JP2008105368A - 積層成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が強固に接着され、線膨張係数が低く、軽量で、耐衝撃性、耐久性、作業性、生産性等が優れている積層成形体、特に、雨樋等の外装建材として好適に使用できる積層成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度で引抜延伸して得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする積層成形体の製造方法。
【選択図】 図9

Description

本発明は、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを芯材とし、外装建材として好適に使用できる積層成形体の製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂は耐水性、難燃性、機械的特性等が優れ、且つ価格が比較的安価であるので、雨樋など建築部材の材料として広く使用されているが、硬質塩化ビニル系樹脂成形体の線膨張係数は7.0×10-5(1/℃)と大きいので、硬質塩化ビニル系樹脂製雨樋を設置する際には、雨樋の伸縮を吸収しうる継手で接続したり、端部をフリーにする必要があったが、雨樋の長さが長くなると、継手が大きくなり、外観が悪く且つ長期にわたって使用すると継手部分が破損することがあった。又、雨樋自身も伸縮の繰り返しにより、ひび割れやそりが発生し、長期間使用する際の信頼性が低いという欠点があった。
そのため、線膨張係数の低い雨樋の検討が種々なされている。例えば、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性合成樹脂よりなる長尺の成形体の内部に、成形体の長さ方向に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂層が成形体全長に亘って埋設一体化されていることを特徴とする合成樹脂製長尺成形体(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
特開2005−120613号公報
しかしながら、塩化ビニル樹脂とポリエステル系樹脂の接着性は低く、塩化ビニル樹脂層と延伸ポリエステル系樹脂層との接着は困難であった。両者を強固に接着するにはホットメルト型接着剤又は反応性接着剤を介在させるのが好ましいが、塩化ビニル樹脂層又はポリエステル系樹脂層にホットメルト型接着剤又は反応性接着剤を塗布又は積層した後、加圧及び/又は加熱して両者を均一且つ強固に接着するのは困難であった。
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が強固に接着され、線膨張係数が低く、軽量で、耐衝撃性、耐久性、作業性、生産性等が優れている積層成形体、特に、雨樋、水切り、胴差し等の外装建材として好適に使用できる積層成形体の製造方法を提供することにある。
請求項1記載の積層成形体の製造方法は、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度で引抜延伸して得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
又、熱可塑性ポリエステル系樹脂の極限粘度は、低すぎるとシート作成時にドローダウンを起こしやすくなる傾向があり、高すぎると、延伸しても機械的強度(特に弾性率)が上昇しないので、0.6〜1.0が好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.1mm未満では、延伸後のシート厚みが薄くなりすぎ、取扱いに際しての強度が十分な大きさとならないことがあり、5mmを超えると延伸が困難となる傾向があるので0.1〜5mmが好ましく、より好ましくは0.2〜3mmである。
上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは非晶状態である。延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは非晶状態であればよく、その結晶化度は特に限定されるものではないが、示差走査熱量計で測定した結晶化度が10%未満であることが好ましく、より好ましくは5%未満である。
本発明においては、上記非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引抜延伸する。引抜延伸する方法は特に限定されず所定のクリアランスを有する引抜金型を通して引抜延伸してもよいが、一対のロール間を通して引抜延伸するのが、延伸後の厚みを自由にコントロールでき、また引抜金型の特定部位の磨耗が生じることがないので好ましい。
引抜延伸する際の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度は特に限定されるものではないが、ガラス転移温度付近の温度に予熱されているのが好ましい。予熱温度は、低すぎても高すぎても樹脂シートが所定の温度にならないことがあるので、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+10℃の温度が好ましい。
上記引抜延伸する際の温度は、低温であると熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが硬すぎて、引き抜こうとしても先に切断されてしまうことがあり、切断されなくてもシートにボイドができて白化してしまうなどの問題があり、高温になると熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが柔らかくなりシートを引抜く張力により熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが切断されるので、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度範囲であり、好ましくは該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+10℃の温度範囲である。
又、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引抜く際に、ロールは必ずしも回転する必要はないが、特に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚みが厚い場合には、せん断発熱によるロールの蓄熱に起因するシートの温度上昇が生じやすいため、引抜方向に回転させるのが好ましい。
ロールの回転速度が遅いと、ロールと熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの接触時間が長くなり、摩擦熱が発生し、ロール温度が上昇して、加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂を冷却する効果が低下し、所定の引抜延伸温度を超えてしまい、逆にロールの回転速度が早くなると、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの表面の熱可塑性ポリエステル系樹脂のみが流動し、均一に引抜延伸できなくなり、得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの弾性率が低下する。
従って、ロールの回転速度は熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを同一条件の引抜速度でロールが回転していない状態で引き抜いた際の送り速度と実質的に同一又はそれ以下の速度が好ましい。
