以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、共通の符号は、同一部分又は同様な機能を有する部分を示しており、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明のRFチップを用いた物品管理方法の一実施の形態として、図1を用いて説明する。図1は、本発明におけるRFチップを用いた物品管理方法のシステム構成を説明する図である。
図1に本発明におけるRFチップを用いた物品管理方法の説明のため、物品管理方法を導入している空間101内に設置されている物品管理棚102、物品103、物品103に貼付された第1のRFチップ104、第1のRFチップ104の個体情報を読み取る第1のリーダ/ライタ105、第1のリーダ/ライタ105に組み込まれた第2のRFチップ106、第2のRFチップ106の位置情報を検出する第2のリーダ/ライタ107、第1のリーダ/ライタ105に組み込まれた共有メモリ部108を示す。
なお、個体情報とは、第1のRFチップ104内の記憶素子に記憶された、物品の識別情報をいう。個体情報の一例としては、物品の製造国、製造の日時等の情報が相当する。
本実施の形態における物品管理方法による物品管理について説明する。まず、第1のRFチップ104を貼付した物品103を、物品管理棚102に置く。次に、第1のリーダ/ライタ105を携帯した作業者が、空間101内を巡回する。作業者は、物品管理棚102に到達すると、第1のリーダ/ライタ105により、第1のRFチップ104の存在、すなわち物品103の存在を検出する。そして第1のRFチップの個体情報は第1のリーダ/ライタ105に組み込まれた共有メモリ部108に保持される。共有メモリ部108に保持された第1のRFチップ104の個体情報は第2のRFチップ106より読み出され、その後、第2のRFチップ106の個体情報と共に第2のリーダ/ライタ107によって取得される。その際、第2のリーダ/ライタ107は、第2のRFチップ106、すなわち第1のリーダ/ライタ105の位置を検出する。このようにして、第1のRFチップ104の存在を検出した時の第1のリーダ/ライタ105の位置を特定し、第1のリーダ/ライタ105の位置を第1のRFチップ104の位置として近似することで、第1のリーダ/ライタの近傍に位置する第1のRFチップ104の位置情報を取得することができる。すなわち、第1のRFチップ104を貼付した物品103の位置情報を取得することができる。
なお、図1における第1のリーダ/ライタ105に組み込まれた共有メモリ部108、第2のRFチップ106の接続について、図11を用いて説明する。図11に示す第1のリーダ/ライタ105において、リーダ/ライタ部1100は、共有メモリ部108に接続されている。また共有メモリ部108は、第2のRFチップ106と接続されている。すなわち、共有メモリ部108及び第2のRFチップ106は、第1のリーダ/ライタ105の系の一部として内部または表面に組み入れられているものである。
図11に示す構成について更に詳細に説明する。図11において、リーダ/ライタ部1100は、アンテナ回路1101、送受信制御部1102によって構成されている。なお、アンテナ回路1101は、第1のRFチップ104との信号の送受信に係る構成であり、送受信制御部1102は、第1のRFチップ104との信号の送受信における信号の変調及び復調並びに共有メモリ部108へのデータの受け渡しに係る構成である。また図11において、第2のRFチップ106は、アンテナ回路1103、信号処理部1104によって構成される。なお、アンテナ回路1103は、第2のリーダ/ライタ107との信号の送受信に係る構成であり、信号処理部1104は第2のリーダ/ライタ107との信号の送受信における信号の変調及び復調並びに共有メモリ部108とのデータの受け渡しに係る構成である。
なお、共有メモリ部108のメモリとしては、スタティック型メモリ(SRAM)やダイナミック型メモリ(DRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)、EEPROM、フラッシュメモリ等が挙げられるが、これらに限定されず、一般に用いられるメモリを用いることができる。
なお、第1のRFチップ104は、パッシブ型RFチップ、アクティブ型RFチップのいずれとすることも可能である。本実施の形態における物品管理方法に用いる第1のRFチップ104をパッシブ型RFチップとすることで、第1のRFチップの導入コストを低減することができる。
また、第2のRFチップ106は、第1のRFチップ104と同様に、パッシブ型RFチップ、アクティブ型RFチップのいずれとすることも可能である。本実施の形態における物品管理方法に用いる第2のRFチップ106をアクティブ型RFチップとすることで、本発明の物品管理方法を大規模な空間(例えば倉庫)に導入する場合などに、第2のRFチップ106と第2のリーダ/ライタ107との距離を長距離に設定することができる。
また、第2のリーダ/ライタ107により、第2のRFチップ106の物理位置情報を検出するには、RSSI(Received Signal Strength Indicator)方式を用いることができる。例えば、第2のリーダ/ライタ107の位置を既知とし、第2のRFチップ106を通信信号の発信源とした場合、第2のリーダ/ライタ107に信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、第2のRFチップ106の位置を特定できる。また、第2のリーダ/ライタ107の位置を既知とし、第2のリーダ/ライタ107を通信信号の発信源とした場合、第2のRFチップ106に信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、第2のRFチップ106の位置を特定できる。
図2に示すフローチャートを用いて、図1に示した物品管理方法について説明する。なお、本発明は、一対の第1のRFチップ、第2のRFチップ、共有メモリ部、第1のリーダ/ライタ、第2のリーダ/ライタに限定されるものではないが、説明の都合、一対の第1のRFチップ、第2のRFチップ、共有メモリ部、第1のリーダ/ライタ、第2のリーダ/ライタに限定し、本発明の物品管理方法のフローを説明する。
