JP2008105438A - 船尾フィン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船舶の縦方向に対してはプロペラの位置よりも船首側に略3%Lpp、船舶の深さ方向に対してはプロペラの頂部の1/6Dp上方に位置しているポイント(p1)における法線を短冊状のフィンの短辺に平行な中心軸とし、長辺方向をAPよりも船首側に略15%Lpp、船舶の深さ方向に対しては前記プロペラの中心軸を水平に延長した点であるポイント(S)とプロペラの頂部とを結んだ線に平行となるようにして船体表面から突設させる構成とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、フィン自体の摩擦抵抗を軽減しつつ、航行時におけるプロペラ前方の船尾に生ずる船体表面の水流を加速し、整流することにより、渦や剥離を抑制し、船体抵抗を軽減することを目的とする。
なお、APは後部垂線の意であり、Lppは船舶の垂線間長の意である。
また、本願請求項2に係る船尾フィンは、請求項1に記載の船尾フィンであって、前記ポイント(p1)は、船舶の縦方向に対して前記プロペラの位置よりも船首側に略3%Lpp、船舶の深さ方向に対してプロペラの頂部の略1/6Dp上方に位置している、ことを特徴としている。
なお、Dpはプロペラの直径の意である。
そして、本願請求項3に係る船尾フィンは、船体縦方向にAPよりも船首側に略15%Lpp、プロペラの中心軸上に位置するポイント(S)と該プロペラの頂部とを結ぶ線を流線(R)としたときに、前記流線(R)上であって、前記請求項2に記載のポイント(p1)を通る垂直線と前記流線(R)との交点のポイント(p2)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向が前記流線(R)に平行となるように該船体表面から突設されている、ことを特徴としている。
さらに、本願請求項4に係る船尾フィンは、船体縦方向にAPよりも船首側に略15%Lpp、プロペラの中心軸上に位置するポイント(S)と該プロペラの頂部とを結ぶ線を流線(R)としたときに、前記請求項2に記載のポイント(p1)を通る垂直線とプロペラの頂部の略1/3Dp上方の交点のポイント(p3)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向が前記流線(R)に平行となるように前記船体表面から突設されている、ことを特徴としている。
また、本願請求項5に係る船尾フィンは、前記請求項2に記載のポイント(p1)と前記請求項4に記載のポイント(p3)とを結んだ線上の中心点のポイント(p4)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向を前記請求項2に記載の船尾フィンの船首側端部位置と前記請求項4に記載の船尾フィンの船尾側端部位置とを結ぶ線上に沿って該船体表面から突設されている、ことを特徴としている。
また、本願請求項8に係る船尾フィンは、請求項7に記載の船尾フィンであって、前記フィンは該フィンと前記船体表面とがなす入隅部に対し該フィンの短辺方向の中間部と該船体表面とを斜めに架設される補強斜材を具え、該補強斜材は該フィンの船首側端部および船尾側端部において該フィン方向に曲折して該補強斜材と該フィンが船首側および船尾側に突先を有する楔状に形成されている、ことを特徴としている。
そして、本願請求項9に係る船尾フィンは、請求項8に記載の船尾フィンであって、前記フィンの先端部側に位置する出隅部は曲線的または直線的に隅切りされている、ことを特徴としている。
具体的には、実施した水槽実験では、船体抵抗が軽減し、船体抵抗は本願各発明に係る船尾フィンを取付けていない船舶に対して剰余抵抗が0.04ないし0.08低減することが確かめられ、略1%の馬力低減となる。
なお、p1はポイント(p1)を、p2はポイント(p2)を、p3はポイント(p3)を、p4はポイント(p4)を、Sはポイント(S)を、Rは水の流れである流線(R)を示し、LWLは満載喫水線であり、CLは船舶中心線である。
