JP2008104443A - Dnaメチル化測定方法 - Google Patents
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- C12Q1/6844—Nucleic acid amplification reactions
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Abstract
【解決手段】Xの含量の測定方法で、試料から一本鎖DNA:Aと一本鎖固定化オリゴヌクレオチド:Bとを結合させてAを選択し、これを鋳型としBをプライマー:PRとしてBを1回伸長させて二本鎖:Cとして形成させ、Cをメチル化感受性制限酵素で消化処理後、生成した遊離消化物を除去し、前工程として未消化物であるCを一本鎖状態に一旦分離し、且つ、生成した一本鎖状態DNA(正鎖):DとBとを結合させて一本鎖状態DNA:Eを選択し、選択されたEを鋳型としBをPRとしてBを1回伸長させて二本鎖として形成させ、生成した一本鎖状態DNA(負鎖):Fを鋳型とし特定PR:GをPRとしてGを1回伸長させてFを二本鎖として形成させ、さらにこれら操作を伸長形成された二本鎖DNAを一本鎖状態に一旦分離後、繰返してXを増幅・定量する。
【選択図】なし
Description
当該測定方法では、まず、生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料から、目的とするDNA領域を含むDNAを抽出する必要がある。当該抽出方法としては、例えば、ゲル濾過、シリカ担体、有機溶媒等による抽出方法等が知られているが、いずれの抽出方法も操作が煩雑である。
次いで、抽出されたDNAの目的領域におけるメチル化されたDNAの含量を測定する方法としては、例えば、(1)亜硫酸塩等を用いて当該DNAを修飾した後、DNAポリメラーゼによるDNA合成の連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;以下、PCRと記すこともある。)に供することにより目的領域を増幅する方法、(2)メチル化感受性制限酵素を用いて当該DNAを消化した後、PCRに供することにより、目的領域を増幅する方法等を挙げることができる。
このように、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAが有する目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの含量を測定するための一連の操作には、多大な手間が存在していた。
即ち、本発明は、
1.生物由来検体中に含まれるゲノムDNAが有する目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの含量を測定する方法であって、
(1)生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料から、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、当該一本鎖DNAの3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させることにより、前記の一本鎖DNAを選択する第一工程、
(2)第一工程で選択された一本鎖DNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖DNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第二工程、
(3)第二工程で伸長形成された二本鎖DNAを少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素で消化処理した後、生成した遊離の消化物(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位に少なくとも1つ以上のアンメチル状態のCpG対を含む二本鎖DNA)を除去する第三工程、及び、
(4)下記の各本工程の前工程として、第三工程で得られた未消化物である伸長形成された二本鎖DNA(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位にアンメチル状態のCpG対を含まない伸長形成された二本鎖DNA)を一本鎖状態に一旦分離する工程(前工程)を有し、且つ、本工程として
(a)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第A1工程と、第A1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第A2工程とを有する第A工程(本工程)と、
(b)生成した一本鎖状態であるDNA(負鎖)を鋳型として、前記の一本鎖状態であるDNA(負鎖)が有する塩基配列の部分塩基配列(負鎖)であって、且つ、前記の目的とするDNA領域の塩基配列(正鎖)に対して相補性である塩基配列(負鎖)の3’末端よりさらに3’末端側に位置する部分塩基配列(負鎖)、に対して相補性である塩基配列(正鎖)を有する伸長プライマー(リバース用プライマー)を伸長プライマーとして、当該伸長プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第B工程(本工程)とを有し、
さらに第四工程の各本工程を、前記各本工程で得られた伸長形成された二本鎖DNAを一本鎖状態に一旦分離した後、繰り返すことにより、前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAを検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する第四工程、
を有することを特徴とする方法(以下、本発明測定方法と記すこともある。);
2.第一工程において、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、当該一本鎖DNAの3’末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させる際に、二価陽イオンを含有する反応系中で結合させることを特徴とする前項1記載の方法;
3.二価陽イオンがマグネシウムイオンであることを特徴とする前項2記載の方法;
4.前項1記載の第四工程の前工程の前操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、
前項1記載の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法、
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程);
5.前項1記載の第四工程の前工程の後操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、第三工程及び上記の追加前工程を経て得られた未消化物である伸長形成された二本鎖DNA(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位にアンメチル状態のCpG対を含まない伸長形成された二本鎖DNA)を一本鎖状態に一旦分離する工程(追加再前工程)を有し、且つ、
前項1記載の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法(以下、本発明メチル化割合測定方法と記すこともある。)
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程);
6.前項1〜5のいずれかの前項記載の方法の工程として、下記の2つの工程をさらに追加的に有することを特徴とするメチル化割合の測定方法;
(5)前項1〜5のいずれかの前項記載の方法の第一工程及び第二工程を行った後、前項1〜5のいずれかの前項記載の方法の第三工程を行うことなく、前項1〜5のいずれかの前項記載の方法における第四工程を行うことにより、前記の目的とするDNA領域のDNA(メチル化されたDNA及びメチルされていないDNAの総量)を検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する第五工程、及び、
(6)前項1〜5のいずれかの前項記載の第四工程により定量されたDNAの量と、第五工程により定量されたDNAの量とを比較することにより得られる差異に基づき前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの割合を算出する第六工程;7.生物由来検体が、哺乳動物の血清又は血漿であることを特徴とする前項1〜6のいずれかの前項記載の方法;
8.生物由来検体が、哺乳動物の血液又は体液であることを特徴とする前項1〜6のいずれかの前項記載の方法;
9.生物由来検体が、細胞溶解液又は組織溶解液であることを特徴とする前項1〜6のいずれかの前項記載の方法;
10.生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、当該ゲノムDNAが有する目的とするDNA領域を認識切断部位としない制限酵素で予め消化処理されてなるDNA試料であることを特徴とする前項1〜9のいずれかの前項記載の方法;