まず、第1のリーダ/ライタによる第1のRFチップの個体情報の取得が行われる(ステップS201)。すなわち、第1のRFチップは第1のリーダ/ライタからの信号を第1のRFチップにおけるアンテナで受信し、第1のRFチップ内に記憶された第1のRFチップが貼付された物品の個体情報について第1のリーダ/ライタに送信する。
次に、第1のリーダ/ライタにおける共有メモリ部への第1のRFチップの個体情報の保持、及び第2のRFチップによる第1のRFチップの個体情報の取得が行われる(ステップS202)。すなわち、第1のリーダ/ライタが第1のRFチップより受信した第1のRFチップに関する情報について、第1のリーダ/ライタに組み込まれた共有メモリ部に保持する。第2のRFチップは共有メモリ部に保持された第1のRFチップに関する情報を読み出し、第2のリーダ/ライタからの信号の受信の際に、第2のRFチップの個体情報と共に第1のRFチップに関する情報を第2のリーダ/ライタに送信する。
次に第2のRFチップは第2のリーダ/ライタからの信号を第2のRFチップにおけるアンテナで受信し、第2のRFチップ内に記憶された第2のRFチップの個体情報、及び共有メモリ部より読み出した第1のRFチップに関する情報について第2のリーダ/ライタに送信する(ステップS203)。
次に第2のリーダ/ライタからの信号を第1のリーダ/ライタに組み込まれた第2のRFチップにおけるアンテナで受信し、第1のRFチップからの第2のリーダ/ライタに送信された信号の強度を元に第2のリーダ/ライタと第2のRFチップとの距離が算出される(ステップS204)。その結果、第2のRFチップの位置情報を取得したことにより、第1のリーダ/ライタの位置情報についての取得をおこなうことができる。そして、ステップS203における第1のRFチップ及び第2のRFチップに関する情報により第1のリーダ/ライタの近傍に位置する第1のRFチップの位置を推定することができる。すなわち、第2のRFチップに関する位置情報である第1のリーダ/ライタの位置情報を介した第1のRFチップに関する位置情報である物品の位置情報を取得することができる。
なおRFチップの位置情報を取得する検出方法として、RSSI方式を用いればよい。RSSI方式は、信号源からの距離が増大するのに伴い、通信信号の信号強度が減少する性質を利用したものである。例えば、リーダ/ライタの位置を既知とし、RFチップを通信信号の発信源とした場合、リーダ/ライタに信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、RFチップの位置を特定できる。また、リーダ/ライタの位置を既知とし、リーダ/ライタを通信信号の発信源とした場合、RFチップに信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、RFチップの位置を特定できる。そのため、本発明において、第2のリーダ/ライタを複数配し、第2のRFチップからの信号を複数の既知の場所より取得することにより、より正確な場所が特定することができる。
ステップS201からステップS204までの動作で、空間に配置された複数の第2のリーダ/ライタにより、第1のRFチップが貼付された物品の位置情報を取得することができる。なお、空間に配置された第2のリーダ/ライタを複数配し、且つ複数の第2のリーダ/ライタで得られる物品の位置情報はLAN(ローカルエリアネットワーク)などを経由してサーバーに伝え、管理者は別室より物品の位置を把握することができる。
図3に示すフローチャートを用いて、図2に示した物品管理方法のフローチャートのステップS201について更に詳細に説明する。なお、本発明は、一対の第1のRFチップ、第2のRFチップ、共有メモリ部、第1のリーダ/ライタ、第2のリーダ/ライタに限定されるものではないが、説明の都合、一対の第1のRFチップ、第2のRFチップ、共有メモリ部、第1のリーダ/ライタ、第2のリーダ/ライタに限定し、本発明の物品管理方法のフローを説明する。
まず、第1のRFチップを貼付した物品の設置が行われる(ステップS301)。なお、第1のRFチップは物品の上部又は下部若しくは側部への貼付や梱包材の内部に漉き込むことにより、物品の位置と第1のRFチップの位置を近似することができる。また第1のRFチップが貼付された物品は、別の個体番号が付された第1のRFチップが貼付された物品が複数存在する状況を想定している。
次に、第1のリーダ/ライタを携帯した移動体による空間内の巡回が行われる(ステップS302)。本実施の形態において第1のリーダ/ライタを携帯した空間内の巡回は、作業者がおこなう。また、自動搬送(巡回)装置に貼付した第1のリーダ/ライタが、空間内を巡回する構成も望ましい。この場合、作業者の人件費を削減できる他、作業者が入り込めないような狭い領域や危険な領域に保管されている物品の管理にも本発明における物品管理方法を導入することができる。
次に、第1のリーダ/ライタを携帯した移動体は空間内を巡回することによって、RFチップが貼付された物品近傍に接近する(ステップS303)。
ステップS303において、移動体の接近が物品に対し十分近くない場合には、移動体は空間内の巡回を継続する(ステップS303のNO)。そしてステップS303において、移動体の接近が物品に対し十分近い場合(ステップS303のYES)には、第1のリーダ/ライタによる第1のRFチップの検知が行われる(ステップS304)。
なお本実施の形態における移動体と物品の距離が近いとは、第1のRFチップと第1のリーダ/ライタにおいて信号の送受信が可能な距離をいう。そのため信号の送受信に用いる周波数帯によって通信距離が異なるものである。
次にステップS304の第1のリーダ/ライタによる第1のRFチップの検知が行われたことにより、共有メモリ部を介した第1のRFチップの個体情報及び第2のRFチップの個体情報、及び第2のRFチップの位置情報について第2のリーダ/ライタが取得することにより、第1のRFチップが貼付された物品が第1のリーダ/ライタの近傍に位置することに関する情報を取得することができる(ステップS305)。
以上の説明したように、本発明により、遮蔽物があっても物品のデータの読み出しを容易に行うことができる。したがって、物品にバーコードを貼付した場合におけるバーコードが読み取れない際の遮蔽物の除去等の煩わしさや、物品の配置の工夫等の煩わしさをなくすことができる。