又、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さが厚い(1.5mm以上)場合は、ロールとシートとのせん断による発熱が大きくなるため、ロールの回転速度は上記送り速度の50〜100%が好ましい。また、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さが薄い場合は、ロールによる冷却効果が大きいのでロールの回転速度は遅くてもよい。
上記引抜延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率が低下する傾向があり、高くなると延伸時にシートの破断が生じやすくなる傾向があるので、2〜9倍が好ましく、より好ましくは2.5〜7倍である。
引抜延伸された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、更に耐熱性を向上させるために熱固定されているのが好ましい。熱固定温度は、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度より低いと熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まないので耐熱性が向上せず、融解ピークの立ち上がり温度より高いと熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下し、引抜延伸温度より30℃以上高くなると、引抜延伸温度で結晶化した結晶の配向が緩和されるので、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であって、引抜延伸温度より30℃以上高くない温度が好ましい。
又、熱固定する際に、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに負荷がかかっていると延伸され、フリーの状態では収縮するので、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行うことが好ましく、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに圧力がかかっていないのが好ましい。
即ち、熱固定された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、熱固定前の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの0.95〜1.1で、引抜延伸倍率より低い倍率になるように熱固定するのが好ましい。
従って、延引抜伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的に熱固定する場合は、入口側と出口側の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り速度比を0.95〜1.1で、引抜延伸倍率より低い倍率になるように設定して熱固定するのが好ましい。
熱固定する際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒーター等で加熱する方法があげられる。熱固定する時間は、特に限定されず、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さや熱固定温度により異なるが、一般に10秒〜10分が好ましい。
更に、上記熱固定された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、ガラス転移温度〜昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度の範囲で、実質的に張力がかからない状態でアニールするのが好ましい。
上記アニールすることにより、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは弾性率等の力学的物性が良好であって、ガラス転移温度以上の温度に加熱されても弾性率等の力学的物性が低下することがなく、且つ、収縮率を低く抑えることができる。
又、アニールする際に、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸されるので、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに実質的に張力がかからない状態でアニールするのが好ましい。
即ち、アニールされた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、アニール前の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールするのが好ましい。
従って、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
又、短尺シートをアニールする際には、荷重がかからないよう両端部を開放して行うのが好ましい。アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒーター等で加熱する方法があげられる。
アニールする時間は、特に限定されず、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの線膨張係数は、大きいと温度差により大きく伸縮するので、小さいほうが好ましく、特に負であるのが好ましい。従って、−1.5×10-5以上であって0未満が好ましい。
又、引抜熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの引張弾性率が7GPaを下回ると、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に熱可塑性樹脂層を積層した積層成形体の線膨張係数が大きくなり、15GPaを上回ると積層成形体の耐衝撃性が低下するので、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの引張弾性率は7〜15GPaが好ましい。
本発明においては、引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、更に、該引抜温度より高い温度で一軸延伸されるのが好ましい。
引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しているので強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低いので、加熱されると配向は容易に緩和され弾性率は低下してしまうという欠点を有している。
しかし、この引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該引抜温度より高い温度で一軸延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが得られる。
上記一軸延伸する方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。ロール延伸法とは、速度の異なる2対のロール間に延伸原反を挟み、延伸原反を加熱しつつ引っ張る方法であり、一軸方向のみに強く分子配向させることができる。
上記一軸延伸する際の温度は、一次延伸する際の一対のロールの温度より高い温度であればよいが、高すぎると引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断される傾向があるので、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度の温度範囲が好ましい。
