JP2008110203A6 - 歯の口内走査に基づいたインタラクティブな歯列矯正ケアシステム - Google Patents

歯の口内走査に基づいたインタラクティブな歯列矯正ケアシステム Download PDF

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Abstract

【課題】インタラクティブなコンピュータ化された歯列矯正治療計画、器具設計および器具製造に関し、スキャナで生歯の画像を獲得し、それがデータの三次元フレームに転換され、数フレームからのデータが互いに対して位置合わせされて、生歯の完全三次元仮想モデルが提供され、個別の歯物体が仮想モデルから得られ、コンピュータインタラクティブなソフトウェアプログラムが、仮想歯モデルから、治療計画、診断および器具を提供する。
【解決手段】患者用の所望の咬合が、治療計画ソフトウェアから得られる。所望の咬合の仮想モデルおよび元々の生歯の仮想モデルが、歯列矯正器具のカスタム製造用の情報の基礎を提供する。様々な可能な器具および器具製造システムが企図され、カスタマイズされたアーチワイヤおよび既製品のブラケットをアーチワイヤに配置するためのカスタマイズされた装置、および、取り外し可能な歯列矯正器具を含む。
【選択図】図1

Description

目次
発明の背景 2
発明の開示 8
図面の簡単な説明 15
好適な実施形態の詳細な説明 27
パート1 システム概観 27
パート2 三次元画像キャプチャ 34
スキャナ製造およびキャリブレーション 36 パターン認識 46
デコーディング 48
1画像当たりの3D点クラウドの導出 52
パート3 デジタル印象の作製 54
位置合わせへの項目点 57
フレームからフレームへの位置合わせ 58
顎全体の累積位置合わせ 64
セグメント位置合わせ 69
ランドマーキング 70
個別歯物体への歯の分離 72
パート4 治療計画 82
パート5 器具製造 101
ロボット設計 105
アーチワイヤ製造 112
特許請求の範囲 138
要約書 154
(発明の背景)
A.発明の分野
本発明は主に歯列矯正の分野に関する。より詳細には、本発明は、歯列矯正治療のためにコンピュータ化されたインタラクティブな方法および関連システムに関する。システムは、物体の三次元情報をキャプチャする携帯光学スキャナと、三次元歯物体と歯の動きのユーザ仕様シミュレーションとを使用するインタラクティブなコンピュータ化した治療計画と、曲げ機械を含む器具製造装置と、を含む。
B.関連技術の説明
歯列矯正において、不正咬合を被る患者は一般に、患者の歯の表面にブラケットを結合することによって治療される。ブラケットは、アーチワイヤを受け取るためのスロットを有する。ブラケットとアーチワイヤとの相互作用が、歯に加えられる力を支配し、歯の動きの所望の方向を決定する。一般に、ワイヤの曲げは、歯列矯正医によって手で作られる。治療中に、歯の動きはモニタされる。ブラケットの位置および/またはワイヤ形状に対する修正は、歯列矯正医によって手で行われる。
治療における効率および結果における最大品質への鍵は、治療プロセスの現実的なシミュレーションである。今日の歯列矯正医は、上顎および下顎のプラスターモデルを取り、モデルを単一の歯モデルに切断し、これらの歯モデルをワックス床に入れ、所望の位置、いわゆるセットアップに、並べることができる。このアプローチによって、いずれの推測なしで、完璧な咬合に到達することができる。次のステップは、すべての歯モデルにブラケットを結合することである。これによって、歯列矯正医は、正確にこの結果を受け取るためにブラケットスロットを通って走るワイヤの外形がわかる。次のステップは、ブラケット位置を元々の不正咬合モデルに移すことに関与する。ブラケットが本物の患者の歯でこの位置に正確に結合されるのを確実にするために、ブラケットおよび歯の関連部分に嵌まり且つブラケットが患者の歯に確実に配置されることを可能にする小さなテンプレートをすべての歯用に作製しなければならない。結合プロセスの効率を上げるために、別の選択肢は、各単一のブラケットを不正咬合のモデルに配置し、次いで、すべてのブラケットおよび各歯の関連部分を覆う単一のトランスファトレイを、1つの顎につき1つ作製することである。そのようなトランスファトレイを使用することによって、間接結合法を使用するきわめて速いが依然として精密な結合が保証される。
しかし、そのようなアプローチがきわめて多量の時間および労働力を必要とし、したがって高価になりすぎることは明らかであり、それが、この方法が広く行われていない理由である。標準的な歯列矯正医はセットアップは作製しない。自己の知識の及ぶ限り、ブラケットを患者の歯に直接置き、既製品のワイヤを使用し、最善の結果を期待する。ブラケットが正しく配置されているか否かを確認する方法がない。ブラケットを誤って配置すると、歯に与える力の方向および/または大きさが変わる。治療の開始時には、すべての歯が少なくとも正しい方向へ動き始めるため物事は順調に運ぶが、治療の最後には、最終結果がいずれの時間点で適切には計画されていなかったという事実により、必要な順応および修正によって、多大な時間が失われる。歯列矯正医にとっては、ラボプロセスでの努力は依然として治療中に払わなければならい努力を超えているため、これは、上述のラボプロセスよりは依然として好ましい。患者に選択権はなく、適切な計画が行われていれば治療時間が大幅に減少可能であったことを患者は知らない。
アンドレイコらに付与された米国特許第5,431,562号には、歯列矯正に対するコンピュータ化された器具推進アプローチが記載されている。この方法において、歯の第1の一定な形状情報が獲得される。一平面上の目標アーチフォームが形状情報から計算される。カスタマイズされたブラケットスロットの形状、ブラケット基部、および、歯列矯正アーチワイヤの形状は、数学的に導き出された目標アーチフォームにしたがって計算される。アンドレイコらの方法の目的は、歯列矯正器具設計における人間的な要素を、目標アーチフォームおよび器具の設計の決定論的な数学的計算で置き換えることによって、歯列矯正により多くの予測可能性、標準化および確実性を与えることである。したがって、’562号特許の教示は、歯列矯正医が患者の診断、器具設計、および、治療計画およびモニタリングに完全に関与したままであるインタラクティブなコンピュータ化したシステムから離れている。
より近年では、1990年代後半に、アラインテクノロジーズが、歯列矯正の新しい治療様相として、透明な取り外し可能な整列配置器具を提供し始めた。このシステムでは、患者の生歯のプラスターモデルが歯列矯正医によって得られ、遠隔の器具製造センターへ送られ、そこでレーザで走査される。目標状況での生歯のコンピュータモデルが器具製造センターで作製され、インターネットによって歯列矯正医へ見せることが可能になる。歯列矯正医は、個別の歯位置に対して行いたい変更を指摘する。後に、別の仮想モデルがインターネット上に設けられ、歯列矯正医は改訂されたモデルを再検討して、さらなる変更を指摘する。そのようなことを数回繰り返した後、目標状況について合意される。一連の取り外し可能な整列配置器具またはシェルが製造され、歯列矯正医へ発送される。シェルは、理論的には、患者の歯を所望のまたは目標の位置へ動かす。
業界は、必要なツールを提供して歯列矯正医が即座に効率的に患者用の治療計画を設計することができる効果的なコンピュータ化されたインタラクティブな歯列矯正治療計画システムを欠いていた。業界は、患者が椅子に座っている間に、歯列矯正医が治療用に導き出したパラメータを歯列矯正器具の設計にリアルタイムで変換することができる治療計画システムも欠いていた。本願に記載されているようなリアルタイムの器具設計によって、治療計画または器具設計のリアルタイムコミュニケーションが、患者に対して発生することが可能であり、または、コミュニケーションリンクによって伝達されて、同僚または遠隔の器具製造施設と共有することができる。あるいは、治療計画を遠隔式に実施することができ、デジタル治療計画が、再検討かインタラクティブな修正かまたは承認のために、歯列矯正医へ送られる。
スキャナは、物体の表面から情報を捉えて記録するための装置である。紙に印刷されたバーコードまたは文字を読み取る等の、二次元表面から情報を得るためのスキャナは、広く知られている。歯科の分野を含み、三次元情報も記録するための数種類のスキャナが提案されている。
ブランデスティニおよびモーマンに付与された米国特許第4,837,732号および米国特許第4,575,805号には、生体内で、歯の非接触走査をするための走査システムが提案されている。これらの特許には、準備された歯を非接触走査ヘッドで光学的にマッピングするための手順が記載されている。走査ヘッドは、メモリに格納すべき輪郭データを電気フォーマットに転換して送る。コンピュータは、メモリを読み取り、線走査パターンに従う。フライス装置が付属装置として作動し、位置制御信号によってこのパターンに従い、準備された歯腔用にインプラントをフライス削りする。
’732号特許および’805号特許の走査ヘッドは、発光ダイオードを含み、光を腔に放射する一体型レンズを備える。物体に到達する前に、光線がミラーによって反射され、複数の平行なスリットから構成される罫線を、または、平行な不透明および透明のストライプの代替パターンを、通る。反射した光はレンズによって電荷結合素子(CCD)センサに焦点を合わされる。この書類の図9に示され且つその後に記載されるパラメータを使用して、「能動三角測量」として知られているの原則にしたがって、深さ情報が決定される。基本的に、視差効果のため入射光線とは異なる角度下で物体が見られる。各光ストライプは明らかな位置シフトを有し、各光ストライプに沿った各点のシフトの量は、物体の表面の対応する部分の垂直高さに比例する。
マッセンらに付与された米国特許第5,372,502号には、類似の原則で働く歯を測定するための光学プローブが記載されている。マッセンらの特許に注記されているように、表面位相に大きな変化があるときには、大きなジャンプが、パターンの一定した位相よりも大きな量でパターンを変位させ、線のパターンを再構築することを困難にするため、ブランデスティニ技術を使用することは困難である。さらに、入射の角度および反射の角度の精密な知識、および、光源とデテクタとの間の分離距離が、深さを正確に決定するために必要である。さらに、スキャナは歯に対してむしろ慎重に位置決めしなければならず、生歯の完全なモデルを作ることはできない。
レコウらに付与された米国特許第5,027,281号には、レーザ源およびデテクタを備えた三軸位置決めヘッド、回転ステージ、および、コンピュータ制御装置を使用する走査方法が記載されている。コンピュータ制御装置が回転ステージと位置決めヘッドとの両方を位置決めする。物体は回転ステージ上に配置され、レーザビームがこれから反射する。反射したレーザビームを使用して、物体とレーザ源との間の距離を測定する。回転ステージまたは位置決めヘッドの動きによって、XおよびY座標が得られる。物体の三次元仮想モデルはレーザ走査から作られる。’281号特許には、歯の形状を獲得して義歯を形成する目的で、歯のプラスターモデルを走査するために、この走査を使用することが記載されている。’281号特許のシステムは、物体が回転ステージ上に配置されることを必要とし、物体と位置決めヘッドとの相対位置の精密な制御が常に必要であるため、特に柔軟性はない。歯を生体内で走査するには不適当である。
アンドレイコらに付与された米国特許第5,431,562号には、歯のプラスターモデルから歯の一定の形状情報を獲得する方法が記載されている。プラスターモデルは台上に置かれ、モデルから公知の距離を離れて位置決めされたビデオカメラを使用してモデルを直接下に見て、歯の写真が撮られる。画像は入力コンピュータに表示され、位置決めグリッドが歯の画像上に置かれる。オペレータは、歯の選択された点の、たとえば歯の近心および遠位の接触点の、XおよびY座標情報を手動入力する。レーザがレーザビームを歯のモデルに方向づけ、且つ、反射されたビームがセンサによって検出される代替実施形態が記載される。この特許は、歯に関する三次元情報がこの技術から得られると主張するが、どのように得られるのかは説明していない。アンドレイコのいずれかの技術も、広範囲に及ぶ商業的成功または歯列矯正における受容を受けていない。、歯の生体走査も達成した技術はない。さらに、ビデオ技術は、歯に関する完全な三次元情報を生成せず、むしろ限定された量の二次元情報を生成し、オペレータがかなりの手動入力することを必要とする。この技術を使用したとしても、単一の平面に沿って歯の唇側表面を描写するのにも追加機器が必要である。
業界は、オペレータがかなり入力することを必要とせず、物体の三次元情報を即座に自動的に獲得することができる信頼の置ける正確で低コストの容易に使用される走査システムも欠いており、特に、手の中に保持することができ、生体走査またはモデルを走査するのに使用することができるものを欠いている。本発明はこの必要性に合致する。
(発明の要約)
インタラクティブな歯列矯正治療計画システムが、歯の走査に基づいて提供される。このシステムは、生歯の完全仮想三次元モデルを作製するために患者の生歯の画像をキャプチャして画像を処理するために、携帯スキャナおよび関連処理システムを含む。データ状態調節システムが、仮想三次元モデルを処理し、それに応答して、患者の生歯の歯を表す1セットの個別の仮想三次元歯物体を作製する。個別の仮想三次元歯物体のセットを表示するためのユーザインターフェースを有するワークステーションが設けられる。インタラクティブな治療計画ソフトウェアがワークステーションに設けられて、ユーザは仮想三次元歯物体を操作することができ、それによって、三次元における患者用の目標状態および歯のためカスタマイズされた歯列矯正器具用のパラメータを設計する。
携帯スキャナおよび関連処理システム、データ状態調節システム、および、ワークステーションは、すべて、歯列矯正医のクリニックに設置されてもよい。あるいは、携帯スキャナおよびワークステーションが歯列矯正医のクリニックに設置されて、データ状態調節システムが、歯列矯正医のクリニックから遠隔場所にある汎用コンピュータに設置される。さらに、治療計画ソフトウェアは、クリニック、および/または、遠隔場所、および/または、カスタム歯列矯正器具を製造する精密器具製造センター、のいずれかに設置することができる。器具の種類は、大幅に変動してもよい。
治療計画装置は、歯列矯正用のインタラクティブなコンピュータ化されたコンピュータ支援設計およびコンピュータ支援製造(CAD/CAM)システムであるとみなすことができる。装置は、患者の状態の現在の段階を観察し分析し、且つ、目標のまたは所望の段階を展開し特定する機会を歯列矯正医に提供するという点で、高度にインタラクティブである。目標段階へ歯を動かす最短の直接経路も決定することができる。さらに、装置は、現在の段階と目標段階との間の歯の動きのシミュレーションを提供する。
そのより広い態様では、装置は、処理装置およびディスプレイを有するワークステーションと、患者の生歯を表す仮想完全三次元モデルを格納するメモリと、を備える。仮想三次元モデルは、数種類の可能な源の1つから得ることができ、好ましい実施形態においては、これは、生歯の走査から到達される。装置は、モデルにアクセスしモデルをワークステーションのディスプレイに表示する処理装置によって実行可能なソフトウェアをさらに含む。ソフトウェアは、ナビゲーションツール、たとえば、タイプコマンド、アイコンおよび/または表示されたモデルに重ね合わされるグラフィック装置をさらに含み、これによってユーザはディスプレイ上のモデルを操作して、三次元空間でモデルの少なくとも1本の歯のモデルの他の歯に対する動きをシミュレートし、動きの量を精密に定量化することができる。このシミュレーションは、たとえば、患者用の特定の目標状況を設計するために使用することができる。
患者用の独特な目標状況の展開は、既製品のまたは一般的なブラケットおよびカスタム歯列矯正アーチワイヤに基づいたアプローチを含む様々な異なる歯列矯正器具に役に立つ。本発明の範囲は、他の種類の器具を包含するのに十分であり、たとえば、カスタマイズされたブラケット、保持器、または、取り外し可能な整列配置装置に基づいたアプローチ等である。ブラケットの実施形態において、メモリは、仮想三次元歯列矯正ブラケットのライブラリを含む。ソフトウェアによってユーザは、適切なスクリーンディスプレイを通して仮想ブラケットにアクセスし、仮想ブラケットを患者の生歯の仮想モデルに配置することができる。このブラケット結合位置は、歯1本ずつのベースで歯にカスタマイズして、個別の患者の解剖学的構造に適応させることができる。歯モデル、ブラケットおよびアーチワイヤは個別の物体であり、そのようにメモリに格納されるため、治療計画装置は、仮想ブラケット、アーチワイヤおよび生歯の仮想モデル、または、より小さな組み合わせ、たとえば、ブラケットのみ、生歯のみ、または、歯ではなくブラケットおよびアーチワイヤ等を、同時に表示することができる。同一のことが他の器具システムにも当てはまる。
好ましい実施形態において、歯の仮想モデルは1セットの仮想個別三次元歯物体を備える。歯の走査から歯物体を得る方法、および、たとえば、歯肉、歯根および骨等の他の関連解剖学的構造物の他の仮想物体を得る方法が記載される。歯が互いから且つ歯肉から分離されるときには、個別に操作されることができる。
このようにして、個別歯物体が個別に選択され、仮想歯物体のセットの他の歯に対して動くことができる。この特徴によって、歯1本ずつのベースで個別のカスタマイズされた歯の位置決めが可能になる。これらの位置決めは、3本の軸を中心にした角度回転、または、横断面、矢状面または冠状面での移動に関して可能である。さらに、動きの量を定量化するために、様々な測定特徴が設けられる。
治療計画装置の主要ツールの1つが、所望のアーチフォームまたは目標アーチフォームを選択しカスタマイズすることである。再度、歯は個別歯物体であるため、互いから独立して動くことができ、理想アーチを規定する。目標アーチフォームのこの展開は、補間または立方スプラインアルゴリズムを使用して計算することができる。あるいは、アーチフォームの種類(たとえばロス)を特定するユーザによってカスタマイズされることができ、歯は、そのアーチフォームまたはそのアーチフォームの修正に動かされる。アーチフォームは、患者の解剖学的制限に合致するように形状づけることができる。当初アーチフォームが設計された後に、ユーザは、歯1本ずつのベースで適切であると判断するように再度アーチフォームに歯を位置決めすることができる。治療計画ソフトウェアは、このようにして、少なくとも部分的には患者用に提案された治療目的を表すアーチフォームに対して、仮想歯物体を動かすことを可能にする。
治療計画ソフトウェアでは多数の他の特徴が可能であり、アーチフォームの他の歯に対する歯の動き、仮想ブラケットと歯との互いに対する位置の変更、または、選択されたアーチフォームに対して歯を対向させることを含む。カスタムアーチワイヤ曲げをシミュレートして、さらなる修正を提供することができる。ブラケットと歯とのインターフェースでの結合修正も可能である。
本発明の別の態様において、処理装置とディスプレイを含むユーザインターフェースと処理装置によって実行可能なソフトウェアとを有するワークステーションに歯列矯正患者用のデジタル治療計画のための方法が提供される。この方法は、現在のまたは観察された状況の患者の生歯を表す歯の三次元仮想モデルを獲得し格納するステップを含む。仮想モデルはディスプレイに表示される。この方法はさらに、仮想モデルの歯を目標状況に配置して、目標状況に動かされた歯を備えた仮想モデルをユーザへ表示するように、仮想モデルの歯の位置を互いに対して動かすステップを含む。患者の歯を現在の状況から目標状況へ動かす歯列矯正器具のパラメータは、仮想モデルおよび目標状況から導き出すことができる。たとえば、仮想ブラケットが歯に配置される場合、目標状況のその場所は、歯を目標状況へ動かすアーチワイヤの設計に影響を及ぼす可能性がある。
物体の三次元情報を捉えるために、スキャナシステムが設けられる。物体は仮想的に精査下のいずれの物体でもありうるが、本書は、物体が不正咬合を被っている患者の生歯である用途を記載している。
走査システムは、きわめて高い精密度で三次元情報を得ることを可能にする。
さらに、走査システムは、スキャナの精密な動きを必要とせず、または、精査下の物体を空間に固定することを必要とせず、使用することができる。驚くべきことに、スキャナは、たとえば、手で、ユーザに便利なやり方で、単にスキャナを物体の表面上に動かすだけで、物体が合理的な限界内で走査中にいずれの無作為な方向に動いても、精密な三次元情報を作製することができる。このようにして、スキャナを使用して、走査を行っている間にたとえ患者が頭部または顎を動かしたとしても、1分か2分で患者の生歯の表面をキャプチャすることができる。
スキャナと物体との間の空間関係の精密な知識は必要ない。
スキャナは1セットの画像を獲得し、これは、コンピュータで処理されて、自動的に即座に高精度で三次元空間における物体の表面構成を計算し、走査の作業以外、本質的に人間が関わることはない。精査下の物体が、検出するのが困難であり投影軸と画像形成軸との間に狭い角度を必要とするアンダーカットおよびシャドーイング特徴部を有する傾向の程度によって、精密度または正確度が大幅に影響を受ける。歯では、20または30ミクロン以下の正確度が可能である。この正確度は、表面の性質に依存してさらに改良することができ、たとえば、表面が多くのアンダーカットまたはびシャドーイング特徴部を有さない場合、投影軸と画像形成軸との間の角度分離を増加することによる。
スキャナによってキャプチャされた各画像は、仮想三次元点クラウドまたは「フレーム」に転換される。例示された実施形態は、粗い投影パターンのために、いずれの単一のフレームに比較的粗い解像度を有するが、後述のように、複数の画像を獲得してフレームに位置合わせ手順を実施することによって、微細な解像度が得られる。物体の表面の各点が複数の画像(たとえば走査の典型的な例では5つまたは6つ)にキャプチャされるため、フレームの位置合わせは結果として微細な解像度を生じる。よりゆっくり走査し異なる斜視図から物体の表面のより多くの画像をキャプチャし、結果として得られるフレームを互いに対して位置合わせすることによって、さらに微細な解像度を得ることができる。
三次元空間の物体のこの表面構成は、数学的モデル、すなわち、物体の仮想モデルとして表すことができ、これは、市販のソフトウェアツールを使用していずれのワークステーションまたはコンピュータに表示することができる。数学的モデルは、空間のいずれの配向で見ることができ、表面の詳細な分析を可能にする。モデルは、コンピュータに格納されたテンプレート物体と比較することができる。テンプレートからの物体の逸脱を定量化し分析することができる。さらに、仮想モデルは、1つのコンピュータから世界中のいずれの場所の別のコンピュータに、インターネット等の通信リンクによって本質的に瞬時に移すことができる。モデルは、コンピュータ内に複製を作ることができ、したがって複数のユーザが同時に共有し使用することができる。
スキャナシステムは、広く様々な工業的、医療的、考古学的、法廷的、古文書的または他の目的に有用である。さらに、スキャナは、手で持つことができ、たとえば歯または小さな機械加工された部品等の小さな物体を走査することができるように、サイズを縮小することができ、または、美術品、彫刻、考古学的遺跡(たとえば、フランスのラスコー洞窟またはメサ・バーデ国立公園の住居またはキーヴァ)、部屋または建物の正面等のより大きなスケールの物体の数学的モデルを作るのに使用することができるように、サイズを拡大することができる。
好ましい実施形態にしたがって、スキャナシステムは、第1の光学軸に沿って物体にパターンを投影する投影システムを含む。パターンは平行な線から構成されてもよく、平行な線は形状または色、たとえば着色ドットによって分離され、または、他の適切なパターンであってもよい。投影されたパターンを使用して、下記により詳細に記載される方法および手順にしたがって物体の表面特徴に関する情報を集める。
スキャナは、好ましくは感光性ピクセルの二次元アレイを備える電荷結合素子の形態の、電子画像形成装置をさらに含む。電子画像形成装置は、第1の光学軸とは異なる第2の光学軸に沿って配向される。電子画像形成装置は、精査下の物体からパターンを反射した後のパターンの画像を形成する。物体の表面構成が、投影パターンを歪め変化させ、それによって表面構成に関する情報を提供する。
表面に関するこの情報は、反射パターンの二次元画像として画像形成装置によってキャプチャされる。これらの画像は、本願に記載される手順にしたがって処理され、物体の表面に関する三次元情報を導き出す。
走査システムは、好ましい実施形態では、スキャナ用の3軸(X、Y、Z)キャリブレーション関係を表すデータを格納するメモリもさらに含む。キャリブレーション関係は、表の形態であってもよく、または、数学的関数の形態(たとえば、多項式、スプラインまたは他の関数)であってもよい。キャリブレーション関係は、スキャナの2つの特性を識別する。すなわち、(1)パターンの多数の部分用の電子画像形成装置用のピクセル座標、上記ピクセル座標は、少なくとも2つの異なるZ距離でZ方向における投影システムからの距離情報に関連する、(2)少なくとも2つの異なるZ距離で上記パターンの多数の部分用のXおよびY方向の距離情報、である。キャリブレーション関係を得る方法は、下記に詳細に記載される。下記に詳細に記載されるように、関係のもっとも簡略な形態は表であるが、これらのキャリブレーション関係は、当業者には明らかであるように、1つまたはそれ以上の数学的関数によって同等に表される。
キャリブレーション関係を使用して、画像形成装置によって画像形成された物体の表面の点の三次元座標を導き出す。好ましいキャリブレーション表の作成および使用も、下記にさらに詳細に説明される。他のキャリブレーション表または手順も可能である。キャリブレーション関係を使用することによって、先行技術のシステムで必要とされるようなスキャナの光学的および機械的特性の精密な知識なしで、スキャナを操作することができる。
スキャナシステムは、少なくとも1つのデータ処理装置、たとえば、コンピュータの中央演算処理装置またはデジタル信号プロセッサをさらに含み、これは、物体の表面から反射した後の投影パターンの画像を処理する。処理装置は、画像(たとえば、投影パターンの一定の点が画像形成されるピクセル位置)からのデータをキャリブレーション関係と比較し、それによって投影されたパターンを電子画像形成装置に反射する物体の点の三次元での空間的情報を導き出す。複数の処理装置を使用することによって、二次元画像を処理し、各画像の点用の三次元座標を計算し、三次元座標のフレームを互いに対して位置合わせして物体の完全仮想モデルを作製するのにかかる時間を削減することができる。
走査システムはこのようにして、画像形成装置によって作製された画像から且つメモリに格納されたキャリブレーション関係から、物体の三次元情報を導き出す。スキャナの光学的特徴、第1の光学軸と第2の光学軸との間の角度、光学軸と画像形成装置の点との間の角度、または、画像形成装置から投影装置の分離距離に関する精密な知識は必要ない。投影システムおよび画像形成装置は、互いに対して連結されていなくてさえよい。キャリブレーション関係は、自動的に且つ完全に、これらの問題、および、スキャナ光学における変形例の製造および許容値を、高度に信頼のおけるやり方で補償する。さらに、スキャナから物体への距離も知る必要はない。加えて、画像形成光学素子の焦点の深さによって規定される合理的な範囲内では、スキャナと物体との間の距離にわたる制御も、必要ない。理想的には、走査中にスキャナから物体への距離は、キャリブレーション中に使用されたZ距離の限界内に維持され、その距離は、投影光学素子と画像形成光学素子との組み合わされた焦点の深さ内である。
走査システムは、メモリと処理装置と光学要素とが単一のユニット内にあるように構造することができる。あるいは、処理装置およびメモリは、スキャナ自体のサイズを減少するために、走査ワークステーションまたは「走査ノード」等の別個の場所に位置してもよい。そのような実施形態において、投影システムおよび画像形成記録装置は、携帯スキャナ装置内に小型化することができる。適切なケーブルが、スキャナ装置をワークステーションに接続し、それによって処理装置に走査データを供給し、ワークステーションからコマンド(照明コマンド、スタート/ストップコマンド等)を受け取る。
好ましい器具製造システムも記載され、アーチワイヤ等の歯列矯正器具等の医療装置を曲げる曲げ装置、固定プレートおよび他の装置を含む。ブラケット配置トレイも記載される。1つの実施形態として、患者の不正咬合の三次元仮想モデルを表すデジタルデータと、不正咬合に配置するべき歯列矯正ブラケットの場所を表すデジタル情報と、を格納する機械読取可能なメモリを備える歯列矯正器具製造システムが設けられ、上記メモリは、患者の歯および生歯の三次元仮想モデルと、三次元における目標状況で歯列矯正ブラケットの場所と、を表すデジタルデータをさらに格納する。装置は、ワイヤ曲げロボットをさらに含む。不正咬合に配置されたブラケットを備えた不正咬合の三次元物理的モデルを作製するために、SLA(立体リソグラフィ)等の高速原型作成機器が設けられる。形成装置が、ブラケットを備えた不正咬合の物理的モデルの外形に整合するブラケット配置トレイを形成する。ブラケット配置トレイは、物理的モデルから取り外されてもよく、上記トレイはブラケットの配置用にスペースを備えて形成され、生歯の仮想モデルに基づいて所望の位置で歯にブラケットを結合するのを可能にし、且つ、不正咬合に歯列矯正ブラケットを配置するのを可能にする。
器具製造装置の多数の他の特徴、治療計画ソフトウェア、走査システムおよび関連特徴部は、下記の詳細な説明からより明らかになる。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
パート1 概観
図1は、本発明の代表的実施形態にしたがってスキャナシステム12を組み込む歯列矯正ケアシステム10の例示である。スキャナシステム12は、携帯スキャナ14を含み、これは、歯列矯正医またはそのアシスタントによって使用され、患者の生歯および関連解剖学的構造物の三次元情報を獲得する。画像は、多目的コンピュータ等の中央演算処理装置を有する走査ノードまたはワークステーション16で処理される。走査ノード16は、単独でまたはバックオフィスサーバ28と組み合わせて、生歯の三次元コンピュータモデル18を作製し、歯列矯正医に、患者の診断、計画治療およびモニタケアに関する情報の基礎を提供する。
モデル18は、ユーザに対して、走査ノード16に接続されたモニタ20にディスプレイされる。
上記のように、ここに詳細に記載されたスキャナシステム12は、歯を生体内走査するために、あるいは、歯のプラスターモデルおよび/または歯の印象を走査するために最適化される。しかし、スキャナシステム12を他の様々な診断および/または治療計画および/または医療分野でのモニタ使用に容易に最適化することができることは、当業者には明らかである。実施例は、顔または頭部を走査し、形成外科または整形外科手術を計画する。これは、工業、製造、法廷、考古学、科学、古文書、または他の用途の、事実上無限の数の用途に適応することができる。
歯列矯正ケアシステムは、複数の歯列矯正クリニック22から構成され、これらは、インターネットまたは他の適切な通信媒体24(公衆交換電話網、ケーブルネットワーク等)を経由して精密器具サービスセンター26にリンクされる。
各クリニック22は、モニタ30を含む自己のユーザインターフェースを有するバックオフィスサーバワークステーション28を有する。バックオフィスサーバ28は、歯列矯正治療計画ソフトウェアプログラムを実行する。ソフトウェアは、走査ノード16から患者の歯の三次元デジタルデータを獲得し、歯列矯正医にモデル18をディスプレイする。治療計画ソフトウェアは、歯列矯正医がモデル18を操作して患者の治療計画を立てるのを可能にするという特徴を含む。たとえば、歯列矯正医は、歯用のアーチフォームを選択して、アーチフォームに対する個別の歯位置を操作し、患者の所望の状況または目標状況に到達することができる。ソフトウェアは、歯列矯正医の選択にしたがって仮想の歯を動かす。ソフトウェアは、歯列矯正医が歯モデルに対して仮想ブラケットを選択的に配置し、且つ、選択されたブラケット位置が与えられると、患者用にカスタマイズされたアーチワイヤを設計することも可能にする。歯列矯正医が患者用の歯列矯正器具の設計を終了すると、患者、不正咬合および患者用の所望の治療計画に関するデジタル情報が、通信媒体によって器具サービスセンター26へ送られる。選択された場所で歯にブラケットを配置するためにカスタマイズされた歯列矯正アーチワイヤおよび装置がサービスセンターで製造され、クリニック22へ出荷される。本発明は、他の種類の器具システムにも適用可能である。ブラケットおよびアーチワイヤが、例示された実施形態に示されているが、他の種類の器具システムも、取り外し可能な整列配置装置、保持器、ヘルプスト器具等のここに記載の走査システムから利益を得ることができる。
図1に示されるように、精密器具サービスセンター26は、中央サーバ32と、アーチワイヤ製造システム34と、ブラケット配置製造システム36とを含む。これらの詳細は後述される。
図2は、図1の歯列矯正ケアシステムに使用されるのに適切な走査システム12のより詳細なブロック図である。走査システム12は、物体40の三次元情報をキャプチャするための構造であり、これは、本実施例では、人間の患者の生歯および囲繞する解剖学的構造物、たとえば、歯肉、骨および/または軟組織である。走査システム12は、画像キャプチャに使用されるスキャナ14と処理システムとを含み、処理システムは、例示された実施例では、走査ノードまたはワークステーション16のメインメモリ42と中央演算処理装置44とから構成される。
スキャナ14は、第1の投影軸48に沿って物体40にパターンを投影する投影システム46を含む。投影されたパターンは、光源53の前に配置されるスライド50に形成される。例示された実施形態において、光源53は、光ファイバケーブル51の終点を備える。ケーブル51は、スキャナの基部ユニット54内に位置するフラッシュランプ52によって生成される高強度フラッシュを担持する。適切なフラッシュランプは、パーキン・エルマーが販売のモデルFX−1160フラッシュユニットである。フラッシュランプ52の照度が、スライド50に含まれるパターンを物体の三次元表面に投影させる。パターンに適切なパターンの種類に関するさらなる詳細は、本願の譲受人に譲渡された下記のリュドガー・ルバートらの同時係属特許出願、すなわち、1999年3月9日に出願された出願番号第09/254,755号、2000年4月28日に出願された出願番号第09/560,131号および2000年11月30日に出願された出願番号第09/673,863号に述べられており、その内容は、ここに参照によって組み込まれる。現在の好ましい投影パターンが下記に記載される。投影システム46の光学に関する詳細は、下記にさらに詳細に述べられる。
スキャナ14は、感光性ピクセルのアレイを備える電子画像形成装置56をさらに含む。好ましい実施形態は、列および欄のアレイに配列された1028×1028ピクセルのサイズの、既製の感色性の電荷結合素子(CCD)である。ソニーICX205AK CCDチップが適切な電子画像形成装置である。電子画像形成装置56は、第2の画像形成軸58に対して垂直に配向され、軸58は投影軸48から片寄っている。投影軸と画像形成軸との間の角度Ψは、本発明の好ましい実施形態では公知である必要はない。しかし、3D計算が図9のパラメータにしたがってなされるならば、画像形成装置56の中心と光源53の中心との間の角度および分離距離は公知である必要がある。
角度Ψは、スキャナによって必要とされる所望の解像度に依存して、スキャナの設計および製造中に最適化される。これは、今度は、精査下の表面がアンダーカットおよびシャドーイング特徴を有する程度に依存し、これは、結果として、画像形成装置が投影パターンを検出することができなくなる。角度Ψが大きくなればなるほどスキャナの正確度は高くなる。しかし、角度Ψが増加すると、アンダーカットおよびシャドーイング特徴が、反射されるパターンを阻止し、パターンのキャプチャおよびそれに続く表面のこれらの部分の三次元分析を妨げる。角度Ψは、図2では幾分誇張されて示されており、大半の用途では一般に10度から30度の範囲である。
電子画像形成装置56は、物体40の表面からパターンを反射した後に、投影パターンの画像を形成する。画像形成装置によって画像形成された反射されたパターンは、物体の表面に関する三次元情報を含み、この情報は画像から抽出される必要がある。したがって走査システムは、この情報を抽出して物体40の三次元仮想モデルを作るのに使用される処理サブシステムを含む。好ましい実施形態において、この処理サブシステムは、スキャナ用のキャリブレーション情報を格納するメモリ42と、走査ワークステーション16の中央演算処理装置44等の少なくとも1つの処理装置と、から構成される。メモリおよび処理装置の場所は重要ではない。それらはスキャナ14自体内に組み込まれてもよい。あるいは、画像のすべての処理は、バックオフィスサーバ28または別のコンピュータで行うことができる。あるいは、三次元情報を作製するのに必要な時間の量を減少するために、2つまたはそれ以上の処理装置が処理を共有することもできる。
メモリ42は、スキャナ14用のキャリブレーション関係を格納する。キャリブレーション関係は、表または1つ以上の数学関数の形態であってもよく、投影パターンを画像形成装置に反射した物体上の点の三次元座標点を計算するのに使用される情報を含む。表用の情報は、キャリブレーションステップ中に得られ、スキャナ14の製造時に実施される。キャリブレーション表は、2片の情報を含むデータ格納場所のアレイを含む。第1に、キャリブレーション表は、キャリブレーション手順の間に2つの異なる距離でパターンがキャリブレーション表面に投影されるときに、電子画像形成装置56によって画像形成される投影パターンの多数の部分用に、XおよびY方向にピクセル座標を格納する。第2に、表は、2つの異なる距離で画像形成される投影パターンの部分用に、XおよびY方向に距離情報(たとえば、ミリメートルの10分の1の単位で)を格納する。キャリブレーション表を作製し使用するための好ましい方法は、下記にさらに詳細に説明される。
走査システムは、画像処理、各画像用の三次元計算、および、フレームの互いに対する位置合わせを実施するために、少なくとも1つの処理装置を必要とする。例示された実施形態の処理装置44は、走査ワークステーション16の中央演算処理装置(CPU)である。CPU44は、物体40の表面からパターンを反射した後にパターンの画像を処理し、画像からのデータをキャリブレーション表の項目と比較する。その比較(またはより正確には、下記に説明されるように、表の項目に対する補間)から、処理装置44は、投影されたパターンを電子画像形成装置に反射する物体上の点の三次元での空間情報を導き出す。
基本的に、未知の表面構成の物体を走査するスキャナの操作中に、スキャナと物体とが互いに対して動くときに急速に連続して物体から反射されるように投影パターンの何百または何千の画像が作製される。各画像用に、反射されたパターンの特定の部分、すなわち点用のピクセル場所が、キャリブレーション表の項目と比較される。X、YおよびZ座標(すなわち、三次元座標)は、反射されたパターンのこれら特定の部分の各々用に得られる。各画用に反射されたパターンの特定の点用のこれらのX、YおよびZ座標のすべての総計は、物体の三次元「フレーム」または仮想モデルを備える。物体の何百または何千の画像が異なる斜視図から得られるときには、スキャナが物体に対して動くと、システムはこれらのフレームの何百または何千の画像を作製する。これらのフレームは次いで互いに対して位置合わせが行われ、それによって物体40の完全且つ高度に正確な三次元モデルを作製する。
浮遊データ点は、キャリブレーション表を作製する際かまたはキャリブレーション表を使用して三次元座標を計算する際に削除されることが好ましい。たとえば、キャリブレーション表用に項目を作製するときにスプライン等の平滑関数を計算することができ、スプラインを使用して、スプラインから大幅に逸脱するデータ点を削除するかまたは無視することができる。
図2は、現在好ましい走査システム12の数種類の他の特徴も示す。CCD画像形成装置56が単一の画像をキャプチャした後に、装置56からアナログ電圧信号が増幅器57で増幅され、導体59に沿ってアナログデジタルコンバーター60へ供給される。デジタル信号は、デジタル画像データのビットマップストリームに転換される。データは、モジュール61によってIEEE1394「ファイアワイヤ」フォーマットにフォーマットされ、第2の導体62によって走査ワークステーション16のメインメモリ42へ伝達される。走査システムは、生歯の走査が完了した後に、ユーザがスキャナを置くための光学スキャナホルダ64を含む。これらの詳細は特に重要ではなく、例示された実施形態から大幅に変動してもよい。先に注記したように、走査システムは、椅子側には機器および散乱が最小であるように作られることが好ましい。それ故に、走査ワークステーション16は、患者が座る椅子から幾分距離をおいて位置することが好ましい。スキャナ14から基部ステーションおよび/またはワークステーション16へ導くケーブルは、椅子側の散乱をさらに排除するために、天井から吊されてもよい。
走査ワークステーション16は、走査が行われているときにリアルタイムで生歯の三次元モデルとして走査結果をディスプレイするためにモニタ20も含む。
ユーザインターフェースは、物体の仮想モデルを操作するための、且つ、得られた走査の走査識別セクションまたはセグメント用のパラメータを入力するかまたは変更するための、キーボードおよびマウス、および他の特徴部も含む。走査ステーションは、走査が開始されたり、走査が完了したりしたことを示す信号をCPU44へ送るために、フットスイッチを含んでもよく、これは図示されない。
あるいは、基部ステーションは、スタート、ストップ、アゲイン、リピート、セグメント、ワン、ツー、スリー、フォー等の小セットの音声コマンドを認識するように訓練された音声認識モジュールを含んでもよく、それによってフットスイッチの必要性を排除する。CPU44からのスキャナのスタートおよびストップコマンドは、制御信号の形態であり、光源52へ送られ、それによって、走査中のランプ52の照度を制御する。
光源52は、適切な頻度で、好ましくは、少なくとも1秒間に1フラッシュを超えて、たとえば1秒間に6フラッシュ等で動作し、CCD画像形成装置56のフレーム率はフラッシュ率に同期される。1秒間に6フレームのフレーム率で且つ1秒間に1から2センチメートルの走査動作で、画像の間に大きなオーバーラップが得られる。スキャナの先端68におけるミラーのサイズが、走査が可能である速度に影響を与える。先端68におけるミラーの例示された実施形態は、18平方ミリメートルである。より大きなミラーは、物体のより多くの表面を反射し、より速い走査を可能にする。より小さいミラーは、より遅い走査を必要とする。ミラーが大きくなればなるほど、生体内走査が困難になり、そのため、生体内走査用にサイズと有用性との間に交換条件が存在する。
スキャナ14によって作製された画像の間のこのオーバーラップ、および、結果として得られた三次元フレームによって、フレームの互いに対する滑らかで正確な位置あわせが可能になる。フレーム率およびスキャナ動作の許可可能率は多くの要因に依存し、当然ながら、本発明の範囲内で変動することができる。スキャナと物体との間に相対運動が存在するため、不鮮明さを減少するのにCCD画像形成装置56の露出時間を減少することが望ましいため、短い時間に高強度フラッシュランプをフラッシュすることが好ましい実施形態である。画像形成装置から十分な信号強度を達成するために、高強度ランプが望ましい。好ましい実施形態は、類似露出期間で、5マイクロ秒のフラッシュ時間を使用する。代替実施形態は、高強度の一定照明源を使用し、シャッター、すなわち、物理的シャッターか、または、画像を作製する前にピクセルに蓄積する電荷を排出する等の電子シャッターのいずれかの技術を使用して、画像形成装置の露出を制御する。より長い露出を使用する走査は、ラローらに付与された米国特許第5,155,597号に記載された電子画像動作補償技術を使用して、画像不鮮明なしで可能である。