11.生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素で消化処理されてなるDNA試料であることを特徴とする前項1〜10のいずれかの前項記載の方法;
12.生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、予め精製されてなるDNA試料であることを特徴とする前項1〜11のいずれかの前項記載の方法;
13.少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素が、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAが有する目的とするDNA領域の中に認識切断部位を有する制限酵素であることを特徴とする前項1〜12のいずれかの前項記載の方法;
14.少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素が、メチル化感受性制限酵素であるHpaII又はHhaIであることを特徴とする前項1〜13のいずれかの前項記載の方法;
等を提供するものである。
本発明における「生物由来検体」としては、例えば、細胞溶解液、組織溶解液(ここでの組織とは、血液、リンパ節等を含む広義の意味である。)若しくは、哺乳動物においては、血漿、血清、リンパ液等の体液、体分泌物(尿や乳汁等)等の生体試料及びこれら生体試料から抽出して得られたゲノムDNAをあげることができる。また当該生物由来検体としては、例えば、微生物、ウイルス等由来の試料もあげられ、この場合には、本発明測定方法における「ゲノムDNA」とは、微生物、ウイルスのゲノムDNAを意味するものである。
哺乳動物由来の検体が血液である場合には、定期健康診断や簡便な検査等での本発明測定方法の利用が期待できる。
ゲノムDNAを哺乳動物由来の検体から得るには、例えば、市販のDNA抽出用キット等を用いてDNAを抽出すればよい。
因みに、血液を検体として用いる場合には、血液から通常の方法に準じて血漿又は血清を調製し、調製された血漿又は血清を検体として、その中に含まれる遊離DNA(胃癌細胞等の癌細胞由来のDNAが含まれる)を分析すると、血球由来のDNAを避けて胃癌細胞等の癌細胞由来のDNAを解析することができ、胃癌細胞等の癌細胞、それを含む組織等を検出する感度を向上させることができる。
本発明における「CpG対」とは、CpGで示される塩基配列と、これに相補するCpGが結合してなる二本鎖オリゴヌクレオチドを意味するものである。
本発明測定方法の第一工程における「一本鎖固定化オリゴヌクレオチド」は、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(以下、本固定化オリゴヌクレオチドと記すこともある。)である。
本固定化オリゴヌクレオチドは、生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料から、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)を選択するために用いられる。本固定化オリゴヌクレオチドは、5〜50塩基長であることが好ましい。
本固定化オリゴヌクレオチドの5’末端側は、担体と固定化され得るものであり、一方その3’末端側は、後述する第二工程及び第A2工程により5’末端から3’末端に向かって進行する一回伸長反応が可能なようにフリーな状態であればよい。ここで「担体と固定化され得るもの」とは、前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)を選択する際に本固定化オリゴヌクレオチドが担体に固定化されていればよく、(1)当該一本鎖DNA(正鎖)と本固定化オリゴヌクレオチドとの結合前の段階で、本固定化オリゴヌクレオチドと担体との結合により固定化されるものであってもよく、また(2)当該一本鎖DNA(正鎖)と本固定化オリゴヌクレオチドとの結合後の段階で、本固定化オリゴヌクレオチドと担体との結合により固定化されるものであってもよい。
このような構造を得るには、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、本オリゴヌクレオチドと記すこともある。)の5’末端を通常の遺伝子工学的な操作方法又は市販のキット・装置等に従い、担体に固定すればよい(固相への結合)。具体的には例えば、本オリゴヌクレオチドの5’末端をビオチン化した後、得られたビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体(例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブ、ストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズ等)に固定する方法を挙げることができる。
また、本オリゴヌクレオチドの5’末端側に、アミノ基、アルデヒド基、チオール基等の活性官能基を有する分子を共有結合させた後、これを表面がシランカップリング剤等で活性化させたガラス、シリカ若しくは耐熱性プラスチック製の支持体に、例えば、トリグリセリドを5個直列に連結したもの等のスペーサー、クロスリンカー等を介して共有結合させる方法も挙げられる。またさらに、ガラス若しくはシリコン製の支持体の上で直接、本オリゴヌクレオチドの5’末端側から化学合成させる方法も挙げられる。
(a)まず、生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に、アニーリングバッファー及びビオチン化オリゴヌクレオチド(当該一本鎖DNA(正鎖)と本固定化オリゴヌクレオチドとの結合後の段階で、本固定化オリゴヌクレオチドと担体との結合により固定化されるものであるために、現段階では遊離状態にあるもの)を添加することにより、混合物を得る。次いで、得られた混合物を、生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で数分間加熱する。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、ビオチン化オリゴヌクレオチドのTm値の約10〜20℃低い温度まで速やかに冷却し、その温度で数分間保温する。
(b)その後、室温に戻す。
(c)ストレプトアビジンで被覆した支持体に、上記(b)で得られた混合物を添加し、さらに、これを37℃で数分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定する。
因みに、前述の如く、上記(a)〜(c)では、前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの結合を、ビオチン化オリゴヌクレオチドとストレプトアビジンで被覆した支持体との固定よりも前段階で実施しているが、この順番は、どちらが先でも構わない。即ち、例えば、ストレプトアビジンで被覆した支持体に固定化されたビオチン化オリゴヌクレオチドに、生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料を添加することにより混合物を得て、得られた混合物を生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で数分間加熱し、その後ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、ビオチン化オリゴヌクレオチドのTm値の約10〜20℃低い温度まで速やかに冷却し、その温度で数分間保温してもよい。
(d)このようにしてビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した後、残溶液の除去及び洗浄(DNA精製)を行う。
より具体的には例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブを使用する場合には、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、これに生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加し、その後当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。またストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズを使用する場合には、磁石によりビーズを固定した後、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加し、その後当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。
次いで、このような操作を数回実施することにより、残溶液の除去及び洗浄(DNA精製)を行う。
当該操作は、固定化されていないDNA、又は、後述の制限酵素で消化された溶液中に浮遊しているDNA、を反応溶液から取り除くため、重要である。これら操作が不十分であれば、反応溶液中に浮遊しているDNAが鋳型となり、増幅反応で予期せぬ増幅産物が得られることとなる。支持体と生物由来検体中DNAとの非特異的結合を避けるためには、目的領域とはまったく異なる塩基配列を有するDNA(例えば、ヒトの生物由来検体の場合は、ラットDNA等)を大量に生物由来検体に添加し、上記の操作を実施すればよい。