尚、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約120℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを一軸延伸する際は約120℃〜約230℃で一軸延伸するのが好ましい。
上記一軸延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性係数等が低下する傾向があり、高くなると延伸時にシートの破断が生じやすくなる傾向があるので、1.05〜3倍が好ましく、さらに好ましくは1.1〜2倍である。又、引抜延伸と一軸延伸の合計延伸倍率(引抜延伸倍率と一軸延伸倍率の積)は、同様の理由で、2.5〜10倍が好ましく、より好ましくは3〜8倍である。
一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと同様に耐熱性を向上させるために熱固定及びアニールされているのが好ましい。一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの熱固定及びアニールは引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの熱固定及びアニールと同様にしておこなわれればよく、以下、異なる点のみ説明する。
熱固定温度は、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度より低いと熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まないので耐熱性が向上せず、融解ピークの立ち上がり温度より高いと熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下し、一軸延伸温度より30℃以上高くなると、一軸延伸温度で結晶化した結晶の配向が緩和されるので、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であって、一軸延伸温度より30℃以上高くない温度が好ましい。
一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの線膨張係数も、大きいと温度差により大きく伸縮するので、小さいほうが好ましく、特に負であるのが好ましい。従って、−1.5×10-5以上であって0未満が好ましい。
又、一軸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの引張弾性率も7GPaを下回ると、一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に熱可塑性樹脂層を積層した積層成形体の線膨張係数が大きくなり、15GPaを上回ると積層成形体の耐衝撃性が低下するので、一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの引張弾性率は7〜15GPaが好ましい。
上記引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート及び一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、2枚以上が積層されてもよく、積層する場合はその延伸方向が略同一になるように積層されるのが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士の積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、熱融着すると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸が緩和されるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤で接着されるのが好ましい。
ホットメルト型接着剤で接着する方法は、特に限定されず、例えば、少なくとも一方の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに溶融ホットメルト型接着剤を塗布すると同時に両者を積層し融着する方法、少なくとも一方の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに溶融ホットメルト型接着剤を塗布・冷却してホットメルト型接着剤層を形成した後積層したり、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間にシート状のホットメルト型接着剤を積層して得られた積層体を加熱し、ホットメルト型接着剤を溶融して融着する方法等があげられる。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士の融着であるから、上記ホットメルト型接着剤として、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布及び/又は不織布が好適に使用される。熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布及び/又は不織布で融着すると、接着強度が高く、引張強度、耐衝撃性等が向上する。
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布及び/又は不織布を構成する繊維としては、前述の熱可塑性ポリエステル系樹脂製の繊維及び前述の熱可塑性ポリエステル系樹脂と綿、スフ等の天然繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維等の無機繊維等の繊維との混合繊維が挙げられる。
上記不織布としては、従来公知の任意の不織布が使用可能であり、例えば、レンジボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布などの乾式タイプの不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布などの紡糸直結タイプの不織布、湿式不織布等が挙げられ、バルク性、柔軟性等に富み層間剥離しにくいニードルパンチ不織布及びスパンレース不織布が好ましい。
上記ニードルパンチ不織布とは、短繊維をランダムに並べて形成されたウエブに高速で上下するニードル(針)を繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませた不織布である。
又、上記スパンレース不織布とは、高圧ポンプによりノズルから30〜500バールの高圧水流をウエブに噴出し、高圧水流がウエブを打ち抜く力と打ち抜いた高圧水流の跳ね返る力を利用して繊維を三次元的に絡み合わせた不織布である。
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布及び不織布の目付量、厚み等は、特に限定されるものではないが、一般に、目付量は10〜500g/m2 が好ましく、厚みは0.03〜4mmが好ましい。
又、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをより簡便に積層し強固に融着し耐衝撃性を向上させるために、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するポリエステル系、ポリオレフィン系等のホットメルト型接着剤を含浸した織布及び/又は不織布を、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に積層し融着する方法も好ましい。
上記織布及び/又は不織布としては、特に限定されず、従来公知の任意の織布及び不織布が使用可能であり、例えば、綿、スフ等の天然繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維等の無機繊維等の繊維からなる織布及び不織布が挙げられる。