図3は、図1の歯列矯正ケアシステムに使用されるのに適切な、精査下の物体の情報を得るのに使用される携帯スキャナ14の斜視図である。図2の投影システム46および電子画像形成装置56が、スキャナのハウジング65内に含まれる。ハウジング65は、人の手で保持されるサイズおよび形状である。スキャナ14は、先端68を有する細長い遠位部分66を含む。先端68は、口腔内部の解剖学的構造を走査するのを可能にするように、ヒトの口腔内に挿入されその中で動くことができるような、サイズおよび形状である。加熱ミラー(図示せず)が、先端68の下側に配置され、スキャナの光学素子から物体へ投影パターンを方向づけ、反射したパターンを物体から電子画像形成装置56に関連した図7の画像形成光学素子108へ向けて方向づける。ミラーハウジングは、ミラーを加熱するA/C導電性加熱コイルを有する。ミラーはおよそ40度まで加熱され、スキャナが生体内で使用されているときにミラーが曇るのを防止する。
図4は、図3の携帯スキャナ14で走査されている患者70を例示する。頬および唇が歯から引っ込められて、スキャナの先端68が、おそらく1秒間に1から2センチメートルの速度で掃引動作で歯のすべての表面上を動く。上顎または下顎全体が、一連の走査で、すなわち、左側1回、右側1回および前部1回で、走査される必要があってもよい。これらの個別の走査は、後述されるように、互いに対して位置合わせされる。音声コマンドまたはフットスイッチ(図示せず)の起動が、各走査セグメントの開始および終了を示す。処理全体は数分しかかからない。物体の色および透明度、および、スキャナの光源の照明強度および周波数に依存して、二酸化チタン等の明るい反射物質の非常に薄いコーティングを物質に加える必要があることもある。
図4は、人間の患者の生体内走査を例示するが、スキャナは、当然ながら、好適であれば生歯のプラスターモデル、または、患者から取られた印象を走査するのに使用することができる。印象またはプラスターモデルを走査するときには、走査は1回の通過で形成されてもよく、走査セグメントを互いに対して位置合わせする必要はない。患者の走査を部分的に生体内で行って、残りをモデルまたは印象から行うことも可能である。
図5は、患者の生歯のデジタルモデルを計算するのに使用される要素を示す図1のバックオフィスサーバのブロック図である。走査ワークステーションが、スキャナによってキャプチャされたすべての画像を処理し、1セットの三次元フレームを作製した後に、フレームデータはバックオフィスサーバ28へ送られる。
バックオフィスサーバ28は、フレーム用の累積位置合わせ処理を行い、最終的にデジタルモデルを作製しスクリーンディスプレイ30にディスプレイする。三次元フレームの形態の未加工のスキャナデータがメインコンピュータメモリ72に格納される。スキャナからN個のキャプチャされた画像からのフレームデータ、ただしi=1……Nが、ハードディスク74に格納される。ハードディスクは、i=2−N用の1セットの(N−1)変換マトリクス[T]iも格納する。変換マトリクスは基本的に、三次元点の各フレームが最良に適合するように別のフレームに対して位置合わせされるために、三軸デカルト座標システムでどのように移動され回転されなければならないかに関する情報を含む。一組内の第1のフレーム等の、フレームの1つが、位置合わせ用の開始点であり、そのフレーム用の変換マトリクスは得られない。変換マトリクスの作製、および、三次元モデルを作製するためのフレームデータを備えたマトリクスの使用は、下記にさらに詳細に記載される。
パート2 三次元画像作製
上記の一般的な紹介および概観を念頭において、二次元画像をスキャナでキャプチャし各画像の三次元モデルを作製する現在好ましい処理を、このセクションで詳細に説明する。図6は、スキャナ14によってキャプチャされる単一画像用の物体の三次元情報を計算するために、走査ステーション16(図2)の処理装置44によって使用される一連のステップを例示するフローチャートである。図6に示されるこの処理は、各画像に実施される。
この処理は1つのプロセッサで実行することができ、または、スキャナからキャプチャされた三次元ビットマップ画像を格納するメモリ、たとえば図2のメモリ42、へのアクセスを共有する複数のDSPプロセッサによって実施されまたは共有されてもよい。プロセッサの種類は、当然ながら、重要ではない。分配された処理の目的は、走査された画像を処理するのに必要な時間の減少である。たとえば、1つのプロセッサが、後述の相互相関処理を実施し、別のプロセッサがパターン認識を実施し、別のプロセッサがデコードを実施し、別のプロセッサが3D計算を実施する。これらの処理は独立して実施することができ、独立ファイルに関連した各処理は、ディスクメモリに共有される。図6の処理の1つまたはそれ以上に割り当てられたプロセッサは、必要に応じてファイルにアクセスする。たとえば、デコーディング処理からの出力ファイルは、ディスクまたは他の処理装置へ利用可能なメモリに書き込まれる。処理装置は、この例ではネットワーク上にある。3D計算に割り当てられたプロセッサは、デコーディング出力ファイルにアクセスし、結果、すなわち、NフレームおよびN−1変換マトリクス用の1セットの座標をディスクまたはメモリにも書き込む。位置合わせを実施するように割り当てられたプロセッサのいずれの1つが、次いで、NフレームデータおよびN−1変換マトリクスにアクセスすることができ、後述の位置合わせ手順を実施する。
図6の処理は、4つの主要ステップから構成される。すなわち、パターン認識処理80、デコーディング処理82、検出されデコードされたパターンの各点用の三次元座標の誘導または計算の処理84、および、最後に、走査ワークステーション16のメモリ42等のメモリに三次元座標を格納するステップ86である。再度、この処理は、走査処理中に、各キャプチャされた画像用に実施される。
典型的な走査シナリオでは、何百のまたは何千もの画像がキャプチャされてもよく、したがって図6のこの処理は、何百回も実施されてもよい。処理の結果は、三次元座標の数多くのセットが格納されることであり、各セットまたは「フレーム」が単一のキャプチャされた画像に関連する。物体の完全仮想モデルを作製するためにこれらのフレームの互いに対する位置合わせは、本書のパート3に記載される。
スキャナが生歯上を動くときに、画像形成装置は一連のビットマップ画像を獲得する。パターン認識を使用して、獲得されたビットマップが分析される。パターン認識は、投影された線の中線、線の終点および着色ドットの中心を検出する。当然ながら、三角形、方形または他のコーディング特徴を使用する等の、他の種類のパターンが可能である。コーディングは垂直方向に(平行線の方向に)あるが、これは、参照によってここに組み込まれる2000年4月28日に出願されたルバートらの特許出願番号第09/560,131号により完全に説明されているように、物体の表面によって設けられた投影パターンのゆがみがこの方向にあるからである。
パターン認識処理は、サブピクセル精度を使用する。すべてのドットの色も同様に分析される。パターン構造の知識に基づいて且つ着色ドットを使用して、すべての認識された線用のパターンの基点が決定される。投影されたパターンのかなりの部分が、シャドーイング、アンダーカットおよび不鮮明な領域のため画像形成光学素子に対して見えなくてもよいため、これは必要である。二次元から三次元への転換アルゴリズムは、パターンに対する各画像形成された線の基点の知識を使用して、物体の点の三次元座標を計算する。線は断片としてのみキャプチャされることが多いため、デコーディングアルゴリズムは、必ずしも各線に、その線をパターンに明白に割り当てるのに十分な情報を有さない。アルゴリズムはしたがって、可能な提携の数シナリオを調査し、衝突を探す。このようにして、矛盾したシナリオが除去される。投影パターンの線は、画像における順番を変えない。たとえば、投影パターンの線が連続して1から80の番号がふられ、線43が線44の左にあるならば、キャプチャされた画像において、線43は必ず線44の左にあり、絶対に線44の右には来ない。線の順番が侵害される矛盾したシナリオが示される。線の正しい順番は、適切なアルゴリズムによって推論することができ、これが、線の順番に基づいてシナリオを調べ、衝突または矛盾した線番号づけが存在するものすべてを排除する。独特な解法が見いだされる。
三次元転換アルゴリズムの好ましい実施形態が高度なキャリブレーション処理に基づいており、光学パラメータのいずれの知識を使用しない一方、代替実施形態は、我々がそのような知識は持っていないと想定して、解析三角測量の一般原則を使用することができる。分析的三角測量は、図9に関連して説明される。投影装置は、区別可能な要素のパターンを表面に投影する。この投影されたパターンが画像形成される。各キャプチャされた要素用に、パターンでその基点を告げることが可能でなければならない。これによって、投影装置の光学軸とその要素を投影した1つの光線との間の角度βを決定することができる。その要素をキャプチャしたCCDチップでのピクセルの場所によって、画像形成システムの光学軸とその表面の投影された要素からCCDピクセルへ導く1つの光線との間の角度βを決定することができる。これらの2つの角度、すなわち、基線および基線の長さに対する2本の光学軸の角度、を知ることによって、走査装置に対して相対的に要素の空間的位置を計算することができる。この計算は、1つのキャプチャされた画像内のすべての検出された要素用に行うことができ、複数の三次元点へ導く。この計算の結果として、表面のひずみのない縮尺通りの表示を得ることができると理解することが重要である。すべての二次元画像が視差効果によるひずみを示す一方、三角測量処理はこの影響を排除する。
解析三角測量法は、光学パラメータの精密な知識を必要とする。スキャナの用キャリブレーション表を使用する好ましい実施形態は、この知識を必要としない。
A.スキャナ製造およびキャリブレーション
図6に示される処理ステップの詳細を記載する前に、スキャナ14自体およびそのキャリブレーションの方法の例示的実施形態がまず記載される。
図7は、図3の携帯スキャナ14の一部の断面図であり、スキャナの投影および画像形成アスペクトの光学要素を示す。スキャナは、図2の基部ステーション54のフラッシュランプから一群のレンズ53Aから構成されるコンデンサーシステムへフラッシュを運ぶ光ファイバケーブル51を含む。光源53からの光は、スライド50内に形成されたパターンを照らす。パターンの選択には広い変動が可能である。現在好ましい実施形態は、続いて、図11に関連して記載される。パターンは、投影レンズシステム102によってスキャナからスキャナ(図3)の先端68に収容されたミラーへ調査下の物体へ向けて方向づけられる。スキャナは、数個のLED光源106(たとえば、2または6)をさらに含み、これを使用して走査中に物体の全体照明を提供し、ユーザが生歯を走査するのを補助する。プリスム104がLED光源を囲繞する。投影システムの軸は、軸48として示される。
投影パターンは、物体から反射され、先端68のミラーによって反射され、画像形成軸58に中心を置く画像形成レンズシステム108によって受け取られる。受け取られたパターンは、ミラー110からCCD電子画像形成装置56に反射される。CCD56は、装置に各ピクセルの電圧信号を生成する。信号のレベルは、そのピクセルに当たる光のレベルを示し、CCDから画像が生成されるのを可能にする。信号は、公知の回路を使用してCCDから読み出され、増幅される。増幅されたアナログ信号は収集され、導体59に沿って基部装置へ送られ、デジタル形態に転換される。CCDからの信号は、例示された実施形態の着色ビットマップ画像に転換される。例示された実施形態の投影パターンに色が使用され、したがって、色を検出することができるCCDチップが選択される。当然ながら、白黒システムも可能である。
例示された実施形態において、光源と投影パターンとの間の分離距離は公知ではなく、または必要ではなく、軸48と58との間の角度も同様である。しかし、深さ情報を得るために、軸の間の非ゼロ角度は必要である。選択された角度は、スキャナが使用される表面または物体の種類に依存する。これらの種類の実施詳細は、用途によって大幅に変動する。さらに、投影および画像形成を別々の独立した可動装置内に位置づけることによって、2つの軸48および58を互いから完全に独立させることが可能である。これは、出願番号第09/254,843号のリュドガー・ルバートらの特許出願により詳細に記載されており、その内容は参照によってここに組み込まれる。ここに記載のキャリブレーション手順は、投影装置および画像形成装置が2つの別々の独立した可動装置であるときには、特に有利である。
図8は、製造時にスキャナ14をキャリブレートするのに使用される現在好ましいキャリブレーションステーション120の斜視図である。ステーション120の目的は、キャリブレーション表等のスキャナ用のキャリブレーション関係のためのデータを得ることであり、これはスキャナシステムのメモリに格納される。キャリブレーションステーションの設計の幾分の変動は可能である。キャリブレーションステーションの操作の原則は、2つの公知の距離(Z方向)および公知の空間的広がり(XおよびY方向)で精密に公知の外形の参照物体にパターンを投影することによってスキャナがキャリブレートされることである。平坦な参照物体が好ましいが、公知の外形のいずれの物体を使用することが理論的には可能であるが、そのような物体を使用することは計算的にはより困難である。キャリブレーション手順の目的は、スキャナの機械的または光学的特性の精密な知識を必要とせずに、スキャナを完全にキャリブレートし、これを未知の表面外形の物体を走査するのに使用するための状態にする一組の情報をまとめること(たとえば、表の形態に)である。本実施形態は、キャリブレーション処理の結果としてキャリブレーション表を記載するが、情報は他の等価の形態であってもよく、たとえば、ピクセルアドレスと距離との間の数学的関係または公式であり、これは、使用時に距離情報を導き出すように操作される。
現在好ましいキャリブレーション操作およびキャリブレーション関係を検討する前に、理解を容易にするために、キャリブレーション発明の原則の検討が示される。
本願に開示された3D画像形成装置は、CCDチップが2D画像形成装置であるため、当初は3D情報を伝達せず、2D情報のみを伝達する。したがって、三次元に関する情報は、特別な処理ステップで決定しなければならない。そのような3D計算を実施するのに使用することができる追加情報は、図9Aに示されるような、光学構成要素の空間的配列である。図9Aは、構成要素の概略配列を示す。パターンの1つの部分が小さな方形で示され、この部分が光線に沿って投影されるがその光線もディスプレイされる。この光線が物体の表面と交差する点は、円としてディスプレイされる。この円の中心で、パターンの一部が物体の表面に投影される。反射された光線の1つが画像形成レンズシステムを通り、それがCCDチップの表面に投影され、これが対応信号を発生させる。この図面では、中心の光線、たとえば、レンズシステムの中心を通る光線のみがディスプレイされる。
構成要素の幾何的配列の精密な知識があると想定して、パターンの考慮された部分を反射する物体の表面の一部の空間的座標を精密に計算することができる。
この計算は、3つの必須条件下でのみ可能である。すなわち、
(i)走査システムのすべての構成要素の幾何的配列を、精密に知っていなければならない、
(ii)すべての構成要素の正確な特性値を知っていなければならない(すべてのCCDピクセルの真のx/y座標、パターンの寸法の精密な知識を含む)、 (iii)レンズシステムは「理想的」でなければならず、これは、中心光線が理想的直線でなければならないことを意味する。
スキャナの大量生産シナリオでは、これらの必須条件を保証することはほぼ不可能である。1つの可能なアプローチは、個別の装置をキャリブレートすることであり、これは、理想的構成からの特性値の逸脱が決定され注記される(「補償キャリブレーション」)ことを意味する。次いで、3D計算は、先に記載したもの等のアルゴリズムに基礎を置くが、さらに、公知の逸脱を考慮に入れ、各装置の個別の特性値を補償する。しかし、この補償計算は、きわめて慎重に調整しなければならず、プラス/マイナス記号に関するエラーは、特に逸脱が軽微であるときには容易には検出されない。
別のチャレンジは、ルバートによるPCT/DE97/01797に開示されているような走査装置によって呈され、ここでは、画像形成装置および投影装置は物理的には互いに接続されず、したがって、幾何的関係は完全に未知であってもよい。
ここに記載されるキャリブレーション手順では、光学的および機械的構成要素の寸法を予め知っておく必要はなく、したがって、「独立キャリブレーション」と称することができる。さらに、2つの光学軸によって形成された角度(三角形分割の角度)のいずれの知識でさえも必要ではない。
この手順の背景は、図9Bに示されるように測定されるべき表面に光線に沿って投影されているパターンの1つの特定の部分を再度見るだけによって最良に説明されることが可能である。パターンのこの部分が常にこの特定の光線Rに沿って投影され、これは、レンズシステムの光学特性値およびパターンとレンズシステムとの互いに対する配列によって規定されることを理解することが重要である。パターンのこの部分が視野にあるいずれの表面から反射されているならば、表面のこの点がこの光線Rに沿っていずれかに位置することは絶対的に確実である。しかし、この光線に沿っていずれの位置に点が位置するのかは不明である。これを決定するのを可能にするために、「独立キャリブレーション」方法が基本的にサンプルを作る。第1のサンプルは、投影装置から一定の距離Z1に位置する表面である。パターンの反射した部分はCCDチップの特定のピクセルに現れる(またはおそらくパターンの部分のサイズに依存して数ピクセルにわたって)。
このZ距離でこの光線によって当てられているすべての表面が、常に、このピクセルに方向づけられたこの光線Rの反射を発生させる(拡散反射を扱っているため、反射されているすべての点は、光線と表面との間の角度に関係なく、光線を多くの方向に送る)ことを理解することが重要である。これは、パターンのこの部分がピクセルに反射されるときにはいつでも、表面のこの点が距離Z1に位置することを正確に知っていることを暗示する。
1とスキャナとの間の距離を知ることは、スキャナが絶対測定システムとして使用されない限り、必要ではない。走査を絶対測定システムとして使用したい場合には、互いに対する点の位置だけではなく、スキャナに対する点の位置を測定したいことを意味するが、スキャナの座標システムの基点に対してZ値を使用する必要がある。例示された実施形態は絶対測定システムではないが、それにもかかわらず、物体の正確な仮想モデルを縮尺通りに作製する。
キャリブレーション処理中に、異なるZ距離でキャリブレーション表面から反射したパターンの異なる部分用に複数のそのような「サンプル」を獲得し、互いに対するこれらのレベルの相対Z距離を知らなければならない。完全なキャリブレーションを受け取るために一般にどれほど多くのサンプルが必要であるかは、さらに下記に検討される。このサンプリング処理の結果は、スキャナ用に導き出される第1のキャリブレーション関係である。すなわち、(1)パターンの多数の部分の電子画像形成装置用のピクセル座標であって、上記ピクセル座標は、少なくとも2つの異なるZ距離でZ方向の投影システムからの距離情報に関連する。
キャリブレーション手順のこの第1のパートを行うと、CCDチップにパターンを反射している測定された表面のすべての部分のZ構成要素を決定することができる。しかし、X座標およびY座標についての知識はない。この情報を得るために、キャリブレーションの第2のパートを行う必要がある。
再度、「サンプル」を取るが、今回は、スキャナの通常使用中に物体に投影されているパターンは使用しない(投影装置はスイッチが切られる)。むしろ、公知の外形、すなわち公知のX−Y空間関係の特徴部を備えた参照物体の画像が視野に得られる。最も簡単な実現は点である。図9Cにおいて、そのような特徴部は、複数の十字線である。CCDチップに投影される特徴部は、特定のピクセル(または、特徴部のサイズによって数ピクセル)で現れる。CCDチップにおけるピクセルのX/Y座標は、次いで、特徴部の位置のX/Y値に割り当てられる(且つ一定のZ距離に割り当てられる)。
特徴部がZ方向に移動しているならば、CCDチップの参照物体の投影の位置が変わることは明らかである。したがって、Z座標に依存するが、これは、特徴部のZ位置が、キャリブレーションの第1のパートに使用された表面のZ位置に対して公知の参照を有さなければならないことを意味する。たとえば、そのような特徴部はZ1に位置してもよく、他の特徴部はZ1に対する公知の参照で位置してもよい。
このようにして捉えられた第1の特徴部は、参照として作用する。一定のXおよびY値(mmまたはインチ)は、この特徴部の位置に割り当てられる。そのような特徴部が画像形成システムの光学軸の近くに置かれるならば、X=0mmおよびY=0mmをこの位置に割り当てることが好ましい。走査システムを絶対測定システムとして使用したい場合には、互いに対する点の位置だけではなく、スキャナに対する点の位置を測定したいことを意味するが、スキャナの座標システムの基点に対してこの特徴部のX/Y/Z値を使用する必要がある。
キャリブレーション処理中に、異なるX、YおよびZ位置で複数のそのような「サンプル」を獲得し、ここで、互いに対する且つキャリブレーションの第1のパートのZ値に対する、これらの特徴部の位置の相対X/Y/Z値を知らなければならない。完全なキャリブレーションを受け取るために一般にどれほど多くのサンプルが必要であるかは、さらに下記に検討される。
捉えられているいずれの特徴部のXおよびY座標とCCDチップにおける特定ピクセル座標と間の決定された関係は、特徴部のZ座標に対してのみ存在することを理解することが重要である。Zでの動きが、X/Y値を変える。したがって、スキャナの通常の操作中に、キャリブレーション結果を使用して3D座標を計算しているときには、パート1で獲得されたキャリブレーション値を使用して表面のいずれの点のZ座標を計算しなければならず、これらの結果に基づいて、キャリブレーション処理のパート2のキャリブレーション結果を使用して、X/Y計算を実施することができる。
キャリブレーション中に取るべき「サンプル」の数およびその結果を格納する方法に関しては、数種類の選択肢がある。もっとも率直なアプローチは、投影されたパターンの少なくとも2つのZレベル用のピクセル座標を収集することである。ピクセル座標の数は、パターンの解像度に依存する。Zレベルは、スキャナ投影レンズシステムおよび画像形成レンズシステムの焦点の深さ内ではあるがこの深さの境界に近くに規定されることが好ましい。少なくとも2つのレベル用にピクセル座標を収集することによって、すべての他のZレベルの補間が可能になる。キャリブレーション手順のパート2も、視野に均一に分布された特徴部(点)を備え、これらの特徴部は再度2つの異なるZレベルに置かれ、これによってX値およびY値の容易な補間が可能になる。キャリブレーション処理の両パートで獲得されたピクセル座標は、もっとも簡単な実施形態では表に格納することができる。
しかし、この率直なアプローチには、一定の不利点がある。まず第1に、装置が必要である。そうでなければ、パート1で必要な表面を制御可能な方法で互いに対して配置することは不可能であり、パート2で捉えられている特徴部も、互いに対して且つパート1で使用されるキャリブレーション表面に対して正確に配置される必要がある。そのような装置を使用することは、工業生産環境では問題ではない。しかし、スキャナをたとえば歯列矯正医のオフィス内でキャリブレートする必要がある場合には、そのような装置をその場所へ常に出荷することは推奨されることではない。
しかし、様々なZレベルでパターンの各部分をキャリブレートする必要はない。異なるZレベルで表面を備える装置が使用される場合、パターンの一部はスキャナにより近いレベルに投影され、一部はさらに離れたレベルに投影される。キャリブレーション中に獲得されないピクセル座標を補間することも可能である。
パターンの部分AおよびCがレベルZ1に投影されると想定すると、部分CおよびDがZ2に投影される間に、レベルZ1に割り当てられた部分AおよびC用のピクセル座標(AにはxA1およびyA1、CにはxC1およびyC1)とレベルZ2に割り当てられた部分BおよびD用のピクセル座標(BにはxB2およびyB2、DにはxD2およびyD2)とを受け取る。たとえばyB2およびyD2からxA2(獲得されていない)を線状に補間することが可能である。同様に、yB1は、yA1およびyC1から補間することができる。直接獲得されていないキャリブレーション値を受け取る別の方法は、一定のZレベル用に獲得されたピクセル座標を用紙に引き、次いで、それらの点を通る最良適合の線(直線または曲線)を作ることである。
この最良適合線の数学的関数が格納されるのであれば、ピクセル座標は、それらを別個に格納するのではなく、その関数を使用して計算することができる。最良適合線を決定する操作は、当然ながら、コンピュータで直接行うこともできる。
最良適合線概念は、図9Cに例示される。
この手順は、ピクセル座標がX値、Y値およびZ値に割り当てられた特定の特徴部のために獲得されているキャリブレーション手順のパート2と同様に、働く。また、特徴部の一部のみが各Zレベルで捉えられなければならず、残りの値は上述の方法で補間されることが可能である。したがって、キャリブレーションのパート1を実施するために少なくとも2つのZレベルに表面を提供し、且つ、パート2を可能にするこれらの表面に特徴部を備える1つのキャリブレーション装置のみを使用することも可能である。パターンの一部、すなわち、捉えられた特徴部の密度は、スキャナの構成要素の光学特性に依存する。パターンの少なくとも4つの部分を捉えるべきであり、信頼のおける補間を提供するためにはCCD画像形成装置56の隅に近いことが好ましい。
このキャリブレーション処理の利点は、スキャナの機械的光学的特徴について予め知っておく必要はまったくなく、光学構成要素の不規則を自動的に補償するこということであり、CCDチップおよびパターンを含む。したがって、安い部品から作られるスキャナをキャリブレートすることは有用であり、画像形成装置と投影装置との間に公知の関係がないスキャナに使用することができる。
本発明の原則の前述の検討を念頭において、スキャナキャリブレーション装置および方法の代表的実施形態が、特に図8に関連して記載される。現在好ましいスキャナキャリブレーションシステムは、キャリブレーション中に適所に固定されたスキャナを保持するためのマウントまたはホルダ122を含む。ホルダは、台124の頂部に貼付される。キャリブレーション装置は、スキャナ14の前に直接位置決めされる。キャリブレーション装置は、台に固定して装着された第1の部分128と、2つの異なる位置Z1とZ2との間でZ方向に前後に動くことができる第2の部分130と、を有するZ方向キャリヤ126から構成される。
X方向キャリヤ131が、Z方向キャリヤの可動部分130に装着される。X方向キャリヤは、図のように、可動部分130に装着される第1の部分132と、第1の部分132に対してX方向に動くことができる第2の部分134と、から構成される。
X方向キャリヤ131は、その上部表面136に2つのキャリブレーション装置を装着する。すなわち、(1)Z方向にスキャナをキャリブレーションするのに使用される滑らかで平坦なキャリブレーション表面138と、(2)XおよびY方向にスキャナをキャリブレーションするのに使用されるX−Yキャリブレーション表面140と、である。X方向キャリヤは、X−Yキャリブレーション表面140のバック照明を提供するための光142も含む。
スキャナ14をキャリブレートするために、キャリヤ126および131は、Z方向キャリブレーション表面138がスキャナ14の前に位置決めされるように、動かされる。スキャナから任意の距離Z1で表面138で表面から反射する投影パターンの画像が取られる。次いで、キャリヤ130が一定の距離だけ離れて(ΔZ)新しい位置Z2へ動かされ、第2の画像が取られる。パターンの特定の位置が電子画像形成装置で画像形成されるピクセルアドレスが決定され、メモリのキャリブレーション表に格納される。距離ΔZは、正確に知られ、スキャナメモリに、またはスキャナキャリブレーションを実施するコンピュータに、格納される。
次いで、X−Yキャリブレーショングリッド140が距離Z1に置かれるようにキャリヤ126および131が動き、画像が取られる。画像は、源142を起動することによって作製され、源142からの光は、キャリブレーション表面140の多数の小さな開口部143を通り、電子画像形成装置56に当たる(パターン照明源は、キャリブレーションのこのパートでは使用されない)。キャリヤ部分130は位置Z2へ動かされ、別の画像が作製される。X−Yキャリブレーショングリッド140の点の間の公知の分離距離を使用して、キャリブレーション手順の第1のパートで画像形成されたパターンの点用のXおよびYの距離情報が計算される。結果はキャリブレーション表に格納される。この処理は、下記にさらに詳細に記載される。スキャナキャリブレーションが終了すると、スキャナ連続番号およびスキャナキャリブレーション表(またはキャリブレーション関係の他の表示、たとえば、一組の数式)が、スキャナのメモリにまたは走査された画像を処理するスキャナに関連するコンピュータに、格納される。
キャリブレーション表面の代替構成が図8Aに示される。キャリブレーション装置は、互いから且つスキャナから公知の距離の、一組の反射性の平坦な平行表面144、144’、144’’および144’’’から構成され、開口部143は平面の表面に沿って公知の距離で且つ隣接する平坦な表面から公知の距離で間隔をおかれる。中心にある十字特徴部は、キャリブレーション表面の基点を形成し、下記に説明されるように使用される。表面144、144’、144’’および144’’’の2つは、Zキャリブレーション表面用に使用される。XおよびYキャリブレーション用に、バックライト照明源142が起動され、光が開口部143を通って電子画像形成装置へ行く。電子画像形成装置の二次元焦点平面全体が、ここに詳細に記載された教示にしたがって、表面144、144’、144’’および144’’’の公知の点の補間からキャリブレートされる。図8Aの実施形態は、図8の実施形態よりもやっかいであるとみなされるが、キャリブレーション表面の他の構成が可能であると例示するように提供される。事実、湾曲した表面または傾斜した表面を使用することさえできるが、もっとも簡単な表面は、直接、電子画像形成装置に配向された平坦な表面である。
したがって、本発明の1つの可能な代替実施形態において、パターンを物体に投影し物体からのパターンの反射を受け取るためのキャリブレーション装置が、スキャナ用に設けられる。キャリブレーション装置は、公知の分離距離および空間的広がりを有する2つまたはそれ以上の平行表面(たとえば144および144’’)と、2つまたはそれ以上の平行表面に設けられた複数の点光源143と、を備える上記投影されたパターンを受け取るキャリブレーション表面144を備える。ここに記載されるように、点光源は、光が光源142から表面144を通ることを可能にする開口部であるが、他の構成も可能である。たとえば、点光源は、表面144のアレイに配列された発光ダイオードであってもよい。開口部143は、金属のシートに精密高動力レーザで穴を形成することによって、互いに対して精密に且つ公知の空間関係に形成される。あるいは、開口部143の代わりに、高度に正確な印刷処理を使用して黒い点が紙に形成されてもよく、黒い点はCCD56によって画像形成される。
ここに記載されたキャリブレーション手順は、先行技術の方法に比較して、画像用の三次元情報を計算するための代替のより好ましい方法を表す。図9は、公知の方法にしたがって物体の表面構成を計算するのに使用することができる関連パラメータの例示である。図9の方法は、デテクタと光源との間の分離距離Dまたは基線と、軸48と58との間の角度と、図面に示される角度αおよびβと、に関する知識を必要とする。本発明のキャリブレーション方法および三次元情報を計算する方法は、この情報のいずれをも必要としない。キャリブレーション手順は、光学経路の光学素子の不完全さを補償し、したがって、高精密光学素子の必要性を排除する。さらに、スキャナをキャリブレーション平面に対して配置することに関する精密な知識を必要としない。軸48と58との間の角度と、スキャナと走査されている物体との間の分離距離と、いずれのグローバル座標システムの物体の位置のいずれの絶対値と、を知る必要はない。スキャナによって、真の参照独立走査が可能になるが、これは依然として、三次元表面のきわめて精密な記載を与える。
キャリブレーションは一般に、製造中に1回実施され、これは、スキャナの寿命中持続するのに十分でなければならない。しかし、スキャナは、必要が生じた場合には、簡単に直ちに再キャリブレートすることができる。
スキャナのキャリブレーションの代表的例は、図10および下記検討から良好に理解される。図10は、任意の独特の光線Rn,mの例示であり、これは、キャリブレーション手順の第1のパートの間に、スキャナの投影システムから図8の滑らかで平坦なキャリブレーション表面138へ投影される。光線Rn,mは、電子画像形成装置56によって捉えられ、キャリブレーション平面は、スキャナから2つの異なる距離Z1およびZ2に位置決めされる。2つの位置の間の距離はΔZである。距離Z1を知る必要はないが、分離距離ΔZは知られている。分離距離ΔZは、スキャナ14の画像形成光学素子108の焦点の深さに依存して、変動する。
図10は、スキャナのキャリブレーションおよび分離の三次元情報の作製に使用される基本的原則を例示し、これは、図9の方法によって必要とされる計算に対する改良であるとみなされる。図10は、平面136が距離Z1にあるときに、光線Rn,mが位置150で画像形成装置に当たることを例示する。キャリブレーション平面136が位置Z2へ動くと、光線Rn,mは点152でデテクタに当たる。両方の位置での光線Rn,m用のピクセル座標は、キャリブレーション表に格納される。実際に、投影パターンから数多くの光線のピクセル座標は、Z1およびZ2用に格納される。これらのピクセル座標は、キャリブレーション手順の第2のパートからのXおよびYの寸法測定とともに、投影パターンで走査された物体用の三次元座標を計算するのに必要なキャリブレーション表を作るのに必要なすべての情報を与える。
光線Rn,mは、投影パターンの単一の点に対応する。投影パターンにおいて光線Rn,mがどこから発するかの知識が必要である。したがって、CCD電子画像形成装置の様々な部分によって画像形成されているパターンの特定の部分を識別するために、いくつかのパターン認識および検出されたパターンのデコーディングが必要である。パターン認識処理を理解するためには、図11、12、17、18および19および下記の検討を読まれたい。
パターン認識
図11は、図3のスキャナから物体(キャリブレーション表面138を含む)に投影されるパターンの一部の例示である。投影パターンは、赤、緑および黄色に着色されたドット158によって互いから分離された平行線156のアレイを備え、他の種類の投影パターンが可能であることが理解される。着色されたドット158の順序は、線156の長さに沿って、且つ線に対して垂直の方向で、変動する。ここに記載されるパターン認識およびデコーディング処理を使用して、投影パターンのすべての領域が画像形成装置からのピクセルデータからデコードすることができるように、この技術は使用される。図11は、光線Rn,mを1つの特定の線と1つの特定の着色ドットとの交点から開始するように取ることができ、この場所が、パターン認識およびデコーディング処理から正確に決定することができることを例示する。同様に、光線Rn,mよりも1列下にあり線Lに沿った光線を識別することもできる。現在の実施例において、着色ドットのN個の欄または線がありM個の列があるように、パターンが作られる。図12は、図11のパターンを通る様々な光線を、N×M点のアレイによって表すことができることを例示する。
図11の投影パターンを表す点のこのアレイは、図14に示されるように、列および欄のアレイに配列された電子画像形成装置またはCCD56によって画像形成される。X方向にピクセルのX個の欄があり、Y方向にピクセルのY個の列がある。例示された実施形態において、各方向に1,028ピクセルがある。
図17、18および19は、捉えられた二次元画像のパターン認識処理を例示する。図17は、電子画像形成装置のピクセルの1つの列からの信号レベルを示す。信号は、投影パターンの線Lがピクセルの特定の列のピクセル20から23で画像形成されることを示す。4つのピクセルに対するピクセル値を平均することによって、サブピクセル解像度で、ピクセル21に対する線の中心点を計算することが可能になる。図18は、この実施例において、線Lおよび隣接する着色ドットが画像形成装置の表面にどのように画像形成されるかを示す。線は、ピクセルのいずれの欄に対して必ずしも中心にある必要はなく、したがって、線の中心点を決定するために平均化を実施しなければならないことに注意されたい。図19に示されるように、類似のパターン認識処理が、着色ドットのために実施される。各着色ドットの中心が位置づけられ、画像形成装置によって画像形成されたすべての線および着色ドット用の線の中心点も同様に位置づけられる。
パターン認識処理は、このようにして、画像形成装置(着色ビットマップ画像の形態で)の出力信号を取り、線の中心および特定の着色ドットの中心用に1セットのピクセル位置に戻る。処理の次のステップは、線および着色ドット用のこれらのピクセル位置を、投影パターンの特定の線および着色ドットに相互に関連づける。この処理は、デコーディングと称され(図6の処理82)、下記に詳細に説明される。デコーディングは図8に関連して記載されたキャリブレーション手順中には通常は必要ないが、これは、Zキャリブレーション表面が平坦であり、CCD56の投影パターンの配列が保たれるからである。しかし、スキャナの使用中にデコーディングを使用して未知の表面構成の物体を走査する。
デコーディング
デコーディング処理は、画像形成装置によって画像形成された線用の1セットのピクセルアドレスと、画像形成装置によって画像形成された特定の着色ドット用の1セットのピクセルアドレスとを、投影パターンの特定の線および着色ドットへ転換する処理である。デコーディングは、キャリブレーション中に絶対に必要であるわけではない(特にZキャリブレーション表面が平坦な表面である場合には)。しかし、アンダーカット、シャドー特徴部または他の不規則部を有する物体に画像を処理する間には使用される。投影パターンの線の順番は維持されるため、受け取られるパターンの一部のみをデコードすることが可能である。たとえば、線13および16がデコードされる場合、線14および15もデコードされるが、それは、線13および16に対するそれらの空間的関係が維持されるからである。
画像形成分析処理は、特定のピクセルが特定の線または特定の着色ドットを画像形成していることを知る必要がある。投影パターンまたはスクリーン50(図2)は、着色ドットの独特で且つ頻繁に変動する順序のため、両方向に連続して変動する。デコーディング処理は単に、赤、黄色および緑のドットが画像形成装置内に画像形成されている場所を調べ、これらの結果を、投影パターンの赤、黄色および緑のドットの公知の順序と比較し、それによって、投影パターンを参照して、各光線を位置づけるかまたは識別する。たとえば、処理は、たとえば、画像形成装置の列Nのピクセル21が投影パターンの線13、列55の中心を画像形成していることを知っている。
再度、図8および10のキャリブレーション開始を参照すると、スキャナはZキャリブレーション表面138の2つの画像を取り、一方は距離Z1であり、他方は距離Z2である。投影パターンの各光線Rn,mがアレイによって画像形成されるピクセルアドレスは、図24に示されるように、キャリブレーション表#1としてここに称されるキャリブレーション表に格納される。この点で、キャリブレーション表面がスキャナの前の虚平面Z1に対してZ方向に動くときに、投影パターンの画像形成がどのように変動するかを知っている。しかし、XおよびY関係は未だにわかっていない。したがって、スキャナは、公知の外形のパターンを使用してXおよびY方向にキャリブレートされなければならない。これは、図8および13から16に関連して説明される。
図13は、図8のX−Yキャリブレーション表面140の例示であり、キャリブレーション表面140のQ×P点(小さな開口部143)のアレイが、十字形145の形状で、表面140の中心に基点を有する座標システムに編成されるのを示す。キャリブレーション表面140は、4つの象限IからIVから構成されるとして概念的に説明される。図23は、基点における表面の点の1つの可能な番号づけ規則を示す。例示された実施形態において、X−Yキャリブレーション表面140の点は、実際に、公知の距離(たとえば1mm)だけ互いから間隔をおいた小さな開口部である。開口部は、表面140の後ろに位置決めされた光源142が起動されるときに、複数の点光源として作用する。光のこれらの点は、キャリブレーションステップの第2のパートの間に電子画像形成装置56によって画像形成される。XおよびY方向の基点からピクセル信号(表面140の点源の画像形成を示す)を数えることによって、表面140のどの点がどのピクセルによって、再度サブピクセル解像度で、画像形成されているかを決定することができる。投影パターンの特定の部分を照明するピクセルのアドレスを知っており、このピクセルが画像形成している表面140の基点からの距離を知ることができるため、XおよびY方向のピクセルをキャリブレートすることは可能である。図25に示される第2のキャリブレーション表を中間ステップとして使用して、図24の主要キャリブレーション表#1用のXおよびY方向の距離値を作製する。
この処理は、実施例によって説明される。図15は、キャリブレーション中に電子画像形成装置によって先に画像形成されたX−Yキャリブレーション平面の2つの点から走査された物体から所与の光線R2,3用のXおよびY方向におけるピクセルアドレスの補間を示す例示である。図15は、投影パターンの所与の点、光線R2,3が、象限IIIにある表面140の点を画像形成したピクセルの間、すなわち、基点の左側の14点と15点との間および基点の下の14点と15点との間にあるピクセルによって画像形成されることを示す。これは図21によって提案され、図21は、光線R2,3がCCD値に画像形成される場所を示す。
図21は、X−Yキャリブレーション表面140の対応する点が電子画像形成装置のピクセルによって画像形成される場所も示す。図21に示されるように、本実施例において、ピクセル値はXおよびY方向の30と90との間にある。
図25は、図24に示されるキャリブレーション表1のXおよびY方向の距離項目を作製するのに使用されるX−Yキャリブレーション表#2を示す。図25は、X−Yキャリブレーション表面140の各点用に、これらの点を画像形成するピクセルの対応するピクセルアドレスが識別され表に格納されることを示す。
これは、X−Yキャリブレーション表面140の4象限のすべての点に行われる。これらの値は、X−Yキャリブレーション表面が距離Z1およびZ2の両方に位置決めされ、画像が両方の点で生成されるときに得られる。表の項目は、XおよびY方向のピクセルアドレスであり、サブピクセル解像度で表される。象限I用の代表的項目が示され、項目は、X−Yキャリブレーション表面のすべての点用に作られることが理解される。
今、Zキャリブレーション手順からの投影パターンの光線R2,3が(キャリブレーション表面138を使用して)、特定の場所で画像形成されているならば、表#1用の項目をmmで計算するために、図25のキャリブレーション表#2を使用することができる。再度、本実施例を使用して、光線R2,3(投影パターンの線2、列3に対応する)が、Z=Z1で、X方向に30.2、Y方向に36.2のアドレスを有するピクセルによって画像形成されると想定する。mmでの距離は、図25のキャリブレーション表2の項目の補間から計算することができる。これは、線2、列3の項目用に示される。Z=Z1の距離で、この点は、X方向に30.2、Y方向に36.2のピクセルで画像形成され、これは、基点からX方向に−14.6mm、Y方向に−14.4mmの距離に対応する。同様に、Z=Z2では、この点は、X方向に43.0、Y方向に31のピクセルによって画像形成され、これは、X方向に−14.8mm、Y方向に−15.8mmの距離に対応する。この情報は、図26に示されるように、表#1に記入される。