また本発明の物品管理方法は、物品毎に導入コストが膨大になるアクティブ型のRFタグの貼付を行う必要がなく、物品の位置情報(空間位置)を得ることができる。また一方で、物品毎に導入コストを安価なパッシブ型のRFタグを貼付することによる通信距離が短いことによる位置情報の取得が小規模な倉庫に限られるといった問題点を解消することができる。
すなわち本発明により、在庫管理が容易且つ導入コストが低減できるRFチップを用いた物品管理方法を提供することができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した物品管理方法とは別の構成の物品管理方法の構成について説明する。
上記実施の形態においては第2のRFチップ106を貼付した第1のリーダ/ライタ105を携帯した移動体が物品103の近傍に接近することにより第1のRFチップ104の所在すなわち物品の位置情報を取得する構成について示した。本実施の形態においては、第2のRFチップ106が組み込まれた第1のリーダ/ライタ105を物品管理棚等に固定して設置する形態について説明する。
本発明のRFチップを用いた物品管理方法の実施の形態1とは別の形態として、図4を用いて説明する。図4は、本発明におけるRFチップを用いた物品管理方法のシステム構成を説明する図である。
図4に本発明におけるRFチップを用いた物品管理方法の説明のため、物品管理方法を導入している空間401内に設置されている物品管理棚402、物品403、物品403に貼付された第1のRFチップ404、第1のRFチップ404を読み取る第1のリーダ/ライタ405、第1のリーダ/ライタ405に組み込まれた第2のRFチップ406、第2のRFチップの物理位置情報を検出する第2のリーダ/ライタ407、第1のリーダ/ライタ405に組み込まれた共有メモリ部408を示す。
本実施の形態における物品管理方法による物品管理について説明する。まず、第1のRFチップ404を貼付した物品403を、物品管理棚402に置く。次に、物品管理棚402に備え付けられた第1のリーダ/ライタ405により、第1のRFチップ404の個体情報を読み取り、第1のRFチップ404の存在または不存在、すなわち物品403の存在または不存在を検出する。そして第1のRFチップの個体情報は第1のリーダ/ライタ405に組み込まれた共有メモリ部408に保持される。共有メモリ部408に保持された第1のRFチップ404の個体情報は第2のRFチップ406より読み出され、その後、第2のRFチップ406の個体情報と共に第2のリーダ/ライタ407によって取得される。その際、第2のリーダ/ライタ407は、第2のRFチップ406、すなわち第1のリーダ/ライタ405の位置を検出する。このようにして、第1のRFチップ404の存在を検出した時の第1のリーダ/ライタ405の位置を特定し、第1のリーダ/ライタ405の位置を第1のRFチップ404の位置として近似することで、第1のRFチップ404の位置情報を修得することができる。すなわち、第1のRFチップ404を貼付した物品403の位置情報を取得することができる。
なお、図4における第1のリーダ/ライタ405について、実施の形態1で説明した図11のリーダ/ライタ105と同様であり、上記説明を援用するものとする。
なお、第1のRFチップ404は、パッシブ型RFチップ、アクティブ型RFチップのいずれとすることも可能である。本実施の形態における物品管理方法に用いる第1のRFチップ404をパッシブ型RFチップとすることで、第1のRFチップの導入コストを低減することができる。
本実施の形態の発明において、物品管理棚は、物品管理を行うためのコンテナ、物品管理用のパレットであってもよい。勿論、第2のリーダ/ライタを具備し、且つ物品を保管する構成であれば形状は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択すればよい。
また、第2のRFチップ406は、第1のRFチップ404と同様に、パッシブ型RFチップ、アクティブ型RFチップのいずれとすることも可能である。本実施の形態における物品管理方法に用いる第2のRFチップ406をアクティブ型RFチップとすることで、本発明の物品管理方法を大規模な空間(例えば倉庫)に導入する場合などに、第2のRFチップ406と第2のリーダ/ライタ407との距離が長距離に設定することができる。本実施の形態においては、特に第1のリーダ/ライタ405が物品管理棚402に備え付けられているため、第2のRFチップ406も同様に物品管理棚402に備え付けられている。そのため、第1のRFチップ404において外部より電力の供給を受けて信号の送受信を行う構成であってもよい。
また、第2のリーダ/ライタ407により、第2のRFチップ406の物理位置情報を検出するには、RSSI方式を用いることができる。例えば、第2のリーダ/ライタ407の位置を既知とし、第2のRFチップ406を通信信号の発信源とした場合、第2のリーダ/ライタ407に信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、第2のRFチップ406の位置を特定できる。また、第2のリーダ/ライタ407の位置を既知とし、第2のリーダ/ライタ407を通信信号の発信源とした場合、第2のRFチップ406に信号強度を検出する機能を搭載すれば、検出した信号強度から距離を算出することで、第2のRFチップ406の位置を特定できる。
本実施の形態の構成とすることにより、第2のRFチップ406が組み込まれた第1のリーダ/ライタ405を複数用意し、物品棚毎に設置する。また、第2のリーダ/ライタ407で、各々の物品棚に設置された第2のRFチップ406の位置情報を検出する。このようにすることで、リアルタイムでの物品管理が可能となり、より効率的な物品管理が可能となる。
以上説明したように、本発明により、遮蔽物があっても物品のデータの読み出しを容易に行うことができる。したがって、物品にバーコードを貼付した場合におけるバーコードが読み取れない際の遮蔽物の除去等の煩わしさや、物品の配置の工夫等の煩わしさをなくすことができる。