上記不織布としても、従来公知の任意の不織布が使用可能であり、例えば、レンジボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布などの乾式タイプの不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布などの紡糸直結タイプの不織布、湿式不織布等が挙げられ、バルク性、柔軟性等に富み層間剥離しにくいニードルパンチ不織布及びスパンレース不織布が好ましい。
又、織布及び不織布の目付量、厚み等は、特に限定されるものではないが、一般に、目付量は10〜500g/m2 が好ましく、厚みは0.03〜4mmが好ましい。
上記ホットメルト型接着剤を溶融して融着する方法の際には、超音波ウエルダーによりホットメルト型接着剤を溶融して融着するのが好ましい。
上記超音波ウエルダーにより融着する方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート、ホットメルト型接着剤、織布及び/又は不織布、熱可塑性樹脂層等の積層体を、15〜40kHzの周波数で加振したホーンとローレットの間を通過させる方法があげられる。
図1は、2枚の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをホットメルト型接着剤である熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布で超音波ウエルダーによりする方法の一例を示す説明図である。
図中1、1は引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであり、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1、1の間に熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布ホットメルト型接着剤シート2が積層されて、積層体10が形成されている。
積層体10はホーン3とローレット4で押圧された状態で移送すると共に、ホーン3から15〜40kHzの周波数で加振することにより、ホーン3から伝えられた超音波振動による摩擦熱により瞬時に熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布2が加熱され溶融して融着される。
この際、より効率よく融着するために、ホーン3とローレット4の間隔は積層体10の厚みより狭く設定し、積層体10をホーン3とローレット4で加圧しながら融着するのが好ましい。加圧するには、ホーン3にエアシリンダ、油圧シリンダ等を連設し、ホーン3を積層体10を介してローレット4に押圧するのが好ましい。
又、ローレット4表面には突起部が形成されていることにより、より効率よく融着することができ、突起部の配列や形状を変化することにより、融着部位の配列や形状のパターンを変化することができる。
図2〜図6は融着部位の配列パターンの例を示す説明図である。図中10は、超音波ウエルダーにより融着された積層体であり、Aは延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1の延伸方向であり、5は融着部位である。
又、超音波ウエルダーにより融着する際には、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1の配向状態が緩和されるのを抑制するために、積層体10(延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1)に張力を負荷しておくのが好ましい。
異なる延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士の積層方法として、2枚以上の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より高い融点を有する織布及び/又は不織布を積層し、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを軟化・溶融すると共に押圧することにより、織布及び/又は不織布を延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに食い込ませて融着する方法があげられる。延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを軟化・溶融させる方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、超音波ウエルダーにより加熱されるのが好ましい。
上記織布及び/又は不織布としては、前述の織布及び/又は不織布であって、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より高い融点を有する織布及び/又は不織布があげられる。
更に、異なる延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート同士の積層方法として、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びゴム系接着剤よりなる群から選らばれた1種類又は2種類以上の接着剤で接着する方法があげられる。
又、上記接着剤が含浸された前述の織布及び/又は不織布を、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの間に積層し、該接着剤により接着してもよい。接着剤を含浸している織布及び/又は不織布が積層されて接着されると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの接着性が向上し、得られた積層体の引張強度、耐衝撃性等が向上する。
上記不織布としても、従来公知の任意の不織布が使用可能であり、例えば、レンジボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布などの乾式タイプの不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布などの紡糸直結タイプの不織布、湿式不織布等が挙げられ、バルク性、柔軟性等に富み層間剥離しにくいニードルパンチ不織布及びスパンレース不織布が好ましい。
本発明においては、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層して積層成形体を製造するのであるが、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと接着剤層及び熱可塑性樹脂層との接着性を高めるために、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面を表面酸化処理又は表面加水分解処理を施し、次いで、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層して積層成形体を製造するのが好ましい。
上記表面酸化処理としては、従来から熱可塑性樹脂シートの酸化処理に使用されている処理方法であればよく、例えば、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理、クロム酸、紫外線処理、電子線処理、放射線処理等があげられ、コロナ放電処理及びクロム酸処理が好ましい。
上記コロナ放電処理は、絶縁された電極と対極が設置された誘電体ロールとの間に延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを通し、この間に高周波、高電圧を印可することにより行われる。コロナ放電処理は、空気雰囲気下、窒素ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、窒素酸素混合ガス雰囲気下等で行うことができる。