この補間は、スキャナから未知の距離Z’でピクセルアドレスと物体用の距離との間に存在する線状関係の利点を有する。これは、図22から最良に理解される。光線Rn,mがZ=Z1で画像形成装置の1つの点160に画像形成され、且つ、Z=Z2の距離で別の点162に画像形成されることを知っているため、光線は、Z’がZ1とZ2との間にある点線164に沿っていなければならない。
同様に、Z’>Z2の場合、166で示される線に沿っている。Z’<Z1の場合は、線168に沿う。距離とピクセルアドレスとの間のこの線状関係は、光線Rn,mおよびmmでのXおよびY距離に関するZ情報を得るためのキーである。
さらに、ΔZはキャリブレーション中に正確に知られ(たとえば、例示された実施形態では7mm)、線状関係がピクセルアドレスと距離との間に存在するため、正確に光線Rn,mが線164、166または168に沿っている場所が、仮想平面Z1に対するZ方向における未知の物体の位置を正確に教える。光線Rn,mが電子画像形成装置によって画像形成されているこの場所は、ここに記載されるパターン認識およびデコーディング処理によって到達される。
再度、図16および17の例を参照すると、光線Rn,mはCCDの領域で画像形成され、これが表1(図25)に格納されることを知っている。キャリブレーション表2(図26)から、光線Rn,mの領域におけるX−Yキャリブレーショングリッドでの隣接する点のXおよびY座標を知っている。X−Yキャリブレーショングリッドの点は公知の距離だけ互いから離れているため、XおよびY座標の補間によって、基点からmmで距離を計算することができる。これは、投影パターンのすべてのN×M部分に行われる。
たとえば、図24のキャリブレーション表1によって、光線R2,3が、Z=Z1ではピクセルアドレスX=30.3およびY=36.2で画像形成され、Z=Z2ではピクセルアドレスX=43およびY=31で画像形成されることがわかる。次いで、表2(図25)の項目を見ると、表2のピクセルアドレスを見ることによって、X−Yキャリブレーショングリッドにおいて、もっとも近いXおよびY点がみつかる。これは、図16に見られる。表1から公知のピクセルアドレスへの表2のピクセルアドレスの補間は、結果としてmmでX、Yアドレスになる。本実施例において、mmでX=−14.6、mmでY=−14.4である。
結果は今、表1に加えられる。図26参照。距離Z=Z2に関して同一のことが行われる。当然ながら、投影パターンのすべてのN×M光線に同一のことが実施され、結果として、完全に満たされたキャリブレーション表が得られる。図26の表#1は、光線R2,3の項目を示すのみであるが、処理は、Z=Z1およびZ=Z2用のすべての光線に対して行われる。
図20は、電子画像形成装置の光学要素に対して、2つの点Z1およびZ2で図7のキャリブレーションステーションからX−Yキャリブレーション平面の点を例示する。Z=Z1であるときに、X−Yキャリブレーション平面のいくつかの点が画像形成されずに、Z=Z2のときに画像形成されることは明らかである。これらの点は、Q方向でΔQで示され、P方向にも存在する。キャリブレーション表2は、これらを考慮に入れる。4つのすべての象限でいくつかの点は、Z=Z1では画像形成されなくてもよく、X−Yキャリブレーション中にZ=Z2で画像形成される。170で示される点は、Zの両方の値で画像形成される。
上記から、本発明の1つの態様において、機械読取可能メモリが、スキャナによって走査される物体の三次元情報を計算するのに使用されるスキャナ用に提供される。メモリは、走査ユニット自体内にあってもよく、スキャナ用の別個のワークステーション内にあってもよく、または、獲得された画像データを処理し物体の三次元モデルを作製するリモートコンピュータ等の計算装置内にあってもよい。メモリは、表等のスキャナ用のキャリブレーション関係を含むデータ格納場所のアレイを備える。キャリブレーション関係は、スキャナから2つの異なる距離に位置するキャリブレーション表面に投影されたパターンの多数の部分用のピクセル座標と、2つの異なる距離用のパターンの部分のXおよびY方向の距離情報と、を識別する。メモリに格納されたキャリブレーション項目によって、走査システムは、電子画像形成装置に投影パターンを反射する物体上の点用の三次元座標を計算することができる。
スキャナは完全にキャリブレートされたため、未知の距離で且つ未知の表面構成を有する物体を走査する準備ができる。表面用のX、YおよびZ座標の導出は、次のセクションで説明される。
1画像当たりの3D点クラウドの導出(図6、ステップ6)
図6および26を参照して、単一のキャプチャされた画像用の三次元の空間座標の導出を説明する。キャリブレーション中に完全に満たされた表1の項目により、スキャナは、今や、未知の距離でいずれの物体用のX、YおよびZ座標を導き出すことができる。スキャナは、距離がZ1とZ2との間にあるときに、キャプチャされた画像の焦点が合うように、もっとも正確であるが、この範囲外の距離は依然として、画像形成されデコードされることが可能である。
第1に、電子画像形成装置56が画像をキャプチャし、画像は、上記詳述のように、図6のステップ80および82でパターン認識およびデコーディングを受ける。この処理は、結果として、物体に投影されCCDのピクセルによって画像形成されるパターンのすべての線および着色ドット用にメモリに格納される1セットのピクセル座標になる。キャプチャされた画像のピクセルアドレスを図26の表1の項目(キャリブレーション中に完全に満たされた場合)と比較すると、三次元で、キャプチャされた画像のすべての点の座標が得られる。
処理は下記の通りである。
第1に、パターンの部分の公知の線および列番号、および、関連ピクセル番号が与えられ、表1を使用してキャプチャされた画像に見いだされた投影パターンのすべての部分のZ値を計算する。仮想平面Z1から測定される、いずれの点用の、未知の距離Z’は、下記の通りである。
Figure 2008110203
ただし、ΔZは、上述のキャリブレーション開始におけるZ1からZ2への距離である。
例として光線R2,3を使用して、この光線がX方向のピクセル#35で画像形成されるのであれば、表1から下記の通り計算される。
Figure 2008110203
したがって、Z’=0.375×7.0mm、すなわち2.625mmである。光線R2,3を反射する物体上の点は、仮想平面Z1から2.625mmである。物体のすべての他の点用のZ値も、仮想平面Z1に対して測定される。
今、表1(図26)を参照して、空間におけるこの点のXおよびY方向のmm値を決定し、表1のmm項目に別の補間が実施される。下記の通り計算される。
パターンの線2、列3は知っているため(パターン認識およびデコーディングから)、表1のmm項目を補間する必要がある。
X値は、−14.6と−14.8との間であり ΔX=0.2mm
Y値は、−14.4と−15.8との間であり ΔY=1.4mm
Xの真値=XatZ1−(σ×ΔX)、同様に、Yの真値=YatZ1−(σ×ΔY)である。
したがって、
光線R2,3用のXの真の値=−14.6−(0.375×0.2)=−14.675mm
光線R2,3用のYの真の値=−14.4−(0.375×1.4)=−14.925mm
である。要約すると、光線R2,3を反射する物体の点用のX、YおよびZ座標は、
X=−14.675mm
Y=−14.925mm
Z=−2.625mm
である。
これらの点は図6のステップ86で走査ワークステーション16のメモリ42に格納される。この処理は、キャプチャされた画像に記録される投影パターンのすべての光線Rn,mに実施される。結果は、各キャプチャされた画像用に、空間における1セットの三次元座標であり、ここでは「フレーム」と称される。この点のセットは、汎用コンピュータでほんの一瞬で計算することができる。
パターン認識、デコーディングおよび3D座標計算処理は、これから、歯の二次元ビットマップ画像を参照して説明される。下記に記載される処理は、走査されるいずれの物体でも同一である。
パート3 デジタル印象の作製
患者の生歯の完全三次元モデルを、本発明の走査システムから作製することができる。この処理には、オペレータがスキャナ14(図3)を生歯上を、好ましくは生体上で、動かし、一連の画像のフレームを作製することを必要とする。フレームは、スキャナが歯上を動くときに、少なくとも1秒間に1フレームの割合で得られる。顎全体の走査には、操作上の制約および画像をキャプチャする際の途切れのため、3つの別々の走査オペレーションまたは「セグメント」が必要である。走査が行われているときには、キャプチャされた画像のストリーム用に、図6の4つのステップが実施される。最終結果は、1セットのフレームを走査ワークステーション16のメインメモリに格納することである。フレームは、下記に詳述される様々なフレーム位置合わせ技術の1つまたはそれ以上を使用して、位置合わせすることができる。ひとたびすべてのフレームが互いに対して位置合わせされると、患者の生歯の完全三次元仮想モデルが、歯列矯正医のためにディスプレイされる。このコンピュータモデルは、診断および治療計画に基礎情報を与える。全体的歯列矯正ケアシステムの治療計画態様に対する導入は、パート4に述べられる。
図27は、走査ワークステーション16における信号処理前の、図1、2、3および4のスキャナの電子画像形成装置56によってキャプチャされた歯および関連解剖学的構造物の二次元ビットマップ画像の例示である。図27を調べると、画像は、歯および関連解剖学的構造物から反射されるときに、投影パターンの様々な線および着色ドットを含むことがわかる。これらの線および着色ドットが画像形成装置56に画像形成される場所は、歯および関連解剖学的構造物の三次元形状に関する情報を含む。
図6に戻って参照すると、第1のステップは、キャプチャされた画像におけるパターン認識処理である。図28は、パターン認識および除去操作を実施した後の図27の画像の例示である。除去操作は基本的に、パターン認識処理が、たとえば表面が焦点ずれであるため(すなわち、スキャナ光学素子の範囲外)、線および着色ドットを検出することができない場合に、これらのピクセル用にゼロピクセル値に戻す。
図28の画像にデコーディング操作を行った後には、結果として、投影パターンのデコードされた光線Rn,mが画像形成装置56に画像形成された1セットのピクセル位置が得られる。ステップ84は、スキャナ用のメモリに格納された図26のキャリブレーション表#1を使用して、すべてのそのような光線用に実施される。結果として、図6のステップ86で、画像のすべての点用に1セットの三次元座標が得られ、点クラウドは「フレーム」を備える。図29は、データの単一「フレーム」の例示であり、すなわち、ここに記載されるパターン認識、デコーディングおよび3D座標計算によって単一の二次元画像から計算された走査された物体の三次元点クラウドである。
図30は、図29のクラウドの点の例示であり、その中で、クラウドの3つの隣接する点が一緒に結合されて三角形表面を形成する。位置合わせ処理における三角形表面の使用法は下記に記載される。図31は、図30に示された三角形表面から形成された三次元表面の別の図である。図32は、図31の表面の図であり、平滑化アルゴリズムによって滑らかにされ、物体の表面のより滑らかな表示を与える。1セットの三次元座標を取りそれらをコンピュータモニタにディスプレイするための市販の在庫品ソフトウェアが存在し、そのようなソフトウェアを使用して三次元表面をディスプレイする(ユーザの所望による)。
図33は、スキャナの電子画像形成装置56によって得られたビットマップ画像の別の例である。図34は、図6のステップを実施した後の、図33の二次元ビットマップ画像から得られた三次元表面の平面図である。
図35は、図34に示された三次元表面の斜視図である。ソフトウェアプログラムによって、表面はいずれの自由度で回転することができ、表面の完全検査および目視分析を可能にする。
スキャナおよび走査された物体は、走査された画像をキャプチャしている間に、互いに対して動くため、大多数のフレーム用の三次元座標は互いに一致しない。言い換えると、点は各画像用に異なる空間配向から画像形成されたため、物体上の所与の点用のX、YおよびZ座標はフレームごとに変わる。したがって、物体の完全な全体的デジタルモデルを作製するために、フレームを互いに対して位置合わせしなければならない。本発明は、フレームに実施されるべき様々な位置合わせ手順を提供し、他のフレームの物体の座標に対して1つのフレームの物体の座標用に最良適合解法を見いだす。これらの位置合わせ手順は、下記セクションに記載される。
図36は、上顎および下顎の一連の走査から患者の生歯の完全三次元モデルを作製するために実施されるステップを例示するフローチャートである。ステップは、位置合わせ処理への項目点を決定するステップ190と、1つのフレームを別のフレームへ位置合わせするフレームからフレームへの位置合わせ処理ステップ192と、セグメント(すなわち、何らかの理由で走査が中断された走査の部分)を互いに対して位置合わせするためのセグメント位置合わせ処理194と、最後に、フレームが他のすべてのフレームに位置合わせされて、フレームからフレームへの位置合わせによって得られるよりも、わずかにより正確な物体のモデルを得るための累積位置合わせ処理196と、を含む。用途によって、ステップ194は必要でなくともよく、フレームからフレームへの位置合わせのみが必要であってもよく、または、ユーザが累積位置合わせのみを望んでもよく、ステップ192または194はまったく実施されないことが理解される。
位置合わせの結果として、スキャナによってキャプチャされたフレームからすべての点を含む三次元モデルが得られる。そのようなモデルの例が、図37Aに示され、表面199は、三次元空間におけるすべてのフレームの点の総計を示す。図37Bは、表面の1つの小さなセクションを例示し、たとえば、3つのフレームから三次元空間の点を示す。
好ましい位置合わせ技術は、1セットの点を別のセットの点に位置合わせするのではなく、先のフレーム(または一群のフレーム)によって形成された表面へ、フレームを備える1セットの点(三次元座標)を位置合わせすることに関与する。これは、例示された実施形態に使用される比較的粗い投影パターンによる。
点は、物体の湾曲に比較して、密度が低くてもよい。図37Cは、歯の走査から1つのフレームを示し、フレームの点は線によって接続され1セットの三角形表面を形成する。投影パターンの粗さ(および点クラウドにおける広く間隔をおいた点)は、表面の所与の部分が重なり合うフレームによって捉えられるという事実によって補償され、1つのフレームの点から先のフレームの表面へ、または、先に位置合わせされた2つ以上のフレームによって規定された表面へ、位置合わせが行われる。ここに記載される位置合わせ処理によって、最終的に、三次元モデルの微細解像が可能になる。これは、図37Dによって示され、歯のきわめて微細且つ高解像度の仮想モデルを作るために、互いに対して位置合わせされた歯の走査用のすべてのフレームを示す。
A.位置合わせへの項目点(図36のステップ190)
位置合わせ処理は、1つのフレームすなわちフレームiを別のフレームすなわちフレームi+1へ適合させるための開始点を必要とする。開始点は、例示の実施形態では、X、YおよびZ方向のフレームの重なり合う点の間のずれの大まかな計算である。先行技術のシステムは、スキャナと物体との公知の物理的配列のため空間的関係を予め良好に知っているが、本発明はそうではない。開始点は、1つのフレームと先のフレームとの間の(および、1つのフレームと1セットの先のフレームとの間の)空間的関係の最初の想定である。
XおよびY方向のずれを計算する方法は、図38AからCに例示される。図38Aから38Cは、XおよびY方向の二次元相互相関手順の例示である。手順は、図39Aおよび39Bの手順とともに、データの連続したフレームの間の位置合わせアルゴリズム内に最初の項目点を見いだすのに使用される。
図38Aおよび38Bから、フレームi+1がフレームiからXおよびY方向へ動くのを見ることができる。移動の量、ΔXおよびΔYを得るために、各列のすべてのピクセル値を加え、一次元Yベクトルを獲得し、且つ、各欄のすべてのピクセル値を加え、一次元Xベクトルを獲得することによって、画像はX軸およびY軸の両方に投影される。これは、両方のフレームで実施され、結果として、Xframe iおよびXframe i + 1、および、Yframe iおよびYframe i + 1が得られる。ベクトルは平滑化され、投影されたパターンの影響を抑える。
ΔXを計算するために、フレームiのXベクトル(フレームi−Xframe i)およびフレームi+1のXベクトル(フレームi+1−Xframe i + 1)の各値の間の差の絶対値が、−xa<k<+xeの範囲内で変動する位置シフトで計算される。これらの値の合計が、一定量のkによってシフトされるXframe iおよびXframe i + 1の相似を表す。kの最小値が決定される。この結果は、ΔX方向にシフトまたは移動を与える。
同一の処理がY方向にも実施される。図38Cに見られるように、フレームiが量ΔXおよびΔYだけ動く場合、両方のフレームの重なり合う点は同一の値を有し、ピクセル値の差の合計は、ほぼゼロになる。
図39Aおよび39Bは、2つの連続したフレーム、すなわち、本実施例ではフレーム1およびフレーム2用の、Z方向における一次元相関手順の例示である。線200は、点クラウドに3つの隣接する点を接続することによって形成される、第2のフレームの三次元表面を表す。点202のセットは、フレーム1を表す点クラウドの点を表す。Zのずれ、すなわち、ΔZを計算するために、フレーム2のすべてのZ値の合計が取られ、結果を点の数で割り、結果としてフレーム2の平均Z値が得られる。同一のことがフレーム1にも行われる。フレーム2の平均Z値とフレーム1の平均Z値との差が、Zのずれ、ΔZである。図37Bは、量ΔX、ΔYおよびΔZだけフレーム1が移動した後の結果を例示する。結果は、フレーム1の点がフレーム2の三角形表面にきわめて近いということである。ΔX、ΔYおよびΔZの値は、フレーム1に格納され、位置合わせ処理の項目点として使用される。
B.フレームからフレームへの位置合わせ
フレームからフレームへの位置合わせは、1つのフレームを別のフレームに位置合わせする処理であり、すなわち、移動および回転における最長適合が、フレーム内で重なり合う点を互いに一致させることを見いだす処理である。フレームが順番に作製される場合、フレームからフレームへの位置合わせは、第2のフレームから第1のフレームへ、第3のフレームから第2のフレームへ、第4のフレームから第3のフレームへ、等の、位置合わせを意味する。フレームからフレームへの位置合わせは、非常にすばやく実施することができる。走査システムのオペレータが、走査ワークステーションのモニタでフレームからフレームへの位置合わせの結果を見ながら、依然として患者を走査しているというやり方で、実施することができる。オペレータが見るものは、モニタ上の生歯の正確な三次元表示であり、今まで走査された生歯の部分である。追加フレームが得られると、先のフレームに位置合わせされ、コンピュータモデルに加えられる。走査が完了すると、コンピュータモデルをモニタ上で回転して、歯および解剖学的構造物のすべての関連部分が走査されたか否かを検査することができる。ユーザはしたがって、フレームからフレームへの位置合わせを使用して、走査結果に即座のフィードバックを得る。
図40Aから40Dは、1セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせ処理のフローチャートであり、各フレームは、走査された物体の三次元点クラウドから構成される。各フレームは一般に、画像キャプチャ中にスキャナが動くため物体に対するスキャナの異なる空間配向から作製され、したがって、フレームは、少なくともある程度、重なり合う。位置合わせ処理を使用して、互いに対するフレームの間の最良適合を見いだし、それによって、すべてのフレームから物体の表面の完全三次元仮想モデルを提供する。フレームからフレームへの位置合わせの最終結果は、走査された物体の実質的に正確な三次元モデルである。この物体は、コンピュータメモリの大きなセットの点座標によって表される。
結果もまた、先のフレームに適合するために、各点のフレームがどのように三次元で移動し回転しなければならないかに関する情報を提供する1セットの変換マトリクスとして表される。
フレームからフレームへの位置合わせ処理は、反復性処理でもある。各反復の最後に、三次元で2つのフレームが互いに対してどれほど「近い」かに関して比較が行われる。十分に近くない場合は(「近さ」は、品質指数によって、すなわちミクロンで、絶対的に決定される)、第1の反復を使用して、別の反復が行われる。フレームからフレームへの処理は、ユーザがどれほど微細なまたは正確な位置合わせを望むかに依存して、何十または何百もの反復が続いてもよい。2つのフレームの間で最良適合に到達した場合、または、最大数の反復が起こった場合、処理は停止する。
図39および41から43とともに図40Aから40Dを参照すると、最初のステップ209は、位置合わせ処理の項目点として実施される。このステップで、図39Aの処理および先に記載した処理を実施して、フレームi−1およびフレームiのZ座標変換を行う。基本的に、この変換は、両方のフレームのZ座標値を個別に合計して、各フレームの中央Z値を求め、これらの中央値から差またはΔZを求め、この量によって一方のフレーム(フレームi)をシフトし、そのフレームのすべての点のZ座標をフレームi−1の点に近づけることによって、実施される。ステップ209の理論的根拠は下記の通りである。表面のZ軸測定は、スキャナ運動の自由度を表す。Z方向におけるスキャナ運動は、走査されている物体に重大な新しい情報を提供しない。しかし、電子画像形成装置の焦点光学素子のため(図7の108)、物体の目に見える表面は、スキャナが表面に対してZ方向にどれだけ動くかによって、わずかに小さくなるか大きくなるかし、一方、目に見える区域の表面の中心(または、おおざっぱに言うと「重力の中心」)は、基本的に、Z方向運動とほぼ同一のままである。Z座標変換ステップ209は、Z表面座標を標準化することによってこの効果を排除する。この処理は、下記に記載されるステップ2の排除基準も可能にし、それによって、重なり合わない点および浮遊データ点が位置合わせ処理から排除される。
位置合わせ処理自体は、図40Aのステップ1、209で開始する。このステップでは、フレームiのすべての点からフレームi−1の表面への最小距離ベクトル248(N1、N2、...)が計算される。フレームの表面は、隣接する点を一緒に三角形または他の多角形とともに接続することによって容易に得ることができる。フレームiの各点用の最小距離ベクトルは、下記の3つのベクトルのうちの最小である大きさを有する距離ベクトルとして規定される。すなわち、1)三角形表面へ直角なフレームi−1の三角形表面へ交差する点から最短のベクトル、2)フレームi−1の三角形表面の縁へ直交する点から最短のベクトル、3)フレームi−1の最近点への点から最短のベクトルである。これは、法線ベクトル、すなわち上記タイプ1)であることが最も多いが、常にではない。図41の実施例において、最小距離ベクトル248は、フレームiの点250からフレームi−1の三角形表面252へ計算され、ベクトル248は表面252に対して直角である。
ステップ2(図40Aの212)において、2つのフレームの間の重なり合わない点を排除し、浮遊データ点を排除するために、3つの排除基準がステップ1の最小距離ベクトルに加えられる。第1に、フレーム1の境界要素(縁または点)に関係するすべての最小距離ベクトルが排除される。第2に、一定の予め規定された値Rを超える量を備えて浮遊データ点を示すと思われるすべての残りの最小距離ベクトルが排除される。第3に、スキャナの見る方向に対して外側表面を形成する三角形表面のみが考慮に入れられる。すべての表面は、定義上、2つの側部を有する。「外側」表面は、スキャナに向けて配向している物体の表面であるとみなしている。
ステップ3(214)では、すべての最小距離ベクトルN1...NNのベクトル合計が計算される。これは、図42に示され、ベクトル254はベクトル合計を表す。
ステップ4(215)では、ベクトル合計254にスカラー1/Nを乗じることによって、中央値最小距離ベクトル(t)が計算される。中央値最小距離ベクトルは、基本的に、フレームi−1に良好に適合するためにフレームiがどのようにX、YおよびZ方向に移動するべきかの目安を構成する。今や、位置合わせ処理は回転要因を計算する必要があり、これはステップ5から8によって説明され、フレームi−1に良好に適合するためにフレームiがどのように回転しなければならないかを示す。
ステップ5(216)では、中央値最小距離ベクトルのX、YおよびZ構成要素が、フレームiのすべての点から引かれる。これは、フレームi座標のコピーを作り、手順の中間ステップとしてコピー上で操作することによって実施され、フレームiからの基礎となるデータは変更されない。同一のステップで、ステップ2によって排除されていないフレームiの点の「質量中心」が計算される。「質量中心」は、点の数の逆によってスケールされたすべての言及点の位置ベクトルのベクトル合計として規定される。
ステップ6(218)では、フレームiのすべての点用に2つのベクトルのクロス乗積の計算が行われる。図43を参照すると、2つのベクトルは下記の通りである。すなわち、1)ステップ5で計算されたようにフレームiの残りの点の質量中心のベクトルによって減じられた、グローバル座標システムの基点253からフレームiの点へ拡張する位置ベクトルVi、および、2)その点用に識別された最小距離ベクトルNiである。
ステップ7(220)では、ステップ6で計算されたクロス乗積のベクトル合計の計算が行われ、これは、フレームiのすべてのi点用に正味クロスベクトル
Figure 2008110203
であり、ただし、xはクロス乗積演算子である。
ステップ8(222)では、ステップ7のベクトル合計が、フレームiの点の位置ベクトル(Vi)のすべての二乗の合計の逆に対して重みづけされ、回転ベクトルUに到達する。Uは、下記のように解釈される。すなわち、Uの方向は回転軸を与え、Uの大きさは回転の角度または量である。特に、Viを座標システムの基点からすべての点の頂点への位置ベクトルであるとみなし、且つ、Niを上記規定された最小距離ベクトルであるとみなすと、下記のように重みづけされる。
Figure 2008110203
この重みづけの背景にある推論は下記の通りである。距離ベクトルを線状ばね要素の実現と仮定すると、クロス乗積のベクトル合計は、両方のフレームの間に作製された集合モーメントまたは回転矛盾を表す。フレームiの位置とその最終位置との間の逸脱が小さい場合、回転モーメントが必要な調整の方向も決定すると想定することができる。位置ベクトルの二乗の合計の逆の補助によるスケーリングは、フレームiのグローバル展開を考慮する。すなわち、中心からの点の距離が大きくなればなるほど、回転モーメントと、現在の位置と目標位置との間の角度と、の割合が大きくなる。グローバル的には、上述の因子(位置ベクトルの二乗の合計の逆)がこの割合を説明する。
適切なスケーリング因子の導出は、決して正確な計算ではない。しかし、すべての経験的ケースにこの因子を使用して、重なり合う領域および変換の実行を規定する反復が集束することがわかった。
ステップ9では、ステップ8の結果が、経験的「加速因子」fでスケールされる。因子fは、この集中をできる限り加速するように作用する。1よりも大きいfの値が、比較的大きい回転変位には適切であるが、いずれにせよ経験的に決定されなければならない。
ステップ10(226)では、ステップ9の結果が回転の軸として解釈され、その大きさが、両フレームの局所重なり合い区域が互いに中にあるようにするためにフレームiが回転しなければならない量を示す。回転ベクトルの大きさは、フレームiがそのまわりを回転しなければならない角度として解釈される。
フレームi用の回転変換マトリクス[T](R)が計算される。この公式は、ステップ9から生じる回転ベクトルをどのように転換するかを示し、ただし、βは、フレームiのフレームi−1に対する重なり合い区域に適合するのに必要な回転角度に等しい正味クロスベクトルの元々の長さであり、uはUの単位ベクトルであり、
Figure 2008110203
であり、構成要素ux、uy、uzを備える。
Figure 2008110203
閉鎖方式で移動および回転の変換を計算するための独特の変換演算子を得るために、4×4マトリクス表示が使用される。4×4表示と3×3マトリクス[T](R)によって表される三次元回転との間の関係は下記の通りである。
Figure 2008110203
4×4表示とベクトル(t)によって表される三次元変換との間の関係は、下記の通りである。
Figure 2008110203
この4×4マトリクスを三次元ベクトルに適用するために、下記の転換が行われる。すなわち、三次元ベクトルは、4ベクトルの最初の3つの構成要素を三次元ベクトルの構成要素で識別するが、第4の構成要素は常に固有であることによって、四次元ベクトル空間に変換される。(x、y、z)→(x、y、z、1)
ステップ11(図40Cの228)では、フレームi用の変換マトリクス[T4](i)が、回転マトリクス[T4](R)(右から)にステップ4からの変換マトリクス[T4](t)を乗じることによって計算される。[T4](i)=[T4](R)[T4](t)。
あるいは、フレームiの点クラウドを、回転マトリクスおよび変換ベクトルによって別個に独立して操作することができる。
ステップ12(230)では、図40Aのステップ1(210)で計算された最小距離ベクトルの二乗の合計の平方根の計算が行われ、これは、この反復における位置合わせの近似因子品質を示し、下記の値MAである。ステップ12(232)では、近似因子MAが、品質指数または成功位置合わせを示す閾値(たとえば50ミクロン)に比較される。値MAが品質指数よりも大きければ、位置合わせ処理は別の反復を繰り返される。ステップ234に示されるように、i番目のフレームのすべての点が、変換マトリクス[T4]iの操作によって更新される。処理は236に示されるようにステップ1へ戻り、ステップ1から13の別の反復が実施される。
近似因子MAが品質指数よりも小さい場合には、位置合わせ処理は次のフレームへ進む。図40Dに示されるように、ステップ14で処理は、変換マトリクス[T4]iの適用後に、次のフレーム(フレームi+1)およびフレームiを検索する。ステップ15(240)では、フレームiおよびフレームi+1用に、ステップ1から14の反復処理が繰り返される。この処理は、ステップ16(242)に示されるように、すべてのNフレームが位置合わせされるまで続く。処理の最後で、結果として、三次元モデルを備える1セットの点、および、フレームの各々(第1のフレーム、すなわちフレーム1以外)用の1セットの変換マトリクス[T4]2から[T4]Nが得られ、これを使用して三次元モデルを作製する。フレーム1等の1つのフレームは、第1に作製されたフレームであり、位置合わせ用の開始フレームとして選ばれ、そのフレーム用の変換マトリクスはない。
図45は、正味法線ベクトル、三角形表面、クロスベクトル等を計算するときに使用されるフレームの点の数を除去するかまたは制限するために、範囲変数Rを使用することができることを例示する。範囲変数Rの目的は、先のフレームの三角形表面からかけ離れた浮遊データ点を選別して除くことである。浮遊データは、変換マトリクスの項目をゆがめ、品質指数が満たされるまで反復の数を増やすという影響を有する。Rは、1mmであってもよく、または、1/50mm等のようにずっと小さくてもよい。
図46は、フレームからフレームへの位置合わせ処理が終了する2つの方法を例示する。線260によって示されるように、近似因子が閾値、ここでは30ミクロン、よりも下になるときに、処理は終了してもよい。あるいは、近似因子が、図40のステップ1から13のさらなる反復にもかかわらず、品質指数よりも上の値で横ばい状態になることがある。これは、線262によって示される。近似因子MAが、10反復後、1反復につき少なくとも何らかの量(たとえば1パーセント)改良されない場合、処理は完了したと判断される。ここで、記号表示xは、先の反復からその反復までの品質指数の改良の量が最初に閾値、たとえば1パーセント未満になった反復を示す。
C.顎全体の累積位置合わせ
上記のように、累積位置合わせは、フレームからフレームへの位置合わせの代替または改良である。これら2つの差は、フレームからフレームへの位置合わせは、1つのフレームを別の1つのフレームに位置合わせするだけであるのに対し、累積位置合わせは、1つのフレームを2つ以上のフレームに位置合わせし、たとえば、1つのフレームが、すべての先に位置合わせされたフレームに位置合わせされるということである。実施することができる多数の種類の累積位置合わせがあり、そのうちの数例をここに挙げる。累積位置合わせの利点は、結果として得られる三次元モデルがより正確であることである。不利な点は、累積位置合わせは、大幅にコンピュータ集約的になり、したがって、現在市販の低コストのマイクロプロセッサまたはコンピュータを使用して実施するには多くの時間が必要であるということである。
図47Aおよび47Bは、1つの可能な累積位置合わせ手順の簡略化した例示である。図47Aは、フレーム2の三角形表面とフレーム1の点とを示す。図47Aに表される点および表面は、実際には三次元である。フレーム2をフレーム1に位置合わせした後に、フレーム3を準備する。フレームからフレームへの位置合わせとは異なり、フレーム3は、フレーム1とフレーム2との両方に位置合わせされる。言い換えると、三角形表面はフレーム3の点上に形成され、最小距離ベクトルはフレーム1およびフレーム2(フレーム1への位置合わせ後)の点の各々用に計算され、図40の他のステップが実施される。各新しいフレームが検索されるときには、先の位置合わせの後に、すべての先のフレームからの点の総計へ位置合わせされる。
図48Aから48Cは、1つの可能な累積位置合わせ処理のフローチャートである。ステップA(270)では、第1のフレームの点がメモリから検索される。
ステップBでは、第2のフレームの点がメモリから検索される。
ステップCでは、変換マトリクス[T]2がフレーム2用に検索される。この処理は、たとえば、フレームからフレームへの位置合わせを実施した後に、各フレーム用の変換マトリクスが既に生成されていることを想定する。
ステップDでは、変換マトリクス[T]2がフレーム2に加えられる。
ステップEでは、変換マトリクス[T]2がフレーム2に加えられた後に、フレーム1の点のフレーム2の点への位置合わせが実施される。基本的に、図40Aから40Bのステップ1から11が実施される。
ステップFでは、位置合わせの品質が閾値未満であるか否かに関するチェックが行われる。そうでなければ、位置合わせが再度実施される(新しい変換マトリクスによって更新されたフレーム2の点で)。ステップ278および280は、品質閾値が満たされるかまたは最大数の反復が起こるまで、何回も何回も繰り返し実施される。
指数が満たされるかまたは最大数の反復に達すると、処理はステップG(282)へ進む。[T]2’で示されるフレーム2用の新しい変換マトリクスが獲得され格納される。
ステップHでは、新しい変換マトリクス[T]2’がフレーム2の点に加えられる。
ステップIでは、フレーム2の新しい変換された点が「グローバルコンテナ」に加えられる。グローバルコンテナは、単に、フレーム1からの点および変形されたフレーム2の点を含むメモリ位置である。
ステップJでは、フレーム3およびその変換マトリクス[T]3がメモリから得られる。
ステップKでは、変換マトリクス[T]3がフレーム3の点に加えられる。
ステップLでは、グローバルコンテナのすべての点に対して、変形されたフレーム3の位置合わせが実施される。図40のステップ1から11が実施される。
ステップMでは、品質指数が閾値より下であるか否かに関するチェックが行われる。そうでなければ、位置合わせ処理の別の反復が実施される。品質指数が閾値より下になるかまたは最大数の反復に達するまで、これは繰り返される。
指数が満たされる(または最大数の反復に達する)と、処理はステップNへ進む。新しい変換マトリクス[T]3’が獲得され、メモリに格納される。
ステップOでは、この新しい変換マトリクスがフレーム3の点に加えられる。
ステップPでは、変換操作が実施された後に、フレーム3の点がグローバルコンテナに加えられる。
ステップQでは、Nフレームの残りに対して、図48のステップAからPの処理が実施される。
ステップRでは、すべての変換マトリクス[T]2’…[T]N’が、バックオフィスサーバのハードディスクに格納される。完成したグローバルコンテナ(完全三次元モデル)が再度、後の日付で(または別のワークステーションに)作製される必要があるときにはいつでも、これらの変換マトリクスが使用される。モデルは、単に、[T]2’…[T]N’を、フレーム2…Nを備える未加工のフレームデータへ加えることによって作製される。
ステップSでは、グローバルコンテナがユーザにディスプレイされる。これは、バックオフィスサーバ28のモニタに、または、走査ステーション16のモニタ20に行うことができる(図1)。グローバルコンテナは物体のデジタル表示であるため、コンピュータネットワークにわたって運ばれ、別の端末によってディスプレイされ、共有されることが可能である。たとえば、バックオフィスサーバがインターネットへの接続を有する場合、モデルはインターネットによって精密器具サービスセンター26へ運ばれ、そこでディスプレイされることが可能である。また、たとえば、様々な歯列矯正医、歯周病医または歯科専門医の間で共有されることが可能であり、そのため、彼らは遠隔で患者を共同して研究することができ、協力してケアを計画することができる。
図49は、1セットのフレームの例示であり、図48に述べられた累積位置合わせからの変形を例示する。図49では、フレームからフレームへの位置合わせの順番とは異なる順番のフレーム位置合わせが実施される。特に、フレームからフレームへの位置合わせおよび図48の累積位置合わせが、フレームが得られる順番で実施される。これは、そうである必要はない。事実、「隣接」に基づいた順番でフレームを位置合わせすることによって、すなわち、物体の特定の部分を画像形成するすべてのフレームを一緒に位置合わせしなければならないという概念に基づいて(または、1つずつ位置合わせされるという順で)、より正確な位置合わせを得ることができる。位置合わせの順番は、数字の左側の欄によって示される。図49の右側は単に、各フレームが1セットの点用のX、YおよびZ座標から構成されることを例示するだけである。フレームは、同一数の点を有する必要はなく、通常は有さない。
図49において、位置合わせ順番は、他のフレーム用の表面の位置に対する所与のフレーム用の物体の表面の位置に基づいている。図50は、1セットのフレームの簡略化された例示であり、フレームが得られた順番を示し、フレームの他のフレームに対する隣接は、図49に示される位置合わせ順番を基礎としている。フレーム7(F7)は選ばれた開始フレームである。したがって、フレーム7を囲繞するフレームが次に位置合わせされる。これは、図のように、F7、F3、F4、F11、F12、F6…である位置合わせの順番によって示される。
図51は、1セットのフレームの別の例示であり、フレームの位置合わせは、図49の方法にしたがって実施される。位置合わせの順番は、フレームの右の欄の数字によって示される。フレーム2、3、6および7等のマーキングは、これらのフレームが位置合わせされたことを示す。マーキングは、単に、図49および50の位置合わせ手順中にフレームが削除されないことを保証するためのチェックとして、どのフレームが位置合わせされたかをコンピュータが記録を取っておくのを例示する方法である。他のフレーム、たとえば、フレーム4および5を選択する方法は、数多くの基準に基づくことができ、たとえば、フレームを獲得する順番、既に位置合わせされた他のフレームに対する隣接、等である。
図52は、すべての連続位置合わせ用の基線として第1に捉えられたフレーム(F1)に基づいた累積位置合わせの例示である。これは、本質的に図48の技術である。図53は、代替位置合わせ手順を例示し、フレームのセットの各フレームは、フレーム位置合わせ処理の1反復で、逐次順で、物体の累積位置合わせ三次元モデルに位置合わせされる。次に、累積三次元モデルを更新し、各フレームの変換マトリクス[T]用に更新された値で位置合わせ処理を繰り返す。品質値が容認可能な範囲内に入るまで、または、所定の数の反復が実施されるまで、処理が続く。累積位置合わせにはさらに別の可能性も存在する。どれを使用するかの選択は、利用可能な計算資源、その技術用に累積位置合わせを実施するのに必要な時間の量、および、望まれる正確度に依存する。
図54は、ワークステーションコンピュータ(たとえば、走査ステーションまたはバックオフィスサーバワークステーション)のスクリーンショットであり、利用可能な位置合わせパラメータと、フレームからフレームへの位置合わせまたは累積位置合わせのいずれかを実施する際に位置合わせを最適化するために変わることができる変数と、を示す。パラメータは、走査される物体の種類、位置合わせから結果を得るために必要な時間の量、物体に対してスキャナが動く速度、および、重なり合いの量等に依存して、大幅に変動することができる。図54は、ユーザが、適当であると思う位置合わせ手順を選択し修正することができるのを例示する。2つの異なる種類の位置合わせがここで示され、すなわち、品質指数(「距離限界」)が250ミクロンである「未加工」の位置合わせと、品質指数が50ミクロンへ減じられる微細位置合わせと、である。距離限界は、法線ベクトルの二乗の合計の平方根をフレームの点の数で割ったものとして計算される。「静止カウント」という用語は、品質指数にほとんどまたはまったく改良が見られなくなるまで続く反復の数を示す。半径値は、図45に示されるフィルタRを意味する。収束因子0.10は、静止カウントが開始する前に、連続するフレームの間に必要な最小量の改良を意味する。収束因子は、i番目の反復およびi−1番目の反復の品質指数の二乗の差を取り、i番目の反復の品質指数の二乗で割ることによって、計算される。
位置合わせする点の数は、位置合わせを試みるのに必要な(境界R内の)点の重なり合いの最小量を示す。「加速」因子が示され、値は1.6である。これは、加速因子を乗じた正味法線ベクトルの量によって、変換マトリクスのX、YおよびZ方向に点が動くことを意味する。加速因子を使用することによって、品質指数を満たすのに必要な反復の回数を減じることがわかった。
最大反復カウント値は、処理を稼働からエンドレスループに保つストップ値である。オーバーラップサイズ値は、mm2で、位置合わせが実施されるサイズの限界である。これは、位置合わせアルゴリズムから浮遊点を選別して除くよう作用する。活動点の最小割り当ては、位置合わせを試みる前の2つのフレームの間の重なり合いの最小量であり、1の分数で表される。最大三角形サイズは、三角形のサイズが大きすぎ、浮遊データ点を示す三角形のサイズを除去するフィルタである。最大縁長は、単に、三角形表面の1つの一方の側の最大許可長である。
不成功ファイルの最大カウントは、位置合わせ処理の失敗が宣言される前の、不成功の一連の位置合わせの数である。
図55は、1セットのフレームの2つのフレーム用の図40にしたがったフレームからフレームへの位置合わせを示すワークステーションコンピュータからのスクリーンショットである。フレームからフレームへの反復に図54に示される様々なパラメータを選択して使用する。この場合、フレーム47がフレーム46に位置合わせされている。フレーム46の表面が白で示され、フレーム47がダークトーンで示される。図55の左手側は各反復の結果を示し、稼働時間、反復の数、重なり合う点の数、1の分数で表されるフレーム(U)の間の重なり合い、品質指数MA、および、フィルタRの値を含む。3反復後、粗い位置合わせの品質指数が満たされた。処理は、微細位置合わせで続いた。一連の微細位置合わせ反復が実施された。品質指数MAが各位置合わせ反復で改良することに注意されたい。