また本発明の物品管理方法は、物品毎に導入コストが膨大になるアクティブ型のRFタグの貼付を行う必要がなく、物品の位置情報(空間位置)を得ることができる。また一方で、物品毎に導入コストを安価なパッシブ型のRFタグを貼付することによる通信距離が短いことによる位置情報の取得が小規模な倉庫に限られるといった問題点を解消することができる。
また特に本実施の形態の構成とすることにより、第2のRFチップ406が組み込まれた第1のリーダ/ライタ405を複数用意し、物品棚毎に設置する。そして第2のリーダ/ライタ407で、各々の物品棚に設置された第2のRFチップ406の位置情報を検出する。本実施の形態においては、このようにすることで、リアルタイムでの物品管理が可能となり、より効率的な物品管理を行うことができる。
すなわち本発明により、在庫管理が容易且つ導入コストが低減できるRFチップを用いた物品管理方法を提供することができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、一例として、本発明の物品管理方法における第2のRFチップが組み込まれた第1のリーダ/ライタの位置検出方法の構成について説明する。
なお本実施の形態で説明する位置検出方法は、信号が空間を伝搬するうちに、その伝搬距離に応じて電界強度が低下することを利用して、RFチップとリーダ/ライタとの距離、およびRFチップの位置を検出するものを例に挙げて説明する。すなわち、本実施の形態で説明する位置検出方法は、上記実施の形態1で説明した、第2のリーダ/ライタと第2のRFチップとの間で通信を行うことにより、第1のリーダ/ライタの位置を検出するものである。図5は、本発明の位置検出方法を説明するためのブロック図である。なお、図5に示すリーダ/ライタ及びRFチップは、上記実施の形態1で説明した第2のリーダ/ライタ及び第2のRFチップに対応するものである。
図5に示すように、RFチップ500は、リーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524に囲まれて配置されている。勿論、本実施の形態ではリーダ/ライタの数は4つに限定されない。RFチップ500の位置を3次元の空間で検出するには、リーダ/ライタが少なくとも4つあればよい。この点については、後述する。なお、RFチップ500の位置を検出するのに、2次元の座標を検出すればよいのであれば、リーダ/ライタを少なくとも3つ有していればよい。また、RFチップ500とリーダ/ライタの距離のみを計測する場合はリーダ/ライタが少なくとも1つあればよい。
リーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524はLAN(ローカルエリアネットワーク)などでサーバー540に接続されている。サーバー540はリーダ/ライタ521〜524の制御や、リーダ/ライタ521〜524からの信号をもとにRFチップの位置検出をする。サーバー540とリーダ/ライタ521〜524との接続、リーダ/ライタ521〜524同士の接続は、有線のネットワークでも、無線のネットワークのいずれのネットワークでも構築することができる。
なお、本実施の形態において、リーダ/ライタは、無固有の周波数を有する信号を出力し、RFチップと無線で信号を送受信する機能を有する。
リーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524は、それぞれ、等しい電界強度の距離検出用信号を出力する。以下、これらの信号を信号F1、信号F2、信号F3、信号F4と表記する(図5参照)。RFチップ500と特定のリーダ/ライタ間の距離、またはRFチップ500の位置を測定するときには、信号F1〜F4が重なり合わないように、すなわちRFチップ500で同時に複数のリーダ/ライタからの信号を受信しないように、リーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524は信号F1〜F4を順次に送信する。リーダ/ライタ521〜524が信号F1〜F4を送信するタイミングは、サーバー540で制御される。
RFチップ500は、リーダ/ライタ521〜524から送信された信号F1〜F4を受信し、信号F1〜F1を受信したことにより生成される信号S1〜S4を送信する機能を有する。図6は、本発明に係るRFチップ500の基本的な構成を示すブロック図である。図6のRFチップ500はアンテナ回路501、信号発振部502、信号処理部503によって構成されている。
図6に示すように、アンテナ回路501と信号発振部502は、信号が入出力され、信号発振部502と信号処理部503との間で信号が入出力される。アンテナ回路501は外部からの信号を受信、及び外部へ信号を送信するための回路である。すなわち、図5に示したリーダ/ライタ521〜524からの信号F1〜F4はアンテナ回路501で受信され、信号S1〜S4はアンテナ回路501から送信される。
信号発振部502は、アンテナ回路501で受信した信号を基に、パルス信号を発振し出力する機能を有する。そのため、信号発振部502は、パルス発振回路を有する。パルス発振回路は、入力された信号の電圧に応じて周波数が異なるパルス信号を発振できる機能を有している。このようなパルス発振回路は、例えば、整流回路と、整流回路からの信号が入力されるリング発振回路で構成することができる。
なお、本明細書において、パルス信号とは、周期的に電圧が変動する信号をいう。例えば、パルス信号とは、矩形波、三角波、のこぎり波、正弦波のように電圧が周期的に振幅する波のことである。
また、信号処理部503は、信号発振部502より出力されるパルス信号のパルスをカウントする機能を有する。そのため、信号処理部503には、信号発振部502より出力されるパルス信号のパルスをカウントするカウンタを備えている。
アンテナ回路501におけるアンテナの形状は、特に限定されない。つまり、RFチップ500におけるアンテナ回路501に適用する信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式又はマイクロ波方式等を用いることができる。伝送方式は、実施者が適宜、使用用途を考慮して選択すればよく、伝送方式に伴って最適な長さや形状のアンテナを設ければよい。