上記クロム酸処理は、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを重クロム酸又はその塩の酸性水溶液に浸漬することにより行われる。例えば、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを重クロム酸ナトリウム120gと水1リットルと濃硫酸1.6リットルからなるクロム酸混液に浸した後、水洗浄を行い乾燥させることによりクロム酸処理された引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを得ることができる。
上記加水分解処理は、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを酸性やアルカリ性の水に浸漬されることにより行われる。この場合、反応を促進するために加熱することが好ましい。例えば、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを80℃の水酸化ナトリウム20重量%水溶液に1分以上、好ましくは4分以上浸漬したのち、水洗し、乾燥させることにより加水分解処理された引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを得ることができる。
上記熱可塑性樹脂は、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に積層され、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが衝撃により延伸方向に沿って割れや亀裂が発生しないように保護すると共に、ポリエステル系樹脂が直接雨水や太陽光線に曝されて加水分解や劣化を受け耐久性が低下することを防ぐものである。
上記熱可塑性樹脂を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、スチレン樹脂、AS樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、塩化ビニル樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂層の厚みは、特に限定されず、その用途により適宜決定されればよいが、薄すぎると上記保護効果が低下し、厚くなると重くなると共に延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの低線膨張係数の効果が減少されるので0.1〜3mmが好ましい。
上記接着剤は引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層を強固に接着するためのものであり、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤及び反応性接着剤が用いられる。
上記ホットメルト型接着剤としては、例えば、ウレタン系ホットメルト型接着剤、ポリエステル系ホットメルト型接着剤、ゴム系ホットメルト型接着剤、オレフィン系ホットメルト型接着剤、アクリル系ホットメルト型接着剤、アミド系ホットメルト型接着剤等があげられ、反応性接着剤としては、例えば、シリコーン系接着剤(例えば、セメダイン社製、商品名「一液型シリコーン系接着剤8060」)、変成シリコーン系接着剤(例えば、セメダイン社製、商品名「一液型変成シリコーン系接着剤PM−100」、鐘淵化学社製、商品名「MSポリマー」)、ウレタン系接着剤(例えば、オート化学工業社製、商品名「一液型ウレタン系接着剤オートアドハー5000、積水フーラー社製、商品名「エスダイン9635」)等があげられる。
上記接着剤は引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層を強固に接着するためのものであり、接着剤と熱可塑性樹脂を順次共押出して引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに押出被覆するのであるから、接着剤層は熱可塑性樹脂層より薄層であるのが好ましく、接着剤の溶融粘度は熱可塑性樹脂の溶融粘度より低いのが好ましい。
接着剤と熱可塑性樹脂を順次共押出して引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに押出被覆し積層して積層成形体を製造するのであるから、第1の供給口及び第2の供給口が設けられている第1の金型と、第1の金型との間に芯材通路を形成する第2の金型よりなる押出成形用金型の芯材通路に、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを供給し、第1の供給口から引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤を押出被覆し、第2の供給口から熱可塑性樹脂を押出被覆するのが好ましい。
図7は上記押出成形用金型の一例を示す断面図であり、図8は図7におけるB部の部分拡大断面図であり、図9は図7におけるC部の部分拡大断面図である。
図中6は第1の金型であり、7は第2の金型であり、第1の金型6及び第2の金型7により芯材通路8が形成されている。第1の金型6及び第2の金型7にはそれぞれ第1の供給口61、71及び第2の供給口62、72が、第1の供給口61と第1の供給口71及び第2の供給口62と第2の供給口72が対向するように形成されている。
芯材通路8は、第1の供給口61、71直前までの上流側の芯材通路81のクリアランスより、第1の供給口61、71直後から第2の供給口62、72直前までの芯材通路82のクリアランスが大きくなされ、芯材通路82のクリアランスより第2の供給口62、72より下流側の芯材通路83のクリアランスが大きくなされている。
第1の供給口61、71は、溶融した接着剤を供給する押出機に接続されて、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤を供給し押出被覆するためのものであり、第2の供給口62、72は、溶融した熱可塑性樹脂を供給する押出機に接続されて、接着剤が積層された引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに熱可塑性樹脂を供給し押出被覆するためのものである。
引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを押出成形用金型の芯材通路8に供給する際に、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが芯材通路8の入口や側壁に衝突したり接触すると、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに傷が付き得られた積層成形体の物性や外観が低下するので、押出成形用金型の開口部から芯材通路81の入口まで次第にクリアランスが小さくなるようにテーパ部9が形成されている。
図10は本発明の積層体の製造方法の一例を示す部分断面図である。図中1は引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであり、押出成形用金型の第1の供給口61、71直前の芯材通路81における引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1と芯材通路81内壁面との距離をT1、距離がT1である第1の供給口の上流側の芯材通路81の距離をL1とし、第2の供給口62、72直前の芯材通路82における引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1と芯材通路82内壁面との距離をT2、距離がT2である第2の供給口62、72の上流側の芯材通路82の距離をL2とした場合、L1/T1>L2/T2であることが好ましい。
