JP2008111327A - 防水層構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】常温硬化ラジカル重合性樹脂を主成分とする塗材と、ビニロンチョップドストランドと熱接着性繊維とを主構成材料とするマット状の繊維補強布とを、必須構成材料とする繊維強化防水層が形成されてなる防水構造とすることにより、浸透性、ローラー作業性も良好で、継ぎ部の段差もなく、ガラス繊維の飛散も解消することができた。また、低臭ラジカル重合性樹脂の使用で、環境問題も無くすことができた。
【選択図】なし
Description
本発明で使用するビニロン繊維マットでは、ビニロンチョップドストランドは特許文献3の複数本の繊維が収束状態で存在する捲縮のない未開繊ステープル繊維群であり、繊維同志の結合は熱融着性繊維による。熱融着性繊維は単一樹脂からなる繊維であっても良いし、融点の異なる2種類以上の樹脂成分からなる、サイドバイサイド型、芯鞘型などの複合型の熱融着性繊維であっても良い。加工温度を下げ、結合性を上げ、強度物性を維持するに複合型の熱融着性繊維が好ましい。また、ビニロン繊維との密着性、含浸される樹脂との密着性から接着性ポリエステル繊維が好ましい。熱融着性繊維のマット全体に占める比率は10〜20重量%が好ましい。10重量%以上であるとハンドリング性に優れ、作業時、人が載って作業ができ、また、ローラーによる扱きにより、繊維が脱離してローラーに巻き付き作業性を低下させない。20重量%以下であると樹脂の浸透性が阻害されず、熱融着加工時にマットの浸透、嵩密度のばらつきが小さく、マットのコストを引き上げることもない。
常温硬化ラジカル重合性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等のラジカル重合性樹脂をラジカル重合触媒と促進剤を組み合わせて用い常温で重合架橋硬化する樹脂を言う。塗材は樹脂に揺変性付与剤、充填剤、粘度調製剤等の塗材として機能させる添加剤が配合される。
二重結合力価とは、重合性二重結合1mol当りの不飽和ポリエステル樹脂の質量(g)数であり、例えば、次の式により算出される(式1);(二重結合力価)=[(酸成分+グリコール成分)−縮合水]/不飽和酸のmol数…式1
なお、不飽和ポリエステル樹脂は不飽和アルキッド及び重合性単量体からなるものである。
低臭性ラジカル重合性樹脂は、重合性不飽和基を有する樹脂とモノマーで構成され、重合性不飽和基を有する樹脂としては、例えばビニルエステルすなわちエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、用途により必要に応じ2種以上併用しても良い。モノマーは揮発性が低く、分子量180〜500が揮発性、臭気を抑える点で好ましい。具体的にはフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、用途により必要に応じ2種以上併用しても良い。低臭性ラジカル重合性樹脂組成物の具体的な例としては、アイカ工業(株)のアイカジョリエースJE−2008(商品名)、大日本インキ化学工業(株)のポリライトHFR−370(商品名)、双和化学産業(株)のS−2NS、S−3NSなどがあげられる。
具体的には、不燃板、合板、ケイ酸カルシウム板、モルタル、コンクリート等の下地基体上に、必要に応じてプライマーを施し、プライマーを施工した場合にはプライマー乾燥後、ビニロン繊維マットと重合性樹脂とを必須構成材料として繊維強化防水層を形成し、必要に応じてこの繊維強化防水層上にトップコート層を設ける。
前記重合性樹脂塗材の粘度は、BM型回転粘度計(No.3またはNo.4、60rpm)を用いて測定した25℃における粘度が、0.15〜1.5Pa・sの範囲にあるものが好ましい。この粘度の範囲から外れた場合、下限未満となると塗布具による均一塗布が円滑に行えない他、防水下地に不陸がある場合、塗材の流出で樹脂が充填されていない部分が生じる。また、上限を超えると浸透性が悪い他、塗布具の操作に負荷が高く、作業性が悪くなる。
防水構造の層としての引っ張り強さと伸びの積が抗張積であり、防水破壊を生じない指数とすることができ、ビニロン繊維マットを使うことにより50〜150N/mmを達成できる。ひずみに抗する応力が大きい前提では有効な指数で、カラス繊維強化によるものはビニロン繊維マット強化に比して小さく、ビニロン繊維マット強化は、ひずみに対する抵抗性が高い。
実施例1のビニロン繊維マットの代わりにJR−98KM(アイカ工業(株)、ガラス繊維チョップドストランドマット、目付け量0.45kg/m2)とし、そのあとに塗布するジョリエースJE−2006を1.0kg/m2から0.8kg/m2にした以外実施例1と同じく行い、比較例1とした。
実施例1のビニロン繊維マットの代わりにフレキープS(三井化学産資(株)、アクリル繊維不織布、目付け量0.10kg/m2)とし、そのあとに塗布するジョリエースJE−2006を1.0kg/m2から0.6kg/m2にした以外実施例1と同じく行い、比較例2とした。
実施例1のビニロン繊維マットの代わりにスパンボンド4131N(東洋紡績(株)、ポリエステル繊維不織布、目付け量0.13kg/m2、商品名)とした以外実施例1と同じく行い比較例3とした。なお、ラップ部の端部のほぐしをすることができず、ほぐしなしでラップした。