例えば、伝送方式として、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、13.56MHz帯)を適用する場合には、電界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナとして機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)、らせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成する。
また、伝送方式としてマイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電膜の長さや形状を適宜設定すればよい。アンテナとして機能する導電膜を例えば、線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
本実施の形態で説明する位置検出方法は、信号が空間を伝搬するうちに、その伝搬距離に応じて電界強度が低下することを利用して、RFチップとリーダ/ライタ間の距離、およびRFチップの位置を検出するものである。
図7に示すフローチャートを用いて、図5に示した位置検出方法について説明する。なお、本発明は、リーダ/ライタの数が4つに限定されるものではないが、説明の都合、リーダ/ライタの数を4つに限定し、本実施の形態の位置検出方法のフローを説明する。
まず、RFチップ500とリーダ/ライタ521間の距離を検出するため、リーダ/ライタ521は、信号F1を出力する(ステップST01)。RFチップ500はリーダ/ライタ521からの信号F1をアンテナ回路501で受信する(ステップST02)。
アンテナ回路501で受信された信号F1は、信号発振部502に出力される。信号発振部502では、入力されたF1の電界強度に対応する周波数で発振するパルス信号を生成する(ステップST03)。アンテナ回路501で受信した信号F1を整流化、直流化して直流電圧を生成し、この直流電源を電源とする発振回路でパルス信号を発振させることで、このようなパルス信号を生成することができる。
信号発振部502で発振するパルス信号は、信号処理部503に入力される。信号処理部503では、パルス信号のパルス数を一定値になるまでカウントする(ステップST04)。
カウント数が一定値に達すると、信号処理部503ではパルスのカウントが終了したことを示す信号S1(応答信号)が生成される(ステップST05)。応答信号S1は、信号処理部503からアンテナ回路501に出力される。アンテナ回路501から応答信号S1が送信される(ステップST06)。リーダ/ライタ521はRFチップ500からの応答信号S1を受信する(ステップST07)。応答信号S1を受信すると、リーダ/ライタ521は信号F1を送信してから応答信号S1を受信するまでの時間T1を検出する(ステップST08)。ここでは、この時間T1を応答時間T1ということとする。
なお、応答時間T1は、RFチップ500内の信号発振部502で発振されたパルス信号の発振周波数によって決まる。また、パルス信号の発振周波数は、RFチップ500で受信したときの信号F1の電界強度によって決まり、RFチップ500で受信したときの信号F1の電界強度は、RFチップ500と第1番目のリーダ/ライタ521間の距離で決まる。RFチップ500とリーダ/ライタ521との距離が広がるほど、RFチップ500で受信したときの信号F1の電界強度が弱まるため、パルス信号の発振周波数が低下する。その結果、信号発振部502でパルスをカウントするのに要する時間が長くなり、リーダ/ライタ521で計測される応答時間T1は長くなる。つまり、リーダ/ライタ521で計測した応答時間T1は、信号発振部502で発振しているパルス信号の周波数に対応するため、応答時間T1から、RFチップ500とリーダ/ライタ521間の距離を検出することができる。
ステップST01からステップST08までの動作を、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524で順次に行い、各リーダ/ライタ522〜524において応答時間T2、応答時間T3、応答時間T4を検出する。RFチップ500と通信を行うリーダ/ライタの選択は、サーバー540からの命令により制御されている。なお、RFチップ500の位置を3次元の座標で特定するには、少なくとも4つのリーダ/ライタで応答時間を計測すればよいので、空間530にリーダ/ライタが5つ以上ある場合、全てのリーダ/ライタで応答時間を計測する必要はない。
空間530に配置されたリーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524はLAN(ローカルエリアネットワーク)などを経由し、計測した応答時間T1〜T4をサーバー540に伝える。サーバー540は、リーダ/ライタ521、リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524から送信された応答時間T1〜T4をもとに、各リーダ/ライタ521〜524とRFチップ500間の距離D1、距離D2、距離D3、距離D4を計算する。これらの距離D1〜D4とリーダ/ライタ521〜524の位置情報(空間座標、より具体的には相対座標)から、RFチップ500の位置(空間座標)を特定することができる。
以上説明したように、リーダ/ライタとRFチップ500の距離を測定することにより、空間530におけるRFチップ500の位置を検出することができる。管理者はサーバー540にアクセスすることによって、RFチップ500がどこにあるかを知ることができる。
特に本発明は、本実施の形態の構成とすることにより、RFチップが空間のどの位置に配置されているかといった情報について知ることができる。またRFチップの位置情報を定期的に検索することにより、RFチップを具備するリーダ/ライタの軌跡(動線ともいう)の情報について知ることもできる。具体的には、第2のリーダ/ライタを複数用意し、空間内に複数設置することにより、第2のRFチップの位置情報を取得することができる。このようにすることで、リアルタイムでの物品管理が可能となり、より効率的な物品管理を行うことができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて実施することができる。すなわち本発明により、遮蔽物があっても物品のデータの読み出しを容易に行うことができる。したがって、物品にバーコードを貼付した場合におけるバーコードが読み取れない際の遮蔽物の除去等の煩わしさや、物品の配置の工夫等の煩わしさをなくすことができる。
