
- 2006-10-31 JP JP2006296129A patent/JP2008111408A/ja active Pending
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