歯の典型的走査におけるフレーム2のフレーム1に対する位置合わせの、最後の20反復からのデータ、および、最終結果が、図56に示される。45反復後に、30ミクロンの距離限界が満たされた(MA=27.686ミクロン)。画像ではフレーム1とフレーム2とが本質的に等しい量であるように、フレーム1(白)およびフレーム2(ダークトーン)が図的表示されることに注意されたい。これは、フレーム1と2との間に「最良適合」が達成されたことを示す。
D.セグメント位置合わせ
歯等のいずれの物体を走査するときには、走査のオペレータが1回の走査通過で物体のすべての表面をキャプチャすることができないという状況が発生することもある。中断は、1か所から到達するには不可能である場所へスキャナを物理的に動かさなければならない必要性のため、患者のために走査することから休憩を取る必要性のため、または他の理由のため、である。単一の顎の歯を走査するときには、走査は一般に、2つまたは3つの異なるセグメントで実施される。第1に、顎の一方の側部が走査され、次いで顎の前部、そして顎の他方の側部が走査される。この状況では、物体の3つの異なるセグメントがある。一般にフレームからフレームへの位置合わせを使用して、各セグメントのすべてのフレームが互いに対して位置合わせされる。次いで、セグメントが互いに対して位置合わせされる。これを行った後に、顎全体の累積位置合わせが実施される。
セグメント位置合わせを実施するために、1つのセグメントの少なくとも1つの点が他のセグメントに共通であることを示す何らかの方法がなければならない。セグメント位置合わせは、したがって、セグメントの間にいくらかの重なり合いを必要とする。走査ワークステーションは、2つの異なるセグメントが重なり合う少なくとも1つの点を指摘する機構を提供する。歯を走査する場合には、スキャナのオペレータは一般に、顎の両側部の走査および歯の前部の走査に、犬歯を含む。オペレータは、側部および前部セグメントでこれらの歯を走査するように指示されることもある。したがって、セグメント位置合わせは、ユーザがセグメント位置合わせを実施するために使用する犬歯上の点を選択するかまたは指摘することによって進む。ここで「ランドマーキング」と称される手順を使用して、セグメントを位置合わせするのに使用される点を選択する。物体を完全に走査するために2つ以上のセグメントを使用した他の種類の物体を走査するときに、類似処理が行われることが理解される。
E.ランドマーキング
図57は、患者の上前歯(セグメント1)の、このセグメントのフレームからフレームへの位置合わせ後の、三次元モデルの図的表示を示すスクリーンショットである。ユーザは、治療計画の予備ステップとして、且つ、走査された上顎の重なり合うセグメントを互いに対して位置合わせして上顎および関連生歯の完全モデルを計算するステップとして、犬歯にランドマークを加える。
図57に示されるランドマーキングの目的は、前部走査および2つの側部走査に共通する犬歯上に点を選択することである。ランドマーキングは、不正咬合を修正する器具の一部として歯列矯正ブラケットを配置するために適切な場所である歯の唇側表面の点にも行われる。ランドマークは、点の場所および配向の両方によって特徴づけられる。ランドマークを配置するために、ユーザは、番号301の列によって示される歯の番号をクリックし、ランドマークを配置したい犬歯の表面に、マウスでカーソルをドラッグする。次いでカーソルを解放すると、ランドマーク302が歯に表れる。ランドマークは、歯の切縁へ向かなければならない矢印304を有する。ユーザは、単にランドマークをクリックしマウスを一方の方向へまたは他の方向へ回すことによってランドマークを回転して、矢印を適切な配向に配置することができる。各ランドマークが配置されるときに、歯の番号の下のボックスが、306で示されるようにハイライトされる。
図57に示される歯番号づけ規則は下記の通りである。第1の数字は、患者の生歯の象限を示し、1は上側右、2は上側左、3は下側左、4は下側右である。
第2の数字は歯の番号であり、1は切歯である。このようにして、ランドマークは、歯13および23、すなわち、上側犬歯に配置される。
これらの犬歯はそれぞれの側部走査に重なり合うため、且つ、ランドマークが配置される歯の唇側表面上の点のX、YおよびZ座標がコンピュータに割り当てられるため、図57に示される前部セグメントを2つの側部セグメントに位置合わせすることが今や可能である。このセグメント位置合わせが今、実施される。
各セグメントの間の重なり合うフレームは、互いに対して、または他のセグメント全体に対して、位置合わせされることが可能である。
セグメント位置合わせを実施した後に、図48の手順にしたがって顎全体の累積位置合わせが実施される。累積位置合わせを実施した後に、顎全体の仮想三次元モデルが、バックオフィスサーバワークステーション28のモニタで歯列矯正医に呈される。
走査が1回の通過で行われる場合、たとえば、プラスターモデルに実施される場合、セグメント位置合わせの必要はない。ランドマーキングステップは、その場合は排除されてもよいが、それにもかかわらず、仮想モデルの歯物体に仮想ブラケットを配置するステップとして実施されてもよい。
患者のための治療を計画するに当たり、歯列矯正医は、歯を、患者の不正咬合を修正するために互いから独立して動くことができる個別の歯物体として概念化する。さらに、歯列矯正医は、印象から患者の生歯の物理的モデルを作り、モデルから歯を切断し、次いで、不正咬合を修正する目標状況を提供するために歯を互いに対して個別に動かすように訓練されている。したがって、バックオフィスサーバワークステーション28は、歯列矯正医が患者の生歯の仮想三次元モデルでこれを行うことを可能にする双方向治療計画ソフトウェアを含む。この治療計画を行うために、したがって、歯を歯肉および他の解剖学的構造物から分離し、歯の歯冠のみを歯列矯正医に呈することによって、累積位置合わせから生じる三次元モデルを処理することが高度に望ましい。これによって、仮想個別歯物体が、コンピュータ上で三次元で個別に動くことができる。歯を累積位置合わせから個別の歯物体に分離するこの処理は、次に記載される。
下記に記載される分離処理は、1つのさらなる利点を有し、すなわち、個別の歯を表すために必要なメモリが少ない。累積位置合わせは、結果として、いずれの所与の歯を表すために、多数のフレームから非常に多くの数の点になる。下記に記載されるように分離処理は、このデータのセットを、歯の表面を表す単一の表面を記載する点の単一のセットへ減じる。この結果として、治療計画ソフトウェアは、歯の治療計画ステップをより早く進めることができる。
F.個別歯物体への歯の分離(歯モデリング)
図58Aから58Fは、走査された歯から個別歯モデルを作製するのを示す一連の例示である。この処理をこれから詳細に説明する。
図58Aは、走査された生歯および歯308を囲繞する関連解剖学的構造物を示す。この歯は、図57に示される歯番号づけ規則では歯番号14である。バックオフィスサーバワークステーションは、上顎および下顎の各歯用の三次元仮想テンプレート歯物体を格納する。歯番号14用のテンプレート歯310は、図58Bに示される。テンプレート歯310物体は、歯の境界を規定する点の単一セットを有する三次元歯物体である。図58Cに示されるように、テンプレート歯310は、歯308とほぼ同一の空間的位置に位置決めされる。ランドマーク302は、テンプレート歯が適切に軸回転するのを補助し、これを歯308に対して適切に適合させる。テンプレート歯は、唇側ランドマーク302にしたがって生歯の点クラウドに配置される。テンプレート歯は、生歯の点クラウドにできるだけ近い点を得るために、ユーザによって大きい縮尺にされるかまたは小さい縮尺にされるか、または、任意に位置決めされるかすることができる。
図58Dに示されるように、テンプレート歯の点から歯308の走査された点クラウドへベクトルが引かれる。表面のそれぞれの部分が走査中にどのくらいの頻度でカバーされるかに依存して、各光線が数表面に交差する。各ベクトル用に表面が選択される。最小の三角形が選択されることが好ましいが、これは、この表面が、スキャナが生歯表面に対してより垂直配向に位置決めされたときにスキャナによって取られる画像に対応し、結果として表面のその部分の座標の決定がより正確になるからである。別の可能性として、無関係な表面を使用しないことを保証するためにフィルタを使用して、最外表面が選択される。すべてのベクトルによって交差された表面のこれらの点は、新しく作製された三角形表面として結合され、したがって、図58Eに示される1つの一貫した表面を形成する。次いで、最後に、歯の失われた部分がテンプレート歯から完成される。結果が、図58Fに示される。第2の通過において、この作製された物体が次いでテンプレート歯として使用され、図58Cから58Fによって示されたステップが反復式に繰り返される。これは、元々のテンプレート歯と走査された点クラウドとの間に大幅な差があるときでさえ、たとえば、走査データのギャップ、歯の異なる外形があるときでさえ、アルゴリズムが働くことを確実にするために行われる。目的は、密接に適合するテンプレート歯物体を必要としないアルゴリズムを提供することである。
最終結果は、個別の三次元仮想歯物体312であり、図59に示されるように、ユーザにディスプレイされる。結果は、オリジナルデータの三次元重ね合わせ(白)および歯の分離したモデル(よりダークなトーンまたは対照的な色)として、ワークステーションユーザインターフェースにディスプレイされてもよい。
これらのトーンによって、ユーザは、走査された歯308と個別の歯物体312との間の良好な適合を示す、白およびダークトーンの均一な分布があるか否かを確かめることができる。このステップは、差(または差の合計)を検出するアルゴリズムによって自動化されてもよく、差が大きすぎる場合には処理を繰り返す。
この処理は、当然ながら、すべての歯に対して実施される。結果は、患者の生歯におけるすべての歯の1セットの個別歯物体である。歯は、単独で、または、図59に示されるような囲繞する解剖学的構造物とともに、ディスプレイされることが可能である。
人間の何らかの相互作用が、図58の関係で上述の実施形態に使用される。歯列矯正クリニックのワークステーションで両方の歯列弓のすべての歯に処理を実施することができるが、それは必要ではない。特に、生歯の仮想モデルおよびテンプレート歯がメモリ内でデジタルデータとして存在するため、それらは遠隔場所へ運ばれることが可能であり、生歯を仮想歯物体に分離する作業は、別の場所で実施することができる。これは、クリニックのバックオフィスワークステーションまたはサーバ28に過度に提携せず、クリニックで必要な労働が少なくなるという利点を有する。したがって、機能が、図1の精密器具サービスセンター26のサービスとして実施され、または、おそらく、必要なコンピュータハードウェアおよびソフトウェアを備えた他の事業体またはサービス提供業者によってさえ実施されることを企図する。ひとたび仮想歯物体が生歯のすべての歯に得られると、セットの仮想歯物体が、インターネットによって治療計画または他の目的のためにクリニックへ送り戻される。歯物体の分離を実施する事業体が、当初提案された治療を歯列矯正医へ呈することも可能であり(目標状況、ブラケットの場所、歯列矯正アーチワイヤの設計等)、歯列矯正医にそれから処理を取らせるかまたは単に自分の提案を指摘する。
生歯の仮想モデルから歯を分離することは、歯の切縁、歯の間の溝および歯肉と歯との間の交差を示す溝を検出するアルゴリズムを使用して、自動的に実施することもできる。
歯物体を他の構造物(たとえば、他の歯および歯肉)から分離するときに、2種類のエラーが発生する可能性がある。すなわち、1)実際にはその歯に属さないたとえば歯肉および隣接する歯等のデータが歯用に選択される、2)その歯に属するデータが無視される、である。
最初の問題には、モデル化処理を実施しているワークステーションに消去モードを提供することによって対処する。このモードにおいて、たとえば、不必要な区域をマウスでハイライトして消去アイコンをクリックするか、または他の類似技術によって、3Dデータから三角形表面を消去するツールがユーザに設けられる。各歯が個別にモデル化されるため、不必要なデータ、たとえば、他の歯または歯肉組織に属するデータを表すデータの部分を歯から排除する。これは、一時的処理に過ぎず、その歯をモデル化するためのみに使用され、基礎となる走査されたデータは保存される。隣接する歯をモデル化するときに、そのデータが再度使用される。消去処理は、元々の走査データに直接実施することもできる。しかし、元々の走査データは、データの巨大なオーバーレイから構成されうるため、これは不便でありうる。
代替として且つより好ましいアプローチとして、ユーザは、既に作られ三角形の1つのシェルから構成される歯モデルを検討する。したがって、消去モードは、たとえば、図58AからFの処理の1反復後に使用される。選択および消去処理はかなり速い。モデル化アルゴリズムは、単一の通過でモデルから削除されるべき表面を計算する。図58の処理の反復の残りは、一般に、さらなる消去なしで実施することができる。
不必要なデータを消去するための別の代替として、カッター平面ツールがワークステーションソフトウェアに設けられて、ユーザが正しい歯走査データを選択するのを補助することができる。この特徴の活性化は図64Aに示される。この技術において、2つの平面1000および1002が、生歯の走査された仮想モデル18に重ね合わせられる。ユーザは、適切なナビゲーションツールをワークステーション28ユーザインターフェースに使用して平面1000および1002を空間のいずれの配向に移動または回転することが可能である。平面は異なる色であってもよい。平面は、個別仮想歯物体として、または、図58の反復手順の一部として、歯走査データを選択する境界として作用する。平面1000および1002の外部にあるすべての3Dデータは無視される。図64Aの平面の反復は、歯の物理的モデルを別々の歯物体に切断する物理的処理をシミュレートする。
図64Aは、隣接する歯の間の接触区域で歯が湾曲するか屈曲するため、2つの平面が完全に働かなくてもよく、平面1000が事実、2つの異なる歯に交差してもよいことを示す。図64Aにおいて、領域1004の区域は、隣接する歯308Aからのいくつかの三角形表面が2つの平面1000と1002との間の領域に含まれることを示す。歯308Aのこれらの部分は、上述の消去モード特徴によって手で消去することができる。
無関係な解剖学的構造物を含まずに歯を分離する別の可能な方法は、歯が隣接する解剖学的構造物に交差する歯の表面の複数の点をユーザがマウスでクリックすることができることに関与する。図64Bにおいて、ユーザは、歯が歯肉組織に交差する歯308に区域1006をハイライトする。各区域がハイライトされ選択される(たとえば、マウスのクリックによって)と、ソフトウェアが、これらの区域1006に関連する点の座標を記録する。次いで、これらの点(または平面)を一緒に接続する一連の平面が作られる。これらの平面1008は、図64Cおよび64Dのハッチされた区域によって示される。平面1008は、図64Aのカッター平面1000および1002と同一の機能を果たし、すなわち、関連非歯解剖学的構造物、たとえば、歯肉および他の歯から、歯を分離する境界を規定する。患者の解剖学的構造物に依存して、図64Bに示されるように、隙間のない区域をハイライトする必要があり、そのため、平面1008は歯肉および歯の輪郭に整合する。
次に、第2の問題を参照すると、図58Aから58Fの歯分離処理は、そうでなければ無視されるであろう適切なデータを使用するよう強制することができる。具体的には、ユーザは、元々の走査データが不当に無視された一定の区域をクリックする。区域をクリックすることが、モデル化アルゴリズムに、選択された区域を含む走査から元々のデータ点を取るように強制する。たとえば、図64Dの領域1010は、これに関連する走査データを有するが、そのようなデータはフレームからフレームへの位置合わせ処理では無視される。ユーザはこの区域をハイライトし、これらの区域の点はこの区域をカバーする適切なフレーム用の元々の走査データから満たされる。
このユーザ相互作用の安全な操作を可能にするために、モデル化アルゴリズムは、走査データ(真実の点)に基づくものとして、または、データの欠如のためアルゴリズムによって作られた場合(人工点、図58Bのテンプレート歯310によって供給される)、仮想歯モデルの各作製された点を内的にマークするかまたは分類する。通常、スキャナは歯の間のギャップの画像を効果的にキャプチャすることができないため、歯の間の空間におけるデータの欠如は常に発生する。
データの欠如は、不適切な走査によっても発生する。データの欠如は、図58のモデル化アルゴリズムによってある程度、矯正することができ、データの欠如は、たとえば歯の間のギャップではテンプレート歯によって供給され、このテンプレート歯を、上述のように走査された生歯に適合させる。人工点は、そのようにマークされることが可能であり、異なる色でディスプレイされるか、またはより明るいかまたはより暗いトーンを使用してディスプレイされることが可能である。不当に無視されたデータに対する上述のユーザの操作は、人工表面にのみ効果がある。
歯の走査から消失したデータまたはギャップは、図65に示されるような、簡略な補間手順を使用して、テンプレート歯から満たすことができる。図65の例は、1つの次元(Z)に与えられ、類似処理が他の次元XおよびYに発生する。
図示のように、歯308の走査データは、1020で示されるギャップを含む。
テンプレート歯は、このギャップに対応する表面1022を含む。この表面を満たすために、ギャップ1024の左側縁の点とZ方向のテンプレート表面310との間で、mmでの距離が決定される(0.6mm)。右側縁1028で同一のことが行われる(0.9mm)。中点が選ばれ1026、点1026の距離に到達する値が平均される(0.75mm)。この処理は、図のように、中間点用に繰り返される。適切な数の補間の後、テンプレート歯310の点が、測定された量または計算された量だけ、ここでは、0.6mm、0.68mm、0.75mm、0.83mm、0.9mm、Z方向へ動かされる。これらの点は、今や線によって接続されて三角形表面を形成し、歯308の表面を完成する。
歯モデルは、ひとたび作られると、消去モードを使用するか、図64Aの平面1000および1002に類似した平面をクリップするか、または、他の従来の手段によって、隣接歯間整復、すなわち歯の一部をこすって取る等の、歯に施されてもよい様々な治療をシミュレートするように修正することができる。
上述の標準化テンプレート歯のライブラリは、1つの可能な実施形態における各歯の標準歯モデルに基づく。上述のライブラリは、民族性、性別、年齢、または他の要因に基づいて、歯のライブラリを含むように増強することができる。たとえば、ライブラリは、ヒスパニック用のテンプレート歯の1つのライブラリ、東洋人用のテンプレート歯の別のライブラリ、白人用のテンプレート歯の第3のライブラリ、等から構成されてもよい。これらのライブラリには、第三者から得られた、または、患者の走査から作られた、治療計画ソフトウェアを供給することができる。たとえば、本発明のシステムを使用した各走査の後に、ソフトウェアが、上述の処理を使用して歯を個別の歯物体に切断し、患者の人種、性別および年齢等の識別標識とともに、メモリに歯を格納する。長期にわたると、様々な種類の患者の仮想歯物体の大コレクションが得られる。これらの仮想歯は、歯ごとに、所与の民族型用に互いに位置合わせすることができ、結果として、所与の民族群用のテンプレート歯の新しいライブラリが得られ、メモリに格納される。
ユーザは、その後、ソフトウェア用に、民族性等の関連基準に基づいて、テンプレート歯のどのライブラリを新しい患者に使用するかを識別することができる。
あるいは、状況によっては、テンプレート歯のライブラリからのテンプレート歯ではなく、テンプレート歯として反対側の歯を使用することが望ましい場合もある。この状況では、反対側の歯の1つの歯物体は、ライブラリおよび累積位置合わせ走査のテンプレート歯から得られる。次いで、反対側の歯をテンプレート歯として且つ累積位置合わせを上記説明したように使用することによって、反対側の歯の歯物体が得られる。
状況によっては、テンプレート歯は、修正する必要がある。そのような状況のうちの数例として、部分出齦臼歯、細片にされた歯、または、先に大規模な歯科作業を受けた歯が挙げられる。テンプレート歯は、数学的モデルとして存在するため、ユーザインターフェースにディスプレイされ修正されることが可能である。修正は、適切なナビゲーションソフトウェアおよびクリッピングまたは消去特徴を使用して、モデルの一部を削除することによって、行うことができる。1つの方法は、クリッピング平面特徴を提供することであり、それによって、適切なナビゲーションツールを使用するユーザによって規定された配向および場所で、平面がテンプレート歯に交差する。平面の一方の側のテンプレート歯の一部が削除される。ユーザは、平面をテンプレート歯の所望の場所に位置決めし、問題の歯の解剖学的構造物を大まかに整合させる。この処理は、結果として歯分離アルゴリズムの滑らかな実行になり、結果として、実質的に正確に患者の歯の構造物に整合する仮想歯モデルが得られる。
仮想歯モデルは、単に歯の歯冠を越えて拡張してもよい。たとえば、歯の各々用の標準化された仮想歯根テンプレートのライブラリが、ワークステーションのメモリに格納されてもよい。各歯の個別仮想モデルが作られると、その歯用の標準化歯根が仮想歯根モデルに整合され、それによって歯全体の個別仮想歯モデルを作る。
この処理は、仮想歯肉組織のテンプレートに拡張されてもよい。一方では、歯肉組織から個別仮想歯モデルを分離した後に、走査データの残っている部分が歯肉組織(あるいは、走査される組織に依存して、少なくとも歯肉組織の一部)を描く。この歯肉組織は、実質的に不完全であってもよい。不完全部分は、仮想歯肉組織、たとえば、歯列弓全体の歯肉、のテンプレートによって供給されることができる。仮想歯肉組織のテンプレートは、患者の解剖学的構造物に適合する必要に応じて、縮尺を大きくしたり小さくしたり、または、修正したりすることができる。走査された歯肉組織に対するテンプレート歯肉の位置合わせによって、歯肉の完全三次元仮想モデルを作ることができる。
この処理は、上顎および下顎の両方のテンプレート骨へ拡張することができる。ここの目的は、患者の上顎または下顎の三次元仮想モデルを作ることである。
上顎および下顎の仮想三次元モデルは、CAT走査データまたは骨格標本を含む様々な源から得ることができる。モデルは、ワークステーションのメモリに格納される。仮想テンプレート上顎および下顎は、次いで膨張されるか、収縮されるか、または他の方法で修正されて、患者の解剖学的構造物に固定する。患者のX線は、処理を補助する。修正された仮想テンプレート上顎および下顎が作られるときには、仮想歯、歯肉およびまたは歯根を、上顎または下顎と一緒に、単独でまたは歯列矯正器具とともに、ディスプレイすることができる。
テンプレート仮想物体の概念は、仮想テンプレート歯冠へ拡張することができ、走査特徴およびワークステーションのユーザインターフェースは、仮想歯冠のシミュレーションおよび仮想歯冠の仮想準備歯への適合に拡張される。たとえば、準備された歯は、ここに記載されるように走査され、仮想三次元モデルとして表される。歯用の(および一般に全32本の歯用の)テンプレート仮想三次元歯冠は、ワークステーションのメモリに格納されるか、または、データベースからアクセスされる。仮想テンプレート歯冠の形状は、減少されるかまたは適合されるかして準備された歯に嵌まり、そこで、歯冠と準備された歯の表面が合致する。歯冠の咬頭の形状は、対向する歯および隣接する歯の表面構成から、または、走査され仮想歯物体が表される反対側の歯の表面構成から、得ることができる。
ひとたび歯冠形状がワークステーションに到着すると、3D歯冠物体ファイルとして、歯冠を製造するラボ等の遠隔地へ運ばれることが可能である。たとえば、3D歯冠物体ファイルは、立体リソグラフィ機械へ供給され、歯冠の物理的モデルが作られる。物理的モデルから金型が作られる。歯冠は、ロストワックス技術を使用して金または磁器から金型内に形成される。あるいは、3D歯冠物体ファイルは、歯冠を機械加工するために、CNCフライス盤へ供給されてもよい。
そのような歯冠は、いずれの適切なセラミックまたはステンレス鋼を含む金属材料から作ることができる。この処理は、歯冠を製造する時間および労力を実質的に節約することを表す。典型的な歯冠準備処理は、手動処理である。
仮想テンプレート歯物体の概念およびコンピュータ上での歯物体をユーザが操作することは、入れ歯の分野でも使用することができる。伝統的に、印象は、歯肉および関連骨質歯槽構造物から取られ、これらの解剖学的構造物は、プラスチックまたはワックスに型をとられる。予め形成された歯が、所望の咬合でワックス内に設定される。入れ歯は、ロストワックス技術を使用してアクリルに注型される。この処理は、ここに記載される走査方法を使用して且つ仮想三次元テンプレート歯を使用して、自動化することができる。第1に、歯肉および関連解剖学的構造物が走査され、ワークステーションに三次元仮想モデルとして表される。
次いで、仮想テンプレート歯がメモリから検索される。テンプレート歯は、歯肉の仮想モデルによって表されるアーチフォームに一致するように、必要に応じてサイズを上げるか下げるかされる。次いで仮想テンプレート歯がアーチフォームに配置される。この点で、歯、歯肉および関連解剖学的構造物の三次元仮想モデルが、三次元仮想物体としてワークステーションメモリに表される。このデジタル物体を、入れ歯が製造される遠隔地等のいずれの場所に運ぶことができる。この物体から、入れ歯を、フライス削りおよび注型を含む様々な技術から製造することができる。たとえば、生歯および/または歯肉の立体リソグラフィ物理的モデルを作ることができ、ロストワックス技術を使用して物理的モデルから得られた金型に入れ歯を注型することができる。
仮想テンプレート歯は、法医歯科、すなわち、歯からの犠牲者の身元の復元に使用されることもできる。例として、何本かの歯を含む顎を上述のように走査して、三次元仮想物体として表わすことができる。消失している歯は、仮想テンプレート歯を取り込み、それらを仮想物体に配置することによって、復元することができる。仮想テンプレート歯は、年齢または民族等の情報が公知であれば、それらに基づいてもよい。反対側の歯は、実在の走査された歯をテンプレート歯として使用し、走査された歯を対側性位置に配置することによって、作ることができる。結局、生歯の完全仮想表示は、ワークステーションで得られ、見ることができる。犠牲者の顔の形状は、軟組織、歯肉、唇、頬、皮膚、髪等を備えるテンプレート仮想物体を加え、三次元物体または犠牲者に関して公知の他の情報に基づいたナビゲーションツールを使用してテンプレート物体を修正することによって、復元することができる。
テンプレート歯を使用する別の例は、たとえば、歯ぎしり等による歯の摩耗を診断し且つ検出することを目的とする。この例では、患者から取られた元々の走査が、三次元仮想モデルに転換される。個別の歯が、上述のように三次元歯物体に視覚的に分離される。生歯全体のこの元々の仮想モデルかまたは仮想三次元歯物体のセットを、テンプレートとみなすことができる。時間がたつうちに、生歯が再度周期的に走査され、上述のように三次元仮想モデルに転換される。個別の歯(または全体としての生歯)がテンプレートと比較され、歯の摩耗による差を識別する。これは、各々が色またはトーンが異なる2つのモデルを重ね合わせて、歯の表面が当初は存在したが現在の仮想モデルには存在しない場所を目で検出することによって、実施することができる。あるいは、測定ツールをユーザインターフェースに設けることができ、歯の高さ、または、摩耗を示す他の距離を測定し、数値をユーザインターフェースでユーザへ呈する。これらの測定値は、テンプレートの測定値と比較することができる。今や、歯の摩耗は精密に定量化することができる。
さらに別の可能性として、患者の元々の走査から個別の歯物体が得られる。これらの歯物体は、メモリに格納される。事故のためまたは抜歯のため患者の歯が失われている場合には、仮想歯物体が、交換の歯を製造するために精密なテンプレートを提供する。交換歯は、たとえば、上述の立体リソグラフィおよびロストワックス技術を使用して製造することができる。
仮想歯モデルを作ることによって、仮想ブラケットを仮想的に個別の仮想歯に結合することができる。仮想ブラケットは、ブラケット製造業者から得られたブラケットの3D CADモデルから得られる。あるいは、ブラケットを走査して、走査フレームをブラケットの仮想三次元モデルに位置合わせすることから仮想ブラケットモデルが得られる。いずれの場合にも、仮想ブラケットはメモリに格納され、後に、歯列矯正ワークステーションのユーザインターフェースからアクセスされる。たとえば、仮想ブラケットは、ランドマークの場所で歯に配置され、次いで、ユーザインターフェースによって設けられた適切なナビゲーションツールにアクセスするユーザによって動かされる。
ブラケットの仮想結合は、単に、仮想ブラケットを歯の仮想表面に重ね合わせるだけである。ブラケットと歯の両方は別個で個別の仮想物体であるため、たとえば物体の位置を最適化するために、それらは互いから自由に動くことができる。治療計画ソフトウェアによって、ユーザは、X、YおよびZ方向と3本の直交する回転軸を中心にした回転とのいずれの組み合わせに沿って、インタラクティブにブラケットを位置決めすることができることが好ましい。1つの可能な実施形態において、下記のステップを実施するユーザによって、ブラケット配置が訂正される。すなわち、
1)生歯の仮想モデルおよび仮想ブラケットがディスプレイされるまで治療計画ソフトウェアによるナビゲートする(これは、目標状況かまたは不正咬合のいずれかでありうる)ステップと、
2)ブラケットをクリックするかまたはドロップダウンメニューからブラケット番号を選択することによってブラケットの動きを選択するステップと、
3)ブラケット等の仮想物体を動かすためにナビゲーション制御をディスプレイするアイコンをクリックすること等によって、ブラケット用のナビゲーション制御にアクセスするステップと、
4)ユーザがブラケットを備えた歯を動かすか、または、ブラケットを三次元で自由に動かすかを選択するのを可能にするステップと、
5)ブラケットを所望により三次元で動かすために、ナビゲーション制御を使用するステップと、である。
ブラケットが歯モデルとは無関係に動く場合、ユーザがブラケットの運動を終えているときには、仮想歯がブラケットの場所へ動かされる。ブラケットを歯に結合する結合訂正が更新される。ブラケットは次いで仮想的に歯に結合される。
この処理は、各歯に行うことができる。結果として、歯列矯正医が歯に対する仮想ブラケットの配置をカスタマイズした。ブラケットスロットを通るアーチワイヤは、歯上のブラケットの位置に関係なく、所望の目標状況へ歯を動かすために、曲げる必要がある。
仮想歯列矯正ブラケットのディスプレイされたセットを、仮想歯列矯正アーチワイヤと一緒に組み合わせることが、ユーザにカスタマイズされた仮想歯列矯正器具を呈する。カスタマイズされた仮想歯列矯正器具の長所は、2つのコンピュータの間で研究され修正され共有され、歯列矯正器具を製作するために通信媒体を通して電子的に運ばれることができることである。治療計画ソフトウェアは、本質的に特化したCAD/CAMシステムであり、歯物体、ブラケット物体、ワイヤ物体および他の器具および物体の仮想的ないずれの構成の設計を可能にする。これらの物体は、独立した数学的物体として存在するため、一緒にまたは単独に、選択的にディスプレイされることが可能である。たとえば、治療計画ソフトウェアは、ユーザが所望により歯、ワイヤ、ブラケットまたは仮想物体または器具を選択するかまたは非選択状態にするのを可能にするアイコンまたはボタンをユーザインターフェースにディスプレイする。たとえば、歯およびアーチワイヤは、ユーザインターフェースから削除されたブラケットと一緒にディスプレイすることができる。歯列矯正医は、次いで、個別歯物体を選択しこれを三次元で動かすことができ、三次元でブラケットの再配置へ続く歯の動き、および、アーチワイヤの形状の変化を選択する。
さらに、歯モデルを作る上記処理は、携帯スキャナからの走査データに関連して記載されているが、これは必須ではない。歯物体の分離は、どのように三次元モデルが得られるかに関係なく、歯のいずれの三次元モデルで実施することができる。三次元モデルは、CTスキャン、プラスター印象からのレーザスキャンまたは他の方法から獲得することができる。
パート4 治療計画
序 治療計画ソフトウェアが、歯列矯正医クリニックのワークステーションに、および、可能であれば、図1の精密器具センター等の他の遠隔場所に、設けられる。治療計画ソフトウェアは、歯列矯正用のインタラクティブなコンピュータ化されたコンピュータ支援設計およびコンピュータ支援製造(CAD/CAM)システムであるとみなすことができる。装置は、患者の状態の現在の段階を観察し分析し、且つ、目標または所望の段階を展開し特定する機会を歯列矯正医に提供するという点で、高度にインタラクティブである。目標段階へ歯を動かす最短の直接経路も決定することができる。さらに、装置は、現在の段階と目標段階との間の歯の動きのシミュレーションを提供する。
そのより広い態様では、装置は、処理装置およびディスプレイを有するワークステーションと、患者の生歯を表す仮想完全三次元モデルを格納するメモリと、を備える。仮想三次元モデルは、数種類の可能な源の1つから得ることができ、好ましい実施形態においては、これは、生歯の走査から到達される。装置は、モデルにアクセスしモデルをワークステーションのディスプレイに表示する処理装置によって実行可能なソフトウェアをさらに含む。ソフトウェアは、ナビゲーションツール、たとえば、タイプコマンド、アイコンおよび/または表示されたモデルに重ね合わされるグラフィック装置をさらに含み、これによってユーザはディスプレイ上のモデルを操作して、三次元空間でモデルの少なくとも1本の歯のモデルの他の歯に対する動きをシミュレートし、動きの量を精密に定量化することができる。このシミュレーションは、たとえば、患者用の特定の目標状況を設計するために使用することができる。
患者用の独特な目標状況の展開は、市販のまたは一般的なブラケットおよびカスタム歯列矯正アーチワイヤに基づいたアプローチを含む様々な異なる歯列矯正器具に役に立つ。本発明の範囲は、他の種類の器具を包含するのに十分であり、たとえば、カスタマイズされたブラケット、保持器、または、先に述べられた取り外し可能な整列配置装置に基づいたアプローチ等である。ブラケットの実施形態において、メモリは、仮想三次元歯列矯正ブラケットのライブラリを含む。ソフトウェアによってユーザは、適切なスクリーンディスプレイを通して仮想ブラケットにアクセスし、仮想ブラケットを患者の生歯の仮想モデルに配置することができる。このブラケット結合位置は、歯1本ずつのベースで歯にカスタマイズして、個別の患者の解剖学的構造に適応させることができる。歯モデル、ブラケットおよびアーチワイヤは個別の物体であり、そのようにメモリに格納されるため、治療計画装置は、仮想ブラケット、アーチワイヤおよび生歯の仮想モデル、または、より小さな組み合わせ、たとえば、ブラケットのみ、生歯のみ、または、歯ではなくブラケットおよびアーチワイヤ等を、同時に表示することができる。同一のことが他の器具システムにも当てはまる。
好ましい実施形態において、歯の仮想モデルは1セットの仮想個別三次元歯物体を備える。歯の走査から歯物体を得る方法、および、たとえば、歯肉、歯根および骨等の他の関連解剖学的構造物の他の仮想物体を得る方法が述べられる。歯が互いから且つ歯肉から分離されるときには、個別に操作されることができる。
このようにして、個別歯物体が個別に選択され、仮想歯物体のセットの他の歯に対して動くことができる。この特徴によって、歯1本ずつのベースで歯に個別のカスタマイズされた歯位置決めが可能になる。これらの位置決めは、3本の軸を中心にした角度回転、または、横断面、矢状面または冠状面での移動の点に関して可能である。さらに、動きの量を定量化するために、様々な測定特徴が設けられる。
治療計画装置の主要ツールの1つが、所望のアーチワイヤまたは目標アーチワイヤを選択しカスタマイズすることである。再度、歯は個別歯物体であるため、互いから独立して動くことができ、理想アーチを規定する。目標アーチワイヤのこの展開は、補間または立方スプラインアルゴリズムを使用して計算することができる。あるいは、アーチフォームの種類(たとえばロス)を特定するユーザによってカスタマイズされることができ、歯は、アーチフォームまたはそのアーチフォームの修正に動かされる。アーチフォームは、患者の解剖学的制限に合致するように形状づけることができる。当初アーチフォームが設計された後に、ユーザは、歯1本ずつのベースで歯に対して適切であると判断するように再度アーチフォームに歯を位置決めすることができる。治療計画ソフトウェアは、このようにして、アーチフォームに対して仮想歯物体を動かすことができ、それは、少なくとも部分的には患者用に提案された治療目的を表してもよい。
治療計画ソフトウェアでは多数の他の特徴が可能であり、アーチフォームの他の歯に対する歯の動き、仮想ブラケットと歯との互いに対する位置の変更、または、選択されたアーチフォームに対して歯を対向させることを含む。カスタムアーチワイヤ曲げをシミュレートして、さらなる修正を提供することができる。ブラケットと歯とのインターフェースでの結合修正も可能である。
本発明の別の態様において、処理装置とディスプレイを含むユーザインターフェースと処理装置によって実行可能なソフトウェアとを有するワークステーションに歯列矯正患者用のデジタル治療計画のための方法が提供される。この方法は、現在の状態または観測された状況に患者の生歯を表す歯の三次元仮想モデルを獲得し格納するステップを含む。仮想モデルはディスプレイに表示される。この方法はさらに、仮想モデルの歯を目標状況に配置して、目標状況に動かされた歯を備えた仮想モデルをユーザへ表示するように、仮想モデルの歯の位置を互いに対して動かすステップを含む。患者の歯を現在の状況から目標状況へ動かす歯列矯正器具のパラメータは、仮想モデルおよび目標状況から導き出すことができる。たとえば、仮想ブラケットが歯に配置される場合、目標状況のその場所は、歯を目標状況へ動かすアーチワイヤの設計に影響を及ぼす可能性がある。
好ましい実施形態において、方法は、歯列矯正器具たとえばブラケットを表す仮想三次元物体を仮想モデルの歯の表面に配置するように、ワークステーションのユーザがユーザインターフェースを操作することを可能にするディスプレイに、スクリーンディスプレイを提供する。仮想ブラケットのライブラリがメモリに格納され、ランドマーキング手順を使用してブラケットを所望の位置で歯に配置することができる。解剖学的考慮が、ブラケットがその元々の選択された位置から新しい位置へ動くのに影響を与えることもある。したがって、ユーザが歯に対するブラケットの位置を変更するのを可能にするナビゲーションツールを、ソフトウェアが提供する。
治療計画システムは、三次元空間のいずれの位置に動くことができる個別の歯物体に基づいている。それらは数種類の方法で動くことができ、直接ユーザ仕様運動によって、および、歯列矯正器具を備える物体を加えて器具の構成を変えて歯を動かすことによって、である。たとえば、ブラケットは歯に仮想的に結合され、ブラケットの位置は、歯を動かすように三次元で変更することができる。あるいは、ブラケットのスロットに嵌まるアーチワイヤ形状を規定することができる。アーチワイヤの動きをシミュレートすることができ、結果として歯の動きのシミュレーションが得られる。
治療計画ソフトウェアは、より正確な診断を可能にする特徴を含む。一つには、生歯の仮想モデルを三次元で自由に操作して、結果としてモデルの完全仮想査定を得ることができる。測定ツールも設けられ、これによって歯列矯正医は、モデルのいずれの2つの点の間の距離を決定することができる。これによってユーザは、当初段階と目標段階の両方で、患者の形態を定量化することができる。このようにして、治療の進捗、器具の設計に提案された変更、または、歯の動きを精密に定量化することができる。ケアサイクル中に形態における差および変化を測定することによって、歯列矯正医は即座に且つ正確に患者の治療を査定することができる。治療の変更は前もって行うことができる。結果として、治療期間がより短くなる(且つ、歯列矯正医は、年間により多くの患者をみることができる)。
治療計画システムは、患者を治療するのに使用されてもよい歯列矯正器具を備える仮想物体を組み込む。本発明は、治療を開始する前に、完全な器具システムの設計および様々な治療シナリオのシミュレーションを提供する。
咬合位置合わせ走査が患者から得られ、生歯が噛み締められるときに上顎および下顎の走査を空間的に相互に関連させる。この走査を使用して、上顎および下顎の位置合わせを提供し、修正相関位置を決定する。この咬合位置合わせ走査は、通常、治療の開始時に必要とされ、上顎と下顎との間に関係を設定する。
次いで、図57に示されるようなランドマークが、すべての歯の唇側表面に配置される。例示された実施形態は、ランドマークを手動で配置しているが、この処理は自動化することができる。ランドマークは最初は、臼歯および前歯に置かれ、他の歯上のランドマーク用の概算位置を、たとえば同一平面に、歯肉組織および歯の切縁に対するランドマークの相関位置、または他の要因、に基づいて、作ることができる。
ランドマークは、不正咬合を修正するために歯列矯正医が歯列矯正ブラケットを配置したい場所に、配置される。ブラケット形状は、モニタ30(図1)に示される。様々な市販のブラケット用の三次元テンプレートがメモリに格納され、ソフトウェアは歯列矯正医に、患者に使用するブラケットの特定の製造業者およびスタイルを選択させる。このようにして、ランドマークが配置されると、歯列矯正医がブラケットを配置したい歯の唇側表面にコンピュータモデルに、仮想ブラケットが表れる。歯列矯正医は、不正咬合を修正するために自分が歯に作製したい力の種類に依存して、ブラケット位置を動かすことができる。
図60は、目標または所望の状態に位置決めされた患者の歯物体312のコンピュータモデルを示す歯列矯正ワークステーションからのスクリーンショットである。例示は、ユーザが公知の種類のアーチフォーム(たとえば、ロス)から患者用のアーチフォームを選択し、コンピュータがユーザによって選択されたアーチに沿って歯を配置する結果である。これは、歯列矯正医が選択したカーブに沿って、歯列矯正医が置いた仮想ブラケットを配置することによって、実行される。ブラケットは、図60からは削除されているが、図61には示されている。ソフトウェアによって、単にスクリーンディスプレイのスライド線区域320に新しい値を入力するだけで、利用可能な値をスクロールするために矢印を上下に動かすマウス操作によって、または、値を変更するバーをマウスで操作することによって、または、他の類似操作で、歯列矯正医は目標状況の多くの変数を変更することができる。図60は、いくつかのパラメータを示し、それによって歯列矯正医は、患者用の独特でカスタマイズされた目標状況を提供するように、アーチの形状、歯の間の距離、臼歯の間の距離、および他のパラメータを調整することができる。
図61は、目標状況の患者の歯のコンピュータモデルを示す別のスクリーンショットであり、これも、歯列矯正医が、目標アーチフォーム用に歯1本ずつのベースで、歯の位置、配向、角形成、トルク、および歯に関する他のパラメータをカスタマイズするのに利用可能である多数のパラメータを示す。仮想ブラケット322は、ユーザがランドマークを置いた場所で歯物体312に位置決めされる。仮想アーチワイヤ324は、各仮想ブラケットのスロットを通る。