また本発明の物品管理方法は、物品毎に導入コストが膨大になるアクティブ型のRFタグの貼付を行う必要がなく、物品の位置情報(空間位置)を得ることができる。また一方で、物品毎に導入コストを安価なパッシブ型のRFタグを貼付することによる通信距離が短いことによる位置情報の取得が小規模な倉庫に限られるといった問題点を解消することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3の位置検出システムに適用される第2のRFチップ500のさらに具体的な構成について述べる。なお、実施の形態3と同様の構成についての説明は、簡単に述べるにとどめ、詳細については、実施の形態3の説明を援用するものとする。
図9は、本実施形態のRFチップのブロック図である。図9に示すように、RFチップ500は、図6と同様に、大きく分けて、アンテナ回路501、信号発振部502、信号処理部503によって構成されている。
信号発振部502は、アンテナ回路501の受信信号が入力される整流回路909と、整流回路909の出力信号が入力される電源回路920と、電源回路920の出力に接続された発振回路906を有する。さらに信号処理部503からの入力信号を変調し、アンテナ回路501に出力する変調回路914を有する。
発振回路906は、複数のインバータを輪状に接続したリング発振器からなる。整流回路909ではアンテナ回路501の出力信号を半波整流し、直流化する。直流化された信号は電源回路920において平滑化され、アンテナ回路501の出力信号の振幅に応じた直流電圧を発生する。電源回路920で発生した直流電圧を電源として、発振回路906では、直流電圧の電圧値に応じた周波数でパルス信号が発振する。このように信号発振部502は、アンテナ回路501からの出力信号の電界強度(振幅)に応じた周波数で発振するパルス信号を生成することができる。
信号処理部503は、復調回路913、論理回路912及びパルスカウンタ915を有する。アンテナ回路501からの出力信号は復調回路913で復調された後、論理回路912に入力される。論理回路912の出力信号は、変調回路914で変調され、アンテナ回路501に入力される。パルスカウンタ915は、発振回路906で発振するパルス信号のパルス(発振回数)を計測するための回路である。
論理回路912は、復調回路913を介して入力されたリーダ/ライタからの信号の内容を解読し、RFチップ500としての判断を行うものである。論理回路912のブロック図を図10に示す。図10に示すように、論理回路912はコントローラ1000を有する。コントローラ1000は復調回路913で復調された信号1020をもとに、パルスカウンタ915を制御、および信号1020の内容を解読し、所定の信号1021を変調回路914に出力する。
以下に、本実施形態のRFチップを用いた位置検出方法の動作を説明する。本実施形態の位置検出方法の動作は実施形態3と同様である(図7参照)。
まず、リーダ/ライタ521とRFチップ500と間の距離を求めるため、リーダ/ライタ521は、RFチップ500に対し信号F1を送信する。信号F1には、信号処理部503において信号処理を開始するための命令が含まれている。RFチップ500は、リーダ/ライタ521から送信された信号F1をアンテナ回路501で受信すると、アンテナ回路501で受信した信号F1が信号発振部502の整流回路909および信号処理部503の復調回路913に入力される。
信号F1は、整流回路909で整流化され、かつ直流化され、電源回路920で平滑化される。その結果、信号F1の電界強度(振幅)に応じた直流電圧が発生する。この直流電圧を電源として発振回路906でパルスが発振する。
一方、復調回路913は変調された信号F1を復調し、復調された信号1020がコントローラ1000に入力される。コントローラ1000は、信号1020の命令をもとに、パルスカウンタ915を制御し、パルスカウンタ915で、発振回路906で発振しているパルス信号のパルスを一定値に達するまでカウントさせる。なお、コントローラ1000において、このパルスカウンタ915でのカウントさせる一定値を変化させることができる。この場合、リーダ/ライタからの送信信号の周波数に合わせて、この一定値が適当になるように変化させるとよい。なお、論理回路912にCPUを設けた場合は、CPUでパルスカウンタ915でのカウントさせる一定値を変化させることもできるし、コントローラ1000で変化させることもできる。
コントローラ1000は、カウント値が一定値に達するとカウントが終了したことを示す応答信号1021を生成し、変調回路914に出力する。応答信号1021は変調回路914で変調されて、応答信号S1としてアンテナ回路501から送信される。1番目のリーダ/ライタ521は応答信号S1を受信すると、信号F1を送信してから、応答信号S1を受信するまでの応答時間T1を検出する。リーダ/ライタ521からアンテナ回路501までの距離が近いほど、アンテナ回路501で受信するときの信号F1の電界強度が強くなり、アンテナ回路501の出力信号の振幅が大きい。よって、電源回路920で大きな直流電圧が発生するため、発振回路906でパルス信号が高い周波数で発振し、パルスカウンタ915では短時間でカウントは終了する。すなわち、リーダ/ライタ521とアンテナ回路501の距離は、パルスカウンタ915のカウント時間に反映される。よって、リーダ/ライタ521の信号F1に対して、RFチップ500が応答に要する時間T1から距離を測定することができる。
リーダ/ライタ522、リーダ/ライタ523、リーダ/ライタ524においても同様に、応答時間T2、応答時間T3、応答時間T4を検出する。実施の形態3で述べたように、サーバー540は、各リーダ/ライタ521〜524から受け取ったデータから、RFチップ500と各リーダ/ライタ521〜524間の距離を計算し、計算した距離と各リーダ/ライタ521〜524の位置情報(空間座標、具体的には相対座標)からRFチップの位置(空間座標)を検出することができる。管理者はサーバー540にアクセスすることによって、RFチップ500の位置情報を知ることができる。