本発明測定方法の第一工程における好ましい態様としては、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、当該一本鎖DNAの3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させる際に、二価陽イオンを含有する反応系中で結合させることを挙げることができる。より好ましくは、二価陽イオンがマグネシウムイオンであることが挙げられる。ここで「二価陽イオンを含有する反応系」とは、前記一本鎖DNA(正鎖)と前記一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させるために用いられるアニーリングバッファー中に二価陽イオンを含有するような反応系を意味し、具体的には例えば、マグネシウムイオンを構成要素とする塩(例えば、MgOAc2、MgCl2等)を1mM〜600mMの濃度で含まれることがよい。
第一工程で選択された一本鎖DNAは、当該一本鎖DNAの3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドと結合することにより、当該結合部のみがすでに二本鎖を形成している。これに対して当該結合部以外の部分は一本鎖の状態である。ところが、多くの通常のメチル化感受性制限酵素はその消化反応において二本鎖DNAを基質とするが、一本鎖DNAを基質とすることはない。そこで、本発明測定方法の第三工程におけるメチル化感受性制限酵素による消化処理の前に、前記の一本鎖DNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる必要がある。
本発明測定方法の第二工程において、第一工程で選択された一本鎖DNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させるためには、DNAポリメラーゼを用いて伸長反応を実施すればよい。
第一工程で選択された前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNAに、滅菌超純水を17.85μL、最適な10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2)を3μL、2mM dNTPを3μL、5N ベタインを6μL加え、次いで当該混合物にAmpliTaq(DNAポリメラーゼの1種:5U/μL)を0.15μL加えて液量を30μLとし、37℃で2時間インキュベーションする。その後、インキュベーションされた溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、これに生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加し、当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。
より具体的には例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブを使用する場合には、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、これに生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加し、その後当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。またストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズを使用する場合には、磁石によりビーズを固定した後、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加し、その後当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。
次いで、このような操作を数回実施することにより、残溶液の除去及び洗浄(DNA精製)を行う。
本発明測定方法の第三工程における「メチル化感受性制限酵素」とは、例えば、メチル化されたシトシンを含む認識配列を消化せず、メチル化されていないシトシンを含む認識配列のみを消化することのできる制限酵素等を意味する。即ち、メチル化感受性制限酵素が本来認識することができる認識配列に含まれるシトシンがメチル化されているDNAの場合には、当該メチル化感受性制限酵素を当該DNAに作用させても、当該DNAは切断されない。これに対して、メチル化感受性制限酵素が本来認識することができる認識配列に含まれるシトシンがメチル化されていないDNAの場合には、当該メチル化感受性制限酵素を当該DNAに作用させれば、当該DNAは切断される。このようなメチル化感受性酵素の具体的な例としては、例えば、HpaII、BstUI、NarI、SacII、HhaI等を挙げることができる。尚、前記のメチル化感受性制限酵素は、ヘミメチル状態のCpG対を含む二本鎖DNA(即ち、前記CpG対のうち、一方の鎖のシトシンがメチル化されており、他方の鎖のシトシンがメチル化されていないような二本鎖DNA)を切断しないものであり、すでにGruenbaumらにより明らかにされている(Nucleic Acid Research, 9、 2509-2515)。
因みに、第二工程で伸長形成された二本鎖DNAにおいて、前述の如く、負鎖としてのDNA鎖に含まれるシトシンはメチル化されていない状態であり、正鎖側のDNA鎖に含まれるシトシンは生物由来検体中に含まれるゲノムDNAのDNAに含まれるシトシンがメチル化されていたか、それともメチル化されていなかったかにより、当該二本鎖DNAの状態がアンメチル状態であるか否かが決まる。即ち、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAがメチル化されていれば、得られた二本鎖DNAはヘミメチル状態(アンメチル状態ではない状態。負鎖:メチル化されていない状態、正鎖:メチル化されている状態)であり、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAがメチル化されていなければ、得られた二本鎖DNAはアンメチル状態(負鎖:メチル化されていない状態、正鎖:メチル化されていない状態)である。従って、前記のメチル化感受性制限酵素がヘミメチル状態である二本鎖DNAを切断しないという特性を利用することにより、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおける前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位の中に存在している少なくとも1つ以上のCpG対におけるシトシンがメチル化されていたか否かを区別することができる。即ち、前記のメチル化感受性制限酵素で消化処理することにより、仮に生物由来検体生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおける前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位の中に存在している少なくとも1つ以上のCpG対におけるシトシンがメチル化されていないのであれば、当該二本鎖DNAはアンメチル状態であり、当該メチル化感受性制限酵素により切断される。また仮に生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおける前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位の中に存在している全てのCpG対におけるシトシンがメチル化されていたのであれば、当該二本鎖DNAはヘミメチル状態であり、当該メチル化感受性制限酵素により切断されない。従って、消化処理を実施した後、後述のように、前記の目的とするDNA領域を増幅可能な一対のプライマーを用いたPCRを実施することにより、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおける前記制限酵素の認識部位の中に存在している少なくとも1つ以上のCpG対におけるシトシンがメチル化されていないのであれば、PCRによる増幅産物は得られず、一方、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおける前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位の中に存在している全てのCpG対におけるシトシンがメチル化されていたのであれば、PCRによる増幅産物が得られることになる。
より具体的には例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブを使用する場合には、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、これに生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加した後、当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。またストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズを使用する場合は、磁石によりビーズを固定した後、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加した後、当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。