船舶の長さの単位である垂線間長(Lpp)は、後部垂線(AP)と前部垂線(FP)の距離を指すが、この垂線間長を10等分して、後部垂線から順に番号をつけたものを縦座標(Ordinate)として、最初の区切りを1/10Lppといい、線分A(以下、「縦座標A」という。線分A、B、C・・・についても同様。)がこれに相当する。さらに、2/10Lppは縦座標Cが相当し、3/10Lppは縦座標Eが相当する。そして、各図においては、縦座標Aと縦座標C間を2等分して、縦座標Bとし、縦座標Cと縦座標E間を2等分して、縦座標Dとしている。すなわち、縦座標A、B、C、・・・はそれぞれ、1/10Lpp、1.5/10Lpp、2/10Lpp、・・・ということになる。
なお、ポイント(p1)における横断面の線も縦座標Bにおける横断面の線と略同様の形状となり、ポイント(p1)は接続部の曲面が最小の曲率半径となる点は、必ずしも縦座標Bにおける横断面の線上にポイント(p1)に位置するわけではない。
短冊状の船尾フィン本体11は、一方の長辺の出隅部17が円形の曲線により隅切りされて隅切り部15が形成されている。実施例における船尾フィン本体11の隅切り部15は、他の長辺の隅角部を開始点として隅切りされているが、船尾フィン本体11の短辺の中間域から隅切りするようにしても良く、曲線による隅切りではなく、直線的に隅切りしても良いことはもちろんであり、また、隅切り部15を有しない形状とすることもできる。
また、短冊状の補強斜材13は、一方の長辺の両端にある出隅部から他方の長辺に向けて斜め引いた線に沿って折り曲げた形状をしている。
そして、船尾フィン本体11の長辺の長さは2.5%Lpp〜3.0%Lppであり、短辺の長さは0.5%Lppとなっている。また、補強斜材13の長辺の長さは船尾フィン本体11の長辺の長さと略同一の寸法であり、短辺の長さは船尾フィン本体11の短辺の長さの略1/2の寸法となっている。
一方で、補強斜材13の折り曲げていない一方の長辺は、船尾フィン本体11の長辺方向の略中心線に沿って斜め上方に向けて溶着されていて、折り曲げられた他方の長辺は、船体表面21に溶着されている。そして、補強斜材13の両端の短辺が船尾フィン本体11に溶着されることにより、船尾フィン本体11と補強斜材13の船首側および船尾側の端部は先の尖った楔状となっている。
なお、プロペラの頂部とは、プロペラの回転面の最高点をいい、プロペラ位置とは、プロペラの回転面を側面から見たときの中心位置をいう。
なお、上述したように船尾フィン2の形状は、船尾フィン1と同一であるのでその説明を省略する。
なお、上述したように船尾フィン2の形状は、船尾フィン1および船尾フィン2と同一であるのでその説明を省略する。
なお、上述したように船尾フィン4の形状は、船尾フィン1、船尾フィン2および船尾フィン3と同一であるのでその説明を省略する。
この水槽実験を通して、プロペラ23およびその上部の船舶航行時における水流は、ポイント(S)を原点として放射状に流れてくることが判明し、この事実に基づいて実験をおこなったものであり、当該実験では、実施例1ないし実施例4の4種類の船尾フィンの取付け位置に対して船尾フィンの大きさを変えながら船体(模型)の受ける抵抗を計測したものである。
また、船尾フィンの大きさは、その短辺の長さをBとし長辺の長さをLとしたときの船尾フィンのB×Lを、それぞれ、0.5%Lpp×1.5%Lpp、0.5%Lpp×2.0%Lpp、0.5%Lpp×2.5%Lpp、0.5%Lpp×3.0%Lpp、および0.5%Lpp×3.5%Lpp、の5種類である。
この実験結果を表1に示す。
これに対し、船尾フィン1では、船尾フィンの大きさB×Lを0.5%Lpp×(2.0〜3.0%Lpp)としても、剰余抵抗の減少量は−0.06〜−0.07と安定していることが分かる。
すなわち、船尾フィンの取付け位置を船尾フィン1とし、その大きさB×Lを0.5%Lpp×(2.0〜3.0%Lpp)としたときに、最も安定して船体抵抗が減少することになる。このときの船体抵抗の減少は、略1%の馬力低減効果となる。
したがって、この実験結果から、船尾フィンを船尾フィン1、船尾フィン2、船尾フィン4、とすることにより、剰余抵抗は0.01ないし0.08減少するが、好ましくは、船尾フィンの取付け位置を船尾フィン1と同位置とすることにより、剰余抵抗を安定して0.05ないし0.07の減少効果を得ることができる。