引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1が薄くなり、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート1と芯材通路81内壁面との距離が大きくなると、供給された接着剤が芯材通路31から漏れる危険性がある。特に、第2の供給口から供給された熱可塑性樹脂によって加圧されシールされた状態になると共に第1の供給口から接着剤を供給する押出機の圧力によって加圧されるので、距離T1が大きかったり、芯材通路81の距離が短かったりすると、接着剤は芯材通路81から漏れてしまうことがある。更に、接着剤の溶融粘度が熱可塑性樹脂の溶融粘度より低い場合に顕著である。そのため、芯材通路81の距離とクリアランスの関係はL1/T1>L2/T2であることが好ましい。
又、上記押出成形用金型で引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤と熱可塑性樹脂を共押出で積層する際には、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを芯材通路8に供給し、芯材通路8の下流側から引取りながら積層するのが好ましく、図11に示したように、芯材通路82の途中が拡開されて樹脂溜り部11が形成されていると、接着剤がより均一に引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに積層できるので好ましい。尚、樹脂溜り部11を形成した場合は、距離がT2である第2の供給口62、72の上流側の芯材通路82の距離をL2は、樹脂溜り部11の下流側から第2の供給口62、72直前までの距離である。
又、芯材通路82は、図12に示したように、階段部12が形成され段階的にクリアランスが小さくなされていてもよいし、テーパー状に次第にクリアランスが小さくなされていてもよい。尚、この場合は、距離がT2である第2の供給口62、72の上流側の芯材通路82の距離をL2は、距離がT2になった部分から第2の供給口62、72の直前までの距離である。
本発明で製造された積層成形体は、異型成形、曲げ加工等の成形方法により所定形状に成形することができ、所定形状の積層成形体が得られる。又、積層成形体の耐候性や意匠性を向上させるために、熱可塑性樹脂層の表面に異なる樹脂層を積層したり、塗料を塗装したりしてもよい。
本発明で製造された積層成形体は、外装建材として、特に雨樋として好適に用いられる。
本発明の積層成形体の製造方法の構成は上述の通りであり、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が強固に接着され、線膨張係数が低く、軽量で、耐衝撃性、耐久性、作業性、生産性等が優れている積層成形体を容易に製造することができる。
又、一つの押出成形用金型で引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤と熱可塑性樹脂を共押出で積層すると、接着剤と熱可塑性樹脂を異なる金型で共押出で積層するのに比較し、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが押出成形用金型に接触して傷つくことが少なく、又、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに積層された接着剤層が金型により掻き落とされることがないので外観がよく、引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと熱可塑性樹脂層が強固に接着した積層成形体を製造することができる。
次に、本発明の実施例を挙げて、詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製、商品名「NEH−2070」、極限粘度0.88)を溶融押出成形した後急冷して厚さ2.5mmのポリエチレンテレフタレートシート(結晶化度1.3%)を得た。得られたポリエチレンテレフタレートシートを延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給し、80℃に予熱した後、74℃に加熱され、延伸方向に0.05m/分の速度で回転している一対のロール(ロール間隔0.5mm)間を2m/minの速度で引抜延伸して、延伸倍率が約5倍、厚さ0.5mmの引抜延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
尚、上記ポリエチレンテレフタレートシートのガラス転移温度は76.7℃、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での結晶化ピークの立ち上がり温度は約140℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約234℃であった。
得られた引抜延伸ポリエチレンテレフタレートシートを図7〜10に示した押出成形用金型に供給し、第1の供給口61、71から接着剤を供給すると共に第2の供給口62、72から熱可塑性樹脂を200℃で供給し、下流側から1m/分の速度で引取って、接着剤及び熱可塑性樹脂が積層された積層体を得た。
接着剤はポリエステル系ホットメルト接着剤(東洋紡績社製、商品名「バイロンGM913」、融点126℃)であり、得られた積層体における厚さは0.07mmであった。 熱可塑性樹脂は塩化ビニル樹脂(徳山積水社製、品番「TS1000R」)であり、得られた積層体における厚さは0.4mmであった。
押出用金型のL1は20mm、L2は6mm、T1は0.125mm、T2は0.150mmであった。従って、(L1/T1)=(20/0.125)=160、(L2/T2)=(6/0.150)=40であり、L1/T1>L2/T2である。
得られた積層成形体の線膨張係数をJIS K 7197に準拠して測定したところ1.4×10-5(1/℃)であった。又、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は4.9GPaであり、JIS K 6854に準拠して測定したT型ピーリング強度は59N/25mm幅であった。
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製、商品名「NEH−2070」、極限粘度0.88)を溶融押出成形した後急冷して厚さ2.5mmのポリエチレンテレフタレートシート(結晶化度1.3%)を得た。得られたポリエチレンテレフタレートシートを延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給し、80℃に予熱した後、74℃に加熱され、延伸方向に0.05m/分の速度で回転している一対のロール(ロール間隔0.5mm)間を2m/minの速度で引抜延伸し、更に、熱風加熱槽中でポリエチレンテレフタレートシート表面温度を180℃に加熱し、出口速度2.5m/minに設定してロール延伸して、延伸倍率が約5倍、厚さ0.5mmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
尚、上記ポリエチレンテレフタレートシートのガラス転移温度は76.7℃、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での結晶化ピークの立ち上がり温度は約140℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約234℃であった。