次いで、このような操作を数回実施することにより、消化物(前記制限酵素の認識部位に少なくとも1つ以上のアンメチル状態のCpG対を含む二本鎖DNA)除去及び洗浄(DNA精製)する。
従って、本発明測定方法の第三工程において複数のメチル化感受性制限酵素による処理を実施する場合には、具体的には例えば、以下のように行えばよい。第二工程で伸長形成された二本鎖DNAに、最適な10×緩衝液(330mM Tris-Acetate pH 7.9、660mM KOAc、100mM MgOAc2、5mM Dithothreitol)を3μL、1mg/mL BSA水溶液を3μL、メチル化感受性酵素HpaII及びHhaI(10U/μL)等を夫々1.5μL加え、次いで当該混合物に滅菌超純水を加えて液量を30μLとし、37℃で1時間〜3時間インキュベーションする。その後、前記と同様な操作に準じて、ピペッティング又はデカンテーションにより、残溶液の除去及び洗浄(DNA精製)を行う。より具体的には例えば、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブを使用する場合には、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、これに生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加した後、当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。またストレプトアビジンで被覆した磁気ビーズを使用する場合は、磁石によりビーズを固定した後、まず溶液をピペッティング又はデカンテーションにより取り除いた後、生物由来検体の容量と略等量のTEバッファーを添加した後、当該TEバッファーをピペッティング又はデカンテーションにより取り除けばよい。
次いで、このような操作を数回実施することにより、残溶液の除去及び洗浄(DNA精製)を行う。
また、「生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料」が、少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素で消化処理されてなるDNA試料であることを好ましい態様の一つとして挙げることができる。
これらの好ましい態様は、生物由来検体そのものを予め上記のような制限酵素で消化処理しておくことにより、メチル化量を精度良く求めることができるためである。当該方法は、上記のような「DNAの切れ残し」を無くすのに有用である。
生物由来検体に含まれるゲノムDNA由来の試料をメチル化感受性制限酵素により消化する方法としては、生物由来検体がゲノムDNA自体の場合には前記の方法と同様な方法でよく、生物由来検体が組織溶解液、細胞溶解液等の場合には前記の方法と同様な方法に準じて、大過剰のメチル化感受性制限酵素、例えば、25ngのDNA量に対して500倍量(10U)又はそれ以上のメチル化感受性制限酵素を用いて消化処理を実施すればよい。
(a)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第A1工程と、第A1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第A2工程とを有する第A工程(本工程)と、
(b)生成した一本鎖状態であるDNA(負鎖)を鋳型として、前記の一本鎖状態であるDNA(負鎖)が有する塩基配列の部分塩基配列(負鎖)であって、且つ、前記の目的とするDNA領域の塩基配列(正鎖)に対して相補性である塩基配列(負鎖)の3’末端よりさらに3’末端側に位置する部分塩基配列(負鎖)、に対して相補性である塩基配列(正鎖)を有する伸長プライマー(リバース用プライマー)を伸長プライマーとして、当該伸長プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第B工程(本工程)とを有し、
さらに第四工程の各本工程を、前記各本工程で得られた伸長形成された二本鎖DNAを一本鎖状態に一旦分離した後、繰り返すことにより、前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAを検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する。
その後、本工程として、
(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)を、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(負鎖)にアニーリングさせるために、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(負鎖)のTm値の約10〜20℃低い温度まで速やかに冷却し、その温度で数分間保温する。
(ii)その後、室温に戻す。(第A工程における第A1工程)
(iii)上記(i)で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる(即ち、第A工程における第A2工程)。具体的には例えば、後述の説明や前述の本発明測定方法の第二工程における伸長反応での操作方法等に準じて実施すればよい。
(iv)生成した一本鎖状態であるDNA(負鎖)を鋳型として、前記の一本鎖状態であるDNA(負鎖)が有する塩基配列の部分塩基配列(負鎖)であって、且つ、前記の目的とするDNA領域の塩基配列(正鎖)に対して相補性である塩基配列(負鎖)の3’末端よりさらに3’末端側に位置する部分塩基配列(負鎖)、に対して相補性である塩基配列(正鎖)を有する伸長プライマー(リバース用プライマー))を伸長プライマー(リバース用プライマー)として、当該伸長プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる(即ち、第B工程)。具体的には例えば、上記(iii)と同様に、後述の説明や前述の本発明測定方法の第二工程における伸長反応での操作方法等に準じて実施すればよい。
(v)さらに第四工程の各本工程を、前記各本工程で得られた伸長形成された二本鎖DNAを一本鎖状態に一旦分離した後、繰り返すこと(例えば、第A工程及び第B工程)により、前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAを検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する。具体的には例えば、上記と同様に、後述の説明や前述の本発明測定方法の第四工程における前工程、第A工程及び第B工程での操作方法等に準じて実施すればよい。
目的とするDNA領域(即ち、目的領域)は、GCリッチな塩基配列が多いため、時に、ベタイン、DMSO等を適量加えて反応を実施してもよい。反応条件としては、例えば、前記のような反応液を、95℃にて10分間保温した後、95℃にて30秒間次いで55〜65℃にて30秒間さらに72℃にて30秒間を1サイクルとする保温を30〜40サイクル行う条件があげられる。かかるPCRを行った後、得られた増幅産物を検出する。例えば、予め標識されたプライマーを使用した場合には、先と同様の洗浄・精製操作を実施後、固定化された蛍光標識体の量を測定することができる。また、標識されていない通常のプライマーを用いたPCRを実施した場合は、金コロイド粒子、蛍光等で標識したプローブ等をアニーリングさせ、目的領域に結合した当該プローブの量を測定することにより検出することができる。また、増幅産物の量をより精度よく求めるには、例えば、リアルタイムPCR法を用いればよい。リアルタイムPCR法とは、PCRをリアルタイムでモニターし、得られたモニター結果をカイネティックス分析する方法であり、例えば、遺伝子量に関して2倍程度のほんのわずかな差異をも検出できる高精度の定量PCR法として知られる方法である。当該リアルタイムPCR法には、例えば、鋳型依存性核酸ポリメラーゼプローブ等のプローブを用いる方法、サイバーグリーン等のインターカレーターを用いる方法等を挙げることができる。リアルタイムPCR法のための装置及びキットは市販されるものを利用してもよい。以上の如く、検出については特に限定されることはなく、これまでに周知のあらゆる方法による検出が可能である。これら方法では、反応容器を移し換えることなく検出までの操作が可能となる。
即ち、
本発明測定方法の第四工程の前工程の前操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、
本発明測定方法の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法。
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程)
本発明測定方法の第四工程の前工程の後操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3'末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、第三工程及び上記の追加前工程を経て得られた未消化物である伸長形成された二本鎖DNA(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位にアンメチル状態のCpG対を含まない伸長形成された二本鎖DNA)を一本鎖状態に一旦分離する工程(追加再前工程)を有し、且つ、