図62は、目標状況の正面図と、患者の治療を計画するに当たり歯を互いに対して動かし位置決めするのをシミュレートするために歯列矯正医が利用可能な追加パラメータと、を示す別のスクリーンショットである。たとえば、図62において、カーソルは仮想歯41(歯番号づけ規則)へ動かされ、マウスがクリックされる。歯41は次いでハイライトされる。歯列矯正医がその歯を抜くことを望む場合、ボックス22をクリックしてシミュレーションで抜歯する。あるいは、歯41は、3本の回転軸のいずれを中心にして回転してもよく、X、YまたはZ方向に動いてもよく、または、より大きなまたはより小さなギャップが歯の間に形成されてもよい。
図63は、上部アーチの目標状況を示し、仮想ブラケット322が適所にある。歯列矯正医は、歯1本ずつのベースで、ブラケット322位置、アーチワイヤ形状324または歯312位置を調整することができ、それによって、患者の治療計画を最適化する。
治療計画の結果として、1セットのブラケット配置位置が作製され、且つ、不正咬合を治療するためにカスタマイズされた歯列矯正アーチワイヤの形状がモニタに表示される。ブラケットの位置、不正咬合の三次元モデル、目標状況の三次元モデル、および、使用するアーチワイヤの種類に関する情報が、図1の精密器具センター26へ送られる。カスタマイズされた歯列矯正アーチワイヤは、ブラケットの位置および種類、および患者用の目標状況にしたがって製造される。さらに、歯列矯正医がブラケットを適切な位置に配置するのを補助するためにトランスファトレイが製造される。トランスファトレイ、ブラケットおよびアーチワイヤは、歯列矯正医のクリニック22へ出荷される。次いで、歯列矯正器具が患者に加えられ、治療が開始する。
携帯スキャナによって数分間で生歯を走査することができるため、スキャナは治療をモニタするにあたっての重要なツールになる。治療が進むにつれて、治療中の歯の動きおよび位置を、高度な精密さで定量化することができる。歯列矯正医は、治療中に、たとえば歯の動きに影響を与える生物学的影響のため、ワイヤの修正をする必要があることを識別することができる。ワークステーションの治療計画ソフトウェアは、現在の状況と、目標状況とを表示する。新しいカスタマイズされたアーチワイヤがコンピュータに表示される。新しいアーチワイヤを作るための関連情報は、精密器具サービスセンターへ送られ、アーチワイヤが製造され、クリニックへ出荷される。
治療中にモニタリング走査が取られ、進捗を測定し定量化し、期待した治療からの逸脱を検出する。歯物体の各々は既に格納されているため、モニタリング走査は、生歯全体には必要ではないが、1つの表面のみに、たとえば、咬合面または舌面、またはこれら2つの幾分の組み合わせに、必要である。現在の上および下の関係を得るために、噛み締めた状態の歯を備えた咬合走査も取られる。残りの歯の位置は、患者の歯の仮想物体312(図58F)から得られる。モニタリング走査を実施した後に、走査されたデータの歯モデルに対する位置合わせが実施されて歯を完成し、治療のその点での患者の現在の仮想モデルを導き出す。この仮想モデルを調べて、歯の目標仮想モデルと治療の開始時の仮想モデルとを比較することによって、進捗が予想通りか否か、または、歯列矯正器具に追加修正が必要か否かがわかる。これらの修正は一般に、アーチワイヤ歯列矯正治療方式におけるワイヤ変更として行われ、新しい曲げが歯列矯正アーチワイヤに配置される。
当初仮想ブラケット配置
生歯の三次元モデルから今、切断され歯物体として表される個別の歯は、三次元で互いに対して動くことができる。ブラケットが固定して歯に結合されると歯列矯正医は想定するため、ブラケットを動かすことによって歯を動かす。処理の次のステップはしたがって、ブラケットを歯に結合するための当初位置を選択することである。下記に注記されるように、この当初位置は、治療計画ソフトウェアによって調整することができる。ブラケットの表面および対応する歯の表面の空間的位置は、知られている。衝突回避アルゴリズムを使用して、歯の表面に位置決めされたブラケットを保ち、臨床上、望ましくない結果である、仮想ブラケットが歯自体に入るのを防止する。ユーザは、アイコン(ブラケットが歯に整合するのを表す磁石のような形状のもの等)を起動することによって歯とは無関係にブラケットを動かすことができる。ブラケットが新しい位置に動かされるときには、歯はブラケットの表面に整合する。
ブラケットは、ソフトウェアでは仮想三次元物体として表され、すべてのブラケットの表面および歯は、三次元空間座標で知られている。したがって、衝突検出アルゴリズムを使用して、シミュレートされた歯またはブラケットの動きが結果としてブラケットと歯との間の衝突になるときを検出する。類似衝突アルゴリズムが設けられて、ブラケットの接着表面が仮想歯物体の本体内に移動するのを防止し、ブラケットが歯の表面に位置するのを保つ。ユーザがブラケットの位置を動かしたい場合には、歯の動きがブラケットの動きの後に続く。また、再度、ブラケットは公知の空間座標を備えた三次元仮想物体であるため、ユーザにはツール(アイコン等)が設けられ、起動されると、ユーザは、ブラケットを1つの平面または軸を中心に動かし、他の方向の動きを凍結することができる。
当初仮想ブラケット配置は下記の通りに行われる。図57に示されるようなランドマーク302が、すべての歯の唇側表面に配置される。ランドマークは、不正咬合を修正するために歯列矯正医が歯列矯正ブラケットを配置したい場所に配置される。ブラケット形状はモニタ上に示される。様々な市販のブラケット用の三次元テンプレートがメモリに格納され、ソフトウェアは歯列矯正医に、患者に使用するブラケットの特定の製造業者およびスタイルを選択させる。このようにして、ランドマーク302が配置されると、歯列矯正医がブラケットを配置したい歯の唇側表面に、コンピュータモデルに仮想ブラケットが表れる。歯列矯正医は、自分が不正咬合を修正するために歯に作りたい力の種類に依存して、ブラケット位置を動かすことができる。ブラケットは個別の物体であり、メモリに格納されるため、仮想歯の表面に配置されるときには、完全な位置情報が三次元で知られている。そのようであるため、ブラケットは、ユーザインターフェースに適切なユーザ仕様コマンドによって、単独でまたは歯とともに表示されるか、または視野から隠されることができる。たとえば、目標または現在の段階を示すスクリーンディスプレイは、ブラケットを隠すかまたはブラケットを表示することを指示するアイコンを有することができ、アイコンを起動すると、ブラケットが隠されるかまたは表示される。歯モデルおよびアーチワイヤ等の他の物体とは無関係に存在する他の仮想物体にも同一のことが当てはまる。
今や歯は個別の歯物体に分離され、歯列矯正医は、今、現在の目標段階を見て、患者用の目標状況をカスタム設計し、不正咬合を治療する器具を設計することができる。これらの態様は、これからさらに詳細に説明される。
観察された(現在の)段階を見る
図69は、不正咬合の三次元モデル18を示すスクリーンショットであり、それぞれ上部アーチ326および下部アーチ328の両方にある歯312を示す。スクリーン330は、ディスプレイの上部部分を横切る一列のアイコン332を含み、これは、生歯、仮想ブラケットおよび現在の且つ目標のアーチフォームを見るためにユーザに利用可能な様々なツールに関連する。スクリーンの下部部分334は、1セットのタブ336を含み、これらは、治療計画の様々な態様にアクセスされる。これらのタブ336は、患者タブ338を含み、これは、図66のスクリーンにアクセスする。リミットタブ340によってユーザは、観察された段階と目標段階との間の歯の動きを、たとえば、30パーセント、50パーセントおよび75パーセントの段階に機能を落とすことができ、これらの位置で両方のアーチ用の歯の位置を表示することができる。差タブ342は、各歯の観察された段階と目標段階との間の差(移動および回転の点で)を定量化する。空間管理タブ344によってユーザは、1本またはそれ以上の歯を抜くことをシミュレートし、両方のアーチの歯の間の間隔あけを調整することができる。結合修正タブ346によって、結合修正を経由して実現される歯の位置を調整することができる。技術タブ348によって、ユーザはブラケット処方を選択することができ、ブラケット高さ(ブラケットスロットから歯の切縁までの距離)をデフォルトで設定することができる。タブは、ユーザによって選ばれたブラケット処方用のパラメータも表示する。図69のスクリーンショットで選択された上部/下部(U/L)関係タブによって、ユーザは、3本の軸での移動(横方向、矢状方向および垂直方向)によって且つこれらの軸を中心にした回転によって、上顎と下顎との関係を修正することができる。ユーザは、手動でフィールド350に値を入力して、いずれのパラメータを変え、その変更は、生歯のモデルの視野に即座に反映される。
タブはまた、ブラケットオフセットタブ352を含み、これによってユーザはブラケットを歯に再位置決めすることができ、各ブラケットの配置修正用の数値を特定する。ブラケットタブ354によってユーザは、両方のアーチの各歯用のブラケットの種類または製造業者に関する情報を入力することができる。
治療のステップまたはユーザによって規定される限界(下記にさらに詳細に説明される)に基づいて、不正咬合から目標状況へ歯が動くのをアニメーションにするさらなる「変形」タブを設けることができる。
図69のスクリーンショットは領域356を含み、それによってユーザは、観察された段階の画と目標段階の画との間をナビゲートすることができる。ここで、ユーザは、観察された段階の両方のアーチをハイライトするかまたは選択するかし、そのためスクリーンディスプレイは、現在の段階または察された段階の生歯のモデルを示す。
図67を参照すると、治療計画ソフトウェアは、好ましくは、複数のアイコン331を表示し、そのすべてが図69に示されるわけではないが、ユーザが即座にたやすく、様々な標準斜視図で三次元モデルを見るのを可能にする。たとえば、図67のアイコン331は、それぞれ、上面図、底面図、右側面図および左側面図で生歯を診るためのアイコン333、335、337および339を含む。
ズームインまたはズームアウトするアイコン341が設けられる。アイコン343および345によってユーザは、それぞれ、仮想歯、仮想ブラケットおよび仮想アーチワイヤを含む上部アーチまたは下部アーチのみを見るのを選択することができる。アイコン347によってユーザは、仮想生歯を示すか隠すかすることができ、ブラケットおよびアーチワイヤは除外する。アイコン349によってユーザは、仮想ブラケットを選択するかまたは非選択状態にすることができる。測定機能(下記に記載される)のためにマーカーアイコン341が使用され、スクリーン上のいずれの仮想物体を操作するために物体ナビゲーションアイコン353が使用される。
複数の物体を三次元の画に位置決めするときには、図69に示されるように、図67のカメラナビゲーションアイコンがすべての要素を一緒に動かす。図70に示されるように、仮想ブラケット400の当初配置は、歯とともに表示することができる。さらに、カメラナビゲーションツールによってユーザは、いずれの所望の程度でズームインおよびズームアウトすることができる。しかし、仮想歯312および仮想ブラケット400は、個別の三次元物体であり、これらは個別に選択され動かされることができる。物体を動かす1つの方向は、新しい位置値(たとえば、後述されるように、変位をmmでまたは回転角度の点で)を入力することによる。ソフトウェアによって提供される別の方法は、アイコン353をクリックすることによって、または、ツールメニューを経由して機能にアクセスすることによって、起動される物体ナビゲーション制御装置を使用することである。物体ナビゲーション制御装置によってユーザは、歯列矯正判断および視覚フィードバックに基づいて、物体を動かすことができる。動きの量は格納され、数値位置情報を使用して表示することができる。下記にさらに詳細に検討されるように、ブラケット位置は、歯1本ずつのベースで個別に調整することができる。
さらに、カメラナビゲーションアイコンによって、アーチフォームのナビゲーション(すなわち、選択されたアーチフォームに配置された歯)、ブラケットのナビゲーション、または、アーチワイヤのナビゲーションが可能になる。
物体ナビゲーションツールは、まず、選択されるべき物体(たとえば、歯、ブラケット、アーチワイヤ等)を必要とする。スクリーンに表示された物体を選択し且つ非選択状態にするために、ユーザは物体上にカーソルを配置し、マウスをダブルクリックする。選択された物体は、別個の色でハイライトされる。追加物体は、<CTRL>ボタンを押し続けながら追加物体をダブルクリックすることによって、選択される。物体を拡大するために、物体は上述のように選択され、アイコン341がクリックされる。
選択された物体を動かすために、ソフトウェアは物体ナビゲーションアイコン353を提供する。アイコン353が選択されるときには、物体ナビゲーションツールがスクリーン330に表れる。これらのナビゲーションツール355は、図68および図69に示される。物体ナビゲーションアイコン355は、大きな円357と小さな円359と小さな矩形361とを備える。第1に、物体は上述のように選択される。次いで、物体ナビゲーションアイコン353がクリックされ、ツール355を起動してそれらが表示されるようにする。ユーザは次いで、ツール355に対してマウスポインタを位置決めし、後述のように押してドラッグし、物体を位置決めする。マウスポインタが大きな円357の外部にあるときには、ドラッグを開始するときに、物体は、ドラッグの方向に依存して、時計回りかまたは反時計回りのいずれかに回転される。マウスポインタが大きな円357内に位置決めされるときには、ドラッグを開始するときに、物体をいずれの方向にも回転する。ドラッグを小さな円359内部から開始するときには、物体は1つの平面内を動く。ドラッグを矩形361内部から開始するときには、下へドラッグすることによって物体はより近くに動き、上へドラッグすることによって物体は離れて動く。
物体を測定する
再度図67を参照すると、アイコン351によってユーザは、生歯の仮想モデルのいずれの部分に測定マーカーを設定することができる。ユーザは、アイコン351を使用して生歯のいずれの2つの点にマーカーを配置し、マーカーの間の距離がスクリーンに表示される。
アイコン351を使用するために、ユーザはアイコンをクリックし、次いで、生歯の3D画のいずれの場所をクリックしてマーカーを配置する。2つのマーカーの間に直線が引かれる。マーカーの間の距離が、スクリーンに、たとえば、3D画のウインドウペーンの上部左隅に、表れる。ツールメニューのツールが、DELETE ALL MARKERS(すべてのマーカーを削除する)機能を含み、マーカーを削除する。
測定機能によってユーザは、歯のサイズ、臼歯間の幅、犬歯間の幅、アーチ長さ、シュペー湾曲、および、他の重要な歯列矯正パラメータおよび診断パラメータを測定することができる。本発明の測定態様は、当初治療計画を設定することと治療をモニタすることとの両方の点で、シミュレートされた歯の動きを精密に定量化することができるため、特に重要である。
モデル断面を見る
閲覧選択肢も、クリッピング平面特徴を含み、それによって、いずれの所望の平面を通る歯の断面が可能である。図73に示されるように、クリッピング平面が上顎を通して示されるが、ユーザは自由にこの平面を三次元空間で動かすことができる。歯が拡大される場合には、上顎と下顎との間の接触点を検査し、当初咬合位置合わせにおける上顎および下顎を見て調整し、咬合平面の位置を調整するために、クリッピング平面特徴がきわめて有用である。たとえば、図74において、クリッピング平面は、上下の切歯312Aおよび312Bを通って示される。
クリッピング平面は、図68に示される物体ナビゲーションツールで物体のように操作される。平面は、ツールメニューを使用してアクセスされ、ユーザはSHOW CLIPPING PLANE(クリッピング平面を示す)をハイライトするかまたは選択する。平面がスクリーンに表れる。ユーザは次いで、物体ナビゲーションアイコン353(図67)をクリックする。図68の物体ナビゲーション制御装置355が表示される。ユーザは次いで、マウスポインタをナビゲーション制御装置353上に位置決めして、クリッピング平面の位置を調整する。大きな円357(図68、図73)の外部の領域でドラッグを開始するときには、平面は、時計回りかまたは反時計回りかに回転される。次いで、大きな円357の内部でドラッグを開始するときには、平面は、ドラッグによって指示される方向に回転される。小さな円359の内部からドラッグを開始するときには、クリッピング平面はドラッグの方向に動く。矩形361内部から開始するときには、上へドラッグするとモデル内へ浅く切り、下へドラッグすることによってモデル内を深く切る。
当初咬合位置合わせを見て調整する
典型的な治療計画の第1のステップは、三次元空間で歯を配置する場所を決定することである。これは、通常、骨に対する歯の垂直レベルの規定または固定と、咬合平面を規定し、咬合平面を矢状的且つ横方向に調整することと、に関与する。これは、今度は、通常、歯と上顎および下顎との間の構造的関係の査定に関与する。歯列矯正医は、X線、CATスキャン、写真、または、治療計画ソフトウェアの患者記録部分に格納された他の二次元データ、および、当然ながら、不正咬合の三次元モデルにアクセスし調査することによって、これを実施し、歯は、個別歯物体として表されるか、または、囲繞する解剖学的組織とともに表されるかのいずれかである。切歯および臼歯の正中矢状プロファイルは、X線で歯の正中矢状平面を重ね合わすことによって設定される。
図66は、治療計画ソフトウェアを走らせるワークステーションからのスクリーンショットであり、患者情報スクリーンを示す。スクリーンは、患者の頭部および顔部の様々な写真502、および、患者の生歯の様々な画を格納するための領域500を含む。写真はデジタルカメラで撮られワークステーション内に取り込まれ、治療計画ソフトウェアからアクセスされる。ソフトウェアの患者情報セクションは、メニュー504によってアクセスされる、患者用の他の関連情報を入力し表示するための別個のスクリーンも含む。これらの追加スクリーン(図示せず)は、患者の人口統計、患者の医療歴、歯科歴および歯列矯正歴、検査ノート、および、X線を含む。
この処理を補助するために、治療計画ソフトウェアは、当初咬合位置合わせを見て調整する能力を提供する。上部アーチと下部アーチとの間の当初咬合位置合わせは、図69のU/L関係タブ327を使用して修正することができる。ユーザは、フィールド366に値を入力することによって、下顎を上顎に対して動かすかまたは回転することができる。ユーザは、スライドバー368を下へ動かすことによって上顎および下顎の噛む動きをシミュレートすることもできる。このシミュレーションの間に、下顎は横から横へ且つ上下に動き、噛む動きをシミュレートする。
図71は、ワークステーションのスクリーンの三次元閲覧区域を、公知のウインドウペーン技術を使用して、どのように別個のスクリーンに分けることができるかを示す。ここで、ウインドウペーン360において、観察された段階の臼歯の区域が表示され、歯列矯正医は、上下の関係を査定し、空間の3つの平面の上下の関係用の値を変えることができる。同時に、ウインドウペーン362は、上部から見た上顎および下顎を示す。ウインドウペーン364は、臼歯から切歯に向けて見る生歯を示し、そうでなければ歯列矯正医は三次元仮想モデルなしでアクセスすることはできない画である。これらの様々な画、および、クリッピング平面ツール、および、ソフトウェアの患者記録部分のX線および患者写真データは、効果的な歯列矯正診断、治療計画、および、器具設計用に完全な一連のツールを提供し、当初咬合位置合わせを含む。
図72は、観察された段階の生歯の三次元モデルを示す別のスクリーンショットである。U/L関係タブの不正咬合フィールド366には、何の値も入力されていない。上顎および下顎を調べることによって(必要に応じて、拡大またはクリッピング平面特徴を使用する)、ユーザはフィールド366に数値を設定することができ、対応する歯の動きをすぐにシミュレートして、所望の上部および下部の当初咬合位置合わせに到達する。
目標アーチフォームの設計
図75を参照すると、ユーザが咬合平面の当初レベルを設定し当初の観察された状態を調べた後、次のステップは、患者用の所望のまたは目標のアーチフォームおよび中線を選択することである。歯列矯正医は、患者用の一般的な種類のアーチフォーム、たとえば、ロスを、先に選択したかまたは指示している。治療計画ソフトウェアによって、ユーザは、個別の患者用にこのアーチフォームに基づいて目標アーチを作製することができる。ユーザは、領域356の観察された段階をハイライト歯列矯正、次いで、マウスを右クリックする。ポップアップメニュー370が表れ、ユーザは、INSERT TARGET STAGE(目標段階を挿入する)を選択する。目標段階は、仮想アーチ線を作るために仮想ブラケットスロットを通って走る平らな仮想ワイヤを作ることによって、到達される。アーチ形状は、患者の顔の解剖学的構造、骨構造、不正咬合、および、歯列矯正の判断を使用して他のパラメータに基づき、アーチ形状に対するユーザの選択された好みに基づいている。ワイヤ目標形状は、不正咬合ブラケットスロット位置を通して最良適合を有する。1つの実施形態において、このワイヤは平らである。所望により、シュペー湾曲を作るために垂直方向に不正咬合を適合するワイヤを設計することも可能である。冠平面に歯の傾斜を設定するモンソンの横方向カーブ等の、横方向における外形を変えることもできる。
図76は、目標のまたは所望の状態に位置決めされた患者の歯の物体312のコンピュータモデルを示す歯列矯正ワークステーションからのスクリーンショットである。例示は、ユーザが公知の種類のアーチフォームから患者用のアーチフォームを選択し、コンピュータがユーザによって選択されたアーチに沿って仮想ブラケットを配置する結果である。これは、歯列矯正医によって選択されたアーチフォームまたはカーブに沿って仮想ブラケットを配置するかまたは通すことによって実行される。ブラケットは図76から削除されているが、図77には示されている。当初の目標のアーチフォームが作られるときには、図67に示されるスライド線タブが起動される。
図76でユーザに呈される当初の目標アーチフォームは、単に当初のアーチフォームに過ぎない。治療計画ソフトウェアによって、歯列矯正医は、単にスクリーンディスプレイのスライド線区域402に新しい値を入力することによって、目標状況の多くの変数を変えることができる。図19はいくつかのパラメータを示し、それによって歯列矯正医は、犬歯の間の距離、最奥の臼歯の間の距離、中心線のずれ、および、歯の前部の曲率半径を含むアーチの形状を調整することができる。スライド線区域によってもユーザは、対称的なアーチフォームまたは非対称的なアーチフォームを選択することができ、図のように右および左の象限に修正を加える。区域402に値が入力されると、アーチフォームの形状は、スクリーンディスプレイで即座に修正され、ユーザは患者用の様々な可能なアーチフォーム構成をシミュレートすることができる。
図76および77に示されるアーチフォームを作製する際に、ユーザは通常、下部アーチを先に開始する。上部アーチは、自動的に下部アーチから導き出される。ユーザは、3つのアーチアイコン390、392および394を使用して数種類の方法でアーチの形態を見ることができる。アーチアイコン390は、不正咬合アーチ用であり、これによって青線がスクリーンに表れ、観察されたアーチまたは不正咬合の曲率を呈する。この線が、歯に配置されるように仮想ブラケットのスロットを通る。アーチアイコン392は、目標アーチ用であり、目標状況の歯のブラケットスロットを通るカスタムアーチワイヤを表す。図76の線396はこのアーチを表す。アーチアイコン394は、ソフトウェアによって作製された理想スプラインまたはカーブのためのものであり、最適形状を表す。ユーザが、スライド線の項目を使用して目標アーチを操作するときに、アーチは放物線形状を保つ。スライド線タブの領域398の数値は、アイコン394に関連する理想スプラインのチェックポイントおよび境界状況を表す。これらの値は、図のように編集することができる。
ソフトウェアによって、不正咬合アーチフォームおよび計画されたアーチフォームの作製および表示が可能であるため、2つのアーチフォームの間の差は、アーチ長の不適当を制御する、すなわち、隣接歯間の減少、抜歯またはギャップサイズの制御の必要性を識別するのに必要なスペースを示す。隣接歯間の減少は、クリッピング平面特徴、および、空間の3つの平面における個別歯物体の形状づけのシミュレーションによって達成することができる。抜歯およびギャップの制御のシミュレーションは、次に説明されるように提供される。
空間管理−抜歯および歯の間のギャップの管理
治療計画ソフトウェアは、空間管理タブ344を提供し、これは、抜歯を含む歯の間の空間を管理するために使用される。図82は、上顎および下顎の両方の目標状況を示すスクリーンショットである。ユーザが空間管理タブ344をクリックすると、タブの領域420が表れる。領域420によってユーザは、現在の段階または目標段階のいずれかにおける抜歯をシミュレートすることができる。ここで、ユーザは、歯番号41の抜歯をシミュレートするが、これは、現在の段階および目標段階用の列におけるその歯用の適切なセルをクリックすることによる。結果は図83に示される。歯41を抜くことがシミュレートされる。領域422によってもユーザは、歯の間の近心ギャップサイズ用の値を入力することができる。0.1mmのデフォルト値が設けられる。しかし、ユーザはこれらの値を変えることができる。たとえば、ユーザは、図84に示される近心ギャップサイズ用のセルの列にいずれの値を入力することができる(この例では2mm)。
図84では、セル423がチェックされていないため、歯41の抜歯のシミュレーションは実施されていないことにも注意されたい。近心ギャップサイズ列424のその歯用のセルに正の数がタイプされるのであれば、歯は遠位に動く。そのセルに負の数がタイプされる場合には、歯は近心に動く。
仮想ブラケット位置を調整する
上部アーチフォームおよび下部アーチフォームが最適化された後に、ユーザは、歯に対する仮想ブラケット400の位置の調整を望むこともある。仮想ブラケット位置を調整するステップは、アーチフォームを設計する前に実施することもできる。
仮想歯の切縁に対する仮想ブラケットの垂直位置は、行うことができる1つの調整である。この距離は、先に記載された測定ツールを使用して測定することができる。この距離用のブラケット製造が推奨される。当初のランドマークが推奨された距離の外部でブラケットに配置されるのであれば、この距離は、物体ナビゲーションツールを使用することによって調整することができる。あるいは、ユーザは、アーチフォームおよびブラケットのセット(ブラケット構造、ブラケット技術およびワイヤ種類、たとえば、直線等)用の好ましい値を選択することができ、ランドマークおよび仮想ブラケットは、推奨された距離で歯に配置される。
ブラケット配置は、ユーザによってインタラクティブに実施することもできる。ユーザは、すべての歯312を1本ずつ見て(図75のスクリーンショット等のスクリーンを使用して)、基本的にブラケット400の位置、たとえば、角形成、横から横への位置、および、対向する顎における歯への関係、が満たされているかどうかを確かめる。ユーザは、不正咬合または目標段階を見ながらこのステップを実行してもよい。仮想ブラケット400の位置を改良するために、ユーザはブラケットを選択し、必要に応じてズームインし、先に記載されたナビゲーションツールを使用して歯表面に対するブラケットの位置を調整する。
目標アーチフォームにおける個別の歯位置の修正
アーチフォームが設計されブラケット配置が最適化された後に、ユーザは、目標アーチで歯1本ずつのベースで個別歯位置を調整することができる。これを実施することができる3つの方法がある。第1に、ユーザは、目標修正タブの表を使用することができる。たとえば、図78を参照されたいが、この中で、ユーザは、歯番号41の回転用に−15度の値を入力しており、歯はその量だけ回転する。修正は、アーチワイヤ396の曲げによって実現される。歯のブラケット位置は、この実施例では変化しない。目標修正タブ410によって、空間の3つの平面における近心頬側および冠移動、および、トルク、角形成、および、3本の直交軸を中心にした回転運動のために、いずれの値を入力することができる。このようにして、単に目標修正タブ410の表に値を入力することによって、独立歯位置修正が、すべての歯で6度の自由度で利用可能である。別の例が図81に示され、その中では新しい目標位置が、歯番号41用に示されている。
第2に、ユーザは、図69の結合修正タブ346を使用して歯を動かすことができる。例が図85に示される。結合修正タブ346によってユーザは、単に適切なセルに値を入力することによって、アーチのいずれの歯の歯位置用に新しい値を入力することができる。選択された歯312A(歯番号41)は、図のように動かされる(ここでは、−15度の新しい回転値が入力される)。仮想ブラケットは空間で同一位置のままであり、ブラケットのパッドと歯の表面との間のギャップ412は、ブラケットが歯に結合されるときに、結合接着剤によって埋められる。
結合修正タブまたは目標修正タブを使用してシミュレートされることが可能である共通歯運動の実施例は、下切歯を頬側にまたは唇側に動かし、切歯を軸方向に傾け、切歯を平らにする。
第3に、ユーザは、ナビゲーションツールを使用してインタラクティブに歯位置修正をシミュレートすることができる。ユーザは、必要に応じて目標段階を表示する。歯物体は、上記に説明されたように選択される。ユーザは、図67のズームアイコン341をクリックして、必要に応じてズームインまたはズームアウトする。ユーザは次いで、物体ナビゲーションアイコン353をクリックして、物体ナビゲーション制御装置を表示する。ユーザは次いで、ナビゲーション制御装置を使用して、所望に応じて歯を動かす。歯の動きは、ユーザが動きを定量化したいか、または、歯位置のさらなる修正のために結合修正表および目標修正表を使用したい場合、結合修正表および目標修正表に新しい値として記録される。
ユーザが歯を新しい位置へ動かした後に、スクリーンでハイライトされている2つのチェックマークアイコン414、416(図77、78)の一方をクリックする。青のチェックマーク414が結合修正によって新しい歯位置を実現する。
赤チェックマーク416がワイヤ修正によって新しい歯位置を実現する。
個別の歯位置の修正の別の例は、図79および80に示される。図80には、目標状況が示され、仮想歯物体312と仮想ブラケット400との両方を備える。歯16(312A)では、歯の最奥咬頭と対向する歯との間にギャップがあることに注意されたい。歯列矯正医は、歯番号16用の角形成セルに表450にある量を入力することによって(ここでは−15度)、基本的に歯312Aにブラケット400の場所を再位置決めし、ブラケットにずれを作ることによって、このギャップを修正することができる。結果が図80に示される。角形成値の変更が、歯番号16を後ろに回転させて、対向する歯を備えたより望ましい咬合にする。
ワイヤタブ
図86のワイヤタブ432によってユーザは、ブラケット位置を変えずに、ワイヤ構成を変えることができる。図86では、仮想ワイヤ396が、歯およびブラケットから孤立して示されていることに注意されたい。歯列矯正医が精密器具製造センターからワイヤを獲得しないことを選ぶ場合には、仮想ワイヤは、実際のサイズにスケールされ、プリントアウトされ、ワイヤを手で曲げるためのテンプレートを提供することができる。タブは、セクション430を含み、ここでユーザは、歯が現在の状況から目標状況へ動くときに、歯1本ずつのベースで、ワイヤがブラケットに対して摺動する距離をmmで見ることができる。歯が現在の状況から目標状況へ動く際に歯22の衝突が検出されることに注意されたい。これは、その内容がここに参照によって組み込まれる、2000年12月7日に許可された出願番号第09/451,609号、サシデバらに付与された米国特許第 号の教示にしたがって数種類の可能な方法で解決することができる。
追加ワイヤ曲げ修正
ワイヤオフセットタブ426(図73および図87参照)によってユーザは、元々のブラケット位置を保持しながら同時に修正された歯位置に対してワイヤ396を曲げるのをシミュレートすることができる。図87では、ワイヤ396は平らであり、修正が指示されていないことに注意されたい。ユーザは、仮想モデルの歯の1本をハイライトし、歯位置用に新しい値を入力する。変更は、ワイヤ396の新しい形状に反映される。タブによってユーザはまた、アーチワイヤ内に過剰/過少補償を組み入れることができる。これらの設定は、ブラケット位置に影響を与えない。曲率半径等のワイヤ曲げの特徴は、スライドタブ(図示せず)にアクセスすることによって制御することができる。別のタブ、力428は、ワイヤが各歯にかけてこれを当初位置から目標位置へ変位する力の近似値を表示する。
治療段階 現在の状況と目標状況との間の差が、運動のミリメートルでまたは3本の軸を中心にした回転の程度で、定量化することが可能であるため、患者用の治療をセグメントまたは段階に分けることができ、各段階は任意に規定される。たとえば、歯列矯正医は、第1の治療段階を、当初位置から最終位置への中間までの歯の動きとして特定することができる。ソフトウェアは、中間位置へ動かされるときの歯の位置をユーザが見ることができるスクリーンを含む。基本的には、シミュレーションは、単に、当初段階と最終段階との間の歯の位置の差に0.5を掛けるだけであり、結果として得られる歯の位置がワークステーションに表示される。さらに、ユーザは、4分の1または4分の3等のさらなる中間位置を特定することができる。この特徴で、歯列矯正医は、治療をモニタし、設定された限界または段階と治療の進捗を比較する。患者が治療中に診察に来るときには、患者の生歯が走査される。今の現在の状況の三次元モデルが、規定された段階と、おそらくは目標状況と、比較される。実際の進捗と計画された治療との間の差を定量化することができる。アーチワイヤへの変更は、治療計画ソフトウェアを使用して設計することができ、歯を所望の方向に動かして、観察される予想されない生物学的影響を明らかにする。
治療計画の上記の記載は、上述のように獲得された、スキャナから生歯の三次元モデルを使用して、予想されている。しかし、他の源から三次元ソフトウェア内に取り込むことによって、デジタル治療計画を実施することが可能である。テキストドキュメントを1つの種類のファイルから転換する変換プログラム(たとえば、マイクロソフトワードをワードパーフェクトへ)に類似した、異なるファイルフォーマットの異なるソフトウェアプログラムと、三次元モデルを交換することができることは、今日では知られている。大半の三次元用途は、異なる3Dフォーマット用に、数種類の取り込みフィルタを有する。
しかし、三次元物体を記載するには一般に2つの異なる方法がある。すなわち、表面表示によるものと、中実表示によるものとである。表面記載に3Dデータを保持する3Dファイルは一般に、物体の表面を形成する三角形から構成される。STLフォーマットは、もっとも古いものの1つであり、したがって、三角形を使用するもっとも共通のフォーマットである。これは、立体リソグラフィ機械に情報を供給するために使用される。STLのより詳細な記載は、http://www.mmsonline.com/articles.019704.htmlで見ることができ、その内容は、ここに参照によって組み込まれる。
治療モニタリング
インタラクティブなコンピュータ化された治療モニタリングは、ここに記載された治療計画およびシステムの器具設計態様には重要な利点である。一般に、患者が治療中にオフィスに来るときには、走査されて、生歯の新しいデジタルモデルが獲得される。この新しいモデルから、現在の状況と元々の不正咬合との間の差、および、現在の状況と目標状況または予め規定された限界または先に規定された治療段階との間の差をモニタすることができる。これらの差は、精密に定量化することができる。たとえば、現在のモデルの歯上の1点が選択され、元々の不正咬合の歯のモデルがスクリーンにかぶせられる。2本の歯の重ね合わせによってユーザは、発生した位置の変化を見ることができる。先に記載された測定マーカー特徴によってユーザは、動きの量を精密に定量化することができる。
観察された治療結果と予想された結果との差の逸脱を、ここに記載された走査および治療計画特徴を使用して、精密に且つ治療の早い段階で捉えて、修正することができる。たとえば、歯列矯正医は、アーチワイヤにさらなる曲げを置く必要があってもよい。そのような追加曲げは、スクリーン上にワイヤ形状をシミュレートし、スクリーン上にワイヤのみを表示し、スクリーンをプリントアウトし、ワイヤを曲げるためのテンプレートとして使用することによって、実施することができる。現在の状況は、新しい器具を製造するために精密器具センターへ送ることもできる。当然ながら、これらのモニタリングおよび治療修正は、患者のために選択されるいずれの種類の器具にも適用可能である。
パート5 器具製造 患者のために計画された治療にしたがって製造される器具は、本発明の範囲内で変動することができ、歯列矯正医および患者によって望まれる器具の種類を含む用途に依存する。平らなワイヤおよびブラケット、仕上げワイヤ、保持器、ヘルプスト装置、拡張装置、および、アラインテクノロジーズが供給するもの等の取り外し可能な透明な整列配置装置を含む広く様々な治療方式に、上述の治療計画およびシミュレーション特徴部を使用することができることは明らかである。
たとえば、現在の段階または観察された段階から目標段階または治療段階への歯の動きは、一連の運動ステップに分けることができる。処理の各ステップでは、治療計画ソフトウェアで個別の歯モデルを操作することによって、その段階の歯の位置が知られる。これらの歯の位置を使用して、整列配置装置を製造することができる。
代表的な実施形態では、治療計画ソフトウェアの結果を使用して、カスタマイズされた歯列矯正アーチワイヤと、患者の歯に既製品のブラケットを精密に配置するためのブラケット配置トレイと、を作製する。歯列矯正医の満足のいくまで治療計画特徴部が実行されて提案された目標状況が仕上げられたときには、治療計画ソフトウェアは下記の情報を格納する(患者記録に加えて)。すなわち、
1)現在の段階または不正咬合の仮想モデル、
2)不正咬合に対するブラケットの配置位置、ブラケットの種類および寸法を含む、
3)アーチワイヤの種類を歯列矯正医が選択(材料およびサイズを含む)、および、
4)目標状況、目標状況で三次元における歯およびブラケットの位置を含む。
器具製造ステップがアーチワイヤの形状を計算するかまたはこれを知ることさえ、絶対的に必要ではないことに注意されたい。アーチワイヤ外形は、歯が目標状況にあるときに三次元空間でのブラケット位置によって影響される。このブラケット位置情報は、上記4)の目標状況に含まれる。
図1を参照すると、治療計画ソフトウェアからの上記情報は、適切な通信媒体24を通してデジタル形態で精密器具サービスセンター26へ送られる。サービスセンターは、不正咬合の歯に意図された位置でブラケットを配置するためのブラケット配置トレイおよびカスタマイズされたアーチワイヤを製造する。
基本的に、ブラケットスロットの位置およびブラケットの形状は、歯が目標状況にあるときには、治療計画ソフトウェアによって最終的に展開され格納される情報である。ブラケットスロットのこの位置およびスロットの形状(たとえば長さ)は、当然ながら、三次元で知られている。スロット形状から、目標状況でブラケットスロットを通るアーチワイヤの形状を表す線セグメントの三次元セットを導き出すことは可能であり、ブラケットスロットを一緒に接続する曲げの最適形状を計算する。まっすぐなセクションおよび曲げの位置は、ワイヤ曲げロボットに入力ファイルとして供給される。ワイヤ曲げロボットは、ワイヤのサイズ、スロットの形状およびサイズ、および、目標状況のスロットの位置を知る必要があるだけである。この情報から、アーチワイヤを所望の形状に曲げるようにロボットコマンドが作成される。
ブラケット配置トレイは、立体リソグラフィ法または他の類似技術を使用して、別個に製造される。治療計画ソフトウェアは、上記のアイテム1)および2)を作製し、ブラケットを歯に重ね合わせて、観察された段階または不正咬合において意図された場所で三次元歯および仮想ブラケットを備える三次元モデルを作製する。この三次元モデルは、立体リソグラフィ(SLA)機器へ供給される。
SLA機器は、歯に重ね合わされたブラケットを備えた歯のプラスチックモデルを製造する。熱可塑性ホイルがSLAモデル上に配置され、モデルおよびホイルは圧力チャンバ内に配置される。チャンバは加圧され、そのためホイルは生歯およびブラケットを包む。冷却後、ホイルはモデルから取り外される。ホイルは、今はトランスファトレイの形状であり、ブラケットが位置する小さなへこみを有する。本物のブラケットがこのへこみに配置される。歯列矯正医は、間接結合技術を使用して、ブラケットを歯に結合する。トランスファトレイは、ブラケットを所望の位置で歯に位置決めする。結合が完了した後に、歯列矯正医はトランスファトレイを取り外し、結果として所望の位置で歯に結合したブラケットが得られる。このステップで生歯をさらに走査することができ、ブラケットの位置を検証する。ブラケット位置のいずれの実質的逸脱は、再度、上述の治療計画特徴を使用して、アーチワイヤの修正によって補償することができる。
既製品のブラケットが、所与の患者の個別の歯に精密に整合することは絶対にないため、ブラケット基部(歯に結合される部分)と歯との間には常にいくらかの小さなギャップがある。1つの選択肢は、結合中に余剰の結合接着剤を使用してギャップを満たすことである。別の選択肢は、ブラケットの基部に、接着剤から作られたカスタマイズされたパッドを装備することである。
カスタマイズされたブラケットパッドは、様々な技術を使用して製造することができる。1つの可能性は、接着剤のブロブをブラケット基部に結合し、フライス盤を使用してブロブを削り歯の表面に整合させることである。歯の表面は走査から精密に知られており、表面に対するブラケット基部の位置も精密に知られているため、きわめて正確なブラケットパッドをこのようにして製造することができる。別の技術は、打ち抜き機械を使用して、所望の形状にブラケットパッドを打ち抜くか、またはブランクとして打ち抜いて、打ち抜かれたパッドを所望の形状にフライス削りすることである。第3の可能性は、カスタマイズされたパッドの雌型を作り、金型にパッドを形成して、パッドをブラケットに結合し、歯列矯正医が、パッドを歯に結合するときに必要に応じてパッドをトリミングすることである。
ひとたびブラケットが歯に結合されると、ブラケット配置の走査が行われる。
走査は、予想されたブラケット位置のデジタルテンプレートと比較される。ブラケットが不正確に配置された場合は、ブラケットを歯に再結合することができる。あるいは、予想された位置からブラケットの変位を補償するために必要に応じてワイヤに対する修正が行われてもよい。基本的にこれは、目標状況で実際のブラケットの配置で歯の位置をシミュレートして、必要に応じてアーチワイヤの形状を修正するか、または、ブラケットの実際の配置に基づいて新しいアーチワイヤを獲得するかによって行われる。
生歯およびブラケットを表す雄型SLAモデルの中間ステップなしでトランスファトレイを製造することも可能である。これらのトレイは、プラスチックシートに類似していて、高速原型作成方法(SLA、レーザ焼結、フライス削り、3Dプリンティング等)を使用して作製されてもよく、または、より洗練された外形を有し、ブラケットを保持する特徴部および生歯に適切な位置決めを提供する特部徴を含む。さらに、たとえば先に引用したアンドレイコ特許に記載された技術を使用して、生歯およびブラケットの三次元モデルからブラケット配置治具をフライス削りすることができる。
別の可能性として、仮想歯/ブラケット外形に基づいたカスタマイズされたブラケット結合パッドを作製することができる。そのような結合パッドは、歯の表面に一致して歯用の配置治具として作用し、ブラケット結合パッドが歯に精密に位置するのを可能にする追加材料を含んでもよい。次いでブラケットは、ブラケット結合パッドに結合される。次いで、追加材料が除去される。
上記記載を念頭において、治療計画機能が、いずれの源からいずれの3Dブラケットを取り込んで実施できることが理解される。好ましい実施形態は、携帯スキャナから走査された三次元モデルを使用するが、これは必要または必須ではない。ソフトウェアは、STL、DXF、VRML等を含む3D物体のファイルの共通の種類用の取り込みフィルタを有することが好ましい。