得られた一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを用いて、実施例1で行ったと同様にして、接着剤及び熱可塑性樹脂を積層して積層成形体を得た。得られた積層成形体の線膨張係数をJIS K 7197に準拠して測定したところ1.3×10-5(1/℃)であった。又、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は5.1GPaであり、JIS K 6854に準拠して測定したT型ピーリング強度は57N/25mm幅であった。
(実施例3)
実施例2で得られた一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートの両面を下記条件でコロナ放電処理を施し、表面酸化処理一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。 放電量:133W・min/m2
シート処理速度:7m/分
シート/電極間距離:2mm
得られた表面酸化処理一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを用いて、実施例1で行ったと同様にして、接着剤及び熱可塑性樹脂を積層して積層成形体を得た。得られた積層成形体の線膨張係数をJIS K 7197に準拠して測定したところ1.3×10-5(1/℃)であった。又、JIS K 7113に準拠して測定した引張弾性率は5.1GPaであり、JIS K 6854に準拠して測定したT型ピーリング強度は80N/25mm幅であった。
2枚の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをホットメルト型接着剤である熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布で超音波ウエルダーにより融着する方法の一例を示す説明図である。 積層体の融着部位の配列パターンの一例を示す説明図である。 積層体の融着部位の配列パターンの異なる例を示す説明図である。 積層体の融着部位の配列パターンの異なる例を示す説明図である。 積層体の融着部位の配列パターンの異なる例を示す説明図である。 積層体の融着部位の配列パターンの異なる例を示す説明図である。 押出成形用金型の一例を示す断面図である。 図7におけるA部の部分拡大断面図である。 図7におけるB部の部分拡大断面図である。 本発明の積層成形体の製造方法の一例を示す部分断面図である。 芯材通路に樹脂溜り部が形成された押出成形用金型の一例を示す断面図である。 芯材通路のクリアランスが段階的に小さくなされている押出成形用金型の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 引抜又は一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート
2 熱可塑性ポリエステル系樹脂製織布ホットメルト型接着剤シート
3 ホーン
4 ローレット
5 融着部位
6 第1の金型
7 第2の金型
8 芯材通路
9 テーパ部
10 積層体
11 樹脂溜り部
12 階段部

Claims (42)

  1. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20℃の温度で引抜延伸して得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする積層成形体の製造方法。
  2. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの、示差走査熱量計で測定した結晶化度が10%未満であることを特徴とする請求項1記載の積層成形体の製造方法。
  3. 引抜延伸が、上記温度に設定された一対のロール間を通して行うことを特徴とする請求項1又は2記載の積層成形体の製造方法。
  4. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜該熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+10℃の温度で予熱した後、一対のロール間を通すことを特徴とする請求項3記載の積層成形体の製造方法。
  5. 上記シートを、同一条件の引抜速度でロールが回転していない状態で引き抜いた際の送り速度と実質的に同一速度以下の速度で該ロールを引抜方向に回転させることを特徴とする請求項3又は4記載の積層成形体の製造方法。
  6. 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの延伸倍率が2〜9倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  7. 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であって、引抜延伸温度より30℃以上高くない温度で熱固定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  8. 熱固定を引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが実質的に変化しない状態で行うことを特徴とする請求項7記載の積層成形体の製造方法。
  9. 熱固定された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、熱固定前の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの0.95〜1.1であることを特徴とする請求項7又は8記載の積層成形体の製造方法。
  10. 熱固定時間が、10秒〜10分であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  11. 熱固定された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、ガラス転移温度〜融点未満の温度で、実質的に張力がかからない状態でアニールすることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の積層成形体の製造方法。
  12. アニールする温度が、ガラス転移温度〜昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の積層成形体の製造方法。
  13. アニール時間が10秒以上であることを特徴とする請求項11又は12記載の積層成形体の製造方法。
  14. 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、表面酸化処理又は表面加水分解処理を施し、次いで、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  15. 表面酸化処理が、コロナ放電処理又はクロム酸処理であることを特徴とする請求項14項記載の積層成形体の製造方法。