本発明測定方法の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法(以下、本発明メチル化割合測定方法と記すこともある。)
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程)
また、第B工程における「生成した一本鎖状態であるDNA(負鎖)」とは、第1回目の第四工程の操作及び第2回目以降の第四工程の繰り返し操作の両操作において「生成した『固定の』一本鎖状態であるDNA(正鎖)」を意味する。但し、第四工程がさらに追加的にC工程を有する場合には、第1回目の第四工程の操作において「生成した『固定の』一本鎖状態であるDNA(正鎖)」を意味し、一方、第2回目以降の第四工程の繰り返し操作において「生成した『固定の』一本鎖状態であるDNA(正鎖)」と「生成した『遊離の』一本鎖状態であるDNA(正鎖)」との両者を意味することになる。
尚、第四工程がさらに追加的にC工程を有する場合にも同様である。
(5)本発明測定方法(前記の変法を含む)の第一工程及び第二工程を行った後、本発明測定方法(前記の変法を含む)の第三工程を行うことなく、本発明測定方法(前記の変法を含む)の第四工程を行うことにより、前記の目的とするDNA領域のDNA(メチル化されたDNA及びメチルされていないDNAの総量)を検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する第五工程、及び、
(6)本発明測定方法(前記の変法を含む)の第四工程により定量されたDNAの量と、第五工程により定量されたDNAの量とを比較することにより得られる差異に基づき前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの割合を算出する第六工程
各種疾患(例えば、癌)においてDNAのメチル化異常が起こることが知られており、このDNAメチル化異常を検出することにより、各種疾患の度合いを測定することが可能と考えられている。
例えば、疾患由来の生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおいて100%メチル化されているDNA領域があり、そのDNA領域について、本発明測定方法又は本発明メチル化割合測定方法を実施すれば、メチル化されたDNAの量は多くなり、例えば、疾患由来の生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおいて100%メチル化されていないDNA領域があり、そのDNA領域について、本発明測定方法又は本発明メチル化割合測定方法を実施すれば、メチル化されたDNAの量はほぼ0に近い値となるであろう。また、例えば、健常者の生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおいてメチル化割合が低く且つ疾患患者の生物由来検体中に含まれるゲノムDNAにおいてメチル化割合が高いDNA領域があり、そのDNA領域について、本発明測定方法又は本発明メチル化割合測定方法を実施すれば、健常者の場合には、メチル化されたDNAの量は、0に近い値を示し、一方、疾患患者の場合には、健常者の場合における値よりも有意に高い値を示すため、この値の差異に基づき、「疾患の度合い」を判定することができる。ここでの「疾患の度合い」とは、一般に当該分野において使用される意味と同様であって、具体的には、例えば、生物由来検体が細胞である場合には当該細胞の悪性度を意味し、また、例えば、生物由来検体が組織である場合には当該組織における疾患細胞の存在量等を意味している。さらに、生物由来検体が血漿・血清である場合にはその個体が疾患を有する確率を意味している。従って、本発明測定方法又は本発明メチル化割合測定方法は、メチル化異常を調べることにより、各種疾患を診断することを可能にする。
ATCCより購入された哺乳動物由来の結腸腺癌細胞株Caco−2(ATCC No.HTB-37)を、ATCCのカタログに記載された細胞株のための専用培地でコンフルエントになるまで培養することにより、約1x107細胞を得た。得られた細胞に、SEDTAバッファー[10mM Tris-HCl pH 8.0、10mM EDTA pH 8.0、100mM NaCl]を10倍容量加えた後、これをホモジナイズした。
得られた混合物に、proteinase K(Sigma)を500μg/ml及びドデシル硫酸ナトリウムを1%(w/v)になるように加えた後、これを55℃で約16時間振とうした。振とう終了後、当該混合物をフェノール[[1M Tris-HCl、pH 8.0]にて飽和]・クロロホルム抽出処理した。水層を回収し、これにNaClを0.5Nとなるよう加えた後、これをエタノール沈澱処理して生じた沈澱(ゲノムDNA)を回収した。回収された沈澱をTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA、pH 8.0)に溶解し、これに40μg/mlになるようにRNase A(Sigma)を加えて37℃で1時間インキュベートした。インキュベートされた混合物をフェノール・クロロホルム抽出処理した。水層を回収し、これにNaClを0.5Nとなるよう加えた後、これをエタノール沈澱することにより沈澱(ゲノムDNA)を回収した。回収された沈澱を70%エタノールでリンスすることにより、ゲノムDNAを得た。
得られたゲノムDNAから、下記のプライマー及び反応条件を用いてPCRを行うことにより、供試サンプルとして用いられるDNAフラグメント(以下、DNAフラグメントX2と記す。配列番号18で示される塩基配列を有する。Genbank Accession No.AC009800等に示されるGPR7配列の塩基番号76477〜77002に相当する領域)を増幅した。
PR3:5'-CGATGAGCTTGCACATGAGCT-3' (配列番号20)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認し、目的のDNAフラグメント(526bp)を切り出し、QIAGEN QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)により、DNAフラグメントX2を精製した。
得られたDNAフラグメントX2の一部をメチル化酵素SssI(NEB社)により処理し、5’−CG−3’全てをメチル化したDNAフラグメント(以下、DNAフラグメントY2と記す。)を得た。これについても、先と同様に、1.5%アガロース電気泳動により増幅を確認し、DNAフラグメント(526bp)を切り出し、QIAGEN QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)により、DNAフラグメントY2を精製した。
B1:5'-GACAACGCCTCGTTCTCGG-3'(配列番号21)
次いで得られた混合物を、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で5分間加熱した。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、50℃まで速やかに冷却し、その温度で5分間保温した。次いで、これを37℃で5分間保温した後、室温に戻し、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(DNAフラグメントX2又はDNAフラグメントY2)とビオチン化オリゴヌクレオチドとを結合させた(DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2につき、各々2本作製)。
次に、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブに、上記のようにして、前調製された混合物を添加し、さらに、これを37℃で5分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した(以上、本発明測定方法の第一工程に相当する。)。
このようにして選択された一本鎖DNAに、10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01% Gelatin)を3μL、each 2mM dNTP水溶液を3μL、5N ベタイン水溶液6μL、耐熱性DNAポリメラーゼ(AmpliTaq:5U/μL)を0.15μL及び超純水を17.85μL(溶液総容量:30μL)添加し、37℃で2時間保温することにより、1回伸長反応を実施した。反応後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第二工程に相当する。)。
各々の反応液を37℃で1時間インキュベーション(消化処理)した後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第三工程に相当する。)。
PR4:5'-GCGGAGTTGCCCGCCAGA-3'(配列番号24)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認した。その結果は、以下の通りであった(以上、本発明測定方法の第四工程に相当する。)。