さらに、治療計画ソフトウェアの別の重要な態様は、任意のやり方で歯モデルに対するブラケットの配置が可能であり、且つ、一緒に動くように、これらのブラケットを歯に仮想的に「結合」することが可能であるということである。本発明の実施形態は、ランドマーク特徴を記載しており、それによってユーザは歯にランドマークをつけ、ブラケットはランドマークに配置されるが、これは、他の方法で実施されてもよく、歯冠の高さ、ブラケットの種類、歯のサイズ等のパラメータに基づいてユーザの係わりなしで自動的に行うことを含む。
上記のように、ソフトウェアは、いずれの形状の仮想ワイヤに沿ってブラケットを整合することも提供する。このようにして、ユーザがアーチワイヤの形状を変えると、ブラケットがこの形状に従い、それによって、目標状況における歯の位置の修正を示す。この特徴によってユーザは、ワイヤ形状に基づいて治療計画を推進することができる。逆に、ワイヤ形状は、歯にブラケットを配置することによって規定されることが可能である。このようにして、治療計画はブラケット配置によって推進されるものでありうる。ワイヤの形状および設計には、広い多様性が可能であることは明らかである。
さらに、上顎および下顎両方の歯のシミュレーションを一緒に提供することによって、ソフトウェアは、上顎/下顎関係、咬合平面および歯の中線を規定するのに広い多様性を提供する。
ソフトウェアの別の重要な態様は、先に記載したマーキングアイコンおよび測定特徴を使用して、仮想的に無限の3D測定特徴部を提供するということである。この特徴は、有力な診断ツール、および、治療の進捗をモニタし結果を定量化するツールを提供する。
歯は、完全三次元仮想物体として表されるため、現在の状況から目標状況へ歯が動くシミュレーションの際に、歯の間の衝突または歯とブラケットとの間の衝突を検出することが可能である。歯物体を表す点クラウドが表面を規定し、歯の動く間に表面が接触するときに、衝突がシミュレートされる。この衝突は、適切な衝突検出アルゴリズムによって検出される。衝突が検出されると、ユーザに衝突を知らせることができ、たとえば、主要歯として1本の歯を選択し、その歯を最初に治療の初期段階に動かし、次いで他の歯を治療の第2段階へ動かすことによって、ユーザは歯の間の衝突を解消することができる。これらの特徴は、1999年11月30日に出願され、現在許可されている米国特許出願第09/451,609号にさらに詳細に記載されており、その内容はここに参照によって組み込まれる。
現在の治療計画ソフトウェアの別の利点は、これが、ユーザ仕様の歯の動きの効果で即座にフィードバックを返すリアルタイムシミュレーションをユーザに提供することである。ディスプレイのフィールドに値が入力されると、または、ユーザがナビゲーションツールを使用すると、結果が即座に表示される。さらに、システムは、すべての物体に任意のアクセスを提供し、選択、ナビゲーションおよびエクスポートを含む。
A.ロボット設計
図88は、図1に示された現在の好ましいアーチワイヤ製造システム34の概略表示である。システム34の重要な態様は図88Aのブロック図の形態に示される。システム34は、ワイヤ曲げロボット604の操作を制御するための制御システムを含む。例示された実施形態の制御システムは、曲げプログラムを走らせる汎用コンピュータ600とロボット制御装置602とを備える。コンピュータ600は、精密器具サービスセンターのコンピュータから、歯が目標状況にあるときの三次元におけるブラケットスロットの場所に関する情報を含む入力ファイルを受け取る。コンピュータ600は、ロボット制御装置に、曲げることが必要なワイヤに沿った点に対応するワイヤ点情報を供給する。この情報は、ロボット制御装置602によって、ワイヤ曲げロボット604用のモーションコマンドに変換される。
システムが他の種類の医療装置を曲げるときに同じように働くことが理解される。コンピュータ600は、何らかの源から、当該の医療装置をどのように曲げる必要かあるかに関しての情報を提供する入力ファイルを受け取る。コンピュータ600は、ロボット制御装置602に、曲げる必要がある医療装置の長さ方向に沿った点に対応する位置情報を供給し、ロボットはそれに応答して入力ファイルにしたがって医療装置を曲げる。
ワイヤ曲げロボット604は、遠位端にグリップツールを有する可動アーム606から構成される。可動アームは、台または基部610に装着された近心端を有する。ロボットは、第1のグリップツール608も含む。例示された実施形態において、第1のグリッパーツール608は基部610に対して固定され、台に装着される。したがって、第1のグリップツール608は、ここでは、「固定グリッパー」と称されることもある。第1のグリッパーツール608を第2のロボットアームの端に配置することも可能であり、その場合には、第1のグリッパーツールは必ずしも固定されることはなく、むしろ、アーチワイヤの源または他方の可動アームに対して空間を自由に動く。そのようなシステムにおいて、基点を有する座標システムが規定され、第1のツールは公知の位置に位置決めされる。
ロボット用の曲げコマンドはこの公知の点に対するものである。
ワイヤまたは曲げるべき他のワークピースが、第1のグリッパー608によって保持され、グリップツールは可動アーム606の端に保持され、アームは、空間の新しい点に動かされ、それによってワークピースを曲げる。アーム606および固定グリッパー608の構造の詳細は、下記にさらに詳しく記載される。
複数のクリニックにサービスを行う精密器具サービスセンターの場合がそうであるように、図88のシステム34は、カスタマイズされたアーチワイヤを連続して1つずつ製造するように設定される。そのようであるため、ロボット604はアーチワイヤ材料の源を含む。源は、ワイヤのスプールであってもよく、その場合、個別のアーチワイヤ用にワイヤの長さを切断するために切断ツールが必要である。あるいは、図88および93に示されるように、源は、可動アーム606の端のグリップツールによって把持されるように準備された複数のまっすぐなアーチワイヤ615を含むマガジン614から構成される。第1のグリップツールが可動アームの端に装着される実施形態において、第1のグリップツールは、次のワークピースを検索することができ、一方、可動アームは仕上がったたワークピースを出口位置に配置する。
コンピュータ600に供給された入力ファイルにしたがってアーチワイヤを曲げた後に、ロボットアーム606の端の可動グリップツールが、ワイヤ(または曲げられているワークピース)を616で示された出口位置に配置する。仕上がったアーチワイヤのワイヤ622を出口位置616からラベルづけおよびパッケージステーション624へ運ぶために、複数のトレイ620を含むコンベヤシステム618が設けられる。ラベルづけおよびパッケージステーション624は、アーチワイヤ用のラベルを印刷するプリンタ626と、ワイヤ用の箱または袋等のパッケージのサプライを含むマガジン628と、を含む。ステーション624で労働者は、プリンタからラベルを取り、これを、アーチワイヤ622またはワイヤ用のパッケージに加える。コンベヤシステム618も、モントラックのモンテク部門が販売する種類のもの等の、市販の既製品のコンベヤシステムに基づいている。
ワイヤ製造システム34は、ワイヤ製造コンピュータ600からのコマンドおよび設定に応答する加熱制御装置612を含む。制御装置612は、ロボットのグリップツールのグリップフィンガの加熱要素607Aおよび607Bへの電流の供給を制御し、それによってグリップフィンガを周囲温度以上に加熱する。温度センサ605Aおよび605Bがグリップフィンガの温度を検出し、グリップフィンガの加熱のフィードバック制御のために使用される。赤外線ヒートデテクタ等の、ワークピースの温度を測定するための直接および間接のシステムも設けられてもよい。加熱制御装置612は、ワイヤを曲げているときにグリップツールに電流を供給するワイヤ加熱電力サプライ611も制御する。ロボットが、形状記憶材料またはチタンモリブデン合金(TMA)材料、または可能な他の材料、を曲げているときに、電力サプライ611が使用される。電流がワイヤ内に抵抗加熱を生成する。電流は、ワイヤに形成される曲げが材料内に設定されるワイヤ温度を生成するように、ワイヤ加熱電流センサ613を経由して制御される。ワイヤの抵抗加熱が実施されるときに、グリップフィンガの加熱が過剰な熱損失を回避する。
図89は、図88の製造システムに使用される可動ロボットアーム606の斜視図である。図89では、アームの遠位端634のグリップツールは省略されている。好ましい実施形態において、可動アームは、既製品の6軸ロボットアームおよび固定ツールに基づいている。ロボット604用の適切なアーム、固定ツールおよびロボット制御装置は、ドイツのストーブリユニメーションが販売している。ストーブリのロボットアームおよび固定ツールは、グリップツール、加熱制御装置および補助システム、ソフトウェア、電流加熱サブシステム、力センサ、および、アーチワイヤまたは他の適切な医療装置を曲げるためにここに記載された他の特徴部で、カスタマイズされる。
アーム606は、図88の台610に装着する近心端または基部630と、後述されるように、図92の第2のグリップツール651Aが装着されてツールフランジ634から構成される自由遠位端632と、から構成される。アーム606は、6本の異なる軸に沿って動くことができ、方向は、図89で番号1〜6をふられた矢印によって示される。このようにして、基部は台610に対して固定され、頭部部分636は基部630に対して回転する。頭部部分636のジョイントは、アームセグメント638を、矢印2によって示される軸を中心に回転させる。同様に、アームセグメント640は、ジョイント639によって矢印3によって示される軸を中心にして回転する。ジョイント642は、アームセグメント640を、矢印4によって示される軸を中心に回転させる。アームセグメント640の端に取り付けられたジョイント644は、ツールフランジ634を、矢印5によって示される軸を中心に回転させる。第6のジョイント(図示せず)は、ツールフランジ634を、矢印6によって示される軸を中心に回転させる。
図90は、図89のロボットアームの斜視図であり、アームジョイント639の動き、および、アームセグメント640およびツールフランジ634の対応する運動を示す。ロボット用のモーションコマンドが、ロボットの基部630に差し込むケーブル650に沿ってロボット制御装置602から供給される。
図91は、図89および図90のロボットアーム606の遠位端でツールフランジ634へ装着される好ましいグリップツール651Aの詳細斜視図である。
図91に示される構造は、図88および図92の固定グリッパー608にも適用される。グリップツール651Aは、一対の対向するグリップフィンガ652および654から構成され、これが開閉して、ワークピース、この場合は歯列矯正アーチワイヤ615、を掴み、解放する。空気シリンダが、グリップフィンガ652をフィンガ654に対して軸を中心に動かすことによって、グリップフィンガ652を作動し、それによって、フィンガ652および654は、ワイヤ等のワークピースを掴み、解放することができる。位置決めセンサ655(図88A)が、フィンガの位置を検出する。
代表的な実施形態において、アーチワイヤは、ニチノール、すなわち、ニッケルおよびチタンに、銅または他の合金を加えたものに基づいた材料等の形状記憶合金から作られる。これらの材料は、加熱されて、ワイヤに形成された曲げの形状を保持することができる。したがって、図88Aのワイヤ加熱電力サプライ611は、固定グリップツールおよび可動グリップツールのグリップフィンガへ電流を供給する。ワイヤに沿った電流の流れが、ワイヤが曲げられるようにワイヤの形状にしたがって歪を取る材料に十分なワイヤの抵抗加熱を作る。ワイヤからグリップフィンガ内へ熱が放散するのを避けるためにグリップフィンガ652および654が、電気加熱要素607Aおよび607Bによって加熱されることが好ましい。導体660および662が、グリッパーフィンガの加熱要素に電流を供給する。
図91のグリップツール651Aは、歪ゲージの形態で力センサ664をさらに含む。力センサは、曲げがワイヤに置かれた後にまたは曲げ運動中に、ワイヤがグリップフィンガへ与える力を検出するように設計される。力センサ664によって検出される力は、大きさと三次元での方向との両方が決定される。ワイヤを過剰に曲げるための力センサからの出力の使用は、下記にさらに詳細に説明される。
図92は、可動アーム606の遠位端632に位置する可動グリップツール651Aとともに、図91に示されるようなグリップツール651Bを有する固定グリッパー608の斜視図である。歯列矯正アーチワイヤ615が、グリップツール651Aおよび651Bによって掴まれて示される。固定グリッパー608およびグリップツール651Bは、基部610に対して静止したままである。固定グリップツール651がアーチワイヤ615を把持し可動グリップツール651Aもアーチワイヤ615を把持し、次いで、可動グリップツール651Aが固定グリップツールに対して三次元空間で新しい位置へ動くことによってワイヤを曲げることによって、アーチワイヤは曲げられるかまたは捩られるかする。基本的に、入力ファイルは、下記により詳細に記載されるように、アーチ用の三次元座標システムにおけるブラケット位置および配向に対応する三次元座標システムにおける一連の点位置から構成される。これらの点を計算し、且つ、ロボットの可動アーム用の運動コマンド(すなわち、グリッパーフィンガ用のアーム位置およびスイッチ状態)および固定グリッパーがワイヤを曲げるためのコマンドを作成する方法が、下記により詳細に記載される。
入力ファイルおよび曲げ点の計算には他の可能性が存在する。たとえば、抜歯の場合、歯の間のギャップを閉じるためにワイヤが必要であり、ワイヤは、ブラケットが歯を閉じるために沿って摺動するガイドまたはレールとして作用する。
この状況において、ブラケットが必要な量だけ摺動することができるために、歯の間に滑らかなカーブが必要である。この状況において、歯の間の空間は小さなセクションに分けられ、ワイヤ座標は各セクションから得られる。一連の小さな曲げが各セクションに形成され、必要な滑らかなカーブを作製する。この状況では、所望の滑らかな形状を提供するのを助けるために、グリップフィンガの縁に丸めみをつけることも有用である。別の代替例として、複数のブラケットを取り囲む2つの点の間のワイヤを曲げることによって、自由形態カーブを形成することができる。
ロボットアームの好ましい実施形態は図89に示されるが、それがロボットアームの唯一の可能な配列ではない。図89のロボットは、アーチワイヤの複雑な曲げおよび捩れに最適化されている。しかし、簡略な曲げしか必要としない医療装置またはアーチワイヤがあり、その場合、必要なジョイントの数は少なくなる。たとえば、用途によっては、1本、2本または3本の軸のロボットで十分である。
図95は、6軸可動ロボットアームの代替配列の斜視図である。この実施形態において、ロボットアームは、基部700と、方向704に沿ってアームセグメント702を動かすモータと、方向708に沿って第2のアームセグメント706を動かすモータを含む第2のセクションと、方向714に沿ってアームセクション712を動かすモータを含む第3のセクション710と、を備える。アームセクション712を軸αを中心にして回転するためにモータが設けられる。セクション716は、セクション712の端に接続され、βによって示される軸を中心にしてセクション716を回転するためのモータを含む。第6のセクション718は、γによって示される軸を中心にして回転される。グリップツール651Aは、セクション718の端に装着される。この種類のロボットも公知であり、歯列矯正アーチワイヤ曲げロボットの基礎を形成するのに適切である。特許請求の範囲で使用される「可動アーム」という用語は、図95に示される種類のアームセグメント、および、図90に示される構造を含むように、広く解釈されることが意図される。
グリップツール651Aおよび652のグリップフィンガは、その物理的構成の点で、曲げられているワークピースの種類および形状用に、最適化されることが好ましい。この形状は、ワークピース、たとえば、ワイヤ、固定プレート、スペクタクルフレーム等の性質に依存して、変わってもよい。ワイヤの場合には、ワイヤは様々な断面およびサイズになる。グリップツールを変えずにグリップフィンガが数種類の異なる種類およびサイズのワイヤを掴むことができるように、グリップフィンガに複数の輪郭を形成することが望ましい。たとえば、グリッパーフィンガの1つの部分は一連の矩形輪郭を有して、変動するサイズの矩形断面のワイヤを掴み、おそらく1つまたはそれ以上の円形輪郭が丸いワイヤを掴む。
グリップツールの力センサを使用して、ワークピース(たとえばワイヤ)に加えられる調整可能なグリップ力にフィードバックを提供してもよい。ワークピースからグリッパーへ作用する力が一定の限界を超える場合には、ワイヤがグリッパーフィンガを通って摺動することができることが望ましい。これらの力が検知されると、固定グリッパーがワークピースを掴むのをゆるめて、これが摺動するのを可能にする。
図93は、現在の好ましい実施形態で、曲げる必要がある複数のまっすぐなアーチワイヤを保持する図88のマガジン614の斜視図である。図94は、図93のマガジンからアーチワイヤの1つを把持する可動グリップツールの詳細斜視図である。
マガジン614は、その上部表面に一連の溝674を規定する1セットの平行な隆起した要素672を有するトレイ670から構成される。アーチワイヤ615は溝674内に配置される。アーチワイヤは、トレイ内で互いから間隔をおいて離れて維持される。これによって、ロボットの可動グリップツール651Aは、図94に示されるようにマガジン614から1度に1本のアーチワイヤを取り上げ、これを固定グリップツールに挿入し、曲げ操作を開始することができる。
また、マガジン614は公知の場所に位置決めされ、トレイの寸法およびそのスロット特徴部も精密に知られている。この位置情報は、ロボット制御ソフトウェアへ供給され、グリップツール651Aは、自動的に且つ人の補助なしでマガジンからアーチワイヤを1度に1本ずつ取り外すことができる。マガジン614が空になると完全なものが同一の場所に配置される。
図96Aおよび96Bは、図7のマガジンに対する別のマガジン構造の斜視図である。図96Aにおいて、マガジン614は、互いから間隔をおいた複数の開口部680を備えた円筒形ホルダから構成され、開口部の各々はまっすぐなアーチワイヤ615を含む。図96Bにおいて、アーチワイヤは矩形ホルダ内にあり、列および欄に配置された開口部を備えている。いずれの場合にも、可動アームがアーチワイヤの個別の1本を掴み、マガジン内でワイヤを互いから間隔をあけることによって且つマガジン内の各ワイヤの場所を知ることができるため、そのアーチワイヤをマガジンから取り外す。
図97は、アーチワイヤ615をロボットへ運ぶコンベヤベルト724を含むコンベヤシステム722の概略例示である。ここで、ロボットは、安全ケージ内に入れられている。源がアーチワイヤ615をコンベヤベルトのスロット728へ供給する。ワイヤが曲げられロボットが新しいワイヤを準備すると、ベルトは1つの位置を進み、ロボットはベルト724に配置された次のワイヤを掴む。別の代替例として、アーチワイヤのスプールがロボットに供給することができ、スプールからのワイヤを所望の長さへ切断するために、切断ツール(図示せず)が設けられる。切断ツールは、たとえば、第2のロボットアームの端に組み込むことができる。依然として、さらなる遂行が可能である。
アーチワイヤ製造システムが、次の作業、すなわち、ループ曲げ、表面磨きおよびワイヤのマーキング、の1つまたはそれ以上を実施することができる他のワークステーションまたはワークプレースを有することも可能である。これらのステーションは、コンベヤシステム722のまわりの場所に位置決めされてもよく、または、別個の場所にあってもよい。
ロボットワイヤ曲げシステムをエンクロージャ内に入れ、エンクロージャに窒素等の不活性ガスを満たすことも可能である。不活性ガスは、曲げている間のワークピースの酸化またはグリップツールに影響を与える酸化または他の化学反応を防止する。
B.アーチワイヤ製造
図88のワイヤ製造システムの代表的実施形態でアーチワイヤ(または他の類似器具)を製造するための製造フローチャートが、図98に示される。製造フローチャートは、代替実施形態におけるワイヤのスプール等のワイヤマガジン614を取り込むステップ800と、ステップ802でワイヤをロボットに供給することと、ステップ804でワイヤを一定の長さに切断することと、を含む。ステップ806で、アーチワイヤ用の規定にしたがって一連の曲げがアーチワイヤに置かれる。曲げが完了した後に、ワイヤは、ステップ808でステーション624でラベルづけされ、ステップ810で箱または他のパッケージに包装される。
ステップ806でのワイヤの曲げは、図99〜106に関連して下記に記載されるようにブラケットスロット用のスロットデータに基づくか、または、ここに説明されるような他の適切な基準に基づく。ワイヤ曲げコンピュータ600が、図1の精密器具センターのコンピュータからこのスロットデータを受け取る。コンピュータ600は、スロットデータを三次元空間の1セットの点に加工し、ワイヤに適切な曲げを達成するのに必要な可動アームの動きを計算する曲げプログラムを実行する。コンピュータ600は、ロボット制御装置にソフトウェアインターフェース812を有し、これが、ロボットアーム用の位置または運動信号をロボット制御装置602用の低レベル指令に変換する。ロボット制御装置はロボット制御プログラム(ロボットに付属する制御プログラムから適合される)を実行し、これがロボットアーム606を固定グリッパー608に対して動かし、ワイヤを曲げ且つ/または捩る。アーチワイヤが形状記憶合金である場合には、ワイヤ加熱電力サプライ611は、可動アーム上のグリッパーフィンガ652および652および固定グリッパー608上のグリッパーフィンガへ電流を供給してワイヤを加熱し、一方、ワイヤは曲げ状態に保持され、且つ/または、曲げる動きの間に、ワイヤの形状に設定する。
ロボット入力ファイル
入力ファイルは、曲げの後にアーチワイヤの形状を規定し、これから図99〜106に関連して検討される。入力ファイルは、1セットのマトリクスを含み、患者のアーチの各ブラケット用の1つのマトリクスである。各マトリクスは、ブラケットの点の位置のベクトルと配向のマトリクスとの組み合わせから構成され、三次元空間でのブラケットの配向を示す。位置のベクトルと配向のマトリクスとの両方とも、歯が目標状況にあるときの歯のブラケットの位置に基づいている。目標状況は、クリニックで治療計画ソフトウェアを使用する治療計画の実行および生歯の走査から、歯列矯正医によって展開される。
図99は、患者1人につき1つのアーチ820用の目標状況を例示する。目標状況は、歯822の三次元仮想モデルであり、仮想ブラケット824が、たとえば、歯の唇側表面に配置される。基点826を有するアーチ820用の座標システムが規定される。座標システムは三次元にあり、XおよびY次元はアーチの平面にあり、Z方向はページを示す。基点826の位置は、特に重要ではない。例示された実施形態において、平均「質量」がアーチの各仮想歯に割り当てられ、「質量」の中心がアーチ820用に計算され、基点826はその中心に位置する。
図100および101に示されるように、位置のベクトル828が、各ブラケット用に規定される。ベクトル828は、基点826から、ブラケットスロットの壁832に沿ってブラケットのスロット830の中心すなわち点834へ延びる。位置のベクトルは、規定されたアーチ座標システムにおいて点834のX、YおよびZ座標から構成される。
配向マトリクスは、単位ベクトルの形態の3×3マトリクスから構成される。
Figure 2008110203
ただし、X1、X2およびX3は、図101に示されるX単位ベクトルのX、YおよびZ構成要素であり、Y1、Y2およびY3は、図101に示されるY単位ベクトルのX、YおよびZ構成要素であり、Z1、Z2およびZ3は、図101に示されるZ単位ベクトルのX、YおよびZ構成要素である。上記のように、各ブラケットのマトリクスは、このように、3×3配向マトリクスと位置マトリクスとの組み合わせから構成され、したがって下記の通りである。
Figure 2008110203
ただし、項目の右手欄のX、YおよびZは位置ベクトルである。
ロボット入力ファイルは、各ブラケット用の非正接値および正接値も含む。非正接値は、ブラケットスロットの中心(点834)からワイヤの先の曲げの終点を規定する点への距離から構成される。正接値は、ブラケットスロットの中心からワイヤの次の曲げの終点を規定する点への距離から構成される。入力ファイルは、図101のY単位ベクトルの距離で測定されるような、ワイヤの厚さからも構成される。
図102を参照すると、患者の最奥臼歯用の4×4マトリクス2)の例が記載される。図面は、基点826、位置ベクトル828、および、ブラケットスロットの配向を示すXおよびYの単位ベクトルを示す。図102は、ブラケットスロット用の絶対位置および配向情報を与えるスケール(ミリメートルの単位)も示す。ここで、実施例では、正接ベクトルXまたは法線ベクトルYに対するZ構成要素はないと想定する。図103は、アーチワイヤの中心線に沿って測定された正接距離TDおよび非正接距離ATDを示す。結果として得られるマトリクスが図104に示される。
アーチにすべてのブラケットを備える図104に示されるような1セットのマトリクスから、ロボット曲げプログラムは、三次元空間に一連の線セグメントを引き出し、これは、各ブラケットスロット用の非正接および正接の距離の終点によって規定される。線セグメントのセットが図105に示される。線セグメントは、ブラケットスロットの公知の場所および公知の正接および非正接の距離のために、公知の三次元座標を有する1セットの点P1、P2、P3、…Pnによって規定される。線セグメントは、ベクトルの頭部用の場所および3方向における大きさおよび配向を有する1セットのベクトルとして規定することもできる。下記の検討は、1セットの点P1、P2、P3、…PNを使用する。図105において、スラッシュ842は、図101のブラケットスロット830の端点を示す。
曲げは、点P1の前、点P2と点P3との間、点P4と点P5との間等、すなわち、ブラケットスロットの間のワイヤに置かれる必要がある。完全アーチワイヤのスロットからスロットへの曲げは、セクションごとに曲げられる。1つのスロットからスロットへの曲げを形成するために、固定グリッパーツール651Bおよびロボットアームグリッパーツール651Aが、初期形状のワイヤを掴むことができるように、ワイヤが供給される。固定グリッパーツールとロボットアームグリッパーとの間のワイヤ長さは、曲げに沿ったワイヤの湾曲した長さに等しい。曲げの間のまっすぐなワイヤ部分840は、ブラケットスロットに適合しなければならない。ワイヤを要求された形状に曲げるために、主要制御コンピュータ600は、ロボット制御装置602へ信号を送る。ロボット制御装置602は、ロボットグリッパーツール651Aを備えたロボットアーム606を新しい位置へ動かす信号を生成する。運動路は、曲げ軌道によって規定される。曲げは、図106で844で示される。
1つのスロットからスロットへの曲げを形成するために(たとえば、点P2と点P3との間の曲げ844)、数種類の曲げ運動が必要である。2つの連続したまっすぐなワイヤセクション(たとえば、点P1と点P2との間、および、点P3と点P4との間)が互いの間の所望の相関位置を有する場合に、1つのスロットからスロットへの曲げが完成したとみなされる。
この位置に到達するために、可能なワイヤ材料特性に依存して異なるアプローチがある。すなわち、a)ステンレス鋼等の、弾性/可塑性特性を備えた曲げ材料、b)形状記憶特性を備えた曲げ材料、および、c)曲げTMA合金である。
弾性/可塑性特性を備えた材料は、変形の弾性部分を補うために、過剰に曲げなければならない。過剰曲げプロセスは、下記にさらに詳細に記載されるが、閉鎖ループ制御として規定することができる。第1の曲げステップ内で、ロボットアーム606は新しい位置へ動く。新しい位置は、計画された位置、または、計画された位置に過剰曲げの量を足したものに等しいことが好ましい。動きの最後で、グリッパーに作用する力およびモーメントが測定される。それらは、ワイヤに残っている弾性変形を示す。解放されたワイヤ形状に対応するグリッパー位置を決定するために、ロボットアーム606は、作用する力およびモーメントとは反対方向へ新しい動きを開始する。力は横方向運動に対応し、モーメントは回転運動に対応する。測定された力およびモーメントへの運動方向を連続して調整することによって、ロボットは位置を達成し、そこで、力およびモーメントは、測定解像度の大きさである(ゼロ力位置)。適切な測定解像度を選ぶことによって、残っている弾性変形は無視することができ、2つのグリッパーの相関位置は、解放された状況のまっすぐなワイヤセクションの相関位置に対応する。このゼロ力位置は、計画された位置と比較される。差が許容限界よりも大きければ、追加曲げステップを行い、差を減少する。ゼロ力位置から、ロボットは、今、計画された位置への方向に動き、ゼロ力と計画された位置との間の差の値に関して、計画された位置を無効にする。この動きの最終点は、過剰曲げ位置と呼ばれる。過剰曲げ位置から再度、力およびモーメントが制御された動きを開始し、新しいゼロ力位置を見いだす。新しいゼロ力位置が計画された位置に対して許容限界内にある場合は、1つのスロットからスロットへの曲げのための曲げプロセスが完了し、次のスロットからスロットへのセクションを曲げるために、ワイヤが供給される。過剰曲げの量が多すぎた場合には、新しい過剰曲げ位置が上述のように計算される。過剰曲げの量が不十分であった場合には、新しい過剰曲げ位置が、先の過剰曲げ位置に新しいゼロ力位置と計画された位置との間の差を足したものとして、計算される。記載されたプロセスは、ゼロ力位置と計画された位置との間の差が許容限界よりも小さいという状況まで、ループ内で繰り返される。
形状記憶特性およびTMAを備えた材料が、計画された位置へ曲げられる。この位置を合金の記憶へ転移するために、2つのグリッパーの間のワイヤセクションが、一定時間の間、一定の温度へ加熱される。加熱は、たとえば、導電性抵抗加熱、レーザ、対流、放射線、または、暖かい空気または液体を材料に加えることによって、可能である。加熱電流および時間は、それぞれの合金、ワイヤセクション長さおよびワイヤ形状に対して、適切に調整されなければならない。ワイヤを暖めるために、ワイヤ加熱は、計画された位置へ曲げる運動中に既に開始することができる。グリッパーフィンガでヒートシンク効果を回避するために、且つ、ワイヤの完全なブラケット相互セクションが必要な加熱を得るのを確実にするために、グリッパーフィンガ652、654(図91)または少なくともグリッパーとワイヤとの接触区域も、加熱される。グリッパーは、アーチワイヤ全体の製造処理中に連続して加熱されてもよい。曲げ位置の合金記憶への不完全な転移を補うために、一定の量の過剰曲げを規定することができる。
TMA材料を曲げるに当たり、スプリングバックがない高温へ、材料を加熱することができるが、材料が冷却すると、そのスプリングバック特性を保持する。そのような材料を曲げる手順は下記の通りである。すなわち、1)グリッパーフィンガを加熱する、2)ワイヤを所望の構成に曲げる、3)スプリングバック傾向がもはや存在しない温度までワイヤを加熱する、4)加熱源を止めて、ワイヤを冷却させる、5)曲げるためにワイヤを次の位置まで進める、次いで、ステップ1)〜5)を繰り返す。
ワイヤを1つのセクションから次へ曲げるために、1つのまっすぐなワイヤセクション(i)、たとえば、P3からP4へ、の位置および整合が、曲げシステムに規定されたカウント順で先のまっすぐなワイヤセクション(i−1)を参照して規定されることが必要である。曲げシステムの基点は、まっすぐなワイヤセクション(i−1)の端で規定され、これは、次のまっすぐなセクション(i)に向かう。x軸は、セクション(i)に方向づけられたまっすぐなワイヤセクション(i−1)の方向に等しい。矩形断面を備えたワイヤでは、y軸はxに垂直であり、ワイヤのより広い寸法への方向にある。方形のまたは円形の断面では、y軸はxに垂直でなければならず、実際的な理由にしたがって選ぶことができる。x、y、z軸は、右手の法則に従う。
上述のようなブラケットスロットデータは、ロボット制御装置602によって使用されるための曲げデータに変形される必要がある。これは、ブラケットの中心点834(図100)の位置からまっすぐなワイヤセクションの中心点(ワイヤの中間に沿って位置する、図105の点840)の位置への計算によって行われる。
次に、曲げられたワイヤの形状および長さを計算する必要がある。図30において、これは、点P2と点P3との間のワイヤの形状として示される。各曲げステップでは、ロボットグリッパーが、固定グリッパーから点P2と点P3との間のワイヤの長さに対応する一定の距離でワイヤを掴む。2つのグリッパーの間のワイヤセクションが曲げられる。曲げ力およびモーメントを最小限にするために、且つ、機器へまたはワイヤへ損傷を与える可能性のあるような曲げ力およびモーメントが限界を超えないことを確実にするために、掴まれたワイヤ長さは、曲げられた形状のワイヤのほぼ「自然な」長さであるべきである。長さが短すぎる場合、ワイヤは裂かれ、高い引っ張り力になり、長すぎる場合には、ワイヤはねじれる傾向になる。
ロボットコンピュータ600はしたがって、適切なアルゴリズムを使用して、曲げられたワイヤの適切な形状を計算する。1つの方法は、数値技術を使用してワイヤの形状を表す二次または三次のカーブを導き出すことである。別の方法は、正規スプラインアルゴリズムを使用することである。理想的には、ワイヤには鋭い曲げがあるべきではない。例示された実施形態には、ベジェスプラインアルゴリズムが使用されている。アルゴリズムは、滑らかなカーブの分析的記載を与え、カーブの長さ方向に沿って1セットの点を作製する。カーブの長さは、カーブの各セグメントに沿った距離(三次元で)を合計することによって得られる。
セグメントにおける各点の間の分離距離は、任意に設定することができ、例示された実施形態では0.05mmである。アルゴリズムは下記の通りである。
入力
・中心点の場所および2つの隣接するまっすぐなワイヤセクションの整合
Figure 2008110203
これらのマトリクスは、先に記載した4×4マトリクスに対応する。
・正接および非正接距離SおよびSat
・ベジェ距離bd(経験値)
ベジェ公式は、文献によって公知なように、図20Aに示される4つの点によって記載される。スプラインカーブの点は下記によって与えられる。
Figure 2008110203
ここで、図20Aのベジェ点P1〜P4は、必ずしも図19に示されるワイヤセグメントの点P1〜P4である必要はなく、むしろ、ベジェスプラインの長さおよび形状を計算するのに使用される点であることに注意されたい。
スロット(i−1)からスロットiへのまっすぐなワイヤセクションの間の湾曲したワイヤ形状を記載するために、
Figure 2008110203
が、下記によって計算される。
Figure 2008110203
ワイヤ長さLおよびN中間スプライン点は、図20Bに示されるアルゴリズムによって計算することができる。
経験値ベジェ距離bは、計算された曲げられたワイヤ形状と実際に曲げられたワイヤ形状とを一致させるように設定されなければならない。歯列矯正ワイヤ用に、良好な想定は、b=1x……2xより大きなワイヤ断面寸法である。
曲げ軌道は、各曲げ用に計算する必要がある。曲げ軌道は、固定グリッパー651Bに対する可動アームのグリッパー651Aの多数の点の数であり、これは、曲げ運動の開始点と目的点とを接続する。一般に、各曲げ軌道から次の曲げ軌道へ移動および回転の運動構成要素がある。
各曲げ軌道位置では、湾曲したワイヤの計算された長さは、計画された位置の計算された長さに等しくなければならない。ワイヤのねじれ状態を避けるために、運動は次の2つの部分に分けられる。
1.明確に変形した形状にワイヤを導く初期運動。初期運動は、開始位置および最終位置の接続ベクトルに垂直な固定グリッパーの最終点を通る軸を中心にして回転変形として規定される。これは、可動グリッパー651Bの回転運動および動きa、b、cおよびdによって図115Aに示される。
2.目的点への仕上げ運動。仕上げ運動は、開始点(または初期運動の最終点からの初期運動があるのであれば)から目的点への徐々のアプローチである。全体的曲げ運動の移動および回転の部分は、個別の曲げ軌道位置へ確実に分割される。2つの曲げ軌道位置の間で、ロボットグリッパーの運動経路は、2つの点のまっすぐな線接続に沿った線移動運動によって、および、確実に分割された回転運動によって、規定される。2つの曲げ軌道位置の間の距離は、ワイヤのねじれおよび認められない力およびモーメントを回避するために十分小さくなければならない。これらの運動は、図115Bの点d、e、fおよびgに示される。
ここに記載のようにワイヤを曲げるに当たって、図88のロボットシステムは、基点860が図109および110に示されるように規定される座標システムを有する。ワイヤは、フィンガが開位置にあるときに形成された小さなギャップを通って固定グリップツール651Bを通る。基点860は、固定グリップツール651Bの平らな縁でワイヤの軸の中心に沿うとして規定される。ロボット制御装置ソフトウェアは、この座標システムで常に、固定グリップツールに対する可動グリップツールの場所を知っている。さらに、ワイヤは、可動グリップツール上の精密な点で可動グリップツールによって掴まれる。したがって、ワイヤが固定グリップツールおよび可動グリップツールによって保持されるときには、2つの間の距離は正確に知られている。これによって、ワイヤを伸ばしたり縮めたりすることなく、図115A〜115Cに示される曲げを実行することができる。特に、ワイヤに取り付けられた点で固定グリップツールと可動グリップツールとの間でワイヤに沿って測定された距離は、図105および106の点P2とP3との間で曲げられたワイヤ用に、および、当然ながらその後の曲げ用に、計算されたベジェ距離に等しい距離に常に維持される。
ワイヤを曲げの間に進めるために、または、第1の曲げのための状態にワイヤを置くために、少なくとも2つの可能性がある。1つは、可動グリッパーツールがワイヤを掴み、固定グリップツールを通ってこれを引くということである(固定グリップツールは開いており、グリップツールに対してワイヤが摺動することが可能である)。代替例として、ワイヤはスプールまたはコイルであってもよく、スプールはモータによって回転され、固定グリップツールを通ってワイヤを進める。後者の実施形態において、曲げが完了した後にワイヤを切断するために、切断ツールを設ける必要がある。アーチワイヤ製造業者は、既に一定の長さに切断されたバルクでワイヤを販売しており、本記載は、固定グリップツールを通ってワイヤを進める可動グリップツールによってワイヤセグメントが進められる実施形態になされている。
緊張した状態で2つのグリッパーの間でワイヤを曲げると、ロボットグリッパーは、新しい位置へ動かされ、そこでは、グリッパーに力およびモーメントが作用しない。固定および可動のグリップツール上の力センサ640を使用して位置を決定する。この位置がゼロ力位置と呼ばれ、ワイヤの解放状態に対応する。力、モーメントおよび運動の構成要素が、図109および110の主要ロボット座標システムで計算される。
材料の性質に依存して、ワイヤのいくらかの過剰曲げが必要とされることもある。これは、たとえば、ゼロ力位置が、ロボットの可動アーム606用の計算された位置と同一ではない場合に示される。過剰曲げ原則を良好に理解するために、図108および108に注意を向けられたい。
図107は、ワイヤの力と撓みとの間の関係を例示する。実線866は、ワイヤの一定の撓みを与えるためにどれほど多くの力が必要であるかを示す。力がF1よりも少ないときには、力が解放されるときにワイヤは初期状態に戻り、ワイヤの弾性特性のため撓みは経験しない。力レベルF1で、ワイヤの永久変形すなわち可塑性変形が起こり始める。F2の力レベルで、ワイヤは量D2だけ撓むが、力がワイヤから解放されると、ワイヤは撓み量D1へ曲げ戻り、図示のように、緩和カーブ868は本質的に力レベルF1までのカーブ866に等しい。このようにして、力が取り除かれるときに必要な撓みDがワイヤで達成されるように、F3で示される力のレベルをワイヤに加える必要がある。F3はF2よりも大きく撓みD3はD2よりも大きいという事実によって、曲げ力が取り除かれた後にワイヤの適切な形状をもたらすために幾分の過剰曲げが一般に必要であることが例示される。
図108は、曲げたときにワイヤ材料に関与する応力を例示する。ワイヤは、856で示されるように、伸び応力を経験する1つの部分を有し、一方、圧縮応力は場所858で経験され、矢印の長さが応力の相対的な大きさを示す。曲げが小さいと、弾性変形しか起きないようにワイヤの中心の力は十分に小さく、一方、ワイヤの外側部分では、可塑性変形が発生することもある。結果として、ワイヤを曲げることは弾性変形と可塑性変形との混合であり、その特徴は、曲げの量、ワイヤ材料および断面形状によって決定される。
必要な過剰曲げの量を決定するために、数種類の可能性がある。1つは、ワイヤの有限要素分析のような純粋に分析的な解決法である。あるいは、ワイヤの1片が検査されて、公知の力に対する応答を決定してもよく、結果は曲げのキャリブレーション表として格納される。基本的に、図107のカーブは経験的に得られる。より好ましいアプローチは、固定および可動のグリップツール上の力センサ640(図88A)を使用してワイヤのゼロ力位置を検知し、この位置での可動グリッパーの場所を意図された位置と比較する。幾何的なアプローチまたは変形アプローチが別の代替例である。このアプローチでは、ワイヤはいくらかの量を曲げられて、次いで解放され、緩和位置が記され、ワイヤはさらに曲げられ、解放され、この処理は、ワイヤが所望の位置へ曲げられるまで続く。
順応性のある自己学習性人工知能型学習プログラムまたは類似ワイヤの先の曲げに基づいたキャリブレーション表によっておそらく強化された力に基づいたシステムで、ワイヤの結果として得られる構成は、通常、より即座に達成することができる。基本的に、ワイヤで実施されるすべての曲げのために、結果として特定の曲げを生じるのに必要な動きに関する情報が格納される。たとえば、タイプTの断面形状がWのワイヤで13度の曲げを達成するために、ワイヤは15.5度曲げられなければならず、この情報が格納される。十分なデータで、タイプTのワイヤにカーブ866および868(当該カーブの少なくとも一部)を表す数学的関係が導き出され、この数学的関係を力センサとともに使用して、即座に正確に必要な曲げをワイヤに置くことができる。
いずれの場合にも、いずれの所与の曲げの後にワイヤの実際の形状を決定するのに使用される緩和位置でワイヤの位置を検出するために、カメラ等の光学システムを使用することができる。
図111は、ステンレス鋼または他のワイヤとともに使用することができ、何らかの過剰曲げが依然として必要な形状記憶ワイヤを含む変形制御過剰曲げプロセスのフローチャートである。
ステップ870で、移動および回転態様の両方で過剰曲げ値の計算が行われる。この計算は、たとえば、有限要素方法を使用して、キャリブレーション表を使用して、力と曲げとの間の導き出された数学的関係を使用して、先の曲げからの過剰曲げのために格納された値を使用して、または、上記の何らかの組み合わせを使用して、実施することができる。
ステップ872では、曲げカーブは、計画された位置まで計算され、過剰曲げ値を含む。これは、先に述べられたベジェスプラインアルゴリズムに関与する。
ステップ874では、可動グリップツールが、計画された位置に過剰曲げ位置を足した合計によって示される位置に動かされる。これは、ワイヤに曲げを形成する。再度、この位置は、ロボット座標システムを参照して、且つ、ワイヤに曲げを置く必要がある点(たとえば、図105のP3およびP2)の間の空間関係を参照して、決定される。