以上の説明したように、リーダ/ライタとRFチップ500の距離を測定することにより、空間530におけるRFチップ500の位置を検出することができる。管理者はサーバー540にアクセスすることによって、RFチップ500がどこにあるかを知ることができる。
特に本発明は、本実施の形態の構成とすることにより、RFチップが空間のどの位置に配置されているかといった情報について知ることができる。またRFチップの位置情報を定期的に検索することにより、RFチップを具備するリーダ/ライタの軌跡(動線ともいう)の情報について知ることもできる。具体的には、第2のリーダ/ライタを複数用意し、空間内に複数設置することにより、第2のRFチップの位置情報を取得することができる。このようにすることで、リアルタイムでの物品管理が可能となり、より効率的な物品管理を行うことができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて実施することができる。すなわち本発明により、遮蔽物があっても物品のデータの読み出しを容易に行うことができる。したがって、物品にバーコードを貼付した場合におけるバーコードが読み取れない際の遮蔽物の除去等の煩わしさや、物品の配置の工夫等の煩わしさをなくすことができる。
また本発明の物品管理方法は、物品毎に導入コストが膨大になるアクティブ型のRFタグの貼付を行う必要がなく、物品の位置情報(空間位置)を得ることができる。また一方で、物品毎に導入コストを安価なパッシブ型のRFタグを貼付することによる通信距離が短いことによる位置情報の取得が小規模な倉庫に限られるといった問題点を解消することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、本発明の物品管理方法における第1のRFチップ、第2のRFチップが充電可能な蓄電手段を有する構成について説明する。当該蓄電手段は、充電器に配線で接続することなく、外部からの電磁波の電力を利用して蓄電手段を充電することができる。従って、アクティブタイプのRFチップのような電池の残存容量の確認や電池の交換をする作業が不要となる。加えて、RFチップを駆動するための電力を蓄電手段に常時貯めておくことができるので、RFチップが動作するための十分な電力が常時得ることができ、パッシブタイプのRFチップに比べて安定した通信を行うことができる。
そこで本実施の形態においては、上記第1の実施の形態において説明した第1のRFチップ、第2のRFチップにおいて蓄電手段を有する構成について簡単に説明する。そのため第1のRFチップ、第2のRFチップにおける蓄電手段を充電するための給電器を設ける。なお特に第1のRFチップを充電するための電力を供給する給電器としては、第1のリーダ/ライタがその機能を兼ねる構成でもよい。この場合、第1のリーダ/ライタは上記実施の形態2で述べたように物品管理棚に据え置かれた状態にすることで安定した充電を行うことができるため好適である。本実施の形態における第1のRFチップは、アンテナ回路、アンテナ回路によって受信された信号を処理する信号処理回路、および信号処理回路で作り出した電力を蓄える蓄電手段を有するものとして以下説明する。
RFチップにおけるアンテナ回路は、信号を受信し、送信する回路である。アンテナ回路は、後述する信号処理部に接続されている。
RFチップにおける信号処理回路は、電源部とロジック部を有している。電源部は、アンテナ回路によって受信された信号から直流電圧を発生する。また、電源部では直流電圧を、蓄電手段へ充電、及びロジック部へ供給を行う。ロジック部では、電源部を経て供給される電源で動作する。ロジック部は、アンテナ回路で受信した信号の解析、および送信する信号を生成する回路である。
蓄電手段は、無線信号(電磁波)から作り出された電力を充電する媒体である。蓄電手段には、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池などの蓄電池(バッテリー)が使用できる。蓄電池の種類は、これには限定されない。また大容量のコンデンサなどの蓄電器を蓄電手段に用いることもできる。コンデンサとして、積層セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサを用いることができる。
次に、図8を用いて、RFチップ800の構成例を説明する。図8は、RFチップ800のブロック図である。RFチップ800は、アンテナ回路801、信号処理回路802、および蓄電手段803を有する。
アンテナ回路801は、信号の送受信を行う。アンテナ回路801は、アンテナの形状に応じた周波数の信号を検波して直流電源に変換し、電力を蓄電手段に供給する。
蓄電手段803はいわゆる蓄電池(バッテリー)を適用できる。例えば、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などの二次電池が適用可能である。なお、蓄電手段803には、蓄電池(バッテリー)の他、蓄電器である大容量のコンデンサ(例えば、積層セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなど)を適用することができる。特に、リチウムイオン電池やリチウム二次電池は充放電容量が大きいため、本発明の実施の形態のRFチップ800に適用することで小型化を図ることができる。金属リチウム電池は、正極活物質にリチウムイオン含有遷移金属酸化物、金属酸化物、金属硫化物、鉄系化合物、導電性ポリマーまたは有機イオウ系化合物等を用い、負極活物質にリチウム(合金)、電解質に有機系電解液またはポリマー電解質などを用いることで、充放電容量を大きくすることができる。
リチウムイオン電池の活物質や電解質をスパッタリング法により形成することにより、蓄電手段803を、信号処理回路802が形成された基板上に形成することができるし、また、アンテナ回路801が形成された基板上に形成することもできる。信号処理回路802やアンテナ回路801が形成された基板上に、蓄電手段803を形成することにより、RFチップ800を薄膜化、軽量化することができる。