実施例1で得られたDNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2を用いて下記の試験を行った。
DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2(25pg/mL水溶液、10μL)の各々別々に、5μMビオチン化オリゴヌクレオチドB1を1μL、及び、アニーリングバッファー(0.5M チャーチリン酸バッファー、7% SDS、1mM EDTA水溶液)を10μL添加することにより、混合物を得た。
次いで得られた混合物を、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で5分間加熱した。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、50℃まで速やかに冷却し、その温度で5分間保温した。次いで、これを37℃で5分間保温した後、室温に戻し、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(DNAフラグメントX2又はDNAフラグメントY2)とビオチン化オリゴヌクレオチドとを結合させた(DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2につき、各々4本作製)。
次に、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブに、上記のようにして、前調製された混合物を添加し、さらに、これを37℃で5分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した(以上、本発明測定方法の第一工程に相当する。)。
このようにして選択された一本鎖DNAに、10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01% Gelatin)を3μL、each 2mM dNTP水溶液を3μL、5N ベタイン水溶液6μL、耐熱性DNAポリメラーゼ(AmpliTaq:5U/μL)を0.15μL及び超純水を17.85μL(溶液総容量:30μL)添加し、37℃で2時間保温することにより、1回伸長反応を実施した。反応後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第二工程に相当する。)。
各々の反応液を37℃で1時間インキュベーション(消化処理)した後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第三工程に相当する。)。
PR4:5'-GCGGAGTTGCCCGCCAGA-3'(配列番号24)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認した。その結果は、以下の通りであった(以上、本発明測定方法の第四工程に相当する。)。
実施例1で得られたDNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2を用いて下記の試験を行った。
DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2の各々別々を25pg/mlの割合になるようにラット血清1mLに添加することにより、血清溶液を得た。当該血清溶液(DNAフラグメント25pg/mL水溶液、10μL)に、5μMビオチン化オリゴヌクレオチドB1を1μL、及び、アニーリングバッファー(0.5M チャーチリン酸バッファー、7% SDS、1mM EDTA水溶液)を10μL添加することにより、混合物を得た。
次いで得られた混合物を、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で5分間加熱した。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、50℃まで速やかに冷却し、その温度で5分間保温した。次いで、これを37℃で5分間保温した後、室温に戻し、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNAとビオチン化オリゴヌクレオチドとを結合させた(DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2につき、各々4本作製)。
次に、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブに、上記のようにして、前調製された混合物を添加し、さらに、これを37℃で5分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した(以上、本発明測定方法の第一工程に相当する。)。
このようにして選択された一本鎖DNAに、10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01% Gelatin)を3μL、each 2mM dNTP水溶液を3μL、5N ベタイン水溶液6μL、耐熱性DNAポリメラーゼ(AmpliTaq:5U/μL)を0.15μL及び超純水を17.85μL(溶液総容量:30μL)添加し、37℃で2時間保温することにより、1回伸長反応を実施した。反応後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第二工程に相当する。)。
各々の反応液を37℃で1時間インキュベーション(消化処理)した後、上清を取り除き、100μLのTEバッファーを混合した後、当該TEバッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第三工程に相当する。)。
PR4:5'-GCGGAGTTGCCCGCCAGA-3'(配列番号24)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認した。その結果は、以下の通りであった(以上、本発明測定方法の第四工程に相当する。)。
実施例1で得られたDNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2を用いて下記の試験を行った。
DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2の0、0.1、1及び10pg/10μLのTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA、pH 8.0)溶液を調製した。これらTEバッファー溶液10μL各々別々に、5μMビオチン化オリゴヌクレオチドB1を1μL、10×アニーリングバッファー(330mM Tris-Acetate pH 7.9、660mM KOAc、100mM MgOAc2、5mM Dithothreitol)を2μL、及び、滅菌超純水を7μL添加することにより、混合物を得た。
次いで得られた混合物を、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で5分間加熱した。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、50℃まで速やかに冷却し、その温度で5分間保温した。次いで、これを37℃で5分間保温した後、室温に戻し、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(DNAフラグメントX2又はDNAフラグメントY2)とビオチン化オリゴヌクレオチドとを結合させた(DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2につき、各々2本作製)。
次に、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブに、上記のようにして、前調製された混合物を添加し、さらに、これを37℃で5分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した(以上、本発明測定方法の第一工程に相当する。)。
このようにして選択された一本鎖DNAに、10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01% Gelatin)を3μL、each 2mM dNTP水溶液を3μL、5N ベタイン水溶液6μL、耐熱性DNAポリメラーゼ(AmpliTaq:5U/μL)を0.15μL及び超純水を17.85μL(溶液総容量:30μL)添加し、37℃で2時間保温することにより、1回伸長反応を実施した。反応後、上清を取り除き、100μLの上記洗浄バッファーを混合した後、当該洗浄バッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第二工程に相当する。)。
各々の反応液を37℃で5時間インキュベーション(消化処理)した後、上清を取り除き、100μLの上記洗浄バッファーを混合した後、当該洗浄バッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第三工程に相当する。)。