ステップ876では、力センサを使用してワイヤによってグリップツールへ与えられた残留力を測定し、力が閾値よりも大きければ、力測定値がゼロまたは実質的にゼロである位置へ可動グリップツール651Aが動かされる。
ステップ878では、可動ロボットアームの位置センサを使用して、可動グリップツールの実際の位置が測定される。
ステップ880では、実際の位置と計画された位置との間の差が限界より小さいか否かのチェックが行われる。小さくなければ、新しい過剰曲げ値が計算され(ステップ882)、所望の方向にワイヤを追加の量だけ過剰に曲げてワイヤを所望の位置により近づけるように新しい曲げ値が計算される(ステップ883)。
ステップ874〜883は、可動グリップツールの実際の位置と計画された位置との間の差が限界より小さくなるまで、繰り返される。
ステップ884では、計画された位置に対する実際の位置のエラーが記され、次のスロット位置を修正することによって補償される。特に、図105のセットの点の次の一対の点によって表される次のスロット位置は、エラーの量によって三次元で転換される。次のスロット位置のこの修正は、所与の曲げのエラーがその後のすべての曲げに進むのを避けるために、必要である。
ステップ886では、ステップ874〜882からの過剰曲げ結果がメモリに保存され、上記に説明されたように将来の過剰曲げ必要条件を概算するための順応可能な技術に使用される。
図112は、図111の方法によって実施された過剰曲げを概略的に表す。線900は、固定グリッパーのフィンガの間のスロットを表し、線902は、曲げの様々な段階のワイヤを表す。点線904は、ステップ874の動きを示し、線906は、ワイヤが計画された位置で掴まれているグリップフィンガの間の可動グリップツールのスロットを表す。ゼロ力位置は、可動グリッパーがそこへ向けて動く位置であり、908で示される(図111のステップ876)。ゼロ力位置と計画された位置との間の差に対して回転(dw)および移動(dx)の態様の両方がある。最後の過剰曲げ位置は位置910として示される(ステップ870で計算された過剰曲げ)。必要な修正は位置912によって示される。図111のステップ880で計算されたこの新しい過剰曲げ位置は、最後の過剰曲げ位置は位置910に計画された位置906を足しゼロ位置908を引いたものに等しい。この新しい過剰曲げ位置は、−dxおよび−dwによって示されるように回転および移動態様の両方を含む。
グリッパーを通ってワイヤを供給し代表的な曲げを実行する実際のロボットグリッパー運動の1つの可能な例が、図113A〜113Eに関連して説明される。図113Aに示されるように、ワイヤの長さの幾分かが固定グリップツール651Bの端を越えて拡張するように、ワイヤが、固定グリッパーツール651Bを貫くか、または、可動グリップツールによってそこに配置される。ワイヤセグメントに沿った点P1およびP2が示される。可動グリッパーツール651Aは、固定グリップツールより上にわずかに右側に位置決めされ、ここでは0.2mm離れている。可動グリップフィンガは開いており、可動グリッパーは下へ動き、ワイヤをクランプする。0.2mmの距離は、単に、フィンガが衝突せず、例示された実施形態から変動することができるように、選ばれただけである。フィンガは、可動グリップツールの移動運動によって互いに協働し、ワイヤが固定グリップツールを通って進むように固定グリッパーおよび可動グリッパーを解放し閉じる。これは、図113Bによっても示され、固定グリップツール651Bが開いて(OP)、ワイヤがツール651Bのフィンガの間に形成されたスロットを通って摺動することができるのを示す。可動グリップツールは右に動き、点P2が固定グリップツールの右側に来るまで(図113Cに示されるように)固定グリップツールを通ってワイヤを引き、そこで可動グリップツールによって把持されることができる。図113Cおよび113Dに示されるように、可動グリップツールは開いて、ワイヤを掴んでいるのを放し(OPで示される)、閉じる位置(CL)へ動き、場所P2でワイヤを把持する。次いで、可動グリップツール651Aが、ワイヤを固定グリップツールを通って引きながら、点P2でワイヤを掴み、点P3が、図113Dに示されるように、ロボット座標システムの基点に位置するようにする。ワイヤに曲げが作られた後の両方のP2およびP3の計画された場所は、ロボット座標システムにおいて公知であるため、可動グリップツール651Aは図113Bに示される位置へ動いて、ワイヤに曲げを置く。この点で、さらなる過剰曲げが要求される場合には、たとえば図111および112の処理が実施され、必要な過剰曲げをワイヤに置く。図113B〜113Dの動きは、距離が短いならば、ワイヤの厚さに依存して、1つの動きに結合されてもよい。
図118は、図113Eの曲げが発生するときのワイヤの前後の位置を例示する。図面は、図113Eの動きが直線運動ではないことを例示し、これは、ワイヤの過剰な伸張またはねじれを引き起こす可能性がある。むしろ、グリッパーの動きは、ワイヤの長さ方向に沿って測定された距離が一定に維持されるように、ステップa、b、c、d、e、fとして例示される。動きは、2つの段階で実施されてもよい(図115Aおよび115Bに示されるように)。結果として、図115Cに示されるように、2つの曲げ912がワイヤに置かれる。当然ながら、規定によって必要であれば、捩れが実施されてもよい。
曲げがワイヤに置かれた後に、図116A〜116Dに示されるステップが実施され、ワイヤを次の曲げの位置に沿って進める。第1に、図116Aに示されるように、可動グリップツール651Aが、ΔXによって示される量だけ右へ移動する。これは、図116Bに示されるように、P3をΔXの量だけ固定グリップツールの右側へ動かす。次いで、可動グリップツールがワイヤを解放し、図116Cに示されるように、固定グリップツールの右側でワイヤを掴み、再度、点P4を固定グリップツールの右側へ動かすのに十分な量だけ右側へ移動する。可動グリップツールは再度ワイヤを解放し、点P4でワイヤを掴む。図116Dに示される状況が得られるように、ワイヤは再度、右側へ移動される。ワイヤは今や、P4とP5との間のワイヤの曲げるための位置にある。図111および112の処理が再度発生し、新しい曲げおよび過剰曲げの位置を計算し、ワイヤに曲げが形成される。図116A〜116Dの処理は、曲げがアーチワイヤに形成されるまで続く。最後の曲げが完了すると、ワイヤは、ワイヤ製造システムの出口位置で可動グリッパーから解放され、先に記載されたラベルづけおよびパッケージステーションへコンベヤによって運ばれる。
形状記憶合金材料は、図113Eに作られた曲げによって与えられた形状を取るために加熱を必要とする。したがって、これらのワイヤのために、ワイヤが図113Eによって示された位置に保持されながら、熱がワイヤに加えられ、歪を取るのに必要な値までワイヤの温度を上げる。温度は、材料の種類で変動する。
例示された実施形態において、先に記載したように抵抗加熱システムが使用される。適切な温度に到達するまで電流が調整される。力センサがゼロのときに(または限界未満のときに)熱処理は完了したと判断され、ワイヤは計画された位置でグリッパーによって保持される。ワイヤに加えられる電流および時間の量は、再度格納される情報であり、それは、将来、同一種類のワイヤを加熱するときに使用することができる。
より柔らかな形状記憶材料、たとえば、NiTi用に、グリップツールに設けられた力センサ640(図88A)は、関与した小さな力を検出するために非常に感度の良いものでなければならない。形状記憶材料は常に力センサを必要とするわけではないが、加熱処理の効果に関する情報を提供するために使用することができる。
好ましい実施形態では、2つの力センサが使用される。より粗い力センサは、曲げ中により大きな力を測定するために使用され、可動グリップツールに固定される。より微細な力センサは、より高い解像度、低いノイズおよび高い感度を有し、たとえば0.0005N未満の感度を備えて、ゼロ力位置を検出するために、固定グリップツールに嵌められる。力センサは両方とも、歪ゲージ技術に基づき、市販の歪ゲージからまたは既製品のユニットからたやすく適合することができる。たとえば、より微細な力センサは、より大きな感度、信号対雑音比および力解像度を有するように、異なる増幅器または回路に対する他の修正を有してもよい。圧電性技術に基づいたもの等の他の種類の力センサも適切である。適切な既製品の歪ゲージ力センサは、カリフォルニア州ウッドランドのJR3社が販売のモデル番号45E15A−U760(固定グリップツール)および67M25A−I40(可動グリップツール)である。
レーザ、火炎、赤外線、導電性または放射線加熱等の他の種類の加熱システムが、アーチワイヤおよび他の種類のワークピースを曲げるのに採用される。ワイヤの最大許容温度近くまでワイヤが加熱されているのではないならば、たとえ加熱が実施されるときにでも、形状記憶材料にスプリングバックが依然として観察される。したがって、形状記憶材料によっては、新しい形状をワイヤに設定するのに必要な温度へ下げるために幾分の過剰曲げを実施することが望ましいこともある。再度、所与のワイヤ温度で必要な量の過剰曲げをメモリに格納することができ、材料の温度、過剰曲げおよび結果として得られる位置の間の関係を導き出すのに使用され、これは、ワイヤの次の曲げのために使用することができる。
矩形断面のワイヤを曲げるときに発生しうるワイヤの変形および捩れの複雑さ、および、結果として得られるワイヤの形状を制御する困難さ(特に、ワイヤに複雑な曲げおよび捩れが形成されるとき)のため、力測定装置、および、ワイヤがゼロ力状態にあるときにワイヤの形状を検出するための位置センサ、の使用が、曲げた後のワイヤの形状に関する正確な情報を与える。したがって、過剰曲げへのアプローチに基づいた力が好ましい実施形態である。ゼロ力状態にあるワイヤの正確な位置は、ロボットアーム上の位置センサによって(力の測定に何ら寄与しない)、またはより良好には、可動アームからワイヤを解放してカメラまたは他の光学システムでワイヤの位置を検出することによって、得ることができる。基本的には、カメラが固定グリップツールの前でじかにワイヤを画像形成する。パターン認識および画像形成処理アルゴリズムを使用して、ワイヤの縁を決定し、それによって形状を計算する。必要に応じて1台以上のカメラを使用して、ワイヤの捩れを計算するのに十分なほどワイヤの画像を形成する。ワイヤが可動グリップツールによって保持されないいずれの位置測定システムでは、重力の効果を補償しなければならない。
このようにして、1つの可能な実施形態において、ロボットは、CCDカメラ等の光学センサシステムをさらに備え、歯列矯正器具に曲げが作られた後に、たとえば、可動グリップツールから器具を解放し器具がその自然の位置を取ることを可能にし、次いで、器具の形状を検出する光学システムを使用することによって、その歯列矯正器具の形状を検出する。
形状の最終チェックとして力測定システムと光学システムとの両方を使用することも可能である。力センサシステム(たとえば、固定および/または可動グリップツールに連結される)が、歯列矯正器具が曲げられた後に歯列矯正器具によって作られた力を検出する。可動アームを操作して歯列矯正器具をゼロ力位置へ動かし、そこでは、力システムによって検出される力は所定の閾値よりも下である。光学センサシステムが、ゼロ力位置の歯列矯正器具の形状を検出する。ゼロ力位置が器具の意図されたまたは所望の構成ではない場合には、光学センサシステムによって検出される位置を、さらにワイヤを曲げるためのフィードバック機構として使用することができる。任意の種類のセンサシステムは、ワークピースに接触し、それに応答してワークピースに形成された場所(たとえば曲げ)に関する位置情報を提供するキャリパーである。
ステンレス鋼ワイヤ用には、一般にワイヤの熱処理は必要ではない。所望の位置に簡単に曲げられ、必要に応じて過剰曲げが実施される。曲げの終点の間の距離が短くなればなるほど、ワイヤの変形が大きくなり、したがって、変形の予測度が大きくなる。歯列矯正アーチワイヤで、ブラケットスロットの間に(特に臼歯の領域で)比較的長い距離がある状況が発生する可能性があり、安定した曲げ結果を得ることが困難であり得る。ここで好ましい解決法は、図117に示されるように、1つのスロット位置の正接距離に且つ次のスロット位置の非正接距離に幾分の長さを加えることによって、この距離を短くすることである。ここで、点P2は点P2’へ空間的に拡張され、点P3は、これを点P3’へ動かすことによって点P2により近くにされる。ワイヤに必要な曲げは、点P3’およびP2’に対して計算される。P3’とP2’との間に置かれた曲げは、十分な制御で形成することができるほど、今は十分に短い。
実際に、アーチワイヤを患者のブラケットに嵌めた後に、アーチワイヤが歯を所望の位置へ動かす力を与えることが知られている。しかし、一定の時間の後、少量の曲げがワイヤに残るが、これはさらに歯を動かすには不十分である。結果として、歯はその所望の位置へは動かない。これは、追加の量の曲げをワイヤに加えることによって補償することができ、そのため、ワイヤが設置されるときには、歯がその所望の位置にずっと動くまで力をかけ続ける。図118に示されるように、この小さな追加曲げが920で示される。図33は、図118のワイヤが患者のブラケットに設置されたのを示す。図32の曲げ920は、ブラケット824の間に置かれてもよい他の曲げに加えられる。図119は、曲げ920によって十分な残留力が存在し、歯822をその所望な位置へ動かすのを例示する。
一定の歯列矯正状況では、ワイヤ内でループを曲げる必要があることもある。
図120は、ワイヤ625に形成されたループ922を例示する。ループは、図90のロボットによって形成されてもよい。あるいは、図121Aに示されるように、ループ920の周縁隅924のみが曲げロボットによって形成され、ループの残りは、ループ920の底部部分930の形状に整合する形状928を有するダイ926上にワイヤを置くことによって形成される。形成ツール928は、ワイヤおよびダイ926に対して動かされ、図121Bに示されるように、ループの底部部分を形成する。
ロボットは、別個のアームまたはツーリングを含んでもよく、それによって停止するか、または、溶接等の適切な技術によって他の特徴部がワイヤに結合される。たとえば、ロボットは、ヘルプスト器具または拡張装置を形成するための他のツールを嵌めることができる。あるいは、溶接によって異なる種類のワイヤを一緒に結合することができる。
ポリマーまたはプラスチック材料、たとえば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、繊維強化複合材料、ガラス繊維含有材料、または、歯列矯正アーチワイヤに適切な他の類似材料から作られた澄んで透明なワイヤを曲げるために、ロボットが使用されてもよい。これらの樹脂のアーチワイヤは、曲げている間に加熱を必要とすることもあるが、電流源は適切な加熱装置ではない。樹脂ワイヤを加熱するために推奨される技術として、曲げている間にワイヤ上に熱風を吹き付けること、加熱されたプライアを使用すること、熱伝導性材料をワイヤに配置すること、レーザを使用してワイヤを加熱すること、または、熱い蒸気または液体をワイヤにスプレーすることが挙げられる。
上記のように、固定プレート、矯正装置、人工装具、歯内装置、手術用ガイドワイヤ、手術用アーチバー、インプラント、または、ロボット製造システムを備えた手術用ツールを曲げるために、追加の可能性が呈される。グリッパーフィンガおよび関連構造物は、当該のワークピースまたは器具に依存して、最適化されてもよい。しかし、操作の原則は基本的に同一である。
たとえば、本発明のロボットは、固定プレート、ロッド、圧縮プレート等、たとえば、顔面骨、頭蓋骨、髄骨、手骨および長骨、および、他の骨接合プレート、たとえば、ドイツのライビンガGmbhが提供のチタン器具等を曲げるために、特に有用である。これらの固定プレートは、直線、C、Y、J、H、Tまたは他の形状構成に配列されて、ねじを受け取るための複数の開口部を有する細長い骨格フレーム、または、長い円筒形のロッド、から構成されてもよい。現在、これらの器具は、特別手動曲げツールを使用して、手術室内で骨の形状に外科医によって手で曲げられる。この処理を自動化し、本発明の原則を使用して予めプレートを曲げることが可能である。特に、骨または骨破片の形状は、CATスキャン、すなわち、携帯スキャナ(上述のもの等)を使用して露出した骨の走査から得られる。ひとたび骨の三次元仮想モデルが、たとえばCATスキャンデータから得られると、仮想モデルはコンピュータを使用して操作され、骨を所望の位置で一緒に融合する。外科医は次いで三次元仮想インプラントを仮想モデルの所望の位置にかぶせ、骨およびインプラントの仮想モデルを格納する汎用コンピュータのユーザインターフェースを使用して仮想インプラントを曲げる。所望の場所で骨に嵌まるためにインプラントの必要な形状が導き出される。
あるいは、所望の構成の骨の物理的モデルを、立体リソグラフィ(SLA)、三次元リソグラフィ、または他の公知の技術を使用して仮想モデルから製造することができ、インプラントの形状は物理的モデルから導き出される。
別の代替例として、骨(たとえば頭蓋骨)のSLA物理的モデルが、STスキャンまたは他の源から作られ、外科医は、物理的モデルにシミュレート手術を実施して骨を所望の状態に配置する。上記引用されたリュドガー・ルバートらの特許出願に記載されているように、モデルは次いで光学スキャナで走査され、所望の状態の骨の仮想モデルが得られる。仮想固定装置は次いで、骨の仮想モデルに比較されるかまたは嵌められ、固定装置の所望の形状に到達する。
いずれの場合にも、インプラントの形状は、次いで、公知の一連の外形のまっすぐなセクションおよび曲げ(具体的には、固定グリップツールに対する可動グリップツールの位置コマンド)として、ロボット制御装置へ変換される。曲げ装置の可動および固定のグリップツールが、一端でインプラントまたは固定装置を掴み、次いで、器具を曲げるかまたはインプラントの位置を次の曲げの場所へ進めるかし、装置の長さ方向に沿って続けて、装置を所望の構成に形成する。明らかに、開示された実施形態から、曲げられている装置の物理的特徴に依存して、グリップツールに対する幾分の修正が必要であり、そのような修正は、当業者の能力内である。
上述の曲げ装置は、一般的なワークピース、たとえば、チューブ、シリンダ、ワイヤまたは他の種類の構造物等にも適用可能である。
曲げ装置は、他のワークピース用の用途に依存して、抵抗加熱法、力センサ、過剰曲げ、および、歯列矯正アーチワイヤとの関係で十分に述べられた他の特徴部を使用してもよい。
結合パッド
カスタマイズされたブラケットパッドは、様々な技術を使用して製造することができる。1つの可能性は、接着剤のブロブをブラケット基部に結合し、フライス盤を使用してブロブを削り、歯の表面に整合させることである。歯の表面は走査から精密に知られており、表面に対するブラケット基部の位置も精密に知られているため、このようなやり方できわめて正確なブラケットパッドを製造することができる。別の技術は、打ち抜き機械を使用して、所望の形状にブラケットパッドを打ち抜くか、またはブランクとして打ち抜いて、打ち抜かれたパッドを所望の形状にフライス削りすることである。第3の可能性は、カスタマイズされたパッドの雌型を作り、金型にパッドを形成して、パッドをブラケットに結合し、歯列矯正医が、パッドを歯に結合するときに必要に応じてパッドをトリミングすることである。
治療計画ソフトウェアが三次元で歯の表面に対するブラケットの位置に関する精密な情報を与えるため、カスタマイズされた結合パッドの形状は、高精密度で決定することができる。この形状は、公知の技術を使用して適切なフライス盤に移され、パッドは所望の形状にしたがってフライス削りされる。パッドは次いで、ブラケットに貼付され(精密器具センターで、または、歯列矯正医クリニックで)、ブラケット+パッドが歯に結合される。
本願に開示された他の発明的特徴
歯列矯正器具最適化
一般に、本発明は、アーチワイヤレセプタクル(たとえば、ブラケット、バンド、ヘッドギアチューブ等)最適化の方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、歯列矯正患者の歯列矯正構造物のデジタルモデルを得ることによって開始する処理を含む。これは、上述の教示にしたがって行われてもよい。
処理は次いで、アーチワイヤレセプタクルの複数のデジタルモデルから選択された当初アーチワイヤレセプタクル(たとえば、ブラケット、バンド、ヘッドギアチューブ等)のデジタルモデルを検索することによって続けられる。アーチワイヤレセプタクルのデジタルモデルの作製は、さらに上述のように実施されてもよい。処理は次いで、当初アーチワイヤレセプタクルのデジタルモデルを歯列矯正構造物のデジタルモデルの所与の歯にデジタル式に配置し、デジタルアーチワイヤレセプタクル配置を提供することによって続けられる。処理は次いで、アーチワイヤのデジタルモデルを検索することによって進む。所与の歯では、処理は、当初アーチワイヤレセプタクルのデジタルモデル、デジタルアーチワイヤレセプタクル配置およびアーチワイヤのデジタルモデルに基づいて、歯に力システムをデジタル式にモデル化することによって続けられる。これを行った後、力システムが最適ではないときには、力システムが修正されて最適力システムを達成する。力システムは、結合パッド厚、結合剤特性、アーチワイヤ、結紮力および生物学的特徴(たとえば、成長、歯干渉、歯解剖学的構造)の効果を含む。これらの要因の各々は、力システムを最適化するために、個別にまたは組み合わされて調整されてもよい。そのような方法および装置で、歯列矯正パラメータ制約によって与えられた最適力システムが、先行技術の歯列矯正慣行の制限なしで得られる。
歯列矯正治療を決定しモニタリングする
一般に、本発明は、歯列矯正患者を治療するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、サイト歯列矯正システムによって歯列矯正患者に関するデジタル情報を作成することによって開始する処理を含む。デジタル情報は、患者の歯列矯正構造物(たとえば、歯、顎骨、歯肉および他の顔特徴部)の三次元走査画像、x線、臨床検査および測定、歯科歴、医療歴、写真等を含んでもよい。サイト歯列矯正システムは、次いで、デジタル情報を歯列矯正サーバへ送る。歯列矯正サーバおよび/またはサイト歯列矯正システムは、デジタル情報から電子患者記録を作る。電子患者記録は、臨床検査解釈、放射線検査測定、自動および手動の頭部規格写真分析、作られた電子頭部計測トレース法、三次元画像の統合を含む電子複合材料、放射線データ(たとえば、x線、CATスキャン、MRIスキャン)、写真、作製された電子関節モジュール、電子モジュールの測定および分析、データ品質保証チェックおよび/または補足データを含むが、これに限定されない。
歯列矯正サーバは次いで、電子患者記録から初期治療を作成し、初期治療計画は、所望の歯列矯正構造物を得るために精密なステップを含む。言い換えると、初期治療計画は一連のステップを含み、各ステップでは、対応する歯列矯正装置が、患者の歯列矯正構造物を精密なステップ用の所望の構造物に再形状づけるように設計される。歯列矯正サーバは次いで、デジタル版の初期治療計画をサイト歯列矯正システムへ送る。サイト歯列矯正システムから確認されると、歯列矯正サーバは、治療計画に基づいて精密なステップの1つ用に歯列矯正装置(たとえば、ブラケット、バンド、ワイヤ、ヘッドギア、ゴムバンド配置および/または保持器)を設計する。歯列矯正装置が次いで作製され/組み立てられて歯列矯正システムへ提供される。加えて、歯列矯正サーバは、医者および/または患者に歯列矯正装置の使用、維持および/または設置の指令を提供してもよい。
歯列矯正装置を受け取ると、歯列矯正医は、歯列矯正装置の受け取りを検証し、その後これを設置する。治療計画にしたがって設置した後に所定の時間に、患者の口が電子的に走査され、更新されたデジタル情報を得る。サイト歯列矯正システムは、更新されたデジタル情報を歯列矯正サーバへ提供し、これは、更新されたデジタル情報を使用して電子患者記録を更新する。更新された電子患者記録から、歯列矯正サーバは、患者の歯の実際の動きが予測通りか否かを決定する。
そのような決定は、サイトでまたは患者に対する遠隔サイトで医者(たとえば、技師、歯科アシスタント、歯列矯正医、専門家、コンサルタント等)からの入力で補足されてもよい。そうであれば、初期治療計画の次のステップが実行される(たとえば、次のステップ用のワイヤが作製され、歯列矯正医に提供され、設置される)。しかし、実際の動きが予測通りでなければ、所望の結果を得るために、歯列矯正サーバは治療計画を調整する。治療計画が調整された後、改訂された治療計画の次のステップが実行される。患者の進捗のこのモニタリングおよび治療計画の改訂は、必要に応じて、治療中ずっと続けられる。このようにして、そのような方法および装置で、科学的アプローチが歯列矯正治療に治療中ずっと提供され、治療コストを合理的なレベルに維持し、より一貫した且つ減少した治療時間を提供する。加えて、本発明の方法および装置によって歯列矯正医は、在庫を少なくすることができ、歯の位置の変更および/または顎の展開のために必要となる治療調整が可能になり、さらに、力システムが最適状態には及ばなくなる場合には歯列矯正構造物の変更が可能になる。
歯列矯正患者を治療する
一般に、本発明は、歯列矯正患者を治療するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、サイト歯列矯正システムによって歯列矯正患者に関するデジタル情報を作成することによって開始する処理を含む。デジタル情報は、患者の歯列矯正構造物(たとえば、歯、顎骨、歯肉および他の顔特徴部)の三次元走査画像、x線、臨床検査および測定、歯科歴、医療歴、写真等を含んでもよい。サイト歯列矯正システムは、次いで、デジタル情報を歯列矯正サーバへ送る。歯列矯正サーバおよび/またはサイト歯列矯正システムは、デジタル情報から電子患者記録を作る。電子患者記録は、臨床検査解釈、放射線検査測定、自動および手動の頭部規格写真分析、作られた電子頭部計測トレース法、三次元画像の統合を含む電子複合材料、放射線データ(たとえば、x線、CATスキャン、MRIスキャン)、写真、作製された電子関節モジュール、電子モジュールの測定および分析、データ品質保証チェックおよび/または補足データを含むが、これに限定されない。
歯列矯正サーバは次いで、電子患者記録から初期治療を作成し、初期治療計画は、所望の歯列矯正構造物を得るために精密なステップを含む。言い換えると、初期治療計画は一連のステップを含み、各ステップでは、対応する歯列矯正装置が、患者の歯列矯正構造物を精密なステップ用の所望の構造物に再形状づけるように設計される。歯列矯正サーバは次いで、デジタル版の初期治療計画をサイト歯列矯正システムへ送る。サイト歯列矯正システムから確認されると、歯列矯正サーバは、治療計画に基づいて精密なステップの1つ用に歯列矯正装置(たとえば、ブラケット、バンド、ワイヤ、ヘッドギア、ゴムバンド配置および/または保持器)を設計する。歯列矯正装置が次いで作製され/組み立てられて歯列矯正システムへ提供される。加えて、歯列矯正サーバは、医者および/または患者に歯列矯正装置の使用、維持および/または設置の指令を提供してもよい。
歯列矯正装置を受け取ると、歯列矯正医は、歯列矯正装置の受け取りを検証し、その後これを設置する。治療計画にしたがって設置した後に所定の時間に、患者の口が電子的に走査され、更新されたデジタル情報を得る。サイト歯列矯正システムは、更新されたデジタル情報を歯列矯正サーバへ提供し、これは、更新されたデジタル情報を使用して電子患者記録を更新する。更新された電子患者記録から、歯列矯正サーバは、患者の歯の実際の動きが予測通りか否かを決定する。
そのような決定は、サイトでまたは患者に対する遠隔サイトで医者(たとえば、技師、歯科アシスタント、歯列矯正医、専門家、コンサルタント等)からの入力で補足されてもよい。そうであれば、初期治療計画の次のステップが実行される(たとえば、次のステップ用のワイヤが作製され、歯列矯正医に提供され、設置される)。しかし、実際の動きが予測通りでなければ、所望の結果を得るために、歯列矯正サーバは治療計画を調整する。治療計画が調整された後、改訂された治療計画の次のステップが実行される。患者の経過のこのモニタリングおよび治療計画の改訂は、必要に応じて、治療中ずっと続けられる。このようにして、そのような方法および装置で、科学的アプローチが歯列矯正治療に治療中ずっと提供され、治療コストを合理的なレベルに維持し、より一貫した且つ減少した治療時間を提供する。加えて、本発明の方法および装置によって歯列矯正医は、在庫を少なくすることができ、歯の位置の変更および/または顎の展開のために必要となる治療調整が可能になり、さらに、力システムが最適状態には及ばなくなる場合には歯列矯正構造物の変更が可能になる。
歯列矯正患者の三次元デジタルモデルを製造する
一般に、本発明は、歯列矯正患者の三次元デジタルモデルを製造するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、歯列矯正患者の歯列矯正構造物のデータを得ることによって開始する処理を含む。処理は次いで、歯列矯正構造物の少なくとも1つのスケーリング参照点を得ることによって続けられる。たとえば、スケーリング参照点は、データを得る前に歯に配置されたマーキングであってもよい。処理は、スケールされたデータを作るために少なくとも1つのスケーリング参照点に基づいて歯列矯正構造物のデータをスケーリングすることによって続けられる。データは、ビデオデータ、x線、CATスキャン、超音波および/または磁気共鳴画像であってもよいことに注意されたい。処理は次いで、歯列矯正構造物に関する少なくとも2つの配向参照点を得ることによって続けられる(すなわち、治療中に、歯列矯正構造物の固定された物理的属性は変化しないか、または、変化してもその影響は無視できる)。処理は次いで、歯列矯正患者の向上した三次元デジタルモデルを製造するために、少なくとも2つの配向参照点に基づいてスケールされたデータを座標システムにマッピングすることによって続けられる。そのような方法および装置で、歯列矯正患者の自動化された治療が、科学的な且つ制御された方法で行われる。歯列矯正患者の生歯構造物を含む正確な三次元デジタルモデルを得ることによって、患者の治療は三次元空間でコンピュータによってシミュレートすることができ、それによって、歯列矯正治療に科学的アプローチを提供する。
歯列矯正構造物の所望の三次元デジタルモデルを製造する
一般に、本発明は、所望の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルを作製するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、実際の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルを得ることによって開始する処理を含み、三次元デジタルモデルは、x、y、z空間に規定される。処理は次いで、少ない歯の所望の歯列矯正構造物の暫定的な三次元デジタルモデルを作製することによって続けられる。暫定的な三次元モデルは、x、y、z空間に設計され、咬合平面、上部アーチフォーム、下部アーチフォーム、上部アーチ中線および下部アーチ中線の所望の配置を含む。処理は次いで、上部の歯および下部の歯を、暫定的なデジタルモデルおよび規定されたx、y、z空間に対して位置決めし、所望の歯列矯正構造物の第1通過三次元デジタルモデルを得ることによって続けられる。処理は次いで、第1通過三次元デジタルモデルを達成することが実現可能であるか否かを決定することによって続けられる。本質的に決定は、治療制約、および、そのような制約によって与えられた実際の歯列矯正構造物から所望の歯列矯正構造物を達成することができるか否かに基づく。第1通過三次元デジタルモデルを達成することが実現可能であるときには、処理は、第1通過三次元デジタルモデルを所望の三次元デジタルモデルとして使用することによって続けられる。そのような方法および装置で、歯列矯正治療の自動化が実現され、それによって、歯列矯正の診療に科学的アプローチを提供する。
歯の動きを提供する歯列矯正装置を設計する 一般に、本発明は、歯の動きを提供する歯列矯正装置を設計するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、所望の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルを得ることによって開始する処理を含む。歯列矯正構造物は、所望の場所に位置決めされた複数の歯を含む。処理は、所望の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルに基づいてゼロ力アーチワイヤを作製することによって続けられる。処理は、ゼロ力アーチワイヤに対してゼロ力位置で複数の歯の少なくとも何本かにブラケットを配置することによって続けられる。ブラケットを所望の歯列矯正構造物に配置した後に、配置は、実際の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルへ移される。ブラケット配置を移してから、設置されたブラケットを備えた実際の歯列矯正構造物の三次元デジタルモデルから治具が形成されてもよい。治具は、自動化処理によって決定された位置に患者の口内にブラケットが配置されるように、ブラケットの物理的体現を保持する。そのような方法および装置で、歯列矯正医の診療は、治療処理の間中に芸術から科学へ変わり、コストを削減し、より一貫した治療時間を提供する。
患者治療計画の自動作成
一般に、本発明は、患者治療計画を作成するための方法および装置も提供する。そのような方法および装置は、患者および/またはケア提供業者に健康ケアサービスのリストを提供することによって開始する処理を含む。処理は、健康ケアサービスが選択されたときに患者に関するデジタル情報の入力を促進することによって続けられる。処理は、十分な量のデジタル情報が受け取られたか否かを決定することによって続けられる。そうであれば、処理は、デジタル情報、治療目的および標準化された患者データに基づいて、患者の治療をシミュレートすることによって続けられる。処理は次いで、シミュレートされた治療結果が認められたときに、治療をシミュレートするのにしたがって患者治療計画を作成することによって続けられる。そのような方法および装置で、患者治療計画の作成は、歯列矯正ケア、歯科ケアおよび医療ケアを含む健康ケアサービスの特定の種類用に自動化することができる。
本発明の現在好ましい実施形態は、本発明を行うために発明者によって企図されたベストモードを例示する目的で記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本願に記載された詳細から広い変形例が予見される。この真実の精神および範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。特許請求の範囲で使用されているように、「曲げ」という用語は、文脈によって明らかに他のものを示すのでない限り、ワークピースの一方の方向への簡単な移動運動か、または、ワークピースの捩れ(回転)のいずれかを意味するものと解釈される。
図1は本発明の代表的な実施形態にしたがって携帯スキャナシステムを組み込む歯列矯正ケアシステムの例示である。携帯スキャナシステムは、歯列矯正医またはアシスタントによって使用されて、患者の生歯および関連解剖学的構造物の三次元情報を獲得し、患者を診断し治療計画を立てるための情報の基礎を提供する。 図2は図1の歯列矯正ケアシステムに使用されるのに適切な、走査システムのブロック図である。 図3は図1の歯列矯正ケアシステムに使用されるのに適切な、精査下の物体の情報を獲得するのに使用される携帯スキャナの斜視図である。 図4は図3の携帯スキャナで走査されている患者の例示である。 図5は図1のバックオフィスサーバのブロック図であり、患者の生歯のデジタルモデルを計算しサーバのスクリーンディスプレイにデジタルモデルを表示するのに使用される要素を示す。 図6はスキャナによってキャプチャされた画像から物体の三次元情報を計算するために、走査ステーションで処理装置によって使用されるステップの順序を例示するフローチャートである。 図7は図3のスキャナの断面図であり、投影の光学要素およびスキャナの画像形成態様を示す。 図8はスキャナをキャリブレートし、スキャナシステムのメモリに格納されたキャリブレーション表に記入するデータを得るために使用されるステーションのスキャナキャリブレーション装置の斜視図である。 図8Aはスキャナ用のキャリブレーション装置の代替実施形態の斜視図であり、図8のZ方向およびX−Yキャリブレーション表面が単一の表面に組み合わされている。 図9は公知のやり方にしたがって物体の表面構成を計算するのに使用することができる関連パラメータを例示する。 図9Aはスキャナの電子画像形成装置、関連画像形成レンズシステム、および、2つの異なる距離で画像形成装置に投影パターンを反射する物体の例示である。 図9Bは所与の光線を反射する物体の異なる点が、どのように画像形成装置(CCDチップ)の異なる場所に光線を衝突させるかの例示である。 図9Cは一定のZ距離でパターン(A、L、C、E、G等を交差させる)の部分のXおよびY方向のピクセル座標の例示であり、部分を一緒に接続する最良適合線または数学的関数を備える。 図10は投影システムからキャリブレーション表面に投影され電子画像形成装置によってキャプチャされる任意の光線Rn,mの例示であり、キャリブレーション表面は、スキャナから2つの異なる距離Z1およびZ2に位置決めされ、距離ΔZだけ離れている。図10は、スキャナのキャリブレーションおよび物体の三次元情報の作成のために使用される技術の基礎的原則を例示し、これは、図9の方法によって必要な計算に対する改良であるとみなされる。 図11は図3のスキャナから物体に投影されるパターンの一部の例示であり、投影パターンは、着色ドットによって互いから分離される平行線のアレイを備えるが、他の種類の投影パターンも可能であることが理解される。 図12は図11のパターンを通る投影システムの様々な光線を、N×M点のアレイによって表すことができるのを示す例示である。 図13は図8のX−Yキャリブレーション表面の例示であり、キャリブレーション表面のQ×P点のアレイは、表面の中心に基点を有する座標システムに体系づけられており、表面を4つの象限I〜IVへ分けているのを示す。 図14はX欄およびY列に配列されたピクセルのアレイを備える電子画像形成装置の例示である。 図15はキャリブレーション中に電子画像形成装置によって先に画像形成されたX−Yキャリブレーション平面の2つの点から、走査された物体から所与の光線R2,3のXおよびY方向におけるピクセルアドレスの補間を示す例示である。 図16はX−Yキャリブレーション平面の点に対する走査された物体から光線R2,3の場所のより詳細な例示である。 図17は物体に関する三次元情報を導き出すための第1のステップとして、キャプチャされた二次元画像用のパターン認識処理を例示する。 図18は物体に関する三次元情報を導き出すための第1のステップとして、キャプチャされた二次元画像用のパターン認識処理を例示する。 図19は物体に関する三次元情報を導き出すための第1のステップとして、キャプチャされた二次元画像用のパターン認識処理を例示する。 図20は電子画像形成装置の光学要素に対する2つの位置で、図7のキャリブレーションステーションからX−Yキャリブレーション平面の点を例示する。 図21は投影システムからの光線R2,3の投影とキャリブレーションステーションのX−Yキャリブレーション表面との間の関係を例示する。 図22は走査装置から物体の未知の距離Z’と、光線Rn,mが距離ZおよびZで電子画像形成装置によって画像形成される場所と、の間の関係の例示である。 図23はスキャナ用のキャリブレーション表用の項目を作成するためにX−Yキャリブレーション表面用に使用される座標システムを示す例示である。 図24はZキャリブレーションステップの完了後の、スキャナ用の第1のキャリブレーション表の例示である。 図25はX−Yキャリブレーションの完了後の、スキャナ用の第2のキャリブレーション表の例示である。図25の第2のキャリブレーション表の項目を使用して、図24のキャリブレーション表のmm項目を完了する。 図26は光線R2,3用に図25の表からの計算が実施され、結果が第1の表に記入された後の、スキャナ用の第1のキャリブレーション表の例示である。両方の距離で各光線用にキャリブレーション表#2(図25)から類似の計算が行われ、各光線の項目がmmでキャリブレーション表#1(図24)に記入されることが理解される。 図27は走査ノードまたはワークステーションにおけるいずれの信号処理の前に、図1、2、3および4のスキャナの電子画像形成装置によってキャプチャされた歯および関連解剖学的構造物の二次元ビットマップ画像の例示である。 図28はパターン認識およびフィルタリング操作が実施された後の図27の画像の例示である。 図29はデータの単一の「フレーム」、すなわち、本願に記載のパターン認識、デコーディングおよび3D計算によって単一の二次元画像から計算された走査された物体の三次元点クラウドの例示である。 図30はクラウド3つの隣接点が一緒に結合された三角形表面を形成する図29のクラウドの点の例示である。 図31は図30に示される三角形表面から形成された三次元表面の図である。 図32は物体の表面の滑らかな表示を与えるために平滑化アルゴリズムによって滑らかにされた図31の表面の図である。 図33はスキャナの電子画像形成装置によって得られたビットマップ画像の別の例である。 図34は図33の二次元ビットマップ画像から得られた三次元表面の平面図である。 図35は図34に示される三次元表面の斜視図である。 図36は上顎および下顎の一連の走査から患者の生歯の完全三次元モデルを作製するために実施されるステップを例示するフローチャートが示される。 図37Aは物体の表面の完全モデルを作製するために、数種類のデータのフレームを作製しそのようなフレームを互いに対して位置合わせした後の、物体の表面の数学的モデルの例示である。 図37Bは図38Aのモデルの1つの小さな三次元セクションの例示であり、これらのフレームの位置合わせが完了した後の三次元におけるほぼ同一点に位置する3つの異なるフレームからの点を示す。 図37Cは図1のバックオフィスステーションのユーザインターフェースのスクリーンショットであり、歯を走査することから得られた1つのフレームを備える点の三角形表面を示す。 図37Dは歯上の多数の重なり合うフレームの位置合わせを示すスクリーンショットであり、図37Cのフレームが1つのフレームである。図37Dは、図37Cの広く間隔をおいた点によって示されるように、スキャナの投影パターンの低解像度が、図37Cに例示されるように、フレームの大きな重なり合いの位置合わせによって補償され、結果として高い解像度の表面が得られることを例示する。 図38Aから38CはXおよびY方向の二次元の相互相関手順を例示する。図37Aおよび37Bの手順とともに、手順を使用して、データの連続するフレームの間の位置合わせアルゴリズム内の初期記入点を見いだす。 図39Aおよび39Bは2つの連続するフレーム用のZ方向における一次元相関手順を示す。 図40Aは1セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせ処理の例示であり、各フレームは走査された物体の三次元点クラウドから構成される。各フレームは一般に、画像キャプチャ中にスキャナの運動のために物体に対するスキャナの異なる空間配向から作製され、したがって、フレームは少なくともある程度まで重なり合う。位置合わせ処理を使用して、フレームの間の互いに対する最良適合を見いだし、それによってすべてのフレームから物体の表面の完全三次元仮想モデルを提供する。 図40Bは1セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせ処理の例示であり、各フレームは走査された物体の三次元点クラウドから構成される。各フレームは一般に、画像キャプチャ中にスキャナの運動のために物体に対するスキャナの異なる空間配向から作製され、したがって、フレームは少なくともある程度まで重なり合う。