  16. 接着剤が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  17. 熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  18. 第1の供給口及び第2の供給口が設けられている第1の金型と、第1の金型との間に芯材通路を形成する第2の金型よりなる押出成形用金型の芯材通路に、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを供給し、第1の供給口から引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤を押出被覆し、第2の供給口から熱可塑性樹脂を押出被覆することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  19. 押出成形用金型の第1の供給口直前の芯材通路における引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと芯材通路内壁面との距離をT1、距離がT1である第1の供給口の上流側の芯材通路の距離をL1とし、第2の供給口直前の芯材通路における引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと芯材通路内壁面との距離をT2、距離がT2である第2の供給口の上流側の芯材通路の距離をL2とした場合、L1/T1>L2/T2であることを特徴とする請求項18記載の積層成形体の製造方法。
  20. 押出成形用金型の第1の供給口と第2の供給口の間の芯材通路に樹脂溜りが形成されていることを特徴とする請求項18又は19記載の積層成形体の製造方法。
  21. 押出成形用金型の第1の供給口と第2の供給口の間の芯材通路のクリアランスが、次第に又は段階的に狭くなされていることを特徴とする請求項19又は20記載の積層成形体の製造方法。
  22. 押出成形用金型の開口部から芯材通路の入口まで次第にクリアランスが小さくなるようにテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  23. 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、更に、該引抜延伸温度より高い温度で一軸延伸し、得られた一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  24. 一軸延伸温度が、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であることを特徴とする請求項23記載の積層成形体の製造方法。
  25. 一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの合計延伸倍率(引抜延伸倍率×一軸延伸倍率)が3〜8倍であることを特徴とする請求項23又は24記載の積層成形体の製造方法。
  26. 一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度〜融解ピークの立ち上がり温度であって、一軸延伸温度より30℃以上高くない温度で熱固定することを特徴とする請求項23〜25のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  27. 熱固定を一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが実質的に変化しない状態で行うことを特徴とする請求項26記載の積層成形体の製造方法。
  28. 熱固定された一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、熱固定前の一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの0.95〜1.1であることを特徴とする請求項26又は27記載の積層成形体の製造方法。
  29. 熱固定時間が、10秒〜10分であることを特徴とする請求項26〜28のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  30. 熱固定された一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、ガラス転移温度〜融点未満の温度で、実質的に張力がかからない状態でアニールすることを特徴とする請求項26〜29のいずれか1項に記載の積層成形体の製造方法。
  31. アニールする温度が、ガラス転移温度〜昇温速度10℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度の範囲であることを特徴とする請求項30に記載の積層成形体の製造方法。
  32. アニール時間が10秒以上であることを特徴とする請求項30又は31記載の積層成形体の製造方法。
  33. 一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両面に、表面酸化処理又は表面加水分解処理を施し、次いで、接着剤層と熱可塑性樹脂層を順次共押出により積層することを特徴とする請求項23〜32のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  34. 表面酸化処理が、コロナ放電処理又はクロム酸処理であることを特徴とする請求項33項記載の積層成形体の製造方法。
  35. 接着剤が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の融点より低い融点を有するホットメルト型接着剤であることを特徴とする請求項23〜34のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  36. 熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項23〜35のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  37. 第1の供給口及び第2の供給口が設けられている第1の金型と、第1の金型との間に芯材通路を形成する第2の金型よりなる押出成形用金型の芯材通路に、一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを供給し、第1の供給口から一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに接着剤を押出被覆し、第2の供給口から熱可塑性樹脂を押出被覆することを特徴とする請求項23〜36のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  38. 押出成形用金型の第1の供給口直前の芯材通路における一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと芯材通路内壁面との距離をT1、距離がT1である第1の供給口の上流側の芯材通路の距離をL1とし、第2の供給口直前の芯材通路における一軸延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートと芯材通路内壁面との距離をT2、距離がT2である第2の供給口の上流側の芯材通路の距離をL2とした場合、L1/T1>L2/T2であることを特徴とする請求項37記載の積層成形体の製造方法。
  39. 押出成形用金型の第1の供給口と第2の供給口の間の芯材通路に樹脂溜りが形成されていることを特徴とする請求項37又は38記載の積層成形体の製造方法。
  40. 押出成形用金型の第1の供給口と第2の供給口の間の芯材通路のクリアランスが、次第に又は段階的に狭くなされていることを特徴とする請求項38又は39記載の積層成形体の製造方法。
  41. 押出成形用金型の開口部から芯材通路の入口まで次第にクリアランスが小さくなるようにテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項37〜40のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
  42. 積層成形体が、外装建材であることを特徴とする請求項1〜41のいずれか1項記載の積層成形体の製造方法。
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