PR4:5'-GCGGAGTTGCCCGCCAGA-3'(配列番号24)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認した。その結果は、以下の通りであった(以上、本発明測定方法の第四工程に相当する。)。
実施例1で得られたDNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2を用いて下記の試験を行った。
DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2の0、0.1、1及び10pg/10μLのラット血清溶液を調製した。これら溶液10μL各々別々に、5μMビオチン化オリゴヌクレオチドB1を1μL、10×アニーリングバッファー(330mM Tris-Acetate pH 7.9、660mM KOAc、100mM MgOAc2、5mM Dithothreitol)を2μL、及び、滅菌超純水を7μL添加することにより、混合物を得た。
次いで得られた混合物を、前記の生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料に存在する目的とするDNA領域を含む二本鎖DNAを一本鎖にするために、95℃で5分間加熱した。その後、ビオチン化オリゴヌクレオチドとの二本鎖を形成させるために、50℃まで速やかに冷却し、その温度で5分間保温した。次いで、これを37℃で5分間保温した後、室温に戻し、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(DNAフラグメントX2又はDNAフラグメントY2)とビオチン化オリゴヌクレオチドとを結合させた(DNAフラグメントX2及びDNAフラグメントY2につき、各々2本作製)。
次に、ストレプトアビジンで被覆したPCRチューブに、上記のようにして、前調製された混合物を添加し、さらに、これを37℃で5分間保温することにより、ビオチン化オリゴヌクレオチドをストレプトアビジンで被覆した支持体に固定した(以上、本発明測定方法の第一工程に相当する。)。
このようにして選択された一本鎖DNAに、10×緩衝液(100mM Tris-HCl pH 8.3、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01% Gelatin)を3μL、each 2mM dNTP水溶液を3μL、5N ベタイン水溶液6μL、耐熱性DNAポリメラーゼ(AmpliTaq:5U/μL)を0.15μL及び超純水を17.85μL(溶液総容量:30μL)添加し、37℃で2時間保温することにより、1回伸長反応を実施した。反応後、上清を取り除き、100μLの上記洗浄バッファーを混合した後、当該洗浄バッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第二工程に相当する。)。
各々の反応液を37℃で5時間インキュベーション(消化処理)した後、上清を取り除き、100μLの上記洗浄バッファーを混合した後、当該洗浄バッファーをピペッティングにより取り除いた(以上、本発明測定方法の第三工程に相当する。)。
PR4:5'-GCGGAGTTGCCCGCCAGA-3'(配列番号24)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認した。その結果は、以下の通りであった(以上、本発明測定方法の第四工程に相当する。)。
ATCCより購入された哺乳動物由来の乳癌細胞株MCF−7(ATCC No.HTB-22)を、ATCCのカタログに記載された当該細胞株のための専用培地でコンフルエントになるまで培養することにより、約1×107個の細胞を得た。得られた細胞に、SEDTAバッファー[10mM Tris-HCl pH 8.0、10mM EDTA pH 8.0、100mM NaCl]を10倍容量加えた後、これをホモジナイズした。得られた混合物に、proteinase K(Sigma)を500μg/ml及びドデシル硫酸ナトリウムを1%(w/v)になるように加えた後、これを55℃で約16時間振とうした。振とう終了後、当該混合物をフェノール[[1M Tris-HCl pH 8.0]にて飽和]・クロロホルム抽出処理した。水層を回収し、これにNaClを0.5Nとなるよう加えた後、これをエタノール沈澱処理して生じた沈澱を回収した。回収された沈澱をTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA、pH 8.0)に溶解し、これに40μg/mlになるようにRNase A(Sigma)を加えて37℃で1時間インキュベートした。インキュベートされた混合物をフェノール・クロロホルム抽出処理した。水層を回収し、これにNaClを0.5Nとなるよう加えた後、これをエタノール沈澱処理して生じた沈澱(ゲノムDNA)を回収した。回収された沈澱を70%エタノールでリンスすることにより、ゲノムDNAを得た。
得られたゲノムDNAから、下記のプライマー及び反応条件を用いてPCRを行うことにより、供試サンプルとして用いられる配列番号17で示される塩基配列(Genbank Accession No.M80343等に示されるLINE1配列の塩基番号257〜352に相当する領域)を含むDNAフラグメント(DNAフラグメントX1、配列番号25で示される塩基配列を有する。Genbank Accession No.M80343等に示されるLINE1配列の塩基番号8〜480に相当する領域)を増幅した。
PR1:5'-CTGCTTTGTTTACCTAAGCAAGC-3'(配列番号27)
PCRを行った後、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認し、DNAフラグメント(473bp)を切り出し、QIAGEN QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)により、DNAフラグメントX1を精製した。
得られたDNAフラグメントX1の一部をメチル化酵素SssI(NEB社)により処理し、5’−CG−3’全てをメチル化したDNAフラグメント(以下、DNAフラグメントY1と記す。)を得た。これについても、先と同様に、1.5%アガロースゲル電気泳動により増幅を確認し、DNAフラグメント(473bp)を切り出し、QIAGEN QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)により、DNAフラグメントY1を精製した。
DNAフラグメントX1及びDNAフラグメントY1を用いて、以下のメチル化フラグメントと非メチル化フラグメントとの混合物を調製した。
各希釈溶液5μL(DNAフラグメント62.5pg相当量)を鋳型とし、配列番号17で示される塩基配列からなる領域のDNA量を求めるために、下記のプライマーPF2及びPR2並びに5’末端がレポーター蛍光色素であるFAM(6−カルボキシ−フルオレッセイン)及び3’末端がクエンチャー蛍光色素であるTAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)で標識されたプローブT1を用いたリアルタイムPCRを行った。
PF2(フォワード側): 5'-CACCTGGAAAATCGGGTCACT-3'(配列番号28)
PR2(リバース側): 5'-CGAGCCAGGTGTGGGATATA-3'(配列番号29)
T1:5'-CGAATATTGCGCTTTTCAGACCGGCTT-3'(配列番号30)
その結果を図4〜8に示した。A群での当該領域のDNA量を1として、他の群での当該領域のDNA量を示した。図4(「I」)は、メチル化割合0%のフラグメント混合物であるため、B群、C群及びD群での理論値は「0」、図5(「II」)は、メチル化割合10%のフラグメントであるため、B群、C群及びD群での理論値は「0.1」、図6(「III」)は、メチル化割合25%のフラグメントであるため、B群、C群及びD群での理論値は「0.25」、図7(「IV」)は、メチル化割合50%のフラグメントであるため、B群、C群及びD群での理論値は「0.5」、図8(「V」)は、メチル化割合100%のフラグメントであるため、B群、C群及びD群での理論値は「1」を示すことになる。実験の結果、図4〜図8に示す通り、D群で、この理論値に最も近い値が得られており、2種類以上のメチル化感受性酵素での消化処理が好ましいことが確認された。
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
支持体への固定化のために設計されたビオチン標識オリゴヌクレオチド
配列番号23
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号24
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号26
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号27
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号28
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号29
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号30
リアルタイムPCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
Claims (14)
- 生物由来検体中に含まれるゲノムDNAが有する目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの含量を測定する方法であって、
(1)生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料から、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、当該一本鎖DNAの3’末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させることにより、前記の一本鎖DNAを選択する第一工程、
(2)第一工程で選択された一本鎖DNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖DNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第二工程、
(3)第二工程で伸長形成された二本鎖DNAを少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素で消化処理した後、生成した遊離の消化物(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位に少なくとも1つ以上のアンメチル状態のCpG対を含む二本鎖DNA)を除去する第三工程、及び、
(4)下記の各本工程の前工程として、第三工程で得られた未消化物である伸長形成された二本鎖DNA(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位にアンメチル状態のCpG対を含まない伸長形成された二本鎖DNA)を一本鎖状態に一旦分離する工程(前工程)を有し、且つ、本工程として
(a)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第A1工程と、第A1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖固定化オリゴヌクレオチドをプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第A2工程とを有する第A工程(本工程)と、
(b)生成した一本鎖状態であるDNA(負鎖)を鋳型として、前記の一本鎖状態であるDNA(負鎖)が有する塩基配列の部分塩基配列(負鎖)であって、且つ、前記の目的とするDNA領域の塩基配列(正鎖)に対して相補性である塩基配列(負鎖)の3’末端よりさらに3’末端側に位置する部分塩基配列(負鎖)、に対して相補性である塩基配列(正鎖)を有する伸長プライマー(リバース用プライマー)を伸長プライマーとして、当該伸長プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第B工程(本工程)とを有し、
さらに第四工程の各本工程を、前記各本工程で得られた伸長形成された二本鎖DNAを一本鎖状態に一旦分離した後、繰り返すことにより、前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAを検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する第四工程、
を有することを特徴とする方法。 - 第一工程において、目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)と、当該一本鎖DNAの3’末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有する一本鎖固定化オリゴヌクレオチドとを結合させる際に、二価陽イオンを含有する反応系中で結合させることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 二価陽イオンがマグネシウムイオンであることを特徴とする請求項2記載の方法。
- 請求項1記載の第四工程の前工程の前操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3’末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、
請求項1記載の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法。
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程) - 請求項1記載の第四工程の前工程の後操作段階において、
前記の目的とするDNA領域を含む一本鎖DNA(正鎖)の3’末端の一部(但し、前記の目的とするDNA領域を含まない。)に対して相補性である塩基配列を有し且つ遊離状態である一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)を反応系内に添加する工程(追加前工程)を追加的に有し、且つ、第三工程及び上記の追加前工程を経て得られた未消化物である伸長形成された二本鎖DNA(前記のメチル化感受性制限酵素の認識部位にアンメチル状態のCpG対を含まない伸長形成された二本鎖DNA)を一本鎖状態に一旦分離する工程(追加再前工程)を有し、且つ、
請求項1記載の第四工程の各本工程として、下記の1つの工程をさらに追加的に有することを特徴とする方法。
(c)(i)生成した一本鎖状態であるDNA(正鎖)と、上記の追加前工程で反応系内に添加された一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)とを結合させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを選択する第C1工程と、
(ii)第C1工程で選択された一本鎖状態であるDNAを鋳型として、前記の一本鎖オリゴヌクレオチド(負鎖)をプライマーとして、当該プライマーを1回伸長させることにより、前記の一本鎖状態であるDNAを二本鎖DNAとして伸長形成させる第C2工程とを有する第C工程(本工程) - 請求項1〜5のいずれかの請求項記載の方法の工程として、下記の2つの工程をさらに追加的に有することを特徴とするメチル化割合の測定方法。
(5)請求項1〜5のいずれかの請求項記載の方法の第一工程及び第二工程を行った後、請求項1〜5のいずれかの請求項記載の方法の第三工程を行うことなく、請求項1〜5のいずれかの請求項記載の方法における第四工程を行うことにより、前記の目的とするDNA領域のDNA(メチル化されたDNA及びメチルされていないDNAの総量)を検出可能な量になるまで増幅し、増幅されたDNAの量を定量する第五工程、及び、
(6)請求項1〜5のいずれかの請求項記載の第四工程により定量されたDNAの量と、第五工程により定量されたDNAの量とを比較することにより得られる差異に基づき前記の目的とするDNA領域におけるメチル化されたDNAの割合を算出する第六工程 - 生物由来検体が、哺乳動物の血清又は血漿であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの請求項記載の方法。
- 生物由来検体が、哺乳動物の血液又は体液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの請求項記載の方法。
- 生物由来検体が、細胞溶解液又は組織溶解液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの請求項記載の方法。
- 生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、当該ゲノムDNAが有する目的とするDNA領域を認識切断部位としない制限酵素で予め消化処理されてなるDNA試料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの請求項記載の方法。
- 生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素で消化処理されてなるDNA試料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの請求項記載の方法。
- 生物由来検体中に含まれるゲノムDNA由来のDNA試料が、予め精製されてなるDNA試料であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの請求項記載の方法。
- 少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素が、生物由来検体中に含まれるゲノムDNAが有する目的とするDNA領域の中に認識切断部位を有する制限酵素であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの請求項記載の方法。
- 少なくとも1種類以上のメチル化感受性制限酵素が、メチル化感受性制限酵素であるHpaII又はHhaIであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの請求項記載の方法。
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