位置合わせ処理を使用して、フレームの間の互いに対する最良適合を見いだし、それによってすべてのフレームから物体の表面の完全三次元仮想モデルを提供する。 図40Cは1セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせ処理の例示であり、各フレームは走査された物体の三次元点クラウドから構成される。各フレームは一般に、画像キャプチャ中にスキャナの運動のために物体に対するスキャナの異なる空間配向から作製され、したがって、フレームは少なくともある程度まで重なり合う。位置合わせ処理を使用して、フレームの間の互いに対する最良適合を見いだし、それによってすべてのフレームから物体の表面の完全三次元仮想モデルを提供する。 図40Dは1セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせ処理の例示であり、各フレームは走査された物体の三次元点クラウドから構成される。各フレームは一般に、画像キャプチャ中にスキャナの運動のために物体に対するスキャナの異なる空間配向から作製され、したがって、フレームは少なくともある程度まで重なり合う。位置合わせ処理を使用して、フレームの間の互いに対する最良適合を見いだし、それによってすべてのフレームから物体の表面の完全三次元仮想モデルを提供する。 図41は図40の処理に使用される法線ベクトルを例示する。 図42は正味法線ベクトルNnet’に到達するためにフレーム1から法線ベクトルの合計を例示する。 図43は図40の処理からベクトルViおよびNiを例示する。 図44はベクトルViおよびNiのクロス乗積を例示する。 図45はパラメータRを例示し、これをフレーム位置合わせ処理に使用して、距離Rよりも大きい点を三角形表面から放棄するかまたは除外する。 図46は図40の処理の反復の関数として正味法線ベクトルNnet’の大きさとして測定される近似因子または品質指数の例示であり、品質指数が位置合わせ処理の連続する反復でどれほど改良するかを示す。 図47Aおよび47B累積位置合わせ手順の例示であり、これは、図40のフレームからフレームへの位置合わせ手順の代替例である。 図48Aは累積位置合わせ処理のフローチャートである。 図48Bは累積位置合わせ処理のフローチャートである。 図48Cは累積位置合わせ処理のフローチャートである。 図49はフレームからフレームへの位置合わせとは異なる順番のフレーム位置合わせを例示する1セットのフレームの例示であり、順番は、他のフレーム用の表面上の位置に対する所与のフレーム用の物体の表面上の位置に基づく。 図50は1セットのフレームの簡略化した例示であり、フレームが得られる順番を示し、フレームの他のフレームに対する隣接は、図49に示される位置合わせ順番を基礎にしている。 図51は1セットのフレームの別の例示であり、フレームの位置合わせは図49に示される方法にしたがって実施され、フレーム2、3、6および7等のマーキングは、フレームが位置合わせされていることを示す。マーキングは、単に、図49の位置合わせ手順中にフレームが削除されないことを保証するためのチェックとして、どのフレームが位置合わせされていないかをコンピュータが記録に取っておくことを例示する方法である。 図52はすべての連続位置合わせ用の基線として第1に捉えられたフレーム(F1)に基づいた累積位置合わせの例示である。 図53は代替位置合わせ手順を例示し、1セットのフレームの各フレームは、フレーム位置合わせ処理の1反復で、逐次順で、物体の累積位置合わせの三次元モデルに位置合わせされる。次に、累積三次元モデルが更新され、各フレーム用の変換マトリクス[T]に、更新された値で位置合わせ処理が繰り返される。 図54はワークステーションコンピュータ(走査ステーションまたはバックオフィスサーバワークステーションのいずれか)のスクリーンショットであり、利用可能な位置合わせパラメータと、フレームからフレームへの位置合わせかまたは累積位置合わせかのいずれかを実施するときにユーザによって変えることができる変数と、を示す。 図55は1セットのフレームの2つのフレーム用の図40にしたがったフレームからフレームへの位置合わせを示すワークステーションコンピュータからのスクリーンショットである。 図56は図40のフレームからフレームへの位置合わせの45反復後の結果を示すワークステーションコンピュータからのスクリーンショットであり、スクリーンショットの右側は互いに対して重なり合った2つのフレームを示す。 図57はフレームからフレームへの位置合わせ後の患者の上前歯の三次元モデルの図的表示を示すスクリーンショットである。ユーザは、治療計画の予備ステップとして、且つ、上顎および関連生歯の完全モデルを計算するために走査された上顎の重なり合うセグメントを互いに対して位置合わせするステップとして、歯にランドマークを加える。 図58Aから58Fは図58Aに示された走査された歯から、且つ、図58Bに示されたテンプレート歯から、個別の歯モデルを作製するのを示す一連の例示である。図58Aに類似したテンプレート歯のライブラリが、コンピュータメモリに三次元コンピュータモデルとして格納される。個別の歯モデルは、歯の境界を規定する単一セットの点を有する三次元歯物体である。個別の歯モデルは、多数のフレームの累積位置合わせの後の歯を表すデータに比較して、歯を表すのに必要なデータの量を減じる。個別の歯モデルは、治療シナリオのシミュレーションにおいて互いに対して個別に動くことができるため、インタラクティブな歯列矯正治療計画には、きわめて有益でもある。 図59は患者の生歯のコンピュータモデルに位置決めされ、他の解剖学的構造物によって囲繞された図58Dの歯モデルの例示である。 図60はユーザが患者用のアーチフォームを選択しコンピュータがユーザによって選択されたアーチに沿って歯を配置する結果として、目標のまたは所望の状態に位置決めされた患者の歯のコンピュータモデルを示す歯列矯正ワークステーションからのスクリーンショットである。図60は、患者用の独特なカスタマイズされた目標状態を提供するように、歯列矯正医がアーチの形状、歯の間の距離、臼歯の間の距離を調整することができる様々なパラメータ、および、他のパラメータも示す。 図61は目標状態にある患者の歯のコンピュータモデルを示す別のスクリーンショットであり、歯列矯正医が、目標アーチフォーム用に歯1本ずつのベースで、歯の位置、配向、角形成、トルクをカスタマイズするのに利用可能である多数のパラメータ、および、他のパラメータを示す。 図62は目標状況の正面図と、患者の治療を計画するに当たり歯を互いに対して動かすために歯列矯正医が利用可能な追加パラメータと、を示す別のスクリーンショットである。 図63は目標位置にある仮想歯と歯に配列された1セットの仮想ブラケットと仮想アーチワイヤとを示す患者の目標状況のスクリーンショットである。 図64Aから64Dは図1の走査システムによって作製された生歯の一部の仮想モデルの4枚の図であり、図58Aから58Fに関連して記載された処理の一部として、関連解剖学的構造物たとえば他の歯および歯肉組織から歯を分離するための代替方法を例示する。 図65はテンプレート物体から走査データの穴を満たすために、図58Aから58Fに関連して記載された処理に使用することができる補間手順の例示である。 図66は歯科歴、X線写真、医療歴、顔、歯および頭部の写真、および、不正咬合の三次元モデルを含む患者に関する様々な情報にユーザがアクセスする患者記録スクリーンを示すワークステーションユーザインターフェースディスプレイのスクリーンショットである。 図67はスクリーンディスプレイに表れ、患者の生歯の三次元モデルを見るためにいくつかのツールを提供する一連のアイコンの例示である。 図68はナビゲーションツールとして作用しユーザがディスプレイ上の歯およびブラケットの三次元モデルを操作するのを可能にするスクリーンディスプレイの一部である1セットのアイコンの例示である。 図69は不正咬合を被っている患者の観察された段階を表す1セットの個別の歯物体を示す治療計画ソフトウェアからのスクリーンショットである。 図70は治療計画ソフトウェアからの別のスクリーンショットであり、観察された段階および歯の表面に対する仮想三次元ブラケットの配置を示す。 図71は治療計画ソフトウェアからの別のスクリーンショットであり、観察された段階およびフィールドの数種類の画を示し、それによって歯列矯正医は、治療を計画する初期ステップとして、下顎に対する上顎の関係を変えるために値を入力することができる。 図72は図71に類似した、同時に表示された不正咬合の数種類の画を示す別のスクリーンショットである。 図73は目標状況の上部アーチを通る断面または「クリッピング平面」図を示すスクリーンショットである。 図74は目標アーチの一部を例示するスクリーンショットであり、歯を通って取られた垂直断面またはクリッピング平面を示す。この図は、上顎と下顎との関係を調整するのに有用である。 図75は不正咬合で歯に対する仮想ブラケットの配置を示すスクリーンショットであり、ユーザがアイコンをクリックして上部アーチ用の当初アーチフォームを設定するのを示す。 図76はユーザが患者用のアーチフォームを選択し、コンピュータがユーザによって選択されたアーチに沿って歯を配置する結果として、目標のまたは所望の段階に位置決めされた患者の歯のコンピュータモデルを示すスクリーンショットである。図76は、患者用の独特な且つカスタマイズされたアーチフォームを提供するように、歯列矯正医がアーチの形状、歯の間の距離、臼歯の間の距離を調整することができる様々なパラメータ、および、他のパラメータも示す。 図77は目標段階の患者の歯のコンピュータモデル、および、ブラケットおよび歯列矯正アーチワイヤを示し、且つ、歯列矯正医が、目標アーチフォーム用に歯1本ずつのベースで、歯の位置、配向、角形成、トルクをカスタマイズするのに利用可能である多数のパラメータ、および、他のパラメータを示す別のスクリーンショットである。 図78はブラケットおよびアーチワイヤを備えた目標状況の画を示す別のスクリーンショットであり、歯列矯正医が、患者の治療を計画するに当たり歯物体を互いに対して動かすことができるフィールドを示す。 図79は対向する顎との改良された咬合関係に歯番号16を動かすためにブラケットオフセット修正が入力されているのを示すスクリーンショットである。 図80はブラケットオフセット修正が行われているときに歯番号16で発生している歯の動きを示すスクリーンショットである。 図81はブラケットおよびアーチワイヤを備えた目標段階を示す別のスクリーンショットであり、歯列矯正医によって示された量だけ頬側方向および冠状方向へ動かされた歯、および、アーチワイヤに組み込まれた修正を示す。 図82は歯の間の空間を特定することによってまたは歯を抜くことによって目標状況を調整することができる空間管理特徴を示す別のスクリーンショットである。 図83は歯番号41を抜くことをシミュレートするのを例示するスクリーンショットである。 図84はユーザが歯の間の近心ギャップを修正するのを示し、且つ、どのようにユーザ仕様の近心ギャップを瞬時にスクリーンに表すかを示すスクリーンショットである。 図85はユーザが、結合修正特徴を使用して歯1本ずつのベースで目標段階の歯の位置を修正するのを示すスクリーンショットである。 図86はユーザが、ブラケット位置を変えずに、アーチワイヤの形状を変えることができるワイヤタブを示すスクリーンショットである。 図87はユーザが、ワイヤにおける曲げのサイズ、場所等を変えることができるワイヤオフセットタブを示すスクリーンショットである。 図88は図1に示されたアーチワイヤ製造システムの概略図である。 図88Aは図88のシステムのブロック図である。 図89は図88の製造システムで使用される可動ロボットアームの斜視図である。図89では、アームの様々な他の態様を示す明瞭化のために、アームの遠位端のグリップツールは省略されている。 図90は図89のロボットアームの斜視図であり、アームジョイントの1つの動き、および、アームの対応する運動を示す。 図91は図89および図90の可動ロボットアームの遠位端へ装着されるグリップツールの詳細斜視図である。 図92は図88の固定グリップツールおよび図91のグリップツールの斜視図であり、歯列矯正アーチワイヤがツールによって掴まれている。 図93は複数のまっすぐなアーチワイヤを保持する図88のマガジンの斜視図である。 図94は図93のマガジンからアーチワイヤの1つを把持する可動グリップツールの詳細斜視図である。 図95は可動ロボットアームの代替配列の斜視図である。 図96Aおよび96Bは図93のマガジンに対する代替マガジン構造の斜視図である。 図97は図88のロボットアームへアーチワイヤを運ぶコンベヤシステムの概略例示である。 図98は歯列矯正アーチワイヤを製造する製造流れに関連するロボットソフトウェアを例示する図である。 図99は患者用に三次元で1セットのブラケット用のブラケット位置を計算するために使用される座標システムの基点を示す1セットの歯の簡略例示である。目標状況の歯のブラケット位置が、歯列矯正アーチワイヤの形状を決定する。 図100は座標システムの基点からブラケットの中心へ引かれたベクトルを示す例示である。 図101は歯列矯正ブラケットの斜視図である。 図102は座標システムの基点からブラケットへ引かれたベクトル、ベクトルのスロット表面に垂直な法線ベクトルN、および、ブラケットのスロットの方向に拡張する正接ベクトルTの例示である。 図103は特定のブラケット用の法線ベクトルY、正接ベクトルX、正接距離Tdおよび非正接距離ATdを示す。 図104はブラケットの位置およびその配向を記載する個別のブラケット用の値をマトリクス形態で示し、歯列矯正アーチワイヤを形成するロボット用のコマンドを作成するのに使用される。 図105は目標状況の患者用の個別のブラケットに関連した1セットの曲げ点を表す1セットの点P1、P2、P3、…PNの例示である。三次元座標システムにおける点の位置は知られている。 図106は曲げが点P2とP3との間に配置される点P1とP4との間のワイヤのセクションの例示である。 図106Aは4つの点およびベジェスプラインによって規定されるカーブの例示であり、技術を使用して図106の点P2とP3との間のワイヤにおける曲げの形状を計算する。 図106Bは図106Aのベジェスプラインおよびカーブの長さを計算するアルゴリズムのフローチャートである。 図107はワイヤ等のワークピース用の撓みの関数としての力のグラフである。グラフは、一定の量の力F1がワークピースに加えられて次いで解放されるときに、撓みD2が結果として得られることを例示する。ワイヤは弾性特性を有するため、力が解放されるときに、残っている撓みの量D1は、力がワイヤに加えられるときに観察される撓みD2よりも少ない。 図108はワイヤを曲げたときにワイヤに見られる応力の例示である。 図109は図92の固定グリップツールのグリップフィンガの立面図であり、ワイヤを曲げる際にロボットによって使用される座標システムの基点を示す。 図110は図109のグリップフィンガの上面図である。 図111は変形制御過剰曲げ手順を例示するフローチャートであり、これを使用して、図107によって例証されたワイヤの弾性特性を補償してもよい。 図112は図111に述べられた過剰曲げ方法を示す例示である。 図113Aから113Eは図92の固定および可動のグリップツールの一連の概略図であり、どのように互いに対して動き、アーチワイヤを掴みこれを解放し、適所にアーチワイヤを配置し、図105の点P2とP3との間に曲げを形成するかを示す。 図114は固定グリップツールから一定の距離を維持しながら、可動グリップツールがどのようにアーチワイヤを曲げるかを示す概略例示である。 図115Aから115Cは一連のステップでどのように曲げが形成されるかを例示する。 図116Aから116Dは図92の固定および可動のグリップツールの一連の概略図であり、どのように互いに対して動き、適所にアーチワイヤを配置し、点P4とP5との間に曲げを形成するか示す。 図117はアーチワイヤの一部を規定する点の例示であり、まっすぐなワイヤセグメントの間にかなりの距離が存在するワイヤに曲げを置くための技術を例示する。 図118は中に形成される曲げを示すアーチワイヤの一部の例示であり、ワイヤがほぼまっすぐになったとき、たとえば治療の最後近くでは、ワイヤに加えられる力を増大する。 図119は2本の歯の間に設置された図118のワイヤセグメントを示す。 図120はワイヤにループを備えたワイヤを示す。 図121Aから121Bは図120のワイヤにループを形成する1つの可能な方法を例示する。

Claims (96)

  1. 歯の走査に基づいたインタラクティブな歯列矯正ケアシステムであって、
    患者の生歯の画像をキャプチャし前記画像を処理して前記生歯の完全仮想三次元モデルを作製するための携帯スキャナおよび関連処理システムと、
    前記仮想三次元モデルを処理し、それに応答して前記患者の前記生歯の歯を表す1セットの個別の仮想三次元歯物体を作製するデータ状態調節システムと、
    前記セットの個別の仮想三次元歯物体を表示するためのユーザインターフェースと、ユーザが前記仮想三次元歯物体を操作し、それによって三次元における前記患者用の目標状況および前記歯用のカスタマイズされた歯列矯正器具用のパラメータを設計することができるように適合されたソフトウェアとを備えるワークステーションと、
    を備える歯列矯正ケアシステム。
  2. 前記携帯スキャナおよび関連処理システムと前記データ状態調節システムと前記ワークステーションとは、歯列矯正クリニックに設置される請求項1に記載のシステム。
  3. 前記携帯スキャナおよび前記ワークステーションは歯列矯正クリニックに設置され、前記データ状態調節システムは、前記歯列矯正クリニックから遠隔場所で汎用コンピュータに設置される請求項1に記載のシステム。
  4. 前記遠隔場所は、前記カスタマイズされた歯列矯正器具を製造する器具製造施設を備える請求項3に記載のシステム。
  5. 少なくとも前記目標状況およびカスタマイズされた歯列矯正器具用の前記パラメータを表すデジタルデータを遠隔地に位置する器具製造施設へ伝達するためのコミュニケーション機器をさらに備え、前記器具製造施設は、前記デジタルデータを受け取り、前記カスタマイズされた歯列矯正器具を製造するための歯列矯正器具製造機器をさらに備える請求項1に記載のシステム。
  6. 前記歯列矯正器具はアーチワイヤを備える請求項1に記載のシステム。
  7. 前記歯列矯正器具は、歯列矯正ブラケットおよびアーチワイヤのセットを備える請求項1に記載のシステム。
  8. 前記歯列矯正器具は保持器を備える請求項1に記載のシステム。
  9. 前記歯列矯正器具は実質的に透明な整列配置装置を備える請求項1に記載のシステム。
  10. 前記携帯スキャナは、口内走査用に適合され、光源と電子画像形成装置とパターン源とを備え、前記光源は前記生歯にパターンを投影し、前記電子画像形成装置は前記生歯から反射した前記パターンの二次元画像に入射光を転換する請求項1に記載のシステム。
  11. 前記携帯スキャナは、走査中に生歯を全体的に照明する連続照明光源をさらに備える請求項10に記載のシステム。
  12. 前記携帯スキャナは、光源が前記生歯を照明し、画像形成装置が前記生歯のビデオ画像を作製する操作のビデオモードをさらに含む請求項1に記載のシステム。
  13. 前記スキャナは、前記ビデオモードと三次元画像キャプチャモードとの間を即座に連続して交替する請求項12に記載のシステム。
  14. 前記携帯スキャナに連結された走査ワークステーションをさらに備え、前記走査ワークステーションは音声作動システムを含み、前記スキャナの操作が少なくとも部分的には音声コマンドによって制御される請求項1に記載のシステム。
  15. 前記携帯スキャナに関連した前記処理システムは、三次元点クラウドのフレームに位置合わせアルゴリズムを実行し、各フレームは、前記電子画像形成装置によってキャプチャされた個別の二次元画像に対応する請求項10に記載のシステム。
  16. 前記位置合わせアルゴリズムは、累積位置合わせアルゴリズムを含む請求項15に記載のシステム。
  17. 前記携帯スキャナに関連した前記処理システムは、前記二次元画像用のパターン認識ルーチン、デコーディングルーチン、および、前記二次元画像の各々に関連した点の三次元クラウドを作製する三次元計算ルーチンを実行する請求項15に記載のシステム。
  18. インタラクティブな歯列矯正治療計画システムであって、 ディスプレイと、不正咬合状況にある患者の生歯の三次元仮想モデルを格納するメモリと、処理装置と、を有するワークステーションであって、
    前記処理装置は、不正咬合状況にある患者の生歯の前記三次元仮想モデルから、歯の個別の仮想三次元歯物体を作製するためのルーチンを実行し、
    前記処理装置は、インタラクティブな治療計画および器具設計プログラムを表すソフトウェアをさらに実行し、それによって前記ワークステーションのユーザは、前記個別の三次元仮想歯物体を目標状況へ動かすことができ、前記目標状況は、所望の咬合に前記歯の三次元仮想モデルを備えるワークステーションと、
    所望の咬合にある前記歯の前記三次元仮想モデルを遠隔場所へ伝達するためのコミュニケーション機器と、
    を備える歯列矯正治療計画システム。
  19. 個別の仮想三次元歯モデルを作製するための前記ルーチンは、前記生歯の前記三次元仮想モデルの一部を三次元仮想テンプレート歯と比較する請求項18に記載のシステム。
  20. 前記生歯の前記三次元仮想モデルは、前記患者の前記生歯を携帯スキャナで口内走査することから得られる請求項18に記載のシステム。
  21. 前記遠隔場所は、歯列矯正クリニックを含む請求項19に記載のシステム。
  22. 前記遠隔場所は、精密器具製造センターを含む請求項18に記載のシステム。
  23. 前記治療計画ソフトウェアプログラムは、ユーザが三次元仮想歯列矯正ブラケットを個別の仮想三次元歯モデルにインタラクティブに配置し、前記個別の仮想三次元歯モデルに対して前記仮想ブラケットの位置を調整することを可能にするための特徴をさらに含む請求項18に記載のシステム。
  24. 前記精密器具製造センターは、歯列矯正アーチワイヤのカスタマイズされた形状づけのためのワイヤ曲げロボットと、前記ユーザが前記仮想ブラケットを前記仮想三次元歯モデルに配置した場所に歯列矯正ブラケットを配置するための配置装置と、を備える請求項23記載のシステム。
  25. 前記ワイヤ曲げロボットは、6軸ワイヤ曲げロボットを備える請求項24に記載のシステム。
  26. 前記配置装置は、前記ユーザによって特定された場所で歯の表面に配置された歯列矯正ブラケットを有する不正咬合の患者の生歯の三次元物理的モデル上に形成されたブラケット配置トレイを備える請求項24に記載のシステム。
  27. 前記三次元物理的モデルは、立体リソグラフィ、レーザ焼結、フライス削りおよび三次元プリンティングからなる群から選択された高速原型作成方法から作られる請求項26に記載のシステム。
  28. 不正咬合を被っている患者を治療する歯列矯正クリニックで使用されるインタラクティブな歯列矯正ケアシステムであって、
    患者の生歯の画像をキャプチャし前記画像を処理して前記不正咬合の生歯の完全仮想三次元モデルを作製するための携帯口内スキャナおよび関連処理システムと、
    ディスプレイと、不正咬合状況にある患者の生歯の前記三次元仮想モデルを格納するメモリと、処理装置と、を備えるワークステーションであって、
    前記ワークステーション処理装置は、インタラクティブな治療計画および器具設計プログラムを表すソフトウェアを実行し、それによって前記ワークステーションのユーザは、前記生歯の前記仮想モデルから得られた個別の三次元仮想歯物体を目標状況へ動かすことができ、前記目標状況は、所望の咬合に前記歯の三次元仮想モデルを備えるワークステーションと、
    カスタマイズされた歯列矯正器具を製造するために、前記不正咬合の生歯の前記仮想三次元モデルと所望の咬合における前記歯の前記三次元仮想モデルとの少なくとも一方を表すデジタル情報を、遠隔地に位置する精密器具製造センターへ伝達するためのコミュニケーション機器と、を備える歯列矯正ケアシステム。
  29. 不正咬合状況にある患者の生歯の前記三次元仮想モデルから、歯の個別の仮想三次元歯モデルを作製するためのルーチンを実行する処理装置をさらに備える請求項28に記載のシステム。
  30. 前記処理装置は、前記ワークステーションの前記処理装置を含む請求項29に記載のシステム。
  31. 前記処理装置は、前記精密器具製造センターの汎用コンピュータを含む請求項29に記載のシステム。
  32. 前記歯列矯正器具はアーチワイヤを含む請求項29に記載のシステム。
  33. 前記歯列矯正器具は、歯列矯正ブラケットおよびアーチワイヤを配置するための1つまたはそれ以上の装置を含む請求項28に記載のシステム。
  34. 前記歯列矯正器具は保持器を含む請求項28に記載のシステム。
  35. 前記歯列矯正器具は取り外し可能な整列配置装置を含む請求項28に記載のシステム。
  36. 前記携帯スキャナは、光源と電子画像形成装置とパターン源とを含み、前記光源は前記生歯にパターンを投影し、前記電子画像形成装置は前記生歯から反射した前記パターンの二次元画像に入射光を転換する請求項28に記載のシステム。
  37. 前記携帯スキャナは、走査中に生歯を全体的に照明するために連続照明光源をさらに備える請求項36に記載のシステム。
  38. 前記携帯スキャナは、光源が生歯を照明し、画像形成装置が生歯のビデオ画像を作製する操作のビデオモードをさらに含む請求項28に記載のシステム。
  39. 前記スキャナは、前記ビデオモードと三次元画像キャプチャモードとの間を即座に連続して交替する請求項38に記載のシステム。
  40. 前記携帯スキャナに連結された走査ワークステーションをさらに備え、前記走査ワークステーションは音声作動システムを含み、前記スキャナの操作が少なくとも部分的には音声コマンドによって制御される請求項38に記載のシステム。
  41. 前記携帯スキャナに関連した前記処理システムは、三次元点クラウドのフレームに位置合わせアルゴリズムを実行し、各フレームは、前記電子画像形成装置によってキャプチャされた個別の二次元画像に対応する請求項36に記載のシステム。
  42. 前記位置合わせアルゴリズムは、累積位置合わせアルゴリズムを含む請求項41に記載のシステム。
  43. 前記携帯スキャナに関連した前記処理システムは、前記二次元画像用のパターン認識ルーチン、デコーディングルーチン、および、前記二次元画像の各々に関連した点の三次元クラウドを作製する三次元計算ルーチンを実行する請求項42に記載のシステム。
  44. 歯列矯正器具製造システムであって、
    患者の不正咬合の三次元仮想モデルを表すデジタルデータと前記不正咬合に配置するべき歯列矯正ブラケットの場所を表すデジタル情報とを格納する機械読取可能なメモリであって、前記患者の歯および生歯の三次元仮想モデルを表すデジタルデータと三次元の目標状況における歯列矯正ブラケットの場所とをさらに格納するメモリと、
    ワイヤ曲げロボットと、
    前記不正咬合に配置された前記ブラケットを備えた不正咬合の三次元物理的モデルを作製するため機器と、
    前記ブラケットを備えた前記不正咬合の前記物理的モデルの外形に整合するブラケット配置トレイを形成する形成装置と、
    を備え、
    前記ブラケット配置トレイは、前記物理的モデルから取り外すことができ、前記トレイにはブラケットを配置するためのスペースが形成され、前記生歯の前記仮想モデルおよび前記不正咬合に対する歯列矯正ブラケットの配置に基づいて所望の場所で前記歯に前記ブラケットを結合するのを可能にする歯列矯正器具製造システム。
  45. 前記ワイヤ曲げロボットは、固定グリップツールと可動アームの端に装着された可動グリップツールとを有する6軸ロボットを備える請求項45記載のシステム。
  46. 前記三次元モデルを作製するための機器は、立体リソグラフィ機器を備える請求項45に記載のシステム。
  47. 患者の生歯の三次元仮想モデルの表面に対する三次元仮想歯列矯正ブラケットの配置に基づいて、カスタマイズされたブラケット結合パッドを製造するための機器をさらに備える請求項45に記載のシステム。
  48. カスタマイズされたブラケット結合パッドを製造するためのシステムであって、前記ブラケットは基部を有し、前記システムは、
    生歯の三次元仮想モデルと、前記生歯の前記三次元仮想モデルの歯の表面に配置された歯列矯正ブラケットの三次元仮想モデルと、を格納するメモリと、
    前記三次元仮想モデルからブラケット結合パッドの三次元形状を導き出す処理装置と、
    前記導き出された三次元形状にしたがってブラケット結合パッドを製造するための機械システムと、
    を備えるシステム。
  49. 医療装置を所望の構成に曲げるための機械であって、
    第1のグリップツールおよび第2のグリップツールであって、各々が、前記医療装置を解放可能に保持するためのグリップ構造物を有する第1のグリップツールおよび第2のグリップツールと、
    可動アームであって、前記第2のグリップツールを前記可動アームに装着するように適合された自由遠位端部分を有し、
    少なくとも2本の異なる軸を中心にして前記第1のグリップツールに対して無関係に動くことができる可動アームと、
    前記可動アームおよび前記グリップツールに作用する制御システムであって、前記グリップツールが互いから離れている間に前記医療装置を掴み、且つ、少なくとも2本の軸を中心にして前記グリップツールを互いに対して動かさせ、それによって前記医療装置を所望の量だけ曲げる制御システムと、
    を備える機械。
  50. 前記可動アームは、3本の移動軸および3本の回転軸を中心にして前記第1のグリップツールに対して動くことができる請求項49に記載の装置。
  51. 前記装置は、前記医療装置が前記第1および第2のグリップツールによって曲げられた後に、前記医療装置によって作られた力を検出するための力センサシステムをさらに備える請求項49に記載の装置。
  52. 前記力システムは、前記第1のグリップツールに連結された第1の力センサと、前記第2のグリップツールに連結された第2の力センサと、を備える請求項49に記載の装置。
  53. 前記医療装置は、歯列矯正器具を含む請求項49に記載の装置。
  54. 前記医療装置は、固定プレートを含む請求項49に記載の装置。
  55. 前記装置は、前記医療装置が前記第1および第2のグリップツールによって曲げられている間に、前記医療装置に熱を加えるための加熱システムをさらに備える請求項49に記載の装置。
  56. 物体の三次元情報を捉えるためのスキャナシステムであって、
    第1の軸に沿って前記物体にパターンを投影する投影システムと、
    ピクセルのアレイを備える電子画像形成装置であって、前記第1の軸とは異なる第2の軸に沿って配向され、前記物体から前記パターンが反射した後に前記パターンの画像を形成する電子画像形成装置と、
    前記スキャナ用の三軸(X、YおよびZ)座標システムキャリブレーション関係を格納するメモリであって、前記キャリブレーション関係は、(1)前記パターンの多数の部分用の前記電子画像形成装置のピクセル座標であって、少なくとも2つの異なるZ距離でZ方向における前記投影システムからの距離情報に関連したピクセル座標と、(2)前記少なくとも2つの異なるZ距離で前記パターンの前記多数の部分用のXおよびY方向の距離情報と、を識別するメモリと、
    前記パターンの前記画像を処理し、前記画像からのデータを前記キャリブレーション関係と比較し、それによって前記電子画像形成装置に前記投影されたパターンを反射する前記物体の点の三次元における空間情報を導き出す少なくとも1つの処理装置と、
    を備えるスキャナシステム。
  57. 前記処理システムは、前記投影システムおよび前記電子画像形成装置に関連したレンズシステムの光学特性を使用せずに、前記キャリブレーション関係から三次元における前記空間情報を導き出し、それによって前記レンズシステムに存在する光学的歪みを補償する請求項56に記載のスキャナシステム。
  58. 物体の三次元表面情報を得る方法であって、
    スキャナを前記物体の近心に位置決めするステップであって、前記スキャナは、前記物体にパターンを投影するための投影システムと、前記表面から前記パターンの反射の二次元画像を作製する電子画像形成装置と、を有するステップと、 前記スキャナと前記物体とを互いに対して動かすステップと、
    前記スキャナと前記表面とが互いに対して動くにつれて前記物体から前記パターンが反射した後に、前記投影パターンの一連の二次元画像を前記電子画像形成装置でキャプチャするステップと、
    前記物体の一連のフレームを獲得するために前記一連の画像を処理するステップであって、各フレームは三次元における前記物体の前記表面の一部の空間座標を含むステップと、
    前記フレームの重なり合っている区域を互いに対して位置合わせして、前記物体の三次元仮想モデルを作製するステップと、
    を含む方法。
  59. 前記一連の画像は、少なくとも1秒につき1画像の速度でキャプチャされ、前記パターンは、前記画像キャプチャ速度に同期した速度にタイミングを合わせた一連のフラッシュで前記物体に投影される請求項58に記載の方法。
  60. 前記一連のフラッシュの開始後に、前記フラッシュは人間の介入なしで自動的に続く請求項57に記載の方法。
  61. 前記処理ステップは、前記物体から反射した後に前記電子画像形成装置によってキャプチャされた前記投影されたパターンの特定の部分を識別するデコーディングアルゴリズムを実行するステップをさらに含む請求項57に記載の方法。
  62. 前記スキャナ用のキャリブレーション関係を格納するステップをさらに含み、前記処理システムは、前記投影システムおよび前記電子画像形成装置に関連したレンズシステムの光学特性を使用せずに、前記キャリブレーション関係から三次元における前記空間情報を導き出し、それによって前記レンズシステムに存在する光学的歪みを補償する請求項57に記載の方法。
  63. 前記キャリブレーション関係は、前記電子画像形成装置にピクセルアドレスを含む入力からZ距離情報およびXおよびY値を提供する数学的関数を含む請求項62に記載の方法。
  64. 前記キャリブレーション関係は、キャリブレーション表を含む請求項63に記載の方法。
  65. 前記物体を覆うのに必要な前記電子画像形成装置によって獲得された二次元画像を格納するデータ格納媒体を提供するステップをさらに含む請求項57に記載の方法。
  66. 前記処理ステップは、
    a)前記一連の画像のパターン認識を実施して、前記画像の各々における前記投影されたパターンの特徴部を検出するステップと、
    b)前記パターン認識ステップによって検出されたパターンをデコードして、前記電子画像形成装置によってキャプチャされた前記投影されたパターンの特定の部分を識別するステップと、
    c)前記デコードされたパターンの前記特定の部分用の三次元における空間座標を計算するステップと、
    を含む請求項57に記載の方法。
  67. 前記計算ステップは、前記電子画像形成装置によってキャプチャされた前記投影されたパターンのデコードされた点を、前記スキャナ用のメモリに格納されたキャリブレーション表に格納されたキャリブレーション値と比較することを含む請求項65に記載の方法。
  68. 前記電子画像形成装置によってキャプチャされた各二次元画像は、前記キャリブレーションステップにしたがってフレームに転換され、前記一連のフレームはメモリに格納され、前記方法は、前記一連のフレームを位置合わせして前記物体の前記表面の三次元モデルを導き出す位置合わせアルゴリズムを実行するステップをさらに含む請求項65に記載の方法。
  69. スキャナ、データ処理システム、および、前記データ処理システムにアクセス可能な少なくとも1つの機械読取可能なメモリから、物体の仮想三次元モデルを作る方法であって、
    (a)前記物体を前記スキャナで走査しそれによって前記物体の少なくとも2つの二次元画像を獲得するステップであって、走査中に前記スキャナおよび前記物体が互いに対して動き、結果として各画像が前記物体の前記表面に対する異なる位置から取られるステップと、
    (b)前記二次元画像の各々をフレームを表すデータに転換しそれによって前記画像に対応する1セットのフレームを作製するように、前記セットの画像を表す前記データを前記データ処理システムで処理するステップであって、前記セットのフレームは個別の点のクラウドを備え、各フレームの各点は三次元座標システムにおける場所として表されるステップと、
    (c)前記メモリに前記セットのフレームを表すデータを格納するステップと、
    (d)前記フレームを互いに対して位置合わせしそれによって前記フレームのすべてに実質的に一致する前記物体の三次元仮想モデルを作るように、前記セットのフレームを表す前記データを前記データ処理システムでさらに処理するステップと、
    を含む方法。
  70. ステップ(d)は、前記セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせを実施するステップを含み、各フレームは前記セットのフレーム内で他の1つのフレームに対して位置合わせされる請求項68に記載の方法。
  71. ステップ(d)は、前記セットのフレームの累積位置合わせを実施するステップを含み、前記フレームの少なくともいくつかは、前記セットのフレーム内で先に他のフレームに位置合わせされた複数の他のフレームに対して位置合わせされる請求項68に記載の方法。
  72. ステップ(d)は、前記セットのフレームのフレームからフレームへの位置合わせを実施することを含み、各フレームは前記セットのフレーム内で他の1つのフレームに対して位置合わせされ、その後、前記フレームの累積位置合わせを実施することを含み、前記フレームの少なくともいくつかは、前記セットのフレーム内で先に他のフレームに位置合わせされた複数の他のフレームに対して位置合わせされる請求項68に記載の方法。
  73. ステップ(d)において、前記フレームの1つは位置合わせ用の開始フレームであり、空間変形関係が前記セットのフレーム内の他のフレームの各々用に導き出されて前記メモリに格納され、前記空間変形関係は、前記フレームを前記開始フレームに対して位置合わせするために前記フレーム内の点が三次元座標システム内でどのように移動し回転するかを示す請求項68に記載の方法。
  74. 前記開始フレームは、前記スキャナによってキャプチャされた第1の画像に対応する請求項72に記載の方法。
  75. 前記開始フレームは前記物体から取られた選択された画像に対応し、他の画像は、前記選択された画像と前記他の画像との間にかなりの量の重なり合いが存在するように、前記物体の同一近傍で前記物体から取られる請求項72に記載の方法。
  76. ステップ(d)において、前記セットのフレームは、少なくとも部分的には、前記フレームの前記物体の範囲に重なり合う程度によって決定された順番で、逐次順に互いに対して位置合わせされる請求項68に記載の方法。
  77. 前記スキャナは携帯走査装置を備え、前記物体は、前記携帯走査装置を前記物体上に動かすことによって走査される請求項68に記載の方法。
  78. 前記物体は人間を含む請求項68に記載の方法。
  79. 前記物体は、歯および関連解剖学的構造物を含む請求項68に記載の方法。
  80. 前記物体は、人間の解剖学的構造物のモデルを含む請求項78に記載の方法。
  81. 前記データ処理システムは、前記スキャナ用のワークステーションに組み込まれる請求項68に記載の方法。
  82. 歯列矯正患者用の治療計画装置であって、
    処理装置とディスプレイとを有するワークステーションと、
    患者の生歯を表す歯および/または関連解剖学的構造物の仮想三次元モデルを格納するメモリと、
    前記モデルにアクセスし前記モデルを前記ディスプレイに表示するために前記処理装置によって実行可能なソフトウェアと、
    を備え、
    前記ソフトウェアはナビゲーションツールをさらに含み、ユーザが前記モデルを前記ディスプレイ上でインタラクティブに操作し且つ前記モデルの少なくとも1本の歯が前記モデルの他の歯に対して動くのをシミュレートすることを可能にする治療計画装置。
  83. 仮想三次元歯列矯正ブラケットのライブラリをさらに備え、前記ソフトウェアによってユーザは、前記仮想ブラケットにアクセスし、前記仮想ブラケットを前記患者の前記生歯の前記仮想モデルに配置し、前記仮想ブラケットと前記仮想モデルとの両方を同時に表示することができる請求項81に記載の装置。
  84. 歯の前記仮想モデルは、1セットの仮想個別三次元歯物体を備え、前記仮想歯物体の前記個別のものを個別に選択して前記セットの仮想歯物体の他の歯に対して動かすことができる請求項81に記載の装置。
  85. 前記仮想モデルは、1セットの仮想個別三次元歯物体を備え、前記ソフトウェアによって前記ワークステーションのユーザは前記仮想モデル用のアーチフォームを選択することができ、前記セットの歯物体は前記アーチフォームに対して動かされる請求項81に記載の装置。
  86. 前記仮想モデルは、1セットの仮想個別三次元歯物体を備え、前記セットの歯物体は互いに対して動いて、少なくとも部分的には、患者用に提案された治療を表すアーチフォームを規定する請求項81に記載の装置。
  87. 前記ソフトウェアは、前記アーチフォーム、関連解剖学的構造物および他の歯の少なくとも1つに対して、前記個別の歯物体の位置をユーザが修正することができるスクリーンを表示する請求項84または85に記載の装置。
  88. 患者に属する生歯に見られる歯を表す個別の三次元仮想歯モデルを作るためのシステムであって、
    歯に対応するテンプレート物体の少なくとも1つの仮想三次元モデルを格納し、前記歯に対応するテンプレート歯を含むメモリと、
    前記生歯の少なくとも一部の仮想三次元モデルを格納するメモリを含むデータ処理システムと、
    を備え、
    前記データ処理システムは、前記生歯の少なくとも一部の前記仮想三次元モデルおよび前記テンプレート物体の仮想モデルを処理し、それに応答して、前記個別の三次元仮想歯モデルを導き出すソフトウェアをさらに含むシステム。
  89. 前記テンプレート物体は、咬頭、歯の幅、咬合特徴、咬合平面の二次元断面、歯根および平坦度からなる群から選択された歯の1つまたはそれ以上の特定の特徴を備える請求項87に記載のシステム。
  90. 前記テンプレート物体は、多角形表面のメッシュから形成される表面を備える請求項87に記載のシステム。
  91. 前記テンプレート物体は、三次元点のクラウドを備える請求項87に記載のシステム。
  92. 歯列矯正ワークステーションであって、
    囲繞する解剖学的構造物から離れた患者の個別の歯を表す個別の三次元仮想歯モデルを含む仮想三次元解剖学的構造物を表すデータを格納するデータ格納領域を備えるメモリと、
    前記個別の仮想歯モデルを表示するためのディスプレイを含むユーザインターフェースと、
    前記囲繞する解剖学的構造物に対して前記仮想歯モデルをユーザが操作することができるためのインタラクティブなソフトウェアと、
    を備える歯列矯正ワークステーション。
  93. 前記個別の仮想歯モデルは、患者の生歯の走査および仮想三次元テンプレート歯から作製される請求項91に記載のワークステーション。
  94. 前記個別の三次元仮想歯モデルは前記歯用の歯根をさらに備え、前記歯根は仮想三次元テンプレート歯根から導き出される請求項91に記載のワークステーション。
  95. 前記メモリは、複数の仮想三次元テンプレート歯列矯正ブラケットを格納するデータ格納領域をさらに備える請求項91に記載のワークステーション。
  96. 前記ワークステーションは、ユーザが、前記個別の仮想三次元歯モデルの表面に前記仮想三次元テンプレート歯列矯正ブラケットの1つを配置して、前記個別の仮想三次元歯モデルに前記配置されたテンプレートブラケットを表示することができる請求項94に記載のワークステーション。
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