2 実施例2に係る船尾フィン
3 実施例3に係る船尾フィン
4 実施例4に係る船尾フィン
11 船尾フィン本体
13 補強斜材
15 隅切り部
21 船体表面
23 プロペラ
27 緩勾配部
29 垂下部
31 接続部
33 法線
Claims (9)
- 船体縦方向にAPよりも船首側に略15%Lpp、プロペラの中心軸上に位置するポイント(S)と該プロペラの頂部とを結ぶ線を流線(R)としたときに、
前記プロペラの位置よりも船首側の船体の横断面が船体中心に向けて緩やかに下降する船底面の緩勾配部と該緩勾配部から水滴状に垂れ下がる垂下部へと接続する接続部における最小の曲率半径となるポイント(p1)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向が前記流線(R)に平行となるように該船体表面から突設されている、ことを特徴とする船尾フィン。 - 前記ポイント(p1)は、船舶の縦方向に対して前記プロペラの位置よりも船首側に略3%Lpp、船舶の深さ方向に対してプロペラの頂部の略1/6Dp上方に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の船尾フィン。
- 船体縦方向にAPよりも船首側に略15%Lpp、プロペラの中心軸上に位置するポイント(S)と該プロペラの頂部とを結ぶ線を流線(R)としたときに、
前記流線(R)上であって、前記請求項2に記載のポイント(p1)を通る垂直線と前記流線(R)との交点のポイント(p2)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向が前記流線(R)に平行となるように該船体表面から突設されている、ことを特徴とする船尾フィン。 - 船体縦方向にAPよりも船首側に略15%Lpp、プロペラの中心軸上に位置するポイント(S)と該プロペラの頂部とを結ぶ線を流線(R)としたときに、
前記請求項2に記載のポイント(p1)を通る垂直線とプロペラの頂部の略1/3Dp上方の交点のポイント(p3)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向が前記流線(R)に平行となるように前記船体表面から突設されている、ことを特徴とする船尾フィン。 - 前記請求項2に記載のポイント(p1)と前記請求項4に記載のポイント(p3)とを結んだ線上の中心点のポイント(p4)における船体表面の曲面の法線に短冊状のフィンの短辺方向の略中心軸を一致させるとともに該フィンの長辺方向を前記請求項2に記載の船尾フィンの船首側端部位置と前記請求項4に記載の船尾フィンの船尾側端部位置とを結ぶ線上に沿って該船体表面から突設されている、ことを特徴とする船尾フィン。
- 前記フィンの長辺の所定長(L)は略2.0%Lpp〜3.5%Lppであり、該フィンの短辺の所定長(B)は略0.5%Lppである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の船尾フィン。
- 前記フィンはその短辺方向の断面形状が先端部よりも基端部側の方が厚く形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の船尾フィン。
- 前記フィンは該フィンと前記船体表面とがなす入隅部に対し該フィンの短辺方向の中間部と該船体表面とを斜めに架設される補強斜材を具え、該補強斜材は該フィンの船首側端部および船尾側端部において該フィン方向に曲折して該補強斜材と該フィンが船首側および船尾側に突先を有する楔状に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の船尾フィン。
- 前記フィンの先端部側に位置する出隅部は曲線的または直線的に隅切りされている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項8に記載の船尾フィン。
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