信号処理回路802は、電源部820とロジック部830とに大別される。電源部820は、図8に示すように、アンテナ回路801の出力が接続された整流回路821、整流回路821の出力が接続された充電制御回路822、蓄電手段803の出力が接続された電源回路823、充電制御回路822および電源回路823を制御する電源制御回路824を有する。
充電制御回路822は、レギュレータ822a、レギュレータ822aの出力が接続されたスイッチ822bを有する。レギュレータ822aの出力は、スイッチ822bを介して蓄電手段803に接続されている。
整流回路821は、アンテナ回路801で受信した交流信号を半波整流し、平滑化して直流電圧を作る。整流回路821から出力される直流電圧は、充電制御回路822のレギュレータ822aに入力され一定電圧の直流電圧とされる。レギュレータ822aで生成された定電圧はスイッチ822bを介して蓄電手段803に出力され、蓄電手段803に充電される。レギュレータ822aは、規格以上の電圧が蓄電手段803に印加されないように、電圧値を一定にするための回路である。なお、レギュレータ822aで、入力される直流電圧に対して、電圧値だけでなく、電流値も一定するようにしてもよい。また、スイッチ822bをダイオードのような整流素子にすることで、レギュレータ822aを省略することができる。すなわち、充電制御回路822を整流素子のみという単純な構成とすることができる。
電源回路823は、レギュレータ823a、レギュレータ823aの入力に接続されたスイッチ823bを有する。レギュレータ823aの入力は、スイッチ823bを介して、蓄電手段803の出力に接続されている。レギュレータ823aの出力はロジック部830に接続されている。蓄電手段803に充電された電力が電源回路823からロジック部830に供給される。蓄電手段803から供給される電源はレギュレータ823aにより定電圧電源とされるため、規格以上の電圧がロジック部830に入力されることを防ぐことができる。なお、レギュレータ823aで、入力される直流電圧について電圧値だけでなく、電流値も一定にするようにしてもよい。
電源制御回路824は、蓄電手段803の充電、およびロジック部830への電源供給を制御する回路である。電源制御回路824には、蓄電手段803の出力が接続され、この出力をもとに蓄電手段803の充電状態を監視する。また、電源制御回路824には、整流回路821の出力が接続され、この出力から、アンテナ回路801で受信した信号の振幅の大きさ(電界の大きさ)を監視している。電源制御回路824は、蓄電手段803および整流回路821の出力を監視し、スイッチ822bおよびスイッチ823bのON、OFFを制御する。例えば、スイッチ823bの制御は、蓄電手段803の電圧がある値V1以上になるとスイッチ823bをONにし、蓄電手段803の電力をロジック部830に供給する。ある値V2(V1>V2)以下になるとスイッチ823bをOFFし、ロジック部830への電力の供給を停止する。例えば、V1の設定値は、ロジック部830を安定して駆動させることができる電圧値とし、V2の設定値は、ロジック部830を駆動させるのに必要な電圧の最小値とする。
ロジック部830は、図8に示すように接続された復調回路831、アンプ832、論理回路833、メモリ制御回路834、メモリ回路835、論理回路836、アンプ837、および変調回路838を有する。ロジック部830において、アンプ832はアンテナ回路801に入力される信号の振幅を増幅し、クロックとして論理回路833に供給する。またASK変調やPSK変調された通信信号は復調回路831で復調される。復調後の信号も論理回路833に送られ解析される。論理回路833で解析された信号はメモリ制御回路834に送られ、それに基づき、メモリ制御回路834はメモリ回路835を制御し、メモリ回路835に記憶されたデータを取り出し論理回路836に送られる。論理回路836でエンコード処理されたのちアンプ837で増幅され、その信号によって、変調回路838はアンテナ回路801より出力する信号に変調をかける。ここで図8における電源は、ロジック部830の外に設けられる蓄電手段803によって電源部820を介して供給している。このようにしてRFチップ800のロジック部830は動作する。
図8に示すRFチップ800において、RFバッテリーは、アンテナ回路801、電源部820および蓄電手段803でなる。以下、RFバッテリーを充電し、RFバッテリーで蓄えた電力を供給する方法を説明する。
RFチップ800は、電磁波を受信することにより蓄電手段803を自動的に充電することが可能である。また、アンテナ回路801がアンテナの形状に応じた周波数帯域の信号を検波して、直流電源に変換するし、電力を発生させることができる。また、リーダ/ライタの代わりに、充電専用に電磁波を発信する装置、いわゆる給電器を用いることで蓄電手段803を意図的に充電して、RFチップ800に電力が無くなることを回避することができる。リーダ/ライタに充電専用に信号を送信する機能を備えることで、充電器として機能させることもできる。
以上の説明したように、RFチップに無線信号を用いて充電を行うことにより、バッテリーの交換の必要がなく、且つ、アクティブ型RFチップのように信号の送受信が遠距離まで行うことのできるRFチップを用いた物品管理方法をとすることができる。そのため、第1のリーダ/ライタ、または第2のリーダ/ライタは、より確実に第1のRFチップまたは第2のRFチップを信号の送受信を行うことができる。
また、本実施の形態は、他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて実施することができる。すなわち本発明により、遮蔽物があっても物品のデータの読み出しを容易に行うことができる。したがって、物品にバーコードを貼付した場合におけるバーコードが読み取れない際の遮蔽物の除去等の煩わしさや、物品の配置の工夫等の煩わしさをなくすことができる。
また本発明の物品管理方法は、物品毎に導入コストが膨大になるアクティブ型のRFタグの貼付を行う必要がなく、物品の位置情報(空間位置)を得ることができる。また一方で、物品毎に導入コストを安価なパッシブ型のRFタグを貼付することによる通信距離が短いことによる位置情報の取得が小規模な倉庫に限られるといった問題点を解消することができる。