実施例2のビニロン繊維マットの代わりにJR−98(アイカ工業(株)、ガラスチョップドストランドマット、目付け量0.45kg/m2)とし、そのあとに塗布するポリライトHFR−370(大日本インキ化学工業(株)製、商品名)を1.0kg/m2から0.8kg/m2にした以外実施例2と同じく行い、比較例4とした。
実施例2のビニロン繊維マットの代わりにフレキープS(三井化学産資(株)、アクリル繊維不織布、目付け量0.10kg/m2、商品名)とし、そのあとに塗布するポリライトHFR−370を1.0kg/m2から0.6kg/m2にした以外実施例2と同じく行い、比較例5とした。
実施例2のビニロン繊維マットの代わりにスパンボンド4131Nとした以外実施例1と同じく行い、比較例6とした。なお、ラップ部の端部のほぐしをすることができず、ほぐしなしでラップした。
ラップ幅をなくし、突き合わせとした以外比較例3と同じに行い比較例7とした。結果は、継ぎ部以外は比較例3と同じで、継ぎ部分の厚さは1.6mm、厚さ増加率は−3%であり、継ぎ目部の引張強さは15.4MPa伸び率26%、抗張積80N/mmとなった。
23℃、相対湿度60%雰囲気下で含浸性試験を実施した。
下地として寸法150×150mmの板ガラスに対角線を引いたものを使用した。寸法100×100mmに切断したマット試験片を中央に敷いて、約20cmの高さから硬化剤なしの常温硬化ラジカル重合性樹脂を約20gを垂れ流した後、裏面(ガラス面)上の対角線が明確に目視で確認できるまでの時間を測定した。本評価結果については,下記の様に区分評価した。
○:15秒未満
△:15秒以上30秒未満
×:30秒以上
1)試験片の作製
繊維マットのラップ幅が約50mmとなるように、寸法175×300mmに切り取ったものを各2枚用意して、内寸法約300×300×2mmの型枠に敷き詰め、重合性樹脂塗材を含浸し、硬化させた。寸法約175×300mmのラップ側端部は、繊維マットの端部目付量を少量化したもの(耳ほぐし処理)を用意した。
2)ラップ部厚さ測定
1)で作製した試験片のラップ部分と非ラップ部分の形成塗膜厚さをノギス(精度0.05mm)を用いて5箇所測定し、最大値及び最小値を除いた3箇所の平均値を形成塗膜厚さとして記録した。なお、ラップ厚さ増加率については次式によって算出した。
(ラップ厚さ増加率,%)=(Δt/t)×100
ここに、Δt:(ラップ部の塗膜厚さ)―(ラップ部以外の塗膜厚さ)[mm]
t:ラップ部以外の塗膜厚さ[mm]
本評価結果については、下記の様に区分評価した。
○:ラップ部厚さ増加率25%未満
△:ラップ部厚さ増加率25%以上60%未満
×:ラップ部厚さ増加率60%以上
I)引張強さ試験用試験体の作製
引張強さ試験用試験体は、JIS A6021に準じて実施例、比較例の条件(プライマーはなし)で作製し、ダンベル状2号試験片のものを使用し、それぞれ23±2℃、相対湿度60%で168時間静置を行ったものを試験した。
II)引張強さ試験
JIS A6021に準じて、万能試験機を用いて、I)で作製した試験体の引張強さ試験を行って、引張強さ、伸び率及び抗張積を算出した。
I)曲げ強さ試験用試験体の作製
JIS A6021に準じて実施例、比較例の条件(プライマーはなし)で作製し、寸法約30×120×(各厚さ)mmの短冊状のものを作製し、それぞれ23±2℃、相対湿度60%で168時間静置を行ったものを試験体とした。
II)曲げ強さ試験
インストロン万能試験機を用いて、標点距離を30mmとした中央集中載荷法によってI)で作製した試験体の曲げ強さ試験を行い、ひずみ抵抗性を評価した。まず、曲げ荷重を載荷していき、最大応力となった降伏点時の変位を記録し、その際の試験体の防水層の状況として、下記のように区分評価した。
○:試験体に異常なし
△:試験体を貫通しない程度の若干の破断・ひび割れ有り
×:試験体を貫通する程の破断・ひび割れ有り
JIS A6021に準じて、アルカリ劣化処理後の試験体について引張強さ試験を行って、引張強さ保持率、伸び率保持率を算出した。
本評価結果については,下記の様に区分評価した。但し、下位を優先する。
○:引張強さ保持率が80%以上かつ伸び保持率が100%以上の場合
△:引張強さ保持率が70%以上80%未満或いは伸び保持率が80%以上100%未満の場合
×:引張強さ保持率が70%未満或いは伸び保持率が80%未満の場合
施工環境性
ガラス繊維飛散のないものを○、ガラス繊維飛散のあるものを×とした。
総合評価
含浸性、ラップ部厚さ、耐アルカリ性、施工環境性の全て○のものを○とし、それ以外を×とした。
Claims (5)
- 常温硬化ラジカル重合性樹脂を主成分とする塗材と、ビニロンチョップドストランドと熱接着性繊維とを主構成材料とするマット状の繊維補強布とを、必須構成材料とする繊維強化防水層が形成されてなることを特徴とする防水構造。
- 前記ラジカル重合性樹脂が、低臭性ラジカル重合性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の防水構造。
- 抗張積が50〜150N/mmであることを特徴とする請求項1または2記載の防水構造。
- 必要によりプライマーを塗布した後、下地基体に常温硬化ラジカル重合性樹脂を主成分とする塗材を塗布し、次いでビニロンチョップドストランドと熱接着性繊維とを主構成材料とするマット状の繊維補強布を敷設し、さらに必要に応じて前記塗材を塗布してなることを特徴とする防水構造の施工方法。
- 前記ラジカル重合性樹脂が、低臭性ラジカル重合性樹脂であることを特徴とする請求項4記載の防水構造の施工方法。
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